説明

開閉装置

【課題】 開閉体の閉鎖動作を障害物との接触により停止する上、開閉体の閉鎖動作を再開する自動復帰動作の安全性を向上する。
【解決手段】 自動閉鎖装置60は、双方向へスライド可能な押圧作動部材62と、ダンパー手段64とを備え、開閉体本体11に相対する可動座板13の開放方向への移動に連動して、押圧作動部材62を一方向へスライドさせ該押圧作動部材によって操作部a3を制動操作し、開閉体本体11に相対する可動座板13の閉鎖方向への移動に連動して、押圧作動部材62を逆方向へスライドさせ該押圧作動部材によって操作部a3を解除操作するように構成され、ダンパー手段64は、押圧作動部材62の前記一方向へのスライドに抵抗を殆ど与えないが、押圧作動部材62の前記逆方向へのスライドには抵抗を与えて該押圧作動部材の前記逆方向への移動速度を低減するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉鎖動作中の開閉体が障害物に接触した際に、該開閉体の閉鎖動作を停止するようにした開閉装置に関し、特に防火シャッター装置として好適な開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されたもののように、閉鎖動作中の開閉体(シャッターカーテン2)が、その閉鎖方向側の障害物に当接した際に、該開閉体の下端の可動座板(下座板101)を障害物からの押圧力により相対的に上昇させ、その可動座板の上昇を感知部(マイクロスイッチ105)により感知し、この感知信号をコード(11a〜11c)により制御装置(8)へ送信し、該制御装置(8)からの制御信号によって開閉機(7)のブレーキ機構を作動させて、前記開閉体(シャッターカーテン2)の閉鎖動作を停止するようにしたものがある。
【0003】
前記開閉機(7)におけるブレーキ機構の構造を詳細に説明すれば、例えば特許文献2に記載されたもののように、電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)を非通電状態にした場合には、ブレーキドラム(4)が制動スプリング(16)の付勢力によりブレーキシュー(2)に当接し、駆動軸(電動機軸1)の回転が制動された状態となる。
また、前記電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)を通電状態にすれば、該電磁ソレノイドの磁力に吸引されてブレーキドラム(4)がブレーキシュー(2)から離れるため、駆動軸(電動機軸1)が回転自在な状態となる。
【0004】
したがって、例えば、特許文献1に記載された開閉装置に特許文献2に記載された開閉機を具備した場合には、電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)を通電状態にすることで、開閉体(シャッターカーテン2)を自重降下させることができ、また、その自重降下中に、開閉体(シャッターカーテン2)が障害物に当接した際には、電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)を非通電にすれば、開閉体(シャッターカーテン2)の閉鎖動作を停止することができる。
【0005】
しかしながら、前記のような構成では、可動座板(下座板101)の上昇を感知する感知部(マイクロスイッチ105)、及びコード(11a〜11c)を収納する構造(固定プーリ18a,可動プーリ18b,フラットバー20等)が複雑でコストの高騰を招き易い。
【0006】
また、上記開閉装置を例えば防火シャッター装置として用いる場合には、火災等に起因する停電が発生した際にも、電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)を通電状態にして開閉体(シャッターカーテン2)を自重降下できるように、バッテリーを具備している。
しかし、このような構成であっても、メンテナンス不良等に起因して前記バッテリーの電力が十分に得られない場合等には、電磁ソレノイド(電磁クラッチ17)の通電状態を維持できないので、開閉体(シャッターカーテン2)を自重降下させることができなかったり、自重降下中の開閉体を途中停止させてしまったり等するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−308222号公報
【特許文献2】実開平01−118084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題とする処は、開閉体の閉鎖動作を障害物との接触により停止することができる上、開閉体の閉鎖動作を再開する自動復帰動作の安全性を向上することができる開閉装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための一手段は、スライドしながら閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の閉鎖方向端部に接続されて該開閉体本体に相対して開放方向へ移動可能な可動座板と、操作部が移動されることで前記開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするブレーキ機構と、信号を受けると前記開閉体本体を閉鎖動作させる自動閉鎖装置とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に機械的に連動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした開閉装置であって、前記ブレーキ機構は、前記操作部の一方向への移動により解除状態から制動状態になり、同操作部の逆方向への移動により制動状態から解除状態になるように構成され、前記自動閉鎖装置は、双方向へスライド可能な押圧作動部材と、ダンパー手段とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に連動して、前記押圧作動部材を一方向へスライドさせ該押圧作動部材によって前記操作部を制動操作し、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の閉鎖方向への移動に連動して、前記押圧作動部材を逆方向へスライドさせ該押圧作動部材によって前記操作部を解除操作するように構成され、前記ダンパー手段は、前記押圧作動部材の前記一方向へのスライドに抵抗を殆ど与えないが、前記押圧作動部材の前記逆方向へのスライドには抵抗を与えて該押圧作動部材の前記逆方向への移動速度を低減するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
