説明

電圧ホロワおよびそれを用いた表示装置

【課題】閾値電圧が大きくばらつくTFT等を使用しても良好に動作する電圧ホロワ、および、それを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】電圧発生器は、比較回路45とインバータ回路46と電流供給回路47からなる電圧ホロワを含み、制御信号Ccをハイレベルとした状態で、分圧回路44からの入力電圧Vinが第1の入力端子T1を経て電圧ホロワに入力され、コンデンサC1〜C4が充電されることでトランジスタQ1、Q3の閾値電圧が補償される。これにより、その後、制御信号Ccをローレベルとした状態で、第2の入力端子T2から電圧ホロワの出力電圧Vcが入力されると、Vc>VinときにはトランジスタQ1がOFF状態、トランジスタQ3がON状態となり、Vc<VinときにはトランジスタQ1がON状態、トランジスタQ3がOFF状態となるので、結果として出力電圧Vcが入力電圧Vinに等しくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧ホロワ(voltage follower)、および、電圧ホロワを用いた有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのような電圧駆動素子や、有機ELディスプレイのような電流駆動素子では、その画素の表示状態を制御するために複数の制御電圧を必要とする。例えば特許文献1(特開平4−269708号公報)に記載された、非線形抵抗素子を有するアクティブ型液晶表示装置では、ゲート選択電位VDDやゲート非選択電位VLCの他に、その中間電位からなるコモン電位V10,V1E等を必要とし、同文献には、このコモン電位発生手段として、図20に示す電圧供給回路が開示されている。この電圧供給回路では、最大電圧VDDと最小電圧VLCの間に抵抗18,19や可変抵抗22等を配置することによって所望の電位が生成され、その電位を電圧ホロワとして動作するオペアンプ25,26等に入力することでコモン電位V10,V1E等が得られる。
【0003】
このオペアンプ25,26等として、例えば特許文献2(特開平8−32386号公報)に示された回路構成のオペアンプ、すなわち図21に示す回路構成のオペアンプを使用することができる。このオペアンプでは、定電圧供給回路4aと差動増幅器5と出力バッファ6と位相補償コンデンサ7aとからなり、差動増幅器5において、一組のpチャネル形FET(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)9a,9bからカレントミラー回路が構成され、そのpチャネル形FET9a,9bの出力がnチャネル形FET8a,8bにそれぞれ供給される。そして、このnチャネル形FET8a,8bのゲート端子がそれぞれ反転入力端子2及び非反転入力端子1とされている。
【0004】
上記のように構成された図21のオペアンプでは、非反転入力端子1の電位V1が反転入力端子2の電位V2よりも低くなると、nチャネル形FET8bを流れる電流がnチャネル形FET8aを流れる電流よりも少なくなる。一方、カレントミラー回路を構成するpチャネル形FET9bを流れる電流はpチャネル形FET9aを流れる電流(即ちnチャネル形FET8aを流れる電流)と等しいので、pチャネル形FET9bとnチャネル形FET8bとの接続点の電位Vxが上昇する。この電位Vxは出力バッファ6におけるpチャネル形FET6aのゲート端子に与えられるので、pチャネル形FET6aはOFF状態(オフ状態)となり、当該オペアンプの出力端子3の電位が下降する。逆に非反転入力端子1の電位V1が反転入力端子2の電位V2よりも高くなると、nチャネル形FET8bを流れる電流がnチャネル形FET8aを流れる電流よりも多くなる。一方、pチャネル形FET9bを流れる電流はpチャネル形FET9aを流れる電流(即ちnチャネル形FET8aを流れる電流)と等しいので、上記接続点の電位Vxが下降し、pチャネル形FET6aがON状態(オン状態)となり、出力端子3の電位は上昇する。そこで図21のオペアンプの反転入力端子2と出力端子3を繋ぐと、出力端子3の電位を非反転入力端子1の電位V1とすることができる。すなわち、反転入力端子2と出力端子3を繋ぐことにより図21のオペアンプを電圧ホロワとして動作させることができる。
【0005】
また、カレントミラー回路構成を用いない電圧ホロワとして、特許文献3(特開平9−146500号公報)に示された回路構成の電圧ホロワ、すなわち図22に示す回路構成の電圧ホロワを使用することができる。図22は、液晶表示装置のデータドライバの1列分におけるサンプリングホールド回路251Aの構成を示しており、このサンプリングホールド回路251Aは、交流化ビデオ信号VSAの正極性電位のサンプリングによってコンデンサCPに保持される電圧とほぼ同じ電圧を出力する正極性側の電圧ホロワと、交流化ビデオ信号VSAの負極性電位のサンプリングによってコンデンサCNに保持される電圧とほぼ同じ電圧を出力する負極性側の電圧ホロワとを含んでいる。正極性側の電圧ホロワは、ソースホロワ回路39Pと1次補正回路41Pと2次補正回路42Pとで構成され、負極性側の電圧ホロワは、ソースホロワ回路39Nと、1次補正回路41Nと、2次補正回路42Nとで構成されており、これらの電圧ホロワでは、入力電圧(ホールドコンデンサに保持されたビデオ信号VSAの電圧)と出力電圧(ソースホロワの出力電圧)との差を埋めるために補正用のコンデンサが使用されている。例えば、正極性の電圧ホロワでは、コンデンサCPに保持された入力電圧とトランジスタT3Pの出力電圧VDLとの差を埋めるためにコンデンサC1Pが使用されている。
【0006】
このようなオペアンプを用いた図20に示す回路構成により、抵抗分割によって生成された電圧をインピーダンス変換することで、液晶ディスプレイ等が必要とする制御電圧を得ることができる。
【特許文献1】特開平4−269708号公報
【特許文献2】特開平8−32386号公報
【特許文献3】特開平9−146500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図21に示したような差動増幅器(カレントミラー回路)を含むオペアンプによって電圧ホロワが構成される場合、当該差動増幅器等を構成するFETの特性にばらつきがあっても隣接して作製されるFETの特性(閾値電圧等)が互いに等しければ、電圧ホロワとして良好に動作し、入力電圧と出力電圧とが等しくなる(出力端子3の電位が非反転入力端子1の電位V1に等しくなる)。
【0008】
ところで、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の表示装置では、画素を形成するための画素回路において低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)やアモルファスシリコンTFTが使用される。したがって、これらのTFTを用いて電圧発生器等を実現できれば、外付けのオペアンプを用いる場合に比べ、部品点数の削減や低コスト化を図ることができる。
【0009】
しかし、これらのTFTでは閾値電圧のばらつきが大きく、近接して形成されたTFT間でも閾値電圧が互いに異なる。そのため、TFTを用いて精度の高いカレントミラー回路を作製することができず、その結果、良好に動作する電圧ホロワやそれを用いて精度の高い電圧発生器を実現することができない。
【0010】
また、図22の電圧ホロワは、カレントミラー回路を用いず、コンデンサC1Pを用いてトランジスタT3Pの特性ばらつきを補正しているが、定電流回路40Pを必要とする。しかし、これらのTFTでは、閾値電圧のばらつきが大きく、安定した定電流回路を実現することは困難である。
【0011】
そこで本発明は、閾値電圧が大きくばらつくTFT等の電界効果トランジスタ(FET)を使用しても良好に動作する電圧ホロワを提供することを目的とする。また、本発明は、そのような電圧ホロワを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明は、第1および第2の入力端子と当該第2の入力端子に接続された出力端子とを有し、当該第1の入力端子に与えられる電圧に略等しい電圧を当該出力端子から出力する電圧ホロワであって、
前記第1の入力端子に与えられる第1の入力電圧と前記第2の入力端子に与えられる第2の入力電圧とを比較する比較回路と、
前記出力端子から電流を供給する電流供給回路とを備え、
前記比較回路は、
前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧とを比較する電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタの閾値電圧を補償する閾値補償回路とを含み、
前記電流供給回路は、前記比較回路の出力電圧に基づき、前記第2の入力電圧が前記第1の入力電圧よりも高いときには前記出力端子の電圧を低下させ、前記第2の入力電圧が前記第1の入力電圧よりも低いときには前記出力端子の電圧を上昇させることを特徴とする。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記比較回路は、前記電界効果トランジスタとして第1のトランジスタを含み、
前記閾値補償回路は、
前記第1のトランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続された第1のコンデンサと、
前記第1のトランジスタのゲート端子に一端が接続された第2のコンデンサと、
前記第1のトランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
前記第2のコンデンサの他端と前記第1の入力端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と連動してオン/オフする第2のスイッチング素子と、
前記第2のコンデンサの他端と前記第2の入力端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と相反的にオン/オフする第3のスイッチング素子とを含むことを特徴とする。
【0014】
第3の発明は、第2の発明において、
前記比較回路は、
前記第1のトランジスタとチャネル形の異なる前記電界効果トランジスタとしての第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第2のトランジスタのドレイン端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子がオンしているときにオフ状態となる第4のスイッチング素子とを更に含み
前記閾値補償回路は、
前記第2のトランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続された第3のコンデンサと、
