説明

鉛直オフセットコーター及び使用方法

本発明は、シート状基板の概ね対向する主面上に薄膜を堆積させるためのコーター及びコーターの使用方法を提供する。コーターは、基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で基板を支持するよう適合させた基板移送システムを有する。移送システムは、コーターを通って延びる基板進行路を規定する。移送システムは、基板を基板進行路に沿って搬送するよう適合されている。好ましくは、移送システムは、基板のうら主面を支持するためのサイドサポートを含む。好ましいサイドサポートは、コーティング材料が基板のうら主面上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過する少なくとも1つのパッセージを画定する。好ましくは、コーターは、基板進行路の両側のそれぞれに(例えば、コーティング材料を供給するよう適合させた)少なくとも1つのコーティング装置を含む。コーティング装置は、好ましくは、基板を基板進行路に沿って一度だけ通過させて、基板の概ね対向する両主面上にコーティングを堆積させるよう適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス及びその他のシート状基板上にコーティングを堆積させるための方法及び設備を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
板ガラス及びその他のシート状基板に多種多様なコーティングを施して、それらの基板に所望の特性及び特徴を持たせることができる。周知のコーティングの種類には、低放射率コーティング、ソーラーコントロールコーティング、親水性コーティング、疎水性コーティング、光触媒性コーティング、光起電性コーティング、エレクトロクロミックコーティング、ミラーコーティング、及び反射防止コーティングが含まれる。ある場合には、シート状の基板の両面にコーティングを施すのが望ましい。例えば、基板の一方の面上に低放射率コーティングを施し、他方の面上に光触媒性コーティングを施してもよい。代替的には、基板の一方の面上に低放射率コーティングを施し、他方の面上に疎水性コーティングを施してもよい。また、基板の一方の面上に低放射率コーティングを施し、他方の面上に(光触媒性であってもなくてもよい)親水性コーティングを施してもよい。更にまた、基板の一方の面上に光触媒性コーティングを施し、他方の面上にミラーコーティングを施してもよい。多くの更なる変形が考えられる。
【0003】
基板の両面にコーティングが施される場合、例えば、下向堆積のみに適合させたコーターを用いて(例えば、従来の下向スパッタリングのみに適合させたコーターを用いて)、コーティング堆積を行うことができる。これは、最初のコーター通過の際、基板の一方の面にコーティングを施し、最初の通過と二度目の通過の間に基板を反転させて、その後、二度目のコーター通過の際、基板の他方の面に別のコーティングを施すことを含む。代替的には、基板を第1のコーター(例えば、熱分解堆積に適合させたコーター)中を通って搬送することによって基板の一方の面をコートし、続いて基板を第2のコーター(例えば、スパッター堆積に適合させたコーター)中を通って搬送することによって基板の他方の面をコートすることができる。このような工程は、しかし、効率及び容易さの点で理想的とは言えない。
【0004】
一般に、単一のコーティング装置に一度だけ通過させて基板の両面をコートすることにより、シート状基板の両面をコートするためのより効率的な方法を提供するべく、試みがなされてきた。米国特許第5,683,561号(Hollarsら)及び第5,762,674号(Maltby, Jr.ら)を参照するが、これらそれぞれの全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。基板の両面をコートするための特に有用な技術が、国際特許出願PCT/US99/02208(国際公開番号WO 00/37377(Bondら))に開示されており、その全内容は、ここに参照することにより組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これら近年の技術がこれまでの方法を超えた大きな進歩を見せる一方で、基板の両面にコーティングを施す、その他の高度な技術が必要とされる。例えば、新しいコーティングの急速な発展及び堆積設備の継続的な発達に伴い、基板の両面に高品質なコーティングを施すことができる、その他の効率的な方法が必要とされる。大面積基板の両面にピンホールを含まないコーティングを施すことができる技術が特に必要とされる。これは、特に、建築及び自動車のガラス用途向けに設計された板ガラス及びその他の大面積基板について当てはまる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
特定の実施形態において、本発明は、シート状基板の概ね対向する主面上に薄膜を堆積させる方法を提供する。この方法は、前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で前記基板を保持するよう適合させた基板移送システムを有するコーターを準備する工程を含む。前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定する。前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら面を支持するためのサイドサポートを含む。前記サイドサポートは、コーティング材料が前記基板のうら主面上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過するパッセージを画定する。好ましくは、前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含む。前記方法は、前記基板を、前記基板が前記鉛直オフセット構成で保持されるように、前記移送システム上に配置する工程と、前記基板を前記基板進行路に沿って搬送する工程と、前記基板を前記進行路に沿って一度だけ通過させて、前記基板の概ね対向する両面上にコーティングを堆積させるように前記コーティング装置を操作する工程とを含む。
【0007】
特定の実施形態において、本発明は、シート状基板の概ね対向する主面上に、前記基板をコーターに一度だけ通過させて薄膜を堆積させるための前記コーターを提供する。前記コーターは、前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で前記基板を支持するよう適合させた基板移送システムを有する。前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定する。前記移送システムは、前記基板を前記鉛直オフセット構成で保持しながら、前記基板を前記基板進行路に沿って搬送するよう適合されている。前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら面を支持するためのサイドサポートを含む。前記サイドサポートは、コーティング材料が前記基板のうら主面上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過するパッセージを画定する。前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含む。前記コーティング装置は、前記基板を前記基板進行路に沿って一度だけ通過させて、前記基板の概ね対向する両主面上にコーティングを堆積させるよう適合されている。