開閉体本体に相対する可動座板の開放方向への移動に機械的に連動させてブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにしいるため、電源不良等の影響を受け難い状態で、開閉体の閉鎖動作を障害物との接触により停止することができる。
しかも、開閉体の閉鎖動作を再開する場合には、ブレーキ機構の解除操作を、自動閉鎖装置のダンパー手段によって低速に行うことができ、ひいては、自動復帰動作の安全性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる開閉装置の一例を示す正面図である。
【図2】同開閉装置の作動状態を示す模式図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作している状態を示し、(b)は紐状部材に生じる張力によりブレーキ機構を制動状態にして開閉体の閉鎖動作を停止した状態を示す。
【図3】同開閉装置に用いられる開閉機及び自動閉鎖装置の一例を示す構造図であり、駆動軸を制動した状態を示している。
【図4】ブレーキ機構及び自動閉鎖装置の作動状態を示す模式図であり、(a)は開閉体の全開停止状態に対応する通常状態を示し、(b)は自動閉鎖装置が解除されて開閉体を自動閉鎖させている状態を示し、(c)は紐状部材に作用する張力によってブレーキ機構が制動状態になり開閉体の自動閉鎖を停止している状態を示す。
【図5】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部断面図である。
【図6】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部正面図である。
【図7】本発明に係わる開閉装置の他例を示す要部正面図である。
【図8】同開閉装置の他例において、作動状態を示す模式図であり、(a)は開閉体が閉鎖動作している状態を示し、(b)は紐状部材に生じる張力によりブレーキ機構を制動状態にして開閉体の閉鎖動作を停止した状態を示す。
【図9】本発明に係わる開閉装置において、自動閉鎖装置の他例を示す模式図であり、(a)は開閉体の全開停止状態に対応する通常状態を示し、(b)は自動閉鎖装置が解除されて開閉体を閉鎖動作させている状態を示し、(c)は紐状部材に作用する張力によってブレーキ機構が制動状態になり開閉体の自動閉鎖を停止している状態を示す。
【図10】本発明に係わる開閉装置において、自動閉鎖装置の他例を示す模式図であり、(a)は開閉体の全開停止状態に対応する通常状態を示し、(b)は自動閉鎖装置が解除されて開閉体を閉鎖動作させている状態を示し、(c)は紐状部材に作用する張力によってブレーキ機構が制動状態になり開閉体の自動閉鎖を停止している状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第一の形態は、スライドしながら閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の閉鎖方向端部に接続されて該開閉体本体に相対して開放方向へ移動可能な可動座板と、操作部が移動されることで前記開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするブレーキ機構とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に機械的に連動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした開閉装置であって、前記開閉体本体と前記可動部材の間に、付勢部材によって巻き取り回転方向へ付勢されるように巻取体を支持し、紐状部材の一端側を前記ブレーキ機構の操作部に止着するとともに、その他端側を前記巻取体に巻き、前記開閉体本体に相対して前記可動座板が開放方向へ移動した際に、これら開閉体本体と可動座板との内の何れか一方又は双方に前記巻取体を当接させて、前記巻取体の回転を抑制するとともに前記紐状部材に張力を生じさせ、該張力によって前記操作部を移動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした。
上記第一の形態によれば、開閉体本体の閉鎖動作中、可動座板が障害物に当接して開閉体本体に相対して開放方向へ移動すると、これら開閉体本体及び/又は可動座板により巻取体が摺接され、巻取体の回転が抑制され、紐状部材には開閉体本体および可動座板の重量によって張力が生じる。そして、前記張力により、ブレーキ機構の操作部が移動し操作され、ブレーキ機構が解除状態から制動状態になる。
よって、電源不良等の影響を受け難い機械的構造でもって、開閉体の閉鎖動作を障害物との接触により停止することができる。
【0013】
ここで、上記開閉装置には、開閉体が閉鎖動作のみを行うように用いられる態様(例えば防火シャッター装置等)、開閉体が開放動作と閉鎖動作との双方を行うように用いられる態様等を含む。
また、この開閉装置には、開閉体をその開放方向側の巻取軸によって巻取り、該巻取軸から繰出すようにした態様や、開閉体をその開放方向側の収納部位へ巻き取ることなく収納し、該収納部位から繰出すようにした態様(例えばオーバーヘッドドア等)等を含む。
【0014】
また、上記開閉体には、複数のスラットやパイプを開閉方向へ連設してなる態様や、単数もしくは複数のパネルや、シート状物、ネット状物を開閉方向へ設けてなる態様、あるいはスラット、パネル、パイプ、シート状物、ネット状物等を適宜に組み合わせてなる態様等を含む。
【0015】
また、上記ブレーキ機構は周知の機構を用いてもよく、このブレーキ機構には、上記開閉体本体を巻き取ったり繰り出したりする巻取軸の回転を制動する態様や、開閉体本体に直接接触して該開閉体本体の閉鎖動作を制動する態様等を含む。
そして、このブレーキ機構には、開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするために移動されて操作される操作部が設けられる。
