説明

電子回路装置及びその製造方法

【課題】端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続されてもウィスカの発生が少ないPbフリー半田を用いた導電接続部を備えた電子回路装置を提供する。
【解決手段】導電接続部11aと導電接続部11aから延長して構成される電気配線部11bを備え、前記導電接続部11aは、絶縁性のベース部材1とこのベース部材1上に形成された導体層2とこの導体層2上に形成されたPbフリー半田層3とベース部材1に接着剤4で接着された補強材5とを少なくとも備え、前記補強材5と接着剤4の少なくとも一方は前記Pbフリー半田層3に前記端子の先端部12から局部的に荷重が加えられた場合にPbフリー半田層3に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成された電子回路装置とすることにより、Pbフリー半田層3の内部応力が小さくでき、ウィスカの発生を少なくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部と導電接続部から延長して構成される電気配線部を備え、Pbフリー半田(実質的にPbを含まない接合材)を用いた電子回路装置及びその製造方法、前記電子回路装置を搭載した光ピックアップ装置及び光ディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路装置の導電接続部は表面処理としてSn−Pb系半田が用いられてきた。しかし、前記のSn−Pb系半田に含まれるPbは人体に有害な重金属であり、地球環境の汚染、生物への悪影響が指摘され、導電接続部材に限らず半田はSn−Pb系材料から実質的にPbを含まない半田、いわゆるPbフリー半田への転換が急がれている。
【0003】
Pbフリー半田材料としては、Sn単体もしくはSnにAg、Cu、Bi、Inなどが含まれた合金などが提案されている。しかし、SnもしくはSn合金が用いられたPbフリー半田にはウィスカと呼ばれるSnのヒゲ結晶がPbフリー半田の表面から伸びるという現象が見られ、室温での長時間放置で数mmに達する場合もある。このウィスカは金属の結晶であるため、電気回路の中において短絡を引き起こすという問題も発生していた。
【0004】
ウィスカの発生はPbフリー半田内で発生する内部応力が原因とされ、以下の通りのような発生メカニズムが考えられている。これを図8を使って説明する。
【0005】
図8(A)は電子回路装置の導電接続部の断面図の初期状態である。ベース51上に形成されたCu層52は導体層であり、Sn層53はCu層52の表面に表面処理として設けられたPbフリー半田層である。このような構成の導電接続部は室温などの環境下で放置されると、図8(B)に示すように導電接続部のCu層52からSn層53の方にCu原子の拡散56が発生する。すると、図8(C)に示すようにCu層52とSn層53の間でCuとSnが反応してCu6Sn5化合物54が生成される。Cu6Sn5化合物54は体積が大きいため、Sn層53に圧縮方向の内部応力57として働く。最終的に図8(D)に示すように、Cu6Sn5化合物54に押し出される形で表面被膜の弱い所からSn結晶がSn層52の外側に成長し、ウィスカ55となる。
【0006】
このウィスカの対策としてPbフリー半田めっきそのものに対するさまざまな対策のほか、(特許文献1)に示されているようなCu層の上にSn層の下地層としてNi層をめっきし、Ni層がバリアとなってCuがSnへ拡散しにくくし、ウィスカの発生を抑制する方法や、(特許文献2)に示されているような加熱処理を施し、圧縮方向の内部応力を除去してウィスカの発生を抑制する方法が示され、ウィスカの発生は抑えられるようになってきた。
【特許文献1】特開2002−302790号公報
【特許文献2】特開2002−69688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の対策はいずれも内側からの応力に対する対策であって、外部から局部的に加えられる応力に対する対策はなされていなかった。例えば、光ディスク装置に搭載される光ピックアップ装置に搭載されるフレキシブルプリント回路の導電接続部を代表とする導電接続部は端子の先端部から局部的に荷重を加えられて導電接続され、固定される。このような導電接続部では固定されたままの状態で長時間放置すると、実際に荷重が加えられた周辺からウィスカが発生してくるという問題があることが新たにわかってきた。従来考えられてきたウィスカの発生メカニズムから次のような発生メカニズムが推測される。
【0008】
