説明

電子部品用パッケージ及び当該電子部品用パッケージを用いた圧電振動デバイス

【課題】 圧電振動板の搭載を安定化させるとともに、良好な特性を維持し、また超小型にも対応させることのできる電子部品用パッケージ構成および当該パッケージを用いた圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】 表面実装型水晶発振器は、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ(電子部品用パッケージ)1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板2であるATカット型水晶振動板と、パッケージの開口部に接合されるリッド3とからなる。セラミックパッケージ内の収納部において、電極パッド12,13が形成された反対側である長辺方向他端には補助支持部14が形成されている。収納部10に集積回路素子4と圧電振動板2を格納し、前記リッドにて被覆し、前記第1の金属層と第2の金属層とを溶融硬化させ、気密封止を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器等に用いられる電子部品用のパッケージに関し、特に電子部品素子搭載時の電気的機械的接続性能を向上させたパッケージ構成および当該パッケージを用いた圧電振動デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
気密封止を必要とする電子部品の例として、水晶振動子、水晶フィルタ、水晶発振器等の圧電振動デバイスがあげられる。これら各製品はいずれも水晶振動板の表面に金属薄膜電極を形成し、この金属薄膜電極を外気から保護するため、気密封止されている。
【0003】
これら圧電振動デバイスは部品の表面実装化の要求から、セラミックパッケージ(電子部品用パッケージ)内に気密的に収納する構成が増加しており、さらに超小型化に対応するために内部に収納される圧電振動板を片持ち支持する構成が一般的となっている。
【0004】
このような片持ち支持においては導電接合材により、パッケージの電極パッドと圧電振動板に形成された電極とを導電接合するが、当該接合を安定して行うために他端側に圧電振動板の補助支持部を形成することも考えられている。
【0005】
特開2001−237665号(特許文献1)には、表面実装型圧電振動子において他端側に補助支持部(枕部)を設けた構成が開示されている。このような構成においては導電接合時に他端部を補助支持部に載置することができ、圧電振動板の傾きを抑制するという作用効果を得ることができる。しかしながら補助支持部がパッケージの短辺方向中央部分に配置されているために圧電振動板の励振に悪影響を与えることがある。すなわち、例えば圧電振動板としてATカット水晶振動板を用いることが一般的であるが、その電極構成及び振動分布から圧電振動板の中央部分のほうがその振動エネルギーが大きいことが知られている。従って、圧電振動板の端部であっても短辺方向中央部分においては振動エネルギーが比較的大きく、当該部分が補助支持部に接触した場合は、特性劣化のおそれがあった。
【0006】
またパッケージが小型化、薄型化するにつれてパッケージの強度も低下する懸念があるが、この強化対策も必要であった。
【0007】
ところで、このような補助支持部を有する構成は圧電発振器においても考えられている。例えば特開2001−217476号(特許文献2)には、ベース部にICチップを収納し、これをワイヤボンディングで導電接合するとともに、当該ICチップ上に圧電振動板を配置し、片持ち支持した構成である。圧電振動板の他端に対応する位置には短辺方向両端に補助支持部(枕部)が形成されている。
【0008】
このような構成においては上述のような補助支持部による作用効果を得ることができるが、補助支持部が複数あることにより圧電振動板の振動に対して悪影響を与える可能性があるとともに、ICチップの導電接合にも悪影響を与えることがある。すなわち特許文献2にも開示されているように、補助支持部間にもワイヤボンディングによる接合を行うが、パッケージの小型化が進んだ場合、ボンディングツールが当該補助支持部やパッケージの内壁に接触することがあり、所望のワイヤボンディングが行えないことがあった。
【特許文献1】特開2001−237665号
【特許文献2】特開2001−217476号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、圧電振動板の搭載を安定化させるとともに、良好な特性を維持し、また超小型にも対応させることのできる電子部品用パッケージ構成および当該パッケージを用いた圧電振動デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は次の構成により実現をすることができる。
