説明

金属ベース基板とその製造方法

【課題】金属ベース基板は、プリント配線板を部品搭載後に金属プレートにはんだ付けやネジ止めで取り付けることが多く、組み立て作業が煩雑となる問題がある。
【解決手段】本発明は、金属プレートと、プリント配線板とを有した金属ベース基板であって、前記プリント配線板と金属プレートとの間に形成されたはんだ層と、前記プリント配線板との位置を固定するための固定ピンを少なくとも1つ有する前記金属プレートと、前記固定ピンの位置に対応して形成された前記固定ピンが圧入される挿入孔を有する前記プリント配線板とを有する金属ベース基板である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ベース基板とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から銅等の金属板を最外層とした金属プレート付きプリント基板(以後、金属ベース基板と称す)がある。図6に関連する金属ベース基板1の断面図を示す。
【0003】
図6に示すように金属ベース基板1は、プリント配線板10の一方の面にパターンランド30、他方に金属プレート20が配置されている。プリント配線板10、金属プレート20には放熱目的、グランド配線用のスルーホール40が形成されている。このような金属ベース基板1は放熱用途を中心に使用されている。なお、プリント配線板10を多層化する場合、特にグランド配線用のスルーホールで無いものは金属プレート20との短絡を防ぐため、金属プレート部分に樹脂埋め等で部分的な絶縁部50を設けてスルーホールを配置する必要がある。
【0004】
ここで、特許文献1にプリント配線板と金属プレートをはんだシートではんだ付けする技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−50928号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような金属ベース基板1は、プリント配線板を部品搭載後に金属プレートにはんだ付けやネジ止めで取り付けることが多いが、組み立て作業が煩雑となる問題がある。
【0006】
また、特許文献1のような技術では、プリント配線板と金属プレートをはんだペーストではんだ付けする方法も行なわれているが、プリント配線板と金属プレートとの位置合わせ等の部品実装工程が煩雑となりやすい問題がある。
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、片面配線や多層及び両面配線のプリント配線板であっても容易に製造できる金属ベース基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、金属プレートと、プリント配線板とを有した金属ベース基板であって、前記プリント配線板と金属プレートとの間に形成されたはんだ層と、前記プリント配線板との位置を固定するための固定ピンを少なくとも1つ有する前記金属プレートと、前記固定ピンの位置に対応して形成された前記固定ピンが圧入される挿入孔を有する前記プリント配線板とを有する金属ベース基板である。
【0008】
本発明の他の態様は、金属プレートと、プリント配線板とを有した金属ベース基板であって、前記金属プレート上にはんだシートを配置し、前記金属プレートが有する固定ピンを、プリント配線板の前記固定ピンの位置に対応して形成された挿入孔に圧入し、リフロー処理により前記はんだシートを溶融させる金属ベース基板の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、片面配線や多層及び両面配線のプリント配線板であっても、金属ベース基板が容易に製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明の実施の形態
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1に本実施の形態にかかる金属プレート付きプリント基板の構成の一例を示す。図1に示すように、金属プレート付きプリント基板100(以後、金属ベース基板100と称す)は、プリント配線板110と、金属プレート120とを有する。
【0011】
プリント配線板110は、金属プレート120に設けられた固定用ピン121を圧入するために固定ピン挿入孔144、スルーホール141、放熱用スルーホール142を有する。また、プリント配線板110は、表裏の両面に配線用及び金属プレートとの接続用のパターンランド130を有する。ここで、金属プレートとの接続用のパターンランドを130a、130b、130cとする。固定ピン挿入孔144はスルーホールまたは一般穴のどちらでも良い。固定ピン挿入孔144は、プリント配線板110に少なくとも1つ以上形成され、形状は四角等のように丸以外の形状であってもよい。なお、挿入孔144は、図1に示すような貫通孔に限らない。また、プリント配線板110においてキャビティ構造が必要な場合は、キャビティ用開口部143を設けておいてもよい。
【0012】
金属プレート120は、プリント配線板110と接続する側の面がプリント配線板110のパターンランド130と接触することを防止するための凹み122(以後、パターンランド逃げ122と称す)と、プリント配線板110との固定に使用する固定用ピン121を有する。固定用ピン121は、図2に示す模式図のように固定ピン挿入孔144に対応した位置に同数形成される。また、形状も固定ピン挿入孔144に応じた形状となる。
【0013】
パターンランド逃げ122は、金属プレート120に対して機械加工又はエッチングにより加工される。また、パターンランド逃げ122の深さは任意であるが、金属プレート120とパターンランド130との接触を避けたい部分についてはパターンランド130のパターン厚以上とする。固定用ピン121は金属プレート120に圧入等で固定するか、金属プレート120との一体加工により形成してもよい。
【0014】
金属プレート120と接続したいパターンランド130a、130b、130cに対応するパターンランド逃げ122a、122b、122cには、はんだシート150が配置される。このはんだシート150は、図3に示すように、金属プレート120の固定用ピン121がプリント配線板110の固定ピン挿入孔144に圧入される前に、パターンランド逃げ122に置かれる。そして、固定ピン挿入孔144に固定用ピン121が圧入され、はんだシート150が金属プレート120のパターンランド逃げ122a、122b、122cとパターンランド130a、130b、130cとの間に圧着される。
