説明

電源装置

【課題】 電流センサに生じた異常を短期間に、かつ精度良く検出可能な電源装置を提供する。
【解決手段】 電流検出部60は、制御用センサからのモータ電流MCRT_Aおよび監視用センサからのモータ電流MCRT_Bをサンプリングし、所定の演算周期ごとにモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxをそれぞれホールドする。異常判定部62aは、連続する複数の演算周期の各々において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあり、かつ両者の電流差が所定しきい値を越えたことを検出して制御用センサの異常を判定し、電流センサ異常を指示する検出信号DETを生成してリレー駆動部64および報知部66へ出力する。リレー駆動部64は、検出信号DETを受けると信号SEを生成してシステムリレーをオフする。報知部66は信号ALを生成して電源装置外部の表示手段へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電源装置に関し、特に、電源装置に搭載された駆動回路に流れる電流を検出する電流センサの異常を検出する機能を備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境に配慮した自動車として、ハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が注目されている。ハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。
【0003】
また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
【0004】
一般に、このようなハイブリッド自動車および電気自動車においては、インバータからモータに実際に供給されるモータ電流を、電流センサを用いて検出し、電流センサの出力する電流検出値と要求されるトルクから算出した電流指令値とが一致するように制御する、いわゆるフィードバック制御が行なわれている。
【0005】
ここで、電流センサに異常が生じると、電流センサから出力される電流検出値は、実際のモータ電流とは一致せず、たとえば実際のモータ電流に対して極めて小さくなる場合が起こり得る。このような場合に上述したフィードバック制御を行なうと、実際のモータ電流は所望の電流指令値に対して極端に大きくなってしまう。そして、この過電流がインバータに流れると、その電流の大きさと流れる時間とに応じた負荷がインバータにかかることとなり、インバータを破壊するおそれが生じる。したがって、インバータの破壊を回避するためには、電流センサの異常を短期間、かつ確実に検出することが求められる。
【0006】
たとえば特許文献1は、モータへの電流出力系統の異常を検出し、過電流によって周辺機器が破壊されるのを防止することのできるモータ出力系の異常検出装置を開示する。詳細には、モータ出力系の異常検出装置は、モータを流れる実電流を検出し、その実電流の大きさを電流検出値として出力する電流センサと、電流指令値と電流検出値とを随時比較し、電流指令値に対する電流検出値の偏差を出力する電流比較手段と、当該偏差と所定のしきい値とを随時比較し、当該偏差が所定のしきい値よりも大きい状態が一定期間以上継続したときに、モータへの電流出力系統が異常であると判定する異常判断手段と、異常判断手段によって異常と判断されるとモータへの通電と停止する異常処理手段とを備える。
【0007】
これによれば、電流指令値に対する実電流の偏差が所定のしきい値よりも大きくなる状態が一定期間以上継続すると、モータ出力系統が異常であると判断することから、過渡的な状態で実電流の立上りが電流指令値に対して遅れる場合やノイズが混入した場合など、一時的に偏差が大きくなる状態を誤って異常と判断することなく、正確にモータ出力系統における異常を検出し、過電流の供給による周辺機器の破損等を防止することができる。
【特許文献1】特開平8−172721号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来の異常検出装置においては、誤検出を防止する観点から、異常の判断には必ず一定期間の経過したことが必要とされる。これは、モータ出力系の異常時にモータ電流が過電流となったときには、インバータへの負荷が当該一定期間に比例して相当大きなものとなることから、インバータの破壊をもたらすことになる。
【0009】
また、従来の異常検出装置によれば、電流比較手段が電流指令値に対する電流検出値の偏差を出力するにあたっては、実電流および電流指令値はいずれも、本来、図12に示すような正弦波であることから、両者の偏差の出力波形は、図中の点線で示すような半波の状態となり、所定のしきい値との大小関係を正確に比較することができない。このため、電流比較手段は、フィルタ回路を含み、当該偏差にフィルタ処理を施すことによって、これを図中の一点鎖線で示す出力波形に変換し、その変換後の偏差と所定のしきい値とを比較して、異常を判定する構成を採ることになる。
【0010】
しかしながら、電流比較手段をこのような構成とすることにより、出力される偏差にはフィルタ回路の時定数分の遅延が生じてしまう。これは、異常の判断に要する期間を増長させることとなり、インバータへの負荷を増大させる要因となる。
【0011】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、電流センサに生じた異常を短期間に、かつ精度良く検出可能な電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明のある局面によれば、電源装置は、電源と、電源から電力の供給を受けて負荷回路を駆動する駆動回路と、駆動回路に流れる駆動電流を検出して第1の電流検出値を出力する第1の電流センサと、駆動電流を検出して第2の電流検出値を出力する第2の電流センサと、第1の電流検出値が駆動電流の電流指令値に一致するように駆動回路を制御する制御回路と、第1の電流検出値が予め定められた所定の範囲内であって、かつ第1の電流検出値と第2の電流検出値との電流差が所定のしきい値を超えた状態が、所定の期間継続したことを検出して第1の電流センサの異常を検出する電流センサ異常検出回路とを備える。
【0013】
好ましくは、電源装置は、開閉動作により電源と駆動回路とを電気的に結合または分離する開閉器をさらに備える。電流センサ異常検出回路は、第1の電流センサの異常を検出すると、電源と駆動回路とを電気的に分離するように開閉動作を制御する。
【0014】
好ましくは、所定の範囲は、第1の電流センサが接地レベルと短絡したときに第1の電流検出値の取りうる範囲に対応して定められる。
【0015】
好ましくは、所定のしきい値は、電源装置の正常動作時における、第1の電流検出値と第2の電流検出値との電流差よりも大きく設定される。
【0016】
好ましくは、所定の期間は、第1の電流検出値との間に所定のしきい値に相当する電流差を有する駆動電流が駆動回路に継続して流れたときに、駆動回路が破壊されるまでの期間よりも短く設定される。
【0017】
好ましくは、駆動回路は、スイッチング素子のスイッチング動作により電源と負荷回路との間で電力変換を行なう電力変換器を含む。電流センサ異常検出回路は、第1の電流検出値が所定の範囲内であって、かつ第1の電流検出値と第2の電流検出値との電流差が所定のしきい値を超えたことが、所定の期間よりも短い期間継続したことを検出して、スイッチング素子のスイッチング周波数を低下させる。
【0018】
好ましくは、電流センサ異常検出回路は、所定の演算周期ごとに第1および第2の電流検出値の最大値を検出する電流検出手段と、演算周期ごとに、第1の電流検出値の最大値が所定の範囲内にあるか否か、および第1の電流検出値の最大値と第2の電流検出値の最大値との電流差が所定のしきい値を超えたか否かを判定し、連続するn個(nは2以上の自然数)の演算周期の各々において、第1の電流検出値の最大値が異常範囲内にあって、かつ第1の電流検出値の最大値と第2の電流検出値の最大値との電流差が所定のしきい値を超えたことを検出して第1の電流センサの異常を判定する異常判定手段とを含む。
