電子装置
【課題】大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取り得る電子装置を提供する。
【解決手段】半導体チップ10は、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップ30を搭載する回路ブロック11がモールド部材16によりモールドされてパッケージ化されている。このRFIDチップ30は、回路上に形成される複数のパッド13のうちモールド部材16によりモールドされた状態で外部に接続されていない検査用パッド20上に配置されている。
【解決手段】半導体チップ10は、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップ30を搭載する回路ブロック11がモールド部材16によりモールドされてパッケージ化されている。このRFIDチップ30は、回路上に形成される複数のパッド13のうちモールド部材16によりモールドされた状態で外部に接続されていない検査用パッド20上に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する電子装置に関する技術として、下記特許文献1に開示される集積回路が知られている。この集積回路には、所定の情報が外部から読み取り可能に構成されたRFIDブロックが、IC回路上の一部に配置されている。このRFIDブロックに当該集積回路等の装置に関する情報を格納し、RFID用のリーダ等を用いて集積回路のRFIDブロックに記憶された情報を無線通信により読み取ることで、当該装置に関する情報を外部から容易に読み取ることができる。このため、読み取った情報を、例えば、製造履歴を追跡調査する際のトレーサビリティ情報として活用することで、電子装置に関するトレーサビリティを容易に実現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−507382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるような電子装置の構成では、RFIDブロック(RFIDチップ)をIC回路上に配置する必要があるために、回路面積が大きくなってしまい、電子装置の小型化の阻害要因となる。また、小型化が求められる電子装置では、無駄なスペースを極力なくしているために、IC回路上と異なる場所に単にRFIDブロックを配置しても、電子装置が大型化してしまう。また、IC回路上に直接RFIDブロックを配置すると、RFIDブロックに対する読み取り時に当該IC回路からの高周波ノイズ等を受ける場合があり、RFIDブロックに関する通信感度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取り得る電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の電子装置では、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する回路が封止部材により封止されて構成される電子装置において、前記RFIDチップは、前記回路上に形成される複数のパッドのうち前記封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子装置において、前記非接続パッドは、前記封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電子装置において、前記RFIDチップは、直下の前記非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の電子装置において、前記RFIDチップは、2つの前記非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載の電子装置において、前記RFIDチップが配置される前記非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の電子装置において、前記非接続パッドは、複数の配線層を備えており、これら複数の配線層のうちの一部が前記アンテナとして利用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップは、回路上に形成される複数のパッドのうち封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されている。
【0013】
これにより、RFID用のリーダ等を用いてRFIDチップに記憶された情報を無線通信により読み取ることで、当該装置に関する情報、例えば、トレーサビリティ情報を外部から容易に読み取ることができる。特に、RFIDチップは、外部に接続されていない非接続パッド上に配置されるため、本来使用されていなかったスペースに配置されることとなるので、RFIDチップを搭載することによる回路面積の増大を招くこともない。さらに、RFIDチップが非接続パッド上に配置されるため、他の電子素子からの高周波ノイズ等の影響が非接続パッドにより低減される磁気シールド効果が得られ、通信感度を向上させることができる。
したがって、たとえウエハレベルの電子装置であっても、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取ることができる。
【0014】
請求項2の発明では、非接続パッドは、封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであるため、本来使用されていなかったパッドおよびそのスペースを有効に活用して、RFIDチップを搭載することによる回路面積の増大を抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明では、RFIDチップは、直下の非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されるため、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、通信感度を確実に向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明では、RFIDチップは、2つの非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されるため、アンテナをより広く設けることができ、通信感度を確実に向上させることができる。
【0017】
請求項5の発明では、RFIDチップが配置される非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されるため、非接続パッドによるアンテナ効果が高められて、通信感度をより確実に向上させることができる。
