説明

電子機器及び検出回路

【課題】外部電源の接続時における動作の安定化を図ること。
【解決手段】機器本体31の検出回路34は、アダプタ電圧VAC及び電流Ioutと、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成し、その誤差信号に基づいてトランジスタT21を制御して制御電流Iscを入出力端子P21を介してACアダプタに供給する。監視回路48は、入出力端子P21の電位に比例した電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、機器本体31に接続されたアダプタが適合するか否かを示すアダプタ検出信号S3を生成する。スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に基づいて電源端子P11と抵抗R1との間に接続されたスイッチSW2をオンオフする。そして、設定回路55は、入出力端子P21の電位を所定電位に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電子機器及び検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器には駆動電源として二次電池が搭載されているものがあり、このような電子機器には、外部電力源から供給される充電電流により二次電池を充電する充電回路が備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、電子機器の機器本体からACアダプタを制御し、そのACアダプタから機器本体に供給する出力電圧を制御するという要望がある。この場合、ACアダプタに電圧調整回路を含めるとともに、機器本体に備えた検出回路にて電圧等を検出して電圧調整回路を制御する制御信号を生成する。更に、機器本体では、適合するACアダプタが接続されていることを検出する必用があり、この検出のために、ACアダプタから識別のための情報を機器本体に出力する。例えば機器本体の検出回路は、接続端子の電圧を監視し、対応するACアダプタが接続されているか否かを判断する。適合しないACアダプタは、機器本体から制御不能であり、機器本体のシステム回路等を保護するため、機器本体では、電力の供給経路中に挿入したスイッチをオフする。
【0004】
上記の電子機器において、ACアダプタは、例えば図10に示すDCプラグ90を介して機器本体と接続される。DCプラグ90は、円筒状に形成された絶縁体91の外周面に円筒状の電源端子92が形成され、絶縁体91の内周面に円筒状のグランド端子93が形成され、絶縁体91の軸中心に棒状の制御端子94が配設されている。そして、DCプラグ90の挿入方向における制御端子94の長さは、電源端子92及びグランド端子93の長さよりも短く設定されている。つまり、制御端子94の先端より電源端子92及びグランド端子93の先端が突出するように形成されている。ACアダプタは制御端子94を介して認識のための信号を機器本体に出力し、機器本体は制御端子94を介してACアダプタに制御信号を出力する。
【0005】
上記のように構成された端子92〜94は、グランド端子93及び電源端子92→制御端子94の順番で機器本体の端子と電気的に接続される。これは、機器本体の検出回路に対して電源電圧を供給した後に信号(情報)を供給することにより、ACコンセントにACプラグを挿入した後にACアダプタに接続されたDCプラグ90を機器本体に接続する場合における機器本体の破損を防止する。このように、電源端子92及びグランド端子93を接続した後に制御端子94を接続する構成は、このような形状のDCプラグ90に限らず、他の形状のDCプラグでも行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3428955号公報(第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように電子機器を構成した場合、DCプラグ90の電源端子92及びグランド端子93が接続されてから制御端子94が接続されるまでの間、該制御端子に接続される機器本体の端子は、未接続状態であるため、機器本体の端子における電位が不定となって誤動作を起こすおそれがあった。
【0008】
この電子機器及び検出回路は、外部電源の接続時における動作の安定化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この電子機器の特徴は、直流のアダプタ電圧を生成するとともに制御電流に応じて前記アダプタ電圧を変更し、識別電圧を出力する外部電源と、前記外部電源により生成されたアダプタ電圧が入力される電源端子と、前記識別電圧が入力される制御端子を有する機器本体とを備え、前記機器本体は、前記電源端子から入力される前記アダプタ電圧に基づいて動作するシステム回路と、前記電源端子と前記システム回路との間に接続された抵抗により、前記アダプタ電圧、該アダプタ電圧に対応するアダプタ電流を検出する検出回路と、を含み、該検出回路は、前記アダプタ電圧及び前記アダプタ電流と、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、前記制御端子に接続され、前記誤差信号に基づいて前記制御電流を生成する電流制御回路と、前記制御端子に接続され、前記識別電圧による前記制御端子の電位に比例した電圧と比較基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電源端子に接続された外部電源が適合するか否かを示す検出信号を生成する監視回路と、前記検出信号に基づいて前記電源端子と前記抵抗との間に接続されたスイッチをオンオフするスイッチ制御回路と、前記制御端子の電位を所定電位に設定する設定回路と、を含む。
【0010】
この電子機器の検出回路は、検出したアダプタ電圧及びアダプタ電流と比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成し、その誤差信号に基づいて生成した制御電流を、制御端子を介して外部電源に供給する。また、検出回路は、制御端子の電位を監視し、その制御端子の電位に基づいて、機器本体に適合する外部電源が接続されているか否かを判断し、適合しない外部電源の場合にスイッチをオフする。制御端子の電位は、設定回路により所定電位に設定されるため、外部電源からアダプタ電圧が供給され且つ制御端子が未接続の場合に、制御端子の電位が制御電流に応じて変動することが抑制され、外部電源の接続時における動作が安定となる。
【発明の効果】
【0011】
開示の電子機器及び検出回路は、外部電源の接続時における動作を安定化することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態の電子機器のブロック図である。
