説明

電圧電流変換回路及び電圧制御発振器

【課題】入力電圧に対する出力電流の動作範囲の拡大できる電圧電流変換回路を提供する。
【解決手段】入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧以下の場合には、トランジスターM4はオフである。一方、トランジスターM9によって入力電圧INがレベルシフトされる。そのレベルシフト後の印加電圧VAによってトランジスターM10がオンし、M10に流れるI10が、トランジスターM1に流れるI1となる。また、入力電圧INがM4の閾値電圧を超える場合には、M4がオンし、M4に流れるI4と、M10に流れるI10との和が、M1に流れるI1となる。そして、M1,M2,M3によって形成されるカレントミラー回路によって、M1に流れるI1に応じた電流が、負荷回路10,12に供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧に応じた電流を負荷に供給する電圧電流変換回路等に関する。
【背景技術】
【0002】
制御電圧によって発振周波数を制御する電圧制御発振器(VCO:Voltage Controlled Oscillator)では、入力段に、制御電圧を電流に変換する電圧電流変換回路が設けられることがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図5は、従来の電圧電流変換回路9の回路構成の一例である。この電圧電流変換回路9は、入力電圧INに応じた電流を負荷回路10,12に供給する回路であり、トランジスターM1〜M6を備えて構成される。
【0004】
トランジスターM4は、n型MOSFETであり、ゲート端子に印加された入力電圧INが閾値電圧Vth以上の場合にONとなり、印加電圧INに応じたドレイン電流I4が流れる。
【0005】
トランジスターM1,M2,M3は、何れも、p型MOSFETである。トランジスターM1と、トランジスターM2,M3それぞれとは、カレントミラー回路を形成する。トランジスターM4がオンとなると、トランジスターM1がオンとなり、トランジスターM4のドレイン電流I4と同じドレイン電流I1が、トランジスターM1に流れる。そして、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1に応じた電流が、トランジスターM2,M3それぞれに流れ、トランジスターM2に流れるドレイン電流I2に応じた電流が、カレントミラー回路を形成するトランジスターM5,M6を介して、負荷回路10に供給されるとともに、トランジスターM3に流れる電流が、負荷回路12に供給される。
【0006】
また、図6は、従来の電圧電流変換回路9における信号波形である。図6では、横軸を時刻、縦軸を信号レベルとして、上から順に、入力電圧IN、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1のそれぞれの信号波形を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−139597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、MOSトランジスターには、ゲート端子に所定の閾値電圧以上の電圧が印加されると、オンしてドレイン電流が流れ始めるという特性がある。このため、図5に示した従来の電圧電流変換回路9では、入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧以上とならないと、トランジスターM4がオンにならずドレイン電流I4が流れない。つまり、負荷回路10,12に電流が供給されない。すなわち、入力電圧INに応じた電流が負荷に供給される「電圧電流変換動作」が行われる入力電圧INの範囲(入力電圧動作範囲)は、「トランジスターM4の閾値電圧」から「電源電圧Vdd」までの範囲であり、「ゼロ」から「トランジスターM4の閾値電圧」の範囲では、電圧電流変換動作が行われない。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、電圧電流変換回路における、入力電圧に対する出力電流の動作範囲を拡大させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための第1の形態は、入力電圧に応じた電流を負荷に供給する電圧電流変換回路であって、ゲート端子に印加された入力電圧が閾値電圧以上の場合に、当該入力電圧に応じた電流を負荷に供給する第1のトランジスター部と、前記入力電圧を、前記閾値電圧以上の電圧にレベルシフトさせるレベルシフト部と、前記レベルシフト後の電圧がゲート端子に印加され、印加電圧が閾値電圧以上の場合に、印加電圧に応じた電流を供給する第2のトランジスター部と、を備えた電圧電流変換回路である。
【0011】
