説明

電子部品リペア機および生産ライン

【課題】リペア品質が高い電子部品リペア機および生産ラインを提供することを課題とする。
【解決手段】電子部品リペア機1は、電子部品Pr1が取り外された基板に、再び電子部品Pr2を装着するために用いられる。電子部品リペア機1は、電子部品Pr2を基板Brに接合する接合材料が配置されるディップ装置5と、ディップ装置5から基板Brに接合材料を供給する供給ノズル326と、電子部品Pr2が配置される部品供給装置6L、6Rと、部品供給装置6L、6Rから基板Brに電子部品Pr2を搬送する部品ノズル325と、ディップ装置5、供給ノズル326、部品ノズル325を制御する制御装置34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が取り外された基板に、再び電子部品を装着する電子部品リペア機および当該電子部品リペア機を備える生産ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に装着された電子部品の検査の際、検査不合格と判断された電子部品は、リペア処理される。電子部品のリペア方法は、部品取り外し工程と、クリーニング工程と、印刷工程と、実装工程と、を有している。
【0003】
部品取り外し工程においては、検査不合格の電子部品を、基板の装着座標から取り外す。クリーニング工程においては、基板のうち、電子部品が取り外された装着座標付近を洗浄する。印刷工程においては、当該装着座標付近にはんだを印刷する。実装工程においては、当該装着座標に再び電子部品を装着する。
【0004】
上記リペア方法の各工程は、作業者の手を介して実行される場合が多い。例えば、印刷工程においては、作業者が、個別パターンを有するマスクを用いて、はんだを基板に印刷している。すなわち、電子部品が取り外された装着座標に対応するパターンを有するマスクを当該装着座標に当接させ、マスクを介してはんだを塗布している。このため、はんだの塗布座標がずれやすい。また、はんだの厚さが不均一になりやすい。
【0005】
また、実装工程においては、作業者が、基板の電子部品が取り外された装着座標付近の画像を見ながら装着座標を確認し、電子部品を装着している。このため、装着座標に対して、実際の装着位置がずれやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−70399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この点に鑑み、特許文献1には、リペア方法のうち部品取り外し工程を自動化可能な、IC部品の剥離方法が開示されている。同文献記載の剥離方法によると、基板に装着されたIC部品にツールを被せ、当該ツールを水平面内において自身の軸回りに回転させることにより、IC部品を基板から剥がすことができる。このため、人の手を介さずに、自動的にIC部品を基板から剥がすことができる。
【0008】
しかしながら、同文献には、リペア方法のうち印刷工程と実装工程とを共に自動化可能な方法は開示されていない。上述したように、人の手を介して印刷工程を行うと、はんだの塗布座標がずれやすい。また、はんだの厚さが不均一になりやすい。また、人の手を介して実装工程を行うと、装着座標に対して、実際の装着位置がずれやすい。このように、人の手を介して印刷工程、実装工程を行うと、リペア品質が低下しやすい。
【0009】
特に、近年においては、携帯機器用の基板などで高密度実装化が進んでいる。このため、隣り合う電子部品間の間隔つまり実装ピッチが、段々狭くなっている。このような近年の傾向とも相俟って、人の手を介して印刷工程、実装工程を行う場合、より一層リペア品質が低下しやすくなっている。
【0010】
本発明の電子部品リペア機および生産ラインは、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、リペア品質が高い電子部品リペア機および生産ラインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するため、本発明の電子部品リペア機は、電子部品が取り外された基板に、再び該電子部品を装着する電子部品リペア機であって、前記電子部品を前記基板に接合する接合材料が配置されるディップ装置と、該ディップ装置から該基板に該接合材料を供給する供給ノズルと、該電子部品が配置される部品供給装置と、該部品供給装置から該基板に該電子部品を搬送する部品ノズルと、該ディップ装置、該供給ノズル、該部品ノズルを制御する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の電子部品リペア機の制御装置は、ディップ装置、供給ノズル、部品ノズルを制御している。ディップ装置には、接合材料が配置されている。制御装置は、供給ノズルを駆動して、ディップ装置の接合材料を基板の装着座標に供給する。部品供給装置には、電子部品が配置されている。制御装置は、部品ノズルを駆動して、部品供給装置の電子部品を基板の装着座標に装着する。
【0013】
このように、本発明の電子部品リペア機によると、リペア方法のうち印刷工程と実装工程とを共に自動化することができる。このため、人の手を介して印刷工程、実装工程を行う場合と比較して、印刷工程においては、はんだの塗布座標がずれにくくなる。また、はんだの厚さが不均一になりにくくなる。また、実装工程においては、装着座標に対して、実際の装着位置がずれにくくなる。したがって、リペア品質が向上する。
【0014】
(1−1)好ましくは、上記(1)の構成において、前記部品供給装置、前記部品ノズル、前記制御装置を備える電子部品実装機に、前記ディップ装置、前記供給ノズルがアドオンされている構成とする方がよい。
【0015】
本構成の電子部品リペア機は、既存の電子部品実装機を基に構成されている。このため、既存の電子部品実装機を電子部品リペア機として流用化することができる。したがって、汎用性が高い。また、電子部品リペア機の設置コストを削減することができる。また、基板の生産ラインに、別途、専用の電子部品リペア機を配置する必要がない。
【0016】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記供給ノズルは前記部品ノズルであり、該部品ノズルは、該部品ノズルに保持された前記電子部品により、前記接合材料を前記基板に供給する構成とする方がよい。
【0017】
本構成によると、リペア方法のうち印刷工程と実装工程とが連続的に行われる。すなわち、電子部品を実装する際、制御装置は、ディップ装置を経由するように、部品ノズルを駆動する。具体的には、部品ノズルは、部品供給装置で電子部品を取得し、ディップ装置で当該電子部品に接合材料を付着させ、基板の装着座標に当該電子部品を装着する。このため、装着と同時に接合材料の印刷が行われる。
【0018】
本構成によると、供給ノズルと部品ノズルとが共用化されている。このため、部品点数が少なくなる。また、印刷工程と実装工程とが別々に行われる場合と比較して、リペア処理に要する時間が短くなる。
【0019】
(3)好ましくは、上記(1)または(2)の構成において、前記供給ノズルおよび前記部品ノズルのうち、少なくとも一方を洗浄する洗浄液が配置されるノズル洗浄装置を備える構成とする方がよい。本構成によると、供給ノズルおよび部品ノズルのうち少なくとも一方を、自動的に洗浄することができる。
【0020】
(3−1)好ましくは、上記(3)の構成において、前記ノズル洗浄装置は、前記部品ノズルに保持された前記電子部品を洗浄する構成とする方がよい。検査不合格により基板から取り外された電子部品には、接合材料などが付着している場合がある。この場合、再び基板に装着する前に、電子部品を洗浄する必要がある。
【0021】
この点、本構成によると、制御装置で部品ノズルを駆動することにより、洗浄対象となる電子部品をノズル洗浄装置まで搬送することができる。そして、制御装置でノズル洗浄装置を駆動することにより、自動的に当該電子部品を洗浄することができる。
【0022】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、不良の前記電子部品を機外に排出する部品排出装置を備える構成とする方がよい。本構成によると、制御装置で部品ノズルを駆動することにより、基板に装着することができない不良の電子部品を、部品排出装置まで搬送することができる。そして、制御装置で部品排出装置を駆動することにより、自動的に当該電子部品を機外に排出することができる。
【0023】
