説明

電子装置およびその製造方法

【課題】電子部品の両端面の外側にヒートシンクを設けたものを、トランスファーモールド法によって樹脂で封止してなる電子装置において、樹脂封止時における電子部品へのダメージを適切に低減できるようにする。
【解決手段】電子部品10の両端面11、12の外側にヒートシンク20、30を設けてなる一体化部材110を金型100に投入し、樹脂40で封止するようにした電子装置の製造方法において、第1のヒートシンク20の外面22にて、当該外面22の内周部から端面23まで連続して形成された凹部1を設け、樹脂封止工程では、樹脂40を、両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、第1のヒートシンク20の外面22側にも流すことにより、樹脂40を凹部1に充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の両端面の外側にヒートシンクを設けたものを、トランスファーモールド法によって樹脂で封止してなる電子装置、および、そのような電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の電子装置としては、たとえば特許文献1に記載の電子装置が提案されている。このものは、たとえばトランジスタ素子などの電子部品の一方の端面側、当該一方の端面とは反対側の他方の端面側に、ともに電子部品よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク、第2のヒートシンクを設けて、これら両ヒートシンクの対向する内面間に電子部品を挟んだ状態とした一体化部材を形成した後、この一体化部材を金型に投入し、トランスファーモールド法により樹脂で封止してなるものである。
【0003】
ここで、このような電子装置においては、両ヒートシンクの外面は、樹脂より露出させた状態とし、電子部品にて発生する熱を、両ヒートシンクの外面にて放熱するようにしている。つまり、電子部品の両端面にて放熱が行われ、放熱性に優れたものとされている。
【0004】
ここで、図21は、一般的なトランスファーモールド法による樹脂封止工程を示す概略断面図である。図21(a)に示されるように、金型100に、電子部品10および中間部材60が両ヒートシンク20、30にて挟まれた一体化部材110が投入され、図中の白矢印に示されるように、図示しない樹脂が金型100内に注入され流れてくる。
【0005】
このとき、両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、少なくとも一方のヒートシンク20(ここでは上側のヒートシンク20)の外面22側にも樹脂を流すことにより、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、当該少なくとも一方のヒートシンク20の外面22も樹脂で封止する。この場合、当該外面22の樹脂は後工程で削って除去し、当該外面22を樹脂より露出させるのが通常である。
【0006】
ここで、ヒートシンク20の内面21側から加わる樹脂の圧力Fuと外面22側から加わる樹脂の圧力Fdとが均等であればよいが、樹脂の流れ量がアンバランスになると、突発的な樹脂の局所流れにより、ヒートシンク20に、たとえば引っ張り応力が加わり、図21(b)の破線に示されるように、ヒートシンク20が変形する。そして、このヒートシンク20の変形により、電子部品10において応力が発生し、クラックが生じるなど、電子部品10にダメージが加わってしまう。
【0007】
一方で、従来では、特許文献2に記載されているような方法も提案されている。これは、両ヒートシンク間にU字形状の弾性体を設け、樹脂封止時には、両ヒートシンクの外面に金型を密着させて、金型により両ヒートシンクを挟み付けるように力を印加した状態で、トランスファーモールド法により樹脂封止を行うものである。
【0008】
この場合、金型による挟み付けの力を弾性体が緩和することで、当該力による両ヒートシンク間の電子部品へのダメージを抑制している。しかし、U字の弾性体を介する構成としているので、放熱性が悪くなったり、弾性体の変形によって両ヒートシンク間の平行度が悪くなったりするという不具合が生じやすい。
【0009】
そこで、やはり、上述したようなヒートシンクの外面にも樹脂を流す通常のトランスファーモールド法で、樹脂封止を行うことが望ましい。
【0010】
また、近年、SiC、GaNをはじめとする半導体材料が脚光を浴びているが、これらの材料よりなる素子を電子部品として用いる場合、これらは絶縁耐圧が高いことから、素子抵抗成分となる電子部品の厚さを薄くして使うことが、損失を少なくする等の点で効果的である。
【0011】
そのため、電子部品の厚さは、ますます薄くなる傾向にあり、上記した樹脂封止時における電子部品へのダメージの発生が顕著になってくる。それゆえ、当該電子部品のダメージを低減するための対策が、ますます必要となってくる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−124406号公報
【特許文献2】特開2008−227131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、電子部品の両端面の外側にヒートシンクを設けたものを、トランスファーモールド法によって樹脂で封止してなる電子装置において、樹脂封止時における電子部品へのダメージを適切に低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
一体化部材(110)の形成工程では、両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)に、当該外面(22)よりも凹んだ凹部(1)を設けるとともに、当該少なくとも一方のヒートシンク(20)において、凹部(1)を当該ヒートシンク(20)の外面(22)の内周部から当該ヒートシンク(20)の端面(23)まで連続して形成するようにし、
樹脂(40)の封止工程では、金型(100)内にて樹脂(40)を、両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、凹部(1)が設けられているヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すことにより、樹脂(40)によって、電子部品(10)および両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間を封止するとともに、樹脂(40)を凹部(1)に充填するようにしたことを特徴とする。
【0015】
それによれば、樹脂封止時には、凹部(1)が設けられているヒートシンク(20)の外面(21)の端部に樹脂が周り込み、当該外面(22)側からも樹脂(40)による圧力が印加されるので、当該ヒートシンク(20)の内外両面における樹脂(40)の圧力が静水圧となりやすく、ヒートシンク(20)の変形が極力抑制される。そのため、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができる。
【0016】
ここで、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電子装置の製造方法において、凹部(1)を、ヒートシンク(20)の端面(23)のうち電子部品(10)からの距離が最も遠い部位に、少なくとも設けることを特徴とする。
【0017】
ヒートシンク(20)の端面(23)のうち前記電子部品(10)からの距離が最も遠い部位は、樹脂封止時において最も変形の応力が大きくなりやすい部位であるから、当該部位に凹部(1)を設けることは、効果的である。
【0018】
また、請求項3に記載の発明のように、請求項1または請求項2に記載の電子装置の製造方法においては、凹部(1)を設けるヒートシンク(20)を板状のものとし、当該ヒートシンク(20)を外面(22)側から凹まして内面(21)側を薄肉とすることで、凹部(1)を形成するものであり、樹脂(40)を、当該樹脂中にセラミックよりなるフィラーを含有するものとし、凹部(1)の深さは、フィラーの平均粒径の3倍以上の大きさであって、且つ、凹部(1)を設けるヒートシンク(20)の板厚の1/2以下の大きさとすることが好ましい。
【0019】
凹部(1)の深さが、樹脂(40)中のフィラーの平均粒径の3倍未満であると、樹脂封止時に樹脂(40)が凹部(1)に入り込まない。また、凹部(1)の深さがヒートシンク(20)の板厚の1/2よりも大きいと、凹部(1)の底部の板厚が薄くなり、その薄肉部分が樹脂封止時に大きく変形してしまい、電子部品(10)にダメージを与えてしまう。
【0020】
さらに、請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の電子装置の製造方法において、凹部(1)が設けられているヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、この部品接続領域から、当該ヒートシンク(20)の内面(21)に対して45°の角度で当該ヒートシンク(20)の外面(22)まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされており、凹部(1)を放熱領域より外れて位置させるようにしたことを特徴とする。
【0021】
それによれば、ヒートシンク(20)に凹部(1)を設けても、凹部(1)によって放熱性が阻害されることは極力防止される。
【0022】