この操作部には、例えば、回転運動により移動する態様、直線運動により移動する態様、揺動するようにして移動する態様等を含む。
【0016】
また、上記巻取体は、ゼンマイバネやコイルスプリング等の付勢部材の付勢力によって回転して上記紐状部材を巻き取るように設けられる。
この巻取体は、上記可動座板が開放方向へ移動した際、開閉体本体と可動座板との内の何れか一方に当接されて、回転が抑制される。この際の当接は、前記巻取体の外周面に対する当接であってもよいし、前記巻取体の側面に対する当接であってもよい。なお、前記当接は、前記巻取体における少なくとも繰り出し方向の回転を抑制するような当接であればよく、この当接には、摺接や係合、噛み合い、嵌り合い等を含む。
【0017】
また、第二の形態では、前記開閉体本体の幅方向の端部を囲んで開閉方向へ案内するガイドレールを備えた開閉装置であって、前記巻取体を、前記ガイドレールの外部に配置し、前記紐状部材を、前記ガイドレールの内部に挿通させるとともに前記開閉体本体の閉鎖方向側に支持された滑車部材によりガイドレール外部の前記巻取体に導くようにした。
上記第二の形態によれば、巻取体をガイドレール内に配置しない構造としているため、ガイドレールが大型化してしまうのを避けることができる。
【0018】
また、第三の形態では、スライドしながら閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の閉鎖方向端部に接続されて該開閉体本体に相対して開放方向へ移動可能な可動座板と、操作部が移動されることで前記開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするブレーキ機構とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に機械的に連動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした開閉装置であって、前記開閉体本体と前記可動部材の間に、滑車部材を回動自在に支持し、該滑車部材の開放方向側の不動部位に、付勢部材によって巻き取り回転方向へ付勢されるように巻取体を支持し、紐状部材の一端側を前記ブレーキ機構の操作部に止着するとともに、その他端側を、前記滑車部材の下半部側に掛け回して前記巻取体に巻き、前記開閉体本体に相対して前記可動座板が開放方向へ移動した際に、開閉体本体と可動座板との内の何れか一方又は双方に前記滑車部材を当接させて、前記滑車部材の回転を抑制するとともに前記紐状部材に張力を生じさせ、該張力によって前記操作部を移動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした。
上記第三の形態によれば、開閉体本体の閉鎖動作中、可動座板が障害物に当接して開閉体本体に相対して開放方向へ移動すると、これら開閉体本体及び/又は可動座板との摺接により滑車部材の回転が抑制され、紐状部材には開閉体本体および可動座板の重量によって張力が生じる。そして、前記張力によりブレーキ機構の操作部が移動し操作され、ブレーキ機構が解除状態から制動状態になる。
よって、電源不良等の影響を受け難い機械的構造でもって、開閉体の閉鎖動作を障害物との接触により停止することができる。
【0019】
なお、上記滑車部材は、上記可動座板が開放方向へ移動した際、開閉体本体と可動座板との内の何れか一方に当接されて、回転が抑制される。この際の当接は、上記滑車部材の外周面に対する当接であってもよいし、上記滑車部材の側面に対する摺接であってもよい。なお、前記当接は、少なくとも滑車部材の一方の回転(詳細には紐状部材を上記操作部側へ戻す方向の回転)を抑制するような当接であればよく、この当接には、摺接や係合、噛み合い、嵌り合い等を含む。
【0020】
また、第四の形態では、前記紐状部材の弛みを防ぐように、前記紐状部材に対し引張バネを接続した。
上記第四の形態によれば、紐状部材の弛みによりブレーキ機構の作動が遅延したり鈍ったりするようなことを防ぐことができる。
【0021】
ここで、上記引張バネは、上記紐状部材の端部または中途箇所に直線的に接続されることが好ましいが、上記紐状部材を交差方向へ引っ張るように接続された態様とすることも可能である。
【0022】
また、第五の形態では、上記ブレーキ機構を、前記操作部の一方向への移動により解除状態から制動状態になり、同操作部の逆方向への移動により制動状態から解除状態になるように構成し、前記操作部の前記逆方向への移動速度を低減するダンパー手段を具備した。
上記第五の形態によれば、例えば、可動座板への障害物の当接により開閉体本体の閉鎖動作が停止した後、障害物の除去等により可動座板が開閉体本体に相対して閉鎖方向へ移動し、ブレーキ機構が制動状態から解除状態になり、開閉体の閉鎖動作が再開する場合に、ブレーキ機構の前記解除動作を、ダンパー手段によって低速に行うことができ、ひいては、自動復帰動作の安全性を向上することができる。
【0023】
ここで、上記ダンパー手段には、ビストンとシリンダーからなる態様や、ロータリーダンパー等、気体圧力や流体摩擦等によって可動部材に抵抗を与えるようにした周知のダンパー装置を含む。
【0024】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0025】
次に、上記形態の特に好ましい実施例を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0026】
以下の実施例は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であり、特に好ましい態様として、火災等の非常時に自動閉鎖されて火炎や煙の蔓延を防ぐ防火シャッター装置に適用した一例について説明する。
【0027】
開閉装置1は、閉鎖方向端部をスライドさせて開閉動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1の左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取装置30とを備え、もしも障害物Xが開閉体10の開閉経路に存在した場合に、機械的な連動手段Aおよびブレーキ機構42等の作動によって、開閉体10の閉鎖動作を停止する。
【0028】
開閉体10は、開閉体本体11と、該開閉体本体11の閉鎖方向端部に接続された可動座板13とから構成される。
