説明

障害メッセージに対する再警告発動システム及び再警告発動プログラム

【課題】監視対象コンピュータから障害メッセージが送信された場合に、ステータスの
進行に応じ適時オペレータに再警告を発する技術の提供。
【解決手段】監視対象サーバ36からの障害メッセージをメッセージ情報格納部24に格納するメッセージ処理部22と、障害メッセージの一覧画面を生成して運用管理端末16に送信する表示画面生成部26と、運用管理端末16からステータス変更リクエストが送信された場合に、該当の障害メッセージに設定されたステータス及びステータス変更日時を更新するステータス更新部28と、ステータス変更時点から再警告までの警告間隔を設定する警告設定情報格納部30と、新たな障害メッセージが格納された際に警告信号を生成して運用管理端末16に送信すると共に、各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するための通知間隔の到来を監視し、通知間隔が到来する度に各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と警告間隔とを比較して再警告の要否を判定し、要再警告の場合には再警告信号を運用管理端末に送信する警告発動部30を備えた再警告発動システム10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、障害メッセージに対する再警告システム及び再警告プログラムに係り、特に、監視対象であるコンピュータシステム内に設けた運行状況監視ツールから送信される障害メッセージに関し、適切な対応が施されることなく放置されることを防止するためのシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータのソフトウェア及びハードウェアの性能向上に伴い、ソフトウェアやハードウェアに対する運用要件も複雑化してきている。
このため、各ソフトウェア及びハードウェア毎に個別の運行状況監視ツールが導入され、これら複数のツールを統合的に監視する統合監視システムを構築するケースが増えている。
最新の統合監視システムでは、複数の運行状況監視ツールからジョブの運行状況を表す情報メッセージやシステムのトラブルを表す障害メッセージなどを収集するとともに、収集した各メッセージから必要とされる情報を抽出・加工する機能を搭載したソフトウェアが登場している。
【0003】
このような統合監視システムに係る先行技術として、例えば以下の特許文献が存在している。
【特許文献1】特開平9−134297号公報 この特許文献1には、各企業の監視対象システムから電子メールを介して運行状況データを収集する方式を採用することによってセキュリティ上の問題をクリアし、企業横断的な統合監視業務を実現する遠隔管理システムが開示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような統合監視システムでは、図3に示すように、抽出・加工した情報を専用の運用管理端末に一覧表示することで、運用オペレータに現在の運行状況を通知している。
また統合監視システムは、障害メッセージを受信した際にビープ音やパトランプの鳴動、あるいはポップアップウィンドウを用いた警告表示により、オペレータの注意を喚起する機能を備えている。
【0005】
さらに統合監視システムは、収集した各障害メッセージに対して、現在どのような段階にあるのかを示すステータスを付加する機能を有している。
図10はステータスの一例を示すものであり、障害メッセージを受信した際には、まず統合監視システムによって「オープン」のステータスが当該障害メッセージに設定される。
つぎに、オペレータが統合監視システムによる上記の警告発動に対し認知を示す入力操作を行った場合には、「受付済み」のステータスが設定される。
つぎに、オペレータが関係者に連絡を行い、トラブル復旧作業担当者の割当が完了したことを示す入力操作を行うと、統合監視システムによって「割当済み」のステータスが設定される。
最後に、オペレータによってトラブルが復旧したことを示すデータが入力されると、統合監視システムは「対処完了」のステータスを当該障害メッセージに設定する。
【0006】
上記のように、統合監視システムは障害メッセージの受信時に所定の警告手段を用いてオペレータの注意を喚起すると共に、対応の進展に応じて障害メッセージのステータスが更新されるため、最初の警告が発動された後は、このステータスを監視することでオペレータは障害対応の進捗状況を把握することが可能となる。
【0007】
