説明

電気車制御装置

【課題】本発明は回生電力貯蔵手段の故障による装置の拡大被害を抑えることが出来る電気車制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】電気車に搭載され、電気車を駆動するための電動機を制御する電力変換装置と、電気車両が回生ブレーキを作用させたときに、前記電力変換装置から発生される回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段を、電気車の車体と絶縁された装置箱に収納したことを特徴とする電気車制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気車制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギーの有効活用のために、回生ブレーキ時に電力変換装置から発生される回生電力を電力貯蔵手段に貯蔵し、力行時に電力貯蔵手段に貯蔵した回生電力を電力変換装置にて変換し、電気車を駆動する際に利用する電気車制御装置の開発が進められている。
【0003】
従来の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図11は、従来の電気車制御装置のブロック図である。図12は、図11に記載の従来の電気車制御装置とは異なる方式の、従来の電気車制御装置のブロック図である。
【0004】
図11に記載した従来の電気車制御装置は、架線3を介して架線電力を集電するパンタグラフ4,接触器5及びリアクトル6を介して接続され架線電力を変換するインバータ1,インバータ1と並列接続されたフィル−タコンデンサ10,インバータ1及びフィル−タコンデンサ10と並列接続された複数のキャパシタセル11から構成される電気二十層キャパシタ群2から構成されている。インバータ1の交流出力側には、電動機7が接続されている。
【0005】
このように構成された電気車制御装置において、変電所(図示しない)から供給される架線電力は、架線3を介してパンタグラフ4で集電され、接触器5、フィルタリアクトル6を介してインバータ1に供給され、インバータ1によって3相交流電力に変換される。インバータ1は、電動機7に3相交流電力を供給する。インバータ1の直流側出力端から出力される直流電力は車輪8を介してレール9に流れ込み、変電所に戻る。
【0006】
このように構成された電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2は、複数のキャパシタセル11が直列接続されて必要な定格電圧、容量を満足するように構成されており、フィルタコンデンサ10に比べはるかに大容量のキャパシタンスを持っている。
【0007】
電気二重層キャパシタ群2も含め、電気車制御装置を構成する各部品は金属製の装置筐体12内に収納される。装置筐体12は、一般的に車体床下に設置される。金属製の装置筐体12は、ノイズによる半導体等の電子部品の誤作動やプリント基板等の誤動作を防止する目的で、装置筐体12と車体12とを金属によって接続し、装置筐体12を接地電位を取っている。そのため、装置筐体12は車体に同電位で取付けられ車輪8を介してレール9つまり大地電位に接地されることになる。
【0008】
このように構成された従来の電気車制御装置は、回生運転時に電力変換装置から発生される回生電力を電力貯蔵手段である電気二重層キャパシタ群2に貯蔵し、力行時には、電気二十層キャパシタ2に貯蔵した回生電力を架線電力と共に、インバータ1で変換し電気車の運行に利用することが出来た。
【0009】
しかし、上述した従来の電気車制御装置では、電気二十層キャパシタ群2の電圧が、架線電圧よりも低い場合には、電気二十層キャパシタ群に充電された電力を、電力変換装置1で架線電力と共に利用することが出来なかった。
【0010】
そこで、図12に示すようなインバータ1と電気二重層キャパシタ群2との間に、別の電力変換装置であるDC/DCコンバータ13を介した電気車制御装置が考案された。
【0011】
このように構成された電気車制御装置では、電気二重層キャパシタ群2の電圧が架線電圧より低いときでも、DC/DCコンバータ13によって電気二重層キャパシタ群2の電圧を昇圧して、架線電力と共に電力変換装置1にて利用することが出来た(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−305803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来の電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障した場合、接地されている装置筐体12を通って電気二重層キャパシタ群2に蓄積されたエネルギーが解放され、地絡事故が発生する。このような地絡事故が発生すると、前述のように電気二重層キャパシタ群2に蓄積されたエネルギーはフィルタコンデンサ10に比べはるかに大容量である為、装置の被害はさらに拡大され、焼損、発煙、火災などの原因となり得る。
【0013】
更に、フィルタコンデンサ10と比べて電気二重層キャパシタ群2は多数のキャパシタセル11を直列或いは並列に接続して構成されるので部品点数も多く、想定される電気二十層キャパシタ群2の故障率もフィルタコンデンサ10よりも高くなることから、上記のような地絡事故に対してフィルタコンデンサ10よりも高いレベルでの配慮が必要である。キャパシタセル11自体の信頼性を上げることも勿論必要だが、キャパシタセル11の故障がシステム停止を招き、さらにシステム復旧も困難となることを回避せねばならない。
【0014】
そこで、本発明は回生電力貯蔵手段の故障による装置の拡大被害を抑えることが出来る電気車制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、車両が回生ブレーキを作用させたときに、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段を電気車の車体と絶縁された装置箱に収納したことによって達成することが出来る。
