説明

電極コンタクト構造、自己走査型発光素子アレイ

【課題】不均一な結晶相の形成を抑制してオーミック接触を実現する電極コンタクト構造を提供する。
【解決手段】電極コンタクト構造は、エピタキシャル層100と、エピタキシャル層100上に形成されたコンタクトメタル電極120と、コンタクトホールを有する層間絶縁膜140と、コンタクトメタル電極120上に形成され、コンタクトメタル電極の結晶配向性と整合する結晶配向性を有する拡散障壁層200と、拡散障壁層200上に形成されたAl配線160を有する。電極コンタクト構造は、自己走査型発光素子アレイのカソード電極やゲート電極の構造として用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極コンタクト構造、自己走査型発光素子アレイに関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子材料として用いられる化合物半導体用のオーミック電極としては、Auを主体とした合金が用いられることが多い。一方、配線材料としては、抵抗率が低く、ワイヤボンデイングが容易なAlが用いられることが多い。
【0003】
下記の特許文献1には、GaAs基板上に形成されたAu電極と、このAu電極上の絶縁膜に開けられたコンタクトホールと、このコンタクトホールを介してAu電極にオーミック接触するAl配線から構成される電極コンタクト構造が開示されている。
【0004】
また、下記の特許文献2には、半導体発光素子のn側電極が、Al層とバリアメタル層とAu層を積層して構成されることが開示されており、バリアメタルとしてNi,Pt,V,Cr,Mo,Al,Tiが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−340767号公報
【特許文献2】特開2005−354040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、異種金属の接合部では合金化が生じ、例えばAu電極上にAl配線を積層すると、不均一ないくつかの結晶相が生じる。
【0007】
図7に、この場合の模式図を示す。n型あるいはp型の化合物半導体エピタキシャル層100上にコンタクトメタル電極(Au電極)120を形成し、層間絶縁膜14に設けられたコンタクトホールを介してコンタクトメタル電極(Au電極)120上にAl配線160を形成する。すると、積層プロセス中の熱過程により、AlAu,AlAu,Al2Au,AlAu,AlAu,Al11Au,AlAu等の合金180が生じ、これら不均一な結晶相によりオーミック接触を損なう。そして、このような電極コンタクト構造を発光素子に用いると、発光効率の低下等が生じ得る。
【0008】
本発明の目的は、不均一な結晶相の形成を抑制してオーミック接触を実現する電極コンタクト構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、エピタキシャル層と、前記エピタキシャル層上に形成されたコンタクトメタル電極と、前記コンタクトメタル電極上に形成され、前記コンタクトメタル電極の結晶配向性と整合する結晶配向性を有する拡散障壁層と、前記拡散障壁層上に形成された配線層とを有することを特徴とする電極コンタクト構造である。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、前記コンタクトメタル電極は、AU,Pt,Ir,Pd,Agの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、前記拡散障壁層は、Ti,Zr,Hfのいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造である。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、前記コンタクトメタル電極は、AU,Pt,Ir,Pd,Agの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、前記拡散障壁層は、Niから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造である。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、前記コンタクトメタル電極は、Ruの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、前記拡散障壁層は、Ti,Zr,Hfのいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造である。
【0013】
