説明

長い貯蔵寿命を有する過カルボン酸ベースカプセル

有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸(例えば、6-フタルイミド過カプロン酸)を封入し、少なくとも 1 種の無機塩ベースの殻を含んでなる多層カプセルの製造方法、及び前記方法によって製造したカプセルの、工業的利用における、洗剤及びクリーナー、特に液体の洗剤及びクリーナー、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、及び脱色剤又は漂白剤での使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜及び少なくとも 1 種の有機過カルボン酸ベースのカプセルコアを有する、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸を封入したカプセルの製造方法、並びにこの方法によって製造されたカプセルに関する。本発明は更に、このカプセルの、工業的利用における、漂白剤又は漂白剤配合物としての使用、特に洗剤及び洗浄剤配合物、とりわけ液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、脱色配合物及び漂白配合物での使用、並びにこのカプセルを含む製品、即ち、工業的利用における、本発明のカプセルを含む、洗剤及び洗浄剤配合物、とりわけ液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、脱色配合物及び漂白配合物に関する。
【背景技術】
【0002】
より優れより速い溶解性及び有用性といったプラスの製品特性のため流行しつつある液体、特に水性の洗剤及び洗浄剤配合物において、漂白成分の配合又は混合は、多くの理由から問題がある。例えば、分解反応又は加水分解反応及び洗剤配合物の他成分(例えば酵素又は界面活性剤)に対する不適合性のため、使用された漂白剤は、しばしば、貯蔵中でさえその活性を失う。
【0003】
これにより生じる不利な結果は、洗剤配合物の洗浄能力、特に漂白能力が著しく失われ、特に、漂白可能な汚れを満足に除去できないことである。
【0004】
固体洗剤配合物に通常使用される漂白成分、例えば過ホウ酸塩又は過炭酸塩は、湿度に極めて敏感であり、液体、特に水性の洗剤及び洗浄剤配合物中では、活性酸素を失うので、数日以内に漂白能力の明瞭な低下がよく見られる。故に、このような活性成分は、しばしば、その漂白活性を、使用時、特に洗濯液中での使用時には既に失っており、従って無能である。
【0005】
これに対して、過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸(最も重要な代表例はフタルイミド過カプロン酸(PAP)である)は、より有効で加水分解に対して敏感ではなく、洗剤及び洗浄剤配合物用の漂白剤として従来技術で既知である。しかしながら、その貯蔵安定性は、活性を失うことなく対応する洗剤及び洗浄剤配合物の長期使用を保証するには、明らかに不十分である。過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸の、液体の洗剤及び洗浄剤配合物への使用は、特に問題がある。
【0006】
イミド過カルボン酸、特に PAP の分解により、洗剤配合物又は洗浄剤配合物の変化に関して生じる欠点のため、イミド過カルボン酸が周囲、特に洗剤配合物又は洗浄剤配合物の残りの成分と直接接触しないように、或いはイミド過カルボン酸と周囲との接触を減少するように、イミド過カルボン酸(例えば PAP)を効果的にカプセル化する試みが従来技術において行われてきた。
【0007】
例えば、従来技術において、ワックスは、繊細な洗剤用添加剤、例えば過カルボン酸の保護膜としてしばしば利用されている。これに関して、同じパテントファミリーに属する EP 0 510 761 B1 及び US-A-5 230 822 は、洗剤用添加剤の全てのタイプ、例えば、酵素、PAP を含む漂白剤、漂白前駆体及び漂白触媒をカプセル化するための一般法を記載している。同明細書に記載されている、融点が 40〜50 ℃であるワックスの使用によって、活性物質は洗濯液中で、使用したワックスの融点より高い温度まで放出されない。これは、約 30 ℃での洗濯も特に可能であるべきなので、高性能の洗剤配合物及び洗浄剤配合物の開発及びエネルギーコストの節約という背景に逆らっており、不利である。更に、高融点を有するワックスの使用は、特に低温では、十分に乳化されないので、洗濯物に残渣を生じるという欠点がある。
【0008】
また、WO 93/045545 A1 は、ミニエマルション法により担体相及びブロックコポリマーを用いて製造された活性成分含有カプセルを記載している。同明細書で列挙された活性成分は、油相中で溶解されなければならないので、同明細書で記載されたカプセル系は油相可溶性、特に疎水性活性物質に実質上制限される。同明細書では漂白剤は記載されていない。ミニエマルションを製造するために、高圧均質化が必要である。
【0009】
更に、過カルボン酸を安定化させる他の方法を開発するための試みが従来技術において行われてきており、過カルボン酸を配合し得る液体配合物の改良が重要である。
【0010】
例えば、EP 0 334 405 B1 は、粒状かつ実質上不水溶性の有機過カルボン酸、並びに追加のアルカンスルホネート及び脂肪酸を含む水性漂白配合物を記載している。同発明の目的は、過カルボン酸の安定な分散体を得ること、そして特に、水性媒体からの過カルボン酸の相分離を防ぐことである。過カルボン酸へのカプセル化の適用による、過カルボン酸の化学的又は物理的安定化という意味での保護は、考慮されていない。
【0011】
これに関連して、EP 0 334 404 B1 もまた、脂肪酸の添加による、水性漂白配合物中での相分離に対する過カルボン酸の安定化を記載している。EP 0 334 405 B1 と同様、過カルボン酸のカプセル化は、EP 0 334 404 B1 でも考慮されていない。
【0012】
EP 0 337 516 A2 は、不水溶性有機過カルボン酸ベースの水性漂白配合物を記載している。同発明の目的は、液体配合物中のアルカンスルホネート及び硫酸ナトリウムの存在によって、過カルボン酸の安定性を増すことである。ここでもまた、カプセル化の記載はない。
【0013】
更に、WO 94/13776 は、過カルボン酸ベースの水性漂白配合物を記載しており、過カルボン酸の安定化は、液体配合物、即ち分散体の調整によって一般に提供される。過カルボン酸の更なる安定化、特に、過カルボン酸に適用されるカプセル又は被覆構造による安定化は、同発明でも同様に記載されていない。
【0014】
EP 0 442 549 B1 は、粒状かつ実質上不水溶性の有機過カルボン酸、例えば PAP を含む液体漂白配合物への過酸化水素の添加を記載している。同発明は、特に比較的高温での、過カルボン酸の漂白性能を増加させることを意図している。ここでもまた、過カルボン酸の安定化は、液体マトリックスの調整又は適合によって行われている。
【0015】
最後に、EP 0 435 379 A2 は、イミド過カルボン酸の、脂肪酸、脂肪アルコール又は脂肪エステルによる被覆、及びイミド過カルボン酸含有分散体の、分散体へのアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩又は無機塩の添加による安定化を記載している。同明細書に記載されている塗膜は、高温まで溶解しないワックス又はワックス様物質であり、使用時に望ましくない残渣を生じ得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
従って、この背景に対して、本発明の目的は、従来技術と比較して向上した特性を有する、過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、例えばフタルイミド過カプロン酸(PAP)の組込み又はカプセル化又は被覆、及び対応する製造方法を提供することである。
【0017】
更に本発明の目的は、貯蔵安定状態の過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、例えばフタルイミド過カプロン酸(PAP)を提供することである。濃縮分散体状態で過カルボン酸の完全な又は部分的な溶解を少なくとも実質上防ぐか又は減少し、好ましくは過カルボン酸の固体又は結晶状態が、特に洗剤配合物又は洗浄剤配合物中、界面活性剤又は他の周囲物質の存在下でさえ、その溶解能を有する、過カルボン酸の配合状態を開発することである。これに関連して、特に、過カルボン酸と周囲との接触が、少なくとも実質上防がれるか又は少なくとも減少される。
【0018】
本発明の更なる目的は、固体状の過カルボン酸を封入し、過カルボン酸の良好な安定化、従って向上した貯蔵安定性を導くカプセルを提供することである。本発明では、洗濯作業中に直ちに溶解し、特に洗濯液への、過カルボン酸の放出を減ずることがないカプセルを提供する。特に、本発明では、洗濯作業中に残渣を残さないカプセルを提供し、これは、カプセルの実質上完全な溶解及び/又は可溶化又は分散によって実現される。また、本発明のカプセルの製造方法は、安価に、技術的に簡単な方法により、工業規模で行うことができる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
イミド過カルボン酸のような有機過カルボン酸(例えば PAP)は、無機塩でのカプセル化により、同時に良好な有用性を伴って、高度に安定化され得ることが、意外にも見出された。
【0020】
