説明

集積回路および測定装置

【課題】集積回路自体の構成を変更することなく、回路動作を容易に変更することができる集積回路を提供する。
【解決手段】本発明の集積回路は、外部センサ200からの信号を処理する集積回路であって、互いに異なる入力端子部101,103に入力された信号を処理して互いに異なる出力端子部102,104に出力する複数の処理回路110,120を有し、前記集積回路に選択的に接続される外部センサ200の種類に応じて前記入力端子部と前記出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、前記複数の処理回路のうちで、前記外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段以降の処理回路との順番を切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路および測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マイクロプロセッサ、メモリ、アナログ回路などの複数の処理回路が1つのチップ上に集約された集積回路を搭載した測定装置の開発が盛んである。一般に測定装置には測定用途に応じて種々のセンサが選択的に搭載され、センサの種類に応じて異なる回路構成が適用される。一方、センサの種類が変更されるたびに回路構成を変更することは、集積回路の開発期間および開発費用の面で大きな負担となる。
【0003】
開発期間および開発費用を削減するため、集積回路の製造工程において集積回路基板上の配線パターンを変更することにより、集積回路の回路構成を部分的に変更する方法が、例えば下記の特許文献1に開示されている。特許文献1に示す集積回路の製造方法では、1つの回路動作を実現するために必要な回路構成要素以外の回路構成要素を予め集積回路基板上に形成しておき、配線パターンを変更することにより、それらのうちの必要な回路構成要素を接続して異なる種類の所望の回路動作を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−343620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記製造方法では、集積回路の製造工程における配線パターンの変更作業が必要であるため、集積回路の開発期間および開発費用を十分に削減することができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものである。したがって、本発明の目的は、集積回路自体の構成を変更することなく、回路動作を容易に変更することができる集積回路を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、上記集積回路を搭載した測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
本発明の集積回路は、外部センサからの信号を処理する集積回路であって、互いに異なる入力端子部に入力された信号を処理して互いに異なる出力端子部に出力する複数の処理回路を有し、前記集積回路に選択的に接続される外部センサの種類に応じて前記入力端子部と前記出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、前記複数の処理回路のうちで、前記外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段以降の処理回路との順番を切り替える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の集積回路によれば、集積回路自体の構成を変更することなく、回路動作を容易に変更することができる。したがって、外部センサの種類に関わらず同一の集積回路を適用することができるので、集積回路の開発期間および開発費用を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態における集積回路を説明するためのブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態における集積回路を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示す集積回路を搭載した電子血圧計の血圧測定部の主要部を説明するためのブロック図である。
【図4】図1に示す集積回路を搭載した血糖計の血糖測定部の主要部を説明するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して本発明の集積回路の実施の形態を説明する。なお、図中、同一の部材には同一の符号を用いた。
【0013】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態における集積回路を説明するためのブロック図である。本実施の形態の集積回路は、入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、当該集積回路内の複数の処理回路が外部センサからの信号を処理する順番を切り替え可能としたものである。本実施の形態では、外部センサからの信号を処理する集積回路としてシステムLSIを例示して説明する。
