電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具
【課題】立体被装着体への電子回路部品の装着を行うために改善された電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具を提供する。
【解決手段】立体基板保持治具160の第二部分182を第一部分180に対して上昇させ、立体基板支持体186をパレット184から持ち上げ、立体基板140を支持させてパレット184から浮き上がらせた状態で駆動装置334により水平軸線まわりに回動させる。カム270,272のカム面の当接面296への当接により、立体基板140の上面142に対して傾斜した側面が順次、水平に位置決めされ、平板状の回路基板と同様に吸着ノズルの水平方向移動,昇降により電子回路部品が装着される。立体基板支持体186を回動装置336によって鉛直軸線まわりに回動させることにより水平軸線の向きを変え、立体基板140を別の水平軸線まわりに回動させ、別の側面を水平とし、電子回路部品を装着させる。
【解決手段】立体基板保持治具160の第二部分182を第一部分180に対して上昇させ、立体基板支持体186をパレット184から持ち上げ、立体基板140を支持させてパレット184から浮き上がらせた状態で駆動装置334により水平軸線まわりに回動させる。カム270,272のカム面の当接面296への当接により、立体基板140の上面142に対して傾斜した側面が順次、水平に位置決めされ、平板状の回路基板と同様に吸着ノズルの水平方向移動,昇降により電子回路部品が装着される。立体基板支持体186を回動装置336によって鉛直軸線まわりに回動させることにより水平軸線の向きを変え、立体基板140を別の水平軸線まわりに回動させ、別の側面を水平とし、電子回路部品を装着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具に関するものであり、特に、立体被装着体に電子回路部品を装着する方法、その方法が実施される装着機および電子回路部品の装着時に立体被装着体を保持する保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、立体基板に電子回路部品を装着する方法が記載されている。この方法によれば、吸着ヘッドの水平軸線まわりの回動と、吸着ヘッドまたは立体基板の鉛直軸線まわりの回動とにより、吸着ヘッドの吸着ノズルにより保持された電子回路部品が立体基板の鉛直な壁面と正対する状態が得られ、吸着ヘッドの下降および水平方向の移動により電子回路部品が壁面へ移動させられ、装着される。吸着ヘッドの水平軸線まわりの回動により、吸着ノズルの水平面に対する角度が90度と0度とに変更され、部品供給装置からの電子回路部品の取出し時には90度とされ、立体基板への電子回路部品の装着時には0度とされ、壁面に対して直角とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−154798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法には、未だ改善の余地がある。例えば、立体基板への電子回路部品の装着に、吸着ヘッドが水平軸線まわりに回動可能に設けられるとともに、吸着ヘッドを回動させる回動装置を備えた専用の電子回路部品装着機が必要である。特に、立体基板に対して昇降および水平移動させられる吸着ヘッドが回動させられるようにすれば、構成が複雑となり、高価な電子回路部品装着機が必要となって装着コストが高くなり、あるいは、吸着ヘッドが水平移動させられるものである場合に、吸着ヘッドと共に移動させられる部分の質量が大きくなって、迅速に移動させることが困難になるというように、改善の余地があるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、立体被装着体への電子回路部品の装着を行うために改善された電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法を、(A)前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、(B)前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程とを含む方法とすることにより解決される。
なお、本明細書においては、立体被装着体の、その立体被装着体を回動させることなく電子回路部品の装着を行い得る部分を1つの被装着面とみなすこととする。したがって、第一被装着面と第二被装着面とが共に平面である場合には、それら2つの平面の各々の全体がそれぞれ第一被装着平面および第二装着平面であり、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」とは、それぞれ平面である第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いていることである。また、第一被装着面と第二被装着面とが共に曲面である場合には、それらの各々の、平面とみなし得る部分同士が互いに傾いていることが「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」ことである。したがって、第一被装着面と第二装着面とが曲率が徐変する1つの曲面の各一部である場合は勿論、曲率が一定の1つの曲面の各一部であっても、それぞれ平面とみなし得る部分同士が互いに傾いている場合には、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」に当たる。また、第一被装着面と第二被装着面との一方が平面で他方が曲面である場合には、その他方の平面とみなし得る部分と平面である前記一方とが互いに傾いていることが、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」に当たる。
【0006】
また、上記の課題は、(I)電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、(II) (a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置とを含む電子回路部品装着機を、前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むものとすることにより解決される。
【0007】
さらに、上記の課題は、(α)(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、(β)(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置とを含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具を、前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0008】
被装着面が基準平面に平行な平面である回路基板に電子回路部品を装着する既存の電子回路部品装着機は、部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の構成のものとされることが多い。本発明に係る電子回路部品装着方法によれば、立体被装着体を回動させることにより、それの互いに傾いている第一,第二被装着面の各々を基準平面と平行とし、部品保持具に対する相対角度が一定の状態とすることができるため、部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変である既存の電子回路部品装着機を利用して立体被装着体への電子回路部品の装着を行うことができる。立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる回動装置を設けることは必要であるが、部品保持具の基準平面に対する相対角度が変更される専用の電子回路部品装着機を使用する場合に比較して安価に実施することができ、あるいは部品保持具を迅速に移動させることにより作業能率を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る電子回路部品装着機においては、本発明に係る電子回路部品装着方法が実施され、装着コストの増大を抑えつつ、あるいは作業能率の低下を抑制しつつ、立体被装着体の互いに傾いている第一,第二被装着面の各々に電子回路部品を装着することができる。
【0010】
本発明に係る立体被装着体保持治具を既存の電子回路部品装着機に設けることにより、立体被装着体に電子回路部品が装着される電子回路部品装着機が容易に得られる。
本発明に係る立体被装着体保持治具は、電子回路部品装着機以外の対回路基板作業機、例えば、接着剤塗布機,はんだ転写機,スクリーン印刷機,立体被装着体検査機にも設けることができる。これら対回路基板作業機は、被装着体昇降装置と、被装着面について作業を行う作業部と上記保持具移動装置と同様に構成される作業部移動装置とを含む作業装置とを含む。
【発明の態様】
【0011】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、特許請求の範囲に記載された発明である本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0012】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(11)項が請求項3に、(12)項が請求項4に、(13)項が請求項5に、(21)項が請求項6に、(22)項が請求項7に、(23)項が請求項8に、(25)項が請求項9に、(26)項が請求項10に、(28)項が請求項11に、(29)項が請求項12にそれぞれ相当する。
【0013】
(1)電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法であって、
前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着方法。
部品保持具には、例えば、電子回路部品を負圧によって吸着して保持する吸着ノズルや、複数の把持爪が開閉させられて電子回路部品を把持,解放する部品把持具がある。
(2)前記立体被装着体が前記第一被装着面および前記第二被装着面に対して傾いた第三被装着面を含むものであり、その立体被装着体を前記第一回動軸線に平行ではない第二回動軸線のまわりに回動させて、前記第三被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に保持し、その保持した立体被装着体の前記第三被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第三工程を含む(1)項に記載の電子回路部品装着方法。
第二回動軸線は、第一回動軸線と直交する軸線でもよく、直角以外の角度で交差する軸線でもよく、立体交差する軸線でもよい。本項の電子回路部品装着方法は、特別な場合として、曲率が一定の球面上において、少なくとも1被装着点が他の被装着点と同一円周上に位置しない3被装着点以上に電子回路部品が装着される場合を含むものとする。
本項の電子回路部品装着方法によれば、立体被装着体の表面のいずれの箇所にも電子回路部品を装着することができる。
(3)前記複数の被装着面が互いに同じ高さとなる位置に前記立体被装着体を保持して電子回路部品の装着を行う(1)項または(2)項に記載の電子回路部品装着方法。
複数の被装着面のいずれに対しても、装着ヘッドの高さ方向において同じ動作により電子回路部品を装着することができ、装着ヘッドを含む装着装置の制御が容易である。
(4)前記複数の被装着面のうちの少なくとも1つと別の少なくとも1つとに対する電子回路部品の装着をそれぞれ別の電子回路部品装着機を用いて行う(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
複数の被装着面の全部に対する電子回路部品の装着がそれぞれ、別の電子回路部品装着機により行われてもよく、複数の被装着面のうちの一部である複数に対する電子回路部品の装着が同じ電子回路部品装着機において行われてもよい。
いずれにしても複数の被装着面のうちの少なくとも1つと別の少なくとも1つとに対する電子回路部品の装着が並行して行われ、1台の電子回路部品装着機のみによって立体被装着体への電子回路部品の装着を行う場合に比較して、装着サイクルタイムを短縮することができ、スループット(電子回路部品の装着が全て済んだ立体被装着体の単位時間あたりの生産枚数)が向上する。
(5)前記複数の被装着面のうち、少なくとも、はんだ付け工程において水平面に対して設定角度以上傾斜した状態となる被装着面に対して電子回路部品を接着剤により接着する工程を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
はんだ付け工程においてリフロー炉等における加熱によりはんだが溶融され、電子回路部品が流れ易くなっても動くことがなく、被装着面に形成された回路に確実に接続される。はんだ付け工程において傾斜した状態とならない被装着面であっても、立体被装着体の第一,第二回動軸線まわりの回動時に作用する慣性力と、別の被装着面への電子回路部品の装着時に傾斜した状態にあることとの少なくとも一方によって電子回路部品がずれる恐れがあり、接着剤による電子回路部品の接着は有効である。
被装着面の水平面に対する設定傾斜角度は、電子回路部品の底面の大きさ,底面の形状,高さ,質量や、それらの間の関係によって変えられるべきであるが、一般的には、15度以下,10度以下あるいは5度以下の範囲から選定されればよい。
(6)前記複数の被装着面の各々に基準マークを設け、それら基準マークに対して予め定められた位置に電子回路部品を装着する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
例えば、基準マークを基準マーク認識装置により認識し、その位置を取得することにより、被装着面に設定された電子回路部品の装着位置の位置ずれを取得し、電子回路部品の装着を精度良く行うことができる。
但し、基準マークを設けることは不可欠ではない。例えば、立体被装着体が第一回動軸線に対して精度良く位置決めされるのであれば、第一回動軸線の位置を基準として装着位置を演算により取得することが可能である。
(11)電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、
(a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
(12)前記被装着体保持装置が、前記第一回動装置に加えて、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(11)項に記載の電子回路部品装着機。
上記第一回動軸線と第二回動軸線との交差には、直交あるいは直角以外の角で実際に交差する場合は勿論、立体交差も含むものとする。例えば、第一被装着面と第二被装着面とが1つの球面の2部分である場合には、前記被装着体保持装置を、互いに直交する2つの回動軸線を有するユニバーサルジョイントと、そのユニバーサルジョイントにより保持されて立体被装着体を保持する保持部材と、その保持部材を2つの回動軸線の各々のまわりに回動させる第一および第二の回動装置とを含むものとすればよい。
(13)項に記載の電子回路部品装着機では、第二回動装置が立体被装着体と第一回動軸線とを相対回動させることにより、第一回動装置が立体被装着体を回動させる軸線の向きが変えられて第二回動軸線が得られ、立体被装着体は第一回動装置によって第二回動軸線まわりに回動させられる。第一回動装置に(13)項に記載の第二回動装置を加えたものが本項の第二回動装置を構成するのである。
本項の電子回路部品装着機は、(2)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適である。
(13)前記被装着体保持装置が、さらに、前記立体被装着体と前記第一回動軸線とを前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに相対回動させる第二回動装置を含む(11)項に記載の電子回路部品装着機。
本項の電子回路部品装着機は、(2)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適であり、立体被装着体と第一回動軸線とが第二回動装置によって相対回動させられることにより、(2)項に記載の第二回動軸線が得られる。
回動軸線の基準平面に直角な回動軸線まわりの位置をそれぞれ異にする第一回動装置を複数設けてもよい。しかし、第二回動装置を設ける方が簡単な構成で第二回動軸線を得ることができ、また、第二回動軸線を複数種類得ることが容易である。
(14)前記被装着体保持装置が、前記立体被装着体を、前記複数の被装着面が一定に設定された被装着高さに位置する上昇位置とその上昇位置から下降した下降位置とに昇降させる昇降装置を含む(11)項ないし(13)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
本項の電子回路部品装着機は、(3)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適である。
上記(11)項ないし(14)項の各々に記載の特徴は前記(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法にも適用可能であり、逆に前記(1)項ないし(6)項の各々に記載の特徴は上記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機にも適用可能である。
(21)(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、
(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具であって、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする立体被装着体保持治具。
(22)前記電子回路部品装着機が、さらに、前記立体被装着体を搬送するコンベヤを含み、
前記立体被装着体保持治具が、
前記コンベヤにより前記電子回路部品装着機の外部から搬入され、その電子回路部品装着機の外部へ搬出される第一部分と、
前記電子回路部品装着機内に配設される第二部分と
を含む(21)項に記載の立体被装着体保持治具。
第二部分が複数の第一部分により共用され、装置コストが低減される。
第一回動装置の駆動源をコンベヤ側に設け、第一部分の搬入後、第一部分に設けられた被駆動部に接続されて立体被装着体を回動させるようにしてもよい。
(23)前記第一部分が、
前記立体被装着体を下方から支持し、前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットと、
そのパレットに下方から支持され、(i)前記立体被装着体を下方から支持する支持面と、(ii)軸部とを含む被装着体支持体と
を含む一方、前記第二部分が、前記軸部を下方からかつ回転可能に支持する軸支持部を備えて前記昇降部材により昇降させられる軸支持体を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記軸支持体が前記昇降部材の上昇に伴って上昇し、前記軸部を支持して前記被装着体支持体を上昇させることにより、前記立体被装着体を前記パレットから浮き上がらせた状態で、その立体被装着体を前記被装着体支持体と共に前記軸部の軸線である前記第一回動軸線のまわりに回動させる(22)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動装置は、全体が第一部分と第二部分とのいずれか一方に設けられても、それぞれ一部が第一部分と第二部分とに設けられてもよい。第一回動装置の第二部分側に設けられる部分が複数の第一部分に対して共用される。
第一回動装置の少なくとも一部が第二部分に設けられれば、全部が第一部分に設けられる場合に比較して第一部分が軽くなり、コンベヤによる搬送が容易である。
(24)前記第二部分が、さらに、前記昇降部材に取り付けられ、少なくとも前記軸支持体を保持する治具本体を含む(23)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動装置を、例えば、上方から昇降部材に対向する位置に設けられ、昇降部材の昇降により昇降させられる前記立体被装着体、またはその立体被装着体と共に第一回動軸線のまわりに回動可能な回動部材に係合して、それら立体被装着体または回動部材を第一回動軸線のまわりに回動させるものとすることも可能である。例えば、電子回路部品装着機の装着ヘッドの下降を利用して回動させるものとするのである。
しかし、第一回動装置の少なくとも一部を治具本体と軸支持体との間に設ければ、立体被装着体保持治具をコンパクトに構成することができる。
治具本体を昇降部材に対して着脱することにより、第二部分を簡単に電子回路部品装着機にセットすることができ、また、パレットのコンベヤによる搬送により第一部分が電子回路部品装着機内に搬入されるため、既存の電子回路部品装着機を簡単に立体被装着体への電子回路部品の装着に対応させることができる。
(25)前記第二部分が、さらに、前記軸支持体を前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(23)項または(24)項に記載の立体被装着体保持治具。
軸支持体が被装着体支持体を支持した状態で第二回動装置によって回動させられることにより、被装着体支持体の軸部の軸線の基準平面に直角な軸線まわりの位置が変えられ、第二回動軸線が得られる。また、第二回動装置を治具本体と軸支持体との間に設ければ、立体被装着体保持治具をコンパクトに構成することができる。
(26)前記軸部と前記支持面とが互いに固定されており、前記第一回動装置が、前記軸部を前記第一回動軸線のまわりに回動させるとともに、その回動位置から小角度の回動を許容する機能を有し、かつ、
前記軸部と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇により前記被装着体支持体が上昇させられることによって前記カムと当接し、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む(23)項ないし(25)項のいずれかに記載の立体被装着体保持治具。
軸部の第一回動装置によって与えられる回動位置からの小角度の回動により、カムの当接面への当接が許容され、被装着面の向きが決められる。そのため、第一回動装置による被装着体支持体の軸部の回動は精度良く制御されなくてよく、第一回動装置の駆動源を安価なものとすることができる。次項に記載の第一回動装置についても同様である。
(27)前記被装着体支持体が、前記軸部と前記支持面との間に相対回転トルクが加えられた場合にそれら軸部と支持面との相対回動を許容する相対回動許容装置を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記支持面と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇に伴って前記被装着体支持体が上昇させられることにより前記カムと当接することによって、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む(23)項ないし(26)項のいずれかに記載の立体被装着体保持治具。
カムが当接面に当接した状態で更に第一回動装置が被装着体支持体を回動させたり、第一回動装置による駆動が終了した状態でカムが当接面に当接させられたりするとき、軸部と支持面との間の相対回動が許容されることにより、第一回動装置の駆動源に無理な力が作用することが回避される。相対回動許容装置は、例えば、軸部と支持面との間に弾性部材の一種であるゴムを配設することにより得られる。