従って、第一の要旨として、本発明は、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセルの製造方法を提供する。本発明の方法では、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜及び少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸ベースのカプセルコアからなるカプセルが得られるように、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜を、固体粒状で存在する有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に塗布する。本発明では、カプセル化される過カルボン酸は、カプセル塗膜内に組み込まれるか、又はそれによって封入されるので、過カルボン酸は、本発明のカプセル系のコアを形成する。従って、本発明では、コア/殻構造のカプセル系が存在する。本発明のカプセルは、特に製造中に過カルボン酸粒子の凝集が形成され得る場合、複数のカプセルコアを含み得る。複数のカプセルの凝集物も、同様に可能である。このように、いわばマトリックスが生じ得、その中に複数のカプセルコアが埋め込まれるか又は組み込まれる。
【0021】
カプセル塗膜は、少なくとも 1 種の無機塩に基づいて形成される。用語「少なくとも 1 種の無機塩に基づく」は、本発明において、無機塩に加えて、特に以下に記載するような、カプセル塗膜を形成するために使用できる更なる材料又は物質も存在できることを意味すると理解される。同じことが、本発明において、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸に基づいて形成されるカプセルコアにも当てはまり、応用のための必要に応じて又は所望の場合は、同様に更なる物質を含み得る。
【0022】
少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸(例えば PAP)を封入したカプセルを製造するための本発明の方法は、特に:
(a)有機過カルボン酸に対して少なくとも実質上不活性である少なくとも 1 種の無機塩を、好ましくは該無機塩を含む溶液又は分散体状態で供給する工程;
(b)過カルボン酸を、無機塩ベースのカプセル塗膜によって、少なくとも実質上完全に封入又は被覆するために、工程(a)で供給された無機塩を、特に該無機塩を含み、工程(a)で供給された溶液又は分散体状態で、固体粒子状で存在する有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に塗布する工程;
(c)得られたカプセルを任意に加工する、特に乾燥及び/又は精製及び/又は成形及び/又は粒度調整する工程
からなる。
【0023】
本発明において、用語「溶液」又は「分散体」は、無機塩を好ましくは解離状態で含む液体媒体、特に水性媒体を意味すると理解される。しかしながら、基本的に、例えば媒体中の対応する無機塩の溶解度積が過剰な時、無機塩は、液体媒体中、分散状態で、非溶解又は一部だけ溶解した、例えば結晶状態で存在できる。
【0024】
本発明の方法において、本発明のカプセルに組み込むのに使用される物質は有機過カルボン酸である。有機過カルボン酸は、有機モノ-及びジ過カルボン酸から選ばれ得る。これらの例は、特に、ドデカンジペルオキシ酸又は好ましくはイミド過カルボン酸、より好ましくは 6-フタルイミド過カプロン酸(6-フタルイミド過ヘキサン酸、PAP)である。有利には、過カルボン酸は、大気圧、即ち 101,325 Pa 下で 25 ℃超、特に 30 ℃超、好ましくは 45 ℃超、より好ましくは 50 ℃超、特に好ましくは 100 ℃超の融点を有する。これにより、使用される過カルボン酸が少なくとも実質上固体粒状で存在するので、本発明の方法によるカプセルの製造中、過カルボン酸の分解が、少なくとも実質上妨げられるか又は減少され、本発明のカプセル系を使用した際に制御された放出が達成される。
【0025】
本発明では、使用される有機過カルボン酸の粒度は、10〜3000 μm、特に 50〜2500 μm、好ましくは 100〜1500 μm であり得る。これに関連して、使用される有機過カルボン酸の粒度は、3000 μm 以下、特に 2500 μm 以下、好ましくは 2250 μm 以下、より好ましくは 2000 μm 以下、特に好ましくは 1500 μm 以下である。本発明では、固体過カルボン酸粒子の粒度、及びそれに相関する得られた本発明のカプセルのサイズの調整を、好ましくは、工程(b)でのカプセル塗膜の塗布前に、当業者に既知の方法(例えば、微粉砕、細砕、振動及び/又は超音波投入、篩い分けなど)によって行い得るので、本発明では、特定の後の使用に対応して制御された程度になるように、粒度又はカプセルサイズを調整することが可能である。
【0026】
一般に、カプセルを製造するために本発明の方法で使用される更なる成分は、カプセル化又は被覆される過カルボン酸と少なくとも十分適合性であるように、即ちこれらの成分と過カルボン酸との望ましくない化学反応、特に、分解、酸化又は還元反応及び/又は加水分解反応、及び更なる成分によって誘発され、それらの分解、特に活性の損失を招く過カルボン酸の反応が生じないように選択される。
【0027】
カプセル塗膜を製造するために使用される無機塩は、非塩基性塩、好ましくは中性塩又は特に弱酸性塩である。無機塩は、無機の硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、特に無機硫酸塩の群から選ばれ得る。例えば、無機塩は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアルカリ金属塩から選ばれ得る。無機塩は、ハロゲンフリー塩、特に非塩基性ハロゲンフリー無機塩である。本発明において、無機塩はより好ましくは硫酸ナトリウムである。無機塩は、特に、本発明のカプセルが運搬され得る溶液又は分散体(例えば洗剤配合物又は洗浄剤配合物)の pH を、少なくとも実質上増加させないように、又は過カルボン酸の安定性が低下するので、アルカリ範囲の方向に pH がシフトしないように選択される。これに関連して、過カルボン酸の安定性を同様に減少させるので、カプセル塗膜の無機塩は、本発明のカプセルの溶液又は分散体に、塩化物イオンを導入すべきではない。この背景に対して、特に硫酸塩、より好ましくは硫酸ナトリウムが、本発明のカプセルのカプセル塗膜のための物質として適当であり、過カルボン酸の安定性にプラスの効果を与えることが見出された。更なる説明のために、これに関連して下記内容を示すことが可能である。
【0028】
本発明において、カプセル塗膜の製造のために工程(a)で供給される、溶液又は分散体中の無機塩の含有量は、溶液又は分散体に基づいて、0.1〜40 重量%、特に 1〜30 重量%、好ましくは 5〜25 重量%であり得る。工程(a)で供給される、溶液又は分散体中の無機塩の含有量は、好ましくは、溶液又は分散体に基づいて、1 重量%超、特に 5 重量%超、特に 10 重量%超である。更なる物質を溶液又は分散体に添加し、カプセル塗膜に配合することも可能である。本発明では、このような物質が、pH に影響したり、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含んだりせず、カプセル化される過カルボン酸に対して不活性であることが確実であるべきである。例えば、特に以下に記載するような、錯化剤又はキレート剤を、無機塩の溶液又は分散体に添加できる。
【0029】
本発明では、塗膜層を形成する無機塩は、無機塩の溶液又は分散体を噴霧することによって塗布できる。これに関連して、工程(b)では、工程(a)で供給された溶液又は分散体を、固体粒状で存在する過カルボン酸上に、好ましくは流動層装置を用いて噴霧することによって、又は(例えば、過カルボン酸、特に PAP 及び硫酸ナトリウムのスラリーからの)噴霧乾燥法によって、塗布できる。一方、カプセル塗膜は、塗料槽、ドラムコーター、ミキサー又はウルスター(Wurster)コーターでも塗布し得る。
【0030】
操作条件は、好ましくは、大気圧下及び/又は 0〜100 ℃、特に 10〜50 ℃、好ましくは 20〜50 ℃の温度である。本発明では、操作技術理由から有利であるか又は望ましい場合、基本的に高圧で作業できる。一般に、温度は、カプセル化又は安定化される有機過カルボン酸の温度に依存した分解又は溶解が、少なくとも実質上防がれるように選択される。
【0031】
本発明の方法では、カプセル塗膜は、物理的又は化学的相互作用又は反応、例えば、沈澱、晶出又は結晶形成作用に基づいて形成され得る。カプセル塗膜は、例えば、溶液又は分散体からの溶解又は解離した無機塩の結晶化によって、好ましくは過カルボン酸に塗布した溶媒又は分散媒(好ましくは水)の濃縮又は蒸発によって、或いは冷却又は凍結によって形成される。特定の理論に委ねたくはないが、定義された条件下でのこれらの工程段階は、溶液又は分散体中の無機塩の飽和濃度を超過し得るため、過カルボン酸上の無機塩の結晶形成又は晶出が生じる。更に、結晶形成は、沈澱又は塩析作用によって促進されるか又は引き起こされ得る。この場合、例えば、無機塩より容易に溶解できる物質又は無機塩に対する溶解性が低い更なる溶媒、例えばエタノールを、溶液又は分散体に添加し得る。
【0032】
本発明において、過カルボン酸に塗布した無機塩又は得られたカプセル塗膜の結晶サイズは、広範に調整できる。従って、より遅い成長過程によって、より大きくより規則的な結晶が得られる(例えば、溶液又は分散体のゆっくりした冷却又は濃縮或いは蒸発)。微細に結晶構造を有するカプセル塗膜は、例えば、溶液又は分散体を、急冷又は急に蒸発することによって得られる。
【0033】
本発明の方法において、有機過カルボン酸に、好ましくはカプセル塗膜の塗布前に、それ自身での吸熱反応、例えば、80 ℃未満、特に 70 ℃未満の温度で結晶水放出反応又は分解反応を生じ得る物質を、塗布することも可能である。本発明において、このような物質は、過カルボン酸とブレンドでき、特に混合できる。このような物質は、例えばホウ酸である。本発明において、このような物質は、好ましくはカプセル塗膜の塗布前に、過カルボン酸に直接塗布し得、この場合、例えばカプセル塗膜の形成と同じ工程段階を用いることができる。添加した物質が、生じた発熱を奪うか又は補うので、本発明のカプセルの取扱安全性は増加する。発熱は、局部的に起こるか又は始まる過カルボン酸の発熱分解によって生じ得る、カプセルにおいて局部的に生じる温度上昇、或いは例えば貯蔵中に容器内又は分散体自体内で生じる温度上昇を意味すると理解される。添加物質、例えばホウ酸は、無機塩含有カプセル塗膜に導入し得る。しかしながら、取扱安全性に関してより高い有効性が得られるので、本発明では、過カルボン酸への塗布、又は過カルボン酸とのブレンド又は混合が好ましい。