【0019】
好ましくは、負荷回路は、交流モータを含む。異常判定手段は、m個(mはn以下の自然数)の演算周期の各々において、第1の電流検出値の最大値が所定の範囲内にあって、かつ第1の電流検出値の最大値と第2の電流検出値の最大値との電流差が所定のしきい値を超えたことを検出して、交流モータを制御するためのキャリア周波数を低下させる。
【0020】
好ましくは、異常判定手段は、計数手段を含む。計数手段は、演算周期ごとに、第1の電流検出値の最大値が所定の範囲内にあって、かつ第1の電流検出値の最大値と第2の電流検出値の最大値との電流差が所定のしきい値を越えたと判定されると計数値をインクリメントし、第1の電流検出値の最大値が所定の範囲内にないと判定されると、あるいは第1の電流検出値の最大値と第2の電流検出値の最大値との電流差が所定のしきい値を越えないと判定されると計数値を初期化する。異常判定手段は、計数値がnに等しい計数値に達したことを検出して駆動電流の異常を判定する。
【0021】
好ましくは、異常判定手段は、所定のしきい値に応じてnを調整する。
【0022】
好ましくは、異常判定手段は、所定のしきい値が相対的に高くなるに従ってnを相対的に小さい数値に調整する。
【0023】
好ましくは、電流センサ異常検出回路は、駆動回路の回路素子の温度を検出する温度検出手段をさらに含む。異常判定手段は、検出された回路素子の温度に応じてnを調整する。
【0024】
好ましくは、異常判定手段は、検出された回路素子の温度が相対的に高くなるに従ってnを相対的に小さい数値に調整する。
【0025】
好ましくは、演算周期は、電流センサ異常検出回路が演算処理可能な最速演算周期よりも長いとする。
【0026】
好ましくは、電流検出手段は、最速演算周期で第1および第2の電流検出値をサンプリングし、サンプリングした第1および第2の電流検出値から演算周期ごとに第1および第2の電流検出値の最大値を抽出して保持する。
【発明の効果】
【0027】
この発明によれば、駆動回路の制御に用いられる第1の電流検出値の電流レベルと、第1の電流検出値と第2の電流検出値との電流差とに基づいて、第1の電流センサの異常が検出されることから、電流指令値と実電流との偏差に基づいてモータ出力系統の異常を検出する従来の異常検出装置に対して、より短期間に異常を検出することができる。第1の電流センサの異常は、過電流によって駆動回路を破壊に至らしめることから、第2の電流センサに対して、より短期間に検出することが求められるところ、両者の電流検出値の電流差のみに基づいた異常検出では、この要求を満たすことはできない。この発明によれば、第1の電流センサの異常をいち早く検出することが可能となる。
【0028】
さらに、第1の電流センサの異常を検出して電源と駆動回路とを電気的に分離する構成とすることにより、異常発生時に駆動回路にかかる負荷を低減し、駆動回路を保護することができる。
【0029】
特に、第1の電流センサに接地レベルとの短絡故障が生じたときには、駆動回路に過電流が流れることから、第1の電流センサの異常を短期間に検出することによって、駆動回路の破壊を防止することができる。
【0030】
また、第1の電流指令値と第2の電流指令値との電流差が、正常動作時に見られる電流差よりも大きい所定のしきい値を超えたことを異常判断基準とすることにより、駆動回路にとって好ましくない異常を高い精度で検出することができる。
【0031】
さらに、異常判定期間に相当する所定の期間を、異常時の駆動電流によって駆動回路が破壊されない範囲に設定することにより、高い検出精度を保持しながら、駆動回路を保護することができる。
【0032】
さらに、所定の期間の経過中にスイッチング周波数を低下させることにより、駆動回路にかかる負荷を一層低減して駆動回路を確実に保護しながら、高い検出精度を保持することができる。
【0033】
また、第1の電流センサの異常を判定する所定のしきい値と所定の期間との間に相関を持たせることにより、検出精度を保持するとともに、異常発生時に駆動回路にかかる負荷を軽減することができる。
【0034】
さらに、CPUの最速演算周期で駆動電流を検出し、異常判定については、最速演算周期よりも長い演算周期で行なうことから、CPUの処理時間を有効利用でき、安価なCPUで高精度な異常判定システムを構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一または相当部分を示す。
【0036】
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による電源装置の概略ブロック図である。
【0037】
図1を参照して、電源装置100は、直流電源Bと、電圧センサ10と、インバータ12と、電流センサ20A,20Bと、レゾルバ30と、制御装置40とを備える。
【0038】
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。また、交流モータM1は、エンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえばエンジンを始動し得るようなモータである。
【0039】
インバータ12は、U相アーム14と、V相アーム16と、W相アーム18とからなる。U相アーム14、V相アーム16およびW相アーム18は、電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
【0040】
U相アーム14は、直列接続されたNPNトランジスタQ1,Q2からなる。V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4からなる。W相アーム18は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6からなる。また、各NPNトランジスタQ1〜Q6のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1〜D6がそれぞれ接続されている。
【0041】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通に接続されて構成される。U相コイルの他端がNPNトランジスタQ1,Q2の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点にそれぞれ接続されている。
【0042】
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオンなどの二次電池からなる。他にも、直流電源Bとしては、燃料電池であってもよい。電圧センサ10は、直流電源Bから出力される電圧Vmを検出し、検出した電圧Vmを制御装置40へ出力する。
【0043】
システムリレーSR1,SR2は、制御装置40からの信号SEによりオン/オフされる。
【0044】
インバータ12は、直流電源Bから直流電圧が供給されると、制御装置40からの駆動信号DRVに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。
【0045】
また、インバータ12は、電源装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置40からの信号DRVに基づいて直流電圧に変換し、変換した直流電圧を直流電源Bへ供給する。
【0046】
なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合との回生発電を伴なう制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車速を減速(または加速を中止)させることを含む。
【0047】