また、請求項5記載の発明は、前記コンタクトメタル電極は、Ruの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、前記拡散障壁層は、Niから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造である。
【0014】
また、請求項6記載の発明は、前記拡散障壁層のX線回折積分強度における稠密面強度に対するその他の最大強度面の比が0.1以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極コンタクト構造である。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、前記拡散障壁層は、10nm以上100nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極コンタクト構造である。
【0016】
また、請求項8記載の発明は、複数の発光サイリスタからなる発光素子アレイを有し、前記発光サイリスタのカソード電極またはゲート電極の少なくともいずれかの電極コンタクト構造が、請求項1〜7のいずれかに記載の電極コンタクト構造であることを特徴とする自己走査型発光素子アレイである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明によれば、コンタクトメタル電極への配線層材料の拡散が抑制され、不均一な結晶相の形成が抑制される。
【0018】
請求項2〜5記載の発明によれば、コンタクトメタル電極と拡散障壁層の結晶配向性が整合する。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、拡散障壁層の配向度が高まる。
【0020】
請求項7記載の発明によれば、拡散障壁層の厚さを100nm以下まで薄膜化される。
【0021】
請求項8記載の発明によれば、自己走査型発光素子アレイの電極構造でコンタクトメタル電極への配線層材料の拡散が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態の電極コンタクト構造の模式図である。
【図2】Au電極のX線回折結果を示す図である。
【図3】Ti拡散障壁層のX線回折結果を示す図である。
【図4】拡散障壁層の厚さと拡散の有無との関係を示す図である。
【図5】AuとAlのモル比と結晶相との関係を示す図である。
【図6】自己走査型発光素子アレイの構成図である。
【図7】従来の電極コンタクト構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面に基づいて本発明を実施するための形態について説明する。
【0024】
図1に、本実施形態における電極コンタクト構造を模式的に示す。n型あるいはp型の化合物半導体エピタキシャル層100上にコンタクトメタル電極120が形成され、層間絶縁膜140上に拡散障壁層200が形成される。層間絶縁膜140にはコンタクトホールが形成され、このコンタクトホールを介してコンタクトメタル電極120上に拡散障壁層200が接合する。拡散障壁層200上にはAl配線160が形成される。
【0025】
n型あるいはp型エピタキシャル層100は、具体的にはAlGa1−xAs,GaIn1−xAs,GaAs1−x,GaIn1−yAs1−x,AlGa1−yAs1−xSb,AlGa1−xN等であり、基板上にエピタキシャル成長して構成される。
【0026】
コンタクトメタル電極120は、オーミック接触電極であり、典型的にはAuであるが、Auの他にもPt,Pd,Ag,Ir,Ruを主成分とする合金または単体金属から構成される。
【0027】
層間絶縁層140は、n型あるいはp型エピタキシャル層100とAl配線160との間を絶縁するための層で、SiO等から構成される。
【0028】
拡散障壁層200は、コンタクトメタル電極120とAl配線160との間に介在し、コンタクトメタルとAlの合金化を阻害する層である。拡散障壁層200は、具体的には面心立方構造fccまたは六方細密構造hcpを有するTi,Zr,Hf,Ni等から構成される。
【0029】
図1に示される電極コンタクト構造は、例えば以下の工程を経て作製される。
【0030】
すなわち、GaAs等の基板上にエピタキシャル層100を形成し、エピタキシャル層100上にレジストを塗布し、フォトリソグラフィー法によりパターニングする。
【0031】
次に、レジストパターンをマスクとしてコンタクトメタル電極120を蒸着法で形成する。
【0032】
次に、層間絶縁膜140をCVD法により形成し、コンタクト部をフォトレジストで開口し、エッチングを用いてコンタクト部を開口してコンタクトホールを形成する。
【0033】
次に、拡散障壁層200をスパッタリング法で形成する。
【0034】
最後に、Al配線160をスパッタリング法で形成する。
【0035】