【0008】
特定の実施形態において、本発明は、シート状の大面積基板の概ね対向する主面上に、コーターを用いて薄膜を堆積させるための方法を提供する。これらの実施形態において、前記大面積基板は、約1メートル以上の主要寸法を有する。前記方法は、前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で保持されるように前記基板を基板移送システム上に配置することを含む。前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定する。前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら主面を支持するための複数の支持面を備えるサイドサポートを有する。前記サイドサポートは、少なくとも2つの前記支持面の間にそれぞれ位置する複数のパッセージを画定する。前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含む。前記基板は、前記鉛直オフセット構成で保持されながら、前記基板進行路に沿って搬送される。前記コーティング装置は、前記基板を前記コーターに一度だけ通過させて、前記基板の両主面上に略全体的にコーティング材料を堆積させ、前記コーティング材料の一部が、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給されるように操作される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、その中では異なる図面における同様の素子に同じ参照符号が付されている。図面は、必ずしも共通の縮尺とは限らないが、選択された実施形態を表し、本発明の範囲を限定するものではない。当業者であれば、ここに挙げられた実施例には本発明の範囲内に入る多くの有用な変形例があることを認めるであろう。
【0010】
様々な基板が、本発明における使用に適している。ほとんどの場合、基板10は、透明材料のシート(すなわち、透明シート)である。しかし、基板10は透明である必要はない。例えば、ある場合には、不透明な基板が有用であるかもしれない。しかし、ほとんどの用途について、基板は、ガラス又はクリアプラスチック等の透明又は半透明材料を含むであろうことが予期される。多くの場合、基板10は窓ガラスであろう。様々なガラスの種類を用いることができ、ソーダ石灰ガラスが好ましいと思われる。
【0011】
本発明において、様々なサイズの基板を用いることができる。一般的に、大面積基板が用いられる。特定の実施形態は、約0.5メートル以上、好ましくは約1メートル以上、恐らくより好ましくは約1.5メートル以上(例えば、約2メートルから約4メートルの間)、ある場合には約3メートル以上の主要寸法(例えば、幅又は長さ)を有する基板10を含む。
【0012】
本発明において、様々な厚みの基板を用いることができる。一般的に、約1から5mmの厚みの基板が用いられる。ある実施形態は、約2.3mmから約4.8mmの間、恐らくより好ましくは約2.5mmから約4.8mmの間の厚みを有する基板10を含む。ある場合には、厚み約3mmのガラス板(例えば、ソーダ石灰ガラス)が用いられる。
【0013】
概して、本発明は、鉛直オフセットコーター及びこのコーターを用いてシート状基板上にコーティングを堆積させる方法を提供する。特定の実施形態において、このコーター及び方法は、基板をコーターに一度だけ通過させて、基板の概ね対向する表面上にコーティングを堆積させるのに用いられる。そのような実施形態において、製造業者は、非常に効率的に、基板の両主面に高品質のコーティングを施すことができる。得られたコーティングは全体でない場合には大部分において、望ましくないピンホール及び同様の欠陥を含まない。
【0014】
従って、特定の実施形態において、本発明は、シート状基板の概ね対向する主面上に、基板をコーターに一度だけ通過させて薄膜を堆積させるためのコーターを提供する。このコーターは、好ましくはそれぞれ天井部22、床部24、及び1つ以上の側壁26を有する1つ以上の堆積チャンバーを含む。
【0015】
恐らく図3、6から7、及び10に最もよく図示されているように、コーター20は基板移送システム170を含む。好ましくは、移送システム170は、基板10が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度αだけオフセットされた鉛直オフセット構成で基板を保持するよう適合されている。基板の鉛直オフセット構成は、恐らく図4を参照して最もよく理解される。角度αは、好ましくは約25度未満であり、恐らくより好ましくは約15度未満であり、恐らく最適には約10度未満である。特定の実施形態において、角度αは、約5度から約10度の間である。一実施形態は、約7度の角度αを含む。
【0016】
移送システム170は、コーター20を通って延びる基板進行路100を規定する。好ましくは、基板進行路100は、図7において最もよく分かるように、コーター入口115とコーター出口120の間に延びている。移送システム170は、好ましくは、基板10を鉛直オフセット構成で保持しながら、基板10を基板進行路100に沿って移動させる(例えば、搬送する)よう適合されている。従って、移送システム170は、サイドサポート30と底部コンベア40とを含むことが好ましい。
【0017】
基板10が、移送システム170上を、コーター20中を通って搬送される時、基板のうら主面14は、サイドサポート30により(例えば、それに直接、物理的に接触して)支持される。サイドサポート30は、様々な異なる形態で設けることができる。例えば、サイドサポート30は、フレーム枠132及び/又はプラテン39を含むことができる。図1から3及び8から9は、サイドサポートがプラテン39を含む特定の実施形態を例示し、図4から7及び10は、サイドサポートがフレーム枠132を含む特定の実施形態を例示している。
【0018】
恐らく図2、5、9、及び10を参照して最もよく理解されるように、サイドサポート30は、好ましくは、コーティング材料が基板のうら面14上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過する少なくとも1つのパッセージ34を画定する。図2に鑑みた図1を参照すると、例えば、陰影部分34は、そのようなパッセージ34を規定する空間であることを理解することができる。ある実施形態において、サイドサポート30は、説明した性質の複数のパッセージ34を画定する。例えば、サイドサポート30は、基板10が、基板進行路100に沿って移動するにつれてそれらを順に通り過ぎて搬送される一連のパッセージ34を画定してもよい。特定の実施形態において、サイドサポート30は、鉛直オフセット構成にある場合の基板10の垂直寸法と少なくとも同じ位大きく、恐らく最適にはそれより大きい垂直寸法を有する少なくとも1つのパッセージ34を規定するので、基板のうら主面14の全面コーティングの実現が可能になる。
