電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法
【課題】リフタを使用せずに、バッテリパックを電動車両の車体から取り外すことができる電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法を提供すること。
【解決手段】電動車両1のバッテリパック3は、バッテリ2からの電力によって駆動する電動車両1のフロアパネル5の下方に設置されている。バッテリパック3は、平面視して略長方形に形成されたバッテリパック3の対向する一対の辺を、フロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、バッテリパック3の一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室R内側から解除可能に車体4に固定する第2固定手段82と、によって車体4に固定される。第2固定手段82は、少なくとも、前記第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック3の重量を支える。
【解決手段】電動車両1のバッテリパック3は、バッテリ2からの電力によって駆動する電動車両1のフロアパネル5の下方に設置されている。バッテリパック3は、平面視して略長方形に形成されたバッテリパック3の対向する一対の辺を、フロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、バッテリパック3の一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室R内側から解除可能に車体4に固定する第2固定手段82と、によって車体4に固定される。第2固定手段82は、少なくとも、前記第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック3の重量を支える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車等の電動車両に搭載されたバッテリパックを車体に固定したり、取り外したりするための電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機からなる走行モータを駆動源とする電気自動車や、ハイブリッド車等の電動車両には、走行モータにエネルギーである電気を供給するためのリチウムイオン電池等の二次電池からなるバッテリパック(バッテリユニット)が搭載されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1,2に開示されているように、バッテリパックは、電動車両の下方からバッテリパックをバッテリ交換装置によって上昇させて、床下のサイドメンバ及びクロスメンバの下面にボルトによって固定されている。
【0004】
また、電気自動車やハイブリッド車等の電動車両に搭載される大型のバッテリパックは、一般に、ガソリン車の燃料タンクと同様に、車体のフロアパネルの床下に収納されている。バッテリパックは、一般に、車体フレームやクロスメンバにボルトによって車体の下側から固定されている。このため、バッテリパックを車体に取り付けたり、取り外したり、積み降ろしたりする場合には、バッテリパックの重量が重いので、専用のリフタが必要である。
【0005】
また、不要になったバッテリパックの回収は、メーカが行っている。その場合、メーカは、電動車両の廃車時に、車両を引き取る廃車業者に対して、バッテリパックを車体から積み降ろしの依頼と、そのバッテリパックの引き取りの依頼とを行っている。そのため、廃車業者は、バッテリパックを積み降ろすための専用のリフタを使用して、バッテリパックを支えながら車体から取り外す作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−153128号公報(図1及び図2)
【特許文献2】特開2010−184621号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、電動車両のバッテリパックの積み降ろし作業を行う場合は、バッテリパックを車体から積み降ろすための専用のリフタが必要であり、その専用のリフタがなければ、バッテリパックの積み降ろし作業ができないという問題点があった。
【0008】
近年、電気自動車やハイブリッド車の台数は、増加傾向にあるものの、ガソリン車の台数と比較した場合、まだ僅かな数である。このため、バッテリパックの積み降ろし専用のリフタは、バッテリパックの積み降ろし作業を行うのに用意したとしても、使用される回数は僅かである。したがって、全ての廃車業者が、リフタを用意して所有することは難しい。よって、現在、バッテリパックの積み降ろし作業を行えない業者もある。
その結果、バッテリパックの回収が行えない、また、他の業者に依頼するなどしてさらに回収手数料が上乗せされるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく発明されたものであり、バッテリパックの積み降ろし作業用のリフタを使用せずに、バッテリパックを電動車両の車体から取り外すことができる電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記バッテリパックは、平面視して略長方形に形成された前記バッテリパックの対向する一対の辺を、前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、前記バッテリパックの一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室内側から解除可能に前記車体に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、電動車両のバッテリパックは、平面視して、バッテリパックの対向する一対の辺が、フロアパネルの下方から第1固定手段によって車体に解除可能に固定されている。そのバッテリパックの一対の辺と隣り合う辺は、それぞれ車室内側から第2固定手段によって解除可能に車体に固定されている。第2固定手段は、第1固定手段が解除された状態のときに、バッテリパックの重量を支えている。このため、バッテリパックを車体から外す際に、第1固定手段を車体の下方から解除したとしても、バッテリパックは、第2固定固定手段によって車体に固定されているので、バッテリパックが自重で落下することがない。その結果、リフタでバッテリパックを支えることが不要となる。
そのバッテリパックを車体から取り外す場合、作業者は、車室内側から第2固定手段を解除すればよいので、バッテリパックを車体の下側からリフタで支えることが不要である。第2固定手段を解除すると、第2固定手段を解除する際に、事前に車体の下側からフォークリフトなどでバッテリパックの下側を支えておくことで、第2固定手段を解除すると、バッテリパックはフォークリフトによって支持できる。これにより、特別なリフト等の機材は必要なくなり、通常業者が使用する機材を使用してバッテリパックの取り外しが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段及び前記第2固定手段は、ボルトからなることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、電動車両のバッテリパックの固定構造は、第1固定手段及び第2固定手段がボルトからなることにより、複数のボルトを工具で回動させることによって、バッテリパックを容易に車体に着脱することができる。
【0014】
請求項3に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1固定手段と第2固定手段のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることによって、バッテリパックの外周部を均等な保持力(締結力)で効率よく車体に固定させることができる。このため、バッテリパックは、第1固定手段及び第2固定手段によって、外周部がバランスよく車体に強固に取り付けられるので、ガタツキなくしっかりと保持される。その結果、最適な固定手段を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第1固定手段と第2固定手段のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることによって、バッテリパックの外周部を均等な保持力で効率よく車体に固定させることができる。このため、バッテリパックは、外周部がバランスよく車体に強固に取り付けられるので、ガタツキなくしっかりと保持される。その結果、最適な固定手段を得ることができる。
【0018】
請求項5に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第2固定手段は、平面視における前記バッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第2固定手段は、平面視におけるバッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることによって、車体の前後方向に延設されるサイドフレームに対して沿う位置に配置される。このため、第2固定手段を車室側からフロアパネルを挿通してバッテリパックに設ける際に、サイドフレーム上に固定されるフロアパネルの固定部と同様に設けることができるので、バッテリパックの取り外し、及び、取り付けを簡単に行うことができる。
