説明

電源システムおよび電源運転方法

【課題】燃料電池システムの自立運転時でも安定して円滑な動作が可能な電源システムを提供する。
【解決手段】炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造する改質器3、改質器3からの水素を酸素と反応させて発電を行う燃料電池セル・スタック2を少なくとも備えた燃料電池システムと、電解液に正極物質と負極金属とを浸し、該負極金属の酸化作用により放電を行う空気電池20と、を組み合わせ、燃料電池システムから供給する発電電力が、本電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合として、例えば、燃料電池システムの起動時や停止時には、空気電池20からの放電電力を供給する動作を行い、本電源システムに接続した負荷14からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する燃料電池システムの電力不足分を、空気電池20からの放電電力により補う動作を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源システムおよび電源運転方法に関し、特に、燃料電池システムに電池を組み合わせた電源システムおよびその運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、エンジン発電装置などの内燃機関を用いた発電装置に比べて、発電効率が高く、排熱を利用すれば、さらに高い総合エネルギー効率を期待することができる。また、発電時の騒音や振動も小さく、窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害ガスや、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の発生量も少ないことから、環境に優しい高効率な発電装置としても注目されている。
【0003】
代表的な燃料電池システムの種類としては、特許文献1の特許第3784775号公報「燃料電池発電システムの制御方法」や特許文献2の特許第3872006号公報「燃料電池発電システム」にも記載されているように、固体高分子形燃料電池、リン酸形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池等があり、これらの燃料電池の発電特性の違いを活かした利用技術の検討が行われている。
【0004】
図3に、従来の燃料電池システムの一般的な構成例を示す。図3に示す燃料電池システムは、筐体1によりパッケージ化されており、筐体1の中には、燃料電池セル・スタック2、改質器3、燃料供給ブロワ4、脱硫器5、排気ガス冷却器6、水タンク7、水処理装置8、純水タンク9、水ポンプ10、蒸気発生器11、純水ポンプ12、空気供給ブロワ13、電力変換装置15、スイッチ16、スイッチ17等が収納されている。
【0005】
ここで、燃料電池セル・スタック2は、燃料となる都市ガス等の炭化水素を改質して製造した水素と、酸化剤の空気(酸素)とが供給されて発電を行うものであり、改質器3は、炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造して、燃料電池セル・スタック2へ供給するためのものである。燃料供給ブロワ4は、改質器3に都市ガス等の燃料を供給するためのものであり、脱硫器5は、都市ガス等の燃料から硫黄分を除去するためのものである。
【0006】
また、排気ガス冷却器6は、燃料電池システムからの排気ガス中に含まれている水蒸気を凝縮して水を取り出すためのものであり、水タンク7は、外部からの供給水や排気ガス冷却器6で得られた水を蓄えるためのものである。水処理装置8は、水タンク7の水から不純物を取り除いて純水を得るためのものであり、純水タンク9は、水処理装置8で得られた純水を蓄えるためのものである。
【0007】
また、水ポンプ10は、水タンク7の水を、水処理装置8を通して純水タンク9に送るためのものであり、蒸気発生器11は、純水タンク9から供給されてくる純水を気化して水蒸気を発生させ、改質器3に供給するためのものである。純水ポンプ12は、純水タンク9の純水を蒸気発生器11へ供給するためのものであり、空気供給ブロワ13は、燃料電池セル・スタック2に空気を供給するためのものである。
【0008】
また、電力変換装置15は、燃料電池セル・スタック2で発電した直流電力を、燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13や水ポンプ10、純水ポンプ12等の補機類および負荷14に必要とする電力に変換するためのものである。スイッチ16は、燃料電池セル・スタック2と電力変換装置15との電気的な接続を開閉するためのものであり、スイッチ17は、電力変換装置15と負荷14との電気的な接続を開閉するためのものである。
【0009】
また、図3には表示していないが、図3の燃料電池システムの動作を制御するための制御回路や信号線、安全対策のためのガスセンサや感震器、等も、当該燃料電池システムの補機類として組み込まれ、電力変換装置15から電力を供給されて動作する。
【0010】
ここで、燃料電池システムを構成する燃料電池セル・スタック2として、固体高分子形燃料電池を用いた場合は、燃料電池セル・スタック2の発電温度が80〜100℃と低いため、改質ガス中に含まれる一酸化炭素の濃度が高い場合には、燃料電池セル・スタック2の負極材料が一酸化炭素により被毒され、発電性能の低下や劣化につながる。そこで、固体高分子形燃料電池システムにおいては、一般に、一酸化炭素の濃度を10ppm程度以下まで低減させるための一酸化炭素変成器や一酸化炭素除去器も組み込むようにしている。
【0011】
