説明

電気メッキによるコンタクト用ロジウム構造の製造および電気メッキ用組成物

【課題】コンタクト用ロジウム構造を製造するプロセスを提供する。
【解決手段】その上に誘電体層、ただし内部に前記コンタクト用ロジウムが付着されるキャビティを有する誘電体層を有する基板を得るステップと、前記キャビティ内および前記誘電体層上にシード層を付着させるステップと、ロジウム塩、酸および応力低減剤を含む浴液から電気メッキによって前記ロジウムを付着させるステップと、任意で次に前記構造をアニールするステップと、を含むプロセスを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンタクト用冶金構造、特に、ロジウム構造を製造することに関する。本開示は、高アスペクト比のサブミクロン構造をフィルする場合に特に重要である。
【背景技術】
【0002】
従来のコンタクト・プラグは、前工程(FEOL:front end of line)デバイスにコンタクトするためにCVD(化学気相付着:chemical vapor deposition)タングステン(W)で作られている。CVD(化学気相付着:chemical vapor deposition)Wプロセスは、プラグ内にセンタ・ボイドおよびシームが発生しやすいコンフォーマル(conformal)なプロセスである。コンタクト形状が縮小しコンタクトのアスペクト比が増大しているため、CVDWプロセスによって構造にフィルすることがますます困難になっている。さらに、コンタクト形状が縮小すると、CVDWの高い抵抗率および高抵抗のTi/TiNライナ・スタックによって、CVDWプラグ構造全体からの寄生抵抗が著しく増大する。CVDWプロセスによる構造へのフィリングが不充分であると、ボイドおよびシームによって接触抵抗が増大するため、チップ全体の性能が大幅に劣化する可能性がある。
【0003】
電気メッキは、サブミクロン・サイズの形状内へのスーパフィリング能力を有する銅ダマシン・プロセスの発見以来、VLSI製造において大きな注目を集めてきた。例えば、D.エーデルシュタイン(D.Edelstein)ら著,IEEE1997年Intl.Electron Device Meeting Digest,p.773(1997年)、P.C.アンドリカコス(P.C.Andricacos)ら著,IBMJ.Res.Develop.,第42巻,p.567(1998年)、および米国特許第6,709,562号を参照のこと。これらの開示は参照することによって本明細書に組み込まれている。電着による他の材料のスーパフィリング・システムについて調査している多くの研究がある。しかしながら、Cuに加えてスーパフィリング能力を有することが報告されているのは、AgおよびAuだけであった。これらに関連して、T.P.モファット(T.P.Moffat)ら著,Electrochem.Solid−State Lett.,4(4),p.C26(2001年)、T.P.モファット(T.P.Moffat)ら著,J.Electrochem.Soc.,第149巻,p.C432(2002年)、およびD.ジョセル(D.Josell)ら著,Electrochem.Solid−State Lett.,8(3),p.C54(2005年)を参照のこと。
【0004】
ロジウム(Rh)は、白金族金属の1つであり、優れた耐腐食性を有する貴金属である。電気メッキRhは、その非常に光沢のある外観のため宝石用途に使用されてきた。その接触抵抗は低くて信頼性が高いため、電気接点をとるためにも使用されてきた。さらに、Rhは、よく知られるガス転換用の触媒でもある。D.プレッチャ(D.Pletcher)ら著,J.Electroanalytical Chem.,第421巻,p.137(1997年)、D.プレッチャ(D.Pletcher)ら著,J.Electroanalytical Chem.,第421巻,p.145(1997年)、およびR.T.S.オリベイラ(R.T.S.Oliveira)ら著,J.Electroanalytical Chem.,第569巻,p.233(2004年)を参照のこと。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロジウムは、Si中の拡散率が非常に低く(C.S.ピータスン(C.S.Peterson)ら著,J.Appl.Phys.,53(7),p.4866(1982年))、VLSIにおけるコンタクト・プラグとしてのCVDタングステン(W)の代替金属としてCuよりも非常に有利である(A.トーポリ(A.Topol)ら著,VLSIconference proceeding(2005年))。現在のCVDWの抵抗率は、コンタクト・プラグ内で約20マイクロ・オーム・センチメートルと報告されている。32nmノードおよびそれ以上のコンタクト・ビアのフィリングは、前述のように、コンフォーマルなフィリング中にボイドが形成されるために、CVDタングステン・プロセスにとって難しい問題となっている。さらに、図2を参照のこと。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、完全とは言わないまでも少なくとも実質的にボイド・フリーまたはシームレスあるいはその両方のロジウムのコンタクトを提供することに関する。
