説明

電子部品

【課題】めっきにより形成された外部電極が積層体から剥離することを抑制できる。
【解決手段】積層体11は、複数のセラミック層が積層されて構成されており、かつ、該複数のセラミック層の外縁が連なって構成されている実装面を有している。コンデンサ導体18は、セラミック層上に設けられており、実装面においてセラミック層間から露出している露出部を有する。外部電極を構成する導電層12,13は、露出部を覆うように設けられ、かつ、直接めっきにより形成されている。導電層14は、導電層12,13を覆うと共に、積層体11の表面の一部を覆っており、金属及びガラス又は樹脂を含む材料により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関し、より特定的には、めっきにより形成された外部電極を備えている電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品としては、例えば、特許文献1に記載の積層型電子部品が知られている。該積層型電子部品は、積層体、内部電極及び外部電極を備えている。積層体は、複数の絶縁体層が積層されて構成されている。内部電極は、コンデンサを構成しており、積層体の端面から露出している。外部電極は、電解めっき析出物により構成されており、内部電極が積層体から露出している部分を覆うように設けられている。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の積層型電子部品は、以下に説明するように、外部電極が積層体から剥離しやすいという問題を有している。前記積層型電子部品以外の電子部品としては、例えば、積層体の端面に導電性ペーストが塗布されることにより形成された外部電極を備えている電子部品が知られている。導電性ペーストは、例えば、金属及びガラスにより構成されている。ガラスは、接着剤のような機能を有する。すなわち、ガラスは、外部電極の焼き付け時に軟化し、その後凝固することにより、外部電極を積層体に固着させる。よって、外部電極は、積層体から比較的剥離しにくい。
【0004】
一方、特許文献1に記載の積層型電子部品では、外部電極は、めっきにより形成されているので、ガラスを含んでいない。そのため、特許文献1に記載の積層型電子部品の外部電極は、導電性ペーストにより形成された外部電極に比べて、弱い強度でしか積層体に固着していない。よって、特許文献1に記載の電子部品では、導電性ペーストにより形成された外部電極を備えている電子部品よりも、外部電極が積層体から剥離しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2007/049456号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、めっきにより形成された外部電極が積層体から剥離することを抑制できる電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る電子部品は、複数の絶縁体層が積層されて構成されており、かつ、該複数の絶縁体層の外縁が連なって構成されている実装面を有している積層体と、前記絶縁体層上に設けられている内部導体であって、前記実装面において前記絶縁体層間から露出している露出部を有する内部導体と、前記積層体の表面に設けられている外部電極と、を備えており、前記外部電極は、前記露出部を覆うように前記実装面上に設けられ、かつ、直接めっきにより形成された第1の導電層と、前記第1の導電層の少なくとも一部を覆うと共に、前記積層体の表面の一部を覆う第2の導電層であって、金属及びガラス又は樹脂を含む材料により構成されている第2の導電層と、を含んでいること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、めっきにより形成された外部電極が積層体から剥離することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電子部品の外観斜視図である。
【図2】電子部品の導電層を取り除いた斜視図である。
【図3】電子部品の積層体の分解斜視図である。