上記相対回動許容装置を、軸部と支持面との相対回動に加えて前記基準平面と交差する方向における相対移動をも許容するものとすることも可能である。
(28)前記第一部分が、前記立体被装着体を下方から支持して前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットを含み、前記第二部分が、
前記立体被装着体を下方から支持する支持面を備えた被装着体支持体と、
その被装着体支持体を前記第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置とを含む(22)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一部分が被装着支持体を含み、第一回動装置の少なくとも一部が第一部分に設けられる場合に比較して、第一部分をより軽くすることができる。
(29)前記第二部分が、さらに、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(28)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動軸線と第二回動軸線とは実際に交差しても立体交差してもよい。交差角度も直角でも直角でなくてもよい。第一回動装置と第二回動装置とは共に被装着体支持体を任意の角度回動させ得るものであっても、少なくとも一方が任意の角度回動させ得るものであっても、共に予め定められた角度のみ回動させ得るものであってもよい。
(21)項ないし(29)項の各々に記載の特徴は、前記(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法または前記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機にも適用可能であり、逆もまた可能である。
なお、立体被装着体保持治具は、第一回動装置が第二部分に設けられ、第二回動装置が第一部分に設けられるものとされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求可能発明の一実施形態である電子回路部品装着機たる装着モジュールを複数含む電子回路組立システムを示す正面図である。
【図2】上記複数の装着モジュールのうちの2つを示す斜視図である。
【図3】上記装着モジュールのベルトコンベヤを示す図であり、図3(a)は背面図、図3(b)は図3(a)におけるA−A断面図である。
【図4】上記装着モジュールの装着装置を示す斜視図である。
【図5】上記装着装置の複数の装着ヘッドのうちの2種類を示す斜視図である。
【図6】上記装着ヘッドのうち、吸着ノズルが複数保持されたものを示す斜視図である。
【図7】上記装着モジュールにおいて電子回路部品が装着される立体基板を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図である。
【図8】上記電子回路組立システムにおいて立体基板について行われる接着剤の塗布、はんだの転写、電子回路部品の装着およびはんだの溶融を説明する図である。
【図9】上記立体基板への電子回路部品の装着に使用される立体基板保持治具を示す平面図である。
【図10】上記立体基板保持治具を、原位置に位置する立体基板支持体において断面にして示す側面図である。
【図11】上記立体基板保持治具を示す正面図(一部断面)である。
【図12】上記立体基板保持治具を示す右側面図(一部断面)である。
【図13】上記パレットに設けられた支持部材を示す図であり、図13(a)は正面図、図13(b)は平面図である。
【図14】上記立体基板保持治具のパレットに形成されたノッチを示す図であり、図14(a)は正面図、図14(b)は側面断面図である。
【図15】上記立体基板保持治具の軸支持体を示す正面図である。
【図16】上記立体基板支持体に固定された2種類のカムを示す図であり、図16(a)は一方のカムを示す右側面図(一部断面)、図16(b)は他方のカムを示す正面図である。
【図17】上記装着モジュールを制御する制御装置を概念的に示すブロック図である。
【図18】図18(a)は上記立体基板保持治具の第二部分が上昇させられ、軸支持体が上記原位置に位置する立体基板支持体を支持した状態を示し、図18(b)は立体基板支持体がパレットから浮き上がらされた状態を示すそれぞれ側面図(一部断面)である。
【図19】図19(a)は上記立体基板支持体がX軸方向位置へ回動させられた状態を示し、図19(b)は支持面が立体基板に当接させられた状態を示し、図19(c)は立体基板がパレットから浮き上がらされた状態を示すそれぞれ正面図(一部断面)である。
【図20】図20(a)は上記立体基板支持体の上面の高さがカムの当接面への当接により決められた状態を示す正面図(一部断面)であり、図20(b)はそのカムおよび立体基板を示す右側面図である。
【図21】図21(a)は、立体基板の回動およびカムの当接面への当接により立体基板の側面が水平とされるとともに、高さが決められた状態を示す正面図(一部断面)であり、図21(b)はその立体基板およびカムを示す右側面図である。
【図22】図22(a)はY軸方向位置へ回動させられた立体基板支持体により立体基板が支持された状態を示す右側面図(一部断面)であり、図22(b)はその立体基板およびカムを示す正面図である。
【図23】図23(a)は図22に示す立体基板の側面が水平とされるとともにカムの当接面への当接により高さが決められた状態を示す右側面図(一部断面)であり、図23(b)はその立体基板およびカムを示す正面図である。
【図24】別の実施形態である立体基板保持治具を示す平面図である。
【図25】図24に示す立体基板保持治具を示す側面図(一部断面)である。
【図26】図26(a)は、図25に示す立体基板保持治具において立体基板支持体がX軸方向位置に位置する状態を示す正面図(一部断面)であり、図26(b)はY軸方向位置に位置する状態を示す側面図(一部断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、上記各図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載した態様を始めとし
て、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0016】
図1に、電子回路組立システム(以下組立システムと略称する)を示す。この組立システムは電子回路部品装着機ライン10およびリフロー炉12を含む。本電子回路部品装着機ライン10は、複数、例えば、4台の装着モジュール14が共通で一体のベース16上に、互いに隣接して横並びに配列されて固定されることにより構成されている。複数の装着モジュール14の各々は、電子回路部品装着機と称することもでき、回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。リフロー炉12は、回路基板に塗られたクリーム状はんだを加熱して溶融させ、電子回路部品を回路基板に形成された配線パターンにはんだ付けするものである。
【0017】
装着モジュール14については、例えば、特開2004−104075公報に詳細に記載されており、本請求可能発明に関係する部分以外の部分については簡単に説明する。
各装着モジュール14はそれぞれ、図2に示すように、本体フレームとしてのモジュール本体18,基板搬送装置20,基板保持装置22,部品供給装置24,作業装置たる装着装置26,基準マーク撮像装置28(図4参照),部品撮像装置30および制御装置32を備えている。
【0018】
モジュール本体18は、前後方向に長いベッド36を備えている。基板搬送装置20は、2つのコンベヤ40,42を備え、ベッド36の、装着モジュール14の前後方向の中央部に設けられ、回路基板44を複数の装着モジュール14が並ぶ方向と平行な方向であって、水平な方向に搬送する。回路基板44は平板状を成し、その被作業面たる被装着面は平面状を成す。本実施形態においては、回路基板44の搬送方向をX軸方向、水平な一平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。装着モジュール14の前後方向はY軸方向に平行である。回路基板の搬送には、コンベヤ40,42の少なくとも一方が使用される。
【0019】
コンベヤ40,42は、図3に一方のコンベヤ40を示すように、本実施形態においてはベルトコンベヤとされており、一対のサイドフレーム46,48の互いに対向する内側面にはそれぞれ、一方のサイドフレーム46を示すように、駆動プーリ50および複数のガイドプーリ52が回転可能に取り付けられるとともに、無端のコンベヤベルト54が巻き掛けられている。
【0020】
サイドフレーム46,48にそれぞれ設けられた駆動プーリ50が共通の電動モータ56によって回転させられることにより、一対のコンベヤベルト54が同時に周回させられ、それらコンベヤベルト54により、互いに平行な両側端部を下方から支持された回路基板44が水平な姿勢で搬送される。駆動プーリ50,ガイドプーリ52および電動モータ56がベルト周回装置58を構成している。駆動源たる電動モータ56は、例えば、パルスモータあるいはサーボモータにより構成される。コンベヤベルトの移動は、ガイドレール等の案内部材により下方から支持される。
【0021】
回路基板44の移動は、サイドフレーム46,48上にそれぞれ設けられた案内部材たるガイドレール60(図3参照)により、幅方向の両側において案内される。幅方向は、回路基板44の上面である被装着面に平行な平面であって、水平な一平面内において搬送方向と直交する方向であり、Y軸方向に平行である。また、水平面に直角な方向であって、鉛直方向をZ軸方向とする。なお、コンベヤ40のサイドフレーム48およびコンベヤ42のサイドフレーム46,48はY軸方向に移動可能に設けられ、搬送幅変更装置(図示省略)により移動させられ、コンベヤ40,42の基板搬送幅が回路基板44の幅に応じて変更される。
【0022】
基板保持装置22は2つのコンベヤ40,42の各々について設けられ、本実施形態においては、図3に示すように基板支持装置70およびクランプ部材72を含み、回路基板44を被装着面が水平となる姿勢で保持する。本実施形態においては、水平面が基準平面である。基板支持装置70は、それぞれ回路基板44を下方から支持する支持部材たる複数の支持ピン74と、それら支持ピン74を支持する支持部材たる支持台76とを含む。支持台76は板状を成し、大きさが異なる複数種類の回路基板の支持に使用可能な大きさを有する。クランプ部材72は、コンベヤ40,42が設けられた1対のサイドフレーム46,48の各々に昇降可能に設けられ、ガイドレール60に設けられた押さえ部78と共同して、回路基板44の搬送方向に平行な両側縁部をそれぞれ上下方向において挟持する。本実施形態においては、回路基板44の被装着面は、押さえ部78の下面であって、回路基板44を押さえる押さえ面80と同一平面上に位置させられ、その位置を高さ方向の基準として電子回路部品の装着が行われる。この高さを被装着高さと称する。
【0023】
基板支持装置70は、基板支持装置昇降装置82により昇降させられる。本基板支持装置昇降装置82は、図10に示すように、昇降部材たる昇降台84と、昇降台昇降装置86とを備えている。昇降台84は板状を成し、その上に支持台76が着脱可能に固定され、基板支持装置70がセットされる。昇降台昇降装置86はベース16に設けられ、本実施形態においては、駆動源たる電動モータ88(図17参照)と、送りねじ90およびナット92を含む送りねじ機構94とを含み、ナット92が電動モータ88により回転させられる。送りねじ90はベース16により、昇降可能かつ相対回転不能に支持されるとともに、その上端部に昇降台84が取り付けられ、ナット92はベース16に回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられており、ナット92の回転により送りねじ90が昇降させられ、昇降台84が案内装置(図示省略)に案内されつつ昇降させられる。
【0024】
部品供給装置24は、図2に示すように、ベッド36の基板搬送装置20に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール14の前面側に設けられている。部品供給装置24は、例えば、部品供給具たる部品フィーダの一種であるテープフィーダ(以後、フィーダと略称する)96により電子回路部品を供給するものとされている。部品供給装置は、部品供給具たるトレイにより電子回路部品を供給するものとされてもよく、部品フィーダおよびトレイによって電子回路部品を供給するものとされてもよい。
【0025】
装着装置26は、図4および図5に示すように、装着ヘッド100(100a,100b)と、その装着ヘッド100を移動させるヘッド移動装置102とを備えている。ヘッド移動装置102は、図4に示すように、X軸方向移動装置104およびY軸方向移動装置106を備えている。Y軸方向移動装置106は、モジュール本体18を構成するクラウン108に、部品供給装置24の部品供給部と2つの基板保持装置22とに跨って設けられたリニアモータ110を備え、可動部材としてのY軸スライド112をY軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0026】
本実施形態においては、X軸方向移動装置104はY軸スライド112上に設けられ、Y軸スライド112に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる第一,第二X軸スライド114,116と、それらスライド114,116をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置118(図4には第二X軸スライド116を移動させる移動装置のみが図示されている)とを備えている。2つのX軸スライド移動装置はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータ119(図17参照)と、送りねじおよびナットを含む送りねじ機構とを含むものとされ、X軸スライド114,116をX軸方向の任意の位置へ移動させる。送りねじとしてはボールねじが好適であり、電動モータとしてはサーボモータ等回転角度の制御が可能な電動モータが好適である。なお、ヘッド移動装置は、X軸スライド上にY軸方向移動装置が設けられたものとされてもよい。
【0027】
装着ヘッド100は、第二X軸スライド116に着脱自在に搭載され、ヘッド移動装置102により、基準平面である水平面に平行な方向に移動させられ、部品供給装置24の部品供給部と2つの基板保持装置22とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド100を第二X軸スライド116に着脱可能に取り付ける機構は、例えば、特開2004−221518公報に記載の取付機構と同様に構成されており、図示および説明を省略する。装着ヘッド100は、部品保持具の一種であり、作業部を構成する吸着ノズル120(120a,120b)によって電子回路部品を保持するものとされており、吸着ノズル120を保持し、保持具保持部を構成するノズルホルダ122の数を異にする複数種類の装着ヘッド100が用意され、電子回路部品が装着される回路基板44の種類に応じて選択的に第二X軸スライド116に取り付けられる。
【0028】
例えば、図5(a)に示す装着ヘッド100aはノズルホルダ122aを1つ備え、吸着ノズル120aが1つ保持され、図5(b)に示す装着ヘッド100bはノズルホルダ122bを複数、例えば3個以上(図示の例では12個)備え、吸着ノズル120bが最大12個保持され得る。装着ヘッド100aにおいてノズルホルダ122aは、ヘッド本体(図示省略)に軸線方向であって鉛直方向に移動可能かつ自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に設けられ、ヘッド本体に設けられた移動装置である昇降装置124および回転装置126(図17参照)により昇降および回転させられる。昇降装置124および回転装置126はサーボモータ等の電動モータを駆動源とし、ノズルホルダ122aが任意の位置へ下降させられ、正逆両方向に任意の角度回転させられる。吸着ノズル120a,120bは負圧により電子回路部品を吸着して保持するものであり、吸着ノズル120aへの負圧の供給は、図示を省略する切換装置の切換えにより許容,遮断される。
【0029】
装着ヘッド100bは、図6に示すように、ヘッド本体128に鉛直な回転軸線のまわりに回転可能に設けられた回転体130と、サーボモータ等の電動モータを駆動源とし、回転体130を正逆両方向に任意の角度回転させる回転体回転装置132とを備えた回転型ヘッドである。回転体130には、その回転軸線を中心とする一円周上に適宜の間隔、図示の装着ヘッド100bでは等角度を隔てた12の位置にそれぞれ、ノズルホルダ122bが回転体100の回転軸線に平行な方向に相対移動可能かつ自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に設けられ、それぞれ回転体100からの突出端部において吸着ノズル120bを着脱可能に保持する。
【0030】
12個のノズルホルダ122bは、回転体130の回転により、回転体130の回転軸線のまわりに旋回させられ、12個の停止位置の1つである部品吸着装着位置へ順次移動させられ、ヘッド本体128の部品吸着装着位置に対応する位置に設けられた昇降装置134によって昇降させられる。ノズルホルダ122bはさらに、ヘッド本体128に設けられたホルダ回転装置136により、自身の軸線まわりに回転させられる。昇降装置134およびホルダ回転装置136はそれぞれサーボモータ等の電動モータを駆動源とし、ノズルホルダ122bが任意の位置へ下降させられ、正逆両方向に任意の角度回転させられる。ヘッド本体128にはさらに、図示は省略するが、12個のノズルホルダ122bの各々について設けられたバルブを切り換える切換装置が設けられ、吸着ノズル120への負圧の供給が許容,遮断される。
【0031】
本実施形態においては、装着ヘッド100a,100bにおいて吸着ノズル120a,120bはいずれも軸線が鉛直方向に延び、基準平面である水平面に対する角度は直角で不変である。昇降装置124,134がそれぞれ、吸着ノズル120a,120bを基準平面と直角な方向に移動させる直角方向移動装置を構成し、平行方向移動装置を構成するヘッド移動装置102と共に、作業部移動装置の一種である保持具移動装置たるノズル移動装置を構成し、吸着ノズル120a,120bは水平面に対する角度を直角に保って、水平方向に移動させられ、昇降させられる。
【0032】
前記基準マーク撮像装置28は、図4に示すように、第二X軸スライド116に搭載され、ヘッド移動装置102により装着ヘッド100と共に移動させられ、回路基板44の被装着面に設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。ヘッド移動装置102は、基準マーク撮像装置移動装置を兼ねている。基準マーク撮像装置28は、例えば、CCDカメラあるいはCMOSカメラにより構成されている。
【0033】
本組立システムにおいては、回路基板44のように、平板状を成す被装着体の他、立体被装着体、例えば、図7に示す立体基板140への電子回路部品の装着も行われる。立体基板140は横断面形状が矩形を成し、それぞれ平面状の上面142と、上面142に対して傾斜させられた側面144,146,148,150とを有する。側面144と側面146および側面148と側面150はそれぞれ、上面142に対して対称に傾斜させられるとともに、側面144,146の傾斜角度と、側面148,150の傾斜角度とは同じにされている。なお、本実施形態においては単純化のために、立体基板140には、平らな一平面上を成し、上面142と平行で下方から支持できる底面152があるものとみなす。
【0034】
立体基板140には、上面142および側面144,146,148,150(以後、場合によって、面142〜150と記載する)にそれぞれ配線パターンが形成されており、装着ヘッド100により電子回路部品が装着される。面142〜150がいずれも、その全体が被装着面たる被装着平面であり、それぞれ複数、例えば2個の基準マーク154が設けられている。2個ずつの基準マーク154は、例えば、対角線方向に隔たった2個所にそれぞれ設けられている。面142〜150のそれぞれ電子回路部品を装着する位置は、基準マーク154に対して予め設定されている。
【0035】
面142〜150への電子回路部品の装着は、回路基板44の被装着面への電子回路部品の装着と同様に装着ヘッド100により行われる。そのため、部品装着時には面142〜150を水平な姿勢とすることが必要であり、立体基板140への電子回路部品の装着時には、図9に示す立体被装着体保持治具たる立体基板保持治具160が使用される。
【0036】
また、被装着体は電子回路部品の装着後、リフロー炉12において加熱され、電極に塗布されたクリーム状はんだ(はんだと略称する)が溶融させられるため、加熱時に水平面に対して傾斜させられた姿勢とされる被装着面においては、装着された電子回路部品がずれ易い。そのため、本実施形態においては、はんだ付け工程において水平面に対して3度以上傾斜した状態となる被装着面に対して電子回路部品を接着剤により接着してずれを防止することとされている。立体基板140の場合、図8に概略的に示すように、リフロー炉12において上面142が水平となる姿勢で加熱され、はんだ付け時に水平面に対して傾斜した状態となる被装着面である側面144,146,148,150(以後、場合によって、側面144〜150と記載する)の水平面に対する傾斜角度は40度であり、側面144〜150に接着剤が塗布され、電子回路部品162が仮止めされる。本組立システムにおいて立体被装着体への電子回路部品の装着時には、4台の装着モジュール14のうち、最上流の装着モジュール14において被装着面への接着剤の塗布が行われる。
【0037】
被装着面への接着剤の塗布による電子回路部品の仮止めは、図8に概略的に示すように、互いに傾斜させられた面142〜150のうちの1つを水平な姿勢とすべく、電子回路部品162が装着された部品装着済面がある状態で立体基板140を回動させる場合や搬送時に電子回路部品のずれを防止する上でも有効である。回動の開始時および停止時にそれぞれ電子回路部品162に角加速度および角減速度が生じ、電極164に塗布されたはんだ165の粘着力のみでは電子回路部品162の保持力が不足し、電子回路部品162が滑り易いからである。特に、停止時における水平面に対する傾斜角度が大きい側面144〜150については、電子回路部品に作用する重力加速度の影響が大きいため、滑り易いのであるが、面142〜150に電子回路部品162が仮止めされれば、これら加速度が大きくても差し支えない。立体基板140の搬送時にも同様である。そのため、本実施形態においては、上面142にも接着剤が塗布され、電極164に塗られたはんだ165の粘着力と共に電子回路部品162が保持され、電子回路部品がずれないようにされる。なお、加熱時に水平な姿勢となる上面142については、接着剤の塗布は省略してもよい。
【0038】
また、面142〜150のうちの1面、例えば、上面142にはスクリーン印刷機によってはんだ165が印刷されるが、側面144,146,148,150については、最上流の装着モジュール14に隣接する装着モジュール14においてはんだ165の転写が行われる。面142〜150の全部について、装着モジュール14においてはんだの転写が行われてもよい。
【0039】
