説明

電圧変換装置

【課題】DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサやDC−DCコンバータのリアクトルの過熱を防止する。
【解決手段】ステップS201でDC−DCコンバータの冷却を行う冷却液の温度Twが設定温度T1以下の場合は、ステップS202でフラグF1の値が0に設定され、パワートランジスタの温度Ttに基づいて基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhまたは低キャリア周波数flに設定される。一方、ステップS201で冷却液の温度Twが設定温度T1を超えた場合は、ステップS203でフラグF1の値が1に設定され、パワートランジスタの温度Ttに関係なく基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに設定され、低キャリア周波数flの使用が禁止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力する電圧変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電圧変換装置の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1による電圧変換装置は、二次電池(直流電源)からの直流電力をトランジスタのスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータであり、DC−DCコンバータ周辺の温度に応じてトランジスタに印加するパルスの周期を変更している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−8441号公報
【特許文献2】特開平11−69836号公報
【特許文献3】特開2000−350448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうしたDC−DCコンバータでは、その入力側にコンデンサ(フィルタ用コンデンサ)が直流電源(二次電池)と並列に設けられる場合がある。DC−DCコンバータのトランジスタのスイッチング動作時には、リアクトルを流れる電流にリプル成分が生じるが、フィルタ用コンデンサを直流電源と並列に設けることで、リアクトルを流れる電流は、直流電源の電流(直流成分)にフィルタ用コンデンサの電流(リプル成分)が重畳されたものとなる。これによって、直流電源の電流変動が抑制される。
【0005】
また、こうしたDC−DCコンバータでは、スイッチング素子のスイッチング動作時にスイッチング素子が発熱し、スイッチング周波数が高いほどスイッチング素子の発熱量が増大する。そこで、スイッチング素子(トランジスタ)の過熱を防止するために、スイッチング素子のスイッチング周波数(キャリア周波数)を変更することが行われている。例えば、スイッチング素子の温度が所定温度よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング周波数を下げることで、スイッチング素子の温度上昇が抑制される。
【0006】
しかし、スイッチング素子のスイッチング周波数を下げると、スイッチング素子の温度上昇は抑制されるものの、リアクトルを流れる電流のリプル成分が増大するため、リアクトルのリプル電流による温度上昇幅が増大して過熱を招きやすくなる。さらに、フィルタ用コンデンサが直流電源と並列に設けられている場合は、スイッチング素子のスイッチング周波数を下げると、フィルタ用コンデンサを流れるリプル電流も増大し、フィルタ用コンデンサのリプル電流による温度上昇幅が増大して過熱を招きやすくなる。このように、DC−DCコンバータにおいては、スイッチング素子の温度上昇特性と、リアクトルやフィルタ用コンデンサの温度上昇特性とが、スイッチング周波数の変化に対して逆の特性となる。そのため、スイッチング素子の温度に応じてスイッチング素子のスイッチング周波数を変更してスイッチング素子の過熱を抑制しても、フィルタ用コンデンサやリアクトルの過熱を防止することはできていない。
【0007】
本発明は、DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサやDC−DCコンバータのリアクトルの過熱を防止することができる電圧変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電圧変換装置は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0009】
本発明に係る電圧変換装置は、直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、を備える電圧変換装置であって、冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、該冷媒の温度とスイッチング素子の温度との両方に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を設定するスイッチング周波数設定部と、該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、を備えることを要旨とする。
【0010】
本発明の一態様では、スイッチング周波数設定部は、スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定し、さらに、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T1よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング周波数を、スイッチング素子の温度に関係なく前記第1の周波数に設定することが好適である。
【0011】
本発明の一態様では、スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T2(T2>T1)よりも高い場合は、該冷媒の温度が設定温度T2以下の場合よりもDC−DCコンバータの電圧変換比を下げるようにスイッチング素子のスイッチング動作を制御することが好適である。この態様では、スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3(T3>T2)よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止することが好適である。
