説明

電子部品用パッケージ及び電子部品装置

【課題】貫通電極が設けられた電子部品用パッケージにおいて、キャビティを設けても貫通電極の十分なコプラナリティが得られるパッケージを提供する。
【解決手段】スルーホールTHが設けられた第1シリコン基板10aと、第1シリコン基板10aの上下面及びスルーホールTHの内面に形成された絶縁層14と、スルーホールTH内に充填された貫通電極18とを含み、貫通電極18の上面と絶縁層14の上面とが面一であるパッケージ基板部11と、中央部に上面から下面まで貫通する開口部TPを備えた第2シリコン基板20aから形成され、パッケージ基板部11の周縁部に絶縁層14を介して積層されて、第1シリコン基板10aの上にキャビティCを構成する枠部23とを含み、貫通電極18は枠部23の開口部TP内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品用パッケージ及び電子部品装置に係り、さらに詳しくは、MEMS素子や光半導体素子などの電子部品が実装される電子部品用パッケージ及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MEMS素子や光半導体素子などの電子部品が実装される電子部品用パッケージがある。そのような電子部品用パッケージとして、シリコン基板の中央部に電子部品が実装されるキャビティが設けられ、キャビティの下側のシリコン基板に貫通電極が設けられた構造のものがある。
【0003】
そのような電子部品用パッケージの製造方法の一例としては、図1(a)に示すように、まず、シリコンウェハ100の上にスルーホールを形成するための開口部200xが設けられた第1マスク層200を形成する。
【0004】
次いで、図1(b)に示すように、第1マスク層200をマスクにしてシリコンウェハ100をその上面から下面までエッチングすることにより、スルーホールTHを形成する。その後に、第1マスク層200が除去される。
【0005】
続いて、図1(c)に示すように、シリコンウェハ100の上に、キャビティを形成するための開口部300xが設けられた第2マスク層300を形成する。さらに、図1(d)に示すように、第2マスク層300をマスクにしてシリコンウェハ100を厚みの途中までエッチングすることによりキャビティCを形成する。
【0006】
その後に、第2マスク層300が除去される。シリコンウェハ100には複数のパッケージ領域が画定されており、各パッケージ領域にスルーホールTH及びキャビティCが設けられる。
【0007】
次いで、図2(a)に示すように、シリコンウェハ100を熱酸化することにより、シリコンウェハ100の全面にシリコン酸化層からなる絶縁層400を形成する。続いて、図2(b)に示すように、シリコンウェハ100のスルーホールTH内にめっきによって貫通電極500を形成する。
【0008】
このとき、貫通電極500はシリコンウェハ100の上面及び下面から突出した状態で形成される。その後に、図2(c)に示すように、シリコンウェハ100を切断することにより、個々の電子部品用パッケージを得る。
【0009】
基板としてシリコンを利用する電子部品用パッケージとしては、特許文献1には、シリコン基板のスルーホール内に金属を充填し、シリコン基板の両面側を研磨して平滑化した後に、シリコン基板に高圧アニールを施すことにより、プラグ金属の緻密性及び密着性を向上させることが記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、シリコン基板の両面にポリイミドなどの比較的柔らかいポリマーからなる絶縁層を形成し、さらにその上に配線層を形成し、シリコン基板と同じ材料のICチップを配線層にCCB接続することにより、接続部にかかる応力を小さくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−22990号公報
【特許文献2】特開平6−169031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記した従来技術の電子部品パッケージでは、スルーホールTH内に充填された貫通電極500は、キャビティCの底部から突出して形成され、さらにはめっきの特性上その高さがばらついて形成される。従って、電子部品が実装される貫通電極500のコプラナリティ(平坦度)が十分ではなく、高性能な電子部品を実装する際に接続不良が発生する場合があり、歩留り低下の要因になる。
【0013】
そこで、貫通電極500を平坦化することによりそのコプラナリティを改善する方法が考えられる。しかしながら、キャビティCを形成した後に貫通電極500を形成することから、シリコンウェハ100にはキャビティCによる凹凸が存在するので、CMPなどでキャビティC内の貫通電極500を平坦化することは困難である。しかも、同様な理由から、キャビティCの底面に貫通電極500に接続される微細な配線層を形成することも困難を極める。
【0014】
また、シリコン基板を使用する電子部品用パッケージにおいて、シリコン基板に各種の素子を内蔵させる要求があり、そのようなパッケージの製造方法は十分に確立しているとはいえない。
【0015】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、シリコン基板に貫通電極が設けられた構造を有する電子部品用パッケージにおいて、キャビティを設けても貫通電極の十分なコプラナリティ(平坦度)が得られ、また、各種の素子を内蔵させる場合であっても容易に対応できる電子部品用パッケージ及び電子部品装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、本発明は電子部品用パッケージに係り、スルーホールが設けられた第1シリコン基板と、前記第1シリコン基板の上下面及び前記スルーホールの内面に形成された絶縁層と、前記スルーホール内に充填された貫通電極とを含み、前記貫通電極の上面と前記絶縁層の上面とが面一であるパッケージ基板部と、中央部に上面から下面まで貫通する開口部を備えた第2シリコン基板から形成され、前記パッケージ基板部の周縁部に前記絶縁層を介して積層されて、前記第1シリコン基板の上にキャビティを構成する枠部とを有し、前記貫通電極は前記枠部の開口部内に配置されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の電子部品用パッケージは、シリコン基板に絶縁層を介して貫通電極を形成した後に、貫通電極が平坦化されてパッケージ基板部が得られる。その後に、パッケージ基板部の周縁部に枠部(シリコン)が設けられてキャビティが構成される。