請求項5に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、前記電子部品(10)の熱を前記両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)には、当該外面(22)よりも凹んだ凹部(1)が設けられており、当該少なくとも一方のヒートシンク(20)において、凹部(1)は当該ヒートシンク(20)の外面(22)の内周部から当該ヒートシンク(20)の端面(23)まで連続して形成されており、樹脂(40)は、電子部品(10)および両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間を封止するとともに、凹部(1)に充填されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の電子装置は、上記請求項1の製造方法により適切に製造し得るものであり、上記同様、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項6に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
一体化部材(110)の形成工程では、電子部品(10)の一方の端面(11)と第1のヒートシンク(20)の内面(21)との間に、熱伝導性を有する中間部材(60)を介在させるとともに、中間部材(60)を、電子部品(10)の一方の端面(11)に設けられた電極(13)、第1のヒートシンク(20)の内面(21)のそれぞれと、はんだ(50)を介して接合するようにし、
さらに一体化部材(110)の形成工程では、電子部品(10)の一方の端面(11)の面積S1と、中間部材(60)の電子部品(10)との接合面の面積S2との比S2/S1を0.55以上としつつ、電極(13)を、中間部材(60)の電子部品(10)との接合面よりも一回り大きく且つ、電子部品(10)の一方の端面(11)よりも一回り小さいものとして、当該電極(13)の外郭全体を当該接合面の外郭よりはみ出させるとともに当該一方の端面(11)の内周に位置させた状態で、はんだ(50)による接合を行い、
樹脂(40)の封止工程では、金型(100)内にて樹脂(40)を、両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すことにより、樹脂(40)によって、電子部品(10)および両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、当該少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)も封止するようにしたことを特徴とする。
【0025】
本発明者の行ったシミュレーションおよび実機確認により、上記面積比b2/a2を0.55以上としつつ、上記した各部の配置状態にてはんだ接合を行えば、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力の低減度合が飽和することが確認されている。つまり、本発明によれば、当該応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができる。
【0026】
ここで、請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の電子装置の製造方法において、中間部材(60)の電子部品(10)との接合面を、電極(13)側に向かって凸とされた曲面形状をなしているものとすることを特徴とする。
【0027】
それによれば、中間部材(60)と電極(13)間のはんだ(50)において、良好なフィレット形状が実現しやすく、安定した接合強度の確保という点で好ましい。
【0028】
請求項8に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、電子部品(10)の熱を両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
電子部品(10)の一方の端面(11)と第1のヒートシンク(20)の内面(21)との間には、熱伝導性を有する中間部材(60)が介在しており、中間部材(60)は、電子部品(10)の一方の端面(11)に設けられた電極(13)、第1のヒートシンク(20)の内面(21)のそれぞれと、はんだ(50)を介して接合されており、
電極(13)は、中間部材(60)の電子部品(10)との接合面よりも一回り大きく、当該電極(13)の外郭全体が当該接合面の外郭よりはみ出しているとともに、電極(13)は、電子部品(10)の一方の端面(11)よりも一回り小さく、当該電極(13)の外郭全体が当該一方の端面(11)の内周に位置しており、電子部品(10)の一方の端面(11)の面積S1と、中間部材(60)の電子部品(10)との接合面の面積S2との比S2/S1が0.55以上であることを特徴とする。
【0029】
本発明の電子装置は、上記請求項6の製造方法により適切に製造し得るものであり、上記同様、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができるという効果を奏する。
【0030】
請求項9に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
一体化部材(110)の形成工程では、両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)に、その内面(21)と外面(22)とを貫通する貫通穴(2)を設け、樹脂(40)の封止工程では、金型(100)内にて樹脂(40)を、両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、貫通穴(2)が設けられているヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すものであり、且つ、両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間の樹脂(40)を、貫通穴(2)を介して、貫通穴(2)が設けられているヒートシンク(20)の外面(22)側に流すようにしたことを特徴とする。
【0031】
それによれば、樹脂封止時には、貫通穴(2)を介してヒートシンク(20)の外面(22)に樹脂(40)が周り込み、当該外面(22)側からも樹脂(40)による圧力が印加されるので、ヒートシンク(20)の内外両面(21、22)における樹脂(40)の圧力が静水圧となりやすく、ヒートシンク(20)の変形が極力抑制される。そのため、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができる。
【0032】
ここで、請求項10に記載の発明では、請求項9に記載の電子装置の製造方法において、貫通穴(2)が設けられているヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、この部品接続領域から、当該ヒートシンク(20)の内面(21)に対して45°の角度で当該ヒートシンク(20)の外面(22)まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされており、貫通穴(2)を放熱領域より外れて位置させるようにしたことを特徴とする。
【0033】
それによれば、ヒートシンク(20)に貫通穴(2)を設けても、貫通穴(2)によって放熱性が阻害されることは極力防止される。
【0034】
さらに、請求項11に記載の発明では、請求項10に記載の電子装置の製造方法において、貫通穴(2)が設けられているヒートシンク(20)において、部品接続領域の端部から貫通穴(2)までの距離Lと、部品接続領域の端部から貫通穴(2)を通って当該ヒートシンク(20)の端部に至る距離Rとの比L/Rを0.25以上とすることを特徴とする。
【0035】
本発明者のシミュレーション結果によれば、当該比L/Rを0.25以上とすれば、樹脂封止時に電子部品(10)に発生する応力を大幅に小さくするという点で好ましい。
【0036】
また、請求項12に記載の発明では、請求項9ないし請求項11のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法において、電子部品(10)を、両ヒートシンク(20、30)の間に複数個設けるものであり、貫通穴(2)が設けられているヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち前記電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、それぞれの電子部品(10)における部品接続領域と貫通穴(2)との距離rを、すべて同一距離に設定することを特徴とする。それによれば、ある1個の電子部品(10)への応力集中を回避しやすい。
【0037】
また、請求項13に記載の発明のように、請求項9ないし請求項12のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法においては、樹脂(40)を、当該樹脂中にセラミックよりなるフィラーを含有するものとし、貫通穴(2)をフィラーの平均粒径の3倍以上の穴径を有するものとすることが好ましい。
【0038】
貫通穴(2)の穴径が樹脂(40)中のフィラーの平均粒径の3倍未満であると、樹脂封止時に樹脂(40)が貫通穴(2)に入り込まないためである。
【0039】
また、請求項14に記載の発明では、請求項9ないし請求項13のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法において、貫通穴(2)を、貫通穴(2)が設けられるヒートシンク(20)の内面(21)側から外面(22)側に向かって穴径が拡がった形状を有するものとすることを特徴とする。
【0040】
それによれば、樹脂封止時において、貫通穴(2)を介してヒートシンク(20)の内面(21)側から外面(22)側へ流れる樹脂(40)の流れを形成しやすく、また、ヒートシンク(20)の外面(22)側から樹脂(40)がヒートシンク(20)を押す力を大きくし易い。