このようにして、電極コンタクト構造が作製されるが、コンタクトメタル電極120を構成するコンタクトメタルとAl配線160を構成するAlとの合金化を抑制するための拡散障壁層200は、その結晶配向面がコンタクトメタルの結晶配向面に対して整合するように調整される。
【0036】
すなわち、コンタクトメタル及び拡散障壁層200が、ともに面心立方構造fccまたは六方細密構造hcpの結晶構造を有する場合、両者の稠密面が互いに接するときに、拡散障壁層200の拡散障壁機能が増大する。コンタクトメタルとしてのAu,Pt,Ir,Pd,Ag,Ruのうち、Au,Pt,Ir,Pd,Agは面心立方構造fccであり、Ruは六方細密構造hcpである。一方、拡散障壁層200を構成する材料であるNi,Ti,Zr,Hfのうち、Niは面心立方構造fccであり、Ti,Zr,Hfは六方細密構造hcpである。したがって、コンタクトメタルと拡散障壁層200の組み合わせとしては、以下の組み合わせがある。
【0037】
(1)fcc×fcc
コンタクトメタルがAu,Pt,Ag等、拡散障壁層200がNiである。
【0038】
(2)fcc×hcp
例えば、コンタクトメタルがAu,Pt,Ag等、拡散障壁層200がTi,Zr,Hf等である。
【0039】
(3)hcp×fcc
コンタクトメタルがRu、拡散障壁層200がNiである。
【0040】
(4)hcp×hcp
コンタクトメタルがRu、拡散障壁層200がTi,Zr,Hf等である。
【0041】
このような結晶構造の組み合わせに対して、両者の稠密面が互いに接するようにコンタクトメタル電極120及び拡散障壁層200を形成する。
【0042】
図2に、コンタクトメタルとしてAuを用いた場合のX線回折角度(degree)と積分強度I(counts)の関係を示す。Au(111)に高く配向した結晶構造である。
【0043】
一方、図3に、拡散障壁層200としてTiを用いた場合のX線回折角度(degree)と積分強度I(counts)の関係を示す。拡散障壁層200は既述したようにスパッタ蒸着法により形成されるが、スパッタリング法での条件を調整することで、(001)平行面に高く配向した結晶構造が得られる。Ti膜を無秩序に形成した場合、Ti(100)、Ti(101)、Ti(102)にも配向が生じる。
【0044】
図4に、コンタクトメタルにAu、拡散障壁層200にTiを用いるとともに、拡散障壁層200のTiの厚さ(オングストローム)を種々変化させた場合の、Al配線160を構成するAlのAuへの拡散の度合いを示す。図において、横軸はTiの厚さであり、縦軸はTi(002)の稠密面強度に対する他の最大強度面の比を表す。この比が小さいほど、Tiの配向性は高くなる。また、図において、○印は拡散の度合いが10mol%以下の場合(つまり、拡散が抑制されている)を表し、×印は拡散の度合いが10mol%を超える場合(つまり、拡散抑制が不十分)を表している。なお、AlのAuへの拡散の度合いは、エネルギ分散X線分光で観測したものである。
【0045】
10mol%を境界として○印とX印に分類したのは、10mol%以下ではAuとAlは結晶相を形成せず、Au内に無秩序にAlが分散した固溶体となるからである。図5に、AuとAlの合金の各結晶とそのmol%をまとめて示す。AlがAuに対して20mol%存在すると、AlAuの合金が生じる。Alが10mol%以下と低い場合には、結晶相を形成しない。したがって、たとえAlがAuに拡散しても、コンタクトメタル電極120のオーミック接触は維持される。
【0046】
再び図4に戻り、この図4に示されるように、Ti(002)の稠密面強度に対する他の最大強度面の比が小さくなる、すなわちTiの配向性が高くなるほどAlのAuへの拡散が抑制される。また、Tiの厚さが増大するほどAlのAuへの拡散が抑制される。
【0047】
また、Ti(002)の稠密面強度に対する他の最大強度面の比が0.1以下であれば、拡散障壁層200とその下地層であるコンタクトメタル電極120の結晶配向面が十分に整合し、10nm〜100nmでもAlの拡散を抑制し得る。拡散障壁層200は、コスト低減、製造工程の簡易化、短縮化等の観点から可能な限り薄く形成することが望ましい。Ti(002)の稠密面強度に対する他の最大強度面の比を0.1以下とすることで、Tiの厚さを50nm程度、あるいはそれ以下と極薄膜でもAlの拡散が抑制される。拡散障壁層200の厚さの下限は、連続膜として形成される観点から決定され、例えば10nmである。10nmより薄いと、連続膜ではなく局所的にホールが形成され易く、このホールからAlがコンタクトメタルに拡散してしまう。したがって、拡散障壁層200の厚さとしては、10nm以上100nm以下が好適であり、10nm以上50nm以下がさらに好適である。
【0048】