電流センサ20Aは、交流モータM1に流れるモータ電流MCRT_Aを検出し、その検出したモータ電流MCRT_Aを制御装置40へ出力する。電流センサ20Bは、交流モータM1に流れるモータ電流MCRT_Bを検出し、その検出したモータ電流MCRT_Bを制御装置40へ出力する。すなわち、電流センサ20Aと電流センサ20Bとは、モータ電流の電流経路に並列に設置され、各々がモータ電流を検出してその検出結果MCRT_A,MCRT_Bを制御装置40へ出力する。
【0048】
制御装置40は、後述するように、電流センサ20Aからのモータ電流MCRT_Aに基づいて駆動信号DRVを生成し、その生成した駆動信号DRVによりインバータ12を制御する。すなわち、電流センサ20Aは、インバータ12の制御に用いるモータ電流MCRT_Aを検出する制御用電流センサを構成する。ここで、制御用電流センサである電流センサ20Aに異常が生じると、モータ電流MCRT_Aの確度が損なわれ、制御装置40によるインバータ12の制御に破綻を来すことになる。特に、モータ電流が高電流側に発振したときには、インバータ12は、過大な負荷を受けて破壊されてしまう。そこで、この発明による電源装置100において、制御装置40はさらに、モータ電流MCRT_Aを電流センサ20Bからのモータ電流MCRT_Bに対比させ、両者の電流差に基づいて電流センサ20Aの異常を検出する。すなわち、電流センサ20Bは、モータ電流MCRT_Aの確度を保つために電流センサ20Aの異常検出に用いる監視用電流センサを構成する。そして、電源装置100は、モータ電流を検出する電流センサとして、制御用電流センサと監視用電流センサとを二重に備えることにより、高い精度でインバータ12の制御を行ない、交流モータM1から所望のトルクを安定して出力することが可能となる。
【0049】
レゾルバ30は、交流モータM1の回転軸に取り付けられており、交流モータM1の回転子の回転角度θnを検出して制御装置40へ出力する。
【0050】
制御装置40は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)からトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、電圧センサ10から電圧Vmを受け、電流センサ20Aからモータ電流MCRT_Aを受け、電流センサ20Bからモータ電流MCRT_Bを受け、レゾルバ30から回転角度θnを受ける。
【0051】
制御装置40は、レゾルバ30からの回転角度θnと、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRT_Aとを用いてインバータ12のNPNトランジスタQ1〜Q6を駆動するための駆動信号DRVを生成し、その生成した駆動信号DRVをインバータ12へ出力する。
【0052】
さらに、制御装置40は、電源装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、回転角度θn、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRT_Aに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための駆動信号DRVを生成し、その生成した駆動信号DRVをインバータ12へ出力する。この場合、インバータ12のNPNトランジスタQ1〜Q6は、駆動信号DRVによってスイッチング制御される。これにより、インバータ12は、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換して直流電源Bへ供給する。
【0053】
また、制御装置40は、モータ電流MCRT_Aとモータ電流MCRT_Bとに基づいて、後述する方法に従って、電流センサ20Aの異常を検出する。そして、制御装置40は、電流センサ20Aの異常を検出すると、システムリレーSR1,SR2をオフして直流電源Bを電源装置100から切り離すとともに、ユーザに異常発生を知らせる警報出力を図示しない表示手段から出力する。
【0054】
図2は、図1における制御装置40のブロック図である。
【0055】
図2を参照して、制御装置40は、インバータ制御回路401aと、電流センサ異常検出回路402aとを含む。
【0056】
インバータ制御回路401aは、回転角度θn、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRT_Aに基づいて、交流モータM1の駆動時、インバータ12のNPNトランジスタQ1〜Q6をオン/オフするための駆動信号DRVを生成し、その生成した駆動信号DRVをインバータ12へ出力する。
【0057】
また、インバータ制御回路401aは、電源装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、回転角度θn、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRT_Aに基づいて、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための駆動信号DRVを生成してインバータ12へ出力する。
【0058】
電流センサ異常検出回路402aは、電流センサ20Aで検出されたモータ電流MCRT_Aをサンプリングする。また、電流センサ異常検出回路402aは、電流センサ20Bで検出されたモータ電流MCRT_Bを、モータ電流MCRT_Aと同一のタイミングでサンプリングする。そして、電流センサ異常検出回路402aは、それらのサンプリングした電流レベルに基づいて、電流センサ20Aに生じた異常を検出する。電流センサ異常検出回路402aは、電流センサ20Aの異常を検出すると、システムリレーSR1,SR2をオフするための信号SEを生成し、その生成した信号SEをシステムリレーSR1,SR2へ出力する。さらに、電流センサ異常検出回路402aは、ユーザに対して異常発生を報知するための信号ALを生成し、その生成した信号ALを電源装置100外部に出力する。
【0059】
図3は、図2に示すインバータ制御回路401aの制御ブロック図である。
【0060】
図3を参照して、インバータ制御回路401aは、電流変換部51と、減算器52と、PI制御部53と、回転速度演算部54と、速度起電力予測演算部55と、加算器56と、変換部57と、駆動信号生成部58aとを含む。
【0061】
電流変換部51は、電流センサ20Aが検出したモータ電流MCRT_Aをレゾルバ30から出力された回転角度θnを用いて三相二相変換する。つまり、電流変換部51は、交流モータM1の各相を流れる3相のモータ電流MCRT_Aを回転角度θnを用いてd軸およびq軸に流れる電流値Id,Iqに変換して減算器52へ出力する。
【0062】
減算器52は、交流モータM1がトルク指令値TRによって指定されたトルクを出力するための電流指令値Id*,Iq*から、電流変換部51からの電流値Id,Iqを減算して偏差ΔId,ΔIqを演算する。
【0063】
PI制御部53は、偏差ΔId,ΔIqに対してPIゲインを用いてモータ電流調整用の操作量を演算する。
【0064】
回転速度演算部54は、レゾルバ30から受けた回転角度θnに基づいて交流モータM1の回転速度を演算し、その演算した回転速度を速度起電力予測演算部55へ出力する。速度起電力予測演算部55は、回転速度演算部54からの回転速度に基づいて速度起電力の予測値を演算する。
【0065】
加算器56は、PI制御部53からのモータ電流調整用の操作量と、速度起電力予測演算部55からの速度起電力の予測値とを加算してd軸およびq軸に印加する電圧の操作量Vd,Vqを演算する。
【0066】
変換部57は、d軸およびq軸に印加する電圧の操作量Vd,Vqを回転角度θnを用いて交流モータM1の3相コイルに印加する電圧の操作量に変換する。駆動信号生成部58aは、変換部57からの出力に基づいて駆動信号DRVを生成する。
【0067】
図4は、図2に示す電流センサ異常検出回路402aのブロック図である。
【0068】
図4を参照して、電流センサ異常検出回路402aは、電流検出部60と、異常判定部62aと、リレー駆動部64と、報知部66とを含む。
【0069】