図9は、実際に端子の先端部から荷重を加えられた導電接続部(前記光ディスク装置に搭載される光ピックアップ装置に搭載されるフレキシブルプリント回路の導電接続部)の断面図である。図8と同様にベース部材61、Cu層52、Sn層53という構成であり、さらに接着剤62で補強材63をベース部材61のCu層22と反対側に接着している。このフレキシブルプリント回路では導電接続部から延長して構成される電気配線部においてチップ部品が別のPbフリー半田で実装されるために、ベース部材61はポリイミド樹脂、接着剤62は熱硬化性接着剤、補強材63はポリイミド樹脂という耐熱性のある材料で構成されている。
【0009】
電気的接続を得るためにSn層53は端子58の先端部59から局部的に荷重60が加えられる。すると、Sn層53内部では従来のウィスカの発生メカニズムとは逆のSn層53の表面側から圧縮方向に内部応力がかかることになる。そして端子58の先端部59からの荷重による内部応力に押し出される形でSn層53の表面の弱いところからウィスカ55が成長すると考えられる。また仮に従来のウィスカの発生メカニズムで発生する内部応力が残っていれば、ウィスカ55の成長は助長される。
【0010】
従来行われてきたウィスカ対策はリードフレーム等の半田付けをして導電接続をするようなPbフリー半田に偏っていた。すなわち、端子の先端部のような導電接続部の外側から局部的に荷重が加えられる系は想定していなかったと言える。従って、従来のウィスカ対策の方法及びその組み合わせた方法だけでは、前記のような導電接続部の外側から局部的に荷重が加えられる系に対しては、効果が必ずしも十分ではなかったと言え、前記従来の方法だけではウィスカ対策はまだまだ効果が不十分であるという課題がある。
【0011】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続されてもウィスカの発生が少ないPbフリー半田を用いた導電接続部を備えた電子回路装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するために本発明の電子回路装置は、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部と導電接続部から延長して構成される電気配線部を備え、前記導電接続部は、絶縁性のベース部材とこのベース部材上に形成された導体層とこの導体層上に形成されたPbフリー半田層とベース部材に接着剤で接着された補強材とを少なくとも備え、前記補強材と接着剤の少なくとも一方は前記Pbフリー半田層に前記端子の先端部から局部的に荷重が加えられた場合にPbフリー半田層に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成されたものである。
【0013】
したがって、電子回路装置の導電接続部のPbフリー半田層に端子の先端部から局部的に荷重を加えられても補強材と接着剤の少なくとも一方はPbフリー半田層に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成されるので、Pbフリー半田層の内部応力は小さくなり、ウィスカの発生を抑えることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のPbフリー半田を使用した導電接続部を備える電子回路装置は、Pbフリー半田層が端子の先端部から局部的に荷重を加えられて導電接続され、固定されてもウィスカの発生が抑えられるため、電気回路におけるウィスカが原因で起こる短絡等に対する信頼性を格段に上げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の請求項1に記載の発明は、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部と導電接続部から延長して構成される電気配線部を備え、前記導電接続部は、絶縁性のベース部材とこのベース部材上に形成された導体層とこの導体層上に形成されたPbフリー半田層とベース部材に接着剤で接着された補強材とを少なくとも備え、前記補強材と接着剤の少なくとも一方は前記Pbフリー半田層に前記端子の先端部から局部的に荷重が加えられた場合にPbフリー半田層に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成された電子回路装置であり、補強材と接着剤の少なくとも一方はPbフリー半田層に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成されるため、ウィスカの発生が抑えられる。また、電気回路におけるウィスカが原因で起こる短絡等に対する信頼性を格段に上げられる。
【0016】