【0016】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、車両が回生ブレーキを作用させたときに、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段を絶縁材料で構成された装置箱に収納したことによって達成することが出来る。
【0017】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、車両が回生ブレーキを作用させたときに、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段は、少なくともその内面が絶縁材料で覆われている筐体に収納されていることによって達成することが出来る。
【0018】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段は、複数の電力貯蔵バンクに分割配置され、前記回生電力貯蔵手段の複数の電力貯蔵バンクは、それぞれ外部との電気接続部となる端子台部あるいはコネクタ部を除き絶縁材料で覆われた構成であることによって達成することが出来る。
【0019】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、前記回生電力貯蔵手段は、複数の電力貯蔵バンクに分割配置され、前記回生電力貯蔵手段の複数の電力貯蔵バンクは、絶縁材料の仕切りによって区画されることによって達成することが出来る。
【0020】
上記課題は、電動機を制御する電力変換装置と、車両が回生ブレーキを作用させたときに、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段と、前記回生電力貯蔵手段が故障した場合に、電流を遮断する電流遮断手段を備えたことによって達成することが出来る。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、回生電力貯蔵手段の故障による装置の拡大被害を抑えることが出来る電気車制御装置を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置について図を参照し詳細に説明する。
【0023】
図1(a)は、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置の構成を示すブロックである。図1(b)は、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。尚、半導体素子のスイッチング制御を行う電子部品類、フィルタコンデンサ10等は、他の電気部品類15a、15bと記載し、電気二重層キャパシタ群2の周辺回路部品類、例えば抵抗、ヒューズ、接触器等の比較的ノイズの影響を受けにくい部品類は、他の電気部品15cと記載する。
【0024】
本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置は、架線3を介して架線電力を集電するパンタグラフ4,接触器5及びリアクトル6を介して接続され架線電力を変換するインバータ1,インバータ1と並列接続されたフィル−タコンデンサ10,インバータ1及びフィル−タコンデンサ10と並列接続された複数のキャパシタセル11から構成される電気二十層キャパシタ群2から構成されている。インバータ1の交流出力側には、電動機7が接続されている。
【0025】
このように構成された電気車制御装置において、架線3よりパンタグラフ4により集電された直流電力は、接触器5、フィルタリアクトル6を介してインバータ1に供給され、インバータ1によって3相交流電力に変換され駆動用電動機7に供給される。
【0026】
このように構成された電力変換装置のインバータ1は、車体に同電位で取付けられ、車輪8を介してレール9に接地を取られた装置筐体12aに収納される。それに対して、複数個のキャパシタセル11により構成される電気二重層キャパシタ群2は、車体14と絶縁手段のひとつである絶縁碍子16を介して接続された前記装置筐体12aとは別個の装置筐体12bに収納される。
【0027】
このように構成された電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2は、複数のキャパシタセル11が直列接続されて必要な定格電圧、容量を満足するように構成されており、フィルタコンデンサ10に比べはるかに大容量のキャパシタンスを持っている。
【0028】
このように構成された電気車制御装置において、装置筐体12b内には前記電気二重層キャパシタ群2の他に、抵抗、ヒューズ、接触器等の比較的ノイズの影響を受けにくい部品15cが収納されている。
【0029】
このように構成された電気車制御装置は、回生ブレーキ時に接触器5を開き電気二重層キャパシタ群2に回生電力を蓄電し、電気二重層キャパシタ群2の電圧が架線3の電圧と同等以上に達した場合には力行時に電気二重層キャパシタ群2に蓄積された電力をインバータ1に供給可能となる。
【0030】
このように構成された電気車制御装置において、インバータ1内で帯電部分が地絡事故を起こした場合、接触器5が解放され架線3からの架線電力を遮断し、フィルタコンデンサ10に蓄電されているエネルギーは地絡部分にて開放する。
【0031】
フィルタコンデンサ10よりもはるかに大容量である電気二重層キャパシタ群2で地絡事故が起きるとそこで解放されるエネルギーが膨大であることは前述のとおりであり、従来の電気車制御装置では、接触器5を解放しても電気二重層キャパシタ群2は電力変換装置から切り離せないが、本実施の形態の電気車制御装置では、キャパシタセル11で故障が起き、帯電部分が装置筐体に触れるような事故が起きた場合でも、電気二重層キャパシタ群2が収納される装置筐体12bが絶縁碍子16を介して車体14に取付けられている為、装置筐体12bから大地(アース電位)への流れ込みがない。