前記第2のトランジスタのゲート端子と前記第2のコンデンサの前記他端との間に接続された第4のコンデンサと
前記第2のトランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と連動してオン/オフする第5のスイッチング素子とを更に含むことを特徴とする。
【0015】
第4の発明は、第1から第3の発明のいずれかにおいて、
前記電流供給回路は、前記出力端子から電流を供給するための電界効果トランジスタである第3のトランジスタを含むことを特徴とする。
【0016】
第5の発明は、第4の発明において、
前記電流供給回路は、前記第3のトランジスタとチャネル形の異なる電界効果トランジスタであって前記第3のトランジスタと共にインバータ回路を構成する第4のトランジスタを更に含むことを特徴とする。
【0017】
第6の発明は、第5の発明において、
前記第1乃至第4のトランジスタおよび前記第1乃至第5のスイッチング素子は薄膜トランジスタであることを特徴とする。
【0018】
第7の発明は、第1の発明において、
前記閾値補償回路は、
前記電界効果トランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続されたゲート・ソース間コンデンサと、前記電界効果トランジスタのゲート端子に一端が接続された入力用コンデンサとを含み、
第1の所定期間に、前記ゲート・ソース間コンデンサを前記電界効果トランジスタの閾値電圧に等しい電圧に充電すると共に前記入力用コンデンサを前記第1の入力電圧と前記電界効果トランジスタの閾値電圧との差に等しい電圧に充電し、
前記第1の所定期間後の第2の所定期間に、前記第2の入力電圧を前記入力用コンデンサの他端に与え、
前記電界効果トランジスタは、前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧との比較結果を示す電圧を前記第2の所定期間に出力することを特徴とする。
【0019】
第8の発明は、表示装置であって、
第1から第7の発明のいずれかの発明に係る電圧ホロワを備えることを特徴とする。
【0020】
第9の発明は、電圧発生器を備えた表示装置であって、
前記電圧発生器は、
第1から第7の発明のいずれかの発明に係る電圧ホロワと、
前記第1の入力電圧を生成する分圧回路と
を含むことを特徴とする。
【0021】
第10の発明は、第9の発明に係る表示装置であって、
前記分圧回路は、前記第1の入力電圧を決定する第1および第2の抵抗素子を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
上記第1の発明によれば、比較回路は、第2の入力電圧として与えられる電流供給回路の出力端子の電圧を第1の入力電圧と比較し、その比較結果を示す電圧を、閾値電圧の補償された電界効果トランジスタから出力する。電流供給回路は、この比較結果を示す電圧に基づき、その出力端子の電圧である第2の入力電圧が第1の入力電圧よりも高いときに出力端子の電圧を低下させ、第1の入力電圧よりも低いときに出力端子の電圧を上昇させる。その結果、第1の入力電圧に等しい電圧がインピーダンス変換されて電流供給回路から出力される。ここで、電流供給回路からの出力電圧すなわち上記出力端子の電圧を第1の入力電圧に等しくするための制御は、閾値電圧の補償された電界効果トランジスタから出力される電圧に基づいて行われるので、当該電界効果トランジスタにTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いても、電流供給回路からは、第1の入力電圧に等しい電圧をインピーダンス変換して出力することができる。
【0023】
上記第2の発明によれば、第1および第2のスイッチング素子をオン状態とし第3のスイッチング素子をオフ状態とすることで、第1の入力電圧が第2のコンデンサの他端に与えられ、第1のコンデンサが第1のトランジスタ(電界効果トランジスタ)の閾値電圧に等しい電圧に充電されると共に第2のコンデンサが第1の入力電圧と当該閾値電圧との差に等しい電圧に充電されることにより、第1のトランジスタの閾値電圧が補償される。その後に第1および第2のスイッチング素子をオフ状態とし第3のスイッチング素子をオン状態とすることで、第2の入力電圧が第2のコンデンサの他端に与えられ、第1の入力電圧と第2の入力電圧との大小関係に応じた電圧すなわち比較結果を示す電圧が、第1のトランジスタからその閾値電圧のばらつきに影響されずに出力される。そして、このような比較結果を示す電圧に基づいて電流供給回路からの出力電圧すなわち上記出力端子の電圧が制御される。したがって、第1のトランジスタにTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いても、電流供給回路からは、第1の入力電圧に等しい電圧をインピーダンス変換して出力することができる。
【0024】
上記第3の発明によれば、第1、第2および第5のスイッチング素子をオン状態とし第3および第4のスイッチング素子をオフ状態とすることで、第1の入力電圧が第2および第4のコンデンサの他端に与えられ、第1のコンデンサが第1のトランジスタの閾値電圧に等しい電圧に、第3のコンデンサが第2のトランジスタの閾値電圧に等しい電圧にそれぞれ充電されると共に、第2のコンデンサが第1の入力電圧と第1のトランジスタの閾値電圧との差に等しい電圧に、第4のコンデンサが第1の入力電圧と第2のトランジスタの閾値電圧との差に等しい電圧にそれぞれ充電されることにより、第1および第2のトランジスタの閾値電圧が補償される。その後に第1、第2および第5のスイッチング素子をオフ状態とし第3および第4のスイッチング素子をオン状態とすることで、第2の入力電圧が第2および第4のコンデンサの他端に与えられ、第1の入力電圧と第2の入力電圧との大小関係に応じた電圧すなわち比較結果を示す電圧が、第1および第2のトランジスタからそれらの閾値電圧のばらつきに影響されずに出力される。そして、このような比較結果を示す電圧に基づいて電流供給回路からの出力電圧すなわち上記出力端子の電圧(出力電圧)が制御される。したがって、第1および第2のトランジスタにTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いても、電流供給回路からは、第1の入力電圧に等しい電圧をインピーダンス変換して出力することができる。また、上記比較結果を示す電圧は、互いにチャネル形の異なる第1および第2のトランジスタから出力されるので、電流供給回路の出力電圧変動により早く反応でき、電流供給回路の負荷変動に依らず安定した出力電圧を得ることができる。
【0025】
上記第4の発明によれば、電流供給回路の出力端子の電圧(出力電圧)が第1の入力電圧以上になったとき又は第1の入力電圧以下にとなったときのいずれか一方において、第3のトランジスタがオンされるので、その他の期間で流れる電流を節約することができる。
【0026】
上記第5の発明によれば、電流供給回路がインバータ回路から構成されるので、その出力電圧が第1の入力電圧以上となったときと第1の入力電圧以下となったときのいずれにおいても、上記比較結果を示す電圧に基づき当該出力電圧が第1の入力電圧に等しくなるように制御される。したがって、出力端子に接続されるべき負荷の電圧引き込み方向に関係なく、電圧ホロワとしての出力電圧を安定化することができる。
【0027】
上記第6の発明によれば、薄膜トランジスタによって電圧ホロワが実現されるので、当該電圧ホロワを、表示パネルを構成するガラス基板等の絶縁性基板に形成することで、表示装置において部品点数を削減しコストを低減することができる。
【0028】
上記第7の発明によれば、第1の所定期間に、ゲート・ソース間コンデンサが電界効果トランジスタの閾値電圧に等しい電圧に充電されると共に入力用コンデンサが第1の入力電圧と電界効果トランジスタの閾値電圧との差に等しい電圧に充電され、第2の所定期間に、第2の入力電圧が入力用コンデンサの他端に与えられ、第1の入力電圧と第2の入力電圧との大小関係に応じた電圧すなわち比較結果を示す電圧が、電界効果トランジスタからその閾値電圧のばらつきに影響されずに出力される。そして、このような比較結果を示す電圧に基づいて電流供給回路からの出力電圧が制御される。したがって、電界効果トランジスタにTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いても、電流供給回路からは、第1の入力電圧に等しい電圧をインピーダンス変換して出力することができる。
【0029】
上記第8の発明によれば、電圧ホロワを構成する電界効果トランジスタとしてTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いることができるので、そのような電圧ホロワを、表示パネルを構成するガラス基板等の絶縁性基板に形成することで、外付けオペアンプ等を用いずに実現することができる。その結果、表示装置において部品点数を削減しコストを低減することができる。
【0030】
上記第9の発明によれば、分圧回路で発生した第1の入力電圧を上記電圧ホロアを通して低インピーダンス化できる。そしてこの電圧ホロワを含む電圧発生器を構成する電界効果トランジスタとしてTFT等の閾値電圧がばらつくトランジスタを用いることができるので、そのような電圧発生器を、表示パネルを構成するガラス基板等の絶縁性基板に形成することで、外付けオペアンプ等を用いずに実現することができる。その結果、表示装置において部品点数を削減しコストを低減することができる。また、電圧発生器において低温ポリシリコンTFTやアモルファスシリコンTFT等の閾値ばらつきの大きなトランジスタが用いられても、閾値補償回路によって電圧発生器の出力電圧のばらつきが抑えられるので、表示パネル毎に出力電圧を調整するための労力を省き、その分だけコストを低減することができる。さらに、閾値補償回路がチャネル形の異なる第1および第2のトランジスタから構成される場合には、電流供給回路からの出力電圧変動に反応し易くなり、負荷が変動した場合でも電流供給回路からの出力電圧を安定化することができる。このため、この安定化された電圧で表示パネルの画素回路が制御されるので、表示装置の表示品位を改善することができる。さらにまた、電流供給回路がチャネル形の異なる第3および第4のトランジスタから構成される場合には、負荷の電圧引き込み方向に関係なく出力電圧を安定化できるので、負荷の電圧引き込み方向が変動する表示装置においても、安定化された電圧で画素回路を制御することで表示品位を改善することができる。
【0031】
上記第10の発明によれば、第1の抵抗素子を表示パネル内に形成し、第2の抵抗素子を表示パネル外に形成することで、パネル基板作製後においても第2の抵抗素子の値を調整することが可能となるので、表示素子特性の変化に合わせて電圧発生器からの出力電圧を調整することができる。これにより、素子特性の改善に柔軟に対応できるので、表示装置の納期の短縮化や低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
