説明

酸化物透明導電膜の成膜方法、スパッタ装置および光電変換素子の製造方法

【課題】成膜面にダメージを与えることなく、効率よく酸化物透明導電膜を成膜し、かつ装置コストを抑制する。
【解決手段】単一のスパッタ装置1を用いて成膜用基板S上に酸化物透明導電膜を成膜する方法であって、成膜中におけるスパッタ装置1の投入電力を一定とし、成膜時の圧力(P)、およびターゲットTと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータを、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上とし、酸化物透明導電膜の成膜途中に、成膜パラメータが60Pa・mmよりも小さくなるように、成膜時圧力および/または距離を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物透明導電膜の成膜方法に関し、特に、スパッタ時のダメージに弱い成膜面上への酸化物透明導電膜の成膜方法に関するものである。また、本発明は酸化物透明導電膜の成膜方法に用いられるスパッタ装置および酸化物透明導電膜を成膜する工程を含む光電変換素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電極間に光電変換層を備えた光電変換素子が、太陽電池等の用途に使用されている。従来、太陽電池においては、バルクの単結晶Siまたは多結晶Si、あるいは薄膜のアモルファスSiを用いたSi系太陽電池が主流であったが、Siに依存しない化合物半導体系太陽電池の研究開発がなされている。化合物半導体系太陽電池としては、GaAs系等のバルク系と、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなるCISあるいはCIGS系等の薄膜系とが知られている。CIGS系は、一般式Cu1−zIn1−xGaSe2−y(式中、0≦x≦1,0≦y≦2,0≦z≦1)で表される化合物半導体であり、x=0のときがCISである。
【0003】
CIGS系等の薄膜系光電変換素子においては一般に、光電変換層の光吸収面側には、バッファ層(界面層)を介して透明導電膜(透明電極)が形成されている。
【0004】
透明導電膜としては、酸化亜鉛に亜鉛よりもイオン価数の高いドーパント元素を添加した導電性酸化亜鉛膜が、現在普及しているITO(酸化インジウム錫)に比して安価であり、資源的にも豊富な材料として注目されている。
【0005】
導電性ZnO膜の成膜方法において、気相法としては、スパッタ法、有機金属化学気相蒸着法(MOCVD:metal-organic chemical vapor deposition)などが知られている。
【0006】
MOCVD法は成膜時間が長くなるという欠点がある。スパッタリング法には、RFスパッタ法、DCスパッタ法の二通りが存在するが、RFスパッタ法により成膜を行う場合、やはり成膜時間が長くなる。一方、DCスパッタ法はRFスパッタ法と比較して高出力であるため、成膜時間を短時間にすることができる。
しかしながら、DCスパッタ法は、RFスパッタ法と比べてエネルギー密度が高いので、界面層やその下の光電変換層(光吸収層)表面に損傷が起こり易いという欠点がある。
【0007】
特許文献1、2等には、薄膜太陽電池の界面層上に界面保護層として作用する第1の導電膜を低出力なRFスパッタ法にて成膜した後、第2および第3の導電膜を高出力なDCスパッタ法にて成膜することにより、界面層等への衝撃を低減し、かつDCスパッタ法による高速化を図る成膜方法が提案されている。
【0008】
他方、特許文献3には、透明導電膜の成膜時に、スパッタダメージ低減のため、低出力のDCスパッタにより第1のZnO膜を成膜し、その後、高出力のDCスパッタで第2のZnO層を成膜することにより、成膜速度の向上と、電源及びその制御系統の複雑性の回避を達成する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3527815号明細書
【特許文献2】特許第3040373号明細書
【特許文献3】国際公開03/009394号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1、2のように、RFスパッタとDCスパッタとを併用する場合、電源等が複雑になる、装置が大型化するなどの問題点がある。
【0011】
また、特許文献3のように、第1のZnO膜成膜時と第2のZnO膜成膜時とで出力を切り替えるために、ターゲットへの供給電力を変化させるための電力供給制御手段を備える、あるいは、相対的に低出力および高出力な2つのスパッタ装置を備える必要がある。2つのスパッタ装置を備えた場合、装置全体が大型化すると共に装置コストが嵩むという問題点がある。
【0012】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、スパッタリングの際に界面層や光電変換層を含む成膜面にダメージを生じさせることなく、酸化物透明導電膜を成膜することができ、成膜の高速化を図ることができ、かつ装置コストを抑制することができる酸化物透明導電膜の成膜方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、その成膜方法を実施するためのスパッタ装置およびその成膜方法を用いた光電変換素子の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の酸化物透明導電膜の成膜方法は、単一のスパッタ装置を用いて成膜用基板上に酸化物透明導電膜を成膜する方法であって、
成膜中における前記スパッタ装置の投入電力を一定とし、
成膜時の圧力(P)、およびターゲットと前記成膜用基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータを、前記酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上とし、
前記酸化物透明導電膜の成膜途中に、該成膜パラメータが60Pa・mmよりも小さくなるように、前記成膜時圧力および/または前記距離を変化させることを特徴とする。
【0014】
ここで、単一のスパッタ装置とは、ターゲット−基板間に電圧を印加するための電源を1つだけ備えた装置とする。電源は高周波(RF)電源であってもよいし、直流(DC)電源であってもよい。
【0015】
前記成膜途中に前記成膜パラメータが20Pa・mm以下となるように、前記成膜時の圧力および/または前記距離を変化させることが望ましい。
【0016】
特に、酸化物透明導電膜が30nmまでは60Pa・mm以上、その後は20Pa・mm以下とすることが望ましい。
【0017】
本発明の成膜方法は、成膜用基板として可撓性を有するものを用いる場合、ロール・トウ・ロール方式で行うことが好ましい。すなわち、巻出しロールに巻かれている可撓性の成膜用基板を、巻出しロールから巻き出され、巻取りロールにより巻き取られるまでの間に成膜するのが好ましい。
【0018】
本発明の成膜方法は、特に、酸化亜鉛膜(ZnO膜)の成膜に好適である。
