説明

関心パラメータを測定するための光ファイバ装置

温度、歪み、光エネルギー強度、電解教祖、および磁界強度のような関心パラメータ(122)を測定するセンサとして使用される光ファイバ(100)が提供される。1または2以上の光格子(114-1)を有する光透過性のコア(102)の上に、第1の光クラッド層光ファイバ(104)が設置される。光格子(114-1)は、コア(102)を通って伝播する光の選択波長の伝播経路を調整する。また、光格子(114-1)は、第1の光クラッド層(104)の屈折率を変化させる。光の選定波長は、コア材料105に付与される関心パラメータ122に依存し、光格子(114-1)によって変化する、コア材料105の屈折率によって、ある程度定められる。1または2以上の検出器(410、430、450、455)を用いて、反射光および/または透過光の特性が定められる。反射光および/または透過光の特性を把握することにより、関心パラメータ(122)が定められる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ装置に関し、特に、温度のような関心パラメータを測定するセンサとして利用される、光ファイバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光信号のフィルタ処理、または光ファイバ内を伝播する光に関する関心パラメータの測定に、光ファイバ装置を利用することは、良く知られている。光ファイバは、該ファイバが置かれた環境の変化によって、振幅、位相、周波数、スペクトルコントラスト、または光の偏光のような、伝播する光の1または2以上の特性が変化するのに十分な量だけ、光ファイバの材料特性に変化が生じるため、関心パラメータの測定に使用される。1または2以上のこれらの特性の変化を検出することにより、関心パラメータを測定することができる。そのような関心パラメータには、光ファイバの温度および/または歪みが含まれる。
【0003】
特に、温度のような関心パラメータの測定の際に光ファイバを使用することにより、従来のセンサ形式を超える多くの利点が得られる。例えば、これらの利点には、高感度性、電気的受動性、電磁的干渉からの不感応性、高い電場または磁場との共存性、多重性、ならびに光ファイバの全長に沿った、点状および分散型感応性が含まれる。また、光ファイバは、光フィルタ処理にも有益であり、検出目的に使用される光ファイバは、共通のプラットフォームでの検出と処理の両方を提供するため、フィルタ処理をベースとする光ファイバと組み合わせても良く、これにより、コストが抑制され、自由度が高まる。
【0004】
光ファイバを用いた関心パラメータを測定するための既知の方法の一例は、Hartogらによる米国特許第4,823,166号に示されている。示された方法は、光時間領域反射測定法(OTDR)として知られている。関心パラメータは、光ファイバに光エネルギーを導入し、光ファイバに沿って、様々な距離から戻ってくる後方散乱光を受光することにより測定される。OTDRでは、光エネルギーのパルスが光ファイバに導入され、ファイバから戻る後方散乱光エネルギーは、時間の関数として観測され、これは、後方散乱光が受光されるファイバに沿った距離に比例する。また、OTDRは、Saiの米国特許第5,825,804号において使用されている。
【0005】
Taoらの米国特許第7,027,699号では、温度の検出に使用される別のタイプの光ファイバにおいて、ブラッグ格子として知られる、ファイバ内に形成された格子が使用される。このタイプの光ファイバが温度検出に使用される場合、この光ファイバは、光ファイバブラッグ格子センサ(FBGセンサ)として知られている。FBGセンサは、ファイバを紫外(UV)放射線に暴露するような方法により、コア内に横向きに形成された格子を有する光ファイバを有する。格子は、光ファイバのコア内で、異なる屈折率を生じる。コアに沿って光波が伝播すると、スペクトルの経路は、格子によって反射される。反射波長は、ブラッグ波長として知られる。ブラッグ波長は、光ファイバが晒される現象および条件によって変化する。特に、ブラッグ波長は、温度(T)の変化によって、および光ファイバがある形態の歪み(S)を受けた際に、変化する。ブラッグ波長を測定することにより、光ファイバの温度(T)および歪み(S)が定められる。しかしながら、通常、これらの2つのパラメータを、相互に独立に測定することは難しい。前述の699号特許では、この問題は、単一の光ファイバ内に、複数の異なるコアを有するFBGセンサを形成することにより解決される。
従来より、長周期格子および短周期ブラッグ格子を含む、2つの基本的なタイプの光ファイバシステムが知られている。短周期ファイバ格子は、通常、サブミクロンの周期を有するように構成される。これらのタイプの装置は、前方伝播コアモードからの光を、後方散乱伝播コアモードに結合することにより作動する。通常、短周期ブラッグ格子は、特定の波長の、選定された狭小バンドの反射を有する。一方、通常の場合、光ファイバ内の長周期格子は、
数十ミクロンから1mmの範囲の周期を有する。そのような長周期格子は、前方伝播コアモードと共伝播クラッドモードの間の結合を促進する。通常、長周期格子は、ある波長を減衰し、短周期格子よりも広いバンド幅を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,823,166号明細書
【特許文献2】米国特許第7,027,699号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では、光ファイバ装置が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、関心パラメータを測定するための光ファイバ装置に関する。当該光ファイバ装置は、細長い円筒状コアを有し、このコアは、光透過性があり、関心パラメータに応答して、動的に変化する屈折率を有するコア材料で構成される。また、光ファイバは、コア上に設置された第1の光クラッド層を有する。第1の光クラッド層内には、1または2以上の光格子が設置される。光格子は、所定のパターンにおいて、第1の光クラッド層の屈折率を変化させ、光源によりコアに提供される光の選択波長の伝播経路が調整される。また、装置は、光ファイバに光学的に結合された検出器を有する。検出器は、光ファイバの全長に沿って伝播する光の選択波長の、1または2以上の特性を測定するように構成され、関心パラメータが定められる。
【0009】
本発明のある実施例では、光ファイバ装置は、第1の光クラッド層内に、軸方向に設置されたボアで構成される。また、ボア内に収容されたコア材料は、流体または液体である。光格子は、第1の光クラッド層の一部で構成され、この一部は、光ファイバの全長に沿って、周期パターン内に調整された屈折率を有する。ある実施例では、周期パターンは、屈折率が正弦波変動するように構成される。別の実施例では、光格子は、アポダイズ格子である。別の実施例では、光格子は、振幅変調格子である。別の実施例における光格子は、ブレーズ格子である。さらに別の実施例では、光格子は、チャープ格子である。