【0012】
本発明の一態様では、スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3(T3>T1)よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止することが好適である。
【0013】
本発明の一態様では、スイッチング素子の温度から決まるスイッチング周波数設定特性と冷媒の温度から決まるスイッチング周波数設定特性とが異なる特性であることが好適である。
【0014】
また、本発明に係る電圧変換装置は、直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、を備える電圧変換装置であって、スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定するスイッチング周波数設定部と、該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、を備え、スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T2よりも高い場合は、該冷媒の温度が設定温度T2以下の場合よりもDC−DCコンバータの電圧変換比を下げるようにスイッチング素子のスイッチング動作を制御することを要旨とする。
【0015】
また、本発明に係る電圧変換装置は、直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、を備える電圧変換装置であって、スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定するスイッチング周波数設定部と、該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、を備え、スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止することを要旨とする。
【0016】
本発明の一態様では、冷却部は、冷媒によりリアクトルとコンデンサのいずれかの冷却を行うことが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサやDC−DCコンバータのリアクトルの過熱を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る電圧変換装置を備える電動機駆動システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る電動機駆動システムは、例えば車両の駆動システムに用いることができ、図示するように、充放電可能な直流電源としての二次電池31と、二次電池31からの直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータ32と、DC−DCコンバータ32の入力側に設けられたフィルタ用コンデンサC1と、DC−DCコンバータ32からの直流電力を交流に変換して出力するインバータ34,36と、インバータ34,36の入力側(DC−DCコンバータ32の出力側)に設けられた平滑用コンデンサC2と、インバータ34,36からの交流電力を受けて回転駆動可能なモータジェネレータ38,39と、装置全体をコントロールする電子制御ユニット40とを備える。
【0020】
DC−DCコンバータ32は、インバータ34,36の正側ラインPLと負側ラインSLに対してソース側とシンク側となるように直列接続された2個のパワートランジスタ(スイッチング素子)Q1,Q2と、このパワートランジスタQ1,Q2に各々逆並列接続された2個のダイオードD1,D2と、一端が二次電池31の一端(正側端子)に接続されるとともに他端がパワートランジスタQ1,Q2の接続点に接続されたリアクトルLとを備える。パワートランジスタQ1はリアクトルLの他端とDC−DCコンバータ32の出力端(インバータ34,36の正側ラインPL)との間に配置されており、パワートランジスタQ2はリアクトルLの他端と二次電池31の他端(負側端子)との間に配置されている。このDC−DCコンバータ32では、パワートランジスタQ2をオンすると、二次電池31とリアクトルLとパワートランジスタQ2とを結ぶ短絡回路が形成され、二次電池31から流れる直流電流に応じてリアクトルLにエネルギが一時的に蓄積される。この状態でパワートランジスタQ2をオンからオフすると、リアクトルLに蓄積されたエネルギは、ダイオードD1を介して平滑用コンデンサC2に蓄えられる。その際に、平滑用コンデンサC2の直流電圧(DC−DCコンバータ32の出力電圧)については、二次電池31の直流電圧(DC−DCコンバータ32の入力電圧)よりも高くすることができる。したがって、DC−DCコンバータ32は、パワートランジスタQ1,Q2をオンオフ駆動するスイッチング動作により、入力された二次電池31からの直流電力を異なる電圧値の直流電力に変換して(昇圧して)インバータ34,36へ出力する昇圧コンバータとして機能することができる。一方、このDC−DCコンバータ32で平滑用コンデンサC2の電荷を用いて二次電池31を充電することもでき、その際には降圧コンバータとして機能する。
【0021】
DC−DCコンバータ32の入力側には、フィルタ用コンデンサC1が二次電池31と並列に設けられている。より具体的には、フィルタ用コンデンサC1の一端は二次電池31の正側端子及びリアクトルLの一端に接続され、フィルタ用コンデンサC1の他端は二次電池31の負側端子に接続されている。パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作時には、リアクトルLを流れる電流にリプル成分が生じる。フィルタ用コンデンサC1を二次電池31と並列に設けることで、リアクトルLを流れる電流は、二次電池31の電流(直流成分)にフィルタ用コンデンサC1の電流(リプル成分)が重畳されたものとなるため、二次電池31の電流変動が抑制される。
【0022】