この第1の形態によれば、入力電圧が閾値電圧以上の場合には、第1トランジスター部によって、入力電圧に応じた電流が負荷に供給され、入力電圧が閾値電圧未満の場合には、第2トランジスター部によって、入力電圧をレベルシフトした電圧に応じた電流が負荷に供給される。
【0012】
また、第2トランジスター部において、入力電圧は、閾値電圧以上の電圧にレベルシフトされる。つまり、入力電圧が閾値電圧未満であっても、入力電圧に応じた電流が負荷に供給される。これにより、入力電圧に応じた電流が負荷に供給される入力電圧の範囲(入力電圧動作範囲)の下限電圧は、閾値電圧未満の電圧となり、従来回路に比較して、入力電圧動作範囲の拡大が実現される。
【0013】
第2の形態として、第1の形態の電圧電流変換回路であって、前記第1のトランジスター部は、前記第1のトランジスター部の閾値電圧を所定電圧に設定するための閾値電圧調整部を有する、電圧電流変換回路を構成しても良い。
【0014】
この第2の形態によれば、第1のトランジスター部の閾値電圧が所定電圧に調整される。入力電圧が閾値電圧以上の場合、負荷に供給される電流は、第1トランジスター部,及び、第2トランジスター部それぞれによって供給される電流の和となる。このため、例えば、負荷に応じて第2トランジスター部の閾値電圧を変更し、第2トランジスター部から電流が供給され始める入力電圧を調整することで、負荷に供給する電流を調整することが可能となる。
【0015】
第3の形態として、第1又は第2の形態の電圧電流変換回路であって、前記第1のトランジスター部は、前記入力電圧と供給する電流との関係特性を所定特性とするための第1の特性調整部を有する、電圧電流変換回路を構成しても良い。
【0016】
この第3の形態によれば、入力電圧と、第1のトランジスター部によって負荷に供給される電流との関係特性が、所定特性に調整される。
【0017】
第4の形態として、第1〜第3の何れかの形態の電圧電流変換回路であって、前記第2のトランジスター部は、前記レベルシフト後の電圧と供給する電流との関係特性を所定特性とするための第2の特性調整部を有する、電圧電流変換回路を構成しても良い。
【0018】
この第4の形態によれば、入力電圧をレベルシフトした電圧と、第2のトランジスター部によって負荷に供給される電流との関係特性が、所定特性に調整される。
【0019】
更に、第5の形態として、第1〜第4の何れかの形態の電圧電流変換回路を入力段に備え、当該電圧電流変換回路によって変換された電流に応じた周波数を発振させる電圧制御発振器を構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】電圧電流変換回路の回路構成図。
【図2】図1の電圧電流変換回路における信号波形図。
【図3】電圧電流変換回路の他の回路構成図。
【図4】図3の電圧電流変換回路における信号波形図。
【図5】従来の電圧電流変換回路の回路構成図。
【図6】図5の電圧電流変換回路における信号波形図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[構成]
図1は、本実施形態の電圧電流変換回路1の回路構成図である。この電圧電流変換回路1は、入力電圧INに応じた電流を負荷回路10,12に供給する回路であり、MOSトランジスターM1〜9と、抵抗R1とを備えて構成される。
【0022】
トランジスターM7,M8は、何れもp型MOSFETである。このトランジスターM7,M8は、カレントミラー回路を形成しており、ソースフォロワ回路を形成するトランジスターM9に、ドレイン電流I8を供給する電流源として機能する。ドレイン電流I8は、トランジスターM8によって、トランジスターM7のドレイン端子と接地電位GNDとの間に接続された抵抗R1にかかる電圧に応じて供給される。なお、このトランジスターM7,M8は、ソースフォロワ回路の電流源として機能すれば良いので、トランジスターM7,M8に替えて所定の抵抗Rを設けることにしても良い。
【0023】
トランジスターM9は、p型MOSFETであり、ドレイン端子が接地電位GNDに接続され、ソース端子がトランジスターM7,M8で形成される定電流源に接続されてソースフォロワ回路を形成する。これにより、トランジスターM9は、レベルシフト回路として機能し、ゲート端子に印加された入力電圧INを、トランジスターM9の閾値電圧Vだけレベルシフトする。レベルシフトされた電圧は、トランジスターM9のソース電位となる。また、トランジスターM9は、バックゲート端子が電源電圧Vddに接続されており、このバックゲート電位によって、閾値電圧が、ゼロバイアス時の閾値電圧Vthよりも高くなっている(基板バイアス効果)。なお、このトランジスターM9が「レベルシフト部」に相当する。
【0024】
トランジスターM10は、n型MOSFETであり、ソース端子がトランジスターM1を介して電源電圧Vddに接続され、ドレイン端子及びバックゲート端子が接地電位GNDに接続され、ゲート端子にはトランジスターM9のソース電位が、印加電圧VAとなって印加される。そして、ゲート端子への印加電圧VAが閾値電圧を超えると、オンとなって印加電圧VAに応じたドレイン電流I10が流れる。なお、このトランジスターM10が「第2のトランジスター部」に相当する。