【図4】電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図5】第1の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図6】第2の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図7】第3の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図8】第4の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図9】第5の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図10】第6の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図11】第7の変形例に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【図12】その他の実施形態に係る電子部品を積層方向の上側から透視した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。
【0011】
(電子部品の構成)
まず、電子部品の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、電子部品10の外観斜視図である。図2は、電子部品10の外部電極30a,30bの導電層14a,14bを取り除いた斜視図である。図3は、電子部品10の積層体11の分解斜視図である。図4は、電子部品10を積層方向の上側から透視した図である。また、図4には、電子部品10の拡大断面構造も記載されている。以下では、積層体11の積層方向をy軸方向と定義する。積層体11をy軸方向から平面視したときの積層体11の長辺方向をx軸方向と定義する。積層体11をy軸方向から平面視したときの積層体11の短辺方向をz軸方向と定義する。
【0012】
電子部品10は、チップコンデンサであり、図1ないし図3に示すように、積層体11、外部電極30(30a,30b)及びコンデンサC(図3参照)を備えている。
【0013】
積層体11は、直方体状をなしており、図2に示すように、側面S1,S2、端面S3,S4、上面S5及び下面S6を有している。ただし、積層体11は、面取りが施されることにより角及び稜線において丸みを帯びた形状をなしている。以下では、図2に示すように、積層体11において、y軸方向の正方向側の面を側面S1とし、y軸方向の負方向側の面を側面S2とする。また、x軸方向の負方向側の面を端面S3とし、x軸方向の正方向側の面を端面S4とする。また、z軸方向の正方向側の面を上面S5とし、z軸方向の負方向側の面を下面S6とする。下面S6は、電子部品10が回路基板に実装される際に、回路基板に対向する実装面である。
【0014】
積層体11は、図3に示すように、複数のセラミック層(絶縁体層)16が積層されることにより構成されている。セラミック層16は、長方形状をなしており、誘電体セラミックにより作製されている。誘電体セラミックの例としては、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3又はCaZrO3が挙げられる。また、これらの材料が主成分とされ、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物又はNi化合物が副成分とされていてもよい。セラミック層16の厚みは、0.5μm以上10μm以下であることが好ましい。以下では、セラミック層16のy軸方向の正方向側の主面を表面と称し、セラミック層16のy軸方向の負方向側の主面を裏面と称す。
【0015】
以上のように、積層体11の側面S1は、y軸方向の最も正方向側に設けられているセラミック層16の表面により構成されている。積層体11の側面S2は、y軸方向の最も負方向側に設けられているセラミック層16の裏面により構成されている。また、端面S3は、複数のセラミック層16のx軸方向の負方向側の短辺(外縁)が連なることによって構成されている。端面S4は、複数のセラミック層16のx軸方向の正方向側の短辺(外縁)が連なることによって構成されている。上面S5は、複数のセラミック層16のz軸方向の正方向側の長辺(外縁)が連なることによって構成されている。下面S6は、複数のセラミック層16のz軸方向の負方向側の長辺(外縁)が連なることによって構成されている。
【0016】
コンデンサCは、図3に示すように、積層体11に内蔵されているコンデンサ導体(内部導体)18(18a,18b)により構成されている。コンデンサ導体18は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等の導電性材料により作製されており、0.3μm以上2.0μm以下の厚さを有していることが好ましい。
【0017】
