説明

酸素圧縮機のシール装置

【課題】シールガスの供給量を適切に調節できる酸素圧縮機のシール装置を提供する。
【解決手段】圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの密封ポケット8へのシールガス供給圧力と圧縮機1の酸素吸入圧力との差が、2〜3kPa(G)の範囲となるように、コントローラ31が基幹シールガス送給配管11の流量調整弁28の開度を調整するので、圧縮機1の酸素吸入圧力が低くなったときには、多量の窒素が大気中に放風されず、窒素の消費量を低減させることができ、反対に、圧縮機1の酸素吸入圧力が高くなったときには、多量の酸素が大気中に放風されず、酸素を効率良く回収することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は酸素圧縮機のシール装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気、二酸化炭素、窒素をはじめとする種々のガスを圧縮して昇圧させる手段として、遠心圧縮機は広く用いられている。
【0003】
助燃性が高い酸素を昇圧させる酸素圧縮機では、インペラ回転軸と、該インペラ回転軸が挿通される静止部のハウジング部との間に、ラビリンス方式の軸封装置を設け、昇圧した酸素がハウジング部の外へ漏れることを抑制している。
【0004】
酸素圧縮機に用いる軸封装置としては、ハウジング部の内周面とインペラ回転軸の外周面との間に、第1ラビリンスシール部、第2ラビリンスシール部、第3ラビリンスシール部、第4ラビリンスシール部、第5ラビリンスシール部、及び第6ラビリンスシール部を、高圧側(インペラ側)から低圧側(反インペラ側)へ向けて、インペラ回転軸の軸線方向に間隔を置いて設け、隣接するラビリンスシール部の間にそれぞれに圧溜室を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
第1ラビリンスシール部と第2ラビリンスシール部との間の圧溜室、第2ラビリンスシール部と第3ラビリンスシール部との間の圧溜室、及び第3ラビリンスシール部と第4ラビリンスシール部との間の圧溜室には、プロセスガス回収ラインが接続されている。このプロセスガス回収ラインは、インペラの回転により昇圧された酸素が、該インペラの背面側を経て高圧側の圧溜室に入ってきた際に、前記酸素を回収する役割を担っている。
【0006】
第4ラビリンスシール部と第5ラビリンスシール部との間の圧溜室には、大気パージラインが接続され、第5ラビリンスシール部と第6ラビリンスシール部との間の圧溜室には、シールガス供給ラインが接続されている。シールガス供給ラインは、最も低圧側の圧溜室に窒素を供給し、酸素がハウジング部の外へ漏れないようにする役割を担っている。大気パージラインは、高圧側の圧溜室において回収しきれずに第4ラビリンスシール部と第5ラビリンスシール部との間の圧溜室にはいってきた酸素と、最も低圧側の圧溜室を経て前記第4ラビリンスシール部と第5ラビリンスシール部との間の圧溜室にはいってきた窒素混合気体を、大気中に放風する役割を担っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−247566号公報、段落0006−0011、図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数基の酸素生成設備から酸素が送給される圧縮機では、全ての酸素生成設備が並列運転されている場合と一基の酸素生成設備だけが単独運転されている場合とでは、圧縮機の酸素吸入圧力は大きく異なる。例えば、酸素生成設備の全基を運転しているときに、圧縮機の酸素吸入圧力が25kPa(G)であっても、酸素生成設備の一基だけを運転しているときは、圧縮機の酸素吸入圧力が5kPa(G)になる[ここで(G)はゲージ圧であることを意味している]。
【0009】
前述した軸封装置において、酸素の漏洩を防ぎながら酸素を効率よく回収するためには、最も低圧側の圧溜室に供給する窒素の圧力を圧縮機の酸素吸入圧力の最大値に対して、例えば、2〜3kPa(G)程度高くしておく必要がある。しかしながら、圧縮機の酸素吸入圧力が低くなったときに、最も低圧側の圧溜室に対する窒素の供給量を直ちに減少させないと、多量の窒素が前記大気パージラインを経て大気中に放風されてしまい、窒素の消費量が増大することになる。反対に、圧縮機の酸素吸入圧力が高くなったときに、最も低圧側の圧溜室に対する窒素の供給量を直ちに増加させないと、多量の酸素が前記大気パージラインを経て大気中に放風されてしまい、酸素を効率良く回収することができない。
【0010】