【0014】
図1に示すとおり、本実施の形態のシステムLSI100は、第1および第2処理回路110,120と、マルチプレクサ(MUX)130と、信号処理部140と、定電流源150と、を有する。
【0015】
また、システムLSI100は、入力および出力端子部として、第1入力端子部101、第1出力端子部102、第2入力端子部103、および第2出力端子部104を有する。第1処理回路110は、第1入力端子部101を介して外部配線で第1外部センサ200に接続されており、第1出力端子部102は、外部配線で第2入力端子部103に接続されている。したがって、第1処理回路110と第2処理回路120とは、この順に外部配線を介してカスケード接続されている。
【0016】
第1処理回路110は、第1外部センサ200からの信号を初めに受信する初段の処理回路である。より具体的には、第1処理回路110は、第1入力端子部101に入力された第1外部センサ200からの信号を処理して第1出力端子部102とマルチプレクサ130とに出力する。第1処理回路110は、例えば、所定の利得を有する増幅器である。
【0017】
第2処理回路120は、第1処理回路110からの信号を処理する次段の処理回路である。より具体的には、第2処理回路120は、第2入力端子部103に入力された第1処理回路110からの信号を処理して第2出力端子部104とマルチプレクサ130とに出力する。第2処理回路120は、例えば、所定の利得を有する増幅器であり、第1処理回路110と同じ構成を有しうる。
【0018】
マルチプレクサ130は、第1および第2処理回路110,120の出力信号のうちのいずれか一方の信号を選択するものである。本実施の形態では、システムLSI100は、第1および第2処理回路110,120の2つの処理回路を有するので、マルチプレクサ130は、2つの入力と1つの出力とを有する。
【0019】
信号処理部140は、マルチプレクサ130の出力信号を信号処理するものである。より具体的には、信号処理部140は、例えば、A/Dコンバータ、演算処理部(マイクロプロセッサ)、および記憶部(メモリ)を有しており、入力されたマルチプレクサ130の出力信号をA/Dコンバータでアナログ信号からディジタル信号に変換したのち、変換されたディジタル信号を演算処理部で演算して演算結果を記憶部に格納する。
【0020】
定電流源150は、第1外部センサ200に定電流を供給する電流源である。より具体的には、定電流源150は、外部配線を介して接続された第1外部センサ200に定電流を供給する。
【0021】
以上のとおり、図1に示すシステムLSI100によれば、第1入力端子部101に入力された第1外部センサ200からの信号は、第1処理回路110で処理されたのちに第2処理回路120で処理される。すなわち、第1外部センサ200からの信号は、第1処理回路、第2処理回路の順番で処理される。
【0022】
次に、図2を参照して、システムLSI100の入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段の処理回路との順番が切り替わることを説明する。
【0023】
システムLSI100は、第1および第2処理回路110,120と、マルチプレクサ(MUX)130と、信号処理部140と、定電流源150と、を有し、図1に示すシステムLSI100と同一である。一方、入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更して、第2処理回路120は、第2入力端子部103を介して外部配線で第2外部センサ200に接続されており、第2出力端子部104は、外部配線で第1入力端子部101に接続されている。したがって、第2処理回路120と第1処理回路110とは、この順に外部配線を介してカスケード接続されている。
【0024】
第1処理回路110は、第2処理回路120からの信号を処理する次段の処理回路である。より具体的には、第1処理回路110は、第1入力端子部101に入力された第2処理回路120からの信号を処理して第1出力端子部102とマルチプレクサ(MUX)130とに出力する。
【0025】
第2処理回路120は、第2外部センサ200からの信号を初めに受信する初段の処理回路である。より具体的には、第2処理回路120は、第2入力端子部103に入力された第2外部センサ200からの信号を処理して、第2出力端子部104とマルチプレクサ130とに出力する。
【0026】
マルチプレクサ130は、第1および第2処理回路110,120の出力信号のうちのいずれか一方の信号を選択するものであり、信号処理部140は、マルチプレクサ130の出力信号を信号処理するものである。マルチプレクサ130および信号処理部140の構成は、図1に示すマルチプレクサ130および信号処理部140の構成と同様であるので、説明を省略する。
【0027】