本発明に係る電圧ホロワで使用されるスイッチング素子等の能動素子は低温ポリシリコンTFTやCGシリコン(Continuous Grain Silicon:連続粒界結晶シリコン)TFTなどで構成できるが、以下で説明する各実施形態ではCGシリコンTFTが使用されているものとする。
【0033】
ここで、CGシリコンTFTの構成は、例えば、犬飼和孝、他7名(半導体エネルギー研究所),「4.0インチTFT−OLEDディスプレイおよび新ディジタル駆動方法(4.0-in. TFT-OLED Displays and a Novel Digital Driving Method)」,SID’00 Digest,2000年,p.924−927に開示されており、CGシリコンTFTの製造プロセスは、例えば、高山徹、他6名(半導体エネルギー研究所),「連続粒界結晶シリコン技術とアクティブマトリクスディスプレイへの応用( Continuous Grain Silicon Technology and Its Applications for Active Matrix Display)」,AM−LCD2000,2000年,p.25−28に開示されている。すなわち、CGシリコンTFTの構成およびその製造プロセスは何れも公知であるため、ここではその説明は省略する。
【0034】
また、以下に説明する各実施形態で使用される電気光学素子である有機EL素子についても、その構成は、例えば、R.H.フレンド(R.H.Friend),「平面パネルディスプレイ用ポリマー発光ダイオード(Polymer Light-Emitting Diodes for use in Flat Panel Displays)」,AM−LCD’01,2001年,p.211−214に開示されており公知であるため、ここではその説明は省略する。
【0035】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体の構成および動作>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。この表示装置は、表示制御回路100と表示パネル300と電源回路500とを備えている。表示パネル300は、マトリクス状に配置された複数の画素回路からなる表示部31と、その表示部31を駆動するためのソースドライバ回路32、第1のゲートドライバ回路33、および第2のゲートドライバ回路38と、それらのドライバ回路32,38で使用される制御電圧を発生する電圧発生器41とを含んでいる。表示制御回路100は、表示すべき画像を表す画像信号DVと水平および垂直同期信号HSY,VSYとを外部から受け取り、表示すべき画像を表すデータとしてソースドライバ回路32に供給すべきシリアルデータDxを出力すると共に、ソースドライバ回路32に供給すべき制御信号としてのスタートパルス信号SP、クロック信号clk、ラッチパルス信号LPを出力する。また、表示制御回路100は、第1のゲートドライバ回路33に供給すべきアドレス信号Addおよび出力制御信号OEを出力し、第2のゲートドライバ回路38に供給すべきクロック信号yckおよび制御信号YIを出力する。さらに、表示制御回路100は、電圧発生器41に供給すべき制御信号Pc,Cc,Rcを出力する。一方、電源回路500は、表示制御回路100および表示パネル300に対しそれらの動作に必要な電源電圧(後述の電圧Vcc等)を供給する。
【0036】
図2は、本実施形態における表示パネル300の構成を示すブロック図である。以下、この表示パネル300の各構成要素、すなわち、複数の画素回路A(i,j)を有する表示部31と、ソースドライバ回路32と、第1のゲートドライバ回路33と、第2のゲートドライバ回路38と、電圧発生器41とにつき説明する。
【0037】
表示部31には、ソースドライバ回路32に接続された複数(n本の)ソース配線SL1〜SLnと、ゲートドライバ回路33に接続された複数(m本の)ゲート配線GL1〜GLmとが、互いに交差し格子状に配設され、各ゲート配線GLiに平行に制御配線PLiおよび電位配線ULiが配設されると共に(i=1,2,…,m)、各ソース配線SLjに平行に電源配線が配設されている(j=1,2,…,n)。各画素回路A(i,j)は、上記複数のソース配線SL1〜SLnと上記複数のゲート配線GL1〜GLmとの交差点にそれぞれ対応してマトリクス状に配置されている。また、上記ソースドライバ回路32は、nビット(n段)のシフトレジスタ34と、nビットのレジスタ35と、nビットのラッチ36と、n個のアナログスイッチ回路37とを含み、シフトレジスタ34にはスタートパルス信号SPおよびクロック信号clkが、レジスタ35にはシリアルデータDxが、ラッチ36回路にはラッチパルス信号LPが、表示制御回路100から入力される。
【0038】
上記ソースドライバ回路32では、n段のシフトレジスタ34の先頭のレジスタへ上記スタートパルス信号SPが入力され、そのスタートパルス信号SPがクロック信号clkでシフトレジスタ34内を転送され、その転送に応じてレジスタ35にタイミングパルスSSPとして出力される。nビットのレジスタ35は、シフトレジスタ34から出力されるタイミングパルスSSPにより、シリアルデータDxとして入力されるnビットのデータをソース配線SL1〜SLnに対応する位置にそれぞれ保持する。ラッチ36は、レジスタ35で保持されたnビットのデータをラッチパルス信号LPのタイミングで取り込み、n個のアナログスイッチ回路37にそれぞれ出力する。n個のアナログスイッチ回路37には、n本のソース配線SL1〜SLnがそれぞれ接続されており、各アナログスイッチ回路37は、それに接続されるソース配線SLj(j=1,2,…,n)に対し、2種類の所定電位VH,VLのうちラッチ36から入力されたデータに対応する電位をデータ信号Djとして出力する(後述の図4(a)に示すように電位VH>電位VLであり、以下では、電位VHを「高電位VH」、電位VLを「低電位VL」という)。
【0039】
第1のゲートドライバ回路33は、図示しないデコーダ回路とバッファ回路とを含み、デコーダ回路にはアドレス信号Addが、バッファ回路には出力制御信号OEが、表示制御回路100から入力される。このゲートドライバ回路33において、デコーダ回路は、アドレス信号Addをデコードすることにより、上記ゲート配線GL1〜GLmのいずれかに対応する信号を出力する。そしてバッファ回路は、デコーダ回路から出力される信号を、出力制御信号OEで制御されるタイミングで、対応するゲート配線GLi(i=1,2,…,m)に出力する。
【0040】
第2のゲートドライバ回路38は、mビット(m段)のシフトレジスタ回路39と、m個のアナログスイッチ回路40とを含み、シフトレジスタ回路39には、クロック信号yckおよび制御信号YIが表示制御回路100から入力される。制御信号YIは、第1および第2の制御信号YP,YUからなり、シフトレジスタ回路39の先頭に入力され、クロック信号yckでシフトレジスタ回路39内を転送される。このようにして転送される制御信号YIに基づき、制御信号線PLiおよび電位配線ULiの電位が制御される。
【0041】
すなわち、第2のゲートドライバ回路38の構成を画素回路A(i,j)の構成と共に示す図3を参照して説明すると、第2のゲートドライバ回路38のシフトレジスタ39は、上記制御信号YIを構成する第1の制御信号YPおよび第2の制御信号YUをクロック信号yckに同期して転送するための縦続接続された2系統のDタイプフリップフロップ42を含むn段のシフトレジスタであり、各段は、マトリクス状に配置された画素回路のいずれかの行に対応すると共にm個のアナログスイッチ回路40のいずれかに対応している。そして、このシフトレジスタ39で転送される制御信号YIのうち、第1の制御信号YPは、その転送に応じ、シフトレジスタ39の各段に設けられた内部のバッファ43を介して、当該段に対応する行の制御信号線PLiに出力され、第2の制御信号YUは、その転送に応じて、各段に対応するアナログスイッチ回路40に入力される。各アナログスイッチ回路40は、Pチャネル薄膜トランジスタQ25とNチャネル薄膜トランジスタQ26とからなり、それに入力される第2の制御信号YUに応じて2種類の電位VccおよびVcのうちのいずれかを選択し、当該アナログスイッチ回路40に対応する行の電位配線ULiに、選択された電位を出力する。
【0042】
<1.2 画素回路の構成および動作>
次に、図3を参照して、本実施形態における画素回路の構成および動作について説明する。なお本実施形態では、能動素子としてTFT(薄膜トランジスタ)が使用されており、以下では、nチャネル形の薄膜トランジスタを「Nchトランジスタ」と略記し、pチャネル形の薄膜トランジスタを「Pchトランジスタ」と略記するものとする。
【0043】
既述のように、ソース配線SL1〜SLnとゲート配線GL1〜GLmとの交差点のそれぞれに対応して画素回路が設けられており、以下では、i番目のゲート配線GLiとj番目のソース配線SLjとの交差点に対応する画素回路を参照符号“A(i,j)”で示すものとする。図3に示すように各画素回路A(i,j)は、駆動用のPchトランジスタQ21と、スイッチ用のNchトランジスタQ22,Q24と、スイッチ用のPchトランジスタQ23と、コンデンサC11,C12と、有機EL素子EL1とを含んでいる。なお、共通配線VLcomは、各画素回路A(i,j)の有機EL素子EL1を覆うように表示部31全面に配置され、制御配線PLiおよび電位配線ULiは、ゲート配線GLiの延びる方向に画素回路A(i,j)を通過するように配置され、電源配線VLpはソース配線SLjの延びる方向に画素回路A(i,j)を通過するように配置されている。
【0044】
各画素回路A(i,j)において、駆動用トランジスタQ21は、そのソース端子が電源配線VLpに接続されると共に、そのドレイン端子がスイッチ用トランジスタQ23を介して有機EL素子EL1のアノードに接続され、有機EL素子EL1のカソードは共通配線VLcomに接続されている。すなわち、電源配線VLpと共通配線VLcomとの間に、駆動用トランジスタQ21とスイッチ用トランジスタQ23と有機EL素子EL1とが直列に接続されている。そして、駆動用トランジスタQ21のゲート端子とドレイン端子との間にはスイッチ用トランジスタQ22が接続され、駆動用トランジスタQ21のゲート端子と電位配線ULiとの間にはコンデンサC11が接続されている。また、スイッチ用トランジスタQ23のゲート端子とソース配線SLjとの間にはスイッチ用トランジスタQ24が接続され、スイッチ用トランジスタQ23のゲート端子と電源配線VLpとの間にはコンデンサC12が接続されている。そして、スイッチ用トランジスタQ22のゲート端子には制御配線PLiが、スイッチ用トランジスタQ24のゲート端子にはゲート配線GLiが、それぞれ接続されている。