【0007】
特に、本開示の形態は、実質的に内部シームまたはボイドのないコンタクト用ロジウムを製造するプロセスに関する。
【0008】
本開示のプロセスは、
基板を得るステップであって、上に誘電体層、ただし内部にコンタクト用ロジウムが付着されるキャビティを有する誘電体層を有する前記基板を得るステップと、
前記キャビティ内および前記誘電体層上にシード層を付着させるステップと、ロジウム塩、酸および応力低減剤を含む浴液から電気メッキによってロジウムを付着させるステップと、任意で次に前記構造をアニールするステップと、を含む。
【0009】
さらに、本開示は、前述のプロセスによって得られる構造に関する。
【0010】
さらに、本開示は、上に誘電体層を有する基板を含むコンタクト用ロジウム構造に関し、前記誘電体層は、内部にキャビティを有し、前記キャビティは、実質的に内部シームまたはボイドのない電気メッキ・ロジウムでフィルされる。
【0011】
本開示のさらに他の目的及び利点は、当業者であれば、単に最良の形態の実例として好適な実施形態においてのみ図示され説明される以下の詳細な説明から容易に明らかになるであろう。当然ながら、本開示は、他の様々な実施形態が可能であり、その幾つかの細部は、本開示の趣旨から逸脱することなく様々な明確な観点で変形可能である。したがって、本記載は本質的に説明のためのものであって、制限的なものではないと見なされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1A〜図1Cは、この開示による電気メッキ・ロジウムでフィルされているビアを示す図である。
【図2】従来技術の方法によるCVDタングステンでフィルされているビアを示すSEM断面図である。
【図3】様々なロジウム・メッキ用浴液のi−v曲線を示す図である。
【図4】本開示による電気メッキ・ロジウムをフィルされているビアを示すSEM断面図である。
【図5】温度勾配時のin−situで電気メッキされたロジウムのシート抵抗を示すグラフである。
【図6】電流波形を示す図である。
【図7】ウェハとアノードとの間にシールドを有するメッキ用セットアップを示す図である。
【図8】図7で使用されるシールドを示す図である。
【図9】サンプル用シールド上の多孔度の例を示す図である。
【図10】本開示による電気メッキ・ロジウムでフィルされている300mmウェハ上のビアを示すSEM断面像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の理解を容易にするために、この開示の一プロセス順序による様々な段階の構造を概略的に示す図1A〜図1Cを参照する。
【0014】
図1Aは、半導体基板(図示せず)上に設けられる絶縁体または誘電体1を示す。半導体基板の限定されない例としては、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、GaAsおよびGaSbなどのIII−V族半導体がある。
【0015】
誘電体層1の例としては、シリコン酸化物(SiO)、リンシリケート・ガラス(PSG:phosphosilicate glass)、ホウ素ドープPSG(BDPSG:boron doped PSG)またはテトラエトキシシラン(TEOS:tetraethylorthosilicate)、より典型的には、SILK(R)(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)社から入手可能)、SiCH(AMAT社から商品名BLOK(R)として入手可能)、SiCOH(ノベラス(Novellus)社から商品名Coral(R)、AMAT社から商品名Black Diamond(R)、およびASM社から商品名Auora(R)として入手可能)、SiCHN(IBM社から商品名N Blok(IBM社の登録商標)として入手可能)、CVD炭素ドープ酸化物、多孔質CVD炭素ドープ酸化物、多孔質および非多孔質有機ケイ素、多孔質および非多孔質有機スピン・オン・ポリマなどの、3.9未満の誘電率を有する低誘電率(low−k)誘電体がある。
【0016】
誘電体層1にあるビアの底部または側壁あるいはその両方、および誘電体層1の上面に、接着層(図示せず)を任意で付着させることができる。
【0017】