しかしながら、監視対象数の増加に伴い膨大なメッセージが統合監視システムに集約されるようになると、障害メッセージが集中的に発生した場合などには一覧画面を目で追うだけでは見落としが生じやすくなる。
実際、最初に警告が発動された直後は緊張感を持って対応に当たっていても、担当者を割り当てた時点でオペレータが安心してしまい、その後のウォッチを怠ったために対応が手遅れになるケースも稀ではない。
【0008】
この発明は、上記した従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、監視対象システムから統合監視システムに障害メッセージが送信された場合に、そのステータスの進行に応じ適当なタイミングでオペレータに再警告を発することにより、対応漏れを有効に防止できる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載した障害メッセージに対する再警告発動システムは、複数の監視対象コンピュータにセットアップされた運行状況監視プログラムから随時送信される障害メッセージを、メッセージ情報記憶手段に格納する手段と、このメッセージ情報記憶手段に格納された障害メッセージの閲覧画面を生成し、運用管理端末に送信する手段と、新たな障害メッセージがメッセージ情報記憶手段に格納された際に、所定の警告信号を生成して上記運用管理端末に送信する手段と、上記運用管理端末から特定の障害メッセージについてステータス変更リクエストが送信された場合に、該当の障害メッセージに設定されたステータス及びステータス変更日時を更新する手段と、各障害メッセージのステータス変更時点から再警告を発動させるまでの時間間隔である警告間隔を設定しておく警告設定情報記憶手段と、各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するための、上記警告間隔よりも短い時間間隔である通知間隔の到来を監視する計時手段(タイマ手段)と、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージに記録されたステータス変更日時から現在までの経過時間と上記警告間隔とを比較し、障害メッセージ毎に再警告の要否を判定する再警告判定手段と、再警告が必要な場合には障害メッセージ毎に所定の再警告信号を生成し、運用管理端末に送信する手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載した障害メッセージに対する再警告発動システムは、請求項1のシステムであって、さらに、特定の障害メッセージに関して再警告信号を生成し、運用管理端末に送信した場合に、その送信日時によって当該障害メッセージのステータス変更日時を更新する手段を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載した障害メッセージに対する再警告発動システムは、請求項1または2のシステムであって、さらに、上記警告設定情報記憶手段に障害メッセージのステータスに対応した複数の警告間隔が設定されており、上記再警告判定手段は、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、当該障害メッセージのステータスに対応した警告間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載した障害メッセージに対する再警告発動システムは、請求項1〜3のシステムであって、さらに、障害メッセージの重大度に対応した複数の重み係数が設定された記憶手段を備えており、上記再警告判定手段は、通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、各障害メッセージに設定された重大度に対応した重み係数を上記警告間隔に適用して得られた時間間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴としている。
【0013】
請求項5に記載した障害メッセージに対する再警告発動システムは、請求項1〜3のシステムであって、さらに、上記警告設定情報記憶手段に障害メッセージの重大度に対応した複数の警告間隔が設定されており、上記再警告判定手段は、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、当該障害メッセージに設定された重大度に対応した警告間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴としている。
【0014】
