説明

電子制御装置

【課題】特殊なジャンパ導体を用いることなく、汎用があり、かつ安価なジャンパーリード線を用いることで、プリント配線基板の通電容量を増大させるとともに、大電流が流れるプリント基板パターン部の放熱性能の拡大及び電流許容値を向上させることができる電子制御装置を提供する。
【解決手段】この発明に係る電子制御装置は、プリント配線基板1内に電流回路が形成され、フロー半田付け工法を用いてリード端子付き電子部品がプリント配線基板1に半田接合される電子制御装置において、プリント配線基板1のフロー半田付けされる半田面側の電流回路の電流が流れる半田面電流パターンを構成し、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28と、銅箔ベタパターン28に形成されるスルーホール29と、半田面側からスルーホール29に実装され、フロー半田付け工法により半田付けされるジャンパーリード線30とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大電流が流れるプリント基板パターン部の放熱性能の拡大及び電流許容値を向上させる措置を施した電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子制御装置は、通電容量を増大させる必要がある銅箔ベタパターンに、導電板からなるジャンパ導体をリフロー半田付け工法にて半田付けしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−16582号公報
【特許文献2】実開昭56−16966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電子制御装置は、通電容量を増大させる必要がある銅箔ベタパターンに、特殊なジャンパ導体を用いているため、製品のコストが高くなる等の課題があった。
【0005】
また、従来の電子制御装置は、特殊なジャンパ導体を用いているため、プリント配線基板の設計変更等に柔軟に対応することができないという課題があった。
【0006】
一般的に、リフロー半田工法の場合のクリーム半田(半田ペースト)は、0.15μm程度の高さでプリント配線基板に塗布され、その後部品が実装される。また、フロー半田付け工法の場合は、リード部品(リード端子付き電子部品)を実装したプリント配線基板を、溶融半田を満たした半田漕に浸漬させることから、リフロー半田工法に対し、半田量また半田体積を大きくすることができるが、従来の電子制御装置は、ジャンパ導体をリフロー半田工法で半田付けしているため、フロー半田付け工法に対し半田量また半田体積が少なく、プリント基板パターンの放熱が十分に行われず、プリント配線基板の安全性および信頼性が悪化するという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、特殊なジャンパ導体を用いることなく、汎用があり、かつ安価なジャンパーリード線を用いることで、プリント配線基板の通電容量を増大させるとともに、大電流が流れるプリント基板パターン部の放熱性能の拡大及び電流許容値を向上させることができる電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電子制御装置は、
フロー半田付けされる半田面を有し、前記半田面の所定のエリア内にスルーホールが形成されたプリント配線基板と、
前記半田面にフロー半田付けされるリード端子付き電子部品と、
前記半田面の前記所定のエリア内に形成され、前記リード端子付き電子部品に接続されて電流を流す電流パターンであり、銅箔が剥きだしの銅箔ベタパターンと、
前記半田面側から前記スルーホールに挿入されて前記銅箔ベタパターンの上にちどり状に実装され、前記銅箔ベタパターンにフロー半田付けされるジャンパーリード線とを備える。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係る電子制御装置は、プリント配線基板のフロー半田付けされる半田面側の電流回路の電流が流れる半田面電流パターンを構成し、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターンと、銅箔ベタパターンに形成されるスルーホールと、半田面側からスルーホールに実装され、フロー半田付け工法により半田付けされるジャンパーリード線とを備えた構成にしたので、特殊なジャンパ導体を用いることなく、汎用があり、かつ安価なジャンパーリード線で、プリント配線基板の通電容量を増大させ、かつ大電流が流れるプリント基板パターン部の放熱性能の拡大、および電流許容値を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1を示す図で、空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100を示す制御回路ブロック図。
【図2】実施の形態1を示す図で、空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100におけるノイズフィルタ回路8のリード部品実装側(部品面)から見たパターン全体図。
【図3】実施の形態1を示す図で、空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100におけるノイズフィルタ回路8のフロー半田付け側(半田面)から見たパターン全体図。
