説明

金属の表面処理剤およびその利用

【課題】 電子部品などをプリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の表面に半田付けする際に、該導電部の表面に対する半田の濡れ性が良好となる金属の表面処理剤を提供することを目的とする。また、前記の表面処理剤を金属製導電部の表面に接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させたプリント配線板および、前記の表面処理剤を金属製導電部の表面に接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 有効成分として、イミダゾール化合物およびグルコン酸化合物を含有することを特徴とする金属の表面処理剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品などをプリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の表面に半田付けする際に使用する表面処理剤およびその利用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時プリント配線板の実装方法として、実装密度を向上させた表面実装が広く採用されている。このような表面実装方法は、チップ部品をクリーム半田で接合する両面表面実装、チップ部品のクリーム半田による表面実装とディスクリート部品のスルホール実装を組み合わせた混載実装等に分けられる。いずれの実装方法においても、プリント配線板は複数回の半田付けが行われるので、その度に高温に曝されて厳しい熱履歴を受ける。
その結果、プリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の銅、銅合金や銀等の金属表面は、加熱されることにより酸化皮膜の形成が促進されるので、該導電部表面の半田付け性を良好に保つことができない。
【0003】
このようなプリント配線板の金属製導電部を空気酸化から保護するために、種々のイミダゾール化合物を有効成分とする防錆剤を使用して該導電部の表面に化成皮膜を形成させる表面処理方法が提案されている(例えば特許文献1〜4)。
【0004】
ところで、従来から電子部品をプリント配線板などに接合する際には、錫−鉛合金の共晶半田が広く使用されていたが、近年その半田合金中に含まれる鉛による人体への有害性が懸念され、鉛を含まない半田を使用することが求められている。そのために種々の無鉛半田が検討されているが、例えば錫をベース金属として、銀、亜鉛、ビスマス、インジウム、アンチモンや銅などの金属を添加した無鉛半田が提案されている。
【0005】
前者の共晶半田は、金属の表面に対する濡れ性に優れており、金属に対して強固に接合するので高い信頼性が得られている。これに対して、後者の無鉛半田は共晶半田に比べると、金属の表面に対する濡れ性が劣っているので半田付け性が悪くボイド発生などの接合不良が生じ易いので、金属と半田の接合強度が弱いという難点があった。
そのため無鉛半田を使用するに当たっては、より半田付け性の良好な半田合金および無鉛半田に適したフラックスの選定が求められているが、金属表面の酸化防止のために使用される表面処理剤に対しても、無鉛半田の濡れ性を改善し半田付け性を良好なものとする機能が求められている。
【0006】
【特許文献1】特公昭46−17046号公報
【特許文献2】特開平4−206681号公報
【特許文献3】特開平5−25407号公報
【特許文献4】特開平5−186888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、電子部品などをプリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の表面に半田付けする際に、該導電部の表面に対する半田の濡れ性が良好となる金属の表面処理剤を提供することを目的とする。
また、前記の表面処理剤を金属製導電部の表面に接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させたプリント配線板および、前記の表面処理剤を金属製導電部の表面に接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うプリント配線板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、イミダゾール化合物とグルコン酸化合物を含有することを特徴とする金属の表面処理剤とすることにより、所期の目的を達成することを見出し本発明を完成するに至った。
【0009】
また第2の発明は、第1の発明において、イミダゾール化合物を0.01〜10重量%の割合で含有し、グルコン酸を0.01〜50重量%の割合で含有することを特徴とする金属の表面処理剤である。
第3の発明は、第1の発明または第2の発明において、金属製導電部の表面に金属の表面処理剤を接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させたことを特徴とするプリント配線板である。
第4の発明は、第1の発明または第2の発明において、金属製導電部の表面に金属の表面処理剤を接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の金属の表面処理剤は、イミダゾール化合物とグルコン酸化合物を組み合わせて用いることにより、電子部品などをプリント配線板の回路部を構成する金属製導電部の表面に半田付けする際に、該導電部の表面に対する無鉛半田の濡れ性が良好となる化成皮膜を形成させることができる。本発明のプリント配線板を使用した場合、また本発明のプリント配線板の製造方法によれば、無鉛半田を用いる半田付けにより金属製導電部と電子部品の接合を確実なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の表面処理剤は、イミダゾール化合物およびグルコン酸化合物を含有する水溶性液体である。本発明の実施において使用するイミダゾール化合物に制限はないが、例えば、下記化1〜8の一般式(I)〜(VIII)で示されるイミダゾール化合物が好ましく使用される。また、これらのイミダゾール化合物を二種以上組み合わせて使用することも可能である。
【0012】
【化1】

(式中、Rは水素原子または、炭素数が1〜25であって置換基を有してもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。RおよびRは、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0013】
【化2】