(5)好ましくは、上記(1)ないし(4)のいずれかの構成において、前記電子部品に損傷を与えず前記接合材料を加熱する加熱ノズルと、加熱により軟化した該接合材料を洗浄可能な洗浄ノズルと、を備え、該加熱ノズルは、前記基板から取り外される該電子部品と、該基板と、を接合する該接合材料を加熱し、該接合材料を軟化させ、前記部品ノズルは、該接合材料が軟化した状態で、該電子部品を該基板から取り外し、該洗浄ノズルは、該電子部品が取り外された後の該基板を洗浄する構成とする方がよい。
【0024】
本構成によると、制御装置で加熱ノズルを駆動することにより、基板に電子部品を固定している接合材料を、加熱することができる。すなわち、自動的に、基板から電子部品を取り外しやすくすることができる。また、制御装置で洗浄ノズルを駆動することにより、自動的に基板の接合材料跡を洗浄することができる。
【0025】
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記供給ノズルと、前記部品ノズルと、前記加熱ノズルと、前記洗浄ノズルと、は単一の装着ヘッドに配置されている構成とする方がよい。
【0026】
本構成によると、四つのノズルが各々装着ヘッドを有する場合と比較して、四つのノズル(供給ノズルと部品ノズルとが共用化されている場合は三つのノズル)で、単一の装着ヘッドを共用化することができる。また、四つのノズルが各々装着ヘッド、装着ヘッドの駆動機構を有する場合と比較して、当該装着ヘッドの駆動機構を、四つのノズル(供給ノズルと部品ノズルとが共用化されている場合は三つのノズル)で共用化することができる。
【0027】
(5−2)好ましくは、上記(5)の構成において、前記部品ノズルと、前記加熱ノズルと、が共用化された共用ノズルを備える構成とする方がよい。本構成によると、接合材料を加熱後、直ちに当該電子部品を基板から取り外すことができる。このため、接合材料が再冷却され硬化する前に、電子部品を取り外すことができる。
【0028】
(6)上記課題を解決するため、本発明の生産ラインは、上記(1)ないし(5)のいずれかの電子部品リペア機と、該電子部品リペア機の上流側に配置され前記電子部品を前記基板に装着する電子部品実装機と、を備える生産ラインであって、前記電子部品リペア機は、前記電子部品を前記基板に装着する際、前記電子部品実装機用の装着データを流用することを特徴とする。
【0029】
本発明の生産ラインによると、電子部品実装機用の装着データ(例えば、生産プログラム、電子部品ごとの装着座標など)を用いて、電子部品リペア機が電子部品を基板に装着することができる。このため、装着座標に対して、実際の装着位置がずれにくくなる。したがって、リペア品質が向上する。
【発明の効果】
【0030】
本発明によると、リペア品質が高い電子部品リペア機および生産ラインを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第一実施形態の生産ラインの模式図である。
【図2】第一実施形態の電子部品リペア機の斜視図である。
【図3】同電子部品リペア機の上面図である。
【図4】同電子部品リペア機のXYロボットの斜視図である。
【図5】同電子部品リペア機の装着ヘッドの透過斜視図である。
【図6】同電子部品リペア機の供給ノズルの斜視図である。
【図7】同電子部品リペア機のディップ装置の斜視図である。
【図8】同ディップ装置の短手方向断面図である。
【図9】図8のIX−IX方向断面図である。
【図10】同電子部品リペア機のノズル洗浄装置の斜視図である。
【図11】同ノズル洗浄装置の前後方向断面図である。
【図12】図11のXII−XII方向断面図である。
【図13】同ノズル洗浄装置の分解斜視図である。
【図14】同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図である。
【図15】同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図である。
【図16】同装置本体の乾燥部の斜視図である。
【図17】同電子部品リペア機のブロック図である。
【図18】第一実施形態のリペア方法のノズル洗浄工程の洗浄ステップにおけるノズル洗浄装置の前後方向断面図である。
【図19】図18の枠XIX内の拡大図である。
【図20】同ノズル洗浄工程の乾燥ステップにおけるノズル洗浄装置の前後方向断面図である。
【図21】図20の枠XXI内の拡大図である。
【図22】第二実施形態の電子部品リペア機の装着ヘッドの上面透過図である。
【図23】(a)は同電子部品リペア機の共用ノズルの加熱状態における上下方向断面図である。(b)は同共用ノズルの吸着状態における上下方向断面図である。
【図24】同電子部品リペア機の洗浄ノズルの斜視図である。
【図25】第三実施形態の電子部品リペア機の共用ノズルの上下方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の電子部品リペア機および生産ラインの実施の形態について説明する。
【0033】
<<第一実施形態>>
<生産ラインの構成>
まず、本実施形態の生産ラインの構成について説明する。図1に、本実施形態の生産ラインの模式図を示す。図1に示すように、生産ライン9は、左側(上流側)から右側(下流側)に向かって、複数の電子部品実装機90と、リフロー炉91と、検査機92と、電子部品リペア機1と、を備えている。電子部品リペア機1は、検査機92の下流側に配置されている。
【0034】
生産ライン9を搬送される基板には、複数の電子部品実装機90により、段階的に多数の電子部品が装着される。リフロー炉91を通過することにより、基板に電子部品が接合される。電子部品の接合状態は、検査機92により検査される。検査において、装着座標に対する実際の装着位置の位置ずれなどの接合不良が電子部品にある場合や、電子部品が所望の機能を発揮できない場合は、検査不合格と判断される。検査不合格の場合は、電子部品リペア機1により、不合格の電子部品の代わりに、別の電子部品が基板に装着される。
【0035】
<電子部品リペア機の機械的構成>
次に、本実施形態の電子部品リペア機の機械的構成について説明する。図2に、本実施形態の電子部品リペア機の斜視図を示す。図3に、同電子部品リペア機の上面図を示す。図2においては、モジュール3のハウジングを透過して示す。図3においては、モジュール3のハウジングを省略して示す。図2、図3に示すように、電子部品リペア機1は、ベース2と、モジュール3と、ディップ装置5と、一対の部品供給装置6L、6Rと、ノズル洗浄装置7と、部品排出装置8と、を備えている。
【0036】
[ベース2、モジュール3]
ベース2は、工場のフロアに配置されている。モジュール3は、ベース2の上面に脱着可能に配置されている。モジュール3は、XYロボット31と、装着ヘッド32と、デバイスパレット33と、制御装置34(図1参照)と、画像処理装置37(図1参照)と、マークカメラ35と、パーツカメラ36と、を備えている。
【0037】
デバイスパレット33は、モジュール3の前部開口に装着されている。デバイスパレット33には、後述するように、部品排出装置8と、ノズル洗浄装置7と、一対の部品供給装置6L、6Rと、ディップ装置5と、が左側から右側に並んで取り付けられている。
【0038】
図4に、本実施形態の電子部品リペア機のXYロボットの斜視図を示す。X方向は左右方向に、Y方向は前後方向に、Z方向は上下方向に、各々、対応している。図4に示すように、XYロボット31は、Y方向スライダ310と、X方向スライダ311と、左右一対のY方向ガイドレール312と、上下一対のX方向ガイドレール313と、を備えている。
【0039】
左右一対のY方向ガイドレール312は、モジュール3のハウジング内部空間の上面に配置されている。Y方向スライダ310は、左右一対のY方向ガイドレール312に、前後方向に摺動可能に取り付けられている。上下一対のX方向ガイドレール313は、Y方向スライダ310の前面に配置されている。X方向スライダ311は、上下一対のX方向ガイドレール313に、左右方向に摺動可能に取り付けられている。
【0040】
装着ヘッド32は、X方向スライダ311に取り付けられている。このため、装着ヘッド32は、XYロボット31により、前後左右方向に移動可能である。図5に、本実施形態の電子部品リペア機の装着ヘッドの透過斜視図を示す。図5に示すように、装着ヘッド32は、ボールねじ部320と、第一Z軸モータ321と、昇降ロッド322と、ホルダ323、324と、部品ノズル325と、供給ノズル326と、を備えている。
【0041】
