電力変換装置の制御方法
【課題】複数の電源が出力する直流電力を脈動させずに、電力の配分を行いながらモータを駆動する電力変換器の制御方法を提供する。
【解決手段】第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、最終電力配分指令に各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップとを有する。そして、最終的な出力電圧指令が第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、第1,第3スイッチを切り換えて負荷に電力を供給し、最終的な出力電圧指令が第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、第2、第3スイッチを切り換えて負荷に電力をする。また、最終電力配分指令を変化させる周期を、電源電力指令値が変化する周期よりも短くする。
【解決手段】第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、最終電力配分指令に各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップとを有する。そして、最終的な出力電圧指令が第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、第1,第3スイッチを切り換えて負荷に電力を供給し、最終的な出力電圧指令が第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、第2、第3スイッチを切り換えて負荷に電力をする。また、最終電力配分指令を変化させる周期を、電源電力指令値が変化する周期よりも短くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の制御方法に係り、特に、直流電力の脈動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、DC/DCコンバータを介さずに燃料電池とバッテリーの組み合わせに限らず、複数の電源電力を利用・配分し、全体の設置スペースを削減し、電力損失を低減可能な電力変換器の制御方法が、特開2006−121812号公報(特許文献1)に示されている。該特許文献1には、オフセット量を調節して電力配分を行うことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−121812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された制御方法においては、電力の配分割合が一定である場合、オフセット量も一定であったため、複数の電源が出力する直流電力が脈動するという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の電源が出力する直流電力を脈動させずに、電力の配分を行いながらモータを駆動する電力変換器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、第1の直流電源、及び第2の直流電源の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、最終電力配分指令に、前記各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップと、最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、前記第1,第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、前記第2、第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、を備える。そして、最終電力配分指令を変化させる周期を、前記電源電力指令値が変化する周期よりも短くする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、第1の直流電源、及び第2の直流電源の出力電力を、ある一定期間の平均電力は電源電力指令値に追従させながら、瞬時の電源電力を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の回路図である。
【図3】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る電力変換装置の、電力配分オフセット手段の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチ構成を示す示す説明図である。
【図8】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、出力電圧指令値の三角波比較によるU相スイッチのオン、オフ動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の、基本電力配分指令制限手段の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の、電源電力指令値出力手段の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の、電源電力指令値出力手段の構成を示すブロック図である。
【図26】最終電力配分指令の一例を示す特性図である。
【図27】最終電力配分指令の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る制御方法が適用される電力変換装置の構成を示すブロック図、図2は、該電力変換装置に設けられる電力変換器8及びその周辺機器の構成を示す回路図である。図2に示す電力変換器8は、互いに直列に接続された第1の直流電源10、及び第2の直流電源11を有し、これらの直流電源10,11より出力する電力を変換して3相交流モータ17に供給し、該モータ17を駆動する機能を備える。即ち、該電力変換器8の負荷は、3相交流モータ17(以下、単に「モータ」と称する)である。
【0010】
図2に示すように、第1の直流電源10のマイナス側端子は母線14に接続され、第2の直流電源11のプラス側端子は母線16に接続され、更に、第2の直流電源11のマイナス側端子と、第1の直流電源10のプラス側端子が共通の母線15に接続されている。
【0011】
また、母線14と、モータ17の各相(U、V、W相)の端子間には、一般的に知られている3相インバータの下アームと同様に、半導体スイッチ7a,8a,9a(第3のスイッチ;以下、単に「スイッチ」と称する)とダイオード7b,8b,9bの組が接続される。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ7aとダイオード7bの組を介して母線14に接続され、V相端子は、半導体スイッチ8aとダイオード8bの組を介して母線14に接続され、W相端子は、半導体スイッチ9aとダイオード9bの組を介して母線14に接続されている。
【0012】
更に、母線15と、モータ17の各相の端子間には、双方向の導通を制御可能なスイッチ1a、1bの組、2a、2bの組、及び3a、3bの組がそれぞれ接続されている。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ1a、1bの組(第2のスイッチ)を介して母線15に接続され、V相端子は、スイッチ2a、2bの組(第2のスイッチ)を介して母線15に接続され、W相端子は、スイッチ3a、3bの組(第3のスイッチ)を介して母線15に接続されている。
【0013】
同様に、母線16と、モータ17の各相の端子間には、双方向の導通を制御可能なスイッチ4a、4bの組(第1のスイッチ)、5a、5bの組(第1のスイッチ)、及び6a、6bの組(第1のスイッチ)がそれぞれ接続されている。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ4a、4bの組を介して母線16に接続され、V相端子は、スイッチ5a、5bの組を介して母線16に接続され、W相端子は、スイッチ6a、6bの組を介して母線16に接続されている。
【0014】
更に、母線14と、母線15の間には平滑コンデンサ12が設けられ、母線15と、母線16の間には平滑コンデンサ13が設けられている。
【0015】
このように構成される電力変換器8の出力端子に生じる電位は、第1の直流電源10の電圧をVdc1、第2の直流電源11の電圧をVdc2とし、モータ17のU相端子に着目すると、以下のように考えることができる。
【0016】
図3は、スイッチ1a、1bの組が共にオフ、スイッチ4bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、2つの直流電源10、11を直列に接続した場合に生じる電圧(Vdc1+Vdc2)に基づき、スイッチ4aと7aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図3において、点線で囲むスイッチ1a、1bは、オフ状態であることを示している。
【0017】
他方、図4は、スイッチ4a、4bの組が共にオフ、スイッチ1bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、第1の直流電源10の電圧Vdc1に基づき、スイッチ1aと7aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図4において、点線で囲むスイッチ4a、4bは、オフ状態であることを示している。
【0018】
また、図5は、スイッチ7aがオフで、スイッチ1a、4bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、第2の直流電源11の電圧Vdc2に基づき、スイッチ1bと4aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図5において、点線で囲むスイッチ7aは、オフ状態であることを示している。
【0019】
これらの動作は、他の相(V相、W相)の端子についても、同様に考えることができ、2つの直流電源10,11を同時に利用して、または片方のみを利用して、モータ17を駆動することができる。
【0020】
また、図1に示すように、電力変換器8は制御装置4に接続されている。該制御装置4は、トルク制御手段4-1と、電流制御手段4-2と、dq/3相変換手段4-3と、電力配分オフセット手段4-4と、PWMパルス生成手段4-5、及び3相/dq変換手段4-7を備えている。
【0021】
トルク制御手段4-1は、外部より与えられるトルク指令、及びモータ17の回転速度に基づいて、モータ17のd軸電流の指令値id*と、q軸電流の指令値iq*を演算する。このd軸電流の指令値id*、q軸電流の指令値iq*は、電流制御手段4-2に出力される。
【0022】
電流制御手段4-2は、dq軸電流指令値id*、iq*と、dq軸電流値id、iqに基づいて、これらを一致させるための電圧指令値vd*、vq*を演算する。ここで、dq軸電流値id、iqは、3相/dq変換手段4-7により、3相電流iu、ivから求められる。
【0023】
dq/3相変換手段4-3は、dq軸電圧指令値vd*、vq*を、3相の電圧指令vu、vv、vwに変換する。これらの電圧指令vu、vv、vwは、電圧配分オフセット手段4-4に出力される。
【0024】
電力配分オフセット手段4-4は、本発明の特徴的な構成であり、第1の直流電源10からモータ17に供給する電力Paと、第2の直流電源11からモータ17に供給する電力Pbの分配目標値に応じて、各電圧指令vu,vv,vwをオフセットし、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdを生成する。詳細は後述する。
【0025】
PWMパルス生成手段4-5は、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdに基づいて電力変換器8に設けられる各半導体スイッチ(図2参照)をオン、オフ操作するためのPWMパルスを生成する。
【0026】
次に、図6を参照して、図1に示した電力配分オフセット手段4-4の詳細について説明する。図6に示すように、電力配分オフセット手段4-4は、最終電力配分指令生成手段5-1を備え、各電圧指令vu,vv,vwに対して、最終電力配分指令(後述)、及び第1の直流電源10の電圧(Vdc1)を加算することにより、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdを生成して出力する。
【0027】
次に、図9を参照して、図6に示した最終電力配分指令生成手段5-1の詳細について説明する。図9に示すように、最終電力配分指令生成手段5-1は、基本電力配分指令生成手段6-2、及び最終電力配分指令出力手段6-3を備え、dq軸電流指令値id*,iq*、dq軸電圧指令vd*,vq*、第1電源配分割合rto_vdc1、各相の電流iu,iv,iw、各電圧指令vu,vv,vwに基づいて、最終電力配分指令を出力する。
【0028】
基本電力配分指令生成手段6-2は、第2の直流電源11の出力電力と、第2の直流電源11の電源電力指令Pdc2_cmdが略同一となるように、基本電力配分指令Pdist_basisを生成する。
【0029】
U、V、Wの各相電流iu,iv,iw、及び各相の電圧指令vu,vv,vw、基本電力配分指令Pdist_basisと、第2の直流電源11の電源電力指令値Pdc2_cmdの関係式を、次の(1)式に示し、これを変形して(2)式が得られる。
【数1】
【0030】
ここで、第2の直流電源11の電力配分指令をPdist_cmdとすると、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと(vu−Pdist_cmd)≧0のときである(そうでない場合には、第1の直流電源10のみによる電圧供給となる)。そのため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0とする。
【0031】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0という条件下で、上述した(2)式により、基本電力配分指令Pdist_basisを求め、出力する。
【0032】
このようにすることで、電源電力指令Pdc2_cmd、各相の電流iu,iv,iw、電圧指令vu,vv,vwに基づき、制御を行う時点での最新情報より逐次計算を行って、基本電力配分指令Pdist_basisを生成するので、瞬時毎の電力配分を高精度に行うことができる。
【0033】
図9に示す最終電力配分指令出力手段6−3は、入力された基本電力配分指令Pdist_basisを最終電力配分指令として出力する。こうして求めた最終電力配分指令Pdist_basisを出力することにより、図6に示す電力配分オフセット手段4-4にて、各相の電圧指令vu,vv,vwにPdist_basisを加算して、補正した電圧指令vu*,vv*,vw*を生成する。更に、第1の直流電源の出力電圧Vdc_1を加算して、各相の出力電圧指令vu_cmd、vv_cmd、vw_cmdを求める。図1に示すPWMパルス生成手段4-5は、この出力電圧指令vu_cmd、vv_cmd、vw_cmdに基づいてPWMパルスを生成するので、モータ17に供給される直流電力の脈動を抑えることができる。
【0034】
次に、図1に示したPWMパルス生成手段4-5の動作を、図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。同図に示すように、PWMパルス生成手段4-5は、上段三角波(同図(a)参照)と、この上段三角波とは位相が180度異なる下段三角波(同図(b)参照)を出力可能である。下段三角波の振幅は、第1の直流電源10の電圧V_dc1と等しく、上段三角波の振幅は第2の直流電源11の電圧V_dc2と等しい。これら三角波の底辺及び頂点は、図2に示した各母線14,15,16の電位に相当している。即ち、下段三角波の底辺の電位は母線14の電位に対応し、上段三角波の底辺(下段三角波の頂点)の電位は母線15の電位に対応し、上段三角波の頂点の電位は母線16の電位に対応している。なお、上段三角波と下段三角波には、位相差を設けずとも、同様な電位切替動作が可能である。
【0035】
