酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタ
【課題】酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】薄膜トランジスタは、ゲートと、ゲートに対応する位置に形成され、Zn原子と、Hf及びCr原子のうちの少なくとも一つを含む物質からなる酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備える。本発明によれば、酸化物半導体を利用してLCD、OLEDなど平板ディスプレイの駆動トランジスタ、メモリ素子の周辺回路構成のためのトランジスタなどの多様な電子素子を製造することができる。
【解決手段】薄膜トランジスタは、ゲートと、ゲートに対応する位置に形成され、Zn原子と、Hf及びCr原子のうちの少なくとも一つを含む物質からなる酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備える。本発明によれば、酸化物半導体を利用してLCD、OLEDなど平板ディスプレイの駆動トランジスタ、メモリ素子の周辺回路構成のためのトランジスタなどの多様な電子素子を製造することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタに係り、更に詳細には、Zn酸化物に新たな物質を添加した酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin film transistor:TFT)は、多様な応用分野に利用されており、例えば、ディスプレイ分野でスイッチング及び駆動素子として利用されており、クロスポイント型メモリ素子の選択スイッチとして使われている。
【0003】
現在、TV用パネルとして液晶ディスプレイ(LCD)が主軸をなしている中、有機発光ディスプレイ(OLED)もTVに応用されている。現在、TV用ディスプレイ技術は、市場の要求に沿って開発されている。市場が要求する事項としては、大型化されたTVやDID(Digital Information Display)、低価格、高画質(動的映像表現力、高解像度、明るさ、明暗比、色再現力)などがある。このような要求事項を満足させるために、ガラスなどの基板の大型化と共に、優秀な性能を有するディスプレイのスイッチング及び駆動素子として利用される薄膜トランジスタ(TFT)が要求される。
【0004】
ディスプレイの駆動及びスイッチング素子として使われるものとして、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(a−Si TFT)がある。a−Si TFTは、相対的に廉価で4m2を超える大型基板上に均一に形成されうる素子であり、現在最も広く使われている素子である。しかし、ディスプレイの大型化及び高画質化の趨勢によって、素子性能も高性能が要求され、移動度0.5cm2/Vsレベルの既存のa−Si TFTは、もう限界に達している。従って、a−Si TFTより高い移動度を有する高性能TFT及び製造技術が必要とされている。
【0005】
a−Si TFTに比べて良好な性能を有する多結晶シリコン薄膜トランジスタ(poly−Si TFT)は、数十〜数百cm2/Vsの高い移動度を有するために、既存のa−Si TFTでは実現が難しかった高画質のディスプレイに適用しうる性能を有する。また、poly−Si TFTはa−Si TFTに比べて素子特性の劣化問題が少ない。しかし、poly−Si TFTを製作するには、a−Si TFTに比べて複雑な工程が必要であり、それによる追加費用も増加する。例えば、p−Si TFTは、ディスプレイの高画質化やOLEDのような製品への応用に適しているが、コスト面では、既存a−Si TFTに比べて劣るので、応用に制限がある。そして、p−Si TFTの場合、製造装置の限界や均一度不良のような技術的な問題によって、現在までは、1m2を超える大型基板を利用した製造工程は実現されていないために、TV製品への応用が難しい。
【0006】
a−Si TFTの長所とpoly−Si TFTの長所とをいずれも有する新たなTFT技術の代表的なものとして酸化物半導体素子がある。
【0007】
酸化物半導体素子としては、例えば、ZnO系薄膜トランジスタがある。現在ZnO系物質として、例えば、Zn酸化物、Ga−In−Zn酸化物などがある。ZnO系半導体素子は、低温工程で製作が可能な非晶質ZnO系半導体で製造できるために、基板の大面積化が容易な長所を有する。また、ZnO系半導体は、高移動度の物質であり、多結晶シリコンのような良好な電気的特性を有する。現在、移動度(mobility)の高い酸化物半導体物質層、即ち、ZnO系物質層を薄膜トランジスタのチャンネル領域に使用するための研究が進められている。ZnO系物質として、Zn酸化物、Ga−In−Zn酸化物等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタ(TFTs)に関するもので、本発明の目的は、Zn原子とHf又はCr原子とを含む酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタを提供することにある。
【0009】
少なくとも一実施形態は、Zn酸化物と添加物質(例えば、Hf、Cr等)を含む酸化物半導体を提供する。また、少なくとも他の実施形態は、この酸化物半導体を含むチャンネル領域を有する酸化物薄膜トランジスタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物半導体は、Zn原子とHf又はCr原子とを含むことを特徴とする。
本発明において、前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf又はCrが加えられた物質でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf又はCrが加えられた物質でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:9〜19:4.8〜14の範囲でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を含みうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域が順次に形成されたものでありうる。
本発明において、前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されたものでありうる。
本発明において、前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されたものでありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、又はLn系元素を更に含みうる。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物薄膜トランジスタは、ゲートと、前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn原子とHf原子又はCr原子とを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物薄膜トランジスタは、ゲートと、前記ゲートに対応する位置に形成され、非晶質相及び結晶質相を含む構造で形成された酸化物半導体であるチャンネルと、前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、酸化物半導体を利用してLCD、OLEDなど平板ディスプレイの駆動トランジスタ、メモリ素子の周辺回路構成のためのトランジスタなどの多様な電子素子を製造することができる。また、本発明による酸化物薄膜トランジスタは、ボトムゲート型又はトップゲート型として使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による酸化物TFTを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図3】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図4】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図5】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図6】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図7】InZnOにHfを添加したサンプルの熱処理温度によるXRDの測定結果を示すグラフである。