【0010】
また、本発明は、光ファイバ装置を用いて、関心パラメータを測定する方法に関する。当該方法は、いくつかのステップを有し、これらのステップは、光ファイバ内に光を伝播させるステップを有する。光が伝播する光ファイバは、コア材料を有し、このコア材料は、関心パラメータに応じて、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率を有する。また、当該方法は、コアの周囲に設置されたクラッド層内に刻印された光格子を用いて、選択波長の光を含む伝播経路を調整するステップを有する。さらに、本プロセスは、光格子によって調整される伝播経路を有する、光の選択波長の1または2以上の特性を測定するステップを有し、関心パラメータが定められる。ある態様では、当該方法は、流体または液体であるコア材料を選定するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を理解する上で有益な光ファイバの断面図である。
【図2】本発明を理解する上で有益な光ファイバの製造工程のフロー図である。
【図3】本発明を理解する上で有益な、第1の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図4】本発明を理解する上で有益な、第2の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明を理解する上で有益な、第3の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明を理解する上で有益な、第4の温度でのコア材料を有する光ファイバを含む光ファイバの計算透過スペクトルを示すグラフである。
【図7】本発明を理解する上で有益な、光源と検出器の間に設置された、光ファイバ温度センサのブロック図である。
【図8】本発明を理解する上で有益な、光源および検出器に結合された、光ファイバ温度センサのブロック図である。
【図9】本発明を理解する上で有益な、光源と第1の検出器の間に設置され、光源と第2の検出器に結合された、光ファイバ温度センサのブロック図である。
【図10】本発明を理解する上で有益な、光ファイバ装置を用いて、関心パラメータを定める方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施例について説明する。図において、同様の符号は、同様の部材を表す。
【0013】
図1には、温度のような関心パラメータ122を測定するセンサとして利用される、光ファイバ100の断面図を示す。光ファイバ100は、円筒状コア102、第1の光クラッド層104、第1の光クラッド層104に設置された光格子114-1、および第2の光クラッド層106で構成された細長い構造となっている。本発明の好適実施例では、コア102は、円筒状である。しかしながら、コア102の断面は、円、楕円、正方形、矩形、および八角形を含む、いかなる形状であっても良いことに留意する必要がある。コア102は、コア材料105で構成され、光ファイバ100を介して所望の光信号を伝播させる導波管が提供される。そのようなコア材料は、温度、光エネルギー強度、電界強度、磁界強度のような関心パラメータに応答する屈折率および/または光損失を有する、いかなる媒体を含んでも良い。しかしながら、本発明は、これに限られるものではなく、いかなる関心パラメータに応答する、いかなる材料も、限定なく利用することができる。
【0014】
図1に示す本発明の好適実施例では、コア102は、第1の光クラッド層104内に、軸方向に配置されたボア103で構成される。ボア103は、さらに、屈折率がn1の作動流体または液体105で充填され、この屈折率は、関心パラメータ122に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する。光ファイバ100がセンサとして使用されるこの用途では、光ファイバ100は、関心パラメータを測定する必要がある環境内に配置される。
【0015】
ボア103内には、作動流体105が配置されているため、光ファイバ100は、キャピラリ導波管として見ることができる。光は、当業者には容易に理解される方法で、コア102内を伝播する。作動流体は、屈折率n1が特定のセンサ用途に対応するように選定される。例えば、作動流体は、室温で、約1.4から1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定されることが有意である。測定される関心パラメータが温度の場合、選定される作動流体は、ニュージャージー州、Cedar Groveのカージル(Cargille Labs)社から市販の、シリーズA流体、シリーズB流体、およびシリーズM流体を含む。そのような流体は、温度とともに変化する屈折率を有することが知られている。この用途では、光ファイバ100は、温度変化に晒される環境に配置され、温度測定に利用される。なお、本発明は、これに限られるものではない。温度変化に応答して、所定の方法で変化することが知られている屈折率n1を有する、いかなる適当な作動流体を使用しても良い。
【0016】
本発明の別の実施例では、ボア103は、光電気作動流体または液体105で充填され、この屈折率n1は、電界強度に応答して、所定の範囲にわたって値が連続的に変化する。この用途では、光ファイバ100は、電場に晒される環境内に配置され、電界強度の測定に使用される。光電気作動流体は、実質的な電場が存在しない際に、約1.4乃至1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定されることが好ましい。そのような光電気作動流体は、液晶および/または光電気高分子を含む。なお、本発明は、これに限られるものではない。電場に応答して変化する屈折率n1を有するいかなる光電気材料も、限定なく使用することができる。
【0017】
本発明の別の実施例では、作動流体または液体105は、光エネルギー強度に応じて、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率n1を有するように選定される。この用途では、光ファイバ100は、光エネルギーに晒される環境内に配置される。本発明のある態様では、作動流体は、約1.4から1.8の屈折率n1を有するように選定される。そのような作動流体は、ドープされた流体、またはカー(Kerr)非線形性を示す流体を含むことが有意である。ただし、本発明は、これに限られるものではない。光エネルギーに応答して、所定の範囲で連続的に変化する屈折率n1を有する、いかなる作動流体も、限定なく使用することができる。
【0018】
本発明の別の実施例では、作動流体または液体105は、磁界強度に応答して、所定の範囲にわたって、値が連続的に変化する屈折率n1を有するように選定される。この用途では、光ファイバ100は、磁場に晒される環境内に配置される。その結果、光ファイバ100を用いて、磁界強度を測定することができる。作動流体は、実質的な磁界がない場合、約1.4から1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定されることが好ましい。ただし、本発明は、これに限られるものではない。磁場に応答して変化する屈折率n1を有する、いかなる作動流体も、限定なく使用することができる。