【0018】
請求項6の発明のように、非接続パッドが有する複数の配線層のうちの一部をアンテナとして利用してもよい。この場合、アンテナとして利用される配線層よりもRFIDチップから離れた配線層が高周波ノイズ等の影響を低減する磁気シールドが発揮されるため、通信感度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る半導体チップの構成を概略的に示す説明図であり、図1(A)は上面図であり、図1(B)は側面図である。
【図2】図2(A)は、RFIDチップが搭載された検査用パッドを示す断面図であり、図2(B)は、図2(A)の2B−2B線相当の切断面による断面図である。
【図3】RFIDチップの電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】検査用パッドによる磁気シールド効果を説明するための説明図である。
【図5】図5(A)は、第2実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線相当の切断面による断面図である。
【図6】図6(A)は、第3実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【図7】図7(A)は、第4実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)の7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【図8】第5実施形態に係る半導体チップの構成を概略的に示す上面図である。
【図9】図9(A)は、第5実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図9(B)は、図9(A)の9B−9B線相当の切断面による断面図である。
【図10】図10(A)は、第5実施形態の変形例に係る検査用パッドを示す断面図であり、図10(B)は、図10(A)の10B−10B線相当の切断面による断面図である。
【図11】各実施形態の変形例に係る半導体チップの構成を概略的に示す説明図であり、図11(A)は側面図であり、図11(B)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る電子装置を半導体チップに適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体チップ10の構成を概略的に示す説明図であり、図1(A)は上面図であり、図1(B)は側面図である。図2(A)は、RFIDチップ30が搭載された検査用パッド20を示す断面図であり、図2(B)は、図2(A)の2B−2B線相当の切断面による断面図である。図3は、RFIDチップ30の電気的構成を例示するブロック図である。図4は、検査用パッド20による磁気シールド効果を説明するための説明図である。なお、図4では、便宜上、モールド部材16等を省略して図示している。また、図2等では、便宜上、ビア26が形成される層のハッチング表示を省略して図示している。
【0021】
図1に示すように、半導体チップ10は、ウエハ上に所定の半導体製造工程によって生成されるCPU、メモリ、ロジックなどとして回路ブロック11を備えている。この回路ブロック11には入出力用として複数のパッド13が設けられており、当該回路ブロック11は、ICダイ12に載置された状態で各パッド13およびボンディングワイヤ14を介して所定のリード15に対してそれぞれ接続されている。半導体チップ10は、各リード15の一部がピンとして露出するように回路ブロック11およびICダイ12がエポキシ樹脂等のモールド部材16によりモールド(封止)されてパッケージ化されている。
【0022】
この回路ブロック11には、上述した複数のパッド13だけでなく、ウエハ状態時に検査用に針当ての電極として使用しリードに接続されない検査用パッド20が設けられている。検査用パッド20は、図2に示すように、3層の配線層21〜23が複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。この検査用パッド20は、各パッド13と異なり、モールド部材16によりパッケージされた状態では、外部に接続されていない非接続パッドである。なお、本実施形態では、配線層21〜23は、例えば、アルミニウム層として形成されている。
【0023】
図1および図2に示すように、検査用パッド20上には、RFIDチップ30がスタック配置されている。このRFIDチップ30は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDチップとして構成され、図3に示すように、アンテナ31,電源回路32,復調回路33,制御回路34,メモリ35,変調回路36などによって構成されている。電源回路32は、アンテナ31を介して受信したRFIDリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路34をはじめとする各構成要素に供給している。また、復調回路33は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路34に出力している。
【0024】
メモリ35には、装置に関する情報、例えば、シリアル番号や製造情報など製造履歴を追跡調査する際のトレーサビリティ情報が記憶されている。制御回路34は、メモリ35から上記情報を読み出し、それを送信データとして変調回路36に出力する構成をなしており、変調回路36は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ31から反射波として送信するように構成されている。
【0025】
このように、検査用パッド20上にRFIDチップ30が配置されてパッケージされた半導体チップ10では、公知のRFIDリーダ1を用いてRFIDチップ30に記憶された情報を無線通信により読み取ることができる。これにより、図1に示すように半導体チップ10がパッケージされて製品化された後であっても、上述したトレーサビリティ情報を外部から容易に読み取ることができる。
【0026】
特に、RFIDチップ30を検査用パッド20上に配置することで、本来使用されていなかったスペースにRFIDチップ30が配置されることとなる。このため、本来使用されていなかったパッドおよびそのスペースを有効に活用することができ、半導体チップ10にRFIDチップ30を搭載しても、回路面積の増大をまねくこともない。
【0027】