接着剤の塗布を行う装着モジュール14においては、図8に概略的に示すように、装着ヘッド100に代えて接着剤塗布ヘッド166が第二X軸スライド116に保持され、装着モジュール14が接着剤塗布機たる接着剤塗布モジュールとして機能させられる。接着剤塗布ヘッド166は、ヘッド本体,接着剤を収容してヘッド本体に軸線が鉛直な姿勢で昇降可能に設けられたシリンジ168,シリンジ168内の接着剤を吐出させる吐出駆動装置およびシリンジ168を昇降させる昇降装置を備えている。接着剤塗布ヘッド166はヘッド移動装置102により、面142〜150上に設定された接着剤塗布箇所、ここでは面142〜150に装着された状態における電子回路部品162の本体に対応する部分へ移動させられ、シリンジ168が下降させられて接着剤170を塗布する。本実施形態においては、シリンジ168が作業部を構成し、上記昇降装置およびヘッド移動装置102が作業部移動装置たるシリンジ移動装置を構成し、接着剤塗布ヘッド166およびヘッド移動装置102が作業装置たる接着剤塗布装置を構成している。
【0040】
はんだの転写を行う装着モジュール14においては、はんだ転写ヘッド172が第二X軸スライド116に保持され、装着モジュール14がはんだ転写機たるはんだ転写モジュールとして機能させられる。はんだ転写ヘッド172は、ヘッド本体,ヘッド本体に軸線が鉛直な姿勢で昇降可能に設けられた転写部材174および転写部材昇降装置を備えている。また、ベース16には浅い容器状のはんだ溜まり(図示省略)が設けられている。はんだ転写ヘッド172は、ヘッド移動装置102によりはんだ溜まりと立体基板140との間を移動させられ、転写部材174の下端部に浸されたはんだ176が電極164に塗布され、転写される。本実施形態においては、転写部材174が作業部を構成し、転写部材昇降装置およびヘッド移動装置102が作業部移動装置たる転写部材移動装置を構成し、はんだ転写ヘッド172およびヘッド移動装置102がはんだ転写装置を構成している。
【0041】
立体基板保持治具160を説明する。
本立体基板保持治具160は、図9および図10に示すように、第一部分180,第二部分182および第一回動装置たる回動装置183を含む。第一部分180は、パレット184と被装着体支持体たる立体基板支持体186とを含む。パレット184は、横断面形状が正方形状を成し、その互いに平行な一対の外側面にはそれぞれ、上端部から外向きに延び出す板状の被支持部188が設けられている。被支持部188の上面は、パレット184の上面と同一平面上に位置させられている。一対の被支持部188はそれぞれ、コンベヤ40,42の一対のコンベヤベルト54の各々により下方から支持され、コンベヤベルト54の周回によりパレット184が搬送され、第一部分180が搬送される。パレット184は、本実施形態においては、合成樹脂製とされている。
【0042】
パレット184には、軸方向に貫通して穴200が形成されている。穴200の横断面形状は、立体基板140の底面152の外接円より直径が大きい円形を成し、パレット184内に立体基板収容部202が形成されている。パレット184にはまた、図11に示すように、穴200の内周面204に開口する円環状の凹部206が形成されている。凹部206の下側の側壁208の上面210は、凹部206の開口側の部分が底部側の部分より低くされ、円環状の上向きの支持面212が形成されている。
【0043】
パレット184には、立体基板140を支持する支持部材220および支持部材移動装置222が設けられ、被装着体支持装置たる立体基板支持装置223を構成している。支持部材220は複数、例えば、4つ設けられ、1つを図13(a),(b)に示すように、上向きで水平な支持面224と、上方ほど支持面224から離れる向きに傾斜させられるとともに、互いに直角に設けられた位置決め面226,228とを有する。立体基板140の4つの角部はそれぞれ、位置決め面226,228の傾斜に案内されて支持面224上に載置され、下方から水平な姿勢で支持されるとともに、位置決め面226,228によりX軸方向およびY軸方向の移動を阻止され、位置決めされる。位置決め面226,228は案内面でもある。立体基板140は、本実施形態においては、図9に示すように、その長手方向がコンベヤ40,42の幅方向(Y軸方向)に平行な姿勢で支持され、搬送される。
【0044】
本実施形態においては、図9に示すように、4つの支持部材220のうちY軸方向に隔たった2つずつが連結部材232により連結され、共通の支持部材移動装置222により同時にX軸方向に移動させられる。支持部材移動装置222は、図9および図11に示すように、パレット184の凹部206の上側の側壁233のうち、Y軸方向に平行な2部分にそれぞれ設けられ、その部分のY軸方向における中央部にX軸方向に移動可能に嵌合された可動部材たるスライド234を有する。スライド234の一端部は立体基板収容部202内に突出させられ、連結部材232が固定されている。
【0045】
スライド234の他端部は、パレット184の外へ突出させられるとともに、パレット184の外面に軸238により、Y軸方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられた駆動部材たるレバー240に係合させられている。レバー240の軸238から上方へ延び出させられた先端部には、球状を成す係合部242が設けられ、スライド234を上下方向に貫通して設けられた被係合部たる貫通孔244に上下方向に相対移動可能に嵌合されている。
【0046】
また、スライド234は、パレット184との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としてのばねである引張コイルスプリング246により、パレット184内に進入する向きに付勢されている。このスプリング246の付勢によるスライド234の移動限度は、スライド234のパレット184からの突出部に突設されてストッパを構成する突部248がパレット184の外面に当接することにより規定され、その状態では、支持部材220が立体基板140の角部を支持する支持位置ないし作用位置に位置させられる。レバー240の基端部のパレット184と対向する部分には、カム面250が形成されている。カム面250は、下方ほどパレット184から離れる向きに傾斜させられた傾斜面とされている。
【0047】
前記立体基板支持体186は、図9および図10に示すように、軸260および支持ブロック262を含む。支持ブロック262は軸260の軸方向の中央部に固定され、軸260が被装着体支持体の軸部を構成している。支持ブロック262の上面は長方形状を成し、軸260の軸線と平行な支持面264とされている。支持ブロック262の少なくとも支持面264を形成する部分は、粘着材の一種であるシリコンにより形成され、支持面264は粘着面とされ、被装着体保持手段としても機能させられる。
【0048】
軸260には、その両端部近傍にそれぞれ、2種類のカム270,272が固定されており、立体基板支持体186と一体的に回動させられる。カム270,272は板状を成す。カム270の軸260の軸線まわりの外面には、図16(a)に示すように、一平面状のカム面274と、カム面274に対して、立体基板140の上面142に対する側面144,146の傾斜角度と同じ角度で傾斜させられた一平面状のカム面276,278とが形成されている。また、カム272の外面には、図16(b)に示すように、一平面状のカム面280と、カム面280に対して、上面142に対する側面148,150の傾斜角度と同じ角度で傾斜させられた一平面状のカム面282,284とが形成されている。カム270,272は、カム面274,280が支持面264と平行となる位相で軸260に固定されている。軸260にはさらに、図9および図10に示すように、一方の端部側のカム270,272と支持ブロック262との間の部分に歯車286が固定され、被駆動部を構成している。
【0049】
パレット184の凹部206の下側の側壁208には、図9および図10に示すように、その上面210および前記穴200の中心側に開口させられた2個のノッチ290が形成され、被装着体支持体支持部が設けられている。これらノッチ290は、パレット184がコンベヤベルト54により支持された状態において、パレット184の鉛直な軸線まわりにおいてX軸方向およびY軸方向と交差する方向であって、本実施形態においては、45度の角度で交差する方向の直径方向に隔たった2個所に設けられている。ノッチ290の一対の側面は、図14(a)に示すように、上面210側への開口端部が上方ほど互いに離間する向きに傾斜させられて案内面291が形成されている。また、ノッチ290の、パレット184の軸線に平行で鉛直な端面292の上端部は、図14(b)に示すように、下方ほどパレット184の軸線へ向かう向きに傾斜させられた傾斜面293とされ、案内面として機能するように構成されている。以後、傾斜面293を案内面293と称する。
【0050】
パレット184の凹部206の上側の側壁233には、2個のノッチ290に対応する部分がそれぞれ切り欠かれて開口294が形成され、カム270,272が立体基板収容部202内に挿入されるようにされている。立体基板支持体186は、軸260の両端部がそれぞれノッチ290に嵌合されるとともに、カム270,272が支持面212上に載置され、図9および図10に示すように、パレット184により、軸260の軸線が水平となり、その軸線と直交する鉛直な軸線まわりにおいて、X軸方向およびY軸方向に対して45度の角度で交差する位置に位置決めされた状態で下方から支持される。この位置を、立体基板支持体186の鉛直軸線まわりにおける原位置とする。また、立体基板支持体186は、カム270,272の支持面212上への着座により軸260の軸線まわりの回動を阻止され、水平軸線まわりにおいて支持面264が水平となる原位置に位置する状態に保たれる。さらに、ノッチ290の端面292により、立体基板支持体186がその軸線に平行な方向において位置決めされ、カム270,272および歯車286も位置決めされる。
【0051】
カム270,272は、図11に示すように、パレット184の軸線と直交する方向においては側壁233に対応する位置に位置し、本実施形態においては、側壁233の水平で一平面状の下面296が当接面として機能させられる。以後、下面296を当接面296と称する。当接面296には、図9および図12に示すように、パレット184の軸線と直交し、Y軸方向に平行な方向に隔たった2箇所にそれぞれ、後述するように、カム272の当接面296への当接によって立体基板140の側面148,150の高さが決められる際にカム270との干渉を回避するための切欠298が形成されている。
【0052】
前記第二部分182を説明する。
第二部分182は、図10に示すように、治具本体330,一対の軸支持体332,被装着体支持体駆動装置たる立体基板支持体駆動装置334および回動装置336を含む。治具本体330は、本実施形態においては、円板状を成す。回動装置336は、回転体たる円板状のテーブル338およびテーブル回動駆動装置340を含む。テーブル338は、治具本体330上に配設されるとともに、軸342が治具本体330により軸受344を介して、前記立体基板支持体186の軸260の軸線である水平な回動軸線と直交する鉛直軸線まわりに回動可能に支持されている。
【0053】
テーブル回動駆動装置340は電動モータ346を駆動源として構成され、テーブル338を正逆両方向に回動させる。本実施形態においては、ストッパ装置350が設けられ、テーブル338の回動位置が規定される。ストッパ装置350は、図9に示すように、テーブル338に設けられて係合部を構成する円弧状の長穴352と、治具本体330上に突設されて係合部を構成する突部354とを含む。長穴352は、テーブル338の回動軸線を中心とする円弧状を成し、突部354は長穴352に、テーブル338の回動軸線まわりに相対移動可能に嵌合されている。突部354が長穴352の両端面に当接することにより、テーブル338は、90度位相を異にする2つの回動位置に位置決めされる。治具本体330およびテーブル338の直径はパレット184の穴200の直径より小さく、穴200の下側の開口を通ってパレット184内に進入可能である。
【0054】
立体基板支持体駆動装置334は、図10に示すようにテーブル338上に設けられ、回動装置334により軸支持体332と共に回動させられる。立体基板支持体駆動装置334は、本実施形態においては、駆動源たる電動モータ360および電動モータ360により回転させられる歯車362を含み、前記歯車286,カム270,272および当接面296と共に回動装置183を構成する。立体基板支持体駆動装置334は、歯車362が、テーブル338の回動軸線と直交する軸線まわりに回転可能に設けられるとともに、テーブル338の回動軸線と直交する方向において、前記立体基板支持体186の軸260に設けられた歯車286と対応する位置に設けられている。歯車286,362は、後述するように互いに噛み合わされ、立体基板支持体186が回動装置183によって回動させられるが、本実施形態においては、互いに噛み合わされた歯の歯面間に隙間が得られ、立体基板支持体186の立体基板支持体駆動装置334に対する小角度の相対回動が許容されるように形成されている。
【0055】
一対の軸支持体332は、テーブル338上に突設され、歯車362の回転軸線上において離れた位置に設けられている。軸支持体332のテーブル338からの突出端部である上端部には、図15に示すように、U字形を成す軸支持部364が設けられている。軸支持部364の互いに平行な一対の内側面の上端部は上方ほど互いに離間する向きに傾斜させられ、案内面366が形成されている。
【0056】
前記ストッパ装置350は、テーブル338が2つの回動位置の一方に停止させられた状態において、歯車362の回転軸線および一対の軸支持体332の並び方向がX軸方向に平行となり、他方に停止させられた状態においてY軸方向に平行となるように設けられている。テーブル338および一対の軸支持体332の前者の位置を第一回動位置たるX軸方向位置、後者を第二回動位置たるY軸方向位置と称する。
【0057】
また、治具本体330には、図11に示すように、前記2組の支持部材移動装置222に対応する位置にそれぞれ、駆動部材370が設けられている。駆動部材370は、治具本体330から上方へ延び出させられている。
【0058】
第二部分182は、図10に示すように、治具本体330が前記基板支持装置70の支持台76に代えて基板支持装置昇降装置82の昇降台84に取り付けられ、基板支持装置昇降装置82により昇降させられる。なお、昇降台84には、テーブル回転駆動装置340の電動モータ346との干渉を回避する凹部374が設けられている。立体基板保持治具160の構成要素は、本実施形態においてはパレット184を除いてアルミニウム等の金属製とされ、歯車286,362のように特に摩耗し易い構成要素は鋼製とされている。パレット184も金属製としてもよい。
【0059】
前記制御装置32は、図17に示すように、制御コンピュータ400を主体として構成されており、駆動回路402を介して電動モータ56等、装着モジュール14を構成する種々の装置の駆動源等を制御する。また、制御コンピュータ400の入出力インタフェースには、基準マーク撮像装置28および部品撮像装置30の撮像により得られたデータを処理する画像処理コンピュータ404が接続されるとともに、他の装着モジュール14の制御装置32および組立システム全体を統括制御するシステム制御装置406が通信ケーブル408を介して接続されている。立体基板保持治具160の第二部分182は、昇降台84に取り付けられた状態で制御コンピュータ400により制御される。また、接着剤の塗布やはんだの転写が行われるモジュール14においては、接着剤塗布装置やはんだ転写装置が制御コンピュータ400により制御される。
【0060】
以上のように構成された電子回路組立システムにおいては、接着剤塗布モジュール14において面142〜150について接着剤の塗布が行われ、はんだ転写モジュール14において側面144〜150についてはんだの転写が行われる。搬送方向において下流側の2台の装着モジュール14において電子回路部品の装着が行われ、本組立システムにおいては、一方の装着モジュール14、例えば、上流側の装着モジュール14において、立体基板140の上面142および立体基板140の長辺方向に隔たった側面144,146について電子回路部品の装着が行われ、他方の装着モジュール14、例えば、下流側の装着モジュール14において短辺方向に隔たった側面148,150について電子回路部品の装着が行われる。
【0061】
そのため、4台のモジュール14においてそれぞれ、昇降台84に、基板支持装置70に代えて立体基板保持治具160の第二部分182が取り付けられ、装着モジュール14内に配設される。また、クランプ部材72は外される。立体基板140への電子回路部品の装着を例に取り、立体基板保持治具160の作動を説明する。
【0062】
まず、上流側の装着モジュール14における立体基板140への電子回路部品の装着を説明する。立体基板140の搬送にはコンベヤ40が使用されるものとする。
立体基板140は、図11に示すようにパレット184内に収容され、支持部材220により支持されて上面142が水平な姿勢で搬送される。この姿勢を立体基板140の水平軸線まわりにおける原位置とする。また、支持部材220により支持された状態における立体基板140の上下方向の位置が下降位置である。立体基板支持体186はパレット184により支持され、鉛直軸線まわりおよび水平軸線まわりのいずれにおいても原位置に位置させられている。パレット184はコンベヤ40により搬送され、はんだ転写モジュール14から装着モジュール14内へ搬入され、装着装置26の下方へ搬入されて所定の位置において停止させられる。パレット184に支持された立体基板186の面142〜150にはそれぞれ、接着剤170が塗布され、電極164にはんだ165が塗られている。
【0063】
装着モジュール14において第二部分182は下降端位置に位置させられ、テーブル338は、図9に示すように、X軸方向位置とY軸方向位置との中間位置であって、歯車362がテーブル338の軸線まわりにおいて、原位置に位置する立体基板支持体186の歯車286に対応する位置に位置させられている。この位置をテーブル338および一対の軸支持体332の原位置とする。
【0064】
パレット184の停止後、昇降台84が上昇させられる。それにより、第二部分182が上昇させられ、図18(a)に示すように、軸支持体332の軸支持部364に軸260が嵌合され、立体基板支持体186が下方から支持されるとともに、歯車286,362が噛み合わされる。軸260の軸支持部364への嵌合は、案内面366により案内され、軸260が軸支持部364に確実に嵌合される。その状態から更に昇降台84が上昇させられることにより、図18(b)に示すように、軸支持体332が軸260を支持して立体基板支持体186を上昇させ、立体基板支持体186がパレット184から浮き上がらされ、軸260がノッチ290から上方へ抜け出させられる。立体基板支持体186は一対の軸支持体332により自身の水平な軸線まわりに回動可能に支持され、パレット184に対して鉛直軸線まわりおよび水平軸線まわりに回動可能となる。
【0065】
立体基板支持体186の回動が可能となった状態での昇降台84の上昇と並行してテーブル338が回動させられ、軸支持体332により支持された立体基板支持体186が立体基板140に対して鉛直軸線まわりに回動させられる。ここでは、テーブル338は、例えば、図19(a)に示すようにX軸方向位置へ回動させられ、立体基板支持体186が、図9に一点鎖線で示すように、軸260の軸線がX軸方向に平行であって、立体基板140の短辺と平行となるX軸方向位置へ回動させられる。また、この立体基板支持体186の回動により、カム270は図20(b)に一方を示すように、カム面276,278が軸260の軸線まわりにおいて立体基板140の側面144,146に対応する位置に位置する状態となる。立体基板支持体186は、X軸方向位置への回動後、昇降台84の上昇により、図19(b)に示すように、支持面264が立体基板140の底面152に当接し、粘着力により立体基板140を下方から保持する。テーブル回転駆動装置340の電動モータ346はテーブル338を回動させるためのトルクが制限された状態で作動させられ、テーブル338がX軸方向位置へ回動させられた状態においてもトルクは加えられ、立体基板支持体186がX軸方向位置に位置する状態に保たれる。
【0066】
昇降台84の更なる上昇により、図19(c)に示すように、立体基板140が支持部材220から持ち上げられ、パレット184から浮き上がらされる。治具本体330と共に上昇させられる駆動部材370は、立体基板140が支持部材220から持ち上げられた後、レバー240のカム面250に当接し、スプリング246の付勢力に抗してレバー240を回動させ、スライド234がパレット184から退出する向きに移動させられる。それにより支持部材220が後退させられ、立体基板140から外れた退避位置へ退避させられる。このように支持部材220が後退させられ、立体基板140の支持が解除された状態における昇降台84の位置を支持解除位置と称する。
【0067】
立体基板140の上面142に電子回路部品が装着される場合には、昇降台84がそのまま上昇させられ、立体基板140が上昇させられる。この上昇は、図20(a)に示すように、カム270のカム面274が当接面296に当接することにより止められ、上面142がパレット184の上面と同一平面上に位置させられる。この状態から更に昇降台84が上昇させられることにより、パレット184がカム270により押し上げられてコンベヤベルト54から浮き上がらされる。パレット184の上昇は、一対の被支持部188が押さえ部78に当接することにより止められ、立体基板140は上昇位置に位置させられ、上面142が水平な姿勢で被装着高さに位置決めされる。立体基板140は、回路基板44と同様に、押さえ面80によって被装着面の高さ方向の位置が一定に決められ、押さえ面80の高さを基準として電子回路部品の装着が行われる。昇降台昇降装置86の電動モータ88は、昇降台84を上昇させるためのトルクが制限された状態で作動させられ、被支持部188が押さえ部78に当接した後もトルクは加えられ、上面142が水平な姿勢で被装着高さに位置する状態に保たれる。
【0068】
そして、基準マーク撮像装置28が移動させられ、上面142に設けられた基準マーク154が撮像されて部品装着箇所の位置誤差が算出される。上面142は水平とされ、回路基板44への電子回路部品の装着時と同様に被装着高さに位置させられており、回路基板44に電子回路部品をするための装着プログラム(電子回路部品の装着位置,電子回路部品の種類,電子回路部品を取り出すフィーダの位置および装着順序等が設定されたプログラム)を実行する制御プログラムを使用して、立体基板140に電子回路部品を装着するための装着プログラムを実行させ、吸着ノズル120を水平方向および鉛直方向に移動させて上面142に電子回路部品を装着させることができる。立体基板140は立体基板支持体186によって下方から支持されており、装着時にも支持される。
【0069】
上面142への電子回路部品の装着終了後、側面144,146への電子回路部品の装着が行われる。そのため、昇降台84が下降させられる。昇降台84は、電動モータ88の制御によって支持解除位置まで下降させられ、パレット184の被支持部188がコンベヤベルト54上に載置されるとともに、カム270が当接面296から離間させられ、立体基板支持体186が軸260の軸線まわりに回動可能とされる。下降後、昇降台84は再び上昇させられ、その上昇と並行して立体基板支持装置駆動装置334の電動モータ360が起動させられ、歯車362,286の噛合により立体基板支持体186が回動させられ、支持面264により保持された立体基板140が軸260の軸線であって、X軸方向に平行な水平軸線である第一回動軸線のまわりに回動させられる。
【0070】
次に側面146に電子回路部品が装着されるとすれば、立体基板支持体186は側面146が水平となる方向へ回動させられる。この回動および昇降台84の上昇により、図21(b)に示すように、カム270が側面146に対応するカム面278が水平となる方向へ回動させられ、当接面296への当接により水平にされるとともに、立体基板支持体186のパレット184に対する上昇が止められ、図21(a)に示すように、側面146が水平な姿勢でパレット184の上面と同一平面上に位置する状態とされる。