請求項6に記載した障害メッセージに対する再警告発動プログラムは、コンピュータを、複数の監視対象コンピュータにセットアップされた運行状況監視プログラムから随時送信される障害メッセージを、メッセージ情報記憶手段に格納する手段、このメッセージ情報記憶手段に格納された障害メッセージの閲覧画面を生成し、運用管理端末に送信する手段、新たな障害メッセージがメッセージ情報記憶手段に格納された際に、所定の警告信号を生成して上記運用管理端末に送信する手段、上記運用管理端末から特定の障害メッセージについてステータス変更リクエストが送信された場合に、該当の障害メッセージに設定されたステータス及びステータス変更日時を更新する手段、各障害メッセージのステータス変更時点から再警告を発動させるまでの時間間隔である警告間隔を設定しておく警告設定情報記憶手段、各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するための、上記警告間隔よりも短い時間間隔である通知間隔の到来を監視する計時手段、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージに記録されたステータス変更日時から現在までの経過時間と上記警告間隔とを比較し、障害メッセージ毎に再警告の要否を判定する再警告判定手段、再警告が必要な場合には障害メッセージ毎に所定の再警告信号を生成し、運用管理端末に送信する手段として機能させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の障害メッセージに対する再警告発動システム及び請求項6の再警告発動プログラムによれば、監視対象コンピュータから新たな障害メッセージが送信され、これを知らせる警告信号をオペレータが監視する運用管理端末に送信した後も、障害メッセージのステータスが移行する度に所定の警告間隔が経過したか否かが通知間隔が到来する度に判定され、警告間隔を過ぎても次のステータスに移行しない障害メッセージに対しては再警告信号が運用管理端末に送信されるため、障害メッセージが未対応のまま放置されることを有効に防止することができる。
【0016】
請求項2の障害メッセージに対する再警告発動システムによれば、再警告信号を運用管理端末に送信した際に、その送信日時が当該障害メッセージのステータス変更日時として更新されるため、ステータスの変更がなくてもその時点で新たな警告間隔が適用されることとなる。
このため、ステータスの変更がないまま次の通知間隔が到来しても、新たな警告間隔が経過するまでは再警告信号の送信が停止されることとなり、オペレータ等は落ち着いた環境で障害対応に当たることが可能となる。
【0017】
請求項3の障害メッセージに対する再警告発動システムによれば、各障害メッセージのステータスに応じて警告間隔を異ならせることが可能となり、より迅速な対応を要するステータスの場合には比較的短い時間間隔で再警告を発動し、緊急性の低いステータスの場合には長い時間間隔で再警告を発動するといった柔軟な運用が実現できる。
【0018】
請求項4及び請求項5の障害メッセージに対する再警告発動システムによれば、各障害メッセージの重大度に応じて警告間隔を異ならせることが可能となり、重大度がより高い場合には比較的短い時間間隔で再警告を発動し、重大度が低い場合には長い時間間隔で再警告を発動するといった柔軟な運用が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、障害メッセージに対する再警告発動システム10の全体構成を示す概念図であり、システムの中核をなす統合監視サーバ12と、監視対象である複数のコンピュータネットワーク14と、監視オペレータαが操作する運用管理端末16を備えている。
【0020】
統合監視サーバ12は、メッセージ受信部20と、メッセージ処理部22と、メッセージ情報格納部24と、表示画面生成部26と、ステータス更新部28と、警告設定情報格納部30と、警告発動部32を備えている。
上記メッセージ受信部20、メッセージ処理部22、表示画面生成部26、ステータス更新部28及び警告発動部32は、統合監視サーバ12のCPUがOS及び各種アプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することによって実現される。
また、上記メッセージ情報格納部24及び警告設定情報格納部30は、統合監視サーバ12のハードディスク内に設けられている。
【0021】
監視対象である各コンピュータネットワーク14は、多数のサーバ36をLANを介して接続させたものよりなり、専用線38及びルータ40を介して統合監視サーバ12と接続されている。
図示の便宜上、二つのコンピュータネットワーク14のみが描かれているが、実際には多数のコンピュータネットワーク14が統合監視サーバ12に接続されている。
