説明

電子機器

【課題】フィンへの塵埃の付着を防止して発熱部品からの熱の放熱効率を低下させない放熱ユニットを備えた電子機器を得る。
【解決手段】動作時に発熱する発熱部品24を含む電子部品が収容された筐体20aと、互いに主面が対向するように所定の間隙を介して配列された複数のフィン36を備えた、発熱部品からの発熱が伝達される放熱体35と、放熱体の複数のフィンの間隙に排気口から冷却風を送風するファン31とを備え、放熱体の複数のフィンは、配列方向の両端部に配置された第1のフィン36Aと配列方向の中間部に配置された第2のフィン36Bとを含み、第1のフィンは、ファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたって排気口の放熱体側端面との間隔が一定となるように形成され、第2のフィンは、ファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作時に発熱する発熱部品を筐体内に有する電子機器、例えば発熱部品であるCPU(中央処理装置)を備えたノートパソコン等の電子機器に関し、特に、発熱部品からの熱を外部に放出する放熱ユニットの構成に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子機器の一例であるノートパソコンの場合、その性能向上にともなってCPU等の発熱部品からの発熱量が増大している。また、携帯型の電子機器であるノートパソコンの場合には、携帯型の電子機器としての小型化軽量化が求められているため、狭い筐体の内部に各種の電子部品が詰め込まれることとなり、発熱部品からの熱を効果的に筐体の外部に放出することができる、高性能な放熱ユニットを備えることが求められている。
【0003】
このような要請に応じるために、発熱部品からの熱が伝達される放熱フィンを備えた放熱体と、放熱体内に冷却風を送り込む送風手段であるファンとを備えた放熱ユニットが用いられている。この従来の放熱ユニットでは、発熱部品であるCPUを直接、または、ヒートパイプなどによって間接的に、放熱体と接触させてその発熱を伝え、伝達された発熱部品の熱をファンからの冷却風で筐体の外部に放出することが行われている。このような従来の放熱ユニットでは、その放熱効果をより向上させるために放熱体のフィンの表面積を大きくすることが有効であり、限られた狭い空間内に狭い間隙を介してフィンが配列されている。しかし、フィンの形成間隔を狭くすると、ファンによって供給される冷却風に含まれる細かな塵埃が、特に、フィンのファンに対向した側面に付着しやすくなる。フィンの側面に付着した塵埃は、一旦付着してしまうと急速に堆積しやすく、堆積した塵埃がフィンの隙間を埋めて放熱体のファンからの冷却風が流入する側の面全体を覆ってしまうようになると、フィンの間隙にファンからの冷却風が送り込めなくなり、放熱ユニットの放熱効果を著しく損ねることになる。
【0004】
このように、フィンの側面に塵埃が堆積して放熱ユニットの放熱効果が損なわれることを防止するために、フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材であるブラシを備えた放熱ユニットが提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
図9に、特許文献1に記載された、従来の電子機器に用いられている放熱ユニットの概略構成を示す。
【0006】
従来の放熱ユニット100は、冷却風を送風するファン131と図には現れないフィンを有する放熱体136とを備えている。ファン131からの冷却風が放熱体136に形成されたフィンの隙間を通って筐体120の外部に放出されることで、放熱体136に伝達された発熱部品である図示しないCPUの熱が筐体120の外部に放出される。
【0007】
放熱体136のファン131が配置された側の端部には、放熱体136のフィンに付着した塵埃をこすって落とすことができる掃除部材であるブラシ133と、このブラシ133を図中矢印141の方向に動かす回転機構134とが備えられている。
【0008】
上記従来の放熱ユニット100では、回転機構134を回転させる図示しない操作体を備え、この操作体をユーザが必要に応じて押し込むことにより、または、例えばノートパソコンの蓋部が閉じられる際に連動して押し込まれることにより、ブラシ133が矢印141の方向に回転してフィンの側面を掃除する。この際、ブラシ133によってフィンの間から除去された塵埃は、ファン131からの冷却風によって、筐体120に形成された放出口121から外部に放出される。
【0009】
また、従来の放熱ユニット100では、ファン131と放熱体136とを接続する接続体132の下面に開口部135が設けられていて、ブラシ133によって除去された塵埃は、開口部135から筐体120の内部に落下する。この落下した塵埃は、放熱体136内を経由して筐体120の外部に放出される冷却風の流れとは別の流路である、開口部135から筐体120内を通って放出口121に繋がる流路から、筐体120の外部に放出される。
【0010】
なお、特許文献1には、ブラシ133によるフィンに付着した塵埃の除去を、電気的に制御できるモータを用いて行うことが開示されている。また、ブラシ133の動作するタイミングとして、CPUがシャットダウンしたことが検出された場合や、CPUの温度が一定温度以上に到達した場合、ノートパソコンの使用時間が一定時間に到達した場合などが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−306001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記従来の電子機器の放熱ユニット100は、フィンに付着したファン131からの冷却風に含まれる塵埃を除去する掃除部材であるブラシ133を備え、所定のタイミングでフィンに付着した塵埃を除去できるため、フィンに大量の塵埃が堆積して冷却風の流入が妨げられるという事態を回避することができる。
【0013】
しかし、上記従来の放熱ユニット100では、ブラシ133で付着した塵埃を除去するタイミングとして、発熱部品であるCPUが動作しファン131から冷却風が送風されている状態を想定している。従来の放熱ユニット100では、ブラシ133が放熱体136内の冷却風の流路を完全には遮らない形状として、塵埃を除去する際に冷却風が流れなくなって放熱効果が失われてしまうことを防止しているが、冷却風の流路にブラシが存在することによる放熱効率の低下は否めない。また、従来の放熱ユニット100では、ブラシ133が塵埃を除去している際の冷却風の流路とするとともに、ブラシ133で除去された塵埃を筐体120の外部に放出するための流路として、ファン131と放熱体136とを接続する接続体132の下面に開口部135が設けられている。しかし、開口部135が設けられていることで、ファン131からの冷却風の一部が定常的に放熱体136内を通過できず、ファン131による冷却風を放熱体136の熱の放出に完全に利用できていないという点において、放熱効率の低下が常に生じていることになる。
【0014】
このように、従来の放熱ユニット100では、ファン131からの冷却風を有効に利用できていないため、CPUが一層大きな熱を放出する近年のノートパソコンの高性能化に十分対応できるものとは言えなかった。
【0015】
