説明

電子装置及びフレキシブル基板

【課題】電子装置の筐体内に実装する部品の実装密度や実装効率を高める。
【解決手段】筐体(4)に空間部(39)と、回路ユニット(フレキ基板38)を備える。この筐体は、表示部(30)を搭載する。空間部は、筐体内の端部側と表示部との間に形成されている。回路ユニットは、アンテナパターン(62)が形成されるとともにマイクロフォン(44)が実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品(LED42等)が実装され、空間部に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装部品を実装する基板構成を有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯型電子装置には、例えば、表示機能を備えた筐体と入力操作機能を備えた筐体との複数の筐体で構成され、一方の筐体が他方の筐体に対してスライド可能に接続されているものがある。このような複数の筐体を備えた携帯電話機では、例えば、筐体をスライドさせずに通話を行えるようにするため、表示機能を備えた筐体側にもマイクロフォンを実装するものがある。
【0003】
図14に示す携帯電話機200の筐体202には、例えば、液晶表示部208の下部側のフレキシブル基板206上に表示機能部品を避けてマイクロフォン210を実装するものが知られている。このフレキシブル基板206は、例えば、筐体202内に配置されたフレキ基板214等を避けるように変形させている。その他、このフレキシブル基板206には、例えば、アンテナパターン212が形成されている。
【0004】
このような電子装置の筐体内に関し、例えば、表示部筐体ケースに樹脂性の基板が設置され、この基板において、表示部筐体ケースから操作部筐体ケースに向かう方向に向けてマイクが実装されることが知られている(例えば、特許文献1)。
【0005】
また、携帯無線端末装置内部にアンテナ導体を備え、そのアンテナ導体を補強する補強部を備えることが知られている(例えば、特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−130106号公報
【特許文献2】特開2003−338769号公報
【特許文献3】特開2006−345246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、携帯電話機は多機能化しているが、携帯性の観点等から筐体は小型化しており、多機能を実現するための構成部品を実装するスペースが限られている。表示機能を備える筐体内に機能部品を実装するには、基板を筐体のボトム側に設置することになるが、この基板に実装できる範囲は限られている。そのため、基板上に例えば、アンテナパターンやマイクロフォン等を実装すると、他の実装部品を配置するのは困難である。また、この筐体内に、更に別の基板を設置することも困難である。
【0008】
斯かる課題について、特許文献1〜3にはその開示や示唆はなく、それを解決する構成等についての開示や示唆はない。
【0009】
そこで、本開示の電子装置及びフレキシブル基板の目的は、筐体内に実装する部品の実装密度や実装効率を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の電子装置は、筐体に空間部と、回路ユニットを備える。この筐体は、液晶表示部を搭載する。空間部は、筐体内の端部側と前記液晶表示部との間に形成されている。回路ユニットは、アンテナパターンが形成されるとともにマイクロフォンが実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品が実装され、前記空間部に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本開示の電子装置又はフレキシブル基板によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0012】
(1) 筐体内に設置したフレキシブル基板に対し、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に部品実装部分を形成することで、アンテナパターンやマイクロフォンとともに、更に部品を実装することができる。
【0013】
(2) 従来の配置スペースにおいて実装可能部分を増加させることができ、電子装置を小型に維持しつつ、多機能化を図ることができる。
【0014】
(3) フレキシブル基板に開口部や切欠き部を形成することで、電子装置内に配置された他の機能部品への接触や干渉を防止でき、機能部品の動作を正常に動作させることができる。
【0015】
そして、本発明の他の目的、特徴及び利点は、添付図面及び各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る携帯電話機の構成例を示す図である。