【0032】
このように構成された電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2を構成する多数のキャパシタセル11のひとつの故障によって起こる地絡事故での装置、システムの損傷を最小限に抑えることができる。
【0033】
このように構成された電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2が収納される装置筐体12bを車体と絶縁することで実現しているが、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0034】
このように構成された電気車制御装置は、多数の部品から構成される回生電力貯蔵手段の地絡モードにあたる故障が起きても、内蔵する莫大なエネルギーの解放を防ぎ、拡大被害を最小限に抑えることが可能となる。
【0035】
尚、本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置は、接触器5、フィルタリアクトル6も装置筐体12a内に収納される図としているが、これらは単体で車体14の床下に設置されたり、別な装置筐体に分割収納されても良い。
【0036】
(第2の実施の形態)
本発明に基づく第2の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図2は、本発明に基づく第2の実施形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタが収納される装置の構成図である。尚、図1に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0037】
本発明に基づく第2の実施の形態の電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2が収納される装置筐体12cは車体14に直接取付けられ、絶縁碍子16等を介してはいないが、装置筐体12cは、FRP等の絶縁材で構成されている。インバータ1が収納される装置筐体12a側は第1の実施形態と同じであり、図示していない。
【0038】
本実施の形態の電気車制御装置によれば、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が装置筐体12cに触れるようなことがあっても装置筐体12cが絶縁材で構成されている為、電気二重層キャパシタ群2に蓄積されたエネルギーが解放されることが無く、拡大被害につながらない。
【0039】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0040】
(第3の実施の形態)
本発明に基づく第3の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図3は、本発明に基づく第3の実施の形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタが収納される装置筐体の構成図である。尚、図1乃至図2に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0041】
本発明に基づく第3の実施の形態の電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2が収納される装置筐体12dは車体14に直接取付けられ、絶縁碍子等を介してはいないが、装置筐体12dの内壁面に例えばFRP等を使った絶縁枠体17を設けている。インバータ1が収納される装置筐体12a側は第1の実施形態と同じであり、図示していない。
【0042】
本実施の形態の電気車制御装置によれば、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が装置筐体12d側に飛散しても絶縁枠体17がある為、電気二重層キャパシタ群2に蓄積されたエネルギーが解放されることが無く、拡大被害につながらない。
【0043】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0044】
(第4の実施の形態)
本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置について図を参照し詳細に説明する。図4(a)は、本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタが収納される装置筐体の構成図である。図4(b)は、本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタ群2の構成図である。尚、図1乃至図3に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0045】
本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置では、電気二重層キャパシタ群2が収納される装置筐体12eは車体14に直接取付けられているが、電気二重層キャパシタ群2の周囲に絶縁覆い18を設けた構成としている。外部への電気接続端子部分2aは絶縁覆い18が部分的に開口されている個所から、突出している。尚、インバータ1が収納される装置筐体12a側は第1の実施形態と同じであり、これは図示していない。
【0046】
本実施の形態の電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が電気二重層キャパシタ群2の外側へ飛散しても、絶縁覆い18で覆われているので装置筐体12eへの飛散は無いので、電気二重層キャパシタ群2に蓄積されたエネルギーが解放されることが無く、拡大被害につながらない。
【0047】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0048】