本発明は、上記従来の放熱ユニットを備えた電子機器における課題を解決するものであり、フィンに付着した塵埃を除去する掃除部材を備えることなく、フィンへの塵埃の付着を防止して発熱部品からの熱の放熱効率を低下させない放熱ユニットを備えた電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため本発明の電子機器は、動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、互いに主面が対向するように所定の間隙を介して配列された複数のフィンを備えた、前記発熱部品からの発熱が伝達される放熱体と、前記放熱体の前記複数のフィンの間隙に排気口から冷却風を送風するファンとを備え、前記放熱体の前記複数のフィンは、配列方向の両端部に配置された第1のフィンと配列方向の中間部に配置された第2のフィンとを含み、前記第1のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたって前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が一定となるように形成され、前記第2のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が広がるように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の電子機器は、発熱部品からの熱が伝達される放熱体に形成されたフィンの内、配列方向の中央部分に位置する第2のフィンのファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部でファンの排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。このため、ファンからの冷却風に含まれる塵埃がフィンのファンに対向する側面に付着しにくく、熱効率が低下しない電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態にかかるノートパソコンの概略構成例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態にかかるノートパソコンにおける放熱ユニットの主要な構成を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットの構成を示す水平方向の断面図である。
【図4】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットの構成を示す垂直方向の断面図である。
【図5】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットにおける、放熱体の構成を示す図である。図5(a)がファンに対向する面の側から見た放熱体の斜視図であり、図5(b)が放熱体に配列されたフィンの主面の形状を示す図である。
【図6】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットにおける、別の形状の放熱体の構成を示す図である。図6(a)がファンに対向する面の側から見た別の形状の放熱体の斜視図であり、図6(b)が放熱体に配列されたフィンの主面の形状を示す図である。
【図7】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットにおける、さらに別の放熱体の構成を示す図である。図7(a)がファンに対向する面の側から見たさらに別の放熱体の斜視図であり、図7(b)が放熱体に配列されたフィンの主面の形状を示す図である。
【図8】本実施形態にかかるノートパソコンの放熱ユニットの、応用例の放熱体の構成を示す図である。図8(a)がファンに対向する面の側から見た応用例の放熱体の斜視図であり、図8(b)が放熱体に配列されたフィンの主面の形状を示す図である。
【図9】従来の放熱ユニットの構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の電子機器は、動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、互いに主面が対向するように所定の間隙を介して配列された複数のフィンを備えた、前記発熱部品からの発熱が伝達される放熱体と、前記放熱体の前記複数のフィンの間隙に排気口から冷却風を送風するファンとを備え、前記放熱体の前記複数のフィンは、配列方向の両端部に配置された第1のフィンと配列方向の中間部に配置された第2のフィンとを含み、前記第1のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたって前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が一定となるように形成され、前記第2のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。
【0020】
上記本発明の電子機器は、発熱部品の熱が伝達される放熱体のフィンが、配列方向の端部に位置する第1のフィンは、ファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたってファンの排気口の放熱体側端面との間隔が一定となるように形成されているとともに、配列方向の中央部に位置する第2のフィンは、ファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。このような構成とすることで、ファンからの冷却風をフィンが配列された放熱体の内部に確実に供給することができるとともに、フィンのファンに対向した側の側面にフィンの端部形状に沿った流れの風が生じて、ファンからの冷却風に含まれる塵埃が付着しにくくなる。このため、フィンのファンに対向する側面に付着した塵埃を除去する手段を用いなくても、長期間にわたって安定した放熱効果が発揮される放熱ユニットを備えた電子機器を得ることができる。
【0021】
上記構成の電子機器において、前記放熱体の前記複数のフィンは、その主面が電子機器の使用状態における上下方向に沿って配置され、前記第2のフィンの前記ファン側の端部は、電子機器の使用状態における下側部分が前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。このようにすることで、第2のフィンのファン側の端部に下方向の風の流れが生じ、ファンからの冷却風に含まれる塵埃を放熱体の下方に排出することができる。
【0022】
また、前記第2のフィンの前記ファン側の端部が、電子機器の使用状態における上端部から下端部にかけて、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が漸次広がる傾斜面により形成されていることが好ましい。このようにすることで、第2のフィンのファンに対向する側面全体において、塵埃の付着を効果的に防止することができる。
【0023】
さらに、前記第2のフィンの前記ファン側の端部が、電子機器の使用状態における上下方向の中間部分から下端部にかけて、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が漸次広がる湾曲面により構成されていることがこのましい。このようにすることで、フィンの主面の表面積の低減を回避しつつ、フィンのファンに対向する側面に塵埃が付着することを防止できる。また、フィンの上側部分の面積を確保できるので、発熱部材からの熱を伝達するヒートパイプをフィンの主面内に配置することもできる。
【0024】