電流検出部60は、電流センサ20Aからモータ電流MCRT_Aを受け、電流センサ20Bからモータ電流MCRT_Bを受ける。そして、電流検出部60は、所定の演算周期(以下、第1の演算周期とも称する)でモータ電流MCRTのサンプリングを行なう。ここで、第1の演算周期は、ユーザによって任意の周期に設定することができる。ただし、異常検出精度を考慮すれば、制御装置40を構成するCPU(Central Processing Unit)の持つ最速演算周期に設定することが好ましい。
【0070】
さらに、電流検出部60は、サンプリングしたモータ電流MCRT_A,MCRT_Bについて、第1の演算周期よりも長い所定の演算周期(以下、第2の演算周期とも称する)ごとに、その演算周期内でのモータ電流MCRT_A,MCRT_Bの最大値(以下、モータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxとも称する)を捉えて保持(ホールド)する。
【0071】
ここで、第2の演算周期は、後述する異常判定処理の演算周期に相当し、第1の演算周期と同じく、ユーザにより任意の周期に設定することができる。しかしながら、CPUが異常判定に要する負荷を極力抑えるためには、CPUの最速演算周期よりも長い周期に設定することが望ましい。本実施の形態では、たとえばx[ms](x>0)に設定される。
【0072】
第2の演算周期ごとにホールドされたモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxは、異常判定部62aへ出力される。異常判定部62aは、モータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを受けると、以下に示すように、モータ電流最大値MCRT_Amaxの大きさと、両者の電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)とに基づいて、電流センサ20Aの異常の有無を判定する。
【0073】
図5は、図4に示す電流センサ異常検出回路402aにおける異常検出動作を説明するための概略図である。
【0074】
図5を参照して、モータ電流MCRT_A,MCRT_Bは、電源装置100の対応する電流センサ20A,20Bがそれぞれ正常状態にあるときには、点線で示すように、正弦波の電流波形となる。一方、電源装置100において、電流センサ20Aに接地レベルとの短絡故障(以下、GND短絡故障とも称する)が生じたときには、モータ電流MCRT_Aは、実線で示すように、電流値0を中心とした所定の電流範囲(図中のGND短絡範囲に相当)に固定された電流波形となる。
【0075】
なお、所定の電流範囲は、電流センサ20AがGND短絡故障したときに、ECU内の電子部品のばらつきによって接地レベルに相当するセンサ出力がばらつくことを考慮して、このセンサ出力のばらつきを包括するように予め設定される。また、電流センサ20Aにおいて、GND短絡故障は、たとえば、電流センサ20AのハーネスとGNDラインのハーネスとが皮膜の損傷によって接触したとき、または、漏水によって電流センサ20Aの端子とGND端子とが導通したときなどに起こり得る。
【0076】
ここで、電流センサ20AにGND短絡故障が生じると、以下のような不具合が発生する。
【0077】
詳細には、制御装置40において、インバータ制御回路401aは、GND短絡範囲内に固定されたモータ電流MCRT_Aを受けると、モータ電流MCRT_Aを電流値Id,Iqに変換し、その変換した電流値Id,Iqと電流指令値Id*,Iq*との偏差ΔId,ΔIqが0となるように、駆動信号DRVを生成する。このとき、モータ電流MCRT_Aを受けて変換後の電流値Id,Iqは略0を示すことから、インバータ制御回路401aは、この電流値Id,Iqを所望の電流指令値Id*,Iq*にまで増加させるための駆動信号DRVを生成して、インバータ12へ出力する。ところが、GND短絡故障している電流センサ20Aにて検出されるモータ電流MCRT_Aは、依然としてGND短絡範囲内にあって、一向に増加しない。そこで、インバータ制御回路401aは、電流値Id,Iqを更に電流指令値Id*,Iq*にまで増加させるための制御を行なう。結果として、監視用電流センサである電流センサ20Bで検出される実際のモータ電流MCRT_Bは増加し続け、図中の実線で示すように、正弦波から発振した電流波形となる。そして、モータ電流MCRT_Bが、正常時の正弦波よりも高い電流レベルで発振し続けることによって、インバータ12には、過電流が継続して流れる。これは、インバータ12に過大な負荷を与えることとなり、インバータ12を破壊するおそれがある。したがって、電流センサ20AのGND短絡故障をいち早く検出するとともに、異常検出後は直ちにインバータ12の動作を停止させなければならない。
【0078】
なお、電流センサ20BのGND短絡故障については、モータ電流MCRT_BがGND短絡範囲に固定されても、インバータ制御回路401aは、正常状態のモータ電流MCRT_Aに基づいて駆動信号DRVを生成することから、直ちにインバータ12の破壊に繋がることがない。すなわち、インバータ12の保護には、電流センサ20Aの異常検出を優先的に行なうことが有効である。
【0079】
しかしながら、電流センサ20Aの構成によっては、電流センサ20Aのセンサ出力からGND短絡故障を検出することが必ずしも容易でない場合がある。例えば電流センサ20Aが図6に示すような出力特性を有する場合では、電流センサ20Aが正常であるときにおいて、実電流値が0[A]のとき、電流センサ20Aのセンサ出力は0[V]を示す。一方、電流センサ20AがGND短絡故障しているときにおいて、センサ出力は略0[V]に固定される。すなわち、電流センサ20Aが正常であって、モータ電流MCRT_Aが0[A]を示すときと、電流センサ20AがGND短絡故障しているときとでは、センサ出力はともに0[V]を示すことから、センサ出力に基づいて電流センサ20Aが故障しているか否かを判別することは不可能である。
【0080】
ここで、異常判定部62aを、従来の異常検出装置に倣って、モータ電流MCRT_Aとモータ電流MCRT_Bとの電流差を求め、この電流差と所定のしきい値との大小関係に基づいて電流センサ20A,20Bの異常を検出する構成とする場合を考える。この構成によれば、電流センサ20Aおよび電流センサ20Bのどちらかが故障したことを検出することができる。しかしながら、本来必要とされる電流センサ20Aの異常検出を優先的に行なうことはできない。また、電流差の算出はフィルタ処理を伴なうことから、短期間での異常検出は困難とされる。
【0081】
そこで、この発明では、以上の不具合を解消し、電流センサ20AのGND短絡故障を短期間で検出する手段として、電流センサ異常検出回路402aに、異常検出の判断基準として、モータ電流MCRT_AがGND短絡範囲内にあること、かつモータ電流MCRT_Aとモータ電流MCRT_Bとの電流差が所定のしきい値dI_thを継続して超えたことを検出して、電流センサ20Aの異常を判定する構成とする。
【0082】
より詳細には、図5を参照して、先述の電流検出部60において、第2の演算周期(=x[ms])ごとにホールドされたモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxは、異常判定部62aに送られると、最初に、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあるか否かが判定される。このとき、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあれば、続いて、モータ電流最大値MCRT_Amaxおよびモータ電流最大値MCRT_Bmaxの電流差と所定のしきい値dI_thとの大小関係が判定される。なお、所定のしきい値dI_thは、電流センサ20A,20Bがともに正常であるときにおいて、センサ出力の特性ばらつきによってモータ電流MCRT_Aとモータ電流MCRT_Bとの間に生じる電流差よりも十分大きい値に設定される。