【図8】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図9】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図10】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図11】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図12】本発明の一実施形態による酸化物TFTのゲート電圧に対するドレイン電流値を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態による酸化物TFTのゲート電圧(0.1V、5V、10V、15V、20V)別のドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(IDS)の変化を示すグラフである。
【図14】Hf−In−Znの組成による酸化物TFTのゲート電圧(VGS)に対するドレイン電流(IDS)値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態による酸化物半導体及びこれを含む酸化物TFTについて詳細に説明する。図面に示した各層の厚さ及び幅は、説明のために多少誇張して表現した。
【0016】
本発明による酸化物半導体は、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrが添加された物質である。
【0017】
Hfは、電気陰性度が1.3であり、電気陰性度が3.5である酸素との電気陰性度の差は、2.2であって、イオン結合が非常に強い酸化物を形成する。そして、Hfのイオン半径は、0.078nmであって、イオン半径が0.074nmであるZnと類似している。従って、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHfが添加された場合、結晶格子の変形なしにZnとの置換が容易に発生しうる。そして、Crは、電気陰性度が1.6であり、電気陰性度が3.5である酸素との電気陰性度の差が1.9であって、イオン結合が非常に強い酸化物を形成しうる。
【0018】
a−Si:Hの場合は、a−Siと水素Hとの間で共有結合しているが、この結合は、方向性を有するsp3配位結合して非晶質相として存在すると、酸素結合している電子雲が捩れる。これにより、弱い結合が存在する。このような結合構造を有するTFTを長期間駆動すれば、結合領域に電子又はホールが蓄積されて結果的に結合が切れ、しきい電圧(Vth)の移動によって信頼性に問題が発生する。一方、イオン結合の場合は、陽イオン電子雲が大きくなって酸素陰イオンの結合に関係なくオーバーラップされ、結晶質相でも非晶質相でも弱い結合が存在しないことから、しきい電圧(Vth)の変化がほとんどないか又は小さい信頼性の高いTFTの製造に寄与すると考えられる。本発明の実施形態で、Hf又はCrが添加されたZn酸化物又はZn−In複合酸化物は、このようなイオン結合が殆どの結合を形成するが、全ての結合がイオン結合である必要はない。
【0019】
酸化物半導体は、Li、KのようなI族元素、Mg、Ca、SrのようなII族元素、Ga、Al、In、YのようなIII族元素、Ti、Zr、Si、Sn、GeのようなIV族元素、Ta、Vb、Nb、SbのようなV族元素、又はLn系元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)を更に含むことができる。
【0020】
本発明による酸化物半導体は、LCD、OLEDに使われる駆動トランジスタのチャンネル物質として適用され、メモリ素子の周辺回路を構成するトランジスタ、又は選択トランジスタのチャンネル物質として適用される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による酸化物TFTを示す断面図である。図1では、ボトムゲート型TFTを表したが、本発明によるTFTは、トップゲート型及びボトムゲート型TFTの何れにも適用される。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による酸化物TFTは、表面に酸化層12が形成された基板11を備える。基板11がSiで形成された場合、酸化層12は、Si表面に熱酸化工程により形成されうる。基板11の一領域上にゲート13が形成され、基板11及びゲート13上にゲート絶縁層14が形成される。ゲート13は、上面及び2つの傾斜した側面を有する構造、例えば、上部幅が下部幅より狭い台形(trapezoidal)の断面を有するものでありうる。ゲート絶縁層14は、ゲート13の上面及び側面と酸化層12の上面の露出面とを覆うように形成されたものでありうる。ここで、酸化層12を示したが、これは省略可能である。
【0023】
ゲート13に対応するゲート絶縁層14上には、チャンネル15が形成されている。チャンネル15の幅は、ゲート13の下面の幅に対応するように、実質的に同一に形成されうる。チャンネル15の両側部及びゲート絶縁層14上には、ソース16a及びドレイン16bが形成されている。
【0024】
本発明による酸化物薄膜トランジスタは、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrを添加したチャンネル15を備えうる。
【0025】
以下、図1に示した本発明の一実施形態による酸化物TFTを形成する各層の形成物質について説明すると、次の通りである。基板11は、一般的な半導体素子に使われる基板を使用し、例えば、Si、ガラス、又は有機物材料を使用しうる。基板11の表面に形成された酸化層12は、例えば、Si基板を熱酸化して形成されたSiO2でありうる。ゲート13には、伝導性物質を使用し、例えば、Ti、Pt、Ru、Au、Ag、Mo、Al、W又はCuのような金属、又はIZO(InZnO)又はAZO(AlZnO)のような金属、又は伝導性酸化物でありうる。ゲート絶縁層14は、通常的な半導体素子に使われる絶縁物質を使用して形成しうる。具体的に、SiO2、又はSiO2より誘電率の高いHigh−K物質であるHfO2、Al2O3、Si3N4、又はこれらの混合物を使用しうる。ソース16a及びドレイン16bは、伝導性物質を使用して形成し、例えば、Ti、Pt、Ru、Au、Ag、Mo、Al、W、又はCuのような金属、又はIZO(InZnO)又はAZO(AlZnO)のような金属、又は伝導性酸化物を使用しうる。
【0026】
以下、図2〜図6を参照して、本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法について説明する。
【0027】
図2を参照すると、先ず、基板11を設ける。基板11は、Si、ガラス、又は有機物材料を使用しうる。Siを基板11として使用する場合、熱酸化工程によって基板11の表面に酸化層12、例えば、SiO2を形成しうる。そして、基板11上に金属又は伝導性金属酸化物などの伝導性物質13aを塗布する。
【0028】
図3を参照すると、伝導性物質13aをパターニングすることによってゲート13を形成する。図4を参照すると、ゲート13の上部に絶縁物質を塗布し、パターニングしてゲート絶縁層14を形成する。ゲート絶縁層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ハフニウム(Hf)酸化物、アルミニウム酸化物、又はハフニウム酸化物及びアルミニウム酸化物の混合物で形成される。
【0029】
図5を参照すると、ゲート絶縁層14上にチャンネル物質をPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、又はALD(Atomic Layer Deposition)の工程で塗布した後、ゲート13に対応するゲート絶縁層14上にチャンネル物質が残留するようにパターニングすることによってチャンネル15を形成する。チャンネル15は、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrを添加して形成しうる。例えば、スパッタリング工程でチャンネル15を形成する場合、ZnO又はInZnOで形成されたターゲットとHf又はCrで形成されたターゲットとを工程チャンバ内に装着して、コ−スパッタリング工程でチャンネル15を形成しうる。また、ZnO又はInZnOにHf又はCrを更に含む単一ターゲットを使用しうる。