ボールねじ部320は、シャフト320aと、ナット320bと、を備えている。ボールねじ部320は、部品ノズル325を上下方向に移動させるノズル昇降機構としての機能を有している。シャフト320aは、上下方向に延在している。シャフト320aは、第一Z軸モータ321の回転軸に連結されている。ナット320bは、シャフト320aに螺合されている。ナット320bは、上下一対の挟持片320cを備えている。昇降ロッド322は、上下方向に延在している。昇降ロッド322の上端には、被挟持片322aが配置されている。被挟持片322aは、一対の挟持片320cにより、上下方向から挟持されている。ホルダ323は、昇降ロッド322の下端に配置されている。部品ノズル325は、ホルダ323に交換可能に取り付けられている。
【0042】
第一Z軸モータ321の回転軸が回転すると、シャフト320aが軸回りに回転し、ナット320bが上下方向に移動する。被挟持片322aは、一対の挟持片320cにより、上下方向から挟持されている。このため、昇降ロッド322は、ナット320bと共に、上下方向に移動する。したがって、ホルダ323および部品ノズル325は、上下方向に移動可能である。また、ホルダ323および部品ノズル325は、第一θ軸モータ(図略)により、軸回りに回転可能である。部品ノズル325には、配管(図略)を介して、負圧、または正圧が供給される。部品ノズル325は、電子部品の搬送体としての機能を有している。
【0043】
供給ノズル326は、部品ノズル325と同様のノズル昇降機構により、上下方向に移動可能である。また、供給ノズル326は、部品ノズル325と同様の回転機構により、軸回りに回転可能である。供給ノズル326は、ホルダ324に交換可能に取り付けられている。図6に、本実施形態の電子部品リペア機の供給ノズルの斜視図を示す。図6に示すように、供給ノズル326は、ホルダ吸着部326aと、フランジ部326bと、被洗浄部326cと、連結部326dと、を備えている。ホルダ吸着部326aは、円板状を呈している。ホルダ吸着部326aは、ホルダ324(図5参照)の下面に吸着している。フランジ部326bは、ホルダ吸着部326aより小径の円板状を呈している。フランジ部326bは、ホルダ吸着部326aの下方に配置されている。連結部326dは、上下方向に長い円柱状を呈している。連結部326dは、ホルダ吸着部326aとフランジ部326bとを連結している。被洗浄部326cは、多数の転写ピン326c1を備えている。多数の転写ピン326c1は、フランジ部326bの下面に配置されている。後述するディップ装置5により、多数の転写ピン326c1には、転写用のはんだが付着される。
【0044】
マークカメラ35は、装着ヘッド32に取り付けられている。パーツカメラ36は、デバイスパレット33の後方に配置されている。マークカメラ35は、基板Bf、Brの装着座標の位置決め用のマークを、上方から撮像可能である。パーツカメラ36は、部品ノズル325に吸着された電子部品や、供給ノズル326の被洗浄部326cを、下方から撮像可能である。
【0045】
[ディップ装置5]
図2に示すように、ディップ装置5は、デバイスパレット33の上面右端に取り付けられている。ディップ装置5には、後述するリペア方法の印刷工程において、電子部品を基板Bf、Brの装着座標に固定するための、はんだが配置されている。はんだは、本発明の「接合材料」の概念に含まれる。
【0046】
図7に、本実施形態の電子部品リペア機のディップ装置の斜視図を示す。なお、可動部51にハッチングを施す。図8に、同ディップ装置の短手方向断面図を示す。図9に、図8のIX−IX方向断面図を示す。図7〜図9に示すように、ディップ装置5は、基部50と、可動部51と、スキージ52と、を備えている。
【0047】
基部50は、基部本体500と、左右一対のガイドレール502と、を備えている。基部本体500は、デバイスパレット33の上面に取り付けられている。基部本体500は、前後方向に延在している。左右一対のガイドレール502は、各々、前後方向に延在している。左右一対のガイドレール502は、基部本体500の底壁上面に配置されている。
【0048】
可動部51は、可動部本体510と、ガイドレール511と、転写台512と、被ガイド片513と、フレーム514と、シリンジ保持部515と、シリンジ516と、液送管517と、を備えている。
【0049】
可動部本体510は、ブロック状を呈している。可動部本体510は、基部本体500の上方に配置されている。可動部本体510の下面には、左右一対の被ガイド凹部510aが配置されている。被ガイド凹部510aは、基部50のガイドレール502に摺接している。このため、アクチュエーター(図略)により、可動部51は、基部50に対して、前後方向に移動可能である。
【0050】
ガイドレール511は、前後方向に延在している。ガイドレール511は、可動部本体510の上面に配置されている。転写台512は、浅底のトレイ状を呈している。転写台512は、可動部本体510の上方に配置されている。転写台512の内部には、はんだの膜512aが形成されている。被ガイド片513は、細板状を呈している。被ガイド片513の下面には、被ガイド凹部513aが配置されている。被ガイド凹部513aは、ガイドレール511に摺接している。このため、アクチュエーター(図略)により、転写台512は、可動部本体510に対して、前後方向に移動可能である。
【0051】
フレーム514は、上方から見て、後方に開口するC字枠状を呈している。フレーム514は、可動部本体510の左右両端間に架設されている。フレーム514は、転写台512を跨いでいる。フレーム514の左右両縁間には、揺動軸540が、軸回りに回転可能に架設されている。
【0052】
シリンジ保持部515は、可動部本体510の前方に配置されている。シリンジ516は、円筒状を呈している。シリンジ516の内部には、はんだが貯留されている。シリンジ516は、シリンジ保持部515の立壁に、クリップ515aおよびベルト515bにより、固定されている。
【0053】
液送管517は、シリンジ516の下面に取り付けられている。スキージ52は、左方から見て逆V字板状を呈している。スキージ52は、フレーム514の左右両縁間に、揺動軸540を介して、揺動可能に取り付けられている。揺動することにより、スキージ52の逆V字両端は、はんだの膜512aに対して、交互に接触することができる。液送管517の下流端は、スキージ52の内部に挿入されている。液送管517を介して、スキージ52の内部には、はんだが供給される。
【0054】
[部品供給装置6L、6R]
図2に示すように、部品供給装置6L、6Rは、デバイスパレット33の上面に取り付けられている。部品供給装置6L、6Rは、ディップ装置5の左側に並設されている。部品供給装置6L、6Rには、後述するリペア方法の実装工程において、基板Bf、Brに装着するための、電子部品が配置されている。
【0055】
部品供給装置6L、6Rは、いわゆるシャトルコンベアである。部品供給装置6L、6Rは、各々、トレイ60L、60Rを備えている。トレイ60L、60Rは、コンベアベルト(図略)により、前後方向に往復動可能である。
【0056】
[ノズル洗浄装置7]
図2に示すように、ノズル洗浄装置7は、洗浄装置用ベース93を介して、デバイスパレット33の上面に取り付けられている。ノズル洗浄装置7は、部品供給装置6Lの左側に並設されている。ノズル洗浄装置7には、後述するリペア方法のノズル洗浄工程において、部品ノズル325や供給ノズル326を洗浄するための、洗浄液が配置されている。
【0057】
図10に、本実施形態の電子部品リペア機のノズル洗浄装置の斜視図を示す。図11に、同ノズル洗浄装置の前後方向断面図を示す。図12に、図11のXII−XII方向断面図を示す。図13に、同ノズル洗浄装置の分解斜視図を示す。図14に、同ノズル洗浄装置の装置本体の分解斜視図を示す。図15に、同装置本体のシャッター部、洗浄部付近の分解斜視図を示す。
【0058】
なお、図10においては、シャッター挿入部材741内部のシャッター740を、細線で示す。図11においては、断面よりも紙面手前側のレバー713を、一点鎖線で示す。図13においては、シャッター挿入部材741内部のシャッター740、一対の本体側係合部742L、742R、一対のプランジャ711L、711Rを細線で示す。図15においては、一対の本体側係合部742L、742Rを、細線で示す。図10〜図15に示すように、ノズル洗浄装置7は、装置本体70と基部71とを備えている。
【0059】
基部71は、上方に開口する浅底のトレイ状を呈している。基部71は、洗浄装置用ベース93(図2参照)の上面に固定されている。基部71は、一対の基部側係合部710L、710Rと、一対のプランジャ711L、711Rと、一対の揺動爪712L、712Rと、レバー713と、シャフト714と、を備えている。
【0060】