【0071】
電動モータ360は、カム面278が水平となるはずの回転位置へ回転させられて停止させられ、その後、立体基板支持体186は、その上昇に伴ってカム面278が当接面296に沿うべく回動させられ、カム面278が当接面296に当接させられ、側面146が水平とされる。この立体基板支持体186の回動は、歯車286,362の歯面間の隙間により許容される。電動モータ360が設定角度回転させられる前にカム面278が当接面296に当接することがあっても、このときにはカム面278の旋回半径が最大の部分が旋回軌跡の上端位置を超えており、カム270の回動によりカム面278が下がる状態となるため、電動モータ360に無理な力が加えられることなく、その設定角度の回転が許容される。
【0072】
カム面278の当接面296への当接後、パレット184はカム270により押し上げられ、被支持部188が押さえ部78に押し付けられて上昇が止められる。側面146は押さえ面80と同一平面上に位置させられ、基準マーク撮像装置28および装着ヘッド100により、回路基板44への電子回路部品の装着時と同様に基準マーク154の撮像および電子回路部品の装着が行われる。
【0073】
装着後、昇降台84が支持解除位置へ下降させられた後、再度上昇させられ、立体基板支持体186が上昇と並行して立体基板支持体駆動装置334により回動させられ、側面144が水平とされて電子回路部品の装着が行われるようにされる。側面144の高さは、カム面276の当接面296への当接により規定される。側面144への電子回路部品の装着後、昇降台84が下降端位置へ下降させられる。その途中でパレット184がコンベヤベルト54により下方から支持され、さらにカム面276が当接面296から離間させられた状態で立体基板支持体186が水平軸線まわりに回動させられ、立体基板支持体186および立体基板140が原位置へ戻される。
【0074】
更に昇降台84の下降により駆動部材370が下降してカム面250から外れ、支持部材220がスプリング246の付勢により支持位置へ移動させられる。支持部材220は、立体基板140が支持面224により受けられる前に支持位置へ到達し、立体基板140を支持する。立体基板140の支持面224上への載置は位置決め面226,228により案内され、立体基板140は支持部材220により確実に支持される。
【0075】
その状態から更に昇降台84が下降させられることにより、支持ブロック262が立体基板140から離間し、立体基板支持体186が立体基板140に対して下降させられる。支持面264は粘着力を有し、立体基板140を保持するが、立体基板140が支持部材220により支持され、下方への移動を阻止された状態で立体基板支持体186が下降させられ、立体基板140から離間する向きに移動させられることにより、立体基板140からの離間が可能である。この立体基板支持体186の下降と並行してテーブル338が原位置へ回動させられ、立体基板支持体186が鉛直軸線まわりにおいて原位置に位置させられる。それにより、昇降台84の下降に伴って軸260がノッチ290に嵌合され、立体基板支持体186がパレット184に原位置に位置決めされた状態で支持される。軸260のノッチ290への嵌合は案内面291,293により案内され、軸260がノッチ290に確実に嵌合される。そして、カム270,272が支持面212上に載置され、立体基板支持体186がパレット184により支持される。さらに、軸支持体332が軸260から抜け出させられるとともに、歯車286,362の噛合が解除される。第二部分182がパレット184から下方へ抜け出させられた後、コンベヤ40が作動させられ、パレット184が搬出される。
【0076】
下流側の装着モジュール14では、立体基板140の短辺方向に隔たった側面148,150に電子回路部品が装着される。そのため、立体基板支持体186がパレット184から浮き上がらされ、パレット184に対する回動が可能とされた状態でテーブル338がY軸方向位置へ回動させられ、図9に二点鎖線で示すように、立体基板支持体186が原位置から、軸260の軸線がY軸方向に平行であって、立体基板140の長辺と平行となるY軸方向位置へ回動させられ、立体基板140がY軸方向に平行な水平軸線である第二回動軸線のまわりに回動させられるようにされる。また、カム272は、図22(b)に示すように、カム面282,284が軸260の軸線まわりにおいて立体基板140の側面148,150と対応する位置に位置する状態とされる。そして、図22(a)に示すように立体基板支持体186が立体基板140を保持し、パレット184から浮き上がらせた後、立体基板支持体駆動装置334により回動させられる。それにより、立体基板140が第二回動軸線まわりに回動させられ、図23(a),(b)に側面150について示すように、カム272のカム面284の当接面296への当接により、側面150が水平な姿勢とされるとともに高さ方向において位置決めされて、パレット184の上面と同一平面上に位置させられ、電子回路部品の装着が装着ヘッド100により、回路基板44と同様に行われるようにされる。カム272と共にカム270が回動させられるが、そのパレット184との干渉は切欠298において回避される。
【0077】
このように本実施形態においては、立体基板140の回動装置183によって同じ回動軸線まわりに回動させられる上面142および側面144,146のうちの2つが互いに第一被装着面および第二被装着面を構成し、側面148,150が互いに第一被装着面および第二被装着面を構成し、上面142および側面144,146と側面148,150とは互いに第三被装着面であることとなる。
【0078】
接着剤塗布モジュール14では、面142〜150に接着剤が塗布される。そのため、立体基板支持体186はX軸方向位置とY軸方向位置との一方に位置させられ、立体基板140が、X軸方向に平行な軸線とY軸方向に平行な軸線との一方のまわりに回動させられるようにされる。それにより水平とされる被装着面への接着剤の塗布後、テーブル338の回動により立体基板支持体186が他方の軸方向位置に位置させられ、立体基板140が他方の軸線まわりに回動させられ、接着剤の塗布が行われる。テーブル338は、立体基板140の一方の水平軸線まわりにおける回動による接着剤の塗布後、昇降台84が下降させられ、立体基板140を一旦、支持部材220に支持させ、支持面264が立体基板140から離間した状態で回動させられる。立体基板支持体186が立体基板140に対して鉛直軸線まわりに回動させられ、水平軸線の方向が変えられるのである。はんだ転写モジュール14においては、面142へのはんだ転写は行われないが、それ以外は接着剤塗布モジュール14と同様である。
【0079】
下流側の装着モジュール14における立体基板140への電子回路部品の装着終了後、第一部分180は装着モジュール14から搬出されるとともにリフロー炉12へ搬入され、立体基板140が加熱されてはんだが溶融される。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、基板支持装置昇降装置82が被装着体昇降装置たる立体基板昇降装置を構成し、回動装置183,336および基板支持装置昇降装置82が被装着体保持装置たる立体基板保持装置を構成している。基板支持装置昇降装置82が被装着体昇降装置を兼ねており、装置コストが低減される。また、本実施形態においては、回動装置336が発明の態様の項の(13)項に記載の第二回動装置を構成し、回動装置183,336が、発明の態様の項の(12)項に記載の第二回動装置を構成している。
さらに、本実施形態においては、回動装置183,336の駆動源たる電動モータ360,346がいずれも第二部分182に設けられており、第一部分180には作動に電気エネルギの供給が必要な要素がなく、電力供給線や制御信号線の接続が不要であるため、コンベヤ40,42による第一部分180の搬送が容易に行われる。さらに、立体基板保持体186の水平軸線まわりの回動端はカム270,272の当接面296への当接により規定され、テーブル338の回動端はストッパ装置350により規定され、立体基板140の上昇端は被支持部188の押さえ部78への当接により規定され、いずれも機械的に決められるため、電動モータ360,346,88はそれほど制御精度の高いものとしなくてよく、安価に構成することができる。
【0081】
立体被装着体保持治具は、第一部分がパレットを含み、第二部分が被装着体支持体および第一回動装置を含むものとしてもよい。その実施形態を図24〜図26に基づいて説明する。なお、前記実施形態の立体基板保持治具160の構成要素と同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0082】
本実施形態の立体基板保持治具500は、図24および図25に示すように第一部分502および第二部分504を含み、第一部分502はパレット506を含む。また、第二部分504は、治具本体508,立体基板支持体510,回動装置514,516を含む。パレット506には上下方向に貫通する穴520が形成されて立体基板収容部522が形成されるとともに、立体基板140を支持する支持部材524および支持部材移動装置526が設けられている。
【0083】
立体基板支持体510は、図25に示すように、軸530と、軸530に固定された支持ブロック532とを備え、軸530の一端部側に歯車534が固定されている。支持ブロック532の上面は、粘着性を有する支持面536とされている。回動装置516は前記回動装置336と同様に、治具本体508により鉛直軸線まわりに回動可能に支持されたテーブル540およびテーブル回転駆動装置542を含み、回動装置514は前記立体基板支持体駆動装置334と同様にテーブル540上に設けられ、電動モータ544および歯車546を含む。テーブル540上には、一対の軸支持体547がテーブル540上の歯車546の回転軸線上に隔たった箇所に突設され、その上端部には、立体基板支持体510の軸530が軸受550を介して水平軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0084】
軸支持体547に支持された軸530の歯車534は、回動装置514の歯車546と噛み合わされている。回動装置514および軸支持体547は、立体基板支持体510を、テーブル540の鉛直な回動軸線と直交する水平軸線まわりに回動させるように設けられている。本実施形態においては、歯車534,546は隙間なく噛み合うように精度良く形成され、電動モータ544,テーブル回転駆動装置542の駆動源を構成する電動モータ552および昇降台昇降装置86の電動モータはサーボモータ等、回転角度の制御可能な電動モータとされている。そのため、立体基板支持体510は電動モータ544,552の回転角度の制御により、水平軸線まわりおよび鉛直軸線まわりに精度良く回動させられ、立体基板140の側面144〜150が水平とされ、立体基板支持体510がX軸方向位置あるいはY軸方向位置に位置させられる。また、昇降台84の昇降位置が精度良く制御され、それにより立体基板140の被装着面が被装着高さに精度良く位置させられる。これら電動モータ544,552等には保持トルクが加えられ、立体基板140,立体基板支持体510が回動させられた位置および上昇させられた位置に位置する状態に保たれる。
【0085】
本実施形態においても、2台の装着モジュールにおいて立体基板140への電子回路部品の装着が行われ、上流側の装着モジュールにおいて上面142および側面144,146に電子回路部品が装着され、下流側の装着モジュールにおいて側面148,150に電子回路部品が装着されるとする。各装着モジュールにおいては昇降台84に第二部分504が取り付けられ、パレット506に支持された立体基板140の搬入時には、いずれの装着モジュールにおいても第二部分504は下降端位置に位置させられる。また、立体基板支持体510は、水平軸線まわりにおいては原位置に位置させられているが、鉛直軸線まわりにおいては、上流側の装着モジュールにおいては図26(a)に示すようにX軸方向位置に位置させられ、下流側の装着モジュールにおいては図26(b)に示すようにY軸方向位置に位置させられている。
【0086】
上流側の装着モジュールにおいては、立体基板140の搬入後、第二部分504が基板支持装置昇降装置82により上昇させられ、立体基板支持体510および回動装置514,516が上昇させられる。そして、支持面536が立体基板140に当接させられ、粘着力により保持し、支持部材524から持ち上げ、支持部材524は退避位置へ退避させられる。第二部分504が更に上昇させられ、立体基板支持体510により支持された立体基板140がパレット506に対して上昇させられ、上面142が押さえ部78の押さえ面80と同一平面上に位置させられ、被装着高さに位置決めされる。パレット506は上昇させられず、コンベヤベルト54により支持されたままである。そして、基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。
【0087】
上面142への電子回路部品の装着後、第二部分504は、一旦、支持解除位置まで下降させられた後、再度上昇させられつつ、立体基板支持体510が回動装置514により回動させられる。上流側の装着モジュールにおいては、立体基板支持体510は軸530がX軸方向に平行となる位置に位置させられており、立体基板支持体510と共に立体基板140がX軸方向に平行な水平軸線まわりに回動させられ、側面146が水平とされる。第二部分504は、側面146が押さえ面80と同一平面上に位置する被装着高さまで上昇させられ、側面146について基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。側面146への電子回路部品の装着後、第二部分504の下降,再上昇および立体基板支持体510の水平軸線まわりの回動が行われ、側面144が水平とされるとともに、被装着高さへ上昇させられて基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。
【0088】
面142,144,146への電子回路部品の装着終了後、第二部分504が下降端位置へ下降させられる。その途中で立体基板140が支持部材524により支持される。その状態から更に第二部分504が下降させられて、立体基板支持体510が立体基板140から離間させられるとともに、第二部分504がパレット506から下方へ抜け出させられ、パレット506の搬出を許容する。下流側の装着モジュールにおいては、立体基板支持体510等の上昇と立体基板支持体510および立体基板140のY軸方向に平行な軸線まわりの回動とにより、側面148,150が順次水平とされるとともに被装着高さに位置決めされ、基準マーク154の撮像および電子回路部品の装着が行われる。本実施形態においては、回動装置514が第一回動装置を構成し、回動装置516が発明の態様の項の(13)項に記載の第二回動装置を構成し、回動装置514,516が、発明の態様の項の(12)項および(29)項にそれぞれ記載の第二回動装置を構成している。
【0089】
なお、1つの対回路基板作業機において第一回動装置のみを設け、立体被装着体を第一回動軸線のまわりのみに回動させるようにしてもよい。例えば、対回路基板作業機において立体被装着体が1つの回動軸線のまわりに回動させられればよいのであれば、第一回動装置が設けられればよい。
【0090】
また、第一部分が被装着体支持体を含む場合、カムおよび当接面を設けず、立体被装着体の第一回動軸線まわりの位置決めは第一回動装置の駆動源を構成する電動モータの制御により行うようにしてもよい。この種の立体被装着体保持治具は、例えば、パレットを当接面のないものとし、立体被装着体支持体を、前記立体基板支持体186と同様にパレットによって下方から支持され、歯車が設けられるが、カムが設けられないものとする。そして、第二部分の上昇に伴って軸支持体が被装着体支持体の軸部を下方から支持するとともに、被装着体支持体駆動装置の歯車が被装着体支持体の歯車と噛み合わされて立体被装着体支持体が軸部の軸線まわりに回動させられるようにする。
また、第二部分が被装着体支持体を含む場合、被装着体支持体に設けられたカムおよびパレットに設けられた当接面によって立体被装着体の被装着面の姿勢および高さが決められるようにしてもよい。
【0091】
さらに、第一部分が被装着体支持体を含み、被装着体支持体がパレットによって支持される場合、被装着体支持体支持部が複数組、基準平面に直角な軸線まわりにおいて位相を異にする位置に設けられ、被装着体支持体が第二回動装置の回動により移動させられた位置においてパレットにより支持されるようにしてもよい。
【0092】
また、立体被装着体の被装着面の一部を当接面に当接させて、その被装着面の姿勢および高さが決められるようにしてもよい。立体被装着体の一部をカムとして機能させるのである。
【0093】
さらにまた、立体基板は、複数の側面のうちの少なくとも2つが上面に対する傾斜角度が互いに異なり、基準平面に対する傾斜角度が互いに異なるものでもよい。
【0094】
また、被装着体支持体は、負圧あるいは磁力によって立体被装着体を吸着し、保持する被装着体保持手段を備えたものとしてもよい。被装着体支持体はさらに、位置決めピン等の位置決め部材を備えたものとし、立体被装着体が位置決めされた状態で支持されるようにしてもよい。
【0095】
また、立体被装着体が、例えば、中空状を成し、下方から支持できる底面がないものである場合や、底面はあるが凹凸を有し、平らでないものである場合には、支持板のように、下方から支持されることが可能な支持部材に立体被装着体を載せ、位置決めして保持させ、立体被装着体が支持部材ごと下方から支持されるようにする。この場合、支持部材を立体被装着体の一部と見なして、回動軸線まわりの回動等が行われるようにすればよい。
【0096】
さらに、上記実施形態においては、接着剤塗布モジュール,はんだ転写モジュールおよび装着モジュールにおいて立体被装着体の複数の被装着面について作業が行われるようにされていたが、1つのモジュールにおいて1つの被装着面についてのみ作業が行われるようにしてもよい。接着剤塗布モジュール,はんだ転写モジュールおよび装着モジュールをそれぞれ、被装着面の数に等しい数ずつ設けて作業を分担させ、組立システムを構成する。
【0097】
また、立体被装着体が第三被装着面を含む場合、第一,第二および第三の各被装着面への電子回路部品の装着が1つの電子回路部品装着機において行われてもよい。
【符号の説明】
【0098】
140:立体基板 160:立体基板保持治具 180:第一部分 182:第二部分 183:回動装置 186:立体基板支持体 336:回動装置 500:立体基板保持治具 502:第一部分 504:第二部分 514,516:回動装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具に関するものであり、特に、立体被装着体に電子回路部品を装着する方法、その方法が実施される装着機および電子回路部品の装着時に立体被装着体を保持する保持治具に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、立体基板に電子回路部品を装着する方法が記載されている。この方法によれば、吸着ヘッドの水平軸線まわりの回動と、吸着ヘッドまたは立体基板の鉛直軸線まわりの回動とにより、吸着ヘッドの吸着ノズルにより保持された電子回路部品が立体基板の鉛直な壁面と正対する状態が得られ、吸着ヘッドの下降および水平方向の移動により電子回路部品が壁面へ移動させられ、装着される。吸着ヘッドの水平軸線まわりの回動により、吸着ノズルの水平面に対する角度が90度と0度とに変更され、部品供給装置からの電子回路部品の取出し時には90度とされ、立体基板への電子回路部品の装着時には0度とされ、壁面に対して直角とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−154798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の方法には、未だ改善の余地がある。例えば、立体基板への電子回路部品の装着に、吸着ヘッドが水平軸線まわりに回動可能に設けられるとともに、吸着ヘッドを回動させる回動装置を備えた専用の電子回路部品装着機が必要である。特に、立体基板に対して昇降および水平移動させられる吸着ヘッドが回動させられるようにすれば、構成が複雑となり、高価な電子回路部品装着機が必要となって装着コストが高くなり、あるいは、吸着ヘッドが水平移動させられるものである場合に、吸着ヘッドと共に移動させられる部分の質量が大きくなって、迅速に移動させることが困難になるというように、改善の余地があるのである。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、立体被装着体への電子回路部品の装着を行うために改善された電子回路部品装着方法,電子回路部品装着機および立体被装着体保持治具の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法を、(A)前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、(B)前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程とを含む方法とすることにより解決される。
なお、本明細書においては、立体被装着体の、その立体被装着体を回動させることなく電子回路部品の装着を行い得る部分を1つの被装着面とみなすこととする。したがって、第一被装着面と第二被装着面とが共に平面である場合には、それら2つの平面の各々の全体がそれぞれ第一被装着平面および第二装着平面であり、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」とは、それぞれ平面である第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いていることである。また、第一被装着面と第二被装着面とが共に曲面である場合には、それらの各々の、平面とみなし得る部分同士が互いに傾いていることが「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」ことである。したがって、第一被装着面と第二装着面とが曲率が徐変する1つの曲面の各一部である場合は勿論、曲率が一定の1つの曲面の各一部であっても、それぞれ平面とみなし得る部分同士が互いに傾いている場合には、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」に当たる。また、第一被装着面と第二被装着面との一方が平面で他方が曲面である場合には、その他方の平面とみなし得る部分と平面である前記一方とが互いに傾いていることが、「第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている」に当たる。
【0006】
また、上記の課題は、(I)電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、(II) (a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置とを含む電子回路部品装着機を、前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むものとすることにより解決される。
【0007】