本発明は上述した実情に鑑みてなしたもので、シールガスの供給量を適切に調節できる酸素圧縮機のシール装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の酸素圧縮機のシール装置は、
酸素生成設備から酸素が酸素吸入配管を介して吸入口に送給される圧縮機に付帯し、インペラ回転軸が挿通されるハウジング部に高圧側から低圧側へ向けて順に回収ポケット、放出ポケット、及び密封ポケットを形成したラビリンス方式の軸封装置本体を備え、
この軸封装置本体の回収ポケットに、酸素回収配管を介して前記酸素吸入配管を接続し、
この軸封装置本体の放出ポケットに、下流端が大気開放された放風配管を接続し、
この軸封装置本体の密封ポケットに、シールガス供給源に連通するシールガス送給配管を接続し、
前記シールガス送給配管に流量調整弁を設け、
前記密封ポケットへのシールガス供給圧力を検出する第一の圧力センサ、及び前記圧縮機の酸素吸入圧力を検出する第二の圧力センサを設け、
前記流量調整弁の開度を調整することにより前記第一の圧力センサによって検出されるシールガス供給圧力から前記第二の圧力センサによって検出される酸素吸入圧力を差し引いた圧力が目標値となるように制御する制御系を設けている。
【0012】
請求項2に記載の酸素圧縮機のシール装置は、
前記圧縮機で昇圧された酸素が酸素送給配管を介して吸入口に送給される後段圧縮機に付帯し、インペラ回転軸が挿通されるハウジング部に高圧側から低圧側へ向けて順に回収ポケット、放出ポケット、及び密封ポケットを形成したラビリンス方式の後段軸封装置本体を備え、
この後段軸封装置本体の回収ポケットに、前記軸封装置本体の回収ポケットを連通させ、
この後段軸封装置本体の放出ポケットに、前記軸封装置本体の放出ポケットを連通させ、
この後段軸封装置本体の密封ポケットに、前記軸封装置本体の密封ポケットを連通させている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の酸素圧縮機のシール装置によれば、下記のような優れた作用効果を奏し得る。
【0014】
(1)請求項1に記載の酸素圧縮機のシール装置では、圧縮機に付帯の軸封装置本体の密封ポケットへのシールガス供給圧力と圧縮機の酸素吸入圧力との差が、目標値となるように、シールガス送給配管の流量調整弁の開度を制御系が調整するので、圧縮機の酸素吸入圧力が低くなったときには、多量の窒素が大気中に放風されず、窒素の消費量を低減させることができ、反対に、圧縮機の酸素吸入圧力が高くなったときには、多量の酸素が大気中に放風されず、酸素を効率良く回収することができる。
【0015】
(2)請求項2に記載の酸素圧縮機のシール装置では、後段圧縮機に付帯の後段軸封装置本体の密封ポケットが、圧縮機に付帯の軸封装置本体の密封ポケットに連通し、後段圧縮機に付帯の後段軸封装置本体の放出ポケットが、圧縮機に付帯の軸封装置本体の放出ポケットに連通し、後段圧縮機に付帯の後段軸封装置本体の回収ポケットが、圧縮機に付帯の軸封装置本体の回収ポケットに連通しているので、軸封装置本体、及び後段軸封装置本体へのシールガス供給圧力の調整を、一つの流量調整弁と一つの制御系で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の酸素圧縮機のシール装置の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0018】
図1は本発明の酸素圧縮機のシール装置の一例を示すもので、多段ターボ圧縮機を対象としている。
【0019】
Aは、ラビリンス方式の軸封装置本体であり、該軸封装置本体Aは、複数基の酸素生成設備(図示せず)から酸素が、酸素吸入配管10を介して圧縮機ケーシング2の吸入口に送給される圧縮機1に付帯している。
【0020】
インペラ回転軸4の外周面と、該インペラ回転軸4が挿通されるハウジング部5の内周面との間には、第1ラビリンスシール部9a、第2ラビリンスシール部9b、第3ラビリンスシール部9c、及び第4ラビリンスシール部9dが、高圧側(インペラ側)から低圧側(反インペラ側)へ向けて、インペラ回転軸4の軸線方向に間隔を置いて設けてあり、第1ラビリンスシール部9aと第2ラビリンスシール部9bとの間に回収ポケット6を形成し、第2ラビリンスシール部9bと第3ラビリンスシール部9cとの間に放出ポケット7を形成し、第3ラビリンスシール部9cと第4ラビリンスシール部9dとの間に密封ポケット8を形成している。
これらのポケット6,7,8は、特許文献1における圧溜室に相当し、 また、インペラ回転軸4には、歯車箱3内の増速機構を介して電動モータ35の回転が伝達される。