【0045】
以下、本実施形態における画素回路A(i,j)の動作を、図4に示すタイミングチャートを参照して説明する。図4(b)(c)(d)は、ゲート配線GLi上のゲート信号Gi、制御配線PLi上の制御信号Pi、電位配線ULi上の電位信号Uiをそれぞれ示しており、これらの信号Gi,Pi,Uiは画素回路A(i,j)に与えられる。図4(f)(g)(h)は、ゲート配線GLi+1上のゲート信号Gi+1、制御配線PLi+1上の制御信号Pi+1、電位配線ULi+1上の電位信号Ui+1をそれぞれ示しており、これらの信号Gi+1,Pi+1,Ui+1は画素回路A(i+1,j)に与えられる。図4(a)はソース配線SLj上のデータ信号Djを示しており、このデータ信号Djは指示データDa1〜Da3,DBを表している。ここで指示データDBはブランキングデータであり、画素回路A(i,j)にブランキングデータDBが与えられるのは、時刻8t1から12t1までの間である。この間、電位信号Uiの電位を電源電位Vccとし、制御信号PiをHigh(GH)レベルとして、スイッチ用トランジスタQ22をON状態(オン状態)とする。
【0046】
このことにより、駆動用トランジスタQ21のゲート端子とドレイン端子とが短絡される。そして、ゲート信号GiをHigh(GH)レベルとして、スイッチ用トランジスタQ24をON状態とし、ソース配線SLjからデータ信号Djの電位VLをスイッチ用トランジスタQ23のゲート端子に与え、スイッチ用トランジスタQ23をON状態とする。このことにより、駆動用トランジスタQ21のゲート端子電位は低下し、駆動用トランジスタQ21はON状態となる。
【0047】
その後、データ信号Djの電位を高電位VHに変化させ、スイッチ用トランジスタQ23をOFF状態(オフ状態)とした後、ゲート信号GiをLow(GL)レベルとして、スイッチ用トランジスタQ24をOFF状態とする。スイッチ用トランジスタQ23がOFF状態となることにより、図4(e)に示すように、駆動用トランジスタQ21のドレイン端子電位Vdは上昇し、そのドレイン端子と接続されたゲート端子電位Vgも上昇する。その結果、駆動用トランジスタQ21はON状態からOFF状態へ変化する。このOFF状態のときの駆動用トランジスタQ21のゲート・ソース間電圧は駆動用トランジスタQ21の閾値電圧に等しくなっている。なお図4(e)では、上記駆動用トランジスタQ21のドレイン端子電位Vdの電位変化の様子が模式的に示されている。
【0048】
その後、所定時間が経過した後(図4では時刻27t1の時点で)、制御信号PiをLow(GL)レベルとして、スイッチ用トランジスタQ22をOFF状態とし、駆動用トランジスタQ21の閾値電圧に等しい電圧をコンデンサC11に保持する。
【0049】
図5は、以上の期間につき駆動用トランジスタQ21のゲート電位Vg、ドレイン電位Vd、およびソース・ドレイン間を流れる電流Idsの変化を以下の条件でシミュレーションした結果を示している。
【0050】
【表1】

【0051】
図5において、電位Vg(1)、Vg(2)、Vg(3)の波形は、それぞれ、上記条件(1)、(2)、(3)での駆動用トランジスタQ21のゲート電位Vgの変化についてのシミュレーション結果を示しており、電位Vd(1)、Vd(2)、Vd(3)の波形は、それぞれ、上記条件(1)、(2)、(3)での駆動用トランジスタQ21のドレイン電位Vdの変化についてのシミュレーション結果を示している。図5に示されている電位Vg(1)〜Vg(3)の波形を見れば判るように、駆動用トランジスタQ21の閾値電圧に対応してゲート電位Vgが設定されている。
【0052】
この後、図4に示すように、時刻28t1において電位信号Uiの電位をVccからVcに変化させる(Vcc>Vc)。この時点では駆動用トランジスタQ21の閾値電圧に等しい電圧がコンデンサC11に保持されているので、上記電位信号Uiの電位をVccからVcへと変化させることにより、駆動用トランジスタQ21のソース・ドレイン間を流れる電流Idsが駆動用トランジスタQ21の閾値電圧のばらつきに依らず一定となるよう設定できる。
【0053】
この設定された電流Idsは、その後、図4に示すように時刻32t1〜36t1の期間において、ゲート信号GiをHigh(GH)レベルとして、スイッチ用トランジスタQ23をON状態とするゲート電位をそのゲート端子に与えると、有機EL素子EL1へ供給される。そこで、スイッチ用トランジスタQ23をON状態とするゲート電位を1フレーム期間に複数回設定することで、時間分割階調表示が可能となる。なお、この時間分割階調表示方法は公知の技術であって、例えば特開2004−4501号公報に開示されているので、ここではその説明は省略する。
【0054】
<1.3 電圧発生器の構成>
図2に示すように本実施形態に係る表示装置は、上記のような画素回路A(i,j)において画素の表示状態を制御するための信号であるデータ信号Djや電位信号Uiの生成に必要な上記の電圧VH,VL,Vc等(以下、これらの電圧を総称して「制御電圧」という)を発生させるための手段として、電圧発生器41を備えている。この電圧発生器41は、電源回路500から供給される電源電圧Vcc等から制御電圧VH,VL,Vc等を発生する。これらの制御電圧VH,VL,Vc等のうち、高電圧VLおよび低電圧VLはソースドライバ回路32におけるアナログスイッチ回路37に与えられ、アナログスイッチ回路37は、それらの電圧VHおよびVLを用いて上記データ信号Dj(j=1〜n)を生成する。また、制御電圧Vcは電源電圧Vccと共に第2のゲートドライバ回路38におけるアナログスイッチ回路40に与えられ、アナログスイッチ回路40は、それらの電圧VcおよびVccを用いて上記電位信号Ui(i=1〜m)を生成する。
【0055】
図6は、上記のような電圧発生器41のうち制御電圧Vcを生成する部分の構成を示す回路図である。以下、制御電圧Vcの発生手段としての電圧発生器41の構成を図6を参照して説明する。なお以下では、電圧発生器41の構成および動作については、制御電圧Vcを生成する部分についてのみ図示または説明し、他の制御電圧を生成する部分の構成および動作については、以下の説明から明かであるので図示および説明を省略する。また、電圧発生器41では、能動素子としてTFT(薄膜トランジスタ)が使用されており、以下においても、nチャネル形の薄膜トランジスタを「Nchトランジスタ」と略記し、pチャネル形の薄膜トランジスタを「Pchトランジスタ」と略記するものとする。
【0056】
この電圧発生器41は、分圧回路44と、比較回路45と、インバータ回路46と、電流供給回路47とからなり、比較回路45とインバータ回路46と電流供給回路47とによって電圧ホロワが構成されている。
【0057】
分圧回路44は、表示パネル上に形成される第1の抵抗素子としての内部抵抗R1と、第2の抵抗素子としての外付け抵抗R2と、NchトランジスタQ10,Q11と、コンデンサC5とを含む。そして、内部抵抗R1と、2個のNchトランジスタQ10,Q11と、外付け抵抗R2とは、電圧Vccを供給するための電源ラインVLccとグランド(接地ライン)との間に直列に接続されている。また、上記NchトランジスタQ10とQ11との接続点は、コンデンサC5の一端に接続されると共に、当該分圧回路44の出力端子Toに接続されており、コンデンサC5の他端は電源ラインVLccに接続されている。
【0058】
比較回路45は、PchトランジスタQ1,Q2およびNchトランジスタQ3を含む出力部と、PchトランジスタQ9、NchトランジスタQ4〜Q8、およびコンデンサC1〜C4を含む閾値補償回路とからなり、第1の入力端子T1に与えられる電圧と第2の入力端子T2に与えられる電圧とを比較して、その比較結果を示す電圧を出力する。具体的には、上記の出力部および閾値補償回路を構成する素子が以下のように接続されている。
【0059】
すなわち、電源ラインVLccとグランドとの間に、上記比較結果を示す電圧を出力するためのPchトランジスタQ1(第1のトランジスタ)と、スイッチング素子としてのPchトランジスタQ2と、上記比較結果を示す電圧を出力するためのNchトランジスタQ3(第2のトランジスタ)とが直列に接続されている。第1のトランジスタQ1と第2のトランジスタQ3とは、上記比較結果を示す電圧を出力するための出力部を構成するので、以下では、これらのトランジスタQ1,Q3を「比較出力用トランジスタ」ともいう。
【0060】
PchトランジスタQ1(第1のトランジスタ)のゲート端子と電源ラインVLccとの間にはコンデンサC1(第1のコンデンサ)が接続され、PchトランジスタQ1のゲート端子とドレイン端子の間にはスイッチング素子としてのNchトランジスタQ4(第1のスイッチング素子)が接続されている。さらに、PchトランジスタQ1のゲート端子にコンデンサC2(第2のコンデンサ)の一端が接続され、コンデンサC2の他端は、スイッチング素子としてのNchトランジスタQ8(第2のスイッチング素子)を介して当該比較回路45の第1の入力端子T1に接続されており、この第1の入力端子T1は、分圧回路44の出力端子Toを介してコンデンサC5の一端に接続されている。また、コンデンサC2(第2コンデンサ)の他端は、スイッチング素子としてのPchトランジスタQ9(第3のスイッチング素子)を介して当該比較回路45の第2の入力端子T2に接続されており、この第2の入力端子T2は、電流供給回路47の出力端子Toutに接続されている。
【0061】
本実施形態では特に好ましい例を示すために、更に、比較出力用トランジスタとしてのNchトランジスタQ3(第2のトランジスタ)が使用されており、そのゲート端子とグランドとの間にコンデンサC3(第3のコンデンサ)が接続され、そのゲート端子とドレイン端子との間にスイッチング素子としてのNchトランジスタQ5(第5のスイッチング素子)が接続されている。さらに、NchトランジスタQ3のゲート端子にコンデンサC4(第4のコンデンサ)の一端が接続され、コンデンサC4の他端は、コンデンサC2の上記他端と接続されている。
【0062】
また、NchトランジスタQ3(第2のトランジスタ)のドレイン端子とPchトランジスタQ1(第1のトランジスタ)のドレイン端子とは、スイッチング素子としてのPchトランジスタQ2(第4のスイッチング素子)を介して互いに接続されており、NchトランジスタQ3のドレイン端子が当該比較回路45の出力端となる。
【0063】
さらに、PchトランジスタQ1(第1のトランジスタ)のゲート端子は、スイッチング素子としてのNchトランジスタQ6を介してグランドに接続され、NchトランジスタQ3(第2のトランジスタ)のゲート端子は、スイッチング素子としてのNchトランジスタQ7を介して電源ラインVLccに接続されている。