【図2】ACアダプタの回路図である。
【図3】機器本体の一部回路図である。
【図4】電圧制御回路の一部回路図である。
【図5】電圧制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図6】電圧制御回路の動作を説明するためのタイミング図である。
【図7】別の電圧制御回路の一部回路図である。
【図8】別の電圧制御回路の一部回路図である。
【図9】別の電圧制御回路の一部回路図である。
【図10】DCプラグの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、一実施形態を図1〜図6に従って説明する。
図1に示すように、電子機器の外部電源としてのACアダプタ21は機器本体31に接続されている。ACアダプタ21は、交流電源ACに接続され、該交流電源ACから供給される商用交流電圧は、ACアダプタ21の電圧変換回路22に入力される。電圧変換回路22は、交流電圧を交流−直流変換して生成した直流電圧を出力する。電圧制御回路23は、制御電流Iscが入力され、該制御電流Iscに基づいて、直流電圧から制御したアダプタ電圧VACを生成する機能を有している。ACアダプタ21は、例えば図10に示すDCプラグ90を介して機器本体31と接続され、生成したアダプタ電圧VACを機器本体31に供給する。また、電圧制御回路23は、識別電圧としてACアダプタ21の電力情報に応じた電圧の電力制限信号PWRMを出力する機能を有している。
【0014】
アダプタ電圧VACは、抵抗R1を介してシステムDC/DCコンバータ32に供給される。システムDC/DCコンバータ32には、抵抗R2を介して二次電池(バッテリ)BTが接続されている。システムDC/DCコンバータ32は、アダプタ電圧VACとバッテリから供給されるバッテリ電圧とに基づいて、入力電圧を電圧変換して生成したシステム電圧VSをシステム回路33に供給する。従って、システム回路33には、ACアダプタ21から供給される電力と、バッテリBTから供給される電力とのうちの少なくとも一方による電力が供給される。システム回路33は、機器本体31の各種機能を提供する回路である。
【0015】
機器本体31の検出回路34は、1つ又は複数の半導体装置から構成される。半導体装置は、チップ、チップを内蔵するパッケージ、を含む。検出回路34は、抵抗R1の両端子に接続されるとともに、抵抗R2とバッテリBTとの間に接続されている。検出回路34は、抵抗R1の両端子間の電位差に基づいて、該抵抗R1に流れる電流(アダプタ電流)Ioutを検出する。また、検出回路34は、抵抗R2の両端子間の電位差に基づいて、該抵抗R2に流れる電流(バッテリ電流)Ichgを検出する。更に、検出回路34は、システムDC/DCコンバータ32に供給される電圧(又はアダプタ電圧VAC)とバッテリBTの端子電圧を検出する。そして、検出回路34は、検出した電流,電圧,ACアダプタ21から供給される電力制限信号PWRMに基づいて、制御電流Iscを生成する。この制御電流Iscは、ACアダプタ21の電圧制御回路23に供給される。従って、ACアダプタ21の電圧制御回路23は、検出回路34から出力される制御電流Iscに応じて、アダプタ電圧VACを制御する。
【0016】
また、検出回路34は、電力制限信号PWRMが供給される制御端子の端子電圧に基づいて、機器本体31に電力を供給するACアダプタの適否を判断する。適切なACアダプタは、制御端子を有し、検出回路34から出力される制御電流Iscに応答して出力電圧を調整する機能を有するものであり、非適切なACアダプタは出力電圧を調整しないものである。検出回路34は、接続されたACアダプタが適切なものであると判断すると、そのACアダプタから供給される電力をシステムDC/DCコンバータ32に供給するとともに、その電力によりバッテリBTを充電する。一方、検出回路34は、接続されたACアダプタが非適切なものであると判断すると、そのACアダプタから供給される電力をシステムDC/DCコンバータ32及びバッテリBTに供給しない。
【0017】
次に、ACアダプタ21の構成例を説明する。
図2に示すように、電圧変換回路22の出力端子は第1トランジスタT11の第1端子(例えばソース)に接続され、第1トランジスタT11の第2端子(例えばドレイン)はチョークコイルL1の第1端子に接続され、チョークコイルL1の第2端子は電源端子としての第1端子P1に接続されている。また、第1トランジスタT11の第2端子は第2トランジスタT12の第1端子(例えばドレイン)に接続され、その第2トランジスタT12の第2端子(例えばソース)はグランドに接続されている。第1トランジスタT11の制御端子(ゲート)と第2トランジスタT12の制御端子(ゲート)はパルス幅変調器(PWM)24に接続されている。本実施形態において、第1トランジスタT11はPチャネルMOSトランジスタであり、第2トランジスタT12はNチャネルMOSトランジスタである。尚、図には、各トランジスタT11,T12のボディダイオードを示している。
【0018】
上記チョークコイルL1の第1端子はダイオードD1のカソードに接続され、ダイオードD1のアノードはグランドに接続されている。第1端子P1は平滑用のコンデンサC1の第1端子に接続され、コンデンサC1の第2端子はグランドに接続されている。電源端子としての第2端子P2はグランドに接続され、制御端子としての第3端子P3はパルス幅変調器(PWM)24に接続されている。パルス幅変調器24には、第3端子P3を介して制御電流Iscが入力されている。本実施形態において、パルス幅変調器24は、第3端子P3を介してACアダプタ21の電力情報に応じた電圧の電力制限信号PWRMを出力する。
【0019】
パルス幅変調器(PWM)24は、所定のデューティサイクルにて第1トランジスタT11と第2トランジスタT12とを相補的にオンオフ制御する。第1トランジスタT11のスイッチング動作により、そのトランジスタT11の出力電流は、チョークコイルL1及びコンデンサC1により平滑される。ここで、第1トランジスタT11のオン時には、電圧変換回路22の出力電圧が該トランジスタT11を介してLC回路(チョークコイルL1とコンデンサC1とからなる平滑回路)に供給される。第1トランジスタT11がオフされ第2トランジスタT12がオンされると電流経路が形成される。そして、第1トランジスタT11のオン時にチョークコイルL1に蓄積されたエネルギーが第1端子P1側へ放出される。
【0020】