開閉体本体11は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接するとともに、これら複数のスラット11aの最下端部に接続部材11bを接続してなる。
【0029】
接続部材11bは、図2に示す一例によれば下方へ開口部を向けた断面略凹状に形成され、その上壁面に、後述する連動手段Aの紐状部材a1を遊挿させる貫通孔11b1と、可動座板13に支持された巻取体a2に当接させるための突起部11b2とを有する。
そして、この接続部材11bの下端側には、可動座板13が開閉体開閉方向(図示の上下方向)へスライドするように支持されている。
【0030】
また、可動座板13は、開閉体幅方向の略全長にわたって接続部材11bの下方へ突出する部材であり、前記接続部材11bに対し、開閉体開閉方向へ所定量だけ自在にスライドするように係合している。
この可動座板13は、図示例によれば上方へ開口部を向けた断面略凹状に形成され、その凹部内に、後述する連動手段Aを構成する巻取体a2を枢支している。
この可動座板13は、接続部材11bに相対する開閉体開放方向(図示の上方)へのスライドにより、前記巻取体a2の外周面を、接続部材11b上壁面の突起部11b2に当接させるように、そのスライド量が設定されている(図2(b)参照)。
【0031】
また、ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される当接対象部位p(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている(図1参照)。
【0032】
また、巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32をチェーン及びスプロケット等の動力伝達手段33を介して駆動回転させたり制動したりする開閉機40と、該開閉機40を解除操作して開閉体10を自重によって閉鎖動作させる自動閉鎖装置50とを具備している。
【0033】
開閉機40は、例えば実開平01−118084号公報に示される周知構造の開閉機に対し操作部a3を設けてなる。
この開閉機40は、図4に示すように、巻取軸32の回転動力源となるモータ部41と、該モータ部41の回転を制動するブレーキ機構42とを、ケーシング43内に備えている。
【0034】
モータ部41は、直流モータまたは交流モータであり、その回転子41aの中心には駆動力及び/又は制動力を出力する出力軸41bが固定され、該出力軸41bの一端側(図3によれば左端側)の回転力を、動力伝達手段33を介して巻取軸32へ伝達するように構成してある。また、同出力軸41bの他端側には、ブレーキ機構42からの制動力を受けるように略円盤状のブレーキシュー41cが固定されている。
【0035】
また、ブレーキ機構42は、上記出力軸41bに対し略直線状に並ぶように配置されたブレーキ軸42aと、該ブレーキ軸42aにおけるモータ部41側に固定されて前記ブレーキシュー41cに対し離脱可能に当接したブレーキドラム42bと、該ブレーキドラム42bをモータ部41方向(図3によれば左方向)へ付勢するコイルスプリング42cと、該コイルスプリング42cの付勢力に抗してブレーキドラム42bを吸引する電磁ソレノイド42dと、同コイルスプリング42cの付勢力に抗して手動でブレーキドラム42bをブレーキシュー41cから離間させるためのレバー部材42eとを具備している。
【0036】
ブレーキ軸42aは、適宜な回転抵抗を有する状態で回転可能であって、且つ軸方向へ所定量移動するように支持されている。
【0037】
また、ブレーキドラム42bは、モータ部41側のブレーキシュー41cに対し当接したり離間したりする略円筒状に構成され、その外周に巻かれたチェーン42gからの回転力により回転するように支持されるとともに、その回転が、ケーシング43側の周知の回転抑制手段42hから受ける抵抗によって抑制されるようになっている。
なお、チェーン42gは、開閉体10を手動で開閉できるように具備されているが、必要に応じて省くことも可能である。
【0038】
また、レバー部材42eは、一端側に作用する揺動力によって、ブレーキ軸42aを開閉機40から引き離すように構成された略杆状の部材である。
より詳細に説明すれば、このレバー部材42eは、ブレーキ軸42aを貫通させた板状部材からなり、ブレーキ軸42aと交差して一方へ突出する上側レバー部42e1と、その逆方向へ突出する下側レバー部42e2とから一体に構成されている。
上側レバー部42e1のブレーキ軸42a側は、略く字状に曲げられることで上側支点部42e1aが構成されている。同様にして、下側レバー部42e2のブレーキ軸42a側も、略く字状に曲げられることで、下側支点部42e2aが構成されている。
【0039】
上記レバー部材42eによれば、例えば上側レバー部42e1の上端側がモータ部41方向(図3の左方向)へ引かれた場合には、同上側レバー部42e1のブレーキ軸42a側が上側支点部42e1aを支点にして反モータ部41方向(図3の右方向)へ揺動するとともに、その揺動に伴ってブレーキ軸42aも反モータ部41方向へ移動する。
また、上記と同様にして、下側レバー部42e2が左方向へ引かれた場合も、下側支点部42e2aを支点とした下側レバー部42e2の揺動によりブレーキ軸42aが右方向へ引かれる。
また、上側レバー部42e1の上端側が右方向へ引かれた場合には、下側支点部42e2aを支点とした上側レバー部42e1の揺動により、ブレーキ軸42aが右方向へ引かれる。
同様に、下側レバー部42e2の下端側が右方向へ引かれた場合には、上側支点部42e1aを支点とした下側レバー部42e2の揺動により、ブレーキ軸42aが右方向へ引かれる。
【0040】
すなわち、上側レバー部42e1と下側レバー部42e2との内の何れかが、左右のどちら側に揺動した場合であっても、ブレーキ軸42aが右方向へ引かれて移動し、ブレーキ軸42aと一体的なブレーキドラム42bがブレーキシュー41cから離れ、ブレーキシュー41c及び出力軸41bに作用していた制動力が解除される。
なお、図3は、自動閉鎖装置50が作動する前、つまりブレーキ解除する前の初期状態(制動状態)を示している。
【0041】
また、上記構成の開閉機40において、上記上側レバー部42e1の揺動端側には、該上側レバー部42e1を上方へ延設するようにして、操作部a3が固定されている。