一対の基部側係合部710L、710Rは、基部71の底壁の上面の後縁付近に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。一対のプランジャ711L、711Rは、基部71の前壁の後面に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。
【0061】
シャフト714は、基部71の前壁付近に配置されている。シャフト714は、左右両側壁間に、軸回りに回転可能に架設されている。レバー713は、シャフト714の右端に固定されている。一対の揺動爪712L、712Rは、シャフト714に、左右方向に所定間隔だけ離間して、固定されている。このように、シャフト714を介して、レバー713と一対の揺動爪712L、712Rとは連結されている。したがって、作業者がレバー713を回動させると、シャフト714が回動し、一対の揺動爪712L、712Rが揺動する。
【0062】
装置本体70は、洗浄部72と、乾燥部73と、シャッター部74と、弾性部材75と、外板76と、リテーナー77と、を備えている。
【0063】
シャッター部74は、シャッター740と、シャッター挿入部材741と、一対の本体側係合部742L、742Rと、前壁743と、を備えている。シャッター740は、長方形板状を呈している。シャッター740の略中央には、シャッター側挿通孔740aが配置されている。シャッター側挿通孔740aは、シャッター740を上下方向に貫通している。
【0064】
シャッター挿入部材741は、前方に開口する薄型の角筒状を呈している。シャッター挿入部材741は、一対の挿入部材側挿通孔741b、741cと、スリット741dと、を備えている。一対の挿入部材側挿通孔741b、741cは、シャッター挿入部材741の略中央に配置されている。スリット741dは、シャッター挿入部材741の前面に開口している。シャッター740は、スリット741dを介して、シャッター挿入部材741に挿入される。
【0065】
一対の本体側係合部742L、742Rは、シャッター挿入部材741の下壁の下面の後縁付近に、左右方向に所定間隔だけ離間して、配置されている。本体側係合部742L、742Rと基部側係合部710L、710Rとは脱着可能に係合している。
【0066】
前壁743は、シャッター挿入部材741の下壁の下面前縁から、下方に向かって突設されている。前壁743は、一対の被係合部743aL、743aRを備えている。被係合部743aL、743aRには、一対の揺動爪712L、712Rが係脱可能に係合している。前壁743の前面には、プランジャ711L、711Rの先端(後端)が当接している。
【0067】
リテーナー77は、上方に開口する角筒状を呈している。リテーナー77は、シャッター挿入部材741の下壁の下面に伏設されている。挿入部材側挿通孔741cは、リテーナー77の内部に収容されている。
【0068】
洗浄部72は、洗浄槽720とブラシ721とを備えている。洗浄部72は、リテーナー77の内部に収容されている。洗浄槽720は、上方に開口する角筒状を呈している。洗浄槽720の内部には、洗浄液Lが貯留されている。ブラシ721は、洗浄液Lに浸漬した状態で、洗浄槽720の内部に収容されている。
【0069】
乾燥部73は、乾燥部材730とフィルター731とを備えている。乾燥部73は、シャッター挿入部材741の上壁の上面に積層されている。図16に、本実施形態の電子部品リペア機のノズル洗浄装置の装置本体の乾燥部の斜視図を示す。図16においては、乾燥部材730内部の気体通路730b、フィルター731を細線で示す。
【0070】
図16に示すように、乾燥部材730は、乾燥部側挿通孔730aと、気体通路730bと、を備えている。乾燥部側挿通孔730aは、乾燥部材730の略中央に配置されている。乾燥部側挿通孔730aは、円形であって、乾燥部材730を上下方向に貫通している。気体通路730bは、乾燥部材730の内部に配置されている。気体通路730bは、給気管95と排気管96との間を繋いでいる。気体通路730bは、乾燥部側挿通孔730aと、不織布製のフィルター731と、を経由している。
【0071】
図10〜図15に戻って、弾性部材75は、乾燥部材730の上面に積層されている。弾性部材75は、弾性部材側挿通孔750を備えている。弾性部材側挿通孔750は、弾性部材75の略中央に配置されている。外板76は、弾性部材75の上面に積層されている。外板76は、長方形板状を呈している。外板76の略中央には、外板側挿通孔760が配置されている。
【0072】
[部品排出装置8]
図2に示すように、部品排出装置8は、デバイスパレット33の上面に取り付けられている。部品排出装置8は、ノズル洗浄装置7の左側に並設されている。部品排出装置8には、後述するリペア方法の部品排出工程において、不良の電子部品を機外に排出するための、ベルトコンベア80が配置されている。
【0073】
<電子部品リペア機の電気的構成>
次に、本実施形態の電子部品リペア機の電気的構成について説明する。図1に示すように、多数の電子部品実装機90の制御装置900と、検査機92の制御装置920と、電子部品リペア機1の制御装置34と、は上位制御装置94を介して、電気的に接続されている。
【0074】
図17に、本実施形態の電子部品リペア機のブロック図を示す。図17に示すように、制御装置34は、演算部340と、記憶部341と、入出力インターフェイス342と、多数の駆動回路と、を備えている。
【0075】
入出力インターフェイス342には、各々、駆動回路を介して、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319b、装着ヘッド32の第一Z軸モータ321、第一θ軸モータ327、第二Z軸モータ328、第二θ軸モータ329が電気的に接続されている。入出力インターフェイス342には、画像処理装置37が電気的に接続されている。画像処理装置37には、マークカメラ35、パーツカメラ36が電気的に接続されている。
【0076】
図4に示すように、X軸モータ319aは、X方向スライダ311を駆動する。また、Y軸モータ319bは、Y方向スライダ310を駆動する。図5に示すように、第一Z軸モータ321は、部品ノズル325を駆動する。第一θ軸モータ327は、装着ヘッド32に対して、部品ノズル325を水平面内で回転させる。第二Z軸モータ328は、供給ノズル326を駆動する。第二θ軸モータ329は、装着ヘッド32に対して、供給ノズル326を水平面内で回転させる。
【0077】
また、入出力インターフェイス342は、ディップ装置5、部品供給装置6L、6R、ノズル洗浄装置7、部品排出装置8と電気的に接続されている。
【0078】
制御装置34の記憶部341には、電子部品のリペア処理に必要なプログラムが格納されている。また、図1に示すように、制御装置34には、上位制御装置94を介して、電子部品実装機90の制御装置900から、各種電子部品ごとの装着データ(例えば、生産プログラム、電子部品ごとの装着座標など)が伝送される。演算部340は、装着データを基に、電子部品を基板Bf、Brに実装する。
【0079】
<電子部品のリペア方法>
次に、本実施形態の電子部品リペア機を用いた電子部品のリペア方法について説明する。図1に示すように、基板は、生産ライン9を左側(上流側)から右側(下流側)に向かって搬送される。多数の電子部品実装機90においては、クリーム状のはんだが印刷された基板に、段階的に、各種電子部品が装着される。リフロー炉91においては、はんだが溶融し、電子部品が基板に接合される。検査機92においては、基板に対する電子部品の接合状態が検査される。検査において、装着座標に対する実際の装着位置の位置ずれなどの接合不良が電子部品にある場合や、電子部品が所望の機能を発揮できない場合は、検査不合格と判断される。電子部品リペア機1においては、検査不合格の電子部品に対して、リペア方法が実行される。リペア方法は、部品取り外し工程と、クリーニング工程と、印刷工程と、実装工程と、部品排出工程と、ノズル洗浄工程と、を有している。以下、図3に示すように、電子部品Pr1が検査不合格の場合を例示して説明する。
【0080】
[部品取り外し工程]
本工程においては、電子部品Pr1を、基板Brの装着座標br(図3に、ハッチングを施して示す。)から取り外す。具体的には、まず、作業者が、ハンディタイプのヒータを用いて、電子部品Pr1を加熱する。なお、加熱温度は、電子部品Pr1に損傷を与えず、はんだが軟化する温度に調整する。続いて、はんだが軟化したら、作業者が、電子部品Pr1を装着座標brから取り外す。それから、取り外した電子部品Pr1に付着しているはんだを、作業者がヒータや洗浄剤を用いて取り除く。そして、掃除後の電子部品Pr1を、作業者が機外に排出する。あるいは、電子部品Pr1の種類によっては、部品供給装置6Lのトレイ60L、または部品供給装置6Rのトレイ60Rに、掃除後の電子部品Pr1を載置する。