【0019】
本発明のさらに別の実施例では、測定される関心パラメータは、歪みである。この実施例では、光ファイバ100は、歪みを受ける環境内に配置される。その結果、光ファイバ100を使用して、歪みを測定することができる。作動流体は、歪みに対して感度を有さなくても良いことに留意する必要がある。すなわち、光ファイバ100の歪み応答性は、クラッド材料の歪みに対する応答によって賄われる。作動流体は、約1.4から1.8の範囲の屈折率n1を有するように選定されることが好ましい。ただし、本発明は、これに限られるものではない。限定なく、いかなる作動流体を使用することも可能である。
【0020】
図1を参照すると、光ファイバ100を伝播する光の特性は、前述のような関心パラメータ、すなわち温度、電場、光エネルギー、磁場、または歪みの2つ以上に対して、同時に感度を有しても良いことに留意する必要がある。伝播光の特性に対するこれらのパラメータの一つの影響を定めるため、伝播光の特性に及ぼす他のパラメータの影響を、除去したり識別したりするよう考慮しても良い。例えば、光ファイバ100に対する歪みの影響を外的に除去した場合、温度に対してのみ感度を有するコア材料を選定することにより、正確な温度測定を行うことが可能となる。また、光ファイバ100を伝播する光の複数の特性を測定することにより、あるいは単一の光ファイバに、極めて接近させて複数の光子を刻印し、各格子領域に異なるコア材料(異なる関心パラメータに対する感度)を用いることにより、複数の関心パラメータを識別しても良い。ただし、本発明は、これに限られるものではない。特定の関心パラメータの影響を分離する、あるいは複数の関心パラメータを同時に測定する、いかなる方法も、限定なく利用することができる。
【0021】
再度図1を参照すると、図において、コア102は、直径108を有する。この直径108は、設計者により、従来の光ファイバ設計技術を用いて、特定の光ファイバの用途に応じて選定される。通常の場合、所望のコアモードの数は、コア102の寸法化に影響することに留意する必要がある。例えば、本発明の好適実施例では、コア102は、キャピラリ導波管を形成するように選定された直径108を有し、このキャピラリ導波管は、所望の波長調整範囲にわたって、単一伝播コアモードをサポートする。また、コアの直径108は、例えば、温度、歪み、光エネルギー強度、磁界強度、および電界強度のような、関心パラメータ122に対する光ファイバの感度を最適化するように選定されることが有意である。コア直径108は、コアおよびクラッド材料の屈折率とともに、光ファイバ100内に搬送され、コア材料105とオーバーラップする光の割合を定めることに留意する必要がある。また、これに関して、コアの直径が大きくなると、コア102内に存在する光の割合が大きくなり、関心パラメータ122に対する感度が高くなることに留意する必要がある。
【0022】
第1の光クラッド層104は、コア102上に配置される。第1の光クラッド層104は、第1のクラッド層屈折率を有する材料で構成され、この屈折率は、外部刺激に対する暴露に応答して、恒久的に選択的に設定される。例えば、外部刺激は、光エネルギーである。そのような材料は、光感応化学成分でドープされた、ガラス(例えば、シリカガラス、フルオロジルコニア酸塩ガラス、フルオロアルミン酸塩ガラス、およびカルコゲナイドガラス)、光感応化学成分でドープされた高分子、ならびに/または光感応化学成分でドープされた、光電気材料が含まれる。本発明の好適実施例では、材料は、紫外(UV)光線感応性を提供するゲルマニウム、および第2の光クラッド層106に比べて、屈折率を僅かに低下させるフッ素がドープされたシリカガラスとして選定される。ただし、本発明は、これに限られるものではない。エネルギー刺激に対して感度を有する限り、限定なく、いかなる適当な材料を使用して、第1の光クラッド104を形成することも可能である。しかしながら、第1の光クラッド層104の形成に使用される材料は、特定の検出動作に対応して、屈折率n2を有するように選定されることに留意する必要がある。例えば、材料は、コア102の屈折率n1よりも小さな屈折率n2を有するように選定される。そのような構造では、光ファイバに誘導モードが提供され、このモードでは、コア102に充填された流体または液体、およびコア102に最近接の第1の光クラッド104の領域が実質的に限定される。
【0023】
図1に示すように、本発明の好適実施例では、光ファイバ100には、単一の光格子114-1が形成されることが有意である。単一の光格子114-1は、短周期格子である。本発明の別の実施例では、光格子114-1は、長周期格子である。本発明のさらに別の実施例では、複数の光格子114-1が存在し、これらは、短周期格子であっても、長周期格子であっても、これらのいかなる組み合わせであっても良い。
【0024】
光格子114-1は、従来のいかなる製作技術を用いて、第1の光クラッド層104に刻印されても良い。そのような技術には、紫外線レーザおよび/または従来公知の他の刻印技術を用いた光刻印(inscribe)技術が含まれる。好適実施例では、紫外光線を使用して、格子が形成される。紫外線レーザは、ファイバの外部に配置される。レーザは、シリカのスラブから構成されたフェーズマスクを介して、ファイバに照射され、このマスクには、微細な平行溝または谷のパターンが存在する。フェーズマスクは、光を回折し、これにより、干渉パターンが形成される。その結果、高強度および低強度のUV光の領域が生じ、これは、格子が形成される領域において、ファイバの全長に沿って変化する。このプロセスのため、屈折率が変化する範囲は、いくつかの因子に依存する。例えば、これらの因子には、第1の光クラッド層の組成、紫外光線の暴露時間および強度が含まれる。
【0025】
本発明の実施例では、光格子114-1は、第1の光クラッド層104に、周期的に刻印され、光格子114-1は、コア102の周囲に軸に沿って配置される。この構成の結果、第1の光クラッド層104の屈折率n2は、その長手軸に沿って、周期的に変化する。ただし、本発明は、これに限られるものではない。光格子114-1は、チャープ形式で刻印されても良い。この構成の結果、光格子114-1は、その長手軸に沿って変化する格子周期を有するようになる。また、光格子114-1は、該光格子114-1がアポダイズ周期格子となるように刻印されても良い。また、光格子114-1は、該光格子114-1がブレーズ周期格子となるように刻印されても良い。
【0026】