【0042】
この操作部a3は、例えばボルト等からなる略棒状の部材であり、その揺動端側にはストッパー部a31を有する。このストッパー部a31は、操作部a3が紐状部材a1の張力により揺動した際(図4(c)に示す状態)に、その操作部a3を後述する自動閉鎖装置50のケーシング51に当接して、自動閉鎖装置50における押圧作動部材52が、電磁係脱装置54のプランジャ54aに係止された初期状態(図4(a)に示す状態)に自動復帰しないようにし、同時に操作部a3が紐状部材a1の張力により図中左方向へ揺動しすぎてブレーキ解除されることのないようにしている。
【0043】
また、自動閉鎖装置50は、開閉機40のケーシング43に固定されたケーシング51内に、一端側を操作部a3方向へ突出させるとともに操作部a3の揺動方向に沿ってスライドするように支持された押圧作動部材52と、該押圧作動部材52を操作部a3方向へ付勢する付勢部材53と、押圧作動部材52を操作部a3から所定量離れた位置で係脱する電磁係脱装置54とを具備している。
電磁係脱装置54は、バネ等の付勢部材の付勢力によって付勢されたプランジャ54aを押圧作動部材52に係止させ、図示しない制御部から電力供給された際に電磁ソレノイドの電磁力によって前記プランジャ54aを後退させて、押圧作動部材52に対する係止を解除する装置である。
【0044】
上記構成の自動閉鎖装置50によれば、電磁係脱装置54が励磁されると、図4(b)に示すように、電磁係脱装置54の係止が外されて、押圧作動部材52が付勢部材53の付勢力によってスライドして操作部a3を押圧する。
【0045】
また、連動手段Aは、上記操作部a3に対し一端側が接続された紐状部材a1や、該紐状部材a1の他端側が巻かれた巻取体a2、紐状部材a1を長手方向へ引っ張る引張バネa4、紐状部材a1の引っ張り方向を略垂直方向から略水平方向へ変換する滑車部材a5等により構成され、開閉体10の閉鎖動作中に、開閉体本体11に相対する可動座板13の開放方向への移動に機械的に連動させて、開閉機40のブレーキ機構42を解除状態から制動状態にする。
【0046】
紐状部材a1は、本実施の形態の好ましい一例によれば金属製ワイヤーとしているが、可撓性を有する長尺状の部材であればよく、他例としては、帯状物や、鎖状物、紐等とすることも可能である。更に、この第一紐状部材a1の他例としては、導電性の材料とし、電線としての作用を兼ね備えた構成としてもよい。
この紐状部材a1の一端側は、引張バネa4を介して操作部a3に接続され、他端側は、開閉体本体11の接続部材11bに挿通されて巻取体a2の外周面に止着される。
【0047】
巻取体a2は、可動座板13に対し回転可能に枢支され、図示しないゼンマイバネ又はコイルスプリング等により巻取り回転方向へ付勢されている。
また、前記引張バネa4は、紐状部材a1に弛みが生じるのを防ぎ、且つ、図4(b)(c)に示すように、付勢部材53に抗して紐状部材a1を引っ張ることで操作部a3を制動操作方向(図示の左方向)へ揺動させることができるように、適度な張力に設定されている。
また、滑車部材a5は、自動閉鎖装置50側において、紐状部材a1における巻取体a2側の略垂直方向の張力を、略水平方向の張力に変換して操作部a3に伝達するように、紐状部材a1を掛け回している。
【0048】
次に、上記構成の開閉装置1について、その特徴的な作用効果を詳細に説明する(図2及び図4参照)。
先ず、防災信号のない通常状態では、図4(a)に示すように、ブレーキ機構42がコイルスプリング42c(図3参照)の付勢力によって制動状態に維持され、開閉体10は全開状態で静止している。
【0049】
そして、全開状態にある開閉装置1が防災信号を受けると、図示しない制御部からの電力供給により、自動閉鎖装置50の電磁係脱装置54が励磁して、押圧作動部材52の係止状態が解除される(図4参照)。
すると、自動閉鎖装置50の押圧作動部材52は、付勢部材53の付勢力によって操作部a3方向(図示の右方向)へ移動し、操作部a3を揺動させて、開閉機40のブレーキ機構42を制動状態(図4(a)に示す状態)から解除状態(図4(b)に示す状態)にする。
【0050】
したがって、開閉機40内部では、ブレーキシュー41cからブレーキドラム42bが外され、出力軸41bが自由回転可能な状態になる。
そのため、動力伝達手段33を介して出力軸41bと連動する巻取軸32も自由回転可能な状態となる。
よって、巻取軸32に巻かれて全開状態にあった開閉体10は、自重により巻取軸32から繰り出されて閉鎖動作をし、この閉鎖動作中、紐状部材a1が可動座板13内の巻取体a2から繰り出される。
なお、開閉体10の自重による閉鎖動作は、開閉機40に設けられる図示しない調速装置により、所定の速度を超えないように調整される。
【0051】
そして、前記閉鎖動作中、図2(b)に示すように、可動座板13が障害物Xに当接した場合には、可動座板13が、開閉体本体11に相対して開閉体開放方向(図示例によれば上方)へ移動する。
そのため、巻取体a2の外周面が接続部材11b側の突起部11b2に摺接されることで、巻取体a2の回転が抑制される。
したがって、紐状部材a1に開閉体10の重量が加わり、該紐状部材a1は下方へ引っ張られることになる。
そして、この下方向への引張力は、開閉体10の開放方向側(図示例によれば上方側)で滑車部材a5により略水平方向の引張力に変換され、該引張力により操作部a3が制動操作方向(図2における左方向)へ揺動する。
【0052】
よって、開閉機40内において出力軸41bの回転がブレーキ機構42によって制動された状態となり、出力軸41bと連動する巻取軸32の回転が停止し、開閉体10の閉鎖動作も停止する。
【0053】
また、前記のような可動座板13と障害物Xの当接状態から、障害物Xが除去された場合には、可動座板13が自重によって開閉体本体11及び接続部材11bに相対する下方へ移動する。
そのため、接続部材11b及び可動座板13内では、巻取体a2の拘束状態が解除され、巻取体a2から紐状部材a1が繰り出される。つまり、図2によれば(b)状態から(a)状態になる。
【0054】
したがって、紐状部材a1に対し開閉体10の重量が殆ど作用しない状態となり、紐状部材a1の張力が緩み、操作部a3が再び自動閉鎖装置50の押圧作動部材52に押圧されて揺動する。すなわち、図4によれば(c)状態から(b)状態になる。