【0018】
本発明では、キャビティが設けられていない平坦なシリコン基板に貫通電極が形成された後に、枠部が設けられるようにしたので、従来技術と違って貫通電極を平坦化することが可能になる。従って、キャビティ内のシリコン基板には平坦化された貫通電極が配置されている。また、プラズマ処理を利用することにより貫通電極にダメージを与えない低温接合によってパッケージ基板部に枠部を接合することができる。
【0019】
これにより、パッケージ基板部の上に枠部によってキャビティが設けられると共に、キャビティ内のパッケージ基板部にコプラナリティ(平坦度)が良好な貫通電極が設けられた構造の電子部品用パッケージが得られる。
【0020】
本発明の好適な態様では、枠部は、シリコン部と、該シリコン部の下面に形成された素子と、該素子の下側に形成されて素子に接続された接続電極とを含み、枠部の接続電極がパッケージ基板部の貫通電極に接合されている。
【0021】
これにより、キャビティ内の貫通電極に接続される電子部品は、貫通電極などを介して枠部に形成された素子に電気的に接続される。例えば、電子部品がLEDの場合は、素子としてツェナーダイオードが形成される。そして、キャビティ内のLEDが蛍光体に埋設されたり、キャップ部材によって気密封止されたりして電子部品装置が構成される。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の電子部品用パッケージでは、キャビティを設けても貫通電極の十分なコプラナリティ(平坦度)が得られ、また、各種素子を内蔵させる場合であっても容易に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1(a)〜(d)は従来技術の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は従来技術の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(e)は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図4】図4(a)及び(b)は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図5】図5(a)〜(d)は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図6】図6(a)及び(b)は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その4)である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージを示す断面図である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態の変形例の電子部品用パッケージを示す断面図である。
【図9】図9は本発明の第1実施形態の第1電子部品装置を示す断面図である。
【図10】図10は本発明の第1実施形態の第2電子部品装置を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の第1実施形態の第3電子部品装置を示す断面図である。
【図12】図12(a)〜(d)は本発明の第2実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図13】図13(a)及び(b)は本発明の第2実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図14】図14は本発明の第2実施形態の電子部品装置を示す断面図である。
【図15】図15は本発明の第2実施形態の変形例の電子部品装置を示す断面図である。
【図16】図16(a)〜(d)は本発明の第3実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図17】図17は本発明の第3実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図18】図18は本発明の第3実施形態の電子部品装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0025】
(第1の実施の形態)
図3〜図6は本発明の第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図、図7及び図8は同じく電子部品用パッケージを示す断面図、図9〜図11は同じく電子部品装置を示す断面図である。
【0026】
第1実施形態の電子部品用パッケージの製造方法では、まず、図3(a)に示すように、シリコン基板として厚みが600〜800μmの第1シリコンウェハ10を用意する。第1シリコンウェハ10には、個々のパッケージを得るための1つ又は複数のパッケージ領域が画定されている。
【0027】
その後に、図3(b)に示すように、第1シリコンウェハ10の上にスルーホールを形成するための開口部12xが設けられたマスク層12を形成する。マスク層12としては、レジストを単層でパターン化してもよいし、シリコン酸化層などのハードマスク層の上にレジストをパターン化し、レジストをマスクにしてハードマスク層をエッチングすることによりマスク層12としてもよい。
【0028】