【0019】
サイドサポート30は、好ましくは、基板10が基板進行路100に沿って搬送される時に、基板のうら面14に接して回転するよう適合させた複数の回転体36を含む。回転体36は、好ましくは、サイドサポート30に対して(例えば、その上の)固定された位置に取り付けられる。例えば、各回転体36は、好ましくは、それが鉛直な、又は概ね鉛直な軸を中心に回転するよう適合された固定箇所に取り付けられる。図2に示されているように、サイドサポート30は、複数の回転ホイール36を含むことができる。例えば、1つ以上の回転体36は、ホイールであり得る。そのようなホイール36は、ホイール36が互いに垂直及び/又は水平に間隔が置かれた配列(マトリックス、列、等)として設けることができる。好ましくは、そのようなホイール36は、その回転方向が所望の基板進行方向に対応する向きに置かれる(例えば、そのようなホイール36は、好ましくは、共通の軸を中心とする回転に適合される)。図2において、各ホイール36は、サイドサポート30の壁部32上に取り付けられている。これは、パッセージ34(又は、パッセージ34の一部)が、サイドサポート30の隣接する壁部32及び/又は隣接するホイール36の間に位置する種類の実施形態を例示している。
【0020】
好ましくは、サイドサポート30は、コーター20の内部に取り付けられる。特定の実施形態において、サイドサポート30は、鉛直からオフセットされた角度εで取り付けられる。これらの実施形態において、基板のうら面14がサイドサポート30によって支持される(例えば、その支持面に直接接して載置される)時、基板10は鉛直オフセット構成で保持される。サイドサポート30(例えば、プラテン又は概ね平板状のそのフレーム枠)は、望ましくは、鉛直から90度未満の角度だけオフセットされた角度εで取り付けられる。好ましくは、角度εは、約25度未満であり、恐らくより好ましくは約15度未満であり、恐らく最適には約10度未満である。特定の好ましい実施形態において、角度εは、鉛直オフセット構成にある場合の基板の角度αに略等しい。
【0021】
サイドサポート30が、プラテン39を含む実施形態において、プラテンは、好ましくは、基板のうら面14がコートされる時にコーティング材料が通過するパッセージ34を画定する。プラテン39は、概ね平板状の壁を含むことができる。そのような実施形態において、プラテンは、パッセージ34としての役割を果たす開口部を規定する(例えば、全体的にそれらを取り囲む)壁を含むことができる。代替的、又は付加的には、プラテンは、複数の壁部32によって、少なくとも部分的に形成された壁を含むことができる。壁部32は、集合的にパッセージ34を確定することができる。このような性質の実施形態が、図2及び9に例示されている。所望の場合、プラテン39は、コーティングパッセージ34としての役割を果たす(任意的には、壁全体に渡って、例えば概ね垂直に、延びる)間隙によって分離された隣接する壁部32を含むことができる。このことは、恐らく図9を参照して最もよく理解される。
【0022】
他の実施形態において、サイドサポート30は、鉛直構成で取り付けられているプラテン39を含む。このような性質の一実施形態が図8に例示されている。ここでは、複数の回転体36が、基板10が回転体36によって集合的に支持される(例えば、それらに直接接してもたれている)時、基板が鉛直オフセット構成で保持されるように、プラテン39から異なる距離だけ突出している。例えば、一連の下部回転体を、プラテンから比較的遠くへ延びるようにそのようなプラテン上に取り付けることができ、一方で、一連の上部回転体を、下部回転体よりも短い距離だけプラテンから延びるようにそのようなプラテン上に取り付けることができる。
【0023】
上述したように、ある実施形態におけるサイドサポート30はフレーム枠(例えば、1つ以上の梁、横木、又は他の枠部材)132を含む。このような性質の実施形態は、恐らく図4から7及び10を参照して最もよく理解される。これらの実施形態において、フレーム枠132は、好ましくは、回転体36を備えて(又は、それらに隣接して)いる。図5に例示されているもののような実施形態において、サイドサポート30は、基板が基板進行路100に沿って搬送される時、基板のうら主面14に接して回転するよう適合させた1つ以上のローラー36を含む。そのようなローラーは、好ましくは、その回転方向が所望の基板進行方向に対応する向きに置かれる。図示されたローラーは、それぞれ長形円筒体を含む。図4において、各ローラーは、鉛直から90度未満の角度εだけオフセットされた軸を中心として回転できるように取り付けられる。好ましくは、角度εは、約25度未満であり、恐らくより好ましくは約15度未満であり、恐らく最適には約10度未満である。ある実施形態において、そのような各ローラーの回転軸は、基板が鉛直オフセット構成にある場合に、基板10の角度αに略等しい、又はそれに略等しい角度εだけ鉛直からオフセットされている。そのような一実施形態において、この共通の角度は約7度である。
【0024】
基板10がサイドサポート30により支持されて(例えば、それに接してもたれて)いる時、基板のうら面14は、パッセージ34により、少なくとも幾分(例えば、うら面コーティング装置54から基板のうら面に、基板10からサイドサポート30より離れたところで供給されているコーティング材料に)曝される。上述したように、コーティング材料は、パッセージ34を通って、基板のうら面14上に堆積させることができる。このことは、基板10と、サイドサポート30(及び特にパッセージ34)と、うら面コーティング装置54との相対的位置決めにより可能となる。好ましくは、サイドサポート(例えば、少なくとも、搬送中、基板のうら面を支持するよう適合させた部分)は、基板進行路100と少なくとも1つのうら面コーティング装置54の間に配置される。同様に、基板が、移送システム上の所望のコーティング位置にある時(すなわち、基板が、少なくとも1つのうら面コーティング装置を操作することによってコートされている時)、サイドサポート30は、好ましくは、基板10と少なくとも1つのうら面コーティング装置54の間に配置される。このことは、恐らく図1及び4を参照して最もよく理解される。パッセージ34により、基板をサイドサポート30に支持させながら、基板のうら面14上にコーティングを堆積させることが可能になる。好ましくは、基板10がそのような所望のコーティング位置にある時、少なくとも1つのうら面コーティング装置54は、サイドサポート30のパッセージ34と位置合わせされている。
【0025】
サイドサポート30の回転体36は、好ましくは、真空蒸着条件に持ちこたえるよう適合させた材料を含む(例えば、それから形成される)。ある場合には、回転体36は、炭素及び/又は別の炭素含有材料を含む(例えば、それから形成される外面を有する、それを主成分とする、又はそれを少なくとも含む)。炭素は、コートされた基板に対して特に無害であり、そのため、基板がコーター中を通って搬送される間、基板のうら面上のコーティングの剥離、及びそれに対する他の害を防止するのに役立つ。
【0026】