図7は、U相の各半導体スイッチ1a、1b、4a、4b、7aのみを記載した回路図であり、上段、下段の各三角波と、出力電圧指令vu_cmdとの比較の結果、各半導体スイッチのオン、オフの状態を、次のような考えに基づいて行う。
【0036】
まず、第1の直流電源10のみで構成するインバータ回路を、下段三角波と出力電圧指令vu_cmdとの比較で駆動する場合を考える。図7に示すスイッチ1bはオン、4aはオフの状態であり、半導体スイッチ1aと7aのオン、オフ操作を、次の(1)、(2)のように決定する。
【0037】
(1)(出力電圧指令)<(下段三角波)の場合に、1aをオフ、7aをオン、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0038】
(2)(出力電圧指令)>(下段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0039】
次に、第2の直流電源11のみで構成するインバータ回路を、上段三角波と出力電圧指令との比較で駆動する場合を考える。スイッチ1aはオン、7aはオフの状態であり、スイッチ1bと4aのオン、オフ操作を、次の(3)、(4)のように決定する。
【0040】
(3)(出力電圧指令)<(上段三角波)の場合に、4aをオフ、1bをオン、4bをオフ、1aをオン、7aをオフとする。
【0041】
(4)(出力電圧指令)>(上段三角波)の場合に、4aをオン、1bをオフ、4bをオン、1aをオン、7aをオフとする。
【0042】
上記の各三角波との比較をまとめると、次の(5)〜(7)に示す如くのスイッチの選択方法を取得することができる。
【0043】
(5)(出力電圧指令)<(下段三角波)の場合に、1aをオフ、7aをオン、1bをオン、4aをオフとする。
【0044】
(6)(下段三角波)<(出力電圧指令)<(上段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0045】
(7)(出力電圧指令)>(上段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオフ、4aをオン、4bをオンとする。
【0046】
図8の(c)〜(g)は、U相の各半導体スイッチのオン、オフ動作を示すタイミングチャートであり、上記した条件によりオン、オフ動作している。
【0047】
図26、図27は、相電圧指令(vu、vv、vw)、及び補正した相電圧指令(vu*、vv*、vw*)の変化と、最終電力配分指令の変化を示す特性図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0048】
このようにして、第1実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力を、ある一定期間の平均電力は電源電力指令値に追従させながら、瞬時の電源電力を変化させることができる。
【0049】
また、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時瞬時の電力配分を指令値と等価とすることができる。また直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱する荷を抑えることができる。
【0050】
更に、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に基づいて最終電力配分指令値を変化させるため、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に依存する電力脈動を抑えることができる。また、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に依存する電力脈動に合わせて最終電力配分指令値を変化させるので、電力脈動量を高効率に大きくすることができる。
【0051】
また、電源電力指令値と相電流値、電力指令値より基本電力配分指令値を生成するので、瞬時値を用いて基本電力配分指令値を生成することができる。
【0052】
このように、基本電力配分指令を生成して出力することで、第1の直流電源10及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように、最終電力配分指令(本実施形態では、基本電力配分指令Pdist_basisと同一)を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動を小さく抑えることができる。その結果、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。図10は、第2実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図10に示すように、第2実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した図9と対比して、基本電力配分指令生成手段6-2と、最終電力配分指令出力手段6-3との間に、基本電力配分指令制限手段6-4を追加した構成となっている。
【0054】
図10に示す基本電力配分指令生成手段6-2は、第2の直流電源11の出力電力(Pdc1)と、第2の直流電源11の電源電力指令(Pdc2_cmd)がほぼ同一とになるように、基本電力配分指令を生成する。具体的には、各相の相電流iu,iv,iwと、各相の電圧指令vu,vv,vwと、前回の基本電力配分指令(Pdist_basis_the_last)と、に基づいて直流の電力脈動を推定し、基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成する。
【0055】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_basis_the_last)≧0のときである。そのため、(vu−Pdist_basis_the_last)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。
【0056】
同様に、(vv−Pdist_basis_the_last)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_basis_the_last)<0のときは、iw=0とする。
【0057】
その上で、次の(3)式より、第2の直流電源11の直流推定電力(Pdc2_est)を生成する。
【0058】
Pdc2_est=iu×(vu−Pdist_basis_the_last)
+iv×(vv−Pdist_basis_the_last)
+iw×(vw−Pdist_basis_the_last) …(3)
そして、次の(4)式により、第2の直流電源11の直流推定電力(Pdc2_est)と、第2の直流電源11の電源電力指令値(Pdc2_cmd)の差を、推定電力脈動(Pmotion_est)とする。
【0059】
Pmotion_est=Pdc2_est−Pdc2_cmd …(4)
その後、推定電力脈動(Pmotion_est)、モータトルク、モータ回転数、及びモータ回転角を軸に取ったマップ(図示省略)を参照することにより、今回の基本電力配分指令と前回の基本電力配分指令との差分を算出し、この差分を前回の基本電力配分指令(Pdist_basis_the_last)に加算することで、今回の基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成する。
【0060】
こうして予め推定電力脈動(Pmotion_est)を推定することにより、基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成することができる。生成した基本電力配分指令(Pdist_basis)は、基本電力配分指令制限手段6-4に出力される。
【0061】
基本電力配分指令制限手段6-4は、各相の電圧指令(vu,vv,vw)と、直流電源電圧(Vdc1,Vdc2)に基づいて、基本電力配分指令の上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を生成し、基本電力配分指令に制限を加えて制限手段出力を出力する。
【0062】
次に、図10に示した基本電力配分指令制限手段6-4の詳細について、図11を参照して説明する。
【0063】
上限(upper_limit)の生成方法は、次の(5)式により、第2の直流電源の電圧(Vdc2)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最大値MAX(vu,vv,vw)の差を、上限(upper_limit)とする。
【0064】
upper_limit=Vdc2−MAX(vu,vv,vw) …(5)
下限(lower_limit)の生成方法は、次の(6)式により、第1の直流電源の電圧(Vdc1)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最小値MIN(vu,vv,vw)の和のマイナスを下限(lower_limit)とする。
【0065】
lower_limit=−Vdc1−MIN(vu,vv,vw) …(6)
そして、上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を上記(5)、(6)式のように定め、基本電力配分指令に制限を加えた信号を、制限手段出力として最終電力配分指令出力手段6-3に出力する。このようにすることで、モータ17の駆動を安定させながら、電力配分を行うことができる。
【0066】
図10に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、入力された制限手段出力を、最終電力配分指令として出力する。
【0067】
このようにして、第2実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、予め電力脈動の値を推定することで、脈動値と電源電力指令値より予め定めた値を生成することができる。また、求めた基本電力配分指令値に制限を加えることによって、モータの駆動を安定させながら電力配分を行うことができる。
【0068】
更に、制限手段を通過した基本電力配分指令値を出力することによってモータへ電力は安定させた状態で直流電力の脈動を抑えることが出来る。
【0069】
こうして、モータ17の駆動を安定させながら、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑制するように、最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0071】
図12は、第3実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図12に示すように、第3実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した図9と対比して、基本電力配分指令生成手段6-2と、最終電力配分指令出力手段6-3との間に、基本電力配分指令制限手段6-4を追加し、更に、電源電力指令出力手段6-1、及び、電力指令補正値生成手段6-5が追加された構成となっている。
【0072】
図13は、図12に示す電源電力指令出力手段6-1の詳細な構成を示すブロック図である。図示のように、該電源電力指令出力手段6-1は、まず、次の(7)式によりモータ17の電力(Pm)を計算する。
【0073】
Pm=id*×vd*+iq*×vq* …(7)
更に、モータ電力(Pm)、配分割合(rto_vdc1)、及び電力指令補正値(Pdc_cmp)に基づき、次の(8)、(9)式により、各直流電源10,11の電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を計算し出力する。
【0074】
Pdc1_cmd=Pm×rto_vdc1+Pdc_cmp …(8)
Pdc2_cmd=Pm−Pdc1_cmd …(9)
図12に示す基本電力配分指令生成手段6-2は、前述した第2実施形態で説明した図10と同様の動作を行う。
【0075】
図12に示す基本電力配分指令制限手段6-4は、前述した第2実施形態で説明した図10の構成に、リミット信号の出力を加えたものである。リミット信号とは、基本電力配分指令が、基本電力配分指令制限手段6-4の上限値を上回ったとき、及び、下限値を下回ったときにそれぞれ出力される信号である。
【0076】
図12に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、図10に示したものと同様である。
【0077】
次に、図12に示した電力指令補正値生成手段6-5の詳細を説明する。該電力指令補正値生成手段6-5は、基本電力配分指令制限手段6-4よりリミット信号を受けとった場合に、電力指令補正値を生成し、基本電力配分指令制限手段6-4にて基本電力配分指令が制限を受けない領域へ移行する処理を行う。
【0078】
そして、上限を上回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、電圧Vdc2、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより、電力指令補正値を出力する。
【0079】
他方、下限を下回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、電圧Vdc1、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより、電力指令補正値を出力する。
【0080】
このようにして、第3実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、基本電力配分が制限を受けた場合に、電力電力指令値を制限受けない範囲へ補正を行うため、直流電力脈動を最大限抑えることが出来る範囲へ移行させることができる。
【0081】
即ち、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4で制限を受けた場合に、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4で制限を受けない範囲となるように電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を補正するため、直流電力脈動を最大限抑えた状態で電力配分を行うことができる。
【0082】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0083】
図14は、第4実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図14に示すように、第4実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第2実施形態で示した図10と対比して、補正電力配分指令出力手段6-6が追加された構成となっている。
【0084】
基本電力配分指令生成手段6-2は、前述した第2実施形態で示した図10の構成と同様に動作する。
【0085】
基本電力配分指令制限手段6-4は、第2実施形態で示した図10の構成に、リミット信号の出力を加えた構成となっている。リミット信号とは、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4の上限値を上回ったとき、及び下限値を下回ったときに、それぞれ出力される信号である。
【0086】
補正電力配分指令出力手段6-6は、上記のリミット信号が入力されたときに、基本電力配分指令制限手段6-4が基本電力配分指令を制限していない区間で、制限を受けた区間の電力変化分を補うように補正電力配分指令を生成する。
【0087】
次に、図15を参照して、補正電力配分指令出力手段6-6の詳細について説明する。図15に示すように、補正電力配分指令出力手段6-6は、電力配分補正値生成手段7-1と、補正電力配分指令生成手段7-2を備える。
【0088】
電力配分補正値生成手段7-1では、電力配分補正値を生成し、この電力配分補正値を制限手段出力と加算した後、中間電力配分指令として、補正電力配分指令生成手段7-2に出力する。その後、補正電力配分指令生成手段7-2において、補正電力配分指令を生成する。
【0089】