次いで、図3(c)に示すように、マスク層12をマスクにしてその開口部12xを通して第1シリコンウェハ10をエッチングすることにより、上面から下面まで貫通するスルーホールTHを形成する。スルーホールTHは第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域にそれぞれ形成される。その後に、マスク層12が除去される。
【0029】
続いて、図3(d)に示すように、第1シリコンウェハ10を熱酸化することにより、第1シリコンウェハ10の両面及びスルーホールTHの内面にシリコン酸化層からなる膜厚が500nm程度の絶縁層14を形成する。なお、第1シリコンウェハ10の全面にCVD法によってシリコン酸化層を成膜して絶縁層14としてもよい。
【0030】
次いで、図3(e)に示すように、銅箔などのめっき給電部材16の上に接着剤層15を介して第1シリコンウェハ10を配置する。接着剤層15には、第1シリコンウェハ10のスルーホールTHに対応する部分に開口部が設けられている。
【0031】
さらに、めっき給電部材16をめっき給電経路に利用する電解めっきによって、スルーホールTHの下部から上部まで金属(銅など)を充填することにより貫通電極18を形成する。その後に、めっき給電部材16及び接着剤層15が第1シリコンウェハ10から取り外される。
【0032】
このとき、電解めっきの特性上、貫通電極18の上面が第1シリコンウェハ10の上面側と同一面となるように制御することは困難であるので、貫通電極18は第1シリコンウェハ10上の絶縁層14の上から突出部Pが突き出た状態で形成される。しかも、電解めっきの面内ばらつきによって貫通電極18の突出部Pはその高さがばらついて形成される。また、同様に、第1シリコンウェハ10の下面側においても、貫通電極18は下側に突出部Pが突き出た状態で形成される。
【0033】
次いで、図4(a)に示すように、第1シリコンウェハ10の両面側の貫通電極18の突出部PをCMP(Chemical Mechanical Polishing)などによってそれぞれ研磨する。これによって、図4(b)に示すように、第1シリコンウェハ10の両面側において、貫通電極18の上面が絶縁層14の高さと同等になって平坦化される。つまり、貫通電極18の上面及び下面が両面側の絶縁層14の各面とそれぞれ同一面となって平坦化される。貫通電極18の上面は電子部品が接続される接続部18aとなる。
【0034】
以上により、図4(b)の平面図に示すように、第1シリコンウェハ10から多面取りする場合は、第1シリコンウェハ10に複数のパッケージ領域Rが設けられ、その各領域に貫通電極18がそれぞれ形成される。
【0035】
本実施形態では、キャビティが設けられていない全体にわたって平坦な第1シリコンウェハ10に貫通電極18を形成するので、従来技術と違って貫通電極18を容易に平坦化することができる。これにより、貫通電極18の接続部18aのコプラナリティ(平坦度)が良好になり、電子部品を信頼性よく実装できるようになる。
【0036】
次に、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの上にキャビティを設ける方法について説明する。図5(a)に示すように、まず、第1シリコンウェハ10と同様な第2シリコンウェハ20を用意する。次いで、図5(b)に示すように、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの中央主要部に対応する部分に開口部12yが設けられたマスク層12を第2シリコンウェハ20の上に形成する。
【0037】
さらに、図5(c)に示すように、マスク層12をマスクにして、その開口部12yを通して第2シリコンウェハ20を上面から下面までエッチングすることにより貫通部TPを形成する。これにより、第2シリコンウェハ20に相互に繋がるシリコン部20aからなる格子状枠部22が形成される。その後に、マスク層12が除去される。
【0038】
次いで、図5(d)に示すように、第2シリコンウェハ20を熱酸化することにより、第2シリコンウェハ20の両面及び貫通部TPの内面にシリコン酸化層からなる絶縁層14を形成する。これにより、シリコン部20aとそれを被覆する絶縁層14とから格子状枠部22が構成される。なお、絶縁層14を省略することによって、格子状枠部22がシリコン部20aのみから形成されるようにしてもよい。
【0039】
図5(d)の平面図に示すように、第2シリコンウェハ20に設けられた格子状枠部22は、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの境界部(図4(b)の平面図)にそれぞれ対応するように形成される。このようにして、第2シリコンウェハ20が加工
されて枠部材となる。
【0040】
次いで、図6(a)に示すように、前述した図4(b)の各パッケージ領域Rに貫通電極18が設けられた第1シリコンウェハ10の上に、格子状枠部22が設けられた第2シリコンウェハ20を接着する。詳しく説明すると、まず、第1、第2シリコンウェハ10,20をオゾン水(オゾン濃度:8ppm)に浸漬した状態で超音波を5分間かける。
【0041】
さらに、第1、第2シリコンウェハ10,20を水に浸漬した状態で超音波を5分間かける。その後に、第1、第2シリコンウェハ10,20をスピンドライヤによって乾燥させる。これにより、第1、第2シリコンウェハ10,20の表面に付着した有機物などが除去されて洗浄される。
【0042】
次いで、第1、第2シリコンウェハ10,20の各接合面に対して酸素(O2)ガスによる第1のプラズマ処理を行う。第1のプラズマ処理の条件の一例としては、圧力:55Pa、高周波電力(13.56MHz):70W、処理時間:30秒の条件が採用される。
【0043】
続いて、第1、第2シリコンウェハ10,20の各接合面に対して窒素(N2)ガスによる第2のプラズマ処理を行う。第2のプラズマ処理の条件の一例としては、圧力:20Pa、高周波電力(13.56MHz):270W、処理時間:15秒の条件が採用される。
【0044】
これにより、第1、第2シリコンウェハ10,20の各接合面が親水性化し、接合に好適な表面状態となる。
【0045】