【0034】
更に、本発明の方法では、少なくとも 1 種の錯化剤をカプセル塗膜に添加することができる。この錯化剤は、例えば、キノリン及び/又はその塩、リン酸塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)及び/又はニトリロ三酢酸(NTA)の群から選ばれ得る。本発明の方法では、これらの錯化剤は、特に重金属イオンを錯化するために使用され、そうでなければ、重金属イオンにより過カルボン酸の分解が促進される。
【0035】
工程(c)で行い得る乾燥は、当業者に既知の一般法、例えば、フリーズドライ(凍結乾燥)、溶媒の蒸発、好ましくは 40〜60 ℃の温度での溶媒の蒸発、限外濾過、透析又は穏やかな条件下での噴霧乾燥によって行い得る。工程(c)で行い得る成形は、本発明では、例えば球状化などによって行い得る。
【0036】
少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入し、本発明の方法によって得られるカプセルは、10〜4000 μm、好ましくは 50〜2000 μm、特に 100〜1000 μm の平均サイズ(球体直径)を有し得る。任意に、応用のための必要に応じて又は所望の場合は、カプセルを、そのサイズに従って(例えば分級によって)、例えば篩を用いて分類することができる。
【0037】
本発明の方法では、カプセル塗膜の割合は、カプセルに基づいて、一般に 5 重量%以上、特に 10 重量%以上、好ましくは 20 重量%以上である。有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の含有量は、カプセルに基づいて、一般に 25〜95 重量%、特に 30〜90 重量%、好ましくは 40〜85 重量%、より好ましくは 50〜80 重量%である。用途に応じて、例えば、本発明のカプセル系の取扱安全性を増すために、過カルボン酸の含有量の調整を行う。例えば、過カルボン酸の高すぎる含有量は、場合によっては製品安全性の理由から望ましくない。この場合、過カルボン酸の含有量は、例えば、カプセルに基づいて約 50 重量%である。
【0038】
本発明に従った方法によって製造されたカプセルは、制御された放出効果を有する。「制御された放出効果」は、特に、使用時、例えば洗濯液中での使用時に、カプセルの溶解を僅かに、好ましくは 1〜15 分間遅延すること、即ち本発明のカプセルからの過カルボン酸の放出を遅延することを意味すると理解される。
【0039】
本発明の方法において、最後に更に、少なくとも 1 つの追加のカプセル塗膜又は塗膜層を、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜を有するカプセルに塗布できる。追加カプセル塗膜は、無機塩、特に硫酸塩又はリン酸塩、無機酸化物、有機ポリマー、例えば、セルロースエーテル、ポリビニルアルコール(PVAl)、ポリビニルピロリドン(PVP)から選ばれ得る少なくとも 1 種の物質を有し得る。追加カプセル塗膜は、少なくとも 1 種の安定剤、特にゲル形成剤の添加によって硬化された又はゲル化された油相ベースのゲルも含み得る。本発明において好ましくは、追加カプセル塗膜は、特に、多層多価電解質カプセル塗膜であり得、例えば、多層多価電解質カプセル塗膜は、各々が逆帯電した多価電解質又は逆帯電したポリイオンを含む少なくとも 2 つの相からなる。
【0040】
追加のカプセル塗膜又は塗膜層の塗布により、安定化される有機過カルボン酸に関して、更なる安定化効果が生じる。例えば、これにより、本発明のカプセル中に存在する過カルボン酸に関して、更なる制御放出効果が達成される。追加塗膜は、例えば対応する塩で完全に飽和されていない環境において、カプセル塗膜からの硫酸塩の剥離又は溶解を抑制又は減少し、従って本発明のカプセル系を更に安定させる。追加塗膜の塗布は、当業者に既知の方法、例えば、流動層法、又は溶液からの粒子への追加塗膜材料の吸着、粒子への追加塗膜材料の溶液又は溶融体の噴霧及び続く溶媒(好ましくは水)の蒸発、又はミキサー、槽などでの被覆によって行い得る。また、本発明に従って望まれるか又は必要とされる限り、追加塗膜層に関して、更なる物質、例えば錯化剤などを添加できる。
【0041】
本発明の方法において、工程(b)及び/又は(c)で得られたカプセルは、分散体に転化できる。この場合、分散体は、分散媒(好ましくは水)、及び分散体中でカプセル系を形成する無機塩の溶解性を低下させる無機塩を含む。分散体中に溶解又は分散されている塩は、有利には、カプセル塗膜を形成する塩に相当する。無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの分散体中での含有量は、(濃縮)分散体状態で、有機過カルボン酸を封入又は被覆するカプセル塗膜の分解、特に剥離又は溶解が、少なくとも実質上防がれるか又は少なくとも減少されるように選択される。
【0042】
語句「分散体の無機塩がカプセル塗膜の無機塩に相当する」は、本発明では、好ましくは同じ塩、即ち、同じカチオン及びアニオンが、カプセル塗膜及びカプセル分散体に各々使用されることを意味すると理解される。更に、少なくとも 1 種のイオン性成分について一致した、即ち、特定のカチオンについて同じ又は特定のアニオンについて同じである塩を使用することも可能である。また、一般に、分散体中でのカプセル塗膜の剥離及び/又は溶解が、少なくとも実質上防がれるか又は少なくとも減少されるよう、相当するアニオン又はカチオンの濃度が、カプセル塗膜の無機塩の溶解度積に影響を及ぼすように、分散体の無機塩を選択する。従って、分散体中でのカプセル塗膜の無機塩の飽和濃度が実質上達成されるか、又はその濃度が好ましくは僅かにだけ低くなるように、分散体中での無機塩の種類及び濃度を選択する。
【0043】
基本的に無機塩で飽和された分散体が、分散体の貯蔵温度より 5 ℃、特に 10 ℃、好ましくは 15 ℃低い温度で得られるように、分散体、特に分散媒中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を選択する。これに関連して、基本的に無機塩で飽和された分散体又はカプセル分散体が、約 0〜15 ℃、特に 0〜10 ℃、好ましくは 0〜5 ℃で得られるように、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を選択する。分散体、特に分散媒中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量は、分散媒に基づいて、5〜30 重量%、特に 10〜30 重量%、好ましくは 15〜30 重量%である。基本的に、有機過カルボン酸を被覆及び/又は封入し、少なくとも 1 種の無機塩に基づくカプセル塗膜の分解、特に剥離及び/又は溶解を、(濃縮)分散体の状態で、少なくとも実質上防ぐか又は少なくとも減少させることが意図されている。
【0044】
本発明において、上記で定義した分散体は、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物であり得る。本発明において、工程(b)及び/又は(c)で得られたカプセルは、更なる成分と共に配合され、洗剤又は洗浄剤配合物を与える。洗剤又は洗浄剤配合物は、少なくとも実質上ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含まず、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンの量は、最大 500 ppm、好ましくは最大 100 ppm、より好ましくは最大 30 ppm である。pH は、最大 7、特に 3.5〜7、好ましくは 4.0〜6、より好ましくは 4.5〜6 である。最も好ましくは pH は約 5 である。更に、洗剤又は洗浄剤配合物は、少なくとも 1 種の錯化剤を含み得る。錯化剤は例えば、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれ得る。本発明の方法において、これらの錯化剤は、特に重金属イオンを錯化するために使用される。更に、洗剤又は洗浄剤配合物は、有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に対する溶解性が低い、少なくとも 1 種の水混和性溶媒を(例えば、洗剤又は洗浄剤配合物に基づいて、好ましくは 20 重量%超、より好ましくは 30 重量%超の量で)任意に含むか、又は水混和性溶媒が分散体の分散媒である。例えば、この溶媒はグリセロールである。加えて、少なくとも 1 種の酵素、例えば少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種のペルオキシダーゼ、好ましくは少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種の酸化防止剤を、洗剤又は洗浄剤配合物に添加し得る。洗剤又は洗浄剤配合物に関する更なる詳細については、下記記載を参照できる。
【0045】
本発明の方法はまた、過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP を安定させる方法、そして過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の安定性を増加する方法である。
【0046】