本発明の請求項2に記載の発明は、補強材はポリエステル樹脂で構成された請求項1に記載の電子回路装置であり、補強材が柔軟性のあるポリエステル樹脂で構成されているためPbフリー半田層の内部応力を吸収し、ウィスカの発生が抑えられる。また、裁断も容易で生産性を上げることができる。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明は、接着剤はアクリル系粘着剤で構成された請求項1に記載の電子回路装置であり、接着剤が柔軟性のあるアクリル系粘着剤で構成されているためPbフリー半田層の内部応力を吸収し、ウィスカの発生が抑えられる。また、粘着剤は両面テープとして扱えるため、扱いが容易で生産性を上げることができる。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明は、電気配線部は一部に開口部を備え、前記開口部は前記ベース部材と前記導体層と前記Pbフリー半田層を有し、前記Pbフリー半田層に別のPbフリー半田によりチップ部品が実装された請求項1から3のいずれかに記載の電子回路装置であり、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部だけでなくチップ部品の実装された電気配線部も含めた電子回路装置全体の半田をウィスカの発生が抑えられたPbフリー半田にすることができる。
【0019】
本発明の請求項5に記載の発明は、ベース部材はポリイミド樹脂で構成された請求項4に記載の電子回路装置あり、Pbフリー半田を使ったチップ部品の実装が従来の装置で実施することができ、安価な電子回路装置ができる。
【0020】
本発明の請求項6に記載の発明は、絶縁性のベース部材上に導体層を形成し、この導体層上に端子の先端部から局部的に荷重が加えられるPbフリー半田層を形成し、電気配線部の開口部の前記Pbフリー半田層に別のPbフリー半田によりチップ部品を実装した後、導電接続部のベース部材に補強材を接着剤で接着する電子回路装置の製造方法であり、補強材が熱に弱いポリエステル樹脂で構成されていてもPbフリー半田を使ったチップ部品の実装ができ、ウィスカの発生が抑えられた電子回路装置を製造できる。また、電子回路装置を複数並べて一度に導電接続部のベース部材に補強材を接着剤で接着することができるので生産性を上げることができる。
【0021】
本発明の請求項7に記載の発明は請求項1から5のいずれかに記載の電子回路装置の導電接続部と前記端子から構成された導電接続器であり、簡単な方法で導電接続することができる。
【0022】
本発明の請求項8に記載の発明は請求項5に記載された電子回路装置を搭載した光ピックアップ装置であり、ウィスカの発生が抑えられるため、発生したウィスカが折れて光路の一部を塞がないので安定した記録再生特性を得ることができる。
【0023】
本発明の請求項9に記載の発明は請求項7に記載された導電接続器を搭載した光ディスク装置であり、小型、軽量化が実現できる。
【0024】
本発明の請求項10に記載の発明は請求項8に記載された光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置であり、信頼性を高く、記録再生特性を安定させることができる。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における電子回路装置の導電接続部の断面図を示す。図1において、導電接続部11aは絶縁性のベース部材1上に導体層2が形成され、さらに導体層2上にPbフリー半田層3が形成された構成になっている。また、補強材5はベース部材1の導体層2と反対側に接着剤4で接着されている。
【0026】
ベース部材1は導電接続部11aのベースとしての役割だけでなく、導電接続部11aから延長して構成される電気配線部11bのベースとしての役割もあわせ持つ。ベース部材1は絶縁性を有しており、柔軟性があるポリイミド樹脂である。厚さは10〜50μmであり、電気配線部11bでの良好な可撓性を有するためには10〜15μmが望ましい。また、製造工程上耐熱性が要求されなければ、ポリエステル樹脂でも良い。導体層2は導電接続部11aでの導電接続、電気配線部11bでの電気的配線の役割を果たす。導体層2は圧延または電解Cuで形成される。厚さは10〜80μmで、電気配線部11bでのパターンの細かさ、良好な可撓性を有するためには10〜25μmが望ましい。Pbフリー半田層3は導体層2の保護層である。Sn単体もしくはSnにAg、Cu、Bi、Inの少なくとも1つが含まれた合金であり、4〜12μmの厚さを有する。接着剤4は補強材5とベース部材1を接着する。応力を吸収できるよう、柔軟性のあるアクリル系粘着剤であり、40〜50μmの厚さを有する。補強材5は導電接続部11a全体に剛性を与え、カール等の変形を抑えるためのものである。応力を吸収できるよう、ポリイミド樹脂よりも柔軟性のあるポリエステル樹脂で構成され、100〜300μmの厚さを有する。カバー材6は導体層2の表面を覆い、保護するもので電気配線部11bの導体層2が不用意に他の個所と接触しないようにする。ポリイミド樹脂を接着して行うが、フォトレジスト等をコーティングして形成しても良い。また、製造工程上耐熱性が要求されなければ、ポリエステル樹脂を接着しても良い。厚さは10〜50μmであり、電気配線部11bでの良好な可撓性を有するためには10〜15μmが望ましい。
【0027】