定電流源150は、第2外部センサ200に定電流を供給する電流源である。より具体的には、定電流源150は、外部配線を介して接続された第2外部センサ200に定電流を供給する。
【0028】
以上のとおり、図2に示すシステムLSI100によれば、第2入力端子部103に入力された第2外部センサ200からの信号は、第2処理回路120で処理されたのちに第1処理回路110で処理される。すなわち、第2外部センサ200からの信号は、第2処理回路、第1処理回路の順番で処理される。
【0029】
なお、以上の説明では、本実施の形態のシステムLSI100が2つの処理回路を有する場合について例示した。しかしながら、処理回路は2つの場合に限定されず、3つ以上でもよい。
【0030】
また、以上の説明では、本実施の形態のシステムLSI100に2種類の外部センサが選択的に接続される場合について例示した。しかしながら、外部センサは2種類の場合に限定されず、3種類以上の外部センサが選択的に接続されてもよい。
【0031】
以上、図1および図2を参照して説明したとおり、本実施の形態のシステムLSI100によれば、システムLSIに選択的に接続される外部センサの種類に応じて入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、複数の処理回路のうちで、外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段以降の処理回路との順番を切り替えることができる。したがって、システムLSI自体の構成を変更することなく、回路動作を容易に変更することができる。その結果、外部センサの種類に関わらず同一のシステムLSIを適用することができるので、集積回路の開発期間および開発費用を大幅に削減することができる。
【0032】
また、本実施の形態のシステムLSIは、定電流源を有し、当該定電流源が外部センサに定電流を供給する。したがって、システムLSIの外部における外部センサ用の定電流源の設置を省くことができる。
【0033】
(実施例1:電子血圧計)
次に、図3を参照して、本実施の形態のシステムLSIを搭載した測定装置の一実施例として、電子血圧計について説明する。図3は、本実施の形態における電子血圧計の血圧測定部の主要部を説明するためのブロック図である。なお、本実施の形態における電子血圧計の血圧測定部以外の構成要素については、従来の電子血圧計と同様であるので、血圧測定部以外の構成要素の説明は省略する。
【0034】
図3に示すとおり、血圧測定部400aは、システムLSI100と、外部センサとしての圧力センサ200aと、加圧袋210aと、外部回路としてのバンドパスフィルタ(BPF)300aとを有する。
【0035】
システムLSI100は、第1増幅部(PGA)110と、第2増幅部(AMP)120と、マルチプレクサ(MUX)130と、信号処理部140と、定電流源150と、を有する。
【0036】
また、システムLSI100は、入力および出力端子部として、第1入力端子部101,101’、第1出力端子部102、第2入力端子部103、および第2出力端子部104を有する。第1入力端子部101,101’は、圧力センサ200aの出力端子部に外部配線で接続されており、第1出力端子部102は、バンドパスフィルタ300aの入力端子部に外部配線で接続される。また、第2入力端子部103は、バンドパスフィルタ300aの出力端子部に外部配線で接続されている。
【0037】
第1増幅部110は、圧力センサ200aからの信号を初めに受信する初段の処理回路である。より具体的には、第1増幅部110は、第1入力端子部101,101’に入力された圧力センサ200aからの信号を差動増幅して第1出力端子部102とマルチプレクサ130とに出力する。第1増幅部110は、例えば、2入力のPGA(programmable gain amplifier)を有し、差動利得を適宜調整(プログラム)することができる。
【0038】
第2増幅部120は、第1増幅部110からの信号を処理する次段の処理回路である。より具体的には、第2増幅部120は、第2入力端子部103に入力されたバンドパスフィルタ300aからの信号を増幅して第2出力端子部104とマルチプレクサ130とに出力する。第2増幅部120は、固定の利得を備える増幅器を有する。
【0039】
また、第1および第2増幅部110,120は、圧力センサ200aからの信号の周波数帯域において必要な利得を得られる回路構成であればよく、例えば、演算増幅器(オペアンプ)を用いて構成されうる。
【0040】
マルチプレクサ130は、第1および第2増幅部110,120の出力信号のうちのいずれか一方の信号を選択するものである。本実施の形態では、システムLSI100は、第1および第2増幅部110,120の2つの処理回路を有するので、マルチプレクサ130は、2つの入力と1つの出力とを有する。
【0041】
信号処理部140は、マルチプレクサ130の出力信号を信号処理するものである。より具体的には、信号処理部140は、例えば、A/Dコンバータ、演算処理部、および記憶部を有しており、入力されたマルチプレクサ130の出力信号をA/Dコンバータでアナログ信号からディジタル信号に変換したのち、変換されたディジタル信号に基づいて演算処理部で血圧値を算出して記憶部に格納する。