更に、パルス幅変調器24は、制御電流Iscに応答してデューティサイクルを変更する。詳しくは、パルス幅変調器24は、制御電流Iscの電流値に応じて第1トランジスタT11をオンする期間を変化させるように、デューティサイクルを変更する。ACアダプタ21から出力されるアダプタ電圧VACは、第1トランジスタT11のオン期間に対応する。第1トランジスタT11のオン期間が長いと、チョークコイルL1に蓄積されるエネルギーが多くなって高いアダプタ電圧VACが出力され、第1トランジスタT11のオン期間が短いと、チョークコイルL1に蓄積されるエネルギーが少なくなって低いアダプタ電圧VACが出力される。
【0021】
第1端子P1と第2端子P2はそれぞれ図3に示す第1端子P11と第2端子P12に接続され、第3端子P3は図3に示す第3端子P13と接続される。
次に、機器本体31の構成を説明する。
【0022】
図3に示すように、電源端子としての第1端子P11は検出回路34及びスイッチSW1の第1端子に接続されている。電源端子としての第2端子P12はグランドに接続されている。制御端子としての第3端子P13は検出回路34に接続されている。
【0023】
スイッチSW1の第2端子は検出回路34及びスイッチSW2の第1端子に接続されている。スイッチSW2の第2端子は抵抗R1の第1端子に接続され、抵抗R1の第2端子はシステムDC/DCコンバータ32(図1参照)及び抵抗R2の第1端子に接続されている。抵抗R2の第2端子はスイッチSW3の第1端子に接続され、スイッチSW3の第2端子はバッテリBTの正電極端子(プラス端子)に接続され、バッテリBTの負電極端子(マイナス端子)はグランドに接続される。
【0024】
各スイッチSW1,SW2,SW3は、例えばPチャンネルMOSトランジスタを含むアナログスイッチであり、制御端子が検出回路34に接続されている。各スイッチSW1,SW2,SW3は、それぞれ検出回路34から供給される制御信号SC1,SC2,SC3に応答してオンオフする。
【0025】
検出回路34に含まれる一部の回路は、第1端子P11から所定のアダプタ電圧VACが供給されない状態、即ちACアダプタ21が未接続状態のときに、バッテリBTから電源供給されて動作し、各スイッチSW1〜SW3をオンオフ制御する。本実施形態において、検出回路34に含まれる一部の回路は、少なくとも第3スイッチSW3をオンするように制御する。従って、図1に示されるシステム回路33は、バッテリBTからシステムDC/DCコンバータ32を介して供給されるシステム電圧VSにより動作する。
【0026】
一方、第1端子P11から図2に示すACアダプタ21により生成されたアダプタ電圧VACが供給されるとき、検出回路34に含まれる一部の回路は、アダプタ電圧VACにより動作する。その動作した回路は、所定電圧以上のアダプタ電圧VACが供給されると第1スイッチSW1をオンする。すると、アダプタ電圧VACがオンした第1スイッチSW1を介して駆動電圧VDCとして検出回路34に供給される。検出回路34に含まれる多くの回路は、駆動電圧VDCにより動作し、アダプタ電圧VACの制御、バッテリBTの充電、等の動作を行う。
【0027】
上記抵抗R1の両端子は検出回路34の電流増幅器41の入力端子に接続され、抵抗R2の両端子は、電流増幅器42の入力端子に接続されている。電流増幅器41は、抵抗R1に流れる電流Iout、つまりACアダプタ21の出力電流を検出し、その検出結果に応じた電流検出信号S1を誤差増幅器としてのエラー増幅器43に出力する。電流増幅器42は、抵抗R2に流れる電流Ichg、つまりバッテリBTに対する充電電流Ichgを検出し、その電流量に応じた充電電流検出信号S2をエラー増幅器43に出力する。
【0028】
エラー増幅器43は、2つの反転入力端子と1つの非反転入力端子とを有している。エラー増幅器43は、第1の反転入力端子に電流検出信号S1が入力され、第2の反転入力端子に充電電流検出信号S2が入力される。エラー増幅器43の非反転入力端子には電流基準信号IOUTM及び制限電流信号IDACに基づく基準信号が入力されている。電流基準信号IOUTMは、機器本体31において使用される総電流量に応じて設定されており、制限電流信号IDACはバッテリBTの充電電流に応じて設定された電圧値に設定されている。エラー増幅器43は、電流検出信号S1と充電電流検出信号S2のうちのいずれか高い方と基準信号とを比較し、その比較結果に応じた誤差電圧を発生する。
【0029】
抵抗R2とバッテリBTとの間の接続点は、エラー増幅器44の反転入力端子に接続されている。そのエラー増幅器44の非反転入力端子には、電圧制限信号VDACが入力される。エラー増幅器44は、バッテリBTの端子電圧と電圧制限信号VDACとの差を増幅した誤差電圧を発生する。
【0030】
上記抵抗R1の両端子は、乗算器45に接続されている。乗算器45は、抵抗R1の端子電圧、即ち駆動電圧VDCを検出するとともに、抵抗R1の両端子間電圧により総電流量を検出する。そして、乗算器45は、駆動電圧VDCと総電流量とを乗算した結果、即ち総電力量に応じた電力検出信号PWROをエラー増幅器46に出力する。エラー増幅器46は、反転入力端子に電力検出信号PWROが入力され、非反転入力端子に電力制限信号PWRMが入力される。この電力制限信号PWRMは、機器本体31の第3端子P13に接続された検出回路34の入出力端子P21からエラー増幅器46に与えられる。エラー増幅器46は、電力検出信号PWROと電力制限信号PWRMとの差を増幅することにより誤差電圧を生成する。
【0031】
つまり、本実施形態の検出回路34は、4つの検出対象に対する誤差電圧を、3つのエラー増幅器43,44,46により生成している。検出対象のそれぞれに対応してエラー増幅器を設けることが一般的である、しかし、本実施形態では、抵抗R1に流れる電流Ioutに対する誤差電圧と、バッテリBTに対する充電電流Ichgに対する誤差電圧とを、1つのエラー増幅器43により生成している。このため、チップに対する外付け部品の数が少なくなる、即ち外部端子が少なくなるため、チップやそのチップを封止したパッケージのサイズを小さくすることができる。
【0032】
エラー増幅器43,44,46の出力端子にはダイオードD11,D12,D13のカソードがそれぞれ接続されている。ダイオードD11〜D13のアノードは共通接続されるとともに、電流電圧変換回路47に接続されている。ダイオードD11〜D13は、各エラー増幅器43,44,46から出力される誤差電圧のうち、最も低い電圧に対応する電流(誤差電流)を電流電圧変換回路47に伝達する。これは、各検出値のうち、最も大きなエラー(誤差)の検出値である。
【0033】
電流電圧変換回路47の出力端子には、定電流源(電流制御回路)を構成するトランジスタT21の制御端子(ゲート)が接続されている。電流電圧変換回路47は、電流量に比例した電圧値の信号をトランジスタT21のゲートに供給する。このトランジスタT21は、本実施形態ではPチャネルMOSトランジスタである。トランジスタT21のソースには駆動電圧VDCが供給され、ドレインは入出力端子P21を介して機器本体31の第3端子P13に接続されている。