また、燃料電池システムを構成する燃料電池セル・スタック2として、リン酸形燃料電池を用いた場合は、燃料電池セル・スタック2の発電温度が170〜200℃となるため、固体高分子形燃料電池システムほどの一酸化炭素の濃度の低減は要求されないので、一酸化炭素除去器は一般的に用いられない。
【0012】
さらに、燃料電池セル・スタック2として、固体酸化物形燃料電池や溶融炭酸塩形燃料電池を用いた場合は、これらの燃料電池セル・スタック2の発電温度が、それぞれ800〜1000℃や600〜700℃となるため、一酸化炭素も水素とともに燃料として利用することができることから、一酸化炭素変成器、一酸化炭素除去器のいずれも一般的に用いられない。
【0013】
ここで、図3の構成からなる燃料電池システムを運転する場合、燃料電池システムを起動させてから燃料電池セル・スタック2が所定の電力を発電することができるようになるまでの間は、燃料電池システムを構成している補機類であるブロワ(燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13)やポンプ(水ポンプ10、純水ポンプ12)、制御回路、等が必要とする電力を、燃料電池セル・スタック2以外の電源により供給する必要がある。同様に、燃料電池システムを停止する場合についても、地震などの災害時やガス漏洩などの異常時等において緊急停止する場合を除き、燃料電池セル・スタック2の発電を停止してから燃料電池システムを完全に停止させるまでの間、補機類への電力供給のために、燃料電池セル・スタック2以外の電源が必要になる。
【0014】
このため、燃料電池システムを運転する場合、一般的に、商用電源と連系させる系統連系運転か商用電源とは連系しない自立運転かのいずれかを採用するが、次のような対策が施されている。系統連系運転とする場合は、燃料電池システムの起動時、停止時の補機類への電力供給を、商用電源により行うことができる。一方、自立運転とする場合は、エンジン発電装置等の他の発電装置や蓄電器を備えるようにしており、かかる他の発電装置を発電させることにより、または、蓄電器を放電させることにより、燃料電池システムの起動時、停止時の補機類への電力供給を行うことができる。
【0015】
ここで、図3の燃料電池システムとして、都市ガス等の炭化水素を燃料とする燃料電池システムにおいては、負荷電力が増加または減少した場合、改質器3に供給する炭化水素と水蒸気との量を加減させるとともに、改質器3においても供給量に合わせて水素の製造量を加減させる必要がある。
【0016】
しかしながら、改質器3の反応速度は、大きな負荷電力の急変に応じて、水素発生量を瞬時に増減することができるほどには速くはない。したがって、大きな負荷電力の急増があった場合には、燃料電池セル・スタック2において必要となる水素ガス量が不足し、燃料電池システムは、負荷14が必要とする電力を供給することができなくなる。
【0017】
逆に、大きな負荷電力の急減があった場合には、改質器3で製造した水素ガスが余ってしまい、改質器3への炭化水素の供給量とのバランスが崩れてしまう。
【0018】
図3に示す燃料電池システムの運転において、改質器3での水素製造反応速度が負荷14の変動に追随できなくなったり、あるいは、改質器3にて製造した水素ガスが余ったりするような運転を無理にでも行おうとすると、燃料電池システム内の保護機能が働き、燃料電池システムの動作停止にも繋がってしまう。したがって、燃料電池システムの運転においては、燃料電池システムに大きな負荷変動をそのまま負担させないように運転することが要求される。
【0019】
かくのごとき要求に対して、燃料電池システムを系統連系運転とする場合は、急激な負荷14の増加があれば、その増加分だけ、商用電源を利用することによって負荷14の変動を吸収することができるため、燃料電池システムの発電電力を一定に保つことができる。逆に、急激な負荷14の減少があれば、燃料電池システムに抵抗器等をあらかじめ備えておき、その減少分だけ、抵抗器等で電力を消費させることにより、負荷14の変動を吸収することができる。
【0020】
また、燃料電池システムを自立運転とする場合は、蓄電器や電気二重層キャパシタなどの蓄電体をあらかじめ備えておき、急激な負荷14の増加があれば、その増加分だけ、蓄電体を放電することによって、負荷14の変動を吸収することができる。逆に、急激に負荷14が減少した場合は、その減少分だけ、蓄電体を充電させるか、あるいは、燃料電池システムに抵抗器等をさらに備えておいて、その減少分だけ、抵抗器等で電力を消費させることにより、負荷14の変動を吸収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特許第3784775号公報
【特許文献2】特許第3872006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
前述したように、燃料電池システムを自立運転させる場合、当該燃料電池システムの起動時、停止時において補機類へ電力を供給するためには、燃料電池セル・スタック以外の電源が必要となること、および、燃料電池システムに接続した負荷が急激に増加した場合においても、燃料電池システムを安定に運転するためには、蓄電器や電気二重層キャパシタなどの蓄電体をあらかじめ備えておくことが必要である。これらの2つの要求を同時に満たすための手段として、燃料電池システムに蓄電器を組み合わせることが有効であり、燃料電池システムに組み合わせる蓄電器としては、鉛蓄電池やニッケルカドミウム蓄電池、ニッケル水素蓄電池、リチウムイオン電池、等の蓄電池を用いることができる。
【0023】
しかしながら、前述のようないずれの蓄電池についても燃料電池システムとの組み合わせの点からは、次に記載するような問題点が存在する。
【0024】
