防振支持構造
【課題】重量や部品点数の増加を防ぎつつ、門形部材の開口方向両側で振動体の防振対象部材に対する相対変位量を制限することが出来る、新規な構造の防振支持構造を提供すること。
【解決手段】防振装置12における第一の取付部材20には、振動体14と防振対象部材16の何れか一方に固定される連結部28が設けられており、連結部28が門形部材100の開口方向で外方に延び出していると共に、連結部28の門形部材100への当接によって第一の取付部材20と第二の取付部材22における門形部材100の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、振動体14の両側に一対の防振装置12,12が配置されて各防振装置12,12の各側方ストッパ機構により協働して、振動体14の防振対象部材16に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されている。
【解決手段】防振装置12における第一の取付部材20には、振動体14と防振対象部材16の何れか一方に固定される連結部28が設けられており、連結部28が門形部材100の開口方向で外方に延び出していると共に、連結部28の門形部材100への当接によって第一の取付部材20と第二の取付部材22における門形部材100の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、振動体14の両側に一対の防振装置12,12が配置されて各防振装置12,12の各側方ストッパ機構により協働して、振動体14の防振対象部材16に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジンマウントを用いたパワーユニットの支持構造等に好適に適用され得る防振支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車のパワーユニットを車両ボデーに連結する構造等として、それらパワーユニットと車両ボデーの間に防振装置を介装してなる防振支持構造が知られている。この防振支持構造に用いられる防振装置は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で防振連結された構造を有しており、例えば、特開平11−294534号公報(特許文献1)に示されているのが、それである。
【0003】
ところで、特許文献1では、第一の取付部材側に連結部(インナブラケット)が設けられていると共に、第二の取付部材に門形部材が取り付けられており、それら連結部と門形部材の対向部分を利用して、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位を規制するストッパ機構が構成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ストッパを構成する部材の一方が門形とされていることから、門形部材の開口方向において有効なストッパ機構が構成されていなかった。それ故、第一,第二の取付部材の相対変位が規制されず、過大な変形によって本体ゴム弾性体が損傷するなど、耐久性の低下が問題となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−294534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、重量や部品点数の増加を防ぎつつ、門形部材の開口方向両側で振動体の防振対象部材に対する相対変位量を制限することが出来る、新規な構造の防振支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の第一の態様は、振動体と防振対象部材の各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材には該第一の取付部材を跨いで配設される門形部材が取り付けられており、該第一の取付部材と該門形部材の対向部分によってリバウンドストッパ機構が構成された防振装置を用い、該防振装置を介して該振動体を該防振対象部材に対して防振支持せしめた振動体の防振支持構造において、前記防振装置における前記第一の取付部材には、前記振動体と前記防振対象部材の何れか一方に固定される連結部が設けられており、該連結部が前記門形部材の開口方向で外方に延び出していると共に、該連結部の該門形部材への当接によって該第一の取付部材と前記第二の取付部材における該門形部材の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、該振動体の両側に一対の該防振装置が配置されて各該防振装置の各該側方ストッパ機構により協働して、該振動体の該防振対象部材に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第一の態様に従う構造とされた防振支持構造によれば、側方ストッパ機構が、特別な部品を追加することなく、第一の取付部材と門形部材によって構成されている。しかも、側方ストッパ機構は、門形部材の開口方向の一方の側において振動体の防振対象部材に対する相対変位量を制限する構造とされているので、第一の取付部材と門形部材においてそれらが一方の側でのみ当接する簡単な構造を採用可能となる。これらによって、部品点数や重量の増加が防止されると共に、構造が著しく複雑になって製造困難になるのを防ぐことができる。
【0009】
さらに、それぞれ側方ストッパ機構を備えた防振装置が、門形部材の開口方向で振動体を挟んだ両側に配設されている。これにより、振動体の変位量が、各防振装置の側方ストッパ機構によって、門形部材の開口方向の両側において制限されており、簡単な構造の側方ストッパ機構を採用しながら、振動体の変位量を有効に制限することができる。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された防振支持構造において、前記門形部材の幅方向で離隔した複数箇所において前記第一の取付部材の前記連結部に該門形部材と当接するストッパ部が設けられて前記側方ストッパ機構が構成されているものである。
【0011】
第二の態様によれば、門形部材の幅方向(両端支柱状部分の対向方向)で離隔する複数の当接部が連結部に設けられていることにより、第一の取付部材と門形部材の当接時に本体ゴム弾性体に及ぼされるモーメントを低減することができる。それ故、本体ゴム弾性体のねじり方向への変形が防止されて、本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られると共に、第一の取付部材に連結される振動体がねじり方向に変位するのを防ぐことができる。
【0012】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された防振支持構造において、前記連結部には袋状のストッパゴムが被せられて非接着で装着されており、該ストッパゴムが前記リバウンドストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されていると共に、該ストッパゴムに一体形成された舌片が前記側方ストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されているものである。
【0013】
第三の態様によれば、各ストッパ機構の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが、ストッパゴムによって一体的に形成されて一度に装着される。それ故、部品点数の増加を防ぐことができると共に、取付作業が容易になり得る。
【0014】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された防振支持構造において、前記防振装置において、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が前記本体ゴム弾性体に対して非接着とされている一方、該第一の取付部材が該第二の取付部材側に向かって開口する嵌着凹所を有していると共に、該第二の取付部材が該第一の取付部材に向かって開口する凹状部を有しており、該本体ゴム弾性体の一方の端部が該嵌着凹所に嵌入されていると共に、該本体ゴム弾性体の他方の端部が該凹状部に嵌入されているものである。
【0015】
第四の態様によれば、第一,第二の取付部材と本体ゴム弾性体が非接着とされていることで、部品を共通化した別構造の防振装置を容易に得ることができる。しかも、第一,第二の取付部材にそれぞれ凹状の部分が設けられており、本体ゴム弾性体の端部がその凹状の部分に嵌め込まれていることにより、本体ゴム弾性体の抜けが防止されて耐荷重性能が確保される。また、リバウンドストッパ機構と側方ストッパ機構によって、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量が制限されていることにより、第一,第二の取付部材と本体ゴム弾性体が外力の作用によって分離するのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第五の態様は、第四の態様に記載された防振支持構造において、前記嵌着凹所および前記凹状部の各周壁における開口側端部が、前記本体ゴム弾性体の外周面に対して離隔しているものである。
【0017】
第五の態様によれば、本体ゴム弾性体の外周面に亀裂等が生じるのを防いで耐久性の向上が図られ得る。しかも、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位が側方ストッパ機構によって制限されることによって、外力の作用時にも、装着凹所および凹状部の周壁の開口側端部が本体ゴム弾性体の外周面に接触するのを防ぐことができて、耐久性の低下が防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、門形部材の開口方向への振動体の変位量を各一方の側で制限し得る防振装置が、振動体を挟んで両側に配設されていることにより、振動体の変位量が門形部材の開口方向の両側で制限されるようになっている。それ故、各防振装置に設けられる側方ストッパ機構としては、部品点数の少ない簡単な構造のものを採用することができて、防振装置およびそれを用いた防振支持構造の軽量化やコストの低減等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としての防振支持構造を示す配置図。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの車両装着状態を示す縦断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図2に示されたエンジンマウントを単体で示す正面図。
【図5】図4に示されたエンジンマウントの側面図。
【図6】図4に示されたエンジンマウントの平面図。
【図7】図4に示されたエンジンマウントを構成する第一の取付部材の断面図。
【図8】図7に示された第一の取付部材の平面図。
【図9】図4に示されたエンジンマウントを構成する第二の取付部材の断面図。
