説明

電動二輪車

【課題】外観性能、配索作業性およびメンテナンス性を向上させることができる電動二輪車の提供。
【解決手段】電動モータ33を備えるパワーユニット34と、バッテリ35を備えるバッテリユニット36とを有し、パワーユニット34とバッテリユニット36とを繋ぐ配線37が車体フレーム11内に配索されるとともに、配線37のバッテリユニット36に電気接続可能な第1接続部48とパワーユニット34に電気接続可能な第2接続部49とが車体フレーム11に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動二輪車に関する。
【背景技術】
【0002】
電動二輪車において、走行駆動力を発生する電動モータを備えるパワーユニットを車体フレームの略中央位置に配置するとともに、電動モータに給電するバッテリを車体フレームのパワーユニットよりも前側に配置する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−105176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電動二輪車において、電力供給のためにパワーユニットとバッテリとを配線を用いて繋ぐ必要があるが、この配線が見栄えを悪くして外観性能を低下させてしまう可能性がある。また、配線が煩雑となって配索作業が面倒となり、加えて、配線が邪魔になってメンテナンス性を低下させてしまう可能性もある。
【0005】
本発明は、外観性能、配索作業性およびメンテナンス性を向上させることができる電動二輪車の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、走行駆動力を発生する電動モータ(例えば実施形態における電動モータ33)を備えるパワーユニット(例えば実施形態におけるパワーユニット34)と、前記電動モータに給電するバッテリ(例えば実施形態におけるバッテリ35)を備えるバッテリユニット(例えば実施形態におけるバッテリユニット36)とを有する電動二輪車であって、前記パワーユニットと前記バッテリユニットとを繋ぐ配線(例えば実施形態における接続ハーネス37)が車体フレーム(例えば実施形態における車体フレーム11)内に配索されるとともに、前記配線の前記バッテリユニットに電気接続可能な第1接続部(例えば実施形態におけるカプラ48)と前記パワーユニットに電気接続可能な第2接続部(例えば実施形態におけるカプラ49)とが前記車体フレームに設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記車体フレームには、前記バッテリユニットが組み付けられる第1組付部(例えば実施形態における組付穴43)と、前記パワーユニットが組み付けられる第2組付部(例えば実施形態における組付穴42,44,45)とが設けられ、前記バッテリユニットは前記第1接続部に直接電気接続された状態で前記第1組付部へ組み付け可能となり、前記パワーユニットは前記第2接続部に直接電気接続された状態で前記第2組付部へ組み付け可能となることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記車体フレームのステアリングシャフト(例えば実施形態におけるステアリングシャフト14)を軸支するヘッドパイプ(例えば実施形態におけるヘッドパイプ12)から後方に延出するメインフレーム(例えば実施形態におけるメインフレーム20)内に前記配線が配索されるとともに、前記メインフレームの上面に前記第1接続部が設けられ、前記メインフレームの下面に前記第2接続部が設けられており、前記メインフレームの上側に前記バッテリユニットが配設され、前記メインフレームの下側に前記パワーユニットが配設されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明において、前記バッテリユニットは、前記メインフレームの上方に配設される上部収納部(例えば実施形態における上部収納部84)と、該上部収納部および前記メインフレームの左右両側に配設される側部収納部(例えば実施形態における側部収納部85)とを有し、左右両側の前記側部収納部にバッテリが収納されていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明において、前記バッテリは切欠部(例えば実施形態における切欠部88)を有する側面視L字状をなしており、前記側部収納部には、前記バッテリの前記切欠部の位置に、前記電動モータを制御するコントローラ(例えば実施形態におけるコントローラ89)または前記バッテリを監視するバッテリ管理装置(例えば実施形態におけるバッテリ管理装置90)が配