次いで、第2シリコンウェハ20の格子状枠部22が第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの境界部に対応するように、第1シリコンウェハ10の上に第2シリコンウェハ20を位置合わせして配置する。(図4(b)及び図5(d)の平面図参照)。
【0046】
さらに、積層された第1、第2シリコンウェハ10,20に対して100N/ウェハの圧力を5秒間かけることによって両者を圧着する。その後に、第1、第2シリコンウェハ10,20を温度:150℃の雰囲気で8時間、熱処理する。これにより、図6(b)に示すように、第1シリコンウェハ10の上に第2シリコンウェハ20の格子状枠部22が接合される。
【0047】
第1シリコンウェハ10に設けられた貫通電極18(銅)は、400℃程度までの熱処理に十分に耐えることができるので、熱処理温度は100〜400℃の間で任意に設定することができる。つまり、第1、第2シリコンウェハ10,20にプラズマ処理を行うことにより、貫通電極18の耐熱温度以下の低い温度で両者を接合することができる。
【0048】
そして、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの境界部に第2シリコンウェハ20の格子状枠部22が配置されることによって、各パッケージ領域Rの中央部にキャビティCが設けられる。このようにして、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域Rの周縁部に格子状枠部22がそれぞれ立設した構造のウェハ状のパッケージ部材3が得られる。
【0049】
なお、上述した形態では、格子状枠部22をシリコンから形成したが、上述した接合方法によって第1シリコンウェハ10に接合できる材料であれば、格子状枠部2の材料として使用可能である。
【0050】
本実施形態では、ウェハ状のパッケージ部材3の各パッケージ領域Rに電子部品を実装した後に、第1、第2シリコンウェハ10,20を切断して電子部品装置を構成してもよいし、あるいは、第1、第2シリコンウェハ10,20を切断して個々の電子部品用パッケージを得た後に電子部品を実装して電子部品装置を構成してもよい。
【0051】
図7には、図6(b)のパッケージ部材3が切断されて得られる本実施形態の電子部品用パッケージ1が示されている。図7に示すように、第1、第2シリコンウェハ10,20が切断されることにより、第1シリコンウェハ10が個々のシリコン基板10aとなり、第2シリコンウェハ20の格子状枠部22が個々の枠部23となる。
【0052】
図7に示すように、第1実施形態の電子部品用パッケージ1は、パッケージ基板部11とその周縁部に接合されて立設する枠部23とによって基本構成される。パッケージ基板部11では、シリコン基板10aにスルーホールTHが設けられており、シリコン基板10a両面側及びスルーホールTHの内面に絶縁層14が形成されている。
【0053】
スルーホールTH内には貫通電極18が設けられており、貫通電極18の上面及び下面は、シリコン基板10aの両面側の絶縁層14の各面とそれぞれ同じ高さになって平坦化されている。
【0054】
枠部23は、シリコン部20aの上下面及び内面側に絶縁層14が被覆されて構成される。そして、枠部23の下面側の絶縁層14がパッケージ基板部11の上面側の絶縁層14に接合されている。これによって、パッケージ基板部11上の中央主要部にキャビティCが設けられている。
【0055】
前述したように、第1実施形態の電子部品用パッケージ1の製造方法では、キャビティが設けられていない平坦な第1シリコンウェハ10に絶縁層14を介して貫通電極18を形成した後に、貫通電極18の突出部Pを研摩して平坦化する。さらに、第1シリコンウェハ10の上に格子状枠部22が設けられた第2シリコンウェハ20を接合することによって、第1シリコンウェハ10の各パッケージ領域RにキャビティCがそれぞれ設けられる。
【0056】
第1シリコンウェハ10と第2シリコンウェハ20との接合は、各接合面を洗浄し、プラズマ処理した後に、位置合わせして圧着し、低温側(150℃)で熱処理することによって達成される。
【0057】
従来から1000℃程度のかなり高温の熱圧着によってシリコンウェハ同士を接着する技術は知られているが、本実施形態では、第1シリコンウェハ10に貫通電極18(銅など)が設けられているため、貫通電極18はそのような高温処理に耐えることができない。
【0058】
本実施形態のシリコンウェハ同士の接合方法はそのような課題を鑑みて考案されており、第1シリコンウェハ10に貫通電極18が設けられていても、プラズマ処理を利用することにより貫通電極18にダメージを与えない低温処理(例えば150℃)によって第1シリコンウェハ10の上に第2シリコンウェハ20を接合することができる。
【0059】
このような製造方法を採用することにより、パッケージ基板部11の上に枠部23によってキャビティCが設けられると共に、キャビティC内のパッケージ基板部11にコプラナリティ(平坦度)が良好な貫通電極18が設けられた構造の電子部品用パッケージ1を容易に製造することができる。
【0060】
なお、図8に示された変形例の電子部品用パッケージ1aのように、図7の電子部品用パッケージ1の枠部23において絶縁層14を省略し、シリコン部20aのみからなる枠部23がパッケージ基板部11の上に接合されてキャビティCが構成されるようにしてもよい。
【0061】
この形態の場合は、前述した図6(a)の工程において、シリコン部20aのみからなる格子状枠部22が設けられた第2シリコンウェハ20が第1シリコンウェハ10の上に同様な接合方法によって接合される。
【0062】
次に、本実施形態の電子部品用パッケージ1を利用して構成される電子部品装置について説明する。図9に示すように、本実施形態の第1電子部品装置2では、図7の電子部品用パッケージ1のキャビティC内の貫通電極18の接続部18aにLED(Light Emitting Diode)30のバンプ30aがフリップチップ接続されており、これによってLED30がキャビティC内に収容されている。
【0063】