【0020】
請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成され、前記複数のバッテリモジュールは、平面視して略長方形に形成された前記複数のバッテリモジュールのそれぞれ独立して対向する一対の辺を、それぞれ前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、前記一対の辺と隣合う一対の辺をそれぞれ車室内側から解除可能に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成されて複数に分割されているので、それぞれのバッテリモジュールを独立した状態にして取り付け、取り外しが可能になる。このため、バッテリパックの取り外しのときに発生する車両の振動を抑制することができる。
【0022】
請求項7に記載のバッテリパックの取り外し方法は、請求項1ないし請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造によって前記車体に固定されたバッテリパックの取り外し方法であって、前記バッテリパックを前記車体から取り外す際に、前記第1固定手段を解除した後に、前記第2固定手段を解除することを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、バッテリパックを車体から取り外す際に、第1固定手段を解除した後に、第2固定手段を解除することによって、荷重の重いバッテリパックが車体から分離して落下するときに、事前にフォークリフトなどでバッテリパックの下側を支えておくことで、落下を防ぎ、かつ、バッテリパックを車体から取り外す際に、取り外し専用のリフタが不要となり、取り外し作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法によれば、バッテリパックの積み降ろし作業用の専用リフタを使用せずに、バッテリパックを電動車両の車体から取り外すことができる。このため、バッテリパックを容易に回収できるようになるので、バッテリパックの回収率を向上させて、バッテリパックの回収費用や電動車両の廃車費用の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第1工程を示す左側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第2工程を示す左側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法を説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両のフロント側、「後」は車両のリア側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
【0027】
≪電動車両の構成≫
図1に示すように、電動車両1は、バッテリ2(二次電池)から供給される電力によって走行モータMを駆動させて走行する車両であり、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等である。電動車両1は、例えば、車体前部1aに走行モータM、高電圧機器V等を有し、フロアパネル5の床下にバッテリパック3を有する乗用車タイプの車両等であり、特に、車両の種類や形状等は限定されない。すなわち、電動車両1は、乗用車や作業車等であってもよく、以下、乗用車タイプの車両を例に挙げて説明する。
電動車両1は、車室Rの床に設置されるフロアパネル5と、バッテリ2を収納し、フロアパネル5の下方に配置されるバッテリパック3と、バッテリ2からの電力によって駆動する走行モータMと、バッテリパック3を車体4に固定するための固定手段8と、備えている。
【0028】
≪バッテリの構成≫
図1に示すように、バッテリ2は、通常の12ボルトの蓄電池とは別に、高出力のモータからなる走行モータMを駆動させる200ボルトを超える高電圧用の蓄電池である。このバッテリ2は、多数の単電池が接続された組電池であり、バッテリパック3に内設されている。
【0029】
≪バッテリパックの構成≫
図2に示すように、バッテリパック3は、前記バッテリ2や電装装置(図示省略)等を筐体3f内に収納したバッテリユニットである。バッテリパック3は、平面視して略長方形に形成された筐体3fによって覆われてなり、略箱型形状に形成されている。その筐体3fは、金属製または樹脂製の箱体からなり、筐体3fの前後左右の外周面に、外周方向に向けてブラケット3c,3d,3eが突設されている。バッテリパック3は、そのブラケット3c,3dを下方から車体4の床下に向けて第1固定手段81をクロスメンバ7の雌ねじ部7aに下から上へ挿通して螺合させると共に、車室R内からフロアパネル5に向けて第2固定手段82をサイドフレーム6のボルト挿入孔6aを介してブラケット3eの雌ねじ部3i(図3参照)に上から下へ挿通して螺合させることによって、車体4に固定される。バッテリパック3は、重量が重い重量物であるため、車体4の骨格を形成する車体フレーム等の強度の高い部材に固定される。
【0030】
ブラケット3c,3d,3eは、バッテリパック3を車体4に固定するために厚板部材であり、例えば、金属製厚板材からなる。ブラケット3c,3d,3eは、バッテリパック3の筐体3fに溶接、または、ボルト等の締結具によって固着されている。
なお、ブラケット3c,3d,3eは、筐体3fの外周部に形成されたフランジ状のものや、鍔状のものであっても構わない。
【0031】
図3に示すように、前側のブラケット3cは、バッテリパック3の前側側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの前側側面から若干斜め上方向に向けて突出した状態で、適宜な間隔で配置された2つの取付用部材からなる。ブラケット3cは、第1固定手段81によって、前側のクロスメンバ7(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3cには、第1固定手段81の雄ねじ部8aが挿入されるボルト挿入孔3gが穿設されている。
【0032】
後側のブラケット3dは、バッテリパック3の後側側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの後側側面から斜め上方向に向けて突出した状態で、適宜な間隔で配置された2つの取付用部材からなる。ブラケット3dは、第1固定手段81によって、後側のクロスメンバ7(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3dには、第1固定手段81の雄ねじ部8aが挿入されるボルト挿入孔3hが穿設されている。
【0033】
左右のブラケット3eは、バッテリパック3の左右側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの左右側面から左右方向に向けて水平に突出した状態で、適宜な間隔で配置された3つの取付用部材からなる。ブラケット3eは、第2固定手段82によって、左右一対のサイドフレーム6(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3eには、第2固定手段82の雄ねじ部8aが螺合される雌ねじ部3iが形成されている。
雌ねじ部3iは、ナットの役割を果たす。
【0034】
図1に示すように、走行モータMは、車輪を回転させて電動車両1を走行させるための駆動用モータであり、例えば、車体前部1aのモータルーム内に設置されている。
高電圧機器Vは、例えば、バッテリ2及び走行モータMを制御するインバータや、AC100Vの家庭用電源でバッテリ2の充電を可能にさせるためのコンバータ等であり、例えば、走行モータMの上に設置されている。
【0035】
≪車体の構成≫
図1や図2に示すように、車体4は、電動車両1の全体を形成するためのものであって、例えば、サイドフレーム6やクロスメンバ7等の種々の金属製車体フレームと、フロアパネル5やボンネット等の金属製車体パネルと、がそれぞれ略左右対称に設置されている。
【0036】
<フロアパネルの構成>
フロアパネル5は、車室R(図1参照)の床面を形成する金属製パネル材であり、サイドフレーム6及びクロスメンバ7(図2)上に載設されている。フロアパネル5には、後記する各固定手段8の雄ねじ部8aが挿通される貫通孔5a(図1参照)が穿設されている。
【0037】
<サイドフレームの構成>
図2に示すように、前記サイドフレーム6は、車体4の骨格の一部を形成する左右一対のフレーム部材であり、電動車両1の前後方向に向けて延設されている。このサイドフレーム6は、例えば、断面ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。各サイドフレーム6には、平面視して、前記フロアパネル5の貫通孔5a(図1参照)に合致する位置に固定手段8の雄ねじ部8aが挿通されるボルト挿入孔6aがそれぞれ穿設されている。ボルト挿入孔6aは、左右一対のクロスメンバ7の各所の形成された縦孔である。