まず、鉛蓄電池については、サイクル用途、バックアップ用途のいずれにおいても多くの実績を持ち、フロート充電が可能であって大容量化を図ることもでき、安価という特徴を有してはいるものの、エネルギー密度が小さいため、蓄電池容量が大きくなると、広い設置面積や耐床荷重が必要になるという欠点がある。
【0025】
また、ニッケルカドミウム蓄電池およびニッケル水素蓄電池については、メモリー効果による容量の低下現象があり、高価でもある。また、リチウムイオン電池については、エネルギー密度は大きいものの、大容量化した場合の安全性が十分には確立されておらず、また、高価でもある。
【0026】
その他の蓄電池として、例えば、空気二次電池もあるが、空気二次電池は、正極活物質に空気中の酸素を用いることから、他の蓄電池に比べてエネルギー密度が大きく、大容量化も可能で、安全性も高いという特徴を有してはいるものの、通常の蓄電池の充電方法と同じように、空気二次電池に直流電圧を加えて電気化学的に充電する方法では、正極の劣化抑止の点から正極材料に高価な白金等の貴金属を用いなければならず、高価になってしまうという問題点がある。
【0027】
さらに、このような蓄電池を用いる場合は、蓄電池を適正な電圧および電流で充電するための充電器も必要となるため、燃料電池システムが複雑化し、高価になるという問題点もある。
【0028】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池システムの自立運転時においても、外部からの電源に一切依存することなく、安定して円滑な動作が可能な仕組みを安価に実現することができる電源システムおよび電源運転方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、前述の課題を解決するために、以下のごとき各技術手段から構成されている。
【0030】
第1の技術手段は、炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造する改質器と、該改質器からの水素を酸素と反応させて発電を行う燃料電池セル・スタックとを少なくとも備えた燃料電池システムと、電解液に正極物質と負極金属とを浸し、該負極金属の酸化作用により放電を行う空気電池と、を組み合わせてなる電源システムであって、前記燃料電池システムから供給する発電電力が、当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする。
【0031】
第2の技術手段は、前記第1の技術手段に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、前記燃料電池システムの起動時、前記燃料電池システムの停止時の少なくともいずれかの場合には、前記燃料電池システムからの電力供給を停止して、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする。
【0032】
第3の技術手段は、前記第1または第2の技術手段に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する前記燃料電池システムの電力不足分を、前記空気電池からの放電電力により補う動作を行うことを特徴とする。
【0033】
第4の技術手段は、前記第1ないし第3の技術手段のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムからの電力を消費する抵抗器または該電力を蓄電する蓄電器を別途備え、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力減少要求速度があらかじめ定めた減少閾値以上に達した場合、該減少閾値以上に相当する前記燃料電池システムの余剰電力分を、前記抵抗器によって消費させるか、または、前記蓄電器に蓄電させることを特徴とする。
【0034】
第5の技術手段は、前記第1ないし第4の技術手段のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記空気電池の放電により生成された前記負極電極の酸化物を、前記改質器が生成した水素と前記燃料電池システム内で得られる熱とを用いて還元させることを特徴とする。
【0035】
第6の技術手段は、前記第5の技術手段に記載の電源システムにおいて、前記改質器が生成した水素の温度が、前記空気電池の前記負極電極の酸化物を還元する還元温度に達している場合は、当該水素の熱を利用し、前記改質器が生成した水素の温度が、前記還元温度に達していない場合は、前記燃料電池システム内で得られる熱として、前記改質器を昇温するために備えている熱源からの熱、または、前記燃料電池システムからの排熱のいずれかを利用することを特徴とする。
【0036】
第7の技術手段は、前記第1ないし第6の技術手段のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記空気電池を構成する前記電解液の液量が、あらかじめ定めた液量閾値よりも低下した場合、該液量閾値よりも低下した前記電解液の不足分を前記燃料電池システム内で得られる純水を用いて補給することを特徴とする。
【0037】
第8の技術手段は、前記第7の技術手段に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システム内で得られる純水として、前記改質器へ水蒸気を供給するために蓄えられている純水、または、前記燃料電池システムからの排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて得られる純水のいずれかを用いることを特徴とする。
【0038】