Pbフリー半田層3に端子の先端部12から局部的に荷重が加えられると、導体層2は変形を起こし、ベース部材1は薄いために応力を吸収しきれず、接着剤4、補強材5の少なくとも一方は荷重を受けてたわみ、収縮し、変形し、Pbフリー半田層3の内部応力を吸収する。補強材5と接着剤4はそれぞれより柔軟性のあるポリエステル樹脂とアクリル系粘着剤で構成されているために、十分に応力が吸収され、ウィスカの発生が抑えられる。また、それにより短絡等に対する信頼性をさらに上げることができる。
【0028】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に関し、チップ部品をPbフリー半田で実装された電子回路装置について図2〜図4を使って説明する。図2はPbフリー半田を使ってチップ部品が実装された電子回路装置の断面図、図3はその製造方法を示したフローチャートである。また、図4は電子回路装置の導電接続部周辺の上面図である。ベース部材1上に導体層2を形成し、カバー材6を形成した後さらに導電接続部11aのPbフリー半田層3と電気配線部11bの開口部7のPbフリー半田層3を同時に形成する。
【0029】
次に電気配線部11bの補強材9を接着剤8にて接着し、外形を所定の寸法に形成する。このとき、電気配線部11bは最終寸法に形成し、導電接続部11aは図4にあるように位置決めピン穴13aを設け、最終外形14より大きく形成する。電気配線部11bの補強材9は電気配線部11bの必要な個所に剛性を与え、カール等の変形を抑えるためのものである。次に電気配線部11bの開口部7のPbフリー半田層3に各種チップ部品10を別のPbフリー半田を使って実装する。
【0030】
次に位置決めピン穴13bを設けられた補強材5を位置決めピンにはめ込み、位置決めピン穴13bを設けられた粘着剤である接着剤4を位置決めピンにはめ込む。さらにベース部材1の位置決めピン穴13aを位置決めピンにはめ込んで加圧、加熱して補強材5をベース部材1の導体層2と反対側に接着する。加圧、加熱条件は0.2MPa、100℃×15秒程度である。最後に、所定の寸法になるように導電接続部11aの最終外形14を形成する。
【0031】
導体層2、Pbフリー半田層3、接着剤4、補強材5は実施の形態1と同じ材料、構成である。ベース部材1はポリイミド樹脂、カバー材6はポリイミド樹脂であるがフォトレジスト等のコーティングでも良い。構成はいずれも実施の形態1と同じである。電気配線部11bの補強材9はポリイミド樹脂であり、50〜100μmの厚さである。接着剤8は熱硬化性接着剤であり、10〜20μmの厚さである。ベース部材1、カバー材6、電気配線部11bの補強材9、接着剤8はいずれもPbフリー半田を使ってチップ部品10を実装するのに十分な耐熱性を有する必要がある。チップ部品10は通常のチップ抵抗、チップコンデンサ、チップインダクタ、可変抵抗、IC等の電子部品である。チップ部品10を実装するためのPbフリー半田はSn単体もしくはSnにAg、Cu、Bi、Inの少なくとも1つが含まれた合金である。
【0032】
ここで、Pbフリー半田を使ってチップ部品10が実装される段階で使用されている材料であるベース部材1、導体層2、Pbフリー半田層3、カバー材6、電気配線部11bの補強材9、接着剤8はいずれもPbフリー半田を使ったチップ部品10の実装に対する耐熱性を有しており、Pbフリー半田を使ってチップ部品10を実装することができる。また、導電接続部11aではPbフリー半田を使ってチップ部品10を実装した後で補強材5を接着するために熱に弱いポリエステル樹脂で構成された補強材5を使うことができ、ウィスカの発生を抑えることができる。また、チップ部品10の実装済品を複数枚並べて同時に補強材5の接着をし、所定の寸法に外形を形成する製造工程にすることも可能であり、生産性を上げることができる。
【0033】
(実施の形態3)
次に実施の形態3に関し、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される電子回路装置の導電接続部と前記端子から構成された導電接続器について図5に示すフレキシブルプリント回路における導電接続器の断面図を例として説明する。コネクタ15は大きく分けて本体部15a、可動片15d、端子16から構成される。電子回路装置の導電接続部11aはコネクタ15の開口部15bより矢印A方向に当接部15cに当接するまで挿入される。このとき電子回路装置の電気配線部は開口部15bの外側になるが、図示していない。導電接続部11aの挿入量は当接部15cに当接することで規制される。次に可動片15dを矢印B方向に挿入すると導電接続部11aが本体部15aの内部で弾性部16a方向に押し上げられ、先端部16bに押し当てられ、導電接続部11aと端子16は導電接続される。さらに端子16は外部端子部16cから外部と電気的接続が行われる。ここで使われる導電接続部11aを備える電子回路装置11は実施の形態1で示したチップ部品10を実装しない形態のものか、実施の形態2で示したPbフリー半田を使ってチップ部品10を実装した形態のものかいずれか一方である。
