説明

電力変換装置及びモータ駆動制御装置

【課題】スイッチング素子の損失を低減し、スイッチング素子や放熱器の小型化を図る。
【解決手段】直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路12の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って負荷である三相交流モータ15に供給するインバータ回路14と、三相交流モータ15に供給されている三相交流電力の位相、周波数、三相交流モータ15へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいてコンバータ回路12の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する加算器20と、周波数制御信号に基づいてく三相交流モータ15へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点としてコンバータ回路12及びインバータ回路14を制御する制御部13,16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置及びモータ駆動制御装置に係り、特に直流電力を変換して三相交流電力に電力変換を行う電力変換装置及びこの電力変換装置を備えたモータ駆動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、三相交流モータを駆動するための三相インバータ回路の出力は、U相、V相、W相の電圧波形が120度ずつ位相がずれた状態で出力される。
【0003】
また、モータ回転数は、モータに印加される電圧と、当該モータが有する誘起電圧定数の積で決まることから、モータの回転数を上げる場合には、電源電圧を上げるか、あるいは、バッテリなどの電源系統の変更は費用がかかるので、電源電圧をそのままに昇圧コンバータを用いて昇圧する手法を採っていた。このことは、パワーコンディショナなどの電力変換装置においても同様であった。
【0004】
このとき、スイッチング素子およびこのスイッチング素子と並列に接続されたフライホイールダイオードの損失は、主として導通損失、スイッチング損失、ダイオード導通損失、ダイオード逆回復損失などがある。
導通損失やダイオード導通損失は、主に通電電流と、内部抵抗で決まり、スイッチング損失とダイオード逆回復損失は、通電電流、印加電圧、スイッチング周波数で定まることとなる。
ところで、正弦波波形を一定電圧でパルス幅が異なる複数の矩形波形で擬似的に形成する場合には、正弦波の電圧を超えた領域の電力は無駄に消費されることとなる。
【0005】
したがって、この正弦波の電圧を超えた領域の電力を削減することで、電力消費を抑制するために、引用文献1記載の技術は、電源電圧を昇降圧コンバータで出力するインバータ波形に合わせて、全波波形を出力し、電力損失の低減を図っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−220001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、商用電源のように周波数が固定されたものに対しては、コンバータ回路が出力する全波整流信号の周波数は一定であり、インバータ回路の出力信号の周波数も一定であるので、インバータ回路の振幅を制御すれば、所望の正弦波形を有する出力信号を出力することが可能となる。
しかしながら、交流モータのように使用状況によって回転数が変動すると、コンバータの出力する全波整流波形およびインバータの出力波形は、実際のモータに必要とされる駆動波形と同期しないものとなり、所望の回転数あるいはトルクを得ることができなくなる。
さらに三相交流モータの場合には、全波整流を行うとU相、V相、W相の各相の波形が重なり合うことから、特許文献1記載の技術では、所望の正弦波形を有する出力信号を出力することができないという問題点があった。
そこで、本発明の目的は、駆動状態が変化する三相交流モータを駆動するに際して、スイッチング素子の損失を低減し、スイッチング素子や放熱器の小型化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1態様は、直流電源から供給された電力を三相交流電力に変換し、負荷に駆動電力として供給する電力変換装置において、スイッチング素子を有し、前記直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路と、スイッチング素子を有し、前記コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給するインバータ回路と、前記負荷に供給されている前記三相交流電力の位相、周波数、前記負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する周波数制御信号出力部と、前記周波数制御信号に基づく前記負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点として前記コンバータ回路及び前記インバータ回路を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、コンバータ回路は、直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換してインバータ回路に出力する。