典型的な態様として、本発明の方法は、以下のように行い得る:固体粒状、特に結晶状で存在する過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸(例えば PAP)をカプセル化又は保護するために、非アルカリ性無機塩のカプセル塗膜を塗布する。その結果、過カルボン酸が、界面活性剤及び水を含む液体マトリックス内で、極めて有効に安定化される。この目的のために、硫酸ナトリウムを使用することが好ましい。カプセル塗膜の割合は、カプセルに基づいて、5 重量%超、好ましくは 10 重量%超、より好ましくは 20 重量%超である。溶解性塩は、従来の水ベースマトリックス中で自然に剥離するので、多量の好ましくは同じ塩、本発明では高濃度硫酸塩を液体マトリックスに添加することが有利である。液体マトリックス中の濃度は、系全体に基づいて、5 重量%超、好ましくは 10 重量%超である。これに関連して、室温での硫酸による完全飽和は、本発明のカプセル塗膜又はカプセルの十分な安定性又は貯蔵性を得るために、必ずしも必要ではないことが見出された。
【0047】
また、更なる物質を過カルボン酸に塗布し得る。カプセル塗膜の塗布前に、過カルボン酸と、高温で生じる吸熱反応によってカプセルの取扱安全性を増す更なる成分とを混合することもできる。このような物質の適当な例は、ホウ酸である。更に、カプセル塗膜に錯化剤を混合することもできる。適当な錯化剤は、特に、やや酸性の pH(3〜6、好ましくは 3.5〜5.5)で有効なものである。例えば、ホスホン酸塩がこの目的のために適当であり、その例は HDEP 及び DTPMP である。液体マトリックス中で硫酸塩カプセル塗膜をより安定させるために、追加カプセル塗膜(塗膜)を塗布することもできる。適当な追加カプセル塗膜は、例えば、交互帯電を有する多価電解質層、及びパラフィンゲルを含む塗膜である。追加塗膜は、まだ完全に飽和されていない環境下での、硫酸塩の剥離を更に抑制するか又は少なくとも遅らせる。
【0048】
本発明の第二の要旨として、本発明は、更に、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸(例えば PAP)を封入し、本発明の方法によって製造可能なカプセルを提供する。本発明のカプセルは、無機塩ベースのカプセル塗膜で少なくとも実質上封入又は被覆されている、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP からなり、カプセルは、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜、及び少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸ベースのカプセルコアからなる。
【0049】
応用のための必要に応じて又は所望の場合は、更なる添加剤又は助剤、例えば安定剤、調整剤、無機塩、染料、錯化剤などを、コア材料(過カルボン酸)及び/又はカプセル塗膜に添加し得る。これについては、上記記載を参照できる。
【0050】
本発明のカプセルの更なる詳細については、これに関連し、対応して適応される本発明の製造方法に関する上記記載を参照することができる。
【0051】
本発明のカプセルの場合、カプセルの使用時(即ち分散体の希釈時)、カプセル塗膜の分解、特に剥離又は溶解は、物理的又は化学的な相互作用又は反応、例えば可溶化又は解離作用に基づいて生じる。本発明において、カプセル化された過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、例えば PAP は、希釈(例えば洗濯液中での希釈)時に本発明のカプセルから放出され得る。この場合、放出は特に、希釈(例えば洗濯液中での希釈)によるカプセル塗膜の分解によって、例えば剥離、溶解又は可溶化によって生じる。これらの作用は、特に、分散体又は液体の洗剤又は洗浄剤配合物中へ溶解される無機塩の希釈に帰因し得る。分散体中の無機塩の希釈により、好ましくは、特に剥離又は溶解によってカプセル塗膜の分解が生じ得るよう、分散体又は洗濯液中での、カプセル塗膜を形成する無機塩の溶解度積が低下する。過カルボン酸の放出は、更なる作用、例えば浸透作用及び/又は拡散作用によって引き起こされ又は促進され得る。例えば、水分子は、濃度勾配に従って、カプセル塗膜を通ってカプセル系のコア部分まで拡散し得、洗濯液の pH に対応して、特に 7 以上の pH で、過カルボン酸の部分的又は完全な溶解を生じ得る。これにより、過カルボン酸の洗濯液への放出を伴ってカプセル塗膜が破裂する。以下に説明するように、力学的作用もまた、カプセル塗膜の破壊に寄与し得る。特に、本発明の上記作用の組み合わせによって、本発明のカプセル系からの過カルボン酸の放出が可能になる。
【0052】
本発明のカプセル系は、多くの可能な用途を有する。本発明の更なる要旨として、例えば、本発明のカプセルは、工業的利用において、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、及び脱色配合物又は漂白配合物で使用できる。
【0053】
これに関連して、本発明のカプセルは、過カルボン酸の制御された放出のための運搬システム又は制御放出システムとして使用され得、この場合、過カルボン酸の放出は、特に、カプセル塗膜の組成及び厚さによって制御され得る。本発明において、「組成」は、カプセル塗膜中の適当な無機塩の種類及び/又は量を特に意味すると理解される。更に可能な変更は、本発明のカプセルへの少なくとも 1 つの追加カプセル塗膜(被膜)の塗布である;このようなカプセル系はまた、特に、過カルボン酸が長時間にわたって持続する又は遅延される放出(持続性放出効果)によって運搬される、運搬システムとして使用され得る。
【0054】
本発明の別の要旨として、本発明は更に、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入した本発明のカプセルを含む、特に工業的利用のための、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、髪の手入れ用配合物、染料及び漂白配合物を提供する。本発明のカプセル系を含む本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、家庭及び工業分野の両方で使用できる。特に、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、本発明のカプセル系を含む液体の洗剤及び洗浄剤配合物である。
【0055】
本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、硬い表面及び/又は柔らかい、特に布地表面を洗浄するために使用できる。本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、特に、食器用洗剤、汎用クリーナー、風呂用クリーナー、床用クリーナー、自動車用クリーナー、ガラスクリーナー、家具手入れ剤又はクリーナー、表面クリーナー、洗濯洗剤などとして、より好ましくは洗濯洗剤として使用できる。更に、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、好ましくは、繊維、布地、カーペットなどを洗浄するのに適している。
【0056】
本発明のカプセル系に加えて、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、それ自体一般的な成分及び要素(界面活性剤、香料、染料、酵素、酵素安定剤、臭気物質又は臭気ビルダー、pH 調整剤、他の漂白剤、漂白活性剤、銀保護剤、防汚剤、蛍光増白剤、グレーイング阻害剤、分解助剤、増粘剤、消泡剤又は発泡防止剤、重金属錯化剤、色移り阻害剤、溶媒及び/又は更なる一般的な成分)を含む。本発明において、本発明の各成分又は要素が、互いに、そして本発明のカプセル及びそれにカプセル化された過カルボン酸と適合であることを確実にする必要があり、これは、成分又は要素及び/又はそれら各々の量的割合の制御された選択によって実現される。このようにして、成分又は要素と本発明のカプセル系又はその中に組み込まれた過カルボン酸との望ましくない相互作用を防ぐことができる。以下に詳細を記したように、ある種の成分又は要素及び/又はその量的割合の制御された選択により、本発明のカプセル系又はそれにカプセル化された過カルボン酸に関する安定化効果が起こり得る。
【0057】
本発明の洗剤又は洗浄剤配合物、特に液体の洗剤又は洗浄剤配合物は、例えば、下記の成分:
(i)好ましくは 0.1〜30 重量%の量の、本発明に従った、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセル;及び/又は
(ii)界面活性剤、特に、好ましくは 0〜30 重量%の量の、カチオン性及び/又はアニオン性界面活性剤、及び/又は好ましくは 0〜30 重量%の量の、非イオン性界面活性剤;及び/又は
(iii)任意に、好ましくは 5〜30 重量%の量の、電解質、特に無機及び/又は有機塩、好ましくはリン酸塩、クエン酸塩及び/又は硫酸塩、より好ましくは硫酸ナトリウム;及び/又は
(iv)任意に、好ましくは 0〜10 重量%の量の、錯化剤、特に、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれる錯化剤;及び/又は
(v)任意に、好ましくは 0〜10 重量%の量の、酵素、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ及び/又はリパーゼ、及び/又は酵素安定剤;及び/又は
(vi)任意に、好ましくは 0〜15 重量%の量の、ビルダー、特に脂肪酸、好ましくは飽和及び/又は分枝脂肪酸、特に 30 ℃未満の融点を有するもの、及び/又はクエン酸及び/又はクエン酸塩;及び/又は
(vii)任意に、好ましくは 0〜5 重量%の量の、香料;及び/又は
(viii)任意に、助剤、例えば消泡剤、pH 調整剤、流動調整剤(増粘剤)、溶媒、染料;及び/又は
(ix)任意に、更なる一般的な添加剤、例えば蛍光増白剤など;及び/又は
(x)水;
を含み、重量の全ては洗剤又は洗浄剤配合物に基づく。
【0058】