【0011】
すなわち請求項1に示すように、有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端が片持ち支持状態に導電接合される電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成され、リッドと気密接合される堤部と、を有する電子部品用パッケージであって、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向一端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視多角形状または部分円形状であることを特徴としている。
【0012】
補助支持部はパッケージ内側の角部に接した構成であり、例えば三角形あるいはそれ以上の多角形であってもよいし、1/4円等の部分円形状であってもよい。また補助支持部の平面サイズは、製造時に圧電振動板の他端を補助的に支持する機能と圧電振動板の振動への悪影響の度合いを考慮して決定する必要がある。もちろん搭載する圧電振動板のサイズあるいは励振電極のサイズが振動領域に関わるので、この点も考慮する必要がある。なお、圧電振動板の補助支持部側は、導電接合材による接合後接合材の収縮等により一般には補助支持部と接触しないが、場合によっては接触した状態となったり、あるいは外部衝撃により接触することがある。
【0013】
請求項1によれば、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向一端であって前記堤部の内側角部に接して形成されていることにより、当該パッケージの強度を高めることができる。また補助支持部が平面で見て多角形状または部分円形状であることにより、これに接触したとしても接触面積を小さくすることができ、圧電振動板の振動(駆動)に悪影響を与えにくくなる。
【0014】
また請求項2に示すように、有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端を片持ち支持状態に導電接合する電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成され、リッドと気密接合される堤部と、を有する電子部品用パッケージであって、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向両端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視三角形状または部分円形状または切除部を有する鉤形形状であることを特徴としている。
【0015】
請求項2によれば、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向両端であって前記堤部の内側角部に接して形成されていることにより、当該補助支持部が筋交いの機能を発揮し、パッケージ強度を高めることができる。また補助支持部が平面で見て三角形状または部分円形状または切除部を有する鉤形形状であることにより、これに接触したとしても接触面積を小さくすることができ、圧電振動板の振動(駆動)に悪影響を与えにくくなる。特に圧電振動板には表裏に励振電極が形成されるが、要求される特性によっては当該励振電極が圧電振動板の外周近傍まで拡大したサイズとなる場合がある。本請求項によれば、このような場合でも補助支持部が圧電振動板の角部のみに対応し、励振電極部分に及ばない構成となっている。これにより補助支持部による圧電振動板の振動への悪影響を排除することができる。
【0016】
本発明は、パッケージに圧電振動板に加えて集積回路素子およびその他の電子部品素子を格納した構成についても開示している。すなわち請求項3に示すように、請求項1または2記載の電子部品用パッケージにおいて、前記電極パッドと前記補助支持部間であって、前記圧電振動板搭載領域の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けたことを特徴とする構成である。
【0017】
上記構成を請求項1の電子部品用パッケージに適用した場合は、有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端を片持ち支持状態に導電接合する電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成された堤部と、を有する電子部品用パッケージであって、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向一端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視多角形状または部分円形状であり、さらに前記電極パッドと前記補助支持部間であって、前記圧電振動板搭載領域の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けた構成となる。