さらにまた、前記第1のフィンが、配列方向の両端部に複数枚ずつ配置されていることが好ましい。このようにすることで、放熱体とファンとの接続をより確実に行うことができ、ファンからの冷却風が放熱体の外部に逃げてしまうことを効果的に回避することができる。
【0025】
また、前記第2のフィンが、前記第1のフィンよりも電子機器の使用状態における上下方向の長さが短く、前記第2のフィンが配置されている部分の前記放熱体の下面側に、前記ファンからの冷却風が通過する空洞部が形成されていることが好ましい。このようにすることで、筐体に形成された放出口から放熱体内部の塵埃を吸い出すことが可能となる。
【0026】
(発明の実施の形態)
以下、本発明の実施形態として、電子機器がノートパソコンである場合を例示しながら説明する。
【0027】
図1は、本実施の形態にかかる電子機器としてのノートパソコン1である。
【0028】
本実施形態のノートパソコン1は、内側面に液晶パネルなどの表示デバイス12が配置された蓋体10が、表面にキーボード21やポインティングデバイス22などの入力装置が配置された本体部20に対して、ヒンジ機構11によって回動可能に取り付けられている。
【0029】
本体部20の内部には、ノートパソコン1の動作電源である図示しない二次電池や、主記録デバイスである図示しないハードディスクドライブ(HDD)その他の電気部品が配置されている。なお、本実施形態のノートパソコン1は、例えば無線LAN通信のためのアンテナモジュールや、ブルーレイディスクやDVDディスクに対応したディスクドライブ、ウェブカメラ素子、音声マイクやスピーカ、その他各種の入出力端子などを備えることができるが、これらの機能や形状は従来周知のノートパソコンと同様であるため、図示および詳細な説明は省略する。
【0030】
図2は、本実施形態にかかるノートパソコン1の、本体部20の内部構成を示す分解斜視図である。図2では、本体部20の内部に配置された各種の電子部品の中でも、動作時に最も温度が高くなる代表的な発熱部品である中央演算素子(CPU)24と、CPU24の熱を本体部20の外殻を構成する筐体20aの外部に放出する放熱ユニット30の近傍のみを拡大して示している。
【0031】
図2に示すように、本実施形態のノートパソコン1の本体部20内部、表面に配置されたキーボード21の下側部分には、CPU24が回路基板23上に搭載されて配置されている。CPU24の上面には、CPU24の動作時の発熱を放熱ユニット30に伝達するための受熱部25が配置されている。受熱部25は、バネ状の脚部を有する固着部材26によって、熱源であるCPU24に押しつけられるように固着されている。
【0032】
受熱部25には、受け取った熱を放熱ユニット30の放熱体35に伝達するための、例えば銅製のヒートパイプ27が接続されている。ヒートパイプ27内には、例えば熱伝導性の高い代替フロンなどの熱伝導媒体が封入されていて、受熱部25に伝えられたCPU24の熱を効率よく放熱体35に伝達する。
【0033】
本実施形態のノートパソコン1では、CPU24の熱を効果的に本体部20の筐体20a外部に放出させるための放熱ユニット30として、CPU24からの熱が伝達される放熱体35と、放熱体35に隣接して配置されたファン31とを有している。ファン31がファンケース32の上面に形成された吸入口32aから吸入して送風する冷却風が放熱体35に導入され、放熱体35に設けられた複数の板状体であるフィン36の間隙を通って筐体20aの外部に放出されることで、放熱体35からの放熱効果を高めている。放熱体35に当接する部分のファンケース32の表面には、筐体20a内部の空間を、放熱体35の周囲部分とファン31の周囲部分とに仕切る仕切り部材37が、ファンケース32の周囲を取り巻くように配置されている。
【0034】
図3および図4は、本実施形態のノートパソコンにおける放熱ユニット30の構成を示す図である。
【0035】
図3は、放熱ユニット30を構成するファン31と放熱体35のそれぞれの詳細な構造を示すために、各部材を、ノートパソコン1の本体部20におけるキーボード21が配置された主面に平行な水平面によって、その高さ方向の中央部分で切断した状態の水平方向の断面図を示している。また、図4は、放熱ユニット30の構成を、ファン31の回転軸34の部分における断面形状によって示す垂直方向の断面図である。
【0036】
図3は、図4におけるB−B’矢視線部分の形状を示している。図4は、図3におけるA−A’矢視線部分の形状を示している。ノートパソコン1は、キーボード21が水平方向に配置されるように本体部20を載置して使用することが通例であるため、以下本明細書では、この通例の使用状態における上下方向を適宜用いて各部材の説明を行うこととする。
【0037】
図3および図4に示すように、ファン31は、ファンケース32の内部に収容された羽根33が回転軸34を軸心として回転することで、ファンケース32の上面に形成された図2に示す吸入口32aから周囲の空気を取り込み、放熱体35側の排気口32bから冷却風として吹き出す。なお、図3および図4では、本実施形態のファン31として、羽根33が多数の前向き羽根で構成されたシロッコファンを例示して示したが、ファン31の全体形状や吸入口32aの位置や個数並びに形状、回転軸34の周りを回る羽根33の形状などは例示に過ぎず、本実施形態の放熱ユニット30に使用されるファン31としては、周囲の空気を吸入口から吸入して排気口から吹き出すことができるものであれば、従来用いられてきた各種の形態の冷却ファン(放熱ファン)を使用することができる。
【0038】
本実施形態の放熱ユニット30では、ファン31のファンケース32に設けられた排気口32bに、ファン31側の側面35aが当接されて放熱体35が配置されている。すなわち、ファン31の排気口32bの外形を形成する枠体の端部が構成する面として捉えられる、ファン31の排気口32bの放熱体35側の端面が、放熱体35のファン31側の側面35aと当接している。
【0039】
放熱体35は、熱伝導性が高い例えば銅などの金属からなる、複数の板状体であるフィン36を備えている。本実施形態の放熱ユニット30の放熱体35では、フィン36は、その最も広い面積を有する面である主面が、電子機器であるノートパソコン1の使用状態における上下方向に沿って配置されている。より具体的には、フィン36は、ノートパソコン1の本体部20のキーボード21の配置面に対して直交する方向である垂直方向、すなわち、図4における上下方向でもある本明細書における上下方向と、ファン31からの冷却風が通過する方向、すなわち、図3および図4における左右方向とに延在するように、かつ、それぞれのフィン36が所定の間隙を介して主面同士が互いに対向するようにして配列されている。
【0040】
また、放熱体35の上部には発熱部品であるCPU24からの熱を伝えるヒートパイプ27が配置されている。
【0041】
本実施形態の放熱ユニット30における放熱体35では、複数配列されたフィン36として、配列方向の両端部に配置された第1のフィン36Aと配列方向の中間部に配置された第2のフィン36Bとの2種類が用いられている。
【0042】
