静電気動作と解放を備えたアナログ光干渉変調器デバイス
【課題】静電気動作と解放を備えたアナログ光干渉変調器デバイスを提供する。
【解決手段】微小電気機械システム(MEMS)デバイスは、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを有している。MEMSデバイスはまた、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造と、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子とを有している。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。第一の電極と第二の電極と第三の電極とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【解決手段】微小電気機械システム(MEMS)デバイスは、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを有している。MEMSデバイスはまた、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造と、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子とを有している。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。第一の電極と第二の電極と第三の電極とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システムデバイスに関し、特に、微小電気機械システムを利用したアナログ、デジタルおよび/または光学的デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)はマイクロメカニカル素子とアクチュエーターと電子機器とを含んでいる。マイクロメカニカル素子は、基板および/または堆積物質層の一部をエッチング除去するか層を追加して電気デバイスや電気機械デバイスを形成する堆積、エッチングおよびまたはほかのマイクロマシーニングプロセスを用いて作り出し得る。MEMSデバイスの一つのタイプは光干渉変調器と呼ばれる。ここに使用する光干渉変調器や光干渉光変調器との用語は、光干渉の法則を使用して光を選択的に吸収および/または反射するデバイスを指す。ある実施形態では、光干渉変調器は一対の伝導プレートを備えていてもよく、その一方または両方は、全体または一部が透明および/または反射的であってもよく、適当な電気信号の印加に対して相対運動可能であってもよい。特定の実施形態では、一方のプレートが基板上に堆積された静止層を備えていてもよく、他方のプレートが空隙によって静止層から分離された金属膜を備えていてもよい。ここに詳細に説明するように、一方のプレートの他方に対する位置は、光干渉変調器への入射光の光干渉を変化させることができる。そのようなデバイスは広範囲の用途を有しており、既存製品を改善してまだ開発されていない新製品を作り出すのにそれらの特徴を利用できるようにこれらのタイプのデバイスの特性を利用および/または修正する技術分野にとって有益であろう。
【発明の概要】
【0003】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスの一実施形態は、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを備えている。MEMSデバイスはまた、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造を備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子を備えている。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。第一の電極と第二の電極と第三の電極とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0004】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスの別の実施形態は、電気を伝導するための第一の手段と、電気を伝導するための第二の手段と、電気を伝導するための第三の手段とを備えており、第二の伝導手段は第一の伝導手段から電気的に絶縁されており、第三の伝導手段は、第一の伝導手段と第二の伝導手段とから電気的に絶縁されている。MEMSデバイスはさらに、第一の伝導手段を第二の伝導手段から分離するための手段を備えている。MEMSデバイスはさらに、光を反射するための手段を備えており、反射手段は第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能である。反射手段は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射手段が第一の位置にあるとき、反射手段と一部との間に接着力が生成される。第一の伝導手段と第二の伝導手段と第三の伝導手段とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0005】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを操作する方法の実施形態は、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを備えたMEMSデバイスを提供することを備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造を備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子を備えている。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。方法はさらに、第一の電極と第二の電極と第三の電極とに電圧を印加して接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することを備えている。
【0006】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法の実施形態は、基板上に第一の反射層を形成し、第一の反射層の上に犠牲層を形成し、犠牲層の一部を除去して開口を形成し、開口に不伝導物質を充てんしてポストを形成することを備えている。方法はさらに、犠牲層の上に第二の反射層を形成し、第二の反射層の一部とポストの一部とを除去して穴を形成し、穴に伝導物質を充てんして電極を形成し、犠牲層を除去することを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の光干渉変調器の可動反射層が弛緩位置にあり、第二の光干渉変調器の可動反射層が動作位置にある光干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を描く等角投影図である。
【図2】3×3光干渉変調器ディスプレイを包含している電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の光干渉変調器の一つの代表的な実施形態における可動ミラー位置対印加電圧の図である。
【図4】光干渉変調器ディスプレイを駆動するのに使用し得る一組の行および列電圧を示している。
【図5A】図2の3×3光干渉変調器ディスプレイ中の表示データの一つの代表的なフレームを示している。
【図5B】図5Aのフレームを書くために使用され得る行および列信号のための一つの代表的なタイミング図を示している。
【図6A】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】光干渉変調器の代替実施形態の断面図である。
【図7C】光干渉変調器の別の代替実施形態の断面図である。