(式中、Rは水素原子または、炭素数が1〜25であって置換基を有してもよい直鎖状または分岐鎖状のアルキル基もしくはアルケニル基を表す。RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0014】
【化3】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0015】
【化4】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0016】
【化5】

(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜17である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。R、R、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。)
【0017】
【化6】

(式中、R、R、R、およびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0018】
【化7】

(式中、R、R、R、およびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0019】
【化8】

(式中、RおよびRは同一または異なって、水素原子、ハロゲン原子または炭素数が1〜8である直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を表す。nは0〜6の整数を表す。)
【0020】
化1の一般式(I)で示されるイミダゾール化合物としては、
イミダゾール、
2−メチルイミダゾール、
2−エチルイミダゾール、
2−プロピルイミダゾール、
2−イソプロピルイミダゾール、
2−ブチルイミダゾール、
2−t−ブチルイミダゾール、
2−ペンチルイミダゾール、
2−ヘキシルイミダゾール、
2−ヘプチルイミダゾール、
2−(1−エチルペンチル)イミダゾール、
2−オクチルイミダゾール、
2−ノニルイミダゾール、
2−デシルイミダゾール、
2−ウンデシルイミダゾール、
2−ドデシルイミダゾール、
2−トリデシルイミダゾール、
2−テトラデシルイミダゾール、
2−ペンタデシルイミダゾール、
2−ヘキサデシルイミダゾール、
2−ヘプタデシルイミダゾール、
2−オクタデシルイミダゾール、
2−ノナデシルイミダゾール、
2−イコサニルイミダゾール、
2−ヘンイコサニルイミダゾール、
2−ドコサニルイミダゾール、
2−トリコサニルイミダゾール、
2−テトラコサニルイミダゾール、
2−ペンタコサニルイミダゾール、
2−(1−メチルペンチル)イミダゾール、
2−(1−エチルペンチル)イミダゾール、
2−(1−ヘプチルデシル)イミダゾール、
2−(5−ヘキセニル)イミダゾール、
2−(9−オクテニル)イミダゾール、
2−(8−ヘプタデセニル)イミダゾール、
2−(4−クロロブチル)イミダゾール、
2−(9−ヒドロキシノニル)イミダゾール、
2−エチル−4−メチルイミダゾール、
2−ウンデシル−4−メチルイミダゾール、
2−ヘプタデシル−4−メチルイミダゾール、
4−メチルイミダゾール、
4−イソプロピルイミダゾール、
4−オクチルイミダゾール、
2,4,5−トリメチルイミダゾール、
4,5−ジメチル−2−オクチルイミダゾール、
2−ウンデシル−4−メチル−5−ブロモイミダゾール、
4,5−ジクロロ−2−エチルイミダゾール等のアルキルイミダゾール化合物が例示される。
【0021】
化2の一般式(II)で示されるイミダゾール化合物としては、
ベンズイミダゾール、
2−メチルベンズイミダゾール、
2−エチルベンズイミダゾール、
2−プロピルベンズイミダゾール、
2−イソプロピルベンズイミダゾール、
2−ブチルベンズイミダゾール、
2−t−ブチルベンズイミダゾール、
2−ペンチルベンズイミダゾール、
2−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−(1−メチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(1−エチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−オクチルベンズイミダゾール、
2−(2,4,4−トリメチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−ノニルベンズイミダゾール、
2−デシルベンズイミダゾール、
2−ウンデシルベンズイミダゾール、
2−ドデシルベンズイミダゾール、
2−トリデシルベンズイミダゾール、
2−テトラデシルベンズイミダゾール、
2−ペンタデシルベンズイミダゾール、
2−ヘキサデシルベンズイミダゾール、
2−ヘプタデシルベンズイミダゾール、
2−(1−ヘプチルデシル)ベンズイミダゾール、
2−オクタデシルベンズイミダゾール、
2−ノナデシルベンズイミダゾール、
2−イコサニルベンズイミダゾール、
2−ヘンイコサニルベンズイミダゾール、
2−ドコサニルベンズイミダゾール、
2−トリコサニルベンズイミダゾール、
2−テトラコサニルベンズイミダゾール、
2−ペンタコサニルベンズイミダゾール、
2−(8−オクチルヘキサデシル)ベンズイミダゾール、
2−(9−オクテニル)ベンズイミダゾール、
2−(8−ヘプタデセニル)ベンズイミダゾール、
2−(4−クロロブチル)ベンズイミダゾール、
2−(9−ヒドロキシノニル)ベンズイミダゾール、
2−ヘキシル−5−メチルベンズイミダゾール、
2−ヘプチル−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、
2−オクチル−5−クロロベンズイミダゾール、
2−エチル−5−オクチル−6−ブロモベンズイミダゾール、
2−ペンチル−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
4−フルオロベンズイミダゾール、
2−ペンチル−5−ヨードベンズイミダゾール等のアルキルベンズイミダゾール化合物が例示される。
【0022】
化3の一般式(III)で示されるイミダゾール化合物としては、
2,4−ジフェニルイミダゾール、
2−(2−メチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−オクチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジメチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−メチル−5−ブチルフェニル)イミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−ヘキシルイミダゾール、