【0041】
請求項15に記載の発明では、電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、電子部品(10)の熱を両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)には、その内面(21)と外面(22)とを貫通する貫通穴(2)が設けられており、樹脂(40)は、電子部品(10)および両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、貫通穴(2)も封止されていることを特徴とする。
【0042】
本発明の電子装置は、上記請求項9の製造方法により適切に製造し得るものであり、上記同様、樹脂封止時においてヒートシンク(20)の変形によって電子部品(10)に発生する応力を極力低減でき、電子部品(10)へのダメージを適切に低減することができるという効果を奏する。
【0043】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図2】上記第1実施形態の電子装置の製造方法のうち樹脂封止工程を示す概略断面図である。
【図3】上記第1実施形態の樹脂封止工程における作用を示す概略断面図である。
【図4】上記第1実施形態の他の例としての第1のヒートシンクの外面を示す概略平面図である。
【図5】上記第1実施形態における凹部の形状のバリエーションを示す概略斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図7】(a)は図6中の電子部品の一方の端面の概略平面図、(b)は図6中の電子部品と中間部材との接合部の拡大図である。
【図8】上記第2実施形態の電子装置の製造方法のうち樹脂封止工程を示す概略断面図である。
【図9】電子部品の電極の1辺の長さbと中間部材の電子部品との接合面の1辺の長さcとの大小関係によるはんだ形状を示す概略断面図である。
【図10】上記第2実施形態において、本発明者が行った応力シミュレーションモデルを示す図である。
【図11】上記第2実施形態における応力シミュレーションの結果を示すグラフである。
【図12】上記第2実施形態の他の例としての電子部品と中間部材との接合部を示す概略断面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る電子装置の概略断面図である。
【図14】上記第3実施形態の電子装置の製造方法のうち樹脂封止工程を示す概略断面図である。
【図15】上記第3実施形態において、本発明者が行った応力シミュレーションモデルを示す図である。
【図16】上記第3実施形態における応力シミュレーションの結果を示すグラフである。
【図17】(a)は上記第3実施形態の他の例としての第1のヒートシンクの外面を示す概略平面図であり、(b)は貫通穴の他の例を示す概略断面図である。
【図18】上記第3実施形態のもう一つの他の例を示す図である。
【図19】上記第3実施形態における貫通穴2形状の他の例を示す概略断面図である。
【図20】上記第3実施形態における貫通穴2形状の他の例を示す概略断面図である。
【図21】一般的なトランスファーモールド法による樹脂封止工程を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0046】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。なお、この図1は、樹脂封止直後の状態を示しているが、最終的には、第1のヒートシンク20の外面22上の樹脂部分40aを削って除去し、当該外面22を樹脂40より露出させるものである。本実施形態の電子装置は、大きくは、電子部品10の両端面11、12の外側にヒートシンク20、30を設けたものを、樹脂40で封止してなる。
【0047】
電子部品10は、シリコンやSiCあるいはGaNなどの半導体よりなる板状の半導体素子であり、その一方の板面(図1中の上面)11、他方の板面(図1中の下面)12をそれぞれ一方の端面11、他方の端面12とするものである。
【0048】
典型的には、電子部品10は、矩形板状の半導体チップとされている。そして、図示しないが、各端面11、12にはアルミなどよりなりはんだ50により接合される電極が設けられている。具体的に、電子部品10としては、MOSトランジスタやIGBTなどのパワー素子などが挙げられる。
【0049】
ヒートシンク20、30は、電子部品10の一方の端面11側に設けられた第1のヒートシンク20と、電子部品10の他方の端面12側に設けられた第2のヒートシンク30とよりなる。
【0050】
これらヒートシンク20、30は、電子部品10にて発生する熱を放熱するものであり、場合によっては、電子部品10の電極としての機能も有するものであるが、たとえばCuやFeなどの熱伝導性に優れた金属等よりなる。
【0051】
これらヒートシンク20、30は、ともに電子部品10の平面サイズ、具体的には、電子部品10の各端面11、12よりも面積が大きい板状のものであり、典型的には矩形板状をなすものである。
【0052】
そして、これらヒートシンク20、30は、電子部品10を挟んで、互いの内側の板面すなわち内面21、31が対向した状態とされており、一方、各外側の板面すなわち外面22、32は放熱面として構成されている。
【0053】
ここで、両ヒートシンク20、30の互いの外面22、32は、互いに平行な状態で配置されている。また、上述したが、第1のヒートシンク20の外面22は、図1の状態から最終的に、当該外面22の外側に位置し当該外面22を被覆する樹脂部分40aを切削などにより除去し、露出されるようになっている。これにより、樹脂より露出する両外面22、32にて放熱が行われるようになっている。
【0054】
ここで、電子部品10の一方の端面11とこれに対向する第1のヒートシンク20の内面21との間に、熱伝導性を有する中間部材60が介在している。そして、中間部材60は、電子部品10の一方の端面11、第1のヒートシンク20の内面21のそれぞれに対して、はんだ50を介して接合されている。
【0055】
この中間部材60は、Cuなどの熱伝導性に優れた材料よりなるもので電子部品10よりも平面サイズが一回り小さい板状をなしている。たとえば両ヒートシンク20、30間においては電子部品10に図示しないワイヤボンディングなどを行うが、この中間部材60はそのワイヤボンディングの高さを確保する等の機能を果たすものである。
【0056】
また、電子部品10の他方の端面12とこれに対向する第2のヒートシンク30の内面31とは、はんだ50を介して接合されている。これらはんだ50としては、一般的な共晶はんだ、Pbフリーはんだなどが採用される。
【0057】
これにより、本電子装置においては、電子部品10からの熱は、一方の端面11側では中間部材60を介して第1のヒートシンク20へ流れるとともに、他方の端面12側では第2のヒートシンク30へ流れるようになっている。そして、両ヒートシンク20、30の外面22、32にて放熱が行われるようになっている。なお、ヒートシンク20、30が電極としても機能する場合には、電気信号も、上記熱の流れと同様に、電子部品10と各ヒートシンク20、30との間を流れる。
【0058】
さらに、本実施形態では、図1に示されるように、両ヒートシンク20、30のうち第1のヒートシンク20の外面22には、当該外面22よりも凹んだ凹部1が設けられている。ここで、第1のヒートシンク20において、凹部1は第1のヒートシンク20の外面22の内周部から第1のヒートシンク20の端面23まで連続して形成されている。
【0059】
具体的には、凹部1は、後述する図5(a)〜(d)に示されるように、第1のヒートシンク20の端面23に開口し、第1のヒートシンク20の端面23から第1のヒートシンク20の内周側に向かって連続して形成されている。
【0060】
このような凹部1は、板状の第1のヒートシンク20をその外面22側から、エッチングや切削などによって凹まして内面21側を薄肉とすることで、形成されるものである。つまり、ここでは凹部1はヒートシンク20の薄肉部として構成されている。
【0061】
なお、それ以外にも、たとえば第1のヒートシンク20をその外面22側からプレスして凹ませるようにしてもよい。この場合、第1のヒートシンク20のうち凹部1の位置においては、第1のヒートシンク20の内面21側は外面22側の凹部1に対応した凸部が形成されたものとなる。
【0062】
ここで、図1において、樹脂40は、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間を封止するとともに、第1のヒートシンク20の外面22を薄く被覆しつつ凹部1に充填されている。また、第2のヒートシンク30の外面32は樹脂40より露出している。
【0063】
この樹脂40は、一般的なモールド樹脂材料であり、たとえばエポキシ樹脂などの樹脂中に、アルミナやシリカなどのセラミックよりなるフィラーを含有させたものである。ここで、当該フィラーは、樹脂40の線膨張係数を調整するために含有されるものである。そして、この樹脂40はトランスファーモールド法により成型されるものである。
【0064】
ここで、上述したように、第1のヒートシンク20の外面22の外側の樹脂部分40aは、最終的に除去される。なお、この樹脂部分40aは、当該除去を容易にするため、両ヒートシンク20、30の内面21、31間の樹脂40の厚さよりも大幅に薄いものとされている。
【0065】
そして、当該除去後の状態では、第1のヒートシンク20の外面22は樹脂40より露出した状態とされるが、凹部1には樹脂40が充填された状態となる。具体的には、凹部1に充填された樹脂40と第1のヒートシンク20の外面22とが同一平面とされる。
【0066】