各光格子114-1は、第1の光クラッド層104の屈折率が、光ファイバの全長の一部に沿って、周期的に修正または変化するように調整される。便宜上、この周期的変化は、図1では、一連の交互リング状構造116-1、116-2、116-3、116-4、116-5、116-6、116-7、116-8として示されている。しかしながら、第1の光クラッド層104の屈折率の実際の周期的変化は、通常、そのような突発的な方法では変化しないことに留意する必要がある。その代わり、屈折率は、より連続的な方法で変化する。例えば、示された実施例では、屈折率の値は、正弦波的な態様で変化することが好ましい。屈折率の変化の振幅は、光格子の全長に沿って一定であり、あるいはこれは、光格子の全長に沿って調整される。格子の全長に沿って、屈折率の変化の振幅を調整することは、良く知られており、光ファイバの全長に沿って交信される光エネルギーに対して、各種異なる効果を得ることも可能である。本発明では、これらのいかなる良く知られた振幅調整技術を使用しても良い。
【0027】
図1では、光ファイバ100は、前方伝播コアモードと後方伝播コアモードの間で光を結合する、センサあるいはノッチとして構成される。式(1)を用いて、格子周期(Λgrating)を選定することにより、波長λB(ブラッグ波長)で、最小の伝達が得られる:
【数1】

ここでneffは、光ファイバ100のコア102によって誘導されるモードの実効屈折率である。実効屈折率は、コア102とクラッド層104、106の屈折率の平均を、これらの領域を占めるモードの光パワーの割合で重み付けした値である。図1に示すような流体充填キャピラリでは、ブラッグ波長は、流体の屈折率の関数として変化する。これは、実効屈折率は、流体の屈折率に幾分依存するためである。流体の屈折率が、ボア103内の流体に印加される関心パラメータ122(例えば温度)の適用に依存する場合、ブラッグ波長またはノッチ波長は、関心パラメータ122に依存する。従って、ブラッグ波長、または透過スペクトルの最小の波長が定まり、ボア103内の流体に印加される関心パラメータ122が求められる。
【0028】
結合モード理論(CMT)は、図1に示す格子114-1のスペクトル応答のモデル化に使用することができる。通常、CMTでは、格子強度、長さ、および格子摂動を有する誘導モードのモード場の重なりは、透過スペクトルにおけるバンド幅およびノッチの深さ(減衰)を定めることが示されている。光格子114-1は、光ファイバ100の長手軸に沿って伝播する光波と相互作用することに留意する必要がある。この相互作用は、各光格子114-1の格子周期に依存する。例えば、各光格子114-1は、短い格子周期を有する。これらの光格子114-1と、コア102により誘導される光波の間の相互作用によって、ある波長の光波が生じ、この光波は、前方伝播コアモードから、後方伝播コアモードに結合される。本発明の別の態様では、各光格子114-1は、長い格子周期を有する。これらの光格子114-1と、コア102によって誘導される光波の間の相互作用により、ある波長の光波が生じ、この光波は、後方伝播コアモードから、前方伝播クラッドモードに結合される。
【0029】
前述の記載から、関心パラメータは、光ファイバ100内の光格子114-1によって生じるブラッグ波長またはノッチ波長の測定に基づいて、間接的に定められても良いことが理解される。光ファイバ100のブラッグ波長が、関心パラメータ122に関して較正される場合、その後、ブラッグ波長の測定結果に基づいて、関心パラメータが定められる。
【0030】
しかしながら、ブラッグ波長は、ファイバ100の特徴として、単に、関心パラメータの測定に有益なだけではないことに留意する必要がある。重要なことに、関心パラメータは、光ファイバ100を用いて、別の方法により、間接的に定めることもできる。特に、コア材料105の屈折率の変化は、コアモードの格子114-1との重なりを変化させ、これにより、ブラッグ波長での透過の最小値に対応したノッチのバンド幅に、測定可能な変化が生じる。このバンド幅の変化は、光スペクトル解析器(OSA)により観測することができる。光ファイバ100のブラッグ波長に対応した透過最小値でのノッチのバンド幅は、関心パラメータ122に対して較正される。従って、関心パラメータは、その後、そのようなバンド幅の測定結果に基づいて定められる。バンド幅は、光ファイバ100を通る透過光エネルギー、または光ファイバ100によって反射された光エネルギーを用いて、測定される。
【0031】
前述のように、ノッチのバンド幅は、OSAにより測定することができる。光ファイバ100に沿って伝播する光エネルギー源がブロードバンド源である場合、ノッチのバンド幅の変化は、光ファイバ100によって透過または反射される、光エネルギーの全量の変化につながる。この変化は、光パワーメータを用いて測定することができる。ブロードバンド光エネルギー源に対応する反射または透過されたパワーの変化は、関心パラメータ122に対して較正される。従って、関心パラメータ122は、その後、光ファイバ100により透過または反射された、ブロードバンド光エネルギーのパワーの測定結果に基づいて定められる。
【0032】
再度図1を参照すると、第1の光クラッド層104は、直径110を有する。直径110は、特定の光ファイバ100の用途に対応するように選定される。本発明の好適態様では、第1の光クラッド層104は、光格子114-1により誘導モードで伝播する光と、ボア103を占めるコア材料105との相互作用が最適化された直径110を有することが有意である。しかしながら、本発明は、これに限られるものではない。特定の検出用途に対応した、いかなる適当な直径110を使用しても良い。
【0033】
第2の光クラッド層106は、第1の光クラッド104の上に配置される。第2の光クラッド層106は、屈折率がn3の誘電体材料で構成される。そのような材料には、溶融シリカおよび/または溶融石英が含まれる。本発明の好適態様では、第2の光クラッド層106を構成する材料は、コア102を占める流体の屈折率n1よりも小さな屈折率n3を有するように選定される。本発明の別の態様では、第2の光クラッド層106を形成する材料は、第1の光クラッド層104を形成する材料の屈折率n2以上の屈折率n3を有するように選定される。特定の検出用途に応じて、屈折率n3は、第1の光クラッド層104の屈折率n2よりも小さく、または大きくても良いことに留意する必要がある。
【0034】
図1に示すように、第2の光クラッド層106は、直径112を有する。直径112は、特定の光ファイバ100の用途に対応するように選定される。本発明の好適態様では、第2の光クラッド層106は、125μmの直径112を有する。そのような直径112により、標準的な125μmの直径の光ファイバ、対応部材および工具との互換性が提供される。また、直径112は、複数のクラッドモードのため提供される(すなわち、赤外スペクトルにわたって、複数の共振バンドが第2の光クラッド層106内を伝播するようになる)。しかしながら、本発明は、これに限られるものではない。特定の検出用途に対応した、いかなる適当な直径112を使用しても良い。また、直径112は、共振の相互作用が生じる、あるクラッドモードを選択するように選定されることが有意である。
【0035】