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項4または5に係る発明において、前記上部収納部に変圧器(例えば実施形態における変圧器86)またはドライバ(例えば実施形態におけるドライバ87)が収納されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項4乃至6のいずれか一項に係る発明において、前記バッテリユニットは、外部からエアを導入可能であるとともに、エアを排気する排気口(例えば実施形態における排気口101)が前記側部収納部の下部に設けられ、前記パワーユニットには、前記排気口に接続されて該排気口からのエアを導入する接続口(例えば実施形態における接続口79)が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、パワーユニットとバッテリユニットとを繋ぐ配線が車体フレーム内に配索されるとともに、この配線のバッテリユニットに電気接続可能な第1接続部とパワーユニットに電気接続可能な第2接続部とが車体フレームに設けられているため、配線が露出して見栄えを悪くしてしまうことがなく、外観性能を向上させることができる。また、配線が煩雑になることがないため、その配索作業性を向上させることができる。また、配線が邪魔になることがないため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、バッテリユニットは、第1接続部に直接電気接続された状態で第1組付部への組み付けが可能となり、パワーユニットは、第2接続部に直接電気接続された状態で第2組付部への組み付けが可能となるため、バッテリユニットを車体フレームへ組み付ければ配線の第1接続部への電気接続をも必然的に行うことになり、パワーユニットを車体フレームへ組み付ければ配線の第2接続部への電気接続をも必然的に行うことになる。したがって、組み付け作業を容易化することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、車体フレームのヘッドパイプから後方に延出するメインフレーム内に配線が配索されるとともに、メインフレームの上面に第1接続部が設けられ、メインフレームの下面に第2接続部が設けられているため、メインフレームの上側にバッテリユニットが配設され、メインフレームの下側にパワーユニットが配設される場合に、好適となる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、バッテリユニットが、メインフレームの上方に配設される上部収納部と、上部収納部およびメインフレームの左右両側に配設される側部収納部とを有するため、バッテリユニットがメインフレームを跨ぐ形状となり、バッテリユニットをコンパクトに車載できる。また、比較的重量物であるバッテリがバッテリユニットの左右両側の側部収納部に分割されて収納されるため、一つ当たりのバッテリの重量を軽減し、重量バランスを良好にすることができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、側面視L字状のバッテリの切欠部の位置に電動モータを制御するコントローラまたはバッテリを監視するバッテリ管理装置が配置されるため、バッテリと、コントローラまたはバッテリ管理装置とをコンパクトに側部収納部に配置できる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、バッテリユニットのメインフレームの上方の上部収納部に、変圧器またはドライバが収納されるため、バッテリユニット全体の高さを低く抑えることができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、外部からバッテリユニットに導入されたエアは、バッテリユニット内を冷却後、排気口からパワーユニットに接続口から導入されてパワーユニット内を冷却することになる。よって、バッテリユニット内およびパワーユニット内を効率良く冷却することができる。しかも、バッテリユニットの排気口が側部収納部の下部に設けられているため、パワーユニットと繋ぐ通路を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る電動二輪車を示す側面図である。
【図2】同電動二輪車のメインフレーム等を示す斜視図である。
【図3】同電動二輪車のメインフレーム等を示す部分側断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】同電動二輪車のパワーユニットを示す斜視図である。
【図6】同電動二輪車のバッテリユニットを示す斜視図である。
【図7】同電動二輪車のバッテリユニットを示す側断面図である。