移送システム170は、好ましくは、基板10の底端部77を受ける(及び支持する)よう適合させた底部コンベア40を含む。好ましくは、移送システム170上に配置され、鉛直オフセット構成で保持された場合の基板10は、その底端部77が底部コンベア40によって支持され、そのうら主面14がサイドサポート30によって支持される。基板がそのように配置されている場合、底部コンベア40は、好ましくは、(基板を鉛直オフセット構成で保持しながら)基板10を、基板進行路100に沿って、コーター20中を通って移動させる(例えば、搬送する)よう適合されている。
【0027】
底部コンベア40は、基板10を基板進行路100に沿って移動させながら、基板の底端部77を支持するよう適合させたあらゆるデバイス(例えば、コンベアベルト及び/又は一連の回転部材)を含むことができる。好ましくは、底部コンベア40は動力化されており、それによって、コンベア40は、基板10を基板進行路100に沿って駆動するよう適合される。ある実施形態において、コンベアシステム40は、一連の回転部材144を含む。回転部材は、好ましくは、基板進行路100に沿って(例えば、それに全体的に沿って)配置される。本発明の特定の方法において、少なくとも1つのそのような回転部材が、そのような部材に操作可能に接続されたモーターを作動させることによって回転させられ、その結果、基板10の底端部77がそのような部材上に直接載っている時、回転している部材と基板の底端部77の間の摩擦によって、基板10が基板進行路100に沿って移動する。従って、基板10が基板進行路に沿って搬送される時、基板の底端部77は、そのような回転部材144及び/又はそのような回転部材144上部に配されるコンベアベルト等と、任意的に直接接触し得る。
【0028】
特定の実施形態において、底部コンベア40は、完全に水平ではなく、むしろ水平線Hから90度未満の角度βだけオフセットされた支持プラットフォーム47を規定する。ある実施形態において、角度βは、約25度未満であり、恐らくより好ましくは約15度未満であり、恐らく最適には約10度未満である。特定の好ましい実施形態において、角度βは、鉛直オフセット構成にある場合の基板10の角度αに略等しい。
【0029】
従って、特定の実施形態は、底部コンベア40によって規定され、搬送中、基板の底端部77が物理的にその上で支持される1つ以上の支持面147を備える支持プラットフォーム47を含む。特定の実施形態において、コンベアベルトは、基板がその上に載る支持プラットフォーム47(及び支持面147)を規定する。他の実施形態において、一連の回転部材144の表面は、集合的に支持プラットフォーム147を規定する。このような性質のある実施形態において、各回転部材144は、支持面147を有し、回転部材の支持面147は、(例えば、任意的に鉛直から角度βだけオフセットされ得る)共通の面内にある。
【0030】
本発明の特定の好ましい実施形態は、完全に水平ではない底部コンベア40を含むが、本発明は、底部コンベア40が単純に水平面内にある実施形態を含む。これらの実施形態において、基板は、好ましくは、基板進行路に沿って搬送される時、鉛直オフセット構成で保持される(例えば、サイドサポート30は、鉛直オフセット構成にある基板を支持するのに適切なように傾斜し得る)。このような性質の実施形態は、基板のおもて主面12の底部周辺領域を係合させ、支持するよう適合させたおもて面ホイールを(例えば、底部コンベア40のおもて部に隣接して)含んでもよい。例示的なおもて面ホイール242が図10に示されている。
【0031】
特定の実施形態において、基板10は、基板が基板進行路に沿って搬送される間、その底端部77が底部コンベア40によって支持されるガラス板である。また、ある場合には、他のガラス板が底部コンベア40上に配置され、それらのガラス板が底部コンベア40上で互いに間隔を空けて配置され、そのような間隔の空いた配置で搬送される。各基板10は、通常、1分間に約100から約500インチの速度でチャンバー20中を通って搬送される。従って、特定の方法において、基板は、基板進行路に沿って搬送され、この搬送は、基板を1分間に約100から500インチの間の速度で基板を移動させることを含む。図示されている底部コンベア40は、複数の回転部材144を含むが、様々な種類のコンベアシステムを用いることができる。
【0032】
本発明は、建築及び自動車のガラス用途用の板ガラス等の大面積基板を加工するのに特に有利である。従って、本発明の特定の方法において、コーター20中を通って搬送される基板10は、少なくとも約1メートルの主要寸法を有する大面積基板である。
【0033】
コーター20は、基板進行路100の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含む。好ましくは、少なくとも1つのコーティング装置52が基板進行路のおもて面側に設けられる。このおもて面コーティング装置52は、基板のおもて主面12上に膜を堆積させるよう適合される。連帯的に、少なくとも1つのコーティング装置54が基板進行路のうら面側に設けられるのが好ましい。このうら面コーティング装置54は、基板のうら主面14上に膜を堆積させるよう適合される。好ましくは、うら面コーティング装置54は、サイドサポート30の背後にあり(例えば、うら面コーティング装置54と基板進行路とが、サイドサポートを挟んで反対側にあることが好ましい)、パッセージ34を通過するコーティング材料を基板のうら主面14上に放出するよう構成されている。このことは、恐らく図1及び4を参照して最もよく理解される。ある実施形態において、基板進行路100の各側にコーティング装置は1つだけであるが、この進行路100の各側にコーティング装置を幾つ設けることもできる。好ましくは、各コーティング装置(又は、少なくともコーティング材料を放出するよう適合させた部分)は、コーター20の内部に取り付けられる。
【0034】
コーター20は、1つ以上の薄膜堆積工程を行うよう適合されている。好ましい実施形態において、コーター20は、制御された真空環境を確立することができる真空蒸着チャンバーを含む。そのような実施形態において、真空蒸着チャンバーは、約140トール未満、より好ましくは約0.1トール未満、そして恐らく最適には約1ミリトールから約0.1トールの間(例えば、約1ミリトールから約30ミリトールの間)の総ガス圧での使用に適合される(例えば、その内部でそれを確立し維持するよう適合される)。従って、コーター20は、そのような圧力を確立し維持するよう適合されたガス供給及び排気システムを有するのが好ましい。特定の実施形態において、コーター20は、(例えば、スパッタリング、化学気相蒸着、及びイオンアシスト蒸着からなる群から選択される)少なくとも1つの真空蒸着工程を行うよう適合されている。
【0035】
特定の実施形態において、コーター20は、少なくとも1つの真空蒸着チャンバーを含み、コーティング装置52、54の内、少なくとも1つは真空蒸着デバイスである。そのような真空蒸着デバイスはそれぞれ、コーター20の内部の、基板進行路100の所望の側の箇所に(少なくとも部分的に)取り付けられるのが好ましい。ある場合には、そのようなデバイスはそれぞれ、コーティング材料を、鉛直オフセット基板の所望の主面上に概ね横向きに放出するよう適合されている。