【0019】
本発明の成膜方法は、特にCIGS系光電変換素子の界面層上に酸化物透明導電膜を成膜するのに好適である。
【0020】
本発明の第1のスパッタ装置は、ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された、膜が形成される成膜用基板を支持する基板ホルダを兼ねた平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットホルダと前記平板電極間との距離を可変とする距離可変手段と、
前記成膜用基板への膜の成膜途中に、前記ターゲットホルダと前記平板電極間との距離を小さくするように前記距離可変手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第2のスパッタ装置は、ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置され、膜が形成される成膜用基板を支持する基板ホルダと、前記ターゲットホルダと前記基板ホルダとの間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記基板ホルダおよび前記ターゲットホルダの少なくとも一方が電極を具備する回転ドラムであり、
該回転ドラムと前記基板ホルダおよび前記ターゲットホルダの他方とが、前記回転ドラムの回転に伴い変化する前記基板ホルダに支持された成膜用基板と前記ターゲットホルダに支持されたターゲットとの間の距離が成膜開始位置において最大となり、かつ成膜時の圧力(P)、およびターゲットと前記成膜用基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータが、前記酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、配置されていることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第3のスパッタ装置は、ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、該ターゲットと該成膜用基板との距離が成膜開始位置から成膜終了位置に向かい徐々に小さくなるように搬送する搬送手段を備えていることを特徴とするものである。
【0023】
本発明の第4のスパッタ装置は、ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、成膜開始位置から成膜終了位置に搬送する搬送手段を備え、
前記成膜室は、その室内が前記成膜用基板の搬送方向の上流側から下流側に向けて断面が大きくなるように構成されており、前記ガス導入口が前記基板の搬送方向の上流側の側壁に備えられており、前記排気口が前記搬送方向の下流側の側壁に設けられてなるものであることを特徴とするものである。
【0024】
本発明の第5のスパッタ装置は、ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、成膜開始位置から成膜終了位置に搬送する搬送手段を備え、
前記成膜室は、前記ガス導入口が、前記成膜用基板の搬送方向の上流側の側壁に備えられており、前記排気口が、前記上流側の側壁と対向する前記搬送方向の下流側の側壁に設けられており、さらに、前記搬送方向の中流域の側壁に、該搬送方向と交わり、かつ前記成膜用基板の表面に沿った方向に排気するための補助排気口を備えてなるものであることを特徴とするものである。
【0025】
本発明の光電変換素子の製造方法は、裏面電極と光電変換層と界面層と透光性導電層とが積層されてなる光電変換素子の製造方法において、
前記界面層上に、前記透光性導電層として酸化物透明導電膜を、上述の本発明の成膜方法を用いて成膜することを特徴とする。
【0026】
本発明の光電変換素子の製造方法は、前記光電変換層の主成分が、
CuおよびAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体である、所謂CIS、CIGS系化合物半導体である光電変換素子の製造に好適である。
【0027】
本明細書において、「透光性」とは、太陽光の透過率が70%以上であることを意味する。
【発明の効果】
【0028】
スパッタ成膜時に成膜面に生じるスパッタダメージは、成膜面に入射する粒子のエネルギーが高いために生じる。本発明者らは、成膜粒子のエネルギーを決定するパラメータとしての成膜圧力およびターゲット−基板間距離に注目し、成膜パラメータとして、成膜時の圧力(P)とターゲット−基板間距離(dTS)との積(P×dTS)の好ましい範囲を見いだした。
【0029】
本発明の酸化物透明導電膜の成膜方法によれば、成膜パラメータを、60Pa・mm以上で成膜を開始することにより、成膜面におけるダメージを抑制することができ、成膜途中に成膜パラメータを60Pa・mm未満に変化させることにより、成膜速度早めることができる。本発明の成膜方法は、このような制御を単一のスパッタ装置を用いて行うので、異なる種類の電源を備えたり、成膜途中に電圧を変化させたりする必要がないため、電源系等を複雑化させず、結果として装置コストを抑制することができる。
【0030】
特に、成膜途中に成膜パラメータを20Pa・mm以下とすれば、より高い成膜速度の向上効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1のスパッタ装置の概略構成を模式的に示す断面図
【図2】本発明の第2のスパッタ装置の概略構成を模式的に示す断面図
【図3】本発明の第2のスパッタ装置の設計変更例の概略構成を模式的に示す断面図
【図4】本発明の第3のスパッタ装置の概略構成を模式的に示す断面図
【図5】本発明の第4のスパッタ装置の概略構成を模式的に示す断面図
【図6】本発明の第5のスパッタ装置の概略構成を模式的に示す断面図
【図7】本発明の製造方法で製造される光電変換素子(太陽電池)の概略構成を模式的に示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。各図において、視認しやすくするため、各部の縮尺は適宜変更して示してある。
【0033】
「酸化物透明導電膜の成膜方法」
本発明の酸化物透明導電膜の成膜方法は、単一のスパッタ装置を用いて成膜用基板上に酸化物透明導電膜を成膜する方法であって、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータを、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上とし、酸化物透明導電膜の成膜途中に、成膜パラメータが60Pa・mmよりも小さくなるように、成膜時の圧力および/または距離を変化させることを特徴とする。
【0034】
特には、成膜途中に成膜パラメータを20Pa・mm以下とすることが、スループット向上のために望ましい。
【0035】
