説明

長尺物蛇行測定装置

【課題】本発明は、敷設された長尺物の蛇行量を、安全、簡単且つ正確に測定できる長尺物蛇行測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】直線状に敷設された走行レール100の蛇行量を測定するレール測定装置1であって、走行レール100の軸線方向BLに略平行な方向にレーザ光25aを照射するレーザ計測器20と、レーザ計測器20から照射されたレーザ光25aを投影する投影プレート44と、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの投影位置を画像解析して抽出する制御部31と、レーザ計測器20及び投影プレート44の少なくとも一方を、軸線方向BLに沿って走行させる走行部50とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、天井クレーンの走行レールのような敷設された長尺物の蛇行量を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、天井クレーンの走行レールのように、敷設されたレールは、使用によってわずかに移動したり、変形したり、損傷を受けたり、破損するおそれがあり、たとえば労働安全規則等によってその点検が義務づけられている。また、安全な使用を望む使用者による自主点検が行われている。
しかし、このような点検の間は、そのレールを使用することができないため、短時間で点検を済ませたいという要望があった。
【0003】
また、例えば、天井クレーンの場合、走行レール自体が天井近くの高所にあるため、天井クレーンの走行レールを直接測定するためには確実な安全を確保しながら測定する必要があった。
【0004】
そのような状況のなか、例えば、レールに予め、光線を発光する発光装置と受光装置とを所定間隔を隔てて複数配置し、受光装置の受光結果によってレールの偏位量を検出する検出方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−69212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1に記載の検出方法の場合、レールに常時、発光装置と受光装置とを装備しておく必要があり、その管理が困難であった。特に、天井付近に配置された天井クレーンの場合、天井クレーンの走行振動により発光装置や受光装置が走行レールから外れると、地上に向かって落下するため非常に危険である。
また、レールが長くなると、複数組の発光装置や受光装置が必要になるといった問題もあった。
【0007】
さらに、上記特許文献1に記載の検出方法の場合、発光装置及び受光装置の間の偏位量は検出できるものの、レール全体が偏位した場合については検出できないという問題がある。
【0008】
なお、軌間や傾斜等の左右のレールの相対関係が運行に影響する天井クレーン等の走行レールの場合、上記特許文献1に記載の検出方法では左右のレールの相対関係を検出することはできなかった。
【0009】
そこで、本発明は、敷設された長尺物の蛇行量を、安全、簡単且つ正確に測定できる長尺物蛇行測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、直線状に敷設された長尺物の蛇行量を測定する長尺物蛇行測定装置であって、前記長尺物の軸線方向に略平行な方向に光線を照射する光線照射手段と、該光線照射手段から照射された前記光線を投影する投影手段と、該投影手段に投影された前記光線の投影位置を検出する光線位置検出手段と、前記光線照射手段及び前記投影手段の少なくとも一方を、前記軸線方向に沿って走行させる走行手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記直線状に敷設された長尺物は、天井クレーンや門型クレーンの走行レールや、例えば、電車やトロッコ、バッテリロコ等の走行車両のためのレールなどとすることができる。
【0012】
上記光線は、レーザ光をはじめとする指向性、収束性の高い光線であり、コヒーレントな光線とすることができる。例えば、ナトリウムランプによる単色光をピンホールを通過させたコヒーレント光であってもよい。
【0013】
前記投影手段とは、投影された光線の一部を透過するとともに、一部を反射する半透過性の投影手段、全部を透過する透過性の投影手段、全部を反射する全反射投影手段で構成することができる。さらには、樹脂やガラスによる板状或いはスクリーン状の投影手段とすることができる。
【0014】
上記光線位置検出手段は、投影手段の反投影側から投影手段に投影された光線の位置を検出する検出手段や、投影側から投影手段に投影された光線の位置を検出する検出手段で構成することができる。
【0015】
前記走行手段は、光線照射手段及び投影手段の両方、光線照射手段及び投影手段のいずれかを、前記長尺物上や長尺物に対して平行に、光線照射手段及び投影手段を近づける方向、あるいは遠ざける方向に走行させる手段とすることができる。
【0016】
この発明により、走行手段によって、前記光線照射手段及び前記投影手段の少なくとも一方が前記軸線方向に沿って走行し、該光線照射手段から前記長尺物の軸線方向に略平行に照射され、投影手段に投影された光線の投影位置を光線位置検出手段で検出するため、正確に、直線状に敷設された長尺物の蛇行量を測定することができる。
【0017】
詳しくは、長尺物の軸線方向に略平行な光線を照射する光線照射手段と、照射された光線が投影される投影手段との一方を走行手段によって前記軸線方向に沿って走行させるため、長尺物の蛇行に応じて投影手段への光線の投影位置が変化し、その変化する投影位置を光線位置検出手段で検出することによって、直線状に敷設された長尺物の蛇行量を正確に検出して、長尺物の蛇行量を測定することができる。
【0018】
この発明の態様として、前記光線照射手段を、レーザ光を照射するレーザ照射装置で構成するとともに、前記軸線方向に対して平行に前記レーザ光線を照射するように該レーザ照射装置を前記長尺物の一端側に固定し、前記走行手段を、前記投影手段と一体構成し、前記長尺物上を走行する構成とし、前記投影手段の前記長尺物における位置を検出する投影手段位置検出手段と、該投影手段位置検出手段で検出された前記投影手段の前記長尺物における位置と、前記光線位置検出手段によって検出された前記レーザ光の投影位置とを関連付けて記憶する検出結果記憶手段とを備えることができる。
【0019】
上記投影手段位置検出手段は、長尺物の一端側に固定されたレーザ照射装置から投影手段までの距離によって投影手段の前記長尺物における位置を検出する検出手段、長尺物の敷設位置を管理する管理座標系における投影手段の座標位置によって投影手段の前記長尺物における位置を検出する検出手段、あるいは、長尺物における位置を示すマーキング等を読み取って投影手段の前記長尺物における位置を検出する検出手段とすることができる。
【0020】
この発明により、測定箇所を特定した正確な蛇行量を測定することができる。
詳しくは、指向性、収束性の高いレーザ光を投影手段に向かって照射することによって、長スパンの長尺物であっても、光線が拡散することなく正確に蛇行を検出できるとともに、投影手段の位置と蛇行量とを関連付けて検出結果記憶手段に記憶することができるため、測定箇所を特定した正確な蛇行量を測定することができる。
【0021】
また、長尺物に平行なレーザ光を照射するレーザ照射装置を前記長尺物の一端側に固定するため、例えば、レーザ照射装置を走行させる場合と比較して、正確な長尺物の蛇行量を測定することができる。
【0022】
詳しくは、レーザ照射装置が走行手段によって前記長尺物に沿って走行し、長尺物の蛇行によってレーザ光の照射方向が変化する場合、レーザ照射装置と投影手段との距離によって、投影手段に投影されるレーザ光の位置が大きく異なってくるため、蛇行量の測定が複雑となり、蛇行量測定の精度が低下する。
【0023】
これに対し、長尺物に平行なレーザ光を照射するレーザ照射装置を前記長尺物の一端側に固定することによって、レーザ光の照射方向が変化することがなく、蛇行する長尺物に沿って投影手段が走行することで、長尺物の軸線方向に平行なレーザ光に対する投影手段の相対位置の変化に応じて投影位置が変化するため、正確な長尺物の蛇行量を測定することができる。