【0022】
また、コンピュータネットワーク14に含まれる各サーバ36には、業務用のアプリケーションプログラム以外に、システム障害発生時等にエラーメッセージ等の各種メッセージを統合監視サーバ12に送信するための専用監視ツール(プログラム)がセットアップされている。
これらの専用監視ツールは、個別に対象ソフトウェア及びハードウェアを監視し、その監視結果をメッセージとして統合監視サーバ12に送信する機能を備えており、例えばネットワーク障害を監視するネットワーク監視ツール、データベースの稼動状況を監視するDB監視ツール、ジョブの運用管理を行うジョブスケジュールツール等が該当する。
【0023】
運用管理端末16は、PC等のコンピュータよりなり、メッセージ表示部42と、ステータス変更要求部44と、警告再生部46を備えている。
これらメッセージ表示部42、ステータス変更要求部44、及び警告再生部46は、運用管理端末16のCPUがOS及び各種アプリケーションプログラムに従って必要な処理を実行することによって実現される。
運用管理端末16には、インターフェイスを介してディスプレイ48、マウスやキーボード等の入力装置50、パトランプ52、スピーカ54が接続されている。
また、これらの中のディスプレイ48、パトランプ52、スピーカ54が警告手段として機能することとなる。
【0024】
しかして、コンピュータネットワーク14の各サーバ36からメッセージが統合監視サーバ12に送信されると、メッセージ受信部20がこれを受け取り、メッセージ処理部22に渡す。
メッセージ処理部22は、各メッセージに必要な加工処理を施した後、メッセージ情報格納部24に登録する。
図2は、このメッセージ情報格納部24内に登録されたメッセージ情報の構成例を示すものであり、メッセージID、システム名、発生元ノードID、発生元APP(アプリケーションプログラム)名、発生日時、メッセージ種別(障害メッセージか状況通知メッセージか)、メッセージテキスト、重大度、ステータス、ステータス変更日時のデータ項目を備えている。
この時点では、メッセージ処理部22によって「ステータス」の項目に「オープン」が設定されると共に、「ステータス変更日時」の項目に受付日時が記録される。
【0025】
メッセージ情報格納部24に新たなメッセージ情報が登録されると、表示画面生成部26によって新たなメッセージ一覧画面が生成され、運用管理端末16に送信される。
このメッセージ一覧画面は、図3に示すように、運用管理端末16のメッセージ表示部42によってディスプレイ48に表示される。
この際、新たなメッセージ情報が対応を要する障害メッセージである場合には、ディスプレイ48上にポップアップウィンドウが表示され、オペレータの注意を引くためのメッセージが表示される(図示省略)。
これに対してオペレータが、入力装置50を介してポップアップウィンドウ中の「OK」ボタンをクリックすると、ステータス変更要求部44から統合監視サーバ12に対してステータス変更リクエストが送信される。
【0026】
これを受けたステータス更新部28は、メッセージ情報格納部24内に格納された該当メッセージのステータスを「受付済み」に更新すると共に、ステータス変更日時に現在日時を上書きする。
つぎに表示画面生成部26によって上記の更新を反映させた一覧画面が生成され、運用管理端末16に送信される。
この結果、当該障害メッセージのステータスがオープンから受付済みに更新された一覧画面がディスプレイ48に表示される。
【0027】
つぎにオペレータは、マニュアルに従って担当のSEに連絡を行い、受付済みステータスの障害メッセージに関して必要な対応を依頼する。
ここで担当のSEに連絡が取れてトラブル復旧が約束された場合、オペレータは入力装置50を介してディスプレイ48上で当該障害メッセージを選択状態とした後、右クリック等によって表示される操作メニュー中の「割当済み」を選択する。
この結果、ステータス変更要求部44から統合監視サーバ12に対してステータス変更リクエストが送信される。
【0028】
これを受けたステータス更新部28は、メッセージ情報格納部24内に格納された該当メッセージのステータスを「割当済み」に更新すると共に、ステータス変更日時に現在日時を上書きする。
つぎに表示画面生成部26によって上記の更新を反映させた一覧画面が生成され、運用管理端末16に送信される。
この結果、当該障害メッセージのステータスが受付済みから割当済みに更新された一覧画面がディスプレイ48に表示される。
【0029】
そして、担当SEから問題が解決した旨の連絡を受けると、オペレータは入力装置50を介してディスプレイ48上で当該障害メッセージを選択状態とした後、操作メニュー中の「対処完了」を選択する。
