Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
金属試料を測定する膨張計
説明

金属試料を測定する膨張計

【課題】温度に依存する長さの変化を正確に測定することができる膨張計を提供する。
【解決手段】試料3を固定することのできる試料ホルダ4、14と、試料3を加熱するために試料3に配置される少なくとも1つの誘導コイル5と、試料3の温度を測定する少なくとも1つのセンサとを備える、金属試料3を測定する膨張計1であって、試料3の長さの変化を検出する光学測定装置6、9が備えられている。これにより、温度に依存する、試料の長さの変化を正確に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に係る、金属試料を測定する膨張計に関する。
【背景技術】
【0002】
長手方向において、金属試料が2つのクランプピンの間にクランプされる膨張計がある。試料は誘導コイルを用いて加熱され、長さの変化が2つのクランプピンに補助されて測定される。加えて、試料の温度は、試料の中心領域において検出される。この膨張計の欠点は、クランプピンと接触する試料の面から熱が試料の外部に移動し、その結果、試料内に温度勾配ができるため、測定温度と長さの変化との相関関係が影響を受けてしまうことである。特に、相変態を調べる場合には、この試料の外部への熱の移動によって、試料内で同時には相変態が起こらない場合がある。これは、例えば、相変態が周辺領域で始まったばかりなのに中心領域ですでに完了しているためである。その上、誘導磁界の非対称性も、この温度勾配に悪影響を与える。このような膨張計の場合、相転移を十全に検出することができないため測定は誤差を生じてしまう。これは、加熱速度が速い場合および冷却速度が速い場合に特に顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、金属試料を測定する膨張計であって、温度に依存する長さの変化を正確に測定することができる膨張計を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1の特徴を有する膨張計によって達成される。
【0005】
本発明によれば、膨張計は、試料の長さの変化を検出する光学測定装置を備える。これにより、長さの変化の非接触測定を行うことが可能になる。この非接触測定によって、測定点で熱の流出は生じない。さらに、光学測定装置を用いて、高精度で長さの変化を検出することができる。
【0006】
光学測定装置によって、測定面における長さの変化を検出し、試料の温度を測定するセンサによって、この測定面の同じ領域における温度を測定するのが好ましい。その結果、長手方向に温度勾配がある場合でも、長さの変化を正確に測定することができる。これは、温度が、長さの変化を測定する領域で測定されるためである。これに関連して「長さの変化」を測定するということは、必ずしも試料の長手方向における測定を意味せず、試料の任意の方向における測定、好ましくは試料の長手方向を横切る方向の測定を意味する。センサによって、光学測定装置の測定面の領域における温度を検出することができる。なお、この領域内では、センサと測定面との間のわずかな空間が覆われており、前記わずかな空間は、測定に悪影響を与えない。
【0007】
本発明のさらなる実施形態によれば、光学測定装置は、送信機と、受信機と、温度を測定する少なくとも1つのセンサとを有する。なお、この少なくとも1つのセンサセンサは、受信機に対向する試料の側の、光学測定装置の影または受信機から離れる方を向く試料の側に、配置される。このようにして、正確に測定面において温度測定を行うことができる。なお、センサは、影または送信機に対向する側に配置されるため、光学測定装置の邪魔にならない。光学測定装置によって測定される試料の周辺領域だけは、センサから離されているべきである。
【0008】
光学測定装置の場合、送信機として、平行な経路のビームを生成するコリメータを備える光源を採用することができる。受信機として、センサを、例えば高速リニアCCDセンサを使用して、試料の影の映像を検出することができる。したがって、温度を測定するセンサは、光学測定装置の「影となる領域」において、試料と接触することができ、そのため、長さの変化の測定を妨げない。
【0009】
センサは、試料に対して先端で固定される熱電対として設計されるのが好ましい。熱電対の導体の断面が小さいため、これらの導体は、長期的な態様では試料の温度に影響を与えない。
【0010】
少なくとも1つの誘導コイルは、優先的に中心領域に隙間を有し、光学測定装置の測定面は、この隙間の領域に配置される。このように、測定面は、試料の長手方向に対して垂直方向に配置することができる。なお、光学測定装置の測定面のための空間を設けるために、隙間の領域の誘導コイルの傾斜のみがわずかに増やされる。少なくとも1つの誘導コイルは任意の形状とすることができる。測定ビームによって、妨害されずに、試料の長さの変化を検出できるためには、光学測定装置のために中心領域に隙間を有する円形コイル、さらには平面コイルおよび特別に適合されたコイルが使用されるのが好ましい。加えて、巻線の均一な螺旋状の誘導コイルを用意し、巻線の傾斜に対して略平行に測定面を配置することによって、誘導コイルの領域に他より広い隙間を配置することを不要とすることも可能である。
