説明

酸化亜鉛系透明導電膜積層体と透明導電性基板およびデバイス

【課題】太陽電池の電極等に適用されその導電性が改善された酸化亜鉛系透明導電膜積層体を提供する。
【解決手段】スパッタリング法等により基板上に成膜され、ガリウム含有量が異なる複数層の酸化亜鉛系透明導電膜により構成された酸化亜鉛系透明導電膜積層体であって、最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)により構成され、この酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される単一若しくは複数の酸化亜鉛系透明導電膜が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)により構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により基板上に成膜されたガリウムを含有する酸化亜鉛系透明導電膜積層体に係り、特に、従来の酸化亜鉛系透明導電膜よりも導電性が改善された酸化亜鉛系透明導電膜積層体と透明導電性基板および太陽電池等のデバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、高い導電性と可視光領域での高い透過率とを有し、太陽電池や液晶表示素子、その他各種受光素子の電極等に利用される他、自動車窓や建築用の熱線反射膜、帯電防止膜、冷凍ショーケース等のための各種防曇用の透明発熱体としても利用され、特に、低抵抗の透明導電膜は、太陽電池、液晶、有機エレクトロルミネッセンスおよび無機エレクトロルミネッセンス等の表示素子やタッチパネル等に好適に用いられている。
【0003】
そして、上記透明導電膜には、酸化スズ(SnO)系、酸化亜鉛(ZnO)系、酸化インジウム(In)系の薄膜が知られており、酸化スズ系には、アンチモンをドーパントとして含むもの(ATO)やフッ素をドーパントとして含むもの(FTO)が利用され、酸化亜鉛系には、アルミニウムをドーパントとして含むもの(AZO)やガリウムをドーパントとして含むもの(GZO)が利用されている。そして、最も工業的に利用されている透明導電膜は上記酸化インジウム系であり、その中でもスズ(錫)をドーパントとして含む酸化インジウムはITO(Indium-Tin-Oxide)膜と称され、特に低抵抗の膜が容易に得られることから、これまで幅広く利用されてきた。
【0004】
また、これ等透明導電膜の工業的な製造方法としては、スパッタリング法やイオンプレーティング法が良く用いられている。これ等スパッタリング法やイオンプレーティング法は、大面積の低抵抗膜を容易に成膜することができ、蒸気圧の低い材料を成膜する際や、精密な膜厚制御を必要とする際に有効な手法であり、かつ、操作が非常に簡便であるため工業的にもっとも広範に利用されている。
【0005】
上記スパッタリング法は、薄膜原料としてスパッタリングターゲットを用いる成膜法で、スパッタリングターゲットは成膜したい薄膜を構成している金属元素を含む固体であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等の焼結体や、場合によっては単結晶が使われる。そして、この方法では、一般に真空装置を一旦高真空にした後、アルゴン等の希ガスを導入し、約10Pa以下のガス圧のもとで、基板を陽極、スパッタリングターゲットを陰極とし、これ等の間にグロー放電を起こしてアルゴンプラズマを発生させ、プラズマ中のアルゴン陽イオンを陰極のスパッタリングターゲットに衝突させ、これによってはじきとばされるターゲット成分の粒子を基板上に堆積させて膜を形成する。
【0006】
そして、スパッタリング法は、アルゴンプラズマの発生方法で分類され、高周波プラズマを用いるものは高周波スパッタリング法、直流プラズマを用いるものは直流スパッタリング法という。一般に、直流スパッタリング法は、高周波スパッタリング法と比べて成膜速度が速く、電源設備が安価であり、成膜操作が簡単である等の理由で、工業的に広範に利用されている。しかし、絶縁性ターゲットでも成膜することができる高周波スパッタリング法に対し、直流スパッタリング法では導電性ターゲットを用いなければならない。
【0007】
また、上記スパッタリング法を用いて成膜するときの成膜速度は、ターゲット物質の化学結合と密接な関係がある。スパッタリング法は、運動エネルギーをもったアルゴン陽イオンがターゲット表面に衝突し、ターゲット表面の物質がエネルギーを受け取って弾き出される現象を用いたものであり、ターゲット物質のイオン間結合若しくは原子間結合が弱い程、スパッタリングによって飛び出す確率は増加する。
【0008】
そして、上記ITO等酸化物の透明導電膜をスパッタリング法で成膜する方法には、膜を構成する元素の合金ターゲット(ITO膜の場合はIn−Sn合金)を用いてアルゴンと酸素の混合ガス中における反応性スパッタリング法によって酸化物膜を成膜する方法と、膜を構成する元素の酸化物焼結体ターゲット(ITO膜の場合はIn−Sn−O焼結体)を用いてアルゴンと酸素の混合ガス中における反応性スパッタリング法によって酸化物膜を成膜する方法がある。このうち、上記合金ターゲットを用いる方法は、スパッタリング中の酸素ガスを多めに供給するが、成膜速度や膜特性(比抵抗、透過率)の成膜中における導入する酸素ガス量依存性が極めて大きく、安定して一定の膜厚、所望の特性の透明導電膜を製造することが難しい。これに対して上記酸化物焼結体ターゲットを用いる方法は、膜に供給される酸素の一部がターゲットからスパッタリングにより供給され、残りの不足酸素量が酸素ガスとして供給される。このため、成膜中に導入する酸素ガス量に対する成膜速度や膜特性(比抵抗、透過率)の依存性が、合金ターゲットを用いる場合よりも小さく、より安定して一定の膜厚、特性の透明導電膜を製造することができるため、工業的には上記酸化物ターゲットを用いる方法が採られている。
【0009】
他方、上記イオンプレーティング法は、膜となるターゲット材の表面をアーク放電で局部的に加熱して昇華、イオン化し、負に帯電させたワーク(基板材料)に付着させて成膜する方法である。この方法でも、低温で密着性のよい膜が得られ、非常に多種の基板性質や膜性質が選択でき、合金や化合物の成膜が可能で、環境にやさしいプロセスであるという特徴を有する。そして、イオンプレーティング法でも、上記スパッタリング法と同様、酸化物タブレットをターゲット材として用いた方が安定して一定の膜厚、特性の透明導電膜を製造することができる。
【0010】
ところで、太陽電池、液晶表示素子、各種受光素子の電極等に利用される上記透明導電膜には、上述したようにITO等の酸化インジウム系材料が工業的に広く用いられているが、希少金属のインジウムが高価であること、インジウム元素が環境や人体に悪影響を与えるような毒性を有する成分を含むことから、近年、非インジウム系の透明導電膜材料が求められている。そして、非インジウム系の材料として、上述したGZOやAZO等の酸化亜鉛系材料、FTOやATO等の酸化スズ系材料が知られており、特に、GZOやAZO等の酸化亜鉛系は、資源として豊富に埋蔵されていて低コスト材料としてあるいは環境や人体にも優しい材料として注目されている。
【0011】
そして、酸化亜鉛系の透明導電膜材料に関する従来技術として以下が挙げられる。
【0012】
アルミニウムをドーパントとして含むAZOに関しては、特開昭62−122011号公報に、酸化亜鉛を主成分とし酸化アルミニウムを混合したターゲットを用いてDCマグネトロンスパッタリング法でC軸配向のAZO透明導電膜を製造する方法が記載されている。また、特開平2−149459号公報には、焼結密度5g/cm以上でかつ比抵抗が1Ω・cm以下の正三価以上の原子価を有する元素を含有する酸化亜鉛焼結体から成るスパッタリングターゲットが紹介され、その中に上記AZOターゲットやIn含有ZnO(IZO)ターゲットが記載されている。更に、ガリウムをドーパントとして含むGZOに関しては、特開平7−138745号公報に、ホットプレス焼結法で作製したガリウムを含む酸化亜鉛焼結体から成るスパッタリングターゲットが紹介されている。