【図2】閉状態の携帯電話機の外観構成例を示す図である。
【図3】基板部の背面側の構成例を示す図である。
【図4】フレキ基板の実装構成例を示す図である。
【図5】フレキ基板の折り曲げ状態の一例を示す図である。
【図6】フレキ基板を開いた状態の実装構成例を示す図である。
【図7】フレキ基板を開いた状態の導体配線の例を示す図である。
【図8】フレキ基板に対する補強部材の設置例を示す図である。
【図9】図4のA−A断面を示す図である。
【図10】フレキ基板を可動リアケース側に搭載した状態例を示す図である。
【図11】フレキ基板と他の部品との重なり状態の一例を示す図である。
【図12】図2のB−B断面を示す図である。
【図13】他の実施の形態に係るフレキ基板の構成例を示す図である。
【図14】マイクフレキの従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1の実施の形態〕
【0018】
第1の実施の形態について、図1、図2及び図3を参照する。図1は、第1の実施の形態に係る携帯電話機の構成例を示す図、図2は、閉状態の携帯電話機の外観構成例を示す図、図3は、基板部の背面側の構成例を示す図である。図1ないし図3に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0019】
この携帯電話機2は、本開示の電子装置の一例であって、例えば、第1の筐体部4と第2の筐体部6を備えており、筐体部4が筐体部6に対して長手方向にスライド可能に積層されている。この筐体部4は、例えば、主に表示側筐体部を構成しており、また、筐体部6は、主に操作側筐体部を構成している。
【0020】
筐体部4は、電子装置の筐体の一例であって、例えば、筐体部6に対してスライドする可動側筐体部を構成している。筐体部4は、例えば、可動フロントケース8と可動リアケース10により基板部12が内蔵されている。可動フロントケース8や可動リアケース10は、例えば、樹脂材料の成形体である。この筐体部4は、筐体部6に対してケーブル13で電気的に接続されている。
【0021】
可動フロントケース8には、表示窓部14が形成されており、基板部12に設置している液晶表示パネル30を配置させて画面表示を行っている。また、この表示窓部14は、例えば、タッチパネルモジュールにより、操作入力手段として機能させてもよい。さらに、可動フロントケース8の長手方向の前後端内部には、例えば、通話機能に利用する放音孔16や吸音孔18が形成されている。その他、可動フロントケース8の側面内部には、例えば、可動リアケース10や基板部12に係止させるための係止爪等が形成されているほか、外部側から筐体部4内に対する水等の進入を防止する防水部材が設置されている。
【0022】
可動リアケース10は、基板部12を載置して保持するとともに、筐体部4の内部に挿通されたケーブル13を基板部12の載置位置に合わせて配置する。このケーブル13には、例えば、端部にコネクタ15が設置され、このコネクタ15が基板部12側に設置された図示しないコネクタに接続する。可動リアケース10には、筐体部4を筐体部6に対してスライドさせるスライドガイド20やケーブル13を筐体部4の内部に挿通させるケーブル挿通孔等が形成されている。また、この可動リアケース10には、ケーブル挿通孔からの水等の進入を防止する止水部品24が設置される。この止水部品24は、ケーブル13が挿通されたケーブル挿通孔を覆い、可動リアケース10の裏面側から例えば、ネジで固定されている。このネジは、止水部品24を可動リアケース10に固定する固定手段であり、更に止水部品24と可動リアケース10とを圧着させるための付勢手段の一例である。止水部品24を固定する手段はネジに限られず、締結部品や係止部品等を利用した固定部品が用いられる。
【0023】
基板部12は、可動側筐体部4に搭載される機能構成部の一例であって、1又は複数の機能部品が実装されている。この基板部12には、例えば、液晶表示パネル30、カメラ32、アンテナ機能部品34や液晶表示パネル30前後両端側にフレキ基板36、38等が実装されている。また、基板部12は、例えば、長手方向の両端側に貫通孔35を備えている。この貫通孔35は、基板部12を可動リアケース10に対して固定する手段の一例であって、例えば、フレキ基板36、38を介してネジやボルト等の固定部品を貫通させる。
【0024】
フレキ基板36は、例えば、面状のフレキシブルな配線導体で構成され、筐体部4のトップ側に配置された回路ユニット又はフレキシブル基板の一例である。このフレキ基板36は、通話音声等を放音するスピーカ40や携帯電話機2の表面側を光らせるLED(Light Emitting Diode)素子42が実装されている。
【0025】