図4では、コンタクトメタルとしてAu、拡散障壁層200としてTiを用いた場合を例示したが、コンタクトメタルとしてAuと同様に面心立方構造fccを有するPt,Ir,Pd,Agを用い、拡散障壁層200としてTiと同様に六方細密構造を有するZr,Hfを用いた場合も同様である。以上は、上記の組み合わせ(1)〜(4)のうちの(2)の組み合わせについて示したものであるが、(3)の組み合わせについても同様である。さらに、(1)、(4)の組み合わせについては、コンタクトメタル及び拡散障壁層200のいずれの結晶面も同じ構造を有しているので、両者の配向方向が整合する。
【0049】
コンタクトメタル電極120は蒸着法により形成され、拡散障壁層200はスパッタリング法により形成されるが、形成時における配向性については以下のとおりである。すなわち、コンタクトメタル電極120の材料が面心立方構造fccであれば(111)面をエピタキシャル層100のエピタキシャル面に対して立たせ、六方細密構造hcpであれば(001)面をエピタキシャル面に対して立たせるように形成する。また、拡散障壁層200の材料が面心立方構造fccであれば(111)面をエピタキシャル面に対して立たせ、六方細密構造hcpであれば(001)面をエピタキシャル層に対して立たせるように形成する。いずれの場合にも、拡散障壁層200の結晶配向性は高いほどよく、具体的には拡散障壁層200の材料が面心立方構造fccであれば積分強度I(111)に対するそれ以外の(111)非平行面の積分強度は0.1以下、六方細密構造hcpであれば積分強度I(002)に対するそれ以外の(001)非平行面の積分強度は0.1以下となるように調整する。
【0050】
具体的には、コンタクトメタルがAu,Pt,Ir,Pd,Agの場合には(111)面をエピタキシャル面に対して立たせ、Ruの場合には(001)面をエピタキシャル面に対して立たせ、拡散障壁層200がNiの場合には(111)面をエピタキシャル面に対して立たせ、Ti,Zr,Hfの場合には(001)面をエピタキシャル面に対して立たせる。ここで、「立たせる」とは、必ずしもエピタキシャル面に対して垂直であることのみを意味するものではなく、垂直から±450degreeの範囲内、より好適には垂直から±30degreeの範囲内にあることを意味する。
【0051】
本実施形態では、上記のように拡散障壁層200をスパッタリング法で形成しているが、必ずしもこれに限定されず、コンタクトメタル電極120と同様な蒸着法で形成してもよい。拡散障壁層200をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリング時のガス圧や温度、印加電圧を調整することで結晶の配向性が図4に示すように変化する。種々の条件で拡散障壁層200を形成し、それぞれの稠密面強度に対するその他の最大強度面の比を算出し、その比が0.1以下となるような条件を探索すればよい。
【0052】
本実施形態の電極コンタクト構造は、任意の化合物半導体素子に適用し得るが、例えば発光素子に適用することが好適であり、光書き込みヘッドや光書き込みヘッドを用いた光プリンタ、ファクシミリ、複写機等に用いられる自己走査型発光素子アレイ(Self−scanning Light−Emitting Device:SLED)の電極構造として用いられ得る。
【0053】
以下、本実施形態の電極コンタクト構造を有する自己走査型発光素子アレイについて説明する。
【0054】
図6に、自己走査型発光素子アレイの一つの構成例を示す。図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)の平面図におけるA−A’断面図、図6(c)は等価回路である。自己走査型発光素子アレイは、p型基板10上に、p型エピタキシャル層11、n型エピタキシャル層(n型ゲート層)12、p型エピタキシャル層(p型ゲート層)13、n型エピタキシャル層(カソード層)14が順次積層され、メサエッチングされてシフト部/発光部の島24と、ゲート負荷抵抗の島25とに分離される。p型基板10の裏面には裏面電極31が形成される。
【0055】
発光部サイリスタ部は、カソード層14と、カソード電極15を有する。シフト部サイリスタ部は、カソード層16とカソード電極17を有する。結合ダイオード(サイリスタ)は、カソード層18とカソード電極19を有する。
【0056】
ゲート負荷抵抗部は、p型ゲート層13とゲート負荷抵抗21とゲート負荷電極22,23を有する。ゲート負荷抵抗21は、p型ゲート層13、すなわち半導体層で構成される。
【0057】
発光部にはゲート電極20が形成され、ゲート電極20とp型ゲート層13との間、及びゲート負荷抵抗の電極22,23とp型ゲート層13との間には、寄生抵抗Rpが存在する。
【0058】
電源端子は、各ゲート負荷抵抗に接続される。また、クロックパルス端子φ1は、アレイの奇数番目のシフト部サイリスタのカソードに接続され、クロックパルスφ2は、アレイの偶数番目のシフト部サイリスタのカソードに接続される。発光部サイリスタのゲートは対応するシフト部サイリスタのゲートに接続され、発光部サイリスタのカソードは信号ラインに接続される。
