説明

電動車両の冷却システム

【課題】冷却媒体を送出する電動ポンプの動作音が騒音となるのを抑制しながら、モータシステムの適切な冷却性能を得ることができる電動車両の冷却システムを提供する。
【解決手段】電動車両の冷却システム10は、走行用動力を出力するモータ14と、電動ポンプ42により冷却水を送出してモータ14を含むモータシステムを冷却するモータ冷却装置40と、電動ポンプ42の駆動を制御する制御装置16とを備える。制御装置16は、車速Vおよび車両加速度dV/dtに基づいて電動ポンプ42の駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータを走行用動力源として有する電動車両の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを走行用動力源として有する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両が知られている。このような電動車両においては、バッテリから供給される直流電圧をインバータで交流電圧に変換して、交流モータに印加して駆動することにより、走行用動力を得ている。この場合、駆動によりモータやインバータ等を含むモータシステムを冷却液で冷却するための冷却システムが搭載されることがある。
【0003】
上記冷却システムでは、一般に、電動ポンプにより冷却液を送出し、モータおよびインバータに冷却液を循環流通させることによって、駆動によって生じた熱を冷却液で吸収して冷却する。モータシステムの冷却により昇温した冷却液は、冷却システムに含まれるラジエータを通過する際に外気に対して放熱することで降温する。そして、冷却媒体は、冷媒流路および電動ポンプを介して再びモータシステムへと送出される。
【0004】
ここで、電動ポンプが駆動されるとき動作音が発生する。この動作音は、車内にいる乗員にとっては耳障りな騒音として感じられる場合がある。特に、車速がモータによる動力のみで低速走行しているときは、路面をタイヤが転がること等によって生じるノードノイズが小さくなって車内の静粛性がより高くなるために、上記電動ポンプの動作音が騒音として感じられやすくなる。
【0005】
これに関連して下記特許文献1には、車載ユニット用の冷却液を送出する電動ポンプの動作音を聴覚的に認識されにくくすることを課題として、車速が所定閾値以上であるときに電動ポンプをオンとし、それ以外のときには電動ポンプをオフとするようにした電動ポンプの制御装置が記載されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、電気自動車における電力の入出力を行なう電気駆動系の温度を調節する温度調節装置であって、電動ポンプにより前記電動駆動系に循環される冷却媒体の温度を検出し、その温度に基づいて電動ポンプを駆動制御することにより、消費電力を抑えるようにしたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−201225号公報
【特許文献2】特開2005−224042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1では、電動ポンプの動作音以外のロードノイズ等の騒音の大きさに対応するパラメータの1つである車速に基づいて電動ポンプの駆動を制御している。しかし、停車状態から加速して同一車速に到達する場合でも車両加速度が大きいときと小さいときとでは、モータシステムにおけるエネルギ消費量およびこれに伴う発熱量が異なることから、車両加速度によってはモータシステムの冷却を停止すべきではないことがある。
【0009】
また、特許文献2の温度制御装置では、冷却媒体の温度が所定温度より高いときは車両停車中であっても電動ポンプが駆動されることになり、上記のような電動ポンプの動作音による騒音の問題を解消できない。
【0010】
本発明の目的は、車速だけでなく車両の加速度も考慮して電動ポンプの駆動を制御することで、冷却媒体を送出する電動ポンプの動作音が騒音となるのを抑制しながら、モータシステムの適切な冷却性能を得ることができる電動車両の冷却システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る電動車両の冷却システムは、走行用動力を出力するモータと、電動ポンプにより冷却媒体を送出して前記モータを含むモータシステムを冷却するモータ冷却装置と、前記電動ポンプの駆動を制御する制御装置とを備える電動車両の冷却システムであって、前記制御装置は、車速および車両加速度に基づいて前記電動ポンプの駆動を制御するものである。