【図10】図9に示された第二の取付部材の平面図。
【図11】図4に示されたエンジンマウントを構成する本体ゴム弾性体の断面図。
【図12】図11に示された本体ゴム弾性体の平面図。
【図13】図11に示された本体ゴム弾性体の底面図。
【図14】図4に示されたエンジンマウントを構成するストッパゴムの平面図。
【図15】図14に示されたストッパゴムの底面図。
【図16】図14に示されたストッパゴムの側面図。
【図17】図14のXVII−XVII断面図。
【図18】図4に示されたエンジンマウントを構成する門形部材の断面図。
【図19】図4に示されたエンジンマウントの側方ストッパ機構の要部を拡大して示す斜視図。
【図20】図19に示された側方ストッパ機構の要部を拡大して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1には、本発明に従う振動体の防振支持構造10の概略が平面視で示されている。防振支持構造10は、図2〜図6に示されたエンジンマウント12の1対によって、振動体としてのパワーユニット14を、防振対象部材としての車両ボデー16に防振支持させた構造とされている。
【0022】
より詳細には、エンジンマウント12は、マウント本体18を備えており、このマウント本体18が、第一の取付部材20と第二の取付部材22を本体ゴム弾性体24によって連結した構造を有している。なお、図2,図3には、エンジンマウント12の車両への装着状態が示されていると共に、図4〜図6には、エンジンマウント12の車両への非装着状態が示されている。また、以下の説明において、上下方向とは、原則として、マウント中心軸方向となる、図2中の上下方向を言うものとする。
【0023】
第一の取付部材20は、図7,図8に示されているように、本体ゴム弾性体24への取付け部分となる本体部26と、パワーユニット14への取付け部分となる連結部28とを、一体的に備えた構造を有している。なお、第一の取付部材20は、その全体が、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされている。
【0024】
本体部26は、全体として下方に開口する凹形状を有しており、中央突部30を備えている。この中央突部30は、下方に向かって次第に小径となる逆向きの略円錐状とされていると共に、その下端面が丸められて角をもたない湾曲面で構成されている。更に、中央突部30の中央部分には、軸方向に貫通する上連通孔32が形成されている。上連通孔32は、中央突部30を上下に貫通する円形孔であって、上部が上方に向かって拡径するテーパ状となっていると共に、下部が略一定の直径で上下に延びている。
【0025】
また、中央突部30の上端には、板状部34が一体形成されている。板状部34は、軸直角方向に広がる略平板形状を有しており、その中央部分から下方に向かって中央突部30が突出している。また、板状部34には、案内溝36が形成されている。案内溝36は、板状部34の上面に開口する凹溝であって、略一定の断面形状で幅方向(図8中、上下方向)に直線的に延びている。なお、案内溝36は、上連通孔32の上側開口部を横切るように延びており、長さ方向の両端が板状部34の外周面に開口していると共に、長さ方向の中央が上連通孔32に繋がっている。
【0026】
また、板状部34の外周縁部には、外周壁部38が一体形成されている。外周壁部38は、板状部34の外周に沿って全周に亘って連続的に形成されており、中央突部30に対して外周側に離隔した位置で中央突部30と同じ側に向かって突出している。これにより、中央突部30の外周面と、外周壁部38の内周面との間には、下方に向かって開口する環状の嵌着凹所40が形成されている。
【0027】
また、外周壁部38の板状部34からの突出高さは、中央突部30の板状部34からの突出高さよりも小さくなっており、中央突部30の基端が外周壁部38によって取り囲まれていると共に、中央突部30の突出先端が外周壁部38を外れて下方に突出している。
【0028】
また、外周壁部38の周上の一部には、連結部28が一体的に設けられて、側方(図2中、右方)に向かって延び出している。連結部28は、全体として異形の板形状を有しており、その外周壁部38からの突出先端部分には、3つのボルト孔42,42,42が板厚方向に貫通して形成されている。
【0029】
また、連結部28の延出方向中間部分には、ストッパ部としての1対の当接段差44,44が形成されている。当接段差44は、連結部28の上面に設けられており、当接段差44を挟んだ連結部28の延出方向先端側が基端側よりも上方に突出している。更に、連結部28の幅方向(図8中の上下方向)に所定の距離を隔てて、1対の当接段差44,44が設けられている。
【0030】
一方、第二の取付部材22は、図9,図10に示されているように、中央部分に凹状部46を備えている。凹状部46は、上方に向かって開口する略円形皿形状を有しており、略円板形状の底壁部48と、底壁部48の外周縁部から上方に向かって次第に拡径しながら延び出す周壁部50とを、備えている。また、凹状部46の開口周縁部には、径方向一方向で外側に延び出す1対の取付部52,52が一体形成されており、板状とされた各取付部52に円形乃至は長円形のボルト孔54が形成されている。なお、第二の取付部材22は、例えば、所定の形状に打ち抜かれた金属板をプレス加工することで得ることができる。
【0031】
さらに、第二の取付部材22の凹状部46には、下連通孔56が形成されている。下連通孔56は、第二の取付部材22の径方向中央に設けられた円形孔であって、凹状部46の底壁部48を上下方向に貫通している。また、下連通孔56は、上連通孔32の下部(直径が一定とされた部分)に比して大径とされている。
【0032】
このような構造とされた第一の取付部材20と第二の取付部材22は、嵌着凹所40と凹状部46が、主たる振動入力方向である軸方向(図2中、上下)で対向するように配置されている。そして、第一の取付部材20の中央突部30および板状部34と、第二の取付部材22の底壁部48との対向面間に、本体ゴム弾性体24が介装されている。
【0033】
本体ゴム弾性体24は、図11〜図13に示されているように、全体として厚肉大径の略円錐台形状を有しており、上部が上方に向かって次第に小径となっていると共に、下部が下方に向かって次第に小径となっている。そして、本体ゴム弾性体24の小径側端部(上端部)が、第一の取付部材20の嵌着凹所40に非接着で嵌め込まれると共に、大径側端部(下端部)が、第二の取付部材22凹状部46に非接着で嵌め込まれている。これにより、第一の取付部材20と第二の取付部材22が、本体ゴム弾性体24に対して軸方向の両側から非接着で取り付けられて、本体ゴム弾性体24によって弾性的に連結されており、もって、マウント本体18が形成される。なお、本体ゴム弾性体24の小径側端面には、第一の取付部材20の中央突部30に対応する形状の装着凹所58が開口しており、中央突部30が装着凹所58に差し入れられている。また、車両への非装着状態では、第一の取付部材20と第二の取付部材22が軸直角方向の投影において軸方向上下に離隔している。
【0034】
また、本体ゴム弾性体24の大径側端面には、中央凹所60が開口している。この中央凹所60は、逆向きの略すり鉢形状を有する凹所であって、下方に向かって開口している。更に、中央凹所60は、本体ゴム弾性体24の中心軸上に形成されており、その開口部が本体ゴム弾性体24の下端外周縁までは至らない直径で形成されている
【0035】
さらに、本体ゴム弾性体24の径方向中央には、中間連通孔62が形成されている。中間連通孔62は、略一定の直径で軸方向に延びる円形孔であって、中央凹所60の上底壁部を上下方向に貫通するように形成されている。また、中間連通孔62は、上連通孔32の下部よりも大径とされていると共に、下連通孔56よりは小径とされている。そして、それら上連通孔32と中間連通孔62と下連通孔56は、同一中心軸上で直列的に設けられており、マウント本体18を軸方向上下に貫通する連通孔64が、上連通孔32と中間連通孔62と下連通孔56とによって構成されている。この連通孔64によって、第一,第二の取付部材20,22とゴム24,78との間に入り込んだ水が速やかに外部に排出されるようになっている。
【0036】
また、本体ゴム弾性体24の上端部には、上部突起66が設けられている。上部突起66は、本体ゴム弾性体24の上端面から上方に向かって突出して径方向に延びており、複数の上部突起66が周方向に所定距離を隔てて設けられている。更に、上部突起66は、本体ゴム弾性体24の上端部の外周面にまで延び出して径方向外側に向かって突出している。また、周上に複数の上部突起66が設けられることによって、周方向で隣り合う上部突起66の間には、径方向および軸方向に延びる上部凹溝68が形成されている。
【0037】
そして、図2に示されているように、本体ゴム弾性体24における上部突起66の形成部分が第一の取付部材20の嵌着凹所40に非接着で嵌め込まれており、第一の取付部材20の板状部34および外周壁部38と本体ゴム弾性体24との間に、トンネル状の通路が上部凹溝68によって形成されている。また、上部突起66において本体ゴム弾性体24の外周面上を上下に延びる部分の長さが、第一の取付部材20における外周壁部38の突出高さよりも短くなっている。これにより、上部突起66よりも下方における本体ゴム弾性体24の外周面は、第一の取付部材20の外周壁部38に対して内周側に離隔しており、本体ゴム弾性体24の外周側への変形が許容されることで、第一の取付部材20からの抜けが防止されている。更に、本体ゴム弾性体24の外周面が、外周壁部38の下端内周縁部に対して内周側に離隔していることにより、当接による本体ゴム弾性体24の耐久性低下が防止されている。
【0038】
さらに、本体ゴム弾性体24の下端部の外周面には、外周突起70が設けられている。外周突起70は、図11に示されているように、本体ゴム弾性体24の大径側端部において径方向外側に向かって突出するように形成されており、上下に所定の長さで延びている。また、複数の外周突起70が周方向に所定距離を隔てて設けられていることにより、周方向で隣り合う外周突起70の間には、上下に延びる外周凹溝72が形成されている。
【0039】
更にまた、本体ゴム弾性体24の下端面には、下部突起74が設けられている。下部突起74は、本体ゴム弾性体24における中央凹所60を外周側に外れた部位から下方に向かって突出しており、図13に示されているように、周方向に所定の長さで延びている。また、複数の下部突起74が周方向に所定の距離を隔てて設けられていることにより、周方向で隣り合う下部突起74の間には、径方向に延びる下部凹溝76が形成されている。
【0040】