【0021】
この軸封装置本体Aの回収ポケット6には、下流端が前記酸素吸入配管10に連通する基幹酸素回収配管14が接続されている。
この軸封装置本体Aの放出ポケット7には、下流端が建屋12の外部で大気開放した基幹放風配管13の上流端が接続されている。
この軸封装置本体Aの密封ポケット8には、上流端がシールガスとして窒素を貯留したガス槽36に連通する基幹シールガス送給配管11の下流端が接続されている。
【0022】
Bは、ラビリンス方式の後段軸封装置本体であり、該後段軸封装置本体Bは、前記圧縮機1で昇圧された酸素が、酸素送給配管23を介して圧縮機ケーシング16の吸入口に送給される後段圧縮機15に付帯している。
【0023】
インペラ回転軸17の外周面と、該インペラ回転軸17が挿通されるハウジング部18の内周面との間には、第1ラビリンスシール部9e、第2ラビリンスシール部9f、第3ラビリンスシール部9g、第4ラビリンスシール部9h、及び第5ラビリンスシール部9iが、高圧側(インペラ側)から低圧側(反インペラ側)へ向けて、インペラ回転軸17の軸線方向に間隔を置いて設けてあり、第1ラビリンスシール部9eと第2ラビリンスシール部9fとの間に回収ポケット19を形成し、第2ラビリンスシール部9fと第3ラビリンスシール部9gとの間に回収ポケット20を形成し、第3ラビリンスシール部9gと第4ラビリンスシール部9hとの間に放出ポケット21を形成し、第4ラビリンスシール部9hと第5ラビリンスシール部9iとの間に密封ポケット22を形成している。
これらのポケット19,20,21,22は、特許文献1における圧溜室に相当し、また、インペラ回転軸17には、歯車箱3内の増速機構を介して電動モータ35の回転が伝達される。
【0024】
この後段軸封装置本体Bの回収ポケット19には、インタクーラ(図示せず)の上流側に連通する酸素返送配管27の上流端が接続されている。
この後段軸封装置本体Bの回収ポケット20には、下流端が前記基幹酸素回収配管14に連通する後段酸素回収配管26の上流端が接続されている。
この後段軸封装置本体Bの放出ポケット21には、下流端が前記基幹放風配管13に連通する後段放風配管25の上流端が接続されている。
この後段軸封装置本体Bの密封ポケット22には、上流端が前記基幹シールガス送給配管11に連通する後段シールガス送給配管24の下流端が接続されている。
【0025】
従って、
圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの密封ポケット8の内圧、及び後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの密封ポケット22の内圧は、基幹シールガス送給配管11の内圧に等しくなり、
圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの放出ポケット7の内圧、及び後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの放出ポケット21の内圧は、大気圧となり、
圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの回収ポケット6の内圧、及び後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの回収ポケット20の内圧は、基幹酸素回収配管14、及び酸素吸入配管10の内圧に等しくなる。
【0026】
本発明の酸素圧縮機のシール装置の特徴部分は、基幹シールガス送給配管11に流量調整弁28に組み込み、圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの密封ポケット8へのシールガス供給圧力を検出する第一の圧力センサ29、及び前記圧縮機1の酸素吸入圧力を検出する第二の圧力センサ30を設け、当該第一、第二の圧力センサ29,30の検出値29s,30sの差が一定の範囲(目標値)となるように、流量調整弁28に開度調整信号31sを送信して窒素の流量を増加、あるいは減少させるコントローラ31を設けた点にあり、これら流量調整弁28、第一の圧力センサ29、第二の圧力センサ30、及びコントローラ31によって制御系X(シールガス供給圧力制御系)が構成されている。
【0027】
第一の圧力センサ29は、基幹シールガス送給配管11の流量調整弁28の下流側個所に取り付けられ、第二の圧力センサ30は、基幹酸素回収配管14に取れ付けられている。
【0028】