典型的な接着層としては、チタニウム、タンタルおよびこれらの窒化物がある。必要に応じて、様々な接着層の複数の層を使用することができる。使用の際、接着層の厚さは、典型的には、約20オングストロームから約200オングストロームであり、より典型的には、約20オングストロームから約60オングストロームである。接着層は、CVD(化学気相付着:chemical vapor deposition)、ALD(原子層付着:atomic layer deposition)、あるいは物理気相付着(PVD:physical vapor deposition)またはイオン化物理気相付着(IPVD:ionized physical vapor deposition)などのスパッタリングによって付着させることができる。付着させるステップの一例として、アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)社から商品名「Endura(R)」として入手可能なものなどのHCM(ホロー・カソード・マグネトロン(Hollow Cathode Magnetron))スパッタ・システムを使用するステップがある。
【0018】
存在するならば接着層の表面に、または誘電体のビアの側壁または上面にあるのが、導電性シード層2である。典型的なシード層として、ルテニウム、白金、銅、タングステン、コバルト、硫化物およびシリコンがある。シード層2は、周知の技術によって付着させることができる。特定例として、ALDまたはCVDルテニウムがある。シード層は、典型的には、約0.006μmから約0.25μmの厚さがある。
【0019】
次に、ロジウム膜が、本開示による電気メッキによって付着されてキャビティ(例えば、ビアまたはバー)をフィルする。図1Aおよび図1Bを参照のこと。本発明は、高アスペクト比のビアまたはバーをフィルする場合に特に有利である。アスペクト比は、典型的には、約2と約10との間であり、より典型的には、約4と約10との間にある。
【0020】
ビアまたはバーは、典型的には、約30nmから約250nm、より典型的には、約40nmから約100nmの限界寸法(CD:critical dimension)を有する。本開示は、約40ナノメートルまでのCD寸法を有するサブミクロンのビアおよびバーをフィルするのに特に有利である。
【0021】
ボイド・フリーでシームレスな導体を実現するため、ロジウムは、ロジウム塩、酸および応力低減剤を含む組成物を使用して電気メッキされる。ロジウム塩としては、典型的には、硫酸ロジウム、リン酸ロジウムまたは塩化ロジウムがあり、より典型的には、硫酸ロジウムがある。浴液中のロジウム塩の量は、典型的には、約1から約100グラム/リットルであり、より典型的には、約1から約10グラム/リットルであり、特定例としては、5グラム/リットルである。
【0022】
さらに、浴液は、硫酸、塩酸およびリン酸などの酸を、典型的には、約0.1から約3のpH値、より典型的には、約0.5から約1のpH値を供給する量で含む。
【0023】
応力低減剤は、典型的には、電気メッキ条件でボイド・フリーまたはシームレスあるいはその両方の導体を提供するのに充分な量で存在する。必要に応じて、様々な応力低減剤の混合物を使用することができる。
【0024】
応力低減剤の例としては、塩化物、特に、AlClおよびCrClなどのIおよびII族塩化物などの、米国特許出願公開第2004/247920号に開示されるハロゲン化物がある。使用の際、前記物質は、典型的には、電気メッキ用浴液中に約20ppmから約5000ppmの量で存在する。
【0025】
使用することができる応力低減剤の別の例としては、アビス(Abys)らに付与される米国特許第6,241,870号に開示されている硫酸ロジウムに基づく溶液があり、その溶液は、金属結合に対して最小量の金属および主に架橋二座スルファト(sulphato)基を介して形成される錯体を有する硫酸ロジウム分子の錯体を使用している。
【0026】
応力低減剤の別のグループとして、芳香族スルホン酸などのスルホン酸があり、例として、クロイター(Kreuter)に付与される米国特許第4,402,802号に開示されるフェノールスルホン酸がある。使用の際、前記物質は、通常、約0.1から約5グラム/リットルの量で存在する。
【0027】
別の応力低減剤として、米国特許第3,671,408号および第3,892,638号に開示されるスルファミン酸がある。使用の際、前記物質は、典型的には、約30グラム/リットルから約100グラム/リットルの量で存在する。
【0028】
別の応力低減剤は、ブラウニング(Browning)らに付与される米国特許第3,729,396号に開示されており、前記物質としては、例えば、リン酸アルミニウム、およびアゼライン酸またはピメリン酸などのジカルボン酸またはポリカルボン酸によって供給されるアルミニウム・イオンの組み合わせがある。使用の際、アルミニウム・イオンは、典型的には、約0.05から約5グラム/リットルの量で存在し、ジカルボン酸またはポリカルボン酸は、典型的には、約1から約25グラム/リットルの量で存在する。
【0029】