そして、本体ゴム弾性体24における外周突起70および下部突起74の形成部分が、第二の取付部材22の凹状部46に非接着で嵌め込まれている。これにより、第二の取付部材22と本体ゴム弾性体24の重ね合わせ面間には、中央凹所60と外部空間を連通する連通溝が、外周凹溝72および下部凹溝76を利用して形成されている。また、中央凹所60が形成されていることによって、本体ゴム弾性体24の第二の取付部材22に嵌め込まれた部分が内周側への変形を許容されており、本体ゴム弾性体24の第二の取付部材22からの抜けが防止されている。加えて、第二の取付部材22に嵌め込まれた本体ゴム弾性体24の端部が、中央凹所60が設けられることで内周側への変形を許容されていることにより、本体ゴム弾性体24の実質的な自由長が大きく確保されており、防振性能や耐久性の向上が図られ得る。なお、凹状部46の周壁部50の上端部は、本体ゴム弾性体24の外周面において外周突起70の形成部位よりも上方に位置する部分に対して所定距離を隔てており、周壁部50の上端部分との当接による耐久性の低下が防止されている。
【0041】
このように、本体ゴム弾性体24は、その上端部が下方に向かって開口する凹形状を有する第一の取付部材20に嵌め込まれていると共に、下端部が上方に向かって開口する凹形状を有する第二の取付部材22に嵌め込まれている。それ故、第一,第二の取付部材20,22と本体ゴム弾性体24が非接着で組み付けられた非接着構造を採用しながら、軸方向と軸直角方向の何れにおいても優れた耐荷重性能が実現される。
【0042】
なお、図11に示されているように、本体ゴム弾性体24は、単体状態において、中央凹所60の深さ寸法:a1 が、第二の取付部材22への嵌着部分の軸方向寸法:a2 よりも小さくなっている(a1 <a2 )。更に、中央凹所60の開口部の直径:a3 が、装着凹所58の開口部の直径:a4 と同じかそれよりも大きくなっている(a3 ≧a4 )。これらによって、応力の集中が軽減されると共に、本体ゴム弾性体24の第一, 第二の取付部材20,22からの抜けが防止される。
【0043】
さらに、図3に示されているように、車両への装着状態において、本体ゴム弾性体24では、軸直角方向の投影において第一の取付部材20と重なり合う部分の軸方向寸法:a5 が、軸直角方向の投影において第二の取付部材22と重なり合う部分の軸方向寸法:a6 よりも大きくなっている(a5 >a6 )。更に、第二の取付部材22に重ね合わされる部分の径方向での幅寸法:a7 が、第一の取付部材20の板状部34に重ね合わされる部分の径方向での幅寸法:a8 よりも大きくなっている(a7 >a8 )。
【0044】
また、第一の取付部材20には、ストッパゴム78が装着されている。ストッパゴム78は、図14〜図17に示されているように、底壁と側壁の1つとを欠いた箱状乃至は袋状とされており、上底壁部80と3つの側壁部82a,82b,82cを有している。また、幅方向で対向する1対の側壁部82b,82cは、開放側(図16中、左側)の端面が、開放側に向かって次第に下傾しており、それら1対の側壁部82b,82cがそれぞれ略台形板形状となっている。なお、本実施形態では、対向する1対の側壁部82b,82cの厚さが異なっている。
【0045】
また、ストッパゴム78の底部には、当接部84が設けられている。この当接部84は、対向する1対の側壁部82b,82cの傾斜側端部(図16中、左端部)の下方に一体形成されており、それら1対の側壁部82b,82cを跨いで設けられている。
【0046】
また、ストッパゴム78の1対の側壁部82b,82cには、それぞれ緩衝突起86が一体形成されており、それら1対の側壁部82b,82cの対向方向で外側に向かって突出している。緩衝突起86は、上下方向に所定の長さで延びており、突出先端側に向かって次第に狭幅となる凸条となっている。なお、本実施形態では、側壁部82b,82cに対して、それぞれ2つの緩衝突起86,86が所定距離を隔てて並列的に設けられている。
【0047】
また、ストッパゴム78の開放側には、舌片としての緩衝突片88が上底壁部80と一体形成されて延び出している。緩衝突片88は、基端部分が突出先端側に向かって板厚方向で湾曲して次第に上傾していると共に、突出先端部分が上方に向かって延び出しており、全体としては、第一の取付部材20の連結部28に設けられた当接段差44に略対応する板形状とされている。更に、緩衝突片88は、当接段差44と対応して1対が設けられており、それら1対の緩衝突片88,88が幅方向で互いに離隔している。
【0048】
また、ストッパゴム78の上底壁部80には、複数の第一の緩衝凸条90が一体形成されて、並列的に設けられている。第一の緩衝凸条90は、上方に向かって突出しており、突出方向先端部分が基端部分よりも狭幅となっていると共に、表面が略全体に亘って湾曲面で構成された略一定の断面形状をもって、所定の長さで延びている。
【0049】
また、複数の第一の緩衝凸条90よりも幅方向外側には、それぞれ第二の緩衝凸条92が形成されている。第二の緩衝凸条92は、略半円形断面で第一の緩衝凸条90と並列に設けられており、第一の緩衝凸条90よりも小さな突出高さで上底壁部80から上方に向かって突出している。
【0050】
さらに、第二の緩衝凸条92よりも幅方向外側には、それぞれ視認突起94が形成されている。視認突起94は、略円形断面で上底壁部80から上方に向かって突出しており、本実施形態では第一の緩衝凸条90よりも大きく突出している。なお、視認突起94の突出先端部分が略半球形状とされて、突出先端側に向かって次第に小径となっている。
【0051】
また、ストッパゴム78の上底壁部80には、係止突起96が形成されている。係止突起96は、上底壁部80から下方に向かって突出しており、幅方向の全長に亘って直線的に延びている。また、図2に示されているように、ストッパゴム78の開放側(図2中、右側)に位置する係止突起96の側面は、突出方向に対して傾斜して広がっており、係止突起96が突出先端側に向かって次第に狭幅となっている。
【0052】
そして、ストッパゴム78は、第一の取付部材20に被せられている。即ち、上底壁部80および側壁部82a,82b,82cが第一の取付部材20の本体部26に重ね合わされていると共に、当接部84が第一の取付部材20の連結部28の下面に重ね合わされている。これにより、ストッパゴム78は、第一の取付部材20に対して非接着で装着されている。
【0053】
さらに、第一の取付部材20に設けられた案内溝36の開口部がストッパゴム78によって覆蓋されていると共に、ストッパゴム78に設けられた係止突起96が案内溝36に嵌め込まれている。そして、係止突起96と案内溝36の側面が当接係止されて、ストッパゴム78と第一の取付部材20を連結部28の突出方向(図2中の左右方向)で位置決めする位置決め機構が構成されることにより、ストッパゴム78の第一の取付部材20からの抜けが防止されている。また、ストッパゴム78の開放側(図2中の右側)において、係止突起96の側面と案内溝36の側面との間に隙間98が形成されていると共に、ストッパゴム78の側壁部82a側(図2中の左側)において、係止突起96の側面と案内溝36の側面とが相互に重ね合わされて当接している。
【0054】
このようにストッパゴム78が第一の取付部材20に装着された状態では、ストッパゴム78の当接部84が、第一の取付部材20の連結部28と第二の取付部材22との対向面間に配置されている。これにより、第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対的な接近変位を規制するバウンドストッパ機構が、連結部28と第二の取付部材22の対向部分で構成されていると共に、それら第一,第二の取付部材20,22の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが、ストッパゴム78の当接部84によって構成されている。
【0055】
また、第二の取付部材22には、門形部材100が取り付けられている。門形部材100は、図18に示されているように、長手板状の金属材を曲げ加工して形成されており、その長さ方向両端にはボルト孔102が設けられている。また、門形部材100の幅方向両端部が外側に向かって曲げられることにより、当接リブ104が形成されており、門形部材100の板厚方向での曲げ強度が確保されている。
【0056】
そして、門形部材100は、図3に示されているように、第一の取付部材20の本体部26およびストッパゴム78の上底壁部80の上方を跨ぐように配設されて、長さ方向両端が第二の取付部材22の取付部52にボルト固定されている。また、第一の取付部材20の連結部28は、門形部材100の開口方向(図2中、左右方向)で外方に延び出している。なお、門形部材100におけるストッパゴム78を跨ぐ部分には、長さ方向で離隔する1対の視認孔106,106が貫通形成されており、視認孔106とストッパゴム78の視認突起94とを位置合わせすることで、ストッパゴム78と門形部材100の相対位置を正しく設定することができる。
【0057】
これにより、第一の取付部材20の本体部26と門形部材100との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の離隔方向(リバウンド方向)への変位を規制するリバウンドストッパ機構が構成されている。また、リバウンドストッパ機構を構成する第一の取付部材20と門形部材100の間には、ストッパゴム78の上底壁部80が介在しており、ストッパゴム78の上底壁部80によって第一の取付部材20と門形部材100の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが構成されている。
【0058】
また、第一の取付部材20の本体部26と門形部材100の両端支柱部分との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両前後方向(図3中、左右方向)での相対変位量を規制する前方ストッパ機構と後方ストッパ機構が構成されている。また、前後のストッパ機構を構成する第一の取付部材20と門形部材100の間には、ストッパゴム78の側壁部82b,82cが介在しており、ストッパゴム78の側壁部82b,82cによって第一の取付部材20と門形部材100の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが構成されている。なお、側壁部82b,82cに設けられた緩衝突起86によって、当接衝撃がより効果的に緩和されるようになっている。
【0059】
また、図19,図20に示されているように、第一の取付部材20の連結部28と門形部材100との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両左右方向(図2中、左右方向)の一方の側への相対変位を規制する側方ストッパ機構が構成されている。即ち、連結部28に設けられた当接段差44が門形部材100の当接リブ104の側面に対して門形部材100の開口方向(図2中、左右方向)で対向しており、それら当接段差44と当接リブ104の当接によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両左右方向での相対変位を規制する側方ストッパ機構が構成されている。本実施形態では、連結部28に一対の当接段差44,44が設けられており、門形部材100の開口方向と略直交する幅方向(図3中、左右)で離隔した2箇所において、連結部28と当接リブ104が当接するようになっている。加えて、側方ストッパ機構を構成する当接段差44には、図19,20に示されているように、ストッパゴム78の緩衝突片88が重ね合わされており、当接段差44と当接リブ104の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが緩衝突片88によって構成されている。