【0013】
そして、上述した酸化亜鉛系や酸化スズ系等の非インジウム系材料の中で、ガリウムをドーパントとして含む上記酸化亜鉛(GZO)材料が最も低抵抗の透明導電膜を実現することができる。
【特許文献1】特開昭62−122011号公報
【特許文献2】特開平2−149459号公報
【特許文献3】特開平7−138745号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
非インジウム系材料の中でガリウムをドーパントとして含む上記GZO材料が最も低抵抗の透明導電膜を示すものの、広範に利用されているITO材料と比較すると導電性の点で未だ劣っている。また、GZO膜における導電性の膜厚依存性はITO材料と比べて大きく、膜厚が薄くなるとGZO膜の導電性は著しく悪くなり、ITO膜との導電性の差はより顕著になる。このため、透明電極の導電性が重要視される各種デバイス、特に太陽電池には不十分であった。このような技術的背景から、従来よりも低抵抗の非インジウム系透明導電膜、特にZnO系透明導電膜の開発が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、上記課題を解決するため本発明者等が鋭意研究を重ねた結果、ガリウムを含む酸化亜鉛系透明導電膜の膜構成を最適化することで、従来よりも透明導電膜の導電性を改善できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち、請求項1に係る発明は、
スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により基板上に成膜されると共に、ガリウム含有量が異なる複数層の酸化亜鉛系透明導電膜により構成された酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)により構成され、この酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される単一若しくは複数の酸化亜鉛系透明導電膜が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)により構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項2に係る発明は、
請求項1に記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で3.5〜5.5%であることを特徴とし、
請求項3に係る発明は、
請求項2に記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で4.5〜5.5%であることを特徴とし、
請求項4に係る発明は、
請求項3に記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
総膜厚が80nm以上400nm未満で、かつ、比抵抗が8.0×10−4Ωcm以下であることを特徴とし、
請求項5に係る発明は、
請求項2に記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5〜5.5%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、この酸化亜鉛系薄膜層(2−1)上に成膜されかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5〜4.4%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−2)とで構成されることを特徴とし、
請求項6に係る発明は、
請求項5に記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
総膜厚が400nm以上で、かつ、比抵抗が3.5×10−4Ωcm以下であることを特徴とし、
請求項7に係る発明は、
請求項1〜6のいずれかに記載の発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
成膜中の基板温度を100〜500℃に設定して、スパッタリング法により成膜されたことを特徴とするものである。
【0018】
次に、請求項8に係る発明は、
透明導電性基板において、
ガラス基板若しくは樹脂基板と、この基板上に成膜された請求項1〜7の酸化亜鉛系透明導電膜積層体とで構成されることを特徴とし、
請求項9に係る発明は、
太陽電池、表示装置または発光デバイスから選択されるデバイスにおいて、
請求項1〜7の酸化亜鉛系透明導電膜積層体が、透明電極として組み込まれていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により基板上に成膜されると共に、ガリウム含有量が異なる複数層の酸化亜鉛系透明導電膜により構成された本発明の酸化亜鉛系透明導電膜積層体によれば、
最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)により構成され、この酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される単一若しくは複数の酸化亜鉛系透明導電膜が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)により構成されているため、従来の酸化亜鉛系透明導電膜と較べて導電性が改善されており、更に、本発明の酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、酸化亜鉛を主成分としているため、資源として豊富に埋蔵されていて低コスト材料としてあるいは環境や人体にも優しい効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
1.酸化亜鉛系透明導電膜積層体
スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により基板上に成膜されると共に、ガリウム含有量が異なる複数層の酸化亜鉛系透明導電膜により構成された本発明の酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、図1に示すように、最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)により構成され、この酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される単一若しくは複数の酸化亜鉛系透明導電膜が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)により構成されていることを特徴としている。
【0022】
そして、図1に示された本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、この酸化亜鉛系透明導電膜積層体と同じ組成で総膜厚も同じである単層構造の酸化亜鉛系薄膜層(2)が基板上に成膜された図3に示す従来の酸化亜鉛系透明導電膜と較べて導電性が改善されている。この改善効果は以下のように解釈することができる。
【0023】
まず、ガリウムを含有する酸化亜鉛系透明導電膜の比抵抗に関してそのガリウム含有量の依存性を発明者等が調べたところ、低抵抗を発揮する最適なガリウム含有量が存在し、その最適なガリウム含有量は膜厚によって異なることが分かった。酸化亜鉛系透明導電膜はn型の半導体であり、その導電性は、キャリア濃度と移動度に依存し、キャリア濃度、移動度、何れも高い方が高い導電性を得ることができる。
【0024】
