説明

電子カメラのホワイトバランス制御装置およびリモートコントローラ

【課題】 リモートコントローラを用いた撮影において、撮影者の周囲とカメラ本体の周囲とにおいて色温度が異なっていても、適切なホワイトバランス調整を行なう。
【解決手段】 リモートコントローラはリモコン制御部70を有する。リモコン制御部70に、色温度センサ71と赤外発光素子72と測色スイッチ73とレリーズスイッチ74とを接続する。測色スイッチ73は、リモートコントローラ70に設けたシャッターボタン62を半押しすることによってオン状態になる。これにより、色温度センサ71はリモートコントローラの周囲の色温度を検出し、リモコン制御部70は色温度に基づいてホワイトバランス制御量を演算する。レリーズスイッチ74は、リモートコントローラ70に設けたシャッターボタン62を全押しすることによってオン状態になる。これにより、リモコン制御部70はレリーズ指令信号を生成する。また赤外発光素子72は、レリーズ指令信号に対応した赤外線信号を出力する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子カメラによって撮影されるカラー画像の色合いを調整するために用いられるホワイトバランス制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の電子カメラにおいて、色温度を検出するホワイトバランスセンサはカメラ本体内に設けられている。すなわち、ホワイトバランスセンサによってカメラ本体の周囲の色温度が検出され、この色温度に基づいてホワイトバランス調整に必要な制御量が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】撮影者が電子カメラから離れた所に位置し、リモートコントローラを用いて自分自身を含む写真を撮る場合を想定する。このような場合、撮影者の周囲の色温度がカメラ本体の周囲と異なっていると、ホワイトバランス調整は、カメラ本体の周囲の色温度に基づいて行なわれるため、適切な色合いの画像が得られないおそれがある。
【0004】本発明は、リモートコントローラを用いた撮影において、撮影者の周囲とカメラ本体の周囲とにおいて色温度が異なっていても、適切なホワイトバランス調整を行なうことができるホワイトバランス制御装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電子カメラのホワイトバランス制御装置は、電子カメラの撮影動作を制御可能なリモートコントローラと、このリモートコントローラ内に設けられた色温度検出手段とを備えたことを特徴としている。
【0006】またホワイトバランス制御装置は、色温度検出手段によって得られた色温度に基づいて、電子カメラにおいて実行されるホワイトバランス制御量を演算するホワイトバランス制御量演算手段を備えてもよい。この場合、ホワイトバランス制御量演算手段はリモートコントローラ内に設けられる。また、ホワイトバランス制御量のデータが、リモートコントローラを操作することによって電子カメラに送信されることが好ましい。
【0007】本発明に係るリモートコントローラは、周囲の色温度を検出するための色温度センサを備えたことを特徴としている。
【0008】リモートコントローラは、色温度センサによって得られた色温度に基づいて、電子カメラにおいて実行されるホワイトバランス制御量を演算するホワイトバランス制御量演算手段を備えることが好ましい。この構成では、さらに、ホワイトバランス制御量のデータを電子カメラに送信するための送信手段を備えることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態であるホワイトバランス制御装置によって動作可能な電子カメラのブロック図である。
【0010】この電子カメラは一眼レフカメラであり、交換レンズ11はマウントピン12、13を介して、カメラ本体内に設けられた電気回路と電気的に接続される。交換レンズ11のレンズ鏡筒内には前群レンズ14と後群レンズ15が設けられ、これらのレンズ14、15の間には絞り16が配設されている。各レンズ14、15はレンズ制御回路17の制御によって光軸方向に変位し、焦点調節が行なわれる。レンズ制御回路17は、カメラ本体内に設けられたシステムコントローラ31からマウントピン12を介して送られてくる制御信号に従って動作する。絞り16は、カメラ本体内に設けられた絞り駆動回路32からマウントピン13を介して送られてくる制御信号に従って動作し、絞り16の開度が調節される。絞り駆動回路32はシステムコントローラ31によって制御される。
【0011】カメラ本体内において、レンズ14、15の光軸上には、クイックリターンミラー21が設けられている。クイックリターンミラー21は、図示された傾斜状態と上方へ回動した水平状態との間において回動自在である。クイックリターンミラー21の上方にはピント板22が設けられ、ピント板22の上方にはペンタプリズム23が設けられている。ペンタプリズム23の後方にはファインダの接眼レンズ24が配設されている。
【0012】クイックリターンミラー21の後方には、シャッタ25が設けられ、シャッタ25の後方には赤外カットフィルタ26と光学ローパスフィルタ27が設けられている。光学ローパスフィルタ27の後方にはCCD(撮像素子)33が設けられている。すなわち、クイックリターンミラー21、シャッタ25、赤外カットフィルタ26、光学ローパスフィルタ27、CCD33は、レンズ14、15の光軸上に配置されている。
【0013】クイックリターンミラー21の回転動作はミラー駆動回路34によって駆動され、シャッタ25の開閉動作はシャッタ駆動回路35によって駆動される。ミラー駆動回路34とシャッタ駆動回路35はシステムコントローラ31によって制御される。