応力低減剤の別のグループとして、ゲイブ(Gabe)に付与される米国特許出願公開第2005/0155866号に開示されるアルコールがある。典型的なアルコールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、芳香族および非芳香族環式アルコールを含む。使用の際、アルコールは、典型的には、約0.001グラム/リットルから約100グラム/リットル、より典型的には、約0.01グラム/リットルから約20グラム/リットルの量で使用される。
【0030】
電気メッキは、Ptまたは他の貴金属などのアノードと、導電性シード層でメッキされるウェハ基板であるカソードとを使用して実施することができる。前述のシード層は、どんな導電性材料であってもよい。使用される典型的なRhメッキ・ケミストリは、エンソーン−EMI(Enthone−EMI)社から入手され、5グラム/リットルのRh金属濃度を有する主塩を含むRhodex100(R)、10体積%で使用されるRhodex100(R)応力低減剤、および3体積%のHSOの3つの成分から成る。この開示に従って使用することができる他の市販の電気メッキ用浴液として、これらに限定されないが、Rhodex Bright Rhodium(R)、Technic−Rhodium(R)、Technic Rhodium S−less(R)が含まれる。
【0031】
電気メッキは、典型的には、約1から約100ミリアンペア/cm、より典型的には、約1から約50ミリアンペア/cm、さらに典型的には、約2から約10ミリアンペア/cmの電流密度を使用して実施される。さらに、電気メッキは、典型的には、約10℃から約80℃の温度で実施される。
【0032】
本開示は、少なくとも200mm、より典型的には、約200mmから約500mm、さらに典型的には、約200mmから約300mmのウェハのような相対的に大口径の抵抗基板またはウェハ上に電気メッキする場合に、特に重要なことが分かる。Rhを大口径の抵抗基板(200mmおよび300mmウェハなど)上に電気メッキする場合、均一な付着物を形成するには、典型的には、特定の方法およびツールが必要とされる。電気接点がとられるウェハ端部からウェハの中央部までの抵抗は、定電流密度波形を使用しようとする場合に、ウェハ端部の細いリング上にのみ付着させるにはかなり充分である。最初に、狭いリングが小電流でメッキされた。その後、電流が上昇するとメッキはウェハ中央部に向かって内側に伝播して行き、電流が一定値で維持された状態で全厚がメッキされる。
【0033】
ウェハ用「シーフ(thief)」を使用して、電流をウェハ端部からシーフの電極上に迂回させることによってより均一な付着物を得ることができる。しかし、この方法の範囲は、シーフの大きさ、したがって電流が迂回する深さが限定されること、あるいは、シーフは充分大きいが、付着物が中央よりも薄い端部がウェハ端部の広い面積を犠牲にするほど広いことによって制限される。ウェハ(カソード)とアノードとの間のディフューザ(diffuser)、またはセラミック・プラグ、または他の抵抗構造は、最終的に広い面積上に均一な付着物を生成するためのツール構成の要素である。300mmウェハは、アノードとカソードとの間のセラミック・プラグを有するメッキ・ツールによってメッキされた。付着物の膜厚均一性は、プラグの抵抗が増加するに伴って改善する。
【0034】
図6に示される電流波形を使用して、60nm×290nmのビア・パターンを有する300mmウェハに付着させた。ビアは、ウェハ中央部からウェハ端部まで何らボイドまたはシームもなくRhでスーパフィルされた。
【0035】
ウェハとアノードとの間にディフューザまたはシールドを有するメッキ用セットアップを用いて200mmウェハが付着された。均一性は、シールドの相対多孔度によって制御される。図8は、ウェハ全体に均一な付着物を実現するためのシールド多孔度の一例を示す。特に、図7は、ウェハとアノードとの間にシールドを有する200mmメッキ用セットアップを示す。シールドの相対多孔度は、付着物の均一性を制御する。図6と同様な電流波形を使用して、225nm×540nmのビア・パターンを有する200mmウェハをメッキした。ビアは、ウェハ中央部からウェハ端部までボイドまたはシームなしにスーパフィルされた。
【0036】
図9は、200mmウェハ用シールドの多孔度の例を示す。多孔密度を得るために細孔の大きさの変化として、D=0.01cmから2.0cmの細孔径が使用される。細孔分布密度を使用して多孔密度が得られ、多孔度を得るために直径は同じでも密度が異なる細孔が使用される。
【0037】
大きな基板上にメッキする場合、典型的には、電流波形が使用される。最初の電流密度は、典型的には、約0.1ミリアンペア/cmから約5ミリアンペア/cmであり、典型的には、約1から約20秒、より典型的には、約1から約10秒の間実施される。次いで、電流密度は、典型的には、約5から120秒、より典型的には、約5から60秒のうちに増加し、例としては、約15秒のうちに高い電流密度まで増加して所望の厚さまでメッキする。
【0038】