【0064】
インバータ回路46は、ソース端子が電源ラインVLccに接続されたPchトランジスタQ12と、ソース端子がグランドに接続されたNchトランジスタQ13とを含む。これらのトランジスタQ12およびQ13のドレイン端子は互いに接続されており、その接続点は当該インバータ回路46の出力端となる。また、これらのトランジスタQ12およびQ13のゲート端子も互いに接続されており、その接続点は当該インバータ回路46の入力端となる。この入力端は、比較回路45における出力端すなわちNchトランジスタQ3のドレイン端子に接続されている。
【0065】
電流供給回路47は、PchトランジスタQ14〜16と、NchトランジスタQ17と、コンデンサC6とを含み、これらの素子は以下のように接続されて出力制御機能付きのインバータ回路を構成する。すなわち、電源ラインVLccとグランドとの間にPchトランジスタQ14,Q15,Q16とNchトランジスタQ17が順に直列に接続されている。PchトランジスタQ15とQ16との接続点は、コンデンサC6を介して電源ラインVLccに接続されると共に、当該電流供給回路47の出力端子Toutに接続されている。PchトランジスタQ14のゲート端子とNchトランジスタQ17のゲート端子とは互いに接続されて、当該電流供給回路47の入力端となり、この入力端は、インバータ回路46の出力端すなわちトランジスタQ12およびQ13のドレイン端子に接続されている。
【0066】
上記の比較回路45と、インバータ回路46と、電流供給回路47とは、電流供給回路47の出力端子Toutが比較回路45の第2の入力端子T2に接続されることで、既述のように電圧ホロワを構成する。
【0067】
上記のように構成された電圧発生器41を制御するための信号として、後述の制御信号Pc,Cc,Rcが、表示制御回路100から供給される。すなわち、スイッチング素子としてのトランジスタQ6およびQ7のゲート端子は、互いに接続されると共に、制御信号Pcを当該電圧発生器41に供給する信号線に接続される。また、スイッチング素子としてのトランジスタQ4,Q5,Q8,Q9,Q10,Q11のゲート端子は、互いに接続されると共に、制御信号Ccを当該電圧発生器41に供給する信号線に接続される。さらに、スイッチング素子としてのトランジスタQ2,Q15,Q16のゲート端子は、互いに接続されると共に、制御信号Rcを当該電圧発生器41に供給する信号線に接続される。
【0068】
また、上記のように構成された電圧発生器41は、外付けコンデンサC7を含み、電流供給回路47の出力端子Toutは、この外付けコンデンサC7を介してグランドに接続されている。
【0069】
<1.4 電圧発生器の動作>
上記構成の電圧発生器41に対し、図7に示すタイミングで変化する各制御信号Rc,Pc,Ccを入力することにより、比較回路45と、インバータ回路46と、電流供給回路47とからなる回路は電圧ホロワとして動作し、分圧回路44から比較回路45に与えられた電圧がインピーダンス変換されて電流供給回路47から出力される。以下、このような電圧発生器41の動作の詳細を説明する。
【0070】
まず、時刻0において、制御信号RcをHigh(GH)レベルとしてPchトランジスタQ2,Q15,Q16をOFF状態とする。このことにより、PchトランジスタQ1のドレイン端子とNchトランジスタQ3のドレイン端子との間の接続が断たれると共に、PchトランジスタQ14とNchトランジスタQ17の状態に依らず電流供給回路47の出力電流が0となる。
【0071】
次に、時刻t1において、制御信号CcがLow(GL)レベルの状態で、制御信号Pcを一時的にHigh(GH)レベルとして、NchトランジスタQ6,Q7をON状態とする。このことにより、PchトランジスタQ1のゲート端子の電位は接地電位(グランドの電位)となり、NchトランジスタQ3のゲート端子の電位は電源電位Vccとなる。このため、比較出力用トランジスタとしてのPchトランジスタQ1およびNchトランジスタQ3は共にON状態となる。
【0072】
次に、時刻3t1において、制御信号CcをHigh(GH)レベルとして、NchトランジスタQ4,Q5,Q8,Q10,Q11をON状態とする。このことにより、分圧回路44内では電源ラインVLccからグランドに向けて電流が流れ、抵抗R1,R2により分圧された電圧VinがコンデンサC5に保持される。また、この電圧Vinは、第1の入力端子T1から比較回路45に入力され、ON状態のNchトランジスタQ8を介して、コンデンサC2とC4との接続点(コンデンサC2,C4の他端)N1に与えられる(以下、上記電圧Vinを「入力電圧Vin」といい、上記接続点N1を「入力接続点N1」という)。
【0073】
その後、PchトランジスタQ1およびNchトランジスタQ3がOFF状態となるまで制御信号Cc,Pc,Rcのレベルをそのまま維持し、これらのトランジスタQ1,Q3がOFF状態となった後の時点5t1において、制御信号CcをLow(GL)レベルとする。この時点5t1において、PchトランジスタQ1のゲート端子とソース端子の間に接続されたコンデンサC1には、当該PchトランジスタQ1の閾値電圧に等しい電圧が保持され、入力接続点N1と当該PchトランジスタQ1のゲート端子との間に接続されたコンデンサC2には、入力電圧Vinと当該PchトランジスタQ1の閾値電圧との差に等しい電圧が保持されている。また、NchトランジスタQ3のゲート端子とソース端子の間に接続されたコンデンサC3には、当該NchトランジスタQ3の閾値電圧に等しい電圧が保持され、入力接続点N1と当該NchトランジスタQ3のゲート端子との間に接続されたコンデンサC4には、入力電圧Vinと当該NchトランジスタQ3の閾値電圧との差に等しい電圧が保持されている。したがって、各トランジスタ(TFT)の閾値電圧のばらつきに依らず、比較出力用トランジスタとしてのPchトランジスタQ1は、入力接続点N1の電圧が入力電圧Vin以上のときにOFF状態、入力接続点N1の電圧が入力電圧Vinよりも小さいときにON状態となり、一方、比較出力用トランジスタとしてのNchトランジスタQ3は、入力接続点N1の電圧が入力電圧Vinよりも大きいときにON状態、入力接続点N1の電圧が入力電圧Vin以下のときにOFF状態となる。これは、コンデンサC1およびC2への充電によってPchトランジスタQ1の閾値電圧が補償され、コンデンサC3およびC4への充電によってNchトランジスタQ3の閾値電圧が補償されたことを意味する。
【0074】
上記のように時刻5t1において制御信号CcをLow(GL)レベルとすると、NchトランジスタQ4,Q5,Q8,Q10,Q11がOFF状態になると同時に、PchトランジスタQ9がON状態となり、入力接続点N1(コンデンサC2とC4との接続点)に電流供給回路47の出力電圧Vcが印加される。このことにより、出力電圧Vcと電圧Vinとの大小関係と、PchトランジスタQ1およびNchトランジスタQ3のオン/OFF状態とは、以下のように対応づけられる。
【0075】
【表2】

【0076】
そして、時刻6t1において、制御信号RcをLow(GL)レベルとしてPchトランジスタQ2,Q15,Q16をON状態とする。これにより、比較回路45とインバータ回路46と電流供給回路47とは、以下に説明するように、電流供給回路47の出力電圧Vcが分圧回路44からの入力電圧Vinに等しくなるよう動作する。
【0077】
図8は、以上の期間につきPchトランジスタQ1のゲート電位VgpとNchトランジスタQ3のゲート電位Vgnの変化を以下の条件でシミュレーションした結果を示す波形図である。
【0078】
【表3】

【0079】
図8において、電圧Vgp(1)、Vgp(2)の波形は、それぞれ、上記条件(1)、(2)でのPchトランジスタQ1のゲート電位Vgpの変化についてのシミュレーション結果を示しており、電圧Vgn(1)、Vgn(2)の波形は、それぞれ、上記条件(1)、(2)でのNchトランジスタQ3のゲート電位Vgnの変化についてのシミュレーション結果を示している。
【0080】
図8に示されているゲート電位Vgp(1),Vgp(2),Vgn(1),Vgn(2)の波形を見れば判るように、制御信号CcがLow(GL)レベルとなったとき、PchトランジスタQ1のゲート電位VgpとNchトランジスタQ3のゲート電位Vgnが、それぞれの閾値電圧に対応した電圧となっていることが判る。このことより、制御信号CcがLow(GL)レベルとなった時点以降において、比較回路45の出力電圧Vdnは、各トランジスタ(TFT)の閾値電圧のばらつきに依らず、表2に示したように、電流供給回路47の出力電圧Vcと分圧回路44からの入力電圧Vinとの大小関係で決定される。
【0081】
比較回路45の出力電圧Vdnは、インバータ回路46で反転されて電流供給回路47の入力端、すなわちPchトランジスタQ14のゲート端子とNchトランジスタQ17のゲート端子との接続点に入力される。したがって、PchトランジスタQ14およびNchトランジスタQ17のON/OFF状態は、電流供給回路47の出力電圧Vcと分圧回路44からの入力電圧Vinとの大小関係に応じて以下のように設定される。
【0082】
【表4】

【0083】
このように、本実施形態における電圧発生器41では、電流供給回路47の出力電圧Vcが分圧回路44からの入力電圧Vinより小さくなると、PchトランジスタQ14がON状態となり、その出力電圧Vcを上昇させる。一方、電流供給回路47の出力電圧Vcが分圧回路44からの入力電圧Vinより大きくなると、NchトランジスタQ17がONとなり、その出力電圧Vcを下降させる。この結果、電流供給回路47の出力電圧Vcは分圧回路44からの入力電圧Vinと等しくなるよう制御される。これは、比較回路45とインバータ回路46と電流供給回路47とからなる回路が電圧ホロワとして動作することを意味している。
【0084】
この動作は電圧発生器41を構成するトランジスタ(TFT)の閾値電圧に依らないので、外付け抵抗R2の値を変更するだけで所望の電位を発生させることができる。そこで、この点について確認するためのシミュレーションの結果を以下に説明する。
【0085】
図9は、図6に示した回路構成でPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最良の条件(移動度最大、閾値最小)に設定して、比較回路45の出力電圧Vdn、PchトランジスタQ14のソース・ドレイン間電流Ip、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電流供給回路47の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。このシミュレーション結果によれば、外付けコンデンサC7の容量値により出力電圧Vcの安定度は異なるが、C7=1[μF]として、内部抵抗R1=100[kΩ]、外付け抵抗R2=1[MΩ]、電源電圧Vcc=8[V]の条件で出力電圧Vcのばらつきを調べると、Vc=7.04〜7.16[V]であった。なお、このときの電圧発生器41の負荷は出力端子Toutとグランド(GND)との間に接続された抵抗である。