【図8】図7のB矢視図である。
【図9】同電動二輪車のバッテリ支持部を示す断面図である。
【図10】同電気二輪車の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態に係る電動二輪車を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、車体フレーム11の前端のヘッドパイプ12には、ステム13に設けられたステアリングシャフト14が回転可能に軸支されており、このステム13には左右一対のフロントフォーク15が取り付けられている。これらフロントフォーク15の下端部には前輪16が軸支され、ステム13の上部には、ハンドル17が取り付けられている。これにより、ハンドル17を操作することで、前輪16が転舵可能となっている。
【0023】
また、車体フレーム11は、ヘッドパイプ12から後方かつ下方に後下がりに延出するメインフレーム20と、メインフレーム20の下端かつ後端に固定されるピボットブラケット21とを有しており、このピボットブラケット21の軸孔22に挿通されたピボット軸23にスイングアーム24の前端が軸支されている。スイングアーム24の後端には、後輪25が軸支されており、これにより、後輪25が上下動可能となっている。
【0024】
さらに、車体フレーム11は、メインフレーム20の中間位置から後上がりに延出した後、後方に延出するシートフレーム27と、ピボットブラケット21から後上がりに延出してシートフレーム27に結合されるリヤサブフレーム28とを有しており、シートフレーム27とスイングアーム24との間にはリヤクッション29が介装されている。シートフレーム27にはシート30が取り付けられている。
【0025】
メインフレーム20の下側には、走行駆動力を発生する電動モータ33を内部に備えるパワーユニット34が配設されており、メインフレーム20の上側および左右両側には、電動モータ33に給電するバッテリ35を内部に備えるバッテリユニット36が配設されている。これらパワーユニット34とバッテリユニット36とが接続ハーネス37(配線)によって電気的に接続されている。
【0026】
車体フレーム11は、図2に示すように、メインフレーム20の前側の下面から下方に延出する左右一対の取付プレート40と、後側の上面から上方に突出する左右一対の取付プレート41とを有している。一対の取付プレート40には下端に左右方向に貫通する組付穴(第2組付部)42が形成されており、一対の取付プレート41には左右方向に貫通する組付穴(第1組付部)43が形成されている。また、車体フレーム11には、ピボットブラケット21の前側の上部に左右方向に貫通する組付穴(第2組付部)44が形成されており、前側の下部にも左右方向に貫通する組付穴(第2組付部)45が形成されている。
【0027】
図1に示すように、バッテリユニット36とパワーユニット34とを繋ぐ接続ハーネス37は、バッテリユニット36に電気接続可能なカプラ(第1接続部)48と、パワーユニット34に電気接続可能なカプラ(第2接続部)49と、これらを電気的に結ぶワイヤ部50とを有している。そして、図2に示すように、この接続ハーネス37がメインフレーム20内に配索されている。
【0028】
図3および図4に示すように、メインフレーム20は上板部53と下板部54と一対の側板部55とを有する角パイプからなるもので、上板部53の図2に示すヘッドパイプ12側に図3および図4に示す上部取付穴56が形成されており、下板部54のヘッドパイプ12とは反対側に図4に示す下部取付穴57が形成されている。そして、接続ハーネス37はそのワイヤ部50が全体としてメインフレーム20内に配索されており、一端のカプラ48が上部取付穴56に嵌合固定され、他端のカプラ49が下部取付穴57に嵌合固定されている。つまり、接続ハーネス37のバッテリユニット36に電気接続可能なカプラ48とパワーユニット34に電気接続可能なカプラ49とが車体フレーム11に設けられ、その際に、メインフレーム20の上面にカプラ48が設けられ、メインフレーム20の下面にカプラ49が設けられている。
【0029】
一方のカプラ48は、図3に示すように、可撓性を有する可動爪58と固定爪59とを有しており、外側から上部取付穴56に嵌合する際に可動爪58が弾性変形し、上部取付穴56に嵌合し可動爪58が戻ることで可動爪58と固定爪59とで上板部53に固定される。他方のカプラ49も同様の構造で下部取付穴57に嵌合されて下板部54に固定される。
【0030】