さらに、キャビティC内に蛍光体32が充填されており、LED30が蛍光体32に埋設されている。また、貫通電極18の下部にはんだボールなどが搭載されて外部接続端子26が設けられている。
【0064】
電子部品用パッケージ1のキャビティC内にLED30を実装することにより、LED30の上面(発光面)側に均一の膜厚の蛍光体32を容易に形成することができる。LED30は例えば青色又は紫色の光を発光し、蛍光体32の作用によって白色光となって外部に放出される。なお、図9において、蛍光体32の上に透明キャップ部材をさらに設けてもよい。
【0065】
図10には第1実施形態の第2電子部品装置2aが示されている。図10に示すように、前述した変形例の電子部品用パッケージ1a(図8)のキャビティC内の貫通電極18の接続部18aに電子部品40のバンプ40aがフリップチップ接続されて実装されている。電子部品40としては、LEDなどの光半導体素子や加速度センサなどのMEMS素子が使用される。
【0066】
さらに、電子部品用パッケージ1aの枠部23の上にキャップ部材24が接合されている。パッケージ基板部11と枠部23とキャップ部材24とによって収容部Sが構成され、その収容部Sに電子部品40が気密封止された状態で収容されている。また、貫通電極18の下部にはんだボールなどが搭載されて外部接続端子26が設けられている。
【0067】
図10には、電子部品40が光半導体素子からなる形態が例示されている。キャップ部材24は透明のガラスキャップから形成され、ガラスキャップが陽極接合によって電子部品用パッケージ1aの枠部23(シリコン部20a)に接合されている。そして、光半導体素子は、ガラスキャップを介して外部に光を放出したり、外部からの光を受光したりする。
【0068】
なお、図7の電子部品用パッケージ1を使用し、その枠部23の上面の絶縁層14を部分的に除去してシリコン部20aを露出させることによってガラスキャプを枠部23に陽極接合することも可能である。
【0069】
あるいは、電子部品40がMEMS素子である場合は、キャップ部材24がガラスキャップ以外にシリコンキャップなどの不透明材料から形成することができる。シリコンキャップは、電子部品用パッケージ1aの枠部23に前述したプラズマ処理を利用する接合方法によって接合される。なお、シリコンキャップを使用する場合は、図7に示した表面が絶縁層14で被覆された枠部23を備えた電子部品用パッケージ1を使用してもよい。
【0070】
また、図11には、第1実施形態の第3電子部品装置2bが示されている。図11に示すように、第3電子部品装置2bでは、図7の電子部品用パッケージ1において枠部23が省略されている。そして、パッケージ基板部11の貫通電極18の接続部18aに電子部品40のバンプ40aがフリップチップ接続されて実装されている。
【0071】
さらに、中央部にキャビティC(凹部)が設けられて周縁部に突起状接合部24aが設けられた構造のキャップ部材24が、そのキャビティCが下側になった状態でパッケージ基板部11の上に配置されている。キャップ部材24の突起状接合部24aの先端面がパッケージ基板部11に接合されている。
【0072】
キャップ部材24のキャビティCによって収容部Sが構成され、その収容部Sに電子部品40が気密封止された状態で収容されている。図11には、電子部品40が光半導体素子からなる形態が例示されている。キャップ部材24は透明のガラスキャップから形成され、パッケージ基板部11の周縁部の絶縁層14が部分的に除去され、露出したシリコン基板10にガラスキャップが陽極接合されている。
【0073】
あるいは、電子部品40としてMEMS素子を使用する場合は、キャップ部材24はガラスキャップの他にシリコンキャップなどの不透明材料から形成することができ、その場合は、パッケージ基板部11の接合部は絶縁層14で被覆されていてもよい。
【0074】
本実施形態の第1〜第3電子部品装置2,2a,2bでは、高精度で加工できる第1シリコンウェハ10を加工することに基づいてパッケージ基板部11を形成するので、狭ピッチの貫通電極18を容易に形成できる。また、第1シリコンウェハ10にキャビティを作り込まず、枠部23やキャップ部材24によってキャビティC(収容部)を構成するようにしている。
【0075】
これにより、第1シリコンウェハ10は全体にわたって平坦な状態となっているので、貫通電極18を容易に平坦化することができ、その接続部18aのコプラナリティ(平坦度)を良好に設定することができる。従って、狭ピッチで多数の端子を備えた高性能な電子部品であって信頼性よく実装することができるようになる。
【0076】
さらには、特に図示しないが、貫通電極18を平坦化した後に(図4(b)の工程の後)に貫通電極18に接続される微細な配線パターン層を形成することができる。従って、各種の電子部品の実装に対応できるようになり、設計の自由度を広げることができる。
【0077】
(第2の実施の形態)
図12〜図13は本発明の第2実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図、図14は同じく電子部品装置を示す断面図である。
【0078】
第2実施形態の特徴は、電子部品用パッケージを構成するシリコン基板に電子部品に接続される素子(ダイオードなど)を作り込むことにある。第2実施形態では、第1実施形態と同一要素及び同一工程においてはその詳しい説明を省略する。
【0079】
第2実施形態の電子部品用パッケージの製造方法では、図12(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により図4(b)の第1シリコンウェハ10と同一構造のものを作成し、上側パッケージ部材3aとする。すなわち、第1シリコンウェハ10にスルーホールTHを形成し、その全面に絶縁層14を形成した後に、スルーホールTH内に貫通電極18を形成し、その両面側を平坦化する。
【0080】
次いで、図12(b)に示すように、上面側にツェナーダイオードZDが作り込まれた第2シリコンウェハ20を用意する。ツェナーダイオードZDはn型の第2シリコンウェハ20にp型の導電型不純物(ボロンなど)がイオン注入されて形成される。第2シリコンウェハ20の上には、ツェナーダイオードZDの上に開口部が設けられた第1絶縁層50が形成されている。