フレキ基板38は、筐体部4の回路ユニット又はフレキシブル基板の一例であって、筐体部4のボトム側の内部の端部と表示部である液晶表示パネル30との間に形成された空間部39内(図3)に配置されている。このフレキ基板36、38は、例えば、樹脂材料で構成され、折り曲げ等の変形が可能な面状のフレキシブルな配線導体で構成している。このフレキ基板38には、アンテナ41が形成されるとともに、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方にマイクロフォン44や、その他の機能部品として、LED素子42等が実装されている。また、フレキ基板38には、基板部12と電気的に接続するコネクタ45が形成されており、例えば、基板部12を通じて携帯電話機2の制御機能部との間で制御指示の送受信を行って、実装部品の動作制御が行なわれる。その他、フレキ基板38の一部には、可動フロントケース10に設置された止水部品24との接触を回避するための開口部46が形成されている。
【0026】
携帯電話機2は、図2に示すように、筐体部4が筐体部6の上側に積層されており、閉状態では筐体部6の上面側が筐体部4によって覆われ、接触操作を行わせないように構成されている。この携帯電話機2は、例えば、閉状態においても通話機能やWebサイトやメール等の表示機能の閲覧等を利用できる。また、表示窓部14に設置したタッチパネルにより、携帯電話機2の操作を行うこともできる。
【0027】
入力操作機能を利用する場合、例えば、筐体部4が長手方向にスライドすると、筐体部6の上面側が露出する。筐体部6は、携帯電話機2の操作側筐体部の一例であって、スライドする筐体部4に対し、固定側筐体部を構成する。この筐体部6には、例えば、キーパッドを備えており、テンキーや決定キー、カーソルキー等が配置されている。また、この筐体部6には、先端側の側面部に、例えばテレビ放送信号やデータ信号を送受信するアンテナ58が設置されている。
【0028】
また、図3に示す基板部12の背面側には、例えば、フレキ基板36と接続するコネクタ47や、フレキ基板38のコネクタ45と接続するコネクタ48が設置されている。その他、基板部12には、前面側に配置された液晶表示パネル30や図示しないタッチパネル等に接続するフレキシブルケーブル50、52等が設置されており、例えば、フレキ基板38側の近傍、又は上下に重ならせて基板部12の前面側に向けて配置されている。
【0029】
次に、フレキ基板の構成について、図4、図5、図6及び図7を参照する。図4は、フレキ基板の実装構成例を示す図、図5は、フレキ基板の折り曲げ状態の一例を示す図、図6は、フレキ基板を開いた状態の実装構成例を示す図、図7は、フレキ基板を開いた状態の導体配線の例を示す図である。図4〜図7に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0030】
このフレキ基板38には、実装されたLED素子42やマイクロフォン44等と電気的に接続する回路配線60が設置されているとともに、アンテナ41として例えば、FMトランスミッタ等のアンテナパターン62が形成されている。この回路配線60やアンテナパターン62は、コネクタ45側から配線されている。アンテナパターン62は、例えば、フレキ基板38の背面側に実装したアンテナマッチング部品64に接続しており、フレキ基板38の左右端に向けて配置している。このアンテナマッチング部品64は、例えば、基板部12に実装された給電部等とアンテナパターン62とを電気的に接続するための機能部品の一例である。
【0031】
このフレキ基板38には、貫通孔66、68が形成されており、例えば、内側に基板部12の貫通孔35を配置して、この貫通孔35とともに固定部品を貫通させる。また、このフレキ基板38には、マイクロフォン44の実装位置の背面側に吸音孔70が形成されており、可動フロントケース8の吸音孔18から取り込んだ音声をマイクロフォン44に導く。
【0032】
図5Aに示すように、フレキ基板38は、例えば、表面側に配置される第1の基板72と裏面側に配置される第2の基板74とを重ね合わせて構成されており、図5Bに示すように、例えば、フレキ基板38の長手方向の一端側を屈曲部76に設定して折り曲げている。第1の基板72には、例えば、マイクロフォン44やアンテナマッチング部品64が実装されており、この第1の基板72が折り畳まれることで、マイクロフォン44やアンテナマッチング部品64は、フレキ基板38の背面側に向けて配置される。そして、既述のように、フレキ基板38の表面側に形成された吸音孔70を通じて、マイクロフォン44が音声等を取り込むことができる。
【0033】
また、第2の基板74には、例えば、LED素子42等が実装され、第1の基板72と重ね合わせることで、LED素子42等の実装部品が基板部38の表面側に配置される。この第1の基板72と第2の基板74とは、それぞれ部品が実装された面側を重ね合わせるように折り曲げられている。
【0034】