インバータ回路は、コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給する。
これらと並行して、周波数制御信号出力部は、負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数、負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいてコンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を制御部に出力する。
これらの結果、制御部は、周波数制御信号に基づく負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点としてコンバータ回路及びインバータ回路を制御する。
したがって、コンバータ回路とインバータ回路とは、負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数、負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて、同期して動作することとなり、スイッチング素子の損失を低減でき、ひいては、スイッチング素子や放熱器の小型化が図れる。
【0010】
また、本発明の第2態様は、第1態様において、前記負荷は、三相交流モータであり、
前記三相交流モータの磁極位置を検出する磁極位置検出器を備え、前記周波数制御信号出力部は、前記検出された前記磁極位置に基づいて当該三相交流モータに供給されている前記三相交流電力の位相及び周波数を検出し、前記周波数制御信号を出力する、ことを特徴としている。
上記構成によれば、磁極位置検出器は、三相交流モータの磁極位置を検出する。
周波数制御信号出力部は、検出された磁極位置に基づいて当該三相交流モータに供給されている三相交流電力の位相及び周波数を検出し、周波数制御信号を制御部に出力する。
したがって、周波数制御信号は、徐々に三相交流モータに供給される三相交流信号の位相及び周波数は、目標となる位相及び周波数に近づき、ひいては、三相交流モータの実際の回転状態が目標回転状態と近づくように制御される。
【0011】
また、本発明の第3態様は、第2態様において、前記周波数制御信号出力部は、前記磁極位置検出器により検出された前記三相交流モータに実際に供給されている前記三相交流電力の周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の周波数と、前記目標周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の目標の周波数と、を加算した周波数に相当する前記周波数制御信号を出力する、ことを特徴としている。
上記構成によれば、周波数制御信号出力部は、前記磁極位置検出器により検出された前記三相交流モータに実際に供給されている前記三相交流電力の周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の周波数と、前記目標周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の目標の周波数と、を加算した周波数に相当する前記周波数制御信号を出力するので、徐々に三相交流モータに供給される三相交流信号の位相及び周波数は、目標となる位相及び周波数に近づき、ひいては、三相交流モータの実際の回転状態が目標回転状態と近づくように制御される。
【0012】
また、本発明の第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、前記制御部は、前記コンバータの全波整流信号の周期が、前記三相交流モータの回転数の電気角の周期の倍となるように制御することを特徴としている。
上記構成によれば、コンバータの全波整流信号は、三相交流モータの回転数に同期した状態となり、スイッチング素子の損失を低減できる。
【0013】
また、本発明の第5態様は、第1態様乃至第4態様のいずれかにおいて、コンバータ回路は、インバータ回路から出力される各相の交流波形の周波数の6倍の周波数で全波整流制御を行うことを特徴としている。
上記構成によれば、コンバータ回路とインバータ回路とは完全に同期して動作可能となり、スイッチング素子の損失を低減できる。
【0014】
また、本発明の第6態様は、直流電源と、前記直流電源から供給された電力を三相交流電力に変換し、駆動電力として供給する電力変換装置と、前記電力変換装置から供給された電力を駆動電力として動作する三相交流モータと、を備えたモータ駆動制御装置において、前記電力変換装置は、スイッチング素子を有し、前記直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路と、スイッチング素子を有し、前記コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給するインバータ回路と、前記三相交流モータに供給されている前記三相交流電力の位相、周波数、前記三相交流モータへ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する周波数制御信号出力部と、前記周波数制御信号に基づく前記三相交流モータへ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点として前記コンバータ回路及び前記インバータ回路を制御する制御部と、を備えたことを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、コンバータ回路は、直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換してインバータ回路に出力する。