【0015】
そして、図4に示すように、図1の金属ベース基板100に一般のプリント配線板と同様にはんだペースト等を塗布後に部品161の実装を行う。この際、必要に応じてキャビティ用金属ブロック162と部品163を同様に実装する。その後、金属ベース基板100がリフロー処理されることではんだシート150は、パターンランド逃げ122a、122b、122cと、パターンランド130a、130b、130c間においてはんだ層を形成する。このはんだ層は、パターンランド逃げ122a、122b、122cと、パターンランド130a、130b、130cを電気的、機械的に接続する。また、部品161、163がパターンランド130に接続される。
【0016】
図5に本実施の形態の金属プレート付きプリント基板100の製造方法の手順を示す。まず、スルーホール141、142、固定ピン挿入孔144、パターンランド130を有するプリント配線板110を製造する。また、固定用ピン121、パターンランド逃げ122を有する金属プレート120を加工、製造する(S101)。
【0017】
次に、金属プレート120のパターンランド逃げ122a、122b、122c上に、にはんだシート150を設置する(S102)。次に、固定用ピン121を固定ピン挿入孔144に圧入し、金属プレート120とプリント配線板110を固定する。これにより、はんだシート150をパターンランド逃げ122a、122b、122cとパターンランド130a、130b、130cに圧着させる(S103)。最後に、金属プレート付きプリント基板100をリフロー処理する(S104)。
【0018】
以上、本発明の実施の形態では、以下のような効果を得ることができる。まず、多層(又は両面、片面)プリント配線板の製造後に、このプリント配線板とはんだシートを介して金属プレートの固定用ピンを圧入して固定する。このことにより、リフロー処理時のはんだの溶融による流れや吸い込み等によるプリント配線板と金属プレートの接続位置ずれの発生を防ぐことができる。このため、片面、両面、多層配線のどのプリント配線板でも金属ベース基板が容易に製造でき、従来問題となっていた製造時の煩雑さを解消できる。
【0019】
また、金属プレートと接続したいパターンランドは、最終的にはんだ付けされるため、更に安定した電気的、機械的な接続状態を維持できる。
【0020】
また、従来行われていたような、はんだペーストでプリント配線板と金属プレートをはんだ付けする場合では、はんだペーストの塗布からリフロー処理まで比較的短期間で処理を行う必要があった。しかし、本発明では、はんだシートを使用しているためプリント配線板に金属プレートを圧入固定した状態で長期間の保存が可能である。
【0021】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものでなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、キャビティ用金属ブロック162は、金属プレート120と一体加工としてもよい。また、プリント配線板側に凸状の固定用の突起物を有し、金属プレート側の凹状の開口部に、この凸状の固定用の突起物を圧入してプリント配線板と金属プレートを固定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施の形態にかかる金属プレート付きプリント基板の断面構成図である。
【図2】実施の形態にかかる金属プレートとプリント配線板との接続関係を示す模式図である。
【図3】実施の形態にかかる金属プレート付きプリント基板の製造過程を説明する図である。
【図4】実施の形態にかかる金属プレート付きプリント基板の製造過程を説明する図である。
【図5】実施の形態にかかる金属プレート付きプリント基板の製造手順を示すフローチャートである。
【図6】関連する金属プレート付きプリント基板の断面構成図である
【符号の説明】
【0023】
100 金属プレート付きプリント基板
110 プリント配線板
120 金属プレート
121 固定用ピン
130 パターンランド
141 スルーホール
142 放熱用スルーホール
143 キャビティ用開口部
144 固定ピン挿入孔
150 はんだシート
161、163 実装部品
162 キャビティ用金属ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属プレートと、プリント配線板とを有した金属ベース基板であって、
前記プリント配線板と金属プレートとの間に形成されたはんだ層と、
前記プリント配線板との位置を固定するための固定ピンを少なくとも1つ有する前記金属プレートと、
前記固定ピンの位置に対応して形成された前記固定ピンが圧入される挿入孔を有する前記プリント配線板と、
を有する金属ベース基板。
【請求項2】
前記はんだ層は、はんだシートをリフロー処理し形成される請求項1に記載の金属ベース基板。
【請求項3】
前記プリント配線板は、一方の面に上部パターン電極が設けられ、且つ他方の面に下部パターン電極が設けられている請求項1または請求項2に記載の金属ベース基板。
【請求項4】
前記上部パターン電極と下部パターン電極が、スルーホールを介して接続される請求項3に記載の金属ベース基板。
【請求項5】
金属プレートと、プリント配線板とを有した金属ベース基板であって、
前記金属プレート上にはんだシートを配置し、
前記金属プレートが有する固定ピンを、プリント配線板の前記固定ピンの位置に対応して形成された挿入孔に圧入し、
リフロー処理により前記はんだシートを溶融させる金属ベース基板の製造方法。
【請求項6】
前記プリント配線板は、一方の面に上部パターン電極が設けられ、且つ他方の面に下部パターン電極が設けられている請求項5に記載の金属ベース基板の製造方法。
【請求項7】
前記上部パターン電極と下部パターン電極が、スルーホールを介して接続される請求項6に記載の金属ベース基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−200234(P2009−200234A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40040(P2008−40040)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】