【0012】
本発明に係る電動車輌の冷却システムにおいて、前記制御装置は、車速が所定値以下で且つ車両加速度が所定値以下のときに前記電動ポンプの駆動を抑える又は停止してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電動車両の冷却システムによれば、車速だけでなく車両加速度も考慮して電動ポンプの駆動を制御することで、冷却媒体を送出する電動ポンプの動作音による騒音の問題を抑制しながら、車両の走行状況に応じてモータシステムに対する適切な冷却性能を得ることができる。
【0014】
本発明に係る電動車両の冷却システムにおいて、車速が所定値以下で且つ車両加速度が所定値以下のときに電動ポンプの駆動を抑える又は停止することとすれば、車速が比較的低速であるときに電動ポンプの動作音をより小さく又は無くして車内の乗員にとって騒音と感じられなくすることができ、また、車速が所定値以上であっても車両加速度が所定値以下でなければ電動ポンプの駆動を抑制又は停止しないことでモータシステムに対する適切な冷却性能を維持または確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態である電動車両の冷却システムを示す概略構成図である。
【図2】図1における制御装置で実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図3】車速および車両加速度と、電動ウォータポンプの停止許可フラグとの関係を時間軸との関連で示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。この説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等にあわせて適宜変更することができる。本実施形態では電動車両としてハイブリッド車両1を例に説明するが、本発明は走行用動力源としてモータのみを搭載した電気自動車にも適用可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施の形態である電動車両の冷却システム(以下、適宜に冷却システムとだけいう)の構成を概略的に示す。図1において、細かい点線は冷却水配管を示し、実線矢印は流水方向を示し、粗い点線は制御系統を示す。
【0018】
図1に示すように、ハイブリッド車両1は、ガソリン等を燃料として運転される内燃機関であるエンジン12と、図示しないバッテリ等からの電力供給を受けて駆動されるモータジェネレータ(以下、単にモータという)14とを備える。エンジン12およびモータ14は一体に連結されて構成され、エンジン12およびモータ14の少なくとも一方から図示しない出力軸を介して車輪に動力が伝達されるようになっている。
【0019】
エンジン12およびモータ14の駆動および停止は、制御装置16によって制御される。制御装置16は、図示しないセンサによって検出される車速やアクセルペダルの踏み込み量等に基づいて、エンジン12およびモータ14の少なくともいずれか一方を駆動して走行用動力を出力させる。
【0020】
上記モータ14には、交流モータが好適に用いられる。バッテリから供給される直流電圧はインバータアセンブリ(以下、適宜にインバータとだけいう)18で交流電圧に変換されて、モータ駆動電圧としてモータ14に印加される。インバータ18では、制御装置16からの制御信号を受けてスイッチング素子(例えばIGBT等)がオンオフ制御されることにより、直流電圧から交流電圧へ又はこの逆への変換操作が行われる。その際、スイッチング損失等に起因してスイッチング素子が発熱するため冷却する必要がある。
【0021】
なお、インバータアセンブリ18には昇圧コンバータが含まれており、バッテリ電圧が昇圧コンバータにより昇圧された後にインバータ回路に供給されてもよい。
【0022】
ハイブリッド車両1は、エンジン12を冷却するエンジン冷却系統20と、モータ14およびインバータ18を含むモータシステムを冷却するモータ冷却系統40とを更に備える。エンジン12およびモータシステムを冷却する冷却媒体には、例えばLLC(ロングライフクーラント)等の冷却水が好適に用いられる。ただし、冷却媒体には、冷却水以外の液体、例えば冷却油が用いられてもよいし、あるいは、冷却ガスが用いられてもよい。
【0023】