【0042】
定電流源150は、圧力センサ200aに定電流を供給する電流源である。より具体的には、定電流源150は、外部配線を介して接続された圧力センサ200aに定電流を供給する。
【0043】
圧力センサ200aは、電子血圧計に備えられた加圧袋210a内の圧力を電気信号に変換するものであり、例えば、半導体圧力センサを有する。
【0044】
バンドパスフィルタ300aは、圧力センサ200aからの信号の周波数帯域のうち、直流信号などの低域成分とノイズなどの高域成分とを減衰させて除去するものである。バンドパスフィルタ300aは、例えばプリント基板上に形成されており、外部配線でシステムLSI100に接続される。
【0045】
以下、図3を参照して、本実施の形態における電子血圧計の血圧測定部の回路動作を説明する。
【0046】
図3に示すとおり、加圧袋210a内の圧力は、圧力センサ200aにより電気信号に変換され、システムLSI100に入力される。入力された圧力センサ200aからの信号は、第1増幅部110で増幅されたのち、バンドパスフィルタ300aにより低域および高域成分が除去されて、第2増幅部120でさらに増幅される。したがって、第1および第2増幅部110,120の利得と、バンドパスフィルタ300aの回路定数とを適宜調整することにより、第1増幅部110からは、圧力センサ200aからの信号の直流(DC)成分に相当する信号が得られ、また、第2増幅部120からは、圧力センサ200aからの信号の交流(AC)成分に相当する信号が得られる。
【0047】
マルチプレクサ130は、第1および第2増幅部110,120の出力信号のいずれか一方を選択し、信号処理部140に伝達する。したがって、圧力センサ200aからの信号の直流成分および交流成分のうちのいずれか一方が選択されて信号処理部140に伝達される。
【0048】
信号処理部140は、上記の直流成分および交流成分に基づいて血圧値を算出して記憶部に格納する。
【0049】
以上のとおり、本実施の形態のシステムLSI100を搭載した電子血圧計によれば、圧力センサ200aからの信号が第1増幅部110で増幅されたのち、バンドパスフィルタ300aを介して第2増幅部120でさらに増幅されるので、圧力センサ200aからの信号の直流成分および交流成分を分離して信号処理部140に伝達することができる。
【0050】
(実施例2:血糖計)
次に、図4を参照して、本実施の形態のシステムLSIを搭載した測定装置の他の実施例として、血糖計について説明する。図4は、本実施の形態における血糖計の血糖測定部の主要部を説明するためのブロック図である。なお、本実施の形態における血糖計の血糖測定部以外の構成要素については、従来の血糖計と同様であるので、血糖測定部以外の構成要素の説明は省略する。
【0051】
図4に示すとおり、血糖測定部400bは、システムLSI100と、外部センサとしての光センサ200bと、外部回路としてのローパスフィルタ(LPF)300bとを有する。
【0052】
システムLSI100は、第1増幅部(PGA)110と、第2増幅部(AMP)120と、マルチプレクサ(MUX)130と、信号処理部140と、定電流源150と、を有し、図3に示すシステムLSI100と同一である。一方、入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更して、第1入力端子部101は、ローパスフィルタ300bの出力端子部に外部配線で接続され、第1入力端子部101’は、ローパスフィルタ300bの入力端子部に外部配線で接続されている。また、第2入力端子部103は、光センサ200bの出力端子部に外部配線で接続されており、第2出力端子部104は、ローパスフィルタ300bの入力端子部に外部配線で接続されている。
【0053】
第1増幅部110は、ローパスフィルタ300bからの信号を差動増幅する処理回路である。より具体的には、第1増幅部110は、第1入力端子部101に入力されたローパスフィルタ300bからの信号と、第1入力端子部101’に入力された第2増幅部120からの信号とを差動増幅して第1出力端子部102とマルチプレクサ130とに出力する。第1増幅部110は、例えば、2入力のPGAを有し、差動利得を適宜調整することができる。
【0054】
第2増幅部120は、光センサ200bからの信号を初めに受信する初段の処理回路である。より具体的には、第2増幅部120は、第2入力端子部103に入力された光センサ200bからの信号を増幅して第2出力端子部104とマルチプレクサ130とに出力する。第2増幅部120は、固定の増幅利得を備える増幅器を有する。
【0055】
また、第1および第2増幅部110,120は、光センサ200bからの信号の周波数帯域において必要な利得を得られる回路構成であればよく、例えば、演算増幅器を用いて構成されうる。
【0056】