【0038】
<クロスメンバの構成>
クロスメンバ7は、車体4の骨格の一部を形成する前後一対のフレーム部材であり、電動車両1の車幅方向に向けて延設されている。このクロスメンバ7は、サイドフレーム6と同様、例えば、断面ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。クロスメンバ7には、平面視して、前記フロアパネル5の貫通孔5a(図1参照)に合致する位置に固定手段8の雄ねじ部8aが螺合される雌ねじ部7aがそれぞれ形成されている。
雌ねじ部7aは、前後一対のクロスメンバ7の二箇所の形成されたねじ穴、または、クロスメンバ7に設けられたナット(図示省略)からなる。
【0039】
≪固定手段の構成≫
図2に示すように、前記固定手段8は、バッテリパック3を車体4に固定する固定具であり、例えば、ボルトや、ボルト・ナット等の被取付部(サイドフレーム6及びクロスメンバ7)に対して着脱可能な締結具からなる。以下、固定手段8は、雄ねじ部8aと頭部8bとを有するボルト(図3参照)を例に挙げて説明する。
固定手段8は、平面視してバッテリパック3に対向する一対の辺3a(左右側面)を、フロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、バッテリパック3の前記一対の辺3aと隣り合う辺3b(前側側面及び後側側面)をそれぞれ車室R(図1参照)内側から解除可能に車体4に固定する第2固定手段82と、を含む。
【0040】
なお、固定手段8は、JISZ2241に準拠した試験方法により、バッテリパック3を支えて保持できるたけの引張強度を持つ金属材料で構成する。固定手段8は、複数で構成される場合、複数の固定手段8の引張強度の合計がバッテリパック3を保持できるだけの強度(締結力)と、バッテリパック3が振動した際に耐えることができる保持力と、を有している。
また、固定手段8は、ボルトを使用する場合、JISB1051や、JISB1054−1に準拠してバッテリパック3を保持できるための引張強度を持ったボルトが選定される。
なお、固定手段8の本数やブラケット3c,3d,3eの本数は、バッテリパック3の重量や大ききに合わせて適宜に変更しても構わない。
【0041】
<第1固定手段の構成>
第1固定手段81は、筐体3fの前後側面に設けられた各ブラケット3c,3dをクロスメンバ7の雌ねじ部7aに下方から上方向に向けて螺合して車体4に固定するための固定具である。
【0042】
<第2固定手段の構成>
第2固定手段82は、車室R内のフロアパネル5の上方から各貫通孔5aを挿通し、さらに、左右のサイドフレーム6のボルト挿入孔6aを挿通して、筐体3fの左右側面に設けられた各ブラケット3eの雌ねじ部3iにそれぞれ螺合させることによって、バッテリパック3を車体4に固定するための固定具である。換言すると、第2固定手段82は、平面視におけるバッテリパック3の車幅方向に対向する一対の辺3aに設けられている。第2固定手段82は、第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック3の重量を支えるように車体4に取り付けられる。この場合、第2固定手段82は、この第2固定手段82だけでバッテリパック3を保持することができる締結力(引張強さ)があるものを使用する。
なお、図2に示すように、前記第1固定手段81と第2固定手段82のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパック3の対向する辺3a,3b同士において、それぞれ線対称、あるいは、点対称になるように配置されている。
【0043】
≪電動車両のバッテリパックの固定構造の作用≫
次に、図1〜図5を参照して本発明の実施形態に係る電動車両1のバッテリパック3の固定構造の作用をバッテリパック3の取り付け、取り外し順に説明する。
【0044】
<バッテリパックを車体に固定する場合>
図1に示すように、新品のバッテリパック3を車両の製造ラインで車体4に取り付けたり、メーカ等でバッテリパック3を交換したりする場合には、バッテリパック3を昇降装置(図示省略)の載置面に載置し、その昇降装置(バッテリ交換装置)でバッテリパック3をフロアパネル5下の車体フレーム41まで上昇させる。そして、前後側のブラケット3c,3dのボルト挿入孔3g,3h(図3参照)をクロスメンバ7の雌ねじ部7a、及び、サイドフレーム6のボルト挿入孔6aに一致させる。
【0045】
次に、第1固定手段81の雄ねじ部8aを車体4の床下側から前後側のブラケット3c,3dのボルト挿入孔3gに挿入して、前後側のクロスメンバ7の雌ねじ部7aに螺合させて、バッテリパック3の前後側をクロスメンバ7に固定する。これにより、バッテリパック3は、車体フレーム41の下面の所定位置に固定される。
なお、バッテリパック3を車体4に取り付ける際には、リフタでバッテリパック3を支えて取付作業を行っても構わない。
【0046】
続いて、第2固定手段82の雄ねじ部8aを車室R内側からフロアパネル5の貫通孔5aに挿入して、さらに、左右のサイドフレーム6の各ボルト挿入孔6aに挿入し、左右側のブラケット3eの雌ねじ部3iに螺合させて、バッテリパック3を左右のサイドフレーム6に固定する。これにより、バッテリパック3は、車体フレーム41の下面の所定位置に堅固される。
【0047】
このようにしてバッテリパック3を車体4に固定した第1固定手段81及び第2固定手段82と、固定手段8が挿入されるボルト挿入孔3g,3h及び雌ねじ部3iとは、図2に示すように、平面視におけるバッテリパック3の不図示の中心点及び中心線に対して、それぞれ線対称及び点対称に配置されている。このため、バッテリパック3の外周部は、均等な保持力(締結力)により、バランスよく車体4に固定される。
このように、バッテリパック3は、第1固定手段81及び第2固定手段82によって、外周部がバランスよく車体4に取り付けられるので、バッテリパック3の荷重や、バッテリパック3のかかる振動や、上下方向の外力を固定手段8の締結力で、ガタツキなくしっかりと保持することができる。その結果、最適な固定手段8を得ることができる。
【0048】
<バッテリパックを車体から取り外す場合>
図4は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第1工程を示す左側面図である。図5は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第2工程を示す左側面図である。
【0049】
図4に示すように、バッテリパック3を車体4から取り外す場合は、まず、バッテリパック3の前後に配置されて、車体4に対して下側から螺入された第1固定手段81を、車両の床下側から下方向へ取り外す。すると、バッテリパック3は、左右のブラケット3eに螺合された第2固定手段82のみによって車体4に固定された状態になる。
【0050】
次に、車体4の床下に、バッテリパック3を載せるためのパレット(図示省略)を配置する。続いて、図5に示すように、バッテリパック3の左右に配置されて、車体4に対して上方から螺入された第2固定手段82を、車室R側から取り外す。すると、バッテリパック3は、第2固定手段82の雄ねじ部8aが左右のブラケット3eの雌ねじ部3iから抜けることにより、このバッテリパック3がサイドフレーム6から分離し、車体4からパレット(図示省略)上に落下する。
【0051】
バッテリパック3を車体4から最終的に取り外す際に、作業者は、車室R内側から第2固定手段82を取り外す作業を行うので、バッテリパック3を車体4の下側からリフタ等で支えることが不要である。このため、重量の重いバッテリパック3を車体4から取り外す作業の作業性が向上されて、作業の簡素化を図ることができる。
このようにしてバッテリパック3を容易に回収できるようになるので、バッテリパック3の回収率を向上させて、バッテリパック3の回収費用や電動車両1の廃車費用の低減に寄与することができる。
【0052】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0053】
[第1変形例]
図6は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図7は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0054】
前記実施形態では、図1〜図3に示すように、バッテリパック3のブラケット3c,3d,3eを車体フレーム41のサイドフレーム6及びクロスメンバ7に固定手段8によって取り付けた場合を説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、バッテリパック3は、図6及び図7に示すように、車体フレーム41に固定されてあればよく、サブフレーム42に載設し、そのサブフレーム42に取り付けても構わない。
【0055】
この場合、図7に示すように、サブフレーム42は、左右方向に延びる前後一対のクロスメンバ7間に亘って架設されて前後方向に延設されるセンタフレーム42aと、前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム6間に亘って架設されて左右方向に延設されるクロスフレーム42bと、を略格子状に連結してなる。一対のセンタフレーム42aの前後端部は、第1固定手段81によってクロスメンバ7の下面に、それぞれ車体4の床下側から固定される。一対のクロスフレーム42bの左右端部は、第2固定手段82によってサイドフレーム6の下面に、それぞれ車室R側から固定される。