【0018】
補助支持部はパッケージ内側の角部に接した構成であり、例えば三角形あるいはそれ以上の多角形であってもよいし、1/4円等の部分円形状であってもよい。また補助支持部の平面サイズは、製造時に圧電振動板の他端を補助的に支持する機能と圧電振動板の振動への悪影響の度合いを考慮して決定する必要がある。もちろん搭載する圧電振動板のサイズあるいは励振電極のサイズが振動領域に関わるので、この点を考慮する必要がある。
【0019】
このような構成によれば、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向一端であって前記堤部の内側角部に接して形成されていることにより、当該パッケージの強度を高めることができる。また保持支持部が平面で見て多角形状または部分円形状であることにより、これに接触したとしても圧電振動板の振動(駆動)に悪影響を与えにくくなる。さらに圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けることにより、圧電発振器等の複合部品用パッケージを得ることができる。
【0020】
また上記構成を請求項2の電子部品用パッケージに適用した場合は、有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端を片持ち支持状態に導電接合する電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成された堤部とを有するパッケージ、および当該パッケージを気密封止するリッドを具備した電子部品用パッケージであって、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向両端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視三角形状または部分円形状または切除部を有する鉤形形状であり、さらに前記電極パッドと前記補助支持部間であって、前記圧電振動板搭載領域の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けた構成となる。
【0021】
このような構成によれば、前記補助支持部は前記収納部の短辺方向両端であって前記堤部の内側角部に接して形成されていることにより、当該補助支持部が筋交いの機能を発揮し、パッケージ強度を高めることができる。また補助支持部が平面で見て三角形状または部分円形状または切除部を有する鉤形形状であることにより、これに接触したとしても圧電振動板の振動(駆動)に悪影響を与えにくくなる。特に圧電振動板には表裏に励振電極が形成されるが、要求される特性によっては当該励振電極が圧電振動板の外周近傍まで拡大したサイズとなる場合がある。本請求項によれば、このような場合でも補助支持部が圧電振動板の角部のみに対応し、励振電極部分に及ばない構成となっている。これにより補助支持部による圧電振動板の振動への悪影響を排除することができる。さらに圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けることにより、圧電発振器等の複合部品を得ることができる。
【0022】
請求項3の構成において、請求項4に示すように前記補助支持部に隣接する収納部の長辺方向端部または補助支持部間に少なくとも当該集積回路素子との接続パッドを形成してもよい。
【0023】
本発明によれば、前記補助支持部に隣接する収納部の長辺方向端部や、補助支持部間に比較的広いスペースを得ることができる。当該スペースに当該集積回路素子との接続パッドを設けることにより、当該接続パッド形成領域を広くとることができ、ワイヤボンディングの際にボンディングツールが堤部の側壁や補助支持部の側壁に接触する等の事故がなくなり、所望の電気的接合を行うことができる。また接続パッドの形成数を増加させることもできる。
【0024】
本発明は上述の電子部品用パッケージを用いた圧電振動デバイスについても開示している。請求項5は、請求項1または2記載の電子部品用パッケージに励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合したことを特徴とする圧電振動デバイスである。
【0025】
請求項5によれば、補助支持部によりパッケージの強度を向上させることができ、小型化や薄型化に対応した圧電振動デバイスを得ることができる。また搭載される圧電振動板の振動を阻害することがなく、所望の特性を得ることができ、さらには製造面においても補助支持部により圧電振動板を安定して導電接合することができる。