ここで、ガラス基板や樹脂基板上にスパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により成膜した酸化亜鉛系透明導電膜は、結晶性の膜厚依存性が大きい。すなわち、基板側の膜は結晶性が悪く、基板から遠ざかるほど膜の結晶性は良い。また、膜の結晶性が高いと、粒界が少ないため移動度は高い。酸化亜鉛系透明導電膜はn型の半導体であるため、ガリウムのドーパント量が多くなるとキャリア濃度は多くなるが、キャリア濃度が多くなるとイオン化不純物散乱の影響で移動度は低下する。
【0025】
そして、基板上の膜厚が20〜40nmと薄い酸化亜鉛系薄膜の場合、大きな結晶粒を形成しにくく結晶性が極めて悪いため移動度も低い。このような低い移動度の薄膜の導電性は、移動度の組成依存性が小さく、移動度よりもキャリア濃度の方が導電性には支配的で、ドーパントを多くしてキャリア濃度を多くした方が導電性に優勢的に寄与する。従って、基板上に形成される膜厚が20〜40nmと薄い酸化亜鉛系薄膜の場合は、ガリウムの含有量がGa/(Zn+Ga)の原子数比で5.6〜10.0%と多く設定された酸化亜鉛系薄膜の方が最も高い導電性を発揮する。
【0026】
反対に、基板上に形成される酸化亜鉛系薄膜の膜厚がより厚くなると結晶性が改善され、移動度の組成依存性が顕著となって、最も高い導電性は低いガリウム含有量側にシフトする。すなわち、酸化亜鉛系薄膜の膜厚が40nmを超え厚くなって結晶性が良くなると、ドーパント量を多くしてキャリア濃度を増加させると、上述したイオン化不純物散乱の影響で移動度が低下し導電性を悪化させてしまう。従って、ドーパント量が多ければ導電性が高いわけでなく、これ等の影響がでない最適ドーパント量が存在する。
【0027】
上述した理由から、最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜については、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)で構成し、酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜については、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成することにより、高い導電性を発揮させることができる。この場合、上記酸化亜鉛系薄膜層(2)については、組成の均一な単一層で構成してもよいし、組成の異なる複数層で構成してもよい。
【0028】
ここで、本発明に係る酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量は、好ましくはGa/(Zn+Ga)の原子数比で3.5〜5.5%、より好ましくはGa/(Zn+Ga)の原子数比で4.5〜5.5%である。この場合、上記酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚が80nm以上400nm未満の条件で、比抵抗が8.0×10−4Ωcm以下を達成することができる。
【0029】
また、本発明に係る酸化亜鉛系薄膜層(2)が組成の異なる複数層で構成される場合、酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)については、図2に示すようにGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量を4.5〜5.5%に設定した酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、この酸化亜鉛系薄膜層(2−1)上に成膜しかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量を3.5〜4.4%に設定した酸化亜鉛系薄膜層(2−2)とで構成することが好ましい。この場合、酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚が400nm以上の条件で、比抵抗が3.5×10−4Ωcm以下の低抵抗膜を実現することができる。
【0030】
次に、本発明の酸化亜鉛系透明導電膜は、上述したようにスパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により成膜されるが、スパッタリング法は、基板への密着性が高い緻密な薄膜を高速かつ大面積で均一に成膜できるため工業的に有利で好ましく、特に、直流(DC)スパッタリング法は成膜速度が速いためより好ましい。また、成膜中の基板温度が100〜500℃において、上述した酸化亜鉛系薄膜の良導電性(最低比抵抗)における膜厚依存性が顕著となるため、成膜中の基板温度を100〜500℃に設定してスパッタリング成膜すると本発明の効果が顕著となる。
【0031】
本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜をスパッタリング法により成膜するには、スパッタリングガスとしてアルゴン等の不活性ガスを用い、かつ、上述したように直流(DC)スパッタリングを用いることが好ましい。また、スパッタリング装置内は、0.1〜1Pa、特に0.2〜0.8Paの圧力条件でスパッタリングすることができ、各層の酸化亜鉛系薄膜を形成するための原料となるターゲットは、その薄膜とほぼ同一組成の酸化亜鉛系焼結体を用いることが導電性の高い薄膜を再現性良く得るためには有効である。本発明においては、例えば、5×10−5Pa以下まで真空排気後、純Arガスを導入し、ガス圧を0.2〜0.8Paとし、0.55〜4.7W/cmの投入直流電力密度(直流投入電力/ターゲットの面積)を印加して直流プラズマを発生させ、プリスパッタを実施することができる。このプリスパッタリングを5〜30分間行った後、必要により基板位置を修正したうえでスパッタリングすることが好ましい。
【0032】
また、本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜をイオンプレーティング法で成膜することもできる。この場合の原料はタブレット(ペレットとも呼ぶ)と呼ばれる焼結体であるが、スパッタリングの場合と同様、各層の組成と同じ組成の酸化亜鉛系酸化物焼結体からなる。イオンプレーティング法では、蒸発源となるタブレットに、電子ビームやアーク放電による熱等を照射すると、照射された部分は局所的に高温になり、蒸発粒子が蒸発して基板に堆積される。このとき、蒸発粒子を電子ビームやアーク放電によってイオン化する。イオン化する方法には、様々な方法があるが、プラズマ発生装置(プラズマガン)を用いた高密度プラズマアシスト蒸着法(HDPE法)は、良質な透明導電膜の形成に適している。この方法では、プラズマガンを用いたアーク放電を利用する。プラズマガンに内蔵されたカソードと蒸発源の坩堝(アノード)との間でアーク放電が維持される。カソードから放出される電子を磁場偏向により坩堝内に導入して、坩堝に仕込まれたタブレットの局部に集中して照射する。この電子ビームによって、局所的に高温となった部分から、蒸発粒子が蒸発して基板に堆積される。気化した蒸発粒子や反応ガスとして導入されたOガスは、このプラズマ内でイオン化ならびに活性化されるため、導電性に優れた良質な薄膜を形成することができる。
【0033】
次に、スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により成膜した酸化亜鉛系薄膜の上述した傾向はガラス基板や樹脂基板に限られたものでなく、金属、セラミックス、単結晶の基板においても同様であり、更に、これ等表面に酸化亜鉛以外の非晶質あるいは結晶質の酸化物薄膜若しくは金属薄膜が形成された基板においても同様である。酸化亜鉛系薄膜層(1)を成膜する基板表面が酸化亜鉛と同じ結晶構造(ウルツ鉱型構造)の結晶性材料で覆われていなければ同様に適用でき、上述のような効果を発揮する。
【0034】