【図4】実施の形態1を示す図で、フロー半田付け側(半田面)の半田面大電流パターン27eを示す図((a)は半田付け面を見た図、(b)は側面から見た図(フロー半田付け前)、(c)は側面から見た図(フロー半田付け後))。
【図5】実施の形態1を示す図で、図4のA部拡大図。
【図6】実施の形態2を示す図で、プリント配線基板1の半田面大電流パターン27d,27gを示す図((a)は半田付け面を見た図、(b)は側面から見た図(フロー半田付け前)、(c)は側面から見た図(フロー半田付け後))。
【図7】実施の形態3を示す図で、プリント配線基板1の半田面を示す図。
【図8】実施の形態3を示す図で、半田面大電流パターン27eの拡大図。
【図9】実施の形態4を示す図で、プリント配線基板1の半田面を示す図。
【図10】実施の形態4を示す図で、銅箔ベタパターン28に亀裂が発生した状態を示す図。
【図11】比較のために示す図で、ジャンパーリード線30の配置がちどり状でない場合に亀裂が発生した状態を示す図。
【図12】実施の形態5を示す図で、プリント配線基板1を示す図。
【図13】実施の形態5を示す図で、半田面大電流パターン27eの銅箔ベタパターン28上に実装されたジャンパーリード線30を示す図。
【図14】実施の形態6を示す図で、プリント配線基板1のジャンパーリード線30部のクリンチ形状を側面から見た図((a−1)はジャンパーリード線30の一般的なクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け前)、(a−2)はジャンパーリード線30の一般的なクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け後)、(b−1)はクリンチテンションを弱くしたジャンパーリード線30のクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け前)、(b−2)はクリンチテンションを弱くしたジャンパーリード線30のクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け後))。
【図15】実施の形態7を示す図で、電子制御装置100のプリント配線基板1のリード付き部品が実装される面側(部品面)のパターン図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1乃至図5は実施の形態1を示す図で、図1は空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100を示す制御回路ブロック図、図2は空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100におけるノイズフィルタ回路8のリード部品実装側(部品面)から見たパターン全体図、図3は空気調和機の室外ユニットの電子制御装置100におけるノイズフィルタ回路8のフロー半田付け側(半田面)から見たパターン全体図、図4はフロー半田付け側(半田面)の半田面大電流パターン27eを示す図((a)は半田付け面を見た図、(b)は側面から見た図(フロー半田付け前)、(c)は側面から見た図(フロー半田付け後))、図5は図4のA部拡大図である。
【0012】
本実施の形態では、空気調和機の室外ユニットの運転制御を司る電子制御装置100を一例として説明する。空気調和機の室外ユニットは一例であり、電子制御装置100の対象となる機器は、空気調和機の室外ユニットに限定されるものではない。
【0013】
本実施の形態は、大電流を流す必要のある半田面大電流パターンを、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターンとする。そして、銅箔ベタパターンの上にジャンパーリード線を挿入するスルーホール穴を形成する。ジャンパーリード線をスルーホール穴に挿入して銅箔ベタパターン上に実装し、半田によりフロー半田付けするものである。
【0014】
ジャンパーリード線に半田が固着して、導電部の体積をジャンパーリード線の体積以上に増加させることができ、大電流が流れる半田面大電流パターンの放熱性能の拡大、および電流許容値を向上させることができる。
【0015】
先ず、電子制御装置100の定義を行う。電子制御装置100は、プリント配線基板1内に電流回路が形成され、フロー半田付け工法を用いてリード端子付き電子部品をプリント配線基板1に半田接合されるものをいう。この実施の形態では、一つのプリント配線基板1内に小電流回路と大電流回路とが混載されている。
【0016】
図1に示すように、種々の電子部品が実装されるプリント配線基板1で構成される電子制御装置100は、空気調和機の室外ユニットの運転制御を司る。交流商用電源2(50Hz又は60Hz)が、電子制御装置100に接続される。
【0017】
本実施の形態において一例として挙げる空気調和機は、室内ユニットと室外ユニットを有するセパレート形の空気調和機である。
【0018】
この交流商用電源2の交流を直流に変換するための整流回路3が、力率改善用リアクタ4を介して交流商用電源2に接続される。
【0019】
整流回路3には直流平滑コンデンサ5が接続される。直流平滑コンデンサ5にて生成された直流電圧を圧縮機用インバータ回路7により所望の交流電圧に変換し、圧縮機6に印加することで運転される。
【0020】
圧縮機6は、例えば密閉型圧縮機であり、回転式、スクロール式、往復式等がある。
【0021】
圧縮機6は、冷媒を圧縮する圧縮要素と、この圧縮要素を駆動する電動要素とを備える(いずれも図示せず)。
【0022】