2−(2,4−ジエチル)−4−(3−プロピル−5−オクチル)−5−イソブチルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(4−フルオロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,5−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3,5−ジクロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−メチル−4−クロロフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(3−ブロモ−5−オクチルフェニル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(4−フルオロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,5−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,6−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,5−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−エチルイミダゾール、
2−(2,3−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−デシルイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−ヘプタデシルイミダゾール、
2−(2,4−ジブロモフェニル)−4−フェニル−5−イソプロピルイミダゾール、
2−(2−ヘプチル−4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−イソブチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヨードフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(4−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,5−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,6−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3,5−ジクロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジブロモフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−プロピル−3−クロロフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモ−4−ヘプチルフェニル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−クロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ブロモフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−ヨードフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(4−フルオロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,5−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,6−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(3,5−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,3−ジクロロフェニル)−5−プロピルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジクロロフェニル)−5−ウンデシルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2,4−ジブロモフェニル)−5−(1−メチルブチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ヘキシル−4−ヨードフェニル)−5−プロピルイミダゾール、
2,4−ビス(4−クロロフェニル)イミダゾール
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(3,4−ジクロロフェニル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2−ブロモ−4−オクチルフェニル)−4−(2−メチル−4−ヨードフェニル)−5−オクチルイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−フルオロイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−クロロイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−ブロモイミダゾール、
2,4−ジフェニル−5−ヨードイミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)−4−フェニル−5−クロロイミダゾール、
2−(4−クロロフェニル)−4−フェニル−5−ブロモイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−クロロフェニル)−5−ヨードイミダゾール等が例示される。
【0023】
化4の一般式(IV)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)イミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)−4−(4−クロロ−6−ブチル−1−ナフチル)イミダゾール、
2−(2−オクチル−4−エチルフェニル)−4−(5−クロロ−7−ヘプチル−1−ナフチル)イミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−(2−イソブチル−6−ブロモ−2−ナフチル)イミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−メチルイミダゾール、