【0081】
[クリーニング工程]
本工程においては、基板Brの装着座標br付近を掃除する。具体的には、装着座標br付近に付着しているはんだを、作業者がヒータや洗浄剤を用いて取り除く。
【0082】
[印刷工程]
本工程においては、掃除後の装着座標brに、所定のパターンではんだを印刷する。具体的には、まず、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、ディップ装置5の転写台512の真上まで移動させる。
【0083】
次に、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第二Z軸モータ328を駆動する。そして、図9に示すように、供給ノズル326を下降させることにより、多数の転写ピン326c1(図6参照)を転写台512のはんだの膜512aに当接させる。多数の転写ピン326c1には、はんだが付着する。
【0084】
続いて、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第二Z軸モータ328を駆動する。そして、図9に示すように、供給ノズル326を上昇させる。
【0085】
それから、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、装着座標brの真上まで移動させる。
【0086】
移動の途中、供給ノズル326は、パーツカメラ36の上方を経由する。この際、図17に示すように、パーツカメラ36と画像処理装置37により、多数の転写ピン326c1に対するはんだの付着状態が検査される。検査の結果、多数の転写ピン326c1の方向と、基板Brにおける印刷パターンの方向と、が合致していない場合、駆動回路を介して、制御装置34が、第二θ軸モータ329を駆動する。そして、図3に示すように、供給ノズル326を回転させることにより、多数の転写ピン326c1の方向を調整する。
【0087】
その後、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第二Z軸モータ328を駆動する。そして、図3に示すように、供給ノズル326を下降させることにより、多数の転写ピン326c1(図6参照)を装着座標brに当接させる。装着座標brには、多数の転写ピン326c1から、所定の印刷パターンで、はんだが転写される。
【0088】
[実装工程]
本工程においては、はんだ印刷後の装着座標brに、電子部品Pr2を装着する。具体的には、まず、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、部品供給装置6Rのトレイ60Rの電子部品Pr2の真上まで、移動させる。
【0089】
次に、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第一Z軸モータ321を駆動する。そして、図3に示すように、部品ノズル325を下降させ、部品ノズル325で電子部品Pr2を吸着する。
【0090】
続いて、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第一Z軸モータ321を駆動する。そして、図5に示すように、部品ノズル325を上昇させる。
【0091】
それから、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、装着座標brの真上まで移動させる。
【0092】
移動の途中、部品ノズル325は、パーツカメラ36の上方を経由する。この際、図17に示すように、パーツカメラ36と画像処理装置37により、電子部品Pr2の吸着状態が検査される。検査の結果、電子部品Pr2の方向と、基板Brにおける装着予定方向と、が合致していない場合、駆動回路を介して、制御装置34が、第一θ軸モータ327を駆動する。そして、図3に示すように、部品ノズル325を回転させることにより、電子部品Pr2の方向を調整する。
【0093】
その後、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第一Z軸モータ321を駆動する。そして、図3に示すように、供給ノズル326を下降させることにより、電子部品Pr2を装着座標brに装着する。
【0094】
なお、図1に示すように、制御装置34には、上位制御装置94を介して、電子部品実装機90の制御装置900から、電子部品Pr2の装着データ(例えば、生産プログラム、装着座標brなど)が伝送される。印刷工程、実装工程において、制御装置34は、当該装着データを用いて、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。
【0095】
[部品排出工程]
上述したように、実装工程においては、図17に示すように、パーツカメラ36と画像処理装置37により、電子部品Pr2の吸着状態が検査される。検査の結果、電子部品Pr2が不良品である(例えば汚れている)と判断された場合は、制御装置34により、本工程が実行される。
【0096】
具体的には、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、部品排出装置8のベルトコンベア80の後端の真上まで、移動させる。次に、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第一Z軸モータ321を駆動する。そして、図3に示すように、部品ノズル325を下降させ、不良の電子部品Pr2をベルトコンベア80に載置する。それから、図17に示すように、制御装置34がベルトコンベア80を駆動することにより、不良の電子部品Pr2を前方に搬送させる。つまり、不良の電子部品を機外に排出する。
【0097】
その後、トレイ60L、60Rに配置されている、排出された電子部品Pr2と同種の電子部品に対して、実装工程が実行される。
【0098】
[ノズル洗浄工程]
上述したように、印刷工程においては、図17に示すように、パーツカメラ36と画像処理装置37により、多数の転写ピン326c1に対するはんだの付着状態が検査される。検査の結果、はんだの付着状態が悪い場合(例えば、隣り合う転写ピン326c1同士がはんだで繋がっている場合など)は、制御装置34により、本工程が実行される。本工程は、洗浄ステップと乾燥ステップとを有している。
【0099】
(洗浄ステップ)
図18に、ノズル洗浄工程の洗浄ステップにおけるノズル洗浄装置の前後方向断面図を示す。図19に、図18の枠XIX内の拡大図を示す。洗浄ステップにおいては、まず、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、XYロボット31のX軸モータ319a、Y軸モータ319bを駆動する。そして、図3に示すように、装着ヘッド32を、ノズル洗浄装置7の弾性部材側挿通孔750の真上まで、移動させる。また、図11に示すように、シャッター740を開状態にする。すなわち、外板側挿通孔760、弾性部材側挿通孔750、乾燥部側挿通孔730a、挿入部材側挿通孔741b、シャッター側挿通孔740a、挿入部材側挿通孔741cを、上下方向(図18に示す供給ノズル326の挿入方向)に連通させる。
【0100】
次に、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第二Z軸モータ328を駆動する。そして、図18に示すように、供給ノズル326を下降させる。すなわち、図18、図19に示すように、外板側挿通孔760、弾性部材側挿通孔750、乾燥部側挿通孔730a、挿入部材側挿通孔741b、シャッター側挿通孔740a、挿入部材側挿通孔741cを介して、供給ノズル326の被洗浄部326cを、ブラシ721に当接させる。また、被洗浄部326cを、洗浄液Lに浸漬する。この状態で、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、X軸モータ319a、Y軸モータ319b、第二θ軸モータ329を適宜駆動する。そして、図19に示すように、被洗浄部326cを、前後左右方向、回転方向に移動させる。すなわち、被洗浄部326cを、ブラシ721に擦りつける。このようにして、被洗浄部326cを掃除する。
【0101】
(乾燥ステップ)