さらに、図4に示すように、RFIDチップ30が検査用パッド20上に配置されるため、パッド側からの高周波ノイズに対して検査用パッド20内で渦電流が発生して磁気エネルギが低下する磁気シールド効果が得られる。このように、検査用パッド20により磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響が低減されるので、RFIDチップ30の通信感度を向上させることができる。
したがって、たとえウエハレベルの電子装置であっても、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取ることができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体チップについて図5を用いて説明する。図5(A)は、第2実施形態に係る検査用パッド20aを示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線相当の切断面による断面図である。
【0029】
本実施形態では、検査用パッド20およびRFIDチップ30に代えて検査用パッド20aおよびRFIDチップ30aを採用し、この検査用パッド20aをRFIDチップ30aにてモノポールアンテナとして利用する点が上記第1実施形態と異なる。
【0030】
図5(A),(B)に示すように、検査用パッド20aは、5層の配線層21a〜25aを備えており、この5層の配線層21a〜25aのうち最下層の配線層21aを除く各配線層22a〜25aは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。また、RFIDチップ30aは、RFIDチップ30に対して、内蔵されるアンテナ31に代えて外部アンテナに接続するための接続端子37を有するように構成されている。
【0031】
このように構成されるRFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の検査用パッド20aの最上層の配線層25aに電気的に接続されて、当該検査用パッド20aを外部アンテナとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20aがRFIDチップ30aのモノポールアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0032】
特に、検査用パッド20aの5層の配線層21a〜25aのうち最下層の配線層21aが電気的に分離されているので、磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減して、通信感度をさらに向上させることができる。
【0033】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る半導体チップについて図6を用いて説明する。図6(A)は、第3実施形態に係る検査用パッド20bを示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【0034】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて検査用パッド20bを採用し、この検査用パッド20bの一部をRFIDチップ30aにてループアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0035】
図6(A),(B)に示すように、検査用パッド20bは、5層の配線層21b〜25bを備えており、この5層の配線層21b〜25bのうち最上層の配線層25bは、ループ状に形成されている。また、第4層の配線層24bは、配線層25bの内方に形成される開口部27bから露出するように形成されており、最上層の配線層25bを除く各配線層21b〜24bは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。
【0036】
そして、RFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の検査用パッド20bの最上層の配線層25bに電気的に接続されて、当該検査用パッド20bを外部アンテナとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20bの一部がRFIDチップ30aのループアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0037】
特に、最上層の配線層25bの内方に形成される開口部27bから第4層の配線層24bが露出しているので、検査用プローブ等による針当ての障害になることもない。さらに、最上層の配線層25bを除く各配線層21b〜24bによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減することができる。
【0038】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る半導体チップについて図7を用いて説明する。図7(A)は、第4実施形態に係る検査用パッド20cを示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)の7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【0039】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて検査用パッド20cを採用し、この検査用パッド20cの一部をRFIDチップ30aにてループアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0040】
図7(A),(B)に示すように、検査用パッド20cは、5層の配線層21c〜25cを備えている。これら5層の配線層21c〜25cのうち第4層の配線層24cは、n回巻きのコイル状に形成されており、その一端が第3層の配線層23cの一端にビア26を介して接続されている。また、最上層の配線層25cには、第4層の配線層24cに接続されるRFIDチップ30aを露出させるための開口部27cが形成されている。そして、第2層の配線層22cおよび最下層の配線層21cは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。
【0041】