【0024】
また、この発明の態様として、前記投影手段を、前記レーザ照射装置が配置された側である投影側とは反対側の反投影面側に前記レーザ光の一部が透過する可透過投影手段で構成し、前記光線位置検出手段を、前記可透過投影手段の前記反投影面側に配置し、前記可透過投影手段を透過する前記レーザ光を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像したレーザ光の投影位置を検出する撮像レーザ光線位置検出手段とで構成するとともに、前記走行手段によって、前記投影手段と一体的に前記長尺物上を走行する構成とすることができる。
【0025】
上記撮像手段は、CCDカメラ等で構成することができる。
上記撮像レーザ光線位置検出手段は、撮像手段で撮像した画像を処理し、例えば、ピクセル単位の座標系におけるレーザ光の投影位置を検出する検出手段とすることができる。
【0026】
この発明により、より正確に、投影手段に投影されたレーザ光の投影位置を検出し、長尺物の蛇行量を測定することができる。
詳しくは、前記投影手段を、前記レーザ照射装置が配置された側である投影側とは反対側の反投影面側に前記レーザ光の一部が透過する可透過投影手段で構成し、前記光線位置検出手段を、前記可透過投影手段の前記反投影面側に配置し、前記可透過投影手段を透過する前記レーザ光を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像したレーザ光の投影位置を検出する撮像レーザ光線位置検出手段とで構成するとともに、前記走行手段によって、前記投影手段と一体的に前記長尺物上を走行する構成としたことによって、撮像手段が投影手段へのレーザ光の投影を邪魔することなく、また、投影手段と撮像手段との距離を一定に保ちながら、投影手段に投影されたレーザ光を、投影手段の反投影面側における正面から撮像して、撮像レーザ光線位置検出手段で投影手段に投影されたレーザ光の投影位置を検出することができる。
【0027】
したがって、撮像手段を投影手段の投影面側に配置した場合、投影手段へのレーザ光の投影に撮像手段が邪魔して、投影手段にレーザ光が投影できなかったり、投影手段と撮像手段との距離が変化することによる距離による投影位置検出誤差や、投影手段へのレーザ光の投影方法と撮像手段が投影手段に投影されたレーザ光を撮像する撮像方向が偏向することによる投影位置検出誤差が生じることを防止できるため、より精度の高い蛇行量を測定することができる。
【0028】
また、この発明の態様として、前記撮像レーザ光線位置検出手段に、該撮像手段で撮像した前記レーザ光の中心を抽出するレーザ光中心抽出手段を備えることができる。
上記レーザ光中心抽出手段は、該撮像手段で撮像した前記レーザ光を、例えばピクセル単位で判別し、投影されたレーザ光として判別したピクセルの重心位置をレーザ光中心として抽出する抽出手段や、該撮像手段で撮像した前記レーザ光の外縁を判別し、その外縁に基づく中心位置をレーザ光中心として抽出する抽出手段とすることができる。
【0029】
この発明により、投影距離によって、投影手段に投影されるレーザ光の投影形状が変化しても、投影されたレーザ光の中心を抽出できるため、投影距離によらず正確な蛇行量を測定することができる。
【0030】
また、この発明の態様として、前記長尺物を、鋼製レールで構成し、前記走行手段を、前記鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段で構成することができる。
前記鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段は、磁性を帯びた走行ローラによって鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段や、断面における複数方向から鋼製レールを押圧するローラによる拘束走行手段や、それらを組み合わせた拘束走行手段とすることができる。
【0031】
この発明により、走行手段で走行させながら光線照射手段と、投影手段と、光線位置検出手段とで上記直線状に敷設された長尺物の蛇行量を、正確且つ安全に測定することができる。
【0032】
詳しくは、拘束走行手段で鋼製レールを拘束しているため、走行手段で走行する光線照射手段や投影手段が、鋼製レールから落下する等の危険を防止することができる。また、走行手段でスムーズに走行するためには鋼製レールに対して所定の遊びが必要であるが、拘束走行手段で鋼製レールを拘束しているため、走行手段による走行がぶれることなく正確に蛇行量を測定することができる。
【0033】
また、この発明は、直線状に敷設された長尺物の蛇行量を測定する長尺物蛇行測定装置であって、前記長尺物を鋼製レールで構成し、前記長尺物の一端側に固定し、前記長尺物の軸線方向に略平行なレーザ光を、他端側に向かって照射するレーザ照射装置と、前記長尺物上を走行して該レーザ照射装置から照射された前記レーザ光を受光するレーザ光受光装置と、検出結果を記憶する検出結果記憶手段とで構成し、該レーザ光受光装置を、該レーザ照射装置から照射された前記レーザ光の一部が、前記レーザ照射装置が配置された投影面側とは反対側である反投影面側に透過する態様で、前記レーザ光を投影する可透過投影手段と、前記可透過投影手段の前記反投影面側に配置し、前記可透過投影手段を透過する前記レーザ光を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像したレーザ光の中心を抽出するレーザ光中心抽出手段と、該レーザ光中心抽出手段によって抽出された中心位置によって、前記レーザ光の投影位置を検出する撮像レーザ光線位置検出手段と、前記可透過投影手段の前記投影面側を露出する態様で、少なくとも前記可透過投影手段と前記撮像手段とを囲繞する囲繞手段と、前記鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段とで構成し、前記レーザ照射装置に、前記可透過投影手段で反射した前記レーザ光を受光して、前記レーザ照射装置から前記可透過投影手段までの距離を測定する距離測定手段を備え、前記検出結果記憶手段に、前記撮像レーザ光線位置検出手段によって検出されたレーザ光の投影位置と、前記距離測定手段によって測定された前記距離とを関連付けて記憶することを特徴とする。
【0034】
この発明によれば、上記効果に加え、少ない機材で、周辺環境に影響されずに正確な長尺物の蛇行量を測定することができる。
詳しくは、レーザ照射装置に、可透過投影手段で反射したレーザ光を受光して、レーザ照射装置から可透過投影手段までの距離を測定する距離測定手段を備えたため、別の距離測定手段を備えた場合と比較して、必要機材数が少なく、各機材を同期しながら測定する制御が容易になるとともに、各機材をセットする手間が低減される。
【0035】
また、可透過投影手段の投影面側を露出する態様で、少なくとも可透過投影手段と撮像手段とを囲繞する囲繞手段を備えたことにより、蛇行量を測定する測定環境の光量に影響されることなく、可透過投影手段の反投影面側に配置した撮像手段で可透過投影手段に投影されたレーザ光を撮像することができ、正確な長尺物の蛇行量を測定することができる。
【0036】
この発明の態様として、前記鋼製レールを上面に敷設するレール敷設台座を、敷設された前記鋼製レールの全長に亘って前記敷設方向に配置し、前記鋼製レールと前記レール敷設台座との相対位置を検出する相対位置検出手段を備え、前記走行手段が、前記可透過投影手段と前記光線位置検出手段に加えて前記相対位置検出手段を一体的に走行させることができる。
【0037】
上記レール敷設台座は、ガーターと呼ばれる例えばH型鋼のような鋼材とすることができる。
上記鋼製レールとレール敷設台座との相対位置を検出する相対位置検出手段は、レール敷設台座の上面に敷設される鋼製レールのレール敷設台座の上面における位置や、離れ等を検出する手段とすることができる。
【0038】
この発明により、レール敷設台座の上面における鋼製レールの敷設位置を測定することができる。したがって、例えば、走行する天井クレーンの荷重を受ける鋼製レールと、鋼製レールを支持するレール敷設台座とが偏心しているなどの敷設状態の不具合を確認することができる。
【発明の効果】
【0039】