図20に、ノズル洗浄工程の乾燥ステップにおけるノズル洗浄装置の前後方向断面図を示す。図21に、図20の枠XXI内の拡大図を示す。乾燥ステップにおいては、まず、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、装着ヘッド32の第二Z軸モータ328を駆動する。そして、図20に示すように、供給ノズル326を上昇させる。すなわち、図20、図21に示すように、供給ノズル326を弾性部材側挿通孔750の径方向内側に配置する。また、フランジ部326bの下端と弾性部材側挿通孔750の下端とを、略面一に揃える。次に、シャッター740を前方にスライドさせることにより、外板側挿通孔760、弾性部材側挿通孔750、乾燥部側挿通孔730a、挿入部材側挿通孔741b、挿入部材側挿通孔741cに対して、シャッター側挿通孔740aを、前方にずらす。
【0102】
フランジ部326bの外周面と弾性部材側挿通孔750の内周面との間には、微小な隙間Cが形成される。図21に太線で示すように、隙間C、気体通路730bの開口を除いて、シャッター740上方の乾燥室Sは、外部から封止されている。
【0103】
それから、図17に示すように、駆動回路を介して、制御装置34が、第二θ軸モータ329を駆動する。つまり、供給ノズル326を軸回りに回転させる。並びに、気体通路730bを介して、乾燥室Sに空気Gを吹き込む。被洗浄部326cに付着した洗浄液L、塵埃は、空気Gにより吹き飛ばされる。図16に示すように、空気G中の洗浄液L、塵埃は、フィルター731により取り除かれる。このため、排気管96からは、清浄な空気Gが排気される。その後、洗浄、乾燥された供給ノズル326を用いて、印刷工程が実行される。
【0104】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品リペア機1および生産ライン9の実施の作用効果について説明する。図17に示すように、本実施形態の電子部品リペア機1の制御装置34は、ディップ装置5、部品供給装置6L、6R、ノズル洗浄装置7、部品排出装置8を制御している。また、制御装置34は、図3に示すように、XYロボット31、装着ヘッド32を介して、供給ノズル326、部品ノズル325を制御している。
【0105】
ディップ装置5には、はんだが配置されている。制御装置34は、図3に示すように、供給ノズル326を駆動して、ディップ装置5のはんだを基板Brの装着座標brに供給する。部品供給装置6L、6Rには、再利用に供される電子部品Pr2が配置されている。制御装置34は、部品ノズル325を駆動して、部品供給装置6L、6Rの電子部品Pr2を基板Brの装着座標brに装着する。
【0106】
このように、本実施形態の電子部品リペア機1によると、リペア方法のうち印刷工程と実装工程とを共に自動化することができる。このため、人の手を介して印刷工程、実装工程を行う場合と比較して、印刷工程においては、はんだの塗布座標がずれにくくなる。また、はんだの厚さが不均一になりにくくなる。また、実装工程においては、装着座標brに対して、実際の装着位置がずれにくくなる。したがって、リペア品質が向上する。
【0107】
また、本実施形態の電子部品リペア機1は、図1に示す電子部品実装機90を基に構成されている。具体的には、図2に示す電子部品リペア機1の構成部材のうち、ディップ装置5、ノズル洗浄装置7、部品排出装置8、供給ノズル326以外の構成部材は、電子部品実装機90用である。このため、本実施形態の電子部品リペア機1によると、既存の電子部品実装機90を電子部品リペア機1として流用化することができる。したがって、汎用性が高い。また、電子部品リペア機1の設置コストを削減することができる。また、生産ライン9に、別途、専用の電子部品リペア機を配置する必要がない。
【0108】
また、本実施形態の電子部品リペア機1には、ノズル洗浄装置7が配置されている。このため、供給ノズル326、あるいは部品ノズル325を自動的に洗浄することができる。
【0109】
また、本実施形態の電子部品リペア機1には、部品排出装置8が配置されている。このため、基板Brに装着することができない不良の電子部品Pr2を、自動的に機外に排出することができる。
【0110】
また、本実施形態の生産ライン9によると、電子部品実装機90用の装着データ(例えば、生産プログラム、電子部品ごとの装着座標など)を用いて、電子部品リペア機1が電子部品を基板に装着することができる。このため、装着座標に対して、実際の装着位置がずれにくくなる。したがって、リペア品質が向上する。
【0111】
<<第二実施形態>>
本実施形態と第一実施形態との相違点は、装着ヘッドに三つのノズルが配置されている点である。また、リペア方法において、部品取り外し工程、クリーニング工程が自動化されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。また、説明においては、第一実施形態の図1〜図21を、便宜上、適宜援用する。
【0112】
図22に、本実施形態の電子部品リペア機の装着ヘッドの上面透過図を示す。なお、図5と対応する部位については、同じ符号で示す。図22に示すように、装着ヘッド32の下面には、共用ノズル350と、洗浄ノズル351と、供給ノズル326と、が配置されている。これら三つのノズルは、各々、図5に示すノズル昇降機構により、上下動可能である。また、これら三つのノズルは、各々、図17に示す制御装置34により、制御されている。
【0113】
図23(a)に、本実施形態の電子部品リペア機の共用ノズルの加熱状態における上下方向断面図を示す。図23(b)に、同共用ノズルの吸着状態における上下方向断面図を示す。
【0114】
図23(a)、図23(b)に示すように、共用ノズル350は、基部350aと、外側ガイド部350bと、スリーブ350cと、内側ガイド部350dと、ヒータ350hと、を備えている。基部350aは、円筒状を呈している。基部350aは、図22に示す装着ヘッド32に接続されている。基部350aの外周面には、円環状のフランジ部350eが配置されている。基部350aの側周壁には、複数の外側通孔350fが穿設されている。
【0115】
スリーブ350cは、円筒状を呈している。スリーブ350cは、基部350aの径方向内側に配置されている。スリーブ350cの側周壁には、複数の内側通孔350gが穿設されている。昇降装置(図略)により、スリーブ350cは、基部350aに対して、上下方向に移動可能である。このため、内側通孔350gと外側通孔350fとは、径方向に連通、遮断可能である。
【0116】
内側ガイド部350dは、円筒状を呈している。内側ガイド部350dは、基部350aの下端付近(外側通孔350fよりも下方)に環装されている。共用ノズル350が下降している状態において、内側ガイド部350dの径方向内側には、バンプタイプの電子部品Pr1が収容されている。電子部品Pr1の上面は、基部350a、スリーブ350cの下端開口を塞いでいる。
【0117】
外側ガイド部350bは、円筒状を呈している。外側ガイド部350bは、所定間隔だけ離間して、基部350aの径方向外側に配置されている。外側ガイド部350bは、フランジ部350eの下面から下方に延在している。共用ノズル350が下降している状態において、外側ガイド部350bは基板Brに伏設されている。
【0118】
ヒータ350hは、電熱タイプのヒータである。ヒータ350hは、外側ガイド部350bの内周面に配置されている。ヒータ350hは、外側通孔350fに径方向に対向している。
【0119】
図23(a)に示すように、電子部品Pr1のバンプPr1Bを加熱する場合は、内側通孔350gと外側通孔350fとが径方向に連通するように、制御装置がスリーブ350cを下降させる。そして、制御装置が、図22に示す装着ヘッド32からスリーブ350cの径方向内側の空間に、空気を供給する。図中、白抜き矢印で示すように、空気は、スリーブ350cの径方向内側の空間から、内側通孔350gと外側通孔350fとを介して、基部350aと外側ガイド部350bとの間の空間に流れ込む。この際、空気は、通電状態のヒータ350hにより、加熱される。加熱された空気は、内側ガイド部350dと外側ガイド部350bとの間の空間を介して、電子部品Pr1の下側に回り込む。そして、加熱された空気は、はんだ製のバンプPr1Bを軟化させる。なお、空気の温度は、電子部品Pr1に損傷を与えず、バンプPr1Bが軟化する温度に調整されている。
【0120】
図23(b)に示すように、電子部品Pr1を吸着する場合は、内側通孔350gと外側通孔350fとが上下方向にずれるように、制御装置がスリーブ350cを上昇させる。そして、制御装置が、図22に示す装着ヘッド32からスリーブ350cの径方向内側の空間に、負圧を供給する。図中、白抜き矢印で示すように、負圧により、電子部品Pr1は、基部350aの下端開口に吸引される。この状態で共用ノズル350を上昇させることにより、基板Brから電子部品Pr1を取り出す。
【0121】
図24に、本実施形態の電子部品リペア機の洗浄ノズルの斜視図を示す。図24に示すように、洗浄ノズル351のフランジ部351bの下面には、洗浄布351cが装着されている。洗浄布351cには、図18に示すノズル洗浄装置7の洗浄液Lが含浸されている。