【0083】
異常判定部62aは、内部にカウンタ回路を有しており、この電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)が所定のしきい値dI_thよりも大きいと判定されると、カウント値CNTをインクリメントする(CNT=CNT+1)。一方、電流差が所定のしきい値dI_thよりも小さいと判定されると、カウント値CNTをリセットする(CNT=0)。
【0084】
このようにして、異常判定部62aは、第2の演算周期で連続して入力されるモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを、第2の演算周期ごとに、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあるか否か、およびモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxの電流差と所定のしきい値dI_thとの大小関係を判定する。そして、異常判定部62aは、その判定結果に応じてカウント値CNTをインクリメントまたはリセットする。
【0085】
さらに、異常判定部62aは、カウント値CNTが異常判定の基準として予め設定された基準カウント値α(αは2以上の自然数)を越えたタイミングで、電流センサ20Aの異常を検出する。すなわち、異常判定部62aは、連続するα個の第2の演算周期(=x[ms]×α)に相当する期間y[ms]にわたって、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあって、かつ電流差が所定のしきい値dI_thを越えたことを検出して、電流センサ20Aが異常であると判断する。
【0086】
なお、本実施の形態において、設定した基準カウント値αと第2の演算周期x[ms]との積に相当する異常判定期間y[ms]は、モータ電流MCRT_Aとの間に所定のしきい値dI_thの電流差を有するモータ電流MCRT_Bが継続して流れたときに、インバータ12が破壊されない程度の期間の範囲内であることが必要とされる。
【0087】
以上のような構成とすることにより、電流センサ20Aの異常は、第2の演算周期を異常判定の1単位として、連続する2以上の第2の演算周期において異常が現われたことに基づいて検出される。したがって、瞬時的にモータ電流MCRT_Bが高い電流値を示したときなどのインバータ12への負荷が小さいケースをも異常として検出されることがない。また、モータ電流MCRT_Aとモータ電流MCRT_Bとの電流差の導出にフィルタ回路を用いないことから、従来の異常検出装置に対して、より短期間に電流センサの異常を検出することができる。その結果、インバータ12に高電流が継続して流れるのを回避でき、インバータ12を破壊から保護することが可能となる。
【0088】
さらに、インバータ12において、NPNトランジスタQ1〜Q6は、通常、異常時の過負荷を見込んでオーバースペックで設計されていたところ、この発明によれば、負荷が低減されたことによって、正常動作時の負荷をカバーするだけの素子サイズで構成することができる。その結果、電源装置100の小型化および低コスト化を図ることができる。
【0089】
また、この発明において、基準カウント値αは、所定のしきい値dI_thとの間で相関を持たせるように設定することができる。具体的には、所定のしきい値dI_thが低い電流レベルであるときには、基準カウント値αは比較的大きい値に設定される。一方、所定のしきい値dI_thが高い電流レベルであるときには、基準カウント値αは比較的小さい値に設定される。
【0090】
これによれば、所定のしきい値dI_thが低いときには、電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)がより多くの回数所定のしきい値dI_thを越えたことを検出して異常と判定することから、誤検出をより確実に回避することができる。一方、所定のしきい値dI_thが高いときには、電流差がより少ない回数所定のしきい値dI_thを越えたことを検出して異常と判定することから、過電流が流れることによるインバータ12への負荷を低減することができる。
【0091】
さらに、基準カウント値αは、所定のしきい値dI_th以外にも、駆動回路の回路素子の温度との間で相関を持たせるように設定することもできる。これには、回路素子に温度センサを設けて回路素子の温度を検出し、検出した温度が相対的に高いときには、基準カウント値αを比較的小さい値に設定する。一方、検出した温度が相対的に低いときには、基準カウント値αを比較的大きい値に設定すればよい。これによれば、過電流による発熱によって回路素子が損傷するのを防止することができる。
【0092】
再び図4を参照して、異常判定部62aは、電流センサ20Aが異常であると判断すると、異常検出を指示する検出信号DETを生成し、その生成した検出信号DETをリレー駆動部64および報知部66へそれぞれ出力する。
【0093】
リレー駆動部64は、検出信号DETに応答して、システムリレーSR1,SR2をオフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。システムリレーSR1,SR2が信号SEに応じてオフされることにより、直流電源Bが電源装置100から切り離され、インバータ12に異常電流が流れ込むのが抑えられる。
【0094】
報知部66は、検出信号DETに応答して、ユーザに異常発生を知らせる警報出力である信号ALを生成し、生成した信号ALを電源装置100の外部へ出力する。出力された信号ALは、車両に搭載された図示しない表示手段に転送されると、音声信号もしくは映像信号に変換されて出力される。
【0095】
図7は、この発明の実施の形態1による電源装置100の異常電流検出動作を説明するためのフローチャートである。
【0096】
図7を参照して、最初に、電流検出部60は、モータ電流MCRT_A,MCRT_Bを所定の周期でサンプリングする。このとき、サンプリング周期は、第1の演算周期としてCPUの最速演算周期に設定される。さらに、電流検出部60は、第2の演算周期(=x[ms])ごとにサンプリングした電流値の中からモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを抽出してホールドする(ステップS01)。ホールドされたモータ電流最大値MCRT_maxは、異常判定部62aへ出力される。
【0097】
次に、異常判定部62aは、第2の演算周期で、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあるか否かを判定する(ステップS02)。
【0098】
ステップS02において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあると判定されると、異常判定部62aは、続いて、電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)が所定のしきい値dI_thよりも大きいか否かを判定する(ステップS03)。
【0099】
そして、異常判定部62aは、ステップS03において、電流差が所定のしきい値dI_thよりも大きいと判定されると、カウント値CNTを(CNT+1)にインクリメントする(ステップS04)。すなわち、異常判定部62aは、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあって、かつ電流差が所定のしきい値dI_thよりも大きいことを判定して、カウント値CNTをインクリメントする。
【0100】
一方、ステップS02において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にないと判定されると、異常判定部62aは、カウント値CNTをリセットする(ステップS09)。また、異常判定部62aは、ステップS03において、電流差が所定のしきい値dI_th以下と判定されたときにおいても、カウント値CNTをリセットする。