図3および図4に示すように、放熱体35の両端部から5枚ずつ配置された第1のフィン36Aは、そのファン31側の端部が、端部が形成する辺または面の長さ方向、すなわち上下方向の全長にわたって、ファン31の排気口32bの放熱体側端面との間隔が0であるように形成されている。言い換えると、第1のフィン36Aのファン31側の端部が、放熱体35のファン31側の側面35aを構成し、ファン31の排気口32bの放熱体側端面と当接している。また、配列方向の中間部に配置された第2のフィン36Bは、図4に示すようにファン31側の端部が、その長さ方向の一方の端部である下側の端部において、ファン31の排気口32bの放熱体側端面との距離が広がるように形成されている。言い換えると、第2のフィン36Bのファン31側の端部とファン31の排気口32bの放熱体側端面との間隔が、第2のフィン36Bの上端から下端に行くにしたがって広くなっていて、第2のフィン36Bのファン31に対向する側面が、フィン36Bの上端から下端まで連続して形成された傾斜面となっている。すなわち、第2のフィン36Bのファン31側の端部の上端部はファン31の排気口32bの上部に当接しているが、下端部側はファン31の排気口32bとの間に間隙35cが形成されている。放熱ユニット30の高さ方向における中央部分の水平方向断面図である図3では、ファン31の排気口32bとフィン36Bのファン31側の端部との間の間隙35cがフィン36の配列方向に長手方向を有して配置された開口部として現れている。
【0043】
放熱体35の大きさ、特に、ファン31に対向する側面35aの幅と高さとは、ファン31の排気口32bの外形の幅と高さと同じになっている。また、放熱体35のフィン36の間隙を通過した冷却風は、放熱体35の筐体20a側の側面35bの外形形状に対応させてスリットや貫通孔として筐体20aに形成された放出口28から、筐体20aの外部に放出される。
【0044】
本実施形態のノートパソコン1の放熱ユニット30では、図4に示すように、ファン31の放熱体35に隣接する部分のファンケース32の表面を取り囲むように、樹脂製のベルト状、または、微細な空乏が形成されたスポンジ状の仕切り部材37が配置されている。この仕切り部材37によって、筐体20aの内部を、放熱体35が配置された側の部分とファン31が配置された側の部分とに仕切ることができ、ファン31と放熱体35の間隙35cから下側の筐体20a内に落下した塵埃や、筐体20aの放出口28にぶつかって筐体20aの外部に放出されずに筐体20a内に残った塵埃が、ファン31の近傍に移動して吸気口32aから再び吸い込まれ、冷却風に乗って放熱体35内に供給されてしまうことを効果的に防止することができる。
【0045】
ここで、図5を用いて、本実施形態の放熱ユニット30に用いられている放熱体35の構成を詳しく説明する。
【0046】
図5(a)は、本実施形態の放熱ユニット30の放熱体35の斜視図であり、放熱体35をファン31の側から見た状態を示している。また、図5(b)は、放熱体35に使用されている第1のフィン36Aと第2のフィン36Bの主面の形状を示している。なお、図5(b)においては、第1のフィン36Aと第2のフィン36Bとの形状の相違と相互の位置関係がわかるように、放熱体35をフィン36の配列方向の延長方向から見た状態で、二点鎖線で示した第1のフィン36Aに、実線で示した第2のフィン36Bを重ねて示している。
【0047】
図5(a)に示すように、放熱体35は、所定の間隙を介してその主面が互いに対向するように配列された複数のフィン36を有している。上述したように、本実施形態において放熱体35のフィン36は、その主面がノートパソコン1の使用状態における上下方向に沿って配置されている。また、複数のフィン36の上端部を接続する上側部材35eと、複数のフィン36の下端部を接続する下側部材35fとが配置されている。
【0048】
フィン36の配列方向の端部、すなわち、放熱体35のファン31に対向する側面35aにおける左右方向の端部に、それぞれ5枚ずつ配置された第1のフィン36Aは、その主面形状が、放熱体35のフィン36の配列方向における側面35dの形状から上側部材35eと下側部材35fの部分を除いた形状と同じ矩形状となっている。
【0049】
このため、フィン36の配列方向の最も外側の端部に位置する一対の第1のフィン36Aのファン31側の端部Aaと、上側部材35eおよび下側部材35fとが、放熱体35のファン31に対向する側の側面35aの外形を構成することになる。また、フィン36の配列方向の端部にそれぞれ5枚ずつ配置された第1のフィン36Aのファン31側の端部36Aaは、放熱体35のファン31に対向する側面35aを形成する。
【0050】
放熱体35のファン31側の側面35aの外形の形状は、ファン31の排気口32bの開口部の形状と同じ形状となっている。このようにすることで、ファン31からの冷却風全てを放熱体35の内部に導入することができ、放熱効果を高く維持することができる。
【0051】
一方、フィン36の配列方向の中央部、すなわち、放熱体35のファン側側面35aにおける左右方向の中央部に配置された第2のフィン36Bは、ファン31側の端部36Baが上端から下端まで連続して形成された下側に向かう傾斜面を形成している。このため、放熱体35のファン31に対向する側面35aの底部には、図5に示すように第2のフィン36Bが配列されている部分の幅である、フィン36の配列方向の長さがxの間隙35cが形成されている。なお、放熱体35の下側部材35fは、配置されているフィン36の下端部の大きさに合わせてフィン36を接続しているため、間隙35c部分はファン31側が凹んで形成されている。
【0052】
図5(b)に示すように、本実施形態の放熱体35に配置されている第1のフィン36Aの主面は、放熱体35のフィン36の配列方向の側面35dから、上側部材35eおよび下側部材35fを除いた部分の形状と同じ矩形状となっている。すなわち、第1のフィン36Aのファン31側の端部36Aaは、垂直方向にのびる直線状となる。このようにすることで、第1のフィン36Aのファン31側の端部36Aaは、図5(b)では図示しないファン31の排気口32bの放熱体側端面に当接する。なお、本実施形態の放熱ユニット30におけるファン31の排気口32bは、各辺が所定の厚みを有する横長矩形状の枠体(横長のロの字状体)となっているため、配列方向の最も外側に位置した第1のフィン36Aのファン31側の端部36Aaのみが、端部の長さ方向の全長にわたって、ファン31の排気口32bの枠体の側方部分と当接する。しかし、第1のフィン36Aは、いずれもファン31側の端部が放熱体35のファン側側面35aを構成しているため、配列方向の最も外側に位置したフィン36A以外の第1のフィン36Aも、ファン31側の端部36Aaの上端部と下端部とで排気口32bの枠体に当接する。このようにすることで、ファン31と放熱体35とを固着する際に、安定した状態でより強固に固着することができる。
【0053】
放熱体35の第2のフィン36Bの主面は、図5(b)に示したように、ファン31側の端部36Baの下側部分が、ファン32の排気口32bの放熱体側端面との間隔が広がるような、上端から下端まで連続した直線として形成されている。言い換えると、第2のフィン36Bのファン31に対向する側面は、第2のフィン36Bの上端から下端まで連続して形成された傾斜面となっている。また、図5(b)に示すように、第1のフィン36Aと第2のフィン36Bとの主面同士の比較によれば、第2のフィン36Bの主面は、第1のフィン36Aの主面に対し、ファン31側の端部36Baが、第2のフィン36Bにおける図5(b)中の上辺36Bbの右側の角部から、下辺36Bcの略中央部分にわたって斜めに切り欠かれたものとなっている。別の言い方をすると、第2のフィン36Bの主面は、ファン31側に斜辺(36Ba)を有する上底(36Bb)が下底(36Bc)よりも大きな台形状である、ということができる。