【0059】
このような自己走査型発光素子アレイの構成において、カソード電極15,17,19及びゲート電極20が存在し、これらの電極のいずれか、あるいは全てにおいて上記の電極コンタクト構造が用いられる。例えば、カソード電極15はn型エピタキシャル層(カソード層)14上に形成されるが、ここにおいて、カソード層14上にAu電極を蒸着し、その後拡散障壁層200としてTiをスパッタリング法で形成する。Au電極及びTi拡散障壁層200がカソード電極15を構成する。Au電極の代わりにPt電極、Ir電極、Pd電極、Ag電極、Ru電極を用いてもよく、拡散障壁層200としてTiの代わりにZr,Hf,Niを用いてもよい。カソード電極15,17,19及びゲート電極20のいずれか、あるいは全てにおいて図1に示す電極コンタクト構造を用いることで、コンタクトメタル電極120へのAlの拡散が抑制されてオーミック接触が維持され、もって発光特性の劣化が抑制される。
【符号の説明】
【0060】
100 エピタキシャル層、120 コンタクトメタル電極、140 層間絶縁膜、160 Al配線、200 拡散障壁層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エピタキシャル層と、
前記エピタキシャル層上に形成されたコンタクトメタル電極と、
前記コンタクトメタル電極上に形成され、前記コンタクトメタル電極の結晶配向性と整合する結晶配向性を有する拡散障壁層と、
前記拡散障壁層上に形成された配線層と、
を有する電極コンタクト構造。
【請求項2】
前記コンタクトメタル電極は、AU,Pt,Ir,Pd,Agの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、
前記拡散障壁層は、Ti,Zr,Hfのいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つ
ことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造。
【請求項3】
前記コンタクトメタル電極は、AU,Pt,Ir,Pd,Agの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、
前記拡散障壁層は、Niから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つ
ことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造。
【請求項4】
前記コンタクトメタル電極は、Ruの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、
前記拡散障壁層は、Ti,Zr,Hfのいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つ
ことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造。
【請求項5】
前記コンタクトメタル電極は、Ruの合金または単体金属のいずれかから構成されるとともにその(001)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立ち、
前記拡散障壁層は、Niから構成されるとともにその(111)面が前記エピタキシャル層のエピタキシャル面に対して立つ
ことを特徴とする請求項1記載の電極コンタクト構造。
【請求項6】
前記拡散障壁層のX線回折積分強度における稠密面強度に対するその他の最大強度面の比が0.1以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電極コンタクト構造。
【請求項7】
前記拡散障壁層は、10nm以上100nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電極コンタクト構造。
【請求項8】
複数の発光サイリスタからなる発光素子アレイを有し、
前記発光サイリスタのカソード電極またはゲート電極の少なくともいずれかの電極コンタクト構造が、請求項1〜7のいずれかに記載の電極コンタクト構造であることを特徴とする自己走査型発光素子アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66296(P2011−66296A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217145(P2009−217145)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】