成膜パラメータを成膜開始時よりも小さくなるように変化させるためには、成膜時の圧力のみを成膜開始時よりも小さくなるように変化させてもよいし、ターゲットと成膜用基板との距離のみを成膜開始時よりも小さくなるように変化させてもよいし、さらには、両者を変化させてもよい。
ここで、成膜時の圧力とは、成膜されている各箇所における成膜圧力を意味するものである。
【0036】
酸化物透明導電膜としては、酸化亜鉛(ZnO)膜、ITO膜等が挙げられる。
【0037】
本発明は、特に、CIGS系半導体を光電変換層として備える光電変換素子の界面層上に酸化物透明導電膜として、導電性ZnO膜を成膜する場合に好適である。
【0038】
以下、成膜方法の具体的な実施形態について、その実施をするためのスパッタ装置構成と併せて説明する。
【0039】
「第1のスパッタ装置」
本発明の第1のスパッタ装置について、図1を参照して説明する。図1は本実施形態のスパッタ装置1の概略構成を模式的に示す断面図である。
【0040】
図1に示すように、スパッタ装置1は、ガス導入口11および排気口12を備えた成膜室(真空チャンバ)10と、成膜室10内に配置された、ターゲットTを支持するターゲットホルダ14および、ターゲットホルダ14に対向して配置された、成膜用基板Sを支持する基板ホルダを兼ねた平板電極15と、ターゲットホルダ14と平板電極15との間に電圧を印加するための電源16とを備えている。
さらに、スパッタ装置1は、ターゲットホルダ14と平板電極15との距離を可変とする距離可変手段17と、成膜用基板Sへの膜の成膜途中に、ターゲットホルダ14−平板電極15間の距離を小さくするように距離可変手段17を制御する制御手段18とを備えている。
【0041】
電源16は、直流電源、交流(高周波)電源のいずれであってもよい。
【0042】
ガス導入口11にはガス導入管が接続されて、Ar等のプラズマ生成に必要なガスGがガス導入口11から成膜室10内に導入される。
ガス排気口12にはガス排気管が接続されて、図示しない真空ポンプにより成膜室10内のガスが排気Vされる。
【0043】
距離可変手段17は、ターゲットホルダ14と平板電極15との距離を変化させる手段であり、たとえば、平板電極15を矢印A方向(図中において上下方向)に沿って移動させる駆動部からなる。
制御手段18は、成膜途中に距離可変手段17に平板電極15をターゲットホルダ14に近づく方向に移動させるように制御するものである。
【0044】
このスパッタ装置1を用いた成膜方法について説明する。
【0045】
ターゲットホルダ14にターゲットTを支持させ、また平板電極15上に成膜用基板Sを設置する。最初に、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、成膜室10内の圧力およびターゲットTと成膜用基板S間の距離dTSを設定する。例えば、成膜室内の圧力Pが0.4Paとなるように、Ar等の導入ガスGの導入量および排気量を設定し、距離可変手段17により平板電極15をA方向に上下させることにより距離dTSを150mm以上となるように設定する。
【0046】
圧力Pと距離dTSとは、圧力Pを0.2Paとしたとき、距離dTSを300mm以上とする、圧力Pを0.5Paとしたとき、距離dTSを120mm以上とするなど、成膜パラメータAが60Pa・mm以上であればよい。
【0047】
電源16によりターゲットT−平板電極15間に電圧を印加して成膜を開始する。なお、投入電力は成膜開始時から終了時までを通して一定とする。
【0048】
成膜開始後、制御手段18により成膜途中に距離可変手段17による平板電極15をターゲットホルダ14に近づける方向に移動させる。例えば成膜室内の圧力Pが0.4Paであるとき、距離dTSが50mm以下となるように平板電極15を移動させればよい。
ここでも、成膜パラメータAが60Pa・mm以上であればよく、圧力Pに応じて距離dTSを適宜設定すればよい。
【0049】
なお、距離を変化させるタイミングとしては、成膜面に対して一定厚みの酸化物透明導電膜が形成された後であることが好ましい。例えば、30nm程度の厚みが形成された後に、成膜パラメータAを20Pa・mm以下に変化させるようにすることが好ましい。
30nm程度の厚みの酸化物透明導電膜が形成された後であれば、成膜パラメータAを20Pa.mmとして、成膜粒子のエネルギーを大きくしても成膜用基板の成膜面に対するダメージはほとんど生じないことを本発明者は確認している(後記実施例参照)。
【0050】
上記では、制御手段18は、成膜途中で一度だけ距離を変化させるよう制御するものとしたが、複数回距離を徐々に小さくなるように変化させる、連続的に距離を変化させる等の制御を行うものとしてもよい。
【0051】
なお、本発明の成膜方法の実施においては、制御手段18を備えないスパッタ装置を用いて、成膜途中に手動により距離を変化させるようにしてもよい。
【0052】
「第2のスパッタ装置」
本発明の第2のスパッタ装置について、図2を参照して説明する。図2は本実施形態のスパッタ装置2の概略構成を模式的に示す断面図である。
【0053】
図2に示すように、スパッタ装置2は、ガス導入口11および排気口12を備えた成膜室(真空チャンバ)10と、成膜室10内に配置された、ターゲットTを支持するターゲットホルダ14および、ターゲットホルダ14に対向して配置された、電極を具備する回転ドラム20と、ターゲットホルダ14と回転ドラム20との間に電圧を印加するための電源16とを備えている。
【0054】
ここで、回転ドラム20は、その表面に成膜用基板Sを支持する基板ホルダを兼ねるものであり、その回転に伴って成膜用基板Sを搬送する搬送手段としても機能している。回転ドラム20は、矢印Bの方向に回転し、それに伴い表面に支持された成膜用基板Sが成膜開始位置aから成膜終了位置bに向けて搬送される。
【0055】
回転ドラム20とターゲットホルダ14とは、回転ドラム20の回転に伴い変化する成膜用基板SとターゲットTとの間の距離dTSが成膜開始位置aにおいて最大となるように配置されている。本実施形態においては、成膜開始位置aの距離dTS1が最大となり、中間地点での距離dTS2が最小となり、成膜終了位置bの距離dTS3が再び最大となるように回転ドラム20とターゲットホルダ14とが配置されている。
【0056】
より詳細には、回転ドラム20とターゲットホルダ14とは、成膜開始位置aにおける距離dTS1が、成膜圧力Pとの関係において、圧力(P)、およびターゲットと基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが60Pa・mm以上となるように配置されている。例えば、成膜室10内の圧力Pが0.4Paに設定される場合、距離dTS1が150mm以上となるように配置される。
【0057】
また、回転ドラム20は、ターゲット−基板間距離が最小となる位置において、成膜パラメータAが20Pa・mm以下となるように構成されている。例えば、成膜室10内の圧力Pが0.4Paに設定される場合、最短距離dTS2が50mm以下となる直径を有する回転ドラム20が用いられる。
【0058】
このスパッタ装置2を用いた成膜方法について説明する。