2−(4−ヨードフェニル)−4−(5,6−ジメチル−1−ナフチル)−5−デシルイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−メチルイミダゾール、
2−(2,3−ジフルオロフェニル)−4−(7−オクチル−2−ナフチル)−5−ヘプタデシルイミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−フルオロイミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−クロロイミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−ブロモイミダゾール、
2−フェニル−4−(1−ナフチル)−5−ヨードイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−フルオロイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−クロロイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−ブロモイミダゾール、
2−フェニル−4−(2−ナフチル)−5−ヨードイミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)−4−(5−クロロ−1−ナフチル)−5−クロロイミダゾール等が例示される。
【0024】
化5の一般式(V)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−(1−ナフチル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニルイミダゾール、
2−(2−メチル−5−クロロ−1−ナフチル)−4−(4−ヘキシルフェニル)イミダゾール、
2−(2−イソブチル−5−ヨード−2−ナフチル)−4−(2−ペンチル−5−フルオロフェニル)イミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール、
2−(3,6−ジクロロ−2−ナフチル)−4−(2−イソプロピル−5−フルオロフェニル−5−デシルイミダゾール、
2−(6−プロピル−7−ヨード−1−ナフチル)−4−(3−ヘキシル−6−ブロモフェニル)−5−ヘプタデシルイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−フルオロイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−クロロイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−ブロモイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5−ヨードイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニル−5−フルオロイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニル−5−クロロイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニル−5−ブロモイミダゾール、
2−(2−ナフチル)−4−フェニル−5−ヨードイミダゾール、
2−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−(2−ヘキシルフェニル)−5−クロロイミダゾール等が例示される。
【0025】
化6の一般式(VI)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−フェニルベンズイミダゾール、
2−(4−メチルフェニル)ベンズイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニル)ベンズイミダゾール、
2−(2−ヘキシルフェニル)−5−クロロベンズイミダゾール、
2−(フェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−エチルフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−クロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(2,4−ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(3,4−ジクロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−ブロモフェニルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(3−ヨードフェニルメチル)−4−クロロベンズイミダゾール、
2−(2−フェニルエチル)ベンズイミダゾール、
2−[2−(3−イソプロピルフェニル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(4−クロロフェニル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−4,5−ジメチルベンズイミダゾール、
2−(3−フェニルプロピル)ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−t−ブチルフェニル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(2−クロロフェニル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−ブロモフェニル)プロピル]−5−ブチルベンズイミダゾール、
2−(4−フェニルブチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(4−クロロフェニル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(2、4−ジクロロフェニル)ブチル]−4,7−ジクロロベンズイミダゾール、
2−(5−フェニルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−[5−(2−オクチルフェニル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(3,4−ジクロロフェニル)ペンチル]−5−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(6−フェニルヘキシル)ベンズイミダゾール、
2−[6−(3−ヘキシルフェニル)ヘキシル]ベンズイミダゾール、