エンジン冷却系統20は、エンジン用電動ウォータポンプ(以下、適宜に電動ウォータポンプとだけいう)22と、エンジンラジエータ24と、サーモ機構26と、これらとエンジン12との間に接続される冷却水配管28とを含む。電動ウォータポンプ22は、制御装置16によって駆動制御され、冷却水を送出してエンジン冷却系統20に循環流通させる。
【0024】
電動ウォータポンプ22により送出された冷却水は、エンジン12内の図示しない冷却水流路を流れてエンジン12を冷却する。エンジン12の冷却により昇温した冷却水は、サーモ機構26を介して冷却水配管28を矢印30,32方向に流れてエンジンラジエータ24に流入する。エンジンラジエータ24において冷却水は、外気に対して放熱することにより降温する。エンジンラジエータ24を通過した冷却水は冷却水配管28を矢印34方向に流れて、電動ウォータポンプ22によりエンジン12内へと送り出される。このようにして冷却水は、電動ウォータポンプ22の駆動によりエンジン冷却系統20内を循環流通される。
【0025】
一方、サーモ機構26は、冷却水の温度を検出する水温センサを含んでおり、検出された水温は制御装置16に送信される。制御装置16は、冷却水の温度が所定温度より低い場合には、エンジンラジエータ24をバイパスして冷却水を流すようにサーモ機構26を作動させる。具体的には、冷却水配管28において冷却水を、矢印32方向ではなく、矢印36方向に流すようにサーモ機構26内の流路切替弁を作動させる。このようにエンジンラジエータ24を迂回して冷却水を流すことにより、冷却水の降温が抑制されてエンジン12の暖機を迅速に完了することができる。
【0026】
上記モータ冷却系統40は、モータシステム用電動ウォータポンプ(以下、適宜に電動ウォータポンプとだけいう)42と、モータラジエータ44と、これらとエンジン12との間に接続される冷却水配管46とを含む。電動ウォータポンプ42は、制御装置16によって駆動制御され、冷却水を送出してモータ冷却系統40に循環流通させる。
【0027】
電動ウォータポンプ42は、インバータ18とモータ14間の冷却水配管46に設けられている。電動ウォータポンプ42により送出された冷却水は、冷却水配管46を矢印48方向に流れてモータ14内へと流入し、モータ14内の図示しない冷却水流路を流れる間にモータ14を冷却する。また、冷却水は、電動ウォータポンプ42に吸引されることにより冷却水配管46を矢印50方向に流れてインバータ18へと流入し、インバータ18内の図示しない冷却水流路を流れる間にインバータ18を冷却する。
【0028】
インバータ18およびモータ14の冷却により昇温した冷却水は、冷却水配管46を矢印52方向に流れてモータラジエータ44に流入する。モータラジエータ44において冷却水は、外気に対して放熱することにより降温する。モータラジエータ44を通過した冷却水は冷却水配管46を矢印50方向に流れて、インバータ18を通過してから電動ウォータポンプ42へと至る。このようにして冷却水は、電動ウォータポンプ42の駆動によりモータ冷却系統40内を循環流通される。
【0029】
なお、本実施形態では、モータ冷却系統40の電動ウォータポンプ42をインバータ18とモータ14との間の冷却水配管46に設けたが、これに限定されるものではなく、冷却水配管46の他の位置、例えばモータラジエータ44とインバータ18との間の冷却水配管46に設けてもよい。
【0030】
制御装置16は、CPU(又はMPU)、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータにより好適に構成されることができる。制御装置16は、入力される車速およびアクセル開度等に応じて、エンジン12およびモータ14の各作動を制御する。
【0031】
例えば、ハイブリッド車両1が停車しているときや停車状態から発進して所定速度まで加速する際には、エンジン12を運転停止した状態でモータ14を駆動して走行用動力を出力させ、これにより電気自動車走行(いわゆるEV走行)する。
【0032】
そして、ハイブリッド車両1の車速が上記所定速度以上になる中速域から高速域では、主としてエンジン12を稼動してエンジン動力により走行する。このとき、アクセルペダルが大きく踏み込まれることによる急加速の要求がある場合には、モータ14を駆動してアシストすることもできる。
【0033】
一方、ハイブリッド車両1の減速時等には、モータ14を発電機として機能させて発電を行い、発電された回生電力をバッテリに充電する。また、ハイブリッド車両1は、主として発電機として機能するモータジェネレータを走行用モータとは別に搭載してもよく、この場合にはエンジン12の動力を発電用モータジェネレータに入力して発電を行い、発電された電力をバッテリの充電や走行用モータの駆動に用いる。