また、凹部1は、第1のヒートシンク20の端面23に設けられているものであるが、第1のヒートシンク20の端面23のうち電子部品10からの距離が最も遠い部位に、少なくとも設けることが望ましい。
【0067】
たとえば、第1のヒートシンク20が長方形板状のものである場合、その中央部に電子部品10を接合したとしても、第1のヒートシンク20の長辺方向と短辺方向とでは、電子部品10から第1のヒートシンク20の端面23までの距離が相違する。そのようなときには、少なくとも長辺方向にて隔てられた端面23に、凹部1を設けることが望ましいということである。
【0068】
また、本実施形態の電子装置においては、樹脂40は、当該樹脂40中にセラミックよりなるフィラーを含有するものとされているが、凹部1の深さd(図1参照)は、当該フィラーの平均粒径の3倍以上の大きさであって、且つ、第1のヒートシンク20の板厚の1/2以下の大きさとすることが望ましい。ここで、フィラーの平均粒径の範囲は、平均値の±30%の範囲とする。
【0069】
また、凹部1が設けられている第1のヒートシンク20において、その内面21のうち電子部品10が接続されている領域を部品接続領域とする。ここでは、第1のヒートシンク20の内面21と電子部品10とは、中間部材60を介して間接的に接続されており、第1のヒートシンク20の内面21における部品接続領域とは、この中間部材60がはんだ50を介して接触する領域、すなわち中間部材60を第1のヒートシンク20の内面21に投影した領域である。
【0070】
そして、図1に示されるように、第1のヒートシンク20においては、この部品接続領域から、第1のヒートシンク20の内面21に対して45°の角度で第1のヒートシンク20の外面22まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされている。図1では、第1のヒートシンク20の内面21と角度θ=45°をなす一点鎖線Kが2本示されており、この2本の一点鎖線Kの間に位置する領域が放熱領域である。
【0071】
そして、本実施形態では、第1のヒートシンク20において、凹部1は、放熱領域より外れて位置していることが望ましい。なお、第1のヒートシンク20における放熱領域とは、電子部品10からの熱が流れる主経路であり、電子部品10で発生する熱のほとんどは、この放熱領域内を通って外面22へ流れていくものである。
【0072】
次に、図2も参照して、本実施形態の電子装置の製造方法について述べる。図2は、本製造方法のうち樹脂40による封止工程を示す概略断面図である。
【0073】
まず、電子部品10の一方の端面11側に中間部材60および第1のヒートシンク20をはんだ接合し、他方の端面12側に第2のヒートシンク30をはんだ接合する。これにより、両ヒートシンク20、30の対向する内面21、31間に電子部品10を挟んだ状態とした一体化部材110、つまり、上記図1の構成において樹脂40を省略した構造の一体化部材110を形成する。
【0074】
ここで、本実施形態の製造方法では、この一体化部材110の形成工程において、第1のヒートシンク20の外面22に、当該外面22の内周部から端面23まで連続して形成された凹部1を設ける。
【0075】
次に、図2に示されるように、この一体化部材110を金型100に投入する。この金型100は、この種の電子装置のトランスファーモールド法に用いられる一般的なもので、上型101と下型102とを合致させ、これら上下型101、102の間に樹脂40の外形に応じた空間形状を有するキャビティを形成するものである。
【0076】
この金型100に一体化部材110を投入した状態においては、当該キャビティ内にて、第2のヒートシンク30の外面32は下型102に密着し、第1のヒートシンク20の外面21は、上型101とは隙間を有している。また、この一体化部材110は、図示しないリード部や押さえ部材等により金型100に固定される。
【0077】
こうして、一体化部材110を金型100に投入した後、これをトランスファーモールド法により樹脂40で封止する。本実施形態の樹脂封止工程では、金型100内にて樹脂40を、両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、凹部1が設けられている第1のヒートシンク20の外面22側にも流す。
【0078】
それにより、樹脂40によって、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間が封止されるとともに、樹脂40は凹部1に充填される。つまり、この樹脂封止工程後は、樹脂40によって、一体化部材110は、上記図1に示した状態にて封止される。
【0079】
ここで、図3は、本実施形態の製造方法の樹脂封止工程における作用を示す概略断面図である。上記図2に示されるように、金型100内において、両ヒートシンク20、30の内面21、31間の間隔は、第1のヒートシンク20の外面22と上型101との隙間よりも大きいので、第1のヒートシンク20については外面22側よりも内面21側の方が、樹脂40が流れやすいものとなっている。
【0080】
ここで、本製造方法では、第1のヒートシンク20の外面22に、端面23に開口する凹部1を設けているから、この凹部1の位置では、第1のヒートシンク20と上型101との間隔は広くなる。そのため、図3に示されるように、第1のヒートシンク20に向かって流れてくる樹脂40は、外面22側の凹部1に入り込みやすくなる。
【0081】
こうして、両ヒートシンク20、30の内面21、31間および凹部1に樹脂40が入り込むと、第1のヒートシンク20に対して、樹脂40が内面21を押す力Fdおよび外面22を押す力Fdが加わる。
【0082】
そして、凹部1の位置では、凹部1に比較的樹脂40が入り込みやすいため、内面21側と外面22側とで樹脂40の流れ量のアンバランスを低減でき、これら両力Fu、Fdの差を極力小さくできる。そのため、第1のヒートシンク20の内外両面21、22における樹脂40の圧力が静水圧平衡の状態となりやすい。
【0083】
また、この凹部1は、第1のヒートシンク20の端面23、すなわち、変形の大きくなりがちなヒートシンクの端部に設けられ、その端部にて静水圧平衡を実現するので、第1のヒートシンク20の変形は極力防止される。
【0084】
こうして、本実施形態の樹脂封止工程によれば、樹脂封止時においてヒートシンク20の変形によって電子部品10に発生する応力を極力低減でき、電子部品10へのダメージを適切に低減することができる。そして、電子部品10におけるクラックの発生を防止することができる。
【0085】
ここで、上記製造方法の一体化部材110の形成工程においては、上記構成にも述べたように、凹部1を、当該凹部1が設けられる第1のヒートシンク20の端面23のうち電子部品10からの距離が最も遠い部位に、少なくとも設けることが望ましい。
【0086】
第1のヒートシンク20の端面23のうち電子部品10からの距離が最も遠い部位は、樹脂封止時において最も変形の応力が大きくなりやすい部位であるから、当該部位に凹部1を設けることは、効果的である。
【0087】
また、上記製造方法の一体化部材110の形成工程においては、上記構成にも述べたように、凹部1の深さを、樹脂40中に含有されるフィラーの平均粒径の3倍以上の大きさであって、且つ、板状である第1のヒートシンク20の板厚の1/2以下の大きさとすることが望ましい。
【0088】
凹部1の深さが当該フィラーの平均粒径の3倍未満であると、樹脂封止時に樹脂40が凹部1に入り込まない。このことは、実機で確認している。また、凹部1の深さが、第1のヒートシンク20の板厚の1/2よりも大きいと、凹部1の底部の板厚が薄くなり、その薄肉部分が樹脂封止時に大きく変形してしまい、電子部品10にダメージを与えてしまう。それゆえ、凹部1の深さは上記範囲が望ましい。
【0089】
上記製造方法の一体化部材110の形成工程においては、上記構成にも述べたように、凹部1を第1のヒートシンク20における放熱領域より外れて位置させることが望ましく、それによれば、第1のヒートシンク20に凹部1を設けても、凹部1によって放熱性が阻害されるのを防止できる。
【0090】
図4は、本第1実施形態の他の例としての第1のヒートシンク20の外面22を示す概略平面図である。この例では、第1のヒートシンク20の内面21側にて、3個の電子部品が中間部材60を介してはんだ接合されている。
【0091】
このように、両ヒートシンク20、30間に挟まれる電子部品10は1個に限定されず、複数個でもよい。なお、図4では、個々の電子部品について第1のヒートシンク20の外面22に現れている放熱領域、および、中間部材60を破線にて示してある。また、図4では、第1のヒートシンク20の外面22における凹部1は省略されているが、この凹部1としては、たとえば後述する図5(a)、(b)に示されるようなものにできる。
【0092】
図5は、本第1実施形態において第1のヒートシンク20の外面22に設ける凹部1の形状のバリエーションを示す概略斜視図である。図5において(a)、(b)は、複数個の電子部品を有するものであって、放熱面積が比較的小さくてもよい場合を示している。この場合、個々の電子部品について、比較的小さな放熱面を確保すればよく、それ以外は凹部1とすればよい。
【0093】
また、図5(c)、(d)は、放熱面積が比較的大きいものとする必要がある場合を示している。この場合、第1のヒートシンク20の外面22のうち樹脂封止時に変形の力が最も大きくなる端部およびその周辺のみに、凹部1を設けている。
【0094】
なお、図5に示されるように、凹部1は、第1のヒートシンク20の端面23の全周に設けられたものでなくてもよく、たとえば平面矩形の第1のヒートシンク20において外面22の四隅部のみ、あるいは、各辺の中間部にのみ設けたものであってもよい。
【0095】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。図7(a)は図6中の電子部品10の一方の端面11の概略平面図、(b)は図6中の電子部品10と中間部材60との接合部の拡大図である。