メッキ電流密度は最初の値よりも高く、典型的には、約1から約100ミリアンペア/cm、より典型的には、約1から約50ミリアンペア/cm、さらに典型的には、約2から約10ミリアンペア/cmである。最終的な電流密度は、所望の厚さを得るまで、典型的には、約60秒から約60分間実施される。電流密度の勾配は、典型的には、線形である。
【0039】
図6は、非常に薄いRu用シード層(80Å)を有する300mmウェハをメッキする際に使用される電流波形の例を示す。シート抵抗は、約35オーム/スクェア(ohm/sq.)であった。
【0040】
この開示のプロセスは、ロジウムの抵抗率を下げる必要がある場合には、任意で、熱アニールするステップを含んでもよい。使用の際、アニールするステップは、典型的には、190℃を超える温度、より典型的には、約190℃から約400℃の温度で実施される。アニールするステップは、典型的には、空気、0、N、H、フォーミング・ガス、アルゴンまたはヘリウム雰囲気中で実施される。この開示によるロジウムのコンタクトは、典型的には、5マイクロ・オーム・センチメートルから10マイクロ・オーム・センチメートルの間の抵抗率を有し、任意でアニールするステップを使用することでさらに低い値が得られる。
【0041】
この構造は、フィールド・エリアのメッキ・ロジウム用シード層および、存在するならば接着層を誘電体層に達するまで研磨することなどによって、平坦化することができる。図1Cを参照のこと。
【実施例】
【0042】
以下の限定されない実施例は、本開示をさらに説明するために提示される。
【実施例1】
【0043】
−2.5ミリアンペア/cmの定電流密度および100rpmの電極回転速度で50℃のRhメッキ用溶液を用いて、Ruのシードとなる基板上に、500nm以下のRhの薄膜をメッキした。次に、この膜をシート抵抗用の4点プローブで測定した。測定したシート抵抗および膜厚を用いて、膜の抵抗率を、44マイクロ・オーム・センチメートルと計算した。次いで、SIMS(二次イオン質量分光:secondary ion mass spectroscopy)法を用いて膜の組成を測定し、Rh中に高いレベルの酸素、塩化物、および硫黄の不純物を有することが分かった。次に、フォーミング・ガス中でRh膜を400℃で4時間アニールした。X線回折からかなりの粒子成長が観察され、Rhの抵抗率は9マイクロ・オーム・センチメートルまで大幅に減少した。
【実施例2】
【0044】
−2.5ミリアンペア/cmの定電流密度および100rpmの電極回転速度で室温(19〜24℃の間で変動する)のRhメッキ用溶液を用いて、Ruのシードとなる基板上に、Rhの薄膜をメッキした。次に、この膜をシート抵抗用の4点プローブで測定した。測定したシート抵抗および膜厚を用いて、膜の抵抗率を、19マイクロ・オーム・センチメートルと計算した。次いで、SIMS法を用いて膜の組成を測定し、O、ClおよびSの濃度が約2桁低い、非常に低いレベルの酸素および塩化物の不純物をRh中に有することが分かった。次に、フォーミング・ガス中でRh膜を400℃で4時間アニールした。X線回折からかなりの粒子成長が観察され、Rhの抵抗率は7マイクロ・オーム・センチメートルまで大幅に減少した。
【0045】
異なる温度でメッキした2つのRhの実施例1と2との比較について、表1を参照のこと。
【0046】
【表1】

【実施例3】
【0047】
125nm×560nmの大きさのコンタクト・ビアを有するシリサイド/酸化物/ALDTaN/ALDRuから成る構造にRhをメッキした。−2.5ミリアンペア/cmの定電流密度および100rpmの電極回転速度で室温メッキした。ビアは、センタ・ボイドまたはセンタ・シームなしにRhでフィルされた。
【実施例4】
【0048】
300mmウェハのコンタクト・ビアは、電気メッキによってロジウムでフィルされる。この構造は、シリサイド/USG/ALDTaN/ALDRu/Rhメッキから成る。ビア寸法は約60nm×290nmである。図10から分かるように、高アスペクト比のビアは、何らボイドまたはセンタ・シームもなく良好にフィルされる。図5に示される電流波形が使用される。
【実施例5】
【0049】
40nm×230nmの大きさのコンタクト・ビアおよび40nm×130nm×230nmの大きさのコンタクト・バーを有するシリサイド/窒化物/酸化物/ALDTaN/ALDRuから成る構造にRhをメッキした。−2.5ミリアンペア/cmの定電流密度および100rpmの電極回転速度で室温メッキした。ビアおよびバーは、センタ・ボイドまたはセンタ・シームなしにRhでフィルされた。図9を参照のこと。
【0050】
以上をまとめると、Rhを何らセンタ・ボイドまたはセンタ・シームなしにサブミクロン・サイズの構造内に電気メッキするために、この開示のスーパフィリング・メッキ・プロセスが提供される。メッキされる膜は、アニール後に7マイクロ・オーム・センチメートルの低い抵抗率を達成することが可能である。このプロセス条件に基づく膜は、化学気相プロセスによりメッキされる典型的なRh膜よりも、非常に低い不純物濃度、したがって、低い抵抗率を有する。スーパフィリング能力と合わせて、低い不純物および低い抵抗率が、コンタクト用途にとって非常に重要である。