【0034】
導電接続部11aはコネクタ15に挿入され、固定されると、弾性部16aのバネ圧により先端部16bから矢印方向の荷重Cが局部的に加えられることになる。このとき、導電接続部11aでは補強材5と接着剤4がPbフリー半田層3に発生する内部応力を吸収するためにウィスカの発生が抑えられる。
【0035】
コネクタ15は本タイプだけでなく、導電接続部11aが先端部16bに押し当てられるその他の形態でも使うことができる。
【0036】
(実施の形態4)
図6(A)は実施の形態4における光ピックアップ装置の斜視図、図6(B)は光ピックアップ装置に搭載された電子回路装置としてのフレキシブルプリント回路の上面図の例である。この例のフレキシブルプリント回路17は導電接続部11aとPbフリー半田を使ってチップ部品10が実装された電気配線部11bで構成される。フレキシブルプリント回路17の構成は実施の形態2と同じである。電気配線部11bにはチップ部品10として前記の通常のチップ抵抗、チップコンデンサ、チップインダクタ、可変抵抗、IC等の電子部品が実装されている。光ピックアップ装置18はフレキシブルプリント回路17、キャリッジ19、カバー20、光学系21、駆動系22を含んでいる。光ピックアップ装置18はフレキシブルプリント回路17の導電接続部11aから実施の形態3と同様の端子16を含むコネクタ15を通し、外部の光ピックアップモジュール装置、さらに光ディスク装置へと接続される。フレキシブルプリント回路17にはレーザーダイオード、センサー等が組み込まれ、光ピックアップ装置18に搭載される。また、キャリッジ19にはミラー、プリズム等の光学部品が組み込まれ、レーザーダイオード、センサー等と合わせて光学系21を構成している。これらの大半はキャリッジ19とカバー20の間の所定の位置に置かれている。光ピックアップ装置18は光ディスクにレーザー光を照射することで、光ディスクに情報を書き込む(記録)かあるいは情報を読み出す(再生)動作の少なくとも一方を行う。
【0037】
光ピックアップ装置18の導電接続部11aにウィスカが発生するとストライプ状の導電接続部間の隣同士の短絡の危険に加え、仮にウィスカが折れて飛散した時に光学系21の光路の一部を塞ぎ、記録再生特性に悪影響を及ぼす固有の恐れがあった。しかし、ウィスカの発生が抑えられているので、ウィスカが折れて光路の一部をを塞ぐ恐れがなくなった。
【0038】
(実施の形態5)
図7(A)は実施の形態5における光ディスク装置の斜視図、図7(B)は光ディスク装置に搭載された光ピックアップ装置の斜視図、図7(C)は光ディスク装置に搭載されたフレキシブルプリント回路を例とする電子回路装置の上面図の例である。光ピックアップ装置18の構成は実施の形態4と同じである。また、フレキシブルプリント回路23にはチップ部品10の実装はなく、実施の形態1と同じである。光ディスク装置24において筐体24aの奥部に固定して設けられた回路基板24bは図示していないが信号処理系のICや電源回路及び各種チップ部品等が搭載されている。フレキシブルプリント回路23はトレイ24cに設けられた図示していない回路基板と回路基板24bとを電気的に接続する。フレキシブルプリント回路23は略U字型に形成され、導電接続部11aの一方は回路基板24bに搭載されたコネクタ15に接続され、もう一方の導電接続部11aはトレイ24cに設けられた回路基板に搭載されたコネクタ(図示せず)に電気的に接続される。フレキシブルプリント回路23の構成は実施の形態1の構成にしても良い。また、コネクタ15はそれぞれ実施の形態3と同様の端子の先端部が局部的に電子回路装置の導電接続部に荷重を加える形態のものである。
【0039】
トレイ24cは筐体24aにレール24f、24gにて出没自在に設けられており、光ピックアップ装置18、スピンドルモータ24d等を搭載する。トレイ24cの前端面に設けられたベゼル24eはトレイ24cが筐体24a内に収納された時にトレイ24cの出没口を塞ぐように構成されている。光ピックアップ装置18の導電接続部11aはトレイ24cに搭載されたコネクタ(図示せず)で電気的に接続される。このコネクタは実施の形態3と同様の端子の先端部が局部的に電子回路装置の導電接続部に荷重を加える形態のものであり、この導電接続器は実施の形態3の導電接続器である。導電接続部11aのPbフリー半田層のウィスカの発生が抑えられるため、導電接続部11aのストライプ状の導電接続部間の隣同士の短絡の危険を回避することができ、導電接続部間の隣同士の間隔を縮めることができる。小型化、軽量化をを目指す光ディスク装置にとってこの点はメリットになる。
【0040】