保護層は、図1には示されていないが、第2の光クラッド層106上に保護層を設置して、環境条件および外的要因による損傷から、第2の光クラッド層106を保護しても良いことは、当業者には明らかである。保護層は、高分子コーティング、または従来の他のいかなるコーティングで構成されても良い。
【0036】
図1における光ファイバ構成が、光ファイバの構成の代表的な実施例であることは、当業者には明らかである。しかしながら、本発明は、これに限られるものではなく、特に限定されることなく、いかなる他の光ファイバを使用しても良い。例えば、本発明の別の実施例では、光ファイバ100は、第2の光クラッド層106を省略した状態で構成されても良い。そのような構成では、第1の光クラッド層104は、より厚い層(例えば125μm)として構成され、コア102を充填する流体または液体を取り囲む。そのような構成では、保護層は、第1の光クラッド層104上に設置されても良い。
【0037】
図2には、光ファイバ100の製造工程のフロー図を示す。本発明の好適実施例では、製造工程200は、ステップ202から始まり、ステップ204に続く。ステップ204では、ガス吸収法を用いて、所定の圧力(例えば69MPa)、所定の温度(例えば、75℃)で、所定の時間(例えば4日間)、ボア103、第1の光クラッド層104、および第2の光クラッド層106を有する光ファイバ100を、水素または重水素のようなガスで充填することにより、光ファイバ100が感応化される。ガス吸収法は、良く知られた技術である。従って、そのような方法は、ここでは詳しく説明しない。ファイバを紫外光線に晒す前に、水素または重水素でファイバを処理することにより、材料の光感度が向上し、第1の光クラッド層104の屈折率が調整され、光格子114-1を刻印することができる。しかしながら、従来から知られているように、感応化処理は、必ずしも必要ではない。すなわち、ボロンドーピングのような、水素の充填以外の方法で、クラッド層を感応化させる他の手段もある。
【0038】
第1の光クラッド層104および第2の光クラッド層106に水素が充填された後、ステップ206に進む。ステップ206では、短周期格子および/または長周期格子の少なくとも一つが、第1の光クラッド層104内に刻印される。このステップは、従来既知のいかなる方法で実施されても良い。例えば、短周期の格子を刻印する方法は、ある波長(例えば244nm)の光で、フェーズマスクの下側の第1の光クラッド層104を側面露光するステップを有しても良い。この工程は、所与の時間(例えば650秒)、実施され、所与の全フルエンス(例えば260kJ/cm2)で実施される。この工程は、フェーズマスクによって定まるあるパターンに応じて、強度が変化する光に、第1の光クラッド層を暴露するステップを有しても良い。前述のように、第1の光クラッド層は、光の選択波長に対する露光に応答して、屈折率が恒久的に選択的に設定され得る材料で形成される。従って、強度が変化するそのような光に対する、第1の光クラッド層の露光によって、第1の光クラッド層の屈折率に変化が生じ、光源が除去された後も、これが残存する。屈折率の変化の正確なパターンは、フェーズマスクによって定められたパターンにより定められる。パターンは、前述のような光格子を形成するように選定されても良い。
【0039】
ステップ208では、光ファイバは、所定の時間(例えば12日間)、所与の温度(例えば50℃)で熱処理され、第1の光クラッド層104および第2の光クラッド層106から水素が除去される。
【0040】
ステップ210では、温度、光エネルギー強度、磁界強度、または電界強度のような関心パラメータ122に応じて変化する、所定の屈折率(例えばn=1.5)を有するコア材料105で、ボア103が充填される。このステップは、コア材料105が充填された加圧リザーバ内に、光ファイバ100の第1の端部を配置するステップを含む。光ファイバ100の第2の端部は、周囲大気に対して開放されている。ただし、本発明は、これに限られるものではなく、コア材料105を用いて、光ファイバ100のボア103を充填する、他の知られた方法も存在する。
ステップ210の完了後、工程は、ステップ212に進み、ここでは、光ファイバ100の第1の端部および第2の端部は、別の光ファイバ(例えばコーニング、SMF-28(登録商標)ファイバ)の端部と接合される。このステップの後、工程は、ステップ214に進み、製作工程200が完了する。
【0041】
製作工程200が、光ファイバ100の製作用の主要なステップのみを含むことは、当業者には明らかである。この点に関して、製作プロセス200は、製作工程の単なる一実施例に過ぎない。本発明は、これに限られるものではなく、他のいかなる製作プロセスも、限定されることなく使用することができる。
【0042】
図3乃至図6を参照すると、これらの図には、関心パラメータが変化する環境に晒された光ファイバ100における、計算透過スペクトルを示す、複数のグラフが提供されている。図3乃至6では、関心パラメータは、温度であり、コア材料は、温度に応じて変化する屈折率を有するように選定される。しかしながら、同様の結果は、異なる関心パラメータに応じて屈折率が変化する、異なるコア材料を用いても、得られることに留意する必要がある。透過スペクトルの計算に使用される数学モデルでは、先に(図2に関連して)示したような、製造プロセス200によって形成される構造を仮定している。光ファイバ100は、以下のパラメータを有する:コア材料105の屈折率n1=1.5(温度25℃)、コア材料105の屈折率温度感度dn1/dT=−4.01×10-4(℃)-1、コア直径108 d1=1.4μm、第1の光クラッド層104の屈折率n2=1.444、第1の光クラッド層110の直径d2=40μm、第2の光クラッド層106の屈折率n3=1.444、格子周期Λgrating=535.28nm、および格子長さL1=1cmである。モデルでは、正弦波格子を仮定しており、平均屈折率変化は、8.5×10-4であり、格子内の最大と最小の屈折率の間の差も、8.5×10-4である。図3には、コア材料を有する光ファイバ100において、第1の温度が0℃として計算された透過スペクトルを示す。同様に、図4乃至図6には、それぞれ、25℃、50℃、および75℃からなる群から選定された異なる温度での、コア材料を有する光ファイバ100の計算透過スペクトルを示す。
【0043】
図3乃至図6に示すように、コア材料の温度は、光ファイバ100の透過スペクトルを定める。光ファイバ100のノッチ波長およびノッチ幅は、ボア103を占めるコア材料に対する関心パラメータの強度に応じて変化する。
【0044】