以下、電力配分補正値生成手段7-1の詳細について、図16を参照して説明する。電力配分補正値生成手段7-1は、第1の直流電源10の電力Pdc1と、電力指令Pdc1_cmdの差分をとり、フィードバック制御を行い電力配分補正値を生成する。このとき、リミット信号と回転角センサが電力配分補正値生成のオン、オフの切り替えを行う。
【0090】
まず、第1の直流電源10の出力電流(Idc1)、電圧(Vdc1)に基づいて、第1の直流電源10の電力(Pdc1)を生成する。その後、次の(10)式により電力指令(Pdc1_cmd)との差分(Pdc1_err)を求め、PI制御を行う。
【0091】
Pdc1_err=Pdc1_cmd−(Idc1×Vdc1) …(10)
リミット信号を受け取ったときにPI制御を開始し、最後にリミット信号を受け取った時点から少なくとも相電流の1/3周期以上(相数にnを乗じた値をYとした場合、1/Y周期以上)リミット信号を受け取らないとき、PI制御を終了し、PI制御の内部変数をリセットする。なお、相電流の1/3周期は、回転角センサから読み取る。
【0092】
このようにすることで、新たなセンサを追加することなくPI制御のオン、オフを制御することができる。
【0093】
また、モータ17の相電流の周期の1/3周期以上、基本電力配分指令が前記基本電力配分指令制限手段6-4による制限を受けなくなったときに、フィードバック制御を終了することにより、フィードフォワード領域を大きくすることができるので、指令値の高速変化に対する追従性を高めることができる。
【0094】
次に、図15に示した補正電力配分指令生成手段7-2の詳細な構成を、図17を参照して説明する。該補正電力配分指令生成手段7-2の動作は、図14に示した基本電力配分指令制限手段6-4とほぼ同様である。即ち、各相の電圧指令(vu,vv,vw)と、各直流電源10,11の電圧(Vdc1,Vdc2)に基づいて、基本電力配分指令の上限(upper_limit)、及び下限(lower_limit)を生成し、中間電力配分指令に制限を加え、補正電力配分指令を出力する。
【0095】
次の(11)式に示すように、上限(upper_limit)の生成方法は、第2の直流電源の電圧(Vdc2)と、各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最大値の差を、上限(upper_limit)とする。
【0096】
upper_limit=Vdc2−MAX(vu,vv,vw) …(11)
下限(lower_limit)の生成方法は、次の(12)式により、第1の直流電源の電圧(Vdc1)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最小値MIN(vu,vv,vw)の和のマイナスを下限(lower_limit)とする。
【0097】
lower_limit=−Vdc1−MIN(vu,vv,vw) …(12)
そして、上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を(11)、(12)式のように定め、中間電力配分指令に制限を加えた指令を、補正電力配分指令として出力する。
【0098】
次に、図14に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、入力された補正電力配分指令を、最終電力配分指令として出力する。
【0099】
このようにして、第4実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、制限手段により制限を受けた場合に、制限を受けてない時間で電力配分量を補うように補正を行うため、瞬時の電力が電源電力指令値に追従しない場合であっても、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は指令値と等価とすることができる。また、補正電力配分指令値を出力することによって、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は電源電力指令値と等価とすることができる。
【0100】
更に、モータ17の相電流の周期をモータ回転角より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。
【0101】
即ち、基本電力配分指令制限手段6-4により制限を受けた場合に、制限を受けてない時間で電力配分量を補うように補正を行うため、瞬時の電力が電源電力指令値に追従しない場合であっても、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は指令値と等価とすることができる。
【0102】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0103】
図18は、第5実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図18に示すように、第5実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第3実施形態で示した図12と対比して、補正電力配分指令出力手段6-6、及び選択手段6-7が新たに追加された構成となっている。
【0104】
図18に示す電源電力指令出力手段6-1、基本電力配分指令生成手段6-2、基本電力配分指令制限手段6-4、最終電力配分指令出力手段6-3は、それぞれ前述した第3実施形態(図12)と同様に動作する。
【0105】
選択手段6-7は、電源の状態に応じて、各直流電源の出力電力の電気角一周期の平均が電源電力指令値に追従するように、補正を行い出力する補正電力配分指令出力手段6-6を選択するか、或いは、基本電力配分指令制限手段6-4で基本電力配分指令が制限を受けない範囲に電源電力指令に補正を加える電力指令補正値生成手段6-5を選択するか、のいずれか一方を選択する。該選択手段6-7は、各直流電源10,11の充電状態SOC(State of charge)に基づいて、どちらを選択するかを切り替える。
【0106】
具体的には、一方の直流電源10のSOCが低く、該直流電源10の電力配分が大きくされるとモータ駆動の継続が困難になる場合には、補正電力配分指令出力手段6-6を選択する。それ以外の状態では、電力指令補正値生成手段6-5を選択する。
【0107】
このようにすることで、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するか選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能となる。また、各直流電源10,11の充電量の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令を優先するかを選択するので、一方の直流電源の充電量が少ない場合であっても、電源電力指令を優先させることにより出力を継続することが可能となる。
【0108】
次に、図18に示した補正電力配分指令出力手段6-6の詳細を、図19を参照して説明する。図19に示すように、補正電力配分指令出力手段6-6は、電力配分補正値生成手段7-1と、補正電力配分指令生成手段7-2を備えている。
【0109】
電力配分補正値生成手段7-1で電力配分補正値を生成し、この電力配分補正値を制限手段出力と加算した後、補正電力配分指令生成手段7-2に出力する。その後、補正電力配分指令生成手段7-2にて、補正電力配分指令を生成する。
【0110】
次に、図20を参照して、電力配分補正値生成手段7-1について説明する。電力配分補正値生成手段7-1は、第1の直流電源10の電力(Pdc1)と、電源電力指令(Pdc1_cmd)の差分をとりフィードバック制御を行って、電力配分補正値を生成する。このとき、リミット信号とU相の電流(iu)、選択手段6-7の選択結果(selecter)が、電力配分補正値生成のオン、オフの切り替えを行う。
【0111】
まず、第1の直流電源10の出力電流(Idc1)と、電圧(Vdc1)に基づいて、第1の直流電源の電力(Pdc1)を生成する。その後、次の(13)式により、第1の直流電源10の出力電力指令(Pdc1_cmd)との差分(Pdc1_err)を演算してPI制御を行う。
【0112】
Pdc1_err=Pdc1_cmd−(Idc1×Vdc1) …(13)
選択結果(selecter)が、補正電力配分指令出力手段6-6の選択を示しており、且つリミット信号を受け取ったときにPI制御を開始し、最後にリミット信号を受け取った時点から少なくとも相電流の1/3周期以上リミット信号を受け取らないとき、PI制御を終了し、PI制御の内部変数をリセットする。相電流の1/3周期は、相電圧指令(vu)から読み取ることができる。
【0113】
選択結果(Selecter)が電力指令補正値生成手段6-5の選択を示しているときは、PI制御を行わず補正電力配分指令は0を出力する。
【0114】
このようにすることで、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能である。また、相電流に応じて制御のオン、オフを切り換えるので、新たなセンサを取り付ける必要がない。
【0115】
図18に示す電力指令補正値生成手段6-5は、選択手段6-7の選択結果(selecter)が電力指令補正値生成手段6-5の選択を示しており、且つ、基本電力配分指令制限手段6-4よりリミット信号を受けとった場合に、電力指令補正値を生成し、基本電力配分指令制限手段6-4で、基本電力配分指令が制限を受けない領域へ移行させる。
【0116】
そして、上限を上回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、Vdc2、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより電力指令補正値を出力する。
【0117】
他方、下限を下回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、Vdc1、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより電力指令補正値を出力する。
【0118】
また、選択手段6-7の選択結果(selecter)が補正電力配分指令出力手段6-6の選択を示しているときには、電力指令補正値は0を出力する。
【0119】
このようにして、第5実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、フィードバック制御を、モータ17の相数にnを乗じた値をYとすると、モータ17の相電流の周期の1/Y周期以上前記基本電力配分指令制限手段によって前記基本電力配分指令が制限を受けなくなったときに、やめることによって、フィードフォワード領域を大きくすることができるため、指令値の高速変化に対する追従性を高めることが出来る。
【0120】
また、モータ17の相電流の周期を各相電流値より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。更に、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するか選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能である。また、電源の充電量の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するかを選択するので、一方の電源が充電量が少ない場合であっても電源電力指令値を優先させることにより出力を継続することが可能である。
【0121】
こうして、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0122】
更に、各直流電源10,11の充電量(SOC)の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択するので、一方の直流電源の充電量が少ない場合であっても、電源電力指令値を優先させることにより出力を継続することが可能となる。
【0123】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0124】
図21は、第6実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図21に示すように、第6実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第5実施形態で示した図18と対比して、選択手段6-7の構成が相違する。更に、補正電力配分指令出力手段6-6に入力される3相電流(iu)が割愛されている点で相違する。
【0125】
また、図22は、図21に記載した補正電力配分指令出力手段6-6の詳細を示すブロック図であり、前述した図19と対比して、電力配分補正値生成手段7-1に入力される信号が、3相電流(iu)から電圧(vu)に変更された点で相違している。
【0126】
更に、図23は、図20に記載した電力配分補正値生成手段7-1の詳細を示すブロック図であり、「PI」に入力される信号が、3相電流(iu)から電圧(vu)に変更された点で相違している。
【0127】
以下、第6実施形態に係る選択手段6-7について説明する。選択手段6-7は、各直流電源の状態に応じて、各直流電源の出力電力の電気角一周期の平均が電源電力指令値に追従するように、補正を行い出力する補正電力配分指令出力手段6-6を選択するか、或いは、基本電力配分指令制限手段6-4で基本電力配分指令が制限を受けない範囲に電源電力指令に補正を加える電力指令補正値生成手段6-5を選択するか、のいずれか一方を選択する。
【0128】
該選択手段6-7は、各直流電源10,11の温度(Tdc1,Tdc2)に基づいて、どちらを選択するかを切り替える。ここでの切り替えは、少なくともいずれか一方の直流電源の温度が閾値を超えた場合には、常に電力指令補正値生成手段6-5を選択する。これ以外の場合には、補正電力配分指令出力手段6-6を選択する。
【0129】
このようにして、第6実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、モータ17の相電流の周期を各相電圧指令値より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。また、電源の温度の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するかを選択するので、電源が高温になっている場合は直流電力脈動抑制を優先させることにより電源の温度上昇を保護し劣化を防ぐことが可能である。
【0130】
こうして、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0131】
更に、各直流電源10,11の温度状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択するので、少なくとも一方の直流電源が高温になっている場合は、直流電力脈動抑制を優先させることにより直流電源の温度上昇を保護し、劣化を防ぐことができる。
【0132】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0133】
図24は、第7実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図24に示すように、第7実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、電源電力指令出力手段6-1、基本電力配分指令生成手段6-2、及び最終電力配分指令出力手段6-3を備えている。
【0134】
最終電力配分指令出力手段6-3は、前述した第1実施形態(図9)と同様に動作する。
【0135】
図25は、図24に示す電源電力指令出力手段6-1の詳細な構成を示すブロック図である。図示のように、該電源電力指令出力手段6-1は、まず、次の(14)式によりモータの電力(Pm)を計算する。
【0136】
Pm=id*×vd*+iq*×vq* …(14)
更に、モータ電力(Pm)、及び配分割合(rto_vdc1)に基づき、次の(15)、(16)式により、各直流電源10,11の電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を計算し出力する。
【0137】
Pdc1_cmd=Pm×rto_vdc1 …(15)