【0011】
試料ホルダは、長手方向において間に試料をクランプすることのできる2つのクランプピンおよび/または伝達ロッドを備えるのが好ましい。伝達ロッドを用いて、試料の長手方向における長さの変化を検出することもできる。加えて、このとき、光学測定装置によって、長手方向に対して略垂直に測定を行うことができる。
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、実施形態にもとづき、本発明についてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る膨張計の概略図を示している。
【図2】試料の領域に関する、図1の膨張計の詳細な拡大図を示している。
【図3】温度プロファイルとともに、試料ホルダの領域における試料の拡大図を示している。
【図4】変更された試料ホルダを有する図1の膨張計の図を示している。
【図5】試料の領域に関する、図4の膨張計の図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
膨張計1は、筐体の内部に試料室2を備えており、そこでは、金属試料3が、第1のクランプピン4および第2のクランプピン14によって形成されている試料ホルダにクランプされている。試料3は、円筒形ロッド、管状、正方形、多角形、または他の幾何学的形状であってもよい。以下、長手方向は、クランプピン4および14の長手方向軸線に沿って伸びる方向であると解される。
【0015】
試料室2に不活性ガスを供給すること、および/または試料室2を真空にすることができ、試料室2を熱的に絶縁することができ、また、試料室2は、本明細書ではさらに説明されない他の機能を有することができる。
【0016】
試料3の長さの変化を測定するために、光学測定装置には、送信機6および受信機9が備わっている。送信機6は、光源、例えば高出力のGaN LEDを備える。この光源は一定の波長を有する光を放射し、その後、この光は、光学システム、例えばコリメータおよびディフューザを有する光学システムによって試料3に向けられる。このようにして、送信機6は、試料3の中心領域、すなわち、試料3の全長の約30%〜70%の範囲に入射する、帯状経路のビーム(band−shaped beam path)7を放射する。
【0017】
試料3から離れる方向を向く側では、帯状経路のビーム8が、受信機9に入射しており、そこでは、帯状経路のビーム8によって、試料3の影像が受信機9に投影されている。受信機として、試料3の長さを正確に検出する光学センサを、測定面の領域に配置することができる。なお、測定面は、帯状経路のビーム7および8によって形成されている。したがって、光学測定装置のこの測定面は、試料ホルダ4および14の長手方向に対して略垂直に配置されている。
【0018】
試料室2内には、試料3の周囲に配置された誘導コイル5がある。この誘導コイル5は、試料3の範囲を越えて長手方向に延在している。誘導コイル5を用いて、高速で、例えば1000K/s超の速度で試料3を加熱することができる。
【0019】
さらに、試料3の加熱または冷却時に、試料の長手方向における長さの変化を検出することができる。これは、第2のクランプピン14に連結された変位変換器10が備えられており、そこで第2のクランプピン14の移動が測定されるためである。第1のクランプピン4は、動かないように設計されている。
【0020】
図2の拡大図に示されているように、熱電対の形態をしたセンサ11が、試料3に配置され、前記センサ11の先端が、例えばスポット溶接によって、試料3に固定されている。熱電対11は、第1の導体12および第2の導体13を備える。導体12および13による熱損失が無視できるようにするために、これらの導体の断面は、試料3に対して非常に小さくなるように設計されている。
【0021】
熱電対11の先端は、光学測定装置の測定面の領域において、試料3の影となる領域に配置される。なお、前記測定面は、受信機9に対向している。このように、光学測定装置による長さの変化の測定も行われる位置において、試料3の温度が比較的正確に検出される。温度センサ11は、正確に測定面のその領域に配置されるのが好ましい。
【0022】
試料3を加熱するために、誘導コイル5が、試料3の周囲に巻き付けられている。ただし、この状況に適合する平面コイルまたは他の形状のコイルが使用されてもよい。光学測定装置の領域、すなわち、誘導コイル5の2つの隣り合う巻線間の測定面には、隙間Lが形成されている。巻線の影響を受けることなく、帯状経路のビーム7が試料3の面に入射でき、また帯状経路のビーム8が受信機9によって受信されることを可能にするために、この隙間Lでは、巻線のピッチが、他のピッチよりわずかに大きくなるように選択されている。誘導コイル5の2つの巻線間の隙間Lを小さくするために、帯状経路のビーム7および8を用いて、光学測定装置の測定面をわずかに傾けて配置することも可能である。このとき、測定面は、試料ホルダの長手方向に対して正確に垂直には配置されないことになる。
【0023】