【0036】
特定の実施形態において、コーター20は、少なくとも1つのスパッタ堆積チャンバーを含み、コーティング装置52、54の内、少なくとも1つはスパッタリングターゲットを含む。そのような実施形態において、スパッタリングターゲットは、円筒状又は平板状であり得る。好ましくは、そのようなスパッタリングターゲットはそれぞれ、マグネトロンスパッタリングを促進するよう適合させたマグネットアセンブリを含む。特定の好ましい実施形態において、コーター20は、ターゲットにイオン衝撃を与えることによって、スパッタされた材料の粒子が、ターゲットから、パッセージ34を通って基板のうら主面14上に噴出されるように、パッセージ34に隣接して(例えば、それと位置合わせされて)取り付けられたスパッタリングターゲットを含む。
【0037】
特定の実施形態において、コーター20は、少なくとも1つの化学気相蒸着(CVD)チャンバーを含み、コーティング装置52、54の内、少なくとも1つはCVDデバイスを含む。そのようなCVDデバイスはそれぞれ、コーターに前駆体ガスを供給するよう適合させたガス供給システムを含む。好ましくは、そのようなデバイスはそれぞれ、コーター内部にガス供給放出口を含み、それによって、前駆体ガスに由来してコーティング材料が基板10上に凝結する。より詳細には、そのようなCVDデバイスはそれぞれ、通常、前駆体ガスが、ガス配管を通ってそこから供給されて、ガス放出口から出てチャンバーへと供給されるガス供給源を含むであろう。所望の場合、1つ以上のプラズマCVDデバイスを用いることができる。CVDデバイスが基板のうら面14をコートするのに用いられる実施形態において、デバイスはチャンバー内において、前駆体流体(例えば、ガス及び/又は液体)をパッセージ34を通って基板のうら面14上に送るよう構成され得る。
【0038】
特定の実施形態において、コーター20は、イオンアシスト蒸着に適合されており、コーティング装置52、54の内、少なくとも1つがイオンガンを含む。一般に、そのようなイオンガンは、あらゆる所望のイオンアシスト蒸着(IAD)工程を行うよう適合され得る。例えば、そのようなイオンガンは、直接的な膜堆積に適合され得る。代替的には、そのようなイオンガンは、スパッタリングターゲットを含むイオンビームスパッタ堆積源の一部であることができ、イオンガンがスパッタリングターゲットに対してイオンを加速し、それによって、ターゲット材料の原子が、ターゲットから基板の所望の主面に向かって噴出される。他の種類のIAD法を用いることも可能である。
【0039】
多くの場合において、コーター20は、一連の堆積チャンバーを含むであろう。図7は、そのような一実施形態を例示している。コーター20は、実質的にチャンバーを幾つ含むこともできる。従って、コーターは、単一の堆積チャンバーを有してもよいし、又は連結された一列の堆積チャンバー(すなわち、コーティングライン)を含んでもよい。更に詳細には、そのようなコーティングラインは、鉛直オフセット構成で保持されている基板が、コーターのチャンバー中を順に通って搬送され得るように、位置合わせされ、連結された一連の堆積チャンバーを含んでもよい。コーティング堆積中、基板は、通常、そのようなコーターの全ての堆積チャンバー中を通って搬送される。そのようなチャンバーにおいて行われる特別な堆積工程に拘わらず、コーター20は、このように位置合わせされ、連結された複数の堆積チャンバーを含むことができることが理解されるべきである。
【0040】
コーター20が、2つ以上の堆積チャンバーを含む実施形態において、チャンバーは、通常、基板進行路100が堆積チャンバーのそれぞれを通って延びるように連結される。図7は、基板進行路100が、コーター入口115とコーター出口120の間に延びる実施形態を例示している。好ましくは、基板進行路100は、コーター20を通って水平に延びる。
【0041】
コーター20は、異なる堆積工程を行うよう適合させた異なる堆積チャンバーを含むことができる。例えば、コーターは、スパッタリングが行われる1つ以上のチャンバーと、イオンアシスト蒸着が行われる1つ以上のチャンバーとを含むことができる。また、コーター20は、スパッタリングが行われる1つ以上のチャンバーと、化学気相蒸着が行われる1つ以上のチャンバーとを含むことができる。このような性質の様々な変形例が、本教示を指針として与えられた当業者に明らかとなるであろう。
【0042】
本発明はまた、シート状基板の概ね対向する主面上に薄膜を堆積させるための方法も提供する。説明した性質のコーター20が提供される。好ましくは、コーターは、基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で基板を保持するよう適合させた基板移送システムを有する。好ましい移送システムは、コーターを通って延びる基板進行路を規定する。好ましい移送システムはまた、基板の主面の1つであるうら面を支持するためのサイドサポートを含む。好ましいサイドサポートは、コーティング材料が基板のうら主面上に堆積される場合に、コーティング材料が通過するパッセージを画定する。コーター20は、基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含むことが望ましい。
【0043】
好ましくは、コーティング装置の内、少なくとも1つが、うら面コーティング装置であり、コーティング装置の操作は、コーティング材料をパッセージ34を通って基板のうら主面14上に供給するように、うら面コーティング装置を操作することを含む。特定の任意的な実施形態において、サイドサポート30は、複数のパッセージを画定し、そのようなコーティング材料が、これらのパッセージを通って基板のうら主面14上に供給される。特に好ましいある実施形態において、コーティング装置の内の1つは、所望のパッセージ34と位置合わせされたうら面コーティング装置であり、基板進行路に沿った基板の搬送は、このうら面コーティング装置と基板のうら主面14との間に所望のパッセージ34が来るような位置に基板を持ってくることを含み、コーティング装置の操作は、コーティング材料を所望のパッセージ34を通って基板のうら主面14上に供給するように、このうら面コーティング装置を操作することを含む。
【0044】
本方法は、特定の実施形態において、基板が鉛直オフセット構成で保持されるように移送システム上に基板を配置することを含む。基板10は、(好ましくは、鉛直オフセット構成で保持されながら)基板進行路100に沿って搬送される。好ましい方法において、コーティング装置は、(例えば、基板が搬送されている時)、基板進行路に沿って基板を一度だけ通過させて、基板の概ね対向する両主面上にコーティングを堆積させるように操作される。
【0045】
好ましい移送システムは、基板の底端部を受けるよう適合させた底部コンベアを含み、移送システム上に配置され、鉛直オフセット構成で保持された場合の基板は、その底端部が底部コンベアによって支持され、そのうら主面がサイドサポートによって支持される。従って、好ましい方法において、基板は、基板進行路に沿った基板の搬送中、鉛直オフセット構成で保持される。
【0046】