【0086】
一方、図10は、図6に示した回路構成でPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最悪の条件(移動度最小、閾値最大)に設定して、比較回路45の出力電圧Vdn、PchトランジスタQ14のソース・ドレイン間電流Ip、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電流供給回路47の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。このシミュレーション結果によれば、外付けコンデンサC7、内部抵抗R1、外付け抵抗R2、電源電圧Vccにつき上記と同様の条件で出力電圧Vcのばらつきを調べると、Vc=7.24〜7.26[V]であった。
【0087】
上記2つのシミュレーションではPchトランジスタやNchトランジスタの閾値電圧のばらつきを2[V]程度に設定しているが、その条件で出力電圧Vcに0.1[V]程度の違いしか現れないので、電圧発生手段の出力電圧としては十分均一な電圧が得られたと言える。
【0088】
このように、本実施形態における電圧発生器41によれば、閾値電圧のばらつきが大きな薄膜トランジスタ(TFT)を用いた構成であっても、外付け抵抗R2で決まる制御電圧が得られるので、パネル毎に出力電圧を調整する為の手間が省け、その分だけコストを低減することができる。また、外付け抵抗R2の値を変えることで素子特性の改善に柔軟に対応できるので、電圧発生器41を用いた表示装置の納期の短縮化や低コスト化を図ることができる。
【0089】
なお、図6の比較回路45では各トランジスタのゲート端子に浮遊容量等があるので、コンデンサC1,C3は必ずしも必要ではない。
【0090】
<2.第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、図9や図10のシミュレーション結果に示すように、制御信号RcがLow(GL)レベルの間、PchトランジスタQ14またはNchトランジスタQ17の何れかに電流が流れている。このため、図6に示した構成の電圧発生器41(制御電圧Vcの発生手段)から第2のゲートドライバ回路38への電流供給により、電流供給回路47内を無駄に流れる電流が多いという課題がある。これに対し、電圧発生器41の負荷の性質を調べ、その負荷が電源電圧Vcc側に電圧を引っ張る負荷か、接地電位(グランドの電位GND)側に電圧を引っ張る負荷かが特定できるのであれば、上記課題を解決することができる。
【0091】
例えば、図2に示した上記第1の実施形態における表示パネル300に含まれるアナログスイッチ回路40は、図3に示すように、その出力電圧を電源電圧Vccと電圧発生器41からの制御電圧Vcとの間で切り替えて電位配線ULiに供給し、電位配線ULiに繋がる電源は他に存在しない。したがって、電圧発生器41の出力が引っ張られる方向は電源電圧Vcc側と特定することができる。そこで、図6に示した電流供給回路47から、PchトランジスタQ14,Q15を除去し、図11に示すような電流供給回路47bを用いることができる。以下、この電流供給回路47bを用いた図11に示す電圧発生器41bを備える表示装置を、本発明の第2の実施形態に係る表示装置として説明する。ただし、本実施形態における電圧発生器41b以外の構成は上記第1の実施形態と実質的に同様であるので詳しい説明を省略し、以下では、電圧発生器41bの構成および動作を中心に説明する。また、本実施形態における電圧発生器41bの構成のうち上記第1の実施形態における電圧発生器41の構成と同一の部分には同一の参照符号を付すものとする。
【0092】
本実施形態における電圧発生器41bでは、図11に示すように、比較回路45において、NchトランジスタQ3のドレイン端子に代えてPchトランジスタQ1のドレイン端子が出力端となり、当該PchトランジスタQ1のドレイン端子が、インバータ回路46におけるPchトランジスタQ12およびNchトランジスタQ13のゲート端子に接続される。この点以外については、本実施形態における電圧発生器41bの分圧回路44、比較回路45、およびインバータ回路46の内部構成は上記第1の実施形態と同様である(外付けコンデンサC7および外付け抵抗R2の接続も同様)。また、本実施形態における電圧発生器41bに入力される制御信号Rc,Pc,Ccも、上記第1の実施形態と同様、図7に示すタイミングで変化する。
【0093】
上記のように比較回路45においてPchトランジスタQ1のドレイン端子を出力端とするのは、分圧回路44で得られる電圧Vinを比較回路45に入力し、その比較回路45におけるPchトランジスタQ1およびNchトランジスタQ3の閾値電圧を補償すべくコンデンサC1,C2,C3,C4を充電するための期間(第1の所定期間)の終了直後すなわち図7に示す時刻5t1の直後に、比較回路45からの出力電圧がNchトランジスタQ17をOFF状態とするよう設定すべきだからである。NchトランジスタQ17をOFF状態とするためには、そのゲート端子に接地ライン側(GND側)の電位を与える必要があり、比較回路45からの出力は、インバータ回路46で反転されることを考慮すると、電源電圧Vcc側としなければならない。したがって、比較回路45の出力端としては、NchトランジスタQ3のドレイン端子は好ましくなく、PchトランジスタQ1のドレイン端子が好ましい。
【0094】
図12は、図11に示した回路構成でPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最良の条件(移動度最大、閾値最小)に設定して、比較回路45のNchトランジスタQ3のドレイン電圧Vdn、電流供給回路47bのNchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電流供給回路47bの出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。このシミュレーションにおける外付けコンデンサC7の容量値や、外付け抵抗の値、電源電圧Vcc等の条件は、図9に示した結果を得るためのシミュレーションでの条件と同一である。図12に示した本シミュレーション結果によれば、図9のシミュレーション結果と比べ、電流供給回路47bを流れる電流(NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In)が減少していることが判る。すなわち、図12に示すように電流Inが流れるのは、1msに1回程度であり、図9のシミュレーション結果において電流Ip,Inが0.2ms毎に流れていたことに比べ、格段に少なくなっている。また、上記条件で出力電圧Vcのばらつきを調べると、Vc=7.25〜7.31[V]であった。
【0095】
一方、図13は、図11に示した回路構成でPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最悪の条件(移動度最小、閾値最大)に設定して、比較回路45のNchトランジスタQ3のドレイン電圧Vdn、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電流供給回路47bの出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。このシミュレーションにおける外付けコンデンサC7の容量値や、外付け抵抗の値、電源電圧Vcc等の条件は、図10に示した結果を得るためのシミュレーションでの条件と同一である。図13に示した本シミュレーション結果によれば、図10のシミュレーション結果と比べ、電流供給回路47bを流れる電流(NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In)が減少していることが判る。すなわち、図13に示すように電流Inが流れるのは、1msに1回程度であり、図10のシミュレーション結果において電流Ip,Inが0.2ms毎に流れていたことに比べ、格段に少なくなっている。また、上記条件で出力電圧Vcのばらつきを調べると、Vc=7.25〜7.26[V]であった。
【0096】
上記2つのシミュレーションではPchトランジスタやNchトランジスタの閾値電圧のばらつきを2[V]程度に設定しているが、その条件で出力電圧Vcに0.05[V]程度の違いしか現れないので、電圧発生手段の出力電圧としては十分均一な電圧が得られると言える。
【0097】
このように、本実施形態における電圧発生器41bによれば、第1の実施形態と同様、閾値電圧のばらつきが大きな薄膜トランジスタ(TFT)を用いた構成であっても、外付け抵抗R2で決まる制御電圧が得られるので、パネル毎に出力電圧を調整する為の手間が省け、その分だけコストを低減することができる。しかも、本実施形態によれば、電圧発生器41bを構成する電流供給回路において、出力電圧Vcを保つために必要な電流しか流れないので、第1の実施形態よりも消費電力を低減することができる。
【0098】
<3.変形例>
<3.1 第1の変形例>
上記第1および第2の実施形態における画素回路として図3に示した画素回路は、白黒画像表示用の構成となっている。これに対し、カラー画像表示を行うためには、図3に示した構成の画素回路に代えて、図14に示す構成の画素回路を使用すればよい。以下、図14を参照しつつ、カラー画像表示を行うための画素回路の構成について説明する。なお、以下では、カラー画像表示を行うためのこのような画素回路の構成のうち図3に示した画素回路の構成と同一または対応する部分には同一の参照符号を付して詳しい説明を省略する(以下に述べる他の変形例においても同様)。
【0099】
図14は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に基づくカラー画像表示を行うための画素回路の構成を示しており、ここでは、赤色用の画素回路であるR画素回路Ar(i,j)と緑色用の画素回路であるG画素回路Ag(i,j)と青色用の画素回路であるB画素回路Ab(i,j)とからなる隣接3画素回路がカラー画像表示のための単位として表示パネルが構成される。このような構成でカラー画像を表示する場合、図14に示すように、駆動用トランジスタQ21から出力すべき電流値がRGB各色で異なるので、白黒表示の場合の電位配線ULiに代えて、RGBの各色にそれぞれ対応する3本の電位配線ULri,ULgi,ULbiが必要となる。
【0100】