図3では、試料3は、試料ホルダの第1のクランプピン4と第2のクランプピン14との間にクランプされている。試料3は、誘導コイル5によって加熱された。また、図に見ることができるように、試料3は、中心領域では1,000℃の温度を有しており、他方、端の領域においては、明らかな熱流出(heat drain)が第1のクランプピン4および第2のクランプピン14の位置で生じているため、995℃の温度にしかならない。本膨張計の場合、この温度の差異dTは、不正確な測定の原因とはなり得ない。これは、光学測定装置の測定面および試料の温度を測定するセンサが試料3の中心領域に配置されており、試料ホルダ4および14におけるさらなる温度損失が発生しないためである。このようにして、特に金属試料の相転移、例えば高温度相(オーステナイト)と低温度相(マルテンサイト)との間の金属試料の相転移がある場合に、温度に依存する長さの変化を正確に測定することができる。
【0024】
図1および図2には、温度変化によって試料3が膨張または収縮する焼入れモード(quenching mode)における膨張計1が示されている一方で、図4には、変形モードの図1の膨張計1が示されている。ここでは、同じ構成要素は、同じ参照符号を用いて示されている。変形モードにおける試料ホルダとして、試料3と比べて断面が著しく大きい第1のクランプピン4’および第2のクランプピン14’が採用されている。これにより、例えば時間−温度変態図を生成するために、試料3を任意の特定の温度で圧縮し、その後、急速に冷却することが可能になる。誘導コイル5を用いて試料3を加熱することができる一方で、試料3に気体を噴き付ける(flush)ことによって、試料3を冷却できる。温度に依存する長さの変化は、送信機6および受信機9を有する光学測定装置を用いて測定することができる。
【0025】
測定面の領域には、温度センサ11が備え付けられている。この温度センサ11は、図2に準じて設計され、また、送信機6の側において、試料3の中央領域に配置され、光学測定装置によって検出される端の領域には配置されない。
【符号の説明】
【0026】
1…膨張計、2…試料室、3…金属試料、4…第1のクランプピン、5…誘導コイル、6…送信機、7、8…ビーム、9…受信機、10…変位変換器、11…温度センサ、12…第1の導体、13…第2の導体、14…第2のクランプピン、L…隙間、dT…差異

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)試料(3)を固定することのできる1つの試料ホルダ(4、14)と、
b)前記試料(3)を加熱するために該試料(3)に配置される少なくとも1つの誘導コイル(5)と、
c)前記試料(3)の温度を測定する少なくとも1つのセンサ(11)と
を備える、金属試料を測定する膨張計(1)において、
d)前記試料(3)の長さの変化を検出する光学測定装置(6、9)が備えられていることを特徴とする膨張計(1)。
【請求項2】
前記光学測定装置(6、9)が、測定面おいて長さの変化を検出し、前記センサ(11)が、正確に該測定面のその領域において前記試料(3)の温度を測定することを特徴とする、請求項1に記載の膨張計。
【請求項3】
前記光学測定装置が、送信機(6)および受信機(9)を有し、前記温度を測定する前記センサ(11)が、該受信機(9)に対向する側で前記試料(3)と接触することを特徴とする、請求項1または2に記載の膨張計。
【請求項4】
前記センサ(11)が、前記試料(3)に対して先端で固定される熱電対として形成されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の膨張計。
【請求項5】
前記少なくとも1つの誘導コイル(5)が、中心領域に隙間(L)を有し、前記光学測定装置の測定面が、該隙間(L)の領域に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の膨張計。
【請求項6】
前記試料ホルダが、2つのクランプピン(4、14、4’、14’)を備え、該2つのクランプピン(4、14、4’、14’)の間に、前記試料(3)を長手方向においてクランプすることができることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の膨張計。
【請求項7】
前記光学測定装置(6、9)の前記測定面が、前記長手方向に対して略垂直に配置されることを特徴とする、請求項6に記載の膨張計。
【請求項8】
前記試料ホルダ(4、14)を用いても、長手方向における前記試料(3)の長さの変化を検出することができることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の膨張計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−36980(P2013−36980A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−134120(P2012−134120)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【出願人】(512155412)バール‐サーモアナライズ ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】