コンデンサ導体18aは、セラミック層16の表面上に設けられており、容量部20a及び引き出し部22a,24aを有している。容量部20aは、長方形状をなしており、セラミック層16の外縁に接していない。引き出し部22aは、容量部20aのz軸方向の負方向側の長辺のx軸方向の負方向側の端部近傍から、z軸方向の負方向側に向かって突出している。これにより、引き出し部22aは、セラミック層16のz軸方向の負方向側の長辺に引き出されている。引き出し部22aは、z軸方向の負方向側の先端部分において、積層体11の下面S6において隣り合う2層のセラミック層16間から露出している露出部26aを有している。引き出し部24aは、容量部20aのz軸方向の正方向側の長辺のx軸方向の負方向側の端部近傍から、z軸方向の正方向側に向かって突出している。これにより、引き出し部24aは、セラミック層16のz軸方向の正方向側の長辺に引き出されている。引き出し部24aは、z軸方向の正方向側の先端部分において、積層体11の上面S5において隣り合う2層のセラミック層16間から露出している露出部28aを有している。
【0018】
コンデンサ導体18bは、セラミック層16の表面上に設けられており、容量部20b及び引き出し部22b,24bを有している。容量部20bは、長方形状をなしており、セラミック層16の外縁に接していない。そして、容量部20bは、セラミック層16を介して容量部20aと対向している。これにより、容量部20a,20b間には静電容量が発生している。引き出し部22bは、容量部20bのz軸方向の負方向側の長辺のx軸方向の正方向側の端部近傍から、z軸方向の負方向側に向かって突出している。これにより、引き出し部22bは、セラミック層16のz軸方向の負方向側の長辺に引き出されている。引き出し部22bは、引き出し部22aよりもx軸方向の正方向側に位置している。引き出し部22bは、z軸方向の負方向側の先端部分において、積層体11の下面S6において、隣り合う2層のセラミック層16間から露出している露出部26bを有している。引き出し部24bは、容量部20bのz軸方向の正方向側の長辺のx軸方向の正方向側の端部近傍から、z軸方向の正方向側に向かって突出している。これにより、引き出し部24bは、セラミック層16のz軸方向の正方向側の長辺に引き出されている。引き出し部24bは、引き出し部24aよりもx軸方向の正方向側に位置している。引き出し部24bは、z軸方向の正方向側の先端部分において、積層体11の上面S5において隣り合う2層のセラミック層16間から露出している露出部28bを有している。
【0019】
以上のように構成されたコンデンサ導体18a,18bは、y軸方向に交互に並ぶように複数のセラミック層16上に設けられている。これにより、コンデンサCは、コンデンサ導体18aとコンデンサ導体18bとがセラミック層16を介して対向する部分において構成されている。
【0020】
外部電極30(30a,30b)は、導電層12(12a,12b)(図2参照)、導電層(第1の導電層)13(13a,13b)(図2参照)、導電層(第2の導電層)14(14a,14b)及び導電層15(15a,15b)を含んでいる。
【0021】
導電層12a,12bはそれぞれ、露出部26a,26bを覆うように下面S6上に設けられ、かつ、直接めっきにより形成されている。導電層12aは、導電層12bよりもx軸方向の負方向側に位置している。導電層12a,12bはそれぞれ、長方形状をなしており、下面S6から他の面にはみ出していない。導電層13a,13bはそれぞれ、露出部28a,28bを覆うように上面S5上に設けられ、かつ、直接めっきにより形成されている。導電層13aは、導電層13bよりもx軸方向の負方向側に位置している。導電層13a,13bはそれぞれ、長方形状をなしており、上面S5から他の面にはみ出していない。導電層12,13は、例えば、Cu,Ni,Sn,Pb,Au,Ag,Pd,Bi及びZnからなる群から選ばれる1種の金属又はこれらの金属を含む合金により作製されており、1μm以上15μm以下の厚さを有していることが好ましい。
【0022】
導電層14aは、図1及び図3に示すように、導電層12a,13aの少なくとも一部を覆うと共に、積層体11の表面の一部を覆っており、金属及びガラスを含む材料(焼結金属)により構成されている。本実施形態に係る電子部品10では、導電層14aは、導電層12a,13aの全体を覆っている。より詳細には、導電層14aは、積層体11の端面S3の全面を覆うように設けられていると共に、端面S3に隣接する側面S1,S2、上面S5及び下面S6に折り返されている。よって、導電層14aは、実装面である下面S6及び下面S6に隣接する積層体の表面(側面S1,S2及び端面S3)に跨って設けられている。
【0023】
導電層14bは、図1及び図3に示すように、導電層12b,13bの少なくとも一部を覆うと共に、積層体11の表面の一部を覆っており、金属及びガラスを含む材料(焼結金属)により構成されている。本実施形態に係る電子部品10では、導電層14bは、導電層12b,13bの全体を覆っている。より詳細には、導電層14bは、積層体11の端面S4の全面を覆うように設けられていると共に、端面S4に隣接する側面S1,S2、上面S5及び下面S6に折り返されている。よって、導電層14bは、実装面である下面S6及び下面S6に隣接する積層体の表面(側面S1,S2及び端面S4)に跨って設けられている。