【図7D】光干渉変調器のまた別の代替実施形態の断面図である。
【図7E】光干渉変調器の追加の代替実施形態の断面図である。
【図8A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの実施形態の側断面図である。
【図8B】動作すなわち駆動状態にある図8Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図9A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの別の実施形態の側断面図である。
【図9B】動作すなわち駆動状態にある図9Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図10A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図10B】動作すなわち駆動状態にある図10Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図11A】第三の電極に電圧が印加される前の動作すなわち駆動状態にあるMEMSデバイスの実施形態の一部の側断面図である。
【図11B】第三の電極に電圧が印加された後の図11Aに示されたMEMSデバイスの一部の近接側断面図である。
【図12A】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12B】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12C】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12D】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図13A】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13B】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13C】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13D】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図14】動作すなわち駆動状態にあるMEMSデバイスの実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続く詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態に向けられている。しかしながら、本発明は多くの異なる手法で具体化することができる。この説明では、同様の部材は一貫して同様の符号で示して参照符号を図面に付す。続く説明から明らかように、実施形態は、動画(たとえばビデオ)か静止画(たとえばスチル画像)かを問わず、さらに文字か絵かを問わず、画像を表示するように構成されたあらゆるデバイスにおいて実施し得る。特に、実施形態は、これに限定されないが、移動電話や無線デバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルドまたは携帯型コンピューター、GPSレシーバー/ナビゲーター、カメラ、MP3プレーヤー、カムコーダー、ゲーム機、腕時計、時計、計算機、テレビジョンモニター、フラットパネルディスプレイ、コンピューターモニター、自動ディスプレイ(たとえば走行記録計ディスプレイその他)、コックピットのコントロールやディスプレイ、カメラ視のディスプレイ(たとえば乗り物の背面カメラのディスプレイ)、電子写真、電子の広告板や標識、プロジェクター、建築物、パッケージング、美的構造物(たとえば一つの宝石の画像)など、いろいろな電子デバイスにおいて実施し得るか関連し得ることが予想される。ここに説明したものと同様の構造体のMEMSデバイスは電子スイッチデバイスなどの非ディスプレイ用途において使用することもできる。
【0009】
MEMSデバイスのいくつかの実施形態は、ミラーまたは変形可能な機械的層などの可動素子を備えていてもよい。可動素子は、可動素子がデバイスの一部に接触している第一の位置と、可動素子がデバイスの一部に接触していない第二の位置との間で移動する。第一の位置にあるあいだ、可動素子と接触部分との間に接着力(たとえばスティクション)が生成され得る。したがって、可動素子が第一の位置にある間に接着力が少なくとも部分的に低減または相殺され得るMEMSデバイスおよび操作方法を提供することに好都合かもしれない。ある実施形態では、MEMSデバイスは、可動素子にかかる接着力を少なくとも部分的に低減または相殺するように構成された一つ以上の電極を備えている。一実施形態では、一つ以上の電極に電圧を印加して、接着力を部分的に相殺する静電気力を与えてよい。ほかの実施形態では、接着力が生成される接触領域を低減するように、時変電圧を使用して可動素子を弾性的に変形または振動させてもよい。ある実施形態では、接着力が低減されるように、時変電圧が可動素子を振動または共振させてもよい。
【0010】
光干渉MEMSディスプレイ素子を備えた一つの光干渉変調器ディスプレイ実施形態を図1に示す。これらのデバイスでは、画素は明暗状態のいずれかにある。明(「オン」または「開放」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分をユーザーへ反射する。暗(「オフ」または「閉鎖」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光をユーザーへほとんど反射しない。実施形態によっては、「オン」状態と「オフ」状態の光反射特性は逆であってもよい。MEMS画素は、白黒に加えてカラー表示を考慮し、特定の色で主に反射するように構成することが可能である。
【0011】
図1は、視覚ディスプレイの一連の画素中の二つの隣接画素を描いた等角投影図であり、各画素はMEMS光干渉変調器を備えている。いくつかの実施形態では、光干渉変調器ディスプレイは、これらの光干渉変調器の行/列アレイを備えている。各光干渉変調器は、互いに可変かつ制御可能な距離に位置する一対の反射層を含んでおり、少なくとも一つの可変次元をもつ共振光学キャビティを形成している。一実施形態では、一方の反射層が二つの位置の間で移動され得る。第一の位置(ここでは弛緩位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きな距離に位置している。第二の位置(ここでは動作位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層に隣接し密接して位置している。二つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて強め合ってまたは弱め合って干渉し、各画素について全体反射状態または非反射状態のいずれかを作り出す。
【0012】
図1の画素アレイの図示部分は二つの隣接する光干渉変調器12aと12bを含んでいる。左側の光干渉変調器12aでは、可動反射層14aは光学スタック16aからの所定距離の弛緩位置に図示されており、光学スタック16aは部分的反射層を含んでいる。右側の光干渉変調器12bでは、可動反射層14bは光学スタック16bに隣接する動作位置に図示されている。
【0013】