この結果、ステータス変更要求部44から統合監視サーバ12に対してステータス変更リクエストが送信される。
【0030】
これを受けたステータス更新部28は、メッセージ情報格納部24内に格納された該当メッセージのステータスを「対処完了」に更新すると共に、ステータス変更日時に現在日時を上書きする。
つぎに表示画面生成部26によって上記の更新を反映させた一覧画面が生成され、運用管理端末16に送信される。
この結果、当該障害メッセージのステータスが割当済みから対処完了に更新された一覧画面がディスプレイ48に表示される。
【0031】
以上のように、障害メッセージが発生した際には、最初にポップアップ表示によってオペレータの注意が喚起されると共に、処理が進展するに従ってステータスが更新され、その都度一覧画面にステータスの更新が反映される。
したがって、オペレータは一覧画面に表示された各障害メッセージのステータスを監視することにより、対応漏れを防止することができる筈であるが、オペレータも人間である以上、大量の障害メッセージが集中的に発生した場合などには見落としが生じることは否めない。
このため、このシステム10は、オペレータによる人為的ミスを未然に防止するための仕掛けとして、再警告発動機能を備えている。
【0032】
以下、図4のフローチャートに従い、この再警告の発動手順について説明する。
まず警告発動部32は、プログラムの起動時に警告設定情報格納部30をチェックし、警告設定情報を取得する(S10、S12)。
図5は警告設定情報の一例を示すものであり、「警告間隔」と「通知間隔」の二種類の設定項目を備えている。
これらの中の「警告間隔」は、あるステータスから他のステータスに移行した時点から再警告を発動するまでの時間間隔(一種の猶予間隔)を設定する項目であり、ここでは30分が設定されている。
これに対し「通知間隔」は、再警告を発動すべきか否かの判定処理を実行する間隔(チェック間隔)を設定する項目であり、ここでは5分が設定されている。
【0033】
つぎに警告発動部32は、通知間隔の経過を待ち(S14)、上記の警告設定情報に従って各障害メッセージごとに再警告の要否を判定する。
まず警告発動部32は、メッセージ情報格納部24に判定対象となる障害メッセージが存在しているか否かを判断し(S15)、存在している場合には1件目の障害メッセージを読出し、そのステータスをチェックする(S16)。
ここでステータスとして「対処完了」が記録されている場合には(S18)、再警告不要であるため次の障害メッセージのチェックに移行することとなる(S15、S16)。
これに対し、当該障害メッセージのステータスが「オープン」、「受付済み」、「割当済み」の何れかである場合、ステータス変更日時から現在日時を引算し、このステータスに移行してから現在までの経過時間を算出する(S20)。
そして、この経過時間が警告間隔である30分未満である場合(S22)、警告発動部32は再警告不要と判定し、次の障害メッセージのチェックに移行する(S15、S16)。
これに対し、既に30分以上経過している場合、警告発動部32は要再警告と判定し、所定の再警告信号を生成すると共に、これを運用管理端末16に送信する(S24)。
【0034】
これを受けた運用管理端末16では、警告再生部46により、再警告信号に従った再警告動作が実行される。
例えば、運用管理端末16に接続されたパトランプを鳴動させると共に、スピーカ54から「ID○○の障害メッセージについて対応遅れが発生してます。直ちに調べてください。」といった内容の合成音声を出力させる。
あるいは、運用管理端末16のディスプレイ48にポップアップウィンドウを起動させ、上記の警告メッセージを表示させることもできる。
この結果、オペレータのうっかりミスを有効に防止できる。
【0035】
その後、上記S16〜S24までの処理がメッセージ情報格納部24内の障害メッセージについて次々と実行され、全ての障害メッセージについて処理が完了し、対象となる障害メッセージがなくなった時点で(S15)、警告発動部32は休止モードに移行する(S26)。
そして、警告発動部32のタイマー機能によって前回のチェック終了から5分の通知間隔が経過したことが検知されると(S14)、再びメッセージ情報格納部24内の全障害メッセージについてS16〜S24の処理が繰り返され、再警告発動の要否判定及び必要な場合には再警告信号の生成・送信処理が警告発動部32によって実行される。
【0036】