この発明によれば、敷設された長尺物の蛇行量を、安全、簡単且つ正確に測定できる長尺物蛇行測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】レール測定装置のブロック図。
【図2】走行測定器の斜視図。
【図3】レーザ計測器についての説明図。
【図4】レーザ計測器についての説明図。
【図5】レーザ計測器についての説明図。
【図6】レール測定装置で測定する走行レール及びガーターについての説明図。
【図7】レール測定装置で測定する走行レール及びガーターについての説明図。
【図8】レール測定装置の測定方法を示したフローチャート。
【図9】レール測定装置の測定状況について説明する説明図。
【図10】レール測定装置の測定方法における画像解析処理及びデータ変換処理についてのフローチャート。
【図11】走行測定器による蛇行量の測定状況についての説明図。
【図12】ガーター測定部による敷設位置の測定状況についての説明図。
【図13】画像解析処理における中心点抽出についての説明図。
【図14】別の走行部を備えた走行測定器の斜視図。
【図15】別の走行部についての説明図。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1はレール測定装置1のブロック図を示し、図2は走行測定器30の斜視図を示し、図3,4は走行測定器30についての説明図を示し、図5はレーザ計測器20についての説明図を示している。
【0042】
なお、図3における(a)は走行測定器30の平面図、(b)は走行測定器30の左側面図、(c)は走行測定器30のA−A断面図、(d)は走行測定器30のB−B断面図、(e)は走行測定器30のC−C断面図を示し、(f)は(e)におけるa部の拡大図を示している。
【0043】
図4における(a)は走行測定器30の正面図、(b)は走行測定器30のD−D断面図を示している。
図5における(a)はレーザ計測器20の平面図、(b)はレーザ計測器20の右側面図を示し、(c)はレーザ計測器20の正面図を示している。
【0044】
図6は、レール測定装置1で測定する走行レール100及びガーター110についての正面図による説明図を示し、図7はレール測定装置1で測定する走行レール100及びガーター110についての平面図による説明図を示している。
【0045】
図8はレール測定装置1の測定方法のフローチャートを示し、図9はレール測定装置1の測定状況について説明する説明図を示している。なお、図9における(a)はレール測定装置1の測定状況の平面図を示し、(b)はレール測定装置1の測定状況の側面図を示している。
【0046】
図10はレール測定装置1の測定方法における画像解析処理及びデータ変換処理についてのフローチャートを示し、図11は走行測定器30による蛇行量の測定状況についての説明図を示し、図12はガーター測定部60による敷設位置の測定状況についての説明図を示し、図13は画像解析処理における中心点抽出についての説明図を示している。
【0047】
レール測定装置1は、測定管理器10と、レーザ計測器20と、走行測定器30とで構成している。
測定管理器10は、走行レール100の蛇行量を測定するレーザ計測器20及び走行測定器30を制御するコンピュータであり、制御部11、操作部12、表示部13、記憶部14、計時部15および通信部16等を有する。
【0048】
制御部11は、CPUとROMとRAMにより構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。この実施例では、レーザ計測器20及び走行測定器30から測定結果を受信し、記憶部14に、各測点の位置情報とともに測定結果を格納して管理する。
【0049】
操作部12は、キーボードやマウスといった操作入力装置で構成されており、操作入力された入力信号を制御部11へ送る。
表示部13は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイといった表示装置で構成されており、制御部11の制御信号に従って表示を行う。
【0050】
記憶部14は、ハードディスクなどの記憶装置により構成され、適宜のプログラムやデータを記憶する。
具体的には、記憶部14は、レーザ計測器20や走行測定器30に関する設定情報や、測定結果等を記憶及び管理するとともに、ピクセル−長さ変換プログラムや図化プログラム等のレール測定装置1を稼動するために必要な情報やプログラムを記憶及び管理している。
【0051】
計時部15は、現在の日付情報を管理している。
通信部16は、Bluetooth(登録商標)や赤外線による無線通信あるいはLAN(Local Area Network)を介した通信など、測定器100とのデータ通信に適した適宜の通信インターフェースで構成することができる。なお、本実施例においては、Bluetooth(登録商標)による無線通信を用いている。
【0052】
上記構成により、測定管理器10は、通信部16を介して通信して後述するレーザ計測器20及び走行測定器30を用いて、走行レール100及びガーター110を測定するとともに、それぞれでの測定結果を管理することができる。
【0053】
図1及び図5に示すように、三脚29によって設置されるレーザ計測器20は、制御部21、操作部22、表示部23、記憶部24、レーザ照射部25、レーザ受光部26、通信部27、および照射方向調整部28等により構成している。
制御部21は、CPUとROMとRAMあるいはマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0054】
操作部22は、設定入力やレーザ照射のON\OFF切替え、距離計測の開始等の操作入力を受け付けるボタンであり、押下信号を制御部21へ送る。
表示部23は、液晶画面(図5参照)などの表示装置によって構成され、制御部21から送られる画像信号に従って文字や図形といった画像を表示する。具体的に表示する情報は、測定結果や設定情報である。
【0055】
記憶部24は、レーザ照射部25とレーザ受光部26とによる距離測定の測定プログラムや、後述する通信部27を制御する通信制御プログラム等、レーザ計測器20に必要な適宜のプログラムを記憶する。
【0056】
レーザ照射部25は、レーザ発振器を用いて可視光領域のレーザ光25aを生成し、所定の方向に照射する構成である。
レーザ受光部26は、後述する走行測定器30で反射するレーザ光25aを受光し、受光結果を制御部21に送信して、走行測定器30までの距離を測定することができる。
【0057】
通信部27は、無線通信あるいはLANを介した通信など、適宜のインターフェースで構成されている。この実施例において、通信部27は制御部21の制御信号に従って、測定結果を、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信により測定管理器10と通信する。
【0058】
照射方向調整部28は、レーザ照射部25から照射されるレーザ光25aの照射方向を調整するための調整部であり、前後方向、幅方向、回転方向のそれぞれの方向で回転調整することができる。なお、レーザ計測器20の本体には水平レベルを確認する気泡管28a,28bを備えている。
【0059】
上記構成により、レーザ計測器20は、レーザ照射部25で走行測定器30に対してレーザ光25aを照射し、走行測定器30で反射したレーザ光25aを受光して、レーザ計測器20と走行測定器30との距離を測定することができる。
【0060】
図1乃至4に示すように、走行レール100上を走行する走行測定器30は、本体部40と、走行部50と、ガーター測定部60とで構成している。
本体部40は、下から順に、本体下部41と、該本体下部41の前面41aと面一状に配置された投影プレート44を前面に備えた本体上部42と、該本体上部42の後方で、本体下部41の上部に配置された制御系部43とで構成している。
投影プレート44は、白色で投影されたレーザ光25aの一部を透過する樹脂性板で構成している。
【0061】
本体下部41は、底部の前後に走行部50の挟込みローラ部51を備えるとともに、内部に走行磁気ローラ52及び該走行磁気ローラ52を回転駆動する駆動モータ53を装備する走行レール100の軸線方向に長い直方体形状である。
【0062】