よって、開閉機40内のブレーキ機構42は、再び制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が自動的に再開することになる。
【0055】
なお、自動閉鎖装置50を完全に初期状態(図4(a)に示す状態)に戻す手段は、図示を省略するが、手動又は電動で押圧作動部材52を後退させてプランジャ54aに係止させる構成とすればよい。
【0056】
次に、本発明に係わる開閉装置について、他の具体的態様を示す。なお、以下に示す態様において、上記開閉装置1と略同様の構成については、上記開閉装置1における符号をそのまま用いることで、重複する詳細な説明を省略する。
【0057】
図5に示す態様では、巻取体a2の配置方向を変更している。
すなわち、上記実施の形態では、図2に示すように巻取体a2の中心軸の方向が開閉体厚さ方向(図2における左右方向)へ向くようにしたが、図5に示す態様では、巻取体a2の中心軸の方向が開閉体幅方向(図5における前後方向)へ向くようにしている。
巻取体a2は、軸受けブラケット等を介して可動座板13の底面に支持されるとともに、図示しない付勢部材(例えばゼンマイバネやコイルスプリング等)によって巻取り方向へ付勢される。
而して、図5に示す態様によれば、巻取体a2の軸方向寸法が比較的長い場合であっても、その巻取体a2を接続部材11bと可動座板13との間に収納することが可能である。
【0058】
なお、図2及び図5に示す態様では巻取体a2を可動座板13に対し枢支する構成としたが、他例としては、巻取体a2を接続部材11bに対し枢支し、この巻取体a2が相対的に開放方向へ移動した際の可動座板13によって摺接されるようにしてもよい。
更に他例としては、巻取体a2を接続部材11bと可動座板13との双方に摺接させるようにしてもよい。
【0059】
また、図6に示す態様では、図1に示す開閉装置1に対し滑車部材a6を追加し、巻取体a2をガイドレール20外に配置した構成としている。
より詳細に説明すれば、図6に示す態様では、開閉体10開放方向側の滑車部材a5をガイドレール20の上方に配置するとともに、ガイドレール20内に対応して接続部材11b内に配置されるように滑車部材a6を設け、これら両滑車部材a5,a6に巻かれて導かれるように紐状部材a1を備えている。そして、該紐状部材a1の一端側をブレーキ機構42の操作部a3に止着し、他端側を、ガイドレール20外に配置した巻取体a2の外周面に止着している。
而して、図6に示す態様によれば、紐状部材a1をガイドレール20内に収納した上で、比較的大型な部品となる巻取体a2をガイドレール20の外部に配置して、ガイドレール20寸法が大型化してしまうのを防ぐことができる。
【0060】
また、図7及び図8に示す態様では、接続部材11b内に滑車部材a7を回動自在に支持し、該滑車部材a7の開放方向側の不動部位に巻取体a8を支持し、可動座板13の開放方向への移動により滑車部材a7の回転が抑制され、紐状部材a1に生じる張力によってブレーキ機構42を制動状態に作動させるようにしている。
【0061】
滑車部材a7は、ガイドレール20内に位置するように、接続部材11bにおける開閉体幅方向の端部側に配置されて回動自在に支持されている。
より詳細に説明すれば、この滑車部材a7は、図8(a)(b)に示すように、接続部材11b内にブラケット等を介して回動自在に支持され、その外周面が開放方向へ移動した際の可動座板13’により摺接されることで、回転が抑制されるようになっている。
【0062】
また、前記可動座板13’は、接続部材11bに相対して開放方向へ移動した際に、滑車部材a7の外周面に摺接する内部形状を呈し、図示例によれば、滑車部材a7に当接可能な複数の突起13a,13aを有する。
【0063】
巻取体a8は、上述した巻取体a2と略同様に構成され、不動部位である収納ケース31に枢支されるとともに図示しない付勢部材によって巻取り回転方向へ付勢されている。
【0064】
紐状部材a1は、その一端側がガイドレール20上方の滑車部材a5に導かれて操作部a3に止着されるとともに、その他端側が、接続部材11bに挿通されて滑車部材a7の下半部に掛け巻かれ、再度接続部材11bに対し上方向きに挿通されて巻取体a8の外周面に止着されている。
紐状部材a1は、滑車部材a7に対して滑らないように、紐状部材a1の表面と滑車部材a7の外周面とは、互いに係合する形状(あるいは噛み合う形状や、嵌り合う形状等)となっていることが好ましい。
【0065】
而して、図7及び図8に示す態様によれば、開閉体10の閉鎖方向端部が障害物Xに当接する等して、可動座板13が開閉体本体11及び接続部材11bに相対して開放方向へ移動した場合には、可動座板13との摺接により滑車部材a7の回転を抑制され、紐状部材a1に張力が生じ、該張力によってブレーキ機構42の操作部a3が制動操作方向(図8における左方向)へ揺動する。
よって、ブレーキ機構42が解除状態から制動状態になり、開閉体10の閉鎖動作が停止する。
【0066】
また、障害物Xが除去される等して、可動座板13が相対的に閉鎖方向へ移動した場合には、滑車部材a7から可動座板13が離間し、可動座板13が回転自在になるため、紐状部材a1が緩み、操作部a3が自動閉鎖装置50内の付勢部材53の付勢力により解除操作方向へ揺動し(図4に示す(c)状態から(b)状態に揺動し)、ブレーキ機構42が制動状態から解除状態になり、開閉体10の閉鎖動作が再開する。
【0067】
次に、ブレーキ機構42を解除操作する自動閉鎖装置の他例について説明する。
図9に示す自動閉鎖装置60は、開閉機40のケーシング43に固定されたケーシング51内に、一端側を操作部a3方向へ突出させるとともに操作部a3の揺動方向に沿ってスライドするように支持された押圧作動部材62と、該押圧作動部材62を操作部a3方向へ付勢する付勢部材63と、押圧作動部材62を操作部a3から所定量離れた位置でプランジャ54aに係脱する電磁係脱装置54と、押圧作動部材62の操作部a3方向への移動速度を低減するダンパー手段64とを具備している。
【0068】
押圧作動部材62は、一端側を操作部a3方向へ突出させるとともに他端側に紐状部材a1の開閉体開放方向側の端部を止着している。そして、この押圧作動部材62は、操作部a3の揺動方向に沿ってスライドするように支持され、引張バネである付勢部材63により操作部a3方向へ付勢された状態で、電磁係脱装置54によって係止されている。