インバータ回路は、コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給する。
これらと並行して、周波数制御信号出力部は、負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数、負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいてコンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を制御部に出力する。
【0016】
これらの結果、制御部は、周波数制御信号に基づく負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点としてコンバータ回路及びインバータ回路を制御する。
したがって、コンバータ回路とインバータ回路とは、負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数、負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて、同期して動作することとなり、スイッチング素子の損失を低減でき、ひいては、スイッチング素子や放熱器の小型化が図れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動状態が変化する三相交流モータを駆動するに際して、スイッチング素子の損失を低減し、スイッチング素子や放熱器の小型化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施形態の電力供給装置としての、ハイブリッド車両用の電力供給装置の回路構成図である。
【図2】インバータ回路の出力信号波形の説明図である。
【図3】三相交流波形を全波整流した場合の波形説明図である。
【図4】実施形態の動作説明図である。
【図5】変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、実施形態のモータ駆動制御装置としてのハイブリッド車両用の電力供給装置の回路構成図である。
電力供給装置10は、直流電源として機能するバッテリ11と、バッテリ11からの供給電力の電圧の昇降圧を行うコンバータ回路12と、コンバータ回路12の動作制御を行うコンバータ制御部13と、コンバータ回路12からの供給電力の直流/交流変換を行って負荷としての三相交流モータ15に駆動電力として三相交流電力を供給するインバータ回路14と、コンバータ制御部を介して入力されるインバータ制御信号に基づいて、インバータ回路14の制御を行うインバータ制御部16と、三相交流モータ15の磁極位置を検出する磁極位置検出センサ17と、磁極位置検出センサ17の出力信号に基づいて、三相交流モータ15の回転速度を検出して位置速度検出信号を出力する磁極位置速度検出器18と、磁極位置速度検出器18が出力した位置速度検出信号の低周波成分を通過させてインバータ回路14が出力しているモータ駆動信号の周波数に相当する駆動周波数信号Svを出力するロウパスフィルタ(LPF)19と、図示しない車両のECUから入力されるインバータ回路14の出力周波数を制御するための駆動周波数制御信号Svcを駆動周波数信号Svに加算してコンバータ制御信号Vsを出力する加算器20と、を備えている。
ここで、コンバータ回路12、コンバータ制御部13、インバータ回路14、インバータ制御部16及び加算器30は、電力変換装置を構成している。
また、上記構成において、磁極位置速度検出器18から出力される位置速度検出信号は、実効的に、インバータ回路が出力しているモータ駆動信号の位相及び周波数に関する情報が含まれている。
【0020】
コンバータ回路12は、バッテリ11の出力電圧Viを平滑するための1次平滑コンデンサ21と、入力電圧の昇降圧を行うチョッパ回路を構成する高電位側トランジスタ22Hと、チョッパ回路を構成するとともに、高電位側トランジスタ22Hに直列に接続された低電位側トランジスタ22Lと、を備えている。
さらに、高電位側トランジスタ22Hのコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてダイオード23Hが接続され、低電位側トランジスタ22Lのコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてダイオード23Lが接続されている。
【0021】
また、コンバータ回路12は、リアクトルであるコイル24と、このコイル24の後段に設けられ、入力電圧の昇降圧を行うチョッパ回路を構成する高電位側トランジスタ25Hと、チョッパ回路を構成するとともに、高電位側トランジスタ25Hに直列に接続された低電位側トランジスタ25Lと、を備えている。
さらに、高電位側トランジスタ25Hのコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてダイオード26Hが接続され、低電位側トランジスタ25Lのコレクタ−エミッタ間には、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてダイオード26Lが接続されている。
また、コンバータ回路12は、その全波整流信号SCを平滑するための2次平滑コンデンサ27を備えている。
【0022】