上記ガラス基板には石英基板も含まれ、樹脂基板にはポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が含まれるが、基板がこれ等に限定されるわけではない。
【0035】
2.透明導電性基板
本発明に係る透明導電性基板は、ガラス基板若しくは樹脂基板とこれ等基板上に成膜されかつ導電性が改善された上述の酸化亜鉛系透明導電膜積層体とで構成される。上記酸化亜鉛系透明導電膜はスパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により成膜されるが、特に、スパッタリング法で基板温度が100〜500℃において形成されることが好ましい。また、本発明に係る透明導電性基板は、太陽電池やタッチパネル、液晶素子、プラズマディスプレイ、EL素子等の部材として有効に利用することができる。
【0036】
3.太陽電池等のデバイス
本発明に係るデバイスとしての太陽電池は、上記酸化亜鉛系透明導電膜積層体が透明電極として組み込まれて成る光電変換素子である。太陽電池素子の構造は、特に限定されず、PN接合型、PIN接合型等が挙げられる。
【0037】
PN接合型の太陽電池素子は、例えば厚み0.2〜0.5mm程度、大きさ180mm角程度の単結晶や多結晶のシリコン基板を用いることができ、素子のシリコン基板内部にはボロン等のP型不純物を多く含んだP層とリン等のN型不純物を多く含んだN層が接したPN接合が形成される。また、シリコン基板の代わりにガラス板、樹脂板、樹脂フィルム等の透明基板も使用される。本発明においては、透明基板であることが好ましい。その場合、基板に上記酸化亜鉛系透明導電膜積層体を電極として形成した後、非晶質あるいは多結晶のシリコンが積層される。非晶質シリコンでは、PN接合間に絶縁層(I層)が介在したPIN接合とされる。
【0038】
いずれの型の太陽電池素子でも受光面側および裏面側に、銀ペーストを用いたスクリーンプリント法等によりバスバー電極とフィンガー電極がそれぞれ形成され、またこれ等の電極表面は、その保護と接続タブを取り付けやすくするために、そのほぼ全面に亘りハンダコートされる。尚、太陽電池素子がシリコン基板の場合は、受光面側に、ガラス板、樹脂板、樹脂フィルム等の透明な保護材が設けられる。
【0039】
上記太陽電池に組み込まれる酸化亜鉛系透明導電膜積層体の厚さは、特に制限されるわけではなく、材料の組成等にもよるが500〜1500nm、特に800〜1300nmであることが望ましい。本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、低抵抗であり、350nmの紫外線から2500nmの赤外線までを含む太陽光の透過率が高いため、太陽光の光エネルギーを極めて有効に電気エネルギーに変換することができる。
【0040】
尚、本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、太陽電池以外に、タッチパネルやフラットパネルディスプレイ(LCD、PDP、EL等)や発光デバイス(LED、LD等)の透明電極として適用することができる。
【実施例】
【0041】
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれ等実施例の技術内容に当然のことながら限定されるものではない。
[実施例1〜5]
図1に示す積層構造の酸化亜鉛系透明導電膜積層体を直流スパッタリング法で以下の手順・条件で作製した。薄膜を形成するための原料であるスパッタリングターゲットのサイズは直径152mmの円形状であり、酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2)は、各薄膜層と同じ組成[Ga/(Zn+Ga)の原子数比]のガリウム含有酸化亜鉛系焼結体ターゲットを用いてそれぞれ個別に成膜し、図1に示す積層構造の酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0042】
まず、直流電源を装備した直流マグネトロンスパッタリング装置の非磁性体ターゲット用カソードに、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2)の組成に対応した互いに異なる組成を有するスパッタリングターゲットを取り付けた。基板には無アルカリのガラス基板(コーニング♯7059)を用い、ターゲット−基板間の距離を60mmに固定した。
【0043】
そして、5×10−5Pa以下まで真空排気後、純Arガスを導入し、ガス圧を0.3Paとし、直流電力200Wを印加して直流プラズマを発生させ、プリスパッタを実施した。十分なプリスパッタリング後、上記スパッタリングターゲットの中心(非エロージョン部)直上に静止して基板を配置し、基板温度200℃にて直流スパッタリング成膜を実施した。この条件で得られる各々の酸化亜鉛系薄膜は、ターゲットの組成[Ga/(Zn+Ga)の原子数比]とほぼ同じであることが得られた薄膜のICP発光分析法による定量分析から確認された。各層の膜厚は、予め測定した成膜速度を元に成膜時間で制御し、異なる組成を有するスパッタリングターゲットの直上に基板を順次移動させて、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2)を所定の膜厚だけ順次成膜し、図1に示す積層構造の実施例1〜5に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を得た。
【0044】
そして、得られた各実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の評価は以下のように実施した。
【0045】
まず、各実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚はテンコール社製の表面粗さ計で測定した。酸化亜鉛系透明導電膜積層体の比抵抗は四探針法によって測定した表面抵抗と総膜厚の積から算出した。また、酸化亜鉛系透明導電膜積層体の光学特性は日立製作所社製の分光光度計で測定し、酸化亜鉛系透明導電膜積層体の生成相はパナリティカル(PANalytical)社製のX線回折測定装置によって同定した。
【0046】
上記評価の結果、各実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、膜厚が20〜40nmでGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、ガリウム含有量が上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりも少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚80nmの透明導電膜積層体であることが確認された。
【0047】
尚、実施例1〜5に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2)の各ガリウム含有量と膜厚、および、各酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚と比抵抗を以下の表1にそれぞれ示す。
【0048】
【表1】

[比較例1〜6]
基板の種類や成膜条件は実施例1〜5と同様にして、図3に示す単層膜構造の比較例1〜4に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0049】