【0026】
また請求項6は、請求項3または4記載の電子部品用パッケージに励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合するとともに、圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載したことを特徴とする圧電振動デバイスである。
【0027】
請求項6によれば、補助支持部によりパッケージの強度を向上させることができ、小型化や薄型化に対応した圧電振動デバイスを得ることができる。また搭載される圧電振動板の振動を阻害することがなく、所望の特性を得ることができ、さらには製造面においても補助支持部により圧電振動板を安定して導電接合することができる。また、当該集積回路素子の搭載領域を広くとることができ、搭載作業時の生産性、信頼性が向上する。
【0028】
また請求項7は、請求項4記載の電子部品用パッケージに励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合するとともに、圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載し、当該集積回路素子と前記接続パッドとをボンディングワイヤにて導電接合したことを特徴とする圧電振動デバイスである。
【0029】
請求項7によれば、補助支持部によりパッケージの強度を向上させることができ、小型化や薄型化に対応した圧電振動デバイスを得ることができる。また搭載される圧電振動板の振動を阻害することがなく、所望の特性を得ることができ、さらには製造面においても補助支持部により圧電振動板を安定して導電接合することができる。また、当該集積回路素子との接続パッド形成領域を広くとることができ、ワイヤボンディングの際にボンディングツールが堤部の側壁や補助支持部の側壁に接触する等の事故がなくなり、所望の電気的接合を行うことができる。またパッケージの小型化にも対応できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、補助支持部の存在及びその形状により圧電振動板の搭載を安定化させるとともに、良好な特性を維持することができる。またパッケージ強度も向上させることができるので、超小型および超薄型化にも対応させることのできる電子部品用パッケージ構成および当該パッケージを用いた圧電振動デバイスを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明による好ましい実施の形態について図面に基づいて説明する。
本発明による第1の実施の形態を表面実装型の水晶発振器を例にとり図1および図2とともに説明する。図1は本実施の形態を示す分解斜視図、図2はセラミックパッケージに集積回路素子を収納した状態の平面図である。表面実装型水晶発振器は、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ(電子部品用パッケージ)1と、当該パッケージの中に収納される圧電振動板2であるATカット型水晶振動板と、パッケージの開口部に接合されるリッド3とからなる。
【0032】
セラミックパッケージ1は全体として直方体で、アルミナ等のセラミックとタングステン等の導電材料を適宜積層した構成であり、断面でみて凹形の収納部10を有する構成である。収納部10は上部収納部10aと下部収納部10bからなり、それぞれ圧電振動板2と集積回路素子4が収納される。収納部周囲には堤部11が形成されており、堤部11の上面は平坦であり、当該堤部上に周状の第1の金属層11aが形成されている。当該第1の金属層11aの上面も平坦になるよう形成されており、タングステン、ニッケル、金の順で金属膜層を構成している。タングステンはメタライズ技術によりセラミック焼成時に一体的に形成され、またニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。
【0033】
セラミックパッケージ外周の4角には上下方向に伸長するキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。当該キャスタレーションは円弧状の切り欠きが上下方向に形成された構成であり、セラミックパッケージが多数個一体的に形成されたウェハからの小割切断時に必要となる。
【0034】
なお、第1の金属層11aはセラミックパッケージの角部の堤部を上下に貫通接続する導電ビアBにより、セラミックパッケージ下面に形成された外部接続電極(図示せず)に電気的に導出されている。当該外部導出電極をアース接続することにより、後述の金属製のリッドが金属層11a、導電ビアBを介して接地され、電子部品の電磁気的なシールド効果を得ることができる。なお、前述のとおり、当該導電ビアBは周知のセラミック積層技術により形成することができる。