本発明の洗剤又は洗浄剤配合物、特に液体の洗剤又は洗浄剤配合物において、基本的に無機塩で飽和された分散体が、分散体の貯蔵温度(約 20 ℃)より 5 ℃、特に 10 ℃、好ましくは 15 ℃低い温度で存在するように、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの分散体(液体の洗剤又は洗浄剤配合物)中の含有量を選択する。これに関連して、基本的に無機塩で飽和された分散体が、約 0〜15 ℃、特に 0〜10 ℃、好ましくは 0〜5 ℃で得られるように、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を選択する。分散体、特に分散媒中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量は、分散媒に基づいて、5〜30 重量%、特に 10〜30 重量%、好ましくは 15〜30 重量%である。これに関する更なる詳細については、上記記載を参照できる。
【0059】
これは、本発明のカプセルが、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムで完全に飽和されていない洗剤又は洗浄剤配合物中に、貯蔵温度又は室温で、カプセル塗膜の分解、剥離又は溶解が生じることなく、安定に配合されることが示されたからである。従って、本発明では、特に原材料の節約及び製造コストの最小化という背景に対して、本発明のカプセルを、カプセル塗膜に相当する塩で飽和である洗剤配合物又は洗浄剤配合物に配合する必要がない。特定の理論に委ねたくはないが、このよう配合物中での本発明のカプセルの安定性は、濃縮分散体の状態における、カプセル塗膜を形成する無機塩の非常に遅い分解作用、特に可溶化及び/又は解離作用の速度に基づく。
【0060】
更に、界面活性剤が、洗剤又は洗浄剤配合物中で、少なくとも実質上、特に塩析、即ち界面活性剤欠乏連続相及び好ましくは薄層状の通常高粘度の結晶性又は液晶性界面活性剤リッチ相への相分離誘発によって、好ましくは少なくとも 1 種の硫酸塩化合物、より好ましくは硫酸ナトリウムの添加によって不活性化されるように、洗剤又は洗浄剤配合物中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を選択する。この場合、特に、洗剤配合物又は洗浄剤配合物中での有機過カルボン酸の分解は、少なくとも実質上防がれるか又は少なくとも減少される。本発明において、用語「連続相」は、溶解した成分又は物質(例えば、塩、界面活性剤など)を伴う分散媒を意味すると理解される。好ましくは本発明において、分散媒は水である。
【0061】
これに関連して、過カルボン酸は、活性界面活性剤によってより一層の程度まで溶解され、この溶解状態では極めて不安定なので、有機過カルボン酸、特に PAP は、活性界面活性剤(即ち、洗剤配合物又は洗浄剤配合物中に、フリー又はミセル状で存在する界面活性剤)の存在下で直ちに分解されることが示された。これに関連して、特に、非イオン性界面活性剤、例えばアルキルポリグリコールエーテルベース界面活性剤は、過カルボン酸の分解を促進する。硫酸塩の添加によって、少なくとも部分的に界面活性剤を不活性化する。これは特に塩析によって行われ、界面活性剤は、特にミセル活性体から、界面活性剤フリー連続相に実質的には分散される、好ましくは薄層状の結晶体又は液晶体に転化される(結晶形成又は液晶形成)。分散された液晶体自体は、例えば遠心分離によって、除去可能であり、高粘度である。本発明の洗剤配合物及び洗浄剤配合物中の、又は本発明の洗剤配合物及び洗浄剤配合物の連続相中のフリー又は活性界面活性剤の含有量は、最大 1 %である。
【0062】
洗濯液中で本発明の洗剤又は洗浄剤を使用する際に、本発明のカプセルのカプセル塗膜が分解、例えば剥離又は溶解され、これが、洗濯液への洗剤又は洗浄剤配合物の導入時の希釈効果によって起こり得るように、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物中の、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの濃度を選択する。希釈効果の程度は、特に、硫酸ナトリウムを無機塩として使用する場合、洗剤又は洗浄剤配合物が洗濯液中で使用される際に界面活性剤が活性体として再度存在するようにする。特に、上記のように、未希釈洗剤又は洗浄剤配合物の連続相中に 1 %未満の溶解界面活性剤が存在するように、そして温度低下時、特に 0 ℃まで下がった時に硫酸塩の晶出が生じないように濃度を選択する。
【0063】
特に、非イオン性界面活性剤が過カルボン酸の安定性に関して問題であるので、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、適当に調整又は最適化された界面活性剤比を有する。アルキルポリグリコールエーテルの含有量は、最小にすべきである。
【0064】
本発明において、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物は、少なくとも実質上、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含まない。ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンの量は、特に最大 500 ppm、好ましくは最大 100 ppm、より好ましくは最大 30 ppm である。これは、通例のように、例えば、いくつかの原料又は成分の汚染による、従来の洗剤及び洗浄剤配合物中の、高いハロゲン化物イオン濃度、特に高い塩化物イオン濃度が、過カルボン酸の分解を増加させることが意外にも見出されたからである。従って、ハロゲン化物イオン濃度、特に塩化物イオン濃度の低下は、過カルボン酸の分解を減少させる。低い塩化物イオン濃度は、本発明において、例えば(硫酸メチル、リン酸塩、トシル酸塩又はクメンスルホン酸塩)化合物を使用することによって、或いは低塩化物の原料又は成分を使用(例えば、実質上ハロゲンフリーの成分、例えばハロゲンフリー界面活性剤、ハロゲンフリーホスホン酸塩などの使用)することによって達成され得る。
【0065】
更に、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、最大 7、特に 3.5〜7、好ましくは 4.0〜6.5、より好ましくは 4.5〜6、最も好ましくは 約 5 の pH を有する。PAP のような過カルボン酸ベースの漂白剤は、酸性環境、特に 3.5 以下の pH で、意外にも比較的有効に安定化され得る一方で、中性又はアルカリ性 pH では、PAP のような過カルボン酸の比較的迅速な分解が生じる。本発明の洗剤及び洗浄剤配合物の pH は、例えば酸又は酸性塩の添加によって低下できる。本発明では、例えば、ビルダー物質としても同時に使用され得る、重硫酸塩、重炭酸塩及び有機ポリカルボン酸が好ましい。更に、錯化剤として使用されるホスホン酸塩をホスホン酸として添加でき、アルカリの添加によって後に所望の pH にできる。
【0066】
本発明の洗剤又は洗浄剤配合物は、少なくとも 1 種の脂肪酸を含み得る。本発明では、特に 30 ℃未満の融点を有する、飽和及び/又は分枝脂肪酸が好ましい。本発明において、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物に、例えば Sasol 社製 Isocarb-16(登録商標)を使用できる。
【0067】
本発明の洗剤又は洗浄剤配合物は、最適化されたクエン酸又はクエン酸塩含有量を有する。見出されたように、クエン酸又はクエン酸塩は、過カルボン酸、特に PAP を分解し得る。それにも拘わらず、場合によっては、クエン酸又はクエン酸塩を、洗剤又は洗浄剤配合物、或いは本発明のカプセル用の分散媒に(例えばビルダーとして、及び/又は錯化剤として)使用する必要があり得る。しかしながら、使用量は、多すぎるべきではなく、過カルボン酸、特に PAP に対して調整されるべきである。
【0068】
更に、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物は、少なくとも 1 種の錯化剤、特に、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及び/又はジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれ得る、少なくとも 1 種の錯化剤を含み得る。本発明において、重金属のために使用できる錯化剤の更なる例は、例えば、アミノポリカルボン酸、アミノヒドロキシポリカルボン酸、ポリホスホン酸及びアミノポリホスホン酸である。これらの錯化剤は、本発明において、酸化作用の触媒として特に機能し、従って PAP のような過カルボン酸の分解を導き得、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物に、例えば送水管又は製造装置の金属成分から、或いは原料又は成分から、導入され得る重金属イオンを、不活性化又は結合するために使用される。
【0069】
更に、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、有機過カルボン酸に対する溶解性が低い少なくとも 1 種の水混和性溶媒、好ましくはグリセロールを含み得る。
【0070】
また、本発明の洗剤及び洗浄剤配合物は、過カルボン酸と水との反応によって形成された過酸化水素を、製品、特に洗剤配合物又は洗浄剤配合物から効果的に除去するために、少なくとも 1 種のカタラーゼを含み得るので、特に、場合により酵素の活性損失を招き得る酸化作用から、存在する酵素を効果的に保護する。この目的のため、存在する場合は少なくとも 1 種のカタラーゼに加えて、少なくとも 1 種のペルオキシダーゼ及び/又は少なくとも 1 種の酸化防止剤を、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物に添加することが、同様に可能である。本発明に好ましい酸化防止剤は、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、没食子酸又はこれらの誘導体である。
【0071】