【0060】
このような構造とされたエンジンマウント12は、第一の取付部材20がパワーユニット14に取り付けられると共に、第二の取付部材22および門形部材100が車両ボデー16に取り付けられることにより、車両に装着されるようになっている。なお、エンジンマウント12では、車両への装着状態において、第一の取付部材20と第二の取付部材22の間にパワーユニット14の支持荷重が及ぼされる。これにより、本体ゴム弾性体24が軸方向に圧縮されて、第一の取付部材20と第二の取付部材22が接近変位すると共に、第一の取付部材20が門形部材100に対して軸方向下方に離隔する。その結果、軸直角方向の投影において、第一の取付部材20と第二の取付部材22が全周に亘って互いに重なり合うようになっており、それら第一の取付部材20と第二の取付部材22の軸直角方向の対向面間に本体ゴム弾性体24が介在している。
【0061】
また、エンジンマウント12は、図1に示されているように、パワーユニット14を挟んで車両左右方向の両側に取り付けられることで、パワーユニット14を車両ボデー16に対して防振支持するようになっており、もって、本実施形態における防振支持構造10が構成される。なお、1対のエンジンマウント12,12は、車両前後方向で互いにずれた位置においてパワーユニット14と車両ボデー16に装着されている共に、各エンジンマウント12の門形部材100の開口方向が何れも車両左右方向と略平行になるように対向して配置されている。
【0062】
そして、防振支持構造10では、パワーユニット14の車両左右方向一方の側への変位量を制限する側方ストッパ機構を備えたエンジンマウント12が、図1に示されているように、車両の左右方向でパワーユニット14を挟んだ両側に配設されている。これにより、パワーユニット14の車両左右方向への変位が、各エンジンマウント12によって片側ずつ制限されるようになっており、各エンジンマウント12の側方ストッパ機構の協働によって、防振支持構造10の全体では、パワーユニット14の変位量を車両左右方向の両側において制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されている。
【0063】
このように防振支持構造10では、各エンジンマウント12において部品点数の増加や構造の著しい複雑化を招くことなく、パワーユニット14の車両ボデー16に対する車両左右方向での相対変位量が規制されている。それ故、本体ゴム弾性体24の過大な変形を防いで耐久性の向上が図られると共に、軽量化やコストの低減といった効果も発揮され得る。
【0064】
しかも、防振支持構造10を構成するエンジンマウント12では、パワーユニット14の車両左右方向への変位を一方の側でのみ制限し得る側方ストッパ機構が設けられている。そして、エンジンマウント12の1対が対向配置されることにより、防振支持構造10全体としては、パワーユニット14の変位を車両左右方向の両側で制限し得る側方変位量制限機構が構成されている。それ故、パワーユニット14の変位を車両左右方向の両側で制限し得るストッパ機構を各エンジンマウントに設ける場合に比して、重量の増加等が防止されている。
【0065】
さらに、エンジンマウント12では、バウンドストッパ機構と、リバウンドストッパ機構と、前後のストッパ機構と、側方ストッパ機構とが、何れも第一の取付部材20と門形部材100によって構成されている。それ故、部品点数を増やすことなく車両の上下、前後、左右の各方向においてパワーユニット14の過大な変位が防止されて、耐久性の向上や走行性能の安定化が実現される。
【0066】
また、エンジンマウント12において、本体ゴム弾性体24は、第一の取付部材20の装着凹所58に嵌め込まれていると共に、第二の取付部材22の凹状部46に嵌め込まれている。それ故、本体ゴム弾性体24の第一,第二の取付部材20,22からの分離が防止されている。特に、各ストッパ機構によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対変位量が制限されていることから、非接着であっても、凹所への嵌込みによる保持力によって充分な耐荷重性が実現される。
【0067】
また、第一の取付部材20の外周壁部38の突出先端と、第二の取付部材22の周壁部50の突出先端が、本体ゴム弾性体24の外周面から離隔している。これにより、硬質の外周壁部38および周壁部50が本体ゴム弾性体24の外周面に接触して亀裂等の原因となるのを回避することができる。しかも、ストッパ機構によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対変位量が制限されていることによって、本体ゴム弾性体24が弾性変形した場合にも、外周壁部38および周壁部50と本体ゴム弾性体24との接触が防止されて、耐久性の低下が回避される。
【0068】
また、エンジンマウント12の側方ストッパ機構では、第一の取付部材20と門形部材100が、門形部材100の幅方向で所定の距離を隔てた両側において当接するようになっている。それ故、門形部材100との当接によって第一の取付部材20に作用するモーメントが低減されて、本体ゴム弾性体24の中心軸周りでのねじれ変形や、パワーユニット14の中心軸周りでの回転等が防止される。その結果、耐久性の向上が図られると共に、重量分布の変化等による走行性能への悪影響等が防止され得る。
【0069】
また、バウンドストッパ機構と、リバウンドストッパ機構と、前後のストッパ機構と、側方ストッパ機構の何れにおいても、ストッパゴム78によって当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが与えられている。このように、エンジンマウント12に設けられた複数のストッパ機構の緩衝ゴムが一体形成されており、第一の取付部材20に対して非接着で容易に被せ付けられるようになっていることから、少ない部品点数で当接衝撃を抑えられた複数のストッパ機構を構成することができる。特に、側方ストッパ機構の緩衝ゴムは、袋状とされたストッパゴム78の開口部から延び出す舌片状の緩衝突片88によって与えられており、側方ストッパ機構を構成する対向面の間に過不足なく緩衝ゴムを配することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、同じ構造のエンジンマウント12がパワーユニット14の車両左右方向両側に配設されることによって、防振支持構造10が構成されていたが、左右のエンジンマウントは、それぞれが側方ストッパ機構を備えていれば、互いに構造が異なっていても良い。具体的には、例えば、一方のエンジンマウントが、円錐台形状の本体ゴム弾性体を有すると共に、他方のエンジンマウントが、四角錐台形状の本体ゴム弾性体を有していても良い。
【0071】
また、側方ストッパ機構において、第一の取付部材20と門形部材100の当接箇所は、必ずしも2箇所に限定されるものではなく、3箇所以上で当接するようになっていても良いし、1箇所だけで当接するようになっていても良い。また、複数箇所で当接するようになっている場合には、それら複数の当接箇所が同時に当接しても良いが、変位量の増大に伴って段階的に当接することにより、緩衝的なストッパ作用を実現することもできる。
【0072】
また、上下左右と前後の各ストッパ機構の緩衝ゴムが1つのストッパゴム78で与えられるようになっている必要はなく、例えば、それぞれ別のストッパゴムによって構成されていても良い。更に、緩衝ゴムは、例えば、ストッパ機構を構成する第一の取付部材側と第二の取付部材側との当接部分に固着されていても良い。
【0073】
また、第一の取付部材20に設けられる嵌着凹所40は、必ずしも環状の凹所ではなくても良く、例えば、中央突部30が省略されて、下方に開口する円柱形状の凹所となっていても良い。
【0074】
また、例えば、第一の取付部材20が車両ボデー16側に取り付けられるようになっていると共に、第二の取付部材22がパワーユニット14側に取り付けられるようになっていても良い。この場合にも、1対のエンジンマウント12がパワーユニット14の左右に配されることによって側方変位量制限機構が構成される。
【0075】
また、本発明の適用範囲は、エンジンマウントに限定されるものではなく、本発明は、ボデーマウントやサブフレームマウント等の各種防振装置に適用可能である。更に、本発明の適用範囲は、自動車用の防振装置に限定されるものではなく、本発明は、自動二輪車や産業用車両,鉄道用車両等の防振装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0076】
10:防振支持構造、12:エンジンマウント(防振装置)、14:パワーユニット、16:車両ボデー(防振対象部材)、20:第一の取付部材、22:第二の取付部材、24:本体ゴム弾性体、28:連結部、40:嵌着凹所、44:当接段差(ストッパ部)、46:凹状部、78:ストッパゴム、80:上底壁部、88:緩衝突片(舌片)、100:門形部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、エンジンマウントを用いたパワーユニットの支持構造等に好適に適用され得る防振支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、自動車のパワーユニットを車両ボデーに連結する構造等として、それらパワーユニットと車両ボデーの間に防振装置を介装してなる防振支持構造が知られている。この防振支持構造に用いられる防振装置は、第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で防振連結された構造を有しており、例えば、特開平11−294534号公報(特許文献1)に示されているのが、それである。
【0003】
ところで、特許文献1では、第一の取付部材側に連結部(インナブラケット)が設けられていると共に、第二の取付部材に門形部材が取り付けられており、それら連結部と門形部材の対向部分を利用して、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位を規制するストッパ機構が構成されている。