【0025】
トランジスターM4は、n型MOSFETであり、ソース端子がトランジスターM1を介して電源電圧Vddに接続され、ドレイン端子及びバックゲート端子が接地電位GNDに接続され、ゲート端子には入力電圧INが印加される。そして、ゲート端子への印加電圧INが閾値電圧を超えると、印加電圧に応じたドレイン電流I4が流れる。なお、このトランジスターM4が、「第1のトランジスター部」に相当する。
【0026】
トランジスターM1,M2,M3は、何れもp型MOSFETである。このトランジスターM1と、トランジスターM2,M3それぞれとで、カレントミラー回路を形成しており、トランジスターM1のドレイン電流I1に応じて、トランジスターM2,M3それぞれのドレイン電流I2,I3が流れる。
【0027】
トランジスターM1には、トランジスターM4のドレイン電流I4と、トランジスターM10のドレイン電流I10との和電流が流れる。そして、トランジスターM2に流れるドレイン電流I2に応じた電流が、トランジスターM5,M6を介して、負荷回路10に供給される。また、トランジスターM3に流れるドレイン電流I3が、負荷回路12に供給される。
【0028】
トランジスターM5,M6は、何れもn型MOSFETであり、カレントミラー回路を形成する。すなわち、トランジスターM2に流れるドレイン電流I2に応じてトランジスターM6にドレイン電流I6が流れ、このトランジスターM6に流れるドレイン電流I6が負荷回路10に供給される。
【0029】
負荷回路10,12は、供給電流によって出力が制御される電子機器である。例えば、供給電流を駆動電流として発振周波数が制御される発振器であり、この場合、「電圧電流変換回路1、及び、負荷回路10」或いは「電圧電流変換回路1、及び、負荷回路12」が、入力電圧INによって発振周波数が制御されるVCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)となる。
【0030】
[動作]
次に、この電圧電流変換回路1の動作を、信号波形を参照して説明する。図2は、電圧電流変換回路1における信号波形を示す図である。図2では、横軸を時刻、縦軸を信号レベルとして、上から順に、入力電圧IN、M10のゲート印加電圧VA、トランジスターM4のドレイン電流I4、トランジスターM10のドレイン電流I10、トランジスターM1のドレイン電流I1のそれぞれの信号波形を示している。また、図2は、入力電圧INを、ゼロから電源電圧Vddに達するまで線形に増加させた後、電源電圧Vddからゼロまで線形に減少させた場合である。なお、トランジスターM4の閾値電圧は「0.3V」、トランジスターM9の閾値電圧は「0.6V」、電源電圧Vddは「1V」である。
【0031】
先ず、入力電圧INがゼロでは(時刻t0)、トランジスターM9はオンであり、このトランジスターM9の閾値電圧が、トランジスターM10のゲート端子への印加電圧VAとなる。図2では、印加電位VAは「約0.6V」となっている。この印加電圧VAがトランジスターM10のゲート端子へ印加されてオンとなり、印加電圧VAに応じたドレイン電流I10が流れる。図2では、トランジスターM10のドレイン電流I10は「約0.8A」となっている。
【0032】
一方、トランジスターM4はオフであり、このトランジスターM4のドレイン電流I4はゼロである。従って、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10が、トランジスターM1のドレイン電流I1となり、この電流I1に応じた電流が、負荷回路10,12それぞれに供給される。
【0033】
次いで、入力電圧INが上昇し、トランジスターM4の閾値電圧に達するまでの期間では(時刻t0〜t1)、トランジスターM9がオンであるため、入力電圧INの上昇に伴ってトランジスターM9のソース電位、すなわちトランジスターM10への印加電圧VAも上昇し、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10も増加する。一方、トランジスターM4はオフのままであり、このトランジスターM4に流れるドレイン電流I4はゼロのままである。従って、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10がトランジスターM1に流れるドレイン電流I1となり、入力電圧INの上昇に伴って増加する。
【0034】
続いて、入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧に達すると(時刻t1)、トランジスターM4がオンし、このトランジスターM4にドレイン電流I4が流れ始める。一方、トランジスターM9の閾値電圧はトランジスターM4の閾値電圧よりも高いため、トランジスターM9はオンのままである。つまり、トランジスターM10のドレイン電流I10と、トランジスターM4のドレイン電流I4との和が、トランジスターM1のドレイン電流I1となる。