Pdc2_cmd=Pm−Pdc1_cmd …(16)
次に、図24に示す基本電力配分指令生成手段6-2について説明する。該基本電力配分指令生成手段6-2は、各直流電源10,11の温度を条件として、第2の直流電源11の出力電力と、第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)が瞬時値でほぼ同一となるように、相電流の3倍の周波数(モータ17の相電流周波数をαとし、モータ17の相数にnを乗じた値をβとしたとき、α×βとなる周波数)で変化する基本電力配分指令を生成するか、或いは、電気角一周期の平均電力がほぼ同一となるように一定値の基本電力配分指令を生成するか、或いは、直流の電力脈動を大きくするように基本電力配分指令を生成するか、のうちのいずれかを選択して指令を生成する。
【0138】
[条件1]
前述の温度条件として、少なくともいずれか一方の直流電源の温度がA度以下、B度以上(A>B)であり、直流電源の能力を十分に発揮できない場合には、電気角一周期の平均電力がほぼ同一となるように一定値の基本電力配分指令を生成する。以下に、この条件での基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0139】
基本電力配分指令は、電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)、トルク指令、モータ17の回転数を入力として、基本電力配分指令のテーブル(図示省略)を参照することによって生成する。
【0140】
[条件2]
少なくともいずれか一方の直流電源の温度がB度以下であるか、或いは急速にいずれか一方の直流電源の温度上昇が必要である場合には、直流の電力脈動を増幅させるように相電流の3倍の周波数で変化する基本電力配分指令を生成する。以下に、基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0141】
相電流値(iu,iv,iw)、相電圧指令値(vu,vv,vw)、基本電力配分指令(Pdist_basis)、と第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)の関係式を、次の(17)、(18)式に示す。
【0142】
Pdc2_cmd=iu×(vu−Pdist_basis)
+iv×(vv−Pdist_basis)
+iw×(vw−Pdist_basis) …(17)
【数2】
【0143】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_cmd)≧0のときである。このため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。
【0144】
同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0とする。
【0145】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0、という条件と、更に、直流電力の脈動が大きくなるように、且つ平均電力が電力指令値(Pdc2_cmd)となるように、周期的に変化するPdc2_ripuru加えて、次の(19)式により、Pdist_basisを求める。
【数3】
【0146】
[条件3]
直流電源の温度がA度以上である場合には、直流の電力脈動を抑えるように相電流の3倍の周波数で変化する基本電力配分指令を生成する。以下に、基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0147】
相電流(iu,iv,iw)、各相の電圧指令(vu,vv,vw)、基本電力配分指令(Pdist_basis)と、第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)の関係式を、次の(20)、(21)式に示す。
【0148】
Pdc2_cmd=iu×(vu−Pdist_basis)
+iv×(vv−Pdist_basis)
+iw×(vw−Pdist_basis) …(20)
【数4】
【0149】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_cmd)≧0のときである。そのため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないのでiu=0とする。
【0150】
同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0とする。
【0151】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0、という条件下で、次の(22)式により、Pdist_basisを求めて出力する。
【数5】
【0152】
このようにして、本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、電気角一周期の平均は電力指令値と等価としながら第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を増幅させるように最終電力配分指令を変化させるので、直流電力の脈動が大きくなり、直流電流の脈動も大きくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源を発熱を促すことができる。寒冷地での電源の温度上昇を促すことよって電源の持つ能力を発揮することが可能となる。
【0153】
また、制御を行う時点で最新の情報より逐次計算を行うので瞬時瞬時の電力配分を高精度に行うことができる。更に、求めた基本電力配分指令値を出力することによって直流電力の脈動を抑えることが出来る。
【0154】
また、電源の温度がある値以下であったとき大きな電力脈動を起こし、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。更に、電源の温度がある値以下であったとき電力脈動を起こし、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。
【0155】
こうして、電力脈動を意図的に作る出すことが可能となる。電源の温度がある値以下であったとき電力脈動を起こし(脈動を増加させ)、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。
【0156】
以上、本発明の電力変換装置の制御方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、複数の直流電源より出力される電力を脈動させずにモータに供給して駆動することに利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1a,1b 半導体スイッチ
2a,2b 半導体スイッチ
3a,3b 半導体スイッチ
4a,4b 半導体スイッチ
5a,5b 半導体スイッチ
6a,6b 半導体スイッチ
7a,8a,9a 半導体スイッチ
7b,8b,9b ダイオード
4 電力変換装置の制御器
8 電力変換器
10 第1の直流電源
11 第2の直流電源
12,13 平滑コンデンサ
14 母線
15 母線
16 母線
17 3相交流モータ
4-1 トルク制御手段
4-2 電流制御手段
4-3 dq/3相変換手段
4-4 電力配分オフセット手段
4-5 PWMパルス生成手段
4-7 3相/dq変換手段
5-1 最終電力配分指令生成手段
6-1 電源電力指令出力手段
6-2 基本電力配分指令生成手段
6-3 最終電力配分指令出力手段
6-4 基本電力配分指令制限手段
6-5 電力指令補正値生成手段
6-6 補正電力配分指令出力手段
6-7 選択手段
7-1 電力配分補正値生成手段
7-2 補正電力配分指令生成手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置の制御方法に係り、特に、直流電力の脈動を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、DC/DCコンバータを介さずに燃料電池とバッテリーの組み合わせに限らず、複数の電源電力を利用・配分し、全体の設置スペースを削減し、電力損失を低減可能な電力変換器の制御方法が、特開2006−121812号公報(特許文献1)に示されている。該特許文献1には、オフセット量を調節して電力配分を行うことを目的としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−121812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された制御方法においては、電力の配分割合が一定である場合、オフセット量も一定であったため、複数の電源が出力する直流電力が脈動するという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、複数の電源が出力する直流電力を脈動させずに、電力の配分を行いながらモータを駆動する電力変換器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、第1の直流電源、及び第2の直流電源の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、最終電力配分指令に、前記各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップと、最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、前記第1,第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、前記第2、第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、を備える。そして、最終電力配分指令を変化させる周期を、前記電源電力指令値が変化する周期よりも短くする。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、第1の直流電源、及び第2の直流電源の出力電力を、ある一定期間の平均電力は電源電力指令値に追従させながら、瞬時の電源電力を変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の回路図である。
【図3】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図4】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図5】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチのオン、オフ状態の一例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る電力変換装置の、電力配分オフセット手段の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、U相のスイッチ構成を示す示す説明図である。
【図8】本発明に係る電力変換装置に用いられる電力変換器の、出力電圧指令値の三角波比較によるU相スイッチのオン、オフ動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の、基本電力配分指令制限手段の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の、電源電力指令値出力手段の構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図19】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の第5実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、補正電力配分指令出力手段の構成を示すブロック図である。
【図23】本発明の第6実施形態に係る電力変換装置の、電力配分補正値生成手段の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の、最終電力配分指令生成手段の構成を示すブロック図である。
【図25】本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の、電源電力指令値出力手段の構成を示すブロック図である。
【図26】最終電力配分指令の一例を示す特性図である。
【図27】最終電力配分指令の一例を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る制御方法が適用される電力変換装置の構成を示すブロック図、図2は、該電力変換装置に設けられる電力変換器8及びその周辺機器の構成を示す回路図である。図2に示す電力変換器8は、互いに直列に接続された第1の直流電源10、及び第2の直流電源11を有し、これらの直流電源10,11より出力する電力を変換して3相交流モータ17に供給し、該モータ17を駆動する機能を備える。即ち、該電力変換器8の負荷は、3相交流モータ17(以下、単に「モータ」と称する)である。
【0010】
図2に示すように、第1の直流電源10のマイナス側端子は母線14に接続され、第2の直流電源11のプラス側端子は母線16に接続され、更に、第2の直流電源11のマイナス側端子と、第1の直流電源10のプラス側端子が共通の母線15に接続されている。
【0011】
また、母線14と、モータ17の各相(U、V、W相)の端子間には、一般的に知られている3相インバータの下アームと同様に、半導体スイッチ7a,8a,9a(第3のスイッチ;以下、単に「スイッチ」と称する)とダイオード7b,8b,9bの組が接続される。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ7aとダイオード7bの組を介して母線14に接続され、V相端子は、半導体スイッチ8aとダイオード8bの組を介して母線14に接続され、W相端子は、半導体スイッチ9aとダイオード9bの組を介して母線14に接続されている。
【0012】
更に、母線15と、モータ17の各相の端子間には、双方向の導通を制御可能なスイッチ1a、1bの組、2a、2bの組、及び3a、3bの組がそれぞれ接続されている。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ1a、1bの組(第2のスイッチ)を介して母線15に接続され、V相端子は、スイッチ2a、2bの組(第2のスイッチ)を介して母線15に接続され、W相端子は、スイッチ3a、3bの組(第3のスイッチ)を介して母線15に接続されている。
【0013】
同様に、母線16と、モータ17の各相の端子間には、双方向の導通を制御可能なスイッチ4a、4bの組(第1のスイッチ)、5a、5bの組(第1のスイッチ)、及び6a、6bの組(第1のスイッチ)がそれぞれ接続されている。即ち、モータ17のU相端子は、スイッチ4a、4bの組を介して母線16に接続され、V相端子は、スイッチ5a、5bの組を介して母線16に接続され、W相端子は、スイッチ6a、6bの組を介して母線16に接続されている。
【0014】
更に、母線14と、母線15の間には平滑コンデンサ12が設けられ、母線15と、母線16の間には平滑コンデンサ13が設けられている。
【0015】
このように構成される電力変換器8の出力端子に生じる電位は、第1の直流電源10の電圧をVdc1、第2の直流電源11の電圧をVdc2とし、モータ17のU相端子に着目すると、以下のように考えることができる。
【0016】
図3は、スイッチ1a、1bの組が共にオフ、スイッチ4bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、2つの直流電源10、11を直列に接続した場合に生じる電圧(Vdc1+Vdc2)に基づき、スイッチ4aと7aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図3において、点線で囲むスイッチ1a、1bは、オフ状態であることを示している。
【0017】