【0101】
異常判定部62aは、ステップS02〜S04およびS09の判定およびカウント動作を第2の演算周期ごとに与えられるモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxに対して実行する。さらに、異常判定部62aは、ステップS04においてカウント値CNTをインクリメントするごとに、カウント値CNTが基準カウント値αに達したか否かを判定する(ステップS05)。
【0102】
このとき、カウント値CNTが基準カウント値αに達したと判定されると、異常判定部62aは、電流センサ20Aの異常を検出したことを指示する検出信号DETを生成し、その生成した検出信号DETをリレー駆動部64および報知部66へ出力する(ステップS06)。
【0103】
リレー駆動部64は、検出信号DETを受けると、システムリレーSR1,SR2をオフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。これにより、システムリレーSR1,SR2はオフされる(ステップS07)。
【0104】
報知部66は、検出信号DETを受けると、信号ALを生成して電源装置100外部に配された表示手段(図示せず)へ出力する。これにより、ユーザに対して異常電流の発生が報知される(ステップS08)。
【0105】
一方、ステップS05において、カウント値CNTが基準カウント値αに満たないと判定されると、すなわち、連続するα個の第2の演算周期において、電流差が連続して所定のしきい値dI_thを越えなかったときには、ステップS10に示すように、モータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxをそれぞれリセット(MCRT_Amax=0,MCRT_Bmax=0)してステップS01に戻り、再びモータ電流MCRT_A,MCRT_Bの検出を行なう。
【0106】
なお、この発明において、制御用電流センサである電流センサ20Aは、「第1の電流センサ」を構成し、監視用電流センサである電流センサ20Bは、「第2の電流センサ」を構成する。
【0107】
また、モータ電流MCRT_Aは、「第1の電流検出値」を構成し、モータ電流MCRT_Bは、「第2の電流検出値」を構成する。
【0108】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、制御用電流センサの異常を短期間で検出することができ、異常時に生じる過電流からインバータを保護することができる。
【0109】
また、制御用電流センサの異常を判定する基準となる所定のしきい値と基準カウント値との間に相関を持たせることにより、検出精度を維持するとともに、異常発生時にインバータにかかる負荷を低減することができる。
【0110】
さらに、CPUの最速演算周期でモータ電流を検出し、異常判定については、最速演算周期以下の演算周期で行なうことから、CPUの処理時間を有効利用でき、安価なCPUで高精度の異常判定システムを構築することができる。
【0111】
[実施の形態2]
図8は、この発明の実施の形態2による異常検出動作を説明するための概略図である。
【0112】
図8を参照して、電源装置100において電流センサ20AにGND短絡故障が生じたときには、モータ電流MCRT_Aは、実線で示すように、GND短絡範囲に固定された電流波形となる。そして、このモータ電流MCRT_Aを受けて、モータ電流MCRT_Bは、正常時の正弦波よりも高い電流レベルで発振した電流波形となる。両者の電流波形の詳細については、図5で説明した通りである。
【0113】
ここで、上述したように、高電流のモータ電流MCRT_Bがインバータ12を継続して流れ続けることにより、インバータ12に過度の負荷がかかることから、電流センサ20AのGND短絡故障を短期間に検出する必要がある。一方、異常判定期間をより短くすることによって、一時的に高い電流レベルのモータ電流MCRT_Bが流れたときであっても、誤って電流センサ20Aの異常と判定してしまうおそれがある。すなわち、異常判定期間としては、検出精度が損なわれない範囲で短くできることが好ましい。
【0114】
そこで、本実施の形態では、高い検出精度を保持しながら、インバータ12への負荷を一層低減すべく、異常判定期間の経過中において、インバータ12のNPNトランジスタQ1〜Q6をオン/オフする周波数(スイッチング周波数)を低下させる構成とする。
【0115】
詳細には、インバータ12における交流モータM1の制御モードがPWM(パルス幅変調)制御モードであるときにおいて、キャリア周波数fcが異なれば、モータ電流MCRT_A,MCRT_Bにおいても、その電流波形が異なる。このため、電流センサ20Aに異常が生じた場合においても、キャリア周波数fcによってインバータ12にかかる負荷の度合いが異なってくる。特に、キャリア周波数fcが高いほど、インバータ12への負荷は大きい。
【0116】
したがって、予め設定された異常判定期間よりも短い期間が経過したことに応じて、キャリア周波数fcを下げれば、このタイミング以降の期間におけるインバータ12への負荷が小さくなることから、インバータ12の保護をより厚くしながら、高い検出精度で電流センサ20Aの異常を検出することができる。
【0117】
より具体的には、キャリア周波数fcを下げるタイミングは、たとえば図8に示すように、最初の第2の演算周期において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあって、かつ電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)が所定のしきい値dI_thよりも大きいと判定されれば、以降の第2の演算周期において、キャリア周波数fcをfc_Hからfc_Lに低下させるものとする。そして、(β−1)個(βは2以上の自然数)の第2の演算周期にわたって連続して上記の判定結果が得られたことに応じて、電流センサ20Aの異常が判断される。
【0118】
なお、図8における異常判定期間z[ms](=x[ms]×β)は、低下された後のキャリア周波数fc_Lの大きさに基づいて、任意の期間に設定することができる。具体的には、キャリア周波数fc_Lが相対的に低ければ、異常判定期間z[ms]は相対的に長い期間に設定される。一方、キャリア周波数fc_Lが相対的に高ければ、異常判定期間z[ms]は相対的に短い期間に設定される。
【0119】
図9は、この発明の実施の形態2に従う電源装置における電流センサ異常検出回路のブロック図である。なお、本実施の形態に従う電源装置は、図1に示す電源装置100における電流センサ異常検出回路402aを電流センサ異常検出回路402bに置き換えたものに等しいことから、重複する部位についての詳細な説明は省略する。
【0120】
図9を参照して、電流センサ異常検出回路402bは、電流検出部60と、異常判定部62bと、リレー駆動部64と、報知部66とを含む。
【0121】
電流検出部60は、実施の形態1と同様に、モータ電流MCRT_A,MCRT_Bを、CPUの最速演算周期に相当する第1の演算周期でサンプリングする。電流検出部60は、さらに、サンプリングしたモータ電流MCRT_A,MCRT_Bについて、第1の演算周期よりも低い第2の演算周期ごとにその演算周期内でのモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを捉えてホールドする。
【0122】
第2の演算周期ごとにホールドされたモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxは、異常判定部62bへ出力される。異常判定部62bは、モータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを受けると、モータ電流最大値MCRT_Amaxの大きさと両者の電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)とに基づいて、電流センサ20Aの異常の有無を判定する。