コンバータ制御部13は、コンバータ制御信号Vsの絶対値信号である基準信号Vrefを出力する絶対値(ABS)回路41と、コンバータ制御信号Vsをそのまま出力する第1バッファ42と、絶対値回路41の出力である基準信号Vrefをそのまま出力する第2バッファ43と、バッテリ11の出力電圧Viに対する基準信号Vrefの電圧比(=Vref/Vi)を求める第1演算回路61と、基準信号Vrefとバッテリ11の出力電圧Viとの電圧差と、基準信号Vrefの電圧との電圧比(=1−Vi/Vref)を求める第2演算回路62と、コンバータ回路12を構成している2次平滑コンデンサ27の電圧Vmに基づいて、PI制御(比例積分制御)を行い、目標電圧に対するフィードバック量に相当するフィードバック信号を出力するPI制御回路50と、第1演算回路61の出力信号にPI制御回路50のフィードバック信号を加算して出力する第1加算器44と、第2演算回路62の出力に信号にPI制御回路50のフィードバック信号を加算して出力する第2加算器45と、第1加算器44の出力と、所定の三角波と、の差をとってバッテリ11の電圧Viを昇圧するために高電位側トランジスタ22H及び低電位側トランジスタ22Lをオン/オフさせるためのタイミング信号(矩形信号)を生成する第1コンパレータ46と、第1コンパレータ46の出力を反転して低電位側トランジスタ22Lのベースに供給する反転回路47と、第2加算器45の出力と、所定の三角波と、の差をとってバッテリ11の電圧Viを昇圧あるいは降圧したコンバータ回路の出力である全波整流波形の周波数をコンバータ制御信号Vsに対応する所定の周波数とするために高電位側トランジスタ25H及び低電位側トランジスタ25Lをオン/オフさせるためのタイミング信号(矩形信号)を生成する第2コンパレータ48と、第2コンパレータ48の出力を反転して低電位側トランジスタ25Lのベースに供給する反転回路49と、を備えている。
【0023】
インバータ回路14は、コレクタが高電位側電源に接続された高電位側トランジスタ31Hと、高電位側トランジスタ31Hに直列に接続され、エミッタが低電位側電源に接続された低電位側トランジスタ31Lと、高電位側トランジスタ31Hのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード32Hと、低電位側トランジスタ22Lのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード32Lと、を備えている。
【0024】
また、インバータ回路14は、コレクタが高電位側電源に接続された高電位側トランジスタ33Hと、高電位側トランジスタ33Hに直列に接続され、エミッタが低電位側電源に接続された低電位側トランジスタ33Lと、高電位側トランジスタ33Hのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード34Hと、低電位側トランジスタ33Lのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード34Lと、を備えている。
【0025】
さらに、インバータ回路14は、コレクタが高電位側電源に接続された高電位側トランジスタ35Hと、高電位側トランジスタ35Hに直列に接続され、エミッタが低電位側電源に接続された低電位側トランジスタ35Lと、高電位側トランジスタ35Hのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード36Hと、低電位側トランジスタ35Lのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように接続されたフリーホイールダイオードとしてのダイオード36Lと、を備えている。
【0026】
さらにまた、インバータ回路14は、インバータ制御部16が出力したU相制御信号CUを反転して出力する反転アンプ51と、インバータ制御部16が出力したV相制御信号CVを反転して出力する反転アンプ52と、インバータ制御部16が出力したW相制御信号CWを反転して出力する反転アンプ53と、を備えている。
ここで、例えば、高電位側トランジスタ31H及び低電位側トランジスタ31Lは、U相に対応し、高電位側トランジスタ31H及び低電位側トランジスタ31Lは、V相に対応し、高電位側トランジスタ31H及び低電位側トランジスタ31Lは、W相に対応して、高電位側トランジスタと低電位側トランジスタとの中間接続点に三相交流モータ15のそれぞれの端子が接続されている。
【0027】
インバータ制御部16は、コンバータ回路12の2次平滑コンデンサ27の電圧Vm及びコンバータ制御信号Vsに基づいて、U相制御信号CU、V相制御信号CV、W相制御信号CWを生成し、インバータ回路14に出力する。
磁極位置検出センサ17は、三相交流モータ15の磁極の回転に伴う磁界の変化を検出する第1ホールセンサ17Aと、第1ホールセンサ17Aとは所定の電気角だけ離間された位置に配置され、三相交流モータ15の磁極の回転に伴う磁界の変化を検出する第2ホールセンサ17Bと、さらに第2ホールセンサ17Bとは所定の電気角だけ離間された位置に配置され、三相交流モータ15の磁極の回転に伴う磁界の変化を検出する第3ホールセンサ17Cと、を備えている。
磁極位置速度検出器18は、第1ホールセンサ17Aおよび第2ホールセンサ17Bの出力に基づいて、三相交流モータの回転速度(=インバータ回路14の出力信号の周波数に比例)に対応する回転速度検出信号を出力する。
【0028】
ここで、具体的な動作説明に先立ち、本実施形態が解決しようとする課題について説明する。