【0081】
また、第1絶縁層50の上にはツェナーダイオードZDに接続された電極パッド52が形成されている。電極パッド52は下から順にTi(チタン)層/TiN(窒化チタン)層/Al(アルミニウム)層が形成されて構成される。
【0082】
さらに、第1絶縁層50の上には電極パッド52の上に開口部54xが設けられた第2絶縁層54が形成さている。また、第2シリコンウェハ20の下面に絶縁層51が形成されている。
【0083】
次いで、図12(c)に示すように、第2絶縁層54及び電極パッド52の上に下から順にTi層/Cu(銅)層をスパッタ法によって形成して金属層56aを得る。続いて、金属層56aを第2絶縁層54が露出するまでCMPなどで研磨する。これにより、図12(d)に示すように、第2絶縁層54の開口部54x内に金属層56aが埋め込まれて、電極パッド52に接続される接続電極56が得られる。
【0084】
このようにして、第2シリコンウェハ20の上面側にツェナーダイオードZDに電気的に接続された接続電極56が露出した状態で設けられる。そして、図12(d)の第2シリコンウェハ20を下側パッケージ部材3bとする。
【0085】
続いて、図13(a)に示すように、図12(d)の下側パッケージ部材3bの接続電極56(銅層)に、上記した図12(a)の上側パッケージ部材3aの貫通電極18の下側の接続部18a(銅層)を接合する。
【0086】
この接合方法は、第1実施形態の図6(a)の工程と同様な方法が採用される。つまり、上側パッケージ部材3aと下側パッケージ部材3bの各接合面を洗浄し、プラズマ処理を行った後に、位置合わせして圧着し、150℃の温度で熱処理する。
【0087】
プラズマ処理を利用して低温側で接合する方法は、シリコン同士、シリコンとシリコン酸化層(絶縁層)、又はシリコン酸化層(絶縁層)同士だけではなく、銅と銅などの各種の金属材料を接合することが可能である。
【0088】
これにより、図13(b)に示すように、下側パッケージ部材3bの接続電極56と上側パッケージ部材3aの貫通電極18の接続部18aとが接合されて電気的に接続される。
【0089】
つまり、下側パッケージ部材3bに設けられたツェナーダイオードZDは、電極パッド52及び接続電極56を介して上側パッケージ部材3aの貫通電極18に電気的に接続される。
【0090】
以上により、下側パッケージ部材3bの上に上側パッケージ部材3aが積層されて構成される第2実施形態のパッケージ部材3が得られる。
【0091】
第2実施形態においても、ウェハ状のパッケージ部材3の各パッケージ領域に電子部品をそれぞれ実装した後に、パッケージ部材3を切断して個々の電子部品装置を構成してもよいし、あるいは、パッケージ部材3を切断して個々のパッケージを得た後に電子部品を実装して電子部品装置を構成してもよい。
【0092】
図14には、第2実施形態の電子部品用パッケージを使用して構成される電子部品装置が示されている。図14に示すように、第2実施形態の電子部品装置2cの電子部品用パッケージ1bは、図13(b)のパッケージ部材3が切断されて得られ、下側パッケージ部4bの上に上側パッケージ部4aが積層されて基本構成されている。
【0093】
下側パッケージ部4bでは、シリコン基板20aの上面側にツェナーダイオードZDが形成されており、ツェナーダイオードZDは電極パッド52を介して接続電極56に接続されている。また、上側パッケージ部4aでは、シリコン基板10aの両面側及びそれに設けられたスルーホールTHの内面に絶縁層14が形成されており、スルーホールTH内に両面側が平坦化された貫通電極18が充填されている。
【0094】
そして、下側パッケージ部4bの上面側の接続電極56に上側パッケージ部4aの貫通電極18の下側の接続部18aが接合されている。
【0095】
さらに、上側パッケージ部4aの貫通電極18の上面側の接続部18aに、LED30のバンプ30aがフリップチップ接続されて実装されている。また、LED30は蛍光体32に埋設されており、LED30の上面(発光面)が蛍光体32で被覆されている。第1実施形態の図9の電子部品装置1と同様に、LED30は青色や紫色などの光を放出し、蛍光体32の作用によって白色光として外部に放出される。
【0096】
また、LED30は、上側パッケージ部4aの貫通電極18、下側パッケージ部4bの接続電極56及び電極パッド52を介して、下側パッケージ部4bのシリコン基板20aに設けられたツェナーダイオードZDに接続されている。ツェナーダイオードZDは、電源ラインにおいてLED30と電気的に並列になるように接続されて電源レギュレータとして機能する。
【0097】
なお、図15に示す変形例の電子部品装置2dのように、第2実施形態の電子部品用パッケージ1bの上に、中央部にキャビティCが設けられて周縁部に突起状接合部24aが設けられた構造の透明ガラスからなるキャップ部材24を接合して配置してもよい。上側パッケージ部4aの周縁部の絶縁層14が部分的に除去されており、キャップ部材24(ガラスキャップ)が上側パッケージ部4aのシリコン基板10aに陽極接合される。
【0098】
これにより、上側パッケージ部4a上に実装されたLED30はキャップ部材24によって構成される収容部S内に気密封止されて収容される。
【0099】
あるいは、LED30を蛍光体32で埋設し、その上に透明キャップ部材をさらに設けてもよい。
【0100】
第2実施形態では、下側パッケージ部4bのシリコン基板20aに、LED30に接続されるツェナーダイオードZDを内蔵させる例を示したが、上側パッケージ部4aの上にLED30の代わりに加速度センサなどのMEMS素子を実装し、下側パッケージ部4bのシリコン基板20aにMEMS素子を駆動させるための半導体素子などを内蔵させてもよい。
【0101】
つまり、上側パッケージ部4aの上に各種の電子部品を実装することができ、下側パッケージ部4bのシリコン基板20aに、電子部品に接続される各種の素子(半導体素子、ダイオード、キャパシタ、抵抗、インダクタなど)を内蔵させることができる。