【0030】
図6を参照すると、金属又は伝導性金属酸化物の物質をチャンネル15及びゲート絶縁層14上に塗布した後、チャンネル15の両側部に連結されるようにパターニングすることによってソース16a及びドレイン16bを形成する。最後に、400°C以下、例えば、300°Cの温度で一般的なファーネス、RTA(Rapid Thermal Annealing)、レーザ又はホットプレートなどを利用して熱処理工程を実施する。
【0031】
<製造例>
本実施形態では、シリコン表面にシリコン酸化物が100nm形成された基板を設ける。基板の表面の一部領域にMo(Molybdenum)で200nm厚のゲートを形成した後、基板及びゲートの上部に200nm厚のシリコン窒化物を塗布してゲート電極層を形成する。そして、ゲートに対応するゲート電極層上に酸化物半導体を塗布してチャンネルを形成する。チャンネル形成の具体的な工程を説明すれば、次の通りである。ターゲットには、99.99%のInZnOターゲット(In:Zn=1:1at%)及び99.9%のHfターゲットを使用した。これらのターゲットをスパッタのチャンバ内に装着した。常温でAr及びO2ガスをAr:O2=95sccm:5sccmで供給して全体ガス圧力を5mTorrに維持し、InZnOのターゲットに150wattの電力を印加し、Hfターゲットに20wattの電力を印加してコ−スパッタリングを実施した。これにより、約70nm厚のInZnOにHfが含まれた酸化物半導体薄膜を塗布してチャンネルを形成した。ここで、InZnOターゲットの代わりに、ZnOターゲットを使用することも可能である。そして、チャンネルの両側にソース及びドレインでTi/Pt(10/100nm)二重層を形成させた。次いで、150°C及び300°Cで1時間熱処理工程を実施した。
【0032】
上述のように製造した実施形態による酸化物半導体についてXRD(X−Ray Diffraction:X線回折)特性を測定し、その結果を図7に示した。熱処理によって熱処理しないサンプル(as−dep)、150°C、及び300°Cで熱処理したサンプルを準備して測定した。測定条件は、power 40Kev、40mA、Cuターゲットである。
【0033】
図7を参照すると、熱処理しないサンプル(as−dep)、150°C、及び300°Cで熱処理したサンプルが何れも約30°Cの近くで現れるピークを観察しうる。このように、約30°Cの付近で観察されるピークは、Zn酸化物系半導体物質特有の非晶質相を表す。そして、約60°Cの近くでもピークを観察しうる。この時に現れるピークは、ナノ結晶質相を表す。
【0034】
本実施形態による酸化物半導体の各領域の正確な結晶質相を確認するために、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)写真及び回折パターン写真を調べた。
【0035】
図8を参照すると、SiO2絶縁層上にHfが添加されたIZO(InZnO)物質で酸化物半導体を形成した後、断面TEM写真を撮影した。ここで、A領域は、SiO2絶縁層と酸化物半導体層との境界領域であり、B領域は、酸化物半導体層の中間領域であり、C領域は、酸化物半導体層の上部領域である。A〜C領域の各々に対して測定した断面TEM写真及び回折パターン写真を、図9〜図11に示した。図8〜図11は、150°Cで熱処理を進めたサンプルを基準としてイメージを撮影したが、熱処理による結晶性の変化はなく、熱処理しないサンプル及び300°Cの熱処理サンプルでも同じ様相を表すことを確認した。
【0036】
図9を参照すると、A領域は、非晶質相のみが存在している。具体的に、これを確認するため、図9の左側上部にA領域の回折パターン写真を示した。回折パターンを参照すると、全体的に薄い丸い環形のみが現れており、これは、酸化物半導体の下部領域が結晶質相ではない非晶質相であることが分かる。
【0037】
図10を参照すると、B領域では、非晶質相及び結晶質相が共存している。B領域のうち一部領域で結晶質相であることを表す縞のD1が観察されることを確認でき、これは、非結晶質相内でナノ結晶質相が形成されていることを表す。図10の左側上部にB領域に対する回折パターンを示した。回折パターンを参照すると、薄い丸い環形と共に、一部領域にドット模様が観察される。これは、非晶質相と結晶質相とが混在していることを表す。
【0038】
図11を参照すると、C領域では、結晶質相が存在している。C領域に全体的に縞のD2のような様々な方向性を有する縞が発生していることを確認できる。図11の左側上部にC領域に対する回折パターンを示した。回折パターンを参照すると、環状に全体的に多数のドット模様が観察され、これは、様々な他の結晶方位を有する結晶質相が存在することを表す。
【0039】
結果的に、本発明による酸化物半導体は、化学組成は同一であるが、非晶質相及び結晶質相が何れも形成された構造を有する。具体的に、酸化物半導体の下部領域では、非晶質相が存在し、中間層には、非晶質相と結晶質相とが混在し、上部側に行くほど結晶質相の量が増加することが確認できる。非晶質相が現れる領域の位置が確認され、酸化物半導体の非晶質相領域は10〜50nm内の厚さの範囲に形成され、その厚さは、20〜30nmの厚さとなりうる。
【0040】
図12は、本発明の一実施形態による酸化物TFT(チャンネルサイズ:W/L=50μm/4μm)の性能を検査した結果を表したものであり、ソース/ドレイン電圧(0.1V、10V)別のゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を表したグラフである。図12を参照すると、オン電流が約10−3〜10−5Aで、オフ電流が10−12A以下であり、オン/オフ電流比は、107以上であるということが分かる。
【0041】
図13は、本発明の一実施形態による酸化物TFTに対して、ゲート電圧を0.1、5、10、15、及び20Vで印加する場合、ドレイン電圧(Vd)によるドレイン電流(IDS)値を示すアウトプットグラフである。
【0042】
図13を参照すると、ゲート電圧を0.1V印加する場合、ドレイン電圧が上昇してもドレイン電流値の変化はないということが分かる。しかし、ゲート電圧を5V以上で印加する場合、ドレイン電圧を上昇させれば、ドレイン電流値も次第に増加するということが分かる。図12及び図13から計算されたチャンネル移動度は、20cm2/Vsecであり、図12から計算されたゲートスイング電圧は、約231mV/decである。
【0043】
これにより、本実施形態による酸化物TFTは、高いオン/オフ電流比と低いオフ電流とを表し、ヒステリシスがないので、トランジスタとしての特性を満足させるということが分かる。一方、InZn酸化物にHfの添加量を調節して酸化物TFTを製造し、これによりゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を測定した。ここで、IZOターゲットの電力は150Wに固定し、Hf15、Hf20、Hf30、及びHf35は、各々スパッタリング工程でHfターゲットに対する電力を15watt、20watt、30watt、及び35wattに変化させ、Hfの添加量を調節して酸化物半導体薄膜を形成した。このように形成した酸化物半導体物質に対して組成を検査するために、ICP(Inductively Coupled Plasma)−AES(Auger Electron Spectroscopy)分析を実施した。それぞれのサンプルに対するHf、In及びZnの組成を分析した結果を表1に表した。
【0044】
【表1】
【0045】
表1を参照すると、Hfターゲットの印加電流を増加させるほどHfの添加量が増加することを確認できる。
【0046】
図14は、酸化物薄膜を200°Cで熱処理した後、これを利用してトランジスタ(チャンネルサイズ:W/L=50μm/4μm)を製造した後にゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を測定したグラフである。図14を参照すると、Hfの添加量が増加するほどオン電圧(Von)が右側に移動することが分かり、オン電流(Ion)値が順次に減少していることが分かる。
【0047】