【0051】
図3は、様々な成分を有するロジウム・メッキ用溶液のボルタモグラム(voltammograms)を示す。この図は、応力低減剤が反応抑制剤として作用しており、硫酸が付着を促進していることを示す。図4は、室温(19〜22℃)でロジウムを電気メッキすることによる、ボイドのないCD40nm×高さ240nmのビアおよびバーのスーパコンフォーマルなフィリングを示すTEM画像である。パターンは、電子ビーム・リソグラフィを用いて生成された後、接着層としてALDTaN、およびメッキ用シード層としてALDRuの薄い層で被覆された。パターニングされたビアおよびバー内にロジウムをボイドおよびシームなしに付着させることに成功した。PVDTaNおよびPVDRu用シード層を有するブランケット・シリコン・ウェハの上に190nmのRhの薄膜を付着させた。図5は、この膜についての温度に対するin−situの抵抗測定値を示す。図から分かるように、190℃より高い温度でアニールされると、付着物は再結晶過程を経た。アニール後のRh薄膜は、7マイクロ・オーム・センチメートルの抵抗率を示した。物質の供給元が推奨する50℃のメッキでも、同様の構造をスーパフィルできるが、メッキされたロジウムの抵抗率は、室温で付着されたものよりもかなり高い。50℃で付着されたロジウム薄膜をアニールすると、19マイクロ・オーム・センチメートルの抵抗率が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト用ロジウム構造を製造するプロセスであって、
基板を得るステップであって、上に誘電体層、ただし内部に前記コンタクト用ロジウムが付着されるキャビティを有する誘電体層を有する前記基板を得るステップと、
前記キャビティ内および前記誘電体層上にシード層を付着させるステップと、
ロジウム塩、酸および応力低減剤を含む浴液から電気メッキによって前記ロジウムを付着させるステップと、
任意で次に前記構造をアニールするステップと、
を含むプロセス。
【請求項2】
前記シード層と前記誘電体層との間に接着層を付着させるステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記接着層は、チタニウム、タンタル、窒化チタン、窒化タンタルから成るグループから選択される少なく1つの材料である、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記接着層は、20オングストロームから200オングストロームの厚さである、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記シード層は、ルテニウム、白金、銅、タングステン、コバルト、硫化物およびシリコンから成るグループから選択される少なく1つの材料である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記シード層は、ルテニウムである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記シード層は、0.006μmから0.25μmの厚さである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
前記キャビティが、約2と約20との間のアスペクト比を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記キャビティが、約4と約10との間のアスペクト比を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記キャビティが、40ナノメートルまでのCD寸法を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項11】
前記ロジウム塩は、硫酸ロジウム、リン酸ロジウムおよび塩化ロジウムから成るグループから選択される少なく1つの材料である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項12】
前記ロジウム塩は、硫酸ロジウムである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記浴液中の前記ロジウム塩の量は、1から100グラム/リットルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記浴液中の前記ロジウム塩の量は、1から10グラム/リットルであり、特定例としては、5グラム/リットルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項15】