図5に示すように、パワーユニット34には、その外観を構成するケース63内に、回転軸34aを左右方向に配置した横置き状態で電動モータ33が収納されている。また、ケース63内には、電動モータ33の回転を適宜変速する図示略の変速機構が設けられており、変速機構で変速された回転が駆動軸64に伝達される。駆動軸64はケース63から左側方に突出しており、この突出部分にフロントスプロケット65が固定されている。図1に示すように、このフロントスプロケット65と、後輪25に取り付けられたリヤスプロケット66と、これらに掛けられたチェーン67とによって、パワーユニット34が備える電動モータ33の駆動力が後輪25に伝達される。ケース63は、例えば、アルミニウム合金製となっている。
【0031】
図5に示すように、パワーユニット34のケース63は、電動モータ33を収納する下部が左右方向に幅広の幅広部70となっており、上部が幅広部70よりも幅の狭い幅狭部71となっている。この幅狭部71の上端部に左右方向に貫通する挿通穴72が形成されており、幅狭部71の中間部の左右に取付ボス73が形成されている。加えて、幅狭部71の上面の後部には、電動モータ33に電気的に接続される内部ハーネス74のカプラ75が固定されている。このカプラ75は、図2に示す接続ハーネス37のカプラ49に、互いのガイド壁のスライド結合で嵌合されて電気的に接続されることになる。これらカプラ49,75は、嵌合状態で内部への雨水の浸入を規制する防水カプラとなっている。
【0032】
図5に示すように、ケース63には、後部の上側に左右方向に貫通する挿通穴77が形成されており、後部の下側にも左右方向に貫通する挿通穴78が形成されている。ケース63には、幅広部70の上部であって幅狭部71の左右両側に、ケース63内にエアを導入するための接続口79が形成されており、下面にケース63内のエアを排出するための図示略の排出口が形成されている。
【0033】
パワーユニット34は、カプラ75を、図2に示すメインフレーム20に取り付けられた接続ハーネス37の下部のカプラ49に電気接続可能に嵌合させた状態で、上端部の挿通穴72が、図2に示す取付プレート40の組付穴42と位置が合い、後部上側の挿通穴77が、図2に示すピボットブラケット21の前側上部の組付穴44と位置が合い、後部下側の挿通穴78が、図2に示すピボットブラケット21の前側下部の組付穴45と位置が合うことになる。そして、パワーユニット34は、挿通穴72,77,78および組付穴42,44,45の位置が合うものに挿通されるボルト・ナット等の図1に示す締結具80で、車体フレーム11に固定される。つまり、図5に示すパワーユニット34は、図2に示す接続ハーネス37のカプラ49に直接電気接続された状態で車体フレーム11の取付穴42,44,45へ組み付け可能となり、接続ハーネス37のカプラ49に直接電気接続された状態以外では、車体フレーム11の取付穴42,44,45への組み付けが不可となる。
【0034】
図1に示すように、バッテリユニット36は、その外観を構成するユニットケース83が、メインフレーム20の上方に配設される上部収納部84と、上部収納部84、メインフレーム20およびパワーユニット34の幅狭部71の左右両側に配設される一対の側部収納部85とを有している。言い換えれば、ユニットケース83は、メインフレーム20およびパワーユニット34の幅狭部71を跨ぐ形状をなしている。
【0035】
ユニットケース83には、図6に示すように、左右両側の側部収納部85にそれぞれバッテリ35が収納されており、図7に示すように、上部収納部84に、いずれもバッテリ35以外の高圧電装部品である変圧器(DC−DCコンバータ)86およびドライバ(PDU:power driver unit)87が収納されている。ここでは、ドライバ87がメインフレーム20側(下側)に、変圧器86がメインフレーム20とは反対側(上側)に配置されている。つまり、ユニットケース83内において、図8に示すように、バッテリ35が左右両側に設けられ、これらバッテリ35の間に変圧器86およびドライバ87が設けられている。なお、バッテリ35は、図7に示すように、その上部かつ後部の前後方向および上下方向の位置を変圧器86およびドライバ87の両方と重ね合わせている。ユニットケース83は、例えば、鋼板製となっている。
【0036】
バッテリ35は、矩形の後側の下部に矩形状の切欠部88を形成した側面視L字状をなしており、バッテリユニット36の一方(左側)の側部収納部85には、バッテリ35の切欠部88の位置に、バッテリ35以外の高圧電装部品であって電動モータ33を制御するコントローラ(MCU:motor control unit)89が配置され、他方(右側)の側部収納部85には、同様に、バッテリ35の切欠部88の位置に、バッテリ35以外の高圧電装部品であってバッテリ35を監視する図10に示すバッテリ管理装置(BMU:battery managing unit)90が配置されている。
【0037】