更に、本発明の洗剤配合物又は洗浄剤配合物は、特に実質上、部分的又は完全に本発明のカプセルを溶解しないように構成される。一般に、本発明の洗剤又は洗浄剤配合物に使用される成分は、本発明のカプセルに少なくとも十分適合であるように、即ち、特に洗剤又は洗浄剤配合物自体内で、とりわけ使用前の期間(貯蔵期間)中、過カルボン酸の早すぎる分解及び活性損失を導くであろう、望ましくない化学反応、特に、分解、酸化又は還元反応及び/又は加水分解反応が、これらの成分とカプセルとの間で生じないように選択される。
【0072】
洗濯液における十分な漂白能力を実現するために、過カルボン酸は、本発明のカプセルから十分に迅速に放出される。洗剤又は洗浄剤配合物を使用する時、特に、物理的、或いは物理化学的又は化学的作用、例えば洗濯液中のカプセル塗膜の分解、特に剥離又は溶解によって、並びに、浸透作用又は拡散作用によって過カルボン酸は放出される。カプセル化された過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、例えば PAP は、本発明のカプセルから、特に洗濯液に、カプセル塗膜の分解、例えば部分的又は完全な溶解又は可溶化によって放出され得る。これらの過程は、特に希釈効果によって生じ得る。分散体又は洗濯液中での無機塩の希釈により、好ましくは、分散体又は洗濯液中での、カプセル塗膜を形成する無機塩の溶解度積が低下するので、カプセル塗膜は、分解、特に剥離又は溶解され得る。
【0073】
過カルボン酸の放出はまた、別の作用によっても引き起こされ、又は促進され得る。例えば、無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの、分散体又は洗濯液での希釈は、同時に、界面活性剤を、不活性体(例えば、塩析によって、例えば未希釈洗剤配合物又は洗浄剤配合物中、液晶状態で存在)から、溶解又はミセル状の活性体に転化させるので、このように活性化された界面活性剤は、部分的及び/又は完全に過カルボン酸を溶解し得るか、又はカプセル塗膜の可溶化を促進し得る。洗濯液中の希釈の場合、一般に酸性 pH に調整されている洗剤及び洗浄剤配合物の pH の急上昇が同時に生じるので、過カルボン酸の溶解性が著しく増加する。
【0074】
更に、拡散作用が生じ得る(例えば、濃度勾配に従い、カプセル塗膜を通ってカプセル系のコア範囲まで水分子が拡散し、その結果、過カルボン酸は、洗濯液の適当な pH で、特に 7 以上の pH で、部分的又は完全に溶解され得る)。カプセル塗膜が完全には分解されなかった場合、高い浸透圧がカプセル内に生じ、洗濯液への過カルボン酸の放出に繋がる、いわばカプセル塗膜の破裂を起こし得る。最後に、力学的作用、例えば、洗濯液中に存在する洗濯物による、又は洗濯ドラムとの接触によるカプセル系の力学的破壊も役割を果たす。上述したように、本発明のカプセルの特有の構造及び構成により、過カルボン酸の制御又は遅延された放出が実現する。特に、本発明の上記作用の組み合わせが、本発明のカプセルからの過カルボン酸の放出を可能にする。
【0075】
従来技術と比較して、本発明は、下記の利点を示す。
本発明の方法において、カプセル塗膜は、物理化学的又は物理的相互作用に基づいて形成されるので、幾つかの従来技術法で存在するような、重合工程、特にラジカル重合工程は、カプセル構造を形成するために不要である。このような重合は、しばしば、活性物質、特に繊細な過カルボン酸の分解を招く。従って、本発明は、化学的に繊細な過カルボン酸を対象にしたカプセル化方法を提供する。
【0076】
更に、本発明の製造方法は、そのサイズ及び活性物質含有量に関して広範に変更又は調整できる、過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセルを提供するので、特に洗剤及び洗浄剤配合物に関して、各要求に対する個々の調整が可能であるという利点を有する。
【0077】
これに関連して、無機塩ベースのカプセル塗膜の比は、無機過カルボン酸の含有量に関連して調整され得るので、カプセル化される過カルボン酸の敏感性に応じて、カプセルの調整が実現できる。カプセルサイズの制御調整により、活性物質を有効な適量に調整できる。更に、高い活性物質含有量を有するカプセルが得られるので、少量の出発物質だけがカプセル塗膜に使用される。
【0078】
例えばワックスベースのカプセル化系とは対照的に、本発明のカプセルは、洗濯工程で望ましくない残渣を洗濯物上に残す厄介なカプセル塗膜を含まない。無機塩からなるカプセル塗膜は、洗濯液中に簡単に溶解され、すすぎ工程で事実上完全に除去される。
【0079】
洗剤又は洗浄剤配合物での無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの使用により、第一に界面活性剤の不活性化によって、そして第二にカプセル塗膜の分解の十分な防止によって、過カルボン酸の安定化が可能になるので、使用される無機塩は、この点において 2 つの機能を果たす。従って、例えば界面活性剤を不活性化させるための更なる物質の使用は不要であり得る。
【0080】
本発明の製造方法及びそれにより製造されたカプセルは、第一に本発明のカプセルが水性の溶液又は分散体から塗布され、第二にカプセルが水性液体配合物、例えば液体の洗剤又は洗浄剤配合物中で、部分的又は完全には溶解されないことを確実にする。これらのカプセル系を製造するための本発明の製造方法は、工程段階数が少なく、塗膜材料が安価なため、単純かつ低コストであり、従って特に工業生産にとって重要である。
【0081】
更に、カプセルコア又はカプセル塗膜の選択的改良、例えば重金属イオンのための錯化剤添加によって、過カルボン酸の保護に関する更なる向上、そしてそれに伴う貯蔵安定性の更なる増加が達成され得る。追加カプセル塗膜の塗布は、過カルボン酸の安定性、特に貯蔵安定性を更に増加させ得るので、特定の使用において本発明のカプセル系は著しい適合性を有する。
【0082】
特に、本発明のカプセルは、界面活性剤を含む系、例えば、液体の洗剤及び洗浄剤配合物のための界面活性分散体(界面活性剤含有分散体)での配合又は使用に適している。カプセル化されず、保護されていない過カルボン酸、特に PAP は、界面活性剤の存在下、不安定で直ちに分解されるため、界面活性剤含有液体、特に水性媒体中での、それらの使用は、これまで不可能であるか又はせいぜい非常に限られた程度でしか可能ではなかったので、本発明のカプセル系は特に有利である。カプセル化過カルボン酸の望ましい制御された放出に更に関連するカプセルの安定化効果は、本発明のカプセルが存在する媒体が、過カルボン酸の更なる安定性を与えるよう調整されることにより、特に、界面活性剤の不活性化、pH の最適化又は低下、ハロゲン化物イオン含有量の減少、過カルボン酸に対して低い溶解性を有する溶媒の使用などにより、相乗的に増強され得る。
【0083】
本発明のカプセルは、安定して、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物中に配合され得る。カプセル沈澱に関する更なる防止又は減少は、例えば、それ自体当業者に既知の適当な増粘剤系によって達成できる。本発明のカプセルは、高い貯蔵安定性を有し、長期間後でさえ、過カルボン酸を効果的に放出できる。
【0084】
上述の互いに調整された相乗的改良、即ち、配合の調整、特にハロゲン化物イオン含有量の低下、pH の最適化、錯化剤の添加、界面活性剤の不活性化、特定溶媒及び酵素(例えば、酸化防止剤に加えてカタラーゼ又はペルオキシダーゼ)の添加によって、過カルボン酸ベースである繊細な漂白剤の分解が、本発明のカプセルに関連して著しく減少されるので、本発明の洗剤配合物及び洗浄剤配合物は、従来技術より相当な利点を有する。
【0085】
本発明の更なる態様、修正及び変更、並びに利点は、本明細書を読んだ際、直ちに、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって認識され理解される。
本発明を下記の実施例によって説明するが、これらは本発明を決して限定するものではない。
【実施例1】
【0086】
実施例 1:本発明の硫酸塩カプセル塗膜を有するカプセル化又は被覆化漂白剤カプセルの製造
実験用流動層装置(Aeromatic(登録商標))内で、800 g の Eureco(登録商標)W(Solvay 社製)に、1 % Sequion(登録商標)10H60 を添加した 800 g の 20 %硫酸ナトリウム溶液を噴霧した。得られた生成物のうち、2.0 mm 未満のものを篩い取った。
ヨウ素還元滴定によって、活性物質含有量(純粋な PAP)を測定した。70.5 %の値が得られた。
【実施例2】
【0087】
実施例 2:安定性試験
実施例 1 で製造した被覆化漂白剤化合物を、下記の液体配合物中に添加した(パーセントは活性物質データである)。
【表1】

pH は、水酸化ナトリウム溶液で 5.0 に調整した。
【0088】
比較例:3.5 %の Eureco(登録商標)W を未処理で添加した。pH は同様に 5.0 であった。
【0089】
40 ℃での異なった貯蔵時間後の活性酸素維持力を測定するために、ヨウ素還元滴定を利用した(貯蔵開始時が 100 %)。
【表2】

PAP の安定性が、本発明のカプセルにおいて著しく増加することが分かる。
【実施例3】
【0090】
実施例 3:
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜及び少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸ベースのカプセルコアからなるカプセルが得られるように、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜を、固体粒子状で存在する有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に塗布することを特徴とする、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセルの製造方法。
【請求項2】
(a)有機過カルボン酸に対して少なくとも実質上不活性である少なくとも 1 種の無機塩を、好ましくは該無機塩を含む溶液又は分散体状態で供給する工程;