第9の技術手段は、炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造する改質器と、該改質器からの水素を酸素と反応させて発電を行う燃料電池セル・スタックとを少なくとも備えた燃料電池システムと、電解液に正極物質と負極金属とを浸し、該負極金属の酸化作用により放電を行う空気電池と、を組み合わせてなる電源システムにおける電源運転方法であって、前記燃料電池システムから供給する発電電力が、当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする。
【0039】
第10の技術手段は、前記第9の技術手段に記載の電源運転方法において、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、前記燃料電池システムの起動時、前記燃料電池システムの停止時の少なくともいずれかの場合には、前記燃料電池システムからの電力供給を停止して、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行い、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する前記燃料電池システムの電力不足分を、前記空気電池からの放電電力により補う動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0041】
すなわち、燃料電池システムに空気電池を組み合わせた電源システムにおいて、自立運転における燃料電池システムを起動する際や停止する際に、当該電源システムの動作に必要とする必要電力の供給、例えば、当該電源システムの補機類への電力供給、および、当該電源システムに接続した負荷があらかじめ定めた増加閾値以上に急激に増加した場合の該増加閾値以上に相当する電力増加分の電力供給を、空気電池の放電により行っているので、外部電源に一切依存することなく、円滑な運転を実現することができる仕組みを安価に実現した電源システムを構築することが可能になる。
【0042】
また、空気電池の充電を、外部電源からの給電によることなく、燃料電池システム内で得られる水素と熱とを利用して行うとともに、空気電池の構成材料である電解液が減少した場合に、燃料電池システム内で得られる純水を補給して電解液を増加させる仕組みを採用しているので、空気電池の性能の低下を抑制することができ、安定した電源システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る電源システムのブロック構成の一例を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示す電源システム内の空気電池の断面構造の一例を示す模式図である。
【図3】従来の燃料電池システムの一般的な構成例を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下に、本発明に係る電源システムおよび電源運転方法の好適な実施形態について、その一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴について、その概要をまず説明する。本発明に係る電源システムは、燃料電池システムと空気電池とを組み合わせて構成し、燃料電池システムから供給する電力が、当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合、例えば、燃料電池システムの起動の際、停止の際あるいは負荷への急激な給電増加が発生した際に、空気電池の放電電力を供給するように動作することを、主要な特徴としている。
【0046】
また、本発明は、空気電池の放電能力があらかじめ定めた放電閾値よりも低下した際の充電動作として、空気電池の放電によって生成される該空気電池の負極金属の酸化物を、改質器が製造する水素と該水素の熱とを利用して、または、該水素の温度が前記負極金属の還元温度に達していない場合には、該水素と燃料電池システムの排熱または改質器用の熱源の熱とを利用して、還元することによって、空気電池の放電能力を回復させることも、その特徴としている。
【0047】
また、本発明は、空気電池の電解液の液量があらかじめ定めた液量閾値よりも少なくなった際に、燃料電池システムに利用する純水を用いて補給することも、その特徴としている。
【0048】
以上のような特徴を備えることにより、本発明に係る電源システムおよびその電源運転方法においては、電源システムの起動から停止に至るまでの全ての動作を、外部の電源を一切利用することなく、当該電源システム内部の発電機構を利用して自給することができる他、空気電池の充電動作として必要な該空気電池の負極金属の酸化物の還元動作も外部電源に依存することなく当該電源システム内部の発電機構すなわち燃料電池システム内で得られる水素と熱とを利用して実施することが可能になるとともに、該空気電池の電解液の不足も燃料電池システム内で得られる純水により補給することが可能になるので、たとえ、燃料電池システムを自立運転させるような環境下においても、安定して円滑な動作を行うことが可能な電源システムを実現することができるという効果が得られる。
【0049】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る電源システムの構成例について、その一例を図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る電源システムのブロック構成の一例を示すブロック構成図であり、燃料電池システムに空気電池を組み合わせた構成の一例を示している。
【0050】
図1に示す電源システムの構成例においては、図3に示した従来の燃料電池システムの一般的な構成例に対して、さらに、空気電池20、負極金属還元室21、バルブ22,23、スイッチ24、抵抗器25、スイッチ26、バルブ27を少なくとも追加して構成している。
【0051】