【0034】
このようにハイブリッド車両1では、エンジン12およびモータ14を適宜に使い分けることによって、エネルギ効率および燃費の向上を図っている。なお、上記において、モータ14が本発明のモータに対応し、モータ冷却系統40が本発明のモータ冷却装置に対応し、制御装置16が本発明の制御装置に対応する。
【0035】
次に、図2および3を参照して、モータ冷却系統40の電動ウォータポンプ42の駆動制御について説明する。図2は制御装置16において実行される処理手順を示すフローチャートであり、図3は車速および車両加速度と、電動ウォータポンプの停止許可フラグとの関係を時間軸との関連で示すタイミングチャートである。図2に示す処理は、所定時間(たとえば20msec)毎に繰り返し実行される。
【0036】
まず、制御装置16は、ステップ10により、ハイブリッド車両1の車速Vを取得する。車速Vは、図示しない車速センサによって検出された値を用いる。
【0037】
続いて、制御装置16は、ステップS12により、車速Vが所定値V1以下であるか否かを判定する。ステップS12において車速Vが所定値V1以下でないと判定されると、続くステップS16により、電動ウォータポンプ停止許可フラグFが0に設定または維持されて、電動ウォータポンプ42の駆動停止が禁止される。そして、本ルーチンを終了する。
【0038】
ここで、上記所定値V1は、ハイブリッド車両1が主としてEV走行する低速領域の速度であって、電動ウォータポンプ42の動作音が車内においてロードノイズ等の他の騒音によってマスキングされることを考慮して制御装置16内のメモリに予め記憶されている。
【0039】
ステップS12において車速Vが所定値V1以下であると判定されると、続くステップS14により、制御装置16はハイブリッド車両1の加速度dV/dtがα1であるか否かを判定する。ここで加速度dV/dtが所定値α1以下でないと判定されると、上記と同様にステップS16の処理が実行される。
【0040】
一方、ステップS14において加速度dV/dtが所定値α1以下であると判定されると、続くステップS18により、電動ウォータポンプ停止許可フラグFを1に設定または維持して、電動ウォータポンプ42の駆動を停止させる。そして、本ルーチンを終了する。
【0041】
ここで、車速Vが上記所定値V1以下であっても加速度が大きい場合にはモータ14およびインバータ18でのエネルギ消費量および発熱量も増加することが想定されるため、電動ウォータポンプ42の駆動停止を禁止して、モータ14等を含むモータシステムに対して適切な冷却性能を確保する必要がある。このような観点から上記所定値α1は、実験やシュミレーション等から求められた値として制御装置16内のメモリに予め記憶されている。
【0042】
図3を参照すると、ハイブリッド車両1が停車状態にあるとき、すなわち車速0のとき、電動ウォータポンプ停止許可フラグFが1に設定されて、電動ウォータポンプ42の駆動が停止される。また、ハイブリッド車両1が停車状態から加速して車速Vが上記所定値V1に到達する時間t1までは車両加速度dV/dtが所定値α1以下であれば電動ウォータポンプ停止許可フラグFが1のままで電動ウォータポンプ42の駆動停止が継続される。これにより、ロードノイズが無いか又は比較的小さい停車時又は低速走行時には電動ウォータポンプ42を停止させて動作音を発生させないことにより、車内の乗員に対する騒音の問題を解消または抑制できる。また、ハイブリッド車両1における省電力化も図れる。
【0043】
ただし、車速Vが上記所定値V1に到達するまでの車両加速度dV/dtが所定値α1よりも大きい場合には、電動ウォータポンプ停止許可フラグFが0に設定されて電動ウォータポンプ42の駆動停止が禁止されることになる。これにより、モータシステムに対する冷却性能を維持または確保することができる。
【0044】
一方、ハイブリッド車両1の減速時、すなわち車両加速度dV/dtが負の値であるときに車速Vが上記所定値V1以下となったとき(図3中の時間t2)、電動ウォータポンプ停止許可フラグFを1に設定して、電動ウォータポンプ42の駆動を停止させる。このような車両減速時には、モータ14は積極的に駆動される力行状態でないので発熱量も小さく、電動ウォータポンプ42を停止しても冷却不足が問題になることはない。
【0045】