(b)過カルボン酸を、無機塩ベースのカプセル塗膜によって、少なくとも実質上完全に封入又は被覆するために、工程(a)で供給された無機塩を、特に無機塩を含み、工程(a)で供給された溶液又は分散体状態で、固体粒子状で存在する有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に塗布する工程;
(c)得られたカプセルを任意に加工する、特に乾燥及び/又は精製及び/又は成形及び/又は粒度調整する工程
からなる、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入した、とりわけ請求項1に記載の、カプセルの製造方法。
【請求項3】
有機過カルボン酸が、有機モノ及びジ過カルボン酸、特にドデカンジペルオキシ酸又は好ましくはイミド過カルボン酸、より好ましくは 6-フタルイミド過カプロン酸(6-フタルイミド過ヘキサン酸、PAP)から選ばれ、及び/又は過カルボン酸が、大気圧下で 25 ℃超、特に 35 ℃超、好ましくは 45 ℃超、より好ましくは 50 ℃超、特に好ましくは 100 ℃超の融点を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
使用される有機過カルボン酸の粒度が、10〜3000 μm、特に 50〜2500 μm、好ましくは 100〜1500 μm であり、及び/又は使用される有機過カルボン酸の粒度が、3000 μm 以下、特に 2500 μm 以下、好ましくは 2250 μm 以下、より好ましくは 2000 μm 以下、特に好ましくは 1500 μm 以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
無機塩が、非塩基性塩、好ましくは中性塩又は特に弱酸性塩であり、及び/又は無機塩が、無機の硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、好ましくは無機硫酸塩の群から選ばれ、特に無機塩が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアルカリ金属塩から選ばれ、及び/又は無機塩が、ハロゲンフリー塩、特に非塩基性ハロゲンフリー無機塩であり、及び/又は無機塩がより好ましくは硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程(a)で供給される溶液又は分散体中の無機塩含有量が、溶液又は分散体に基づいて、0.1〜40 重量%、特に 1〜30 重量%、好ましくは 5〜25 重量%であり、及び/又は工程(a)で供給される溶液又は分散体中の無機塩含有量が、溶液又は分散体に基づいて、1 重量%超、特に 5 重量%超、好ましくは 10 重量%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
カプセル塗膜を形成する無機塩を、無機塩の溶液又は分散体を噴霧することによって塗布し、及び/又は工程(b)において、工程(a)で供給された溶液又は分散体を、固体粒子状で存在する過カルボン酸上に、好ましくは流動層装置で噴霧することによって、又は噴霧乾燥、特に、好ましくは大気圧下で及び/又は 0〜100 ℃、特に 10〜50 ℃、好ましくは 20〜50 ℃の温度で操作する方法によって塗布することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
カプセル塗膜が、物理的及び/又は化学的相互作用又は反応、特に沈澱及び/又は晶出及び/又は結晶形成作用に基づいて形成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
好ましくはカプセル塗膜の塗布前に、吸熱反応、特に、80 ℃未満、とりわけ 70 ℃未満の温度で結晶水放出反応及び/又は分解反応を生じ得る物質を、有機過カルボン酸に塗布し、及び/又は過カルボン酸とブレンド、特に混合し、とりわけ、このような物質が好ましくはホウ酸であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
とりわけ重金属イオンを錯化するために、少なくとも 1 種の錯化剤をカプセル塗膜に添加し、錯化剤は、特に、キノリン及び/又はその塩、リン酸塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)及び/又はニトリロ三酢酸(NTA)の群から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程(c)で行い得る乾燥を、通常法によって、特に、フリーズドライ(凍結乾燥)、溶媒の蒸発、好ましくは 40〜60 ℃の温度での溶媒の蒸発、限外濾過、透析又は穏やかな条件下での噴霧乾燥によって行い、及び/又は工程(c)で行い得る成形を、特に球状化などによって行うことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセルが、10〜4000 μm、好ましくは 50〜2000 μm、特に 100〜1000 μm の平均サイズ(球体直径)を有することを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
カプセル塗膜の割合が、カプセルに基づいて、5 重量%以上、特に 10 重量%以上、好ましくは 20 重量%以上であり、及び/又は有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の含有量が、カプセルに基づいて、25〜95 重量%、特に 30〜90 重量%、好ましくは 40〜85 重量%、より好ましくは 50〜80 重量%であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
少なくとも 1 つの追加カプセル塗膜(塗膜層)が、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜を有する工程(c)で得られたカプセルに塗布され、特に、追加カプセル塗膜が、無機塩、特に硫酸塩及び/又はリン酸塩、無機酸化物、有機ポリマー、特にセルロースエーテル、ポリビニルアルコール(PVAl)、ポリビニルピロリドン(PVP)から選ばれる少なくとも 1 種の物質を有し、及び/又は特に、追加カプセル塗膜が、少なくとも 1 種の安定剤、特にゲル形成剤の添加によって硬化された及び/又はゲル化された油相ベースの少なくとも 1 種のゲル、特にパラフィンゲルを含み、及び/又は特に、追加カプセル塗膜が、とりわけ多層多価電解質カプセル塗膜として設計されることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
工程(b)及び/又は(c)で得られたカプセルを分散体に転化し、特に、分散体が分散媒、好ましくは水、及び無機塩(分散体中でのカプセル塗膜を形成する無機塩の溶解性は低く、特にカプセル塗膜を形成する塩に相当する)を含み、特に、分散体中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を、有機過カルボン酸を封入及び/又は被覆するカプセル塗膜の分解、特に剥離及び/又は溶解が、少なくとも実質上防がれるか又は少なくとも減少されるように選択することを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
分散体、特に分散媒中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を、基本的に無機塩で飽和された分散体が、分散体の貯蔵温度より 5 ℃、特に 10 ℃、好ましくは 15 ℃低い温度で得られるように選択し、及び/又は無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量を、基本的に無機塩で飽和された分散体が、約 0〜15 ℃、特に 0〜10 ℃、好ましくは 0〜5 ℃で得られるように選択し、及び/又は分散体、特に分散媒中の無機塩、より好ましくは硫酸ナトリウムの含有量が、分散媒に基づいて、5〜30 重量%、特に 10〜30 重量%、好ましくは 15〜30 重量%であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
分散体が、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物であって、この場合、工程(b)及び/又は(c)で得られたカプセルを、更なる成分と共に配合して洗剤又は洗浄剤配合物を与えることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の方法であって、特に、洗剤又は洗浄剤配合物が:
・少なくとも実質的にハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含まず、とりわけ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンの量が、最大 500 ppm、好ましくは最大 100 ppm、より好ましくは最大 30 ppm であり;及び/又は
・最大 7、特に 3.5〜7、好ましくは 4.0〜6.5、より好ましくは 4.5〜6、特に好ましくは 約 5 の pH を有し;及び/又は
・少なくとも 1 種の錯化剤、特に、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれる少なくとも 1 種のキレート剤を、とりわけ重金属イオンを錯化するために含み;及び/又は
・任意に、有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に対する溶解性が低い、少なくとも 1 種の水混和性溶媒、好ましくはグリセロールを含み;及び/又は
・任意に、少なくとも 1 種の酵素、特に少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種のペルオキシダーゼ、好ましくは少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種の酸化防止剤を含む方法。