圧縮要素を駆動する電動要素には、ブラシレスDCモータ、誘導電動機等が用いられる。
【0023】
ノイズフィルタ回路8は、圧縮機用インバータ回路7から発生するノイズを抑制する。また、交流商用電源2からの外来ノイズを抑制する。
【0024】
室外ユニットの電子制御装置100には、様々な室外ユニットの運転の制御を行う室外制御マイコン9が搭載される。室外制御マイコン9は、直流平滑コンデンサ5にて生成された直流電圧を、電源回路10にて生成されたマイコン駆動用電源にて動作する。
【0025】
また、この室外制御マイコン9は、インバータ制御回路11を介して、圧縮機6の運転(PWM)信号を圧縮機用インバータ回路7に与えている。PWMは、パルス幅変調(Pulse Width Modulation)のことである。
【0026】
空気調和機の室外ユニットには、図示しない冷凍サイクルを構成する室外熱交換器が設けられる。この室外熱交換器に送風を行う室外送風機は、ファンとこのファンを駆動するファンモータ12を備える。
【0027】
ファンモータ12は、室外制御マイコン9から駆動回路13を介して送信される駆動指令により駆動される。
【0028】
空気調和機の室外ユニットは、冷凍サイクルを構成する減圧装置として電子膨張弁14を備える。電子膨張弁14は、室外制御マイコン9から駆動回路15を介して送信される駆動指令により駆動される。
【0029】
また、空気調和機の室外ユニットは、冷凍サイクルの冷媒の温度を検出する冷媒温度検出用センサ16を備える。冷媒温度検出用センサ16の情報は、変換回路17を介して室外制御マイコン9に取り込まれる。
【0030】
また、空気調和機の室外ユニットは、圧力開閉スイッチ18を備える。圧力開閉スイッチ18の情報は、変換回路19を介して室外制御マイコン9に取り込まれる。
【0031】
また、空気調和機の室外ユニットの種々の運転動作を切替える切替スイッチ21が室外ユニットの電子制御装置100に設けられる。この切替スイッチ21の設定内容は、室外制御マイコン9に取り込まれるようにしている。
【0032】
また、電子制御装置100に不揮発性メモリ20が設けられて、室外制御マイコン9より種々の情報の書き込みおよび読み出しが行われる。
【0033】
図1の破線で囲まれる領域の電流回路部は、空気調和機の室外ユニットを運転した際、大電流が流れる大電流回路部220であり、例えば20A(アンペア)以上の電流が流れる場合がある。図1のその他の領域の電流回路部は、小電流が流れる小電流回路部であり、例えば20A(アンペア)より小さい電流が流れる。小電流回路部は、符号を付していない。
【0034】
図2、図3は電子制御装置100のプリント配線基板1のノイズフィルタ回路8を示す一例である。図2はノイズフィルタ回路8のリード部品実装側(部品面)から見た図である。
【0035】
ノイズフィルタ回路8には、発生ノイズ及び外来ノイズ抑制用のノイズフィルタ用コイル22a〜22c、ノイズフィルタ用コンデンサ23a〜23g等が備えられている。
【0036】
発生ノイズ及び外来ノイズ抑制用のノイズフィルタ用コイル22a〜22c、ノイズフィルタ用コンデンサ23a〜23g等のリード端子付き電子部品を、リード端子付き電子部品(リード部品)と定義する。
【0037】
プリント配線基板1のリード端子付き電子部品(リード部品)が実装される面を部品面と定義する。
【0038】
ノイズフィルタ回路8のリード部品実装側大電流パターン24a〜24h及びリード部品実装側小電流パターン25a〜25dは、種々の部品を接続するためのパターンである。
【0039】
図2において、斜線にて示すリード部品実装側大電流パターン24a〜24hのエリアが大電流が流れるパターン部である。
【0040】
図3はノイズフィルタ回路8のフロー半田付け側(半田面)から見た図である。ノイズフィルタ回路8には、種々の部品を接続するための半田面電流パターンが備えられ、小電流が流れる半田面小電流パターン26a〜26j及び大電流が流れる大電流回路部220の半田面大電流パターン27a〜27iが備えられている。
【0041】
図3において、斜線にて示す半田面大電流パターン27a〜27iのエリアが空気調和機の圧縮機6を運転する大電流が流れるパターン部であり、この実施の形態では、例えば20A(アンペア)以上の電流が流れる場合がある。また、半田面小電流パターン26a〜26jは、20Aより小さい電流が流れる。
【0042】
次に、この実施の形態の主要な構成について説明する。図4は例えば半田面大電流パターン27eを示す図である。
【0043】
図4において、半田面電流パターンの内、例えば20A以上の大電流を流す必要のある半田面大電流パターン27eは、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28とする。
【0044】
そして、銅箔ベタパターン28の上にジャンパーリード線30を挿入するスルーホール29を有する(図5も参照)。このプリント配線基板1において、ジャンパーリード線30を、銅箔ベタパターン28上に実装し、半田31によりフロー半田付けしている(フロー半田付け工法)。
【0045】
以上のように、電子制御装置100を構成することにより、フロー半田付けの際、ジャンパーリード線30には、半田31が固着して、導電部の体積をジャンパーリード線30の体積以上に増加させることができ、大電流が流れるパターン、例えば半田面大電流パターン27eの放熱性能の拡大、および電流許容値を向上させることができる。
【0046】
実施の形態2.