ここでは、回転ドラム20が距離dTS1が150mm、最短距離dTS2が50mmとなるように構成配置されているものとする。
【0059】
ターゲットホルダ14にターゲットTを支持させ、また回転ドラム20上に成膜用基板Sを設置する。最初に、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、すなわち、成膜開始位置aにおいて成膜パラメータAが60Pa・mm以上となるように、成膜室10内の圧力およびターゲットTと成膜用基板S間の距離dTSを設定する。本実施形態においては、成膜室内の圧力Pが0.4Pa以下となるように、導入ガスGの導入量および排気量を設定する。
【0060】
電源16によりターゲットT−回転ドラム20間に電圧を印加して成膜を開始する。なお、投入電力は成膜開始時から終了時までを通して一定とする。
【0061】
回転ドラム20をB方向に回転させることにより、成膜用基板Sは成膜開始位置aから成膜終了位置bへと搬送される。成膜用基板Sの表面の各地点は成膜開始位置aにおいて、成膜パラメータA=60Pa・mmで成膜され、成膜終了位置b側に搬送されるにつれて、成膜パラメータAが20Pa・mmまで徐々に減少する条件下で成膜され、その後成膜パラメータAが60Pa・mmまで徐々に増加する条件下で成膜される。
【0062】
本装置2を用いた成膜方法によれば、成膜開始時(成膜開始位置)において、成膜粒子のエネルギーを抑制することにより成膜用基板の表面に対するダメージを抑えつつ、徐々に成膜粒子のエネルギーを大きくして成膜速度を早くさせるので、ダメージを与えない成膜粒子エネルギーで全透光性導電膜を成膜する場合と比較して、成膜時間を短縮する効果を得ることができる。
【0063】
(設計変更例)
図3は、第2のスパッタ装置の設計変更例の装置概略構成を示す断面図である。
図3に示すように、スパッタ装置2’は、回転ドラム20を、成膜開始位置aにおいてターゲット−基板間距離dTS1が最大となり、成膜終了位置bにおいてターゲット−基板間距離dTS2が最大となるように配置されている。
【0064】
ここで、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが、酸化物透明導電膜の成膜開始時に、すなわち成膜開始位置aにおいて60Pa・mm以上となるように、また成膜終了時、すなわち成膜終了位置bにおいて20Pa・mm以下となるように、成膜圧力P、距離dTS1、距離dTS2が設定される。
【0065】
本構成によれば、成膜開始位置から終了位置に向けて成膜パラメータは徐々に小さくすることができるので、より高いダメージ抑制効果を得ることができる。
【0066】
また、スパッタ装置2’においては、成膜用基板Sとして長尺な可撓性基板が用いられ、長尺な可撓性基板をロール状に巻回してなる巻出しロール21と、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロール22と、巻出しロール21から供給される基板を成膜領域に導入、導出するための複数のガイドローラ23を備えており、成膜工程が、いわゆるロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)方式で行われるよう構成されている。
【0067】
本構成のスパッタ装置2’によれば、長尺な可撓性基板である成膜用基板に対して、効率よく、かつ成膜用基板表面におけるスパッタダメージを抑制しつつ酸化物透明導電膜を成膜することができる。
【0068】
なお、上記実施形態においては、基板ホルダが電極を具備する回転ドラムであるものとしたが、基板ホルダを平板電極とし、ターゲットホルダが電極を具備する回転ドラムであるものとしてもよいし、また、基板ホルダおよびターゲットホルダを共に電極を具備する回転ドラムで構成してよい。この場合にも、同様の成膜方法を実施することができ、同様の効果を得ることができる。
【0069】
「第3のスパッタ装置」
本発明の第3のスパッタ装置について、図4を参照して説明する。図4は本実施形態のスパッタ装置3の概略構成を模式的に示す断面図である。
【0070】
図4に示すように、スパッタ装置3は、ガス導入口11および排気口12を備えた成膜室(真空チャンバ)10と、成膜室10内に配置された、ターゲットTを支持するターゲットホルダ14および、ターゲットホルダ14に対向して配置された平板電極15と、ターゲットホルダ14と平板電極15との間に電圧を印加するための電源16とを備えており、さらに、ターゲットTと平板電極15との間において、膜が形成される成膜用基板Sを、ターゲットTに対向させて、ターゲットTと成膜用基板Sとの距離が成膜開始位置から成膜終了位置に向かい徐々に小さくなるように搬送する搬送手段を備えている。
【0071】
図4に示すように、本スパッタ装置3においては、成膜開始位置上流側の平板電極近く、および成膜終了位置下流側のターゲット近くにそれぞれガイドローラ25を備え、このガイドローラ25に沿って可撓性を有する成膜用基板Sが、ターゲットTと成膜用基板Sとの距離が成膜開始位置aから成膜終了位置bに向かい徐々に小さくなるように矢印C方向に搬送されるよう構成されている。
【0072】
本実施形態のスパッタ装置3においては、成膜用基板Sは、成膜室10の外部に配置された図示しない巻出しロールから巻き出され、巻取りロールにより巻き取られ、成膜工程が、ロール・トゥ・ロール方式で行われる。
すなわち、本実施形態において搬送手段は、巻出しロール、巻取りロールおよび複数のガイドローラ25を備えてなる。
【0073】
なお、搬送手段は、成膜開始位置aにおける距離dTS1が、成膜圧力Pとの関係において、圧力(P)、およびターゲットと基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが60Pa・mm以上となるように構成されている。例えば、成膜室10内の圧力Pが0.4Paに設定される場合、距離dTS1が150mm以上となるように配置構成される。
【0074】
また、搬送手段は、成膜終了位置bにおける距離dTS2が、成膜パラメータAが20Pa・mm以下となるように構成されている。例えば、成膜室10内の圧力Pが0.4Paに設定される場合、最短距離dTS2が50mm以下となるように、ガイドローラ25が配置されていればよい。
【0075】
本構成のスパッタ装置3によれば、長尺な可撓性基板である成膜用基板に対して、効率よく、かつ成膜用基板表面におけるスパッタダメージを抑制しつつ酸化物透明導電膜を成膜することができる。
【0076】
なお、可撓性の低い成膜用基板に対して酸化物透明導電膜を成膜する場合には、成膜用基板をフイルムベースに貼り付け、成膜開始位置aから成膜開始位置bに向けて成膜用基板を搬送するように構成すればよい。
【0077】
このスパッタ装置3を用いた成膜方法について説明する。
ここでは、搬送手段により、成膜用基板Sが、距離dTS1が150mm、最短距離dTS2が50mmとなるように搬送されるよう構成されているものとする。
【0078】