【0054】
図5(b)に示すように、第2のフィン36Bの主面において、第1のフィン36Aの主面から切り欠かれた部分の、下辺36Bcにおける長さyが、放熱体35のファン31側の底部に設けられた間隙35cの奥行きを構成する。言い換えると、放熱体35に形成された間隙35cは、放熱体35の底面部分において、幅がx、奥行きがyであるということができる。
【0055】
このように、フィン36の配列方向の中間部に配置された、第2のフィン36Bのファン31に対向する側の辺を斜め下方に向けて傾斜させることで、放熱体35のファン31側の側面35aを斜め下側に向かう傾斜面とすることができる。そして、側面35aを傾斜面とすることによって放熱体35のファン31側の底部での幅がx、奥行きがyの間隙35cが形成され、この間隙35cは、放熱体35の下端側から上端側に行くにしたがって、その大きさが小さくなっている。本実施形態の放熱ユニット30の放熱体35は、第2のフィン36Bのファン31側の端部36Baが傾斜面となっていることで、ファン31からの冷却風が側面に対して斜めにぶつかることになるので、冷却風に含まれて放熱体35に吹き付けられた塵埃が第2のフィン36Bのファン31に対向する側面に付着しにくい。また、ファン31からの冷却風が第2のフィン36Bのファン31に対向する側の側面に当たったときに、第2のフィン36Bの側面に沿って下方向に向かう冷却風の流れが生じるため、冷却風に塵埃が含まれていても放熱体35の間隙35cから下方に落下させることができる。
【0056】
この結果、本実施形態の放熱ユニット30は、図8に示した従来の放熱ユニットのように、フィンのファン側側面に付着した塵埃を除去する掃除部材を設けていなくても、放熱体の形状、特にフィンの形状を工夫することにより、フィンのファンに対向する側の側面に塵埃が堆積することを防止でき、フィンに堆積した塵埃によって冷却風の流れが妨げられて、冷却効果が低減してしまうことを効果的に防止することができる。
【0057】
次に、本実施形態の放熱ユニット30に用いられる放熱体の別の形状の例について、図面を用いて説明する。
【0058】
図6(a)は、本実施形態の放熱ユニット30に用いられる別の形状の放熱体45の斜視図であり、放熱体45をファン31の側から見た状態を示している。また、図6(b)は、放熱体45に使用されている第1のフィン46Aと第2のフィン46Bの主面の形状を示している。なお、図5(b)と同様に、図6(b)においても、第1のフィン46Aと第2のフィン46Bとの形状の相違と互いの配置関係が明確になるように、二点鎖線で示した第1のフィン46Aに、実線で示した第2のフィン46Bを重ねて示している。
【0059】
図6(a)に示すように、別の形状の放熱体45も、所定の間隙を介してその主面が互いに対向するように配列された複数のフィン46(46A、46B)を有している。また、複数のフィン46の上端部を接続する上側部材45eと、複数のフィン46の下端部を接続する下側部材45fとが配置されている。
【0060】
図6(a)に示す、別の形状の放熱体45において、フィン46の配列方向の両端部、すなわち、放熱体45のファン31に対向する側面45aにおける左右方向の端部に、それぞれ5枚ずつ配置された第1のフィン46Aは、図5(a)に示した放熱体35の第1のフィン35Aと同じく、その主面形状が放熱体45のフィン46の配列方向の側面45dの形状から上側部材45eと下側部材45fとを除いた形状と同じ矩形状となっている。
【0061】
図6(a)に示す、異なる形状の放熱体45では、フィン46の配列方向の中間部、放熱体45のファン31に対向する側面45aにおける左右方向の中央部分に配置された第2のフィン46Bの形状が、図5(a)に示した放熱体35における第2のフィン36Bの形状と異なっている。
【0062】
具体的には、図6(b)に示すように、本実施形態の放熱体45に配置されている第2のフィン46Bの主面は、ファン31側の端部46Baが、上下方向の中間部から下端部にかけて、ファン32の排気口32bの放熱体側端面との間隔が広がるような曲線として形成されている。言い換えると、第2のフィン46Bのファン31側の端部46Baの形状が、第2のフィン46Bの上端部から上下方向中間部までの直線部分と、上下方向中間部から下端までの曲線によって構成されている。すなわち、第1のフィン46Aの主面形状と比較すると、第2のフィン46Bは、ファン31側の端部46Baに、その上下方向中間部から下端までの曲線による切り欠きが設けられているということができ、このファン31側の端部46Baの曲線状の切り欠き部分が、第2のフィン46Bのファン31に対向する側面の湾曲面を構成している。
【0063】
このように、配列方向の中間部に配置された第2のフィン46Bのファン31側の端部46Baに、上下方向中間部から開始する曲線状の切り欠きを有することで、別の形状の放熱体46のファン31に対向する側面45aに斜め下側に向かう湾曲面を形成することができる。そして、第2のフィン46Bが配置されている部分の、放熱体45のファン31に対向する側面45aを下側に向かう湾曲面とすることによって、放熱体45とファン31の排気口32bとの間に間隙45cを形成することができ、ファン31の冷却風に含まれて放熱体45に吹き付けられた塵埃を、フィン46Bの側面に沿って下方向に向かう冷却風の流れによって、間隙45cからフィン45の下方に落下させることができる。
【0064】
この結果、別の構成例である放熱体45においても、上記した放熱体35と同様に、フィンのファンに対向する側面に付着した塵埃を除去する掃除部材などを設けることなく、放熱体の、特にフィンの形状を工夫することにより、フィンのファンに対向する側の側面に塵埃が堆積することを防止でき、フィンに堆積した塵埃によって冷却風の流れが妨げられて、冷却効果が低減してしまうことを効果的に防止することができる。
【0065】
なお、図6(a)に示した別の形状の放熱体45においても、第1のフィン46Aの主面におけるファン31側の端部46aは、ファン31の排気口32bの放熱体側端面との間隔が一定となるように直線状となっているため、第1のフィン46Aのファン31に対向する側面は、ファン31の排気口32bの放熱体側端面に当接する。この結果、ファン31と放熱体45とを強固に固着することができ、排気口32bから放出されるファン31からの冷却風を全て放熱体45の内部に導くことができる。
【0066】
また、図6(a)に示した別の形状の放熱体45の場合には、図5(a)に示した放熱体35と比較して、第2の放熱フィン46Bの主面の面積の低減を少なくすることができる。このため、図5(a)に示した放熱体35と比較して、放熱体45からの放熱効果をより高く確保することができる。さらに、図6(a)に示した別の形状の放熱体45の場合には、第2のフィン46Bの上側半分は、第1のフィン46Aと同様に放熱体46のフィン46の配列方向の側面45dの形状をそのまま保っている。このため、例えば、発熱部材からの発熱を伝達するためのヒートパイプを、フィン46の上側半分の部分に配置して、それぞれのフィン46に直接接続することができる。このようにすることで、ヒートパイプの周囲全面にフィン46が位置することとなるため、ヒートパイプからフィン46への熱の伝達をより効率的に行うことができる。
【0067】
次に、本実施形態の放熱ユニット30に用いられる放熱体のさらに別の形状の例を、図面を用いて説明する。
【0068】