他方、図4は、スイッチ4a、4bの組が共にオフ、スイッチ1bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、第1の直流電源10の電圧Vdc1に基づき、スイッチ1aと7aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図4において、点線で囲むスイッチ4a、4bは、オフ状態であることを示している。
【0018】
また、図5は、スイッチ7aがオフで、スイッチ1a、4bがオンの状態を示している。この場合、モータ17のU相端子の電位は、第2の直流電源11の電圧Vdc2に基づき、スイッチ1bと4aのオン、オフ操作によって動作するインバータと同等に動作させることができる。なお、図5において、点線で囲むスイッチ7aは、オフ状態であることを示している。
【0019】
これらの動作は、他の相(V相、W相)の端子についても、同様に考えることができ、2つの直流電源10,11を同時に利用して、または片方のみを利用して、モータ17を駆動することができる。
【0020】
また、図1に示すように、電力変換器8は制御装置4に接続されている。該制御装置4は、トルク制御手段4-1と、電流制御手段4-2と、dq/3相変換手段4-3と、電力配分オフセット手段4-4と、PWMパルス生成手段4-5、及び3相/dq変換手段4-7を備えている。
【0021】
トルク制御手段4-1は、外部より与えられるトルク指令、及びモータ17の回転速度に基づいて、モータ17のd軸電流の指令値id*と、q軸電流の指令値iq*を演算する。このd軸電流の指令値id*、q軸電流の指令値iq*は、電流制御手段4-2に出力される。
【0022】
電流制御手段4-2は、dq軸電流指令値id*、iq*と、dq軸電流値id、iqに基づいて、これらを一致させるための電圧指令値vd*、vq*を演算する。ここで、dq軸電流値id、iqは、3相/dq変換手段4-7により、3相電流iu、ivから求められる。
【0023】
dq/3相変換手段4-3は、dq軸電圧指令値vd*、vq*を、3相の電圧指令vu、vv、vwに変換する。これらの電圧指令vu、vv、vwは、電圧配分オフセット手段4-4に出力される。
【0024】
電力配分オフセット手段4-4は、本発明の特徴的な構成であり、第1の直流電源10からモータ17に供給する電力Paと、第2の直流電源11からモータ17に供給する電力Pbの分配目標値に応じて、各電圧指令vu,vv,vwをオフセットし、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdを生成する。詳細は後述する。
【0025】
PWMパルス生成手段4-5は、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdに基づいて電力変換器8に設けられる各半導体スイッチ(図2参照)をオン、オフ操作するためのPWMパルスを生成する。
【0026】
次に、図6を参照して、図1に示した電力配分オフセット手段4-4の詳細について説明する。図6に示すように、電力配分オフセット手段4-4は、最終電力配分指令生成手段5-1を備え、各電圧指令vu,vv,vwに対して、最終電力配分指令(後述)、及び第1の直流電源10の電圧(Vdc1)を加算することにより、出力電圧指令vu_cmd,vv_cmd,vw_cmdを生成して出力する。
【0027】
次に、図9を参照して、図6に示した最終電力配分指令生成手段5-1の詳細について説明する。図9に示すように、最終電力配分指令生成手段5-1は、基本電力配分指令生成手段6-2、及び最終電力配分指令出力手段6-3を備え、dq軸電流指令値id*,iq*、dq軸電圧指令vd*,vq*、第1電源配分割合rto_vdc1、各相の電流iu,iv,iw、各電圧指令vu,vv,vwに基づいて、最終電力配分指令を出力する。
【0028】
基本電力配分指令生成手段6-2は、第2の直流電源11の出力電力と、第2の直流電源11の電源電力指令Pdc2_cmdが略同一となるように、基本電力配分指令Pdist_basisを生成する。
【0029】
U、V、Wの各相電流iu,iv,iw、及び各相の電圧指令vu,vv,vw、基本電力配分指令Pdist_basisと、第2の直流電源11の電源電力指令値Pdc2_cmdの関係式を、次の(1)式に示し、これを変形して(2)式が得られる。
【数1】
【0030】
ここで、第2の直流電源11の電力配分指令をPdist_cmdとすると、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと(vu−Pdist_cmd)≧0のときである(そうでない場合には、第1の直流電源10のみによる電圧供給となる)。そのため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0とする。
【0031】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0という条件下で、上述した(2)式により、基本電力配分指令Pdist_basisを求め、出力する。
【0032】
このようにすることで、電源電力指令Pdc2_cmd、各相の電流iu,iv,iw、電圧指令vu,vv,vwに基づき、制御を行う時点での最新情報より逐次計算を行って、基本電力配分指令Pdist_basisを生成するので、瞬時毎の電力配分を高精度に行うことができる。
【0033】
図9に示す最終電力配分指令出力手段6−3は、入力された基本電力配分指令Pdist_basisを最終電力配分指令として出力する。こうして求めた最終電力配分指令Pdist_basisを出力することにより、図6に示す電力配分オフセット手段4-4にて、各相の電圧指令vu,vv,vwにPdist_basisを加算して、補正した電圧指令vu*,vv*,vw*を生成する。更に、第1の直流電源の出力電圧Vdc_1を加算して、各相の出力電圧指令vu_cmd、vv_cmd、vw_cmdを求める。図1に示すPWMパルス生成手段4-5は、この出力電圧指令vu_cmd、vv_cmd、vw_cmdに基づいてPWMパルスを生成するので、モータ17に供給される直流電力の脈動を抑えることができる。
【0034】
次に、図1に示したPWMパルス生成手段4-5の動作を、図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。同図に示すように、PWMパルス生成手段4-5は、上段三角波(同図(a)参照)と、この上段三角波とは位相が180度異なる下段三角波(同図(b)参照)を出力可能である。下段三角波の振幅は、第1の直流電源10の電圧V_dc1と等しく、上段三角波の振幅は第2の直流電源11の電圧V_dc2と等しい。これら三角波の底辺及び頂点は、図2に示した各母線14,15,16の電位に相当している。即ち、下段三角波の底辺の電位は母線14の電位に対応し、上段三角波の底辺(下段三角波の頂点)の電位は母線15の電位に対応し、上段三角波の頂点の電位は母線16の電位に対応している。なお、上段三角波と下段三角波には、位相差を設けずとも、同様な電位切替動作が可能である。
【0035】
図7は、U相の各半導体スイッチ1a、1b、4a、4b、7aのみを記載した回路図であり、上段、下段の各三角波と、出力電圧指令vu_cmdとの比較の結果、各半導体スイッチのオン、オフの状態を、次のような考えに基づいて行う。
【0036】
まず、第1の直流電源10のみで構成するインバータ回路を、下段三角波と出力電圧指令vu_cmdとの比較で駆動する場合を考える。図7に示すスイッチ1bはオン、4aはオフの状態であり、半導体スイッチ1aと7aのオン、オフ操作を、次の(1)、(2)のように決定する。
【0037】
(1)(出力電圧指令)<(下段三角波)の場合に、1aをオフ、7aをオン、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0038】
(2)(出力電圧指令)>(下段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0039】
次に、第2の直流電源11のみで構成するインバータ回路を、上段三角波と出力電圧指令との比較で駆動する場合を考える。スイッチ1aはオン、7aはオフの状態であり、スイッチ1bと4aのオン、オフ操作を、次の(3)、(4)のように決定する。
【0040】
(3)(出力電圧指令)<(上段三角波)の場合に、4aをオフ、1bをオン、4bをオフ、1aをオン、7aをオフとする。
【0041】
(4)(出力電圧指令)>(上段三角波)の場合に、4aをオン、1bをオフ、4bをオン、1aをオン、7aをオフとする。
【0042】
上記の各三角波との比較をまとめると、次の(5)〜(7)に示す如くのスイッチの選択方法を取得することができる。
【0043】
(5)(出力電圧指令)<(下段三角波)の場合に、1aをオフ、7aをオン、1bをオン、4aをオフとする。
【0044】
(6)(下段三角波)<(出力電圧指令)<(上段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオン、4aをオフ、4bをオフとする。
【0045】
(7)(出力電圧指令)>(上段三角波)の場合に、1aをオン、7aをオフ、1bをオフ、4aをオン、4bをオンとする。
【0046】
図8の(c)〜(g)は、U相の各半導体スイッチのオン、オフ動作を示すタイミングチャートであり、上記した条件によりオン、オフ動作している。
【0047】
図26、図27は、相電圧指令(vu、vv、vw)、及び補正した相電圧指令(vu*、vv*、vw*)の変化と、最終電力配分指令の変化を示す特性図である。同図において、横軸は時間を示し、縦軸は電圧を示している。
【0048】
このようにして、第1実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力を、ある一定期間の平均電力は電源電力指令値に追従させながら、瞬時の電源電力を変化させることができる。
【0049】
また、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時瞬時の電力配分を指令値と等価とすることができる。また直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱する荷を抑えることができる。
【0050】
更に、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に基づいて最終電力配分指令値を変化させるため、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に依存する電力脈動を抑えることができる。また、モータ17の相電流周波数とモータ17の相数に依存する電力脈動に合わせて最終電力配分指令値を変化させるので、電力脈動量を高効率に大きくすることができる。
【0051】
また、電源電力指令値と相電流値、電力指令値より基本電力配分指令値を生成するので、瞬時値を用いて基本電力配分指令値を生成することができる。
【0052】
このように、基本電力配分指令を生成して出力することで、第1の直流電源10及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように、最終電力配分指令(本実施形態では、基本電力配分指令Pdist_basisと同一)を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動を小さく抑えることができる。その結果、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。図10は、第2実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図10に示すように、第2実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した図9と対比して、基本電力配分指令生成手段6-2と、最終電力配分指令出力手段6-3との間に、基本電力配分指令制限手段6-4を追加した構成となっている。
【0054】
図10に示す基本電力配分指令生成手段6-2は、第2の直流電源11の出力電力(Pdc1)と、第2の直流電源11の電源電力指令(Pdc2_cmd)がほぼ同一とになるように、基本電力配分指令を生成する。具体的には、各相の相電流iu,iv,iwと、各相の電圧指令vu,vv,vwと、前回の基本電力配分指令(Pdist_basis_the_last)と、に基づいて直流の電力脈動を推定し、基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成する。
【0055】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_basis_the_last)≧0のときである。そのため、(vu−Pdist_basis_the_last)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。
【0056】
同様に、(vv−Pdist_basis_the_last)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_basis_the_last)<0のときは、iw=0とする。
【0057】
その上で、次の(3)式より、第2の直流電源11の直流推定電力(Pdc2_est)を生成する。
【0058】
Pdc2_est=iu×(vu−Pdist_basis_the_last)
+iv×(vv−Pdist_basis_the_last)
+iw×(vw−Pdist_basis_the_last) …(3)
そして、次の(4)式により、第2の直流電源11の直流推定電力(Pdc2_est)と、第2の直流電源11の電源電力指令値(Pdc2_cmd)の差を、推定電力脈動(Pmotion_est)とする。
【0059】
Pmotion_est=Pdc2_est−Pdc2_cmd …(4)
その後、推定電力脈動(Pmotion_est)、モータトルク、モータ回転数、及びモータ回転角を軸に取ったマップ(図示省略)を参照することにより、今回の基本電力配分指令と前回の基本電力配分指令との差分を算出し、この差分を前回の基本電力配分指令(Pdist_basis_the_last)に加算することで、今回の基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成する。
【0060】
こうして予め推定電力脈動(Pmotion_est)を推定することにより、基本電力配分指令(Pdist_basis)を生成することができる。生成した基本電力配分指令(Pdist_basis)は、基本電力配分指令制限手段6-4に出力される。
【0061】
基本電力配分指令制限手段6-4は、各相の電圧指令(vu,vv,vw)と、直流電源電圧(Vdc1,Vdc2)に基づいて、基本電力配分指令の上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を生成し、基本電力配分指令に制限を加えて制限手段出力を出力する。
【0062】
次に、図10に示した基本電力配分指令制限手段6-4の詳細について、図11を参照して説明する。
【0063】
上限(upper_limit)の生成方法は、次の(5)式により、第2の直流電源の電圧(Vdc2)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最大値MAX(vu,vv,vw)の差を、上限(upper_limit)とする。
【0064】
upper_limit=Vdc2−MAX(vu,vv,vw) …(5)
下限(lower_limit)の生成方法は、次の(6)式により、第1の直流電源の電圧(Vdc1)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最小値MIN(vu,vv,vw)の和のマイナスを下限(lower_limit)とする。
【0065】
lower_limit=−Vdc1−MIN(vu,vv,vw) …(6)
そして、上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を上記(5)、(6)式のように定め、基本電力配分指令に制限を加えた信号を、制限手段出力として最終電力配分指令出力手段6-3に出力する。このようにすることで、モータ17の駆動を安定させながら、電力配分を行うことができる。
【0066】
図10に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、入力された制限手段出力を、最終電力配分指令として出力する。