【0024】
導電層14a,14bの金属成分は、例えば、Cu,Ni,Ag及びPdからなる群から選ばれる1種の金属又はこれらの金属を含む合金である。また、ガラス成分は、例えば、B,Si,Ba,Mg,Al,Li等を含有するガラスが挙げられる。また、導電層14a,14bは、3μm以上10μm以下の厚さを有していることが好ましい。
【0025】
導電層15a,15bはそれぞれ、図1及び図4の拡大図に示すように、導電層14a,14bを覆うように設けられており、めっきにより形成されている。導電層15は、複数の導電層により構成されていてもよい。導電層15は、例えば、Cu,Ni,Sn,Pb,Au,Ag,Pd,Bi及びZnからなる群から選ばれる1種の金属又はこれらの金属を含む合金により作製されており、1μm以上15μm以下の厚さを有していることが好ましい。
【0026】
以上のように構成された電子部品10は、回路基板に実装されて用いられる。この際、電子部品10は、下面S6が回路基板に対向するように、回路基板上に実装される。
【0027】
(電子部品の製造方法)
次に、電子部品10の製造方法について説明する。なお、図面は、図1ないし図4を援用する。
【0028】
まず、所定の材料を秤量してボールミルに投入し、湿式調合を行う。得られた混合物を乾燥してから粉砕し、得られた粉末を仮焼する。得られた仮焼粉末をボールミルにて湿式粉砕した後、乾燥してから解砕して、誘電体セラミック粉末を得る。
【0029】
この誘電体セラミック粉末に対して、有機バインダ及び有機溶剤を加えてボールミルで混合を行う。得られたセラミックスラリーをドクターブレード法により、キャリアシート上にシート状に形成して乾燥させ、セラミック層16となるべきセラミックグリーンシートを作製する。
【0030】
次に、セラミック層16となるべきセラミックグリーンシート上に、導電性材料からなるペーストをスクリーン印刷法やフォトリソグラフィ法などの方法で塗布することにより、コンデンサ導体18a,18bを形成する。導電性材料からなるペーストは、例えば、金属粉末に、有機バインダ及び有機溶剤が加えられたものである。
【0031】
次に、セラミック層16となるべきセラミックグリーンシートを積層して未焼成のマザー積層体を得る。この後、未焼成のマザー積層体に対して、静水圧プレスにて圧着を施す。
【0032】
次に、未焼成のマザー積層体を所定寸法にカットして、複数の未焼成の積層体11を得る。そして、未焼成の積層体11を焼成する。焼成温度は、例えば、900℃以上1300℃以下であることが好ましい。以上の工程により、コンデンサ導体18を内蔵している焼成された積層体11の準備が完了する。
【0033】
次に、積層体11の表面にバレル研磨加工等の研磨加工を施す。バレル研磨加工により、露出部26a,26b,28a,28bは、バレル研磨加工前に比べて、より大きな面積で上面S5及び下面S6から露出するようになる。
【0034】
次に、めっき工法により導電層12,13を形成する。具体的には、導電性メディアが入れられたバレル内に、積層体11を投入する。そして、バレルをめっき液内に浸し、所定時間回転させる。これにより、露出部26a,26b,28a,28bに導電性メディアが接触して給電が行われる。その結果,露出部26a,26b,28a,28bには、金属が析出して導電層12,13が形成される。
【0035】
次に、浸漬法により導電層14を形成する。具体的には、金属及びガラスを含有する導電性ペースト層に積層体11を浸漬する。その後、700℃以上900℃以下の温度で導電層14の焼き付けを行う。
【0036】
次に、めっき工法により導電層15を形成する。具体的には、導電性メディアが入れられたバレル内に、積層体11を投入する。そして、バレルをめっき液内に浸し、所定時間回転させる。これにより、導電層14に導電性メディアが接触して給電が行われる。その結果、導電層14上には、金属が析出して導電層15が形成される。以上の工程により、電子部品10が完成する。
【0037】
(効果)
以上の電子部品10によれば、めっきにより形成された導電層12,13が積層体11から剥離することを抑制できる。より詳細には、特許文献1に記載の積層型電子部品では、外部電極は、めっきにより形成されているので、ガラスを含んでいない。そのため、特許文献1に記載の積層型電子部品の外部電極は、弱い強度でしか積層体に固着していない。よって、特許文献1に記載の電子部品では、外部電極が積層体から剥離しやすい。
【0038】