【0056】
また、バッテリパック3は、不図示のマウント部材等によってサブフレーム42上に載設されて、サブフレーム42を車体フレーム41に固定することにより、車体4に固定される。
このように、サブフレーム42を利用しても、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0057】
[第2変形例]
図8は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図9は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0058】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図8及び図9に示すように、前後一対のクロスメンバ7のうちの一方(例えば、前側)に、側面視して略L字状に折曲形成された掛止部71を設けると共に、その掛止部71に掛止される掛止用ブラケット3jをバッテリパック30に設けてもよい。
【0059】
この場合、バッテリパック3は、前記実施形態で説明したブラケット3c,3d,3eのうちの前側のブラケット3cに換えて、左右方向に延びる厚板状の掛止用ブラケット3jを設ける。その掛止用ブラケット3jは、L字形状の掛止部71に掛止させて、バッテリパック3の前端部を前側のクロスメンバ7に固定する。なお、掛止用ブラケット3jは、掛止部71に掛止させるだけで、固定手段8を使用しない。掛止部71は、前側のクロスメンバ7から下側後方向に向けて鉤状に延設されて、掛止用ブラケット3jが着脱できるようになっている。
【0060】
このような掛止用ブラケット3jが設けられたバッテリパック3は、車体4の床下側から車体フレーム41に固定する際に、対向して配置された一対のクロスメンバ7のうちの一方に設けられた掛止部71に掛止用ブラケット3jを掛止させてから他方のクロスメンバ7のみを第1固定手段81で固定すればよい。
このため、第1固定手段81の数が半減した分だけ、バッテリパック3の着脱作業を簡素化することができる。
【0061】
なお、掛止部71は、図8に示すように、バッテリパック3を交換、あるいは、廃棄する際に、L字状に折曲した折曲部71aを中心として矢印a方向に強制的に回動するように構成させてもよい。このように掛止部71を形成すれば、バッテリパック3を車体フレーム41から着脱する際の取り付け、及び、取り外し作業をさらに簡素化させることができる。
【0062】
[第3変形例]
図10は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図11は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0063】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図10及び図11に示すように、バッテリパック3のブラケット3c,3d,3eのうちのクロスメンバ7に固定される前後のブラケット3c,3dを側面視してL字状に折曲したブラケット垂直部3kを形成し、そのブラケット垂直部3kをクロスメンバ7に前後方向からそれぞれ固定してもよい。
【0064】
この場合、図11に示すように、第1固定手段81は、車体4の前後方向からクロスメンバ7の横孔7bを挿通して、ブラケット垂直部3kに形成した雌ねじ部3mに螺合することによって、バッテリパック3の前後に設けられたブラケット垂直部3kを固定して、バッテリパック3を保持するようにしてもよい。
【0065】
このように、バッテリパック3に雌ねじ部3mを有するブラケット垂直部3kを設け、さらに、クロスメンバ7に横孔7bを設けたことによって、第1固定手段81をバッテリパック3の前後方向から車体フレーム41に固定できるので、重量の重いバッテリパック3の下方から避けた位置で作業を行うことができる。
【0066】
[第4変形例]
図12は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図13は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0067】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図12及び図13に示すバッテリパック30のように、複数のバッテリモジュール31,32によって構成してもよい。
この場合、図13に示すように、固定手段8は、平面視して略長方形に形成された複数のバッテリモジュール31,32にそれぞれ独立して対向する一対の辺31a,32a(例えば、前後側面)を、それぞれフロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、一対の辺31a,32aと隣合う一対の辺31b,32b(例えば、左右側面)とをそれぞれ車室R内側から解除可能に固定する第2固定手段82と、を備えてなる。
第2固定手段82は、少なくとも、第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック30の重量を支えるように構成されている。
【0068】
また、各バッテリモジュール31,32は、前記実施形態で説明したバッテリパック3のブラケット3c,3d,3e(図2及び図3参照)と同様に、前後左右の外周部側面にブラケット31c,31d,31e,32c,32d,32eが突設されている。
車体フレーム41は、前後一対のクロスメンバ7の中央部に亘ってセンタフレーム43が架設されている。このセンタフレーム43は、バッテリモジュール31,32間に配置されて、バッテリモジュール31,32の中央側側面から突設された各ブラケット31e,32eが、車室R側から設けた第2固定手段82が螺入される。
【0069】
このように、バッテリパック30は、複数のバッテリモジュール31,32に分割して車体フレーム41に固定してもよい。この場合、バッテリパック30は、分割したことによって、分割した分だけバッテリモジュール31,32の重量を軽くすることができるため、車体フレーム41への着脱作業が行い易くなる。また、バッテリパック30を車体フレーム41に固定する固定手段8は、バッテリパック30を複数のバッテリモジュール31,32に分割して、車体フレーム41に新たにセンタフレーム43を設けたことに伴って、固定手段8の数が増加するものの、締結力をその数に応じて分散できるので、各固定手段8の締結力を低くすることを可能にする。
【符号の説明】
【0070】
1 電動車両
2 バッテリ
3,30 バッテリパック
31,32 バッテリモジュール
4 車体
5 フロアパネル
8 固定手段
81 第1固定手段
82 第2固定手段
R 車室
M 走行モータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車等の電動車両に搭載されたバッテリパックを車体に固定したり、取り外したりするための電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機からなる走行モータを駆動源とする電気自動車や、ハイブリッド車等の電動車両には、走行モータにエネルギーである電気を供給するためのリチウムイオン電池等の二次電池からなるバッテリパック(バッテリユニット)が搭載されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1,2に開示されているように、バッテリパックは、電動車両の下方からバッテリパックをバッテリ交換装置によって上昇させて、床下のサイドメンバ及びクロスメンバの下面にボルトによって固定されている。
【0004】
また、電気自動車やハイブリッド車等の電動車両に搭載される大型のバッテリパックは、一般に、ガソリン車の燃料タンクと同様に、車体のフロアパネルの床下に収納されている。バッテリパックは、一般に、車体フレームやクロスメンバにボルトによって車体の下側から固定されている。このため、バッテリパックを車体に取り付けたり、取り外したり、積み降ろしたりする場合には、バッテリパックの重量が重いので、専用のリフタが必要である。
【0005】
また、不要になったバッテリパックの回収は、メーカが行っている。その場合、メーカは、電動車両の廃車時に、車両を引き取る廃車業者に対して、バッテリパックを車体から積み降ろしの依頼と、そのバッテリパックの引き取りの依頼とを行っている。そのため、廃車業者は、バッテリパックを積み降ろすための専用のリフタを使用して、バッテリパックを支えながら車体から取り外す作業を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−153128号公報(図1及び図2)
【特許文献2】特開2010−184621号公報(図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記したように、電動車両のバッテリパックの積み降ろし作業を行う場合は、バッテリパックを車体から積み降ろすための専用のリフタが必要であり、その専用のリフタがなければ、バッテリパックの積み降ろし作業ができないという問題点があった。