この第1の基板72、第2の基板74は、重ね合わせた対向面側の基板に実装される部品との接触を回避するため、それぞれの基板の一部を開口させている。第1の基板72には、第2の基板74に実装されたLED素子42との対向位置に開口部80、82を形成している。この開口部80は、例えば、貫通孔66と開口部46との間に開口し、この貫通孔66と開口部46とを連結させている。また、開口部82は、例えば、貫通孔68に隣接し、その一辺側を連結させている。
【0035】
第1の基板72に開口部80、82を形成することにより、図5Aに示すように、第2の基板74に実装したLED素子42をフレキ基板38の表面側に露出させることができ、例えば、携帯電話機2の表示窓部14の周辺側を発光させることができる。
【0036】
第2の基板74には、例えば、第1の基板72に実装されたマイクロフォン44の実装位置に合わせて基板の一部に切欠き部84が形成されている。そして、第1の基板72が重ね合わされると、マイクロフォン44が切欠き部84に配置され、フレキ基板38の背面側に露出する。その他、例えば、第2の基板部74の一端側には、第1の基板72に実装されたアンテナマッチング部品64の対向位置に切欠き部86が形成され、アンテナ接続部品64と第2の基板74との接触を回避している。
【0037】
なお、第1の基板72、第2の基板74にその他の機能部品を実装させてもよく、この機能部品の実装位置に応じて、対向する基板の一部を切り欠き、又は開口すればよい。
【0038】
図6に示すように、この第1の基板72と第2の基板74は、例えば、一片のフレキ基板又は複数のフレキ基板の一片を接続して構成しており、長辺側の長さは、携帯電話機2の基板部12よりも長く設定されている。そして、このフレキ基板38は、基板部12に対して接続する場合、第1の筐体部4の空間部39(図3)内に収納可能な長さとなるように屈曲部76を設定し、折り曲げている。そこで、第1の基板72と第2の基板74の長辺側の長さは、同等又は異なる長さに設定している。
【0039】
図6Aに示すフレキ基板38には、例えば、第1の基板72の実装面側の一部に接着部材90が添付されている。この接着部材90は、フレキ基板の折り曲げによって第2の基板74が接触する部分の一部又は全部に添付している。
【0040】
図6Bに示すように、このフレキ基板38は、開状態である第1の基板72と第2の基板74に対し、同方向の面に機能部品を実装している。この機能部品は、例えば、フレキ基板38の屈曲部76からの距離を異ならせて実装しており、第1の基板72と第2の基板74を重ね合わせた場合でも、部品同士を接触させないように設定している。
【0041】
即ち、第1の基板72及び第2の基板74の機能部品の実装面は、重ね合わされてフレキ基板38の内側に配置され、既述のように実装された部品のみ、又は部品とともに基板の一部がフレキ基板38の外面側に露出する。
【0042】
このフレキ基板38には、例えば、図7に示すように、実装した機能部品であるLED素子42やマイクロフォン44等に対して、回路配線60が接続されており、コネクタ45を通じて、基板部12側との間でデータの送受信等が行われる。この回路配線60は、例えば、フレキ基板38上に実装する機能部品毎に1本又は複数本を接続しており、実装する部品の数に応じて回路配線60の本数を変更する。
【0043】
回路配線60は、第2の基板74に実装しているLED素子42に対して、屈曲部76を通じて配置している。即ち、この回路配線60は、屈曲部76において折り曲げ可能に構成している。
【0044】
このように、長い配線基板を利用することで、多数の機能部品を実装させる場合に、回路配線が密集するのを防止でき、機能部品の実装可能面積を増やすことができる。即ち、実装部品同士を接近させて配置する場合でも、フレキ基板上における回路配線60の引き回しが煩雑化するのを防止できる。
【0045】
また、既述のように、フレキ基板38に形成されたアンテナ41は、第1の基板72に実装されたアンテナマッチング部品64を介して、屈曲部76側に向けてアンテナパターン62が形成されている。このアンテナパターン62は、例えば、使用する通信信号の波長に対するアンテナ長(電気長)に応じて、所定の長さで直線状に設置している。
【0046】
次に、第1の基板及び第2の基板の裏面側の構成及び厚みについて、図8及び図9を参照する。図8は、フレキ基板に対する補強部材の設置例を示す図、図9は、図4のA−A断面を示す図である。図8及び図9に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0047】
第1の基板72及び第2の基板74には、部品実装面の裏面側の一部を補強している。図8Aに示す第1の基板72は、例えば、コネクタ45、アンテナマッチング部品64の実装位置や、アンテナパターン62の形成位置に第1の補強部材92を設置している。また、マイクロフォン44の実装位置に第2の補強部材94を設置している。このとき、第1の基板72において、開口部46の周辺の基板部96や貫通孔68の周辺部分の基板部98は、補強を行わない。