さらに、上記の課題は、(α)(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、(β)(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置とを含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具を、前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むものとすることにより解決される。
【発明の効果】
【0008】
被装着面が基準平面に平行な平面である回路基板に電子回路部品を装着する既存の電子回路部品装着機は、部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の構成のものとされることが多い。本発明に係る電子回路部品装着方法によれば、立体被装着体を回動させることにより、それの互いに傾いている第一,第二被装着面の各々を基準平面と平行とし、部品保持具に対する相対角度が一定の状態とすることができるため、部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変である既存の電子回路部品装着機を利用して立体被装着体への電子回路部品の装着を行うことができる。立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる回動装置を設けることは必要であるが、部品保持具の基準平面に対する相対角度が変更される専用の電子回路部品装着機を使用する場合に比較して安価に実施することができ、あるいは部品保持具を迅速に移動させることにより作業能率を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る電子回路部品装着機においては、本発明に係る電子回路部品装着方法が実施され、装着コストの増大を抑えつつ、あるいは作業能率の低下を抑制しつつ、立体被装着体の互いに傾いている第一,第二被装着面の各々に電子回路部品を装着することができる。
【0010】
本発明に係る立体被装着体保持治具を既存の電子回路部品装着機に設けることにより、立体被装着体に電子回路部品が装着される電子回路部品装着機が容易に得られる。
本発明に係る立体被装着体保持治具は、電子回路部品装着機以外の対回路基板作業機、例えば、接着剤塗布機,はんだ転写機,スクリーン印刷機,立体被装着体検査機にも設けることができる。これら対回路基板作業機は、被装着体昇降装置と、被装着面について作業を行う作業部と上記保持具移動装置と同様に構成される作業部移動装置とを含む作業装置とを含む。
【発明の態様】
【0011】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、特許請求の範囲に記載された発明である本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施形態の記載,従来技術,技術常識等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0012】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(11)項が請求項3に、(12)項が請求項4に、(13)項が請求項5に、(21)項が請求項6に、(22)項が請求項7に、(23)項が請求項8に、(25)項が請求項9に、(26)項が請求項10に、(28)項が請求項11に、(29)項が請求項12にそれぞれ相当する。
【0013】
(1)電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法であって、
前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着方法。
部品保持具には、例えば、電子回路部品を負圧によって吸着して保持する吸着ノズルや、複数の把持爪が開閉させられて電子回路部品を把持,解放する部品把持具がある。
(2)前記立体被装着体が前記第一被装着面および前記第二被装着面に対して傾いた第三被装着面を含むものであり、その立体被装着体を前記第一回動軸線に平行ではない第二回動軸線のまわりに回動させて、前記第三被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に保持し、その保持した立体被装着体の前記第三被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第三工程を含む(1)項に記載の電子回路部品装着方法。
第二回動軸線は、第一回動軸線と直交する軸線でもよく、直角以外の角度で交差する軸線でもよく、立体交差する軸線でもよい。本項の電子回路部品装着方法は、特別な場合として、曲率が一定の球面上において、少なくとも1被装着点が他の被装着点と同一円周上に位置しない3被装着点以上に電子回路部品が装着される場合を含むものとする。
本項の電子回路部品装着方法によれば、立体被装着体の表面のいずれの箇所にも電子回路部品を装着することができる。
(3)前記複数の被装着面が互いに同じ高さとなる位置に前記立体被装着体を保持して電子回路部品の装着を行う(1)項または(2)項に記載の電子回路部品装着方法。
複数の被装着面のいずれに対しても、装着ヘッドの高さ方向において同じ動作により電子回路部品を装着することができ、装着ヘッドを含む装着装置の制御が容易である。
(4)前記複数の被装着面のうちの少なくとも1つと別の少なくとも1つとに対する電子回路部品の装着をそれぞれ別の電子回路部品装着機を用いて行う(1)項ないし(3)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
複数の被装着面の全部に対する電子回路部品の装着がそれぞれ、別の電子回路部品装着機により行われてもよく、複数の被装着面のうちの一部である複数に対する電子回路部品の装着が同じ電子回路部品装着機において行われてもよい。
いずれにしても複数の被装着面のうちの少なくとも1つと別の少なくとも1つとに対する電子回路部品の装着が並行して行われ、1台の電子回路部品装着機のみによって立体被装着体への電子回路部品の装着を行う場合に比較して、装着サイクルタイムを短縮することができ、スループット(電子回路部品の装着が全て済んだ立体被装着体の単位時間あたりの生産枚数)が向上する。
(5)前記複数の被装着面のうち、少なくとも、はんだ付け工程において水平面に対して設定角度以上傾斜した状態となる被装着面に対して電子回路部品を接着剤により接着する工程を含む(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
はんだ付け工程においてリフロー炉等における加熱によりはんだが溶融され、電子回路部品が流れ易くなっても動くことがなく、被装着面に形成された回路に確実に接続される。はんだ付け工程において傾斜した状態とならない被装着面であっても、立体被装着体の第一,第二回動軸線まわりの回動時に作用する慣性力と、別の被装着面への電子回路部品の装着時に傾斜した状態にあることとの少なくとも一方によって電子回路部品がずれる恐れがあり、接着剤による電子回路部品の接着は有効である。
被装着面の水平面に対する設定傾斜角度は、電子回路部品の底面の大きさ,底面の形状,高さ,質量や、それらの間の関係によって変えられるべきであるが、一般的には、15度以下,10度以下あるいは5度以下の範囲から選定されればよい。
(6)前記複数の被装着面の各々に基準マークを設け、それら基準マークに対して予め定められた位置に電子回路部品を装着する(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法。
例えば、基準マークを基準マーク認識装置により認識し、その位置を取得することにより、被装着面に設定された電子回路部品の装着位置の位置ずれを取得し、電子回路部品の装着を精度良く行うことができる。
但し、基準マークを設けることは不可欠ではない。例えば、立体被装着体が第一回動軸線に対して精度良く位置決めされるのであれば、第一回動軸線の位置を基準として装着位置を演算により取得することが可能である。
(11)電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、
(a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
(12)前記被装着体保持装置が、前記第一回動装置に加えて、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(11)項に記載の電子回路部品装着機。
上記第一回動軸線と第二回動軸線との交差には、直交あるいは直角以外の角で実際に交差する場合は勿論、立体交差も含むものとする。例えば、第一被装着面と第二被装着面とが1つの球面の2部分である場合には、前記被装着体保持装置を、互いに直交する2つの回動軸線を有するユニバーサルジョイントと、そのユニバーサルジョイントにより保持されて立体被装着体を保持する保持部材と、その保持部材を2つの回動軸線の各々のまわりに回動させる第一および第二の回動装置とを含むものとすればよい。
(13)項に記載の電子回路部品装着機では、第二回動装置が立体被装着体と第一回動軸線とを相対回動させることにより、第一回動装置が立体被装着体を回動させる軸線の向きが変えられて第二回動軸線が得られ、立体被装着体は第一回動装置によって第二回動軸線まわりに回動させられる。第一回動装置に(13)項に記載の第二回動装置を加えたものが本項の第二回動装置を構成するのである。
本項の電子回路部品装着機は、(2)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適である。
(13)前記被装着体保持装置が、さらに、前記立体被装着体と前記第一回動軸線とを前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに相対回動させる第二回動装置を含む(11)項に記載の電子回路部品装着機。
本項の電子回路部品装着機は、(2)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適であり、立体被装着体と第一回動軸線とが第二回動装置によって相対回動させられることにより、(2)項に記載の第二回動軸線が得られる。
回動軸線の基準平面に直角な回動軸線まわりの位置をそれぞれ異にする第一回動装置を複数設けてもよい。しかし、第二回動装置を設ける方が簡単な構成で第二回動軸線を得ることができ、また、第二回動軸線を複数種類得ることが容易である。
(14)前記被装着体保持装置が、前記立体被装着体を、前記複数の被装着面が一定に設定された被装着高さに位置する上昇位置とその上昇位置から下降した下降位置とに昇降させる昇降装置を含む(11)項ないし(13)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機。
本項の電子回路部品装着機は、(3)項に記載の電子回路部品装着方法の実施に好適である。
上記(11)項ないし(14)項の各々に記載の特徴は前記(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法にも適用可能であり、逆に前記(1)項ないし(6)項の各々に記載の特徴は上記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機にも適用可能である。
(21)(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、
(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具であって、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする立体被装着体保持治具。
(22)前記電子回路部品装着機が、さらに、前記立体被装着体を搬送するコンベヤを含み、
前記立体被装着体保持治具が、
前記コンベヤにより前記電子回路部品装着機の外部から搬入され、その電子回路部品装着機の外部へ搬出される第一部分と、
前記電子回路部品装着機内に配設される第二部分と
を含む(21)項に記載の立体被装着体保持治具。
第二部分が複数の第一部分により共用され、装置コストが低減される。
第一回動装置の駆動源をコンベヤ側に設け、第一部分の搬入後、第一部分に設けられた被駆動部に接続されて立体被装着体を回動させるようにしてもよい。
(23)前記第一部分が、
前記立体被装着体を下方から支持し、前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットと、
そのパレットに下方から支持され、(i)前記立体被装着体を下方から支持する支持面と、(ii)軸部とを含む被装着体支持体と
を含む一方、前記第二部分が、前記軸部を下方からかつ回転可能に支持する軸支持部を備えて前記昇降部材により昇降させられる軸支持体を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記軸支持体が前記昇降部材の上昇に伴って上昇し、前記軸部を支持して前記被装着体支持体を上昇させることにより、前記立体被装着体を前記パレットから浮き上がらせた状態で、その立体被装着体を前記被装着体支持体と共に前記軸部の軸線である前記第一回動軸線のまわりに回動させる(22)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動装置は、全体が第一部分と第二部分とのいずれか一方に設けられても、それぞれ一部が第一部分と第二部分とに設けられてもよい。第一回動装置の第二部分側に設けられる部分が複数の第一部分に対して共用される。
第一回動装置の少なくとも一部が第二部分に設けられれば、全部が第一部分に設けられる場合に比較して第一部分が軽くなり、コンベヤによる搬送が容易である。
(24)前記第二部分が、さらに、前記昇降部材に取り付けられ、少なくとも前記軸支持体を保持する治具本体を含む(23)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動装置を、例えば、上方から昇降部材に対向する位置に設けられ、昇降部材の昇降により昇降させられる前記立体被装着体、またはその立体被装着体と共に第一回動軸線のまわりに回動可能な回動部材に係合して、それら立体被装着体または回動部材を第一回動軸線のまわりに回動させるものとすることも可能である。例えば、電子回路部品装着機の装着ヘッドの下降を利用して回動させるものとするのである。
しかし、第一回動装置の少なくとも一部を治具本体と軸支持体との間に設ければ、立体被装着体保持治具をコンパクトに構成することができる。
治具本体を昇降部材に対して着脱することにより、第二部分を簡単に電子回路部品装着機にセットすることができ、また、パレットのコンベヤによる搬送により第一部分が電子回路部品装着機内に搬入されるため、既存の電子回路部品装着機を簡単に立体被装着体への電子回路部品の装着に対応させることができる。
(25)前記第二部分が、さらに、前記軸支持体を前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(23)項または(24)項に記載の立体被装着体保持治具。
軸支持体が被装着体支持体を支持した状態で第二回動装置によって回動させられることにより、被装着体支持体の軸部の軸線の基準平面に直角な軸線まわりの位置が変えられ、第二回動軸線が得られる。また、第二回動装置を治具本体と軸支持体との間に設ければ、立体被装着体保持治具をコンパクトに構成することができる。
(26)前記軸部と前記支持面とが互いに固定されており、前記第一回動装置が、前記軸部を前記第一回動軸線のまわりに回動させるとともに、その回動位置から小角度の回動を許容する機能を有し、かつ、
前記軸部と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇により前記被装着体支持体が上昇させられることによって前記カムと当接し、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む(23)項ないし(25)項のいずれかに記載の立体被装着体保持治具。
軸部の第一回動装置によって与えられる回動位置からの小角度の回動により、カムの当接面への当接が許容され、被装着面の向きが決められる。そのため、第一回動装置による被装着体支持体の軸部の回動は精度良く制御されなくてよく、第一回動装置の駆動源を安価なものとすることができる。次項に記載の第一回動装置についても同様である。
(27)前記被装着体支持体が、前記軸部と前記支持面との間に相対回転トルクが加えられた場合にそれら軸部と支持面との相対回動を許容する相対回動許容装置を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記支持面と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇に伴って前記被装着体支持体が上昇させられることにより前記カムと当接することによって、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む(23)項ないし(26)項のいずれかに記載の立体被装着体保持治具。
カムが当接面に当接した状態で更に第一回動装置が被装着体支持体を回動させたり、第一回動装置による駆動が終了した状態でカムが当接面に当接させられたりするとき、軸部と支持面との間の相対回動が許容されることにより、第一回動装置の駆動源に無理な力が作用することが回避される。相対回動許容装置は、例えば、軸部と支持面との間に弾性部材の一種であるゴムを配設することにより得られる。
上記相対回動許容装置を、軸部と支持面との相対回動に加えて前記基準平面と交差する方向における相対移動をも許容するものとすることも可能である。
(28)前記第一部分が、前記立体被装着体を下方から支持して前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットを含み、前記第二部分が、
前記立体被装着体を下方から支持する支持面を備えた被装着体支持体と、
その被装着体支持体を前記第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置とを含む(22)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一部分が被装着支持体を含み、第一回動装置の少なくとも一部が第一部分に設けられる場合に比較して、第一部分をより軽くすることができる。
(29)前記第二部分が、さらに、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む(28)項に記載の立体被装着体保持治具。
第一回動軸線と第二回動軸線とは実際に交差しても立体交差してもよい。交差角度も直角でも直角でなくてもよい。第一回動装置と第二回動装置とは共に被装着体支持体を任意の角度回動させ得るものであっても、少なくとも一方が任意の角度回動させ得るものであっても、共に予め定められた角度のみ回動させ得るものであってもよい。
(21)項ないし(29)項の各々に記載の特徴は、前記(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の電子回路部品装着方法または前記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子回路部品装着機にも適用可能であり、逆もまた可能である。
なお、立体被装着体保持治具は、第一回動装置が第二部分に設けられ、第二回動装置が第一部分に設けられるものとされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】請求可能発明の一実施形態である電子回路部品装着機たる装着モジュールを複数含む電子回路組立システムを示す正面図である。
【図2】上記複数の装着モジュールのうちの2つを示す斜視図である。
【図3】上記装着モジュールのベルトコンベヤを示す図であり、図3(a)は背面図、図3(b)は図3(a)におけるA−A断面図である。
【図4】上記装着モジュールの装着装置を示す斜視図である。
【図5】上記装着装置の複数の装着ヘッドのうちの2種類を示す斜視図である。
【図6】上記装着ヘッドのうち、吸着ノズルが複数保持されたものを示す斜視図である。
【図7】上記装着モジュールにおいて電子回路部品が装着される立体基板を示す図であり、図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図である。
【図8】上記電子回路組立システムにおいて立体基板について行われる接着剤の塗布、はんだの転写、電子回路部品の装着およびはんだの溶融を説明する図である。
【図9】上記立体基板への電子回路部品の装着に使用される立体基板保持治具を示す平面図である。
【図10】上記立体基板保持治具を、原位置に位置する立体基板支持体において断面にして示す側面図である。
【図11】上記立体基板保持治具を示す正面図(一部断面)である。
【図12】上記立体基板保持治具を示す右側面図(一部断面)である。
【図13】上記パレットに設けられた支持部材を示す図であり、図13(a)は正面図、図13(b)は平面図である。
【図14】上記立体基板保持治具のパレットに形成されたノッチを示す図であり、図14(a)は正面図、図14(b)は側面断面図である。
【図15】上記立体基板保持治具の軸支持体を示す正面図である。
【図16】上記立体基板支持体に固定された2種類のカムを示す図であり、図16(a)は一方のカムを示す右側面図(一部断面)、図16(b)は他方のカムを示す正面図である。
【図17】上記装着モジュールを制御する制御装置を概念的に示すブロック図である。
【図18】図18(a)は上記立体基板保持治具の第二部分が上昇させられ、軸支持体が上記原位置に位置する立体基板支持体を支持した状態を示し、図18(b)は立体基板支持体がパレットから浮き上がらされた状態を示すそれぞれ側面図(一部断面)である。
【図19】図19(a)は上記立体基板支持体がX軸方向位置へ回動させられた状態を示し、図19(b)は支持面が立体基板に当接させられた状態を示し、図19(c)は立体基板がパレットから浮き上がらされた状態を示すそれぞれ正面図(一部断面)である。
【図20】図20(a)は上記立体基板支持体の上面の高さがカムの当接面への当接により決められた状態を示す正面図(一部断面)であり、図20(b)はそのカムおよび立体基板を示す右側面図である。
【図21】図21(a)は、立体基板の回動およびカムの当接面への当接により立体基板の側面が水平とされるとともに、高さが決められた状態を示す正面図(一部断面)であり、図21(b)はその立体基板およびカムを示す右側面図である。
【図22】図22(a)はY軸方向位置へ回動させられた立体基板支持体により立体基板が支持された状態を示す右側面図(一部断面)であり、図22(b)はその立体基板およびカムを示す正面図である。
【図23】図23(a)は図22に示す立体基板の側面が水平とされるとともにカムの当接面への当接により高さが決められた状態を示す右側面図(一部断面)であり、図23(b)はその立体基板およびカムを示す正面図である。
【図24】別の実施形態である立体基板保持治具を示す平面図である。
【図25】図24に示す立体基板保持治具を示す側面図(一部断面)である。
【図26】図26(a)は、図25に示す立体基板保持治具において立体基板支持体がX軸方向位置に位置する状態を示す正面図(一部断面)であり、図26(b)はY軸方向位置に位置する状態を示す側面図(一部断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、請求可能発明のいくつかの実施形態を、上記各図を参照しつつ説明する。なお、請求可能発明は、下記実施形態の他、上記〔発明の態様〕の項に記載した態様を始めとし
て、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0016】