光ファイバ100が、電磁スペクトルの近赤外領域において、異なるバンド(例えば、1530nmから1565nmのCバンド、1565nmから1625nmのLバンド)で作動するように構成され得ることは、当業者には明らかである。例えば、誘導モードの実効屈折率は、1.45に等しい。格子周期は、535.28nmに等しい。ここで、光が前方伝播コアモードから、反転伝播コアモードに結合する波長は、1552.3nmに等しく(λB=2×1.45×535.28;前述の式(1)参照)、これは、電磁スペクトルのCバンドの近赤外領域に属する。あるいは、誘導モードの実効屈折率は、1.5に等しい。格子周期は、535.28nmに等しい。この場合、光が前方伝播コアモードから、反転伝播コアモードに結合する波長は、1605.8nmとなり(λB=2×1.5×535.28;前述の式(1)参照)、これは、電磁スペクトルのLバンドの近赤外領域に属する。前述の点において、コア材料105の屈折率n1、第1の光クラッド層104の屈折率n2、第2の光クラッド層106の屈折率(第1の光クラッド層104が薄い場合)、ボア103の直径108、第1の光クラッド層104の直径110、第2の光クラッド層106の直径112、および格子周期Λgratingが、光ファイバ100が作動する近赤外バンドに影響することは明らかである。
【0045】
図7乃至9を参照すると、図には、関心パラメータを測定するためのセンサとして、図1の光ファイバ100を用いることが示されている。前述のように、光ファイバは、関心パラメータの測定に有益である。なぜなら、ファイバが晒される環境に対する変化によって、光ファイバの材料特性に十分な変化が生じ、この変化によって、振幅、位相、周波数、スペクトルコンテント、もしくは光の偏光のような、伝播光の1または2以上の特性が変化するからである。1または2以上のこれらの特徴の変化を検出することにより、関心パラメータが測定される。
【0046】
本発明では、光ファイバ100を伝播する光の選択波長は、コア102を取り囲む光クラッド層104内に設置された、1または2以上の光格子114-1によって反射され、一方、他の光の波長は、光ファイバ100内を自由に伝播する。反射された光の波長(ブラッグ波長)は、ボア103内の流体の屈折率にある程度依存し、これは、ボア103内の流体に印加される関心パラメータ122によって、影響を受ける。従って、関心パラメータ122は、反射光のブラッグ波長が定まれば、求めることができる。同様に、関心パラメータ122は、ブラッグ波長に対応したノッチでの、透過スペクトルのバンド幅の変化に基づいて、定めることができる。先に説明したように、光エネルギー源がブロードバンド源である場合、このバンド幅の変化は、光ファイバ100を通る全透過または反射パワーの変化として、測定することができる。
【0047】
測定可能な関心パラメータには、光ファイバ100が設置される環境の周辺の温度が含まれる。ただし、本発明は、これに限られるものではない。光ファイバ100のような光ファイバを用いて、関心パラメータを測定することが必要な、多くの用途があることは、当業者には明らかである。そのような関心パラメータには、歪み、電界強度、光エネルギー強度、および磁界強度が含まれる。
【0048】
光源405からの光が光ファイバ100のコア102に提供される場合、光ファイバ100は、温度のような関心パラメータ122を測定するためのセンサとして利用されても良い。光波は、光格子114-1と相互作用し、光ファイバ100の長手軸に沿って伝播する。ある波長は、光ファイバ100を自由に通過することが可能であるのに対して、他の波長(ブラッグ波長λB)は、光格子114-1で反射される。光ファイバ100が温度を測定するように構成されている場合、コア102を有するコア材料105の温度は、透過スペクトルのノッチの波長、あるいは反射スペクトルのピークの波長に基づいて定められる。これは、光スペクトル解析器(OSA)を使用して、透過スペクトル内のノッチの位置を定め、あるいは反射スペクトルのピーク位置を定める、いくつかの方法で行うことができる。同様に、コア材料105の温度は、光ファイバ100から反射され、あるいは光ファイバ100を透過するブロードバンド光信号に含まれる、全パワーの変化に基づいて、定めることができる。
【0049】
前述のように、反射光の選定波長は、コア材料105の屈折率、第1の光クラッド層104の屈折率、および第1のクラッド層104に刻印された光格子114-1の格子周期によって、ある程度定められる。本発明の好適実施例では、光ファイバ100は、ボア103で構成されたコア102を有し、このボア103には、温度のような、関心パラメータ122に対して感度を示す流体が充填される。従って、短周期格子の場合、反射光の波長(ブラッグ波長λB)は、コア材料105の温度の関数である。また光ファイバ100は、コア102に印加される他の関心パラメータ122の測定に利用されても良い。そのような実施例では、コア材料105は、測定される特定の関心パラメータに応答して、変化する屈折率を有するように選定されることが理解される。そのような関心パラメータ122には、電界強度、光エネルギー強度、または磁界強度が含まれる。測定される別の関心パラメータは、光ファイバ100に対する歪みであり、これについて、以下さらに説明する。ボア103内の流体の特性は、光ファイバ100の透過スペクトルの特性に大きく影響するため、通常のFBG温度センサに比べて、より大きな温度感度が提供される。
【0050】
ここで、特に図7を参照すると、この図には、図1の光ファイバ100が、関心パラメータ122を測定するためのセンサとして利用される好適実施例が示されている。光ファイバ100は、ブロードバンド光源のような光源405と、検出器410の間に設置される。例えば、ブロードバンド光源は、スーパールミネッセント発光ダイオード(SLED)、または増幅自発(spontaneous)発光放射源を含む。以下により詳しく説明する、選択処理動作を実行するための、少なくとも1つのデータストア413を有する制御プロセッサ412が、任意で提供されても良い。ある実施例では、検出器410は、光スペクトル解析器(OSA)を有する。OSAを用いることにより、ある波長範囲にわたって、光信号のスペクトルプロファイルを把握することが可能となる。光ファイバ406および結合器407は、光ファイバ100を光源405に結合する。光ファイバ408および結合器407は、光ファイバ100を検出器410に結合する。検出器410は、透過スペクトル内のノッチの位置を定め、さらに、ボア103の流体の屈折率に影響する、関心パラメータ122が定められる。あるいは、検出器410は、パワー検出器であっても良い。光源405がブロードバンド光源である場合、検出器410を用いて、光ファイバ100を介して検出器410の方に透過した、全パワーの変化を測定することができる。前述のように、全透過パワーの変化は、予想可能な態様で生じ、これは、格子114-1と関連する透過ノッチのバンド幅の変化に応じて変化する。この全パワーの変化を用いて、関心パラメータ122を求めることができる。
【0051】
本発明の別の実施例では、光源405は、調整可能なレーザを含み、このレーザは、波長バンドにわたって、狭小の放射スペクトル線幅を走査する。検出器410は、パワー検出器を含む。パワー検出器410および光源405は、制御プロセッサ412によって制御される。パワー検出器を用いて、光格子114-1によって反射された光によるパワー損失を測定することができる。透過スペクトルの関連ノッチの位置も、求めることができる。例えば、透過スペクトルにおけるノッチの位置は、調整可能なレーザが特定の波長で走査される際に、検出器41に到達する光エネルギーの測定された減少量を把握することにより、求められる。本発明のある実施例では、これらの動作は、制御プロセッサ412によって調整されても良い。