図6は、警告間隔と通知間隔との関係を模式的に表したものであり、通知間隔が到来する度に障害メッセージA及び障害メッセージBに対する再警告の要否が警告発動部32によって判断され、各障害メッセージのステータス変更のタイミングに応じてそれぞれ再警告が発動される様子が描かれている。
また、この図からは、各障害メッセージの警告間隔が経過してから次の通知間隔が到来するまでに時間差が生じ、この結果警告間隔の満了と再警告発動との間に若干のタイムラグが生じ得ることが理解できる。
【0037】
本来、各障害メッセージの警告間隔満了と同時に再警告を発動するのが望ましいことは言うまでもないが、これを実現するためには障害メッセージ毎にタイマ処理を実行することが要求され、膨大な数の障害メッセージが監視対象サーバ36から統合監視サーバ12に集約される環境下では、マシンのリソース不足が懸念される。
そこでこのシステム10では、障害メッセージ毎にバラバラに進行する警告間隔の他に、これよりも短い共通の時間軸として通知間隔という概念を設け、通知間隔経過時に再警告の要否を全障害メッセージについてまとめて判定する仕組みを採用している。
この結果、障害メッセージの数にかかわらずタイマ処理は1つで済むこととなり、マシンリソースを節約することが可能となる。
なお、上記のように警告間隔満了から再警告発動までタイムラグが生じるとはいえ、通知間隔を「5分」のように比較的短く設定しておけば、実際上の不都合はほとんど生じなくなる。
【0038】
上記にあっては、各障害メッセージのステータスにかかわらず30分の警告間隔が一律に適用される例を示したが、ステータスに応じて警告間隔に差違を設けることも可能である。
図7は、この場合の警告情報の設定例を示しており、初動態勢の迅速化を図るためオープンのステータスで10分、受付済みのステータスで20分と短めの警告間隔が設定されているのに対し、担当SEが決まった後はある程度の時間的余裕を持たせるため、割当済みのステータスには30分の警告間隔が設定されている。
この場合、警告発動部32は各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するに際し、まずそれぞれのステータスに応じた警告間隔を取得し、現在日時とステータス変更日時に記録された日時との差がこの警告間隔以上の場合に「要再警告」と判定することとなる。
【0039】
また、障害メッセージには一般に、トラブルの深刻度の高い順にcritical、major、minor、warning、clear等の重大度が監視ツールによって設定されているが、上記にあっては各障害メッセージの重大度にかかわらず30分の警告間隔が適用される例を示した。
しかしながら、障害メッセージの重大度に応じて警告間隔に差違を設けることも当然に可能である。
例えば図8に示すように、障害メッセージの重大度に対応した1.0〜0.2の重み計数を予め警告設定情報格納部30内等に定義しておく。
この場合、警告発動部32は各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するに際し、上記の定義情報を参照してそれぞれの重大度に応じた重み係数を特定した後、これで標準の警告間隔(例えば30分)を除することによって重大度に応じた警告間隔を算出し、つぎに現在日時とステータス変更日時に記録された日時との差が算出された警告間隔以上の場合に「要再警告」と判定することとなる。
【0040】
因みに、標準の警告間隔=30分とした場合、図8の重み係数を適用した重大度別の警告間隔は、以下の通りとなる。
重大度:critical →警告間隔:30分
重大度:major →警告間隔:37.5分
重大度:minor →警告間隔:50分
重大度:warning →警告間隔:75分
重大度:clear →警告間隔:150分
すなわち、重大度が最も高いcriticalと最も低いclearとの間には、警告間隔について5倍の開きが生じることとなる。
【0041】
このように、障害メッセージの重大度に応じた重み係数を設定しておき、標準の警告間隔をこれで除することで重大度に応じた警告間隔を警告発動部32が算出するようにする代わりに、予め警告設定情報格納部30に重大度に応じた警告間隔を設定しておくこともできる。
この場合、警告発動部32は各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するに際し、まずそれぞれの重大度に応じた警告間隔を取得し、現在日時とステータス変更日時に記録された日時との差がこの警告間隔以上の場合に「要再警告」と判定することとなる。
【0042】
また上記にあっては、30分の警告間隔を経過した後は、ステータスの進展に伴ってステータス変更日時が更新されるまで、通知間隔が到来する度に再警告が何度も発動されることとなる(図6参照)。