図2は、インバータ回路の出力信号波形の説明図である。
なお、図2においては、説明の簡略化のため、U相、V相、W相の三相のうち、U相のみを図示するものとする。
インバータ回路14は、図2(a)に示すコンバータ回路12から出力される全波整流信号SCに基づいて、DC/AC変換を行い、動作安定状態においては、全波整流信号SCの周波数の1/2の周波数を有する、モータ駆動信号SIを出力することとなる。
もっとも理想的な状態におけるモータ駆動信号SIを図2(b)に示す、符号SITで表すとすると、インバータ回路14はモータ駆動信号SIの電圧が理想的なモータ駆動信号SITを表す曲線に沿って変化するようにモータ駆動信号SIとして、矩形波信号を出力することとなる。
【0029】
しかしながら、三相交流モータ15の回転数が変化している状態においては、必ずしもモータ駆動信号SIの電圧が理想的なモータ駆動信号SITを表す曲線に沿って変化することができず、たとえば、図2(b)に示すモータ駆動信号SIXのように、理想的なモータ駆動信号SITとは、ずれてしまい、所望のモータ回転数あるいは所望のモータトルクを得ることができないこととなる。
そこで、本実施形態においては、磁極位置速度検出器18が磁極位置検出センサ17の出力信号に基づいて出力した位置速度検出信号に基づいて、コンバータ回路12の全波整流信号SCの周波数を理想的な状態に制御して、三相交流モータ15の回転数が遷移しているような状況でも各相に応じた理想的なモータ駆動信号SIを出力するようにしている。
【0030】
図3は、三相交流波形を全波整流した場合の波形説明図である。図3において、縦軸は波高値を正規化した値であり、横軸は位相[゜]である。
図3(a)は、U相、V相、W相の各相の全波整流前の波形であり、図3(b)は、各相の全波整流後の波形である。
例えば、50[Hz]の商用三相交流出力装置を構成した場合、U相、V相、W相の各相の基本周波数は、50[Hz]となる。各相について全波整流を行うと周波数は2倍の100[Hz]となるが、三相すべてを全波整流した場合、その周波数は各相の基本周波数の6倍の300[Hz]となる。
【0031】
図4は、実施形態の動作説明図である。図4において、縦軸は波高値を正規化した値であり、横軸は位相[゜]である。
このとき、図4(a)に示す各相の全波波形の重なる点PXは、図4(b)に示すように、波高値×1/2×√3(60度ずれ)で求められる。
この点PXを基準点として、これに同期した全波整流波形を生成することで、インバータ回路14の出力する三相交流波形に周波数を合わせることが可能となる。
しかしながら、点PXから正弦波を生成すると、対象とする交流波形の基準が変わるため、周波数は一致するものの、元の三相交流波形とは波形が一致しなくなる。
【0032】
このため、本願においては、生成する全波整流波形PLを、図4(b)に太線で示すように、元の全波整流波形を60度オフセットさせた値とし、その絶対値にすることで、インバータ回路14の出力する三相交流波形と波形を合わせている。ここで、全波整流波形PLは、U相、V相、W相の三相交流波形を全波整流した場合のエンベロープ(包絡線)と等しいエンベロープを有している。すなわち、点PXを基準点とするということは、三相交流波形を全波整流した場合のエンベロープ上におけるU相、V相、W相の各相の全波整流波形の交点を基準点として、全波整流制御を行うということである。
このU相、V相、W相の各相の全波整流波形の交点である点PXは、負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数が徐々に変更されて、U相、V相、W相の各波形が異なっているような状況下であっても、明確にコンバータ回路12の出力信号波形のエンベロープ上で検出でき、確実に制御タイミングとして利用することができるので、所望の位相および周波数を有する三相交流電力を供給することが可能となる。
この結果、インバータ回路14の出力信号のリップル制御が確実に行え、スイッチング素子における損失を低減し、ひいては、スイッチング素子の小型化や放熱器の小型化を図ることができる。
【0033】
ところで、動作安定状態においては、相単位でみれば、モータ駆動信号SIの周波数は、全波整流信号SCの周波数の1/2の周波数となっているため、本実施形態では、コンバータ制御信号Vsとして、図示しない車両のECUから入力されるインバータ回路14の出力周波数を制御するための駆動周波数制御信号Svcと、インバータ回路14のモータ駆動信号SIに対応する駆動周波数信号Svと、を加算した信号を出力している。
【0034】
この結果、駆動周波数制御信号Svcに相当するモータ駆動信号SIの周波数をνとし、駆動周波数信号Svに相当するモータ駆動信号SIの周波数をν+Δνとすると、コンバータ制御信号Vsに相当するモータ駆動信号SIの周波数νxは、次式で表される。
νx=(ν+ν+Δν)/2
=ν+Δν/2
となる。すなわち、実際のモータ駆動信号SIの周波数と、駆動周波数制御信号Svcに相当する周波数との中間の値を次回の目標周波数とすることとなるので、徐々に実際のモータ駆動信号SIの周波数と、駆動周波数制御信号Svcに相当する周波数と、の差が少なくなるように制御がなされ、三相交流モータ15は、所望の回転速度あるいは所望のトルクを得ることが可能となる。
【0035】
次に具体的な動作を説明する。
初期状態においては、三相交流モータ15が停止状態(すなわち、実際の三相交流モータ15の周波数=0)にあるものとする。