一方、電子部品10では、導電層14は、金属及びガラスを含む材料により構成されている。そのため、ガラスの接着剤効果により、導電層14は、積層体11に強い強度で固着する。そして、導電層14は、めっきにより形成された導電層12,13の少なくとも一部を覆うように設けられている。そのため、導電層14は、導電層12,13が積層体11から剥離することを抑制する。よって、電子部品10によれば、導電層12,13が積層体11から剥離することを抑制できる。
【0039】
なお、本実施形態に係る電子部品10では、導電層14は、導電層12,13の全体を覆っている。そのため、電子部品10では、導電層12,13が積層体11から剥離することがより効果的に抑制される。
【0040】
また、電子部品10では、導電層14は、実装面である下面S6に隣接する積層体11の表面に跨って設けられている。このように、導電層14は、複数の表面に跨って形成されることにより、より強固に積層体11に固着するようになる。その結果、電子部品10では、導電層12,13が積層体11から剥離することがより効果的に抑制される。
【0041】
また、電子部品10では、素子の小型化を図ることが可能である。以下に、積層体の端面に導電性ペーストが塗布されることにより形成された外部電極を備えている電子部品(一般的な電子部品と称す)と電子部品10とを対比して説明する。
【0042】
一般的な電子部品では、積層体が導電性ペーストに浸漬されることにより、外部電極が形成される。この場合には、外部電極は、積層体から露出している内部導体と接触することにより、内部導体と電気的に接続されている。ただし、導電性ペーストを焼き付けて得られる外部電極は比較的ポーラスであるため、積層体内に水分等が侵入することを防ぐためのシール性を確保するためには、外部電極を厚く形成する必要があった。その結果、一般的な電子部品では、外部電極の厚さによって、素子が大型化するという問題があった。
【0043】
一方、電子部品10では、導電層12,13は、露出部26,28を覆うように形成され、コンデンサ導体18と電気的に接続されている。そして、導電層14は、導電層12,13を覆うように形成されている。導電層12,13は、めっきにより構成されているため緻密な膜を有している。そのため、導電層14が比較的薄い厚さであっても、導電層12,13により十分なシール性を確保することができる。更に、導電層12,13は、めっき法により形成されているので、比較的に薄い厚さを有している。同様に、導電層14上に設けられている導電層15は、めっきにより形成されているので、比較的に薄い厚さを有している。以上のように、電子部品10では、比較的に薄い厚さを有する導電層12〜15により外部電極30が構成可能である。よって、電子部品10では、一般的な電子部品に比べて、素子の小型化を図ることが可能である。
【0044】
(第1の変形例)
以下に第1の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図5は、第1の変形例に係る電子部品10aを積層方向の上側から透視した図である。
【0045】
図5に示すように、コンデンサ導体18は、引き出し部24a,24bを有していなくてもよい。これにより、導電層13a,13bも不要となる。その結果、電子部品10aのz軸方向の高さが低くなる。
【0046】
(第2の変形例)
以下に第2の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図6は、第2の変形例に係る電子部品10bを積層方向の上側から透視した図である。
【0047】
図6に示すように、導電層14,15は、側面S1,S2に設けられておらず、y軸方向から平面視したときに、コ字型をなしている。これにより、電子部品10bのy軸方向の幅は、電子部品10のy軸方向の幅に比べて、導電層14,15の厚みの分だけ小さくなる。
【0048】
なお、図6に示す導電層14,15を形成する場合には、側面S1,S2にマスキングを施せばよい。
【0049】
(第3の変形例)
以下に第3の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図7は、第3の変形例に係る電子部品10cを積層方向の上側から透視した図である。
【0050】
電子部品10cは、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していない点、及び、導電層13a,13bが設けられていない点において、電子部品10bと相違する。図7に示すように、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していないことにより、導電層13a,13bも不要となる。その結果、電子部品10cのz軸方向の高さが、電子部品10bのz軸方向の高さよりも低くなる。