図6に示すように、ユニットケース83には、下部の前端位置に左右方向に貫通する挿通穴91が形成されており、下部の後端位置にも左右方向に貫通する挿通穴92が形成されている。そして、上部収納部84の下面の前部には、両側のバッテリ35、変圧器86、ドライバ87、コントローラ89およびバッテリ管理装置90に電気的に接続される内部ハーネス93のカプラ94が固定されている。このカプラ94は、図2に示す接続ハーネス37のカプラ48に互いのガイド壁のスライド結合で嵌合されて電気的に接続されることになる。これらカプラ48,94も、嵌合状態で内部への雨水の浸入を規制する防水カプラとなっている。
【0038】
図6に示すように、ユニットケース83は、ユニットケース本体96と、ユニットケース本体96の上部開口97を覆うカバー98とを有している。カバー98はユニットケース本体96にビス等の締結具99により着脱可能に固定されている。ユニットケース本体96に取り付けられた状態のカバー98とユニットケース本体96との間には、前方に開口する開口部100が形成されることになり、この開口部100および上部開口97を介して外部からエアをユニットケース83内つまりバッテリユニット36内に導入可能となっている。つまり、カバー98は、ユニットケース本体96のメンテナンス用の上部開口97を開閉するカバーと冷却エア吸気用のダクトとを兼ねている。また、ユニットケース本体96の左右の側部収納部85の下部には、バッテリユニット36内に導入されて左右のバッテリ35、変圧器86、ドライバ87、コントローラ89およびバッテリ管理装置90を冷却したエアを排気する排気口101が設けられている。なお、左右の排気口101は、伸縮および変形可能な蛇腹形状をなしており、それぞれ図5に示すパワーユニット34の左右の接続口79に接続されることになる。言い換えれば、パワーユニット34には、バッテリユニット36の排気口101に接続されて排気口101からのエアを導入する接続口79が設けられている。
【0039】
図6に示すバッテリユニット36は、下部の蛇腹形状の排気口101を図5に示すパワーユニット34の接続口79に嵌合させた後、カプラ94を図2に示すメインフレーム20に取り付けられた接続ハーネス37の上部のカプラ48に電気接続可能に嵌合させた状態で、後部の挿通穴92が、図2に示す取付プレート41の組付穴43と位置が合い、前部の挿通穴91が図5に示すパワーユニット34の取付ボス73と位置が合うことになる。そして、バッテリユニット36は、位置が合う挿通穴92および組付穴43に挿通されるボルト・ナット等の図1に示す締結具102で、車体フレーム11に固定され、図6に示す挿通穴91に挿通され図5に示す取付ボス73に螺合されるボルト等の図1に示す締結具103でパワーユニット34に固定される。つまり、バッテリユニット36は、接続ハーネス37のカプラ48に直接電気接続された状態で、車体フレーム11の組付穴43およびパワーユニット34の取付ボス73への組み付けが可能となり、接続ハーネス37のカプラ48に直接電気接続された状態以外では、車体フレーム11の組付穴43およびパワーユニット34の取付ボス73への組み付けが不可となる。
【0040】
バッテリ35は、図7に示すように、その外観を構成するバッテリケース106が、上記したように側面視L字状をなしており、このバッテリケース106の内部には、前側の上下および後側の三カ所にそれぞれ同一の矩形板状のバッテリ本体108が収納されている。三つのバッテリ本体108は、相互間およびバッテリケース106との間に隙間を形成するように支持部材109を介在させてバッテリケース106に支持されている。
【0041】
ユニットケース83の左右の側部収納部85には、それぞれ、バッテリケース106の下端面との間に、バッテリケース106を支持する支持部材110が配置されている。加えて、ユニットケース83の左右の側部収納部85には、それぞれ、図9に示す左右一対の支持板115が固定されており、これら支持板115に図7に示す複数のバッテリ支持部116が設けられている。バッテリ支持部116は、図9に示すように、支持板115を左右に貫通する支持ボルト117と、支持ボルト117を支持板115に固定するナット118と、支持板115間にて支持ボルト117を挿通させる回転可能なカラー119とから構成されている。バッテリ35は、これらバッテリ支持部116のカラー119と支持部材110とに支持される。
【0042】
バッテリケース106は、例えば、アルミニウム合金製となっており、内外を貫通し冷却エアを通過させる図示略の通気口が複数形成されている。バッテリケース106は、その中間部および下部を構成するバッテリケース本体113と、その上部を構成してバッテリケース本体113の上部開口を開閉する上蓋114とを有している。バッテリケース106は、上蓋114を開くことで開放されるバッテリケース本体113の上部開口を介してバッテリ本体108が着脱される。