マルチプレクサ130は、第1および第2増幅部110,120の出力信号のうちのいずれか一方の信号を選択するものである。本実施の形態では、システムLSI100は、第1および第2増幅部110,120の2つの処理回路を有するので、マルチプレクサ130は、2つの入力と1つの出力とを有する。
【0057】
信号処理部140は、マルチプレクサ130の出力信号を信号処理するものである。より具体的には、信号処理部140は、例えば、A/Dコンバータ、演算処理部、および記憶部を有しており、入力されたマルチプレクサ130の出力信号をA/Dコンバータでアナログ信号からディジタル信号に変換したのち、変換されたディジタル信号に基づいて演算処理部で血糖値を算出して記憶部に格納する。
【0058】
定電流源150は、光センサ200bに定電流を供給する電流源である。より具体的には、定電流源150は、外部配線を介して接続された光センサ200bに定電流を供給する。
【0059】
光センサ200bは、血液中のブドウ糖量に応じて呈色する試験紙に光照射し反射光量を電気信号に変換するものであり、発光素子および受光素子を有する。発光素子は、例えば、発光ダイオードであり、受光素子は、例えば、フォトダイオードである。
【0060】
ローパスフィルタ300bは、光センサ200bの出力信号の周波数帯域のうち、例えばノイズなどの信号の高域成分を減衰させて除去するものである。ローパスフィルタ300bは、例えばプリント基板上に形成されており、外部配線でシステムLSI100に接続される。
【0061】
以下、図4を参照して本実施の形態における血糖計の血糖測定部の回路動作を説明する。
【0062】
図4に示すとおり、血液中のブドウ糖量に対応する反射光量は、光センサ200bにより電気信号に変換され、システムLSI100に入力される。入力された光センサ200bからの信号は、第2増幅部120で増幅されたのち、ローパスフィルタ300bにより高域成分が除去された信号と、ローパスフィルタ300bに入力される前の元の信号とが第1増幅部110で差動増幅される。したがって、第1および第2増幅部110,120の利得と、ローパスフィルタ300bの回路定数とを適宜調整することにより、第2増幅部120からは、光センサ200bからの信号の直流(DC)成分に相当する信号が得られ、また、第1増幅部110からは、光センサ200bからの信号の交流(AC)成分に相当する信号が得られる。
【0063】
マルチプレクサ130は、第1および第2増幅部110,120の出力信号のいずれか一方を選択し、信号処理部140に伝達する。したがって、光センサ200bからの信号の交流成分および直流成分のうちのどちらか一方が選択されて信号処理部140に伝達される。
【0064】
信号処理部140は、抽出された交流成分および直流成分に基づいて血糖値を算出して記憶部に格納する。
【0065】
以上のとおり、本実施の形態のシステムLSI100を搭載した血糖計によれば、光センサ200bからの信号が第2増幅部120で増幅されたのち、ローパスフィルタ300bを介して第1増幅部110でさらに差動増幅されるので、光センサ200bからの信号の交流成分および直流成分を分離して信号処理部140に伝達することができる。
【0066】
以上のとおり、説明した本実施の形態は以下の効果を奏する。
【0067】
(a)本実施の形態のシステムLSIによれば、システムLSIに選択的に接続される外部センサの種類に応じて入力端子部と出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、複数の処理回路のうちで、外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段以降の処理回路との順番を切り替えることができる。したがって、システムLSI自体の構成を変更することなく、回路動作を容易に変更することができる。その結果、外部センサの種類に関わらず同一のシステムLSIを適用することができるので、集積回路の開発期間および開発費用を大幅に削減することができる。
【0068】
(b)本実施の形態のシステムLSIは、定電流源を有し、当該定電流源が外部センサに定電流を供給する。したがって、システムLSIの外部における外部センサ用の定電流源の設置を省くことができる。
【0069】
(c)本実施の形態の電子血圧計および血糖計は、上記システムLSI搭載しているので、外部センサからの信号の直流成分および交流成分を分離して信号処理部に伝達することができる。
【0070】
以上のとおり、実施の形態において、本発明の集積回路および当該集積回路を搭載した測定装置を説明した。しかしながら、本発明は、その技術思想の範囲内において当業者が適宜に追加、変形、および省略することができることはいうまでもない。
【0071】
例えば、上述した実施の形態では、本発明の集積回路を搭載した測定装置の実施例として電子血圧計および血糖計について説明した。しかしながら、本発明の集積回路は上述したものに限定されず、シリンジポンプ、輸液ポンプなどの治療用の医療機器にも搭載されうる。
【0072】
また、上述した実施の形態では、外部センサとして圧力センサおよび光センサを用いる場合について説明した。しかしながら、外部センサは、上述したものに限定されない。