【0122】
本実施形態のリペア方法は、部品取り外し工程と、クリーニング工程と、印刷工程と、実装工程と、部品排出工程と、ノズル洗浄工程と、を有している。
【0123】
部品取り外し工程においては、まず、図17に示すように、制御装置34により、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。そして、図22、図3に示すように、共用ノズル350を電子部品Pr1の真上まで移動させる。次に、図23(a)に示すように、制御装置34により、共用ノズル350から電子部品Pr1のバンプPr1Bに、熱風を吹き付ける。熱風により、図23(b)に示すように、バンプPr1Bが軟化する。
【0124】
続いて、図17に示すように、制御装置34により、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。そして、図22、図3に示すように、共用ノズル350により、電子部品Pr1を、装着座標brから剥離させ、部品排出装置8のベルトコンベア80に載置する。
【0125】
このように、部品取り外し工程においては、検査不合格の電子部品Pr1が、自動的に基板Brから取り外される。また、電子部品Pr1が、自動的にベルトコンベア80に並べられる。
【0126】
なお、電子部品Pr1の種類によっては、共用ノズル350により、電子部品Pr1を、装着座標brから剥離させ、ノズル洗浄装置7まで移動させ、ノズル洗浄装置7で共用ノズル350に吸着されたままの電子部品Pr1を洗浄、乾燥する場合もある。そして、共用ノズル350により、電子部品Pr1を、トレイ60Lまたはトレイ60Rに自動的に並べる場合もある。
【0127】
クリーニング工程においては、まず、図17に示すように、制御装置34により、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。そして、図22、図3に示すように、洗浄ノズル351をノズル洗浄装置7まで移動させる。それから、図24、図3、図18に示すように、洗浄布351cを洗浄液Lに漬ける。そして、洗浄布351cに洗浄液Lを染みこませる。
【0128】
続いて、図17に示すように、制御装置34により、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。そして、図22、図3に示すように、洗浄ノズル351を、ノズル洗浄装置7から装着座標brの真上まで、移動させる。次に、制御装置34により、装着ヘッド32を駆動し、洗浄ノズル351を下降させる。そして、洗浄布351cを装着座標br付近に当接させる。それから、この状態のまま、制御装置34により、装着ヘッド32を前後左右方向に適宜往復動させる。また、洗浄ノズル351を適宜回転させる。すなわち、洗浄布351cを基板Brに摺接させることにより、装着座標br付近を掃除する。
【0129】
このように、クリーニング工程においては、電子部品Pr1が取り外された後の装着座標br付近が、自動的に掃除される。その後の工程(印刷工程、実装工程、部品排出工程、ノズル洗浄工程)については、第一実施形態のリペア方法と同様である。このため、説明を割愛する。
【0130】
なお、図1に示すように、制御装置34には、上位制御装置94を介して、電子部品実装機90の制御装置900から、電子部品Pr1の装着データ(例えば、生産プログラム、装着座標brなど)が伝送される。部品取り外し工程、クリーニング工程において、制御装置34は、当該装着データを用いて、XYロボット31、装着ヘッド32を駆動する。
【0131】
本実施形態の電子部品リペア機および生産ラインと、第一実施形態の電子部品リペア機および生産ラインとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。また、本実施形態の電子部品リペア機および生産ラインによると、印刷工程、実装工程、部品排出工程、ノズル洗浄工程のみならず、部品取り外し工程、クリーニング工程までも、自動化することができる。
【0132】
また、本実施形態の電子部品リペア機および生産ラインによると、三つのノズルで、単一の装着ヘッド32を共用化することができる。また、装着ヘッド32の駆動機構(XYロボット31)を、三つのノズルで共用化することができる。このため、部品点数が少なくなる。
【0133】
また、本実施形態の電子部品リペア機および生産ラインによると、バンプPr1Bを加熱後、直ちに電子部品Pr1を基板Brから取り外すことができる。このため、はんだが再冷却され硬化する前に、電子部品Pr1を取り外すことができる。
【0134】
<<第三実施形態>>
本実施形態と第二実施形態との相違点は、共用ノズルとして、バンプタイプの電子部品用ではなく、リードタイプの電子部品用の共用ノズルが配置されている点である。ここでは、相違点についてのみ説明する。
【0135】
図25に、本実施形態の電子部品リペア機の共用ノズルの上下方向断面図を示す。なお、図23(a)と対応する部位については、同じ符号で示す。図25に示すように、共用ノズル353は、基部353aと、外筒部353bと、ヒータ353hと、を備えている。基部353aは、円筒状を呈している。基部350aは、装着ヘッド32(図22参照)に接続されている。基部353aの外周面には、円環状のフランジ部353eが配置されている。共用ノズル353が下降している状態において、リードタイプの電子部品Pr1の上面は、基部353aの下端開口を塞いでいる。
【0136】
外筒部353bは、基部353aの径方向外側に配置されている。外筒部353bは、フランジ部353eの下方に配置されている。外筒部353bの下方には、伝熱部353fが配置されている。共用ノズル353が下降している状態において、伝熱部353fは、電子部品Pr1のリードPr1Lに当接している。
【0137】
ヒータ353hは、電熱タイプのヒータである。ヒータ353hは、外筒部353bの内周面に配置されている。ヒータ353hは、伝熱部353fの上端に当接している。
【0138】
電子部品Pr1のリードPr1Lを加熱する場合は、ヒータ353hに通電する。ヒータ353hの熱は、伝熱部353fを介して、リードPr1Lに伝達される。当該熱により、リードPr1Lのはんだを軟化させる。
【0139】
電子部品Pr1を吸着する場合は、装着ヘッド32(図22参照)から基部353aの径方向内側の空間に、負圧を供給する。図中、白抜き矢印で示すように、負圧により、電子部品Pr1は、基部353aの下端開口に吸引される。この状態で共用ノズル353を上昇させることにより、基板Brから電子部品Pr1を取り出す。
【0140】
本実施形態の電子部品リペア機および生産ラインと、第一実施形態の電子部品リペア機および生産ラインとは、構成が共通する部分に関しては、同様の作用効果を有する。本実施形態のように、熱伝導を利用してはんだを軟化させてもよい。
【0141】
<<その他>>
以上、本発明の電子部品リペア機および生産ラインの実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0142】
上記実施形態においては、図5に示すように、供給ノズル326と部品ノズル325とを別々に配置したが、部品ノズル325と供給ノズル326とを共用化してもよい。
【0143】
この場合、リペア方法のうち印刷工程と実装工程とが連続的に行われる。すなわち、図3に示すように、電子部品Pr2を実装する際、制御装置34は、ディップ装置5を経由するように、部品ノズル325を駆動する。具体的には、部品ノズル325は、部品供給装置6Rで電子部品Pr2を取得し、ディップ装置5で電子部品Pr2にはんだを付着させ、基板Brの装着座標brに電子部品Pr2を装着する。このため、装着と同時にはんだの印刷が行われる。
【0144】
こうすると、供給ノズル326と部品ノズル325とが共用化されている分だけ、電子部品リペア機1の部品点数が少なくなる。また、印刷工程と実装工程とが別々に行われる場合と比較して、リペア処理に要する時間が短くなる。
【0145】
また、電子部品のリペア方法におけるノズル洗浄工程の実行頻度は特に限定しない。複数回のリペア方法に対して、ノズル洗浄工程を一回実行してもよい。また、リペア方法を実行する度に、ノズル洗浄工程を実行してもよい。また、供給ノズル326、部品ノズル325の汚れ具合に応じて、随時ノズル洗浄工程を実行してもよい。また、ノズル洗浄工程は、部品ノズル325に対して実行してもよい。
【0146】