【0035】
そして、入力電圧INの上昇に伴って、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4が増加するとともに、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10も増加する。つまり、入力電圧INの上昇に伴って、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1が増加する。
【0036】
このとき、トランジスターM9のソース電位、すなわち印加電圧VAは、電源電圧Vddに達すると飽和する。図2では、入力電圧INが「約0.6V」の時点(時刻t2)で、印加電圧VAが飽和している。印加電圧VAが飽和すると、それ以降は、トランジスターM10の電流I10は増加せずほぼ一定のままとなる。
【0037】
その後、入力電圧INが電源電圧Vddに達した後(時刻t3)、低下していくと、この入力電圧INの低下に伴って、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4が減少する。従って、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1が減少する。入力電圧INが更に低下し、飽和していたトランジスターM10のゲート端子への印加電位VAが低下すると、この印加電圧VAの低下に伴って、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10が減少する。
【0038】
そして、入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧まで低下すると(時刻t4)、トランジスターM4がオフとなり、流れるドレイン電流I4がゼロとなる。このとき、トランジスターM9はオンのままであり、M10に流れるドレイン電流I10が、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1となる。
【0039】
このように、電圧電流変換回路1では、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1の信号波形は、入力電圧INにほぼ比例した波形となる。
【0040】
[作用・効果]
このように、本実施形態の電圧電流変換回路1では、入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧以下の場合には、トランジスターM4はオフである。一方、ソースフォロワ回路を形成するトランジスターM9によって入力電圧INがレベルシフトされる。そして、トランジスターM9のソース電位をゲート端子への印加電圧VAとするトランジスターM10がオンし、このトランジスターM10に流れるドレイン電流I10が、トランジスターM1に流れるドレイン電流となる。また、入力電圧INがトランジスターM4の閾値電圧を超える場合には、トランジスターM4がオンし、このトランジスターM4に流れるドレイン電流I4と、トランジスターM10に流れるドレインで電流I10との和が、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1となる。これにより、入力電圧INに応じた電流を負荷回路10,12に供給できる入力電圧INの動作範囲を、「ゼロから電源電圧Vdd」までの範囲とすることができる。
【0041】
[変形例]
なお、本発明の適用可能な実施形態は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0042】
(A)変形回路
上述の実施形態における電圧電流変換回路1は、負荷回路10,12に供給する電流を調整するため、例えば、図3に示す電圧電流変換回路3として構成しても良い。
【0043】
図3に示す電圧電流変換回路3は、上述の実施形態における電圧電流変換回路1(図1参照)において、トランジスターM11,M12,M13を追加した構成である。
【0044】
トランジスターM11は、n型MOSFETであり、トランジスターM10に直列接続されている。なお、このトランジスターM10,M11が、「第2トランジスター部」に相当する。トランジスターM11によって、印加電圧VAに対する、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10の特性が調整される。なお、このトランジスターM11が「第2の特性調整部」に相当する。
【0045】