【0043】
ここで、上記の電気二輪車においては、図10に示すように、バッテリ35からの電力は、図示略のメインスイッチと連動するコンタクタ121を介して電動モータ33を制御するドライバ87に供給され、ドライバ87にて直流から3相交流に変換された後に、3相交流モータである電動モータ33に供給される。また、バッテリ35からの出力電圧は、変圧器86を介して降圧されて、12Vの低圧のサブバッテリ122や灯火器等の一般電装部品123、並びにコントローラ89等の制御系部品に供給される。
【0044】
バッテリ35は、例えばAC100Vの電源に接続される充電器125により充電される。バッテリ35の充放電状況や温度等は、バッテリ管理装置90に監視され、この情報がコントローラ89と共用される。コントローラ89には、スロットル(アクセル)センサ126からの出力要求情報が入力され、この出力要求情報に基づきコントローラ89がドライバ87を介して電動モータ33を駆動制御する。なお、充電器32は、電動二輪車に搭載していても非搭載であっても良い。また、バッテリ本体108の種類によってはサブバッテリ122を無くした構成とすることも可能である。
【0045】
以上に述べた本実施形態に係る電動二輪車によれば、パワーユニット34とバッテリユニット36とを繋ぐ接続ハーネス37が車体フレーム11内に配索されるとともに、この接続ハーネス37のバッテリユニット36に電気接続可能なカプラ48とパワーユニット34に電気接続可能なカプラ49とが車体フレーム11に設けられているため、接続ハーネス37が露出して見栄えを悪くしてしまうことがなく、外観性能を向上させることができる。また、接続ハーネス37が煩雑になることがないため、その配索作業性を向上させることができる。また、接続ハーネス37が邪魔になることがないため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0046】
加えて、バッテリユニット36は、カプラ48に直接電気接続された状態で、車体フレーム11の組付穴43およびパワーユニット34の取付ボス73への組み付けが可能となり、パワーユニット34は、カプラ49に直接電気接続された状態で、車体フレーム11の組付穴42,44,45への組み付けが可能となるため、バッテリユニット36を車体フレーム11へ組み付ければ接続ハーネス37のカプラ48への電気接続を必然的に行うことになり、パワーユニット34を車体フレーム11へ組み付ければ接続ハーネス37のカプラ49への電気接続をも必然的に行うことになる。したがって、組み付け作業を容易化することができる。
【0047】
また、車体フレーム11のヘッドパイプ12から後方に延出するメインフレーム20内に接続ハーネス37が配索されるとともに、メインフレーム20の上面にカプラ48が設けられ、メインフレーム20の下面にカプラ49が設けられているため、メインフレーム20の上側にバッテリユニット36が配設され、メインフレーム20の下側にパワーユニット34が配設される場合に、好適となる。
【0048】
また、バッテリユニット36が、メインフレーム20の上方に配設される上部収納部84と、上部収納部84およびメインフレーム20の左右両側に配設される側部収納部85とを有するため、バッテリユニット36がメインフレーム20を跨ぐ形状となり、バッテリユニット36をコンパクトに車載できる。
【0049】
また、比較的重量物であるバッテリ35がバッテリユニット36の左右両側の側部収納部85に分割されて収納されるため、一つ当たりのバッテリ35の重量を軽減し、重量バランスを良好にすることができる。
【0050】
また、側面視L字状のバッテリ35の切欠部88の位置にバッテリ35以外の高圧電装部品であるコントローラ89およびバッテリ管理装置90が配置されるため、バッテリ35と、コントローラ89およびバッテリ管理装置90とをコンパクトに側部収納部85に配置できる。
【0051】
また、バッテリユニット36のメインフレーム20の上方の上部収納部84に、バッテリ35以外の高圧電装部品である変圧器86およびドライバ87が収納されるため、バッテリユニット36全体の高さを低く抑えることができる。
【0052】
また、外部からバッテリユニット36に導入されたエアは、バッテリユニット36内の、変圧器86、ドライバ87、バッテリ35、コントローラ89、バッテリ管理装置90を冷却後、排気口101からパワーユニット34の接続口79に導入されてパワーユニット34内の電動モータ33等を冷却することになる。よって、バッテリユニット36内およびパワーユニット34内を効率良く冷却することができる。しかも、バッテリユニット36の排気口101が側部収納部85の下部に設けられているため、パワーユニット34と繋ぐエア通路を短くすることができる。