インバータ34は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに並列接続された複数(図1では3本)のアーム62,64,66を備える。アーム62は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに直列接続された1対のパワートランジスタ(スイッチング素子)Q11,Q12と、パワートランジスタQ11,Q12のそれぞれと逆並列接続された1対のダイオードD11,D12とを含む。同様に、アーム64は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに直列接続された1対のパワートランジスタQ13,Q14と、パワートランジスタQ13,Q14のそれぞれと逆並列接続された1対のダイオードD13,D14とを含み、アーム66は、正側ラインPLと負側ラインSLとの間で互いに直列接続された1対のパワートランジスタQ15,Q16と、パワートランジスタQ15,Q16のそれぞれと逆並列接続された1対のダイオードD15,D16とを含む。モータジェネレータ38のコイル(3相コイル)38U,38V,38Wは、Y(スター)結線されており、各アーム62,64,66の中点とそれぞれ接続されている。インバータ34は、パワートランジスタQ11〜Q16のスイッチング動作により、入力されたDC−DCコンバータ32からの直流電力を120°ずつ位相が異なる3相交流に変換してモータジェネレータ38の3相コイル38U,38V,38Wへ供給する。これによって、モータジェネレータ38を回転駆動させることができる。一方、このインバータ34でモータジェネレータ38の3相コイル38U,38V,38Wの交流電力を直流に変換してDC−DCコンバータ32へ供給することもできる。
【0023】
インバータ36も、インバータ34と同様の構成であり、パワートランジスタQ21,Q22及びダイオードD21,D22を含むアーム72と、パワートランジスタQ23,Q24及びダイオードD23,D24を含むアーム74と、パワートランジスタQ25,Q26及びダイオードD25,D26を含むアーム76とを備える。Y(スター)結線されたモータジェネレータ39の3相コイル39U,39V,39Wは、各アーム72,74,76の中点とそれぞれ接続されている。インバータ36も、パワートランジスタQ21〜Q26のスイッチング動作により、入力されたDC−DCコンバータ32からの直流電力を120°ずつ位相が異なる3相交流に変換してモータジェネレータ39の3相コイル39U,39V,39Wへ供給することで、モータジェネレータ39を回転駆動させることができる。一方、このインバータ36でモータジェネレータ39の3相コイル39U,39V,39Wの交流電力を直流に変換してDC−DCコンバータ32へ供給することもできる。
【0024】
図2に示すように、フィルタ用コンデンサC1、DC−DCコンバータ32(リアクトルL、パワートランジスタQ1,Q2)、インバータ34(パワートランジスタQ11〜Q16)、及びインバータ36(パワートランジスタQ21〜Q26)は、筐体42内に収容されている。ただし、図2では、説明の便宜上、電気配線の図示を省略している。ここでの筐体42は、金属(例えばアルミニウム)等の導電材料で構成されていることで、内部に収容した電子部品を外部に対してシールドする機能も果たしている。筐体42には、冷却液(冷却水)等の冷媒が流れる冷媒流路44が冷却部として形成されている。冷媒流路44を流れる冷却液によって、筐体42内に収容されたDC−DCコンバータ32(リアクトルL、パワートランジスタQ1,Q2)の冷却を行うことができる。さらに、冷媒流路44を流れる冷却液によって、筐体42内に収容されたフィルタ用コンデンサC1、インバータ34(パワートランジスタQ11〜Q16)、及びインバータ36(パワートランジスタQ21〜Q26)の冷却も行うことができる。
【0025】
温度センサ52は、例えばパワートランジスタQ1,Q2が形成されたチップに設けられており、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttを検出する。温度センサ54は、例えば筐体42に設けられており、冷媒流路44を流れる冷却液の温度Twを検出する。温度センサ52,54で検出された温度Tt,Twは、電子制御ユニット40に入力される。
【0026】
電子制御ユニット40は、DC−DCコンバータ32のパワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータ32の電圧変換比(昇圧比)を制御する。さらに、電子制御ユニット40は、インバータ34のパワートランジスタQ11〜Q16のスイッチング動作を制御してモータジェネレータ38の駆動制御を行い、インバータ36のパワートランジスタQ21〜Q26を制御してモータジェネレータ39の駆動制御を行う。以下、電子制御ユニット40がDC−DCコンバータ32の電圧変換比を制御する処理の詳細について説明する。
【0027】
電子制御ユニット40は、例えば図3の機能ブロック図に示すように、キャリア周波数設定部61及びスイッチング制御部63を含んで構成することができる。キャリア周波数設定部61は、温度センサ52で検出されたパワートランジスタQ1,Q2の温度Ttと温度センサ54で検出された冷却液の温度Twとに基づいて、基準キャリアの周波数fcを設定することで、パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数fcを設定する。スイッチング制御部63は、キャリア周波数設定部61で設定された基準キャリアの周波数(スイッチング周波数)fcでパワートランジスタQ1,Q2をオンオフ駆動するスイッチング制御信号のデューティ比Dを制御することで、DC−DCコンバータ32の電圧変換比(昇圧比)を制御する。ここでは、例えば図4に示すように、デューティ比指令(目標デューティ比)D0と基準キャリア(三角波キャリア)Vcとの比較結果に基づいて、デューティ比D=目標デューティ比D0となるスイッチング制御信号を生成することができる。図1に示すDC−DCコンバータ32の構成例では、上側のパワートランジスタQ1の導通期間(Q1on)と下側のパワートランジスタQ2の導通期間(Q2on)との割合であるデューティ比Dは、D=Q1on/(Q1on+Q2on)により表され、このデューティ比D(=Q1on/(Q1on+Q2on))の減少に対してDC−DCコンバータ32の電圧変換比(昇圧比)が増大する。
【0028】
図5,6は、電子制御ユニット40のキャリア周波数設定部61が基準キャリアの周波数(パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数)fcを設定する処理を説明するフローチャートであり、図7は、電子制御ユニット40のスイッチング制御部63がDC−DCコンバータ32の出力電圧を制御する処理を説明するフローチャートである。図5〜7のフローチャートによる処理は、車両のイグニッションがオンされた場合に所定時間毎に繰り返して実行される。