【0008】
近年、電気自動車やハイブリッド車の台数は、増加傾向にあるものの、ガソリン車の台数と比較した場合、まだ僅かな数である。このため、バッテリパックの積み降ろし専用のリフタは、バッテリパックの積み降ろし作業を行うのに用意したとしても、使用される回数は僅かである。したがって、全ての廃車業者が、リフタを用意して所有することは難しい。よって、現在、バッテリパックの積み降ろし作業を行えない業者もある。
その結果、バッテリパックの回収が行えない、また、他の業者に依頼するなどしてさらに回収手数料が上乗せされるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は、前記問題点を解消すべく発明されたものであり、バッテリパックの積み降ろし作業用のリフタを使用せずに、バッテリパックを電動車両の車体から取り外すことができる電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記バッテリパックは、平面視して略長方形に形成された前記バッテリパックの対向する一対の辺を、前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、前記バッテリパックの一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室内側から解除可能に前記車体に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、電動車両のバッテリパックは、平面視して、バッテリパックの対向する一対の辺が、フロアパネルの下方から第1固定手段によって車体に解除可能に固定されている。そのバッテリパックの一対の辺と隣り合う辺は、それぞれ車室内側から第2固定手段によって解除可能に車体に固定されている。第2固定手段は、第1固定手段が解除された状態のときに、バッテリパックの重量を支えている。このため、バッテリパックを車体から外す際に、第1固定手段を車体の下方から解除したとしても、バッテリパックは、第2固定固定手段によって車体に固定されているので、バッテリパックが自重で落下することがない。その結果、リフタでバッテリパックを支えることが不要となる。
そのバッテリパックを車体から取り外す場合、作業者は、車室内側から第2固定手段を解除すればよいので、バッテリパックを車体の下側からリフタで支えることが不要である。第2固定手段を解除すると、第2固定手段を解除する際に、事前に車体の下側からフォークリフトなどでバッテリパックの下側を支えておくことで、第2固定手段を解除すると、バッテリパックはフォークリフトによって支持できる。これにより、特別なリフト等の機材は必要なくなり、通常業者が使用する機材を使用してバッテリパックの取り外しが可能になる。
【0012】
請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段及び前記第2固定手段は、ボルトからなることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、電動車両のバッテリパックの固定構造は、第1固定手段及び第2固定手段がボルトからなることにより、複数のボルトを工具で回動させることによって、バッテリパックを容易に車体に着脱することができる。
【0014】
請求項3に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、第1固定手段と第2固定手段のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることによって、バッテリパックの外周部を均等な保持力(締結力)で効率よく車体に固定させることができる。このため、バッテリパックは、第1固定手段及び第2固定手段によって、外周部がバランスよく車体に強固に取り付けられるので、ガタツキなくしっかりと保持される。その結果、最適な固定手段を得ることができる。
【0016】
請求項4に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、第1固定手段と第2固定手段のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることによって、バッテリパックの外周部を均等な保持力で効率よく車体に固定させることができる。このため、バッテリパックは、外周部がバランスよく車体に強固に取り付けられるので、ガタツキなくしっかりと保持される。その結果、最適な固定手段を得ることができる。
【0018】
請求項5に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記第2固定手段は、平面視における前記バッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、第2固定手段は、平面視におけるバッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることによって、車体の前後方向に延設されるサイドフレームに対して沿う位置に配置される。このため、第2固定手段を車室側からフロアパネルを挿通してバッテリパックに設ける際に、サイドフレーム上に固定されるフロアパネルの固定部と同様に設けることができるので、バッテリパックの取り外し、及び、取り付けを簡単に行うことができる。
【0020】
請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造は、バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、前記バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成され、前記複数のバッテリモジュールは、平面視して略長方形に形成された前記複数のバッテリモジュールのそれぞれ独立して対向する一対の辺を、それぞれ前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、前記一対の辺と隣合う一対の辺をそれぞれ車室内側から解除可能に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成されて複数に分割されているので、それぞれのバッテリモジュールを独立した状態にして取り付け、取り外しが可能になる。このため、バッテリパックの取り外しのときに発生する車両の振動を抑制することができる。
【0022】
請求項7に記載のバッテリパックの取り外し方法は、請求項1ないし請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造によって前記車体に固定されたバッテリパックの取り外し方法であって、前記バッテリパックを前記車体から取り外す際に、前記第1固定手段を解除した後に、前記第2固定手段を解除することを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、バッテリパックを車体から取り外す際に、第1固定手段を解除した後に、第2固定手段を解除することによって、荷重の重いバッテリパックが車体から分離して落下するときに、事前にフォークリフトなどでバッテリパックの下側を支えておくことで、落下を防ぎ、かつ、バッテリパックを車体から取り外す際に、取り外し専用のリフタが不要となり、取り外し作業を簡単に行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法によれば、バッテリパックの積み降ろし作業用の専用リフタを使用せずに、バッテリパックを電動車両の車体から取り外すことができる。このため、バッテリパックを容易に回収できるようになるので、バッテリパックの回収率を向上させて、バッテリパックの回収費用や電動車両の廃車費用の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第1工程を示す左側面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第2工程を示す左側面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【図12】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。
【図13】本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造及び取り外し方法を説明する。
なお、本発明の実施形態では、「前」は車両のフロント側、「後」は車両のリア側、「上」は鉛直上方側、「下」は鉛直下方側、「左右」は車幅方向側とする。
【0027】
≪電動車両の構成≫
図1に示すように、電動車両1は、バッテリ2(二次電池)から供給される電力によって走行モータMを駆動させて走行する車両であり、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等である。電動車両1は、例えば、車体前部1aに走行モータM、高電圧機器V等を有し、フロアパネル5の床下にバッテリパック3を有する乗用車タイプの車両等であり、特に、車両の種類や形状等は限定されない。すなわち、電動車両1は、乗用車や作業車等であってもよく、以下、乗用車タイプの車両を例に挙げて説明する。