【0053】
なお、バッテリ35以外の高圧電装部品である、変圧器86、ドライバ87、コントローラ89およびバッテリ管理装置90は、上記配置に限らず、形状や大きさによって、適宜のもの同士の配置を入れ替えても良い。
【符号の説明】
【0054】
11 車体フレーム
12 ヘッドパイプ
14 ステアリングシャフト
20 メインフレーム
33 電動モータ
34 パワーユニット
35 バッテリ
36 バッテリユニット
37 接続ハーネス(配線)
42,44,45 組付穴(第2組付部)
43 組付穴(第1組付部)
48 カプラ(第1接続部)
49 カプラ(第2接続部)
79 接続口
84 上部収納部
85 側部収納部
86 変圧器
87 ドライバ
88 切欠部
89 コントローラ
90 バッテリ管理装置
101 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行駆動力を発生する電動モータ(33)を備えるパワーユニット(34)と、
前記電動モータ(33)に給電するバッテリ(35)を備えるバッテリユニット(36)とを有する電動二輪車であって、
前記パワーユニット(34)と前記バッテリユニット(36)とを繋ぐ配線(37)が車体フレーム(11)内に配索されるとともに、前記配線(37)の前記バッテリユニット(36)に電気接続可能な第1接続部(48)と前記パワーユニット(34)に電気接続可能な第2接続部(49)とが前記車体フレーム(11)に設けられていることを特徴とする電動二輪車。
【請求項2】
前記車体フレーム(11)には、前記バッテリユニット(36)が組み付けられる第1組付部(43)と、前記パワーユニット(34)が組み付けられる第2組付部(42,44,45)とが設けられ、前記バッテリユニット(36)は前記第1接続部(48)に直接電気接続された状態で前記第1組付部(43)へ組み付け可能となり、前記パワーユニット(34)は前記第2接続部(49)に直接電気接続された状態で前記第2組付部(42,44,45)へ組み付け可能となることを特徴とする請求項1記載の電動二輪車。
【請求項3】
前記車体フレーム(11)のステアリングシャフト(14)を軸支するヘッドパイプ(12)から後方に延出するメインフレーム(20)内に前記配線(37)が配索されるとともに、前記メインフレーム(20)の上面に前記第1接続部(48)が設けられ、前記メインフレーム(20)の下面に前記第2接続部(49)が設けられており、
前記メインフレーム(20)の上側に前記バッテリユニット(36)が配設され、前記メインフレーム(20)の下側に前記パワーユニット(34)が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の電動二輪車。
【請求項4】
前記バッテリユニット(36)は、
前記メインフレーム(20)の上方に配設される上部収納部(84)と、
該上部収納部(84)および前記メインフレーム(20)の左右両側に配設される側部収納部(85)とを有し、
左右両側の前記側部収納部(85)にバッテリ(35)が収納されていることを特徴とする請求項3記載の電動二輪車。
【請求項5】
前記バッテリ(35)は切欠部(88)を有する側面視L字状をなしており、
前記側部収納部(85)には、前記バッテリ(35)の前記切欠部(88)の位置に、前記電動モータ(33)を制御するコントローラ(89)または前記バッテリ(35)を監視するバッテリ管理装置(90)が配置されていることを特徴とする請求項4記載の電動二輪車。
【請求項6】
前記上部収納部(84)に変圧器(86)またはドライバ(87)が収納されていることを特徴とする請求項4または5記載の電動二輪車。
【請求項7】
前記バッテリユニット(36)は、外部からエアを導入可能であるとともに、エアを排気する排気口(101)が前記側部収納部(85)の下部に設けられ、
前記パワーユニット(34)には、前記排気口(101)に接続されて該排気口(101)からのエアを導入する接続口(79)が設けられていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項記載の電動二輪車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−96612(P2012−96612A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244334(P2010−244334)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】