【0029】
図5のフローチャートのステップS101では、フラグF1の値が0であるか否かが判定される。フラグF1の値が0である場合(ステップS101の判定結果がYESの場合)はステップS102に進み、フラグF1の値が0でない場合(ステップS101の判定結果がNOの場合)はステップS105に進む。なお、イグニッションがオンされたときのフラグF1の初期値は0に設定される。
【0030】
ステップS102では、温度センサ52で検出されたパワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値以下であるか否かが判定される。パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値以下である場合(ステップS102の判定結果がYESの場合)は、ステップS103に進み、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに設定される。一方、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値よりも高い場合(ステップS102の判定結果がNOの場合)は、ステップS104に進み、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhよりも低い低キャリア周波数fl(fl<fh)に設定される。また、ステップS105では、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに固定され、低キャリア周波数flの使用が禁止される。
【0031】
なお、ステップS102の判定に用いられる閾値については、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flであるときと高キャリア周波数fhであるときとで異ならせることもできる。例えば、ステップS102において、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhであるときは、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値T01以下であるか否かを判定し、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flであるときは、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値T02(T02<T01)以下であるか否かを判定することもできる。この例では、図8に示すように、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhであるときにパワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値T01よりも高くなった場合は、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhから低キャリア周波数flに下げられる。一方、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flであるときにパワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値T02以下になった場合は、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flから高キャリア周波数fhに上げられる。図8に示すように、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttと基準キャリアの周波数fcとの関係にヒステリシスを持たせることで、基準キャリアの周波数fcが短い周期で変動してハンチングが生じるのが抑止される。
【0032】
図6のフローチャートのステップS201では、温度センサ54で検出された冷却液の温度Twが設定温度T1以下であるか否かが判定される。冷却液の温度Twが設定温度T1以下である場合(ステップS201の判定結果がYESの場合)は、ステップS202に進み、フラグF1の値が0に設定される。一方、冷却液の温度Twが設定温度T1よりも高い場合(ステップS201の判定結果がNOの場合)は、ステップS203に進み、フラグF1の値が1に設定される。ここでのフラグF1の値は、低キャリア周波数flの使用が禁止されているか否かを表し、「F1=0」は、低キャリア周波数flの使用が許容されている状態を表し、「F1=1」は、低キャリア周波数flの使用が禁止されている状態を表す。また、ステップS201の判定に用いられる設定温度T1については、フラグF1の値が1であるときの値をフラグF1の値が0であるときよりも小さく設定することで、冷却液の温度TwとフラグF1の値との関係にヒステリシスを持たせることも可能である。以上の図5,6のフローチャートの処理によれば、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値を超えた場合に基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flに低く設定されるのに対して、冷却液の温度Twが設定温度T1を超えた場合に基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに高く設定される。つまり、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttから決まるキャリア周波数設定特性と冷却液の温度Twから決まるキャリア周波数設定特性とが異なる特性となる。
【0033】
パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作時には、パワートランジスタQ1,Q2が発熱し、スイッチング周波数(基準キャリアの周波数)fcが高いほどパワートランジスタQ1,Q2の発熱量が増大する。図5のフローチャートの処理によれば、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが閾値を超えた場合は、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhから低キャリア周波数flに低く設定されることで、パワートランジスタQ1,Q2の温度上昇を抑制することができ、パワートランジスタQ1,Q2の過熱を防止することができる。ただし、基準キャリアの周波数(パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング周波数)fcが低下すると、パワートランジスタQ1,Q2の発熱量は減少するものの、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1を流れる電流のリプル成分が増大してリアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の発熱量が増大する。つまり、DC−DCコンバータ32においては、パワートランジスタQ1,Q2の温度上昇特性と、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇特性とが、基準キャリアの周波数変化に対して逆の特性となる。そのため、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flに設定される頻度が増大すると、パワートランジスタQ1,Q2の温度上昇は抑制されるものの、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1のリプル電流による温度上昇幅が増大して過熱を招きやすくなる。
【0034】
これに対して図5,6のフローチャートの処理によれば、冷却液の温度Twが設定温度T1を超えた場合は、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttに関係なく基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに設定され、低キャリア周波数flの使用が禁止される。ここで、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttは、冷却液の温度Tw及びパワートランジスタQ1,Q2を流れる電流に応じて変化し、冷却液の温度Twが高いほど高くなりやすく、また、パワートランジスタQ1,Q2を流れる電流が大きいほど高くなりやすい。そのため、冷却液の温度Twが高いときは、パワートランジスタQ1,Q2の温度Ttが高く、基準キャリアの周波数fcが低キャリア周波数flに設定される頻度が高いと判定することができ、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1を流れるリプル電流の増大によりリアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度が高くなっていると判定することができる。したがって、本実施形態では、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度が高い場合に、基準キャリアの周波数fcを高キャリア周波数fhに固定する(低キャリア周波数flの使用を禁止する)ことで、図9に示すように、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1を流れるリプル電流を低減することができるので、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇を抑制することができる。その結果、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の過熱を防止することができる。さらに、本実施形態では、リアクトルLやフィルタ用コンデンサC1の温度を直接検出することなく、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇を抑制することができる。その結果、リアクトルLやフィルタ用コンデンサC1の温度を検出する温度センサを省略することができ、装置構成の簡略化及び低コスト化を図ることができる。
【0035】
また、図7のフローチャートのステップS301では、温度センサ54で検出された冷却液の温度Twが設定温度T2(T2>T1)以下であるか否かが判定される。冷却液の温度Twが設定温度T2以下である場合(ステップS301の判定結果がYESの場合)は、ステップS302に進み、DC−DCコンバータ32の出力電圧(平滑用コンデンサC2の電圧)Voutが所定の目標出力電圧V0(V0>Vb、Vbは二次電池31の電圧)となるように、パワートランジスタQ1,Q2へのスイッチング制御信号のデューティ比Dが制御され、DC−DCコンバータ32の昇圧比が制御される。次に、ステップS303において、フラグF2の値が0に設定される。一方、冷却液の温度Twが設定温度T2よりも高い場合(ステップS301の判定結果がNOの場合)は、ステップS304に進む。なお、イグニッションがオンされたときのフラグF2の初期値は0に設定される。
【0036】
ステップS304では、冷却液の温度Twが設定温度T3(T3>T2)以下であるか否かが判定される。冷却液の温度Twが設定温度T3以下である場合(ステップS304の判定結果がYESの場合)は、ステップS305に進み、冷却液の温度Twが設定温度T2以下の場合の目標出力電圧V0よりもDC−DCコンバータ32の出力電圧Voutを低減させるように、スイッチング制御信号のデューティ比D(DC−DCコンバータ32の昇圧比)が制限される。ここでは、冷却液の温度Twが設定温度T2から増大するのに対して、DC−DCコンバータ32の出力電圧Vout(昇圧比)を徐々に下げることもできるし、DC−DCコンバータ32の出力電圧Vout(昇圧比)を段階的に下げることもできる。次に、ステップS306において、フラグF2の値が1に設定される。一方、冷却液の温度Twが設定温度T3よりも高い場合(ステップS304の判定結果がNOの場合)は、ステップS307に進む。
【0037】
ステップS307では、パワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作が禁止されることで、DC−DCコンバータ32での昇圧(電圧変換)が禁止される。ここでは、パワートランジスタQ1がオン状態且つパワートランジスタQ2がオフ状態に維持されることで、DC−DCコンバータ32の出力電圧VoutがDC−DCコンバータ32の入力電圧(二次電池31の電圧)Vbに等しくなる。次に、ステップS308において、フラグF2の値が2に設定される。ここでのフラグF2の値は、DC−DCコンバータ32の昇圧が制限あるいは禁止されているか否かを表し、「F2=0」は、DC−DCコンバータ32の昇圧が制限も禁止もされていない状態を表し、「F2=1」は、DC−DCコンバータ32の昇圧が制限されている状態を表し、「F2=2」は、DC−DCコンバータ32の昇圧が禁止されている状態を表す。また、ステップS301,S304の判定に用いられる設定温度T2,T3については、フラグF2の値が1であるときの値をフラグF2の値が0であるときよりも小さく設定するとともにフラグF2の値が2であるときの値をフラグF2の値が1であるときよりも小さく設定することで、冷却液の温度TwとフラグF2の値との関係にヒステリシスを持たせることも可能である。