図7(a)は、本実施形態の放熱ユニット30に用いられるさらに別の形状の放熱体55の斜視図であり、放熱体55をファン31の側から見た状態を示している。また、図7(b)は、放熱体55に使用されている第1のフィン56Aと第2のフィン56Bの主面の形状を示している。なお、図5(b)、図6(b)と同様に、図7(b)においても、二点鎖線で示した第1のフィン56Aに、実線で示した第2のフィン56Bを重ねて示している。
【0069】
図7(a)に示すように、さらに別の形状の放熱体55も、所定の間隙を介してその主面が互いに対向するように配列された複数のフィン56(56A、56B)を有している。また、複数のフィン56の上端部を接続する上側部材55fが配置されている。なお、後述するように、図7(a)に示すさらに別の形状の放熱体55では、フィン56の上下方向の長さが異なるため、第1のフィン56Aの下端部を接続する下側部材55gと、第2 のフィン56Bの下端部を接続する下側部材55hとが配置されている。
【0070】
図7(a)に示す、さらに別の形状の放熱体55において、フィン56の配列方向の端部、すなわち、放熱体55のファン31に対向する側の側面55aにおける左右方向の端部に、それぞれ5枚ずつ配置された第1のフィン56Aは、図5(a)に示した放熱体35の第1のフィン36A、および、図6(a)に示した別の形状の放熱体45の第1のフィン46Aと同じく、その主面形状が放熱体55のフィン56の配列方向延長上の側面55dの形状から、上側部材55fと下側部材55gとを除いた形状と同じ矩形状となっている。
【0071】
図7(a)に示す、さらに別の形状の放熱体55では、フィン56の配列方向の中間部、すなわち、放熱体55のファン31に対向する側面55aにおける左右方向の中央部分に配置された第2のフィン56Bの形状が、図5(a)に示した放熱体35におけるフィン36Bの形状、図6(a)に示した別の形状の放熱体45における第2のフィン46Bの形状と異なっている。
【0072】
図7(b)に示すように、さらに別の形状の放熱体55に配置されている第2のフィン56Bは、第1のフィン56Aと比較して上下方向(垂直方向)の長さが短く、下端の底辺56Bcが第1のフィン56Aの底辺56Abよりも上方に位置している。そして、第2のフィン56Bのファン31側の端部56Baは、上辺56Bbの端部から、下端である底辺56Bcに対して形成された直線状の切り欠きによって形成されている。
【0073】
図7(b)に示すように、さらに別の形状の放熱体55では、第2のフィン56Bの上下方向の長さが短いために、第2のフィン56Bが配置されている部分の底面側に、ファン31からの冷却風が通過可能な空洞部55eが形成されている。このように、放熱体55の底面側に、冷却風の進行方向に沿った空洞部55eが形成されていることにより、放熱ユニット30が筐体20aの内部に配置されている状態において、掃除機などを用いることによって、筐体20aの放出口28から放熱体55内部に残留する塵埃を吸い出すことが可能となる。また、放熱体55は、第2のフィン56Bのファン31側の端部56baが形成するファン31に対向する側面が、下側に向いた傾斜面となっているため、放熱体55の下側の筐体20a内に塵埃が落下するが、放熱体55の底面側に空洞部55dが形成されていることで、筐体20a内に落下した塵埃を、筐体20aの放出口28から効率よく吸い出すことが可能となる。
【0074】
以上のように、図7(a)に示した、さらに別の形状の放熱体55では、第2のフィン56Bの上下方向の長さが第1のフィン56Aの上下方向の長さよりも短く、放熱体55の底面側に空洞部55dが形成されている。また、第2のフィン56Bの主面において、ファン31側の端部56Baが上端部から下辺56Bcに到達する直線状の切り欠きによって形成されている、さらに別の形状の放熱体55の第2のフィン56Bが配置されている部分において、ファン31に対向する側面55aを斜め下側に向かう傾斜面とすることができ、ファン31からの冷却風に含まれている塵埃を放熱体55の下側に落下させることができる。
【0075】
この結果、上記した実施形態の放熱体35や、別の形状の放熱体45と同様に、フィンのファンに対向する側面に付着した塵埃を除去する掃除部材などを設けることなく、放熱体の、特にフィンの形状を工夫することにより、フィンのファンに対向する側の側面に塵埃が堆積することを防止でき、フィンに堆積した塵埃によって冷却風の流れが妨げられて、冷却効果が低減してしまうことを効果的に防止することができる。
【0076】
また、放熱体55内に残留する塵埃を、掃除機などによって筐体20aの放出口28から吸い出すことができるため、放熱体55のファン31に対向する面55aやフィン56の間隙に塵埃が付着した場合でもこれを取り除いて、放熱効果を回復して高い放熱効果を維持することができる。
【0077】
以上、本実施形態の放熱ユニットについて、放熱体の異なる形状例を含めて、図示しながら説明してきたが、上記説明は、本実施形態の放熱ユニットについての例示に過ぎず、本実施形態の放熱ユニットとしては、図示説明した以外のさまざまな形態を取ることができる。
【0078】
例えば、放熱体として、その側面が矩形状で上面にヒートパイプが接続された形態のものを例示して説明したが、放熱体の側面形状は矩形状に限らず、全体として略三角形状や五角形、または6つ以上の辺を有する多角形形状のものを使用することができる。また、放熱体が配置される筐体内部のスペースの形状に合わせて、放熱体の側面が全体として矩形状である場合であっても、4つの角部の少なくとも一部が、面取り状に斜辺や曲線で結ばれている形状とすることができる。さらに、ヒートパイプの配置位置が、フィン主面を貫通する位置に配置される場合において、ヒートパイプの配置位置を湾曲した窪み形状とすることもできる。そして、これらさまざまな形状の側面を有する放熱体において、フィンの配列方向の両端部に配置された第1のフィンの、ファン側の端部をファンの排気口の放熱体側端面との間隔を一定とするとともに、配列方向の中間部に配置された第2のフィンのファン側の端部とファンの排気口の放熱体側端面との間隔が、下側部分が広がるような形状とすることで、ファンからの冷却風を効率よく放熱体内に供給することができるとともに、放熱体を構成するフィンのファンに対向する側の側面に塵埃が付着することを防止することができる。
【0079】
また上記実施形態では、フィンの配列方向の両端部に、第1のフィンがそれぞれ5枚ずつ配置された例を示したが、第1のフィンは、少なくともフィンの配列方向の最も外側の端部に一枚ずつ配置されていればよく、適宜2枚以上第1のフィンを配置することができる。また、フィンの配列方向の両端部において、第1のフィンを同じ枚数ずつ配置する必要もなく、一方の端部と他方の端部とで、それぞれ配置される第1のフィンの枚数が異なっていてもかまわない。
【0080】
さらに上記各実施形態において、第2のフィンは、配列方向の両端部を除く中間部分に連続して配置された例を示したが、配列方向の端部に第1のフィンが配置され、配列方向の中間部に第2のフィンが配置されていれば、第2のフィンは必ずしも連続して配置されていなくてもかまわない。例えば、中間部において、第1のフィンと第2のフィンとが複数枚もしくは1枚ずつ交互に配置されていてもよいし、第2のフィンの間に1枚から数枚の第1のフィンが間欠的に配置されていてもよい。さらには、第2のフィンが配列されている部分に、第1のフィンおよび第2のフィンとはその主面形状が異なる、第3のフィンが配置されていてもよい。
【0081】