【0014】通常、ミラー21は傾斜状態に定められており、交換レンズ11から取込まれた光をペンタプリズム23側に導く。このときシャッタ25は閉じており、CCD33に向かう光路を閉塞している。これに対し撮影が行なわれる時、ミラー21はミラー駆動回路34の制御により上方に回動せしめられ、水平状態となる。このミラー21の回動にともない、シャッタ25はシャッタ駆動回路35の制御により開口せしめられ、交換レンズ11から取込まれた光はCCD33の受光面に照射される。すなわち、受光面にはレンズ14、15によって得られた画像が形成され、CCD33では、画像に対応した撮像信号が生成される。
【0015】システムコントローラ31にはパルス信号発生回路(PPG)36が接続され、パルス信号発生回路36はシステムコントローラ31の制御によって種々のパルス信号を発生する。これらのパルス信号に基づいて、CCD駆動回路37とA/D変換器38と画像信号処理回路39とが駆動され、CCD駆動回路37によりCCD33の動作が制御される。すなわちCCD33から読み出された撮像信号は、A/D変換器38によってデジタル信号に変換され、画像信号処理回路39において、所定の画像処理を施される。画像信号処理回路39には、1つの画像に対応したデジタルの画像信号を格納するための容量の数倍の容量を備えたメモリ40が接続されている。
【0016】また画像信号処理回路39には、モニタインターフェース41とカードインターフェース42とPCインターフェース43とが接続されている。これらのインターフェース41、42、43はシステムコントローラ31によって制御される。モニタインターフェース41には、液晶駆動回路44を介して、バックライト45と液晶表示素子(LCD)46が接続されている。メモリ40から読み出された画像信号に基づいて、液晶駆動回路44が制御され、液晶表示素子46によって画像が表示される。カードインターフェース42にはカードコネクタ47が接続され、PCインターフェース43にはPCコネクタ48が接続されている。カードコネクタ47にはICメモリカードが装着可能であり、PCコネクタ48にはパーソナルコンピュータが接続可能である。
【0017】システムコントローラ31には、AFセンサ51と測光センサ52とリモコン受信ユニット53が接続されている。AFセンサ51は従来公知の構成を有し、AFセンサ51によって、レンズ14、15の焦点調節状態が測定される。測光センサ52によって、絞り16の開度とCCD33における電荷蓄積時間(シャッタ時間)とを決定するための測光が行なわれる。リモコン受信ユニット53は、後述するリモートコントローラから出力された赤外線信号を受信し、赤外線信号を電気信号に変換してシステムコントローラ31に出力する。システムコントローラ31では、その電気信号に従って、シャッタレリーズ等の所定の動作を行なうための処理が行なわれる。
【0018】またシステムコントローラ31には、操作スイッチ54と状態表示装置55が接続されている。操作スイッチ54は、測光スイッチとレリーズスイッチ等を備えている。測光スイッチは図示しないレリーズボタンを半押しすることによってオン状態となり、これにより、測光センサ52によって測光が行なわれる。レリーズスイッチはレリーズボタンを全押しすることによってオン状態となり、これにより、シャッタ25が開閉駆動される。すなわちCCD33が露光され、CCD33には画像に対応した撮像信号が発生する。状態表示装置55は液晶表示素子を有し、この液晶表示素子には電子カメラの種々の設定状態が表示される。
【0019】図2はリモートコントローラ60の外観を示し、図3はリモートコントローラ60の電気的な構成を示している。リモートコントローラ本体61は偏平な箱型を有し、その上面には、シャッターボタン62と採光窓63が設けられている。採光窓63の下面側には色温度センサ71が配設されている。リモートコントローラ本体61の前端部には赤外通信窓64が設けられ、赤外通信窓64の背面側には赤外発光素子72が配設されている。
【0020】リモコン制御部70には、色温度センサ71と赤外発光素子72と測色スイッチ73とレリーズスイッチ74とが接続されている。測色スイッチ73はシャッターボタン62が半押しされることによってオン状態になる。これにより、色温度センサ71によってリモートコントローラ60の周囲の色温度が検出され、リモコン制御部70において、色温度に基づいてホワイトバランス制御量が演算される。レリーズスイッチ74はシャッターボタン62が全押しされることによってオン状態になる。これにより、リモコン制御部70においてレリーズ指令信号が生成されるとともに、レリーズ指令信号に対応した赤外線信号が赤外発光素子72から出力される。赤外線信号は赤外通信窓64を通過して照射され、カメラ本体に設けられたリモコン受信ユニット53によって受光される。
【0021】カメラ本体では、レリーズ指令信号である赤外線信号を受信することによって、まず測光が行なわれる。すなわち測光センサ52によって測光値が求められ、測光値に基づいて絞り16の開度が調整されるとともに、シャッタ時間が決定され、クイックリターンミラー21が水平状態に定められる。次いで、シャッタ25がシャッタ時間だけ開放される。シャッタ25が閉塞すると、クイックリターンミラー21が傾斜状態に切換えられるとともに、絞り16が開放状態に定められる。
【0022】図4はリモコン制御部70において実行されるリモコン動作制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップ101では、測色スイッチ73がオン状態であるか否かが判定される。測色スイッチ73がオン状態に切換えられると、ステップ102が実行され、色温度センサ71によって検出された色温度に基づいて、ホワイトバランス制御量が演算される。この制御量の演算は従来周知であるので説明を省略する。