【0034】
トランジスタT21は、ゲートに供給される電圧に応じた抵抗値を有する抵抗体として動作し、その抵抗値に応じた制御電流Iscを生成する。PチャネルMOSトランジスタで形成されたトランジスタT21は、高いゲート電圧では大きな抵抗値を示し、低いゲート電圧では小さい抵抗値を示す。従って、トランジスタT21は、電流電圧変換回路47の出力電圧、つまり、検出結果においてエラー(誤差)が上昇するにつれて制御電流Iscを減少させ、電流電圧変換回路47の出力電圧、つまり検出結果においてエラー(誤差)が低下するにつれて制御電流Iscを増加させる。
【0035】
バッテリBTが機器本体31に搭載されていない(接続されていない)場合、エラー増幅器44に入力されるバッテリ端子電圧VBATTは0(ゼロ)である。また、エラー増幅器43によって検出される充電電流も0である。従って、エラー(誤差)が大きく、電流電圧変換回路47の入力電流が大きい。この時、トランジスタT21は少ない制御電流Iscを流すため、ACアダプタ21の電圧制御回路23は、低いアダプタ電圧VACを出力する。この状態でバッテリBTを装着した場合、バッテリBTの端子電圧と、ACアダプタ21から供給されるアダプタ電圧VACとの差が少なくなり、バッテリBTに対する突入電流が抑制される。
【0036】
検出回路34の入出力端子P21には監視回路48が接続されている。入出力端子P21には、図2に示すACアダプタ21から出力される電力制限信号PWRMが、機器本体31の第3端子P13から入出力端子P21を介して与えられる。監視回路48は、入出力端子P21の電圧を監視し、その監視結果に応じたアダプタ検出信号S3を生成する。
【0037】
監視回路48は、オペアンプ49、分圧回路50、比較器51,52、ナンド回路53を含む。オペアンプ49の非反転入力端子は入出力端子P21に接続され、オペアンプ49の出力信号は反転入力端子に帰還されている。オペアンプ49の出力端子には分圧回路50が接続されている。分圧回路50は直列接続された抵抗R11,R12により構成され、オペアンプ49の出力電圧を抵抗R11,R12の抵抗値に応じて分圧した分圧電圧を生成する。この分圧電圧は、比較器51の反転入力端子と、比較器52の非反転入力端子に与えられる。
【0038】
比較器51の非反転入力端子には基準電圧(比較基準電圧)E1が入力され、比較器52の反転入力端子には基準電圧(比較基準電圧)E2が入力されている。両比較器51,52はそれぞれシュミット・トリガタイプの比較器である。両比較器51,52は、それぞれ分圧電圧と基準電圧E1,E2とを比較し、その比較結果に応じたレベルの信号を出力する。
【0039】
ナンド回路53は、両比較器51,52の出力信号を否定論理積演算してアダプタ検出信号S3を生成する。
上記のように構成された監視回路48は、電力制限信号PWRMの電圧が所定の範囲内であるか否かを監視し、その監視結果に応じたアダプタ検出信号S3を出力する。監視回路48に設定された範囲は、この監視回路48が含まれる機器本体31に適したACアダプタが接続されているか否かを判断するために設定されている。つまり、基準電圧E1,E2は、機器本体31に適合するACアダプタに応じて設定されている。監視回路48は、機器本体31に適合するACアダプタが接続されている場合にLレベルのアダプタ検出信号S3を生成し、機器本体31に適合しないACアダプタが接続されている場合にHレベルのアダプタ検出信号S3を生成する。
【0040】
スイッチ制御回路54には、上記の電流検出信号S1と充電電流検出信号S2とともに、アダプタ検出信号S3、バッテリ電圧検出信号S4が入力される。バッテリ電圧検出信号S4は、バッテリ端子電圧VBATTに基づき図示しない比較器により生成される信号である。この比較器は、バッテリ端子電圧VBATTを分圧した電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に応じてバッテリ電圧検出信号S4を生成する。この基準電圧は、バッテリBTが満充電になったときのバッテリ端子電圧VBATTに対応して設定されている。
【0041】
スイッチ制御回路54には、第1〜第3スイッチSW1〜SW3が接続されている。スイッチ制御回路54は、各信号S1〜S4に応じて制御信号SC1〜SC3を生成する。一例として、スイッチ制御回路54は、バッテリ電圧検出信号S4に基づいて、バッテリBTが満充電になったときに、制御信号SC3を生成して第3スイッチSW3をオフする。これにより、バッテリBTを過充電から保護する。別の例として、スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に基づいて、適合しないACアダプタが機器本体31に接続されている場合に、制御信号SC1を生成して第1スイッチSW1をオフする。これにより、適合しないACアダプタを接続したことによる機器本体31の故障等を防止する。
【0042】
更に、検出回路34は、入出力端子P21に掛かる電流を制限する(電流値を所定値にクランプする)設定回路55を含む。本実施形態において、設定回路55は、入出力端子P21、即ち制御電流Iscを出力するトランジスタT21のドレイン端子に接続されている。
【0043】
図4に示すように、電流電圧変換回路47は、トランジスタT31,T32及び抵抗R21を含む。トランジスタT31はPチャネルMOSトランジスタである。トランジスタT31は、出力用のトランジスタT21とカレントミラー接続されている。即ち、トランジスタT31のソースには駆動電圧VDCが供給され、ゲートとドレインが互いに接続されるとともにトランジスタT21のゲートに接続されている。更に、トランジスタT31のドレインはトランジスタT32に接続されている。トランジスタT32はNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタT32のドレインはトランジスタT31に接続され、ゲートはダイオードD11〜D13のアノードに接続され、ソースは抵抗R21の第1端子に接続され、抵抗R21の第2端子はグランドに接続されている。また、トランジスタT21のゲートはアダプタ検出信号S3に応答してオンオフするスイッチSW5の第1端子に接続され、スイッチSW5の第2端子はグランドに接続されている。
【0044】
トランジスタT32は、ダイオードD11〜D13に流れる電流(誤差電流)に応じた抵抗値を有する抵抗体として動作し、誤差電流に比例した電圧をトランジスタT31とトランジスタT32との間のノードに発生させる。このノードの電圧は、トランジスタT21のゲートに供給される。従って、電流電圧変換回路47は、電流量に比例した電圧値の信号をトランジスタT21のゲートに供給する。そして、トランジスタT21は、ゲートに供給される電圧に応じた制御電流Iscを生成する。