【0035】
セラミックパッケージ1内部において、最底面には前述のとおり集積回路素子4を収納する下部収納部10bが形成されており、その上方にある上部収納部10aには長辺方向一端に電極パッド12,13が短辺方向に並んで形成されている。これら電極パッド12,13はセラミックパッケージ内側に近接して形成され、各電極パッドは導電ビア(図示せず)により反対面にあるセラミックパッケージ下面に形成された外部接続電極にそれぞれ入出力端子として引き出されている。
【0036】
またセラミックパッケージ内の収納部において、電極パッド12,13が形成された反対側である長辺方向他端には補助支持部14が形成されている。当該補助支持部14はアルミナ等の絶縁材料からなり、平面で見て矩形形状で、パッケージ(収納部)短辺方向の一端に偏って形成されている。なお本実施の形態においては電極パッド12,13と補助支持部14の高さはほぼ同じに設定している。また補助支持部は電極パッドと同じ導電材を採用することも可能である。なお、当該補助支持部14は、導電接合時の補助支持の機能を損なわない程度に、できるだけ短辺方向の一端に偏って小さなサイズにすることが好ましい。
【0037】
前記電極パッド12,13と下部収納部10b間には集積回路素子4との接続パッド15aが複数並んで形成され、また補助支持部14に隣接する上部収納部の短辺方向他端領域にも接続パッド15bが複数並んで形成されている。
【0038】
このような構成のセラミクパッケージは周知のセラミック積層技術やメタライズ技術を用いて形成され、電極パッドや接続パッドは前述の金属層11a形成と同様にタングステン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成である。
【0039】
下部収納部に搭載される集積回路素子4は、圧電振動板2とともに発振回路を構成する1チップ集積回路素子であり、その上面には接続端子41が複数形成されている。当該集積回路素子4は本実施の形態においてはベアチップを採用しており、前記下部収納部10bに樹脂材料によりダイボンディングされる。そして集積回路素子の複数の接続端子41と前記パッケージに形成された複数の接続パッド15a,15bとをそれぞれワイヤボンディング技術により接続する。
【0040】
前記集積回路素子4の上方には所定の間隔を持って圧電振動板2が搭載される。圧電振動板2は矩形状のATカット水晶振動板であり、その表裏面に対向して一対の矩形状励振電極21、22と、当該励振電極を水晶振動板の外周に引き出す連結電極21b、22bと、水晶振動板の長辺方向短辺に形成された引出電極21a,22aとが形成されている。なお、上記番号22,22b,22aは図示していない。これら各電極は真空蒸着法等の薄膜形成手段により形成することができる。
【0041】
圧電振動板とパッケージとの接合は、例えば導電性接合材(図示せず)を電極パッド12,13の上面にディスペンサ等により適量供給し、その後圧電振動板2を電極パッド12,13と補助支持部14間に搭載する。これにより圧電振動板の引出電極21a,22aと電極パッド12,13とは電気的機械的接続されるが、必要に応じて搭載した圧電振動板の引出電極部分に再度導電性接合材(図示せず)を上塗り塗布してもよい。なお、導電性接合材はペースト状であり、例えば銀フィラー等の金属微小片を含有するシリコーン系導電樹脂接着剤をあげることができるが、シリコーン系以外に例えば、ウレタン系、イミド系、ポリイミド系、エポキシ系の導電樹脂接着剤を用いることができる。
【0042】
セラミックパッケージを気密封止するリッド3は平面視矩形状の平板構成である。当該リッド3は、コバールからなるコア材(図示せず)に第2の金属層(図示せず)として金属ろう材が形成された構成であり、より詳しくは、例えば上面からニッケル層、コバールコア材、銅層、銀ろう層の順の多層構成であり、第2の金属層である銀ろう層がセラミックパッケージの第1の金属層と接合される構成となる。なお、リッドの平面視外形はセラミックパッケージの当該外形とほぼ同じであるか、若干小さい構成となっている。
【0043】
セラミックパッケージ1の収納部10に集積回路素子4と圧電振動板2を格納し、前記リッドにて被覆し、前記第1の金属層と第2の金属層とを溶融硬化させ、気密封止を行う。本実施の形態においては、シーム溶接による気密封止を行っており、前記リッドに形成された第2の金属層である銀ろうを溶融硬化させ、気密封止を行う。
【0044】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば補助支持部にはさまざまな構成を採用することができる。図3は本発明による第2の実施の形態を示す平面図であり、表面実装型の水晶発振器を例にとり説明する。基本構成は第1の実施形態と同じであるので、同じ構成部分については同番号を用いるとともに、一部説明を割愛する。