図1に、電子回路組立システム(以下組立システムと略称する)を示す。この組立システムは電子回路部品装着機ライン10およびリフロー炉12を含む。本電子回路部品装着機ライン10は、複数、例えば、4台の装着モジュール14が共通で一体のベース16上に、互いに隣接して横並びに配列されて固定されることにより構成されている。複数の装着モジュール14の各々は、電子回路部品装着機と称することもでき、回路基板への電子回路部品の装着を分担し、並行して行う。リフロー炉12は、回路基板に塗られたクリーム状はんだを加熱して溶融させ、電子回路部品を回路基板に形成された配線パターンにはんだ付けするものである。
【0017】
装着モジュール14については、例えば、特開2004−104075公報に詳細に記載されており、本請求可能発明に関係する部分以外の部分については簡単に説明する。
各装着モジュール14はそれぞれ、図2に示すように、本体フレームとしてのモジュール本体18,基板搬送装置20,基板保持装置22,部品供給装置24,作業装置たる装着装置26,基準マーク撮像装置28(図4参照),部品撮像装置30および制御装置32を備えている。
【0018】
モジュール本体18は、前後方向に長いベッド36を備えている。基板搬送装置20は、2つのコンベヤ40,42を備え、ベッド36の、装着モジュール14の前後方向の中央部に設けられ、回路基板44を複数の装着モジュール14が並ぶ方向と平行な方向であって、水平な方向に搬送する。回路基板44は平板状を成し、その被作業面たる被装着面は平面状を成す。本実施形態においては、回路基板44の搬送方向をX軸方向、水平な一平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。装着モジュール14の前後方向はY軸方向に平行である。回路基板の搬送には、コンベヤ40,42の少なくとも一方が使用される。
【0019】
コンベヤ40,42は、図3に一方のコンベヤ40を示すように、本実施形態においてはベルトコンベヤとされており、一対のサイドフレーム46,48の互いに対向する内側面にはそれぞれ、一方のサイドフレーム46を示すように、駆動プーリ50および複数のガイドプーリ52が回転可能に取り付けられるとともに、無端のコンベヤベルト54が巻き掛けられている。
【0020】
サイドフレーム46,48にそれぞれ設けられた駆動プーリ50が共通の電動モータ56によって回転させられることにより、一対のコンベヤベルト54が同時に周回させられ、それらコンベヤベルト54により、互いに平行な両側端部を下方から支持された回路基板44が水平な姿勢で搬送される。駆動プーリ50,ガイドプーリ52および電動モータ56がベルト周回装置58を構成している。駆動源たる電動モータ56は、例えば、パルスモータあるいはサーボモータにより構成される。コンベヤベルトの移動は、ガイドレール等の案内部材により下方から支持される。
【0021】
回路基板44の移動は、サイドフレーム46,48上にそれぞれ設けられた案内部材たるガイドレール60(図3参照)により、幅方向の両側において案内される。幅方向は、回路基板44の上面である被装着面に平行な平面であって、水平な一平面内において搬送方向と直交する方向であり、Y軸方向に平行である。また、水平面に直角な方向であって、鉛直方向をZ軸方向とする。なお、コンベヤ40のサイドフレーム48およびコンベヤ42のサイドフレーム46,48はY軸方向に移動可能に設けられ、搬送幅変更装置(図示省略)により移動させられ、コンベヤ40,42の基板搬送幅が回路基板44の幅に応じて変更される。
【0022】
基板保持装置22は2つのコンベヤ40,42の各々について設けられ、本実施形態においては、図3に示すように基板支持装置70およびクランプ部材72を含み、回路基板44を被装着面が水平となる姿勢で保持する。本実施形態においては、水平面が基準平面である。基板支持装置70は、それぞれ回路基板44を下方から支持する支持部材たる複数の支持ピン74と、それら支持ピン74を支持する支持部材たる支持台76とを含む。支持台76は板状を成し、大きさが異なる複数種類の回路基板の支持に使用可能な大きさを有する。クランプ部材72は、コンベヤ40,42が設けられた1対のサイドフレーム46,48の各々に昇降可能に設けられ、ガイドレール60に設けられた押さえ部78と共同して、回路基板44の搬送方向に平行な両側縁部をそれぞれ上下方向において挟持する。本実施形態においては、回路基板44の被装着面は、押さえ部78の下面であって、回路基板44を押さえる押さえ面80と同一平面上に位置させられ、その位置を高さ方向の基準として電子回路部品の装着が行われる。この高さを被装着高さと称する。
【0023】
基板支持装置70は、基板支持装置昇降装置82により昇降させられる。本基板支持装置昇降装置82は、図10に示すように、昇降部材たる昇降台84と、昇降台昇降装置86とを備えている。昇降台84は板状を成し、その上に支持台76が着脱可能に固定され、基板支持装置70がセットされる。昇降台昇降装置86はベース16に設けられ、本実施形態においては、駆動源たる電動モータ88(図17参照)と、送りねじ90およびナット92を含む送りねじ機構94とを含み、ナット92が電動モータ88により回転させられる。送りねじ90はベース16により、昇降可能かつ相対回転不能に支持されるとともに、その上端部に昇降台84が取り付けられ、ナット92はベース16に回転可能かつ軸方向に移動不能に設けられており、ナット92の回転により送りねじ90が昇降させられ、昇降台84が案内装置(図示省略)に案内されつつ昇降させられる。
【0024】
部品供給装置24は、図2に示すように、ベッド36の基板搬送装置20に対してY軸方向の一方の側であって、装着モジュール14の前面側に設けられている。部品供給装置24は、例えば、部品供給具たる部品フィーダの一種であるテープフィーダ(以後、フィーダと略称する)96により電子回路部品を供給するものとされている。部品供給装置は、部品供給具たるトレイにより電子回路部品を供給するものとされてもよく、部品フィーダおよびトレイによって電子回路部品を供給するものとされてもよい。
【0025】
装着装置26は、図4および図5に示すように、装着ヘッド100(100a,100b)と、その装着ヘッド100を移動させるヘッド移動装置102とを備えている。ヘッド移動装置102は、図4に示すように、X軸方向移動装置104およびY軸方向移動装置106を備えている。Y軸方向移動装置106は、モジュール本体18を構成するクラウン108に、部品供給装置24の部品供給部と2つの基板保持装置22とに跨って設けられたリニアモータ110を備え、可動部材としてのY軸スライド112をY軸方向の任意の位置へ移動させる。
【0026】
本実施形態においては、X軸方向移動装置104はY軸スライド112上に設けられ、Y軸スライド112に対してX軸方向に移動させられるとともに、互いにX軸方向に相対移動させられる第一,第二X軸スライド114,116と、それらスライド114,116をそれぞれ、X軸方向に移動させるX軸スライド移動装置118(図4には第二X軸スライド116を移動させる移動装置のみが図示されている)とを備えている。2つのX軸スライド移動装置はそれぞれ、例えば、駆動源たる電動モータ119(図17参照)と、送りねじおよびナットを含む送りねじ機構とを含むものとされ、X軸スライド114,116をX軸方向の任意の位置へ移動させる。送りねじとしてはボールねじが好適であり、電動モータとしてはサーボモータ等回転角度の制御が可能な電動モータが好適である。なお、ヘッド移動装置は、X軸スライド上にY軸方向移動装置が設けられたものとされてもよい。
【0027】
装着ヘッド100は、第二X軸スライド116に着脱自在に搭載され、ヘッド移動装置102により、基準平面である水平面に平行な方向に移動させられ、部品供給装置24の部品供給部と2つの基板保持装置22とに跨る移動領域である装着作業領域内の任意の位置へ移動させられる。装着ヘッド100を第二X軸スライド116に着脱可能に取り付ける機構は、例えば、特開2004−221518公報に記載の取付機構と同様に構成されており、図示および説明を省略する。装着ヘッド100は、部品保持具の一種であり、作業部を構成する吸着ノズル120(120a,120b)によって電子回路部品を保持するものとされており、吸着ノズル120を保持し、保持具保持部を構成するノズルホルダ122の数を異にする複数種類の装着ヘッド100が用意され、電子回路部品が装着される回路基板44の種類に応じて選択的に第二X軸スライド116に取り付けられる。
【0028】
例えば、図5(a)に示す装着ヘッド100aはノズルホルダ122aを1つ備え、吸着ノズル120aが1つ保持され、図5(b)に示す装着ヘッド100bはノズルホルダ122bを複数、例えば3個以上(図示の例では12個)備え、吸着ノズル120bが最大12個保持され得る。装着ヘッド100aにおいてノズルホルダ122aは、ヘッド本体(図示省略)に軸線方向であって鉛直方向に移動可能かつ自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に設けられ、ヘッド本体に設けられた移動装置である昇降装置124および回転装置126(図17参照)により昇降および回転させられる。昇降装置124および回転装置126はサーボモータ等の電動モータを駆動源とし、ノズルホルダ122aが任意の位置へ下降させられ、正逆両方向に任意の角度回転させられる。吸着ノズル120a,120bは負圧により電子回路部品を吸着して保持するものであり、吸着ノズル120aへの負圧の供給は、図示を省略する切換装置の切換えにより許容,遮断される。
【0029】
装着ヘッド100bは、図6に示すように、ヘッド本体128に鉛直な回転軸線のまわりに回転可能に設けられた回転体130と、サーボモータ等の電動モータを駆動源とし、回転体130を正逆両方向に任意の角度回転させる回転体回転装置132とを備えた回転型ヘッドである。回転体130には、その回転軸線を中心とする一円周上に適宜の間隔、図示の装着ヘッド100bでは等角度を隔てた12の位置にそれぞれ、ノズルホルダ122bが回転体100の回転軸線に平行な方向に相対移動可能かつ自身の鉛直な軸線まわりに回転可能に設けられ、それぞれ回転体100からの突出端部において吸着ノズル120bを着脱可能に保持する。
【0030】
12個のノズルホルダ122bは、回転体130の回転により、回転体130の回転軸線のまわりに旋回させられ、12個の停止位置の1つである部品吸着装着位置へ順次移動させられ、ヘッド本体128の部品吸着装着位置に対応する位置に設けられた昇降装置134によって昇降させられる。ノズルホルダ122bはさらに、ヘッド本体128に設けられたホルダ回転装置136により、自身の軸線まわりに回転させられる。昇降装置134およびホルダ回転装置136はそれぞれサーボモータ等の電動モータを駆動源とし、ノズルホルダ122bが任意の位置へ下降させられ、正逆両方向に任意の角度回転させられる。ヘッド本体128にはさらに、図示は省略するが、12個のノズルホルダ122bの各々について設けられたバルブを切り換える切換装置が設けられ、吸着ノズル120への負圧の供給が許容,遮断される。
【0031】
本実施形態においては、装着ヘッド100a,100bにおいて吸着ノズル120a,120bはいずれも軸線が鉛直方向に延び、基準平面である水平面に対する角度は直角で不変である。昇降装置124,134がそれぞれ、吸着ノズル120a,120bを基準平面と直角な方向に移動させる直角方向移動装置を構成し、平行方向移動装置を構成するヘッド移動装置102と共に、作業部移動装置の一種である保持具移動装置たるノズル移動装置を構成し、吸着ノズル120a,120bは水平面に対する角度を直角に保って、水平方向に移動させられ、昇降させられる。
【0032】
前記基準マーク撮像装置28は、図4に示すように、第二X軸スライド116に搭載され、ヘッド移動装置102により装着ヘッド100と共に移動させられ、回路基板44の被装着面に設けられた基準マーク(図示省略)を撮像する。ヘッド移動装置102は、基準マーク撮像装置移動装置を兼ねている。基準マーク撮像装置28は、例えば、CCDカメラあるいはCMOSカメラにより構成されている。
【0033】
本組立システムにおいては、回路基板44のように、平板状を成す被装着体の他、立体被装着体、例えば、図7に示す立体基板140への電子回路部品の装着も行われる。立体基板140は横断面形状が矩形を成し、それぞれ平面状の上面142と、上面142に対して傾斜させられた側面144,146,148,150とを有する。側面144と側面146および側面148と側面150はそれぞれ、上面142に対して対称に傾斜させられるとともに、側面144,146の傾斜角度と、側面148,150の傾斜角度とは同じにされている。なお、本実施形態においては単純化のために、立体基板140には、平らな一平面上を成し、上面142と平行で下方から支持できる底面152があるものとみなす。
【0034】
立体基板140には、上面142および側面144,146,148,150(以後、場合によって、面142〜150と記載する)にそれぞれ配線パターンが形成されており、装着ヘッド100により電子回路部品が装着される。面142〜150がいずれも、その全体が被装着面たる被装着平面であり、それぞれ複数、例えば2個の基準マーク154が設けられている。2個ずつの基準マーク154は、例えば、対角線方向に隔たった2個所にそれぞれ設けられている。面142〜150のそれぞれ電子回路部品を装着する位置は、基準マーク154に対して予め設定されている。
【0035】
面142〜150への電子回路部品の装着は、回路基板44の被装着面への電子回路部品の装着と同様に装着ヘッド100により行われる。そのため、部品装着時には面142〜150を水平な姿勢とすることが必要であり、立体基板140への電子回路部品の装着時には、図9に示す立体被装着体保持治具たる立体基板保持治具160が使用される。
【0036】
また、被装着体は電子回路部品の装着後、リフロー炉12において加熱され、電極に塗布されたクリーム状はんだ(はんだと略称する)が溶融させられるため、加熱時に水平面に対して傾斜させられた姿勢とされる被装着面においては、装着された電子回路部品がずれ易い。そのため、本実施形態においては、はんだ付け工程において水平面に対して3度以上傾斜した状態となる被装着面に対して電子回路部品を接着剤により接着してずれを防止することとされている。立体基板140の場合、図8に概略的に示すように、リフロー炉12において上面142が水平となる姿勢で加熱され、はんだ付け時に水平面に対して傾斜した状態となる被装着面である側面144,146,148,150(以後、場合によって、側面144〜150と記載する)の水平面に対する傾斜角度は40度であり、側面144〜150に接着剤が塗布され、電子回路部品162が仮止めされる。本組立システムにおいて立体被装着体への電子回路部品の装着時には、4台の装着モジュール14のうち、最上流の装着モジュール14において被装着面への接着剤の塗布が行われる。
【0037】
被装着面への接着剤の塗布による電子回路部品の仮止めは、図8に概略的に示すように、互いに傾斜させられた面142〜150のうちの1つを水平な姿勢とすべく、電子回路部品162が装着された部品装着済面がある状態で立体基板140を回動させる場合や搬送時に電子回路部品のずれを防止する上でも有効である。回動の開始時および停止時にそれぞれ電子回路部品162に角加速度および角減速度が生じ、電極164に塗布されたはんだ165の粘着力のみでは電子回路部品162の保持力が不足し、電子回路部品162が滑り易いからである。特に、停止時における水平面に対する傾斜角度が大きい側面144〜150については、電子回路部品に作用する重力加速度の影響が大きいため、滑り易いのであるが、面142〜150に電子回路部品162が仮止めされれば、これら加速度が大きくても差し支えない。立体基板140の搬送時にも同様である。そのため、本実施形態においては、上面142にも接着剤が塗布され、電極164に塗られたはんだ165の粘着力と共に電子回路部品162が保持され、電子回路部品がずれないようにされる。なお、加熱時に水平な姿勢となる上面142については、接着剤の塗布は省略してもよい。
【0038】
また、面142〜150のうちの1面、例えば、上面142にはスクリーン印刷機によってはんだ165が印刷されるが、側面144,146,148,150については、最上流の装着モジュール14に隣接する装着モジュール14においてはんだ165の転写が行われる。面142〜150の全部について、装着モジュール14においてはんだの転写が行われてもよい。
【0039】
接着剤の塗布を行う装着モジュール14においては、図8に概略的に示すように、装着ヘッド100に代えて接着剤塗布ヘッド166が第二X軸スライド116に保持され、装着モジュール14が接着剤塗布機たる接着剤塗布モジュールとして機能させられる。接着剤塗布ヘッド166は、ヘッド本体,接着剤を収容してヘッド本体に軸線が鉛直な姿勢で昇降可能に設けられたシリンジ168,シリンジ168内の接着剤を吐出させる吐出駆動装置およびシリンジ168を昇降させる昇降装置を備えている。接着剤塗布ヘッド166はヘッド移動装置102により、面142〜150上に設定された接着剤塗布箇所、ここでは面142〜150に装着された状態における電子回路部品162の本体に対応する部分へ移動させられ、シリンジ168が下降させられて接着剤170を塗布する。本実施形態においては、シリンジ168が作業部を構成し、上記昇降装置およびヘッド移動装置102が作業部移動装置たるシリンジ移動装置を構成し、接着剤塗布ヘッド166およびヘッド移動装置102が作業装置たる接着剤塗布装置を構成している。
【0040】
はんだの転写を行う装着モジュール14においては、はんだ転写ヘッド172が第二X軸スライド116に保持され、装着モジュール14がはんだ転写機たるはんだ転写モジュールとして機能させられる。はんだ転写ヘッド172は、ヘッド本体,ヘッド本体に軸線が鉛直な姿勢で昇降可能に設けられた転写部材174および転写部材昇降装置を備えている。また、ベース16には浅い容器状のはんだ溜まり(図示省略)が設けられている。はんだ転写ヘッド172は、ヘッド移動装置102によりはんだ溜まりと立体基板140との間を移動させられ、転写部材174の下端部に浸されたはんだ176が電極164に塗布され、転写される。本実施形態においては、転写部材174が作業部を構成し、転写部材昇降装置およびヘッド移動装置102が作業部移動装置たる転写部材移動装置を構成し、はんだ転写ヘッド172およびヘッド移動装置102がはんだ転写装置を構成している。
【0041】
立体基板保持治具160を説明する。
本立体基板保持治具160は、図9および図10に示すように、第一部分180,第二部分182および第一回動装置たる回動装置183を含む。第一部分180は、パレット184と被装着体支持体たる立体基板支持体186とを含む。パレット184は、横断面形状が正方形状を成し、その互いに平行な一対の外側面にはそれぞれ、上端部から外向きに延び出す板状の被支持部188が設けられている。被支持部188の上面は、パレット184の上面と同一平面上に位置させられている。一対の被支持部188はそれぞれ、コンベヤ40,42の一対のコンベヤベルト54の各々により下方から支持され、コンベヤベルト54の周回によりパレット184が搬送され、第一部分180が搬送される。パレット184は、本実施形態においては、合成樹脂製とされている。
【0042】
パレット184には、軸方向に貫通して穴200が形成されている。穴200の横断面形状は、立体基板140の底面152の外接円より直径が大きい円形を成し、パレット184内に立体基板収容部202が形成されている。パレット184にはまた、図11に示すように、穴200の内周面204に開口する円環状の凹部206が形成されている。凹部206の下側の側壁208の上面210は、凹部206の開口側の部分が底部側の部分より低くされ、円環状の上向きの支持面212が形成されている。
【0043】
パレット184には、立体基板140を支持する支持部材220および支持部材移動装置222が設けられ、被装着体支持装置たる立体基板支持装置223を構成している。支持部材220は複数、例えば、4つ設けられ、1つを図13(a),(b)に示すように、上向きで水平な支持面224と、上方ほど支持面224から離れる向きに傾斜させられるとともに、互いに直角に設けられた位置決め面226,228とを有する。立体基板140の4つの角部はそれぞれ、位置決め面226,228の傾斜に案内されて支持面224上に載置され、下方から水平な姿勢で支持されるとともに、位置決め面226,228によりX軸方向およびY軸方向の移動を阻止され、位置決めされる。位置決め面226,228は案内面でもある。立体基板140は、本実施形態においては、図9に示すように、その長手方向がコンベヤ40,42の幅方向(Y軸方向)に平行な姿勢で支持され、搬送される。
【0044】
本実施形態においては、図9に示すように、4つの支持部材220のうちY軸方向に隔たった2つずつが連結部材232により連結され、共通の支持部材移動装置222により同時にX軸方向に移動させられる。支持部材移動装置222は、図9および図11に示すように、パレット184の凹部206の上側の側壁233のうち、Y軸方向に平行な2部分にそれぞれ設けられ、その部分のY軸方向における中央部にX軸方向に移動可能に嵌合された可動部材たるスライド234を有する。スライド234の一端部は立体基板収容部202内に突出させられ、連結部材232が固定されている。
【0045】
スライド234の他端部は、パレット184の外へ突出させられるとともに、パレット184の外面に軸238により、Y軸方向に平行な軸線まわりに回動可能に取り付けられた駆動部材たるレバー240に係合させられている。レバー240の軸238から上方へ延び出させられた先端部には、球状を成す係合部242が設けられ、スライド234を上下方向に貫通して設けられた被係合部たる貫通孔244に上下方向に相対移動可能に嵌合されている。
【0046】
また、スライド234は、パレット184との間に配設された付勢装置の一種である弾性部材としてのばねである引張コイルスプリング246により、パレット184内に進入する向きに付勢されている。このスプリング246の付勢によるスライド234の移動限度は、スライド234のパレット184からの突出部に突設されてストッパを構成する突部248がパレット184の外面に当接することにより規定され、その状態では、支持部材220が立体基板140の角部を支持する支持位置ないし作用位置に位置させられる。レバー240の基端部のパレット184と対向する部分には、カム面250が形成されている。カム面250は、下方ほどパレット184から離れる向きに傾斜させられた傾斜面とされている。
【0047】
前記立体基板支持体186は、図9および図10に示すように、軸260および支持ブロック262を含む。支持ブロック262は軸260の軸方向の中央部に固定され、軸260が被装着体支持体の軸部を構成している。支持ブロック262の上面は長方形状を成し、軸260の軸線と平行な支持面264とされている。支持ブロック262の少なくとも支持面264を形成する部分は、粘着材の一種であるシリコンにより形成され、支持面264は粘着面とされ、被装着体保持手段としても機能させられる。
【0048】
軸260には、その両端部近傍にそれぞれ、2種類のカム270,272が固定されており、立体基板支持体186と一体的に回動させられる。カム270,272は板状を成す。カム270の軸260の軸線まわりの外面には、図16(a)に示すように、一平面状のカム面274と、カム面274に対して、立体基板140の上面142に対する側面144,146の傾斜角度と同じ角度で傾斜させられた一平面状のカム面276,278とが形成されている。また、カム272の外面には、図16(b)に示すように、一平面状のカム面280と、カム面280に対して、上面142に対する側面148,150の傾斜角度と同じ角度で傾斜させられた一平面状のカム面282,284とが形成されている。カム270,272は、カム面274,280が支持面264と平行となる位相で軸260に固定されている。軸260にはさらに、図9および図10に示すように、一方の端部側のカム270,272と支持ブロック262との間の部分に歯車286が固定され、被駆動部を構成している。