【0045】
設定回路55は、トランジスタT41,T42及び定電流源61を含む。トランジスタT41のソースには駆動電圧VDCが供給され、ドレインは入出力端子P21に接続され、ゲートはトランジスタT42のゲートに接続されている。トランジスタT42のソースには駆動電圧VDCが供給され、ゲートとドレインが互いに接続されている。従って、トランジスタT41,T42はカレントミラー回路を構成する。トランジスタT42のドレインは定電流源61に接続されている。
【0046】
上記のように構成された設定回路55は、定電流源61に流れる電流値と等しい値の電流を流す。つまり、入出力端子P21には、設定回路55により、常に電流が供給される。この設定回路55が流す電流量は、制御電流Iscの電流値及び電力制限信号PWRMの電圧値に影響しない程度の値(例えば、1マイクロアンペア)に設定されている。
【0047】
従って、設定回路55と並列に接続されるトランジスタT21のオフ時における入出力端子P21の電位は、駆動電圧VDCレベルとなる。この入出力端子P21における電位は、検出回路34の動作を安定化する。この作用について詳述する。
【0048】
検出回路34は、エラー増幅器43,44,46の出力電圧、即ち検出対象(出力電流Iout、充電電流Ichg、バッテリBTの端子電圧、抵抗R1の両端子間電圧)に応じた制御電流Iscを流すようにトランジスタT21を制御する。設定回路55を備えていない検出回路では、DCプラグ90(図10参照)の挿入時に、DCプラグ90の電源端子P1,P2と機器本体31の電源端子P11,P12が接続されてから、両装置の制御端子P3,P13が接続されるまでの間、制御端子P13(入出力端子P21)はフローティング状態である。従って、入出力端子P21の電位は、駆動電圧VDCレベルとなる。
【0049】
すると、監視回路48は、適合しないACアダプタが接続されていると判断し、その判断結果に応じたアダプタ検出信号S3を出力し、スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に応答してスイッチSW2,SW3をオフする。更に、図4に示すスイッチSW5は、アダプタ検出信号S3に応答してオンする。すると、電流電圧変換回路47のトランジスタT32がオフすることにより、トランジスタT31に電流が流れなくなる。その結果、トランジスタT21に電流が流れなくなる、即ちトランジスタT21がオフする。すると、入出力端子P21の電位は、リーク電流により低下する。
【0050】
そして、入出力端子P21の電位が監視回路48のしきい値電圧より低下すると、監視回路48は適合するACアダプタが接続されていると判断、つまり誤判断し、その判断結果に応じたアダプタ検出信号S3を出力し、スイッチ制御回路54はアダプタ検出信号S3に応答してスイッチSW2,SW3をオンする。更に、図4に示すスイッチSW5は、アダプタ検出信号S3に応答してオフする。すると、検出回路34は、エラー増幅器43,44,46の出力電圧に応じた制御電流Iscを流すようにトランジスタT21を制御する。
【0051】
つまり、図6に示すように、入出力端子P21の電位は、上昇と下降を繰り返す。監視回路48は、入出力端子P21の電位に基づいて、適正なACアダプタが接続されていないと誤判定する。検出回路34は、トランジスタT21のオンとオフを繰り返すとともに、スイッチSW2,SW3のオンとオフを繰り返す。このような繰り返し動作は、上記の制御端子P3,P13が接続されるまで継続される、つまり入出力端子P21の電位が不定となる。
【0052】
本実施形態の場合、検出回路34は、アダプタ検出信号S3に応答して図4に示すスイッチSW5をオンすることにより、トランジスタT21がオフする。この時、設定回路55が流す電流によって入出力端子P21の電位が駆動電源VDCレベルとなる。そして、設定回路55が電流を流しているため、入出力端子P21の電位は、駆動電源VDCレベルに保持される。監視回路48は、適合しないACアダプタが接続されていると判断し、その判断結果に応じたアダプタ検出信号S3を継続して出力し、スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に応答してスイッチSW1,SW2をオフする。その結果、ACアダプタから図1に示すコンバータ32に供給される電圧はゼロとなる。
【0053】
適合するACアダプタ21によって制御端子P3,P13が互いに接続されると、ACアダプタ21に設けられた負荷によって端子P21の電位が低下し、ACアダプタ21から供給される電力制限信号PWRMの電圧レベルとなる。そして、監視回路48は、この端子P21の電位が基準電圧E2より低くなるため、Hレベルのアダプタ検出信号S3を出力する。すると、図4に示すスイッチSW5がオフし、エラー増幅器43,44,46の出力電圧に応じて、トランジスタT21が制御電流Iscを流す。また、スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に応答してスイッチSW1,SW2をオンする。その結果、ACアダプタ21にて調整された電圧が機器本体31に供給される。
【0054】
尚、適合しないACアダプタを接続した場合、上記と同様に検出回路34は繰り返し動作を行う。この場合、検出回路34は、DCプラグが十分に挿入される時間経過、またはその時間よりも長い時間経過した後に、スイッチSW1をオフするように構成されている。
【0055】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)ACアダプタ21は、直流のアダプタ電圧VACを生成するとともに制御電流Iscに応じてアダプタ電圧VACを変更し、電力制限信号PWRMを出力する。機器本体31は、ACアダプタ21により生成されたアダプタ電圧VACが入力される電源端子P11,P12と、電力制限信号PWRMが入力される制御端子P13を有する。機器本体31は、電源端子P11,P12から入力されるアダプタ電圧VACに基づいて動作するシステム回路33と、電源端子とシステム回路との間に接続された抵抗R1により、アダプタ電圧VAC、該アダプタ電圧VACに対応する電流Ioutを検出する検出回路34と、を含む。検出回路34は、アダプタ電圧VAC及び電流Ioutと、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成し、その誤差信号に基づいてトランジスタT21を制御して制御電流Iscを制御端子P13(入出力端子P21)を介してACアダプタ21に供給する。監視回路48は、制御端子P13(入出力端子P21)の電位に比例した電圧と基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、機器本体31に接続されたアダプタが適合するか否かを示すアダプタ検出信号S3を生成する。スイッチ制御回路54は、アダプタ検出信号S3に基づいて電源端子P11と抵抗R1との間に接続されたスイッチSW2をオンオフする。そして、設定回路55は、制御端子P13(入出力端子P21)の電位を所定電位に設定する。