【0102】
上側パッケージ部4aの上にMEMS素子を実装する場合は、図15のキャップ部材24を備えた電子部品装置2dが採用され、MEMS素子が収容部Sに気密封止される。その場合は、キャップ部材24として、透明ガラスの他にシリコンキャップなどの不透明材料を使用することができる。
【0103】
第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、上側パッケージ部4aに設けられる貫通電極18は、その上下の接続部18aが平坦化されて形成されると共に、狭ピッチで形成することができる。従って、高性能な電子部品が実装されるパッケージに適用することができる。
【0104】
ところで、上側パッケージ部4aにツェナーダイオードZDを内蔵させて下側パッケージ部4bを省略する方法が考えられる。しかしながら、上側パッケージ部4aにツェナーダイオードZDを内蔵させる場合、ツェナーダイオードZDを形成した後に、スルーホールTHを形成し、熱酸化によって絶縁層14を形成する必要がある。
【0105】
このため、特に熱酸化する工程においてツェナーダイオードZDの特性が設計値からずれることが多く、そのずれをプロセス条件で補正することは困難を極める。しかも、ツェナーダイオードZDを形成した後に、それに異物が付着しないように保護層で被覆したり、プロセス環境のクリーン度を高く設定したりする必要があり、プロセス管理が煩雑になる問題がある。
【0106】
本実施形態では、そのよう課題を回避するために、貫通電極18が設けられた上側パッケージ部4aにはツェナーダイオードZDを形成せずに、別の下側パッケージ部4bにツェナーダイオードZDを設け、プラズマ処理を用いた低温側の接合方法によってツェナーダイオードZDを上側パッケージ部4aの貫通電極18に接続するようにしている。
【0107】
従って、本実施形態では、ツェナーダイオードZDの特性のずれを考慮する必要もないし、最終工程までクリーン度を高く設定する必要がなくなるので、各種素子を内蔵するパッケージを歩留りよく低コストで製造することができる。ツェナーダイオードZDばかりではなく各種素子を内蔵させる場合も同様である。
【0108】
(第3の実施の形態)
図16は本発明の第3実施形態の電子部品用パッケージの製造方法を示す断面図、図17は同じく電子部品用パッケージを示す断面図、図18は同じく電子部品装置を示す断面図である。
【0109】
第3実施形態の特徴は、第2実施形態において、ツェナーダイオードが形成された第2シリコンウェハに格子状枠部を形成し、貫通電極が設けられた第1シリコンウェハの上に第2シリコンウェハを接合することにより、キャビティが設けられた電子部品用パッケージを製造することにある。第3実施形態では、第2実施形態と同一要素及び同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0110】
第3実施形態の電子部品用パッケージの製造方法は、図16(a)に示すように、まず、第2実施形態の図12(d)に示した下側パッケージ部材3bと同一構造のものを作成して上側パッケージ部材5aとする。次いで、図16(b)に示すように、上側パッケージ部材5aの各パッケージ領域の中央主要部に開口部12zが設けられたマスク層12を形成する。
【0111】
さらに、図16(c)に示すように、マスク層12をマスクにしてその開口部12zを通して、上側パッケージ部材5aの最上の第2絶縁層54から最下の絶縁層51までエッチングすることにより貫通部TPを形成する。その後に、マスク層12が除去される。これにより、シリコンウェハ10に格子状枠部22が形成され、格子状枠部22にツェナーダイオードZDが残される。このようにして、上側パッケージ部材5aが加工されて枠部材となる。
【0112】
次いで、図16(d)の下図に示すように、第1実施形態の図4(b)の貫通電極18が設けられた第1シリコンウェハ10と同一構造のものを作成し、さらに第1シリコンウェハ10の下面側に、所要の貫通電極18を接続する配線パターン層19を形成することにより、下側パッケージ部材5bを得る。
【0113】
そして、同じく図16(d)に示すように、下側パッケージ部材5bの上に図16(c)の上側パッケージ部材5aを上下反転させた状態で配置し、下側パッケージ部材5bの貫通電極18の接続部18aに上側パッケージ部材5aの格子状枠部22の接続電極56を接合する。接合方法は、第1、第2実施形態と同様にプラズマ処理を利用する方法が採用される。
【0114】
これにより、図17に示すように、下側パッケージ部材5bの貫通電極18の上側の接続部18aに上側パッケージ部5aの接続電極56が接合されて電気的に接続される。また、下側パッケージ部材5bの各パッケージ領域に格子状枠部22によって構成されるキャビティCが設けられる。これにより、第3実施形態のパッケージ部材5が得られる。
【0115】
第3実施形態においても、ウェハ状のパッケージ部材5に電子部品を実装した後に、格子状枠部22と下側パッケージ部材5bを切断して個々の電子部品装置を構成してもよいし、あるいは、格子状枠部22と下側パッケージ部材5bを切断して個々のパッケージを得た後に電子部品を実装して電子部品装置を構成してもよい。
【0116】
図18には、第3実施形態の電子部品用パッケージを使用して構成される電子部品装置が示されている。図18に示すように、第3実施形態の電子部品装置2eの電子部品用パッケージ1cは、上記した図17のパッケージ部材5が切断されて得られ、パッケージ基板部11とその周縁部に立設する枠部23とによって基本構成されている。
【0117】
パッケージ基板部11では、第1実施形態と同様に、シリコン基板10aにスルーホールTHが設けられており、シリコン基板10a両面側及びスルーホールTHの内面に絶縁層14が形成されている。スルーホールTH内には貫通電極18が設けられており、貫通電極18の上面及び下面はシリコン基板10a上の絶縁層14の上面及び下面とそれぞれ同等な高さになって平坦化されている。