そして、RFIDチップ30aは、開口部27cから露出するように、接続端子37を介して直下の検査用パッド20cの第4層の配線層24cの他端と第3層の配線層23cの他端とに電気的に接続されて、当該検査用パッド20cをn回巻きのアンテナコイルとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20cがRFIDチップ30aのループアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0042】
特に、第2層の配線層22cおよび最下層の配線層21cによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減することができる。なお、配線層21c,22cをビア26等を介して最上層の配線層25cと接続することで、回路ブロックにおける配線接続等の検査について、最下層の配線層21c側からでも実施することができる。
【0043】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る半導体チップについて図8および図9を用いて説明する。図8は、第5実施形態に係る半導体チップ10の構成を概略的に示す上面図である。図9(A)は、第5実施形態に係る検査用パッド20dを示す断面図であり、図9(B)は、図9(A)の9B−9B線相当の切断面による断面図である。なお、図8では、便宜上、モールド部材16やボンディングワイヤ14、リード15等を省略して図示している。
【0044】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて隣接する2つの検査用パッド20dを採用し、これら両検査用パッド20dをRFIDチップ30aにてダイポールアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0045】
図8に示すように、回路ブロック11には、ウエハ状態時に検査用に針当ての電極として使用しリードに接続されない非接続パッドであって、互いに隣接する2つの検査用パッド20dが設けられている。これら両検査用パッド20dは、図9(A),(B)に示すように、それぞれ、5層の配線層21d〜25dが複数のビア26を介して電気的に接続されるように構成されている。なお、本実施形態では、回路ブロック11は、複数の回路部が配線17等を介して接続されて構成されており、他の実施形態においても、複数の回路部が配線17等を介して接続されて構成されてもよい。
【0046】
そして、RFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の両検査用パッド20dの最上層の配線層25dにそれぞれ電気的に接続されて、当該両検査用パッド20dをダイポールアンテナとして利用可能にスタック配置される。なお、両検査用パッド20d間の保護膜の凸凹は平坦除去されており、RFIDチップ30aが両検査用パッド20dに対して水平に配置されている。
【0047】
これにより、両検査用パッド20dがRFIDチップ30aのダイポールアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合や1つの検査用パッドがモノポールアンテナとして利用される場合と比較して、アンテナをより広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度をさらに向上させることができる。
【0048】
図10(A)は、第5実施形態の変形例に係る検査用パッド20dを示す断面図であり、図10(B)は、図10(A)の10B−10B線相当の切断面による断面図である。
図10(A),(B)に示すように、第5実施形態の変形例として、両検査用パッド20dの各配線層のうち下層側の配線層を上層側の配線層からそれぞれ電気的に分離して、これら下層側の配線層同士を電気的に接続してもよい。本変形例では、図10(B)に例示するように、最下層の配線層21dが上層側の配線層22d〜25dから電気的に分離され、互いに接続されている。
【0049】
これにより、接続された2つの配線層21dによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減して、当該RFIDチップ30aの通信感度をさらに向上させることができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)図11は、各実施形態の変形例に係る半導体チップ10aの構成を概略的に示す説明図であり、図11(A)は側面図であり、図11(B)は上面図である。
本発明に係る電子装置は、上述したワイヤーボンディング構造の半導体チップ10に採用されることに限らず、例えば、図11に例示するように、外部端子41を介して他の装置と電気的に接続される所定の回路基板40に対してバンプ18を介してフリップチップ実装される半導体チップ10aなど他の電子装置に採用されてもよい。この場合、半導体チップ10a等の検査用パッド20には、上述したRFIDチップ30がスタック配置されることで、上述した作用効果を奏する。ここで、検査用パッド20およびRFIDチップ30は、上述した各実施形態およびその変形例等にて記載した特徴的構成を採用することで、それらの作用効果も奏することができる。
【0051】
(2)RFIDチップ30,30aは、検査用パッド20にスタック配置されること限らず、例えば、リード15に接続されていないパッドなど、モールド部材16によりパッケージされた状態では外部に接続されていない非接続パッドにスタック配置されてもよい。
【0052】
(3)RFIDチップ30,30aは、RFIDリーダ1を用いた無線通信により、メモリ35に記憶された情報を読み取り可能に構成されることに限らず、メモリ35に記憶された情報を読み書き可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10,10a…半導体チップ(電子装置)
11…回路ブロック
13…パッド
16…モールド部材(封止部材)
20,20a〜20d…検査用パッド(非接続パッド)