トランジスターM12,M13は、何れも、n型MOSFETであり、トランジスターM4に直列接続されている。なお、このトランジスターM4,M12,M13が、「第1トランジスター部」に相当する。トランジスターM13によって、トランジスターM4にドレイン電流I4が流れ始める入力電圧IN、すなわち、「第1トランジスター部」としての閾値電圧が調整される。なお、このトランジスターM13が「閾値電圧調整部」に相当する。また、トランジスターM12によって、入力電圧INに対する、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4の特性が調整される。なお、このトランジスターM12が「第1の特性調整部」に相当する。
【0046】
図4は、電圧電流変換回路3における信号波形の一例である。同図では、横軸を時刻、縦軸を信号レベルとして、上から順に、入力電圧IN、印加電圧VA、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10、トランジスターM1に流れるドレイン電流I1のそれぞれの信号波形を示している。また、図2に示した信号波形の場合と同様に、入力電圧INは、ゼロから電源電圧Vddに達するまで上昇させた後、再度、ゼロまで低下させた場合を示している。
【0047】
この図4の電圧電流変換回路3における信号波形と、図2の電圧電流変換回路1における信号波形とを比較すると、図4の電圧電流変換回路3における信号波形では、トランジスターM4にドレイン電流I4が流れ始める入力電圧INが上昇している。すなわち、トランジスターM4の閾値電圧が上昇している。図4では、入力電圧INが「約0.4V」でドレイン電流I4が流れ始めており、トランジスターM4の閾値電圧が「約0.1V(=0.4V−0.3V)」上昇している。これは、トランジスターM13によるものである。
【0048】
また、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4の信号波形の形状が異なっている。つまり、入力電圧INに対する、トランジスターM4に流れるドレイン電流I4の特性が異なる。これは、トランジスターM12によるものである。
【0049】
また、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10の信号波形の形状が異なっている。つまり、印加電圧VAに対する、トランジスターM10に流れるドレイン電流I10の特性が異なる。これは、トランジスターM11によるものである。
【0050】
このように、追加されるトランジスターM11,M12,M13によって、入力電圧INと、ドレイン電流I4,I10それぞれとの特性、すなわち、入力電圧INと負荷回路10,12への供給電流との特性を調整することができる。このため、例えば、電圧電流変換回路1と負荷回路10,12とをVCOとして用いる場合、VCOでは、入力電圧IN(制御電圧)と発振周波数との電圧電流特性を線形特性とすることが求められるため、トランジスターM11,M12,M13を適切に選択することで、所望の線形特性とすることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 電圧電流変換回路
M1〜M14 トランジスター
10,12 負荷回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電圧に応じた電流を負荷に供給する電圧電流変換回路であって、
ゲート端子に印加された入力電圧が閾値電圧以上の場合に、当該入力電圧に応じた電流を負荷に供給する第1のトランジスター部と、
前記入力電圧を、前記閾値電圧以上の電圧にレベルシフトさせるレベルシフト部と、
前記レベルシフト後の電圧がゲート端子に印加され、印加電圧が閾値電圧以上の場合に、印加電圧に応じた電流を供給する第2のトランジスター部と、
を備えた電圧電流変換回路。
【請求項2】
前記第1のトランジスター部は、
前記第1のトランジスター部の閾値電圧を所定電圧に設定するための閾値電圧調整部を有する、
請求項1に記載の電圧電流変換回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスター部は、
前記入力電圧と供給する電流との関係特性を所定特性とするための第1の特性調整部を有する、
請求項1又は2に記載の電圧電流変換回路。
【請求項4】
前記第2のトランジスター部は、
前記レベルシフト後の電圧と供給する電流との関係特性を所定特性とするための第2の特性調整部を有する、
請求項1〜3の何れか一項に記載の電圧電流変換回路。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の電圧電流変換回路を入力段に備え、当該電圧電流変換回路によって変換された電流に応じた周波数を発振させる電圧制御発振器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−259010(P2011−259010A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−129028(P2010−129028)
【出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】