一方、蒸着された薄膜の組成成分比、IDS−VGSグラフ、移動度特性は、使われるターゲットの種類、蒸着時のターゲット印加電圧、蒸着装置、蒸着圧力、酸素分圧条件、基板温度等によって変更可能である。例えば、InZnOターゲットとHfターゲットとの2種類を使用する代わりにHfInZnO単一ターゲットを使用する場合、蒸着された薄膜組成が変わりうる。また、蒸着された薄膜組成が同じ場合であっても、蒸着条件によって薄膜特性の変更が可能である。例えば、スパッタリング工程で酸化物半導体を蒸着する場合、酸素分圧によって酸化物の抵抗範囲は大きく変わりうる。酸素分圧が適量以下に調節される場合、蒸着された薄膜の抵抗が低い薄膜を蒸着し、酸素分圧を高く調節する場合、抵抗の高い薄膜を蒸着しうる。
【0048】
このような側面によって、本発明の一実施形態による酸化物半導体において、Hf:In:Znのat%比は、0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲でTFTのチャンネルとして使用しうることが予測され、前記Hf:In:Znのat%比は、1:7〜19:4.8〜14の範囲でありうる。表1によれば、Hf:In:Znのat%が1:7〜19:4.8〜14の範囲内で酸化物TFTの特性が現れるということが確認できる。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 基板
12 酸化層
13 ゲート
13a 伝導性物質
14 ゲート絶縁層
15 チャンネル
16a ソース
16b ドレイン
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタに係り、更に詳細には、Zn酸化物に新たな物質を添加した酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタに関する。
【背景技術】
【0002】
薄膜トランジスタ(Thin film transistor:TFT)は、多様な応用分野に利用されており、例えば、ディスプレイ分野でスイッチング及び駆動素子として利用されており、クロスポイント型メモリ素子の選択スイッチとして使われている。
【0003】
現在、TV用パネルとして液晶ディスプレイ(LCD)が主軸をなしている中、有機発光ディスプレイ(OLED)もTVに応用されている。現在、TV用ディスプレイ技術は、市場の要求に沿って開発されている。市場が要求する事項としては、大型化されたTVやDID(Digital Information Display)、低価格、高画質(動的映像表現力、高解像度、明るさ、明暗比、色再現力)などがある。このような要求事項を満足させるために、ガラスなどの基板の大型化と共に、優秀な性能を有するディスプレイのスイッチング及び駆動素子として利用される薄膜トランジスタ(TFT)が要求される。
【0004】
ディスプレイの駆動及びスイッチング素子として使われるものとして、非晶質シリコン薄膜トランジスタ(a−Si TFT)がある。a−Si TFTは、相対的に廉価で4m2を超える大型基板上に均一に形成されうる素子であり、現在最も広く使われている素子である。しかし、ディスプレイの大型化及び高画質化の趨勢によって、素子性能も高性能が要求され、移動度0.5cm2/Vsレベルの既存のa−Si TFTは、もう限界に達している。従って、a−Si TFTより高い移動度を有する高性能TFT及び製造技術が必要とされている。
【0005】
a−Si TFTに比べて良好な性能を有する多結晶シリコン薄膜トランジスタ(poly−Si TFT)は、数十〜数百cm2/Vsの高い移動度を有するために、既存のa−Si TFTでは実現が難しかった高画質のディスプレイに適用しうる性能を有する。また、poly−Si TFTはa−Si TFTに比べて素子特性の劣化問題が少ない。しかし、poly−Si TFTを製作するには、a−Si TFTに比べて複雑な工程が必要であり、それによる追加費用も増加する。例えば、p−Si TFTは、ディスプレイの高画質化やOLEDのような製品への応用に適しているが、コスト面では、既存a−Si TFTに比べて劣るので、応用に制限がある。そして、p−Si TFTの場合、製造装置の限界や均一度不良のような技術的な問題によって、現在までは、1m2を超える大型基板を利用した製造工程は実現されていないために、TV製品への応用が難しい。
【0006】
a−Si TFTの長所とpoly−Si TFTの長所とをいずれも有する新たなTFT技術の代表的なものとして酸化物半導体素子がある。
【0007】
酸化物半導体素子としては、例えば、ZnO系薄膜トランジスタがある。現在ZnO系物質として、例えば、Zn酸化物、Ga−In−Zn酸化物などがある。ZnO系半導体素子は、低温工程で製作が可能な非晶質ZnO系半導体で製造できるために、基板の大面積化が容易な長所を有する。また、ZnO系半導体は、高移動度の物質であり、多結晶シリコンのような良好な電気的特性を有する。現在、移動度(mobility)の高い酸化物半導体物質層、即ち、ZnO系物質層を薄膜トランジスタのチャンネル領域に使用するための研究が進められている。ZnO系物質として、Zn酸化物、Ga−In−Zn酸化物等がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタ(TFTs)に関するもので、本発明の目的は、Zn原子とHf又はCr原子とを含む酸化物半導体及びこれを含む薄膜トランジスタを提供することにある。
【0009】
少なくとも一実施形態は、Zn酸化物と添加物質(例えば、Hf、Cr等)を含む酸化物半導体を提供する。また、少なくとも他の実施形態は、この酸化物半導体を含むチャンネル領域を有する酸化物薄膜トランジスタを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物半導体は、Zn原子とHf又はCr原子とを含むことを特徴とする。
本発明において、前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf又はCrが加えられた物質でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf又はCrが加えられた物質でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:9〜19:4.8〜14の範囲でありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を含みうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域が順次に形成されたものでありうる。
本発明において、前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されたものでありうる。
本発明において、前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されたものでありうる。
本発明において、前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、又はLn系元素を更に含みうる。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物薄膜トランジスタは、ゲートと、前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn原子とHf原子又はCr原子とを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の酸化物薄膜トランジスタは、ゲートと、前記ゲートに対応する位置に形成され、非晶質相及び結晶質相を含む構造で形成された酸化物半導体であるチャンネルと、前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、酸化物半導体を利用してLCD、OLEDなど平板ディスプレイの駆動トランジスタ、メモリ素子の周辺回路構成のためのトランジスタなどの多様な電子素子を製造することができる。また、本発明による酸化物薄膜トランジスタは、ボトムゲート型又はトップゲート型として使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態による酸化物TFTを示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図3】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図4】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図5】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図6】本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法を示す図面である。