ここで、負極金属還元室21は、空気電池20の放電作用として負極を構成する金属に生成される酸化物の還元を行うものであり、バルブ22は、負極金属還元室21に対して改質器3からの水素を供給するか否かに応じて改質器3と負極金属還元室21との間のガス流路を開閉するためのものであり、バルブ23は、負極金属の酸化物の還元動作を行っているか否かに応じて負極金属還元室21からの排ガスを排出するガス流路を開閉するためのものである。
【0052】
また、スイッチ24は、空気電池20からの放電電力を供給するか否かに応じて空気電池20と電力変換装置15との電気的な接続を開閉するためのものであり、抵抗器25は、燃料電池システムから負荷14へ供給するための電力が余った際の余剰電力を消費するためのものであり、スイッチ26は、燃料電池システムに余剰電力が生じているか否かに応じて電力変換装置15と抵抗器25との電気的な接続を開閉するためのものである。
【0053】
また、バルブ27は、空気電池20を構成する電解液を補給するか否かに応じて純水ポンプ12と空気電池20との純水の流路を開閉するためのものである。
【0054】
ここで、空気電池20は、負極電極の酸化反応により放電動作を行うものであり、図2に示すような構造からなっている。図2は、図1に示す電源システム内の空気電池20の断面構造の一例を示す模式図であり、一般的な空気電池の構造と略同様に、容器33内の電解液30の中に負極金属31と正極物質32とを浸し、負極金属31の酸化作用により放電を行う構成からなっている。
【0055】
電解液30の材料には、負極電極31と電気化学的に反応するイオンを含む溶液として、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等の水溶液、または、これらの任意の組合せからなる混合溶液を用いることができる。また、負極金属31には、負極活物質の金属として、亜鉛、鉄、カドミウム、コバルト、ニッケル、チタンなど、電解液30と電気化学的に反応し、酸化物となる金属を用いることができる。なお、電解液30との反応性を高め、空気電池20の放電容量を増大させるためには、負極金属31を形成する金属を多孔体として表面積を増やすことが有効であり、該多孔体は、金属粉末の圧縮成形などを適用して作製することができる。
【0056】
正極物質32には、正極活物質として空気中の酸素を用いるために、それ自身は変化せず、空気中の酸素をイオン化させて電解液30に取り込むことができる性能が要求され、白金、金、パラジウムなどの金属や、炭素などを用いることができる。ここで、正極物質32の電気化学反応の場は、特に、電解液30と正極物質32と空気とが接する三相界面となるため、該三相界面を増やすほど、空気電池20の反応性が向上し、大電流を取り出し易くなる。そこで、正極物質32に金属を用いる場合は、該金属を発泡体、メッシュ体、粉末の圧縮成形体等にして、表面積を増やすことが有効であり、炭素を用いる場合についても、粉末の圧縮成形などを行うことが有効となる。
【0057】
なお、空気電池20の容器33の内壁には、液量センサ34を取り付けており、電解液の液量をモニタすることができるようにしている。
【0058】
(実施形態の動作例)
(電源システムの給電動作例)
次に、本発明の電源システムの運転動作について、本発明に係る電源運転方法として、図1を参照しながら説明する。
【0059】
図1に示す本電源システムを起動させると、燃料電池システムの動作に必要とする必要電力閾値に達するまでは、燃料電池システムからの電力供給を行うことなく、スイッチ24が閉じて、空気電池20の放電電力が電力変換装置15に供給される。ここで、空気電池20には、制御回路(図示せず)や燃料供給ブロワ4等の補機類等へ供給するための電力としてあらかじめ定めた十分な電力が蓄積されているものとする。
【0060】
電力変換装置15からは、制御回路(図示せず)や燃料供給ブロワ4等の補機類、等のそれぞれに供給するための電圧値としてあらかじめ定めた所定の電圧に変換した電力が送られ、燃料供給ブロワ4の動作により、改質器3に対して脱硫器5を介して炭化水素が燃料として供給される。
【0061】
改質器3において水素を製造するためには、改質器3を700℃程度のあらかじめ定めた所定の改質温度まで昇温することが必要であり、また、燃料電池セル・スタック2についても、先に述べたように、燃料電池の種類に応じてあらかじめ定められた発電温度まで昇温させることが必要である。そこで、炭化水素の燃焼熱により、改質器3および燃料電池セル・スタック2を昇温させる。改質器3および燃料電池セル・スタック2が所定の改質温度および発電温度に到達すると、改質器3に対して、蒸気発生器11から水蒸気が供給され、燃料の炭化水素との改質反応により、水素が製造される。
【0062】
しかる後、改質器3にて製造された水素と空気供給ブロワ13からの空気とを燃料電池セル・スタック2に供給することによって、燃料電池セル・スタック2は発電を開始する。燃料電池セル・スタック2の発電電力が、ブロワ(燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13)やポンプ(水ポンプ10、純水ポンプ12)等や制御回路等の補機類に必要な電力を全て供給することができる電力にまで達すると、スイッチ16を閉じて、ブロワやポンプ、制御回路等の補機類への電力供給を燃料電池セル・スタック2からの発電電力により行うとともに、スイッチ24を開いて空気電池20の放電を停止させる。
【0063】
さらに、燃料電池セル・スタック2の発電電力が、負荷14に必要な電力まで達すると、スイッチ17を閉じて負荷14への電力供給を開始する。
【0064】
燃料電池セル・スタック2の発電電力により負荷14への電力供給を開始した後、負荷14の当該電源システムに対する電力増加要求速度が、改質器3における水素製造反応速度が追随することができない増加閾値としてあらかじめ定めておいた急激な電力増加の時間変化量以上に達した場合は、スイッチ24を閉じて空気電池20を放電させ、燃料電池セル・スタック2の発電電力では不足する電力分すなわち前記増加閾値以上に相当する電力不足分を、空気電池20の放電により補充する。