コントローラ31は、第一、第二の圧力センサ29,30の検出値29s,30sの差の下限値が例えば2kPa(G)(下限目標値)となり、第一、第二の圧力センサ29,30の検出値29s,30sの差の上限値が例えば3kPa(G)(上限目標値)となるように、流量調整弁28へ開度調整信号31sを送信して当該流量調整弁28の開度を調整し、軸封装置本体Aの密封ポケット8、及び後段軸封装置本体Bの密封ポケット22への窒素の供給量を増加、あるいは減少させる機能を具備している[ここで(G)はゲージ圧であることを意味している]。
【0029】
圧縮機1、及び後段圧縮機15を運転し、酸素生成設備から送出される酸素を昇圧するときには、常時、ガス貯留槽にシールガスとして蓄えてある窒素を、基幹シールガス送給配管11へ送給する。
【0030】
基幹シールガス送給配管11を流通する窒素は、
圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの密封ポケット8に、直接流れ込み、
後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの密封ポケット22に、後段シールガス送給配管24を経て流れ込む。
【0031】
このとき、制御系Xのコントローラ31は、第一の圧力センサ29の検出値29s、すなわち、密封ポケット8,22内の窒素の圧力と、第二の圧力センサ30の検出値30s、すなわち、回収ポケット6,20内の酸素の圧力との差が2〜3kPa(G)の範囲(目標値)となるように、流量調整弁28へ開度調整信号31sを送信して当該流量調整弁28の開度を調整し、密封ポケット8,22への窒素の供給量を調整する。
【0032】
圧縮機1によって昇圧された酸素の一部は軸封装置本体A内へ漏洩し、回収ポケット6に流入した酸素の大半は、基幹酸素回収配管14から酸素吸入配管10を経て、昇圧前の圧力雰囲気である圧縮機ケーシング2の吸入口へ戻る。
【0033】
圧縮機ケーシング2の吸入口へと戻らなかった残りの酸素は、放出ポケット7に流入するが、この酸素は、密封ポケット8に窒素が、圧縮機1の酸素吸入圧力よりも高い圧力で供給されているので、軸封装置本体Aのハウジング部5から外へは漏洩しない。
【0034】
そして、放出ポケット7に流入した酸素は、前記密封ポケット8を経た窒素とともに、下流端が大気圧雰囲気である基幹放風配管13を経て大気中へと排出される。
【0035】
後段圧縮機15の圧縮機ケーシング16の吸入口には、前記圧縮機1によって昇圧された酸素が、酸素送給配管23を経て流入する。後段圧縮機15によって昇圧された酸素の一部は後段軸封装置本体B内へ漏洩し、回収ポケット19に流入した酸素の大半は、酸素返送配管27を経てインタクーラ(図示せず)へと送り込まれる。
【0036】
インタクーラへ送られなかった残りの酸素は、後段軸封装置本体Bの回収ポケット20に流入するが、その大半は、後段酸素回収配管26、及び基幹酸素回収配管14から酸素吸入配管10を経て、昇圧前の圧力雰囲気である前記圧縮機ケーシング2の吸入口へ戻る。
【0037】
圧縮機ケーシング2の吸入口へと戻らなかった残りの酸素は、後段軸封装置本体Bの放出ポケット21に流入するが、この酸素は、後段軸封装置本体Bの密封ポケット22に窒素が、前記圧縮機1の酸素吸入圧力よりも高い圧力で供給されているので、後段軸封装置本体Bのハウジング部18から外へは漏洩しない。
【0038】
そして、放出ポケット21に流入した酸素は、前記密封ポケット22を経た窒素とともに、後段放風配管25、及び基幹放風配管13を経て大気中へと排出される。
【0039】
複数基の酸素生成設備を並列運転している状態から一基の酸素生成設備だけが単独運転される状態に移行する場合、また逆に、あるいは一基の酸素生成設備だけを単独運転している状態から複数基の酸素生成設備が並列運転される状態に移行する場合、圧縮機1の酸素吸入圧力は大きく変化する。
【0040】
このとき、制御系Xのコントローラ31は、第一の圧力センサ29の検出値29s、すなわち、密封ポケット8,22内の窒素の圧力と、第二の圧力センサ30の検出値30s、すなわち、回収ポケット6,20内の酸素の圧力との差が2〜3kPa(G)の範囲(目標値)となるように、流量調整弁28へ開度調整信号31sを送信して当該流量調整弁28の開度を調整し、密封ポケット8,22への窒素の供給量を調整するので、例えば、圧縮機1の圧縮機ケーシング2の吸入口における酸素吸入圧力が25kPa(G)に上がったときは、軸封装置本体Aの密封ポケット8、及び後段軸封装置本体Bの密封ポケット22に対する窒素供給圧力が、27〜28kPa(G)となり、反対に、圧縮機1の圧縮機ケーシング2の吸引口における酸素吸入圧力が5kPa(G)に下がったときは、軸封装置本体Aの密封ポケット8、及び後段軸封装置本体Bの密封ポケット22に対する窒素供給圧力が、7〜8kPa(G)となる。