光学スタック16aと16b(光学スタック16と総称する)は、ここに参照するように、一般にいくつかの融合層からなり、それらは、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分的反射層、透明不伝導体を含み得る。したがって、光学スタック16は、電気的に伝導性で、部分的に透明で、部分的に反射的であり、たとえば透明基板20上に上記の層の一つ以上を堆積することにより作られ得る。部分的反射層は、さまざまな金属、半導体および不伝導体などの部分的に反射するさまざまな物質から作ることができる。部分的反射層は、一以上の物質の層で作ることができ、層のおのおのは単一の物質または複数の物質の組み合わせで作ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学スタックの層は平行ストリップにパターニングされ、後述するようにディスプレイデバイス中の行電極を形成し得る。可動反射層14a,14bは、ポスト18の上面およびポスト18間に堆積された介在犠牲物質の上に堆積された(行電極16a,16bに直交する)一つまたは複数の堆積金属層の一連の平行ストリップとして形成してもよい。犠牲物質をエッチング除去すると、可動反射層14a,14bが光学スタック16a,16bから規定間隙19だけ分離される。アルミニウムなどの高伝導反射物質を反射層14に使用してもよく、これらのストリップがディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。
【0015】
印加電圧がないとき、図1の画素12aに示すように、可動反射層14aと光学スタック16aとの間にキャビティ19が残り、可動反射層14aは機械的弛緩状態にある。しかしながら、選択した行と列に電位差を印加すると、対応する画素の行電極と列電極の交差により形成されたコンデンサーがチャージされ、静電力が電極同士を引き寄せる。電圧が十分に高ければ、可動反射層14が変形し、光学スタック16に押し付けられる。図1の右側の画素12bに示されるように、光学スタック16内の(この図には示していない)不伝導体層が短絡するのを防止するとともに層14と層16との間の分離距離を制御し得る。その振る舞いは印加電位差の極性にかかわらず同じである。このように、反射対非反射画素状態を制御することができる行/列動作は、従来のLCDやほかのディスプレイ技術で使用される行/列動作に多くの点で類似している。
【0016】
図2〜5Bは、表示用途の光干渉変調器のアレイを使用するための一つの代表的なプロセスとシステムを示している。
【0017】
図2は、本発明の観点を組み込んでよい電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。この代表的な実施形態では、電子デバイスは、ARMやPentium(登録商標)、Pentium II(登録商標)、Pentium III(登録商標)、Pentium IV(登録商標)、Pentium(登録商標) Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルまたはマルチチップマイクロプロセッサー、またはデジタルシグナルプロセッサーやマイクロコントローラー、プログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサーであってもよいプロセッサー21を含んでいる。この分野で一般に行なわれているように、プロセッサー21は一つ以上のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得る。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサーは、ウェブブラウザや電話アプリケーション、電子メールプログラム、ほかのソフトウェアアプリケーションを含め、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。
【0018】
一実施形態では、プロセッサー21もアレイドライバー22と通信するように構成されている。一実施形態では、アレイドライバー22は、ディスプレイアレイすなわちパネル30に信号を供給する行ドライバー回路24と列ドライバー回路26を含んでいる。図1に示したアレイの断面は図2の1−1線によって示されている。MEMS光干渉変調器については、行/列動作プロトコルは、図3に示したデバイスのヒステリシス特性を利用してよい。可動層を弛緩状態から動作状態まで変形させるにはたとえば10ボルトの電位差を必要としてよい。しかしながら、電圧がその値から低下するとき、電圧が10ボルト未満に降下する際、可動層はその状態を維持する。図3の代表的な実施形態では、電圧が2ボルト未満の降下するまで可動層は完全に弛緩しない。したがって、デバイスが弛緩または動作状態で安定している印加電圧の窓が存在する電圧の範囲(図3に示した例では約3〜7V)がある。ここでは、これを「ヒステリシス窓」または「安定窓」と呼ぶ。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイは、行ストロービングのあいだ、ストローブされた行中の動作されるべき画素が約10ボルトの電圧差にさらされ、弛緩されるべき画素が0ボルト近くの電圧差にさらされるように、行/列動作プロトコルを設計することが可能である。ストローブの後、画素は、行ストローブによっておかれた状態のままであるように、約5ボルトの定常状態電圧差にさらされる。書き込み後、各画素は、この例の3−7ボルトの「安定窓」内の電位差にある。この特徴は、図1に示した画素設計を同じ印加電圧状態の下で動作または弛緩の事前状態のいずれかに安定にする。光干渉変調器の各画素は、動作状態であれ弛緩状態であれ、実質的に固定反射層と可動反射層によって形成されるコンデンサーであるので、この安定状態は、ほとんど消費電力を伴わないヒステリシス窓内の電圧で保持することができる。印加電位が固定されていれば、実質的に電流は画素に流れ込まない。
【0019】
一般的アプリケーションでは、表示フレームは、第一行中の動作画素の所望のセットにしたがって列電極のセットをアサートすることにより作り出してよい。次に行パルスを行1電極に印加し、アサートされた列線に対応する画素を動作させる。次に列電極のアサートされたセットを変更し、第二行中の動作画素の所望のセットに対応させる。次にパルスを行2電極に印加し、行2中の適当な画素をアサートされた列電極にしたがって動作させる。行1画素は行2パルスに影響されず、行1パルスのあいだに設定された状態のままである。これを一連の行の完全にわたり順次に繰り返してフレームを生成してよい。一般に、フレームは、毎秒所望のフレーム数でこのプロセスを絶えず繰り返すことにより、新しい表示データでリフレッシュおよび/またはアップデートされる。表示フレームを生成するために画素アレイの行電極と列電極を駆動するための種々いろいろなプロトコルもまた周知であり、これは本発明と共に使用してよい。
【0020】
図4と5Aと5Bは、図2の3×3アレイに表示フレームを作り出すための一つの可能な動作プロトコルを示している。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素に使用してよい列と行の電圧レベルの可能なセットを示している。図4の実施形態において、画素を動作させることは、適当な列を−Vbiasに、適当な行を+ΔVにセットすることを含んでおり、それらは、それぞれ、−5ボルトと+5ボルトに一致していてもよい、
画素を弛緩させることは、適当な列を+Vbiasに、適当な行を同じ+ΔVにセットして、画素の両端にゼロボルト電位差を生成することより実施する。行電圧がゼロボルトに保持される行では、画素は、列が+Vbiasか−Vbiasかにかかわらず、それらがもとあった状態で安定している。また図4に示すように、上述したほかに逆極性の電圧を使用することができること、たとえば、画素を動作させることが適当な列を+Vbiasに、適当な行を−ΔVにセットすることを含み得ることもわかるであろう。本実施形態では、画素を解放することは、適当な列を−Vbiasに、適当な行を−ΔVにセットして、画素の両端にゼロボルト電位差を生産することにより実施する。
【0021】
図5Bは、図5Aに示したディスプレイ配列をもたらす図2の3×3アレイに印加する一連の行および列信号を示しているタイミング図であり、ここで動作画素は非反射である。図5Aに示したフレームを書き込む前に、画素は任意の状態であってもよく、この例では、すべての行が0ボルト、すべての列が+5ボルトにある。これらの印加電圧では、すべての画素はそれらの既存の動作状態または弛緩状態で安定している。