すなわち、実施例1〜5における上記酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.1%かつ膜厚が80nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例1に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、この比較例1と同様にして、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.9%かつ膜厚が80nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された比較例2に係る酸化亜鉛系透明導電膜と、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%かつ膜厚が80nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された比較例3に係る酸化亜鉛系透明導電膜と、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が10.0%かつ膜厚が80nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された比較例4に係る酸化亜鉛系透明導電膜をそれぞれ作製した。
【0050】
また、図1に示す積層構造の酸化亜鉛系透明導電膜積層体であって、実施例1〜5における酸化亜鉛系薄膜層(1)の膜厚条件が「20〜40nm」範囲外に設定された比較例5〜6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を実施例1〜5と同様の方法で作製した。
【0051】
すなわち、比較例5に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、膜厚が10nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、ガリウム含有量が上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりも少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚80nmの積層体で構成され、比較例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、膜厚が50nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、ガリウム含有量が酸化亜鉛系薄膜層(1)よりも少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚80nmの積層体で構成されている。
【0052】
そして、比較例1〜6の膜構成と特性評価結果を上記表1に示した。
【0053】
尚、比較例1〜4に係る酸化亜鉛系透明導電膜の膜厚および比較例5〜6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚については、成膜速度と成膜時間で制御し各層の目標膜厚の総和と一致させた。また、各酸化亜鉛系透明導電膜の生成相を上述したX線回折測定によって同定したところ、全て六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相のみによって構成されていた。この六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相の回折ピークはc面(002)反射によるもののみが観察され、c軸配向の薄膜であった。
【0054】
また、比較例1〜4に係る酸化亜鉛系透明導電膜と実施例1〜5および比較例5〜6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の可視域(波長380〜780nm)の平均透過率は基板を含めて80%以上であり、可視透明度では共に十分な特性が得られていた。
【0055】
しかし、表1に示された比抵抗に着目すると、実施例1〜5に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては710μΩcm(実施例1)〜790μΩcm(実施例3と5)であるのに対し、比較例1〜4に係る酸化亜鉛系透明導電膜および比較例5〜6に酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては848μΩcm(比較例5)〜2532μΩcm(比較例4)であり、比較例に較べて各実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が改善されていることが確認される。
[実施例6、比較例7〜8]
実施例1〜5と同様の方法により、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が170nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚200nmの実施例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0056】
また、比較例1〜4と同様の方法により、実施例1〜5における上記酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.5%かつ膜厚が200nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、この比較例7と同様にして、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%かつ膜厚が200nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例8に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0057】
そして、実施例6、比較例7〜8の膜構成と特性評価の結果を上記表1にそれぞれ示す。
【0058】
比較例7〜8に係る酸化亜鉛系透明導電膜の膜厚および実施例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚については、成膜速度と成膜時間で制御し各層の目標膜厚の総和と一致させた。また、各酸化亜鉛系透明導電膜の生成相を上述したX線回折測定によって同定したところ、全て六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相のみによって構成されていた。この六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相の回折ピークはc面(002)反射によるもののみが観察され、c軸配向の薄膜であった。また、比較例7〜8に係る酸化亜鉛系透明導電膜および実施例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の可視域(波長380〜780nm)の平均透過率は基板を含めて80%以上であり、可視透明度では十分な特性が得られていた。
【0059】
しかし、表1に示された比抵抗に着目すると、実施例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては575μΩcmであるのに対し、比較例7〜8に係る酸化亜鉛系透明導電膜においては650μΩcm(比較例7)〜950μΩcm(比較例8)であり、比較例に較べて実施例6に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が改善されていることが確認される。
[実施例7、比較例9〜10]
実施例6と同様の方法により、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が350nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚380nmの実施例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0060】