【0067】
このようにして、第2実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、予め電力脈動の値を推定することで、脈動値と電源電力指令値より予め定めた値を生成することができる。また、求めた基本電力配分指令値に制限を加えることによって、モータの駆動を安定させながら電力配分を行うことができる。
【0068】
更に、制限手段を通過した基本電力配分指令値を出力することによってモータへ電力は安定させた状態で直流電力の脈動を抑えることが出来る。
【0069】
こうして、モータ17の駆動を安定させながら、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑制するように、最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0070】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0071】
図12は、第3実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図12に示すように、第3実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した図9と対比して、基本電力配分指令生成手段6-2と、最終電力配分指令出力手段6-3との間に、基本電力配分指令制限手段6-4を追加し、更に、電源電力指令出力手段6-1、及び、電力指令補正値生成手段6-5が追加された構成となっている。
【0072】
図13は、図12に示す電源電力指令出力手段6-1の詳細な構成を示すブロック図である。図示のように、該電源電力指令出力手段6-1は、まず、次の(7)式によりモータ17の電力(Pm)を計算する。
【0073】
Pm=id*×vd*+iq*×vq* …(7)
更に、モータ電力(Pm)、配分割合(rto_vdc1)、及び電力指令補正値(Pdc_cmp)に基づき、次の(8)、(9)式により、各直流電源10,11の電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を計算し出力する。
【0074】
Pdc1_cmd=Pm×rto_vdc1+Pdc_cmp …(8)
Pdc2_cmd=Pm−Pdc1_cmd …(9)
図12に示す基本電力配分指令生成手段6-2は、前述した第2実施形態で説明した図10と同様の動作を行う。
【0075】
図12に示す基本電力配分指令制限手段6-4は、前述した第2実施形態で説明した図10の構成に、リミット信号の出力を加えたものである。リミット信号とは、基本電力配分指令が、基本電力配分指令制限手段6-4の上限値を上回ったとき、及び、下限値を下回ったときにそれぞれ出力される信号である。
【0076】
図12に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、図10に示したものと同様である。
【0077】
次に、図12に示した電力指令補正値生成手段6-5の詳細を説明する。該電力指令補正値生成手段6-5は、基本電力配分指令制限手段6-4よりリミット信号を受けとった場合に、電力指令補正値を生成し、基本電力配分指令制限手段6-4にて基本電力配分指令が制限を受けない領域へ移行する処理を行う。
【0078】
そして、上限を上回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、電圧Vdc2、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより、電力指令補正値を出力する。
【0079】
他方、下限を下回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、電圧Vdc1、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより、電力指令補正値を出力する。
【0080】
このようにして、第3実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、基本電力配分が制限を受けた場合に、電力電力指令値を制限受けない範囲へ補正を行うため、直流電力脈動を最大限抑えることが出来る範囲へ移行させることができる。
【0081】
即ち、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4で制限を受けた場合に、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4で制限を受けない範囲となるように電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を補正するため、直流電力脈動を最大限抑えた状態で電力配分を行うことができる。
【0082】
次に、本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は、前述した第1実施形態と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0083】
図14は、第4実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図14に示すように、第4実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第2実施形態で示した図10と対比して、補正電力配分指令出力手段6-6が追加された構成となっている。
【0084】
基本電力配分指令生成手段6-2は、前述した第2実施形態で示した図10の構成と同様に動作する。
【0085】
基本電力配分指令制限手段6-4は、第2実施形態で示した図10の構成に、リミット信号の出力を加えた構成となっている。リミット信号とは、基本電力配分指令が基本電力配分指令制限手段6-4の上限値を上回ったとき、及び下限値を下回ったときに、それぞれ出力される信号である。
【0086】
補正電力配分指令出力手段6-6は、上記のリミット信号が入力されたときに、基本電力配分指令制限手段6-4が基本電力配分指令を制限していない区間で、制限を受けた区間の電力変化分を補うように補正電力配分指令を生成する。
【0087】
次に、図15を参照して、補正電力配分指令出力手段6-6の詳細について説明する。図15に示すように、補正電力配分指令出力手段6-6は、電力配分補正値生成手段7-1と、補正電力配分指令生成手段7-2を備える。
【0088】
電力配分補正値生成手段7-1では、電力配分補正値を生成し、この電力配分補正値を制限手段出力と加算した後、中間電力配分指令として、補正電力配分指令生成手段7-2に出力する。その後、補正電力配分指令生成手段7-2において、補正電力配分指令を生成する。
【0089】
以下、電力配分補正値生成手段7-1の詳細について、図16を参照して説明する。電力配分補正値生成手段7-1は、第1の直流電源10の電力Pdc1と、電力指令Pdc1_cmdの差分をとり、フィードバック制御を行い電力配分補正値を生成する。このとき、リミット信号と回転角センサが電力配分補正値生成のオン、オフの切り替えを行う。
【0090】
まず、第1の直流電源10の出力電流(Idc1)、電圧(Vdc1)に基づいて、第1の直流電源10の電力(Pdc1)を生成する。その後、次の(10)式により電力指令(Pdc1_cmd)との差分(Pdc1_err)を求め、PI制御を行う。
【0091】
Pdc1_err=Pdc1_cmd−(Idc1×Vdc1) …(10)
リミット信号を受け取ったときにPI制御を開始し、最後にリミット信号を受け取った時点から少なくとも相電流の1/3周期以上(相数にnを乗じた値をYとした場合、1/Y周期以上)リミット信号を受け取らないとき、PI制御を終了し、PI制御の内部変数をリセットする。なお、相電流の1/3周期は、回転角センサから読み取る。
【0092】
このようにすることで、新たなセンサを追加することなくPI制御のオン、オフを制御することができる。
【0093】
また、モータ17の相電流の周期の1/3周期以上、基本電力配分指令が前記基本電力配分指令制限手段6-4による制限を受けなくなったときに、フィードバック制御を終了することにより、フィードフォワード領域を大きくすることができるので、指令値の高速変化に対する追従性を高めることができる。
【0094】
次に、図15に示した補正電力配分指令生成手段7-2の詳細な構成を、図17を参照して説明する。該補正電力配分指令生成手段7-2の動作は、図14に示した基本電力配分指令制限手段6-4とほぼ同様である。即ち、各相の電圧指令(vu,vv,vw)と、各直流電源10,11の電圧(Vdc1,Vdc2)に基づいて、基本電力配分指令の上限(upper_limit)、及び下限(lower_limit)を生成し、中間電力配分指令に制限を加え、補正電力配分指令を出力する。
【0095】
次の(11)式に示すように、上限(upper_limit)の生成方法は、第2の直流電源の電圧(Vdc2)と、各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最大値の差を、上限(upper_limit)とする。
【0096】
upper_limit=Vdc2−MAX(vu,vv,vw) …(11)
下限(lower_limit)の生成方法は、次の(12)式により、第1の直流電源の電圧(Vdc1)と各相の電圧指令(vu,vv,vw)の最小値MIN(vu,vv,vw)の和のマイナスを下限(lower_limit)とする。
【0097】
lower_limit=−Vdc1−MIN(vu,vv,vw) …(12)
そして、上限(upper_limit)、下限(lower_limit)を(11)、(12)式のように定め、中間電力配分指令に制限を加えた指令を、補正電力配分指令として出力する。
【0098】
次に、図14に示す最終電力配分指令出力手段6-3は、入力された補正電力配分指令を、最終電力配分指令として出力する。
【0099】
このようにして、第4実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、制限手段により制限を受けた場合に、制限を受けてない時間で電力配分量を補うように補正を行うため、瞬時の電力が電源電力指令値に追従しない場合であっても、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は指令値と等価とすることができる。また、補正電力配分指令値を出力することによって、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は電源電力指令値と等価とすることができる。
【0100】
更に、モータ17の相電流の周期をモータ回転角より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。
【0101】
即ち、基本電力配分指令制限手段6-4により制限を受けた場合に、制限を受けてない時間で電力配分量を補うように補正を行うため、瞬時の電力が電源電力指令値に追従しない場合であっても、電力脈動を抑えながら電気角一周期の平均は指令値と等価とすることができる。
【0102】
次に、本発明の第5実施形態について説明する。第5実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0103】
図18は、第5実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図18に示すように、第5実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第3実施形態で示した図12と対比して、補正電力配分指令出力手段6-6、及び選択手段6-7が新たに追加された構成となっている。
【0104】
図18に示す電源電力指令出力手段6-1、基本電力配分指令生成手段6-2、基本電力配分指令制限手段6-4、最終電力配分指令出力手段6-3は、それぞれ前述した第3実施形態(図12)と同様に動作する。
【0105】
選択手段6-7は、電源の状態に応じて、各直流電源の出力電力の電気角一周期の平均が電源電力指令値に追従するように、補正を行い出力する補正電力配分指令出力手段6-6を選択するか、或いは、基本電力配分指令制限手段6-4で基本電力配分指令が制限を受けない範囲に電源電力指令に補正を加える電力指令補正値生成手段6-5を選択するか、のいずれか一方を選択する。該選択手段6-7は、各直流電源10,11の充電状態SOC(State of charge)に基づいて、どちらを選択するかを切り替える。
【0106】
具体的には、一方の直流電源10のSOCが低く、該直流電源10の電力配分が大きくされるとモータ駆動の継続が困難になる場合には、補正電力配分指令出力手段6-6を選択する。それ以外の状態では、電力指令補正値生成手段6-5を選択する。
【0107】
このようにすることで、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するか選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能となる。また、各直流電源10,11の充電量の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令を優先するかを選択するので、一方の直流電源の充電量が少ない場合であっても、電源電力指令を優先させることにより出力を継続することが可能となる。
【0108】
次に、図18に示した補正電力配分指令出力手段6-6の詳細を、図19を参照して説明する。図19に示すように、補正電力配分指令出力手段6-6は、電力配分補正値生成手段7-1と、補正電力配分指令生成手段7-2を備えている。
【0109】
電力配分補正値生成手段7-1で電力配分補正値を生成し、この電力配分補正値を制限手段出力と加算した後、補正電力配分指令生成手段7-2に出力する。その後、補正電力配分指令生成手段7-2にて、補正電力配分指令を生成する。
【0110】
次に、図20を参照して、電力配分補正値生成手段7-1について説明する。電力配分補正値生成手段7-1は、第1の直流電源10の電力(Pdc1)と、電源電力指令(Pdc1_cmd)の差分をとりフィードバック制御を行って、電力配分補正値を生成する。このとき、リミット信号とU相の電流(iu)、選択手段6-7の選択結果(selecter)が、電力配分補正値生成のオン、オフの切り替えを行う。
【0111】
まず、第1の直流電源10の出力電流(Idc1)と、電圧(Vdc1)に基づいて、第1の直流電源の電力(Pdc1)を生成する。その後、次の(13)式により、第1の直流電源10の出力電力指令(Pdc1_cmd)との差分(Pdc1_err)を演算してPI制御を行う。
【0112】
Pdc1_err=Pdc1_cmd−(Idc1×Vdc1) …(13)
選択結果(selecter)が、補正電力配分指令出力手段6-6の選択を示しており、且つリミット信号を受け取ったときにPI制御を開始し、最後にリミット信号を受け取った時点から少なくとも相電流の1/3周期以上リミット信号を受け取らないとき、PI制御を終了し、PI制御の内部変数をリセットする。相電流の1/3周期は、相電圧指令(vu)から読み取ることができる。
【0113】
選択結果(Selecter)が電力指令補正値生成手段6-5の選択を示しているときは、PI制御を行わず補正電力配分指令は0を出力する。
【0114】
このようにすることで、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能である。また、相電流に応じて制御のオン、オフを切り換えるので、新たなセンサを取り付ける必要がない。
【0115】
図18に示す電力指令補正値生成手段6-5は、選択手段6-7の選択結果(selecter)が電力指令補正値生成手段6-5の選択を示しており、且つ、基本電力配分指令制限手段6-4よりリミット信号を受けとった場合に、電力指令補正値を生成し、基本電力配分指令制限手段6-4で、基本電力配分指令が制限を受けない領域へ移行させる。
【0116】
そして、上限を上回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、Vdc2、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより電力指令補正値を出力する。