【0022】
図5Aのフレーム中では、画素(1,1)と(1,2)、(2,2)、(3,2)、(3,3)が動作される。これを実施するため、行1の「線時間」のあいだ、列1と列2は−5ボルトにセットし、列3は+5ボルトにセットする。これは任意の画素の状態を変更しない。なぜなら、すべての画素は3〜7ボルトの安定窓にあるままであるからである。次に行1を、0から5ボルトまで上がってゼロに戻るパルスでストローブする。これは(1,1)と(1,2)画素を動作させ、(1,3)画素を弛緩させる。アレイ内のほかの画素は影響されない。行2を望むようにセットするため、列2を−5ボルトにセットし、列1と列3を+5ボルトにセットする。次に行2に印加した同じストローブは、画素(2,2)を動作させ、画素(2,1)と(2,3)を弛緩させる。再び、アレイ内のほかの画素は影響されない。列2と列3を−5ボルトに、列1を+5ボルトにセットすることにより行3を同様にセットする。行3のストローブは図5Aに示すように行3の画素をセットする。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロになり、列電位は+5または−5ボルトの一方のままとなることが可能であり、ディスプレイは次に図5Aの配列で安定する。多数すなわち何百もの行と列に対して同じ手順を使用することが可能であることがわかるであろう。行と列の動作を実施するのに使用される電圧のタイミングとシーケンスとレベルは、上に概説した一般的な原理の範囲内で広く変えることが可能であり、上述の例は代表的なだけであり、任意の動作電圧方法もここに説明したシステムと方法で使用することが可能である。
【0023】
図6Aと6Bは、ディスプレイデバイス40の実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40はたとえば携帯(移動)電話とすることができる。しかしながら、ディスプレイデバイス40またはそれの少しの変形の同じコンポーネントは、テレビやポータブルメディアプレイヤーなどのさまざまなタイプのディスプレイデバイスの例ともなる。
【0024】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41とディスプレイ30とアンテナ43とスピーカー45と入力デバイス48とマイクロホン46とを含んでいる。ハウジング41は一般に、射出成形と真空成形を含む、当業者に周知ないろいろな製造プロセスのいずれかから形成される。さらに、ハウジング41は、これらに限定されないが、プラスチックや金属、ガラス、ゴム、陶器、またはそれらの組み合わせを含む、いろいろな物質のいずれかから作られ得る。一実施形態では、ハウジング41は、異なる色のまたは異なるロゴや絵や記号を有しているほかの着脱部と交換されてよい(図示しない)着脱部を含んでいる。
【0025】
代表的なディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、ここに説明するように、双安定ディスプレイを含むいろいろなディスプレイのいずれかであってもよい。ほかの実施形態では、ディスプレイ30は、当業者に周知なように、プラズマやEL、OLED、STN LCD、上述したTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTやほかのチューブデバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含んでいる。しかしながら、本実施形態を説明する目的のため、ディスプレイ30は、ここに説明するように、光干渉変調器ディスプレイを含んでいる。
【0026】
代表的なディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントを図6Bに概略的に示す。図示の代表的なディスプレイデバイス40はハウジング41を含んでおり、その中に少なくとも部分的に囲まれた追加コンポーネントを含むことができる。たとえば、一実施形態では、代表的なディスプレイデバイス40は、トランシーバー47に接続されるアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含んでいる。トランシーバー47はプロセッサー21に連結されており、それはコンディショニングハードウェア52に連結されている。コンディショニングハードウェア52は信号を整える(たとえば信号をフィルター処理する)ように構成され得る。コンディショニングハードウェア52はスピーカー45とマイクロホン46に連結されている。プロセッサー21も入力デバイス48とドライバーコントローラー29に連結されている。ドライバーコントローラー29はフレームバッファ28とアレイドライバー22に接続され、これはさらにディスプレイアレイ30に接続されている。電源50は、特定の代表的なディスプレイデバイス40設計によって必要とされるすべてのコンポーネントにパワーを供給する。
【0027】
ネットワークインターフェース27は、代表的なディスプレイデバイス40がネットワーク上の一つ以上のデバイスと通信できるように、アンテナ43とトランシーバー47を含んでいる。一実施形態では、ネットワークインターフェース27はまたいくつかの処理容量を有し、プロセッサー21の要件を取り除いてもよい。アンテナ43は、信号の送受信用の当業者に周知の任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)や(b)や(g)を含むIEEE 802.11規格によってRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナはBLUETOOTH(登録商標)規格によりRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、無線セル電話ネットワーク内で通信するために使用されるCDMAやGSM(登録商標)、AMPS、ほかの既知信号を受信するように設計されている。トランシーバー47はアンテナ43から受信した信号を、それらがプロセッサー21によって受信されさらに操作され得るように前処理する。トランシーバー47はまたプロセッサー21から受信した信号を、それらがアンテナ43を介して代表的なディスプレイデバイス40から送信され得るように処理する。
【0028】
代替実施形態では、トランシーバー47はレシーバーと交換することが可能である。また別の代替実施形態では、ネットワークインターフェース27は像源と取り替えることが可能であり、像源はプロセッサー21に送る画像データを記憶または生成することができる。たとえば、像源は、画像データを収容したデジタルビデオディスク(DVD)やハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールとすることができる。
【0029】
プロセッサー21は一般に、代表的なディスプレイデバイス40の動作全体を制御する。プロセッサー21は、ネットワークインターフェース27や像源からの圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを行画像データに、または行画像データへ容易に処理されるフォーマットに処理する。次にプロセッサー21は処理したデータを記憶のためにドライバーコントローラー29またはフレームバッファ28へ送る。生データは、一般に画像内の各位置における画像特性を識別する情報を指す。たとえば、そのような画像特性は、色と彩度とグレースケールレベルを含み得る。
【0030】
一実施形態では、プロセッサー21は、マイクロコントローラーまたはCPU、論理演算装置を含み、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御する。コンディショニングハードウェア52は、スピーカー45に信号を送信するために、またマイクロホン46から信号を受信するために、一般に増幅器とフィルターを含んでいる。コンディショニングハードウェア52は代表的なディスプレイデバイス40内のディスクリートコンポーネントであってもよく、またはプロセッサー21やほかのコンポーネント内に組み込まれていてもよい。