図6は実施の形態2を示す図で、プリント配線基板1の半田面大電流パターン27d,27gを示す図((a)は半田付け面を見た図、(b)は側面から見た図(フロー半田付け前)、(c)は側面から見た図(フロー半田付け後))である。
【0047】
図6において、半田面電流パターンの内、大電流を流す必要のある半田面大電流パターン27d,27gは銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28とする。
【0048】
半田面大電流パターン27d,27gは、夫々銅箔ベタパターン28の上にジャンパーリード線30を挿入するスルーホール29を有する。
【0049】
さらに、夫々の銅箔ベタパターン28の外周に、ある一定の幅(所定の幅)でレジスト部32を形成する処理を行った上で、ジャンパーリード線30を銅箔ベタパターン28上に実装し、フロー半田付けしている。
【0050】
レジスト部32は、半田面大電流パターン27d,27gの銅箔ベタパターン28間の電気絶縁性を確保するために施す。図6(a)のB部付近は、特に半田面大電流パターン27d,27gの銅箔ベタパターン28が接近している。そのため、フロー半田付けにより銅箔ベタパターン28同士が半田で短絡する可能性がある。夫々の銅箔ベタパターン28の外周に、ある一定の幅でレジスト部32を形成することで、フロー半田付け時の隣り合う銅箔ベタパターン28同士の半田による短絡を抑制することができる。
【0051】
以上のように、電子制御装置100のプリント配線基板1を構成することにより、フロー半田付けの際、ジャンパーリード線30には、半田31が固着して、導電部の体積をジャンパーリード線30の体積以上に増加させることができる。例えば、半田面大電流パターン27d,27gの放熱性能の拡大、及び電流許容値を向上させることができる。
【0052】
また、銅箔ベタパターン28の外周にある一定の幅でレジスト部32を形成することで、フロー半田付けの際、隣り合う銅箔ベタパターン28同士がフロー半田付けの際半田ショートしない様にすることができる。
【0053】
実施の形態3.
図7、図8は実施の形態3を示す図で、図7はプリント配線基板1の半田面を示す図、図8は半田面大電流パターン27eの拡大図である。
【0054】
図7において、大電流を流す必要のある半田面大電流パターン27a〜27iは、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28とする。
【0055】
夫々の銅箔ベタパターン28の上にジャンパーリード線30を挿入するスルーホール29を有し、このプリント配線基板1内には、幅寸法w(図5、図8)が全て略同一なジャンパーリード線30を、フロー半田付けしている。
【0056】
また、夫々の銅箔ベタパターン28の外周に、ある一定の幅でレジスト部32を形成する処理を行った上で、ジャンパーリード線30を銅箔ベタパターン28上に実装し、フロー半田付けしている。
【0057】
図8は半田面大電流パターン27eの拡大図であるが、図8では、半田面大電流パターン27eの銅箔ベタパターン28と、銅箔ベタパターン28に形成されるスルーホール29と、スルーホール29に挿入されるジャンパーリード線30とを示し、レジスト部32等は省略している。
【0058】
以上のように、電子制御装置100のプリント配線基板1を構成することにより、プリント配線基板1にジャンパーリード線30を自動挿入機にて実装する際、ジャンパーリード線30の幅寸法wを切り替える必要が無くなり、ジャンパーリード線30の幅寸法wを切り替えるための時間ロスが削減されることから、プリント配線基板1の生産性を向上させることができる。
【0059】
実施の形態4.