ダンパー手段64は、ケーシング51に固定されたシリンダー64a内に進退可能にピストン64bを備えた周知のダンパー装置であり、ピストン64bに対し気体圧又は液体圧による抵抗を与えることで、ピストン64bの移動抵抗が、前進時(図示における左方向への移動時)よりも後退時に大きくなるようにしている。
なお、ピストン64bは、押圧作動部材62の動作に追従するように、押圧作動部材62に連結されているか、あるいは前進方向へ付勢されていることが好ましい。
【0069】
而して、図9に示す自動閉鎖装置60によれば、上述した自動閉鎖装置50と略同様に、電磁係脱装置54の係止状態が解除されると、押圧作動部材62が付勢部材63の付勢力により突出して操作部a3に当接し、操作部a3の揺動により、ブレーキ機構42が拘束状態から解除状態になる(図9(a)(b)参照)。
この際の解除動作は、ダンパー手段64の抵抗を受けるため、比較的緩やかな速度で行われる。
【0070】
また、障害物Xとの当接等に起因して可動座板13が相対的に開放方向へ移動し、該移動により紐状部材a1に張力が生じた際には、図9(c)に示すように、操作部a3が紐状部材a1に引っ張られて、ブレーキ機構42が解除状態から拘束状態になり、開閉体10の閉鎖動作が停止する。
この際の拘束動作は、ダンパー手段64の構造より、その抵抗を殆ど受けないため、比較的敏速に行われる。
【0071】
この後、例えば障害物Xの除去等により可動座板13が再度閉鎖方向へ移動した場合には、押圧作動部材62が付勢部材63の付勢力により再度操作部a3を押圧し、操作部a3が揺動してブレーキ機構42が拘束状態から解除状態になる。すなわち、図9(c)に示す状態から図9(b)に示す状態になる。
この際の解除動作は、ダンパー手段64の抵抗を受けるため、比較的緩やかな速度で行われる。
よって、開閉体10の閉鎖動作の再開を遅らせることができ、ひいては自動復帰動作の安全性を向上することができる。
【0072】
なお、上記ダンパー手段64は、押圧作動部材62の操作部a3方向への一方向の移動に抵抗を与えるものであればよく、例えば、図10に示す自動閉鎖装置60’のダンパー手段65に置換することができる。
ダンパー手段65は、周知のワンウェイタイプのロータリーダンパー装置である。すなわち、このダンパー手段65は、押圧作動部材62に枢支されて回転するピニオン部62aと、該ピニオン部62aに噛み合うようにケーシング51に固定されたラック部62bとからなり、ピニオン部62aの一方向の回転が、内部流体の抵抗によって抑制されている。図示例によれば、ピニオン部62aの時計方向の回転が抑制されている。
【0073】
而して、上記自動閉鎖装置60’によれば、図10における(a)状態から(b)状態への動作、および図10における(c)状態から(b)状態への動作、すなわちブレーキ機構42の解除動作を、緩やかな速度で行うことができ、ひいては、自動復帰動作の安全性を向上することができる。
【0074】
なお、上記実施の形態によれば、ブレーキ機構42の電気的な解除動作についての説明を省略しているが、必要に応じて電磁ソレノイド42dへの通電によってブレーキ機構42を解除するようにしてもよい。
例えば、防犯目的やメンテナンス等のために開閉体10を閉鎖動作する際には、図示しない操作スイッチからの信号に応じて電磁ソレノイド42dを通電し、ブレーキ機構42を解除動作するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態によれば、通常時に拘束状態にあり外部操作があった際に解除状態になるブレーキ機構42を具備するようにしたが、他例としては、通常時に解除状態にあり外部操作があった際に拘束状態になるブレーキ機構(図示せず)を更に備え、紐状部材a1の張力によって外部操作されるようにしてもよい。
この構成は、紐状部材の張力によって外部操作されたときのみブレーキシュートとブレーキドラムとが当接するような構造(図示せず)とすればよいが、他例としては、上記開閉機40において、ブレーキ機構42および自動閉鎖装置50を、出力軸41bに連結された直流モータに置換し、該直流モータの入力端子を紐状部材a1の張力によって短絡させる構造としてもよい。
後者のブレーキ機構によれば、可動座板13の相対的に上昇によって紐状部材a1に張力が生じると、該張力によって前記直流モータの入力端子が短絡し、前記直流モータが拘束状態になる。よって、出力軸41bに連動する巻取軸32の回転が抑制されるとともに、開閉体10の閉鎖動作も抑制されることになる。
【0076】
更に、自動閉鎖装置50において、出力軸41bに対し、上記直流モータを用いたブレーキ機構(図示せず)と、上述した上記ブレーキ機構42(図3参照)とを直列的に併設することも可能である。
この態様によれば、防災信号があった際には、電磁ソレノイド42dへの通電により、開閉体10が自動閉鎖する。その自動閉鎖中、可動座板13に障害物Xが当接した場合には、可動座板13の相対的な上昇により紐状部材a1に張力が生じ、該張力によって上記直流モータが短絡される。したがって、出力軸41bが拘束されて、開閉体10の閉鎖動作に制動力が加わる。
【0077】
また、上記実施の形態によれば、連動手段Aを一方のガイドレール20に沿う構成としたが、この連動手段Aを左右のガイドレール20,20に沿う複数の構成とすることも可能である。同様に、開閉体10の閉鎖動作を制動するブレーキ機構も、任意の箇所に複数具備することが可能である。
【0078】
また、上記実施の形態における各態様は、巻取体a2または滑車部材a7を抑制するために、接続部材11bと巻取体a2、又は可動座板13と滑車部材a7を、当接させて摺接させる構成としているが、他例としては、当接時に互いに係合する形状(あるいは噛み合う形状や、嵌り合う形状等)とすることも可能である。すなわち、接続部材11bと巻取体a2、又は可動座板13と滑車部材a7の係合によって、巻取体a2または滑車部材a7の回転を抑制するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態において、開閉機40からモータ部41の回転子41aや固定子等を省き(出力軸41bは省かない)、開閉体10が手動で開放動作され自重により閉鎖動作される構成とすることも可能である。
【0080】