2−[6−(2−エチル−3−フルオロフェニル)ヘキシル]4−ブチル−5−オクチルベンズイミダゾール等が例示される。
【0026】
化7の一般式(VII)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−(1−ナフチル)ベンズイミダゾール、
2−(1−ナフチル)−4−メチルベンズイミダゾール、
2−(2−ナフチル)ベンズイミダゾール、
2−(1−クロロ−2−ナフチル)−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
2−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4,6−ジメチル−1−ナフチルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(7−ブロモ1−ナフチルメチル)−5−ブロモベンズイミダゾール、
2−(2−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−イソプロピル−2−ナフチルメチル)−5−t−ブチルベンズイミダゾール、
2−[2−(1−ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(5−ペンチル−1−ナフチル)エチル]−5−クロロベンズイミダゾール、
2−[2−(2−ナフチル)エチル]ベンズイミダゾール、
2−[2−(6−ヘプチル−2−ナフチル)エチル]−4−メチル−5−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−[3−(1−ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(4−ヨード−1−ナフチル)プロピル]−5,6−ジブロモベンズイミダゾール、
2−[3−(2−ナフチル)プロピル]ベンズイミダゾール、
2−[3−(8−イソプロピル−2−ナフチル)プロピル]−5−(2−メチルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(1−ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(5−フルオロ−1−ナフチル)ブチル]−4−(2−プロピルブチル)ベンズイミダゾール、
2−[4−(2−ナフチル)ブチル]ベンズイミダゾール、
2−[4−(7−オクチル−2−ナフチル)ブチル]−4,6−ジエチルベンズイミダゾール、
2−[5−(1−ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(6−ペンチル−7−フルオロ−1−ナフチル)ペンチル]−4,7−ジプロピルベンズイミダゾール、
2−[5−(2−ナフチル)ペンチル]ベンズイミダゾール、
2−[5−(6,7−ジメチル−2−ナフチル)ペンチル]−5,6−ジクロロベンズイミダゾール、
2−[6−(6,7−ジエチル−1−ナフチル)ヘキシル]−5−オクチルベンズイミダゾール、
2−[6−(2−ナフチル)ヘキシル]ベンズイミダゾール、
2−[6−(7−エチル−8−ブロモ−2−ナフチル)ヘキシル]−4−ヘキシル−6−フルオロベンズイミダゾール等が例示される。
【0027】
化8の一般式(VIII)で示されるイミダゾール化合物としては、
2−シクロヘキシルベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−5,6−ジメチルベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−5−クロロベンズイミダゾール、
2−シクロヘキシル−4−イソプロピルベンズイミダゾール
2−(シクロヘキシルメチル)ベンズイミダゾール、
2−(シクロヘキシルメチル)−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(シクロヘキシルメチル)−5−ブロモベンズイミダゾール、
2−(2−シクロヘキシルエチル)ベンズイミダゾール、
2−(2−シクロヘキシルエチル)−5−クロロ−6−メチルベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)ベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)−5−ブチルベンズイミダゾール、
2−(3−シクロヘキシルプロピル)−4,7−ジメチルベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)ベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−5−ヨードベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−4−クロロ−5−エチルベンズイミダゾール、
2−(4−シクロヘキシルブチル)−5−オクチルベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)ベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)−5−ヘキシルベンズイミダゾール、
2−(5−シクロヘキシルペンチル)−5,6−ジブロモベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)ベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)−5−ヘプチルベンズイミダゾール、
2−(6−シクロヘキシルヘキシル)−4−クロロ−5−(2−プロピルブチル)ベンズイミダゾール等が例示される。
【0028】
本発明の実施においては、これらのイミダゾール化合物を表面処理剤中に0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.1〜5重量%の割合で含有すればよい。イミダゾール化合物の含有割合が0.01重量%より少ないと、金属表面に形成される化成皮膜の膜厚が薄くなり、金属表面の酸化を十分に防止することができない。また、イミダゾール化合物の含有割合を10重量%より多くした場合には、半田付け条件に適した所望の膜厚を得るための表面処理の制御が難しくなる。
【0029】
本発明の実施において使用されるグルコン酸化合物とは、下記化9に示される構造式を有するグルコン酸またはそのアンモニウム塩および金属塩である。グルコン酸のアンモニウム塩としては、グルコン酸アンモニウムやグルコン酸トリメチルアンモニウム、グルコン酸トリエタノールアンモニウムなどのアミン塩等が挙げられる。グルコン酸の金属塩としては、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸亜鉛、グルコン酸鉄、グルコン酸アルミニウム等が挙げられる。