図9、図10は実施の形態4を示す図で、図9はプリント配線基板1の半田面を示す図、図10は銅箔ベタパターン28に亀裂が発生した状態を示す図である。図11は比較のために示す図で、ジャンパーリード線30の配置がちどり状でない場合に亀裂が発生した状態を示す図である。
【0060】
図9において、大電流を流す必要のある半田面大電流パターン27a〜27iは、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28とする。
【0061】
銅箔ベタパターン28の上にジャンパーリード線30を挿入するスルーホール29を有する。
【0062】
また、夫々の銅箔ベタパターン28の外周に、ある一定の幅でレジスト部32を形成する処理を行った上で、ジャンパーリード線30を銅箔ベタパターン28上に実装し、フロー半田付けしている。
【0063】
このプリント配線基板1において、ジャンパーリード線30を、銅箔ベタパターン28上に実装しこのプリント配線基板1内に、幅寸法w(図10)が全て同一なジャンパーリード線30を、お互いに組み合わされる様にちどり状に実装し、フロー半田付けしている。但し、ジャンパーリード線30の幅寸法wは、全て同一でなくてもよい。
【0064】
ジャンパーリード線30を銅箔ベタパターン28上にちどり状に実装しフロー半田付けすることにより、例えば、図10に示すような亀裂や断線が銅箔ベタパターン28内に発生しても、ジャンパーリード線30と半田31(図示せず)が、銅箔ベタパターン28内の亀裂や断線を補うように作用する。
【0065】
図11に示すように、ジャンパーリード線30の配置がちどり状でない場合は、亀裂や断線が銅箔ベタパターン28内に発生し、亀裂や断線が隣り合うジャンパーリード線30の間に発生する場合は、ジャンパーリード線30と半田31(図示せず)が、銅箔ベタパターン28内の亀裂や断線を補うことができない。
【0066】
以上のように、電子制御装置100のプリント配線基板1を構成することにより、例えばプリント配線基板1の銅箔ベタパターン28内に亀裂や断線が発生したとしても、ジャンパーリード線30と半田31が、銅箔ベタパターン28内の亀裂や断線を補うように作用するため、プリント配線基板1の安全性および信頼性を確保することができる。
【0067】
実施の形態5.
図12、図13は実施の形態5を示す図で、図12はプリント配線基板1を示す図、図13は半田面大電流パターン27eの銅箔ベタパターン28上に実装されたジャンパーリード線30を示す図である。
【0068】
図12において、大電流を流す必要のある半田面大電流パターン27a〜27iは、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターン28とする。
【0069】
銅箔ベタパターン28の上にジャンパーリード線30を挿入するスルーホール29を有する。
【0070】
また、夫々の銅箔ベタパターン28の外周に、ある一定の幅でレジスト部32を形成する処理を行った上で、ジャンパーリード線30を銅箔ベタパターン28上に実装し、フロー半田付けしている。
【0071】
このプリント配線基板1において、複数の幅寸法の異なるジャンパーリード線30を組み合わせる。
【0072】
例えば、図13に示すように、ジャンパーリード線30に、例えば、3種類のジャンパーリード線30a,30b,30cを組み合わせる。3種類のジャンパーリード線30a,30b,30cの幅寸法を、Wa、Wb、Wcとすると、Wa、Wb、Wcは次式の関係を満たす。
Wa>Wb>Wc (1)
【0073】
また、3種類のジャンパーリード線30a,30b,30cの実装方向を、フロー半田付けする際、プリント配線基板1の搬送方向に対し、水平方向および垂直方向に実装し、フロー半田付けしている。
【0074】
但し、ジャンパーリード線30の種類、配置は任意でよい。
【0075】
以上のように、プリント配線基板1を構成することにより、銅箔ベタパターン28上のジャンパーリード線30の実装密度が、実施の形態1乃至4のプリント配線基板1よりも大きくなるため、銅箔ベタパターン28の導電部の体積を増加させることができ、より一層の放熱性能の拡大及び電流許容値を向上させることができる。
【0076】
実施の形態6.