【図7】InZnOにHfを添加したサンプルの熱処理温度によるXRDの測定結果を示すグラフである。
【図8】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図9】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図10】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図11】InZnOにHfを添加したサンプルのTEM写真を示す結果である。
【図12】本発明の一実施形態による酸化物TFTのゲート電圧に対するドレイン電流値を示すグラフである。
【図13】本発明の一実施形態による酸化物TFTのゲート電圧(0.1V、5V、10V、15V、20V)別のドレイン電圧(Vd)−ドレイン電流(IDS)の変化を示すグラフである。
【図14】Hf−In−Znの組成による酸化物TFTのゲート電圧(VGS)に対するドレイン電流(IDS)値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態による酸化物半導体及びこれを含む酸化物TFTについて詳細に説明する。図面に示した各層の厚さ及び幅は、説明のために多少誇張して表現した。
【0016】
本発明による酸化物半導体は、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrが添加された物質である。
【0017】
Hfは、電気陰性度が1.3であり、電気陰性度が3.5である酸素との電気陰性度の差は、2.2であって、イオン結合が非常に強い酸化物を形成する。そして、Hfのイオン半径は、0.078nmであって、イオン半径が0.074nmであるZnと類似している。従って、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHfが添加された場合、結晶格子の変形なしにZnとの置換が容易に発生しうる。そして、Crは、電気陰性度が1.6であり、電気陰性度が3.5である酸素との電気陰性度の差が1.9であって、イオン結合が非常に強い酸化物を形成しうる。
【0018】
a−Si:Hの場合は、a−Siと水素Hとの間で共有結合しているが、この結合は、方向性を有するsp3配位結合して非晶質相として存在すると、酸素結合している電子雲が捩れる。これにより、弱い結合が存在する。このような結合構造を有するTFTを長期間駆動すれば、結合領域に電子又はホールが蓄積されて結果的に結合が切れ、しきい電圧(Vth)の移動によって信頼性に問題が発生する。一方、イオン結合の場合は、陽イオン電子雲が大きくなって酸素陰イオンの結合に関係なくオーバーラップされ、結晶質相でも非晶質相でも弱い結合が存在しないことから、しきい電圧(Vth)の変化がほとんどないか又は小さい信頼性の高いTFTの製造に寄与すると考えられる。本発明の実施形態で、Hf又はCrが添加されたZn酸化物又はZn−In複合酸化物は、このようなイオン結合が殆どの結合を形成するが、全ての結合がイオン結合である必要はない。
【0019】
酸化物半導体は、Li、KのようなI族元素、Mg、Ca、SrのようなII族元素、Ga、Al、In、YのようなIII族元素、Ti、Zr、Si、Sn、GeのようなIV族元素、Ta、Vb、Nb、SbのようなV族元素、又はLn系元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)を更に含むことができる。
【0020】
本発明による酸化物半導体は、LCD、OLEDに使われる駆動トランジスタのチャンネル物質として適用され、メモリ素子の周辺回路を構成するトランジスタ、又は選択トランジスタのチャンネル物質として適用される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による酸化物TFTを示す断面図である。図1では、ボトムゲート型TFTを表したが、本発明によるTFTは、トップゲート型及びボトムゲート型TFTの何れにも適用される。
【0022】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による酸化物TFTは、表面に酸化層12が形成された基板11を備える。基板11がSiで形成された場合、酸化層12は、Si表面に熱酸化工程により形成されうる。基板11の一領域上にゲート13が形成され、基板11及びゲート13上にゲート絶縁層14が形成される。ゲート13は、上面及び2つの傾斜した側面を有する構造、例えば、上部幅が下部幅より狭い台形(trapezoidal)の断面を有するものでありうる。ゲート絶縁層14は、ゲート13の上面及び側面と酸化層12の上面の露出面とを覆うように形成されたものでありうる。ここで、酸化層12を示したが、これは省略可能である。
【0023】
ゲート13に対応するゲート絶縁層14上には、チャンネル15が形成されている。チャンネル15の幅は、ゲート13の下面の幅に対応するように、実質的に同一に形成されうる。チャンネル15の両側部及びゲート絶縁層14上には、ソース16a及びドレイン16bが形成されている。
【0024】
本発明による酸化物薄膜トランジスタは、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrを添加したチャンネル15を備えうる。
【0025】
以下、図1に示した本発明の一実施形態による酸化物TFTを形成する各層の形成物質について説明すると、次の通りである。基板11は、一般的な半導体素子に使われる基板を使用し、例えば、Si、ガラス、又は有機物材料を使用しうる。基板11の表面に形成された酸化層12は、例えば、Si基板を熱酸化して形成されたSiO2でありうる。ゲート13には、伝導性物質を使用し、例えば、Ti、Pt、Ru、Au、Ag、Mo、Al、W又はCuのような金属、又はIZO(InZnO)又はAZO(AlZnO)のような金属、又は伝導性酸化物でありうる。ゲート絶縁層14は、通常的な半導体素子に使われる絶縁物質を使用して形成しうる。具体的に、SiO2、又はSiO2より誘電率の高いHigh−K物質であるHfO2、Al2O3、Si3N4、又はこれらの混合物を使用しうる。ソース16a及びドレイン16bは、伝導性物質を使用して形成し、例えば、Ti、Pt、Ru、Au、Ag、Mo、Al、W、又はCuのような金属、又はIZO(InZnO)又はAZO(AlZnO)のような金属、又は伝導性酸化物を使用しうる。
【0026】
以下、図2〜図6を参照して、本発明の一実施形態による酸化物TFTの製造方法について説明する。
【0027】
図2を参照すると、先ず、基板11を設ける。基板11は、Si、ガラス、又は有機物材料を使用しうる。Siを基板11として使用する場合、熱酸化工程によって基板11の表面に酸化層12、例えば、SiO2を形成しうる。そして、基板11上に金属又は伝導性金属酸化物などの伝導性物質13aを塗布する。
【0028】
図3を参照すると、伝導性物質13aをパターニングすることによってゲート13を形成する。図4を参照すると、ゲート13の上部に絶縁物質を塗布し、パターニングしてゲート絶縁層14を形成する。ゲート絶縁層は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、ハフニウム(Hf)酸化物、アルミニウム酸化物、又はハフニウム酸化物及びアルミニウム酸化物の混合物で形成される。
【0029】
図5を参照すると、ゲート絶縁層14上にチャンネル物質をPVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、又はALD(Atomic Layer Deposition)の工程で塗布した後、ゲート13に対応するゲート絶縁層14上にチャンネル物質が残留するようにパターニングすることによってチャンネル15を形成する。チャンネル15は、Zn酸化物又はIn−Zn複合酸化物にHf又はCrを添加して形成しうる。例えば、スパッタリング工程でチャンネル15を形成する場合、ZnO又はInZnOで形成されたターゲットとHf又はCrで形成されたターゲットとを工程チャンバ内に装着して、コ−スパッタリング工程でチャンネル15を形成しうる。また、ZnO又はInZnOにHf又はCrを更に含む単一ターゲットを使用しうる。