電動車両1は、車室Rの床に設置されるフロアパネル5と、バッテリ2を収納し、フロアパネル5の下方に配置されるバッテリパック3と、バッテリ2からの電力によって駆動する走行モータMと、バッテリパック3を車体4に固定するための固定手段8と、備えている。
【0028】
≪バッテリの構成≫
図1に示すように、バッテリ2は、通常の12ボルトの蓄電池とは別に、高出力のモータからなる走行モータMを駆動させる200ボルトを超える高電圧用の蓄電池である。このバッテリ2は、多数の単電池が接続された組電池であり、バッテリパック3に内設されている。
【0029】
≪バッテリパックの構成≫
図2に示すように、バッテリパック3は、前記バッテリ2や電装装置(図示省略)等を筐体3f内に収納したバッテリユニットである。バッテリパック3は、平面視して略長方形に形成された筐体3fによって覆われてなり、略箱型形状に形成されている。その筐体3fは、金属製または樹脂製の箱体からなり、筐体3fの前後左右の外周面に、外周方向に向けてブラケット3c,3d,3eが突設されている。バッテリパック3は、そのブラケット3c,3dを下方から車体4の床下に向けて第1固定手段81をクロスメンバ7の雌ねじ部7aに下から上へ挿通して螺合させると共に、車室R内からフロアパネル5に向けて第2固定手段82をサイドフレーム6のボルト挿入孔6aを介してブラケット3eの雌ねじ部3i(図3参照)に上から下へ挿通して螺合させることによって、車体4に固定される。バッテリパック3は、重量が重い重量物であるため、車体4の骨格を形成する車体フレーム等の強度の高い部材に固定される。
【0030】
ブラケット3c,3d,3eは、バッテリパック3を車体4に固定するために厚板部材であり、例えば、金属製厚板材からなる。ブラケット3c,3d,3eは、バッテリパック3の筐体3fに溶接、または、ボルト等の締結具によって固着されている。
なお、ブラケット3c,3d,3eは、筐体3fの外周部に形成されたフランジ状のものや、鍔状のものであっても構わない。
【0031】
図3に示すように、前側のブラケット3cは、バッテリパック3の前側側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの前側側面から若干斜め上方向に向けて突出した状態で、適宜な間隔で配置された2つの取付用部材からなる。ブラケット3cは、第1固定手段81によって、前側のクロスメンバ7(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3cには、第1固定手段81の雄ねじ部8aが挿入されるボルト挿入孔3gが穿設されている。
【0032】
後側のブラケット3dは、バッテリパック3の後側側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの後側側面から斜め上方向に向けて突出した状態で、適宜な間隔で配置された2つの取付用部材からなる。ブラケット3dは、第1固定手段81によって、後側のクロスメンバ7(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3dには、第1固定手段81の雄ねじ部8aが挿入されるボルト挿入孔3hが穿設されている。
【0033】
左右のブラケット3eは、バッテリパック3の左右側面の上部に固着された突出片であり、例えば、筐体3fの左右側面から左右方向に向けて水平に突出した状態で、適宜な間隔で配置された3つの取付用部材からなる。ブラケット3eは、第2固定手段82によって、左右一対のサイドフレーム6(図2参照)の下面に固定される。ブラケット3eには、第2固定手段82の雄ねじ部8aが螺合される雌ねじ部3iが形成されている。
雌ねじ部3iは、ナットの役割を果たす。
【0034】
図1に示すように、走行モータMは、車輪を回転させて電動車両1を走行させるための駆動用モータであり、例えば、車体前部1aのモータルーム内に設置されている。
高電圧機器Vは、例えば、バッテリ2及び走行モータMを制御するインバータや、AC100Vの家庭用電源でバッテリ2の充電を可能にさせるためのコンバータ等であり、例えば、走行モータMの上に設置されている。
【0035】
≪車体の構成≫
図1や図2に示すように、車体4は、電動車両1の全体を形成するためのものであって、例えば、サイドフレーム6やクロスメンバ7等の種々の金属製車体フレームと、フロアパネル5やボンネット等の金属製車体パネルと、がそれぞれ略左右対称に設置されている。
【0036】
<フロアパネルの構成>
フロアパネル5は、車室R(図1参照)の床面を形成する金属製パネル材であり、サイドフレーム6及びクロスメンバ7(図2)上に載設されている。フロアパネル5には、後記する各固定手段8の雄ねじ部8aが挿通される貫通孔5a(図1参照)が穿設されている。
【0037】
<サイドフレームの構成>
図2に示すように、前記サイドフレーム6は、車体4の骨格の一部を形成する左右一対のフレーム部材であり、電動車両1の前後方向に向けて延設されている。このサイドフレーム6は、例えば、断面ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。各サイドフレーム6には、平面視して、前記フロアパネル5の貫通孔5a(図1参照)に合致する位置に固定手段8の雄ねじ部8aが挿通されるボルト挿入孔6aがそれぞれ穿設されている。ボルト挿入孔6aは、左右一対のクロスメンバ7の各所の形成された縦孔である。
【0038】
<クロスメンバの構成>
クロスメンバ7は、車体4の骨格の一部を形成する前後一対のフレーム部材であり、電動車両1の車幅方向に向けて延設されている。このクロスメンバ7は、サイドフレーム6と同様、例えば、断面ロ字状のスチール製角パイプ材等から形成されている。クロスメンバ7には、平面視して、前記フロアパネル5の貫通孔5a(図1参照)に合致する位置に固定手段8の雄ねじ部8aが螺合される雌ねじ部7aがそれぞれ形成されている。
雌ねじ部7aは、前後一対のクロスメンバ7の二箇所の形成されたねじ穴、または、クロスメンバ7に設けられたナット(図示省略)からなる。
【0039】
≪固定手段の構成≫
図2に示すように、前記固定手段8は、バッテリパック3を車体4に固定する固定具であり、例えば、ボルトや、ボルト・ナット等の被取付部(サイドフレーム6及びクロスメンバ7)に対して着脱可能な締結具からなる。以下、固定手段8は、雄ねじ部8aと頭部8bとを有するボルト(図3参照)を例に挙げて説明する。
固定手段8は、平面視してバッテリパック3に対向する一対の辺3a(左右側面)を、フロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、バッテリパック3の前記一対の辺3aと隣り合う辺3b(前側側面及び後側側面)をそれぞれ車室R(図1参照)内側から解除可能に車体4に固定する第2固定手段82と、を含む。
【0040】
なお、固定手段8は、JISZ2241に準拠した試験方法により、バッテリパック3を支えて保持できるたけの引張強度を持つ金属材料で構成する。固定手段8は、複数で構成される場合、複数の固定手段8の引張強度の合計がバッテリパック3を保持できるだけの強度(締結力)と、バッテリパック3が振動した際に耐えることができる保持力と、を有している。
また、固定手段8は、ボルトを使用する場合、JISB1051や、JISB1054−1に準拠してバッテリパック3を保持できるための引張強度を持ったボルトが選定される。
なお、固定手段8の本数やブラケット3c,3d,3eの本数は、バッテリパック3の重量や大ききに合わせて適宜に変更しても構わない。
【0041】
<第1固定手段の構成>
第1固定手段81は、筐体3fの前後側面に設けられた各ブラケット3c,3dをクロスメンバ7の雌ねじ部7aに下方から上方向に向けて螺合して車体4に固定するための固定具である。
【0042】
<第2固定手段の構成>
第2固定手段82は、車室R内のフロアパネル5の上方から各貫通孔5aを挿通し、さらに、左右のサイドフレーム6のボルト挿入孔6aを挿通して、筐体3fの左右側面に設けられた各ブラケット3eの雌ねじ部3iにそれぞれ螺合させることによって、バッテリパック3を車体4に固定するための固定具である。換言すると、第2固定手段82は、平面視におけるバッテリパック3の車幅方向に対向する一対の辺3aに設けられている。第2固定手段82は、第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック3の重量を支えるように車体4に取り付けられる。この場合、第2固定手段82は、この第2固定手段82だけでバッテリパック3を保持することができる締結力(引張強さ)があるものを使用する。
なお、図2に示すように、前記第1固定手段81と第2固定手段82のどちらか一方は、平面視におけるバッテリパック3の対向する辺3a,3b同士において、それぞれ線対称、あるいは、点対称になるように配置されている。
【0043】
≪電動車両のバッテリパックの固定構造の作用≫
次に、図1〜図5を参照して本発明の実施形態に係る電動車両1のバッテリパック3の固定構造の作用をバッテリパック3の取り付け、取り外し順に説明する。
【0044】
<バッテリパックを車体に固定する場合>