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ストッパを構成する部材の一方が門形とされていることから、門形部材の開口方向において有効なストッパ機構が構成されていなかった。それ故、第一,第二の取付部材の相対変位が規制されず、過大な変形によって本体ゴム弾性体が損傷するなど、耐久性の低下が問題となるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−294534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、重量や部品点数の増加を防ぎつつ、門形部材の開口方向両側で振動体の防振対象部材に対する相対変位量を制限することが出来る、新規な構造の防振支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の第一の態様は、振動体と防振対象部材の各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材には該第一の取付部材を跨いで配設される門形部材が取り付けられており、該第一の取付部材と該門形部材の対向部分によってリバウンドストッパ機構が構成された防振装置を用い、該防振装置を介して該振動体を該防振対象部材に対して防振支持せしめた振動体の防振支持構造において、前記防振装置における前記第一の取付部材には、前記振動体と前記防振対象部材の何れか一方に固定される連結部が設けられており、該連結部が前記門形部材の開口方向で外方に延び出していると共に、該連結部の該門形部材への当接によって該第一の取付部材と前記第二の取付部材における該門形部材の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、該振動体の両側に一対の該防振装置が配置されて各該防振装置の各該側方ストッパ機構により協働して、該振動体の該防振対象部材に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の第一の態様に従う構造とされた防振支持構造によれば、側方ストッパ機構が、特別な部品を追加することなく、第一の取付部材と門形部材によって構成されている。しかも、側方ストッパ機構は、門形部材の開口方向の一方の側において振動体の防振対象部材に対する相対変位量を制限する構造とされているので、第一の取付部材と門形部材においてそれらが一方の側でのみ当接する簡単な構造を採用可能となる。これらによって、部品点数や重量の増加が防止されると共に、構造が著しく複雑になって製造困難になるのを防ぐことができる。
【0009】
さらに、それぞれ側方ストッパ機構を備えた防振装置が、門形部材の開口方向で振動体を挟んだ両側に配設されている。これにより、振動体の変位量が、各防振装置の側方ストッパ機構によって、門形部材の開口方向の両側において制限されており、簡単な構造の側方ストッパ機構を採用しながら、振動体の変位量を有効に制限することができる。
【0010】
本発明の第二の態様は、第一の態様に記載された防振支持構造において、前記門形部材の幅方向で離隔した複数箇所において前記第一の取付部材の前記連結部に該門形部材と当接するストッパ部が設けられて前記側方ストッパ機構が構成されているものである。
【0011】
第二の態様によれば、門形部材の幅方向(両端支柱状部分の対向方向)で離隔する複数の当接部が連結部に設けられていることにより、第一の取付部材と門形部材の当接時に本体ゴム弾性体に及ぼされるモーメントを低減することができる。それ故、本体ゴム弾性体のねじり方向への変形が防止されて、本体ゴム弾性体の耐久性の向上が図られると共に、第一の取付部材に連結される振動体がねじり方向に変位するのを防ぐことができる。
【0012】
本発明の第三の態様は、第一又は第二の態様に記載された防振支持構造において、前記連結部には袋状のストッパゴムが被せられて非接着で装着されており、該ストッパゴムが前記リバウンドストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されていると共に、該ストッパゴムに一体形成された舌片が前記側方ストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されているものである。
【0013】
第三の態様によれば、各ストッパ機構の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが、ストッパゴムによって一体的に形成されて一度に装着される。それ故、部品点数の増加を防ぐことができると共に、取付作業が容易になり得る。
【0014】
本発明の第四の態様は、第一〜第三の何れか1つの態様に記載された防振支持構造において、前記防振装置において、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が前記本体ゴム弾性体に対して非接着とされている一方、該第一の取付部材が該第二の取付部材側に向かって開口する嵌着凹所を有していると共に、該第二の取付部材が該第一の取付部材に向かって開口する凹状部を有しており、該本体ゴム弾性体の一方の端部が該嵌着凹所に嵌入されていると共に、該本体ゴム弾性体の他方の端部が該凹状部に嵌入されているものである。
【0015】
第四の態様によれば、第一,第二の取付部材と本体ゴム弾性体が非接着とされていることで、部品を共通化した別構造の防振装置を容易に得ることができる。しかも、第一,第二の取付部材にそれぞれ凹状の部分が設けられており、本体ゴム弾性体の端部がその凹状の部分に嵌め込まれていることにより、本体ゴム弾性体の抜けが防止されて耐荷重性能が確保される。また、リバウンドストッパ機構と側方ストッパ機構によって、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位量が制限されていることにより、第一,第二の取付部材と本体ゴム弾性体が外力の作用によって分離するのを防ぐことができる。
【0016】
本発明の第五の態様は、第四の態様に記載された防振支持構造において、前記嵌着凹所および前記凹状部の各周壁における開口側端部が、前記本体ゴム弾性体の外周面に対して離隔しているものである。
【0017】
第五の態様によれば、本体ゴム弾性体の外周面に亀裂等が生じるのを防いで耐久性の向上が図られ得る。しかも、第一の取付部材と第二の取付部材の相対変位が側方ストッパ機構によって制限されることによって、外力の作用時にも、装着凹所および凹状部の周壁の開口側端部が本体ゴム弾性体の外周面に接触するのを防ぐことができて、耐久性の低下が防止される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、門形部材の開口方向への振動体の変位量を各一方の側で制限し得る防振装置が、振動体を挟んで両側に配設されていることにより、振動体の変位量が門形部材の開口方向の両側で制限されるようになっている。それ故、各防振装置に設けられる側方ストッパ機構としては、部品点数の少ない簡単な構造のものを採用することができて、防振装置およびそれを用いた防振支持構造の軽量化やコストの低減等を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態としての防振支持構造を示す配置図。
【図2】図1に示されたエンジンマウントの車両装着状態を示す縦断面図。
【図3】図2のIII−III断面図。
【図4】図2に示されたエンジンマウントを単体で示す正面図。
【図5】図4に示されたエンジンマウントの側面図。
【図6】図4に示されたエンジンマウントの平面図。
【図7】図4に示されたエンジンマウントを構成する第一の取付部材の断面図。
【図8】図7に示された第一の取付部材の平面図。
【図9】図4に示されたエンジンマウントを構成する第二の取付部材の断面図。
【図10】図9に示された第二の取付部材の平面図。
【図11】図4に示されたエンジンマウントを構成する本体ゴム弾性体の断面図。
【図12】図11に示された本体ゴム弾性体の平面図。
【図13】図11に示された本体ゴム弾性体の底面図。
【図14】図4に示されたエンジンマウントを構成するストッパゴムの平面図。
【図15】図14に示されたストッパゴムの底面図。
【図16】図14に示されたストッパゴムの側面図。
【図17】図14のXVII−XVII断面図。
【図18】図4に示されたエンジンマウントを構成する門形部材の断面図。
【図19】図4に示されたエンジンマウントの側方ストッパ機構の要部を拡大して示す斜視図。
【図20】図19に示された側方ストッパ機構の要部を拡大して示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
図1には、本発明に従う振動体の防振支持構造10の概略が平面視で示されている。防振支持構造10は、図2〜図6に示されたエンジンマウント12の1対によって、振動体としてのパワーユニット14を、防振対象部材としての車両ボデー16に防振支持させた構造とされている。
【0022】
より詳細には、エンジンマウント12は、マウント本体18を備えており、このマウント本体18が、第一の取付部材20と第二の取付部材22を本体ゴム弾性体24によって連結した構造を有している。なお、図2,図3には、エンジンマウント12の車両への装着状態が示されていると共に、図4〜図6には、エンジンマウント12の車両への非装着状態が示されている。また、以下の説明において、上下方向とは、原則として、マウント中心軸方向となる、図2中の上下方向を言うものとする。
【0023】
第一の取付部材20は、図7,図8に示されているように、本体ゴム弾性体24への取付け部分となる本体部26と、パワーユニット14への取付け部分となる連結部28とを、一体的に備えた構造を有している。なお、第一の取付部材20は、その全体が、鉄やアルミニウム合金等の金属材料で形成された高剛性の部材とされている。
【0024】
本体部26は、全体として下方に開口する凹形状を有しており、中央突部30を備えている。この中央突部30は、下方に向かって次第に小径となる逆向きの略円錐状とされていると共に、その下端面が丸められて角をもたない湾曲面で構成されている。更に、中央突部30の中央部分には、軸方向に貫通する上連通孔32が形成されている。上連通孔32は、中央突部30を上下に貫通する円形孔であって、上部が上方に向かって拡径するテーパ状となっていると共に、下部が略一定の直径で上下に延びている。
【0025】
また、中央突部30の上端には、板状部34が一体形成されている。板状部34は、軸直角方向に広がる略平板形状を有しており、その中央部分から下方に向かって中央突部30が突出している。また、板状部34には、案内溝36が形成されている。案内溝36は、板状部34の上面に開口する凹溝であって、略一定の断面形状で幅方向(図8中、上下方向)に直線的に延びている。なお、案内溝36は、上連通孔32の上側開口部を横切るように延びており、長さ方向の両端が板状部34の外周面に開口していると共に、長さ方向の中央が上連通孔32に繋がっている。
【0026】
また、板状部34の外周縁部には、外周壁部38が一体形成されている。外周壁部38は、板状部34の外周に沿って全周に亘って連続的に形成されており、中央突部30に対して外周側に離隔した位置で中央突部30と同じ側に向かって突出している。これにより、中央突部30の外周面と、外周壁部38の内周面との間には、下方に向かって開口する環状の嵌着凹所40が形成されている。
【0027】
また、外周壁部38の板状部34からの突出高さは、中央突部30の板状部34からの突出高さよりも小さくなっており、中央突部30の基端が外周壁部38によって取り囲まれていると共に、中央突部30の突出先端が外周壁部38を外れて下方に突出している。