このように頻繁に再警告を発動することにより、オペレータに迅速な対応を促す効果が得られる反面、現場の状況によっては過度の心理的圧迫によってオペレータの冷静な判断を狂わせ、二次トラブルを誘発する場合もある。
また、障害の内容によっては元々解決に長時間を要するものがあり、このような場合にまで5分おきに再警告が発動されるのは煩わしいといえる。
そこで、警告間隔が経過して最初の再警告を発動させた後は、警告間隔に相当する期間が経過するまで再警告の発動をスキップする仕組みをこのシステム10に導入することもできる。
【0043】
具体的には、再警告を発動した際に、警告発動部32によって障害メッセージのステータス変更日時に再警告発動日時(再警告信号の送信日時)が記録されるようにプログラムしておく。
図9は、その場合における再警告の発動状況を示すものであり、障害メッセージCにあっては、ステータス変更から所定の警告間隔経過後、最初の再警告が発動された時点で次の警告間隔が適用されるため、その間に通知間隔が何度到来しても警告発動部32によって再警告不要と判定されている。
障害メッセージDの場合にも、再警告が発動された後に警告間隔が適用されているが、その途中でステータスの変更が生じたため、その時点でステータス変更日時が更新され、新たな警告間隔が適用される様子が描かれている。
【0044】
このように、再警告を発動させた時点で警告発動部32がステータス変更日時を更新させ、新たな警告間隔が満了するまで次の再警告発動を抑制する取扱いを、全ての障害メッセージに対し一律に適用することもできるが、ステータスに応じて使い分けることも有効である。
すなわち、障害メッセージのステータスがオープンあるいは受付済みの場合には、オペレータに迅速な対応を促すため、再警告を発動した際にステータス変更日時を更新することなく、したがって通知間隔が到来する度に警告発動部32によって再警告を発動させるのが妥当であるが、障害メッセージのステータスが割当済みの場合には、担当SEに時間的余裕を与えるため、一度再警告を発動した際にステータス変更日時を更新し、新たな警告間隔が満了するまで再警告の発動をスキップさせることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】この発明に係る障害メッセージに対する再警告発動システムの全体構成を示す概念図である。
【図2】メッセージ情報の構成例を示す説明図である。
【図3】メッセージ一覧画面を示すレイアウト図である。
【図4】再警告発動の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】警告設定情報の一例を示す説明図である。
【図6】警告間隔と通知間隔との関係を示す模式図である。
【図7】警告設定情報の他の例を示す説明図である。
【図8】障害メッセージの重大度に応じて設定された重み係数の一例を示す説明図である。
【図9】警告間隔と通知間隔との他の関係を示す模式図である。
【図10】障害メッセージに設定されるステータスの一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10 再警告発動システム
12 統合監視サーバ
14 コンピュータネットワーク
16 運用管理端末
20 メッセージ受信部
22 メッセージ処理部
24 メッセージ情報格納部
26 表示画面生成部
28 ステータス更新部
30 警告設定情報格納部
32 警告発動部
36 監視対象サーバ
38 専用線
40 ルータ
42 メッセージ表示部
44 ステータス変更要求部
46 警告再生部
48 ディスプレイ
50 入力装置
52 パトランプ
54 スピーカ
α オペレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の監視対象コンピュータにセットアップされた運行状況監視プログラムから随時送信される障害メッセージを、メッセージ情報記憶手段に格納する手段と、
このメッセージ情報記憶手段に格納された障害メッセージの閲覧画面を生成し、運用管理端末に送信する手段と、
新たな障害メッセージがメッセージ情報記憶手段に格納された際に、所定の警告信号を生成して上記運用管理端末に送信する手段と、
上記運用管理端末から特定の障害メッセージについてステータス変更リクエストが送信された場合に、該当の障害メッセージに設定されたステータス及びステータス変更日時を更新する手段と、
各障害メッセージのステータス変更時点から再警告を発動させるまでの時間間隔である警告間隔を設定しておく警告設定情報記憶手段と、