【0052】
ここで、図8を参照すると、この図には、図1の光ファイバ100が、関心パラメータ122を測定するためのセンサとして利用される、別の実施例が示されている。光ファイバ100は、50:50の結合器428を介して、ブロードバンド光源のような光源425、および光スペクトル解析器(OSA)のような検出器430と、光学的に結合される。光ファイバ426、427は、光源425および検出器430を結合器428に結合する。以下に詳細を示す選択処理動作を実行するため、任意で、少なくとも一つのデータストア433を有する制御プロセッサ432が提供されても良い。
【0053】
検出器430を用いて、光源425からの光エネルギー、およびファイバ100によって反射された光エネルギーの反射スペクトルにおけるピーク位置が定められる。このピーク波長を用いて、前述のように、関心パラメータ122が定められる。関心パラメータは、ボア103内の流体の屈折率に影響を及ぼし、これにより、光ファイバ100からの光エネルギーの反射スペクトルにおけるピーク位置が変化する。前述のように、そのような関心パラメータ122には、温度、歪み、電界強度、光エネルギー強度、および磁界強度が含まれる。
【0054】
本発明の別の実施例では、光ファイバ100は、調整可能なレーザのような光源425、およびパワー検出器のような検出器430に、光学的に結合される。パワー検出器430は、光源425から提供される光の反射スペクトルにおけるピーク位置を定め、ボア103内の流体の屈折率に影響を及ぼす関心パラメータが求められる。反射スペクトルにおけるピーク位置は、調整可能なレーザが特定の波長で走査された際に、検出器430に到達する光エネルギーの、測定された増加を把握することにより定められても良い。この場合も、そのようなピーク位置を用いて、関心パラメータが定められる。
【0055】
再度図8を参照すると、本発明の好適実施例では、光ファイバ100は、ブロードバンド光源、または固定レーザのような光源425、およびパワー検出器のような検出器430に光学的に結合される。パワー検出器430は、ファイバ100から反射された光エネルギーのパワーの量を定め、光ファイバ100に影響を及ぼす関心パラメータ122が定められる。前述のように、そのような関心パラメータ122には、温度、歪み、電界強度、光エネルギー強度、および磁界強度が含まれる。
【0056】
ここで図9を参照すると、図には、図1の光ファイバ100が温度のような関心パラメータ122を測定するためのセンサとして利用される、別の実施例が示されている。光ファイバ100は、50:50結合器449を介して、光源445および第2の検出器450に、光学的に結合される。この検出器450は、パワー検出器である。光ファイバ446、447は、光源445および第2の検出器450を、50:50結合器449に結合する。光ファイバ100は、光源445と第1の検出器455の間に設置される。結合器453は、第1の検出器455に光ファイバ100を結合する。第1の検出器455は、光スペクトル解析器(OSA)であり、これは、伝播光の透過スペクトルにおけるノッチの位置を定める。パワー検出器450は、反射光に対応するパワーの量を測定する。図10に関連して詳細に示される、選定された処理動作を実行するため、任意で、少なくとも一つのデータストア443を有する制御処理プロセッサ442が提供されても良い。
【0057】
制御プロセッサ412、432、442は、いかなる適当な処理素子であっても良い。例えば、制御プロセッサ412、432、442は、特定のアプリケーション集積回路(AISC)として、または一組の指令でプログラム化されたマイクロプロセッサとして、実施されても良い。あるいは、制御プロセッサは、一組の指令でプログラム化された汎用コンピュータの形態で、実施されても良い。また、制御プロセッサは、適当な通信インターフェースを有しても良く、関心パラメータに関する測定データは、ユーザインターフェース(図示されていない)と通信される。
【0058】
ここで図10を参照すると、図には、本発明の理解に有益な、図1の光ファイバ100を用いて、温度のような関心パラメータ500を定める方法のフロー図が示されている。関心パラメータ500を定める方法には、以下の詳細な説明から明らかなように、方法の特定の実施例に応じて、図7、図8、または図9に示すような配置が用いられる。
【0059】
当該方法は、ステップ502で始まり、ステップ504に進む。ステップ504は、実質的に光ファイバのコアに制限された光エネルギーを伝播するステップを有し、この光ファイバは、(1)例えば屈折率および光損失のような、関心パラメータに応答して変化する光学特性を有するコア材料、(2)光ファイバの第1のクラッド層104内に形成された格子を有する。図7乃至9に示す光ファイバ100は、この目的に使用することができる。その後、当該方法は、ステップ506に進む。
【0060】
ステップ506では、光ファイバは、関心パラメータを含む環境内に配置される。そのような環境に光ファイバを配置することにより、関心パラメータによって、光ファイバ100の光学特性が変化する。ステップ508では、工程は、光ファイバ100を通過し、あるいは光ファイバ100で反射する光エネルギーの1もしくは2以上のスペクトル、またはパワー特性の値を測定するステップに進む。そのような変化は、必ず、コア材料の屈折率または光損失、あるいは他の光ファイバ100の特性の変化に起因して生じ、クラッド内に形成された光格子による光エネルギーの異なる相互作用の結果として生じる。ステップ508の目的のため、図7乃至図9に示すような、測定装置構成のいずれか一つを使用しても良い。
【0061】
その後、ステップ510では、工程は、ステップ508において得られた測定結果を評価するステップに進む。特に、ステップ510は、光ファイバを透過し、あるいは光ファイバで反射された光エネルギーのスペクトル、パワー、位相、遅延もしくは偏光特性の1または2以上に基づいて、関心パラメータを定めるステップを有する。このステップは、透過光スペクトル、反射光スペクトル、透過光パワー、および/もしくは反射光パワー、あるいは透過光もしくは反射光の位相、遅延、もしくは偏光を評価するステップを含んでも良い。これらの値を用いて、関心パラメータの値が求められる。
【0062】
ステップ510では、関心パラメータ122の値は、いくつかの方法のうちのいずれかを用いて、定められても良い。例えば、図7の実施例では、このステップは、光ファイバ100を透過した光エネルギーのスペクトルにおいて、ノッチの波長を定めるステップを有しても良い。ノッチの波長は、検出器410を用いて定められる。図8の実施例では、ステップ510は、光ファイバ100から反射された光エネルギーのスペクトルにおいて、ピーク波長を定めるステップを有しても良い。ピーク波長は、検出器430を用いて定められる。同様に、そのような検出器は、ノッチのバンド幅、または対応するパワーの変化の測定に使用されても良い。このステップの後、工程は、ステップ512に進み、ここで、関心パラメータ500を定める方法が完了する。