これらのグルコン酸化合物は、表面処理剤中に0.01〜50重量%の割合、好ましくは0.1〜30重量%の割合で含有すればよい。グルコン酸化合物の含有割合が0.01重量%より少ない場合には、半田濡れ性の改善効果が十分なものではなく、また50重量%よりも多くしても、半田濡れ性の改善効果の増加が期待できない。
【0030】
【化9】

【0031】
グルコン酸化合物は金属に配位する作用(キレート能)を有することが知られているが、イミダゾール化合物が金属の表面で錯体を形成しつつ、分子間結合により凝集沈着して化成皮膜を形成する際に、何らかの作用を発揮しているものと考えられる。
【0032】
本発明の実施において、イミダゾール化合物を水溶液化するに当たっては、従来知られた有機酸、無機酸または有機溶剤を可溶化剤として使用することができる。
この際に使用される代表的な有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、グリオキシル酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、パラニトロ安息香酸、パラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、サリチル酸、ピクリン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、酒石酸、アジピン酸等が挙げられ、無機酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、硝酸等が挙げられる。
【0033】
また、有機酸として化10の一般式で示されるカルボン酸化合物を使用してもよい。
【0034】
【化10】

(式中、Rは炭素数が1〜4である直鎖状または分岐鎖状のアルキル基、Rは水素原子またはメチル基を表す。mは0〜3の整数を表し、nは1または2を表す。)
【0035】
これらの酸化合物は、単独または組み合わせて使用することができ、表面処理剤中に0.1〜50重量%の割合、好ましくは1〜30重量%の割合で含有すればよい。酸化合物の含有割合が0.1重量%より少ない場合には、イミダゾール化合物を十分に可溶化することができず、また50重量%より多くしてもイミダゾール化合物の可溶化効果の増加は期待できず、徒に酸化合物の薬剤コストが増大するに過ぎない。
【0036】
また有機溶剤としては、水と自由に混和するメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコールあるいはアセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、エチレングリコール等が挙げられる。
【0037】
本発明の表面処理剤には、金属製導電部の表面における化成皮膜の形成速度を速めるために銅化合物を添加することができ、また形成された化成皮膜の耐熱性を更に向上させるために亜鉛化合物を添加しても良い。
前記銅化合物の代表的なものとしては、酢酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化銅、水酸化銅、リン酸銅、硫酸銅、硝酸銅等であり、また前記亜鉛化合物の代表的なものとしては、酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、蟻酸亜鉛、酢酸亜鉛、蓚酸亜鉛、乳酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、リン酸亜鉛等が挙げられ、何れも表面処理剤中に0.01〜10重量%の割合、好ましくは0.02〜5重量%の割合で含有すれば良い。
【0038】
これらの銅化合物や亜鉛化合物を用いる場合には、表面処理剤中に、アンモニアあるいはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類等の緩衝作用を有する物質を添加して表面処理剤のpHを安定にすることが好ましい。
【0039】
本発明の表面処理剤中には、化成皮膜の形成速度および該皮膜の耐熱性を更に向上させるために、ハロゲン化合物を0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%の割合で含有させることができる。ハロゲン化合物としては、例えばフッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、塩化ナトリム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化アンモニウム、ヨウ化ナトリム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム等が挙げられる。
【0040】
本発明の表面処理剤を用いてプリント配線板の金属製導電部の表面を処理する際の条件としては、表面処理剤の液温を10〜70℃、接触時間を1秒〜10分とすることが好ましい。接触方法としては、浸漬、噴霧、塗布等の方法が挙げられる。
【0041】
また本発明の表面処理を行った後、化成皮膜上に熱可塑性樹脂により二重構造を形成し、更に耐熱性を高めることも可能である。
即ち、金属製導電部の表面上に化成皮膜を生成させた後、ロジン、ロジンエステル等のロジン誘導体、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン樹脂誘導体、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族炭化水素樹脂等の炭化水素樹脂やこれらの混合物からなる耐熱性に優れた熱可塑性樹脂を、トルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール等の溶媒に溶解し、ロールコーター等により化成皮膜上に膜厚1〜30μmの厚みになるように均一に塗布して、化成皮膜と熱可塑性樹脂の二重構造を形成させれば良い。
【0042】
本発明に適応し得る半田付け方法としては、例えば、加熱溶融した液体状の半田が入っている半田槽の上にプリント配線板を流し、電子部品とプリント配線板の接合部に半田付けを行なうフロー法または、予めプリント配線板にペースト状のクリーム半田を回路パターンに合わせて印刷し、そこに電子部品を実装し、プリント配線板を加熱して半田を溶融させ、半田付けを行うリフロー法が挙げられる。
【0043】
本発明の半田付けに適する半田としては、Sn−Ag−Cu系、Sn−Ag−Bi系、Sn−Bi系、Sn−Ag−Bi−In系、Sn−Zn系、Sn−Cu系等の無鉛半田が挙げられるが、従来より使用されてきた錫−鉛合金の共晶半田の使用も可能である。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した原料ならびに評価試験方法は次のとおりである。記載していない原料については、市販の試薬を使用した。