【0123】
このとき、異常判定部62bは、先の異常判定部62aと同様に、第2の演算周期ごとに、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあるか否か、およびモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxの電流差と所定のしきい値dI_thとの大小関係を判定する。そして、異常判定部62aは、その判定結果に応じてカウント値CNTをインクリメントまたはリセットする。
【0124】
さらに、異常判定部62bは、最初の第2の演算周期において、カウント値CNTがインクリメントされると、以降の第2の演算周期において、キャリア周波数fcをそれまでのキャリア周波数fc_Hからより低いキャリア周波数fc_Lへ低下させる。このとき、異常判定部62bは、低下された後のキャリア周波数fc_Lを、図10に示すインバータ制御回路401bへ出力する。
【0125】
図10は、この発明の実施の形態2によるインバータ制御回路401bの制御ブロック図である。
【0126】
図10を参照して、インバータ制御回路401bは、図3のインバータ制御回路401aにおける駆動信号生成部58aを駆動信号生成部58bに変更したものである。
【0127】
駆動信号生成部58bは、異常判定部62bから低下後のキャリア周波数fc_Lを受けると、これを用いて、インバータ12のNPNトランジスタトランジスタQ1〜Q6をスイッチング制御するための駆動信号DRVを生成する。そして、駆動信号生成部58bは、その生成した駆動信号DRVをインバータ12へ出力する。これにより、インバータ12は、低下後のキャリア周波数fc_Lで交流モータM1を駆動する。
【0128】
再び図9を参照して、異常判定部62bは、キャリア周波数fcを低下すると、カウント値CNTが異常判定の基準として予め設定された基準カウント値βを越えたタイミングで、電流センサ20Aの異常を検出する。すなわち、異常判定部62bは、連続するβ個の第2の演算周期(=x[ms]×β)に相当する期間z[ms]にわたって、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあって、かつ電流差が所定のしきい値dI_thを越えたことを検出して、電流センサ20Aが異常であると判断する。
【0129】
図11は、この発明の実施の形態2による電源装置100の異常電流検出動作を説明するためのフローチャートである。
【0130】
図11を参照して、最初に、電流検出部60は、モータ電流MCRT_A,MCRT_Bを所定の周期でサンプリングする。このとき、サンプリング周期は、第1の演算周期としてCPUの最速演算周期に設定される。さらに、電流検出部60は、第2の演算周期(=x[ms])ごとにサンプリングした電流値の中からモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxを抽出してホールドする(ステップS20)。ホールドされたモータ電流最大値MCRT_maxは、異常判定部62bへ出力される。
【0131】
次に、異常判定部62bは、第2の演算周期で、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあるか否かを判定する(ステップS21)。
【0132】
ステップS21において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあると判定されると、異常判定部62bは、続いて、電流差(=|MCRT_Amax−MCRT_Bmax|)が所定のしきい値dI_thよりも大きいか否かを判定する(ステップS22)。
【0133】
そして、異常判定部62bは、ステップS22において、電流差が所定のしきい値dI_thよりも大きいと判定されると、カウント値CNTを(CNT+1)にインクリメントする(ステップS23)。すなわち、異常判定部62bは、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にあって、かつ電流差が所定のしきい値dI_thよりも大きいことを判定して、カウント値CNTをインクリメントする。
【0134】
一方、ステップS21において、モータ電流最大値MCRT_AmaxがGND短絡範囲内にないと判定されると、異常判定部62bは、カウント値CNTをリセットする(ステップS30)。また、異常判定部62bは、ステップS22において、電流差が所定のしきい値dI_th以下と判定されたときにおいても、カウント値CNTをリセットする。
【0135】
異常判定部62bは、ステップS20〜S23およびS30の判定およびカウント動作を第2の演算周期ごとに与えられるモータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxに対して実行する。このとき、異常判定部62bは、ステップS23においてカウント値CNTがインクリメントされると、カウント値CNTが予め設定した異常判定期間よりも短い期間に相当する所定のカウント値(たとえばCNT=1)に達したか否かを判定する(ステップS24)。
【0136】
そして、カウント値CNTが所定のカウント値(CNT=1)に達したと判定されると、異常判定部62bは、キャリア周波数fcをより低いキャリア周波数fc_Lに低下させる(ステップS25)。一方、カウント値CNTが所定のカウント値に達していないと判定されると、異常判定部62bは、再びステップS20に戻ってモータ電流MCRT_A,MCRT_Bの検出を行なう。
【0137】
さらに、異常判定部62bは、キャリア周波数fcの低下した後において、カウント値CNTをインクリメントするごとに、カウント値CNTが基準カウント値βに達したか否かを判定する(ステップS26)。
【0138】
このとき、カウント値CNTが基準カウント値βに達したと判定されると、異常判定部62bは、電流センサ20Aの異常を検出したことを指示する検出信号DETを生成し、その生成した検出信号DETをリレー駆動部64および報知部66へ出力する(ステップS27)。
【0139】
リレー駆動部64は、検出信号DETを受けると、システムリレーSR1,SR2をオフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。これにより、システムリレーSR1,SR2はオフされる(ステップS28)。
【0140】
報知部66は、検出信号DETを受けると、信号ALを生成して電源装置100外部に配された表示手段(図示せず)へ出力する。これにより、ユーザに対して異常電流の発生が報知される(ステップS29)。
【0141】
一方、ステップS26において、カウント値CNTが基準カウント値βに満たないと判定されると、すなわち、連続するβ個の第2の演算周期において、電流差が連続して所定のしきい値dI_thを越えなかったときには、ステップS31に示すように、モータ電流最大値MCRT_Amax,MCRT_Bmaxをそれぞれリセット(MCRT_Amax=0,MCRT_Bmax=0)してステップS20に戻り、再びモータ電流MCRT_A,MCRT_Bの検出を行なう。
【0142】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、異常判定期間の経過中においてキャリア周波数を下げることにより、インバータへの負荷を低減してインバータの保護を一層厚くするとともに、制御用電流センサの異常を高い検出精度で検出することが可能となる。
【0143】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0144】
この発明は、電源から電力の供給を受けて負荷回路を駆動する駆動回路を含む電源装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】この発明の実施の形態1による電源装置の概略ブロック図である。
【図2】図1における制御装置のブロック図である。
【図3】図2に示すインバータ制御回路の制御ブロック図である。