また、例えば第2のフィンとして、別の構成例の放熱体46として例示したファン側端部の上下方向中間部から下側が湾曲して切り欠かれた形状を用いる場合、フィンの配列方向においてファン側の端部の切り欠きの開始地点を連続的に変化させることができる。このようにすることで、フィンのファンに対向する側の側面にぶつかった冷却風の流れがさらに複雑となり、フィンへの塵埃の付着をより効果的に防止することができる場合がある。
【0082】
上記実施形態では、第2のフィンのファン側の端部を、上端から下端まで連続に形成された傾斜面により構成されたものを図5(b)に、上下方向中間部分から下端まで湾曲面により構成されたものを図6(b)に、また、上端から上下方向の長さが短く形成されている下端である底辺までに形成された傾斜面による構成を図7(b)に示した。しかし、第2のフィンの形状についても上記例示した形状には限られず、第1のフィンの主面形状に対して、ファン側の端部を構成する辺の一部が切り欠かれた構成を第2のフィンの主面形状として、第2のフィンのファン側の端部とファンの排気口の放熱体側端面との間に、下側部分が上側部分よりも大きな間隔を有する構成を実現することができる。
【0083】
例えば、第2のフィンの主面において、上辺のファン側の端部から、下辺に向かって曲線で切り欠きを構成してもよいし、ファン側の端部の上下方向の中間点から、下辺に向かって直線状の切り欠きを設けることもできる。また、直線と曲線とを組み合わせた切り欠き形状を用いることができる。さらに、ファンの排気口の放熱体側端面とフィンのファンに対向する側面との間の間隙は、下側から上側に向かって連続的に小さくなるように変化する必要はなく、全体として下側の間隔が上側の間隔よりも大きくなる構成であればよい。例えば、下辺と上辺との間の中間部分で、第2のフィンのファン側の端部とファンの排気口の放熱体側端面との間隔が変化しない部分が形成されているような、ファン側の端部が段部を構成している主面形状とすることもできる。
【0084】
さらには、第2のフィンの主面形状が、第1のフィンの主面形状を元にしてそのファン側かつ下辺側に切り欠きが構成された形状である必要はなく、第1のフィンのファン側端部がファンの排気口の放熱体側端面に当接していて、第2のフィンのファン側端部とファンの排気口の放熱体側端面との間に、下側部分で大きく上側部分で小さな間隙が形成されていればよい。
【0085】
また、第2のフィンのファン側の端部とファンの排気口の放熱体側端面との間隔が、第2のフィンの下端部側で広がっているものについて説明してきたが、本実施形態の放熱ユニットに用いられる第2のフィンの形状はこれに限られない。例えば、第2のフィンの主面形状を、第2のフィンの上端部において、ファン側の端部と排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成することもできる。
【0086】
さらに、例えば図8(a)に例示する応用例の放熱体65のように、第2のフィン66Bのファン側の端部が、図8に66Bcおよび66Bdとして示すような傾斜面を形成して、上端部と下端部との両方の端部においてファンの排気口との間隔が広がるように形成することができる。なお、図8は、図5、図6、図7と同じく、図8(a)が応用例の放熱体65をファン側から見た斜視図であり、図8(b)が第1のフィン66Aと第2のフィン66Bとの形状を比較することができるように、重ねて示したものである。
【0087】
応用例の放熱体65において、第1のフィン66Aは、図5、図6、図7に示した放熱体のそれぞれの第1のフィンと同じ形状とすることで、ファンの排気口と放熱体65とを確実に固着することができる。また、第2のフィン66Bのファン側端部の上端部と下端部とがファンの排気口の放熱体側端面との間に間隔を形成しているため、放熱体65の上側部材65aと下側部材65bとは、その中央部分が狭く形成されている。
【0088】
応用例の放熱体65のように、第2のフィン66Bの上端部と下端部とに、ファンの開口部の放熱体側端面との間に間隔を形成することで、第2のフィン66Bのファン側の端部の傾斜面66Bcおよび傾斜面66Bdに、ファンからの冷却風に含まれる塵埃が付着しにくくすることができる。なお、図8(b)に示すように、応用例の放熱体の第2のフィン66Bは、第1のフィン66Aのファン側の端部66Aaが、上下方向の中間部の一点66Beから上辺66Baに向かう斜めの切り欠きと、上下方向の中間部の一点66Beから下辺66Bbに向かう斜めの切り欠きとによって、中間部の一点66Beに頂点を有する五角形の形状に形成されている。しかし、第2のフィン66Bのファン側の端部の形状は、上下方向の中間部の一点66Beから始まる切り欠きによって形成されている必要はなく、上下方向の中間部に、第1のフィン66Aのファン側の端部66Aaに重なるような直線部分を有して、この直線部分の上下方向の両端から、上辺66Baと下辺66Bbに向かって切り欠きが形成された全体として六角形状とすることもできる。また、直線状ではなく、曲線状に切り欠いた形状とすることもできる。
【0089】
図8に示した応用例や、第2のフィンの上側部分に切り欠きを設けた形状とすることにより、フィンのファン側の端部が、フィンの上側に向けてファン側端部とファンの排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成されて、フィンのファンに対向する側面において放熱体の上側に向かう気流が生じるため、塵埃を吹き飛ばす効果が生じて、フィンのファンに対向する側面に塵埃が付着することを防止することができる。
【0090】
また、さらに別の形態の放熱体として、フィンの主面が電子機器の使用状態における水平方向に沿って配置された放熱体を用いることもできる。この場合においても、フィンの配列方向、すなわち電子機器の使用状態における上下方向の両端部に第1のフィンが配置され、上下方向の中間部に第2のフィンが配置されることになる。そして、第1のフィンのファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたってファンの排気口の放熱体側端面との間隔が一定となるように形成し、第2のフィンのファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、ファンの排気口の放熱体側端面との距離が広がるように形成することで、フィンのファン側の側面に塵埃が付着することを防止する効果を得ることができる。
【0091】
また、上記説明においては、ファンの排気口の放熱体側の端面と放熱体のファン側側面とが当接する場合について説明してきたが、ファンとフィンとの間に所定の間隙が形成されていてもよい。この場合には、第1のフィンのファン側の端部は、その長さ方向の全長にわたって、文字通りファンの排気口の放熱体側端面との間隔が一定となるように形成されることになる。すなわち、上述してきたファンと放熱体とが当接する場合は、第1のフィンのファン側の端部とファンの排気口の放熱体側端面との間隔が、大きさ0で一定の場合であるということができる。なお、ファンと放熱体の間に間隙が形成される場合には、ファンの排気口と放熱体のファン側の側面との間の間隙の周囲を覆う接続部材を配することで、ファンからの冷却風を無駄なく放熱体に導入することができる。
【0092】