【0118】
また、パッケージ基板部11上の周縁部に枠部23が接合されており、これによってシリコン基板10a上の中央主要部にキャビティCが設けられている。枠部23のシリコン部20aの下面側にはツェナーダイオードZDが形成されており、ツェナーダイオードZDに接続された接続電極56がパッケージ基板部11の貫通電極18の上側の接続部18aに接合されている。
【0119】
さらに、パッケージ基板部11のシリコン基板10aの下面側には貫通電極18同士を接続する配線パターン層19が設けられている。
【0120】
そして、パッケージ基板部11の貫通電極18の上側の接続部18aに、LED30のバンプ30aがフリップチップ接続されている。さらに、枠部23にはキャップ部材24が接合されLED30が収容部Sに気密封止された状態で収容されている。また、パッケージ基板部11の下面には貫通電極18に接続された外部接続端子26が設けられている。
【0121】
図18の例では、キャップ部材24が透明のガラスキャップからなり、枠部23の上面の絶縁層51が所定の段階で除去され、キャップ部材24(ガラスキャップ)がシリコン部20aに陽極接合されている。
【0122】
あるいは、第1実施形態の第1電子部品装置2(図9)のように、キャップ部材24を省略し、LED30を蛍光体で埋設してもよい。又は、LED30を蛍光体で埋設し、その上に透明キャップ部材をさらに設けてもよい。
【0123】
LED30は、そのバンプ30aが接続された貫通電極18とそれに接続されて下面に形成された配線パターン層19と、それに接続された別の貫通電極18などを介して枠部23のツェナーダイオードZDに接続されている。
【0124】
なお、パッケージ基板部11の上面側に貫通電極18同士を接続する配線パターン層19を形成してもよい。
【0125】
第3実施形態は第2実施形態と同様な効果を奏する。さらに、第3実施形態では、コプラナリティが良好な貫通電極18が設けられたパッケージ基板部11の上にツェナーダイオードZDが設けられた枠部23が接合されて構成されるので、キャビティCが設けられてツェナーダイオードZDが内蔵された電子部品用パッケージ1cを容易に製造することができる。これにより、LED30がキャビティC内の貫通電極18及び枠部23のツェナーダイオードZDに信頼性よく接続された状態で、キャップ部材24によって収容部Sに気密封止される。
【0126】
なお、第3実施形態においても、LED30の代わりに、MEMS素子や他の光半導体素子などを実装してもよく、MEMS素子を実装する場合は、キャップ部材24がシリコンキャップなどの不透明材料から形成されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0127】
1,1a〜1c…電子部品用パッケージ、2,2a〜2e…電子部品装置、3,5…パッケージ部材、3a,5a…上側パッケージ部材、3b,5b…下側パッケージ部材、4a…上側パッケージ部、4b…下側パッケージ部、10…第1シリコンウェハ、11…パッケージ基板部、10a…シリコン基板、12…マスク層、12x,12y,12z…開口部、14…絶縁層、15…接着剤層、16…めっき給電材、18…貫通電極、18a…接続部、19…配線パターン層、20…第2シリコンウェハ、20a…シリコン部(又はシリコン基板)、22…格子状枠部、23…枠部、24…キャップ部材、24a…突起状接合部、26…外部接続端子、30…LED、30a,40a…バンプ、40…電子部品、50,51,54…絶縁層、52…電極パッド、56…接続電極、56a…金属層、C…キャビティ、S…収容部、P…突出部、ZD…ツェナーダイオード、TH…スルーホール、TP…貫通部、R…パッケージ領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スルーホールが設けられた第1シリコン基板と、前記第1シリコン基板の上下面及び前記スルーホールの内面に形成された絶縁層と、前記スルーホール内に充填された貫通電極とを含み、前記貫通電極の上面と前記絶縁層の上面とが面一であるパッケージ基板部と、
中央部に上面から下面まで貫通する開口部を備えた第2シリコン基板から形成され、前記パッケージ基板部の周縁部に前記絶縁層を介して積層されて、前記第1シリコン基板の上にキャビティを構成する枠部とを有し、
前記貫通電極は前記枠部の開口部内に配置されていることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項2】
前記枠部は、前記第2シリコン基板の上下面及び開口部の内面に絶縁層が形成されており、
前記枠部の下面の絶縁層が前記パッケージ基板部の上面の絶縁層に接していることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用パッケージ。
【請求項3】
請求項1又は2の電子部品用パッケージと、
前記貫通電極の上面の接続部に接続されて実装された電子部品とを有することを特徴とする電子部品装置。
【請求項4】
前記電子部品用パッケージの上に、前記電子部品を気密封止するためのキャップ部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子部品装置。
【請求項5】
前記電子部品はLEDであり、前記LEDは蛍光体で被覆されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の電子部品装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−216868(P2012−216868A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−154411(P2012−154411)
【出願日】平成24年7月10日(2012.7.10)
【分割の表示】特願2007−163006(P2007−163006)の分割
【原出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】