30,30a…RFIDチップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する電子装置に関する技術として、下記特許文献1に開示される集積回路が知られている。この集積回路には、所定の情報が外部から読み取り可能に構成されたRFIDブロックが、IC回路上の一部に配置されている。このRFIDブロックに当該集積回路等の装置に関する情報を格納し、RFID用のリーダ等を用いて集積回路のRFIDブロックに記憶された情報を無線通信により読み取ることで、当該装置に関する情報を外部から容易に読み取ることができる。このため、読み取った情報を、例えば、製造履歴を追跡調査する際のトレーサビリティ情報として活用することで、電子装置に関するトレーサビリティを容易に実現させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−507382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるような電子装置の構成では、RFIDブロック(RFIDチップ)をIC回路上に配置する必要があるために、回路面積が大きくなってしまい、電子装置の小型化の阻害要因となる。また、小型化が求められる電子装置では、無駄なスペースを極力なくしているために、IC回路上と異なる場所に単にRFIDブロックを配置しても、電子装置が大型化してしまう。また、IC回路上に直接RFIDブロックを配置すると、RFIDブロックに対する読み取り時に当該IC回路からの高周波ノイズ等を受ける場合があり、RFIDブロックに関する通信感度が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取り得る電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の電子装置では、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する回路が封止部材により封止されて構成される電子装置において、前記RFIDチップは、前記回路上に形成される複数のパッドのうち前記封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の電子装置において、前記非接続パッドは、前記封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の電子装置において、前記RFIDチップは、直下の前記非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1または2に記載の電子装置において、前記RFIDチップは、2つの前記非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項3または4に記載の電子装置において、前記RFIDチップが配置される前記非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれか一項に記載の電子装置において、前記非接続パッドは、複数の配線層を備えており、これら複数の配線層のうちの一部が前記アンテナとして利用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップは、回路上に形成される複数のパッドのうち封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されている。
【0013】
これにより、RFID用のリーダ等を用いてRFIDチップに記憶された情報を無線通信により読み取ることで、当該装置に関する情報、例えば、トレーサビリティ情報を外部から容易に読み取ることができる。特に、RFIDチップは、外部に接続されていない非接続パッド上に配置されるため、本来使用されていなかったスペースに配置されることとなるので、RFIDチップを搭載することによる回路面積の増大を招くこともない。さらに、RFIDチップが非接続パッド上に配置されるため、他の電子素子からの高周波ノイズ等の影響が非接続パッドにより低減される磁気シールド効果が得られ、通信感度を向上させることができる。
したがって、たとえウエハレベルの電子装置であっても、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取ることができる。
【0014】
請求項2の発明では、非接続パッドは、封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであるため、本来使用されていなかったパッドおよびそのスペースを有効に活用して、RFIDチップを搭載することによる回路面積の増大を抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明では、RFIDチップは、直下の非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されるため、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、通信感度を確実に向上させることができる。
【0016】
請求項4の発明では、RFIDチップは、2つの非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されるため、アンテナをより広く設けることができ、通信感度を確実に向上させることができる。
【0017】
請求項5の発明では、RFIDチップが配置される非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されるため、非接続パッドによるアンテナ効果が高められて、通信感度をより確実に向上させることができる。
【0018】
請求項6の発明のように、非接続パッドが有する複数の配線層のうちの一部をアンテナとして利用してもよい。この場合、アンテナとして利用される配線層よりもRFIDチップから離れた配線層が高周波ノイズ等の影響を低減する磁気シールドが発揮されるため、通信感度をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る半導体チップの構成を概略的に示す説明図であり、図1(A)は上面図であり、図1(B)は側面図である。
【図2】図2(A)は、RFIDチップが搭載された検査用パッドを示す断面図であり、図2(B)は、図2(A)の2B−2B線相当の切断面による断面図である。
【図3】RFIDチップの電気的構成を例示するブロック図である。
【図4】検査用パッドによる磁気シールド効果を説明するための説明図である。
【図5】図5(A)は、第2実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線相当の切断面による断面図である。
【図6】図6(A)は、第3実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【図7】図7(A)は、第4実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)の7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【図8】第5実施形態に係る半導体チップの構成を概略的に示す上面図である。
【図9】図9(A)は、第5実施形態に係る検査用パッドを示す断面図であり、図9(B)は、図9(A)の9B−9B線相当の切断面による断面図である。