【0096】
本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、第1のヒートシンク20に凹部1を設けず、その代わりに電子部品10と中間部材60との接合部構成を工夫することによって、樹脂封止時における電子部品10へのダメージを適切に低減するようにしたことが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0097】
図6および図7に示されるように、本実施形態の電子装置においても、電子部品10の一方の端面11と第1のヒートシンク20の内面21との間には、熱伝導性を有する中間部材60が介在している。そして、中間部材60は、電子部品10の一方の端面11に設けられた電極13、第1のヒートシンク20の内面21のそれぞれと、はんだ50を介して接合されている。
【0098】
この電子部品10の電極13はアルミニウムなどよりなり、はんだ50との接合性を確保するために必要に応じてメッキ処理が施されたものであり、一般的な半導体素子における電極と同様のものである。
【0099】
ここで、図7に示されるように、電極13は、中間部材60の電子部品10との接合面よりも一回り大きく、電極13の外郭全体が当該接合面の外郭よりはみ出している。また、電極13は、電子部品10の一方の端面11よりも一回り小さく、電極13の外郭全体が当該一方の端面11の内周に位置している。
【0100】
また、本実施形態では、電子部品10の一方の端面11の面積S1と、中間部材60の電子部品10との接合面の面積S2との比S2/S1が0.55以上とされている。
【0101】
ここで、これら電子部品10の一方の端面11、電極13、中間部材60の電子部品10との接合面の三者の平面形状は、上記したサイズ・面積および互いの配置関係を満足しているものであれば、特に限定するものではなく、矩形、円形、その他の多角形あるいは不定形などであってもよい。典型的には、これら三者は矩形をなしているものであり、図示例においては、当該三者を正方形としている。
【0102】
ここでは、電子部品10の一方の端面11は1辺の長さaの正方形とされ、中間部材60の電子部品10との接合面は1辺の長さbの正方形とされ、電子部品10の電極12は1辺の長さcの正方形とされている。
【0103】
そして、電子部品10の一方の端面11よりも電極13の方が一回り小さく、さらに電極13よりも中間部材60の電子部品10との接合面の方が一回り小さく、これら三者の1辺の長さはa>c>bの関係にある。また、電子部品10の一方の端面11の面積S1はaであり、中間部材60の電子部品10との接合面の面積S2はbである。
【0104】
次に、図8も参照して、本第2実施形態の電子装置の製造方法について述べる。図8は、本製造方法のうち樹脂40による封止工程を示す概略断面図である。
【0105】
まず、上記同様、一体化部材110の形成工程では、電子部品10の一方の端面11側に中間部材60および第1のヒートシンク20をはんだ接合し、他方の端面12側に第2のヒートシンク30をはんだ接合することにより、上記図6の構成において樹脂40を省略した構造の一体化部材110を形成する。
【0106】
ここで、本実施形態の製造方法では、この一体化部材110の形成工程において、電子部品10の一方の端面11と第1のヒートシンク20の内面21との間に、中間部材60を介在させるとともに、中間部材60を、電子部品10の電極13、第1のヒートシンク20の内面21のそれぞれと、はんだ50を介して接合する。
【0107】
さらに、本実施形態では、電子部品10および中間部材60として、電子部品10の一方の端面11の面積S1と、中間部材60の電子部品10との接合面の面積S2との比S2/S1が、0.55以上とされ、且つ、電極13が、中間部材60の電子部品10との接合面よりも一回り大きく且つ、電子部品10の一方の端面11よりも一回り小さいものを用意する。
【0108】
そして、一体化部材10の形成工程では、上記面積比S2/S1を0.55以上としつつ、電極13の外郭全体を、中間部材60の電子部品10との接合面の外郭よりはみ出させるとともに電子部品10の一方の端面11の内周に位置させた状態で、はんだ50による接合を行う。こうして、一体化部材110を形成する。
【0109】
次に、図8に示されるように、この一体化部材110を金型100に投入する。この金型100は、上記同様一般的なもので、上型101と下型102とを合致させ、これら上下型101、102の間に樹脂40の外形に応じた空間形状を有するキャビティを形成するものである。
【0110】
そして、上記第1実施形態と同様の状態で、一体化部材110を金型100に投入し、金型100に固定した後、これをトランスファーモールド法により樹脂40で封止する。本実施形態の樹脂封止工程においても、金型100内にて樹脂40を、両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、第1のヒートシンク20の外面22側にも流すようにする。
【0111】
それにより、図6に示されるように、樹脂40によって、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間が封止されるとともに、第1のヒートシンク20の外面22も薄い樹脂部分40aにより被覆・封止される。
【0112】
こうして、図6に示される電子装置ができあがる。なお、この後、本実施形態においても、第1のヒートシンク20の外面22の外側の樹脂部分40aは、切削などにより除去され、当該外面22は樹脂40より露出される。
【0113】
ところで、本実施形態の電子装置および電子装置の製造方法によれば、電子部品10の一方の端面11、電極13、中間部材60の電子部品10との接合面の三者の平面形状を、上記したサイズ・面積および互いの配置関係を満足しているものとすることで、樹脂封止時においてヒートシンク20の変形によって電子部品10に発生する応力を極力低減でき、電子部品10へのダメージを適切に低減することができる。
【0114】
次に、本実施形態における上記したサイズ・面積および互いの配置関係の根拠について、述べていく。
【0115】
まず、電極13が、中間部材60の電子部品10との接合面よりも一回り大きく且つ、電子部品10の一方の端面11よりも一回り小さいものとすること、すなわち、本実施形態の図示例では、いずれも矩形状を成す電子部品10の一方の端面11の1辺の長さa、電極13の1辺の長さb、中間部材60の電子部品10との接合面の1辺の長さcについて、a>c>bとすることの根拠を述べる。
【0116】
まず、a>cについては、電子部品10の一方の端面11よりも電極13の方が大きくなることは現実にありえず、一般的な構成においてもこのような関係とされている。そこで、b<cの根拠について図9を参照して述べる。
【0117】
図9は、電極13の1辺の長さbと、中間部材60の電子部品10との接合面の1辺の長さcとの大小関係によるはんだ50形状を示す概略断面図であり、(a)は、電極13の1辺の長さbの方が中間部材60の電子部品10との接合面の1辺の長さcよりも大きい、b>cの場合、(b)は、電極13の1辺の長さbの方が中間部材60の電子部品10との接合面の1辺の長さcよりも小さい、b<cの場合を示している。
【0118】
図9(a)に示されるように、b>cの場合には、電極13側のはんだ50がえぐれた状態となるため、接合信頼性に乏しいものとなるが、図9(b)に示されるように、b<cの場合には、はんだ50において、中間部材60の電子部品10との接合面側から電極13側に向かって裾拡がり形状となって、良好なフィレットが形成され、接合信頼性に優れたものとなる。そのため、本実施形態ではb<cとする。
【0119】
次に、上記した電子部品10の一方の端面11の面積S1と、中間部材60の電子部品10との接合面の面積S2との比S2/S1を、0.55以上とすることの根拠について、述べる。
【0120】
はんだ接合される電子部品10の一方の端面11と中間部材60の電子部品10との接合面とで、その平面形状を同一形状・同一サイズとすれば、電子部品10の変形を防止できる。しかし、そのようにすることは、電子部品10の一方の端面11に電極13を設けたりすること等から、構成上、不可能であり、必然的に電子部品10の一方の端面11の方が中間部材60の電子部品10との接合面よりも大きくなる。
【0121】
そうすると、電子部品10の一方の端面11の周辺部は、上記図7に示されるように、中間部材60の上記接合面よりもはみ出す形となる。そして、このはみ出している部位は中間部材60にはんだ付けされていない部位であり、樹脂封止工程における第1のヒートシンク20の変形によって、このはみ出している部位が変形し、クラックが発生しやすい。
【0122】
そこで、本発明者は、この電子部品10の一方の端面11の周辺部におけるはみ出し幅を極力小さくする、すなわち、第1のヒートシンク20の変形による電子部品10の曲げ代を小さくしてやれば、電子部品10に発生する応力が小さくなると考えた。
【0123】
そこで、この考えに基づいて、電子部品10の一方の端面11の面積S1と中間部材60の電子部品10との接合面の面積S2とを、電子部品10へのダメージが問題無いものとなる程度まで近いものにすることに着目して、シミュレーションを行い、その結果に基づいて、本実施形態を創出したのである。
【0124】
そのシミュレーションについて述べる。図10は、本発明者が行った応力シミュレーションモデルを示す図である。この図10に示されるような2次元モデルに基づいて応力シミュレーションを行った。
【0125】