ターゲットホルダ14にターゲットTを支持させる。最初に、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、すなわち、成膜開始位置aにおいて成膜パラメータAが60Pa・mm以上となるように、成膜室10内の圧力を設定する。本実施形態においては、成膜室内の圧力Pが0.4Pa以下となるように、導入ガスGの導入量および排気量を設定する。
【0079】
電源16によりターゲットT−平板電極15間に電圧を印加して成膜を開始する。なお、投入電力は成膜開始時から終了時までを通して一定とする。
【0080】
成膜用基板Sは搬送手段により、成膜面の各箇所が成膜開始位置aから成膜終了位置bへと順次位置するようにC方向に搬送される。成膜用基板Sの表面の各箇所は成膜開始位置aにおいて、成膜パラメータA=60Pa・mmで成膜され、成膜終了位置において成膜パラメータAが20Pa・mmとなるように、距離dTSが徐々に小さくなるように搬送されつつ成膜される。
【0081】
本装置3を用いた成膜方法によれば、成膜開始時(成膜開始位置)において、成膜粒子のエネルギーを抑制することにより成膜用基板の表面に対するダメージを抑えつつ、徐々に成膜粒子のエネルギーを大きくして成膜速度を早くさせるので、ダメージを与えない成膜粒子エネルギーで全透光性導電膜を成膜する場合と比較して、成膜時間を短縮する効果を得ることができる。
【0082】
「第4のスパッタ装置」
本発明の第4のスパッタ装置について、図5を参照して説明する。図5(A)は本実施形態のスパッタ装置4の概略構成を模式的に示す断面図、図5(B)は成膜室の形状を示す上面図である。
【0083】
図5(A)および(B)に示すように、スパッタ装置4は、ガス導入口11および排気口12を備えた成膜室(真空チャンバ)10と、成膜室10内に配置された、ターゲットTを支持するターゲットホルダ14および、ターゲットホルダ14に対向して配置された平板電極15と、ターゲットホルダ14と平板電極15との間に電圧を印加するための電源16とを備えており、さらに、ターゲットTと平板電極15との間において、膜が形成される成膜用基板Sを、ターゲットTに対向させて、成膜開始位置aから成膜終了位置bに搬送する搬送手段(図示せず)を備えている。
【0084】
また、本スパッタ装置4においては、成膜室10が、その室内が成膜用基板Sの搬送方向Dの上流側から下流側に向けて断面(空間領域の断面)が大きくなるように、すなわち、搬送方向Dの上流側よりも下流側の空間(体積)が広がるように構成されている。また、成膜室10においては、ガス導入口11が成膜用基板Sの搬送方向Dの上流側の側壁に備えられており、排気口12が搬送方向Dの下流側の側壁に設けられている。
【0085】
ガス導入口11から導入される導入ガスを、対向する側面に設けられている排気口12から排気させ、搬送方向上流側から下流側に向けてガス流を生じさせる。ここで、上流側から下流側に向けて成膜室の空間が広くなっていることから、成膜室内の圧力には、上流側から下流側になるほど小さくなる圧力勾配が生じる。
例えば、成膜開始位置aにおける成膜室の断面積(位置aを含む断面の面積)が成膜終了位置bにおける成膜室の断面積(位置bを含む断面の面積)の1/3であれば、成膜開始位置aの成膜圧力P1は、成膜終了位置bの成膜圧力P2の略3倍となる。具体的には、成膜開始位置aの圧力P1が0.4Paであれば、終了位置bの圧力P2は0.13Paと見積もられる。
【0086】
搬送手段は、成膜用基板をターゲットに対向させた状態で、搬送することができれば、どのような構成のものでもよく、例えば、ベルトコンベアを備えたものなどが挙げられる。また、成膜用基板Sとして長尺な可撓性基板が用いられる場合には、長尺な可撓性基板をロール状に巻回してなる巻出しロールと、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロールと、巻出しロールから供給される基板を成膜領域に導入、導出するための複数のガイドローラを備えた搬送手段として、成膜工程を、いわゆるロール・トゥ・ロール方式で行うよう構成することが、成膜効率向上の観点から好ましい。
本実施形態においては、ターゲット−基板間距離を変化させることなく、搬送するよう構成されるものとしているが、図4に示すように、基板間距離が徐々に小さくなるように搬送するよう構成されていてもよい。
【0087】
このスパッタ装置4を用いた成膜方法について説明する。
ここでは、ターゲットT−基板S間距離dTSが50mmとなるように、ターゲットホルダ15と搬送手段との距離が決定されているものとする。
【0088】
ターゲットホルダ14にターゲットTを保持させる。最初に、成膜時の圧力(P)、およびターゲットと成膜用基板Sとの距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータAが、酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、すなわち、成膜開始位置aにおいて成膜パラメータAが60Pa・mm以上となるように、成膜室10内の圧力を設定する。本実施形態においては、搬送方向上流側の成膜開始位置aにおいて、0.4Pa以上、好ましくは0.4Paとなるように、導入ガスGの導入量および排気量を設定する。
【0089】
電源16によりターゲットT−平板電極15間に電圧を印加して成膜を開始する。なお、投入電力は成膜開始時から終了時までを通して一定とする。
【0090】
成膜用基板Sは搬送手段により、成膜面の各箇所が成膜開始位置aから成膜終了位置bへと順次位置するようにD方向に搬送されつつ成膜される。導入ガスが搬送方向上流側から下流側にガス流を生成し、下流側に向かい大きくなる成膜室の空間の広がりに伴い、圧力は、成膜用基板Sの表面の各箇所は成膜開始位置aにおいて、成膜パラメータA=60Pa・mmで成膜され、成膜終了位置において成膜パラメータAが20Pa・mmとなるように、下流側に向けて徐々に小さくなっている。各位置における圧力が各位置において成膜されつつ搬送される際の成膜時の圧力である。既述の通り、成膜開始位置aにおいて圧力0.4Paとなるように設定することにより、成膜終了位置bでは空間の広がりにより0.13Pa程度になると見積もられる。
【0091】
本装置4を用いた成膜方法によれば、成膜開始時(成膜開始位置)において、成膜粒子のエネルギーを抑制することにより成膜用基板の表面に対するダメージを抑えつつ、徐々に成膜粒子のエネルギーを大きくして成膜速度を早くさせるので、ダメージを与えない成膜粒子エネルギーで全透光性導電膜を成膜する場合と比較して、成膜時間を短縮する効果を得ることができる。
【0092】
「第5のスパッタ装置」
本発明の第5のスパッタ装置について、図6を参照して説明する。図6(A)は本実施形態のスパッタ装置5の概略構成を模式的に示す断面図、図6(B)は成膜室の形状を示す上面図である。
【0093】