【0065】
逆に、負荷14の当該電源システムに対する電力減少要求速度が、改質器3における水素製造反応速度が追随することができない減少閾値としてあらかじめ定めておいた急激な電力減少の時間変化量以上に達して、改質器3において製造した水素ガスが余ってしまい、改質器3への炭化水素の供給量とのバランスが崩れてしまう場合は、スイッチ26を閉じて、燃料電池セル・スタック2の余剰電力すなわち前記減少閾値以上に相当する余剰電力分を抵抗器25により消費させる。
【0066】
以上のような制御を行うことにより、電源システムの円滑な安定動作が可能になるとともに、燃料電池セル・スタック2の出力を、ほぼ一定に保つことができることから、燃料電池セル・スタック2の長寿命化を図ることができる。ここで、燃料電池セル・スタック2の余剰電力については、抵抗器25により消費させる代わりに、別途備えた蓄電器に蓄電するようにして、電力変換装置15からの給電をバックアップするようにしても良い。
【0067】
次に、負荷14への電力供給を終了し、電源システムの発電を停止させようとする場合は、スイッチ17を開いて負荷14との接続を切り離すとともに、スイッチ26を閉じて燃料電池セル・スタック2からの発電電力を抵抗器25により消費させる。続いて、抵抗器25での消費電力を徐々に下げていくとともに、燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13、水ポンプ10、純水ポンプ12、等の補機類の出力を徐々に下げることによって、燃料電池セル・スタック2の発電電力を徐々に下げていく。
【0068】
燃料電池セル・スタック2の発電電力が、ブロワ(燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13)やポンプ(水ポンプ10、純水ポンプ12)、制御回路等の補機類の動作に必要とする必要電力閾値に相当する電力を供給することができない値にまで低下すると、スイッチ24を閉じて空気電池20を放電させ、ブロワやポンプ、制御回路等の補機類への電力供給を空気電池20の放電により行う。
【0069】
補機類への電力供給を空気電池20に切り換えた後も、燃料供給ブロワ4、空気供給ブロワ13、水ポンプ10、純水ポンプ12、等の補機類の出力を徐々に下げていき、燃料電池セル・スタック2の発電を停止させる。燃料電池セル・スタック2の発電が停止した後は、スイッチ24を開いて空気電池20の放電を終了させ、電源システムの運転を停止させる。なお、電源システムの運転停止時においては、空気電池20からの放電電力の供給を開始した時点で、燃料電池システムからの電力供給を停止するようにしても良い。
【0070】
ここで、以上のような本発明に係る電源システムの一例を示した図1の電源システムにおける起動、運転、停止時の一連の動作は、全て、図1に図示していない制御回路によって制御される。
【0071】
以上、本発明に係る電源システムの一例を示した図1の電源システムにおける起動、運転、停止時の動作について説明したが、本発明は、かかる動作のみに限るものではない。
【0072】
例えば、燃料電池システムの起動の際、停止の際および負荷14への急激な給電増加が発生した際には、空気電池20からの放電電力を利用するという場合について前述したが、空気電池20からの電力を利用する場合の一例を例示したものであって、本発明に係る電源システムは、燃料電池システムから供給する電力が当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合には、空気電池20からの放電電力によって賄うように動作するものである。
【0073】
つまり、燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、例えば、前述したような、燃料電池システムの起動時、燃料電池システムの停止時には、燃料電池システムからの電力供給は停止して、空気電池20からの放電電力によって、当該電源システム内の補機類等が動作するようにし、また、負荷14からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する燃料電池システムからの不足電力分を空気電池20からの放電電力によって賄うように動作する。
【0074】
かくのごとき動作を行うことによって、本発明に係る電源システムにおいては、その起動から停止に至るまでの全ての動作を、外部の電源を一切利用することなく、当該電源システム内部の発電機構を利用して自給することができ、かつ、円滑な安定動作を行うことができる。
【0075】
(空気電池20の充電動作例)
次に、本発明に係る電源システムを構成する空気電池20の、充電動作と電解液量の適正化動作とについて説明する。
【0076】
まず、空気電池20の放電能力があらかじめ定めた放電閾値よりも低下した場合の空気電池20の充電動作例について説明する。なお、空気電池20の充電とは、空気電池20の放電により生成された負極金属31の酸化物を還元することによって、放電能力を回復させることと等価である。
【0077】
そこで、空気電池20から酸化した負極金属31を取り出し、負極金属還元室21に移す。この時、負極金属還元室21においては、改質器3が水素を製造することができない状態にあった場合には、水素を製造することができる状態になるまで待ち合わせて、水素を製造することができる状態になった時点で、バルブ22を開いて、改質器3にて製造された水素を負極金属還元室21に導くとともに、バルブ23を開いて、負極金属還元室21からの排ガスを筐体1の外に排出する。
【0078】