【0038】
図7のフローチャートの処理によれば、冷却液の温度Twが設定温度T2(T2>T1)を超えた場合は、冷却液の温度Twが設定温度T2以下の場合よりもDC−DCコンバータ32の昇圧比(電圧変換比)を下げるように、スイッチング制御信号のデューティ比Dが制限される。これによって、基準キャリアの周波数fcが高キャリア周波数fhに固定された後にリアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度が上昇したとしても、図9に示すように、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1を流れるリプル電流をさらに低減することができる。したがって、リアクトルLやフィルタ用コンデンサC1の温度を直接検出することなく、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇を抑制することができる。
【0039】
さらに、図7のフローチャートの処理によれば、冷却液の温度Twが設定温度T3(T3>T2)を超えた場合は、DC−DCコンバータ32の昇圧が禁止され、DC−DCコンバータ32の出力電圧Voutが入力電圧Vbに等しくなるように、パワートランジスタQ1がオン状態且つパワートランジスタQ2がオフ状態に保たれる。これによって、DC−DCコンバータ32の出力電圧VoutをV0よりも下げるようにスイッチング制御信号のデューティ比Dが制限された後にリアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度が上昇したとしても、図9に示すように、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1を流れるリプル電流を無くすことができる。したがって、リアクトルLやフィルタ用コンデンサC1の温度を直接検出することなく、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇を抑制することができる。
【0040】
以上の実施形態の説明では、冷却液の温度Twが設定温度T1よりも高い場合に基準キャリアの周波数fcを高キャリア周波数fhに固定する処理を行い、冷却液の温度Twが設定温度T2(T2>T1)よりも高い場合にDC−DCコンバータ32の出力電圧VoutをV0よりも下げるようにデューティ比D(昇圧比)を制限する処理を行い、冷却液の温度Twが設定温度T3(T3>T2)よりも高い場合にパワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作(DC−DCコンバータ32の昇圧)を禁止する処理を行うものとした。ただし、本実施形態では、これらの処理のいずれか1つ以上を行うことによっても、リアクトルL及びフィルタ用コンデンサC1の温度上昇を抑制することができる。例えば、冷却液の温度Twが設定温度T1よりも高い場合に基準キャリアの周波数fcを高キャリア周波数fhに固定する処理を行い、冷却液の温度Twが設定温度T2(T2>T1)よりも高い場合にDC−DCコンバータ32の出力電圧VoutをV0よりも下げるようにデューティ比Dを制限する処理を行うこともできる。また、冷却液の温度Twが設定温度T1よりも高い場合に基準キャリアの周波数fcを高キャリア周波数fhに固定する処理を行い、冷却液の温度Twが設定温度T3(T3>T1)よりも高い場合にパワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作を禁止する処理を行うこともできる。また、冷却液の温度Twが設定温度T2よりも高い場合にDC−DCコンバータ32の出力電圧VoutをV0よりも下げるようにデューティ比Dを制限する処理を行い、冷却液の温度Twが設定温度T3(T3>T2)よりも高い場合にパワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作を禁止する処理を行うこともできる。さらに、本実施形態では、冷却液の温度Twが設定温度T1よりも高い場合に基準キャリアの周波数fcを高キャリア周波数fhに固定する処理のみを行うこともできる。また、冷却液の温度Twが設定温度T2よりも高い場合にDC−DCコンバータ32の出力電圧VoutをV0よりも下げるようにデューティ比Dを制限する処理のみを行うこともできる。また、冷却液の温度Twが設定温度T3よりも高い場合にパワートランジスタQ1,Q2のスイッチング動作を禁止する処理のみを行うこともできる。
【0041】
また、本実施形態では、図6,7のフローチャートの処理において、冷却液の温度Twの代わりに、図示しない温度センサにより検出されたフィルタ用コンデンサC1の温度を用いることも可能である。また、本発明の適用が可能なDC−DCコンバータ32の構成についても図1に示す構成に限られるものではなく、図1以外の構成のDC−DCコンバータに対しても本発明の適用が可能である。
【0042】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る電圧変換装置を備える電動機駆動システムの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電圧変換装置を備える電動機駆動システムの概略構成を示す図である。
【図3】電子制御ユニットの構成例を示すブロック図である。
【図4】DC−DCコンバータへのスイッチング制御信号の生成方法の一例を説明する図である。
【図5】電子制御ユニットにより実行される処理を説明するフローチャートである。
【図6】電子制御ユニットにより実行される処理を説明するフローチャートである。
【図7】電子制御ユニットにより実行される処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態に係る電圧変換装置の動作を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電圧変換装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0044】