まず、図示しないECUから駆動周波数制御信号Svcが入力されると、加算器20は、駆動周波数制御信号Svcをそのままコンバータ制御信号Vsとしてコンバータ制御部13に出力する。
これによりコンバータ制御部13の絶対値(ABS)回路41は、コンバータ制御信号Vsの絶対値信号である基準信号Vrefを第1演算回路61および第2演算回路62に第1バッファ42を介して出力する。
【0036】
このとき、第1演算回路61および第2演算回路62の演算結果に基づいて、三相交流モータ15がバッテリ11の放電電圧で所望の回転数が保てる場合には、高電位側トランジスタ22H及び高電位側トランジスタ25Hは、オン状態となり、実効的にコンバータは動作していない状態で、バッテリ11の電圧が2次平滑コンデンサ27を介してインバータ回路14に印加されることとなる。また、三相交流モータ15がバッテリ11の放電電圧で所望の回転数が保てない場合には、昇圧が必要となるので、第1演算回路61の演算結果に基づき、高電位側トランジスタ22Hはオン状態、低電位側トランジスタ22Lはオフ状態となる。このとき、高電位側トランジスタ25H及び低電位側トランジスタ25Lは、昇圧する電圧に応じたタイミングで交互にオン/オフを繰り返し、コイル24と共働して、バッテリ11の電圧を昇圧して、2次平滑コンデンサ27を介してインバータ回路14に印加することとなる。
【0037】
これにより、インバータ制御部16は、駆動周波数制御信号Svcに対応する周波数を有する周波数で、インバータ回路14を、制御することとなる。
そして、三相交流モータ15は、インバータ回路14により印加された電圧及び周波数で駆動されることとなる。
これにより、磁極位置検出センサ17の第1ホールセンサ17A及び第2ホールセンサ17Bは、三相交流モータ15の磁極の回転に伴う磁界の変化を検出して、検出信号を磁極位置速度検出器18に出力する。
これにより、磁極位置速度検出器18は、第1ホールセンサ17Aおよび第2ホールセンサ17Bの出力に基づいて、三相交流モータ15の回転速度(=インバータ回路14の出力信号の周波数に比例)に対応する回転速度検出信号をLPF19に出力する。
【0038】
続いて、LPF19は、回転速度検出信号のノイズ成分などの高域成分を除去して加算器20に駆動周波数信号Svとして出力する。
この結果、加算器20は、図示しない車両のECUから入力されるインバータ回路14の出力周波数を制御するための駆動周波数制御信号Svcを駆動周波数信号Svに加算してコンバータ制御信号Vsとして出力する。
このときのコンバータ制御信号Vsは、上述したように、実際のモータ駆動信号SIの周波数と、駆動周波数制御信号Svcに相当する周波数との中間の値を次回の目標周波数とすることとなるので、徐々に実際のモータ駆動信号SIの周波数と、駆動周波数制御信号Svcに相当する周波数と、の差が少なくなるように制御がなされる。
【0039】
具体的には、三相交流モータ15の極数が4であり、磁極位置速度検出器18が、第1ホールセンサ17A、第2ホールセンサ17B及び第3ホールセンサ17Cの出力に基づいて、得られた三相交流モータ15の回転速度が3030rpmであり、図示しない車両のECUから入力される駆動周波数制御信号Svcに相当する三相交流モータ15の回転速度が3000rpmであったとすると、
駆動周波数信号Svに相当する周波数=3030/120×4
=101[Hz]
となり、
駆動周波数制御信号Svcに相当する周波数=3000/120×4
=100[Hz]
となる。
【0040】
したがって、コンバータ制御信号Vsとしてコンバータ回路12の全波整流信号の周波数が603[Hz]となるように設定されることとなる。
このことは、三相交流モータ15の回転数の電気角の周期の倍の周期でコンバータ回路12の全波整流波形を制御することとなる。さらに各相でみれば、各相の交流波形の周波数の6倍の周波数でコンバータ回路12の全波整流波形を制御することとなる。
【0041】
この結果、インバータ回路14としては、SIの周波数が、現在の周波数である101[Hz]と目標となる周波数である100[Hz]の中間の100.5[Hz]となるように制御がなされることとなる。コンバータ回路12としては、全波整流波形の周波数101×6=606[Hz]と、目標となる周波数である100×6=600[Hz]の中間の603[Hz]となるように制御がなされることとなる。
よって、徐々に実際の三相交流モータ15の回転数に合わせてコンバータ回路12の全波整流波形を得ることができるとともに、これに同期したインバータ回路14の出力信号を得ることができるので、三相交流モータ15を所望の回転数(回転速度)あるいは所望のトルクで駆動することが可能となり、スイッチング素子損失の低減が図れることとなる。
この結果、スイッチング素子損失の低減が図れ、スイッチング素子の小型化や、放熱器の小型化が可能となる。
【0042】
以上の説明では、コンバータ回路12において、コイル24の上流側には、2個のトランジスタ22H、22Lを対として用いていたが、さらに電流容量が必要とされる場合には、同様の高電位側トランジスタ及び低電位側トランジスタの対を、2個のトランジスタ22H、22Lと並列に、一対あるいは複数対配置するように構成することも可能である。この場合には、上述した実施形態と同様に、直列に接続している高電位側トランジスタ及び低電位側トランジスタのそれぞれのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてのダイオードを接続する。
【0043】