【0045】
本実施の形態において、補助支持部16は平面でみて三角形状で、そのうちの2辺がパッケージ内側の1つの角部に接して形成されている。これにより集積回路素子4の接続端子41と導電接合される接続パッド15bの形成領域は広くなり、パッケージの側壁や補助支持部の側壁にボンディングツールが干渉することなく確実にワイヤボンディングを行うことができる。
【0046】
また圧電振動板2を電極パッド12,13と補助支持部16間に搭載し、電極パッド12,13に導電接合材で導電接合する際も、圧電振動板の先端部分が三角形状の補助支持部により確実な補助支持が行えるとともに、圧電振動板の電極形成領域や振動領域を避けて補助支持部を上下方向に対向させることができるので、特性変動を抑制することができる。
【0047】
本発明による第3の実施の形態を表面実装型の水晶発振器を例にとり図4に示す平面図とともに説明する。基本構成は第1の実施形態と同じであるので、同じ構成部分については同番号を用いるとともに、一部説明を割愛する。
【0048】
本実施の形態において、集積回路素子42はパッケージの底面に形成された接続パッドに直接接合するフェイスダウンボンディングにより接続される。従って、上述の各実施形態のようにワイヤボンディング用の接続パッドは有していない。また補助支持部17はパッケージ内側の1つの角部に接して形成され、平面でみて1/4円形状をしている。これにより集積回路素子42の搭載スペースに余裕ができ、ボンディングツールにより集積回路素子42をフェイスダウンボンディングする際もパッケージの側壁や補助支持部の側壁にボンディングツールが干渉することなく、確実にワイヤボンディングを行うことができる。また搭載スペースに余裕があるので、フェイスダウンボンディング用の接続パッド43の間隔を広くとることができ、製造時の歩留まり向上が期待できるとともに、目視による接続パッド状態確認も容易に行うことができる。
【0049】
また圧電振動板2を電極パッド12,13と補助支持部17間に搭載し、電極パッド12,13導電接合材で導電接合する際も、確実な補助支持が行えるとともに、圧電振動板の電極形成領域や振動領域を避けて補助支持部17を対向させることができるので、特性変動を抑制することができる。
【0050】
本発明による第4の実施の形態を表面実装型の水晶発振器を例にとり、図5に示す平面図と、図6に示す図5のA−A断面図とともに説明する。基本構成は第1の実施形態と同じであるので、同じ構成部分については同番号を用いるとともに、一部説明を割愛する。
【0051】
本実施の形態において、2つの補助支持部18はパッケージ内側の短辺方向に対向するそれぞれ2つの角部に接して形成され、両補助支持部は平面でみて三角形状をしている。このような形状は筋交いの作用によりパッケージの強度を向上させるとともに、当該形状により補助支持部間の間隔を広くとることができる。従って、集積回路素子4の接続端子41と導電接合される接続パッド15bの形成領域は広くなり、パッケージの側壁や補助支持部の側壁にボンディングツールが干渉することなく確実にワイヤボンディングを行うことができる。
【0052】
また圧電振動板2を電極パッド12,13と補助支持部18間に搭載し、電極パッド12,13導電接合材で導電接合する際も、確実な補助支持が行えるとともに、圧電振動板の電極形成領域や振動領域を避けて補助支持部を対向させることができるので、特性変動を抑制することができる。
【0053】
本発明による第5の実施の形態を表面実装型の水晶発振器を例にとり図7に示す平面図とともに説明する。基本構成は第1の実施形態と同じであるので、同じ構成部分については同番号を用いるとともに、一部説明を割愛する。
【0054】
本実施に形態においては、補助支持部19はパッケージ内側の短辺方向に対向する2つの角部に接して形成され、両補助支持部は平面でみて鉤形形状をしており、切除部191を有している。このような形状はパッケージの強度を向上させるとともに、前記切除部の存在により、実質的に補助支持部間の間隔を広くとることができる。従って、集積回路素子4の接続端子41と導電接合される接続パッド15bの形成領域は広くなり、パッケージの側壁や補助支持部の側壁にボンディングツールが干渉することなく確実にワイヤボンディングを行うことができる。
【0055】
また圧電振動板2を電極パッド12,13と補助支持部19間に搭載し、電極パッド12,13導電接合材で導電接合する際も、確実な補助支持が行えるとともに、圧電振動板の電極形成領域や振動領域を避けて補助支持部を対向させることができるので、特性変動を抑制することができる。
【0056】