【0056】
この電子機器の検出回路34は、検出したアダプタ電圧VAC及び電流Ioutと比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成し、その誤差信号に基づいて生成した制御電流Iscを、制御端子P13(入出力端子P21)を介してACアダプタ21に供給する。また、検出回路34は、制御端子P13(入出力端子P21)の電位を監視し、その制御端子P13(入出力端子P21)の電位に基づいて、機器本体に適合するACアダプタ21が接続されているか否かを判断し、適合しないACアダプタの場合にスイッチSW2をオフする。制御端子P13(入出力端子P21)の電位は、設定回路55により所定電位に設定されるため、ACアダプタ21からアダプタ電圧VACが供給され且つ制御端子が未接続の場合に、制御端子P13(入出力端子P21)の電位が制御電流Iscに応じて変動することが抑制され、ACアダプタ21の接続時における動作を安定化することができる。
【0057】
(2)設定回路55は、入出力端子P21に接続され、入出力端子P21に対して定電流を供給する定電流回路である。したがって、簡単な構成で、入出力端子P21、すなわち制御端子P13の電位を所定の電位にクランプすることができる。
【0058】
尚、上記各実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、設定回路55を、入出力端子P21、即ち制御電流Iscを出力するトランジスタT21のドレイン端子に接続したが、電流制限回路の接続箇所や回路構成は上記実施形態に限定されない。
【0059】
一例として、図7に示すように、検出回路34aの設定回路55aは、電流電圧変換回路47の入力側、つまり電流電圧変換回路47とダイオードD1〜D3との間に接続されている。設定回路55aは、スイッチSW11とコンデンサC11とを含む。スイッチSW11の第1端子はダイオードD11〜D13のアノードに接続され、スイッチSW11の第2端子は、電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートと、コンデンサC11の第1端子に接続され。コンデンサC11の第2端子はグランドに接続されている。
【0060】
スイッチSW11の制御端子にはアダプタ検出信号S3が供給される。スイッチSW11は、機器本体31に適合しないACアダプタが接続されたことを検出した場合におけるアダプタ検出信号S3(図3に示す回路構成ではLレベル)に応答してオフする。コンデンサC11は、スイッチSW11をオフするときのトランジスタT32のゲート電圧を保持する。これにより、トランジスタT21は、コンデンサC11に保持された電圧に応じた電流を流す。
【0061】
このように構成された設定回路55aは、機器本体31に適合するACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、スイッチSW11がオンする。その結果、ダイオードD11〜D13に流れる誤差電流を電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに伝達する。これにより、トランジスタT21は、誤差電流に応じた制御電流Iscを流す。
【0062】
一方、設定回路55aは、機器本体31に適合するACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、スイッチSW11がオフする。その結果、コンデンサC11は、スイッチSW11がオフする直前の電圧を保持するため、トランジスタT21は上記の誤差電流に応じた制御電流Iscを流す。これにより、入出力端子P21の電位を駆動電圧VDCレベルとする。
【0063】
別の例として、図8に示すように、検出回路34bの設定回路55bは、電流電圧変換回路47の入力側、つまり電流電圧変換回路47とダイオードD1〜D3との間に接続されている。設定回路55bは、2つのスイッチSW21,SW22とインバータ回路62を含む。スイッチSW21の第1端子はダイオードD11〜D13のアノードに接続され、スイッチSW21の第2端子は電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに接続されている。スイッチSW22の第1端子には駆動電圧VDCが供給され、スイッチSW22の第2端子は電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに接続されている。第1スイッチSW21の制御端子にはアダプタ検出信号S3が供給されている。第2スイッチSW22の制御端子には、アダプタ検出信号S3が入力されるインバータ回路62の出力信号が供給されている。従って、第1スイッチSW21と第2スイッチSW22は、アダプタ検出信号S3に応答して相補的にオンオフする。
【0064】
このように構成された設定回路55bは、機器本体31に適合するACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、第1スイッチSW21がオンし、第2スイッチSW22がオフする。その結果、設定回路55bは、ダイオードD11〜D13に流れる誤差電流を電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに伝達する。これにより、トランジスタT21は、誤差電流に応じた制御電流Iscを流す。
【0065】
一方、設定回路55bは、機器本体31に適合しないACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、第1スイッチSW21がオフし、第2スイッチSW22がオンする。その結果、トランジスタT32のゲートに駆動電圧VDCが供給される。これにより、トランジスタT21がオンし、入出力端子P21の電位を駆動電圧VDCレベルにする。
【0066】