【0048】
第2の基板74には、例えば、LED素子42の実装位置や、LED素子42及び貫通孔66の周囲に第1の補強部材92を設置している。このとき、第2の基板74において、開口部46の周辺及び貫通孔68の周辺の基板部100には、補強を行わない。また、基板72と基板74とを折り曲げる屈曲部76は、補強部材を設置しない。
【0049】
この補強部材92、94は、基板72、74の厚みを増加することで、フレキの変形を防止する手段の一例であって、機能部品の実装位置の背面側を補強することで、フレキが変形して実装部品の剥離や破損を防止することができる。この第1の補強部材92及び第2の補強部材94は、例えば、樹脂製のフィルム部材で構成され、第2の補強部材94は、第1の補強部材92よりも厚みを持たせており、屈曲性が少ない。これらの補強部材92、94は、例えば、基板72、74に対して接着材等を利用して接着している。
【0050】
図8Bに示す基板72、74は、補強部材92、94を設置しており、例えば、補強部材92、94が設置されていない部分の基板の厚さをh1 、第1の補強部材92を設置した基板の厚さをh2 、第2の補強部材94を設置した基板の厚さをh3 としている。
【0051】
この基板72、74を重ねると、図9に示すように実装部品が配置される。既述のように、第2の基板74に実装されたLED素子42がフレキ基板38の表面側に露出されており、また、第1の基板72に実装されたマイクロフォン44やアンテナマッチング部品64が第2の基板74からフレキ基板38の背面側に露出している。
【0052】
これらの機能部品を実装したフレキ基板38は、補強部材92、94の設置位置に応じて厚みを異ならせている。LED素子42の周辺部分の厚さは、例えばh4 に設定されている。このh4 は、例えば、基板72、74の厚さと2つの第1の補強部材92の厚さがあり、h4 =2h2 となる。また、開口部46の周辺部分には補強部材が設置されておらず、例えば、厚さh5 が設定されている。この厚さh5 は、基板72、74の厚さであり、h5 =2h1 となる。マイクロフォン44の周辺部分の厚さは、例えば、h6 に設定されている。このh6 は、例えば、基板72、74の厚さと第2の補強部材94の厚さであり、h6 =h1 +h3 となる。アンテナマッチング部品64の周辺部分の厚さは、例えば、h7 に設定している。この厚さh7 は、例えば、基板72、74の厚さと第1の補強部材92の厚さがあり、h7 =h1 +h2 となる。
【0053】
このようにフレキ基板38には、例えば、基板上の各部分において、補強部材92、94の種類や補強部材92、94の有無等の組み合わせを変えることで、厚さをh4 〜h7 に変化させている。このようにフレキ基板38の厚さに変化を設定することで、フレキ基板38を筐体部4に搭載する場合、例えば筐体部4内にある凹凸とフレキ基板38の実装部品との接触を避けることができる。
【0054】
次に、フレキ基板の実装状態について、図10、図11及び図12を参照する。図10は、フレキ基板を可動リアケース側に搭載した状態例を示す図、図11は、フレキ基板と他の部品との重なり状態の一例を示す図、図12は、図2のB−B断面図である。図10〜図12に示す構成は一例であって、これに限定されない。
【0055】
筐体部4の内部に搭載したフレキ基板38は、貫通孔66、68に基板部12の貫通孔35を配置させて、図示しない固定部品により、基板部12とともに例えば可動リアケース10及び可動フロントケース8側に固定される。このとき、フレキ基板38の開口部46には、可動リアケース10に設置した止水部品24が配置される。
【0056】
基板部12には、例えば、液晶表示パネル30と電気的に接続するフレキシブルケーブル50、52を備えている。このフレキシブルケーブル50、52は、筐体部4の空間部39側に配置されている。
【0057】
図11に示すように、基板部12の端部側において、フレキシブルケーブル50、52は、フレキ基板38の一部に重なる位置に配置している。ここで、フレキシブルケーブル50、52とフレキ基板38との間には、重なり部分120、122がある。重なり部分120は、例えば、フレキ基板38の基板部98側に形成され、重なり部分122は、基板部96側に形成されている。
【0058】
この基板部96、98は、既述のように、基板上に補強部材92、94を添付しない部分であり、第2の基板74側の基板部100と重なり合わせることで、厚さh5 に設定して最も薄く構成されている。即ち、このフレキ基板38は、筐体4内に搭載された場合において、補強部材92、94の設置位置を設定しており、厚さの調整を行うことができる。
【0059】
これにより、フレキ基板38は、周辺に設置される他の機能部品との間で、接触や干渉を防止することができる。また、フレキ基板38を部分毎に厚さ調整することで、搭載する筐体4内の周辺構成に応じた高さ設定が行える。