特定の好ましい方法において、コーティングは、基板の両主面上に全体的に堆積されて、両主面の全面コーティングが実現される。また、コーティングの内の1つは、好ましくは、基板のうら主面上のうら面コーティングであり、このうら面コーティングは、好ましくは、基板進行路に沿った基板の搬送中、サイドサポート30と接触する。上述したように、サイドサポートは、好ましくは、前述の基板進行路に沿った基板の搬送中、基板のうら主面に接して回転する複数の回転体(例えば、ある実施形態においてはホイール)を含む。
【0047】
好ましくは、サイドサポート30の背後の少なくとも1つのコーティング装置54は、コーティング材料を、(サイドサポート30によって画定される)少なくとも1つのパッセージ34を通って基板10のうら面14上に供給するように操作される。ある場合には、コーティング装置の内、少なくとも1つ(例えば、少なくとも1つのうら面コーティング装置54)は、スパッタリングターゲットであり、スパッタされた材料の粒子が、ターゲットから、少なくとも1つのパッセージ34を通って基板のうら面14上に噴出されるように、ターゲットにイオン衝撃を与えることによって操作される。これらの実施形態において、コーティング装置の操作は、スパッタされた材料の粒子が、ターゲットから、パッセージ34を通って基板のうら主面14上に噴出されるように、うら面ターゲットにイオン衝撃を与えることを含む。ある好ましい実施形態において、コーター20は、スパッタリングターゲットを含むおもて面52とうら面54の両コーティング装置を含み、それらの装置は、スパッタされた材料の粒子が、(1)少なくとも1つのおもて面ターゲットから基板のおもて面12に向かって(そしてその上に)、及び(2)少なくとも1つのうら面ターゲットから、少なくとも1つのパッセージ54を通ってうら面基板のうら面14上に、噴出されるように、おもて面及びうら面ターゲットにイオン衝撃を与えることによって操作される。
【0048】
上述したように、特定の実施形態におけるコーター20は、真空蒸着チャンバーを含む。そのようなコーター20を操作する関連方法において、コーティング装置の操作中、そのような真空チャンバーにおいて制御された真空環境が維持される。
【0049】
特定の実施形態において、基板の主面12、14上に堆積されたコーティングはそれぞれ、約2000オングストローム未満の合計物理膜厚を有する。ある場合には、一方の主面上に堆積されたコーティングが、他方の主面上に堆積されたコーティングよりも大きい合計物理膜厚を有する。例えば、コーティング装置52、54は、(1)基板のおもて面12上の第1のコーティング、及び(2)基板のうら主面14上の第2のコーティングを堆積するように操作することができ、おもて面コーティングは、任意的には、うら面コーティングより大きな厚みで施されることができ、又はその逆も可能である。あらゆる所望のコーティングを堆積させることができる。
【0050】
特定の好ましい実施形態において、コーティングの内、第1番目のものは、基板10のうら主面14上のうら面コーティングであり、基板の他方の主面はおもて主面12であり、コーティングの内、第2番目のものは、基板のおもて主面12上のおもて面コーティングである。好ましい本実施形態において、うら面コーティングが、おもて面コーティングよりも小さな厚みで施される方法が提供される。このような性質のある実施形態において、うら面コーティングの合計物理膜厚は約500オングストローム未満であり、恐らくより好ましくは約300オングストローム未満であり、恐らく最適には約200オングストローム未満である。また、ある実施形態において、基板のおもて面12上に堆積されたコーティングは、低放射率コーティングを含む(すなわち、低放射率コーティングである)。このような性質のある実施形態において、低放射率コーティングは、2つの誘電フィルムの間に堆積された少なくとも1つの銀含有フィルムを含む。従って、本発明の関連方法は、例えば、おもて面コーティング装置52を操作することによって、基板のおもて面12から外向きに順に移動して、(1)誘電フィルム、(2)銀含有フィルム(すなわち、少なくとも幾分かの銀を含むフィルム)、及び(3)誘電フィルム、を堆積させることを含む。任意的には、方法は、そのような順で、(1)誘電フィルム、(2)銀含有フィルム(すなわち、少なくとも幾分かの銀を含むフィルム)、(3)誘電フィルム、(4)銀含有フィルム、及び(5)誘電フィルム、を堆積させることを含む。そのような実施形態において、各フィルムは、1つ以上のフィルム層、フィルム領域等を含むことができる。
【0051】
本発明の特定の他の実施形態において、1つ以上のうら面コーティング装置54を操作することによって、基板10のうら主面14のみがコートされる(例えば、おもて面コーティング装置は、省略される、又は単に用いられないことがある)。
【0052】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、発明の精神および添付のクレームの範囲から逸脱することなく、数多くの変更、適合、および変形がそれらにおいて可能であると解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の特定の実施形態に係るコーターの概略端面図である。
【図2】図2は、本発明の特定の実施形態に係るサイドサポートの概略正面図である。
【図3】図3は、本発明の特定の実施形態に係るコーターを通って延びる移送システムに沿って搬送されている基板の概略正面図である。
【図4】図4は、本発明の特定の実施形態に係るコーターの概略端面図である。
【図5】図5は、本発明の特定の実施形態に係るサイドサポートの概略正面図である。
【図6】図6は、本発明の特定の実施形態に係るコーターを通って延びる移送システムに沿って搬送されている基板の概略正面図である。
【図7】図7は、本発明の特定の実施形態に係るコーターを通って延びる移送システムに沿って搬送されている2枚の基板の概略正面図である。
【図8】図8は、本発明の特定の実施形態に係るコーターの概略端面図である。
【図9】図9は、本発明の特定の実施形態に係るサイドサポートの概略正面図である。
【図10】図10は、本発明の特定の実施形態に係る移送システムの概略斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基板の概ね対向する主面上に薄膜を堆積させる方法であって、前記方法が、
前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で前記基板を保持するよう適合させた基板移送システムを有するコーターを準備する工程を含み、前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定し、前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら面を支持するためのサイドサポートを含み、前記サイドサポートは、コーティング材料が前記基板のうら主面上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過するパッセージを画定し、前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含み、
前記基板を、前記基板が前記鉛直オフセット構成で保持されるように、前記移送システム上に配置する工程と、