【図10】図10(A)は、第5実施形態の変形例に係る検査用パッドを示す断面図であり、図10(B)は、図10(A)の10B−10B線相当の切断面による断面図である。
【図11】各実施形態の変形例に係る半導体チップの構成を概略的に示す説明図であり、図11(A)は側面図であり、図11(B)は上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
以下、本発明に係る電子装置を半導体チップに適用した第1実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る半導体チップ10の構成を概略的に示す説明図であり、図1(A)は上面図であり、図1(B)は側面図である。図2(A)は、RFIDチップ30が搭載された検査用パッド20を示す断面図であり、図2(B)は、図2(A)の2B−2B線相当の切断面による断面図である。図3は、RFIDチップ30の電気的構成を例示するブロック図である。図4は、検査用パッド20による磁気シールド効果を説明するための説明図である。なお、図4では、便宜上、モールド部材16等を省略して図示している。また、図2等では、便宜上、ビア26が形成される層のハッチング表示を省略して図示している。
【0021】
図1に示すように、半導体チップ10は、ウエハ上に所定の半導体製造工程によって生成されるCPU、メモリ、ロジックなどとして回路ブロック11を備えている。この回路ブロック11には入出力用として複数のパッド13が設けられており、当該回路ブロック11は、ICダイ12に載置された状態で各パッド13およびボンディングワイヤ14を介して所定のリード15に対してそれぞれ接続されている。半導体チップ10は、各リード15の一部がピンとして露出するように回路ブロック11およびICダイ12がエポキシ樹脂等のモールド部材16によりモールド(封止)されてパッケージ化されている。
【0022】
この回路ブロック11には、上述した複数のパッド13だけでなく、ウエハ状態時に検査用に針当ての電極として使用しリードに接続されない検査用パッド20が設けられている。検査用パッド20は、図2に示すように、3層の配線層21〜23が複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。この検査用パッド20は、各パッド13と異なり、モールド部材16によりパッケージされた状態では、外部に接続されていない非接続パッドである。なお、本実施形態では、配線層21〜23は、例えば、アルミニウム層として形成されている。
【0023】
図1および図2に示すように、検査用パッド20上には、RFIDチップ30がスタック配置されている。このRFIDチップ30は、ハードウェア的には例えば公知のRFIDチップとして構成され、図3に示すように、アンテナ31,電源回路32,復調回路33,制御回路34,メモリ35,変調回路36などによって構成されている。電源回路32は、アンテナ31を介して受信したRFIDリーダ1からの送信信号(キャリア信号)を整流、平滑して動作用電源を生成するものであり、その動作用電源を、制御回路34をはじめとする各構成要素に供給している。また、復調回路33は、送信信号(キャリア信号)に重畳されているデータを復調して制御回路34に出力している。
【0024】
メモリ35には、装置に関する情報、例えば、シリアル番号や製造情報など製造履歴を追跡調査する際のトレーサビリティ情報が記憶されている。制御回路34は、メモリ35から上記情報を読み出し、それを送信データとして変調回路36に出力する構成をなしており、変調回路36は、キャリア信号を当該送信データで負荷変調してアンテナ31から反射波として送信するように構成されている。
【0025】
このように、検査用パッド20上にRFIDチップ30が配置されてパッケージされた半導体チップ10では、公知のRFIDリーダ1を用いてRFIDチップ30に記憶された情報を無線通信により読み取ることができる。これにより、図1に示すように半導体チップ10がパッケージされて製品化された後であっても、上述したトレーサビリティ情報を外部から容易に読み取ることができる。
【0026】
特に、RFIDチップ30を検査用パッド20上に配置することで、本来使用されていなかったスペースにRFIDチップ30が配置されることとなる。このため、本来使用されていなかったパッドおよびそのスペースを有効に活用することができ、半導体チップ10にRFIDチップ30を搭載しても、回路面積の増大をまねくこともない。
【0027】
さらに、図4に示すように、RFIDチップ30が検査用パッド20上に配置されるため、パッド側からの高周波ノイズに対して検査用パッド20内で渦電流が発生して磁気エネルギが低下する磁気シールド効果が得られる。このように、検査用パッド20により磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響が低減されるので、RFIDチップ30の通信感度を向上させることができる。
したがって、たとえウエハレベルの電子装置であっても、大型化を招くことなく装置に関する情報を外部から好適に読み取ることができる。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る半導体チップについて図5を用いて説明する。図5(A)は、第2実施形態に係る検査用パッド20aを示す断面図であり、図5(B)は、図5(A)の5B−5B線相当の切断面による断面図である。
【0029】
本実施形態では、検査用パッド20およびRFIDチップ30に代えて検査用パッド20aおよびRFIDチップ30aを採用し、この検査用パッド20aをRFIDチップ30aにてモノポールアンテナとして利用する点が上記第1実施形態と異なる。
【0030】
図5(A),(B)に示すように、検査用パッド20aは、5層の配線層21a〜25aを備えており、この5層の配線層21a〜25aのうち最下層の配線層21aを除く各配線層22a〜25aは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。また、RFIDチップ30aは、RFIDチップ30に対して、内蔵されるアンテナ31に代えて外部アンテナに接続するための接続端子37を有するように構成されている。
【0031】
このように構成されるRFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の検査用パッド20aの最上層の配線層25aに電気的に接続されて、当該検査用パッド20aを外部アンテナとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20aがRFIDチップ30aのモノポールアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0032】