また、比較例7〜8と同様の方法により、実施例6における酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5%かつ膜厚が380nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例9に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、同様にして、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%かつ膜厚が380nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例10に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0061】
そして、実施例7、比較例9〜10の膜構成と特性評価の結果を上記表1にそれぞれ示す。
【0062】
比較例9〜10に係る酸化亜鉛系透明導電膜の膜厚および実施例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の総膜厚については、成膜速度と成膜時間で制御し各層の目標膜厚の総和と一致させた。また、各酸化亜鉛系透明導電膜の生成相を上述したX線回折測定によって同定したところ、全て六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相のみによって構成されていた。この六方晶のウルツ鉱構造をとる酸化亜鉛相の回折ピークはc面(002)反射によるもののみが観察され、c軸配向の薄膜であった。また、比較例9〜10に係る酸化亜鉛系透明導電膜および実施例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の可視域(波長380〜780nm)の平均透過率は基板を含めて80%以上であり、可視透明度では十分な特性が得られていた。
【0063】
しかし、表1に示された比抵抗に着目すると、実施例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては310μΩcmであるのに対し、比較例9〜10に係る酸化亜鉛系透明導電膜においては410μΩcm(比較例9)〜540μΩcm(比較例10)であり、比較例に較べて実施例7に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が改善されていることが確認される。
[実施例8〜11、比較例11〜14]
実施例7と同様の方法により、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が350nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2)が順次成膜された総膜厚380nmの実施例8に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0064】
同様に、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が3.8%である点を除き上記実施例8と同一である実施例9に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製し、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が5.1%である点を除き実施例8と同一である実施例10に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製し、また、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で上記酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が5.5%である点を除き実施例8と同一である実施例11に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0065】
また、また、比較例9〜10と同様の方法により、実施例8における酸化亜鉛系薄膜層(1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5%かつ膜厚が380nmの酸化亜鉛系薄膜層(2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例11に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0066】
同様に、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が3.8%である点を除き上記比較例11と同一である比較例12に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が5.1%である点を除き比較例11と同一である比較例13に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、また、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が5.5%である点を除き上記比較例11と同一である比較例14に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0067】
そして、実施例8〜11、比較例11〜14の膜構成と特性評価の結果を上記表1にそれぞれ示す。
【0068】
上記表1に示された比抵抗に着目して、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が同一である実施例8(510μΩcm)と比較例11(580μΩcm)、実施例9(480μΩcm)と比較例12(550μΩcm)、実施例10(280μΩcm)と比較例13(380μΩcm)および実施例11(350μΩcm)と比較例14(450μΩcm)を比較することにより、上記酸化亜鉛系薄膜層(2)と基板との間にその膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)を介在させた実施例8〜11に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)を有しない比較例11〜14に係る酸化亜鉛系透明導電膜より改善されていることが確認される。
【0069】
更に、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量のみが相違する実施例7(4.5%、310μΩcm)、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量のみが相違する実施例8(3.5%、510μΩcm)、実施例9(3.8%、480μΩcm)、実施例10(5.1%、280μΩcm)および実施例11(5.5%、350μΩcm)との比較から、上記酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量を「4.5〜5.5%」に設定したとき(実施例7、実施例10および実施例11)に特に高い導電性を示すことも確認された。
[実施例12〜16、比較例15〜18]
実施例1と同様の条件並びに方法により、酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5〜5.5%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、この酸化亜鉛系薄膜層(2−1)上に成膜されかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5〜4.4%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−2)とで構成された図2に示す積層構造の実施例12〜16に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0070】