前記酸は、硫酸、塩酸およびリン酸から成るグループから選択される少なく1つの材料である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
前記酸は、硫酸である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記浴液が、約0.1から約3のpH値を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記浴液が、約0.5から約1のpH値を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項19】
前記応力低減剤は、ハロゲン化物、架橋二座スルファト基を有する硫酸ロジウムの錯体、スルファミン酸、スルホン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸から供給されるアルミニウム・イオンの組み合わせ、およびアルコールから成るグループから選択される少なくとも1つの材料である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ロジウムが、190℃より高い温度でアニールされる場合、約5マイクロ・オーム・センチメートルから約50マイクロ・オーム・センチメートルの間、および約5マイクロ・オーム・センチメートルから約20マイクロ・オーム・センチメートルの間の抵抗率を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項21】
前記電気メッキが、1から100ミリアンペア/cmの電流密度を使用して実施される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項22】
前記電気メッキが、10℃から80℃の温度で実施される、請求項21に記載のプロセス。
【請求項23】
前記基板は、少なくとも200mmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項24】
多孔質シールドが、アノードとメッキされる基板との間に存在する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項25】
前記シールドの多孔度が、前記基板の端部から内側に中央部に向かって増加する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項26】
前記電気メッキが、所望の膜厚をメッキするために、0.1ミリアンペア/cmから5ミリアンペア/cmの初期電流密度を1から20秒間と、次いで前記電流密度の上昇を5秒から120秒の間と、1から100ミリアンペア/cmと高くなった電流密度を60秒から60分間とを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項27】
前記構造が、190℃より高い温度で、空気、O、N、H、フォーミング・ガス、アルゴンまたはヘリウムの雰囲気中でアニールされる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項28】
前記構造を平坦化するステップをさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項29】
請求項1に記載の前記プロセスによって得られる構造。
【請求項30】
前記キャビティが、少なくとも約2のアスペクト比を有する、請求項29に記載の構造。
【請求項31】
上に誘電体層を有する基板を含むコンタクト用ロジウム構造であって、前記誘電体層が、内部にキャビティを有し、前記キャビティが、実質的に内部シームまたはボイドのない電気メッキ・ロジウムでフィルされている、構造。
【請求項32】
前記キャビティが、少なくとも約2のアスペクト比を有する、請求項31に記載の構造。
【請求項33】
前記ロジウムが、190℃より高い温度でアニールされる場合、約5マイクロ・オーム・センチメートルから約50マイクロ・オーム・センチメートルの間、および約5マイクロ・オーム・センチメートルから約20マイクロ・オーム・センチメートルの間の抵抗率を有する、請求項31に記載の構造。
【請求項34】
シード層と前記誘電体層との間に接着層をさらに含む、請求項31に記載の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−525159(P2010−525159A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−503438(P2010−503438)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052866
【国際公開番号】WO2008/128823
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】