図14は実施の形態6を示す図で、プリント配線基板1のジャンパーリード線30部のクリンチ形状を側面から見た図((a−1)はジャンパーリード線30の一般的なクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け前)、(a−2)はジャンパーリード線30の一般的なクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け後)、(b−1)はクリンチテンションを弱くしたジャンパーリード線30のクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け前)、(b−2)はクリンチテンションを弱くしたジャンパーリード線30のクリンチ形状を側面から見た図(フロー半田付け後))である。
【0077】
図14において、プリント配線基板1のフロー半田付け面側よりジャンパーリード線30を自動挿入機にてクリンチ実装する際、一般的なクリンチ実装形状33(図14(a−1)、図14(a−2))に対し、クリンチのテンション(引き曲げ力)を通常のテンションより弱く、例えばクリンチ実装形状34のようなクリンチ形状とする(図14(b−1)、図14(b−2))。
【0078】
ジャンパーリード線30のクリンチ形状を、図14(b−1)、図14(b−2)に示すようなクリンチ実装形状34とすることにより、プリント配線基板1のフロー半田部の銅箔ベタパターン28の面とジャンパーリード線30との距離を、一般的なクリンチ実装形状33(図14(a−1)、図14(a−2))より広げることができる。
【0079】
以上のように、ジャンパーリード線30を自動挿入機にてクリンチ実装する際、クリンチのテンション(引き曲げ力)を通常のテンションより弱く、例えばクリンチ実装形状34のようなクリンチ形状とすることにより、フロー半田付けの際、ジャンパーリード線30には、プリント配線基板1のフロー半田部の銅箔ベタパターン28面とジャンパーリード線30との間の広がった空間(所定の大きさの空間)に、より多くの半田31が固着する。そのため、一般的なクリンチ実装形状33よりいっそうの放熱性能の拡大、および電流許容値を向上させることができる。
【0080】
実施の形態7.
図15は実施の形態7を示す図で、電子制御装置100のプリント配線基板1のリード付き部品が実装される面側(部品面)のパターン図である。
【0081】
図15において、リード付き電子部品は、フロー半田付け面から実装されたジャンパーリード線30のクリンチ実装形状34と接触しないような位置に配置され、フロー半田付けされる。
【0082】
リード付き電子部品は、例えば、ノイズフィルタ用コイル22a〜22c、ノイズフィルタ用コンデンサ23a〜23g等である。
【0083】
以上のように、プリント配線基板1を構成することにより、充電部である、フロー半田付け面から実装されたジャンパーリード線30のクリンチ実装形状34と、リード付き電子部品が接触しないことから、リード付き電子部品の安全性を確保することができる。
【0084】
尚、一般的に、半田材料には融点が低く、かつ溶融した半田は流動性、粘性、表面張力が適当で母材とのぬれ性が良く、しかも半田付け後の接合部の機械的強度や電気伝導性などの特性が求められる条件を満たすものが用いられる。本実施の形態でフロー半田付けに使用する半田には、鉛フリー半田を用いるのが好ましい。但し、錫と鉛の共晶半田でもよい。
【0085】
以下、本発明の実施の形態における電子制御装置の特徴を再言する。
【0086】
本発明の実施の形態における電子制御装置は、
プリント配線基板に電流回路が形成され、フロー半田付け工法を用いてリード端子付き電子部品が前記プリント配線基板に半田接合される電子制御装置であり、
前記プリント配線基板のフロー半田付けされる半田面側の前記電流回路の電流が流れる半田面電流パターンを構成し、銅箔を剥きだしとした銅箔ベタパターンと、
前記銅箔ベタパターンに形成されるスルーホールと、
前記半田面側から前記スルーホールに実装され、前記フロー半田付け工法により半田付けされるジャンパーリード線と、を備える。
【0087】
前記ジャンパーリード線が半田付けされる半田面電流パターンは、20A以上の電流が流れる半田面大電流パターンである。
【0088】
前記ジャンパーリード線が半田付けされる半田面電流パターンは、空気調和機の圧縮機を運転する電流が流れる半田面大電流パターンである。
【0089】
前記銅箔ベタパターンの外周に、所定の幅のレジスト部を形成する。
【0090】
前記プリント配線基板内の全ての前記ジャンパーリード線の幅寸法を、略同一寸法とする。
【0091】
前記ジャンパーリード線を、前記銅箔ベタパターンにちどり状に実装する。
【0092】
幅寸法の異なる前記ジャンパーリード線を組み合わせて、前記銅箔ベタパターンに実装する。
【0093】
前記ジャンパーリード線を前記プリント配線基板の半田面側よりクリンチ実装する際、前記銅箔ベタパターンと前記ジャンパーリード線との間に所定の大きさの空間が形成されるように、クリンチの引き曲げ力を弱くする。
【0094】
前記プリント配線基板の部品面に実装される前記リード端子付き電子部品が、前記ジャンパーリード線と接触しないように配置される。