本体上部42は、前面に正面視矩形の投影プレート44を露出する態様で備えた縦長直方体の上部カバー42aで構成し、上部カバー42aは本体下部41の上面に脱着可能に固定している。
【0063】
そして、縦長直方体の上部カバー42aにより、図3(c),(d)に示すように、本体下部41の上面において投影プレート44の後方位置に配置したカメラ部36を囲繞している。
【0064】
なお、本体上部42の上面の正面右側には、360度ミラー45を備えている。
また、本体上部42内部に配置したカメラ部36は、後述する制御部31に制御され、投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像するとともに、撮像した画像を制御部31に送信する構成である。
【0065】
制御系部43は、本体上部42の後方に配置され、本体上部42より一回り小さな直方体であり、内部に、制御部31,操作部32,表示部33,記憶部34,通信部35を備えている。
【0066】
制御部31は、CPUとROMとRAMあるいはマイコン(マイクロコンピュータ)により構成されており、ROM等に記憶されているプログラムに従って各部の制御動作や演算動作を実行する。
【0067】
操作部32は、設定入力等の操作入力を受け付けるボタンであり、押下信号を制御部31へ送る。
表示部33は、液晶画面などの表示装置によって構成され、制御部31から送られる画像信号に従って文字や図形といった画像を表示する。具体的に表示する情報は、測定結果や設定情報である。
【0068】
記憶部34は、カメラ部36での撮像プログラムやガーター測定部60による測定プログラムや、後述する通信部35を制御する通信制御プログラム、撮像した画像からレーザ光25aの中心点CPを抽出する中心抽出プログラム、撮像した画像にコントラスト等画像処理を施す画像処理プログラム等、走行測定器30に必要な適宜のプログラムを記憶する。
【0069】
通信部35は、無線通信あるいはLANを介した通信など、適宜のインターフェースで構成されている。この実施例において、通信部35は制御部31の制御信号に従って、測定結果を、Bluetooth(登録商標)を用いた無線通信により測定管理器10と通信する。
【0070】
走行部50は、上述したように、挟込みローラ部51、走行磁気ローラ52、駆動モータ53及び回転ベルト54で構成している。挟込みローラ部51は、本体下部41の底部に幅方向に配置された2本のガイドレール51bに幅方向にスライド可能に装着され、幅方向の挟込みローラ部51がそれぞれスプリング51aによって幅方向内側(矢印a参照)に付勢されている(図3(e)のa部の拡大図である図3(f)参照)。
【0071】
また、本体下部41の内部に配置した駆動モータ53は、制御部31に制御され、走行磁気ローラ52を回転駆動する構成である。なお、駆動モータ53によって回転駆動する走行磁気ローラ52は磁性を帯びており、走行レール100に吸着する構成である。
【0072】
また、前後に2つ装備した走行磁気ローラ52のうち一方の走行磁気ローラ52が駆動モータ53によって直接回転駆動し、他方の走行磁気ローラ52に対して回転ベルト54によって回転を伝達している。
【0073】
ガーター測定部60は、本体下部41の後方から、正面視倒位のL型に形成されたアーム61と、アーム61の先端に配置されたレーザ測定器62とで構成している。
レーザ測定器62は、制御部31に制御され、走行レール100の台座であるガーター110の上側のフランジ110aの側面にレーザ光62aを照射し、反射するレーザ光62aを受光し,受光結果を制御部31に送信する構成である。
【0074】
次に、上述の構成の測定管理器10、レーザ計測器20及び走行測定器30で構成されたレール測定装置1を用いて測定する走行レール100及びガーター110、そして天井クレーン200について、図6,7とともに説明する。
【0075】
天井クレーン200は、工場や防音ハウス等の構造物120の左右の壁面120aの一部を構成する柱120bに固定したレールブラケット130を跨ぐように、配置されたガーター110の上面に固定された走行レール100上を図示省略する走行装置で走行し、巻き上げ装置と協働して荷役作業を行う装置である。
【0076】
したがって、左右の走行レール100(100a,100b)は、それぞれが設置方向(軸線方向BLa,BLb)に対してまっすぐ、そして傾斜せずに敷設される必要がある。また、左右の走行レール100間においても、軌間RG(左右のレールの内側同士の距離)が一定かつ、同じ高さに設置される必要がある。
【0077】
もし、軌間RGが一定しなければ、天井クレーン200の左右両端付近に設置した走行装置の車輪が走行レール100と競り合って走行不能となったり、走行レール100から脱輪して脱線の原因となる。
【0078】
また、各レールが傾斜したり、レール間で傾斜する場合、天井クレーン200は傾斜方向に走行しやすくなったり、吊り荷の荷重が不均等に係り不安定な状態となる。
したがって、左右の走行レール100は同一の水平面上に設置された平行な状態でなければならない。
【0079】
なお、走行レール100は、レール頭頂部101の幅の広いクレーン用レールであり、ガーター110は、走行レール100の軸線方向BL、すなわち天井クレーン200の走行方向に沿って配置されたH型鋼である。
【0080】
また、ガーター110は、ウェブ110bが鉛直方向となるように配置され、上側のフランジ110aの上面に走行レール100を固定している。このとき、図12(a)に示すように、走行レール100の中心線CL1が、ガーター110の中心線CL2と一致するように固定されている。
【0081】
さらにまた、ガーター110と壁面120aとの間と、ガーター110の両端部外側には、チェッカープレートによって構成された歩廊140が形成されている。
【0082】
このように構成された走行レール100及びガーター110において、図7に示すように、レーザ計測器20を一端側にセットし、走行測定器30を、他端側からレーザ計測器20に向かって走行レール100上を走行させて、レール測定装置1により走行レール100及びガーター110について計測する。
以下において、その計測方法について詳述する。
【0083】
レール測定装置1を用いた走行レール100及びガーター110の計測は、平行に配置された2本の走行レール100(100a,100b)及びガーター110の始点(始点a,始点b)及び終点(終点a,終点b)の計4点の座標を測定し、始点と終点との間の走行レール100及びガーター110を測定することで各走行レール100の蛇行量やガーター110に対するレール100の位置等を測定する測定方法である。
以下の説明においては、まず正面視右側の右レール100aとそのガーター110を測定した後、正面視左側の左レール100b及びそのガーター110を測定することとする。
【0084】
最初に、右レール100aの軸線方向BLa上における終点a側の歩廊140にレーザ計測器20を配置し、レーザ光25aの照射方向を調整するとともに、同じ右レール100aの始点aに走行測定器30をセットする(ステップs1)。このときのレーザ光25aの照射方向は、図9に示すように、走行レール100の軸線方向BLに一致するとともに、走行レール100の上方位置で平行な方向となるように、照射方向調整部28によって調整する。
【0085】
また、走行部50のスプリング51aの付勢力に反して挟込みローラ部51を一旦外側に開き、レール頭頂部101を挟込みローラ部51で挟むように走行測定器30をセットする。これにより、磁性を有する走行磁気ローラ52でレール頭頂部101上面に吸着するとともに、挟込みローラ部51でレール頭頂部101の上部を挟み込んで拘束し、レール頭頂部101に吸着する走行磁気ローラ52が回転することで、走行測定器30は走行レール100を拘束したまま走行することができる。
【0086】
この状態で右レール100a及びガーター110の計測準備が完了する。次に、左右の走行レール100の平面内側の地上部120cに設置し、管理座標系の設定が完了した光波測距器(図示省略)で、始点aにセットされた走行測定器30の360度ミラー45を視準し、角度及び距離を測定し、管理座標系における始点aの座標を算出する(ステップs2)。
【0087】