本発明による第6の実施の形態を表面実装型の水晶振動子を例にとり、図8に示す平面図とともに説明する。表面実装型水晶振動子は、上部が開口した凹部を有するセラミックパッケージ(電子部品用パッケージ)5と、当該パッケージの中に収納されるATカット型水晶振動板からなる圧電振動板6と、図示しないがパッケージの開口部に接合されるリッドとからなる。
【0057】
セラミックパッケージ5は全体として直方体で、アルミナ等のセラミックと導電材料を適宜積層した構成であり、断面でみて凹形の収納部50を有する構成である。収納部周囲は堤部が形成され、堤部の上面は平坦であり、当該堤部上に周状の第1の金属層51aが形成されている。当該第1の金属層51aの上面も平坦になるよう形成されており、タングステン、ニッケル、金の順で金属膜層を構成している。タングステンはメタライズ技術によりセラミック焼成時に一体的に形成され、またニッケル、金の各層はメッキ技術により形成される。
【0058】
セラミックパッケージ外周の4角には上下方向に伸長するキャスタレーションC1,C2,C3,C4が形成されている。当該キャスタレーションは円弧状の切り欠きが上下方向に形成された構成であり、セラミックパッケージが多数個一体的に形成されたウェハからの小割切断時に必要となる。
【0059】
なお、第1の金属層51aはセラミックパッケージの角部の堤部を上下に貫通接続する導電ビアBにより、セラミックパッケージ下面に形成された外部接続電極(図示せず)に電気的に導出されている。当該外部導出電極をアース接続することにより、後述の金属製のリッドが金属層11a、導電ビアBを介して接地され、電子部品の電磁気的なシールド効果を得ることができる。なお、前述のとおり、当該導電ビアBは周知のセラミック積層技術により形成することができる。なお、当該導電ビアに換えて前記キャスタレーションに導通路を形成し、これにより金属層51aと外部接続電極との導通をはかってもよい。
【0060】
収納部50には、パッケージ長辺方向一端に電極パッド52,53が短辺方向に並んで形成されている。これら電極パッド52,53はセラミックパッケージ内側に近接して形成され、各電極パッドは導電ビア(図示せず)により反対面にあるセラミックパッケージ下面に形成された外部接続電極にそれぞれ入出力端子として引き出されている。
【0061】
またセラミックパッケージ内部において、電極パッドが形成された反対面である長辺方向他端には2つの補助支持部54が形成されている。当該補助支持部54はアルミナ等の絶縁材料からなり、パッケージ短辺方向の両端に対向して形成されている。当該補助支持部54はいずれも2辺がパッケージ内部の角部に接する構成の三角形状である。なお本実施の形態においては電極パッド52,53と補助支持部54の高さはほぼ同じに設定しているが、いずれかを高く設定してもよい。また補助支持部54は電極パッド52,53と同じ導電材を採用することも可能である。なお、当該補助支持部54は、導電接合時の補助支持の機能を損なわない程度に、できるだけ小さなサイズにすることが好ましい。
【0062】
このような構成のセラミクパッケージは周知のセラミック積層技術やメタライズ技術を用いて形成され、電極パッドは前述の金属層11a形成と同様にタングステン等によるメタライズ層の上面にニッケルメッキ層、金メッキ層の各層が形成された構成である。
【0063】
電極パッドに導電接合される圧電振動板6(点線で表示)は矩形状のATカット水晶振動板であり、その表裏面に対向して一対の矩形状励振電極61、62と、当該励振電極を水晶振動板の外周に引き出す連結電極と、水晶振動板の長辺方向短辺に形成された引出電極とが形成されている。なお、上記番号62は図示していない。これら各電極は真空蒸着法等の薄膜形成手段により形成することができる。
【0064】
圧電振動板とパッケージとの接合は、例えば導電性接合材S(点線で図示)を電極パッド52,53にディスペンサ等により適量供給し、その後圧電振動板5を電極パッド52,53と補助支持部54間に搭載する。これにより圧電振動板の引出電極と電極パッド52,53とは電気的機械的接続されるが、必要に応じて搭載した圧電振動板の引出電極部分に再度導電性接合材Sを塗布してもよい。なお、導電性接合材はペースト状であり、例えば銀フィラー等の金属微小片を含有するシリコーン系導電樹脂接着剤をあげることができるが、シリコーン系以外に例えば、ウレタン系、イミド系、ポリイミド系、エポキシ系の導電樹脂接着剤を用いることができる。
【0065】
セラミックパッケージ5の収納部50に圧電振動板6を格納し、前記リッドにて気密封止を行う。本実施の形態においては、シーム溶接による気密封止を行っており、前記リッドに形成された銀ろうを溶融硬化させ、気密封止を行う。
【0066】