図6(A)および(B)に示すように、スパッタ装置5は、ガス導入口11および排気口12を備えた成膜室(真空チャンバ)10と、成膜室10内に配置された、ターゲットTを支持するターゲットホルダ14および、ターゲットホルダ14に対向して配置された平板電極15と、ターゲットホルダ14と平板電極15との間に電圧を印加するための電源16とを備えており、さらに、ターゲットTと平板電極15との間において、膜が形成される成膜用基板Sを、ターゲットTに対向させて、成膜開始位置aから成膜終了位置bに搬送する搬送手段を備えている。
【0094】
また、本スパッタ装置5の成膜室10においては、ガス導入口11が、成膜用基板Sの搬送方向Dの上流側の側壁に備えられており、排気口12が、上流側の側壁と対向する搬送方向Dの下流側の側壁に設けられており、さらに、搬送方向Dの中流域の側壁に、搬送方向と交わり、かつ成膜用基板Sの表面に沿った方向に排気V1、V2、V3するための補助排気口31〜36が設けられている。
【0095】
ガス導入口11から導入される導入ガスGを、対向する側面に設けられている排気口12から排気させ、搬送方向上流側から下流側に向けてガス流を生じさせる。ここで、搬送方向中流域にある補助排気口31〜36により、排気を行うことにより、第4のスパッタ装置の成膜室の空間を広げた場合と同様に、搬送方向に圧力勾配を生じさせることが可能となる。
【0096】
排気V1、V2、V3は、同等であってもよいが、下流側ほど大きくV1>V2>V3なるようにすることにより、圧力勾配を大きくすることができる。第4のスパッタ装置の場合と同様に、例えば、成膜開始位置aにおける成膜室の圧力P1が成膜終了位置bにおける圧力P2の3倍以上となる程度の圧力勾配となるように、補助排気口31〜36からの排気量を調整する。
【0097】
また、スパッタ装置5は、成膜用基板Sとして長尺な可撓性基板が用いられ、長尺な可撓性基板をロール状に巻回してなる巻出しロール31と、成膜済の基板をロール状に巻回する巻取りロール32と、巻出しロール31から供給される基板を成膜領域に導入、導出するための複数のガイドローラ33を備えており、成膜工程が、いわゆるロール・トゥ・ロール(Roll to Roll)方式で行われるよう構成されている。なお、これらのロール31、32およびガイドローラ33が成膜用基板を搬送する搬送手段を構成している。
【0098】
本スパッタ装置5を用いての成膜は、スパッタ装置4を用いる場合とほぼ同様に行うことができる。
本構成のスパッタ装置5によれば、長尺な可撓性基板である成膜用基板に対して、効率よく、かつ成膜用基板表面におけるスパッタダメージを抑制しつつ酸化物透明導電膜を成膜することができる。
【0099】
スパッタ装置2〜5において、成膜用基板の各箇所を成膜開始位置から成膜終了位置まで搬送する時間は10分程度とすることが実用的には好ましい。
【0100】
「光電変換素子の製造方法」
次に、本発明の光電変換素子およびその製造方法について説明する。図7は、光電変換素子の一実施形態である太陽電池50の構成を模式的に示す断面図である。
【0101】
図7に示す太陽電池50は、基板51上に裏面電極(下部電極)52、光電変換層(光吸収層)53、界面層(バッファ層)54、透明導電膜55および集電電極56が順次積層されてなるものである。
【0102】
太陽電池50の製造方法としては、基板51上に裏面電極52、光電変換層53および界面層54が形成されてなるものを成膜用基板Sとし、この界面層54表面を成膜面として、界面層54上に上述した本発明の成膜方法により透明導電膜55として酸化物透明導電膜の成膜を行うことを特徴とする。
【0103】
特に、光電変換層53はCIGS系半導体層からなり、界面層54はZn(O,S,OH)からなるものとし、透明導電膜55としてZnO膜を成膜するものとすることが好ましい。
なお、界面層54上への導電性ZnO膜の成膜に際しては、基板10の温度が200℃以下となるように制御することが望ましい。
【0104】
基板51上への裏面電極52、光電変換層53、界面層54の形成方法は、公知の方法により行えばよく、液相、気相等、各層の形成に適するいかなる方法を用いてもよい。
【0105】
本発明の成膜方法により透光性導電層55を成膜した後、透光性導電層55上に集電電極58を形成することにより太陽電池50を作製する。
図7においては、1セルの太陽電池を示しているが、本発明の製造方法は、集積型の太陽電池の製造方法にも適用可能である。
【0106】
以下、太陽電池50の基板51から界面層(バッファ層)54について簡単に説明する。
【0107】
(基板)
太陽電池用の基板51としては、ガラス基板、表面に絶縁膜が成膜されたステンレス等の金属基板、Alを主成分とするAl基材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl材が複合された複合基材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、Feを主成分とするFe材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とするAl膜が成膜された基材の少なくとも一方の面側にAlを主成分とする陽極酸化膜が形成された陽極酸化基板、およびポリイミド等の樹脂基板等が挙げられる。
【0108】
連続工程による生産が可能であることから、表面に絶縁膜が成膜された金属基板、陽極酸化基板、および樹脂基板等の可撓性基板が好ましい。
【0109】
(裏面電極)
裏面電極(下部電極)52の主成分としては特に制限されず、Mo,Cr,W,およびこれらの組合せが好ましく、Mo等が特に好ましい。裏面電極52の膜厚は制限されず、200〜1000nm程度が好ましい。
【0110】
(光電変換層)
光電変換層53は、光吸収により電荷を生じる層である。光電変換層53の主成分としては特に制限されず、高光電変換効率が得られることから、少なくとも1種のカルコパイライト構造の化合物半導体である場合に好適に適用することができる。カルコパイライト構造の化合物半導体としては、Ib族元素とIIIb族元素とVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体であることがより好ましい。
【0111】
上記化合物半導体としては、CuAlS,CuGaS,CuInS,CuAlSe,CuGaSe,AgAlS,AgGaS,AgInS,AgAlSe,AgGaSe,AgInSe,AgAlTe,AgGaTe,AgInTe,Cu(In,Al)Se,Cu(In,Ga)(S,Se),Cu1−zIn1−xGaSe2−y(式中、0≦x≦1,0≦y≦2,0≦z≦1)(CI(G)S),Ag(In,Ga)Se,およびAg(In,Ga)(S,Se)等が挙げられる。
光電変換層53の膜厚は特に制限されず、1.0〜3.0μmが好ましく、1.5〜2.0μmが特に好ましい。
【0112】
(界面層)
界面層(バッファ層)54としては特に制限されないが、Cd,Zn,Sn,Inからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含む金属硫化物を含むことが好ましい。特に、Zn(S,O,OH)はスパッタ法によるダメージが大きいために、本発明の製造方法に好適である。また、CdSを用いた場合にもダメージ低減の効果が確認されている(後記実施例参照)。