始点aの座標算出完了後、測定管理器10でレーザ計測器20及び走行測定器30を制御して計測を開始する(ステップs3)。
詳しくは、測定管理器10による制御によって、レーザ照射部25から走行測定器30に向かってレーザ光25aを照射する。そして、走行部50で走行する走行測定器30は、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの画像をカメラ部36で撮像するとともに、レーザ測定器62からガーター110の上側のフランジ110aに向かってレーザ光62aを照射して、レーザ測定器62から上側のフランジ110a側部までの距離を測定する。
【0088】
そして、カメラ部36で撮像された画像を受け取った制御部31は画像解析して(ステップs4)、検出したレーザ光25aの位置と、上側のフランジ110aまでの距離とを、始点aの測定値として測定管理器10に送信し、記憶部14に登録する(ステップs5)。
【0089】
なお、ステップs4における画像解析処理は、図10(a)における画像解析のフローチャートに示すように、カメラ部36で撮像された画像を制御部31が取得し(ステップt1)、測定環境に応じて設定される画像処理設定の有無を判断する(ステップt2)。
【0090】
このときの画像処理とは、投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像した画像から画像解析において明確にレーザ光25aを認識できるように、画像の明るさ、色合い、コントラスト等を調整する画像処理である。
【0091】
ステップt2で画像処理設定が設定されていれば(ステップt2:Yes)、カメラ部36で撮像した画像を画像処理プログラムで、明確にレーザ光25aを認識できるように、画像の明るさ、色合い、コントラストを調整する(ステップt3)。
【0092】
ステップt3で画像処理が終了した画像や、ステップt2で画像処理設定がされていない場合(ステップt2:NO)の画像におけるレーザ光25aを認識し、その中心点を抽出する(ステップt4)。
【0093】
詳しくは、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの拡大図である図13(a)に示すように、レーザ計測器20と走行測定器30との距離が長くなると、距離が近い場合と比較してレーザ光25aは大きくなるとともに扁平化する。この大きくなり、扁平化したレーザ光25aにおける中心点CPを中心点抽出プログラムを用いて抽出する。
【0094】
本実施例において、中心点抽出プログラムは、図13(a)で白く示すレーザ光25aをピクセル単位で分割し、白いピクセルを集計して重心位置を算出することで中心点CPを抽出している。なお、レーザ光25aの外形を算出し、算出された外形から中心点CP’を算出する構成であってもよく、図13(a)に示すように、重心位置から算出した中心点CPと、外形に基づく中心点CP’であっても、大きな誤差は生じないことを確認している。
【0095】
このようにして、ステップt4で抽出した中心点CPを、カメラ部36で撮像した画像におけるピクセル単位の座標系に落とし込み、中心点CPのピクセル座標値を算出して(ステップt5)、本画像解析処理を終了する。上記ステップs5では、この画像解析処理において算出した中心点CPのピクセル座標値を測定管理器10に送信し、記憶部14に登録している。
【0096】
ステップs5でデータ登録されると、レーザ計測器20によって走行測定器30とレーザ計測器20との距離を測定し(ステップs6)、測定した距離に基づいて走行測定器30が終点aまで進んだか判定する(ステップs7)。
【0097】
走行測定器30が終点aまで進んでいなければ(ステップs7:No)、前回の測定箇所、つまりカメラ部36で投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像した場所から所定距離進んだかどうか判断する(ステップs8)。なお、所定距離とは、カメラ部36で投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像するピッチ、すなわち測定ピッチである。
【0098】
まだ、前回の測定箇所から所定距離進んでいなければ(ステップs8:No)、ステップs6に戻って、さらに進んだ走行測定器30とレーザ計測器20との距離を測定し、走行測定器30が前回の測定箇所から進んだ距離が所定距離となるまで繰り返す。
【0099】
前回の測定箇所から所定距離進んでいれば(ステップs8:Yes)、ステップs4に戻って、カメラ部36で投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像し、画像解析するとともに、レーザ測定器62で上側のフランジ110aまでの距離を測定する。
【0100】
このとき、カメラ部36側から投影プレート44を見た断面図による説明図である図11に示すように、始点aにおける投影プレート44に投影されたレーザ光25aは投影プレート44の中心付近に投影されていたとし、所定距離進んだ測定箇所における右レール100aが始点aに対して、右上方向(図11(b)参照:レーザ計測器20から見て左上方向)に蛇行していた場合、始点aで投影プレート44の中心付近に投影されていたレーザ光25aは左下方向(レーザ計測器20から見て右下方向)にズレた位置に投影される。
【0101】
逆に、所定距離進んだ測定箇所における右レール100aが始点aに対して、左上方向(図11(c)参照:レーザ計測器20から見て右上方向)に蛇行していた場合、レーザ光25aは右下方向(レーザ計測器20から見て左下方向)にズレた位置に投影される。
このように、中心付近に投影されていたレーザ光25aからズレた位置に投影されたレーザ光25aのズレ量が右レール100aの蛇行量となる。
【0102】
また、走行レール100の中心線CL1とガーター110の中心線CL2とが一致する正規な状態から(図12(a))、図12(b)に示すように、ガーター110に対して走行レール100が右方向にズレた場合、レーザ測定器62で測定する距離は正規の状態より短くなり、ガーター110に対して走行レール100が左方向にズレた場合、レーザ測定器62で測定する距離は正規の状態より長くなる。
【0103】
このような測定箇所における測定及び測定結果の登録を終点aに達するまで繰り返す。なお、記憶部14への測定結果の登録は、各測定箇所の距離情報に関連付けて測定結果を登録する。
【0104】
走行測定器30が終点aに到達したことを確認すると(ステップs7:Yes)、地上部120cに設置した光波測距器(図示省略)で、終点aにある走行測定器30の360度ミラー45を視準し、角度及び距離を測定し、管理座標系における終点aの座標を算出する(ステップs9)。これで、正面視右側の右レール100a及びそのガーター110の測定を完了する。
【0105】
次に、まだ左レール100b及びそのガーター110についてまだ測定していないため(ステップs10:Yes)、ステップs1に戻って、左レール100bの始点bに走行測定器30をセットするとともに、左レール100bの終点側にレーザ計測器20をセットし、上述の右レール100a及びそのガーター110の測定と同様に、ステップs2乃至s9までを繰り返して左レール100b及びそのガーター110について測定する。
【0106】
これにより、左レール100bの始点b及び終点bの位置座標及び始点bから終点bまでの測定箇所における左レール100bの蛇行量及びガーター110に対する左レール100bの位置を測定し、各測定箇所の距離情報と関連付けて測定結果を記憶部14に登録することができる。
【0107】
このように、左右の走行レール100及びそれぞれのガーター110の測定が完了すると(ステップs10:No)、制御部11は記憶部14に記憶された測定データをデータ変換する(ステップs11)。
【0108】
なお、ステップs11におけるデータ変化処理は、図10(b)におけるデータ変化処理のフローチャートに示すように、カメラ部36で撮像された画像から抽出したレーザ光25aの中心点CPのピクセル座標値に走行レール100からレーザ光25aまでの照射高さ等の初期条件を反映させるとともに、長さ表示に変換する処理であり、記憶部14に記憶されたピクセル−長さ変換プログラムによって実行される。