同様に、コンバータ回路12において、コイル24の下流側には、2個のトランジスタ25H、25Lを対として用いていたが、さらに電流容量が必要とされる場合には、同様の高電位側トランジスタ及び低電位側トランジスタの対を、2個のトランジスタ25H、25Lと並列に、一対あるいは複数対配置するように構成することも可能である。この場合にも、直列に接続している高電位側トランジスタ及び低電位側トランジスタのそれぞれのコレクタ−エミッタ間に、エミッタからコレクタに向けて順方向となるように、フリーホイールダイオードとしてのダイオードを接続する。
【0044】
図5は、実施形態の変形例の要部説明図である。
図5においては、図1と同様の部分には、同一の符号を付すとともに、コンバータ制御部13、インバータ制御部16、磁極位置検出センサ17、磁極位置速度検出器18、ロウパスフィルタ(LPF)19、加算器20及び反転アンプ51〜53について図示を省略している。
上記実施形態の説明においては、コンバータ回路12は、昇降圧を行うものであったが、図5におけるコンバータ回路12Aは、昇圧のみを行う場合の回路構成例である。
図1のコンバータ回路12と比較して、コンバータ回路12Aは、入力電圧の昇降圧を行うチョッパ回路を構成する高電位側トランジスタ22H及び低電位側トランジスタ22Lが設けられておらず、バッテリ11の高電位側にコイル24の一端が直接接続されている。
コンバータ回路12Aの動作については、降圧を行う場合を除き、コンバータ回路12と同様である。
【0045】
以上の説明では、負荷として三相交流モータを用いる場合について説明したが、負荷に対して商用三相交流電力と同じ電力を供給する、例えば、太陽電池のパワーコンディショナ等における三相インバータ制御においても同様に適用が可能である。
すなわち、太陽電池や、燃料電池などの直流電源から供給された電力を商用電力と同じ三相交流電力に変換し、負荷に駆動電力として供給する電力変換装置において、スイッチング素子を有し、直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路と、スイッチング素子を有し、コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って負荷に供給するインバータ回路と、負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数をU相、V相、W相の各交流電力供給路に設けた電圧検出器により検出し、各種負荷に実際に供給されている三相交流電力の位相、周波数、三相交流電力で駆動される負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する周波数制御信号出力部と、周波数制御信号に基づく負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点としてコンバータ回路及びインバータ回路を制御する制御部と、を備えるようにしてもよい。
【0046】
上記構成によれば、周波数制御信号出力部は、インバータ回路により負荷に供給されている三相交流電力の位相、周波数をU相、V相、W相の各交流電力供給路に設けた電圧検出器により検出し、負荷に実際に供給されている三相交流電力の位相、周波数、三相交流電力で駆動される負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を制御部に出力する。
これにより、制御部は、周波数制御信号出力部から出力された周波数制御信号に基づく負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点としてコンバータ回路及びインバータ回路を制御する。
【0047】
ここで、負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点は、負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数が徐々に変更されて、U相、V相、W相の各波形が異なっているような状況下であっても、明確にコンバータ回路12のエンベロープ(出力信号波形)上で検出でき、確実に制御タイミングとして利用することができるので、所望の位相および周波数を有する三相交流電力を供給することが可能となる。
この結果、インバータ回路の出力信号のリップル制御が確実に行え、スイッチング素子における損失を低減し、ひいては、スイッチング素子の小型化や放熱器の小型化を図ることができる。
【0048】
また、以上の説明においては、三相交流モータ15の回転状態(ひいては、インバータ回路14が供給する駆動電力として三相交流電力の位相および周波数)をホールセンサ17A〜17Cを用いて検出していたが、三相交流モータ15の回転状態を検出し、インバータ回路14が供給する三相交流電力の位相および周波数を検出可能であれば、エンコーダやレゾルバ等の他の検出装置を用いることが可能である。
また、以上の説明では、詳細に述べなかったが、高電位側トランジスタ及び低電位側トランジスタとして、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET、バイポーラトランジスタなどのスイッチング素子を使用することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 電力供給装置
11 バッテリ
12、12A コンバータ回路
13 コンバータ制御部(制御部)
14 インバータ回路
15 三相交流モータ
16 インバータ制御部(制御部)