また、堤部上部には金属層を形成し、リッドにより気密封止した例を示したが、堤部上部に気密封止用の金属枠を形成し、当該金属枠を利用して気密封止を行うシーム溶接を適用してもよいし、軟ろう材を用いた雰囲気加熱によるろう接を行ってもよい。さらには熱源として電子ビーム、レーザービーム等のエネルギービームを用いてもよいし、樹脂、ガラス等の絶縁材料による気密封止を適用してもよい。
【0067】
なお、上記各実施形態の例示においては、ATカット水晶振動板を用いた表面実装型の水晶発振器や水晶振動子を例示したが、音叉型水晶振動板や水晶フィルタ素子や、水晶振動板と他の電子素子をパッケージに格納した構成であってもよい。また圧電振動板も圧電セラミック振動板等、他の圧電材料を用いてもよく、他の電子部品素子に適用してもよく、上記実施形態の例示に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
水晶発振器、水晶振動子をはじめとする電子部品の量産に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施形態による水晶振動子の開蓋状態の分解斜視図。
【図2】セラミックパッケージの平面図
【図3】第2の実施形態を示す平面図。
【図4】第3の実施形態を示す平面図。
【図5】第4の実施形態を示す平面図。
【図6】図5のA−A断面図。
【図7】第5の実施形態を示す平面図。
【図8】第6の実施形態を示す平面図。
【符号の説明】
【0070】
1、5 セラミックパッケージ
11、51 堤部
11a,51a 金属層
12,13,52,53 電極パッド
2 圧電振動板(ATカット水晶振動板)
3 リッド
14,16,17,18,19,54 補助支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端を片持ち支持状態に導電接合する電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成され、リッドと気密接合される堤部と、を有する電子部品用パッケージであって、
前記補助支持部は前記収納部の短辺方向一端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視多角形状または部分円形状であることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項2】
有底で矩形状圧電振動板を収納する矩形状の収納部と、当該収納部に設けられ前記圧電振動板の一端を片持ち支持状態に導電接合する電極パッドと、前記圧電振動板の他端を補助支持する補助支持部と、前記収納部周囲に形成され、リッドと気密接合される堤部と、を有する電子部品用パッケージであって、
前記補助支持部は前記収納部の短辺方向両端であって前記堤部の内側角部に接して形成され、平面視三角形状または部分円形状または切除部を有する鉤形形状であることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項3】
前記電極パッドと前記補助支持部間であって、前記圧電振動板搭載領域の下方に集積回路素子を搭載する領域を設けたことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品用パッケージ。
【請求項4】
前記補助支持部に隣接する収納部の長辺方向端部または補助支持部間に、少なくとも当該集積回路素子との接続パッドを形成したことを特徴とする請求項3記載の電子部品用パッケージ。
【請求項5】
請求項1または2記載の電子部品用パッケージに、励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合したことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項6】
請求項3または4記載の電子部品用パッケージに、励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合するとともに、圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載したことを特徴とする圧電振動デバイス。
【請求項7】
請求項4記載の電子部品用パッケージに、励振電極が形成された矩形状圧電振動板を前記電極パッドに導電接合するとともに、圧電振動板の下方に集積回路素子を搭載し、当該集積回路素子と前記接続パッドとをボンディングワイヤにて導電接合したことを特徴とする圧電振動デバイス。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−54602(P2006−54602A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233703(P2004−233703)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】