【0109】
まず、データ変換処理では、レーザ光25aの照射高さ等のキャリブレーション条件を記憶部14から読み出し(ステップu1)、記憶部14に登録された各測定箇所の中心点CPのピクセル座標値をキャリブレーション条件に応じてオフセットする(ステップu2)。これにより、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの中心点CPのピクセル座標値を、例えば走行レール100のレール頭頂部101の中心の蛇行量に変換することができる。
【0110】
そして、例えば走行レール100のレール頭頂部101の中心座標に変換した座標値を長さ単位に変換する(ステップu3)。詳しくは、これまで画像を構成する最小単位であるピクセルを基準にしたピクセル座標系における座標で管理していたため、走行レール100の蛇行量として管理容易な長さ単位に変換する。これにより、長さによる走行レール100の蛇行量を管理することができる。
【0111】
このようにして、ステップs11で記憶部14に記憶した各測定箇所の中心点CPのピクセル座標値から長さ単位に変換した蛇行量を、記憶部14において関連付けて記憶していた距離とともに、走行レール100の蛇行量及びガーター110からのズレ量を、記憶部14に記憶する図化プログラムを用いて図化して(ステップs12)、レール測定装置1による走行レール100及びガーター110の計測を終了する。
【0112】
なお、上述した画像解析処理のステップt4の中心点抽出時における、画像処理設定の影響について、図13(b)〜(e)を用いて説明する。
図13(b)は、暗い屋外でレーザ光25aを投影プレート44に投影された状態をカメラ部36で撮像した画像のレーザ光25aの中心点CPを抽出した際の誤差を示し、図13(c)は同状態において画像処理設定を行った場合の誤差を示している。
【0113】
なお、ここでいう誤差とは、記憶部14に記憶する中心点抽出プログラムを用い、レーザ光25aをピクセル単位に分割してから集計して算出した重心位置による中心点CPと、レーザ光25aの外形を算出し、算出された外形から算出する中心点CP’とのピクセル単位での誤差であり、正確に認識された画像解析ではその誤差が小さくなる。
【0114】
これに対し、図13(d)は、明るい屋内でレーザ光25aを投影プレート44に投影された状態をカメラ部36で撮像した画像のレーザ光25aの中心点CPを抽出した際の誤差を示し、図13(e)は同状態において画像処理設定を行った場合の誤差を示している。
【0115】
その結果、暗い屋外で測定した場合も、明るい屋内で測定した場合も、レーザ計測器20と走行測定器30との距離が短い場合、差は少ないが、距離が大きくなるにつれその誤差が大きくなることを確認した。
【0116】
そして、暗い屋外での測定、すなわち測定環境が暗い場合は画像処理が設定されている方が長距離測定時の誤差を低減できることを確認した。逆に、明るい屋内での測定、すなわち測定環境が明るい場合は画像処理が設定しない方が長距離測定時の誤差を低減できることが確認できた。
このように、測定環境に応じて、画像処理を設定することによって、より正確に中心点CPの位置を抽出できることを確認した。
【0117】
このように構成されたレール測定装置1は、走行レール100の一端側に固定し、走行レール100の軸線方向BLに略平行なレーザ光25aを、他端側に向かって照射するレーザ計測器20と、走行レール100上を走行してレーザ計測器20から照射されたレーザ光25aを受光する走行測定器30と、検出結果を記憶する記憶部14とで構成している。
【0118】
走行測定器30は、レーザ計測器20から照射されたレーザ光25aの一部が反投影面側に透過する投影プレート44と、投影プレート44の反投影面側に配置し、投影プレート44を透過するレーザ光25aを撮像するカメラ部36と、カメラ部36で撮像したレーザ光25aの中心点CPを抽出するとともに、投影位置を検出する制御部31と、投影プレート44の投影面側を露出する態様で、少なくとも投影プレート44とカメラ部36とを囲繞する上部カバー42aと、走行レール100を拘束しながら走行する挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52とで構成している。
【0119】
また、レーザ光25aを照射するレーザ計測器20に、投影プレート44で反射したレーザ光25aを受光するレーザ受光部26を備え、さらに、測定管理器10の記憶部14に、ステップs4で画像解析する制御部31によって検出されたレーザ光25aの投影位置と、レーザ受光部26を有するレーザ計測器20によって測定された距離とを関連付けて記憶させている。
【0120】
上記構成により、走行部50によって、投影プレート44を有する走行測定器30を走行レール100上を走行させ、レーザ計測器20から走行レール100の軸線方向BLに略平行に照射され、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの投影位置を制御部31で検出するため、正確且つ安全に、直線状に敷設された走行レール100の蛇行量を測定することができる。
【0121】
詳しくは、従来であれば、まず、測定間隔毎の測定点を走行レール100に設置し、左右の走行レール100の平面内側の地上部120cに設置した光波測距器を用い、測定手元者が走行レール100の側方の歩廊140から走行レール100のレール頭頂部101にミラーを測定点毎に設置し、測定点毎の方向角と距離とを計測して、三次元立体座標系に座標変換して、各走行レール100の蛇行量を算出する。
【0122】
この間、測定手元者は測定中ずっと天井付近の歩廊140に居る必要があり、危険性があった。また、測定点毎に測定するため、走行レール100をすべて測定するためには長い時間がかかり、その間ずっと天井クレーン200を使用できず、不便であった。
【0123】
これに対し、レール測定装置1を用いた測定方法では、走行レール100の一旦側に固定されたレーザ計測器20から照射され、軸線方向BLに略平行なレーザ光25aが投影される投影プレート44を有する走行測定器30を走行部50によって走行レール100上を走行させるため、走行レール100の蛇行に応じて投影プレート44へのレーザ光25aの投影位置が変化し、その変化する投影位置を制御部31で検出し、直線状に敷設された走行レール100の蛇行量を正確に検出して、走行レール100の蛇行量を安全に測定することができる。
【0124】
また、走行レール100まで距離のある地上からの斜め方向に測定した方向各及び距離に基づく各測点の三次元座標による蛇行測定と比べて、走行レール100の軸線方向BLに対して直角方向の投影プレート44に投影するレーザ光25aで走行レール100の蛇行量を測定するため、誤差の少ない正確な蛇行量を測定することができる。
【0125】
また、レーザ受光部26を有するレーザ計測器20で検出された投影プレート44の走行レール100における位置と、制御部31によって検出されたレーザ光25aの投影位置とを関連付けて記憶部14に記憶することにより、測定箇所を特定した正確な蛇行量を測定することができる。
詳しくは、指向性、収束性の高いレーザ光25aを投影プレート44に向かって照射することによって、長スパンの走行レール100であっても正確に蛇行を検出できるとともに、投影プレート44の位置と蛇行量とを関連付けて記憶部14に記憶することができるため、測定箇所を特定した正確な蛇行量を測定することができる。
【0126】
また、走行レール100に平行なレーザ光25aを照射するレーザ計測器20を走行レール100の一端側に固定するため、例えば、レーザ計測器20が走行する場合と比較して、正確な走行レール100の蛇行量を測定することができる。
【0127】
詳しくは、レーザ計測器20が走行部50によって走行レール100に沿って走行し、走行レール100の蛇行によってレーザ光25aの照射方向が変化する場合、レーザ計測器20と投影プレート44との距離によって、投影プレート44に投影されるレーザ光25aの位置が異なってくるため、蛇行量の測定が複雑となり、正確性が低下する。
【0128】