【0030】
図6を参照すると、金属又は伝導性金属酸化物の物質をチャンネル15及びゲート絶縁層14上に塗布した後、チャンネル15の両側部に連結されるようにパターニングすることによってソース16a及びドレイン16bを形成する。最後に、400°C以下、例えば、300°Cの温度で一般的なファーネス、RTA(Rapid Thermal Annealing)、レーザ又はホットプレートなどを利用して熱処理工程を実施する。
【0031】
<製造例>
本実施形態では、シリコン表面にシリコン酸化物が100nm形成された基板を設ける。基板の表面の一部領域にMo(Molybdenum)で200nm厚のゲートを形成した後、基板及びゲートの上部に200nm厚のシリコン窒化物を塗布してゲート電極層を形成する。そして、ゲートに対応するゲート電極層上に酸化物半導体を塗布してチャンネルを形成する。チャンネル形成の具体的な工程を説明すれば、次の通りである。ターゲットには、99.99%のInZnOターゲット(In:Zn=1:1at%)及び99.9%のHfターゲットを使用した。これらのターゲットをスパッタのチャンバ内に装着した。常温でAr及びO2ガスをAr:O2=95sccm:5sccmで供給して全体ガス圧力を5mTorrに維持し、InZnOのターゲットに150wattの電力を印加し、Hfターゲットに20wattの電力を印加してコ−スパッタリングを実施した。これにより、約70nm厚のInZnOにHfが含まれた酸化物半導体薄膜を塗布してチャンネルを形成した。ここで、InZnOターゲットの代わりに、ZnOターゲットを使用することも可能である。そして、チャンネルの両側にソース及びドレインでTi/Pt(10/100nm)二重層を形成させた。次いで、150°C及び300°Cで1時間熱処理工程を実施した。
【0032】
上述のように製造した実施形態による酸化物半導体についてXRD(X−Ray Diffraction:X線回折)特性を測定し、その結果を図7に示した。熱処理によって熱処理しないサンプル(as−dep)、150°C、及び300°Cで熱処理したサンプルを準備して測定した。測定条件は、power 40Kev、40mA、Cuターゲットである。
【0033】
図7を参照すると、熱処理しないサンプル(as−dep)、150°C、及び300°Cで熱処理したサンプルが何れも約30°Cの近くで現れるピークを観察しうる。このように、約30°Cの付近で観察されるピークは、Zn酸化物系半導体物質特有の非晶質相を表す。そして、約60°Cの近くでもピークを観察しうる。この時に現れるピークは、ナノ結晶質相を表す。
【0034】
本実施形態による酸化物半導体の各領域の正確な結晶質相を確認するために、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)写真及び回折パターン写真を調べた。
【0035】
図8を参照すると、SiO2絶縁層上にHfが添加されたIZO(InZnO)物質で酸化物半導体を形成した後、断面TEM写真を撮影した。ここで、A領域は、SiO2絶縁層と酸化物半導体層との境界領域であり、B領域は、酸化物半導体層の中間領域であり、C領域は、酸化物半導体層の上部領域である。A〜C領域の各々に対して測定した断面TEM写真及び回折パターン写真を、図9〜図11に示した。図8〜図11は、150°Cで熱処理を進めたサンプルを基準としてイメージを撮影したが、熱処理による結晶性の変化はなく、熱処理しないサンプル及び300°Cの熱処理サンプルでも同じ様相を表すことを確認した。
【0036】
図9を参照すると、A領域は、非晶質相のみが存在している。具体的に、これを確認するため、図9の左側上部にA領域の回折パターン写真を示した。回折パターンを参照すると、全体的に薄い丸い環形のみが現れており、これは、酸化物半導体の下部領域が結晶質相ではない非晶質相であることが分かる。
【0037】
図10を参照すると、B領域では、非晶質相及び結晶質相が共存している。B領域のうち一部領域で結晶質相であることを表す縞のD1が観察されることを確認でき、これは、非結晶質相内でナノ結晶質相が形成されていることを表す。図10の左側上部にB領域に対する回折パターンを示した。回折パターンを参照すると、薄い丸い環形と共に、一部領域にドット模様が観察される。これは、非晶質相と結晶質相とが混在していることを表す。
【0038】
図11を参照すると、C領域では、結晶質相が存在している。C領域に全体的に縞のD2のような様々な方向性を有する縞が発生していることを確認できる。図11の左側上部にC領域に対する回折パターンを示した。回折パターンを参照すると、環状に全体的に多数のドット模様が観察され、これは、様々な他の結晶方位を有する結晶質相が存在することを表す。
【0039】
結果的に、本発明による酸化物半導体は、化学組成は同一であるが、非晶質相及び結晶質相が何れも形成された構造を有する。具体的に、酸化物半導体の下部領域では、非晶質相が存在し、中間層には、非晶質相と結晶質相とが混在し、上部側に行くほど結晶質相の量が増加することが確認できる。非晶質相が現れる領域の位置が確認され、酸化物半導体の非晶質相領域は10〜50nm内の厚さの範囲に形成され、その厚さは、20〜30nmの厚さとなりうる。
【0040】
図12は、本発明の一実施形態による酸化物TFT(チャンネルサイズ:W/L=50μm/4μm)の性能を検査した結果を表したものであり、ソース/ドレイン電圧(0.1V、10V)別のゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を表したグラフである。図12を参照すると、オン電流が約10−3〜10−5Aで、オフ電流が10−12A以下であり、オン/オフ電流比は、107以上であるということが分かる。
【0041】
図13は、本発明の一実施形態による酸化物TFTに対して、ゲート電圧を0.1、5、10、15、及び20Vで印加する場合、ドレイン電圧(Vd)によるドレイン電流(IDS)値を示すアウトプットグラフである。
【0042】
図13を参照すると、ゲート電圧を0.1V印加する場合、ドレイン電圧が上昇してもドレイン電流値の変化はないということが分かる。しかし、ゲート電圧を5V以上で印加する場合、ドレイン電圧を上昇させれば、ドレイン電流値も次第に増加するということが分かる。図12及び図13から計算されたチャンネル移動度は、20cm2/Vsecであり、図12から計算されたゲートスイング電圧は、約231mV/decである。
【0043】
これにより、本実施形態による酸化物TFTは、高いオン/オフ電流比と低いオフ電流とを表し、ヒステリシスがないので、トランジスタとしての特性を満足させるということが分かる。一方、InZn酸化物にHfの添加量を調節して酸化物TFTを製造し、これによりゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を測定した。ここで、IZOターゲットの電力は150Wに固定し、Hf15、Hf20、Hf30、及びHf35は、各々スパッタリング工程でHfターゲットに対する電力を15watt、20watt、30watt、及び35wattに変化させ、Hfの添加量を調節して酸化物半導体薄膜を形成した。このように形成した酸化物半導体物質に対して組成を検査するために、ICP(Inductively Coupled Plasma)−AES(Auger Electron Spectroscopy)分析を実施した。それぞれのサンプルに対するHf、In及びZnの組成を分析した結果を表1に表した。
【0044】
【表1】
【0045】
表1を参照すると、Hfターゲットの印加電流を増加させるほどHfの添加量が増加することを確認できる。
【0046】
図14は、酸化物薄膜を200°Cで熱処理した後、これを利用してトランジスタ(チャンネルサイズ:W/L=50μm/4μm)を製造した後にゲート電圧(VGS)−ドレイン電流(IDS)の変化を測定したグラフである。図14を参照すると、Hfの添加量が増加するほどオン電圧(Von)が右側に移動することが分かり、オン電流(Ion)値が順次に減少していることが分かる。
【0047】
一方、蒸着された薄膜の組成成分比、IDS−VGSグラフ、移動度特性は、使われるターゲットの種類、蒸着時のターゲット印加電圧、蒸着装置、蒸着圧力、酸素分圧条件、基板温度等によって変更可能である。例えば、InZnOターゲットとHfターゲットとの2種類を使用する代わりにHfInZnO単一ターゲットを使用する場合、蒸着された薄膜組成が変わりうる。また、蒸着された薄膜組成が同じ場合であっても、蒸着条件によって薄膜特性の変更が可能である。例えば、スパッタリング工程で酸化物半導体を蒸着する場合、酸素分圧によって酸化物の抵抗範囲は大きく変わりうる。酸素分圧が適量以下に調節される場合、蒸着された薄膜の抵抗が低い薄膜を蒸着し、酸素分圧を高く調節する場合、抵抗の高い薄膜を蒸着しうる。