特に、検査用パッド20aの5層の配線層21a〜25aのうち最下層の配線層21aが電気的に分離されているので、磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減して、通信感度をさらに向上させることができる。
【0033】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る半導体チップについて図6を用いて説明する。図6(A)は、第3実施形態に係る検査用パッド20bを示す断面図であり、図6(B)は、図6(A)の6B−6B線相当の切断面による断面図である。
【0034】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて検査用パッド20bを採用し、この検査用パッド20bの一部をRFIDチップ30aにてループアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0035】
図6(A),(B)に示すように、検査用パッド20bは、5層の配線層21b〜25bを備えており、この5層の配線層21b〜25bのうち最上層の配線層25bは、ループ状に形成されている。また、第4層の配線層24bは、配線層25bの内方に形成される開口部27bから露出するように形成されており、最上層の配線層25bを除く各配線層21b〜24bは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。
【0036】
そして、RFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の検査用パッド20bの最上層の配線層25bに電気的に接続されて、当該検査用パッド20bを外部アンテナとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20bの一部がRFIDチップ30aのループアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0037】
特に、最上層の配線層25bの内方に形成される開口部27bから第4層の配線層24bが露出しているので、検査用プローブ等による針当ての障害になることもない。さらに、最上層の配線層25bを除く各配線層21b〜24bによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減することができる。
【0038】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る半導体チップについて図7を用いて説明する。図7(A)は、第4実施形態に係る検査用パッド20cを示す断面図であり、図7(B)は、図7(A)の7B−7B線相当の切断面による断面図である。
【0039】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて検査用パッド20cを採用し、この検査用パッド20cの一部をRFIDチップ30aにてループアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0040】
図7(A),(B)に示すように、検査用パッド20cは、5層の配線層21c〜25cを備えている。これら5層の配線層21c〜25cのうち第4層の配線層24cは、n回巻きのコイル状に形成されており、その一端が第3層の配線層23cの一端にビア26を介して接続されている。また、最上層の配線層25cには、第4層の配線層24cに接続されるRFIDチップ30aを露出させるための開口部27cが形成されている。そして、第2層の配線層22cおよび最下層の配線層21cは、複数のビア26を介して電気的に接続されて構成されている。
【0041】
そして、RFIDチップ30aは、開口部27cから露出するように、接続端子37を介して直下の検査用パッド20cの第4層の配線層24cの他端と第3層の配線層23cの他端とに電気的に接続されて、当該検査用パッド20cをn回巻きのアンテナコイルとして利用可能にスタック配置される。これにより、検査用パッド20cがRFIDチップ30aのループアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合と比較して、アンテナを広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度を向上させることができる。
【0042】
特に、第2層の配線層22cおよび最下層の配線層21cによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減することができる。なお、配線層21c,22cをビア26等を介して最上層の配線層25cと接続することで、回路ブロックにおける配線接続等の検査について、最下層の配線層21c側からでも実施することができる。
【0043】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係る半導体チップについて図8および図9を用いて説明する。図8は、第5実施形態に係る半導体チップ10の構成を概略的に示す上面図である。図9(A)は、第5実施形態に係る検査用パッド20dを示す断面図であり、図9(B)は、図9(A)の9B−9B線相当の切断面による断面図である。なお、図8では、便宜上、モールド部材16やボンディングワイヤ14、リード15等を省略して図示している。
【0044】
本実施形態では、検査用パッド20aに代えて隣接する2つの検査用パッド20dを採用し、これら両検査用パッド20dをRFIDチップ30aにてダイポールアンテナとして利用する点が上記第2実施形態と異なる。
【0045】
図8に示すように、回路ブロック11には、ウエハ状態時に検査用に針当ての電極として使用しリードに接続されない非接続パッドであって、互いに隣接する2つの検査用パッド20dが設けられている。これら両検査用パッド20dは、図9(A),(B)に示すように、それぞれ、5層の配線層21d〜25dが複数のビア26を介して電気的に接続されるように構成されている。なお、本実施形態では、回路ブロック11は、複数の回路部が配線17等を介して接続されて構成されており、他の実施形態においても、複数の回路部が配線17等を介して接続されて構成されてもよい。
【0046】