【0045】
[イミダゾール化合物]
・2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール(特開平7-243053号公報に記載された方法に従って合成した)
・2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−フェニル−5−メチルイミダゾール(特開2004-277386号公報に記載された方法に従って合成した)
・2−フェニル−4−(3,4−ジクロロフェニル)イミダゾール(特開2005-104878号公報に記載された方法に従って合成した)
・ 2−(1−ナフチル)−4−フェニル−5メチルイミダゾール(特開2006-36683号公報に記載された方法に従って合成した)
・2−フェニル−4−(2−ナフチル)イミダゾール(特開2006-36683号公報に記載された方法に従って合成した)
・2−(4−クロロフェニルメチル)ベンズイミダゾール(Science of Synthesis,12,529(2002)に記載の方法に準拠して合成した)
・2−(1−ナフチルメチル)ベンズイミダゾール(Biochemical Pharmacology, 36,
463(1987)に記載の方法に準拠して合成した)
【0046】
[グルコン酸化合物]
・グルコン酸(50%水溶液、和光純薬工業社製試薬)
【0047】
[半田上がり性の評価試験]
試験片として、内径0.80mmの銅スルホールを300穴有する120mm(縦)×150mm(横)×1.6mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製のプリント配線板を使用した。この試験片を脱脂、ソフトエッチング及び水洗を行った後、所定の液温に保持した表面処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥して銅表面上に厚さ約0.10〜0.50μmの化成皮膜を形成させた。
この表面処理を行った試験片について、赤外線リフロー装置(製品名:MULTI−PRO−306、ヴィトロニクス社製)を用いて、ピーク温度が245℃であるリフロー加熱を3回行い、次いで、フロー半田付け装置(コンベア速度:1.0m/分)を用いて半田付けを行った。
なお、使用した半田は、96.5錫-3.0銀-0.5銅(重量%)の組成を有する無鉛半田(商品名:H705「エコソルダー」、千住金属工業製)であり、半田付けに際して使用したフラックスはJS−E−09(弘輝製)である。また、半田温度は245℃とした。
半田付けを行った試験片について、銅スルーホールの上部ランド部分まで半田が上昇した(半田付けされた)スルーホール数を計測し、全スルーホール数(300穴)に対する割合(%)を算出した。
銅の表面に対して半田の濡れ性が大きい程、溶融した半田が銅スルーホール内を浸透し該スルーホールの上部ランド部分まで上昇し易くなる。即ち、全スルーホール数に対する上部ランド部分まで半田が上昇したスルーホール数の割合が大きい程、銅に対する半田濡れ性が優れ、半田付け性が良好なものと判定される。
【0048】
[半田広がり性の評価試験]
試験片として、50mm(縦)×50mm(横)×1.2mm(厚み)のガラスエポキシ樹脂製のプリント配線板(回路パターンとして、銅箔からなる導体幅0.80mm、長さ20mmの回路部を、1.0mmの間隔にて幅方向に10本形成させたもの)を使用した。この試験片を脱脂、ソフトエッチング及び水洗を行った後、所定の液温に保持した表面処理剤に所定時間浸漬し、次いで水洗、乾燥して銅表面上に厚さ約0.10〜0.50μmの化成皮膜を形成させた。
この表面処理を行った試験片について、赤外線リフロー装置(製品名:MULTI−PRO−306、ヴィトロニクス社製)を用いて、ピーク温度が245℃であるリフロー加熱を1回行った。その後、開口径1.2mm、厚み150μmのメタルマスクを使用して銅回路部の中央にクリーム半田を印刷し、前期条件でリフロー加熱を行い、半田付けを行った。なお、使用したクリーム半田は、96.5錫-3.0銀-0.5銅(重量%)からなる組成の無鉛半田(商品名:M705−221BM5−42−11、千住金属工業製)である。
得られた試験片について、銅回路部の表面に濡れ広がった半田の長さ(mm)を測定した。
この長さが大きい程、半田濡れ性が優れ、半田付け性が良好なものと判定される。
【0049】
〔実施例1〕
イミダゾール化合物として2,4−ジフェニル−5−メチルイミダゾール、可溶化剤として酢酸およびグルコン酸、金属塩として酢酸銅、ハロゲン化合物としてヨウ化アンモニウムを、各々表1に記載した組成になるようにイオン交換水に溶解させた後、アンモニア水でpH3.6に調整して表面処理剤を調製した。
次いで、プリント配線板の試験片を40℃に温調した水溶性プレフラックスに60秒間浸漬したのち、水洗、乾燥し、半田上がり性および半田広がり性を測定した。これらの試験結果は表1に示したとおりであった。
【0050】
〔実施例2〜9、比較例1〜9〕
実施例1と同様にして、表1記載の組成およびpHを有する表面処理剤を調製し、表1に記載の処理条件にて表面処理を行い、評価試験を実施した。得られた試験結果は表1に示したとおりであった。
【0051】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミダゾール化合物と、グルコン酸化合物を含有することを特徴とする金属の表面処理剤。
【請求項2】
イミダゾール化合物を0.01〜10重量%の割合で含有し、グルコン酸化合物を0.01〜50重量%の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の金属の表面処理剤。
【請求項3】
金属製導電部の表面に請求項1または請求項2に記載の金属の表面処理剤を接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させたことを特徴とするプリント配線板。
【請求項4】
金属製導電部の表面に請求項1または請求項2に記載の金属の表面処理剤を接触させることにより、金属製導電部の表面に化成皮膜を形成させた後、無鉛半田を用いて半田付けを行うことを特徴とするプリント配線板の製造方法。

【公開番号】特開2007−308776(P2007−308776A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140229(P2006−140229)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000180302)四国化成工業株式会社 (167)
【Fターム(参考)】