【0073】
また、上述した実施の形態では、第1および第2増幅部を有する場合について説明した。しかしながら、増幅部の数は2つの場合に限定されない。
【符号の説明】
【0074】
100 システムLSI、
101,101’ 第1入力端子部、
102 第1出力端子部、
103 第2入力端子部、
104 第2出力端子部、
110 第1増幅部(第1処理回路)、
120 第2増幅部(第2処理回路)、
130 マルチプレクサ、
140 信号処理部、
150 定電流源、
200 第1または第2外部センサ、
200a 圧力センサ、
200b 光センサ、
300a バンドパスフィルタ、
300b ローパスフィルタ、
400a 血圧測定部、
400b 血糖測定部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部センサからの信号を処理する集積回路であって、
互いに異なる入力端子部に入力された信号を処理して互いに異なる出力端子部に出力する複数の処理回路を有し、
前記集積回路に選択的に接続される外部センサの種類に応じて前記入力端子部と前記出力端子部との間の外部接続状況を変更することによって、前記複数の処理回路のうちで、前記外部センサからの信号を初めに受信する初段の処理回路と次段以降の処理回路との順番を切り替え可能としたことを特徴とする集積回路。
【請求項2】
前記複数の処理回路は、
第1入力端子部に入力された信号を処理して第1出力端子部に出力する第1処理回路と、
第2入力端子部に入力された信号を処理して第2出力端子部に出力する第2処理回路と、
を有し、
前記外部センサとしての第1外部センサと前記第1入力端子部とが接続された場合、前記第1処理回路、前記第2処理回路の順番で前記第1外部センサからの信号を処理する一方で、前記外部センサとしての第2外部センサと前記第2入力端子部とが接続された場合、前記第2処理回路、前記第1処理回路の順番で前記第2外部センサからの信号を処理することを特徴とする請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記外部センサとしての第1外部センサと前記第1入力端子部とが接続され、前記第1出力端子部と前記第2入力端子部とが第1外部回路を介して接続された場合、前記第1処理回路、前記第2処理回路の順番で前記第1外部センサからの信号を処理する一方で、前記外部センサとしての第2外部センサと前記第2入力端子部とが接続され、前記第2出力端子部と前記第1入力端子部とが第2外部回路を介して接続された場合、前記第2処理回路、前記第1処理回路の順番で前記第2外部センサからの信号を処理することを特徴とする請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記第1処理回路は、差動増幅器を備えており調整可能な差動利得を有し、前記第2処理回路は、増幅器を備えており固定の利得を有することを特徴とする請求項2または3に記載の集積回路。
【請求項5】
定電流源をさらに有し、当該定電流源が前記外部センサに定電流を供給することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項6】
前記第1出力端子部および前記第2出力端子部に接続されるマルチプレクサと、
前記マルチプレクサの出力信号を処理する信号処理部と、
をさらに有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の集積回路。
【請求項7】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の集積回路と、
前記外部センサとしての圧力センサと、
前記第1外部回路としてのバンドパスフィルタと、
を有し、
前記第1入力端子部は、2つの入力端子を有しており、前記圧力センサの出力端子部に接続され、
前記第1出力端子部は、前記バンドパスフィルタの入力端子部に接続され、
前記第2入力端子部は、前記バンドパスフィルタの出力端子部に接続されることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
請求項3〜6のいずれか1項に記載の集積回路と、
前記外部センサとしての光センサと、
前記第2外部回路としてのローパスフィルタと、
を有し、
前記第1入力端子部は、2つの入力端子を有しており、前記ローパスフィルタの入力および出力端子部にそれぞれ接続され、
前記第2入力端子部は、前記光センサの出力端子部に接続され、
前記第2出力端子部は、前記ローパスフィルタの入力端子部に接続されることを特徴とする測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−216511(P2011−216511A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80229(P2010−80229)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】