【0049】
パレット184の凹部206の下側の側壁208には、図9および図10に示すように、その上面210および前記穴200の中心側に開口させられた2個のノッチ290が形成され、被装着体支持体支持部が設けられている。これらノッチ290は、パレット184がコンベヤベルト54により支持された状態において、パレット184の鉛直な軸線まわりにおいてX軸方向およびY軸方向と交差する方向であって、本実施形態においては、45度の角度で交差する方向の直径方向に隔たった2個所に設けられている。ノッチ290の一対の側面は、図14(a)に示すように、上面210側への開口端部が上方ほど互いに離間する向きに傾斜させられて案内面291が形成されている。また、ノッチ290の、パレット184の軸線に平行で鉛直な端面292の上端部は、図14(b)に示すように、下方ほどパレット184の軸線へ向かう向きに傾斜させられた傾斜面293とされ、案内面として機能するように構成されている。以後、傾斜面293を案内面293と称する。
【0050】
パレット184の凹部206の上側の側壁233には、2個のノッチ290に対応する部分がそれぞれ切り欠かれて開口294が形成され、カム270,272が立体基板収容部202内に挿入されるようにされている。立体基板支持体186は、軸260の両端部がそれぞれノッチ290に嵌合されるとともに、カム270,272が支持面212上に載置され、図9および図10に示すように、パレット184により、軸260の軸線が水平となり、その軸線と直交する鉛直な軸線まわりにおいて、X軸方向およびY軸方向に対して45度の角度で交差する位置に位置決めされた状態で下方から支持される。この位置を、立体基板支持体186の鉛直軸線まわりにおける原位置とする。また、立体基板支持体186は、カム270,272の支持面212上への着座により軸260の軸線まわりの回動を阻止され、水平軸線まわりにおいて支持面264が水平となる原位置に位置する状態に保たれる。さらに、ノッチ290の端面292により、立体基板支持体186がその軸線に平行な方向において位置決めされ、カム270,272および歯車286も位置決めされる。
【0051】
カム270,272は、図11に示すように、パレット184の軸線と直交する方向においては側壁233に対応する位置に位置し、本実施形態においては、側壁233の水平で一平面状の下面296が当接面として機能させられる。以後、下面296を当接面296と称する。当接面296には、図9および図12に示すように、パレット184の軸線と直交し、Y軸方向に平行な方向に隔たった2箇所にそれぞれ、後述するように、カム272の当接面296への当接によって立体基板140の側面148,150の高さが決められる際にカム270との干渉を回避するための切欠298が形成されている。
【0052】
前記第二部分182を説明する。
第二部分182は、図10に示すように、治具本体330,一対の軸支持体332,被装着体支持体駆動装置たる立体基板支持体駆動装置334および回動装置336を含む。治具本体330は、本実施形態においては、円板状を成す。回動装置336は、回転体たる円板状のテーブル338およびテーブル回動駆動装置340を含む。テーブル338は、治具本体330上に配設されるとともに、軸342が治具本体330により軸受344を介して、前記立体基板支持体186の軸260の軸線である水平な回動軸線と直交する鉛直軸線まわりに回動可能に支持されている。
【0053】
テーブル回動駆動装置340は電動モータ346を駆動源として構成され、テーブル338を正逆両方向に回動させる。本実施形態においては、ストッパ装置350が設けられ、テーブル338の回動位置が規定される。ストッパ装置350は、図9に示すように、テーブル338に設けられて係合部を構成する円弧状の長穴352と、治具本体330上に突設されて係合部を構成する突部354とを含む。長穴352は、テーブル338の回動軸線を中心とする円弧状を成し、突部354は長穴352に、テーブル338の回動軸線まわりに相対移動可能に嵌合されている。突部354が長穴352の両端面に当接することにより、テーブル338は、90度位相を異にする2つの回動位置に位置決めされる。治具本体330およびテーブル338の直径はパレット184の穴200の直径より小さく、穴200の下側の開口を通ってパレット184内に進入可能である。
【0054】
立体基板支持体駆動装置334は、図10に示すようにテーブル338上に設けられ、回動装置334により軸支持体332と共に回動させられる。立体基板支持体駆動装置334は、本実施形態においては、駆動源たる電動モータ360および電動モータ360により回転させられる歯車362を含み、前記歯車286,カム270,272および当接面296と共に回動装置183を構成する。立体基板支持体駆動装置334は、歯車362が、テーブル338の回動軸線と直交する軸線まわりに回転可能に設けられるとともに、テーブル338の回動軸線と直交する方向において、前記立体基板支持体186の軸260に設けられた歯車286と対応する位置に設けられている。歯車286,362は、後述するように互いに噛み合わされ、立体基板支持体186が回動装置183によって回動させられるが、本実施形態においては、互いに噛み合わされた歯の歯面間に隙間が得られ、立体基板支持体186の立体基板支持体駆動装置334に対する小角度の相対回動が許容されるように形成されている。
【0055】
一対の軸支持体332は、テーブル338上に突設され、歯車362の回転軸線上において離れた位置に設けられている。軸支持体332のテーブル338からの突出端部である上端部には、図15に示すように、U字形を成す軸支持部364が設けられている。軸支持部364の互いに平行な一対の内側面の上端部は上方ほど互いに離間する向きに傾斜させられ、案内面366が形成されている。
【0056】
前記ストッパ装置350は、テーブル338が2つの回動位置の一方に停止させられた状態において、歯車362の回転軸線および一対の軸支持体332の並び方向がX軸方向に平行となり、他方に停止させられた状態においてY軸方向に平行となるように設けられている。テーブル338および一対の軸支持体332の前者の位置を第一回動位置たるX軸方向位置、後者を第二回動位置たるY軸方向位置と称する。
【0057】
また、治具本体330には、図11に示すように、前記2組の支持部材移動装置222に対応する位置にそれぞれ、駆動部材370が設けられている。駆動部材370は、治具本体330から上方へ延び出させられている。
【0058】
第二部分182は、図10に示すように、治具本体330が前記基板支持装置70の支持台76に代えて基板支持装置昇降装置82の昇降台84に取り付けられ、基板支持装置昇降装置82により昇降させられる。なお、昇降台84には、テーブル回転駆動装置340の電動モータ346との干渉を回避する凹部374が設けられている。立体基板保持治具160の構成要素は、本実施形態においてはパレット184を除いてアルミニウム等の金属製とされ、歯車286,362のように特に摩耗し易い構成要素は鋼製とされている。パレット184も金属製としてもよい。
【0059】
前記制御装置32は、図17に示すように、制御コンピュータ400を主体として構成されており、駆動回路402を介して電動モータ56等、装着モジュール14を構成する種々の装置の駆動源等を制御する。また、制御コンピュータ400の入出力インタフェースには、基準マーク撮像装置28および部品撮像装置30の撮像により得られたデータを処理する画像処理コンピュータ404が接続されるとともに、他の装着モジュール14の制御装置32および組立システム全体を統括制御するシステム制御装置406が通信ケーブル408を介して接続されている。立体基板保持治具160の第二部分182は、昇降台84に取り付けられた状態で制御コンピュータ400により制御される。また、接着剤の塗布やはんだの転写が行われるモジュール14においては、接着剤塗布装置やはんだ転写装置が制御コンピュータ400により制御される。
【0060】
以上のように構成された電子回路組立システムにおいては、接着剤塗布モジュール14において面142〜150について接着剤の塗布が行われ、はんだ転写モジュール14において側面144〜150についてはんだの転写が行われる。搬送方向において下流側の2台の装着モジュール14において電子回路部品の装着が行われ、本組立システムにおいては、一方の装着モジュール14、例えば、上流側の装着モジュール14において、立体基板140の上面142および立体基板140の長辺方向に隔たった側面144,146について電子回路部品の装着が行われ、他方の装着モジュール14、例えば、下流側の装着モジュール14において短辺方向に隔たった側面148,150について電子回路部品の装着が行われる。
【0061】
そのため、4台のモジュール14においてそれぞれ、昇降台84に、基板支持装置70に代えて立体基板保持治具160の第二部分182が取り付けられ、装着モジュール14内に配設される。また、クランプ部材72は外される。立体基板140への電子回路部品の装着を例に取り、立体基板保持治具160の作動を説明する。
【0062】
まず、上流側の装着モジュール14における立体基板140への電子回路部品の装着を説明する。立体基板140の搬送にはコンベヤ40が使用されるものとする。
立体基板140は、図11に示すようにパレット184内に収容され、支持部材220により支持されて上面142が水平な姿勢で搬送される。この姿勢を立体基板140の水平軸線まわりにおける原位置とする。また、支持部材220により支持された状態における立体基板140の上下方向の位置が下降位置である。立体基板支持体186はパレット184により支持され、鉛直軸線まわりおよび水平軸線まわりのいずれにおいても原位置に位置させられている。パレット184はコンベヤ40により搬送され、はんだ転写モジュール14から装着モジュール14内へ搬入され、装着装置26の下方へ搬入されて所定の位置において停止させられる。パレット184に支持された立体基板186の面142〜150にはそれぞれ、接着剤170が塗布され、電極164にはんだ165が塗られている。
【0063】
装着モジュール14において第二部分182は下降端位置に位置させられ、テーブル338は、図9に示すように、X軸方向位置とY軸方向位置との中間位置であって、歯車362がテーブル338の軸線まわりにおいて、原位置に位置する立体基板支持体186の歯車286に対応する位置に位置させられている。この位置をテーブル338および一対の軸支持体332の原位置とする。
【0064】
パレット184の停止後、昇降台84が上昇させられる。それにより、第二部分182が上昇させられ、図18(a)に示すように、軸支持体332の軸支持部364に軸260が嵌合され、立体基板支持体186が下方から支持されるとともに、歯車286,362が噛み合わされる。軸260の軸支持部364への嵌合は、案内面366により案内され、軸260が軸支持部364に確実に嵌合される。その状態から更に昇降台84が上昇させられることにより、図18(b)に示すように、軸支持体332が軸260を支持して立体基板支持体186を上昇させ、立体基板支持体186がパレット184から浮き上がらされ、軸260がノッチ290から上方へ抜け出させられる。立体基板支持体186は一対の軸支持体332により自身の水平な軸線まわりに回動可能に支持され、パレット184に対して鉛直軸線まわりおよび水平軸線まわりに回動可能となる。
【0065】
立体基板支持体186の回動が可能となった状態での昇降台84の上昇と並行してテーブル338が回動させられ、軸支持体332により支持された立体基板支持体186が立体基板140に対して鉛直軸線まわりに回動させられる。ここでは、テーブル338は、例えば、図19(a)に示すようにX軸方向位置へ回動させられ、立体基板支持体186が、図9に一点鎖線で示すように、軸260の軸線がX軸方向に平行であって、立体基板140の短辺と平行となるX軸方向位置へ回動させられる。また、この立体基板支持体186の回動により、カム270は図20(b)に一方を示すように、カム面276,278が軸260の軸線まわりにおいて立体基板140の側面144,146に対応する位置に位置する状態となる。立体基板支持体186は、X軸方向位置への回動後、昇降台84の上昇により、図19(b)に示すように、支持面264が立体基板140の底面152に当接し、粘着力により立体基板140を下方から保持する。テーブル回転駆動装置340の電動モータ346はテーブル338を回動させるためのトルクが制限された状態で作動させられ、テーブル338がX軸方向位置へ回動させられた状態においてもトルクは加えられ、立体基板支持体186がX軸方向位置に位置する状態に保たれる。
【0066】
昇降台84の更なる上昇により、図19(c)に示すように、立体基板140が支持部材220から持ち上げられ、パレット184から浮き上がらされる。治具本体330と共に上昇させられる駆動部材370は、立体基板140が支持部材220から持ち上げられた後、レバー240のカム面250に当接し、スプリング246の付勢力に抗してレバー240を回動させ、スライド234がパレット184から退出する向きに移動させられる。それにより支持部材220が後退させられ、立体基板140から外れた退避位置へ退避させられる。このように支持部材220が後退させられ、立体基板140の支持が解除された状態における昇降台84の位置を支持解除位置と称する。
【0067】
立体基板140の上面142に電子回路部品が装着される場合には、昇降台84がそのまま上昇させられ、立体基板140が上昇させられる。この上昇は、図20(a)に示すように、カム270のカム面274が当接面296に当接することにより止められ、上面142がパレット184の上面と同一平面上に位置させられる。この状態から更に昇降台84が上昇させられることにより、パレット184がカム270により押し上げられてコンベヤベルト54から浮き上がらされる。パレット184の上昇は、一対の被支持部188が押さえ部78に当接することにより止められ、立体基板140は上昇位置に位置させられ、上面142が水平な姿勢で被装着高さに位置決めされる。立体基板140は、回路基板44と同様に、押さえ面80によって被装着面の高さ方向の位置が一定に決められ、押さえ面80の高さを基準として電子回路部品の装着が行われる。昇降台昇降装置86の電動モータ88は、昇降台84を上昇させるためのトルクが制限された状態で作動させられ、被支持部188が押さえ部78に当接した後もトルクは加えられ、上面142が水平な姿勢で被装着高さに位置する状態に保たれる。
【0068】
そして、基準マーク撮像装置28が移動させられ、上面142に設けられた基準マーク154が撮像されて部品装着箇所の位置誤差が算出される。上面142は水平とされ、回路基板44への電子回路部品の装着時と同様に被装着高さに位置させられており、回路基板44に電子回路部品をするための装着プログラム(電子回路部品の装着位置,電子回路部品の種類,電子回路部品を取り出すフィーダの位置および装着順序等が設定されたプログラム)を実行する制御プログラムを使用して、立体基板140に電子回路部品を装着するための装着プログラムを実行させ、吸着ノズル120を水平方向および鉛直方向に移動させて上面142に電子回路部品を装着させることができる。立体基板140は立体基板支持体186によって下方から支持されており、装着時にも支持される。
【0069】
上面142への電子回路部品の装着終了後、側面144,146への電子回路部品の装着が行われる。そのため、昇降台84が下降させられる。昇降台84は、電動モータ88の制御によって支持解除位置まで下降させられ、パレット184の被支持部188がコンベヤベルト54上に載置されるとともに、カム270が当接面296から離間させられ、立体基板支持体186が軸260の軸線まわりに回動可能とされる。下降後、昇降台84は再び上昇させられ、その上昇と並行して立体基板支持装置駆動装置334の電動モータ360が起動させられ、歯車362,286の噛合により立体基板支持体186が回動させられ、支持面264により保持された立体基板140が軸260の軸線であって、X軸方向に平行な水平軸線である第一回動軸線のまわりに回動させられる。
【0070】
次に側面146に電子回路部品が装着されるとすれば、立体基板支持体186は側面146が水平となる方向へ回動させられる。この回動および昇降台84の上昇により、図21(b)に示すように、カム270が側面146に対応するカム面278が水平となる方向へ回動させられ、当接面296への当接により水平にされるとともに、立体基板支持体186のパレット184に対する上昇が止められ、図21(a)に示すように、側面146が水平な姿勢でパレット184の上面と同一平面上に位置する状態とされる。
【0071】
電動モータ360は、カム面278が水平となるはずの回転位置へ回転させられて停止させられ、その後、立体基板支持体186は、その上昇に伴ってカム面278が当接面296に沿うべく回動させられ、カム面278が当接面296に当接させられ、側面146が水平とされる。この立体基板支持体186の回動は、歯車286,362の歯面間の隙間により許容される。電動モータ360が設定角度回転させられる前にカム面278が当接面296に当接することがあっても、このときにはカム面278の旋回半径が最大の部分が旋回軌跡の上端位置を超えており、カム270の回動によりカム面278が下がる状態となるため、電動モータ360に無理な力が加えられることなく、その設定角度の回転が許容される。
【0072】
カム面278の当接面296への当接後、パレット184はカム270により押し上げられ、被支持部188が押さえ部78に押し付けられて上昇が止められる。側面146は押さえ面80と同一平面上に位置させられ、基準マーク撮像装置28および装着ヘッド100により、回路基板44への電子回路部品の装着時と同様に基準マーク154の撮像および電子回路部品の装着が行われる。
【0073】
装着後、昇降台84が支持解除位置へ下降させられた後、再度上昇させられ、立体基板支持体186が上昇と並行して立体基板支持体駆動装置334により回動させられ、側面144が水平とされて電子回路部品の装着が行われるようにされる。側面144の高さは、カム面276の当接面296への当接により規定される。側面144への電子回路部品の装着後、昇降台84が下降端位置へ下降させられる。その途中でパレット184がコンベヤベルト54により下方から支持され、さらにカム面276が当接面296から離間させられた状態で立体基板支持体186が水平軸線まわりに回動させられ、立体基板支持体186および立体基板140が原位置へ戻される。
【0074】
更に昇降台84の下降により駆動部材370が下降してカム面250から外れ、支持部材220がスプリング246の付勢により支持位置へ移動させられる。支持部材220は、立体基板140が支持面224により受けられる前に支持位置へ到達し、立体基板140を支持する。立体基板140の支持面224上への載置は位置決め面226,228により案内され、立体基板140は支持部材220により確実に支持される。
【0075】
その状態から更に昇降台84が下降させられることにより、支持ブロック262が立体基板140から離間し、立体基板支持体186が立体基板140に対して下降させられる。支持面264は粘着力を有し、立体基板140を保持するが、立体基板140が支持部材220により支持され、下方への移動を阻止された状態で立体基板支持体186が下降させられ、立体基板140から離間する向きに移動させられることにより、立体基板140からの離間が可能である。この立体基板支持体186の下降と並行してテーブル338が原位置へ回動させられ、立体基板支持体186が鉛直軸線まわりにおいて原位置に位置させられる。それにより、昇降台84の下降に伴って軸260がノッチ290に嵌合され、立体基板支持体186がパレット184に原位置に位置決めされた状態で支持される。軸260のノッチ290への嵌合は案内面291,293により案内され、軸260がノッチ290に確実に嵌合される。そして、カム270,272が支持面212上に載置され、立体基板支持体186がパレット184により支持される。さらに、軸支持体332が軸260から抜け出させられるとともに、歯車286,362の噛合が解除される。第二部分182がパレット184から下方へ抜け出させられた後、コンベヤ40が作動させられ、パレット184が搬出される。
【0076】
下流側の装着モジュール14では、立体基板140の短辺方向に隔たった側面148,150に電子回路部品が装着される。そのため、立体基板支持体186がパレット184から浮き上がらされ、パレット184に対する回動が可能とされた状態でテーブル338がY軸方向位置へ回動させられ、図9に二点鎖線で示すように、立体基板支持体186が原位置から、軸260の軸線がY軸方向に平行であって、立体基板140の長辺と平行となるY軸方向位置へ回動させられ、立体基板140がY軸方向に平行な水平軸線である第二回動軸線のまわりに回動させられるようにされる。また、カム272は、図22(b)に示すように、カム面282,284が軸260の軸線まわりにおいて立体基板140の側面148,150と対応する位置に位置する状態とされる。そして、図22(a)に示すように立体基板支持体186が立体基板140を保持し、パレット184から浮き上がらせた後、立体基板支持体駆動装置334により回動させられる。それにより、立体基板140が第二回動軸線まわりに回動させられ、図23(a),(b)に側面150について示すように、カム272のカム面284の当接面296への当接により、側面150が水平な姿勢とされるとともに高さ方向において位置決めされて、パレット184の上面と同一平面上に位置させられ、電子回路部品の装着が装着ヘッド100により、回路基板44と同様に行われるようにされる。カム272と共にカム270が回動させられるが、そのパレット184との干渉は切欠298において回避される。
【0077】
このように本実施形態においては、立体基板140の回動装置183によって同じ回動軸線まわりに回動させられる上面142および側面144,146のうちの2つが互いに第一被装着面および第二被装着面を構成し、側面148,150が互いに第一被装着面および第二被装着面を構成し、上面142および側面144,146と側面148,150とは互いに第三被装着面であることとなる。
【0078】
接着剤塗布モジュール14では、面142〜150に接着剤が塗布される。そのため、立体基板支持体186はX軸方向位置とY軸方向位置との一方に位置させられ、立体基板140が、X軸方向に平行な軸線とY軸方向に平行な軸線との一方のまわりに回動させられるようにされる。それにより水平とされる被装着面への接着剤の塗布後、テーブル338の回動により立体基板支持体186が他方の軸方向位置に位置させられ、立体基板140が他方の軸線まわりに回動させられ、接着剤の塗布が行われる。テーブル338は、立体基板140の一方の水平軸線まわりにおける回動による接着剤の塗布後、昇降台84が下降させられ、立体基板140を一旦、支持部材220に支持させ、支持面264が立体基板140から離間した状態で回動させられる。立体基板支持体186が立体基板140に対して鉛直軸線まわりに回動させられ、水平軸線の方向が変えられるのである。はんだ転写モジュール14においては、面142へのはんだ転写は行われないが、それ以外は接着剤塗布モジュール14と同様である。
【0079】
下流側の装着モジュール14における立体基板140への電子回路部品の装着終了後、第一部分180は装着モジュール14から搬出されるとともにリフロー炉12へ搬入され、立体基板140が加熱されてはんだが溶融される。
【0080】