ここでは、両ヒートシンク20、30の内面21、31間の全体に樹脂40が充填され、第1のヒートシンク20の外面22側には樹脂40が存在しない条件とした。この条件は、第1のヒートシンク20は、電子部品10との接合部を固定端、第1のヒートシンク20の端部を自由端として変形することから、最も第1のヒートシンク20が変形しやすい条件である。
【0126】
この場合、電子部品10においては、図10に示されるP1点、すなわち、電子部品10の一方の端面11のうち中間部材60の接合面の端部が位置する部位P1が、最大応力となる。そして、上記面積比S2/S1を変えていったときの当該P1点における最大主応力の変化について、シミュレーションにより求めた。
【0127】
図11は、そのシミュレーション結果を示すグラフである。ここでは、上記面積比S2/S1は%で示し、最大主応力は面積比S2/S1が25%のときの値を1と規格化して示している。
【0128】
図11に示されるように、面積比S2/S1が大きくなるにつれて最大主応力が低減しているが、面積比S2/S1が50%あたりから、その応力低減の度合が飽和している。また、面積比S2/S1が55%以上のものについては、実機で確認した。
【0129】
この実機の確認については、具体的には、樹脂封止前後で、装置特性を測定したところ、面積比S2/S1が55%以上では装置特性に変化はなく使用に問題無かったのに対し、面積比S2/S1が50%以下のものでは、装置特性が大きく変わってしまい使用不能になってしまった。
【0130】
このように、本発明者が行ったシミュレーションおよび実機試験により、上記面積比S2/S1は55%以上であれば、問題無いことが確認された。
【0131】
ここで、図12は本第2実施形態の他の例としての電子部品10と中間部材60との接合部を示す概略断面図である。図12に示されるように、中間部材60の電子部品10との接合面を、電極13側に向かって凸とされた曲面形状をなしているものとすることが望ましい。
【0132】
具体的には、中間部材60の電子部品10との接合面を、中央部を頂部とする凸レンズ形状の面とすればよい。そうすれば、はんだ50の表面張力によって、中間部材60側と電極13側の両方において、良好なフィレット形状が実現しやすく、安定した接合強度の確保が期待できる。
【0133】
なお、この第2実施形態に上記第1実施形態を組み合わせてもよい。つまり、本第2実施形態のように、電子部品10および中間部材60における上記サイズ・面積および互いの配置関係を満足しつつ、さらに上記した凹部1をヒートシンク20に設けた構成を採用してもよい。
【0134】
(第3実施形態)
図13は、本発明の第3実施形態に係る電子装置の概略断面構成を示す図である。本実施形態は、上記第1実施形態に比べて、第1のヒートシンク20に、凹部1の代わりに貫通穴2を設けて、樹脂封止時に静水圧平衡を実現することによって、樹脂封止時における電子部品10へのダメージを適切に低減するようにしたことが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。
【0135】
図13に示されるように、本実施形態では、両ヒートシンク20、30のうち第1のヒートシンク20の外面22に、その内面21と外面22とを貫通する貫通穴2が設けられている。このような貫通穴2はプレス、エッチング、切削などにより形成されるもので、開口形状は、丸穴でも楕円、四角などの多角形の穴でもよい。
【0136】
そして、図13に示されるように、樹脂40は、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間を封止するとともに、第1のヒートシンク20の外面22を薄く被覆しつつ貫通穴2に充填されている。また、第2のヒートシンク30の外面32は樹脂40より露出している。
【0137】
そして、この場合も、第1のヒートシンク20の外面22の外側の樹脂部分40aは、最終的に除去され、当該除去後の状態では、第1のヒートシンク20の外面22は樹脂40より露出した状態とされるが、貫通穴2には樹脂40が充填された状態となる。
【0138】
また、本実施形態においても、第1のヒートシンク20において、その内面21のうち電子部品10が接続されている領域を部品接続領域としており、ここでは、中間部材60がはんだ50を介して接触する領域が、部品接続領域とされている。
【0139】
そして、第1のヒートシンク20において、部品接続領域から内面21に対して45°の角度で外面22まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされているが、貫通穴2は、この放熱領域から外れて位置していることが望ましい。また、貫通穴2は、樹脂40中のフィラーの平均粒径の3倍以上の穴径を有するものが望ましい。
【0140】
次に、図14も参照して、本第3実施形態の電子装置の製造方法について述べる。図14は、本製造方法のうち樹脂40による封止工程を示す概略断面図である。
【0141】
まず、上記同様、一体化部材110の形成工程では、電子部品10の一方の端面11側に中間部材60および第1のヒートシンク20をはんだ接合し、他方の端面12側に第2のヒートシンク30をはんだ接合することにより、上記図6の構成において樹脂40を省略した構造の一体化部材110を形成する。
【0142】
ここで、本実施形態の製造方法では、この一体化部材110の形成工程において、第1のヒートシンク20に貫通穴2を設ける。
【0143】
そして、次に、図14に示されるように、この一体化部材110を金型100に投入する。この金型100は、上記同様一般的なもので、上型101と下型102とを合致させ、これら上下型101、102の間に樹脂40の外形に応じた空間形状を有するキャビティを形成するものである。
【0144】
そして、上記第1実施形態と同様の状態で、一体化部材110を金型100に投入し、金型100に固定した後、これをトランスファーモールド法により樹脂40で封止する。本実施形態の樹脂封止工程においても、金型100内にて樹脂40を、両ヒートシンク20、30の内面21、31間だけでなく、第1のヒートシンク20の外面22側にも流すようにする。
【0145】
また、本樹脂封止工程では、第1のヒートシンク20に貫通穴2が設けられているので、さらに、図14に示されるように、両ヒートシンク20、30の内面21、31間の樹脂40は、貫通穴2を介して、第1のヒートシンク20の外面22側に流れ出る。
【0146】
こうして、樹脂封止工程の後には、本実施形態においても、図13に示されるように、樹脂40によって、電子部品10および両ヒートシンク20、30の内面21、31間が封止されるとともに、貫通穴2が充填され、第1のヒートシンク20の外面22も薄い樹脂部分40aにより被覆・封止される。
【0147】
こうして、図13に示される本実施形態の電子装置ができあがる。なお、この後、本実施形態においても、第1のヒートシンク20の外面22の外側の樹脂部分40aは、切削などにより除去され、当該外面22は樹脂40より露出される。
【0148】
ところで、本実施形態の電子装置および電子装置の製造方法によれば、樹脂封止時には、貫通穴2を介して第1のヒートシンク20の外面22に樹脂40が周り込み、当該外面22側からも樹脂40による圧力が印加されるので、第1のヒートシンク20の内外両面21、22における樹脂40の圧力が静水圧となりやすく、ヒートシンク20の変形が極力抑制される。
【0149】
つまり、本実施形態では、樹脂封止の初期段階において、両ヒートシンク20、30の内面21、31側に流れやすくなっている樹脂40を、貫通穴2を介して第1のヒートシンク20の外面22側に掃き出させることで、第1のヒートシンク20の内外両面21、22の樹脂40の充填性を確保する機構とされているのである。
【0150】
それにより、本実施形態の樹脂封止工程では、両ヒートシンク20、30の内面21、31間が樹脂40で封止されるとともに、当該内面21、31間の余剰の樹脂40が、貫通穴2を通って第1のヒートシンク20の外面22側にも流れだす。
【0151】
そのため、第1のヒートシンク20の内面21側に比べて元来流れにくい外面22側の樹脂40の流れ量は、貫通穴2から流れ出てくる樹脂40の分により補充されるので、第1のヒートシンク20の内外両面21、22の樹脂圧を静水圧平衡の状態とすることができるのである。
【0152】
よって、本第3実施形態によっても、樹脂封止時においてヒートシンク20の変形によって電子部品10に発生する応力を極力低減でき、電子部品10へのダメージを適切に低減することができる。そして、電子部品10におけるクラックの発生を防止することができる。
【0153】
ここで、上記製造方法の一体化部材110の形成工程においては、上記構成にも述べたように、貫通穴2を放熱領域より外れて位置させることが望ましい。そうすれば、ヒートシンク20に貫通穴2を設けても、貫通穴2によって放熱性が阻害されることは極力防止できるという利点がある。
【0154】
また、上記製造方法においては、上記構成にも述べたように、貫通穴2を樹脂40中のフィラーの平均粒径の3倍以上の穴径を有するものとすることが望ましい。貫通穴2の穴径がフィラーの平均粒径の3倍未満であると、樹脂封止時に樹脂40が貫通穴2に入り込まない。このことは、実機で確認している。たとえばフィラーの平均粒径は0.06mm程度であり、その場合、貫通穴2の穴径は0.2mm程度とされる。
【0155】
また、図15は、本第3実施形態において、貫通穴2の位置による電子部品10の発生応力について行ったシミュレーションのモデルを示す図である。この図15に示されるような2次元モデルに基づいて応力シミュレーションを行った。
【0156】
このシミュレーションの条件は、上記第2実施形態(図10参照)と同様、両ヒートシンク20、30の内面21、31間の全体に樹脂40が充填され、第1のヒートシンク20の外面22側には樹脂40が存在しない条件、すなわち、最も第1のヒートシンク20が変形しやすい条件とした。そして、この場合も、P1点が最大応力となる。