【0063】
ステップ504、508、及び510に関するプロセスを自動化できることは、当業者には明らかである。例えば、これらのステップの1または2以上は、制御プロセッサ412、432、442の制御の下で実施することができる。制御プロセッサ412、432、442は、それぞれ、光源405、425、445に制御信号を通信する。例えば、制御プロセッサは、制御信号を通信して、光源のオン、オフを行い、光源の出力波長を制御し、光出力がブロードバンドかナローバンドかを定め、および/または光源の強度を制御することができる。また、制御プロセッサ412、432、442を用いて、透過ノッチの波長とバンド幅の測定を含む、自動測定が可能となるように、1または2以上の検出器の動作を調整しても良い。同様に、制御プロセッサ412、432、442を用いて、検出パワーの自動測定を行うことも可能である。そのような自動測定技術は、良く知られており、従って、ここではこれ以上詳細には説明しない。検出器からの測定データは、各制御プロセッサに通信され、処理ステップ510が実行される。
【0064】
特に、図7乃至9において、検出器410、430、450、および455は、必要な場合、1または2以上の異なる機能を有しても良く、この機能には、スペクトル解析およびパワー測定が含まれる。従って、そのような検出器では、透過スペクトルのバンド幅に関する情報と、ノッチの位置に関する情報を、同時に提供することができる。この機能は、ある環境下では、特に有意である。これらの測定の両方を同時に用いることにより、単一の光ファイバ100を用いて、関心パラメータ122と、光ファイバに印加される応力または歪みとを同時に測定することができる。
【0065】
光ファイバ100に印加される応力または歪みにより、格子114-1に関連したブラッグ波長が変化する。応力または歪みによって生じるそのような変化によって、透過の最小値の特定の波長またはノッチが、関心パラメータ122の変化に起因して生じたものか、光ファイバに印加された応力の変化によるものであるか、あるいはこれらの複合因子によるものであるかを定めることが難しくなる。一方、格子114-1によって生じる透過ノッチのバンド幅は、通常、光ファイバ100に印加される歪みまたは応力の変化に対した感度を示さない。その結果、透過ノッチのバンド幅の変化を用いて、関心パラメータ122を測定することが可能となる。例えば、光ファイバ100が適正に較正されている場合、透過ノッチのバンド幅の変化を用いて、光ファイバの温度の正確な測定結果を得ることができる。
【0066】
光ファイバ100が適正に較正されている場合、その温度での、格子114-1に対応した透過ノッチの予想ブラッグ波長を定めることができることに留意する必要がある。得られたブラッグ波長の実際の測定値が、所与の温度での予想値と対応せず、光ファイバ100が他の関心パラメータからも隔離されている場合、予想値からの変化を、光ファイバ100に印加された歪みに起因するものと捉えても良いことは、容易に理解される。光ファイバが適正に較正されている場合、ブラッグ波長の変化は、光ファイバ100に対する歪みに寄与するものとすることにより、光ファイバ100に印加される正確な歪の量を求めることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心パラメータを測定するための光ファイバ装置であって、
光透過性のコア材料で構成された細長い円筒状コアであって、前記コア材料は、前記関心パラメータに応答して、動的に変化する光特性を有し、前記関心パラメータは、温度、歪み、および磁界強度からなる群の一つである、コアと、
前記コア上に設置された第1の光クラッド層と、
前記第1の光クラッド層内に設置された、少なくとも一つの光格子であって、前記第1の光クラッド層の屈折率を変化させ、光源により前記コアに提供された光の選択波長の伝播経路を調整する光格子と、
前記光ファイバと光学的に結合され、前記光ファイバの全長に沿って伝播する光の選択波長の1または2以上の特性を測定し、前記関心パラメータを定めるように構成された検出器と、
を有する光ファイバ装置。
【請求項2】
前記コア材料は、流体であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ装置。
【請求項3】
前記コア材料は、液体であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ装置。
【請求項4】
前記光源は、ブロードバンド光源、調整可能波長レーザ、および固定波長レーザからなる群から選定されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ装置。
【請求項5】
前記検出器は、光スペクトル解析器であることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ装置。
【請求項6】
前記光格子によって調整された伝播経路を有する、前記選定波長の前記1または2以上の特性は、透過スペクトル中の最小の波長であることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバ装置。
【請求項7】
前記光格子によって調整された伝播経路を有する、前記選定波長の前記1または2以上の特性は、反射スペクトル中の最大の波長であることを特徴とする請求項5に記載の光ファイバ装置。
【請求項8】
前記検出器は、全光パワーに応答するパワー検出器であることを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ装置。
【請求項9】
前記調整された伝播経路を有する光の選択波長は、前記光格子により反射された光の選択波長を有し、
前記パワー検出器によって測定された、前記選定波長の前記1または2以上の特性は、前記光の選定波長に関連するパワーの量であることを特徴とする請求項8に記載の光ファイバ装置。
【請求項10】
さらに、前記光ファイバと光学的に結合された第2の検出器を有することを特徴とする請求項4に記載の光ファイバ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2010−506170(P2010−506170A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531580(P2009−531580)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/080302
【国際公開番号】WO2008/042959
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】