【0031】
ドライバーコントローラー29は、プロセッサー21によって生成された行画像データをプロセッサー21から直接またはフレームバッファ28からとり、アレイドライバー22への高速伝送のために行画像データを適切に再フォーマットする。具体的には、ドライバーコントローラー29は行画像データを、ラスター状フォーマットを有するデータ流れに再フォーマットし、それは、ディスプレイアレイ30を横切って走査するのに適した時間順序を有している。次にドライバーコントローラー29はフォーマットした情報をアレイドライバー22に送る。LCDコントローラーなどのドライバーコントローラー29はしばしばスタンドアロンの集積回路(IC)としてシステムプロセッサー21に付随されるが、そのようなコントローラーは多くの手法によって実現されてよい。それらはハードウェアとしてプロセッサー21に埋め込まれても、ソフトとしてプロセッサー21に埋め込まれても、アレイドライバー22にハードウェアに完全に集積されてもよい。
【0032】
一般に、アレイドライバー22はドライバーコントローラー29からフォーマットされた情報を受信し、ビデオデータを、ディスプレイのx−yマトリックスの画素から来る何百もの時には何千ものリードに毎秒何度も印加される波形の並列セットに再フォーマットする。
【0033】
一実施形態では、ドライバーコントローラー29とアレイドライバー22とディスプレイアレイ30は、ここに説明したディスプレイのどのタイプにも適切である。たとえば、一実施形態では、ドライバーコントローラー29は、従来のディスプレイコントローラーや双安定ディスプレイコントローラー(たとえば光干渉変調器コントローラー)である。別の実施形態では、アレイドライバー22は、従来のドライバーや双安定ディスプレイドライバー(たとえば光干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバーコントローラー29はアレイドライバー22に集積されている。そのような実施形態は、携帯電話、時計、ほかの小面積ディスプレイなどの高集積システムに共通している。また別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、一般的なディスプレイアレイや双安定ディスプレイアレイ(たとえば光干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
【0034】
入力デバイス48は、ユーザーが代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するのを可能にする。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードや電話キーパッドなどのキーパッドや、ボタン、スイッチ、タッチセンシティブスクリーン、感圧または感熱膜を含んでいる。一実施形態では、マイクロホン46は代表的なディスプレイデバイス40用の入力デバイスである。マイクロホン46を使用してデバイスにデータを入力するとき、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するためにユーザーがボイスコマンドを与えてもよい。
【0035】
この分野で周知なように、電源50はいろいろなエネルギー蓄積デバイスを含み得る。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケル−カドミウム電池やリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能エネルギー源とコンデンサー、プラスチック太陽電池と太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は壁付コンセントからパワーを受け取るように構成されている。
【0036】
いくつかの実施においては、上述したように、電子ディスプレイシステムのいくつかの位置に配置することが可能であるドライバーコントローラーに、制御プログラム化が存在する。いくつかのケースでは、制御プログラム化はアレイドライバー22に存在する。たくさんのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントおよびさまざまな構成に対して上述した最適化が実現されてよいことは当業者であればわかるであろう。
【0037】
上述した原理にしたがって動作する光干渉変調器の構造の詳細は広く変更されてよい。たとえば、図7A〜7Eは、可動反射層14をその支持構造の5つの異なる実施形態を示している。図7Aは図1の実施形態の断面図であり、金属物質14のストリップが直交して延びている支持体18上に堆積されている。図7Bでは、可動反射層14がつなぎ32によってコーナーだけで支持体に取り付けられている。図7Cでは、可動反射層14が変形可能層34からつるされており、変形可能層34は可撓性金属で構成され得る。変形可能層34は、直接または間接的に、変形可能層34の周囲の周りの基板20に連結している。これらの接続はここでは支持ポストと呼ぶ。図7Dに示した実施形態は、その上に変形可能層34が横たわる支持ポストプラグ42を有している。図7A〜7Cのように、可動反射層14はキャビティの上につるされるが、変形可能層34は、変形可能層34と光学スタック16の間の穴を満たすことにより、支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポスト18は平坦化物質で作られ、それは支持ポストプラグ42を形成するために使用される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示した実施形態に基づくが、図示しない追加の実施形態と同様に、図7A〜7Cに示した実施形態のいずれに適用してもよい。図7Eに示した実施形態では、金属またはほかの伝導物質の追加層がバス構造44を形成するために使用された。これは信号を光干渉変調器の背面に沿って転送するのを可能にし、さもなければ基板20上に形成されなければならないであろう多くの電極を取り除く。
【0038】
図7に示した実施形態では、光干渉変調器は直視型デバイスとして機能し、画像は透明基板20の正面側つまり変調器が配置される側の反対側から見られる。これらの実施形態では、変形可能層34を含め、反射層14は、基板20に対向する反射層の側にある光干渉変調器の部分を光学的に遮へいする。これは、遮へい領域が像品質に悪影響を与えずに構成され動作されることを可能にする。そのような遮へいは、図7Eのバス構造44を可能にし、それは、アドレシングおよびそのアドレシングに起因する動作など、変調器の電気機械の特性から変調器の光学的性質を分離する能力を提供する。この分離可能な変調器アーキテクチャーは、変調器の電気機械的観点と光学的観点のために使用される構造設計と物質が互い独立に選択され機能することを可能にする。さらに、図7C〜7Eに示した実施形態は、機械的特性からの反射層14の光学的特性の非干渉を得るという追加の利点を有し、それは変形可能層34によって実現される。これは、反射層14に使用する構造設計と物質を光学的特性に対して最適化し、また変形可能層34に使用する構造設計と物質を所望の機械的特性に対して最適化すること可能にする。
【0039】