【0060】
図12に示す筐体部4において、可動フロントケース8と可動リアケース10とを接合し、固定手段124で固定する。フレキ基板12は、例えば、マイクロフォン44の吸音孔70を可動フロントケース8の内部に形成された開口部126に合わせて配置される。また、フレキ基板38上に実装されたLED素子42が、例えば、照光部として機能する透明な止水部品128に合わせて配置される。このとき、フレキ基板38は、既述のように、補強部材92、94(図9)の有無により厚さを変化させることで、例えば、可動フロントケース8側に設置された他の機能部品130や止水部品128等に対して接触し、又は干渉することがない。
【0061】
また、補強部材92、94は、筐体部4内におけるフレキ基板38の搭載高さを調整するスペーサとして機能している。例えば、フレキ基板38が可動リアケース10に接触する部分と、部品が実装された部分とで、補強部材92、94の組み合わせにより厚さを変化させることで、筐体部4内においてフレキ基板38の設置位置が変移するのを防止できる。
【0062】
斯かる構成によれば、筐体内に設置したフレキシブル基板に対し、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に部品実装部分を形成することで、アンテナパターンやマイクロフォンとともに、更に部品を実装することができる。また、従来の配置スペースにおいて実装可能部分を増加させることができ、電子装置を小型に維持しつつ、多機能化を図ることができる。フレキシブル基板に開口部や切欠き部を形成することで、携帯電話機内に配置された他の機能部品への接触や干渉を防止でき、機能部品の動作を正常に動作させることができる。さらに、補強部材によりフレキ基板の厚さを調整することで、高さ方向に対する空間の無駄を無くすことができ、携帯電話機の薄型化に貢献できる。
【0063】
ここで、第1の実施の形態について、以下に特徴事項や利点を列挙する。
【0064】
(1) 携帯型電子機器の可動側筐体のボトム側に配置されたフレキ基板によれば、マイクを実装し、FMトランスミッタ等のアンテナパターンもフレキ上に形成するとともに、LED等の他の部品を実装することができる。
【0065】
(2) このフレキ基板では、例えば、折り畳んで重ねることで、実装部品が所定位置になるような二つ折り構造を構成している。
【0066】
(3) このフレキ基板によれば、フレキ基板にマイクとアンテナパターンを実装し、更にLED等を両面で実装することが可能となり、例えば、表示部下のスペースにもイルミネーション構造を配置することができる。また、本発明の構成によれば、片面側に実装したフレキ基板を折り曲げることで基板の両面側への実装状態となるので、フレキ基板の両面に実装処理を行うよりもコスト面で有利となる。
【0067】
〔他の実施の形態〕
【0068】
(1) 上記実施の形態では、フレキ基板の折り曲げ方向について、第1の基板72と第2の基板74の部品の実装面同士を接合する場合を示したがこれに限られない。例えば、図13に示すように、第1の基板72と第2の基板74とを部品が実装されていない面同士を重なるように折り曲げてもよい。この場合、例えば、LED素子42がフレキ基板38の表面側に配置され、マイクロフォン44がフレキ基板38の背面側に配置される。このとき、第2の基板74は、切欠き部84により、マイクロフォン44の背面側を避けて重ねられるので、マイクロフォンの吸音を阻害することがない。斯かる構成によっても上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0069】
(2) 上記実施の形態では、フレキ基板の一部である基板部96、98側を部分的に補強しない構成例を示したが、これに限られず、例えば、フレキ基板の屈曲部以外を補強してもよい。例えば、筐体部内に搭載したフレキ基板について、他の実装部品と接触し、又は干渉しない場合には、全てを補強してもよい。
【0070】
(3) 上記実施の形態では、第1の基板と第2の基板とを折り曲げて重ね合わせているが、これに限られず、例えば、独立した複数の基板同士を貼り付けて重ね合わせてもよい。
【0071】
次に、以上述べた実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。以下の付記に本発明が限定されるものではない。
【0072】
(付記1)液晶表示部を搭載する筐体と、
前記筐体内の端部側と前記液晶表示部との間に形成された空間部と、
アンテナパターンが形成されるとともにマイクロフォンが実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品が実装され、前記空間部に配置した回路ユニットと、
を備えることを特徴とする電子装置。
【0073】
(付記2)前記回路ユニットは、前記マイクロフォン及び前記実装部品を面状の配線導体の同一面上に実装し、該配線導体を折り畳み又は重畳させることを特徴とする、付記1に記載の電子装置。