31 二次電池、32 DC−DCコンバータ、34,36 インバータ、38,39 モータジェネレータ、40 電子制御ユニット、42 筐体、44 冷媒流路、52,54 温度センサ、61 キャリア周波数設定部、63 スイッチング制御部、C1 フィルタ用コンデンサ、C2 平滑用コンデンサ、L リアクトル、Q1,Q2,Q11〜Q16,Q21〜Q26 パワートランジスタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、
DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、
冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、
を備える電圧変換装置であって、
冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、
該冷媒の温度とスイッチング素子の温度との両方に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を設定するスイッチング周波数設定部と、
該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、
を備える、電圧変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング周波数設定部は、
スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定し、
さらに、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T1よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング周波数を、スイッチング素子の温度に関係なく前記第1の周波数に設定する、電圧変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T2(T2>T1)よりも高い場合は、該冷媒の温度が設定温度T2以下の場合よりもDC−DCコンバータの電圧変換比を下げるようにスイッチング素子のスイッチング動作を制御する、電圧変換装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3(T3>T2)よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止する、電圧変換装置。
【請求項5】
請求項2に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3(T3>T1)よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止する、電圧変換装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング素子の温度から決まるスイッチング周波数設定特性と冷媒の温度から決まるスイッチング周波数設定特性とが異なる特性である、電圧変換装置。
【請求項7】
直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、
DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、
冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、
を備える電圧変換装置であって、
スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定するスイッチング周波数設定部と、
該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、
冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、
を備え、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T2よりも高い場合は、該冷媒の温度が設定温度T2以下の場合よりもDC−DCコンバータの電圧変換比を下げるようにスイッチング素子のスイッチング動作を制御する、電圧変換装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電圧変換装置であって、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3(T3>T2)よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止する、電圧変換装置。
【請求項9】
直流電源からの直流電流に応じてエネルギを一時的に蓄積可能なリアクトルと、スイッチング素子とを含み、リアクトルに蓄積されたエネルギを利用して、直流電源からの直流電力をスイッチング素子のスイッチング動作により異なる電圧値の直流電力に変換して出力するDC−DCコンバータと、
DC−DCコンバータの入力側に直流電源と並列に設けられたコンデンサと、
冷媒によりDC−DCコンバータの冷却を行う冷却部と、
を備える電圧変換装置であって、
スイッチング素子の温度に基づいて、スイッチング素子のスイッチング周波数を、第1の周波数、または第1の周波数よりも低い第2の周波数に設定するスイッチング周波数設定部と、
該設定されたスイッチング周波数でスイッチング素子のスイッチング動作を制御してDC−DCコンバータの電圧変換比を制御するスイッチング制御部と、
冷媒の温度を検出する冷媒温度検出部と、
を備え、
スイッチング制御部は、冷媒温度検出部で検出された冷媒の温度が設定温度T3よりも高い場合は、スイッチング素子のスイッチング動作を禁止する、電圧変換装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1に記載の電圧変換装置であって、
冷却部は、冷媒によりリアクトルとコンデンサのいずれかの冷却を行う、電圧変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−33859(P2009−33859A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194754(P2007−194754)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】