界面層54の膜厚は特に制限されず、10nm〜2μmが好ましく、15〜200nmがより好ましい。
【0113】
(透明導電膜)
透明導電膜(透明電極)55は、光を取り込むと共に、裏面電極52と対になって、光電変換層53で生成された電荷が流れる電極として機能する層である。本実施形態において、透明導電膜55が、上記の本発明の導電性酸化亜鉛膜の成膜方法により成膜される。
導電性ZnO膜は、ZnOにB、Al、Ga、Inなどがドープされて低抵抗化されたものである。
【0114】
なお、太陽電池としては、その他、バッファ層と透光性導電層との間に窓層(保護層)を備えていてもよい。
また、必要に応じてカバーガラス、保護フィルム等が取り付けられている。
【0115】
なお、本発明の製造方法で作製される光電変換素子は、太陽電池のみならずCCD等の他の用途にも適用可能である。
【実施例1】
【0116】
本発明の酸化物透明導電膜の成膜方法について検証を行った結果を説明する。
【0117】
<検証実験1>
実施例および比較例の成膜方法を用いて酸化物透明導電膜を形成する工程を経て図7に示す構成の太陽電池50を作製し、各太陽電池の変換効率を測定した。
太陽電池50は、SLG(ソーダライムガラス)基板51上にMo裏面電極52、CIGS光電変換層53、Zn(O,S,OH)界面層54、導電性ZnO(ZnO:Al)透明導電膜55、集電電極56を備えてなる構成とした。
酸化物透明導電膜の成膜にあたり、基板51上に裏面電極52、光電変換層53および界面層54が順次形成されたものを成膜用基板Sとして、この界面層54上に図1に示すスパッタ装置を用いて厚み500nmの透明導電膜(ZnO:Al)を成膜するものとした。
【0118】
透明導電膜の成膜は、RFスパッタ法により行った。このとき以下のスパッタ条件とした。
ターゲット:Al23−ZnO(Al23:1.5wt%)
基板の加熱なし(基板温度:室温)
導入ガス:Ar(0.4Pa)
放電密度:1.1W/cm2
【0119】
上記条件は同一として、透明導電膜の成膜において、ターゲット−基板間距離(dTS)の条件が異なる3つのサンプルを作製した。なお、本例において成膜室内圧力は0.4Paで一様とした。すなわち、成膜時圧力(P)は0.4Paであった。
【0120】
(参照例1)
距離(dTS)を150mmとしてスパッタ成膜を行った。このとき、成膜時圧力(P)×距離(dTS)で定義した成膜パラメータA=P×dTSは、60Pa・mmであった。成膜速度は10nm/minであり、500nmの厚みの透明導電膜を成膜するのに要した時間は50分であった。
【0121】
(実施例1)
距離(dTS)をスパッタ開始時に150mmとして、3分後に50mmに変更して成膜を行った。このとき、成膜パラメータAはスパッタ開始時に60Pa・mmであり、その後20Pa・mmとなった。成膜速度はスパッタ開始時に10nm/minであり、その後50nm/minであった。500nmの厚みに透明導電膜を成膜するのに要した時間はdTS=150mmで3分、dTS=50mmに変更後約9分の計約12分であった(成膜速度および時間については、小数点以下を四捨五入している。以下において同様とする。)。
【0122】
(比較例1)
距離(dTS)を50mmとして成膜を行った。このとき、成膜パラメータAは20Pa・mmであった。成膜速度は50nm/minであり、500nmの厚みの透明導電膜を成膜するのに要した時間は10分であった。
【0123】
各サンプルについて、透明導電膜上にAl集電電極を形成し、太陽電池としての変換効率を測定した。
具体的には、市販の太陽電池用IV測定器を用い、AM1.5の擬似太陽光照射のもと、25℃にて太陽電池のIV測定を行い、変換効率を算出した。
【0124】
各サンプルについての成膜条件と、太陽電池の変換効率を表1に示す。なお、表1中において、成膜速度は、成膜厚みを成膜時間で除して得られた平均の成膜速度である。
【表1】

【0125】
ターゲット−基板間距離dTSを150mmとした参照例1では、高い変換効率が得られたが、成膜速度が遅く、成膜時間が長いという欠点が明らかである。また、比較例1のようにdTSを50mmとした場合、成膜速度は早いが、変換効率が低かった。これは、成膜時に界面層がダメージを受けたためと考えられる。一方、実施例1のように、成膜開始時には、dTSを大きく、成膜途中にdTSを小さくするように変化させた場合、比較例1と遜色ない成膜時間で、かつ参照例1と遜色ない変換効率が得られた。
なお、RFスパッタ法の替わりにDCスパッタ法を用いた場合についても同様の効果が確認できた。
【0126】
<検証実験2>
以下の実施例2〜4の成膜方法によりそれぞれ透明導電膜を成膜して製造された太陽電池について、上記と同様にして変換効率を測定した。
太陽電池の構成は上記検証実験1と同様とし、また、スパッタ条件についても、特に述べない限り上記検証実験1と同様とした。
【0127】
(実施例2)
図2に示すスパッタ装置2を用い、S透明導電膜(ZnO:Al)を成膜した。既に述べたように、スパッタ装置2を用いた場合、回転ドラム20に成膜用基板Sが設置され、搬送に伴いターゲット−基板間距離dTSが変化する。ここでは、図2において、距離dTSは、成膜開始時に最大値150mm(dTS1)であり、徐々に小さくなり最小値50mm(dTS2)に達した後に、徐々に大きくなり成膜終了時に再び最大値150mm(dTS3)となるように設定した。
【0128】
なお、回転ドラム20は、基板の各箇所が、成膜開始位置aから成膜終了位置bまで11分で搬送する速度で回転させるものとした。
【0129】
検証実験1の結果からも明らかなように、距離dTSが変化すると、成膜速度は変化する。本実施例2における成膜速度は、成膜開始から終了までの時間と成膜厚みとから得られた平均の成膜速度である(以下の実施例3、4についても同様である。)。
【0130】
(実施例3)
図4に示すスパッタ装置3を用い、成膜用基板Sをフイルムベースに貼り付け搬送させつつ、透明導電膜を成膜した。スパッタ装置3において、成膜用基板Sを、ターゲット−基板間距離dTSが最大(本例では150mm)となる成膜開始位置aから距離dTSが最小(本例では50mm)となる成膜終了位置bに搬送することにより、成膜パラメータを60Pa・mmから20Pa・mmとなるように制御した。
【0131】
(実施例4)
図5に示すスパッタ装置4を用い、成膜圧力を搬送方向に沿って変化させることにより、成膜パラメータを60Pa・mmから20Pa.mmとなるように制御して成膜した。ターゲット−基板間距離を50mmとし、距離は変化させず、基板を搬送しつつ成膜を行った。成膜開始位置での成膜室の断面積が成膜終了位置の1/3であり、成膜開始位置での圧力が0.4PaとなるようにArガスの導入量、排出量を制御した。このとき、成膜終了位置での成膜圧力は0.13Pa程度である。
【0132】
下記表2に、実施例2〜4の方法で作製したサンプルについての成膜条件と、太陽電池としての変換効率を示す。
【表2】

【0133】