【0095】
前記フロー半田付に鉛フリー半田を用いる。
【符号の説明】
【0096】
1 プリント配線基板、2 交流商用電源、3 整流回路、4 力率改善用リアクタ、5 平滑コンデンサ、6 圧縮機、7 圧縮機用インバータ回路、8 ノイズフィルタ回路、9 室外制御マイコン、10 電源回路、11 インバータ制御回路、12 ファンモータ、13 駆動回路、14 電子膨張弁、15 駆動回路、16 冷媒温度検出用センサ、17 変換回路、18 圧力開閉スイッチ、19 変換回路、20 不揮発性メモリ、21 切替スイッチ、22a ノイズフィルタ用コイル、22b ノイズフィルタ用コイル、22c ノイズフィルタ用コイル、23a ノイズフィルタ用コンデンサ、23b ノイズフィルタ用コイル、23c ノイズフィルタ用コイル、23d ノイズフィルタ用コイル、23e ノイズフィルタ用コイル、23f ノイズフィルタ用コイル、23g ノイズフィルタ用コイル、24a リード部品実装側大電流パターン、24b リード部品実装側大電流パターン、24c リード部品実装側大電流パターン、24d リード部品実装側大電流パターン、24e リード部品実装側大電流パターン、24f リード部品実装側大電流パターン、24g リード部品実装側大電流パターン、24h リード部品実装側大電流パターン、25a リード部品実装側小電流パターン、25b リード部品実装側小電流パターン、25c リード部品実装側小電流パターン、25d リード部品実装側小電流パターン、26a 半田面小電流パターン、26b 半田面小電流パターン、26c 半田面小電流パターン、26d 半田面小電流パターン、26e 半田面小電流パターン、26f 半田面小電流パターン、26g 半田面小電流パターン、26h 半田面小電流パターン、26i 半田面小電流パターン、26j 半田面小電流パターン、27a 半田面大電流パターン、27b 半田面大電流パターン、27c 半田面大電流パターン、27d 半田面大電流パターン、27e 半田面大電流パターン、27f 半田面大電流パターン、27g 半田面大電流パターン、27h 半田面大電流パターン、27i 半田面大電流パターン、28 銅箔ベタパターン、29 スルーホール、30 ジャンパーリード線、30a ジャンパーリード線、30b ジャンパーリード線、30c ジャンパーリード線、31 半田、32 レジスト部、33 クリンチ実装形状、34 クリンチ実装形状、100 電子制御装置、220 大電流回路部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロー半田付けされる半田面を有し、前記半田面の所定のエリア内にスルーホールが形成されたプリント配線基板と、
前記半田面にフロー半田付けされるリード端子付き電子部品と、
前記半田面の前記所定のエリア内に形成され、前記リード端子付き電子部品に接続されて電流を流す電流パターンであり、銅箔が剥きだしの銅箔ベタパターンと、
前記半田面側から前記スルーホールに挿入されて前記銅箔ベタパターンの上にちどり状に実装され、前記銅箔ベタパターンにフロー半田付けされるジャンパーリード線と
を備えたことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記銅箔ベタパターンは、20A以上の電流を流す電流パターンであることを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記銅箔ベタパターンは、空気調和機の圧縮機を運転する電流を流す電流パターンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記銅箔ベタパターンの外周に、所定の幅のレジスト部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記銅箔ベタパターンの上に実装された全ての前記ジャンパーリード線の幅が、略同一であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子制御装置。
【請求項6】
幅の異なる前記ジャンパーリード線が組み合わせられて、前記銅箔ベタパターンの上に実装されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記リード端子付き電子部品が、前記プリント配線基板の前記半田面と逆側の面に前記ジャンパーリード線と接触しないように配置されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子制御装置。
【請求項8】
前記フロー半田付けに鉛フリー半田が用いられたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−30796(P2013−30796A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−219933(P2012−219933)
【出願日】平成24年10月2日(2012.10.2)
【分割の表示】特願2009−6189(P2009−6189)の分割
【原出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】