【0157】
このとき、第1のヒートシンク20における部品接続領域の端部から貫通穴2の中心部までの距離Lと、当該部品接続領域の端部から貫通穴2を通って第1のヒートシンク20の端部に至る距離Rとの比L/Rを変えて、P1点における最大主応力を求めていった。つまり、距離Rは、部品接続領域の端部を起点として貫通穴2を通る第1のヒートシンク20の長さである。
【0158】
図16にそのシミュレーション結果を示す。ここでは、貫通穴2が無い場合の最大主応力を1と規格化している。この2次元モデルにおいてヒートシンク20を変形させるトルクは、距離L×力であり、距離Lが大きくなるほど当該トルクも大きくなるため、貫通穴2までの距離Lが大きいほど、つまり、上記比L/Rが大きいほど、当該トルクの低減効果は大きくなる。
【0159】
つまり、貫通穴2が第1のヒートシンク20の端部よりも内周であって当該端部に近い位置にあるほど、P1点での最大主応力は小さくなる。ここでは、図16に、穴位置の影響として示されるように、上記比L/Rが25%以上にて応力低減度合が飽和する傾向にあることが確認された。この結果から、樹脂封止時に電子部品10に発生する応力を大幅に小さくするためには、当該比L/Rを0.25以上とすることが望ましい。
【0160】
また、図15と同じモデルを用いたシミュレーションによって、上記距離Rと貫通穴2の直径φとの比φ/Rを変えていき、P1点での応力を求めた。図16には、その比φ/Rと当該応力との関係も、穴サイズの影響として示されている。
【0161】
貫通穴2の径が大きいほど、貫通穴2を介した樹脂40の流れ出しが容易になるため、比φ/Rが大きくなるほど、上記応力が小さくなる傾向にあることが、図16において確認されている。
【0162】
ここで、図17(a)は本第3実施形態の他の例としての第1のヒートシンク20の外面22を示す概略平面図であり、図17(b)は貫通穴2の他の例を示す概略断面図である。図17(a)の例は、両ヒートシンク20、30間に電子部品を複数個介在させたものである。
【0163】
なお、図17(a)では、3個の電子部品の例を示しているが、個々の電子部品について、第1のヒートシンク20の内面21における部品接続領域、すなわち中間部材60の外形を破線にて示してある。
【0164】
ここで、図17(a)に示されるように、各電子部品10における部品接続領域と貫通穴2との距離rを、すべて同一距離に設定することが望ましい。これは、ヒートシンク20を変形させるトルクが当該距離rによって変わるためであり、各距離rを同一にすれば、ある1個の電子部品10への応力集中を回避しやすくなる。
【0165】
また、図17(b)に示されるように、貫通穴2は複数個のものが集合体として存在する構成であってもよく、具体的には、図17(a)中の1個の貫通穴2を、図17(b)の集合体で置き換えるようにしてもよい。ただし、集合体における1個の貫通穴2の穴径は上記したように、樹脂40中のフィラーの平均粒径の3倍以上の穴径を有するものが望ましい。
【0166】
図18は、本第3実施形態のもう一つの他の例を示す図である。上記図17(a)では、3個の電子部品の例であったが、この図18に示されるように、電子部品10は2個であってもよい。
【0167】
さらに、図示しないが、貫通穴2が1個のみであり、この1個の貫通穴2を挟んで2個の電子部品10の部品接続領域が存在する場合、この1個の貫通穴2に対して2個の部品接続領域が等距離にあることが望ましい。
【0168】
図19は、本第3実施形態における貫通穴2形状の他の例を示す概略断面図である。本実施形態においては、貫通穴2を、貫通穴2が設けられる第1のヒートシンク20の内面21側から外面22側に向かって穴径が拡がった形状を有するものとすることが望ましい。
【0169】
それによれば、樹脂封止時において、貫通穴2を介して第1のヒートシンク20の内面21側から外面22側へ流れる樹脂40の流れを形成しやすく、また、第1のヒートシンク20の外面22側から樹脂40が第1のヒートシンク20を押す力Fdを大きくし易いという利点がある。
【0170】
ここで、図19に示されるように、貫通穴2は、第1のヒートシンク20の外面22側に向けて拡がっているが、この拡がっている部分も、放熱領域から外れた位置にあることが望ましい。
【0171】
また、図20も、第3実施形態における貫通穴2形状の他の例を示す概略断面図である。図20において(a)は上記図19の貫通穴2と同じものであるが、それ以外にも(b)に示されるように、テーパ状に拡がるものや、(c)に示されるように、外面22寄りの部位のみ拡がった漏斗状をなすものであってもよい。
【0172】
また、上記凹部1の場合と同様、本第3実施形態においても、貫通穴1を、第1のヒートシンク20のうちその端面23と電子部品10からの距離が最も遠くなる部位に、少なくとも設けることが望ましい。この第1のヒートシンク20のうち端面23と電子部品10との距離が最も遠い部位は、樹脂封止時において最も変形の応力が大きくなりやすい部位であるから、当該部位に貫通穴2を設けることは、効果的である。
【0173】
なお、この第3実施形態に上記第2実施形態を組み合わせてもよい。つまり、本第2実施形態の貫通穴2の構成を採用しつつ、上記した電子部品10および中間部材60におけるサイズ・面積および互いの配置関係を満足させるようにしてもよい。
【0174】
(他の実施形態)
なお、上記第1実施形態、第3実施形態では、それぞれ凹部1や貫通穴2が第1のヒートシンク20にのみ設けられていたが、これらは第2のヒートシンク30のみに設けられていてもよいし、両方のヒートシンク20、30に設けられていてもよい。その場合にも、樹脂封止工程では、凹部1や貫通穴2が設けられているヒートシンクの外面側に樹脂40を流すようにすることはもちろんである。
【0175】
また、上記各実施形態では、樹脂封止後、樹脂40で封止されているヒートシンク20の外面22側において、当該外面22側の樹脂部分40aを削って当該外面22を樹脂40より露出させているが、放熱性が確保されるならば、当該樹脂部分40aの切削は必ずしも行わずに当該外面22が封止されたままでもよい。
【0176】
つまり、上記各実施形態の電子装置としては、上記図1、図6、図13に示されるように、第1のヒートシンク20の外面22が薄い樹脂の膜40aで被覆されている状態のままであってもよい。
【0177】
また、上記各実施形態では、第1のヒートシンク20の内面21と電子部品10とは、中間部材60を介して間接的に接続されており、第1のヒートシンク20の内面21における部品接続領域は、この中間部材60とはんだ50を介して接触する領域であった。
【0178】
これに対して、可能ならば中間部材60を省略して、第1のヒートシンク20の内面21と電子部品10とは、直接はんだ50により接続されていてもよく、この場合、第1のヒートシンク20の内面21における部品接続領域は、電子部品10とはんだ50を介して接触する領域である。
【符号の説明】
【0179】
1 凹部
2 貫通穴
10 電子部品
11 電子部品の一方の端面
12 電子部品の他方の端面
20 第1のヒートシンク
21 第1のヒートシンクの内面
22 第1のヒートシンクの外面
23 第1のヒートシンクの端面
30 第2のヒートシンク
31 第2のヒートシンクの内面
32 第2のヒートシンクの外面
40 樹脂
50 はんだ
60 中間部材
100 金型
110 一体化部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
前記一体化部材(110)の形成工程では、前記両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)に、当該外面(22)よりも凹んだ凹部(1)を設けるとともに、当該少なくとも一方のヒートシンク(20)において、前記凹部(1)を当該ヒートシンク(20)の外面(22)の内周部から当該ヒートシンク(20)の端面(23)まで連続して形成するようにし、
前記樹脂(40)の封止工程では、前記金型(100)内にて前記樹脂(40)を、前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、前記凹部(1)が設けられている前記ヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すことにより、前記樹脂(40)によって、前記電子部品(10)および前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間を封止するとともに、前記樹脂(40)を前記凹部(1)に充填するようにしたことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項2】
前記凹部(1)を、前記ヒートシンク(20)の端面(23)のうち前記電子部品(10)からの距離が最も遠い部位に、少なくとも設けることを特徴とする請求項1に記載の電子装置の製造方法。
【請求項3】
前記凹部(1)を設ける前記ヒートシンク(20)を板状のものとし、当該ヒートシンク(20)を外面(22)側から凹まして内面(21)側を薄肉とすることで、前記凹部(1)を形成するものであり、
前記樹脂(40)を、当該樹脂中にセラミックよりなるフィラーを含有するものとし、
前記凹部(1)の深さは、前記フィラーの平均粒径の3倍以上の大きさであって、且つ、前記凹部(1)を設ける前記ヒートシンク(20)の板厚の1/2以下の大きさとすることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置の製造方法。
【請求項4】