これに対し、走行レール100に平行なレーザ光25aを照射するレーザ計測器20を走行レール100の一端側に固定することによって、レーザ光25aの照射方向が変化することがなく、蛇行する走行レール100に沿って投影手段が走行することで、走行レール100の軸線方向BLに平行なレーザ光25aに対する相対位置の変化に応じて投影位置が変化するため、正確な走行レール100の蛇行量を測定することができる。
【0129】
さらにまた、右レール100aと左レール100bの始点と終点の座標を地上部120cに設置した光波測距器で測定しているため、右レール100aと左レール100bの軸線方向BLを測定できるとともに、軌間RGを算出することができる。
【0130】
また、右レール100aと左レール100bの始点と終点の座標を測定しているため、各走行レール100の軸線方向BLが、正規の軸線方向BLからズレている場合であっても、走行レール100のズレた軸線方向BLからの蛇行量を正確に測定することができる。
【0131】
また、地上部120cに設置した光波測距器で右レール100aと左レール100bの始点と終点の座標を測定する際に、始点及び終点に位置する走行測定器30の上面に備えた360度ミラー45を視準して測定しているため、測定手元が天井付近の走行レール100上を走行する走行測定器30に、距離測定のためのミラーを設置する必要がなく、利便性を向上することができる。
【0132】
また、投影プレート44を、レーザ計測器20が配置された側である投影側とは反対側の反投影面側にレーザ光25aの一部が透過する白色の透過性樹脂板で構成し、投影プレート44の反投影面側に配置し、投影プレート44を透過するレーザ光25aを撮像するカメラ部36と、カメラ部36で撮像したレーザ光25aの投影位置を画像解析して検出するため、より正確に、投影プレート44に投影されたレーザ光25aの投影位置を検出し、走行レール100の蛇行量を測定することができる。
【0133】
詳しくは、上記構成としたことによって、カメラ部36が投影プレート44へのレーザ光25aの投影を邪魔することなく、また、投影プレート44とカメラ部36との距離を一定に保ちながら、投影プレート44に投影されたレーザ光25aを、投影プレート44の反投影面側における正面から撮像して、ステップs4で画像解析する制御部31で投影プレート44に投影されたレーザ光25aの投影位置を検出することができる。
【0134】
したがって、カメラ部36を投影プレート44の投影面側に配置した場合、投影プレート44へのレーザ光25aの投影にカメラ部36が邪魔して、投影プレート44にレーザ光25aが投影できなかったり、投影プレート44とカメラ部36との距離が変化することによる距離による投影位置検出誤差や、投影プレート44へのレーザ光25aの投影方法とカメラ部36が投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像する撮像方向が偏向することによる投影位置検出誤差が生じることを防止できるため、より精度の高い蛇行量を測定することができる。
【0135】
また、カメラ部36で撮像したレーザ光25aの中心点CPを中心抽出手段プログラムを用いて制御部31が抽出するため、投影距離によって、投影プレート44に投影されるレーザ光25aの投影形状が異なっても、投影されたレーザ光25aの中心点CPを抽出できるため、投影距離によらず正確な蛇行量を測定することができる。
【0136】
また、走行部50を、走行レール100を拘束しながら走行する挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52で構成したことにより、レーザ計測器20と、走行部50で走行させる投影プレート44と、ステップs4で画像解析する制御部31とで上記直線状に敷設された走行レール100の蛇行量を、正確且つ安全に測定することができる。
【0137】
詳しくは、挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52を備えた走行部50で走行レール100を拘束しているため、走行部50で走行する走行測定器30が、走行レール100から落下する等の危険を防止することができる。
【0138】
また、挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52を備えた走行部50でスムーズに走行するためには走行レール100に対して所定の遊びが必要であるが、挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52で走行レール100を拘束しているため、走行部50による走行がぶれることなく正確に蛇行量を測定することができる。
【0139】
また、投影プレート44の投影面側を露出する態様で、少なくとも投影プレート44とカメラ部36とを囲繞する上部カバー42aを備えたことにより、蛇行量を測定する測定環境の光量に影響されることなく、投影プレート44の反投影面側に配置したカメラ部36で投影プレート44に投影されたレーザ光25aを撮像することができ、正確な走行レール100の蛇行量を測定することができる。
【0140】
また、走行レール100を上面に敷設するガーター110を、敷設された走行レール100の全長に亘って敷設方向に配置し、走行レール100とガーター110との相対位置を検出するレーザ測定器62を備え、走行部50によって、レーザ測定器62を走行測定器30と一体的に走行させたことにより、ガーター110の上面における走行レール100の敷設位置を測定することができる。したがって、例えば、走行する天井クレーンの荷重を受ける走行レール100と、走行レール100を支持するガーター110とが偏心しているなどの敷設状態の不具合を確認することができる。
【0141】
なお、上記実施例の走行部50は、本体下部41の底部に幅方向に配置された2本のガイドレール51bに幅方向にスライド可能に装着された挟込みローラ部51と、内部に配置した走行磁気ローラ52及び該走行磁気ローラ52を回転駆動する駆動モータ53とで構成していたが、図14及び図15に示すように、別の走行部50’で構成してもよい。
【0142】
別の走行部50’を備えた走行測定器30’の斜視図である図14、及び走行部50’を備えた走行測定器30’の底面図による説明図である図15に示すように、走行測定器30’は走行部50’以外の構成については上述の実施例走行測定器30と同様の構成である。
【0143】
なお、図15(a)は走行レール100に装着するために連結ビーム55を開いた状態の底面図を示し、図15(b)は連結ビーム55でレール頭頂部101を挟み込んで拘束する状態の底面図を示している。
【0144】
挟込みローラ部51をガイドレール51bに対して幅方向にスライド可能に装着し、各挟込みローラ部51をそれぞれスプリング51aによって幅方向内側(矢印a参照)に付勢していた走行部50と異なり、走行部50’は、前後の挟込みローラ部51を連結する連結ビーム55に固定し、連結ビーム55ごとスプリング51aによって幅方向内側(矢印a参照)に付勢している。
【0145】
詳しくは、連結ビーム55は、ガイドレール51bに対して幅方向にスライド可能に装着され、その前後の底面内側に挟込みローラ部51を固定している。そして連結ビーム55の前後方向中央付近には、本体下部41の底部に固定されたスプリング51aによって幅方向内側(矢印a参照)に付勢されている。なお、ガイドレール51bに対して幅方向にスライド可能に装着された連結ビーム55は、走行測定器30’の前後方向に平行な状態を保ちながら幅方向にスライドする構成である。
【0146】
このように構成された走行部50’を装備した走行測定器30’は、図15(a)に示すように、スプリング51aの付勢力に反して幅方向外側(矢印b参照)に連結ビーム55を広げ、走行レール100にセットする。
【0147】
走行レール100にセットされた走行測定器30’は、図15(b)に示すように、スプリング51aによる幅方向内側(矢印a参照)の付勢力によって連結ビーム55が走行レール100のレール頭頂部101を挟み込んで走行磁気ローラ52と共に走行レール100を拘束することができる。
【0148】
このように、前後2つの挟込みローラ部51を連結ビーム55に固定し、連結ビーム55ごとスプリング51aで幅方向内側に付勢しているため、前後の挟込みローラ部51で、レール頭頂部101を左右から均等に挟み込むことができる。したがって、走行測定器30’の前後方向を走行レール100の軸線方向に一致させて確実拘束することができる。