尚、本発明に基づく電気車制御装置において、電機接続端子部分2aや絶縁覆い18の構造については他にも考えられるので、本実施の形態の電気接続端子部分2aと絶縁覆い18の構造のみに限定されないことは言うまでもない。
【0049】
(第5の実施の形態)
本発明に基づく第5の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図5は、本発明に基づく第5の実施形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタが収納される装置筐体の構成図である。尚、図1乃至図4に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0050】
本発明に基づく第5の実施の形態の電気車制御装置において、キャパシタバンク19(電力貯蔵バンク)は、複数のキャパシタセル11により構成され、電気二重層キャパシタ群2は複数のキャパシタバンク19から構成されている。キャパシタバンク19は、直列あるいは並列接続され電気二重層キャパシタ群2が構成されている。
【0051】
このように構成された電気車制御装置において、車体14に直接取付けられた装置筐体12e内は、絶縁仕切り枠20により区画され、それぞれにキャパシタバンク19が収納されるように構成されている。ここでもキャパシタバンク19の外部への電気接続端子部分は絶縁仕切り枠20が部分的に開口されているのはもちろんである。尚、インバータ1が収納される装置筐体12a側は第1の実施形態と同じであり、これも図示していない。
【0052】
本実施の形態の電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が電気二重層キャパシタ群2の外側へ飛散しても、絶縁仕切り枠20により区画された1個のキャパシタバンク19内で被害が抑えられ、拡大被害を最小限に抑えることが可能である。
【0053】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0054】
(第6の実施の形態)
本発明に基づく第6の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図6は、本発明に基づく第6の実施形態の電気車制御装置の構成を示すブロック図である。尚、図1乃至図5に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0055】
本発明に基づく第6の実施の形態の電気車制御装置において、電気二重層キャパシタ群2のマイナス電位と電力変換装置であるインバータ1のマイナス電位が接続され、ヒューズ21を介してアース電位となる車輪8に接続される。電気二重層キャパシタ群2の地絡事故の際にマイナス電位側を流れる地絡電流をヒューズ21により高速で遮断する。これにより拡大被害の防止が図れる。
【0056】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0057】
尚、本実施の形態の電気車制御装置では電流遮断手段としてヒューズを適用した例を記載したが、機械的に接点を開放し電流を遮断する高速度遮断器等を用いても良いし、半導体遮断器等を用いても良い。
【0058】
(第7の実施の形態)
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図7は、本発明に基づく第7の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。図1乃至6に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0059】
本発明に基づく第7の実施の形態の電気車制御装置において、高速度遮断機22は、キャパシタバンク19毎に設けられている。
【0060】
本実施の形態の電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が電気二重層キャパシタ群2の外側へ飛散しても、故障したキャパシタバンク19に対応した高速度遮断機22が開くことで1個のキャパシタバンク19内で被害が抑えられ、拡大被害を最小限に抑えることが可能である。
【0061】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0062】
尚、本実施の形態の電気車制御装置では電流遮断手段としてヒューズを適用した例を記載したが、機械的に接点を開放し電流を遮断する高速度遮断器等を用いても良いし、半導体遮断器等を用いても良い。
【0063】
(第8の実施の形態)
本発明に基づく第8の実施の形態の電気車制御装置について、図を参照し詳細に説明する。図8は、本発明に基づく第7の実施の形態の電気車制御装置のブロック図である。図1乃至7に記載したものと構造上同一のものについては、同符号を付して説明を省略する。
【0064】
本発明に基づく第8の実施の形態の電気車制御装置において、高速度遮断機22は、直列接続された電気二重層キャパシタセル11の車輪8側に各々設けられている。本実施の形態の電気車制御装置では、直列接続された電気二重層キャパシタセル11回路2つが並列に接続されているので、高速度遮断機22は、各々一つづつ設けられ、合計で2つ高速度遮断機22を備えた電気車制御装置となっている。
【0065】
本実施の形態の電気車制御装置は、電気二重層キャパシタ群2を構成するキャパシタセル11が故障により帯電部分が電気二重層キャパシタ群2の外側へ飛散しても、故障したキャパシタセル11に対応した側の高速度遮断機22が開くことで被害が抑えられ、拡大被害を最小限に抑えることが可能である。
【0066】
また、本実施の形態の電気車制御装置においても、電子部品類は接地された装置筐体12aに収納されているので、ノイズによる誤動作の防止は図られている。
【0067】
尚、本実施の形態の電気車制御装置では電流遮断手段としてヒューズを適用した例を記載したが、機械的に接点を開放し電流を遮断する高速度遮断器等を用いても良いし、半導体遮断器等を用いても良い。