そして、RFIDチップ30aは、接続端子37を介して直下の両検査用パッド20dの最上層の配線層25dにそれぞれ電気的に接続されて、当該両検査用パッド20dをダイポールアンテナとして利用可能にスタック配置される。なお、両検査用パッド20d間の保護膜の凸凹は平坦除去されており、RFIDチップ30aが両検査用パッド20dに対して水平に配置されている。
【0047】
これにより、両検査用パッド20dがRFIDチップ30aのダイポールアンテナとして機能するので、RFIDチップがアンテナを内蔵する場合や1つの検査用パッドがモノポールアンテナとして利用される場合と比較して、アンテナをより広く設けることができ、当該RFIDチップ30aの通信感度をさらに向上させることができる。
【0048】
図10(A)は、第5実施形態の変形例に係る検査用パッド20dを示す断面図であり、図10(B)は、図10(A)の10B−10B線相当の切断面による断面図である。
図10(A),(B)に示すように、第5実施形態の変形例として、両検査用パッド20dの各配線層のうち下層側の配線層を上層側の配線層からそれぞれ電気的に分離して、これら下層側の配線層同士を電気的に接続してもよい。本変形例では、図10(B)に例示するように、最下層の配線層21dが上層側の配線層22d〜25dから電気的に分離され、互いに接続されている。
【0049】
これにより、接続された2つの配線層21dによって磁気シールド効果が発揮されることで、高周波ノイズに起因する無線通信時の影響を低減して、当該RFIDチップ30aの通信感度をさらに向上させることができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)図11は、各実施形態の変形例に係る半導体チップ10aの構成を概略的に示す説明図であり、図11(A)は側面図であり、図11(B)は上面図である。
本発明に係る電子装置は、上述したワイヤーボンディング構造の半導体チップ10に採用されることに限らず、例えば、図11に例示するように、外部端子41を介して他の装置と電気的に接続される所定の回路基板40に対してバンプ18を介してフリップチップ実装される半導体チップ10aなど他の電子装置に採用されてもよい。この場合、半導体チップ10a等の検査用パッド20には、上述したRFIDチップ30がスタック配置されることで、上述した作用効果を奏する。ここで、検査用パッド20およびRFIDチップ30は、上述した各実施形態およびその変形例等にて記載した特徴的構成を採用することで、それらの作用効果も奏することができる。
【0051】
(2)RFIDチップ30,30aは、検査用パッド20にスタック配置されること限らず、例えば、リード15に接続されていないパッドなど、モールド部材16によりパッケージされた状態では外部に接続されていない非接続パッドにスタック配置されてもよい。
【0052】
(3)RFIDチップ30,30aは、RFIDリーダ1を用いた無線通信により、メモリ35に記憶された情報を読み取り可能に構成されることに限らず、メモリ35に記憶された情報を読み書き可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10,10a…半導体チップ(電子装置)
11…回路ブロック
13…パッド
16…モールド部材(封止部材)
20,20a〜20d…検査用パッド(非接続パッド)
30,30a…RFIDチップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する回路が封止部材により封止されて構成される電子装置において、
前記RFIDチップは、前記回路上に形成される複数のパッドのうち前記封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記非接続パッドは、前記封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記RFIDチップは、直下の前記非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記RFIDチップは、2つの前記非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記RFIDチップが配置される前記非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記非接続パッドは、複数の配線層を備えており、これら複数の配線層のうちの一部が前記アンテナとして利用されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項1】
装置に関する情報が外部から読み取り可能に記憶されるRFIDチップを搭載する回路が封止部材により封止されて構成される電子装置において、
前記RFIDチップは、前記回路上に形成される複数のパッドのうち前記封止部材により封止された状態で外部に接続されていない非接続パッド上に配置されることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記非接続パッドは、前記封止部材により封止される前段階にて検査時に使用する検査用パッドであることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記RFIDチップは、直下の前記非接続パッドに電気的に接続されて当該非接続パッドをアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記RFIDチップは、2つの前記非接続パッドにそれぞれ電気的に接続されてこれら両非接続パッドをダイポールアンテナとして利用可能に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子装置。
【請求項5】
前記RFIDチップが配置される前記非接続パッドは、少なくとも一部がループ状に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の電子装置。
【請求項6】
前記非接続パッドは、複数の配線層を備えており、これら複数の配線層のうちの一部が前記アンテナとして利用されることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載の電子装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−145994(P2012−145994A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1646(P2011−1646)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]