【0117】
他方、下限を下回ったことを示すリミット信号が入力された場合には、Vdc1、トルク指令、回転数を軸としたマップ(図示省略)を参照することにより電力指令補正値を出力する。
【0118】
また、選択手段6-7の選択結果(selecter)が補正電力配分指令出力手段6-6の選択を示しているときには、電力指令補正値は0を出力する。
【0119】
このようにして、第5実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、フィードバック制御を、モータ17の相数にnを乗じた値をYとすると、モータ17の相電流の周期の1/Y周期以上前記基本電力配分指令制限手段によって前記基本電力配分指令が制限を受けなくなったときに、やめることによって、フィードフォワード領域を大きくすることができるため、指令値の高速変化に対する追従性を高めることが出来る。
【0120】
また、モータ17の相電流の周期を各相電流値より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。更に、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するか選択できるため、状況に応じて適切な制御を行うことが可能である。また、電源の充電量の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するかを選択するので、一方の電源が充電量が少ない場合であっても電源電力指令値を優先させることにより出力を継続することが可能である。
【0121】
こうして、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0122】
更に、各直流電源10,11の充電量(SOC)の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択するので、一方の直流電源の充電量が少ない場合であっても、電源電力指令値を優先させることにより出力を継続することが可能となる。
【0123】
次に、本発明の第6実施形態について説明する。第6実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0124】
図21は、第6実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図21に示すように、第6実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、前述した第5実施形態で示した図18と対比して、選択手段6-7の構成が相違する。更に、補正電力配分指令出力手段6-6に入力される3相電流(iu)が割愛されている点で相違する。
【0125】
また、図22は、図21に記載した補正電力配分指令出力手段6-6の詳細を示すブロック図であり、前述した図19と対比して、電力配分補正値生成手段7-1に入力される信号が、3相電流(iu)から電圧(vu)に変更された点で相違している。
【0126】
更に、図23は、図20に記載した電力配分補正値生成手段7-1の詳細を示すブロック図であり、「PI」に入力される信号が、3相電流(iu)から電圧(vu)に変更された点で相違している。
【0127】
以下、第6実施形態に係る選択手段6-7について説明する。選択手段6-7は、各直流電源の状態に応じて、各直流電源の出力電力の電気角一周期の平均が電源電力指令値に追従するように、補正を行い出力する補正電力配分指令出力手段6-6を選択するか、或いは、基本電力配分指令制限手段6-4で基本電力配分指令が制限を受けない範囲に電源電力指令に補正を加える電力指令補正値生成手段6-5を選択するか、のいずれか一方を選択する。
【0128】
該選択手段6-7は、各直流電源10,11の温度(Tdc1,Tdc2)に基づいて、どちらを選択するかを切り替える。ここでの切り替えは、少なくともいずれか一方の直流電源の温度が閾値を超えた場合には、常に電力指令補正値生成手段6-5を選択する。これ以外の場合には、補正電力配分指令出力手段6-6を選択する。
【0129】
このようにして、第6実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、モータ17の相電流の周期を各相電圧指令値より読み取るので、新たなセンサを追加することなく測定可能である。また、電源の温度の状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、電源電力指令値を優先するかを選択するので、電源が高温になっている場合は直流電力脈動抑制を優先させることにより電源の温度上昇を保護し劣化を防ぐことが可能である。
【0130】
こうして、第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を抑えるように最終電力配分指令を変化させるので、電気角一周期の平均が電力指令値と等価になるのではなく、瞬時毎の電力配分を指令値と等価とすることができる。また、直流電力の脈動が小さくなるため、直流電流の脈動が小さくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源が発熱することを抑制することができる。
【0131】
更に、各直流電源10,11の温度状態に応じて、直流電力脈動抑制を優先するか、或いは、電源電力指令値を優先するかを選択するので、少なくとも一方の直流電源が高温になっている場合は、直流電力脈動抑制を優先させることにより直流電源の温度上昇を保護し、劣化を防ぐことができる。
【0132】
次に、本発明の第7実施形態について説明する。第7実施形態は、前述した第1実施形態(図6)と対比して、最終電力配分指令生成手段5-1の構成のみが相違するので、この部分のみを説明する。
【0133】
図24は、第7実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1の構成を示すブロック図である。図24に示すように、第7実施形態に係る最終電力配分指令生成手段5-1は、電源電力指令出力手段6-1、基本電力配分指令生成手段6-2、及び最終電力配分指令出力手段6-3を備えている。
【0134】
最終電力配分指令出力手段6-3は、前述した第1実施形態(図9)と同様に動作する。
【0135】
図25は、図24に示す電源電力指令出力手段6-1の詳細な構成を示すブロック図である。図示のように、該電源電力指令出力手段6-1は、まず、次の(14)式によりモータの電力(Pm)を計算する。
【0136】
Pm=id*×vd*+iq*×vq* …(14)
更に、モータ電力(Pm)、及び配分割合(rto_vdc1)に基づき、次の(15)、(16)式により、各直流電源10,11の電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)を計算し出力する。
【0137】
Pdc1_cmd=Pm×rto_vdc1 …(15)
Pdc2_cmd=Pm−Pdc1_cmd …(16)
次に、図24に示す基本電力配分指令生成手段6-2について説明する。該基本電力配分指令生成手段6-2は、各直流電源10,11の温度を条件として、第2の直流電源11の出力電力と、第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)が瞬時値でほぼ同一となるように、相電流の3倍の周波数(モータ17の相電流周波数をαとし、モータ17の相数にnを乗じた値をβとしたとき、α×βとなる周波数)で変化する基本電力配分指令を生成するか、或いは、電気角一周期の平均電力がほぼ同一となるように一定値の基本電力配分指令を生成するか、或いは、直流の電力脈動を大きくするように基本電力配分指令を生成するか、のうちのいずれかを選択して指令を生成する。
【0138】
[条件1]
前述の温度条件として、少なくともいずれか一方の直流電源の温度がA度以下、B度以上(A>B)であり、直流電源の能力を十分に発揮できない場合には、電気角一周期の平均電力がほぼ同一となるように一定値の基本電力配分指令を生成する。以下に、この条件での基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0139】
基本電力配分指令は、電力指令(Pdc1_cmd,Pdc2_cmd)、トルク指令、モータ17の回転数を入力として、基本電力配分指令のテーブル(図示省略)を参照することによって生成する。
【0140】
[条件2]
少なくともいずれか一方の直流電源の温度がB度以下であるか、或いは急速にいずれか一方の直流電源の温度上昇が必要である場合には、直流の電力脈動を増幅させるように相電流の3倍の周波数で変化する基本電力配分指令を生成する。以下に、基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0141】
相電流値(iu,iv,iw)、相電圧指令値(vu,vv,vw)、基本電力配分指令(Pdist_basis)、と第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)の関係式を、次の(17)、(18)式に示す。
【0142】
Pdc2_cmd=iu×(vu−Pdist_basis)
+iv×(vv−Pdist_basis)
+iw×(vw−Pdist_basis) …(17)
【数2】
【0143】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_cmd)≧0のときである。このため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないため、iu=0とする。
【0144】
同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときは、iv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0とする。
【0145】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0、という条件と、更に、直流電力の脈動が大きくなるように、且つ平均電力が電力指令値(Pdc2_cmd)となるように、周期的に変化するPdc2_ripuru加えて、次の(19)式により、Pdist_basisを求める。
【数3】
【0146】
[条件3]
直流電源の温度がA度以上である場合には、直流の電力脈動を抑えるように相電流の3倍の周波数で変化する基本電力配分指令を生成する。以下に、基本電力配分指令の生成方法を示す。
【0147】
相電流(iu,iv,iw)、各相の電圧指令(vu,vv,vw)、基本電力配分指令(Pdist_basis)と、第2の直流電源11の電力指令値(Pdc2_cmd)の関係式を、次の(20)、(21)式に示す。
【0148】
Pdc2_cmd=iu×(vu−Pdist_basis)
+iv×(vv−Pdist_basis)
+iw×(vw−Pdist_basis) …(20)
【数4】
【0149】
ここで、第2の直流電源11が出力を担当する電圧の範囲は、U相で示すと、(vu−Pdist_cmd)≧0のときである。そのため、(vu−Pdist_cmd)<0のときには電力を出力しないのでiu=0とする。
【0150】
同様に、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0とし、(vw−Pdist_cmd)<0のときはiw=0とする。
【0151】
以上をまとめると、(vu−Pdist_cmd)<0のときはiu=0、(vv−Pdist_cmd)<0のときはiv=0、(vw−Pdist_cmd)<0のときは、iw=0、という条件下で、次の(22)式により、Pdist_basisを求めて出力する。
【数5】
【0152】
このようにして、本発明の第7実施形態に係る電力変換装置の制御方法では、電気角一周期の平均は電力指令値と等価としながら第1の直流電源10、及び第2の直流電源11の出力電力の脈動を増幅させるように最終電力配分指令を変化させるので、直流電力の脈動が大きくなり、直流電流の脈動も大きくなる。よって、電源内部のインピーダンスと電流脈動によって電源を発熱を促すことができる。寒冷地での電源の温度上昇を促すことよって電源の持つ能力を発揮することが可能となる。
【0153】
また、制御を行う時点で最新の情報より逐次計算を行うので瞬時瞬時の電力配分を高精度に行うことができる。更に、求めた基本電力配分指令値を出力することによって直流電力の脈動を抑えることが出来る。
【0154】
また、電源の温度がある値以下であったとき大きな電力脈動を起こし、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。更に、電源の温度がある値以下であったとき電力脈動を起こし、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。
【0155】
こうして、電力脈動を意図的に作る出すことが可能となる。電源の温度がある値以下であったとき電力脈動を起こし(脈動を増加させ)、電源を発熱させ温度を上昇させるため、電源を活性化させることができる。
【0156】
以上、本発明の電力変換装置の制御方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本発明は、複数の直流電源より出力される電力を脈動させずにモータに供給して駆動することに利用することができる。
【符号の説明】
【0158】
1a,1b 半導体スイッチ
2a,2b 半導体スイッチ
3a,3b 半導体スイッチ
4a,4b 半導体スイッチ
5a,5b 半導体スイッチ
6a,6b 半導体スイッチ
7a,8a,9a 半導体スイッチ
7b,8b,9b ダイオード
4 電力変換装置の制御器
8 電力変換器
10 第1の直流電源
11 第2の直流電源
12,13 平滑コンデンサ
14 母線
15 母線
16 母線
17 3相交流モータ
4-1 トルク制御手段
4-2 電流制御手段
4-3 dq/3相変換手段
4-4 電力配分オフセット手段
4-5 PWMパルス生成手段
4-7 3相/dq変換手段
5-1 最終電力配分指令生成手段
6-1 電源電力指令出力手段
6-2 基本電力配分指令生成手段
6-3 最終電力配分指令出力手段
6-4 基本電力配分指令制限手段
6-5 電力指令補正値生成手段
6-6 補正電力配分指令出力手段
6-7 選択手段
7-1 電力配分補正値生成手段
7-2 補正電力配分指令生成手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の直流電源のプラス極と第2の直流電源のマイナス極を接続し、前記第2の直流電源のプラス極と負荷の接続端子との間を第1のスイッチを介して接続し、
前記第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と、前記負荷の接続端子との間を第2のスイッチを介して接続し、
前記第1の直流電源のマイナス極と前記負荷の接続端子との間を、第3のスイッチを介して接続した電力変換回路を制御する制御方法であって、
前記第1の直流電源、及び第2の直流電源の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、
前記電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、
前記最終電力配分指令に、前記各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップと、
前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、前記第1,第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、
前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、前記第2、第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、
を備え、