ここで、負極金属31の酸化物の還元のためには、負極金属31を形成する金属に特有の還元温度まで昇温することが必要であるが、改質器3にて製造された水素の温度よりも高い温度が必要な場合には、改質器3を昇温するために別途設置された熱源からの熱、または、燃料電池システムからの排熱例えば燃料電池セル・スタック2や負極金属還元室21からの排熱を利用する。
【0079】
負極金属還元室21において、負極金属31の酸化物の還元が終了すると、バルブ22およびバルブ23を閉じて、負極金属還元室21を密閉するとともに、負極金属還元室21において負極金属31の酸化物を還元するための熱を、別途設置された熱源からまたは燃料電池セル・スタック2や負極金属還元室21から負極金属還元室21に供給していた場合には、かかる熱の供給動作を停止し、負極金属31の温度を室温付近まで下げる。負極金属31の温度が室温付近にまで低下した時点で、負極金属31を負極金属還元室21から取り出して、元の空気電池20側に戻して、空気電池20の電解液30の中に浸し、空気電池20を放電可能な状態に回復させる。
【0080】
以上のように、空気電池20の放電能力があらかじめ定めた放電閾値よりも低下した場合、放電した空気電池20を充電する動作として、外部の電源からの給電によって充電を行うことは一切不要であり、改質器3が製造する水素と燃料電池システム内で得られる熱とを用いて、空気電池20の放電により生成された負極金属31の酸化物を還元させる。ここで、燃料電池システム内で得られる熱としては、例えば、改質器3が製造する水素の温度が、負極金属31の還元温度以上に達している場合は、該水素の熱を利用し、また、該水素の温度が負極金属31の還元温度に達していない場合には、改質器3を昇温するために備えている熱源からの熱または燃料電池システムからの排熱(例えば燃料電池セル・スタック2や負極金属還元室21からの排熱)のいずれかを利用する。かくのごとき負極金属31の酸化物の還元動作により、空気電池20の放電能力を回復させることができる。
【0081】
つまり、空気電池20の充電動作として、該空気電池20の放電により生成された負極金属31の酸化物の還元を、外部電源に依存することなく、当該電源システム内部の発電機構すなわち燃料電池システム内で得られる水素と熱とを利用して実施することが可能になる。
【0082】
(空気電池20の電解液量の適正化動作例)
次に、空気電池20の電解液量があらかじめ定めた液量閾値よりも少なくなった際の空気電池20の電解液量の適正化動作例について説明する。空気電池20の電解液30が減少する原因としては、電解液30中の水の蒸発や電解液30の漏洩等があり、電解液30が減少すると、空気電池20の反応場が減少して、空気電池20の電池容量の低下に繋がるため、電解液30の液量を常に適正値に保つことが要求される。
【0083】
また、空気電池20の電解液30には、不純物の少ない純水を用いることが必要である。本発明に係る電源システムにおいては、図2に示すように、空気電池20に液量センサ34を取り付けており、電解液30の液量があらかじめ定めた液量閾値を下回ることを液量センサ34が検知すると、図1に示すバルブ27が開き、純水ポンプ12により、純水タンク9の純水が空気電池20に供給される。これにより、空気電池20の電解液30は、常に、前記液量閾値が示す適正量を維持することが可能になる。なお、純水タンク9の純水は、燃料電池システムの改質器3へ供給する水蒸気を得るために、外部から供給される水を水処理装置8において水処理して生成されている。
【0084】
なお、空気電池20へ供給する純水は、外部から供給されるものではなく、燃料電池システム内で得られる純水であれば良く、純水タンク9から供給する代わりに、燃料電池システムからの排気ガスに含まれる水蒸気を排気ガス冷却器6にて凝縮させて得られる純水を供給するようにしても良い。
【0085】
以上のように、空気電池20の電解液30の液量があらかじめ定めた液量閾値よりも低下した場合、外部から純水を補給する必要は一切なく、該液量閾値よりも低下した空気電池20の電解液30の不足分を、燃料電池システム内で得られる純水(改質器3へ水蒸気を供給するために蓄えられている純水タンク9の純水または排気ガス冷却器6にて排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて得られる純水)を用いて補給することが可能であり、而して、空気電池20の性能の低下を抑制することができる。
【0086】
以上に詳細に説明したように、本発明に係る電源システムは、燃料電池システムに高エネルギー密度の特徴を有する空気電池を組み合わせたものであって、燃料電池システムの燃料に炭化水素を用い、かつ、商用電源と連系させずに自立運転を行う環境下においても、燃料電池システムの発電電力が電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合には、空気電池20の放電電力を利用することによって、例えば、燃料電池システムの起動、停止動作を円滑に行うことができ、さらに、電力を供給する負荷側において急激な負荷変動があっても安定した動作を行うことができる。
【0087】
また、空気電池20の充電すなわち負極金属31の酸化物の還元に、燃料電池システムの改質器3で得られる水素と、燃料電池システム内で得られる熱(該水素の熱あるいは改質器3用の熱源の熱あるいは燃料電池セル・スタック2や負極金属還元室21からの排熱)とを利用することにしているので、従来のように、外部から直流電圧を加えて電気化学的に空気電池20を充電する方法において問題になっていた正極物質32の劣化を抑制することができるとともに、充電器も不要となることから、電源システムの簡素化と低コスト化とを実現することができる。
【0088】
さらに、空気電池20の電解液30が減少した場合においても、燃料電池システム内で得られる純水を、そのまま利用して、電解液30の液量を適正値に保つことができることから、新たな装置類を殆ど追加することなく、空気電池20の安定した放電動作が可能になる。