また、上記説明においては、ファンの排気口の放熱体側端面が電子機器の使用状態における上下方向に形成されたものを例示していたが、ファンの排気口の放熱体側端面は、電子機器の使用状態における上下方向に対して所定の角度を持った傾斜面とすることができる。この場合には、このファンの排気口の放熱体側端面の傾斜に対応させて、放熱体のファン側側面を傾斜させて、ファンの排気口の放熱体側端面と放熱体のファン側端面とが重なり合うようにすることが、ファンからの冷却風を効率よく用いるという観点から好ましい。さらに、ファンの排気口の放熱体側端面は、平面ではなく、少なくとも部分的に湾曲した湾曲面とすることができ、この場合には、放熱体のファン側の側面をこの湾曲面とちょうど勘合するような形状とすることができる。
【0093】
さらに、上記説明では、放熱体に、複数のフィンの上端部を接続する上側部材と、下端部を接続する下側部材とを用いる例を示したが、本実施形態の放熱ユニットの放熱体において、上側部材と下側部材とは必須のものではない。また、ファンの排気口の外形形状と、放熱体のファン側の側面形状とは、必ずしも一致した形状とする必要はない。
【0094】
さらに、本実施形態の説明において、放熱体のフィンの配列間隔が、いずれの部分でも均等なものを図示したが、本実施形態の放熱ユニットに用いられる放熱体において、隣り合うフィン同士の間隙の大きさは、均一なものに限らない。
【0095】
以上のように、本実施形態のノートパソコンは、放熱ユニットのファンに隣接して配置された放熱体が、所定の間隙を介してその主面が互いに対向するように配列されたフィンを備え、配列方向の端部に位置する第1のフィンのファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたってファンの排気口の放熱体側端面との間隔が一定となるように形成されているとともに、配列方向の中間部に配置された第2のフィンのファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、ファンの排気口の放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている。このため、ファンの冷却風を無駄なく放熱体内に供給されるようにすることができるとともに、フィンのファンに対向する側面に、冷却風に含まれる塵埃が付着することを防止することができ、高い放熱効率を長期間にわたって確保することができるので、CPUの能力向上などに起因する発熱部品からの発熱量の増大にも十分に対応することができる。
【0096】
なお、上記本実施の形態にかかる電子機器として、本体部に対して内側面に表示デバイスが配置された蓋体が回動可能に固着された形態のノートパソコンを例示して説明したが、本発明の電子機器としてはこのようなノートパソコンに限らず、例えば、タブレット型のパソコンや、携帯電話、携帯用ゲーム機、小型テレビジョン受像器やブルーレイディスプレイヤー、ナビゲーションシステムなどの各種携帯型の電子機器、さらには、デスクトップパソコンや液晶プロジェクタなどの据え置きタイプの各種の電子機器にも使用することができる。
【0097】
また、上記実施形態においては、動作中に発熱する発熱部品としてCPUを例示して示したが、発熱部品はCPUには限られず、ビデオボードなどの画像処理用の半導体チップや二次電池など、その発熱を筐体の外部に放出すべき各種の発熱部品が対象となりうる。
【0098】
さらに、上記実施形態では、CPUからの熱を放熱体に伝達する手段として、ヒートパイプを用いた例を示したが、発熱部品であるCPUに熱伝導性の接着剤を介して直接放熱体を固着することで、発熱部品からの熱を直接的に放熱体に伝達することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明にかかる電子機器は、筐体内の発熱部品からの熱を外部に排出する放熱ユニットとして、ファンからの冷却風を放熱体に導入することができ、放熱体のフィンのファンに対向する辺に塵埃が付着することを防止できるため、高い放熱効果を備えた電子機器として、各種用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 ノートパソコン(電子機器)
20 本体部
20a 筐体
24 CPU(発熱部品)
30 放熱ユニット
31 ファン
35 放熱体
36 フィン
36A 第1のフィン
36B 第2のフィン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作時に発熱する発熱部品を含む電子部品が収容された筐体と、
互いに主面が対向するように所定の間隙を介して配列された複数のフィンを備えた、前記発熱部品からの発熱が伝達される放熱体と、
前記放熱体の前記複数のフィンの間隙に排気口から冷却風を送風するファンとを備え、
前記放熱体の前記複数のフィンは、配列方向の両端部に配置された第1のフィンと配列方向の中間部に配置された第2のフィンとを含み、
前記第1のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の全長にわたって前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が一定となるように形成され、
前記第2のフィンは、前記ファン側の端部が、その長さ方向の少なくとも一方の端部において、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が広がるように形成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記放熱体の前記複数のフィンは、その主面が電子機器の使用状態における上下方向に沿って配置され、
前記第2のフィンの前記ファン側の端部は、電子機器の使用状態における下側部分が前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が広がるように形成されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2のフィンの前記ファン側の端部が、電子機器の使用状態における上端部から下端部にかけて、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が漸次広がる傾斜面により形成されている請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2のフィンの前記ファン側の端部が、電子機器の使用状態における上下方向の中間部分から下端部にかけて、前記排気口の前記放熱体側端面との間隔が漸次広がる湾曲面により構成されている請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1のフィンが、配列方向の両端部に複数枚ずつ配置されている請求項1〜4のいずれかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2のフィンが、前記第1のフィンよりも電子機器の使用状態における上下方向の長さが短く、前記第2のフィンが配置されている部分の前記放熱体の下面側に、前記ファンからの冷却風が通過する空洞部が形成されている請求項2〜5のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−41334(P2013−41334A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176186(P2011−176186)
【出願日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】