【0028】
また、外周壁部38の周上の一部には、連結部28が一体的に設けられて、側方(図2中、右方)に向かって延び出している。連結部28は、全体として異形の板形状を有しており、その外周壁部38からの突出先端部分には、3つのボルト孔42,42,42が板厚方向に貫通して形成されている。
【0029】
また、連結部28の延出方向中間部分には、ストッパ部としての1対の当接段差44,44が形成されている。当接段差44は、連結部28の上面に設けられており、当接段差44を挟んだ連結部28の延出方向先端側が基端側よりも上方に突出している。更に、連結部28の幅方向(図8中の上下方向)に所定の距離を隔てて、1対の当接段差44,44が設けられている。
【0030】
一方、第二の取付部材22は、図9,図10に示されているように、中央部分に凹状部46を備えている。凹状部46は、上方に向かって開口する略円形皿形状を有しており、略円板形状の底壁部48と、底壁部48の外周縁部から上方に向かって次第に拡径しながら延び出す周壁部50とを、備えている。また、凹状部46の開口周縁部には、径方向一方向で外側に延び出す1対の取付部52,52が一体形成されており、板状とされた各取付部52に円形乃至は長円形のボルト孔54が形成されている。なお、第二の取付部材22は、例えば、所定の形状に打ち抜かれた金属板をプレス加工することで得ることができる。
【0031】
さらに、第二の取付部材22の凹状部46には、下連通孔56が形成されている。下連通孔56は、第二の取付部材22の径方向中央に設けられた円形孔であって、凹状部46の底壁部48を上下方向に貫通している。また、下連通孔56は、上連通孔32の下部(直径が一定とされた部分)に比して大径とされている。
【0032】
このような構造とされた第一の取付部材20と第二の取付部材22は、嵌着凹所40と凹状部46が、主たる振動入力方向である軸方向(図2中、上下)で対向するように配置されている。そして、第一の取付部材20の中央突部30および板状部34と、第二の取付部材22の底壁部48との対向面間に、本体ゴム弾性体24が介装されている。
【0033】
本体ゴム弾性体24は、図11〜図13に示されているように、全体として厚肉大径の略円錐台形状を有しており、上部が上方に向かって次第に小径となっていると共に、下部が下方に向かって次第に小径となっている。そして、本体ゴム弾性体24の小径側端部(上端部)が、第一の取付部材20の嵌着凹所40に非接着で嵌め込まれると共に、大径側端部(下端部)が、第二の取付部材22凹状部46に非接着で嵌め込まれている。これにより、第一の取付部材20と第二の取付部材22が、本体ゴム弾性体24に対して軸方向の両側から非接着で取り付けられて、本体ゴム弾性体24によって弾性的に連結されており、もって、マウント本体18が形成される。なお、本体ゴム弾性体24の小径側端面には、第一の取付部材20の中央突部30に対応する形状の装着凹所58が開口しており、中央突部30が装着凹所58に差し入れられている。また、車両への非装着状態では、第一の取付部材20と第二の取付部材22が軸直角方向の投影において軸方向上下に離隔している。
【0034】
また、本体ゴム弾性体24の大径側端面には、中央凹所60が開口している。この中央凹所60は、逆向きの略すり鉢形状を有する凹所であって、下方に向かって開口している。更に、中央凹所60は、本体ゴム弾性体24の中心軸上に形成されており、その開口部が本体ゴム弾性体24の下端外周縁までは至らない直径で形成されている
【0035】
さらに、本体ゴム弾性体24の径方向中央には、中間連通孔62が形成されている。中間連通孔62は、略一定の直径で軸方向に延びる円形孔であって、中央凹所60の上底壁部を上下方向に貫通するように形成されている。また、中間連通孔62は、上連通孔32の下部よりも大径とされていると共に、下連通孔56よりは小径とされている。そして、それら上連通孔32と中間連通孔62と下連通孔56は、同一中心軸上で直列的に設けられており、マウント本体18を軸方向上下に貫通する連通孔64が、上連通孔32と中間連通孔62と下連通孔56とによって構成されている。この連通孔64によって、第一,第二の取付部材20,22とゴム24,78との間に入り込んだ水が速やかに外部に排出されるようになっている。
【0036】
また、本体ゴム弾性体24の上端部には、上部突起66が設けられている。上部突起66は、本体ゴム弾性体24の上端面から上方に向かって突出して径方向に延びており、複数の上部突起66が周方向に所定距離を隔てて設けられている。更に、上部突起66は、本体ゴム弾性体24の上端部の外周面にまで延び出して径方向外側に向かって突出している。また、周上に複数の上部突起66が設けられることによって、周方向で隣り合う上部突起66の間には、径方向および軸方向に延びる上部凹溝68が形成されている。
【0037】
そして、図2に示されているように、本体ゴム弾性体24における上部突起66の形成部分が第一の取付部材20の嵌着凹所40に非接着で嵌め込まれており、第一の取付部材20の板状部34および外周壁部38と本体ゴム弾性体24との間に、トンネル状の通路が上部凹溝68によって形成されている。また、上部突起66において本体ゴム弾性体24の外周面上を上下に延びる部分の長さが、第一の取付部材20における外周壁部38の突出高さよりも短くなっている。これにより、上部突起66よりも下方における本体ゴム弾性体24の外周面は、第一の取付部材20の外周壁部38に対して内周側に離隔しており、本体ゴム弾性体24の外周側への変形が許容されることで、第一の取付部材20からの抜けが防止されている。更に、本体ゴム弾性体24の外周面が、外周壁部38の下端内周縁部に対して内周側に離隔していることにより、当接による本体ゴム弾性体24の耐久性低下が防止されている。
【0038】
さらに、本体ゴム弾性体24の下端部の外周面には、外周突起70が設けられている。外周突起70は、図11に示されているように、本体ゴム弾性体24の大径側端部において径方向外側に向かって突出するように形成されており、上下に所定の長さで延びている。また、複数の外周突起70が周方向に所定距離を隔てて設けられていることにより、周方向で隣り合う外周突起70の間には、上下に延びる外周凹溝72が形成されている。
【0039】
更にまた、本体ゴム弾性体24の下端面には、下部突起74が設けられている。下部突起74は、本体ゴム弾性体24における中央凹所60を外周側に外れた部位から下方に向かって突出しており、図13に示されているように、周方向に所定の長さで延びている。また、複数の下部突起74が周方向に所定の距離を隔てて設けられていることにより、周方向で隣り合う下部突起74の間には、径方向に延びる下部凹溝76が形成されている。
【0040】
そして、本体ゴム弾性体24における外周突起70および下部突起74の形成部分が、第二の取付部材22の凹状部46に非接着で嵌め込まれている。これにより、第二の取付部材22と本体ゴム弾性体24の重ね合わせ面間には、中央凹所60と外部空間を連通する連通溝が、外周凹溝72および下部凹溝76を利用して形成されている。また、中央凹所60が形成されていることによって、本体ゴム弾性体24の第二の取付部材22に嵌め込まれた部分が内周側への変形を許容されており、本体ゴム弾性体24の第二の取付部材22からの抜けが防止されている。加えて、第二の取付部材22に嵌め込まれた本体ゴム弾性体24の端部が、中央凹所60が設けられることで内周側への変形を許容されていることにより、本体ゴム弾性体24の実質的な自由長が大きく確保されており、防振性能や耐久性の向上が図られ得る。なお、凹状部46の周壁部50の上端部は、本体ゴム弾性体24の外周面において外周突起70の形成部位よりも上方に位置する部分に対して所定距離を隔てており、周壁部50の上端部分との当接による耐久性の低下が防止されている。
【0041】
このように、本体ゴム弾性体24は、その上端部が下方に向かって開口する凹形状を有する第一の取付部材20に嵌め込まれていると共に、下端部が上方に向かって開口する凹形状を有する第二の取付部材22に嵌め込まれている。それ故、第一,第二の取付部材20,22と本体ゴム弾性体24が非接着で組み付けられた非接着構造を採用しながら、軸方向と軸直角方向の何れにおいても優れた耐荷重性能が実現される。
【0042】
なお、図11に示されているように、本体ゴム弾性体24は、単体状態において、中央凹所60の深さ寸法:a1 が、第二の取付部材22への嵌着部分の軸方向寸法:a2 よりも小さくなっている(a1 <a2 )。更に、中央凹所60の開口部の直径:a3 が、装着凹所58の開口部の直径:a4 と同じかそれよりも大きくなっている(a3 ≧a4 )。これらによって、応力の集中が軽減されると共に、本体ゴム弾性体24の第一, 第二の取付部材20,22からの抜けが防止される。
【0043】
さらに、図3に示されているように、車両への装着状態において、本体ゴム弾性体24では、軸直角方向の投影において第一の取付部材20と重なり合う部分の軸方向寸法:a5 が、軸直角方向の投影において第二の取付部材22と重なり合う部分の軸方向寸法:a6 よりも大きくなっている(a5 >a6 )。更に、第二の取付部材22に重ね合わされる部分の径方向での幅寸法:a7 が、第一の取付部材20の板状部34に重ね合わされる部分の径方向での幅寸法:a8 よりも大きくなっている(a7 >a8 )。
【0044】
また、第一の取付部材20には、ストッパゴム78が装着されている。ストッパゴム78は、図14〜図17に示されているように、底壁と側壁の1つとを欠いた箱状乃至は袋状とされており、上底壁部80と3つの側壁部82a,82b,82cを有している。また、幅方向で対向する1対の側壁部82b,82cは、開放側(図16中、左側)の端面が、開放側に向かって次第に下傾しており、それら1対の側壁部82b,82cがそれぞれ略台形板形状となっている。なお、本実施形態では、対向する1対の側壁部82b,82cの厚さが異なっている。
【0045】
また、ストッパゴム78の底部には、当接部84が設けられている。この当接部84は、対向する1対の側壁部82b,82cの傾斜側端部(図16中、左端部)の下方に一体形成されており、それら1対の側壁部82b,82cを跨いで設けられている。
【0046】
また、ストッパゴム78の1対の側壁部82b,82cには、それぞれ緩衝突起86が一体形成されており、それら1対の側壁部82b,82cの対向方向で外側に向かって突出している。緩衝突起86は、上下方向に所定の長さで延びており、突出先端側に向かって次第に狭幅となる凸条となっている。なお、本実施形態では、側壁部82b,82cに対して、それぞれ2つの緩衝突起86,86が所定距離を隔てて並列的に設けられている。
【0047】
また、ストッパゴム78の開放側には、舌片としての緩衝突片88が上底壁部80と一体形成されて延び出している。緩衝突片88は、基端部分が突出先端側に向かって板厚方向で湾曲して次第に上傾していると共に、突出先端部分が上方に向かって延び出しており、全体としては、第一の取付部材20の連結部28に設けられた当接段差44に略対応する板形状とされている。更に、緩衝突片88は、当接段差44と対応して1対が設けられており、それら1対の緩衝突片88,88が幅方向で互いに離隔している。