【符号の説明】
【0089】
1…筐体、2…燃料電池セル・スタック、3…改質器、4…燃料供給ブロワ、5…脱硫器、6…排気ガス冷却器、7…水タンク、8…水処理装置、9…純水タンク、10…水ポンプ、11…蒸気発生器、12…純水ポンプ、13…空気供給ブロワ、14…負荷、15…電力変換装置、16〜17…スイッチ、20…空気電池、21…負極金属還元室、22〜23…バルブ、24…スイッチ、25…抵抗器、26…スイッチ、27…バルブ、30…電解液、31…負極金属、32…正極物質、33…容器、34…液量センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造する改質器と、該改質器からの水素を酸素と反応させて発電を行う燃料電池セル・スタックとを少なくとも備えた燃料電池システムと、電解液に正極物質と負極金属とを浸し、該負極金属の酸化作用により放電を行う空気電池と、を組み合わせてなる電源システムであって、前記燃料電池システムから供給する発電電力が、当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする電源システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、前記燃料電池システムの起動時、前記燃料電池システムの停止時の少なくともいずれかの場合には、前記燃料電池システムからの電力供給を停止して、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする電源システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する前記燃料電池システムの電力不足分を、前記空気電池からの放電電力により補う動作を行うことを特徴とする電源システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システムからの電力を消費する抵抗器または該電力を蓄電する蓄電器を別途備え、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力減少要求速度があらかじめ定めた減少閾値以上に達した場合、該減少閾値以上に相当する前記燃料電池システムの余剰電力分を、前記抵抗器によって消費させるか、または、前記蓄電器に蓄電させることを特徴とする電源システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記空気電池の放電により生成された前記負極電極の酸化物を、前記改質器が生成した水素と前記燃料電池システム内で得られる熱とを用いて還元させることを特徴とする電源システム。
【請求項6】
請求項5に記載の電源システムにおいて、前記改質器が生成した水素の温度が、前記空気電池の前記負極電極の酸化物を還元する還元温度に達している場合は、当該水素の熱を利用し、前記改質器が生成した水素の温度が、前記還元温度に達していない場合は、前記燃料電池システム内で得られる熱として、前記改質器を昇温するために備えている熱源からの熱、または、前記燃料電池システムからの排熱のいずれかを利用することを特徴とする電源システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の電源システムにおいて、前記空気電池を構成する前記電解液の液量が、あらかじめ定めた液量閾値よりも低下した場合、該液量閾値よりも低下した前記電解液の不足分を前記燃料電池システム内で得られる純水を用いて補給することを特徴とする電源システム。
【請求項8】
請求項7に記載の電源システムにおいて、前記燃料電池システム内で得られる純水として、前記改質器へ水蒸気を供給するために蓄えられている純水、または、前記燃料電池システムからの排気ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて得られる純水のいずれかを用いることを特徴とする電源システム。
【請求項9】
炭化水素と水蒸気とを反応させて水素を製造する改質器と、該改質器からの水素を酸素と反応させて発電を行う燃料電池セル・スタックとを少なくとも備えた燃料電池システムと、電解液に正極物質と負極金属とを浸し、該負極金属の酸化作用により放電を行う空気電池と、を組み合わせてなる電源システムにおける電源運転方法であって、前記燃料電池システムから供給する発電電力が、当該電源システムの動作に必要とする必要電力閾値に達していない場合、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行うことを特徴とする電源運転方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電源運転方法において、前記燃料電池システムから供給する発電電力が前記必要電力閾値に達していない場合として、前記燃料電池システムの起動時、前記燃料電池システムの停止時の少なくともいずれかの場合には、前記燃料電池システムからの電力供給を停止して、前記空気電池からの放電電力を供給する動作を行い、当該電源システムに接続した負荷からの当該電源システムに対する電力増加要求速度があらかじめ定めた増加閾値以上に達した場合には、該増加閾値以上に相当する前記燃料電池システムの電力不足分を、前記空気電池からの放電電力により補う動作を行うことを特徴とする電源運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−228079(P2011−228079A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−95876(P2010−95876)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】