いま、本発明の観点のいくつかを包含するMEMSデバイスの実施形態について図8Aと8Bを参照しながら説明する。MEMSデバイス100は、第一の電極101と、第一の電極101から電気的に絶縁された第二の電極102と、第一の電極101と第二の電極102とから電気的に絶縁された第三の電極103とを備えている。MEMSデバイス100はさらに、第一の電極101を第二の電極102から分離する支持構造105を備えている。MEMSデバイス100はさらに、(図8Bによって概略的に示される)第一の位置と(図8Aによって概略的に示される)第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子107を備えている。第一の位置では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触している。第二の位置では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触していない。反射素子107が第一の位置にあるとき、反射素子107とデバイス100の一部113との間に接着力が生成される。第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0040】
図8Aは、弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイス100の実施形態の側断面を示している。図8Bは、動作すなわち「駆動」状態にあるMEMSデバイス100の側断面を示している。MEMSデバイス100は透明または半透明の基板層120上に形成されてよい。それは一実施形態ではガラスであってよい。光学的層124は基板層120上に堆積されてよい。光学的層124は部分的に透明または半透明かつ光に対して部分的に反射的であってよく、たとえば、おのおのがクロムとインジウムスズ酸化物の一つ以上の層を堆積することによって製造されてよい。いくつかの実施形態では、光学的層124の少なくとも一部は電気的に伝導性であり、MEMSデバイス100の第一の電極101を備えている。光学的層124は実質的に平行ストリップにパターニングされてよく、ここに説明するようにディスプレイデバイスの行電極を形成してよい。いくつかの実施形態では、不伝導層128は光学的層124の上に形成されてよく、酸化物などのさまざまな透明または半透明の物質で構成されてよい。
【0041】
ある実施形態では、不伝導層128の上に支持構造105が配置されている。支持構造105は、機械的層132と、一つ以上の支持ポスト136a,136bとを備えていてよい。図8Aと8Bに概略的に示されるように、ある実施形態では、機械的層132は反射素子107を備えており、支持構造105は、反射素子107が実質的に面平行かつ間隔を置いた配置で不伝導層128に面するように構成されている。反射素子107と不伝導層128とがそれらの間のキャビティ144を規定する。
【0042】
いくつかの実施形態では、機械的層132の少なくとも一部は電気的に伝導性であり、MEMSデバイス100の第二の電極102を備えている。機械的層132は実質的に平行ストリップにパターニングされてよく、ここに説明するようにディスプレイデバイスの列電極を形成してよい。機械的層132は、金属などの変形可能かつ高伝導性かつ反射性物質から製造されてもよい。それはいくつかの実施形態ではアルミニウムであってよい。いくつかの実施形態では、支持ポスト136a,136bの一部は電気的に不伝導性であり、機械的層132をデバイス100のほかの部分(たとえば光学的層124)から絶縁する。支持ポスト136a,136bの不伝導部は、たとえば酸化アルミニウムなどの不伝導物質で構成されてよい。不伝導層128はまた、機械的層132を光学的層124から電気的に絶縁する役目もする。
【0043】
図8Aに示されるように、ある実施形態では、支持ポスト136aの少なくとも一つが第三の電極103を備えている。第三の電極103は、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの電気伝導物質から製造されてよい。支持ポスト136aの電気不伝導部は、第一の電極101と第二の電極102とから第三の電極103を絶縁してよい。支持ポスト136aの電気不伝導部は不伝導物質で構成されてよい。
【0044】
ある実施形態では、図8Aと8Bに示されるように、機械的層132は機械的に変形可能な物質で構成されている。図1を参照しながらここに説明するように、機械的層132は、第一の電極101(たとえば光学的層124)と第二の電極102(たとえば機械的層132)との間の電圧差を印加することによって弛緩状態から駆動状態に移動されてよい。電圧差がしきい値を超えると、図8Bに示されるように、静電気力が機械的層132を不伝導層128に接触するまで変形させ移動させる。不伝導層128は、駆動状態において光学的層124と機械的層132との間が短絡することを防止し、駆動状態中の接触から光学的層124と機械的層132への損害を防止してよい。さらに、不伝導層128の厚さを使用して、弛緩および駆動状態間で機械的層132が移動する距離を制御してよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、機械的層132の一部が反射素子107を備えるように構成されてよい。たとえば、機械的層132の下側表面148の一部が高反射に作られてよい。反射素子107は、少なくとも弛緩状態(図8A)の第二の位置と駆動状態(図8B)の第一の位置との間を移動するように構成されている。ある実施形態の駆動状態では、反射素子107が、図8Bに示されるようにデバイス100の一部113に接触している。
【0046】
図1を参照ながらここにさらに説明するように、デバイス100は「光干渉変調器」として動作してよい。非駆動状態では、基板層120の表面152への入射光は透過されてキャビティ144に入る。キャビティ144の高さに依存し、機械的層132の位置によって決まる、キャビティ144内の干渉は、ある波長の光が反射され、ほかの波長の光が吸収されるようにする。反射光が電磁スペクトルの可視部にあれば、基板の表面152は反射波長に対応する色を表示する。対照的に、駆動状態では、キャビティ144の高さは非駆動状態よりもはるかに小さく(たとえば反射素子107は不伝導層128に接触しており)、デバイス100は実質的に入射光のすべてを、または少なくとも実質的に入射可視光のすべてを吸収する。駆動状態では、基板の表面152は黒を表示する。キャビティ144のサイズと高さを好適に構成することによって、デバイス100を使用して画像表示デバイス中の画素を形成し得る。
【0047】
駆動状態では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触しており、それによって、反射素子107と一部113との間に接着力を生成する。たとえば、図8Bに示された実施形態では、接着力は、機械的層132の変形部に不伝導層128に接着させようとする。
【0048】
接着力は、たとえば、毛細管、静電気またはファンデルワールス力またはほかの分子間力などの力によって引き起こされてよい。接着力は、たとえば、使用物質と、デバイス100中の構造体の形状と配置と構成と、接触面の粗さと、周囲湿度および圧力とを含む一連の要因に依存する。接着力は、たとえば、大きな加速を伴うインパルス運動またはより緩やかな準静的運動を通してデバイス100内の構造体を動作する手法に依存してもよい。「スティクション」は、ここに説明する接着効果のいくつかを含み得る一般的に使用される用語である。
【0049】
デバイス100を動作させまた動作を止めるプロセスについて図3を参照しながらここに説明する。機械的層132と光学的層124との間に電圧差が印加されてよい。図3に示されるように、電圧差が第一のしきい値を超えて増加したとき、静電気力が機械的層132を弛緩状態(図8A)から駆動状態(図8B)へ変形させる。電圧差が減少されたとき、電圧差が第二のしきい値を下回るまで、デバイス100は駆動状態のままでいる。第二のしきい値において、機械的層132と光学的層124との間で引き合う静電気力が、機械的層132を弛緩状態に戻そうとする機械的復元力より小さくなる。したがって、電圧が第二のしきい値を下回ったとき、反射素子107は、それが接触していた一部113から「解放」する。図3の見本実施形態では、第一のしきい値電圧は約8ボルトであり、第二のしきい値電圧は約2ボルトである。図4は、この動作および解放サイクルを通してMEMSデバイス100を駆動するのに使用される「動作プロトコル」の一実施形態を示している。