【0074】
(付記3)前記マイクロフォンは、前記回路ユニットの背面側に実装され、
前記回路ユニットは、前記マイクロフォンの実装位置に、表面側から音声を取り込む吸音孔を備えることを特徴とする、付記1又は2に記載の電子装置。
【0075】
(付記4)前記回路ユニットは、背面側に実装された前記マイクロフォン又は前記実装部品を表面側に露出させる開口部又は切欠き部の一方又は双方が形成されたことを特徴とする、付記1ないし3に記載の電子装置。
【0076】
(付記5)前記回路ユニットの一部又は全部を覆う補強部を備えることを特徴とする、付記1ないし4に記載の電子装置。
【0077】
(付記6)前記回路ユニットは、フレキシブル基板で構成されたことを特徴とする、付記1ないし5に記載の電子装置。
【0078】
(付記7)前記回路ユニットは、前記マイクロフォン及び前記実装部品が実装された実装面又は実装裏面のいずれかを重ね合わせる方向に折り畳むことを特徴とする、付記2に記載の電子装置。
【0079】
(付記8)前記実装部品は、少なくとも発光手段を備えることを特徴とする付記1ないし7に記載の電子機器。
【0080】
(付記9)アンテナパターンを形成するとともにマイクロフォンが実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品が実装される配線導体を備え、
前記配線導体を折り畳み又は重畳したことを特徴とするフレキシブル基板。
【0081】
以上説明したように、電子装置及びフレキシブル基板の好ましい実施の形態等について説明したが、本発明は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、又は発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
2 携帯電話機
4、6 筐体部
8 可動フロントケース
10 可動リアケース
12、96、98、100 基板部
14 表示窓部
18、70 吸音孔
24、128 止水部品
30 液晶表示パネル
35、66、68貫通孔
36、38 フレキ基板
39 空間部
41 アンテナ
42 LED素子
44 マイクロフォン
46、80、82、126 開口部
50、52 フレキシブルケーブル
60 回路配線
62 アンテナパターン
64 アンテナマッチング部品
72 第1の基板
74 第2の基板
76 屈曲部
84、86 切欠き部
90 接着部材
92、94 補強部材
120、122 重なり部分
124 固定手段
130 機能部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を搭載する筐体と、
前記筐体内の端部側と前記表示部との間に形成された空間部と、
アンテナパターンが形成されるとともにマイクロフォンが実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品が実装され、前記空間部に配置した回路ユニットと、
を備えることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記回路ユニットは、前記マイクロフォン及び前記実装部品を面状の配線導体の同一面上に実装し、該配線導体を折り畳み又は重畳させることを特徴とする、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記マイクロフォンは、前記回路ユニットの背面側に実装され、
前記回路ユニットは、前記マイクロフォンの実装位置に、表面側から音声を取り込む吸音孔を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記回路ユニットは、背面側に実装された前記マイクロフォン又は前記実装部品を表面側に露出させる開口部又は切欠き部の一方又は双方が形成されたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
前記回路ユニットの一部又は全部を覆う補強部を備えることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項6】
アンテナパターンを形成するとともにマイクロフォンが実装され、表面側又は背面側のいずれか一方又は双方に1又は複数の実装部品が実装される配線導体を備え、
前記配線導体を折り畳み又は重畳したことを特徴とするフレキシブル基板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−213023(P2012−213023A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77401(P2011−77401)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】