別の例として、図9に示すように、検出回路34cの設定回路55cは、電流電圧変換回路47の入力側、つまり電流電圧変換回路47とダイオードD1〜D3との間に接続されている。設定回路55cは、2つのスイッチSW31,SW32、インバータ回路62、トランジスタT51、定電流源71を含む。スイッチSW31の第1端子はダイオードD11〜D13のアノードに接続され、スイッチSW31の第2端子は電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに接続されている。スイッチSW32の第1端子はトランジスタT51のゲートに接続され、スイッチSW32の第2端子は電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに接続されている。トランジスタT51はトランジスタT32と同じチャネルタイプのMOSトランジスタであり、ソースがグランドに接続され、ドレインは定電流源71に接続されている。更に、トランジスタT51のゲートはドレインに接続されている。従って、トランジスタT32とトランジスタT51は、スイッチSW32がオンした場合にカレントミラー回路を構成し、定電流源71の電流値と比例した値の電流がトランジスタT32に流れる。
【0067】
第1スイッチSW31の制御端子にはアダプタ検出信号S3が供給されている。第2スイッチSW32の制御端子には、アダプタ検出信号S3が入力されるインバータ回路62の出力信号が供給されている。従って、第1スイッチSW31と第2スイッチSW32は、アダプタ検出信号S3に応答して相補的にオンオフする。
【0068】
このように構成された設定回路55cは、機器本体31に適合するACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、第1スイッチSW31がオンし、第2スイッチSW32がオフする。その結果、設定回路55bは、ダイオードD11〜D13に流れる誤差電流を電流電圧変換回路47に含まれるトランジスタT32のゲートに伝達する。これにより、トランジスタT21は、誤差電流に応じた制御電流Iscを流す。
【0069】
一方、設定回路55bは、機器本体31に適合しないACアダプタが接続されたことが監視回路48により検出された場合に、アダプタ検出信号S3に応答して、第1スイッチSW31がオフし、第2スイッチSW32がオンする。その結果、設定回路55cは、トランジスタT51のゲート電圧をトランジスタT32のゲートに供給する。このトランジスタT32は、定電流源71が流す電流と比例した電流を流す。これにより、トランジスタT21に定電流が流れ、入出力端子P21の電位を駆動電圧VDCレベルにする。
【0070】
・上記実施形態では、2つの入力信号と基準電圧とを比較して誤差電圧を出力するエラー増幅器43に具体化したが、3つ以上の入力信号と基準信号とを比較して誤差電圧を出力するエラー増幅器に具体化してもよい。また、端子の反転・非反転は、適宜変更されてもよい。
【0071】
・上記各実施形態において、図2に示す検出回路34は、抵抗R1の出力側端子における電圧(出力電圧)を検出するようにしたが、これを省略してもよい。つまり、乗算器45とエラー増幅器46とダイオードD13を省略した検出回路に具体化してもよい。
【0072】
・上記各実施の形態では、制御電流Iscに対してアダプタ電圧VACを比例的に制御するようにしたが、制御電流Iscとアダプタ電圧VACとの関係は、適宜変更されてもよい。
【0073】
・上記実施形態において、パルス幅変調器24から電力制限信号PWRMを出力するようにしたが、パルス幅変調器24以外の回路から電力制限信号PWRMを出力するようにしてもよい。例えば、レジスタ等の電力制限信号PWRMを出力する回路を制御端子としての第3端子P3に接続する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0074】
21 ACアダプタ
31 機器本体
33 システム回路
34 検出回路
48 監視回路
54 スイッチ制御回路
55 設定回路
P11,P12 電源端子
P13 制御端子
R1 抵抗
S3 アダプタ検出信号
Isc 制御電流
SW2 スイッチ
T21 トランジスタ
VAC アダプタ電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流のアダプタ電圧を生成するとともに制御電流に応じて前記アダプタ電圧を変更し、識別電圧を出力する外部電源と、
前記外部電源により生成されたアダプタ電圧が入力される電源端子と、前記識別電圧が入力される制御端子を有する機器本体とを備え、
前記機器本体は、
前記電源端子から入力される前記アダプタ電圧に基づいて動作するシステム回路と、
前記電源端子と前記システム回路との間に接続された抵抗により、前記アダプタ電圧、該アダプタ電圧に対応するアダプタ電流を検出する検出回路と、を含み、
該検出回路は、
前記アダプタ電圧及び前記アダプタ電流と、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記制御端子に接続され、前記誤差信号に基づいて前記制御電流を生成する電流制御回路と、
前記制御端子に接続され、前記識別電圧による前記制御端子の電位に比例した電圧と比較基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電源端子に接続された外部電源が適合するか否かを示す検出信号を生成する監視回路と、
前記検出信号に基づいて前記電源端子と前記抵抗との間に接続されたスイッチをオンオフするスイッチ制御回路と、
前記制御端子の電位を所定電位に設定する設定回路と、
を含むこと、を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記設定回路は、前記制御端子に接続され、該制御端子に対して定電流を供給する定電流回路である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記設定回路は、前記誤差増幅器と前記電流制御回路との間に接続され、前記検出信号が入力され、該検出信号に基づいて、前記電流制御回路を介して前記制御端子の電位を前記アダプタ電圧にクランプする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電流制御回路は、ドレインが前記制御端子に接続され、ソースに前記アダプタ電圧が供給され、ゲートに電流電圧変換回路が接続された第1MOSトランジスタと、前記誤差増幅器により生成される誤差電流に比例した電圧を前記第1MOSトランジスタのゲートに供給する電流電圧変換回路と、を含み、
前記電流電圧変換回路は、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第2MOSトランジスタと、前記第2トランジスタと直列接続された第3MOSトランジスタ及び抵抗を含み、