【0050】
接着力は、この動作および解放サイクルの性質を変え得る。MEMSデバイス100のいくつかの実施形態では、反射素子107と、反射素子107に接触しているデバイス100の一部113との間の接着力は、電圧差が第二のしきい値を下回ったときに反射素子107の解放を接着が抑制またはいくつかの場合に防止するほど十分に大きくてよい。したがって、部分的に低減するか接着力を相殺するアーキテクチャーを提供することに好都合である。
【0051】
MEMSデバイス100のある実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が、反射素子107がデバイス100の一部113に接触している(たとえば図8Bに示される第一の位置にある)あいだの接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。図8Aと8Bに示された実施形態では、支持ポスト136aが第三の電極103を備えている。第三の電極103は、第一の電極101(図8Aと8Bの光学的層124)と第二の電極102(図8Aと8Bの機械的層132)とから電気的に絶縁されている。そのようなある実施形態では、第三の電極103に印加された電圧が第二の電極102に静電気力156(たとえば機械的層132を第三の電極103の方へ引き寄せる力)を生成する。デバイス100が(図8Bに示された)第一の位置にあるとき、反射素子107と一部113との間の接着力を静電気力156が少なくとも部分的に相殺し得る。
【0052】
図8Bに示されるように、静電気力156は平行力成分160と垂直力成分164とに分解することができる。ここに使用するように、用語「平行力成分」または「平行成分」は、第一の位置にあるあいだの反射素子107に接触しているデバイス100の一部113を含む平面にほぼ平行である静電気力156の成分を指す。用語「平行方向」または「平行」は平行力成分160の方向を指す。ここに使用するように、用語「垂直力成分」または「垂直成分」は、第一の位置にあるあいだの反射素子107に接触しているデバイス100の一部113を含む平面にほぼ垂直である静電気力156の成分を指す。用語「垂直方向」または「垂直」は垂直力成分164の方向を指す。垂直方向は平行方向に九十度の角度にある。
【0053】
任意の特定の理論を明言することなく、静電気力156は少なくともいくつかの理由によって接着力を少なくとも部分的に低減または相殺し得る。たとえば、デバイス100のいくつかの実施形態では、平行力成分160は矢印168によって示された方向に機械的層132を付勢する。この付勢は、反射素子107とデバイス100の一部113との間の接着力の少なくともある程度原因である分子間結合または力を低減するか無力化し得る。これらのまたはほかの実施形態では、垂直力成分164は、同様に矢印172によって示された方向に機械的層132の領域を付勢し、それはまた接着力の少なくともある程度原因である分子間結合または力を低減するか無力化し得る。いくつかの実施形態では、平行力成分160は機械的層132の少なくとも一部を矢印168の方向に滑らせ、それは接着力を低減し、また矢印172の方向への機械的層132の移動を可能にし得る。さらに、ある実施形態では、垂直力成分164は、反射素子107の一つ以上の領域が矢印172の方向に変位されるようにする。変位されたすなわち「引き離された」領域は、デバイス100の一部113との接触を失い、それは接着力を少なくとも部分的に低減する。ほかの実施形態では、垂直力成分172は、機械的層132の弾性変形を引き起こし、それは、反射素子107が一部113に接触している領域を低減し得る。一般に、接着力は接触領域の低減に比例して低減される。またほかの実施形態では、接着力は、上述した物理的効果の任意の一つ以上の組み合わせによって低減または相殺される。ほかの実施形態では、現在知られているまたは発見されるべき追加の理由によって静電気力156が接着力を低減または相殺し得、請求する本発明の要旨はここに述べた理由によって限定されるものではないことがわかる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧の一つ以上が時変電圧を含んでいてよい。時変電圧は、静電気力156の大きさおよび/または方向をも時変させてよい。静電気力156の時間的な変化は、デバイス100(図8B)の一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。ある実施形態では、時変電圧は、短い一過性持続時間の一つ以上の電圧パルス、たとえば一つ以上のインパルスを含んでいる。ある実施形態のインパルスは反射素子107にほぼ平行な成分を有するが、ほかの実施形態では、インパルスは反射素子107にほぼ垂直な成分を有する。そのようなある実施形態では、一つ以上のインパルスは、接着力が低減され、反射素子107が一部113から解放される反射素子107の十分に大きな加速を生成してよい。ほかの実施形態では、一つ以上のインパルスは反射素子107の一部が弾性変形を受けるようにしてよく、それは、上述したように、一部113との接触領域を低減し、それにより接着力を低減し得る。
【0055】
図8Aと8Bに示されたMEMSデバイス100のほかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧の一つ以上が、周波数を有する時変電圧を含んでいる。たとえば、一実施形態では、時変電圧は、その周波数で振動する正弦波成分を含んでいてよい。ほかの実施形態では、時変電圧は、その周波数に中心を置く周波数帯域を備えた電圧を含んでいてもよい。ある実施形態では、時変電圧は反射素子107の一部が弾性振動を受けるようにし、それは、反射素子が第一の位置(図8B)にあるあいだの接着力を少なくとも部分的に低減し得る。そのようなある実施形態では、弾性振動は、デバイス100の一部113に接触している反射素子107の領域を低減し、それにより接着力を低減する。これらのある実施形態のほかでは、反射素子107の弾性振動が、一部113の加速を振動的に引き起こし、それは、接着力の原因である分子間力をある程度低減し得る。
【0056】
周知なように、強制周波数で振動する力が機械的システムに印加されたとき、機械的システムは、力の大きさに正比例した振幅を有する弾性振動を受ける。強制周波数が機械的システムの機械的共振周波数と等しいと、弾性振動の振幅は最大になる。MEMSデバイス100のいくつかの実施形態では、電極101と102と103の少なくとも一つに印加された時変電圧の周波数は、反射素子107の機械的共振周波数と実質的に等しくなるように選択される。そのような実施形態では、時変電圧は、接着力を低減し図8Bに示された第一の位置からの反射素子107の解放を容易にするように実質的振幅を有する弾性発振または振動を反射素子107に生じさせる。そのようなほかの実施形態では、接着力を低減するのに有効である十分な振幅で反射素子107が弾性振動を受けるように、時変電圧の周波数が選択される。これらの実施形態のいくつかでは、接着力を低減するに有効である周波数は反射素子107の機械的共振周波数と異なってよい。
【0057】
さまざまな範囲の大きさと周波数の電圧を、第一の電極101、第二の電極102および/または第三の電極103に印加して、接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。この分野の当業者は、MEMSデバイス100の任意の構成に対して電圧の好適な大きさと周波数を計算することができることを認めるであろう。たとえば、ある実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103との少なくとも一つに印加される電圧は、約10ボルトから約50ボルトまでの範囲中の大きさと、約100Hzから約10MHzまでの範囲中の周波数とを有する。しかしながら、これらの例示的範囲は、好適な大きさと周波数の可能な範囲についての制限であることは意図しておらず、ほかの実施形態では異なる大きさと周波数が使用される。