なお、実施の形態4、5において光ピックアップ、光ディスク装置を応用例に挙げているが、それに限るものではなく、携帯電話その他、端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部を有するPbフリー半田を使う電子回路装置を使用する製品全てに応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上のように、本発明にかかる電子回路装置及びその製造方法はPbフリー半田を使用した電子回路装置の導電接続部が端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続され、固定されてもウィスカの発生を抑えることができ、電気回路におけるウィスカが原因で起こる短絡等に対する信頼性を格段に上げることができるので、光ピックアップ装置、光ディスク装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態1における電子回路装置の断面図
【図2】本発明の実施の形態2における電子回路装置の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における電子回路装置の製造方法のフローチャート
【図4】本発明の実施の形態2における電子回路装置の導電接続部周辺の上面図
【図5】本発明の実施の形態3における導電接続器の断面図
【図6】(A)は本発明の実施の形態4における光ピックアップ装置の斜視図、(B)は本発明の実施の形態4において搭載された電子回路装置としてのフレキシブルプリント回路の上面図
【図7】(A)は本発明の実施の形態5における光ディスク装置の斜視図、(B)は本発明の実施の形態5において搭載された光ピックアップ装置の斜視図、(C)は本発明の実施の形態5において搭載されたフレキシブルプリント回路を例とする電子回路装置の上面図
【図8】(A)〜(D)はウィスカの発生メカニズムを示す断面図
【図9】新たな課題のウィスカの発生メカニズムを示す断面図
【符号の説明】
【0043】
1 ベース部材
2 導体層
3 Pbフリー半田層
4 接着剤
5 補強材
6 カバー材
7 電気配線部の開口部
8 接着剤
9 電気配線部の補強材
10 チップ部品
11 電子回路装置
11a 導電接続部
11b 電気配線部
12 端子の先端部
13 位置決めピン穴
14 導電接続部の最終外形
15 コネクタ
16 端子
17 フレキシブルプリント回路
18 光ピックアップ装置
19 キャリッジ
20 カバー
21 光学系
22 駆動系
23 フレキシブルプリント回路
24 光ディスク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子の先端部から局部的に荷重を加えられて端子に導電接続される導電接続部と導電接続部から延長して構成される電気配線部を備え、前記導電接続部は、絶縁性のベース部材とこのベース部材上に形成された導体層とこの導体層上に形成されたPbフリー半田層とベース部材に接着剤で接着された補強材とを少なくとも備え、前記補強材と接着剤の少なくとも一方は前記Pbフリー半田層に前記端子の先端部から局部的に荷重が加えられた場合にPbフリー半田層に発生する内部応力を吸収する部材を含んで構成された電子回路装置。
【請求項2】
補強材はポリエステル樹脂で構成された請求項1に記載の電子回路装置。
【請求項3】
接着剤はアクリル系粘着剤で構成された請求項1に記載の電子回路装置。
【請求項4】
電気配線部は一部に開口部を備え、前記開口部は前記ベース部材と前記導体層と前記Pbフリー半田層を有し、前記Pbフリー半田層に別のPbフリー半田によりチップ部品が実装された請求項1から3のいずれかに記載の電子回路装置。
【請求項5】
ベース部材はポリイミド樹脂で構成された請求項4に記載の電子回路装置。
【請求項6】
絶縁性のベース部材上に導体層を形成し、この導体層上に端子の先端部から局部的に荷重が加えられるPbフリー半田層を形成し、電気配線部の開口部の前記Pbフリー半田層に別のPbフリー半田によりチップ部品を実装した後、導電接続部のベース部材に補強材を接着剤で接着する電子回路装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の電子回路装置の導電接続部と前記端子から構成された導電接続器。
【請求項8】
請求項5に記載された電子回路装置を搭載した光ピックアップ装置。
【請求項9】
請求項7に記載された導電接続器を搭載した光ディスク装置。
【請求項10】
請求項8に記載された光ピックアップ装置を搭載した光ディスク装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2006−32523(P2006−32523A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206923(P2004−206923)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】