図1に示すように、新品のバッテリパック3を車両の製造ラインで車体4に取り付けたり、メーカ等でバッテリパック3を交換したりする場合には、バッテリパック3を昇降装置(図示省略)の載置面に載置し、その昇降装置(バッテリ交換装置)でバッテリパック3をフロアパネル5下の車体フレーム41まで上昇させる。そして、前後側のブラケット3c,3dのボルト挿入孔3g,3h(図3参照)をクロスメンバ7の雌ねじ部7a、及び、サイドフレーム6のボルト挿入孔6aに一致させる。
【0045】
次に、第1固定手段81の雄ねじ部8aを車体4の床下側から前後側のブラケット3c,3dのボルト挿入孔3gに挿入して、前後側のクロスメンバ7の雌ねじ部7aに螺合させて、バッテリパック3の前後側をクロスメンバ7に固定する。これにより、バッテリパック3は、車体フレーム41の下面の所定位置に固定される。
なお、バッテリパック3を車体4に取り付ける際には、リフタでバッテリパック3を支えて取付作業を行っても構わない。
【0046】
続いて、第2固定手段82の雄ねじ部8aを車室R内側からフロアパネル5の貫通孔5aに挿入して、さらに、左右のサイドフレーム6の各ボルト挿入孔6aに挿入し、左右側のブラケット3eの雌ねじ部3iに螺合させて、バッテリパック3を左右のサイドフレーム6に固定する。これにより、バッテリパック3は、車体フレーム41の下面の所定位置に堅固される。
【0047】
このようにしてバッテリパック3を車体4に固定した第1固定手段81及び第2固定手段82と、固定手段8が挿入されるボルト挿入孔3g,3h及び雌ねじ部3iとは、図2に示すように、平面視におけるバッテリパック3の不図示の中心点及び中心線に対して、それぞれ線対称及び点対称に配置されている。このため、バッテリパック3の外周部は、均等な保持力(締結力)により、バランスよく車体4に固定される。
このように、バッテリパック3は、第1固定手段81及び第2固定手段82によって、外周部がバランスよく車体4に取り付けられるので、バッテリパック3の荷重や、バッテリパック3のかかる振動や、上下方向の外力を固定手段8の締結力で、ガタツキなくしっかりと保持することができる。その結果、最適な固定手段8を得ることができる。
【0048】
<バッテリパックを車体から取り外す場合>
図4は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第1工程を示す左側面図である。図5は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造を示す図であり、バッテリパックを車体から取り外す際の第2工程を示す左側面図である。
【0049】
図4に示すように、バッテリパック3を車体4から取り外す場合は、まず、バッテリパック3の前後に配置されて、車体4に対して下側から螺入された第1固定手段81を、車両の床下側から下方向へ取り外す。すると、バッテリパック3は、左右のブラケット3eに螺合された第2固定手段82のみによって車体4に固定された状態になる。
【0050】
次に、車体4の床下に、バッテリパック3を載せるためのパレット(図示省略)を配置する。続いて、図5に示すように、バッテリパック3の左右に配置されて、車体4に対して上方から螺入された第2固定手段82を、車室R側から取り外す。すると、バッテリパック3は、第2固定手段82の雄ねじ部8aが左右のブラケット3eの雌ねじ部3iから抜けることにより、このバッテリパック3がサイドフレーム6から分離し、車体4からパレット(図示省略)上に落下する。
【0051】
バッテリパック3を車体4から最終的に取り外す際に、作業者は、車室R内側から第2固定手段82を取り外す作業を行うので、バッテリパック3を車体4の下側からリフタ等で支えることが不要である。このため、重量の重いバッテリパック3を車体4から取り外す作業の作業性が向上されて、作業の簡素化を図ることができる。
このようにしてバッテリパック3を容易に回収できるようになるので、バッテリパック3の回収率を向上させて、バッテリパック3の回収費用や電動車両1の廃車費用の低減に寄与することができる。
【0052】
[変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。なお、既に説明した構成は同じ符号を付してその説明を省略する。
【0053】
[第1変形例]
図6は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図7は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第1変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0054】
前記実施形態では、図1〜図3に示すように、バッテリパック3のブラケット3c,3d,3eを車体フレーム41のサイドフレーム6及びクロスメンバ7に固定手段8によって取り付けた場合を説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、バッテリパック3は、図6及び図7に示すように、車体フレーム41に固定されてあればよく、サブフレーム42に載設し、そのサブフレーム42に取り付けても構わない。
【0055】
この場合、図7に示すように、サブフレーム42は、左右方向に延びる前後一対のクロスメンバ7間に亘って架設されて前後方向に延設されるセンタフレーム42aと、前後方向に延びる左右一対のサイドフレーム6間に亘って架設されて左右方向に延設されるクロスフレーム42bと、を略格子状に連結してなる。一対のセンタフレーム42aの前後端部は、第1固定手段81によってクロスメンバ7の下面に、それぞれ車体4の床下側から固定される。一対のクロスフレーム42bの左右端部は、第2固定手段82によってサイドフレーム6の下面に、それぞれ車室R側から固定される。
【0056】
また、バッテリパック3は、不図示のマウント部材等によってサブフレーム42上に載設されて、サブフレーム42を車体フレーム41に固定することにより、車体4に固定される。
このように、サブフレーム42を利用しても、前記実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
【0057】
[第2変形例]
図8は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図9は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第2変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0058】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図8及び図9に示すように、前後一対のクロスメンバ7のうちの一方(例えば、前側)に、側面視して略L字状に折曲形成された掛止部71を設けると共に、その掛止部71に掛止される掛止用ブラケット3jをバッテリパック30に設けてもよい。
【0059】
この場合、バッテリパック3は、前記実施形態で説明したブラケット3c,3d,3eのうちの前側のブラケット3cに換えて、左右方向に延びる厚板状の掛止用ブラケット3jを設ける。その掛止用ブラケット3jは、L字形状の掛止部71に掛止させて、バッテリパック3の前端部を前側のクロスメンバ7に固定する。なお、掛止用ブラケット3jは、掛止部71に掛止させるだけで、固定手段8を使用しない。掛止部71は、前側のクロスメンバ7から下側後方向に向けて鉤状に延設されて、掛止用ブラケット3jが着脱できるようになっている。
【0060】
このような掛止用ブラケット3jが設けられたバッテリパック3は、車体4の床下側から車体フレーム41に固定する際に、対向して配置された一対のクロスメンバ7のうちの一方に設けられた掛止部71に掛止用ブラケット3jを掛止させてから他方のクロスメンバ7のみを第1固定手段81で固定すればよい。
このため、第1固定手段81の数が半減した分だけ、バッテリパック3の着脱作業を簡素化することができる。
【0061】
なお、掛止部71は、図8に示すように、バッテリパック3を交換、あるいは、廃棄する際に、L字状に折曲した折曲部71aを中心として矢印a方向に強制的に回動するように構成させてもよい。このように掛止部71を形成すれば、バッテリパック3を車体フレーム41から着脱する際の取り付け、及び、取り外し作業をさらに簡素化させることができる。
【0062】
[第3変形例]
図10は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図11は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第3変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0063】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図10及び図11に示すように、バッテリパック3のブラケット3c,3d,3eのうちのクロスメンバ7に固定される前後のブラケット3c,3dを側面視してL字状に折曲したブラケット垂直部3kを形成し、そのブラケット垂直部3kをクロスメンバ7に前後方向からそれぞれ固定してもよい。
【0064】