すなわち、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が150nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.1%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が280nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.0%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚460nmの実施例12に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0071】
同様に、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が150nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.1%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が280nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚460nmの実施例13に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が150nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.1%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が280nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.4%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚460nmの実施例14に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が150nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が280nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.0%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚460nmの実施例15に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体、および、膜厚が30nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が150nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.5%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が280nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.0%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚460nmの実施例16に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体をそれぞれ作製した。
【0072】
また、比較例11〜14と同様の方法により、実施例12における酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2−1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5%かつ膜厚が460nmの酸化亜鉛系薄膜層(2−2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例15に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0073】
同様に、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2−2)のガリウム含有量が4.0%である点を除き上記比較例15と同一である比較例16に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2−2)のガリウム含有量が4.4%である点を除き比較例15と同一である比較例17に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、また、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2−2)のガリウム含有量が5.1%である点を除き上記比較例15と同一である比較例18に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0074】
そして、実施例12〜16、比較例15〜18の膜構成と特性評価の結果を以下の表2にそれぞれ示す。
【0075】
【表2】

上記表2に示された比抵抗に着目すると、実施例12〜16に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては295μΩcm(実施例12)〜320μΩcm(実施例14)であるのに対し、比較例15〜18に係る酸化亜鉛系透明導電膜においては352μΩcm(比較例16)〜520μΩcm(比較例18)であり、比較例に較べて各実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が改善されていることが確認される。
[実施例17、比較例19〜21]
実施例12と同様の条件並びに方法により、膜厚が40nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が7.3%である酸化亜鉛系薄膜層(1)と、膜厚が340nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.1%である酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、膜厚が700nmかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.0%である酸化亜鉛系薄膜層(2−2)が順次成膜された総膜厚1080nmの実施例17に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体を作製した。
【0076】
また、比較例15〜18と同様の方法により、実施例17における酸化亜鉛系薄膜層(1)と酸化亜鉛系薄膜層(2−1)を含まず、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.0%かつ膜厚が1080nmの酸化亜鉛系薄膜層(2−2)で構成された図3に示す単層膜構造の比較例19に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0077】
同様に、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2−2)のガリウム含有量が5.1%である点を除き上記比較例19と同一である比較例20に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製し、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で酸化亜鉛系薄膜層(2−2)のガリウム含有量が7.3%である点を除き比較例19と同一である比較例21に係る酸化亜鉛系透明導電膜を作製した。