【0051】
なお、図7に示す導電層14,15を形成する場合には、側面S1,S2にマスキングを施せばよい。
【0052】
(第4の変形例)
以下に第4の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図8は、第4の変形例に係る電子部品10dを積層方向の上側から透視した図である。
【0053】
電子部品10dは、導電層14,15が導電層12,13の一部を覆っている点において、電子部品10bと相違する。このように、導電層14,15が導電層12,13の一部を覆っている電子部品10dにおいても、導電層12,13が積層体11から剥離することが抑制される。
【0054】
なお、図8に示す導電層14,15を形成する場合には、側面S1,S2及び導電層12,13の一部にマスキングを施せばよい。
【0055】
(第5の変形例)
以下に第5の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図9は、第5の変形例に係る電子部品10eを積層方向の上側から透視した図である。
【0056】
電子部品10eは、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していない点、及び、導電層13a,13bが設けられていない点において、電子部品10dと相違する。図9に示すように、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していないことにより、導電層13a,13bも不要となる。その結果、電子部品10eのz軸方向の高さが、電子部品10dのz軸方向の高さよりも低くなる。
【0057】
なお、図9に示す導電層14,15を形成する場合には、側面S1,S2及び導電層12の一部にマスキングを施せばよい。
【0058】
(第6の変形例)
以下に第6の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図10は、第6の変形例に係る電子部品10fを積層方向の上側から透視した図である。
【0059】
電子部品10fは、導電層14,15がそれぞれ端面S3,S4に設けられていない点において、電子部品10と相違する。これにより、電子部品10fのx軸方向の長さは、導電層14,15の厚さの分だけ、電子部品10のx軸方向の長さに比べて短くなる。
【0060】
なお、図10に示す導電層14,15を形成する場合には、端面S3,S4にマスキングを施せばよい。
【0061】
(第7の変形例)
以下に第7の変形例に係る電子部品について図面を参照しながら説明する。図11は、第7の変形例に係る電子部品10gを積層方向の上側から透視した図である。
【0062】
電子部品10gは、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していない点、及び、導電層13a,13bが設けられていない点において、電子部品10fと相違する。図11に示すように、コンデンサ導体18が引き出し部24a,24bを有していないことにより、導電層13a,13bも不要となる。その結果、電子部品10gのz軸方向の高さが、電子部品10fのz軸方向の高さよりも低くなる。
【0063】
なお、図11に示す導電層14,15を形成する場合には、端面S3,S4にマスキングを施せばよい。
【0064】
(その他の実施形態)
本願発明に係る電子部品は、前記実施形態及び変形例に示したものに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0065】
なお、電子部品10,10a〜10gでは、導電層14は、金属及びガラスを含む材料により構成されているとしたが、金属及び樹脂を含む材料により構成されていてもよい。すなわち、導電層14は、金属フィラーと樹脂とからなる導電性樹脂により構成されていてもよい。金属フィラーとしては、例えば、Cu,Ni,Ag及びPdからなる群から選ばれる1種の金属又はこれらの金属の合金を用いることが可能である。また、金属フィラーとして、Agにより被覆されたCu粉のようなコート粉を用いてもよい。また、樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0066】
導電層14が金属及び樹脂を含む材料により構成されている場合には、導電層14の熱硬化時に樹脂が軟化して導電層12,13の表面の凹凸および積層体11の表面の凹凸に入り込む。その結果、電子部品10,10a〜10gにおいて、樹脂のアンカー効果又は化学的吸着力により、導電層12,13が積層体11から剥離することがより効果的に抑制されるようになる。なお、導電層14の硬化温度は、200℃以上300℃以下である。