前記基板を前記基板進行路に沿って搬送する工程と、
前記基板を前記進行路に沿って一度だけ通過させて、前記基板の概ね対向する両主面上にコーティングを堆積させるように前記コーティング装置を操作する工程とを含む方法。
【請求項2】
前記コーティングが、前記基板の両主面上に全体的に堆積されて、前記両主面の全面コーティングが達成される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングの内の1つが、前記基板のうら主面上のうら面コーティングであり、前記うら面コーティングが、前記基板進行路に沿った前記基板の搬送中、前記サイドサポートと接触する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サイドサポートが、前記基板進行路に沿った前記基板の搬送中、前記基板のうら主面に接して回転する複数のホイールを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記移送システムが、前記基板の底端部を受けるよう適合させた底部コンベアを含み、前記移送システム上に配置され、前記鉛直オフセット構成で保持された場合の前記基板は、その底端部が前記底部コンベアによって支持され、そのうら主面が前記サイドサポートによって支持され、前記基板が、前記基板進行路に沿った前記基板の搬送中、前記鉛直オフセット構成で保持される請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記コーティング装置の内の1つが、うら面コーティング装置であり、前記コーティング装置を操作することが、前記コーティング材料を前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給するように、前記うら面コーティング装置を操作することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記サイドサポートが、複数のパッセージを画定し、前記コーティング材料が、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給される請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コーティング装置の内の1つが、前記パッセージと位置合わせされたうら面コーティング装置であり、前記基板を前記基板進行路に沿って搬送することが、前記うら面コーティング装置と前記基板のうら主面との間に前記パッセージが来るような位置に前記基板を持ってくることを含み、前記コーティング装置を操作することが、前記コーティング材料を前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給するように、前記うら面コーティング装置を操作することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記コーターが、前記コーティング装置を操作する間、制御された真空環境が維持される真空蒸着チャンバーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング装置の内、少なくとも1つが、スパッタリングターゲットを含み、前記コーティング装置を操作することが、スパッタされた材料の粒子が、前記ターゲットから、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に噴出されるように、前記ターゲットにイオン衝撃を与えることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コーティングがそれぞれ、約2,000オングストローム未満の物理膜厚まで堆積される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記コーティングの内、第1番目のものが、前記基板のうら主面上のうら面コーティングであり、前記基板の他方の主面はおもて主面であり、前記コーティングの内、第2番目のものが、前記基板のおもて主面上のおもて面コーティングであり、前記うら面コーティングが、前記おもて面コーティングより小さな厚みで施される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記うら面コーティングの厚みが、約300オングストローム未満である請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記おもて面コーティングが、低放射率コーティングである請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記低放射率コーティングが、2つの誘電フィルムの間に堆積された少なくとも1つの銀含有フィルムを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記鋭角度が、約10度未満である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、板ガラスである請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記基板を前記基板進行路に沿って搬送することが、前記基板を1分間に約100から500インチの間の速度で搬送することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記コーターが、少なくとも1つのおもて面スパッタリングターゲットと少なくとも1つのうら面スパッタリングターゲットとを含み、前記おもて面及びうら面スパッタリングターゲットが、前記基板進行路を挟んで反対側に取り付けられ、前記コーティング装置を操作することが、前記おもて面及びうら面ターゲットにイオン衝撃を与えることを含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
シート状基板の概ね対向する主面上に、前記基板をコーターに一度だけ通過させて薄膜を堆積させるための前記コーターであって、前記コーターは、前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で前記基板を支持するよう適合させた基板移送システムを有し、前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定し、前記移送システムは、前記基板を前記鉛直オフセット構成で保持しながら、前記基板を前記基板進行路に沿って搬送するよう適合されており、前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら面を支持するためのサイドサポートを含み、前記サイドサポートは、コーティング材料が前記基板のうら主面上に堆積される場合に、そのようなコーティング材料が通過するパッセージを画定し、前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含み、前記コーティング装置は、前記基板を前記基板進行路に沿って一度だけ通過させて、前記基板の概ね対向する両主面上にコーティングを堆積させるよう適合されているコーター。