【0048】
また、ストッパゴム78の上底壁部80には、複数の第一の緩衝凸条90が一体形成されて、並列的に設けられている。第一の緩衝凸条90は、上方に向かって突出しており、突出方向先端部分が基端部分よりも狭幅となっていると共に、表面が略全体に亘って湾曲面で構成された略一定の断面形状をもって、所定の長さで延びている。
【0049】
また、複数の第一の緩衝凸条90よりも幅方向外側には、それぞれ第二の緩衝凸条92が形成されている。第二の緩衝凸条92は、略半円形断面で第一の緩衝凸条90と並列に設けられており、第一の緩衝凸条90よりも小さな突出高さで上底壁部80から上方に向かって突出している。
【0050】
さらに、第二の緩衝凸条92よりも幅方向外側には、それぞれ視認突起94が形成されている。視認突起94は、略円形断面で上底壁部80から上方に向かって突出しており、本実施形態では第一の緩衝凸条90よりも大きく突出している。なお、視認突起94の突出先端部分が略半球形状とされて、突出先端側に向かって次第に小径となっている。
【0051】
また、ストッパゴム78の上底壁部80には、係止突起96が形成されている。係止突起96は、上底壁部80から下方に向かって突出しており、幅方向の全長に亘って直線的に延びている。また、図2に示されているように、ストッパゴム78の開放側(図2中、右側)に位置する係止突起96の側面は、突出方向に対して傾斜して広がっており、係止突起96が突出先端側に向かって次第に狭幅となっている。
【0052】
そして、ストッパゴム78は、第一の取付部材20に被せられている。即ち、上底壁部80および側壁部82a,82b,82cが第一の取付部材20の本体部26に重ね合わされていると共に、当接部84が第一の取付部材20の連結部28の下面に重ね合わされている。これにより、ストッパゴム78は、第一の取付部材20に対して非接着で装着されている。
【0053】
さらに、第一の取付部材20に設けられた案内溝36の開口部がストッパゴム78によって覆蓋されていると共に、ストッパゴム78に設けられた係止突起96が案内溝36に嵌め込まれている。そして、係止突起96と案内溝36の側面が当接係止されて、ストッパゴム78と第一の取付部材20を連結部28の突出方向(図2中の左右方向)で位置決めする位置決め機構が構成されることにより、ストッパゴム78の第一の取付部材20からの抜けが防止されている。また、ストッパゴム78の開放側(図2中の右側)において、係止突起96の側面と案内溝36の側面との間に隙間98が形成されていると共に、ストッパゴム78の側壁部82a側(図2中の左側)において、係止突起96の側面と案内溝36の側面とが相互に重ね合わされて当接している。
【0054】
このようにストッパゴム78が第一の取付部材20に装着された状態では、ストッパゴム78の当接部84が、第一の取付部材20の連結部28と第二の取付部材22との対向面間に配置されている。これにより、第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対的な接近変位を規制するバウンドストッパ機構が、連結部28と第二の取付部材22の対向部分で構成されていると共に、それら第一,第二の取付部材20,22の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが、ストッパゴム78の当接部84によって構成されている。
【0055】
また、第二の取付部材22には、門形部材100が取り付けられている。門形部材100は、図18に示されているように、長手板状の金属材を曲げ加工して形成されており、その長さ方向両端にはボルト孔102が設けられている。また、門形部材100の幅方向両端部が外側に向かって曲げられることにより、当接リブ104が形成されており、門形部材100の板厚方向での曲げ強度が確保されている。
【0056】
そして、門形部材100は、図3に示されているように、第一の取付部材20の本体部26およびストッパゴム78の上底壁部80の上方を跨ぐように配設されて、長さ方向両端が第二の取付部材22の取付部52にボルト固定されている。また、第一の取付部材20の連結部28は、門形部材100の開口方向(図2中、左右方向)で外方に延び出している。なお、門形部材100におけるストッパゴム78を跨ぐ部分には、長さ方向で離隔する1対の視認孔106,106が貫通形成されており、視認孔106とストッパゴム78の視認突起94とを位置合わせすることで、ストッパゴム78と門形部材100の相対位置を正しく設定することができる。
【0057】
これにより、第一の取付部材20の本体部26と門形部材100との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の離隔方向(リバウンド方向)への変位を規制するリバウンドストッパ機構が構成されている。また、リバウンドストッパ機構を構成する第一の取付部材20と門形部材100の間には、ストッパゴム78の上底壁部80が介在しており、ストッパゴム78の上底壁部80によって第一の取付部材20と門形部材100の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが構成されている。
【0058】
また、第一の取付部材20の本体部26と門形部材100の両端支柱部分との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両前後方向(図3中、左右方向)での相対変位量を規制する前方ストッパ機構と後方ストッパ機構が構成されている。また、前後のストッパ機構を構成する第一の取付部材20と門形部材100の間には、ストッパゴム78の側壁部82b,82cが介在しており、ストッパゴム78の側壁部82b,82cによって第一の取付部材20と門形部材100の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが構成されている。なお、側壁部82b,82cに設けられた緩衝突起86によって、当接衝撃がより効果的に緩和されるようになっている。
【0059】
また、図19,図20に示されているように、第一の取付部材20の連結部28と門形部材100との対向面を利用して、第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両左右方向(図2中、左右方向)の一方の側への相対変位を規制する側方ストッパ機構が構成されている。即ち、連結部28に設けられた当接段差44が門形部材100の当接リブ104の側面に対して門形部材100の開口方向(図2中、左右方向)で対向しており、それら当接段差44と当接リブ104の当接によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の車両左右方向での相対変位を規制する側方ストッパ機構が構成されている。本実施形態では、連結部28に一対の当接段差44,44が設けられており、門形部材100の開口方向と略直交する幅方向(図3中、左右)で離隔した2箇所において、連結部28と当接リブ104が当接するようになっている。加えて、側方ストッパ機構を構成する当接段差44には、図19,20に示されているように、ストッパゴム78の緩衝突片88が重ね合わされており、当接段差44と当接リブ104の当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが緩衝突片88によって構成されている。
【0060】
このような構造とされたエンジンマウント12は、第一の取付部材20がパワーユニット14に取り付けられると共に、第二の取付部材22および門形部材100が車両ボデー16に取り付けられることにより、車両に装着されるようになっている。なお、エンジンマウント12では、車両への装着状態において、第一の取付部材20と第二の取付部材22の間にパワーユニット14の支持荷重が及ぼされる。これにより、本体ゴム弾性体24が軸方向に圧縮されて、第一の取付部材20と第二の取付部材22が接近変位すると共に、第一の取付部材20が門形部材100に対して軸方向下方に離隔する。その結果、軸直角方向の投影において、第一の取付部材20と第二の取付部材22が全周に亘って互いに重なり合うようになっており、それら第一の取付部材20と第二の取付部材22の軸直角方向の対向面間に本体ゴム弾性体24が介在している。
【0061】
また、エンジンマウント12は、図1に示されているように、パワーユニット14を挟んで車両左右方向の両側に取り付けられることで、パワーユニット14を車両ボデー16に対して防振支持するようになっており、もって、本実施形態における防振支持構造10が構成される。なお、1対のエンジンマウント12,12は、車両前後方向で互いにずれた位置においてパワーユニット14と車両ボデー16に装着されている共に、各エンジンマウント12の門形部材100の開口方向が何れも車両左右方向と略平行になるように対向して配置されている。
【0062】
そして、防振支持構造10では、パワーユニット14の車両左右方向一方の側への変位量を制限する側方ストッパ機構を備えたエンジンマウント12が、図1に示されているように、車両の左右方向でパワーユニット14を挟んだ両側に配設されている。これにより、パワーユニット14の車両左右方向への変位が、各エンジンマウント12によって片側ずつ制限されるようになっており、各エンジンマウント12の側方ストッパ機構の協働によって、防振支持構造10の全体では、パワーユニット14の変位量を車両左右方向の両側において制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されている。
【0063】
このように防振支持構造10では、各エンジンマウント12において部品点数の増加や構造の著しい複雑化を招くことなく、パワーユニット14の車両ボデー16に対する車両左右方向での相対変位量が規制されている。それ故、本体ゴム弾性体24の過大な変形を防いで耐久性の向上が図られると共に、軽量化やコストの低減といった効果も発揮され得る。
【0064】
しかも、防振支持構造10を構成するエンジンマウント12では、パワーユニット14の車両左右方向への変位を一方の側でのみ制限し得る側方ストッパ機構が設けられている。そして、エンジンマウント12の1対が対向配置されることにより、防振支持構造10全体としては、パワーユニット14の変位を車両左右方向の両側で制限し得る側方変位量制限機構が構成されている。それ故、パワーユニット14の変位を車両左右方向の両側で制限し得るストッパ機構を各エンジンマウントに設ける場合に比して、重量の増加等が防止されている。
【0065】
さらに、エンジンマウント12では、バウンドストッパ機構と、リバウンドストッパ機構と、前後のストッパ機構と、側方ストッパ機構とが、何れも第一の取付部材20と門形部材100によって構成されている。それ故、部品点数を増やすことなく車両の上下、前後、左右の各方向においてパワーユニット14の過大な変位が防止されて、耐久性の向上や走行性能の安定化が実現される。