【0067】
ここで、金属及び樹脂を含む材料により構成されている導電層14を備えているその他の実施形態に係る電子部品10hについて図面を参照しながら説明する。図12は、その他の実施形態に係る電子部品10hを積層方向の上側から透視した図である。
【0068】
図12に示すように、コンデンサ導体18は、引き出し部22a,22bを有していなくてもよい。これにより、導電層12a,12bも不要となる。その結果、電子部品10hのz軸方向の高さが低くなる。
【0069】
更に、電子部品10hでは、以下に説明するように、回路基板のたわみに起因するクラックを抑制できる。一般的な電子部品では、比較的固い外部電極が積層体に固着しているため、回路基板の取り付け時や熱衝撃サイクルが加わったときに回路基板にたわみが生じることにより、電子部品の積層体や接続用の半田に応力がかかって、積層体や半田にクラックが発生することがある。このようなクラックの発生は、ショート不良やオープン不良の原因となるおそれがある。
【0070】
一方、電子部品10hでは、導電層14a,14bは、金属及び樹脂を含む材料により構成されているので、比較的柔らかい。そのため、回路基板にたわみが発生すると、下面S6における導電層14aのx軸方向の正方向側の端部(図12のD)及び下面S6における導電層14bのx軸方向の負方向側の端部(図12のD)において、導電層14a,14bが積層体11から剥がれる。よって、電子部品10hでは、回路基板のたわみに起因するクラックを抑制できる。なお、図12のDにおいて導電層14a,14bが積層体11から剥がれても、電子部品10hでは、導電層14から導電層13を経由してコンデンサ導体18に至る電流経路が確保されているため、オープン不良になることはない。
【0071】
なお、電子部品10,10a〜10hでは、導電層12,13は、電解めっきであるバレルめっきにより形成されているが、無電解めっきにより形成されてもよい。
【0072】
なお、電子部品10,10a〜10hでは、積層体11は、コンデンサCを内蔵するとしたが、コイルや抵抗等の他の電子素子を内蔵していてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のように、本発明は、電子部品に有用であり、特に、めっきにより形成された外部電極が積層体から剥離することを抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0074】
C コンデンサ
S1,S2 側面
S3,S4 端面
S5 上面
S6 下面
10,10a〜10h 電子部品
11 積層体
12a,12b,13a,13b,14a,14b,15a,15b 導電層
16 セラミック層
18a,18b コンデンサ導体
20a,20b 容量部
22a,22b,24a,24b 引き出し部
26a,26b,28a,28b 露出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁体層が積層されて構成されており、かつ、該複数の絶縁体層の外縁が連なって構成されている実装面を有している積層体と、
前記絶縁体層上に設けられている内部導体であって、前記実装面において前記絶縁体層間から露出している露出部を有する内部導体と、
前記積層体の表面に設けられている外部電極と、
を備えており、
前記外部電極は、
前記露出部を覆うように前記実装面上に設けられ、かつ、直接めっきにより形成された第1の導電層と、
前記第1の導電層の少なくとも一部を覆うと共に、前記積層体の表面の一部を覆う第2の導電層であって、金属及びガラス又は樹脂を含む材料により構成されている第2の導電層と、
を含んでいること、
を特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第2の導電層は、前記第1の導電層の全体を覆っていること、
を特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記積層体は、直方体状をなしており、
前記第2の導電層は、前記実装面及び該実装面に隣接する前記積層体の表面に跨って設けられていること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1の導電層は、前記実装面からはみ出していないこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−64779(P2012−64779A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208093(P2010−208093)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】