各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するための、上記警告間隔よりも短い時間間隔である通知間隔の到来を監視する計時手段と、
上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージに記録されたステータス変更日時から現在までの経過時間と上記警告間隔とを比較し、障害メッセージ毎に再警告の要否を判定する再警告判定手段と、
再警告が必要な場合には障害メッセージ毎に所定の再警告信号を生成し、運用管理端末に送信する手段と、
を備えたことを特徴とする障害メッセージに対する再警告発動システム。
【請求項2】
特定の障害メッセージに関して再警告信号を生成し、運用管理端末に送信した場合に、その送信日時によって当該障害メッセージのステータス変更日時を更新する手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の障害メッセージに対する再警告発動システム。
【請求項3】
上記警告設定情報記憶手段には、障害メッセージのステータスに対応した複数の警告間隔が設定されており、
上記再警告判定手段は、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、当該障害メッセージのステータスに対応した警告間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴とする請求項1または2に記載の障害メッセージに対する再警告発動システム。
【請求項4】
障害メッセージの重大度に対応した複数の重み係数が設定された記憶手段を備え、
上記再警告判定手段は、通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、各障害メッセージに設定された重大度に対応した重み係数を上記警告間隔に適用して得られた時間間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の障害メッセージに対する再警告発動システム。
【請求項5】
上記警告設定情報記憶手段には、障害メッセージの重大度に対応した複数の警告間隔が設定されており、
上記再警告判定手段は、上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージのステータス変更日時から現在までの経過時間と、当該障害メッセージに設定された重大度に対応した警告間隔とを比較して再警告の要否を判定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の障害メッセージに対する再警告発動システム。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の監視対象コンピュータにセットアップされた運行状況監視プログラムから随時送信される障害メッセージを、メッセージ情報記憶手段に格納する手段、
このメッセージ情報記憶手段に格納された障害メッセージの閲覧画面を生成し、運用管理端末に送信する手段、
新たな障害メッセージがメッセージ情報記憶手段に格納された際に、所定の警告信号を生成して上記運用管理端末に送信する手段、
上記運用管理端末から特定の障害メッセージについてステータス変更リクエストが送信された場合に、該当の障害メッセージに設定されたステータス及びステータス変更日時を更新する手段、
各障害メッセージのステータス変更時点から再警告を発動させるまでの時間間隔である警告間隔を設定しておく警告設定情報記憶手段、
各障害メッセージに対する再警告の要否を判定するための、上記警告間隔よりも短い時間間隔である通知間隔の到来を監視する計時手段、
上記通知間隔が到来する度に、各障害メッセージに記録されたステータス変更日時から現在までの経過時間と上記警告間隔とを比較し、障害メッセージ毎に再警告の要否を判定する再警告判定手段、
再警告が必要な場合には障害メッセージ毎に所定の再警告信号を生成し、運用管理端末に送信する手段、
として機能させることを特徴とする障害メッセージに対する再警告発動プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−113708(P2006−113708A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−298459(P2004−298459)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【出願人】(000155469)株式会社野村総合研究所 (1,067)
【Fターム(参考)】