【0078】
そして、実施例17、比較例19〜21の膜構成と特性評価の結果を上記表2にそれぞれ示す。
【0079】
上記表2に示された比抵抗に着目すると、実施例17に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体においては210μΩcmであるのに対し、総膜厚が同一の比較例19〜21に係る酸化亜鉛系透明導電膜においては279μΩcm(比較例19)〜750μΩcm(比較例21)であり、比較例に較べて実施例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の導電性が改善されていることが確認される。
[実施例18、比較例22]
成膜時における基板[無アルカリのガラス基板(コーニング♯7059)]の温度(200℃)が、100℃、300℃、500℃に変更された点を除き実施例1〜17と同様に行って実施例18に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体群を作製した。
【0080】
また、成膜時における上記温度(200℃)が、100℃、300℃、500℃に変更された点を除き比較例1〜21と同様に行って比較例22に係る酸化亜鉛系透明導電膜群を作製した。
【0081】
そして、得られた実施例18に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体群と比較例22に係る酸化亜鉛系透明導電膜群の比抵抗に着目して調べたところ、実施例1〜17および比較例1〜21と同じ傾向を示すことが確認された。
[実施例19、比較例23]
上記基板[無アルカリのガラス基板(コーニング♯7059)]の種類について、PC(ポリカーボネート)基板、膜厚20nmの酸化シリコン膜が成膜されたPET(ポリエチレンテレフタレート)基板に変更し、かつ、成膜時の基板温度を100℃に変更した点を除き実施例1〜17と同様に行って実施例19に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体群を作製した。
【0082】
同様に、基板[無アルカリのガラス基板(コーニング♯7059)]の種類について、PC(ポリカーボネート)基板、膜厚20nmの酸化シリコン膜が成膜されたPET(ポリエチレンテレフタレート)基板に変更し、かつ、成膜時の基板温度を100℃に変更した点を除き比較例1〜21と同様に行って比較例23に係る酸化亜鉛系透明導電膜群を作製した。
【0083】
そして、得られた実施例19に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体群と比較例23に係る酸化亜鉛系透明導電膜群の比抵抗に着目して調べたところ、実施例1〜17および比較例1〜21と同じ傾向を示すことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体は、従来の酸化亜鉛系透明導電膜と較べて導電性が改善されているため、太陽電池、液晶表示素子、各種受光素子の電極等に適用される産業上の利用可能性を有している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】基板上に形成された本発明に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の構成説明図。
【図2】本発明の変形例に係る酸化亜鉛系透明導電膜積層体の構成説明図。
【図3】基板上に形成された比較例に係る酸化亜鉛系透明導電膜の構成説明図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリング法若しくはイオンプレーティング法により基板上に成膜されると共に、ガリウム含有量が異なる複数層の酸化亜鉛系透明導電膜により構成された酸化亜鉛系透明導電膜積層体において、
最も基板側に成膜される酸化亜鉛系透明導電膜が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が5.6〜10.0%に設定されかつ膜厚が20〜40nmに設定された酸化亜鉛系薄膜層(1)により構成され、この酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される単一若しくは複数の酸化亜鉛系透明導電膜が、上記酸化亜鉛系薄膜層(1)よりガリウム含有量が少ない酸化亜鉛系薄膜層(2)により構成されていることを特徴とする酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項2】
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で3.5〜5.5%であることを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項3】
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)のガリウム含有量が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比で4.5〜5.5%であることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項4】
総膜厚が80nm以上400nm未満で、かつ、比抵抗が8.0×10−4Ωcm以下であることを特徴とする請求項3に記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項5】
上記酸化亜鉛系薄膜層(1)上に成膜される酸化亜鉛系薄膜層(2)が、Ga/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が4.5〜5.5%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−1)と、この酸化亜鉛系薄膜層(2−1)上に成膜されかつGa/(Zn+Ga)の原子数比でガリウム含有量が3.5〜4.4%に設定された酸化亜鉛系薄膜層(2−2)とで構成されることを特徴とする請求項2に記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項6】
総膜厚が400nm以上で、かつ、比抵抗が3.5×10−4Ωcm以下であることを特徴とする請求項5に記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体
【請求項7】
成膜中の基板温度を100〜500℃に設定して、スパッタリング法により成膜されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の酸化亜鉛系透明導電膜積層体。
【請求項8】
ガラス基板若しくは樹脂基板と、この基板上に成膜された請求項1〜7の酸化亜鉛系透明導電膜積層体とで構成されることを特徴とする透明導電性基板。
【請求項9】
請求項1〜7の酸化亜鉛系透明導電膜積層体が、透明電極として組み込まれていることを特徴とする太陽電池、表示装置または発光デバイスから選択されるデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−199986(P2009−199986A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42720(P2008−42720)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000183303)住友金属鉱山株式会社 (2,015)
【Fターム(参考)】