前記凹部(1)が設けられている前記ヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち前記電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、この部品接続領域から、当該ヒートシンク(20)の内面(21)に対して45°の角度で当該ヒートシンク(20)の外面(22)まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされており、
前記凹部(1)を前記放熱領域より外れて位置させるようにしたことを特徴とする請求項3に記載の電子装置の製造方法。
【請求項5】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、前記電子部品(10)の熱を前記両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
前記両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)の外面(22)には、当該外面(22)よりも凹んだ凹部(1)が設けられており、
当該少なくとも一方のヒートシンク(20)において、前記凹部(1)は当該ヒートシンク(20)の外面(22)の内周部から当該ヒートシンク(20)の端面(23)まで連続して形成されており、
前記樹脂(40)は、前記電子部品(10)および前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間を封止するとともに、前記凹部(1)に充填されていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
前記一体化部材(110)の形成工程では、前記電子部品(10)の一方の端面(11)と前記第1のヒートシンク(20)の内面(21)との間に、熱伝導性を有する中間部材(60)を介在させるとともに、前記中間部材(60)を、前記電子部品(10)の一方の端面(11)に設けられた電極(13)、前記第1のヒートシンク(20)の内面(21)のそれぞれと、はんだ(50)を介して接合するようにし、
さらに前記一体化部材(110)の形成工程では、前記電子部品(10)の一方の端面(11)の面積S1と、前記中間部材(60)の前記電子部品(10)との接合面の面積S2との比S2/S1を0.55以上としつつ、
前記電極(13)を、前記中間部材(60)の前記電子部品(10)との接合面よりも一回り大きく且つ、前記電子部品(10)の一方の端面(11)よりも一回り小さいものとして、当該電極(13)の外郭全体を当該接合面の外郭よりはみ出させるとともに当該一方の端面(11)の内周に位置させた状態で、前記はんだ(50)による接合を行い、
前記樹脂(40)の封止工程では、前記金型(100)内にて前記樹脂(40)を、前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、少なくとも一方の前記ヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すことにより、前記樹脂(40)によって、前記電子部品(10)および前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、当該少なくとも一方の前記ヒートシンク(20)の外面(22)も封止するようにしたことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項7】
前記中間部材(60)の前記電子部品(10)との接合面を、前記電極(13)側に向かって凸とされた曲面形状をなしているものとすることを特徴とする請求項6に記載の電子装置の製造方法。
【請求項8】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、前記電子部品(10)の熱を前記両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
前記電子部品(10)の一方の端面(11)と前記第1のヒートシンク(20)の内面(21)との間には、熱伝導性を有する中間部材(60)が介在しており、
前記中間部材(60)は、前記電子部品(10)の一方の端面(11)に設けられた電極(13)、前記第1のヒートシンク(20)の内面(21)のそれぞれと、はんだ(50)を介して接合されており、
前記電極(13)は、前記中間部材(60)の前記電子部品(10)との接合面よりも一回り大きく、当該電極(13)の外郭全体が当該接合面の外郭よりはみ出しているとともに、前記電極(13)は、前記電子部品(10)の一方の端面(11)よりも一回り小さく、当該電極(13)の外郭全体が当該一方の端面(11)の内周に位置しており、
前記電子部品(10)の一方の端面(11)の面積S1と、前記中間部材(60)の前記電子部品(10)との接合面の面積S2との比S2/S1が0.55以上であることを特徴とする電子装置。
【請求項9】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態とした一体化部材(110)を形成した後、この一体化部材(110)を金型(100)に投入し、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止するようにした電子装置の製造方法において、
前記一体化部材(110)の形成工程では、前記両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)に、その内面(21)と外面(22)とを貫通する貫通穴(2)を設け、
前記樹脂(40)の封止工程では、前記金型(100)内にて前記樹脂(40)を、前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、前記貫通穴(2)が設けられている前記ヒートシンク(20)の外面(22)側にも流すものであり、且つ、前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間の前記樹脂(40)を、前記貫通穴(2)を介して、前記貫通穴(2)が設けられている前記ヒートシンク(20)の外面(22)側に流すようにしたことを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項10】
前記貫通穴(2)が設けられている前記ヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち前記電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、この部品接続領域から、当該ヒートシンク(20)の内面(21)に対して45°の角度で当該ヒートシンク(20)の外面(22)まで放射状に拡がる領域が放熱領域とされており、
前記貫通穴(2)を前記放熱領域より外れて位置させるようにしたことを特徴とする請求項9に記載の電子装置の製造方法。
【請求項11】
前記貫通穴(2)が設けられている前記ヒートシンク(20)において、前記部品接続領域の端部から前記貫通穴(2)までの距離Lと、前記部品接続領域の端部から前記貫通穴(2)を通って当該ヒートシンク(20)の端部に至る距離Rとの比L/Rを0.25以上とすることを特徴とする請求項10に記載の電子装置の製造方法。
【請求項12】
前記電子部品(10)を、前記両ヒートシンク(20、30)の間に複数個設けるものであり、
前記貫通穴(2)が設けられている前記ヒートシンク(20)において、その内面(21)のうち前記電子部品(10)が接続されている領域を部品接続領域としたとき、それぞれの前記電子部品(10)における部品接続領域と前記貫通穴(2)との距離rを、すべて同一距離に設定することを特徴とする請求項9ないし11のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法。
【請求項13】
前記樹脂(40)を、当該樹脂中にセラミックよりなるフィラーを含有するものとし、
前記貫通穴(2)を前記フィラーの平均粒径の3倍以上の穴径を有するものとすることを特徴とする請求項9ないし12のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法。
【請求項14】
前記貫通穴(2)を、前記貫通穴(2)が設けられる前記ヒートシンク(20)の内面(21)側から外面(22)側に向かって穴径が拡がった形状を有するものとすることを特徴とする請求項9ないし13のいずれか1つに記載の電子装置の製造方法。
【請求項15】
電子部品(10)の一方の端面(11)側、当該一方の端面(11)とは反対側の他方の端面(12)側に、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第1のヒートシンク(20)、前記電子部品(10)よりも平面サイズの大きい第2のヒートシンク(30)を設けて、これら両ヒートシンク(20、30)の対向する内面(21、31)間に前記電子部品(10)を挟んだ状態としたものを、トランスファーモールド法により樹脂(40)で封止してなり、前記電子部品(10)の熱を前記両ヒートシンク(20、30)の外面(22、32)にて放熱するようにした電子装置において、
前記両ヒートシンク(20、30)の少なくとも一方のヒートシンク(20)には、その内面(21)と外面(22)とを貫通する貫通穴(2)が設けられており、
前記樹脂(40)は、前記電子部品(10)および前記両ヒートシンク(20、30)の内面(21、31)間だけでなく、前記貫通穴(2)も封止されていることを特徴とする電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−104606(P2012−104606A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251120(P2010−251120)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】