【0149】
以上、この発明の構成と前述の実施形態との対応において、
この発明の長尺物及び鋼製レールは、走行レール100に対応し、
以下、同様に、
長尺物蛇行測定装置は、レール測定装置1に対応し、
光線及びレーザ光は、レーザ光25aに対応し、
光線照射手段及びレーザ照射装置は、レーザ計測器20に対応し、
投影手段及び可透過投影手段は、投影プレート44に対応し、
光線位置検出手段及び撮像レーザ光線位置検出手段は、ステップs4で画像解析する制御部31に対応し、
走行手段は、走行部50,50’に対応し、
投影手段位置検出手段は、レーザ受光部26を有するレーザ計測器20に対応し、
検出結果記憶手段は、記憶部14に対応し、
撮像手段は、カメラ部36に対応し、
レーザ光の中心は、中心点CPに対応し、
レーザ光中心抽出手段は、中心抽出プログラムを実行する制御部31に対応し、
拘束走行手段は、挟込みローラ部51及び走行磁気ローラ52に対応し、
レーザ光受光装置は、走行測定器30,30’に対応し、
囲繞手段は、上部カバー42aに対応し、
レール敷設台座は、ガーター110に対応し、
相対位置検出手段は、レーザ測定器62に対応するも、
この発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、あらゆる直線状の長尺物の蛇行量測定に適用する実施形態を含むものである。
【0150】
なお、上述の実施例においてレール測定装置1で天井クレーンの走行レール100を測定したが、これに限定されず、例えば、電車やトロッコ、バッテリロコ等の走行車両のためのレールなどの直線部分の測定に用いることができる。
【0151】
また、レーザ光25aの代替として、コヒーレントな光線であればよく、例えば、ナトリウムランプによる単色光をピンホールを通過させたコヒーレント光であってもよい。
【0152】
また、上述の実施例において、走行レール100の一端側に固定したレーザ計測器20に近づく方向に走行測定器30を走行させて測定したが、逆に終点側から始点側に向かって、レーザ計測器20から遠ざかる方向に走行測定器30を走行させてもよい。
【0153】
また、レーザ計測器20で、走行測定器30とレーザ計測器20との距離を測定したが、走行レール100に予め設定したマーキング等を読み込んで走行測定器30の位置を検出する構成であってもよい。
【0154】
また、カメラ部36で撮像したレーザ光25aの画像を、画像処理プログラムを用いて制御部31で画像処理し、さらに、中心抽出プログラムを用いて制御部31でレーザ光25aの中心点CPを抽出し、その中心点CPの座標を測定管理器10に送信して記憶部14に登録したが、画像処理プログラムや中心抽出プログラムを記憶部14に記憶し、走行測定器30からカメラ部36で撮像した画像データを測定管理器10に送信して、制御部11によって、受信した画像の画像処理、及びレーザ光25aの中心点CPを抽出してもよい。
【符号の説明】
【0155】
1…レール測定装置
11…制御部
14…記憶部
20…レーザ計測器
25a…レーザ光
26…レーザ受光部
30,30’…走行測定器
36…カメラ部
42…上部カバー
44…投影プレート
50,50’…走行部
51…挟込みローラ部
52…走行磁気ローラ
62…レーザ測定器
100…走行レール
110…ガーター
BL…軸線方向
CP…中心点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線状に敷設された長尺物の蛇行量を測定する長尺物蛇行測定装置であって、
前記長尺物の軸線方向に略平行な方向に光線を照射する光線照射手段と、
該光線照射手段から照射された前記光線を投影する投影手段と、
該投影手段に投影された前記光線の投影位置を検出する光線位置検出手段と、
前記光線照射手段及び前記投影手段の少なくとも一方を、前記軸線方向に沿って走行させる走行手段とを備えた
長尺物蛇行測定装置。
【請求項2】
前記光線照射手段を、レーザ光を照射するレーザ照射装置で構成するとともに、前記軸線方向に対して平行に前記レーザ光線を照射するように該レーザ照射装置を前記長尺物の一端側に固定し、
前記走行手段を、前記投影手段と一体構成し、前記長尺物上を走行する構成とし、
前記投影手段の前記長尺物における位置を検出する投影手段位置検出手段と、
該投影手段位置検出手段で検出された前記投影手段の前記長尺物における位置と、前記光線位置検出手段によって検出された前記レーザ光の投影位置とを関連付けて記憶する検出結果記憶手段とを備えた
請求項1に記載の長尺物蛇行測定装置。
【請求項3】
前記投影手段を、
前記レーザ照射装置が配置された側である投影側とは反対側の反投影面側に前記レーザ光の一部が透過する可透過投影手段で構成し、
前記光線位置検出手段を、
前記可透過投影手段の前記反投影面側に配置し、前記可透過投影手段を透過する前記レーザ光を撮像する撮像手段と、該撮像手段で撮像したレーザ光の投影位置を検出する撮像レーザ光線位置検出手段とで構成するとともに、
前記走行手段によって、前記投影手段と一体的に前記長尺物上を走行する構成とした
請求項2に記載の長尺物蛇行測定装置。
【請求項4】
前記撮像レーザ光線位置検出手段に、
該撮像手段で撮像した前記レーザ光の中心を抽出するレーザ光中心抽出手段を備えた
請求項3に記載の長尺物蛇行測定装置。
【請求項5】
前記長尺物を、鋼製レールで構成し、
前記走行手段を、
前記鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段で構成した
請求項1乃至4に記載の長尺物蛇行測定装置。
【請求項6】
直線状に敷設された長尺物の蛇行量を測定する長尺物蛇行測定装置であって、
前記長尺物を鋼製レールで構成し、
前記長尺物の一端側に固定し、前記長尺物の軸線方向に略平行なレーザ光を、他端側に向かって照射するレーザ照射装置と、
前記長尺物上を走行して該レーザ照射装置から照射された前記レーザ光を受光するレーザ光受光装置と、
検出結果を記憶する検出結果記憶手段とで構成し、
該レーザ光受光装置を、
該レーザ照射装置から照射された前記レーザ光の一部が、前記レーザ照射装置が配置された投影面側とは反対側である反投影面側に透過する態様で、前記レーザ光を投影する可透過投影手段と、
前記可透過投影手段の前記反投影面側に配置し、前記可透過投影手段を透過する前記レーザ光を撮像する撮像手段と、
該撮像手段で撮像したレーザ光の中心を抽出するレーザ光中心抽出手段と、
該レーザ光中心抽出手段によって抽出された中心位置によって、前記レーザ光の投影位置を検出する撮像レーザ光線位置検出手段と、
前記可透過投影手段の前記投影面側を露出する態様で、少なくとも前記可透過投影手段と前記撮像手段とを囲繞する囲繞手段と、
前記鋼製レールを拘束しながら走行する拘束走行手段とで構成し、
前記レーザ照射装置に、
前記可透過投影手段で反射した前記レーザ光を受光して、前記レーザ照射装置から前記可透過投影手段までの距離を測定する距離測定手段を備え、
前記検出結果記憶手段に、
前記撮像レーザ光線位置検出手段によって検出されたレーザ光の投影位置と、前記距離測定手段によって測定された前記距離とを関連付けて記憶する
長尺物蛇行測定装置。
【請求項7】
前記鋼製レールを上面に敷設するレール敷設台座を、敷設された前記鋼製レールの全長に亘って前記敷設方向に配置し、
前記鋼製レールと前記レール敷設台座との相対位置を検出する相対位置検出手段を備え、
前記走行手段が、前記可透過投影手段と前記光線位置検出手段に加えて前記相対位置検出手段を一体的に走行させる
請求項5又は6に記載の長尺物蛇行測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−223711(P2010−223711A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70422(P2009−70422)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(803000115)学校法人東京理科大学 (545)
【出願人】(594152848)株式会社コイシ (6)
【Fターム(参考)】