【0068】
それぞれの実施の形態について述べてきたが、もちろんこれらを組合せて適用することも可能であり、より拡大被害防止を確実にすることもできる。又、電力変換部分を収納する装置筐体と電気二重層キャパシタを収納する装置筐体とを完全に別個として構成した実施例を記載して説明したが、各々の装置筐体を絶縁を介して結合させ一体化した装置として構成することも可能であり、図9に示すように電力変換部分を収納する装置筐体(車体に接地される)の一部分に絶縁して別な装置筐体を二重に設置し、そこに電気二重層キャパシタを収納することも、本発明で説明してきた技術の組合せで構成可能である。又、それぞれの本発明の実施形態は、従来例である図11のブロック図を元に説明してきたが、もうひとつの従来例で示した図12のブロック図のように、DC/DCコンバータを介して電気二重層キャパシタを接続した場合も、電気二重層キャパシタが収納される装置筐体側では全く同じ構成が可能であることはもちろんである。(DC/DCコンバータは接地された装置筐体側への収納がノイズ対策上好ましい(図10参照)。)
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置のブロック図である。
【0070】
(b)本発明に基づく第1の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図2】本発明に基づく第2の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図3】本発明に基づく第3の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図4】(a)本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【0071】
(b)本発明に基づく第4の実施の形態の電気車制御装置の電気二重層キャパシタの構成図である。
【図5】本発明に基づく第5の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図6】本発明に基づく第6の実施の形態の電気車制御装置構成のブロック図である。
【図7】本発明に基づく第7の実施の形態の電気車制御装置構成のブロック図である。
【図8】本発明に基づく第8の実施形態の電気車制御装置のブロック図である。
【図9】本発明に基づく他の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図10】本発明に基づく他の実施の形態の電気車制御装置の構成図である。
【図11】従来の電気車制御装置のブロック図である。
【図12】従来の電気車制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・インバータ
2・・・電気二重層キャパシタ
3・・・架線、
4・・・パンタグラフ
5・・・接触器
6・・・フィルタリアクトル、
7・・・駆動用電動機
8・・・車輪
9・・・レール
10・・・フィルタコンデンサ
11・・・キャパシタセル
12,12a,12b,12c,12d,12e・・・装置筐体
13・・・DC/DCコンバータ
14・・・車体
15a,15b,15c・・・他の電気部品類
16・・・絶縁碍子
17・・・絶縁枠体
18・・・絶縁覆い
19・・・キャパシタバンク
20・・・絶縁仕切り枠
21・・・ヒューズ
22・・・高速度遮断機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、
前記回生電力貯蔵手段を電気車の車体と絶縁された装置箱に収納したことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項2】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、
前記回生電力貯蔵手段を絶縁材料で構成された装置箱に収納したことを特徴とする電気車制御装置。
【請求項3】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、
前記回生電力貯蔵手段は、少なくともその内面が絶縁材料で覆われている筐体に収納されていることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項4】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、
前記回生電力貯蔵手段は、複数の電力貯蔵バンクに分割配置され、前記回生電力貯蔵手段の複数の電力貯蔵バンクは、それぞれ外部との電気接続部となる端子台部あるいはコネクタ部を除き絶縁材料で覆われた構成であることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項5】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段とを有し、
前記回生電力貯蔵手段は、複数の電力貯蔵バンクに分割配置され、前記回生電力貯蔵手段の複数の電力貯蔵バンクは、絶縁材料の仕切りによって区画されることを特徴とする電気車制御装置。
【請求項6】
電動機を制御する電力変換装置と、
この電力変換装置が回生運転をした場合に、前記電力変換装置が発生する回生電力を一時的に貯蔵する回生電力貯蔵手段と、
前記回生電力貯蔵手段が故障した場合に、電流を遮断する電流遮断手段を備えたことを特徴とする電気車制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−14412(P2006−14412A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184331(P2004−184331)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】