前記設定回路は、前記誤差増幅器と前記第3MOSトランジスタのゲートとの間に接続され、前記検出信号が第1のレベルの場合には、前記誤差増幅器により生成される誤差電流を前記第3MOSトランジスタのゲートに伝達し、前記検出信号が第2のレベルの場合には、前記誤差電流の伝達を遮断するとともにその遮断時における前記第3MOSトランジスタのゲート電圧を保持する、ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電流制御回路は、ドレインが前記制御端子に接続され、ソースに前記アダプタ電圧が供給され、ゲートに電流電圧変換回路が接続された第1MOSトランジスタと、前記誤差増幅器により生成される誤差電流に比例した電圧を前記第1MOSトランジスタのゲートに供給する電流電圧変換回路と、を含み、
前記電流電圧変換回路は、前記第1MOSトランジスタとカレントミラー接続された第2MOSトランジスタと、前記第2トランジスタと直列接続された第3MOSトランジスタ及び抵抗を含み、
前記設定回路は、前記誤差増幅器と前記第3MOSトランジスタのゲートとの間に接続され、前記検出信号が第1のレベルの場合には、前記誤差増幅器により生成される誤差電流を前記第3MOSトランジスタのゲートに伝達し、前記検出信号が第2のレベルの場合には、前記誤差電流の伝達を遮断するとともに前記第3MOSトランジスタのゲートに前記アダプタ電圧を供給する、ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記機器本体はバッテリ電圧を生成する二次電池と接続可能であり、
前記システム回路は、前記アダプタ電圧と前記バッテリ電圧との少なくとも一方に基づいて動作し、
前記検出回路は、前記バッテリと前記システム回路との間に接続された抵抗により、前記バッテリ電圧、該バッテリ電圧に対応するバッテリ電流を検出し、
前記誤差増幅器は、前記アダプタ電圧、前記アダプタ電流、前記バッテリ電圧、前記バッテリ電流のうちの少なくとも2つと、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成し、
前記スイッチ制御回路は、前記検出信号に基づいて、前記電源端子と前記抵抗との間に接続された第1のスイッチとともに前記バッテリ電流を検出する抵抗と前記バッテリとの間に接続された第2のスイッチをオンオフする、
ことを特徴とする請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
直流のアダプタ電圧を生成するとともに制御電流に応じて前記アダプタ電圧を変更し、識別電圧を出力する外部電源が接続され、前記外部電源により生成されたアダプタ電圧が入力される電源端子と、前記識別電圧が入力される制御端子を有する電子機器であって、
前記電源端子から入力される前記アダプタ電圧に基づいて動作するシステム回路と、
前記電源端子と前記システム回路との間に接続された抵抗により、前記アダプタ電圧、該アダプタ電圧に対応するアダプタ電流を検出する検出回路と、を含み、
該検出回路は、
前記アダプタ電圧及び前記アダプタ電流と、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記制御端子に接続され、前記誤差信号に基づいて前記制御電流を生成する電流制御回路と、
前記制御端子に接続され、前記識別電圧による前記制御端子の電位に比例した電圧と比較基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電源端子に接続された外部電源が適合するか否かを示す検出信号を生成する監視回路と、
前記検出信号に基づいて前記電源端子と前記抵抗との間に接続されたスイッチをオンオフするスイッチ制御回路と、
前記制御端子の電位を所定電位に設定する設定回路と、
を含むこと、を特徴とする電子機器。
【請求項8】
直流のアダプタ電圧を生成するとともに制御電流に応じて前記アダプタ電圧を変更し、識別電圧を出力する外部電源が接続され、前記外部電源により生成されたアダプタ電圧が入力される電源端子と、前記識別電圧が入力される制御端子を有する電子機器に設けられ、前記電源端子から入力される前記アダプタ電圧に基づいて動作するシステム回路と前記電源端子との間に接続された抵抗により、前記アダプタ電圧、該アダプタ電圧に対応するアダプタ電流を検出する検出回路であって、
前記アダプタ電圧及び前記アダプタ電流と、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記制御端子に接続され、前記誤差信号に基づいて前記制御電流を生成する電流制御回路と、
前記制御端子に接続され、前記識別電圧による前記制御端子の電位に比例した電圧と比較基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電源端子に接続された外部電源が適合するか否かを示す検出信号を生成する監視回路と、
前記検出信号に基づいて前記電源端子と前記抵抗との間に接続されたスイッチをオンオフするスイッチ制御回路と、
前記制御端子の電位を所定電位に設定する設定回路と、
を含むこと、を特徴とする検出回路。
【請求項9】
外部電源により生成されたアダプタ電圧が入力される電源端子と、前記外部電源により前記アダプタ電圧を変更するための制御電流を出力するとともに、前記外部電源から識別電圧が入力される制御端子を有する電子機器であって、
前記電源端子から入力される前記アダプタ電圧に基づいて動作するシステム回路と、
前記電源端子と前記システム回路との間に接続された抵抗により、前記アダプタ電圧、該アダプタ電圧に対応するアダプタ電流を検出する検出回路と、を含み、
該検出回路は、
前記アダプタ電圧及び前記アダプタ電流と、比較基準信号との差に応じた誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記制御端子に接続され、前記誤差信号に基づいて前記制御電流を生成する電流制御回路と、
前記制御端子に接続され、前記識別電圧による前記制御端子の電位に比例した電圧と比較基準電圧とを比較し、その比較結果に基づいて、前記電源端子に接続された外部電源が適合するか否かを示す検出信号を生成する監視回路と、
前記検出信号に基づいて前記電源端子と前記抵抗との間に接続されたスイッチをオンオフするスイッチ制御回路と、
前記制御端子の電位を所定電位に設定する設定回路と、
を含むこと、を特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−268339(P2009−268339A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26519(P2009−26519)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】