また、上記実施の形態によれば、可動座板13(又は13’)が開放方向へ移動したことを機械的に伝達する構成としているが、他例としては、接続部材11b内に接触式または非接触式スイッチを設け、該スイッチを可動座板13(又は13’)の上昇により作動させ、該スイッチの出力信号に応じて障害物Xを感知し制御動作を行うように、電気制御方式の装置を併設するようにしてもよい。更に、このような構成では、紐状部材a1を導電体(具体的には電線等)とし、前記スイッチの出力信号を導電体である紐状部材a1を介して図示しない制御部へ電気的に伝送するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1:開閉装置
10:開閉体
11:開閉体本体
12:接続部材
13:可動座板
42:ブレーキ機構
50,60,60’:自動閉鎖装置
A:連動手段
a1:紐状部材
a2,a8:巻取体
a3:操作部
a4:引張バネ
a5,a6,a7:滑車部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライドしながら閉鎖動作可能な開閉体本体と、該開閉体本体の閉鎖方向端部に接続されて該開閉体本体に相対して開放方向へ移動可能な可動座板と、操作部が移動されることで前記開閉体本体の閉鎖動作を制動したり該制動状態を解除したりするブレーキ機構と、信号を受けると前記開閉体本体を閉鎖動作させる自動閉鎖装置とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に機械的に連動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにした開閉装置であって、
前記ブレーキ機構は、前記操作部の一方向への移動により解除状態から制動状態になり、同操作部の逆方向への移動により制動状態から解除状態になるように構成され、
前記自動閉鎖装置は、双方向へスライド可能な押圧作動部材と、ダンパー手段とを備え、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動に連動して、前記押圧作動部材を一方向へスライドさせ該押圧作動部材によって前記操作部を制動操作し、前記開閉体本体に相対する前記可動座板の閉鎖方向への移動に連動して、前記押圧作動部材を逆方向へスライドさせ該押圧作動部材によって前記操作部を解除操作するように構成され、
前記ダンパー手段は、前記押圧作動部材の前記一方向へのスライドに抵抗を殆ど与えないが、前記押圧作動部材の前記逆方向へのスライドには抵抗を与えて該押圧作動部材の前記逆方向への移動速度を低減するように構成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記自動閉鎖装置は、一端側を前記操作部の方向へ突出させた前記押圧作動部材と、前記押圧作動部材を前記操作部の方向へ付勢する付勢部材と、前記押圧作動部材を前記操作部から所定量離れた位置で係脱する電磁係脱装置とを具備し、
前記電磁係脱装置は、プランジャを前記押圧作動部材に係止させ、電力供給された際に電磁ソレノイドの電磁力によって前記プランジャを後退させて、前記押圧作動部材に対する係止を解除し、前記押圧作動部材を前記逆方向へスライドさせて、この押圧作動部材により前記操作部を押圧して解除操作するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記開閉体本体に相対する前記可動座板の開放方向への移動により、紐状部材に張力を生じさせ、該張力によって前記操作部を移動させて前記ブレーキ機構を解除状態から制動状態にするようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記開閉体本体と前記可動部材の間に、付勢部材によって巻き取り回転方向へ付勢されるように巻取体を支持し、前記紐状部材の一端側を前記押圧作動部材に止着するとともに、その他端側を前記巻取体に巻き、
前記開閉体本体に相対して前記可動座板が開放方向へ移動した際に、これら開閉体本体と可動座板との内の何れか一方又は双方に前記巻取体を当接させて、前記巻取体の回転を抑制するとともに前記紐状部材に張力を生じさせるようにしたことを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記開閉体本体と前記可動部材の間に、滑車部材を回動自在に支持し、
該滑車部材の開放方向側の不動部位に、付勢部材によって巻き取り回転方向へ付勢されるように巻取体を支持し、
前記紐状部材の一端側を前記押圧作動部材に止着するとともに、その他端側を前記滑車部材の下半部側に掛け回して前記巻取体に巻き、
前記開閉体本体に相対して前記可動座板が開放方向へ移動した際に、開閉体本体と可動座板との内の何れか一方又は双方に前記滑車部材を当接させて、前記滑車部材の回転を抑制するとともに前記紐状部材に張力を生じさせるようにしたことを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項6】
前記ダンパー手段は、シリンダー内に進退可能にピストンを備え、前記ピストンに対し抵抗を与えることで、前記ピストンの移動抵抗が、前記一方向への移動時よりも前記逆方向への移動時に大きくなるように構成され、前記ピストンを前記押圧作動部材に連結していることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【請求項7】
前記ダンパー手段は、ワンウェイタイプのロータリーダンパー装置であり、前記押圧作動部材に枢支されて回転するピニオン部と、該ピニオン部に噛み合うラック部とからなり、前記ピニオン部の一方向の回転が抑制されていることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−140851(P2012−140851A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52346(P2012−52346)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2007−45388(P2007−45388)の分割
【原出願日】平成19年2月26日(2007.2.26)
【出願人】(000239714)文化シヤッター株式会社 (657)
【Fターム(参考)】