実施例2〜4は、前述の比較例11のようにdTSを50mmで固定し、成膜圧力も変化させなかった場合と比較して、高い変換効率が得られた。実施例2〜4は比較例1と同等の成膜速度で成膜が可能であり、検証実験1で示した参照例1のターゲット−基板間距離を150mmとしたスパッタ法でZnO膜を成膜する場合と比較すると、成膜速度を格段に早くすることができた。
【0134】
以上の通り、成膜時に、成膜粒子のエネルギーを成膜開始時に小さく、その後大きくすることにより、スパッタ法のみで成膜しても界面層へのダメージを抑制することができ、かつ成膜時間を短縮することができることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0135】
1、2、2’3、4 スパッタ装置
10 成膜室
11 ガス導入口
12 ガス排出口
14 ターゲットホルダ
15 平板電極
16 電源
17 距離可変手段
18 距離可変手段の制御手段
20 回転ドラム
50 光電変換素子(太陽電池)
51 基板
52 裏面電極
53 光電変換層
54 界面層
55 透光性導電膜(酸化物透明導電膜)
S 成膜用基板
T ターゲット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一のスパッタ装置を用いて成膜用基板上に酸化物透明導電膜を成膜する方法であって、
成膜中における前記スパッタ装置の投入電力を一定とし、
成膜時の圧力(P)、およびターゲットと前記成膜用基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータを、前記酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上とし、
前記酸化物透明導電膜の成膜途中に、該成膜パラメータが60Pa・mmよりも小さくなるように、前記成膜時圧力および/または前記距離を変化させることを特徴とする酸化物透明導電膜の成膜方法。
【請求項2】
前記成膜途中に前記成膜パラメータが20Pa・mm以下となるように、前記成膜時の圧力および/または前記距離を変化させることを特徴とする請求項1記載の酸化物透明導電膜の成膜方法。
【請求項3】
前記成膜用基板として可撓性を有するものを用い、ロール・トウ・ロール方式で成膜を行うことを特徴とする請求項1または2記載の酸化物透明導電膜の成膜方法。
【請求項4】
前記酸化物透明導電膜として酸化亜鉛膜を成膜することを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の酸化物透明導電膜の成膜方法。
【請求項5】
ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された、膜が形成される成膜用基板を支持する基板ホルダを兼ねた平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットホルダと前記平板電極間との距離を可変とする距離可変手段と、
前記成膜用基板への膜の成膜途中に、前記ターゲットホルダと前記平板電極間との距離を小さくするように前記距離可変手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするスパッタ装置。
【請求項6】
ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置され、膜が形成される成膜用基板を支持する基板ホルダと、前記ターゲットホルダと前記基板ホルダとの間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記基板ホルダおよび前記ターゲットホルダの少なくとも一方が電極を具備する回転ドラムであり、
該回転ドラムと前記基板ホルダおよび前記ターゲットホルダの他方とが、前記回転ドラムの回転に伴い変化する前記基板ホルダに支持された前記成膜用基板と前記ターゲットホルダに支持されたターゲットとの間の距離が成膜開始位置において最大となり、かつ成膜時の圧力(P)、およびターゲットと前記成膜用基板との距離(dTS)の積(P×dTS)で表される成膜パラメータが、前記酸化物透明導電膜の成膜開始時に60Pa・mm以上となるように、配置されていることを特徴とするスパッタ装置。
【請求項7】
ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、該ターゲットと該成膜用基板との距離が成膜開始位置から成膜終了位置に向かい徐々に小さくなるように搬送する搬送手段を備えていることを特徴とするスパッタ装置。
【請求項8】
ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、成膜開始位置から成膜終了位置に搬送する搬送手段を備え、
前記成膜室は、その室内が前記成膜用基板の搬送方向の上流側から下流側に向けて断面が大きくなるように構成されており、前記ガス導入口が前記成膜用基板の搬送方向の上流側の側壁に備えられており、前記排気口が前記搬送方向の下流側の側壁に設けられてなるものであることを特徴とするスパッタ装置。
【請求項9】
ガス導入口および排気口を備えた成膜室と、該成膜室内に配置された、ターゲットを支持するターゲットホルダおよび、該ターゲットホルダに対向して配置された平板電極と、前記ターゲットホルダと前記平板電極との間に電圧を印加するための電源とを備えたスパッタ装置であって、
前記ターゲットと前記平板電極との間において、膜が形成される成膜用基板を、前記ターゲットに対向させて、成膜開始位置から成膜終了位置に搬送する搬送手段を備え、
前記成膜室は、前記ガス導入口が、前記成膜用基板の搬送方向の上流側の側壁に備えられており、前記排気口が、前記上流側の側壁と対向する前記搬送方向の下流側の側壁に設けられており、さらに、前記搬送方向の中流域の側壁に、該搬送方向と交わり、かつ前記成膜用基板の表面に沿った方向に排気するための補助排気口を備えてなるものであることを特徴とするスパッタ装置。
【請求項10】
裏面電極と光電変換層と界面層と透明導電膜とが順次積層されてなる光電変換素子の製造方法において、
前記界面層上に、前記透明導電膜として酸化物透明導電膜を、請求項1から4いずれか1項記載の成膜方法を用いて成膜することを特徴とする光電変換素子の製造方法。
【請求項11】
前記光電変換層の主成分を、
CuおよびAgからなる群より選択された少なくとも1種のIb族元素と、
Al,Ga及びInからなる群より選択された少なくとも1種のIIIb族元素と、
S,Se,及びTeからなる群から選択された少なくとも1種のVIb族元素とからなる少なくとも1種の化合物半導体とすることを特徴とする請求項10に記載の光電変換素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−246788(P2011−246788A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123365(P2010−123365)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】