以上の説明から明らかなように、本実施形態においては、基板支持装置昇降装置82が被装着体昇降装置たる立体基板昇降装置を構成し、回動装置183,336および基板支持装置昇降装置82が被装着体保持装置たる立体基板保持装置を構成している。基板支持装置昇降装置82が被装着体昇降装置を兼ねており、装置コストが低減される。また、本実施形態においては、回動装置336が発明の態様の項の(13)項に記載の第二回動装置を構成し、回動装置183,336が、発明の態様の項の(12)項に記載の第二回動装置を構成している。
さらに、本実施形態においては、回動装置183,336の駆動源たる電動モータ360,346がいずれも第二部分182に設けられており、第一部分180には作動に電気エネルギの供給が必要な要素がなく、電力供給線や制御信号線の接続が不要であるため、コンベヤ40,42による第一部分180の搬送が容易に行われる。さらに、立体基板保持体186の水平軸線まわりの回動端はカム270,272の当接面296への当接により規定され、テーブル338の回動端はストッパ装置350により規定され、立体基板140の上昇端は被支持部188の押さえ部78への当接により規定され、いずれも機械的に決められるため、電動モータ360,346,88はそれほど制御精度の高いものとしなくてよく、安価に構成することができる。
【0081】
立体被装着体保持治具は、第一部分がパレットを含み、第二部分が被装着体支持体および第一回動装置を含むものとしてもよい。その実施形態を図24〜図26に基づいて説明する。なお、前記実施形態の立体基板保持治具160の構成要素と同じ作用を成す構成要素には同一の符号を付して対応関係を示し、説明を省略する。
【0082】
本実施形態の立体基板保持治具500は、図24および図25に示すように第一部分502および第二部分504を含み、第一部分502はパレット506を含む。また、第二部分504は、治具本体508,立体基板支持体510,回動装置514,516を含む。パレット506には上下方向に貫通する穴520が形成されて立体基板収容部522が形成されるとともに、立体基板140を支持する支持部材524および支持部材移動装置526が設けられている。
【0083】
立体基板支持体510は、図25に示すように、軸530と、軸530に固定された支持ブロック532とを備え、軸530の一端部側に歯車534が固定されている。支持ブロック532の上面は、粘着性を有する支持面536とされている。回動装置516は前記回動装置336と同様に、治具本体508により鉛直軸線まわりに回動可能に支持されたテーブル540およびテーブル回転駆動装置542を含み、回動装置514は前記立体基板支持体駆動装置334と同様にテーブル540上に設けられ、電動モータ544および歯車546を含む。テーブル540上には、一対の軸支持体547がテーブル540上の歯車546の回転軸線上に隔たった箇所に突設され、その上端部には、立体基板支持体510の軸530が軸受550を介して水平軸線まわりに回転可能に支持されている。
【0084】
軸支持体547に支持された軸530の歯車534は、回動装置514の歯車546と噛み合わされている。回動装置514および軸支持体547は、立体基板支持体510を、テーブル540の鉛直な回動軸線と直交する水平軸線まわりに回動させるように設けられている。本実施形態においては、歯車534,546は隙間なく噛み合うように精度良く形成され、電動モータ544,テーブル回転駆動装置542の駆動源を構成する電動モータ552および昇降台昇降装置86の電動モータはサーボモータ等、回転角度の制御可能な電動モータとされている。そのため、立体基板支持体510は電動モータ544,552の回転角度の制御により、水平軸線まわりおよび鉛直軸線まわりに精度良く回動させられ、立体基板140の側面144〜150が水平とされ、立体基板支持体510がX軸方向位置あるいはY軸方向位置に位置させられる。また、昇降台84の昇降位置が精度良く制御され、それにより立体基板140の被装着面が被装着高さに精度良く位置させられる。これら電動モータ544,552等には保持トルクが加えられ、立体基板140,立体基板支持体510が回動させられた位置および上昇させられた位置に位置する状態に保たれる。
【0085】
本実施形態においても、2台の装着モジュールにおいて立体基板140への電子回路部品の装着が行われ、上流側の装着モジュールにおいて上面142および側面144,146に電子回路部品が装着され、下流側の装着モジュールにおいて側面148,150に電子回路部品が装着されるとする。各装着モジュールにおいては昇降台84に第二部分504が取り付けられ、パレット506に支持された立体基板140の搬入時には、いずれの装着モジュールにおいても第二部分504は下降端位置に位置させられる。また、立体基板支持体510は、水平軸線まわりにおいては原位置に位置させられているが、鉛直軸線まわりにおいては、上流側の装着モジュールにおいては図26(a)に示すようにX軸方向位置に位置させられ、下流側の装着モジュールにおいては図26(b)に示すようにY軸方向位置に位置させられている。
【0086】
上流側の装着モジュールにおいては、立体基板140の搬入後、第二部分504が基板支持装置昇降装置82により上昇させられ、立体基板支持体510および回動装置514,516が上昇させられる。そして、支持面536が立体基板140に当接させられ、粘着力により保持し、支持部材524から持ち上げ、支持部材524は退避位置へ退避させられる。第二部分504が更に上昇させられ、立体基板支持体510により支持された立体基板140がパレット506に対して上昇させられ、上面142が押さえ部78の押さえ面80と同一平面上に位置させられ、被装着高さに位置決めされる。パレット506は上昇させられず、コンベヤベルト54により支持されたままである。そして、基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。
【0087】
上面142への電子回路部品の装着後、第二部分504は、一旦、支持解除位置まで下降させられた後、再度上昇させられつつ、立体基板支持体510が回動装置514により回動させられる。上流側の装着モジュールにおいては、立体基板支持体510は軸530がX軸方向に平行となる位置に位置させられており、立体基板支持体510と共に立体基板140がX軸方向に平行な水平軸線まわりに回動させられ、側面146が水平とされる。第二部分504は、側面146が押さえ面80と同一平面上に位置する被装着高さまで上昇させられ、側面146について基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。側面146への電子回路部品の装着後、第二部分504の下降,再上昇および立体基板支持体510の水平軸線まわりの回動が行われ、側面144が水平とされるとともに、被装着高さへ上昇させられて基準マーク154の撮像,電子回路部品の装着が行われる。
【0088】
面142,144,146への電子回路部品の装着終了後、第二部分504が下降端位置へ下降させられる。その途中で立体基板140が支持部材524により支持される。その状態から更に第二部分504が下降させられて、立体基板支持体510が立体基板140から離間させられるとともに、第二部分504がパレット506から下方へ抜け出させられ、パレット506の搬出を許容する。下流側の装着モジュールにおいては、立体基板支持体510等の上昇と立体基板支持体510および立体基板140のY軸方向に平行な軸線まわりの回動とにより、側面148,150が順次水平とされるとともに被装着高さに位置決めされ、基準マーク154の撮像および電子回路部品の装着が行われる。本実施形態においては、回動装置514が第一回動装置を構成し、回動装置516が発明の態様の項の(13)項に記載の第二回動装置を構成し、回動装置514,516が、発明の態様の項の(12)項および(29)項にそれぞれ記載の第二回動装置を構成している。
【0089】
なお、1つの対回路基板作業機において第一回動装置のみを設け、立体被装着体を第一回動軸線のまわりのみに回動させるようにしてもよい。例えば、対回路基板作業機において立体被装着体が1つの回動軸線のまわりに回動させられればよいのであれば、第一回動装置が設けられればよい。
【0090】
また、第一部分が被装着体支持体を含む場合、カムおよび当接面を設けず、立体被装着体の第一回動軸線まわりの位置決めは第一回動装置の駆動源を構成する電動モータの制御により行うようにしてもよい。この種の立体被装着体保持治具は、例えば、パレットを当接面のないものとし、立体被装着体支持体を、前記立体基板支持体186と同様にパレットによって下方から支持され、歯車が設けられるが、カムが設けられないものとする。そして、第二部分の上昇に伴って軸支持体が被装着体支持体の軸部を下方から支持するとともに、被装着体支持体駆動装置の歯車が被装着体支持体の歯車と噛み合わされて立体被装着体支持体が軸部の軸線まわりに回動させられるようにする。
また、第二部分が被装着体支持体を含む場合、被装着体支持体に設けられたカムおよびパレットに設けられた当接面によって立体被装着体の被装着面の姿勢および高さが決められるようにしてもよい。
【0091】
さらに、第一部分が被装着体支持体を含み、被装着体支持体がパレットによって支持される場合、被装着体支持体支持部が複数組、基準平面に直角な軸線まわりにおいて位相を異にする位置に設けられ、被装着体支持体が第二回動装置の回動により移動させられた位置においてパレットにより支持されるようにしてもよい。
【0092】
また、立体被装着体の被装着面の一部を当接面に当接させて、その被装着面の姿勢および高さが決められるようにしてもよい。立体被装着体の一部をカムとして機能させるのである。
【0093】
さらにまた、立体基板は、複数の側面のうちの少なくとも2つが上面に対する傾斜角度が互いに異なり、基準平面に対する傾斜角度が互いに異なるものでもよい。
【0094】
また、被装着体支持体は、負圧あるいは磁力によって立体被装着体を吸着し、保持する被装着体保持手段を備えたものとしてもよい。被装着体支持体はさらに、位置決めピン等の位置決め部材を備えたものとし、立体被装着体が位置決めされた状態で支持されるようにしてもよい。
【0095】
また、立体被装着体が、例えば、中空状を成し、下方から支持できる底面がないものである場合や、底面はあるが凹凸を有し、平らでないものである場合には、支持板のように、下方から支持されることが可能な支持部材に立体被装着体を載せ、位置決めして保持させ、立体被装着体が支持部材ごと下方から支持されるようにする。この場合、支持部材を立体被装着体の一部と見なして、回動軸線まわりの回動等が行われるようにすればよい。
【0096】
さらに、上記実施形態においては、接着剤塗布モジュール,はんだ転写モジュールおよび装着モジュールにおいて立体被装着体の複数の被装着面について作業が行われるようにされていたが、1つのモジュールにおいて1つの被装着面についてのみ作業が行われるようにしてもよい。接着剤塗布モジュール,はんだ転写モジュールおよび装着モジュールをそれぞれ、被装着面の数に等しい数ずつ設けて作業を分担させ、組立システムを構成する。
【0097】
また、立体被装着体が第三被装着面を含む場合、第一,第二および第三の各被装着面への電子回路部品の装着が1つの電子回路部品装着機において行われてもよい。
【符号の説明】
【0098】
140:立体基板 160:立体基板保持治具 180:第一部分 182:第二部分 183:回動装置 186:立体基板支持体 336:回動装置 500:立体基板保持治具 502:第一部分 504:第二部分 514,516:回動装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法であって、
前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着方法。
【請求項2】
前記立体被装着体が前記第一被装着面および前記第二被装着面に対して傾いた第三被装着面を含むものであり、その立体被装着体を前記第一回動軸線に平行ではない第二回動軸線のまわりに回動させて、前記第三被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に保持し、その保持した立体被装着体の前記第三被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第三工程を含む請求項1に記載の電子回路部品装着方法。
【請求項3】
電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、
(a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
【請求項4】
前記被装着体保持装置が、前記第一回動装置に加えて、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項3に記載の電子回路部品装着機。
【請求項5】
前記被装着体保持装置が、さらに、前記立体被装着体と前記第一回動軸線とを前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに相対回動させる第二回動装置を含む請求項3に記載の電子回路部品装着機。
【請求項6】
(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、
(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具であって、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする立体被装着体保持治具。
【請求項7】
前記電子回路部品装着機が、さらに、前記立体被装着体を搬送するコンベヤを含み、
前記立体被装着体保持治具が、
前記コンベヤにより前記電子回路部品装着機の外部から搬入され、その電子回路部品装着機の外部へ搬出される第一部分と、
前記電子回路部品装着機内に配設される第二部分と
を含む請求項6に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項8】
前記第一部分が、
前記立体被装着体を下方から支持し、前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットと、
そのパレットに下方から支持され、(i)前記立体被装着体を下方から支持する支持面と、(ii)軸部とを含む被装着体支持体と
を含む一方、前記第二部分が、前記軸部を下方からかつ回転可能に支持する軸支持部を備えて前記昇降部材により昇降させられる軸支持体を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記軸支持体が前記昇降部材の上昇に伴って上昇し、前記軸部を支持して前記被装着体支持体を上昇させることにより、前記立体被装着体を前記パレットから浮き上がらせた状態で、その立体被装着体を前記被装着体支持体と共に前記軸部の軸線である前記第一回動軸線のまわりに回動させる請求項7に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項9】
前記第二部分が、さらに、前記軸支持体を前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項8に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項10】
前記軸部と前記支持面とが互いに固定されており、前記第一回動装置が、前記軸部を前記第一回動軸線のまわりに回動させるとともに、その回動位置から小角度の回動を許容する機能を有し、かつ、
前記軸部と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇により前記被装着体支持体が上昇させられることによって前記カムと当接し、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む請求項8または9に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項11】
前記第一部分が、前記立体被装着体を下方から支持して前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットを含み、前記第二部分が、
前記立体被装着体を下方から支持する支持面を備えた被装着体支持体と、
その被装着体支持体を前記第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置とを含む請求項7に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項12】
前記第二部分が、さらに、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項11に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項1】
電子回路部品を保持する部品保持具の基準平面に対する相対角度が不変の電子回路部品装着機によって、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体に電子回路部品を装着する方法であって、
前記第一被装着面が前記基準平面に平行になる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第一被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第一工程と、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に前記立体被装着体を保持し、その保持した立体被装着体の前記第二被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第二工程と
を含むことを特徴とする電子回路部品装着方法。
【請求項2】
前記立体被装着体が前記第一被装着面および前記第二被装着面に対して傾いた第三被装着面を含むものであり、その立体被装着体を前記第一回動軸線に平行ではない第二回動軸線のまわりに回動させて、前記第三被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢に保持し、その保持した立体被装着体の前記第三被装着面に少なくとも1つの電子回路部品を装着する第三工程を含む請求項1に記載の電子回路部品装着方法。
【請求項3】
電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する被装着体保持装置と、
(a)電子回路部品を保持する部品保持具と、(b)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体保持装置に保持された立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機であって、
前記被装着体保持装置が、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする電子回路部品装着機。
【請求項4】
前記被装着体保持装置が、前記第一回動装置に加えて、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項3に記載の電子回路部品装着機。
【請求項5】
前記被装着体保持装置が、さらに、前記立体被装着体と前記第一回動軸線とを前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに相対回動させる第二回動装置を含む請求項3に記載の電子回路部品装着機。
【請求項6】
(a)電子回路部品が装着されるべき被装着体を支持して昇降する昇降部材と、(b)その昇降部材を昇降させる昇降装置とを含む被装着体昇降装置と、
(c)電子回路部品を保持する部品保持具と、(d)その部品保持具を基準平面に対する相対角度を一定に保ってその基準平面に平行な方向と直角な方向とに移動させる保持具移動装置とを含み、前記被装着体昇降装置により昇降させられる立体被装着体に電子回路部品を装着する装着装置と
を含む電子回路部品装着機に設けられ、電子回路部品が装着されるべき第一被装着面と第二被装着面とが互いに傾いている立体被装着体を保持する治具であって、
前記立体被装着体を第一回動軸線のまわりに回動させることにより、前記第一被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢と前記第二被装着面が前記基準平面に平行となる姿勢とへ回動させる第一回動装置を含むことを特徴とする立体被装着体保持治具。
【請求項7】
前記電子回路部品装着機が、さらに、前記立体被装着体を搬送するコンベヤを含み、
前記立体被装着体保持治具が、
前記コンベヤにより前記電子回路部品装着機の外部から搬入され、その電子回路部品装着機の外部へ搬出される第一部分と、
前記電子回路部品装着機内に配設される第二部分と
を含む請求項6に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項8】
前記第一部分が、
前記立体被装着体を下方から支持し、前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットと、
そのパレットに下方から支持され、(i)前記立体被装着体を下方から支持する支持面と、(ii)軸部とを含む被装着体支持体と
を含む一方、前記第二部分が、前記軸部を下方からかつ回転可能に支持する軸支持部を備えて前記昇降部材により昇降させられる軸支持体を含み、かつ、
前記第一回動装置が、前記軸支持体が前記昇降部材の上昇に伴って上昇し、前記軸部を支持して前記被装着体支持体を上昇させることにより、前記立体被装着体を前記パレットから浮き上がらせた状態で、その立体被装着体を前記被装着体支持体と共に前記軸部の軸線である前記第一回動軸線のまわりに回動させる請求項7に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項9】
前記第二部分が、さらに、前記軸支持体を前記基準平面に直角な回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項8に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項10】
前記軸部と前記支持面とが互いに固定されており、前記第一回動装置が、前記軸部を前記第一回動軸線のまわりに回動させるとともに、その回動位置から小角度の回動を許容する機能を有し、かつ、
前記軸部と一体的に回動するカムと、
前記パレットに設けられ、前記昇降部材の上昇により前記被装着体支持体が上昇させられることによって前記カムと当接し、前記立体被装着体の前記複数の被装着面の各々を前記基準平面に平行でかつ一定の高さに位置決めする当接面と
を含む請求項8または9に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項11】
前記第一部分が、前記立体被装着体を下方から支持して前記コンベヤにより前記装着装置の下方へ搬入されるパレットを含み、前記第二部分が、
前記立体被装着体を下方から支持する支持面を備えた被装着体支持体と、
その被装着体支持体を前記第一回動軸線のまわりに回動させる第一回動装置とを含む請求項7に記載の立体被装着体保持治具。
【請求項12】
前記第二部分が、さらに、前記立体被装着体を前記第一回動軸線と交差する第二回動軸線のまわりに回動させる第二回動装置を含む請求項11に記載の立体被装着体保持治具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2012−119643(P2012−119643A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270965(P2010−270965)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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