17 磁極位置検出センサ
17A 第1ホールセンサ
17B 第2ホールセンサ
17C 第3ホールセンサ
18 磁極位置速度検出器
19 LPF
20 加算器(周波数制御信号出力部)
21 1次平滑コンデンサ
22H 高電位側トランジスタ(スイッチング素子)
22L 低電位側トランジスタ(スイッチング素子)
25H 高電位側トランジスタ(スイッチング素子)
25L 低電位側トランジスタ(スイッチング素子)
27 2次平滑コンデンサ
30 加算器
31H 高電位側トランジスタ(スイッチング素子)
31L 低電位側トランジスタ(スイッチング素子)
33H 高電位側トランジスタ(スイッチング素子)
33L 低電位側トランジスタ(スイッチング素子)
41 絶対値回路
42 第1バッファ
43 第2バッファ
44 第1加算器
45 第2加算器
46 第1コンパレータ
47 反転回路
48 第2コンパレータ
49 反転回路
50 PI制御回路
51〜53 反転アンプ
SC 全波整流信号
SI モータ駆動信号
SIT モータ駆動信号
SIX モータ駆動信号
Sv 駆動周波数信号
Svc 駆動周波数制御信号
Vs コンバータ制御信号
νx 周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源から供給された電力を三相交流電力に変換し、負荷に駆動電力として供給する電力変換装置において、
スイッチング素子を有し、前記直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路と、
スイッチング素子を有し、前記コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給するインバータ回路と、
前記負荷に供給されている前記三相交流電力の位相、周波数、前記負荷へ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する周波数制御信号出力部と、
前記周波数制御信号に基づく前記負荷へ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点として前記コンバータ回路及び前記インバータ回路を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電力変換装置において、
前記負荷は、三相交流モータであり、
前記三相交流モータの磁極位置を検出する磁極位置検出器を備え、
前記周波数制御信号出力部は、前記検出された前記磁極位置に基づいて当該三相交流モータに供給されている前記三相交流電力の位相及び周波数を検出し、前記周波数制御信号を出力する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
請求項2記載の電力変換装置において、
前記周波数制御信号出力部は、前記磁極位置検出器により検出された前記三相交流モータに実際に供給されている前記三相交流電力の周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の周波数と、前記目標周波数に対応する前記インバータ回路の出力信号の目標の周波数と、を加算した周波数に相当する前記周波数制御信号を出力する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3記載の電力変換装置において、
前記制御部は、前記コンバータの全波整流信号の周期が、前記三相交流モータの回転数の電気角の周期の倍となるように制御することを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の電力変換装置において、
前記コンバータ回路は、前記インバータ回路から出力される各相の交流波形の周波数の6倍の周波数で全波整流制御を行うことを特徴とする電力変換装置。
【請求項6】
直流電源と、前記直流電源から供給された電力を三相交流電力に変換し、駆動電力として供給する電力変換装置と、前記電力変換装置から供給された電力を駆動電力として動作する三相交流モータと、を備えたモータ駆動制御装置において、
前記電力変換装置は、スイッチング素子を有し、前記直流電源からの供給電力の電圧を全波整流により中間電圧に変換して出力するコンバータ回路と、
スイッチング素子を有し、前記コンバータ回路の出力信号に同期して当該出力信号の直流/交流変換を行って前記負荷に供給するインバータ回路と、
前記三相交流モータに供給されている前記三相交流電力の位相、周波数、前記三相交流モータへ供給すべき三相交流電力の目標位相及び目標周波数に基づいて前記コンバータ回路の出力信号の周波数を制御する周波数制御信号を出力する周波数制御信号出力部と、
前記周波数制御信号に基づく前記三相交流モータへ供給する三相交流電力の目標位相及び目標周波数に対応する三相交流波形の全波整流波形のエンベロープ上における各相の全波整流波形の交点を基準点として前記コンバータ回路及び前記インバータ回路を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とするモータ駆動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−39786(P2012−39786A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178675(P2010−178675)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】