【0023】ステップ103では、レリーズスイッチ74がオン状態に切換えられた否かが判定される。レリーズスイッチ74がオン状態に定められていないとき、ステップ101へ戻るが、レリーズスイッチ74がオン状態に定められると、ステップ104が実行され、レリーズ指令信号を示す赤外線信号がカメラ本体に対して送信される。ステップ105では、ステップ102において求められたホワイトバランス制御量のデータが赤外線信号としてカメラ本体に対して送信される。
【0024】図5は、カメラ本体内のシステムコントローラ31において実行されるカメラ動作制御ルーチンを示すフローチャートである。ステップ201では、レリーズ指令信号が受信されたか否かが判定される。ステップ201はレリーズ指令信号が受信されるまで繰り返し実行され、レリーズ指令信号が受信されると、ステップ202が実行される。すなわち、図4のステップ105によって送信されたホワイトバランス制御量のデータに従って、ホワイトバランス調整において用いられる係数が求められ、システムコントローラ31(図1)に設けられたメモリに格納される。
【0025】ステップ203では、撮影動作が開始される。すなわち、クイックリターンミラー21が水平状態に定められ、測光センサ52によって得られた測光値に基づいて、絞り16が所定の開度に定められるとともに、シャッタ時間が決定され、シャッタ25が開放されてCCD33における電荷蓄積が開始される。ステップ204では撮影動作が終了したか否か、すなわちシャッタ25の開放からシャッタ時間が経過したか否かが判定される。撮影動作が終了すると、シャッタ25が閉塞し、クイックリターンミラー21が傾斜状態に定められ、絞り16が開放状態に定められて、このルーチンは終了する。
【0026】以上のように本実施形態は、リモートコントローラ60に色温度センサ71を設け、リモートコントローラ60の周囲の色温度に基づいてホワイトバランス調整を行なうように構成されている。したがって、リモートコントローラを使用する撮影者の周囲とカメラ本体の周囲とにおいて色温度が異なっていても、被写体である撮影者にあたる光線の色温度を用いてホワイトバランス調整が行なわれ、常に適切なホワイトバランス調整を行なうことができる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、リモートコントローラを用いた撮影において、撮影者の周囲とカメラ本体の周囲とにおいて色温度が異なっていても、適切なホワイトバランス調整を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるホワイトバランス制御装置によって動作可能な電子カメラのブロック図である。
【図2】リモートコントローラを示す外観図である。
【図3】リモートコントローラの電気的な構成を示すブロックである。
【図4】リモコン動作制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図5】図5は、カメラ本体内のシステムコントローラにおいて実行されるカメラ動作制御ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
60 リモートコントローラ
63 採光窓
71 色温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子カメラの撮影動作を制御可能なリモートコントローラと、このリモートコントローラ内に設けられた色温度検出手段とを備えたことを特徴とする電子カメラのホワイトバランス制御装置。
【請求項2】 前記色温度検出手段によって得られた色温度に基づいて、前記電子カメラにおいて実行されるホワイトバランス制御量を演算するホワイトバランス制御量演算手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載のホワイトバランス制御装置。
【請求項3】 前記ホワイトバランス制御量演算手段が前記リモートコントローラ内に設けられることを特徴とする請求項2に記載のホワイトバランス制御装置。
【請求項4】 前記ホワイトバランス制御量のデータが、前記リモートコントローラを操作することによって前記電子カメラに送信されることを特徴とする請求項3に記載のホワイトバランス制御装置。
【請求項5】 電子カメラの撮影動作を制御可能なリモートコントローラであって、周囲の色温度を検出するための色温度センサを備えたことを特徴とする電子カメラのリモートコントローラ。
【請求項6】 前記色温度センサによって得られた色温度に基づいて、前記電子カメラにおいて実行されるホワイトバランス制御量を演算するホワイトバランス制御量演算手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載のリモートコントローラ。
【請求項7】 前記ホワイトバランス制御量のデータを前記電子カメラに送信するための送信手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載のリモートコントローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2001−36915(P2001−36915A)
【公開日】平成13年2月9日(2001.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−203247
【出願日】平成11年7月16日(1999.7.16)
【出願人】(000000527)旭光学工業株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】