一方、駆動用トランジスタQ21のゲート端子と電位配線ULri,ULgi,ULbiのいずれかとの間に接続されるべきコンデンサC11の一方の電極を当該コンデンサC11の一端に接続されるべき電位配線Uxi(x=r、g、b)で形成すれば、電位配線領域にコンデンサC11を作り込めるので、画素回路の面積を小さくすることができる。そこで、RGB3色にそれぞれ対応した隣接3画素回路を単位とする構成で各画素回路の面積を縮小すべく、コンデンサC11の一方の電極を電位配線Uxiで形成する場合、これら隣接3画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)は、図15に示すような回路構成となる。すなわち、各画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)において、コンデンサC11に相当するコンデンサとして、2個のコンデンサCaと1個のコンデンサCaが形成される。
【0101】
この場合、図16に示すように、電位配線ULriの幅をR画素回路Ar(i,j)の領域で太くし、電位配線ULgiの幅をG画素回路Ag(i,j)の領域で太くし、電位配線ULbiの幅をB画素回路Ab(i,j)の領域で太くし、それらの電位配線ULri,ULgi,ULbiとそれらの画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)内のシリコン電極Sr(i,j),Sg(i,j),Sb(i,j)との間に、コンデンサC11に相当するコンデンサCa,Cbを形成する。例えばR画素回路Ar(i,j)では、電位配線ULbiとシリコン電極Sr(i,j)との間、および、電位配線ULgiとシリコン電極Sr(i,j)の間にコンデンサCaを形成し、電位配線ULriとシリコン電極Sr(i,j)との間にコンデンサCbを形成する。
【0102】
このようにコンデンサCa,Cbを形成する場合でも、画素A(i,j)の駆動用トランジスタQ21の閾値電圧に対応してそのゲート電位が設定される期間である図4に示した時刻8t1〜28t1の期間(以下「閾値補正期間」という)において、電位配線ULbi,ULgi,ULriに電位Vccを与え、その後、これらの電位配線ULbi,ULgi,ULriのそれぞれに適切な電位を与えることにより、RGBにそれぞれ対応する画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)の駆動用トランジスタQ21の出力電流を所望の電流値に設定することができる。ここで、上記閾値補正期間後に電位配線ULbi,ULgi,ULriにそれぞれ与えるべき上記適切な電位をそれぞれVcc−V1,Vcc−V2,Vcc−V3とおき、上記閾値補正期間後の上記画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)における駆動用トランジスタQ21のゲート電位の変化量を、それぞれ、Vr,Vg,Vbとすると、次の関係が成立する。なお以下では、コンデンサを示す参照符号“Ca”,“Cb”は、それらのコンデンサの容量値をも示すものとする。
Ca(−V1+Vr)+Ca(−V2+Vr)+Cb(−V3+Vr)=0
Ca(−V1+Vg)+Cb(−V2+Vg)+Ca(−V3+Vg)=0
Cb(−V1+Vb)+Ca(−V2+Vb)+Ca(−V3+Vb)=0
したがって、
(2Ca+Cb)Vr=Ca(V1+V2)+Cb・V3
(2Ca+Cb)Vg=Ca(V1+V3)+Cb・V2
(2Ca+Cb)Vb=Ca(V2+V3)+Cb・V1
となる。上記式より、上記電圧V1,V2,V3を調整することで、より高精細化可能な画素回路構成でRGBの各画素についての駆動用トランジスタQ21の出力電流を決める電圧Vr,Vg,Vbを調整することができる。
【0103】
<3.2 第2の変形例>
予めRGBの各画素について駆動用トランジスタQ21のゲート電位の変化量Vr、Vg、Vbが決まっていれば、図14の画素回路において電位配線と駆動用トランジスタQ21のゲート端子との間に接続されるコンデンサC11に相当するコンデンサの面積比を変えることで、電位配線ULri,ULgi,ULbiを一本化することができる。例えば、上記コンデンサC11に相当するコンデンサCr1およびCr2と、Cg1およびCg2と、Cb1およびCb2とを図17に示すように形成して、電位配線ULiを1本化することができる。すなわち、R画素回路Ar(i,j)においてコンデンサCr1を電位配線ULi側に、コンデンサCr2を電源配線VLpr側に形成し、G画素回路Ag(i,j)においてコンデンサCg1を電位配線ULi側に、コンデンサCg2を電源配線VLpg側に形成し、B画素回路Ab(i,j)においてコンデンサCb1を電位配線ULi側に、コンデンサCb2を電源配線VLpb側に形成する。この場合、上記閾値補正期間後に電位配線ULiに与えるべき電位をVcc−V1とし(すなわち上記閾値補正期間後の電位配線ULiの電位変化量をV1とし)、上記画素回路Ar(i,j),Ag(i,j),Ab(i,j)における駆動用トランジスタQ21のゲート電位の変化量を、それぞれ、Vr,Vg,Vbとすると、次の関係が成立する。なお以下では、コンデンサを示す参照符号“Cx1”,“Cx2”(x=r,g,b)は、それらのコンデンサの容量値をも示すものとする。
Cr1(−V1+Vr)+Cr2・Vr=0
Cg1(−V1+Vg)+Cg2・Vg=0
Cb1(−V1+Vb)+Cb2・Vb=0
上記の関係式より、下記の式を満たすようにコンデンサCx1とCx2との面積比(x=r,g,b)を設定すればよい。
Cr2/Cr1=Vr/(V1−Vr)
Cg2/Cg1=Vg/(V1−Vg)
Cb2/Cb1=Vb/(V1−Vb)
【0104】
<3.3 第3の変形例>
図14に示した構成の画素回路におけるコンデンサC11の一方の電極を、図18および図19に示すように電源配線と電位配線とで形成してもよい。すなわち、R画素回路Ar(i,j)ではコンデンサC11の一方の電極を電源配線VLprと電位配線ULriで形成し、G画素回路Ag(i,j)ではコンデンサC11の一方の電極を電源配線VLpgと電位配線ULriと電位配線ULgiで形成し、B画素回路Ab(i,j)ではコンデンサC11の一方の電極を電源配線VLpbと電位配線ULriと電位配線ULgiと電位配線ULbiで形成してもよい。これにより、図18に示すように、R画素回路Ar(i,j)では、コンデンサC11に相当するコンデンサとして、駆動用トランジスタQ21のゲート端子と電位配線ULriとの間にコンデンサCaが形成され、当該ゲート端子と電源配線VLprとの間にコンデンサCbが形成される。また、G画素回路Ag(i,j)では、コンデンサC11に相当するコンデンサとして、駆動用トランジスタQ21のゲート端子と電位配線ULriおよびULgiとの間にコンデンサCaがそれぞれ形成され、当該ゲート端子と電源配線VLpgとの間にコンデンサCbが形成される。そして、B画素回路Ab(i,j)では、コンデンサC11に相当するコンデンサとして、駆動用トランジスタQ21のゲート端子と電位配線ULri、ULgiおよびULbiとの間にコンデンサCaそれぞれ形成され、当該ゲート端子と電源配線VLpbとの間にコンデンサCbが形成される。
【0105】
上記のような構成の場合、最初に電位配線ULriの電位を調整し、R画素の輝度を合わせる。次に、電位配線ULgiの電位を調整し、G画素の輝度を合わせる。最後に、電位配線ULbiの電位を調整し、B画素の輝度を合わせる。このようにすれば、簡単にRGB各画素の輝度を調整することができる。
【0106】
さらに、上記のような構成の場合、電源配線VLpr,VLpg,VLpbを電位配線ULri,ULgi,ULbiと並行に配線することができる(図19参照)。このようにすれば、隣り合う画素の電源配線VLpで電位が平均化されて、クロストーク等が防止されると共に、表示輝度が安定化される。
【0107】
<3.4 変形例における電圧発生器>
上記第1〜第3の変形例の画素回路に電位配線ULiまたは電位配線ULri,ULgi,ULbiを介して与えられる電圧である電位信号Uiまたは電位信号Uri,Ugi,Ubiを発生するための電圧発生手段として、図6や図11に示した構成の電圧発生器41,41bを使用することにより、外付けのオペアンプを使用することなく、必要な電圧を得ることができる。このようにして、上記第1または第2の実施形態における電圧発生器41,41bと図14や図15等に示した構成の画素回路を使用することにより、表示装置の表示品位を改善することができる。
【0108】
<3.5 他の変形例>
上記第1および第2の実施形態では、駆動用トランジスタや、比較出力用トランジスタ、スイッチング素子用のトランジスタ等の能動素子としてTFT(薄膜トランジスタ)が使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、TFT以外の電界効果トランジスタを使用してもよい。ただし、TFTを使用した場合には、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルにおける画素回路と駆動回路および電圧発生器とを、当該表示パネルを構成するガラス基板等の絶縁性基板に一体的に形成することができるので、表示装置における部品点数の削減やコストの低減等の点で有利である。
【0109】
また、上記第1および第2の実施形態において、電圧発生器41,41bを構成する比較回路45や、インバータ回路46、電流供給回路47は、PchトランジスタとNchトランジスタとを対に使用する相補形の構成となっているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記の比較回路45や、インバータ回路46、電流供給回路47の一部または全部を、PchトランジスタとNchトランジスタのいずれか一方が使用される回路構成としてもよい。例えば、比較回路45の出力部においてNchトランジスタQ3とそれに関連する(C3,C4,Q5,Q7)を削除する場合には、PchトランジスタQ2とグランドとの間に抵抗または抵抗に相当する負荷トランジスタを接続する構成とすればよい。
【0110】
なお、上記第1および第2の実施形態における電圧ホロワは、電圧発生器41,41bの構成要素として使用されるだけでなく、他の用途にも使用可能であり、例えば、液晶表示装置におけるソースドライバの出力バッファとしても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】上記第1の実施形態における表示パネルの構成を示すブロック図である。
【図3】上記第1の実施形態における画素回路および第2のゲートドライバ回路の構成を示す回路図である。
【図4】図3に示した画素回路の動作タイミングを示す波形図である。
【図5】図3に示した画素回路における駆動用TFTのゲート電位Vg、ドレイン電位Vdおよびソース・ドレイン間電流Idsの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図6】上記第1の実施形態における電圧発生器(制御電圧Vcを生成する部分)の構成を示す回路図である。