【図4】図2に示す電流センサ異常検出回路のブロック図である。
【図5】図4に示す電流センサ異常検出回路における異常検出動作を説明するための概略図である。
【図6】電流センサの出力特性の一例を説明する図である。
【図7】この発明の実施の形態1による電源装置の異常電流検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態2による異常検出動作を説明するための概略図である。
【図9】この発明の実施の形態2による電流センサ異常検出回路の制御ブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態2によるインバータ制御回路の制御ブロック図である。
【図11】この発明の実施の形態2による電源装置の異常電流検出動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】従来のモータ出力系の異常検出装置における電流比較手段を説明するための図である。
【符号の説明】
【0146】
10 電圧センサ、12 インバータ、14 U相アーム、16 V相アーム、18 W相アーム、20A,20B 電流センサ、30 レゾルバ、40 制御装置、51 電流変換部、52 減算器、53 PI制御部、54 回転速度演算部、55 速度起電力予測演算部、56 加算器、57 変換部、58a,58b 駆動信号生成部、60 電流検出部、62a,62b 異常判定部、64 リレー駆動部、66 報知部、100 電源装置、B 直流電源、401a,401b インバータ制御回路、402a,402b 電流センサ異常検出回路、SR1,SR2 システムリレー、Q1〜Q6 NPNトランジスタ、D1〜D6 ダイオード、M1 交流モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
前記電源から電力の供給を受けて負荷回路を駆動する駆動回路と、
前記駆動回路に流れる駆動電流を検出して第1の電流検出値を出力する第1の電流センサと、
前記駆動電流を検出して第2の電流検出値を出力する第2の電流センサと、
前記第1の電流検出値が前記駆動電流の電流指令値に一致するように前記駆動回路を制御する制御回路と、
前記第1の電流検出値が予め定められた所定の範囲内であって、かつ前記第1の電流検出値と前記第2の電流検出値との電流差が所定のしきい値を超えたことが、所定の期間継続したことを検出して前記第1の電流センサの異常を検出する電流センサ異常検出回路とを備える、電源装置。
【請求項2】
開閉動作により前記電源と前記駆動回路とを電気的に結合または分離する開閉器をさらに備え、
前記電流センサ異常検出回路は、前記第1の電流センサの異常を検出すると、前記電源と前記駆動回路とを電気的に分離するように開閉動作を制御する、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記所定の範囲は、前記第1の電流センサが接地レベルと短絡したときに第1の電流検出値の取りうる範囲に対応して定められる、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記所定のしきい値は、前記電源装置の正常動作時における、前記第1の電流検出値と前記第2の電流検出値との電流差よりも大きく設定される、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記所定の期間は、前記第1の電流検出値との間に前記所定のしきい値に相当する電流差を有する前記駆動電流が前記駆動回路に継続して流れたときに、前記駆動回路が破壊されるまでの期間よりも短く設定される、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記駆動回路は、スイッチング素子のスイッチング動作により前記電源と前記負荷回路との間で電力変換を行なう電力変換器を含み、
前記電流センサ異常検出回路は、前記第1の電流検出値が前記所定の範囲内であって、かつ前記第1の電流検出値と前記第2の電流検出値との電流差が前記所定のしきい値を超えたことが、前記所定の期間よりも短い期間継続したことを検出して、前記スイッチング素子のスイッチング周波数を低下させる、請求項1から請求項5のいずれ1項に記載の電源装置。
【請求項7】
前記電流センサ異常検出回路は、
所定の演算周期ごとに前記第1および第2の電流検出値のそれぞれの最大値を検出する電流検出手段と、
前記所定の演算周期ごとに、前記第1の電流検出値の最大値が前記所定の範囲内にあるか否か、および前記第1の電流検出値の最大値と前記第2の電流検出値の最大値との電流差が前記所定のしきい値を超えたか否かを判定し、連続するn個(nは2以上の自然数)の前記所定の演算周期の各々において、前記第1の電流検出値の最大値が前記所定の範囲内にあって、かつ前記第1の電流検出値の最大値と前記第2の電流検出値の最大値との電流差が前記所定のしきい値を超えたことを検出して前記第1の電流センサの異常を判定する異常判定手段とを含む、請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記負荷回路は、交流モータを含み、
前記異常判定手段は、m個(mはn以下の自然数)の前記演算周期の各々において、前記第1の電流検出値の最大値が前記所定の範囲内にあって、かつ前記第1の電流検出値の最大値と前記第2の電流検出値の最大値との電流差が前記所定のしきい値を超えたことを検出して、前記交流モータを制御するためのキャリア周波数を低下させる、請求項7に記載の電源装置。
【請求項9】
前記異常判定手段は、計数手段を含み、
前記計数手段は、前記演算周期ごとに、前記第1の電流検出値の最大値が前記所定の範囲内にあって、かつ前記第1の電流検出値の最大値と前記第2の電流検出値の最大値との電流差が前記所定のしきい値を越えたと判定されると計数値をインクリメントし、前記第1の電流検出値の最大値が前記所定の範囲内にないと判定されると、あるいは前記第1の電流検出値の最大値と前記第2の電流検出値の最大値との電流差が前記所定のしきい値を越えないと判定されると前記計数値を初期化し、
前記異常判定手段は、前記計数値が前記nに等しい計数値に達したことを検出して前記駆動電流の異常を判定する、請求項7または請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
前記異常判定手段は、前記所定のしきい値に応じて前記nを調整する、請求項9に記載の電源装置。
【請求項11】
前記異常判定手段は、前記所定のしきい値が相対的に高くなるに従って前記nを相対的に小さい数値に調整する、請求項10に記載の電源装置。
【請求項12】
前記電流センサ異常検出回路は、
前記駆動回路の回路素子の温度を検出する温度検出手段をさらに含み、
前記異常判定手段は、前記検出された回路素子の温度に応じて前記nを調整する、請求項9に記載の電源装置。
【請求項13】
前記異常判定手段は、前記検出された回路素子の温度が相対的に高くなるに従って前記nを相対的に小さい数値に調整する、請求項12に記載の電源装置。
【請求項14】
前記演算周期は、前記電流センサ異常検出回路が演算処理可能な最速演算周期よりも長いとする、請求項7から請求項13のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項15】
前記電流検出手段は、前記最速演算周期で前記第1および第2の電流検出値をサンプリングし、サンプリングした前記第1および第2の電流検出値から前記演算周期ごとに前記第1および第2の電流検出値の最大値を抽出して保持する、請求項14に記載の電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−258738(P2006−258738A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79760(P2005−79760)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】