前記最終電力配分指令を変化させる周期を、前記電源電力指令値が変化する周期よりも短くすることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令は、前記第1の直流電源、及び前記第2の直流電源の出力電力の脈動を抑制するように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置の制御方法において、前記最終電力配分指令は、前記第1の直流電源、及び前記第2の直流電源の出力電力の脈動を増加させるように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記負荷は、モータであり、前記最終電力配分指令は、前記モータの相電流周波数をαとし、モータの相数にnを乗じた値をβとすると、α×βの周波数で変化することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記電源電力指令値と、前記モータの各相の相電流値と、前記電圧指令と、に基づいて基本電力配分指令を生成し、この基本電力配分指令に基づいて最終電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記基本電力配分指令を生成するステップは、前記モータの各相の相電流値と前記相電圧値より逐次計算を行い、前記各直流電源が出力する電力が電源電力指令値とほぼ一致する前記基本電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記基本電力配分指令を生成するステップは、各相の相電流値と前記相電圧値に基づき、電力脈動を推定し、少なくとも前記推定電力脈動と電源電力指令値により、前記基本電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、更に、前記基本電力配分指令を前記基本電力配分指令と前記電圧指令の和が0V以上、第1の電源電圧と第2の電源電圧を加算した電圧以下となる範囲に制限を行うための、基本電力配分指令制限のステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令制限のステップで前記基本電力配分指令を制限した場合に、前記基本電力配分指令が基本電力配分指令を制限するステップで制限を受けないように、前記基本電力配分指令を生成するステップで用いる前記電源電力指令値を補正する、電力指令補正値生成のステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9または10のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記最終電力配分指令を出力するステップを備え、この最終電力配分指令を出力するステップでは、前記基本電力配分指令を制限するステップの出力を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項12】
請求項9または10のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令を制限するステップが前記基本電力配分指令を制限した場合に、前記基本電力配分指令を制限するステップが前記基本電力配分指令を制限していない区間で、制限を受けた区間の電力変化分を補うように電力配分補正値を生成するステップと、
前記電力配分補正値と前記基本電力配分指令を制限するステップの出力を加算するステップと、
前記加算結果を、該加算結果と前記電圧指令の和が0V以上で、且つ、第1の電源電圧と第2の電源電圧を加算した電圧以下となる範囲に制限し、補正電力配分指令を生成するステップと、
を有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記電力配分補正値を生成するステップは、前記基本電力配分指令を制限するステップによって、前記基本電力配分指令が制限を受けた時点からフィードバック制御を行い、少なくとも前記モータの相数にnを乗じた値をYとした場合、前記モータの相電流の周期の1/Y周期以上、前記基本電力配分指令を制限ステップによって、前記基本電力配分指令が制限を受けなくなるまで続けることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、各相電流値より読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項15】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、前記モータの回転角から読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項16】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、前記モータの各相電圧の指令値より読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を出力するステップは、前記電力指令補正値を生成するステップと、補正電力配分指令を生成するステップの双方を備える場合において、状態に応じて前記電力指令補正値を生成するか、前記補正電力配分指令を生成するか、の切り替えを行うステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記切り替えを行うステップは、電源の充電量の状態に応じて前記切り替えを行うことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項19】
請求項17に記載の電力変換装置の制御方法において
前記切り替えを行うステップは、電源の温度の状態に応じて切り替えを行うことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記最終電力配分指令を出力するステップを備え、前記最終電力配分指令を出力するステップは前記補正電力配分指令を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項21】
請求項3または4のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令は電源の温度が一定以下である場合に、第1および第2の直流電源の出力電力の脈動を増加させるように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項22】
請求項3または4のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を出力するステップは、状況に応じて最終電力配分指令を一定値とすることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項23】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記nは1であることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項1】
第1の直流電源のプラス極と第2の直流電源のマイナス極を接続し、前記第2の直流電源のプラス極と負荷の接続端子との間を第1のスイッチを介して接続し、
前記第1の直流電源と第2の直流電源の接続点と、前記負荷の接続端子との間を第2のスイッチを介して接続し、
前記第1の直流電源のマイナス極と前記負荷の接続端子との間を、第3のスイッチを介して接続した電力変換回路を制御する制御方法であって、
前記第1の直流電源、及び第2の直流電源の単位時間当たりの出力電力を指令する電源電力指令値に基づいて、前記各直流電源の最終電力配分指令を生成するステップと、
前記電力変換装置の各相の電圧指令を生成するステップと、
前記最終電力配分指令に、前記各相の電圧指令を加算して、最終的な出力電圧指令を生成するステップと、
前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧未満である場合には、前記第1,第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、
前記最終的な出力電圧指令が前記第1の直流電源の出力電圧以上である場合には、前記第2、第3スイッチを切り換えて前記負荷に電力を供給するステップと、
を備え、
前記最終電力配分指令を変化させる周期を、前記電源電力指令値が変化する周期よりも短くすることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令は、前記第1の直流電源、及び前記第2の直流電源の出力電力の脈動を抑制するように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置の制御方法において、前記最終電力配分指令は、前記第1の直流電源、及び前記第2の直流電源の出力電力の脈動を増加させるように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記負荷は、モータであり、前記最終電力配分指令は、前記モータの相電流周波数をαとし、モータの相数にnを乗じた値をβとすると、α×βの周波数で変化することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記電源電力指令値と、前記モータの各相の相電流値と、前記電圧指令と、に基づいて基本電力配分指令を生成し、この基本電力配分指令に基づいて最終電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項6】
請求項5に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記基本電力配分指令を生成するステップは、前記モータの各相の相電流値と前記相電圧値より逐次計算を行い、前記各直流電源が出力する電力が電源電力指令値とほぼ一致する前記基本電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項7】
請求項5に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記基本電力配分指令を生成するステップは、各相の相電流値と前記相電圧値に基づき、電力脈動を推定し、少なくとも前記推定電力脈動と電源電力指令値により、前記基本電力配分指令を生成することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項9】
請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、更に、前記基本電力配分指令を前記基本電力配分指令と前記電圧指令の和が0V以上、第1の電源電圧と第2の電源電圧を加算した電圧以下となる範囲に制限を行うための、基本電力配分指令制限のステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令制限のステップで前記基本電力配分指令を制限した場合に、前記基本電力配分指令が基本電力配分指令を制限するステップで制限を受けないように、前記基本電力配分指令を生成するステップで用いる前記電源電力指令値を補正する、電力指令補正値生成のステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項11】
請求項9または10のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記最終電力配分指令を出力するステップを備え、この最終電力配分指令を出力するステップでは、前記基本電力配分指令を制限するステップの出力を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項12】
請求項9または10のいずれかに記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記基本電力配分指令を制限するステップが前記基本電力配分指令を制限した場合に、前記基本電力配分指令を制限するステップが前記基本電力配分指令を制限していない区間で、制限を受けた区間の電力変化分を補うように電力配分補正値を生成するステップと、
前記電力配分補正値と前記基本電力配分指令を制限するステップの出力を加算するステップと、
前記加算結果を、該加算結果と前記電圧指令の和が0V以上で、且つ、第1の電源電圧と第2の電源電圧を加算した電圧以下となる範囲に制限し、補正電力配分指令を生成するステップと、
を有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記電力配分補正値を生成するステップは、前記基本電力配分指令を制限するステップによって、前記基本電力配分指令が制限を受けた時点からフィードバック制御を行い、少なくとも前記モータの相数にnを乗じた値をYとした場合、前記モータの相電流の周期の1/Y周期以上、前記基本電力配分指令を制限ステップによって、前記基本電力配分指令が制限を受けなくなるまで続けることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、各相電流値より読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項15】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、前記モータの回転角から読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項16】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記モータの相電流の周期の1/Y周期は、前記モータの各相電圧の指令値より読み取ることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を出力するステップは、前記電力指令補正値を生成するステップと、補正電力配分指令を生成するステップの双方を備える場合において、状態に応じて前記電力指令補正値を生成するか、前記補正電力配分指令を生成するか、の切り替えを行うステップを有することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記切り替えを行うステップは、電源の充電量の状態に応じて前記切り替えを行うことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項19】
請求項17に記載の電力変換装置の制御方法において
前記切り替えを行うステップは、電源の温度の状態に応じて切り替えを行うことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項20】
請求項12〜19のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を生成するステップは、前記最終電力配分指令を出力するステップを備え、前記最終電力配分指令を出力するステップは前記補正電力配分指令を出力することを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項21】
請求項3または4のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令は電源の温度が一定以下である場合に、第1および第2の直流電源の出力電力の脈動を増加させるように変化させることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項22】
請求項3または4のいずれか1項に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記最終電力配分指令を出力するステップは、状況に応じて最終電力配分指令を一定値とすることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【請求項23】
請求項13に記載の電力変換装置の制御方法において、
前記nは1であることを特徴とする電力変換装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2010−183719(P2010−183719A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24558(P2009−24558)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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