また、第二実施形態のリペア方法の部品取り外し工程においては、図23に示すように、熱風によりはんだを軟化させた。また、第三実施形態のリペア方法の部品取り外し工程においては、図25に示すように、熱伝導によりはんだを軟化させた。しかしながら、軟化方法は特に限定しない。例えば、誘導加熱などを用いてはんだを軟化させてもよい。
【0147】
また、第二実施形態、第三実施形態のリペア方法のクリーニング工程においては、図24に示すように、洗浄ノズル351の洗浄布351cで拭き取ることにより、装着座標br付近を掃除した。しかしながら、掃除機のように、洗浄ノズル351から負圧を発生し、軟化したはんだを吸引することにより、装着座標br付近を掃除してもよい。
【0148】
また、第二実施形態、第三実施形態においては、加熱ノズルと部品ノズルとが共用化された共用ノズル350を用いたが、加熱ノズルと部品ノズルとを別々に配置してもよい。
【0149】
また、上記実施形態においては、図3に示すように、トレイ60L、60Rにより電子部品Pr2を供給したが、テープフィーダやボウルフィーダなどにより電子部品Pr2を供給してもよい。
【0150】
また、上記実施形態においては、図1に示すように、リフロー炉91の下流側に電子部品リペア機1を配置したが、電子部品リペア機1の位置は特に限定しない。例えば、電子部品リペア機1をリフロー炉91の上流側に配置してもよい。すなわち、はんだを加熱する前に、リペアしてもよい。この場合、はんだを加熱する必要がないため、加熱ノズルが不要になる。また、電子部品リペア機1をリフロー炉91の上流側に配置する場合、電子部品リペア機1の上流側および下流側に、検査機92を配置してもよい。また、別ラインとして、電子部品リペア機1とリフロー炉91とを配置してもよい。また、単一の生産ライン9に、複数の電子部品リペア機1を配置してもよい。
【0151】
また、上記第二実施形態、第三実施形態において、図23(a)、図23(b)、図25に示す基板Brの下面(裏面)に、バックアップヒータを配置してもよい。こうすると、はんだがさらに軟化しやすくなる。
【0152】
本発明の電子部品リペア機で用いられる電子部品の種類は特に限定しない。電子部品は、各種チップ部品、各種パッケージであってもよい。例えば、角チップ、IC(Integrated Circuit)、CSP(Chip Size Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−leaded)、CFP(Ceramic Flat Package)、SOT(Small Outline Transistor)、QFP(Quad Flat Package)、PLCC(Plastic leaded chip carrier)、BGA(Ball grid array)、LGA(Land grid array)、LLCC(Lead less chip carrier)、TCP(Tape carrier package)、LLP(Leadless Leadframe Package)、DFN(Dual Flatpack No−leaded)などであってもよい。
【符号の説明】
【0153】
1:電子部品リペア機、2:ベース、3:モジュール、5:ディップ装置、6L:部品供給装置、6R:部品供給装置、7:ノズル洗浄装置、8:部品排出装置、9:生産ライン。
31:XYロボット、32:装着ヘッド、33:デバイスパレット、34:制御装置、35:マークカメラ、36:パーツカメラ、37:画像処理装置、50:基部、51:可動部、52:スキージ、60L:トレイ、60R:トレイ、70:装置本体、71:基部、72:洗浄部、73:乾燥部、74:シャッター部、75:弾性部材、76:外板、77:リテーナー、80:ベルトコンベア、90:電子部品実装機、91:リフロー炉、92:検査機、93:洗浄装置用ベース、94:上位制御装置、95:給気管、96:排気管。
310:Y方向スライダ、311:X方向スライダ、312:Y方向ガイドレール、313:X方向ガイドレール、319a:X軸モータ、319b:Y軸モータ、320:ボールねじ部、320a:シャフト、320b:ナット、320c:挟持片、321:第一Z軸モータ、322:昇降ロッド、322a:被挟持片、323:ホルダ、324:ホルダ、325:部品ノズル、326:供給ノズル、326a:ホルダ吸着部、326b:フランジ部、326c:被洗浄部、326c1:転写ピン、326d:連結部、327:第一θ軸モータ、328:第二Z軸モータ、329:第二θ軸モータ、340:演算部、341:記憶部、342:入出力インターフェイス、350:共用ノズル、350a:基部、350b:外側ガイド部、350c:スリーブ、350d:内側ガイド部、350e:フランジ部、350f:外側通孔、350g:内側通孔、350h:ヒータ、351:洗浄ノズル、351b:フランジ部、351c:洗浄布、352:ホルダ、353:共用ノズル、353a:基部、353b:外筒部、353e:フランジ部、353h:ヒータ、500:基部本体、502:ガイドレール、510:可動部本体、510a:被ガイド凹部、511:ガイドレール、512:転写台、512a:膜、513:被ガイド片、513a:被ガイド凹部、514:フレーム、515:シリンジ保持部、515a:クリップ、515b:ベルト、516:シリンジ、517:液送管、540:揺動軸、710L:基部側係合部、710R:基部側係合部、711L:プランジャ、711R:プランジャ、712L:揺動爪、712R:揺動爪、713:レバー、714:シャフト、720:洗浄槽、721:ブラシ、730:乾燥部材、730a:乾燥部側挿通孔、730b:気体通路、731:フィルター、740:シャッター、740a:シャッター側挿通孔、741:シャッター挿入部材、741b:挿入部材側挿通孔、741c:挿入部材側挿通孔、741d:スリット、742L:本体側係合部、742R:本体側係合部、743:前壁、743aL:被係合部、743aR:被係合部、750:弾性部材側挿通孔、760:外板側挿通孔、900:制御装置、920:制御装置。
Bf:基板、Br:基板、C:隙間、G:空気、L:洗浄液、Pr1:電子部品、Pr1B:バンプ、Pr1L:リード、Pr2:電子部品、S:乾燥室、br:装着座標。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が取り外された基板に、再び該電子部品を装着する電子部品リペア機であって、
前記電子部品を前記基板に接合する接合材料が配置されるディップ装置と、該ディップ装置から該基板に該接合材料を供給する供給ノズルと、該電子部品が配置される部品供給装置と、該部品供給装置から該基板に該電子部品を搬送する部品ノズルと、該ディップ装置、該供給ノズル、該部品ノズルを制御する制御装置と、を備えることを特徴とする電子部品リペア機。
【請求項2】
前記供給ノズルは前記部品ノズルであり、
該部品ノズルは、該部品ノズルに保持された前記電子部品により、前記接合材料を前記基板に供給する請求項1に記載の電子部品リペア機。
【請求項3】
前記供給ノズルおよび前記部品ノズルのうち、少なくとも一方を洗浄する洗浄液が配置されるノズル洗浄装置を備える請求項1または請求項2に記載の電子部品リペア機。
【請求項4】
不良の前記電子部品を機外に排出する部品排出装置を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品リペア機。
【請求項5】
前記電子部品に損傷を与えず前記接合材料を加熱する加熱ノズルと、加熱により軟化した該接合材料を洗浄可能な洗浄ノズルと、を備え、
該加熱ノズルは、前記基板から取り外される該電子部品と、該基板と、を接合する該接合材料を加熱し、該接合材料を軟化させ、
前記部品ノズルは、該接合材料が軟化した状態で、該電子部品を該基板から取り外し、
該洗浄ノズルは、該電子部品が取り外された後の該基板を洗浄する請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電子部品リペア機。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電子部品リペア機と、該電子部品リペア機の上流側に配置され前記電子部品を前記基板に装着する電子部品実装機と、を備える生産ラインであって、
前記電子部品リペア機は、前記電子部品を前記基板に装着する際、前記電子部品実装機用の装着データを流用することを特徴とする生産ライン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−195429(P2012−195429A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57992(P2011−57992)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】