上述したように本実施形態の冷却システム10によれば、車速Vだけでなく車両加速度dV/dtも考慮して電動ウォータポンプ42の駆動を制御することで、冷却水を送出する電動ウォータポンプ42の動作による騒音や振動の問題を抑制しながら、車両走行状況に応じてモータシステムに対する適切な冷却性能を得ることができる。具体的には、車速Vが比較的低速である所定値V1以下であるときに電動ウォータポンプ42の動作音をより小さく又は無くして車内の乗員にとって騒音と感じられなくすることができ、また、車速Vが所定値V1以上であっても車両加速度dV/dtが所定値α1以下でなければ電動ウォータポンプ42の駆動を停止しないことでモータシステムに対する適切な冷却性能を維持または確保することができる。
【0046】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。
【0047】
例えば、上記においては車速Vが所定値V1以下で且つ車両加速度dV/dtが所定値α1以下のときに電動ウォータポンプ42の駆動を停止するものとしたが、回転数を低下させて冷却液の送出量を減少させるように電動ウォータポンプの駆動を抑える制御を行ってもよい。これによっても電動ウォータポンプ42の動作音が小さくなるため、前記動作音が車内の乗員に騒音と感じられにくくすることができるとともに、モータシステムに対する冷却性能もある程度確保することが可能になる。
【0048】
また、車速Vの判定閾値となる上記所定値V1や車両加速度dV/dtの判定閾値となる上記所定値α1は、必ずしも固定値である必要はなく、変更可能に構成されてもよい。例えば、上記所定値V1は、例えば、騒音に対して敏感なユーザからの要望に応じて、上記所定値V1をより高い速度値に変更できるようにしてもよい。あるいは、外気温が高い場合には所定値V1を低い値に設定し、逆に、外気温が低い場合には所定値V1を高い値に設定してもよい。このようにすることで外気温高温時に電動ウォータポンプの駆動停止期間を短くしてモータシステムに対するより高い冷却性能を確保することができ、逆に、モータシステムに対する冷却性能が相対的に低くても足りる外気温低音時に電動ウォータポンプの駆動停止期間を長くして省電力化を図ることができる。あるいは、経時的に電動ウォータポンプの動作音や振動が大きくなる傾向にあれば、それに応じて上記所定値V1,α1を変更するようにしてもよい。
【0049】
さらに、制御装置は、モータ冷却系統に温度センサを設けて冷却水の温度を監視し、車速および車両加速度に加えて冷却水の温度も考慮して、モータシステムに対する冷却性能を確保しつつ電動ウォータポンプの動作音による騒音を低減するように電動ウォータポンプの駆動および停止を制御してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 ハイブリッド車両、10 冷却システム、12 エンジン、14 モータ、16 制御装置、18 インバータ、20 エンジン冷却系統、22 電動ウォータポンプ、24 エンジンラジエータ、26 サーモ機構、28 冷却水配管、30,32,34,36,48,50,52 矢印、40 モータ冷却系統、42 電動ウォータポンプ、44 モータラジエータ、46 冷却水配管、F 電動ウォータポンプ停止許可フラグ、dV/dt 車両加速度、V 車速、V1,α1 所定値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用動力を出力するモータと、電動ポンプにより冷却媒体を送出して前記モータを含むモータシステムを冷却するモータ冷却装置と、前記電動ポンプの駆動を制御する制御装置とを備える電動車両の冷却システムであって、
前記制御装置は、車速および車両加速度に基づいて前記電動ポンプの駆動を制御することを特徴とする電動車両の冷却システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両の冷却システムにおいて、
前記制御装置は、車速が所定値以下で且つ車両加速度が所定値以下のときに前記電動ポンプの駆動を抑える又は停止することを特徴とする電動車両の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−160597(P2011−160597A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−21727(P2010−21727)
【出願日】平成22年2月3日(2010.2.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】