【請求項21】
前記コーティング装置が、前記基板を前記基板進行路に沿って一度だけ通過させて、前記コーティングを前記基板の両主面上に全体的に堆積させるよう適合されている請求項20に記載のコーター。
【請求項22】
前記サイドサポートが、前記基板が前記基板進行路に沿って搬送される時に、前記基板のうら主面に接して回転するよう適合させた複数のホイールを含む請求項20に記載のコーター。
【請求項23】
前記複数のホイールが、互いに垂直及び/又は水平に間隔が置かれた配列として設けられる請求項22に記載のコーター。
【請求項24】
前記パッセージが、少なくとも2つの前記ホイールの間にある請求項22に記載のコーター。
【請求項25】
前記移送システムが、前記基板の底端部を受けるよう適合させた底部コンベアを含み、前記移送システム上に配置され、前記鉛直オフセット構成で保持された場合の前記基板は、その底端部が前記底部コンベアによって支持され、そのうら主面が前記サイドサポートによって支持される請求項20に記載のコーター。
【請求項26】
前記基板の底端部が前記底部コンベアによって受けられる時、前記底部コンベアが、前記基板を前記基板進行路に沿って駆動するよう適合されている請求項25に記載のコーター。
【請求項27】
前記底部コンベアが、動力化されている請求項25に記載のコーター。
【請求項28】
前記底部コンベアが、完全に水平ではなく、むしろ水平線から90度未満の角度だけオフセットされた支持プラットフォームを規定する請求項25に記載のコーター。
【請求項29】
前記支持プラットフォームが、水平線から約10度未満の角度だけオフセットされた請求項28に記載のコーター。
【請求項30】
前記支持プラットフォームが、前記鉛直オフセット構成にある場合の前記基板の前記鋭角度に略等しい所定の角度だけ水平線からオフセットされた請求項28に記載のコーター。
【請求項31】
前記コーターが、内部真空蒸着環境を確立し維持するよう適合させた真空蒸着チャンバーを含む請求項20に記載のコーター。
【請求項32】
前記コーティング装置が、前記真空蒸着チャンバー内部で膜堆積を行うよう適合させた真空コーティングデバイスを含む請求項31に記載のコーター。
【請求項33】
前記コーティング装置の内の1つが、前記パッセージと位置合わせされたうら面コーティング装置であり、前記コーティング装置を操作することが、前記コーティング材料を、前記うら面コーティング装置から、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給するように、前記うら面コーティング装置を操作することを含む請求項20に記載のコーター。
【請求項34】
前記コーティング装置の内、少なくとも1つが、前記パッセージと位置合わせされたスパッタリングターゲットを含み、前記ターゲットにイオン衝撃を与えることによって、スパッタされた材料の粒子が、前記ターゲットから、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に噴出される請求項20に記載のコーター。
【請求項35】
前記サイドサポートが、完全に鉛直ではなく、むしろ鉛直から90度未満の所望の角度だけオフセットされた面内にある複数の支持面を備える請求項20に記載のコーター。
【請求項36】
前記所望の角度が、約10度未満である請求項35に記載のコーター。
【請求項37】
前記所望の角度が、前記鉛直オフセット構成にある場合の前記基板の鋭角度に略等しい請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記コーターが、少なくとも1つのおもて面スパッタリングターゲットと少なくとも1つのうら面スパッタリングターゲットとを含み、前記おもて面及びうら面スパッタリングターゲットが、前記基板進行路を挟んで反対側に取り付けられている請求項20に記載のコーター。
【請求項39】
前記基板進行路が、前記コーターを通って水平に延びる請求項20に記載のコーター。
【請求項40】
シート状の大面積基板の概ね対向する主面上に、コーターを用いて薄膜を堆積させるための方法であって、前記大面積基板は、約1メートル以上の主要寸法を有し、前記方法は、前記基板が、完全に鉛直な位置にあるのではなく、むしろ鉛直から鋭角度分だけオフセットされた鉛直オフセット構成で保持されるように前記基板を基板移送システム上に配置することを含み、前記移送システムは、前記コーターを通って延びる基板進行路を規定し、前記移送システムは、前記基板の前記主面の1つであるうら主面を支持するための複数の支持面を備えるサイドサポートを有し、前記方法において、前記サイドサポートは、少なくとも2つの前記支持面の間にそれぞれ位置する複数のパッセージを画定し、前記コーターは、前記基板進行路の両側のそれぞれに少なくとも1つのコーティング装置を含み、前記基板は、前記鉛直オフセット構成で保持されながら、前記基板進行路に沿って搬送され、前記コーティング装置は、前記基板を前記コーターに一度だけ通過させて、前記基板の両主面上に略全体的にコーティング材料を堆積させ、前記コーティング材料の一部が、前記パッセージを通って前記基板のうら主面上に供給されるように操作される方法。
【請求項41】
前記サイドサポートが、前記支持面の少なくとも一部を規定し、かつ前記基板進行路に沿った前記基板の搬送中、前記基板のうら主面に接して回転する複数のローラーを含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ローラーがそれぞれ、各ローラーが、鉛直な、又は概ね鉛直な軸を中心に回転するよう適合される直立の、又は概ね直立の位置に取り付けられる請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記コーティングの内の1つが、前記基板のうら主面上のうら面コーティングであり、前記うら面コーティングが、前記基板進行路に沿った前記基板の搬送中、前記支持面と接触する請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記コーティング装置の内の1つが、前記パッセージの所望の1つと位置合わせされたうら面コーティング装置であり、前記基板を前記基板進行路に沿って搬送することが、前記うら面コーティング装置と前記基板のうら主面との間に前記所望のパッセージが来るような位置に前記基板を持ってくることを含み、前記コーティング装置を操作することが、前記コーティング材料を前記所望のパッセージを通って前記基板のうら主面上に供給するように、前記うら面コーティング装置を操作することを含む請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−509805(P2008−509805A)
【公表日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525689(P2007−525689)
【出願日】平成17年8月5日(2005.8.5)
【国際出願番号】PCT/US2005/028003
【国際公開番号】WO2006/020533
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【Fターム(参考)】