【0048】
このような側面によって、本発明の一実施形態による酸化物半導体において、Hf:In:Znのat%比は、0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲でTFTのチャンネルとして使用しうることが予測され、前記Hf:In:Znのat%比は、1:7〜19:4.8〜14の範囲でありうる。表1によれば、Hf:In:Znのat%が1:7〜19:4.8〜14の範囲内で酸化物TFTの特性が現れるということが確認できる。
【0049】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0050】
11 基板
12 酸化層
13 ゲート
13a 伝導性物質
14 ゲート絶縁層
15 チャンネル
16a ソース
16b ドレイン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化物半導体であって、
Zn及びHfを含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項2】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体。
【請求項3】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化物。
【請求項4】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物半導体。
【請求項5】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:9〜19:4.8〜14の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物半導体。
【請求項6】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体。
【請求項7】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項6に記載の酸化物半導体。
【請求項8】
前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項7に記載の酸化物半導体。
【請求項9】
前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項7に記載の酸化物半導体。
【請求項10】
前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体
【請求項11】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn及びHfを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記チャンネルは、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:7〜19:4.8〜14の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記チャンネルは、非晶質相領域及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項17】
前記チャンネルは、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項18】
前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項16に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項19】
前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項16に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項20】
前記チャンネルは、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ
【請求項21】
酸化物半導体であって、
Zn及びCrを含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項22】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項21に記載の酸化物半導体。
【請求項23】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項21に記載の半導体酸化物。
【請求項24】
前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の酸化物半導体
【請求項25】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn及びCrを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項26】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項27】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項28】
前記チャンネルは、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項29】
酸化物半導体であって、
Znと、Hf及びCrのうちの少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項30】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つの物質が加えられた物質であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項31】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つの物質が加えられた物質であることを特徴とする請求項29に記載の半導体酸化物。
【請求項32】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項33】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項34】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Znと、Hf及びCrのうちの少なくとも1つの物質を含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項35】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つが加えられた物質であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項36】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つが加えられた物質であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項37】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項38】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項1】
酸化物半導体であって、
Zn及びHfを含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項2】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体。
【請求項3】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化物。
【請求項4】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物半導体。