【0041】
図1に示す酸素圧縮機のシール装置では、軸封装置本体Aの密封ポケット8、及び後段軸封装置本体Bの密封ポケット22へのシールガス供給圧力と、圧縮機1の酸素吸入圧力との差が2〜3kPa(G)の範囲(目標値)となるように、前記密封ポケット8,22へ窒素を供給する基幹シールガス送給配管11の流量調整弁28の開度を制御系Xのコントローラ31が調整するので、圧縮機1の酸素吸入圧力が低くなったときには、多量の窒素が大気中に放風されず、窒素の消費量を低減させることができ、反対に、圧縮機1の酸素吸入圧力が高くなったときには、多量の酸素が大気中に放風されず、酸素を効率良く回収することができる。
【0042】
後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの密封ポケット22が、圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの密封ポケット8に連通し、後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの放出ポケット21が、圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの放出ポケット7に連通し、後段圧縮機15に付帯の後段軸封装置本体Bの回収ポケット20が、圧縮機1に付帯の軸封装置本体Aの回収ポケット6に連通しているので、軸封装置本体A、及び後段軸封装置本体Bへのシールガス供給圧力の調整を、一つの流量調整弁28と一台のコントローラ31で行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
1 圧縮機
4 インペラ回転軸
5 ハウジング部
6 回収ポケット
7 放出ポケット
8 密封ポケット
10 酸素吸入配管
11 基幹シールガス送給配管(シールガス送給配管)
13 基幹放風配管(放風配管)
14 基幹酸素回収配管(酸素回収配管)
15 後段圧縮機
17 インペラ回転軸
18 ハウジング部
20 回収ポケット
21 放出ポケット
22 密封ポケット
28 流量調整弁
29 圧力センサ
29s 検出値
30 圧力センサ
30s 検出値
31 コントローラ
31s 開度調整信号
36 ガス槽(シールガス供給源)
X 制御系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素生成設備から酸素が酸素吸入配管を介して吸入口に送給される圧縮機に付帯し、インペラ回転軸が挿通されるハウジング部に高圧側から低圧側へ向けて順に回収ポケット、放出ポケット、及び密封ポケットを形成したラビリンス方式の軸封装置本体を備え、
この軸封装置本体の回収ポケットに、酸素回収配管を介して前記酸素吸入配管を接続し、
この軸封装置本体の放出ポケットに、下流端が大気開放された放風配管を接続し、
この軸封装置本体の密封ポケットに、シールガス供給源に連通するシールガス送給配管を接続し、
前記シールガス送給配管に流量調整弁を設け、
前記密封ポケットへのシールガス供給圧力を検出する第一の圧力センサ、及び前記圧縮機の酸素吸入圧力を検出する第二の圧力センサを設け、
前記流量調整弁の開度を調整することにより前記第一の圧力センサによって検出されるシールガス供給圧力から前記第二の圧力センサによって検出される酸素吸入圧力を差し引いた圧力が目標値となるように制御する制御系を設けたことを特徴とする酸素圧縮機のシール装置。
【請求項2】
前記圧縮機で昇圧された酸素が酸素送給配管を介して吸入口に送給される後段圧縮機に付帯し、インペラ回転軸が挿通されるハウジング部に高圧側から低圧側へ向けて順に回収ポケット、放出ポケット、及び密封ポケットを形成したラビリンス方式の後段軸封装置本体を備え、
この後段軸封装置本体の回収ポケットに、前記軸封装置本体の回収ポケットを連通させ、
この後段軸封装置本体の放出ポケットに、前記軸封装置本体の放出ポケットを連通させ、
この後段軸封装置本体の密封ポケットに、前記軸封装置本体の密封ポケットを連通させた請求項1に記載の酸素圧縮機のシール装置。

【図1】
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【公開番号】特開2012−82765(P2012−82765A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230338(P2010−230338)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】