【図7】図6に示した電圧発生器の動作タイミングを示す波形図である。
【図8】図6に示した電圧発生器におけるPchトランジスタQ1のゲート電位VgpおよびNchトランジスタQ3のゲート電位Vgnの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図9】図6に示した電圧発生器におけるPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最良の条件(移動度最大、閾値最小)に設定して、PchトランジスタQ14のソース・ドレイン間電流Ip、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電圧発生器の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図10】図6に示した電圧発生器におけるPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最悪の条件(移動度最小、閾値最大)に設定して、PchトランジスタQ14のソース・ドレイン間電流Ip、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電圧発生器の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る表示装置における電圧発生器の構成を示す回路図である。
【図12】図11に示した電圧発生器におけるPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最良の条件(移動度最大、閾値最小)に設定して、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電圧発生器の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図13】図11に示した電圧発生器におけるPchトランジスタとNchトランジスタの閾値・移動度を最悪の条件(移動度最小、閾値最大)に設定して、NchトランジスタQ17のソース・ドレイン間電流In、および電圧発生器の出力電圧Vcの変化をシミュレーションした結果を示す波形図である。
【図14】上記第1および第2の実施形態における画素回路の第1の変形例であるカラー画像表示用の画素回路の構成を示す回路図である。
【図15】上記第1および第2の実施形態における画素回路の第2の変形例であるカラー画像表示用の画素回路の構成を示す回路図である。
【図16】図15に示した第2の変形例に係る画素回路におけるコンデンサの構成を示すレイアウト図である。
【図17】上記第1および第2の実施形態における画素回路の第3の変形例であるカラー画像表示用の画素回路の構成を示す回路図である。
【図18】上記第1および第2の実施形態における画素回路の第4の変形例であるカラー画像表示用の画素回路の構成を示す回路図である。
【図19】図18に示した画素回路のためのコンデンサの構成を示すレイアウト図である。
【図20】従来の表示装置で用いられている電圧発生器としての駆動電圧供給回路の構成例を示す回路図である。
【図21】図20に示した駆動電圧供給回路で使用されるオペアンプの構成例を示す回路図である。
【図22】液晶表示装置のデータドライバにおいて使用される従来の電圧ホロワの構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0112】
31 …表示部
32 …ソースドライバ回路
33 …第1のゲートドライバ回路
38 …第2のゲートドライバ回路
34,39 …シフトレジスタ回路
35 …レジスタ回路
36 …ラッチ
37,40 …アナログスイッチ回路
41,41b…電圧発生器
44 …分圧回路
45 …比較回路
46 …インバータ
47,47v…電流供給回路
100 …表示制御回路
300 …表示パネル
500 …電源回路
A(i,j)…画素回路(i=1〜m、j=1〜n)
SLj …ソース配線(j=1〜n)
GLi …ゲート配線(i=1〜m)
PLi …制御配線(i=1〜m)
VLp …電源配線
ULi …電位配線(i=1〜m)
T1 …第1の入力端子
T2 …第2の入力端子
Tout …出力端子
Q1 …Pchトランジスタ(第1のトランジスタ)
Q2 …Pchトランジスタ(第4のスイッチング素子)
Q3 …Nchトランジスタ(第2のトランジスタ)
Q4 …Nchトランジスタ(第1のスイッチング素子)
Q5 …Nchトランジスタ(第5のスイッチング素子)
Q6 …Nchトランジスタ(スイッチング素子)
Q7 …Nchトランジスタ(スイッチング素子)
Q8 …Nchトランジスタ(第2のスイッチング素子)
Q9 …Pchトランジスタ(第3のスイッチング素子)
C1,C3 …コンデンサ(ゲート・ソース間コンデンサ)
C2,C4 …コンデンサ(入力用コンデンサ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の入力端子と当該第2の入力端子に接続された出力端子とを有し、当該第1の入力端子に与えられる電圧に略等しい電圧を当該出力端子から出力する電圧ホロワであって、
前記第1の入力端子に与えられる第1の入力電圧と前記第2の入力端子に与えられる第2の入力電圧とを比較する比較回路と、
前記出力端子から電流を供給する電流供給回路とを備え、
前記比較回路は、
前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧とを比較する電界効果トランジスタと、
前記電界効果トランジスタの閾値電圧を補償する閾値補償回路とを含み、
前記電流供給回路は、前記比較回路の出力電圧に基づき、前記第2の入力電圧が前記第1の入力電圧よりも高いときには前記出力端子の電圧を低下させ、前記第2の入力電圧が前記第1の入力電圧よりも低いときには前記出力端子の電圧を上昇させることを特徴とする、電圧ホロワ。
【請求項2】
前記比較回路は、前記電界効果トランジスタとして第1のトランジスタを含み、
前記閾値補償回路は、
前記第1のトランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続された第1のコンデンサと、
前記第1のトランジスタのゲート端子に一端が接続された第2のコンデンサと、
前記第1のトランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に接続された第1のスイッチング素子と、
前記第2のコンデンサの他端と前記第1の入力端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と連動してオン/オフする第2のスイッチング素子と、
前記第2のコンデンサの他端と前記第2の入力端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と相反的にオン/オフする第3のスイッチング素子と
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の電圧ホロワ。
【請求項3】
前記比較回路は、
前記第1のトランジスタとチャネル形の異なる前記電界効果トランジスタとしての第2のトランジスタと、
前記第1のトランジスタのドレイン端子と前記第2のトランジスタのドレイン端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子がオンしているときにオフ状態となる第4のスイッチング素子とを更に含み
前記閾値補償回路は、
前記第2のトランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続された第3のコンデンサと、
前記第2のトランジスタのゲート端子と前記第2のコンデンサの前記他端との間に接続された第4のコンデンサと
前記第2のトランジスタのゲート端子とドレイン端子との間に接続され、前記第1のスイッチング素子と連動してオン/オフする第5のスイッチング素子と
を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載の電圧ホロワ。
【請求項4】
前記電流供給回路は、前記出力端子から電流を供給するための電界効果トランジスタである第3のトランジスタを含むことを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の電圧ホロワ。
【請求項5】
前記電流供給回路は、前記第3のトランジスタとチャネル形の異なる電界効果トランジスタであって前記第3のトランジスタと共にインバータ回路を構成する第4のトランジスタを更に含むことを特徴とする、請求項4に記載の電圧ホロワ。
【請求項6】
前記第1乃至第4のトランジスタおよび前記第1乃至第5のスイッチング素子は薄膜トランジスタであることを特徴とする、請求項5に記載の電圧ホロワ。
【請求項7】
前記閾値補償回路は、
前記電界効果トランジスタのゲート端子とソース端子との間に接続されたゲート・ソース間コンデンサと、前記電界効果トランジスタのゲート端子に一端が接続された入力用コンデンサとを含み、
第1の所定期間に、前記ゲート・ソース間コンデンサを前記電界効果トランジスタの閾値電圧に等しい電圧に充電すると共に前記入力用コンデンサを前記第1の入力電圧と前記電界効果トランジスタの閾値電圧との差に等しい電圧に充電し、
前記第1の所定期間後の第2の所定期間に、前記第2の入力電圧を前記入力用コンデンサの他端に与え、
前記電界効果トランジスタは、前記第1の入力電圧と前記第2の入力電圧との比較結果を示す電圧を前記第2の所定期間に出力することを特徴とする、請求項1に記載の電圧ホロワ。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の電圧ホロワを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項9】
電圧発生器を備えた表示装置であって、
前記電圧発生器は、
請求項1から7までのいずれか1項に記載の電圧ホロワと、
前記第1の入力電圧を生成する分圧回路と
を含むことを特徴とする表示装置。
【請求項10】
前記分圧回路は、前記第1の入力電圧を決定する第1および第2の抵抗素子を含むことを特徴とする、請求項9に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−133444(P2006−133444A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321599(P2004−321599)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】