【請求項5】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:9〜19:4.8〜14の範囲であることを特徴とする請求項3に記載の酸化物半導体。
【請求項6】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体。
【請求項7】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項6に記載の酸化物半導体。
【請求項8】
前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項7に記載の酸化物半導体。
【請求項9】
前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項7に記載の酸化物半導体。
【請求項10】
前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の酸化物半導体
【請求項11】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn及びHfを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項12】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項13】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHfが加えられた物質であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項14】
前記チャンネルは、Hf:In:Znのat%比が0.5〜10:1〜20:0.5〜40の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項15】
前記酸化物半導体は、Hf:In:Znのat%比が1:7〜19:4.8〜14の範囲であることを特徴とする請求項13に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項16】
前記チャンネルは、非晶質相領域及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項17】
前記チャンネルは、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を含む構造であることを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項18】
前記非晶質相領域は、10〜50nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項16に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項19】
前記非晶質相領域は、20〜30nmの範囲の厚さに形成されることを特徴とする請求項16に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項20】
前記チャンネルは、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項11に記載の酸化物薄膜トランジスタ
【請求項21】
酸化物半導体であって、
Zn及びCrを含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項22】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項21に記載の酸化物半導体。
【請求項23】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項21に記載の半導体酸化物。
【請求項24】
前記酸化物半導体は、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項21に記載の酸化物半導体
【請求項25】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Zn及びCrを含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項26】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項27】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にCrが加えられた物質であることを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項28】
前記チャンネルは、I族元素、II族元素、III族元素、IV族元素、及びLn系元素の一群から選択された少なくとも1つの元素を更に含むことを特徴とする請求項25に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項29】
酸化物半導体であって、
Znと、Hf及びCrのうちの少なくとも1つの物質を含むことを特徴とする酸化物半導体。
【請求項30】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つの物質が加えられた物質であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項31】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つの物質が加えられた物質であることを特徴とする請求項29に記載の半導体酸化物。
【請求項32】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項33】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項29に記載の酸化物半導体。
【請求項34】
酸化物薄膜トランジスタであって、
ゲートと、
前記ゲートに対応する位置に形成され、Znと、Hf及びCrのうちの少なくとも1つの物質を含む酸化物半導体を含んで形成されたチャンネルと、
前記ゲートとチャンネルとの間に形成されたゲート絶縁層と、
前記チャンネルの各々の側部に接触して形成されたソース及びドレインと、を備えることを特徴とする酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項35】
前記酸化物半導体は、Zn酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つが加えられた物質であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項36】
前記酸化物半導体は、Zn−In複合酸化物にHf及びCrのうちの少なくとも1つが加えられた物質であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項37】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【請求項38】
前記酸化物半導体は、非晶質相領域、非晶質相と結晶質相との混在領域、及び結晶質相領域を同時に含む構造であることを特徴とする請求項34に記載の酸化物薄膜トランジスタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図12】
【図13】
【図14】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−531059(P2010−531059A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513114(P2010−513114)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003470
【国際公開番号】WO2008/156311
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際出願番号】PCT/KR2008/003470
【国際公開番号】WO2008/156311
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】
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