この場合、図11に示すように、第1固定手段81は、車体4の前後方向からクロスメンバ7の横孔7bを挿通して、ブラケット垂直部3kに形成した雌ねじ部3mに螺合することによって、バッテリパック3の前後に設けられたブラケット垂直部3kを固定して、バッテリパック3を保持するようにしてもよい。
【0065】
このように、バッテリパック3に雌ねじ部3mを有するブラケット垂直部3kを設け、さらに、クロスメンバ7に横孔7bを設けたことによって、第1固定手段81をバッテリパック3の前後方向から車体フレーム41に固定できるので、重量の重いバッテリパック3の下方から避けた位置で作業を行うことができる。
【0066】
[第4変形例]
図12は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す左側面図である。図13は、本発明の実施形態に係る電動車両のバッテリパックの固定構造の第4変形例を示す図であり、バッテリパックを車体に取り付けたときの状態を示す平面図である。
【0067】
また、前記実施形態で説明したバッテリパック3は、図12及び図13に示すバッテリパック30のように、複数のバッテリモジュール31,32によって構成してもよい。
この場合、図13に示すように、固定手段8は、平面視して略長方形に形成された複数のバッテリモジュール31,32にそれぞれ独立して対向する一対の辺31a,32a(例えば、前後側面)を、それぞれフロアパネル5の下方から解除可能に車体4に固定する第1固定手段81と、一対の辺31a,32aと隣合う一対の辺31b,32b(例えば、左右側面)とをそれぞれ車室R内側から解除可能に固定する第2固定手段82と、を備えてなる。
第2固定手段82は、少なくとも、第1固定手段81が解除された状態のときに、バッテリパック30の重量を支えるように構成されている。
【0068】
また、各バッテリモジュール31,32は、前記実施形態で説明したバッテリパック3のブラケット3c,3d,3e(図2及び図3参照)と同様に、前後左右の外周部側面にブラケット31c,31d,31e,32c,32d,32eが突設されている。
車体フレーム41は、前後一対のクロスメンバ7の中央部に亘ってセンタフレーム43が架設されている。このセンタフレーム43は、バッテリモジュール31,32間に配置されて、バッテリモジュール31,32の中央側側面から突設された各ブラケット31e,32eが、車室R側から設けた第2固定手段82が螺入される。
【0069】
このように、バッテリパック30は、複数のバッテリモジュール31,32に分割して車体フレーム41に固定してもよい。この場合、バッテリパック30は、分割したことによって、分割した分だけバッテリモジュール31,32の重量を軽くすることができるため、車体フレーム41への着脱作業が行い易くなる。また、バッテリパック30を車体フレーム41に固定する固定手段8は、バッテリパック30を複数のバッテリモジュール31,32に分割して、車体フレーム41に新たにセンタフレーム43を設けたことに伴って、固定手段8の数が増加するものの、締結力をその数に応じて分散できるので、各固定手段8の締結力を低くすることを可能にする。
【符号の説明】
【0070】
1 電動車両
2 バッテリ
3,30 バッテリパック
31,32 バッテリモジュール
4 車体
5 フロアパネル
8 固定手段
81 第1固定手段
82 第2固定手段
R 車室
M 走行モータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、
前記バッテリパックは、平面視して略長方形に形成された前記バッテリパックの対向する一対の辺を、前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、
前記バッテリパックの一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室内側から解除可能に前記車体に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、
前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項2】
前記第1固定手段及び前記第2固定手段は、ボルトからなることを特徴とする請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項3】
前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項4】
前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項5】
前記第2固定手段は、平面視における前記バッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項6】
バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、
前記バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成され、
前記複数のバッテリモジュールは、平面視して略長方形に形成された前記複数のバッテリモジュールのそれぞれ独立して対向する一対の辺を、それぞれ前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、
前記一対の辺と隣合う一対の辺をそれぞれ車室内側から解除可能に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、
前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造によって前記車体に固定されたバッテリパックの取り外し方法であって、
前記バッテリパックを前記車体から取り外す際に、前記第1固定手段を解除した後に、前記第2固定手段を解除することを特徴とするバッテリパックの取り外し方法。
【請求項1】
バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、
前記バッテリパックは、平面視して略長方形に形成された前記バッテリパックの対向する一対の辺を、前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、
前記バッテリパックの一対の辺と隣り合う辺をそれぞれ車室内側から解除可能に前記車体に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、
前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項2】
前記第1固定手段及び前記第2固定手段は、ボルトからなることを特徴とする請求項1に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項3】
前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ線対称に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項4】
前記第1固定手段と前記第2固定手段のどちらか一方は、平面視における前記バッテリパックの対向する辺同士において、それぞれ点対称に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項5】
前記第2固定手段は、平面視における前記バッテリパックの車幅方向に対向する一対の辺に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項6】
バッテリからの電力によって駆動する電動車両のフロアパネルの下方に設置される電動車両のバッテリパックの固定構造であって、
前記バッテリパックは、複数のバッテリモジュールによって構成され、
前記複数のバッテリモジュールは、平面視して略長方形に形成された前記複数のバッテリモジュールのそれぞれ独立して対向する一対の辺を、それぞれ前記フロアパネルの下方から解除可能に車体に固定する第1固定手段と、
前記一対の辺と隣合う一対の辺をそれぞれ車室内側から解除可能に固定する第2固定手段と、によって前記車体に固定され、
前記第2固定手段は、少なくとも、前記第1固定手段が解除された状態のときに、前記バッテリパックの重量を支えることを特徴とする電動車両のバッテリパックの固定構造。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6に記載の電動車両のバッテリパックの固定構造によって前記車体に固定されたバッテリパックの取り外し方法であって、
前記バッテリパックを前記車体から取り外す際に、前記第1固定手段を解除した後に、前記第2固定手段を解除することを特徴とするバッテリパックの取り外し方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−101589(P2012−101589A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249612(P2010−249612)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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