【請求項18】
少なくとも 1 種のイミド過カルボン酸、好ましくは PAP を封入したカプセルを製造するための、請求項1〜17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP を安定化するための、及び/又は過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の安定性を増加するための、請求項1〜18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれかに記載の方法によって得られたカプセル。
【請求項21】
少なくとも実質的に無機塩ベースのカプセル塗膜で封入及び/又は被覆されている、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP を含んでなる、少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP を封入したカプセルであって、カプセルが、少なくとも 1 種の無機塩ベースのカプセル塗膜及び少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸ベースのカプセルコアからなるカプセル。
【請求項22】
有機過カルボン酸が、有機モノ及びジ過カルボン酸、特にドデカンジペルオキシ酸又は好ましくはイミド過カルボン酸、より好ましくは 6-フタルイミド過カプロン酸(6-フタルイミド過ヘキサン酸、PAP)から選ばれ、及び/又は過カルボン酸が、大気圧下で 25 ℃超、特に 35 ℃超、好ましくは 45 ℃超、より好ましくは 50 ℃超、特に好ましくは 100 ℃超の融点を有することを特徴とする、請求項21に記載のカプセル。
【請求項23】
無機塩が、非塩基性塩、好ましくは中性塩又は特に弱酸性塩であり、及び/又は無機塩が、無機の硫酸塩、硝酸塩及びリン酸塩、好ましくは無機硫酸塩の群から選ばれ、特に無機塩が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、好ましくはアルカリ金属塩から選ばれ、及び/又は無機塩が、ハロゲンフリー塩、特に非塩基性ハロゲンフリー無機塩であり、及び/又は無機塩がより好ましくは硫酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項21又は22に記載のカプセル。
【請求項24】
カプセル塗膜が、物理的及び/又は化学的相互作用又は反応、特に沈澱及び/又は晶出及び/又は結晶形成作用に基づいて形成されることを特徴とする、請求項21〜23のいずれかに記載のカプセル。
【請求項25】
吸熱反応、特に、80 ℃未満、とりわけ 70 ℃未満、好ましくは 60 ℃未満の温度で結晶水放出反応及び/又は分解反応を生じ得る物質を、有機過カルボン酸に塗布し、及び/又は過カルボン酸とブレンド、特に混合し、とりわけ、このような物質が好ましくはホウ酸であり、及び/又はカプセル塗膜が、特に、キノリン及び/又はその塩、リン酸塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)及び/又はニトリロ三酢酸(NTA)の群から選ばれる少なくとも 1 種の錯化剤を含むことを特徴とする、請求項21〜24のいずれかに記載のカプセル。
【請求項26】
有機過カルボン酸の粒度が、10〜3000 μm、特に 50〜2500 μm、好ましくは 100〜1500 μm であり、及び/又は使用される有機過カルボン酸の粒度が、3000 μm 以下、特に 2500 μm 以下、好ましくは 2250 μm 以下、より好ましくは 2000 μm 以下、特に好ましくは 1500 μm 以下であり、及び/又は少なくとも 1 種の有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸を封入したカプセルが、10〜4000 μm、好ましくは 50〜2000 μm、特に 100〜1000 μm の平均サイズ(球体直径)を有することを特徴とする、請求項21〜25のいずれかに記載のカプセル。
【請求項27】
カプセル塗膜の割合が、カプセルに基づいて、5 重量%以上、特に 10 重量%以上、好ましくは 20 重量%以上であり、及び/又は有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の含有量が、カプセルに基づいて、25〜95 重量%、特に 30〜90 重量%、好ましくは 40〜85 重量%、より好ましくは 50〜80 重量%であることを特徴とする、請求項21〜26のいずれかに記載のカプセル。
【請求項28】
カプセル使用時に、カプセル塗膜の分解、特に剥離及び/又は溶解が、物理的及び/又は化学的相互作用又は反応、特に可溶化及び/又は解離作用に基づいて生じることを特徴とする、請求項21〜27のいずれかに記載のカプセル。
【請求項29】
少なくとも 1 つの追加カプセル塗膜をカプセル塗膜に塗布することを特徴とする、請求項21〜28のいずれかに記載のカプセル。
【請求項30】
請求項21〜29のいずれかに記載のカプセルを含む分散体、特に水性分散体。
【請求項31】
請求項21〜29のいずれかに記載のカプセル及び/又は請求項30に記載の分散体の、工業的利用における、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、及び脱色配合物又は漂白配合物での使用。
【請求項32】
請求項21〜29のいずれかに記載のカプセル及び/又は請求項30に記載の分散体を含む、工業的利用における、洗剤及び洗浄剤配合物、特に液体の洗剤及び洗浄剤配合物、歯の手入れ用製品、ヘアカラー、或いは脱色配合物又は漂白配合物。
【請求項33】
(i)好ましくは 0.1〜30 重量%の量の、請求項21〜29のいずれかに記載のカプセル;及び/又は
(ii)界面活性剤、特に、好ましくは 0〜30 重量%の量の、カチオン性及び/又はアニオン性界面活性剤、及び/又は好ましくは 0〜30 重量%の量の、非イオン性界面活性剤;及び/又は
(iii)場合により、好ましくは 5〜30 重量%の量の、電解質、特に無機及び/又は有機塩、とりわけリン酸塩、クエン酸塩及び/又は硫酸塩、より好ましくは硫酸ナトリウム;及び/又は
(iv)任意に、好ましくは 0〜10 重量%の量の、錯化剤、特に、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれる錯化剤;及び/又は
(v)任意に、好ましくは 0〜10 重量%の量の、酵素、例えばプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ及び/又はリパーゼ、及び/又は酵素安定剤;及び/又は
(vi)任意に、好ましくは 0〜15 重量%の量の、ビルダー、特に脂肪酸、好ましくは飽和及び/又は分枝脂肪酸、特に 30 ℃未満の融点を有するもの、及び/又はクエン酸及び/又はクエン酸塩;及び/又は
(vii)任意に、好ましくは 0〜5 重量%の量の、香料;及び/又は
(viii)任意に、助剤、例えば消泡剤、pH 調整剤、流動調整剤(増粘剤)、溶媒、染料;及び/又は
(ix)任意に、更なる一般的な添加剤、例えば蛍光増白剤など;及び/又は
(x)水;
を含んでなり、全ての重量が洗剤又は洗浄剤配合物に基づくことを特徴とする、請求項32に記載の洗剤又は洗浄剤配合物、特に液体の洗剤又は洗浄剤配合物。
【請求項34】
過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸、好ましくは PAP の、洗剤又は洗浄剤配合物、特に液体の洗剤又は洗浄剤配合物中での分解を、少なくとも減少するか又は防ぐために、洗剤又は洗浄剤配合物が、
・少なくとも実質的にハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンを含まず、とりわけ、ハロゲン化物イオン、特に塩化物イオンの量が、最大 500 ppm、好ましくは最大 100 ppm、より好ましくは最大 30 ppm であり;及び/又は
・最大 7、特に 3.5〜7、好ましくは 4.0〜6.5、より好ましくは 4.5〜6、特に好ましくは 約 5 の pH を有し;及び/又は
・少なくとも 1 種の錯化剤、特に、キノリン及び/又はその塩、アルカリ金属ポリホスホネート、ピコリン酸及びジピコリン酸、モノ-又はポリホスホン酸、とりわけ 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アザシクロヘプタンジホスホネート(AHP)、ニトリロ三酢酸(NTA)、クエン酸及び/又は短鎖ジカルボン酸の群から選ばれる少なくとも 1 種の錯化剤を、とりわけ重金属イオンを錯化するために含み;及び/又は
・任意に、有機過カルボン酸、特にイミド過カルボン酸に対する溶解性が低い、少なくとも 1 種の水混和性溶媒、好ましくはグリセロールを含み;及び/又は
・任意に、少なくとも 1 種の酵素、特に少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種のペルオキシダーゼ、好ましくは少なくとも 1 種のカタラーゼ及び/又は少なくとも 1 種の酸化防止剤を含む;
ことを特徴とする、請求項32〜34のいずれかに記載の洗剤又は洗浄剤配合物、特に液体の洗剤又は洗浄剤配合物。

【公表番号】特表2007−527929(P2007−527929A)
【公表日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515853(P2006−515853)
【出願日】平成16年6月8日(2004.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006168
【国際公開番号】WO2004/110612
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】