【0066】
また、エンジンマウント12において、本体ゴム弾性体24は、第一の取付部材20の装着凹所58に嵌め込まれていると共に、第二の取付部材22の凹状部46に嵌め込まれている。それ故、本体ゴム弾性体24の第一,第二の取付部材20,22からの分離が防止されている。特に、各ストッパ機構によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対変位量が制限されていることから、非接着であっても、凹所への嵌込みによる保持力によって充分な耐荷重性が実現される。
【0067】
また、第一の取付部材20の外周壁部38の突出先端と、第二の取付部材22の周壁部50の突出先端が、本体ゴム弾性体24の外周面から離隔している。これにより、硬質の外周壁部38および周壁部50が本体ゴム弾性体24の外周面に接触して亀裂等の原因となるのを回避することができる。しかも、ストッパ機構によって第一の取付部材20と第二の取付部材22の相対変位量が制限されていることによって、本体ゴム弾性体24が弾性変形した場合にも、外周壁部38および周壁部50と本体ゴム弾性体24との接触が防止されて、耐久性の低下が回避される。
【0068】
また、エンジンマウント12の側方ストッパ機構では、第一の取付部材20と門形部材100が、門形部材100の幅方向で所定の距離を隔てた両側において当接するようになっている。それ故、門形部材100との当接によって第一の取付部材20に作用するモーメントが低減されて、本体ゴム弾性体24の中心軸周りでのねじれ変形や、パワーユニット14の中心軸周りでの回転等が防止される。その結果、耐久性の向上が図られると共に、重量分布の変化等による走行性能への悪影響等が防止され得る。
【0069】
また、バウンドストッパ機構と、リバウンドストッパ機構と、前後のストッパ機構と、側方ストッパ機構の何れにおいても、ストッパゴム78によって当接衝撃を緩和する緩衝ゴムが与えられている。このように、エンジンマウント12に設けられた複数のストッパ機構の緩衝ゴムが一体形成されており、第一の取付部材20に対して非接着で容易に被せ付けられるようになっていることから、少ない部品点数で当接衝撃を抑えられた複数のストッパ機構を構成することができる。特に、側方ストッパ機構の緩衝ゴムは、袋状とされたストッパゴム78の開口部から延び出す舌片状の緩衝突片88によって与えられており、側方ストッパ機構を構成する対向面の間に過不足なく緩衝ゴムを配することができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記実施形態では、同じ構造のエンジンマウント12がパワーユニット14の車両左右方向両側に配設されることによって、防振支持構造10が構成されていたが、左右のエンジンマウントは、それぞれが側方ストッパ機構を備えていれば、互いに構造が異なっていても良い。具体的には、例えば、一方のエンジンマウントが、円錐台形状の本体ゴム弾性体を有すると共に、他方のエンジンマウントが、四角錐台形状の本体ゴム弾性体を有していても良い。
【0071】
また、側方ストッパ機構において、第一の取付部材20と門形部材100の当接箇所は、必ずしも2箇所に限定されるものではなく、3箇所以上で当接するようになっていても良いし、1箇所だけで当接するようになっていても良い。また、複数箇所で当接するようになっている場合には、それら複数の当接箇所が同時に当接しても良いが、変位量の増大に伴って段階的に当接することにより、緩衝的なストッパ作用を実現することもできる。
【0072】
また、上下左右と前後の各ストッパ機構の緩衝ゴムが1つのストッパゴム78で与えられるようになっている必要はなく、例えば、それぞれ別のストッパゴムによって構成されていても良い。更に、緩衝ゴムは、例えば、ストッパ機構を構成する第一の取付部材側と第二の取付部材側との当接部分に固着されていても良い。
【0073】
また、第一の取付部材20に設けられる嵌着凹所40は、必ずしも環状の凹所ではなくても良く、例えば、中央突部30が省略されて、下方に開口する円柱形状の凹所となっていても良い。
【0074】
また、例えば、第一の取付部材20が車両ボデー16側に取り付けられるようになっていると共に、第二の取付部材22がパワーユニット14側に取り付けられるようになっていても良い。この場合にも、1対のエンジンマウント12がパワーユニット14の左右に配されることによって側方変位量制限機構が構成される。
【0075】
また、本発明の適用範囲は、エンジンマウントに限定されるものではなく、本発明は、ボデーマウントやサブフレームマウント等の各種防振装置に適用可能である。更に、本発明の適用範囲は、自動車用の防振装置に限定されるものではなく、本発明は、自動二輪車や産業用車両,鉄道用車両等の防振装置にも適用され得る。
【符号の説明】
【0076】
10:防振支持構造、12:エンジンマウント(防振装置)、14:パワーユニット、16:車両ボデー(防振対象部材)、20:第一の取付部材、22:第二の取付部材、24:本体ゴム弾性体、28:連結部、40:嵌着凹所、44:当接段差(ストッパ部)、46:凹状部、78:ストッパゴム、80:上底壁部、88:緩衝突片(舌片)、100:門形部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動体と防振対象部材の各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材には該第一の取付部材を跨いで配設される門形部材が取り付けられており、該第一の取付部材と該門形部材の対向部分によってリバウンドストッパ機構が構成された防振装置を用い、該防振装置を介して該振動体を該防振対象部材に対して防振支持せしめた振動体の防振支持構造において、
前記防振装置における前記第一の取付部材には、前記振動体と前記防振対象部材の何れか一方に固定される連結部が設けられており、該連結部が前記門形部材の開口方向で外方に延び出していると共に、該連結部の該門形部材への当接によって該第一の取付部材と前記第二の取付部材における該門形部材の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、該振動体の両側に一対の該防振装置が配置されて各該防振装置の各該側方ストッパ機構により協働して、該振動体の該防振対象部材に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されていることを特徴とする防振支持構造。
【請求項2】
前記門形部材の幅方向で離隔した複数箇所において前記第一の取付部材の前記連結部に該門形部材と当接するストッパ部が設けられて前記側方ストッパ機構が構成されている請求項1に記載の防振支持構造。
【請求項3】
前記連結部には袋状のストッパゴムが被せられて非接着で装着されており、該ストッパゴムが前記リバウンドストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されていると共に、該ストッパゴムに一体形成された舌片が前記側方ストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されている請求項1又は2に記載の防振支持構造。
【請求項4】
前記防振装置において、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が前記本体ゴム弾性体に対して非接着とされている一方、該第一の取付部材が該第二の取付部材側に向かって開口する嵌着凹所を有していると共に、該第二の取付部材が該第一の取付部材に向かって開口する凹状部を有しており、該本体ゴム弾性体の一方の端部が該嵌着凹所に嵌入されていると共に、該本体ゴム弾性体の他方の端部が該凹状部に嵌入されている請求項1〜3の何れか1項に記載の防振支持構造。
【請求項5】
前記嵌着凹所および前記凹状部の各周壁における開口側端部が、前記本体ゴム弾性体の外周面に対して離隔している請求項4に記載の防振支持構造。
【請求項1】
振動体と防振対象部材の各一方に取り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材が本体ゴム弾性体で連結されていると共に、該第二の取付部材には該第一の取付部材を跨いで配設される門形部材が取り付けられており、該第一の取付部材と該門形部材の対向部分によってリバウンドストッパ機構が構成された防振装置を用い、該防振装置を介して該振動体を該防振対象部材に対して防振支持せしめた振動体の防振支持構造において、
前記防振装置における前記第一の取付部材には、前記振動体と前記防振対象部材の何れか一方に固定される連結部が設けられており、該連結部が前記門形部材の開口方向で外方に延び出していると共に、該連結部の該門形部材への当接によって該第一の取付部材と前記第二の取付部材における該門形部材の開口方向の一方の側への相対変位量を制限する側方ストッパ機構が構成されている一方、該振動体の両側に一対の該防振装置が配置されて各該防振装置の各該側方ストッパ機構により協働して、該振動体の該防振対象部材に対する相対変位量を両側方で制限する振動体の側方変位量制限機構が構成されていることを特徴とする防振支持構造。
【請求項2】
前記門形部材の幅方向で離隔した複数箇所において前記第一の取付部材の前記連結部に該門形部材と当接するストッパ部が設けられて前記側方ストッパ機構が構成されている請求項1に記載の防振支持構造。
【請求項3】
前記連結部には袋状のストッパゴムが被せられて非接着で装着されており、該ストッパゴムが前記リバウンドストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されていると共に、該ストッパゴムに一体形成された舌片が前記側方ストッパ機構を構成する門形部材への当接部分に配設されている請求項1又は2に記載の防振支持構造。
【請求項4】
前記防振装置において、前記第一の取付部材と前記第二の取付部材が前記本体ゴム弾性体に対して非接着とされている一方、該第一の取付部材が該第二の取付部材側に向かって開口する嵌着凹所を有していると共に、該第二の取付部材が該第一の取付部材に向かって開口する凹状部を有しており、該本体ゴム弾性体の一方の端部が該嵌着凹所に嵌入されていると共に、該本体ゴム弾性体の他方の端部が該凹状部に嵌入されている請求項1〜3の何れか1項に記載の防振支持構造。
【請求項5】
前記嵌着凹所および前記凹状部の各周壁における開口側端部が、前記本体ゴム弾性体の外周面に対して離隔している請求項4に記載の防振支持構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−247333(P2011−247333A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120295(P2010−120295)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】
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