【0058】
ここに述べた原理にしたがって動作するMEMSデバイスの第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加される電圧の詳細は広く変更してよい。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに説明した例とは異なっていてもよく、それは、例として役立つように意図されたものであり、請求された本発明の要旨を制限するように意図されたものではない。たとえば、印加電圧の大きさや継続時間、周波数、印加の順序、ほかの特性は広く異なっていてよい。ほかの多くの電圧の組み合わせがMEMSデバイス200の異なる実施形態に可能である。
【0059】
図9Aと9Bは、弛緩状態(図9A)と駆動状態(図9B)にあるMEMSデバイス200の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス200は基板層220上に製造され、光学的層224と不伝導層228と機械的層232とを備えている。基板層220と光学的層224と不伝導層228は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層232は一つ以上の支持ポスト236a,236bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0060】
図9Aと9Bに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層232と不伝導層228との間に配置されたミラー275を備えている。ある実施形態では、ミラー275は、機械的層232にほぼ平行に間隔を置いて配置されている。反射素子107は、ミラー275を機械的層232に機械的に接続するとともにミラー275への電気的接続を提供する支持体接続277を備えている。図9Aと9Bに示された実施形態では、ミラー275と支持体接続277は、たとえばアルミニウムやニッケル、インジウムスズ酸化物、モリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。機械的層232の一部279は電気不伝導物質で構成されており、それは、ミラー275と機械的層232との間に電気的絶縁を提供するように構成されている。この実施形態では、ミラー275は機械的層232に機械的に接続されているが、電気的に絶縁されている。
【0061】
図9Aと9Bに示されたMEMSデバイスの実施形態では、ミラー275は反射素子107の反射面を備えており、それは、電気的に伝導性かつ高反射性であり、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層232の下側表面は反射性であるように構成されていない。図9Aと9Bの実施形態では、光学的層224は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層232と支持ポスト236aと236bとを備えており、機械的層232は第二の電極102を備えている。ミラー275は第三の電極103を備えている。
【0062】
図8Aと8Bを参照しながら説明したように、機械的層232と光学的層224との間に印加される電圧差は、機械的層232を弛緩状態(図9A)から駆動状態(図9B)に変形させることができる。反射素子107は、弛緩状態(図9A)にある第二の位置から駆動状態(図9B)にある第一の位置に移動する。駆動状態では、反射素子107がデバイス200の一部113に接触しており、それらの間に接着力が生成されている。
【0063】
MEMSデバイス200のいくつかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が、反射素子が第一の位置(図9B)にあるあいだの接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。さらに図8Aと8Bを参照しながら説明したように、印加電圧は、接着力を少なくとも部分的に低減する弾性変形または弾性振動を反射素子107に生じさせ得る。MEMSデバイス200のある実施形態では、電圧の一つ以上が時変である。これらの実施形態のうちのいくつかでは、時変電圧は、一つ以上の周波数を有する電圧を含んでいてよい。時変電圧の周波数は、反射素子107の機械的共振周波数となるかまたは反射素子107に生じる弾性振動の振幅を増大させるように選択されてよい。ほかの実施形態では、一つ以上の短い持続時間電圧インパルスが、電極101と102と103の少なくとも一つに印加されてよい。たとえば、一実施形態では、デバイス200の一部113からの反射素子107の解放を容易にする発振、振動または加速を生じさせるように、第一の位置にあるあいだ、ミラー275に一つ以上の電圧インパルスが印加される。またほかの実施形態では、電極101と102と103に印加される電圧は前述の電圧の組み合わせを含むように選択されてよい。たとえば、一実施形態では、一つ以上の電圧インパルスが三つの電極のいずれかまたはすべてに印加されているあいだ、発振電圧が電極の一つに印加される。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに述べた例から異なっていてよく、MEMSデバイス200のほかの実施形態では多くのほかの変更および組み合わせが可能である。
【0064】
図10Aと10Bは、弛緩状態(図10A)と駆動状態(図10B)にあるMEMSデバイス300の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス300は基板層320上に製造され、光学的層324と不伝導層328と機械的層332とを備えている。基板層320と光学的層324と不伝導層328は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層332は一つ以上の支持ポスト336aと336bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0065】
図10Aと10Bに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層332と不伝導層328との間に配置されたミラー375を備えている。ある実施形態では、ミラー375は、機械的層332にほぼ平行に間隔を置いて配置されている。反射素子107は、ミラー375を機械的層332に機械的に接続している支持体接続377を備えている。図10Aと10Bに示された実施形態では、ミラー375と支持体接続377は、たとえばアルミニウムやニッケル、インジウムスズ酸化物、モリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。MEMSデバイス200(図9Aと9B)とは対照的に、伝導支持ポスト377はミラー375を機械的層332に電気的に接続している。したがって、この実施形態では、ミラー375は機械的層332に機械的のみならずまた電気的に接続されている。
【0066】
MEMSデバイスのこの実施形態では、ミラー375は電気的に伝導性かつ高反射性であり、それは、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層332の下側表面は反射性であるように構成されていない。図10Aと10Bの実施形態では、光学的層324は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層332と支持ポスト336aと336bとを備えている。機械的層332とミラー375は第二の電極102を備えている。図10Aと10Bに示されるように、支持ポスト336a,336bのおのおのは電気伝導部を有している。デバイス300の第三の電極103は、これらの電気伝導部を備えている。この実施形態では、また図8Aと8Bに示されたデバイス100とは対照的に、支持ポスト336a,336bの伝導部はミラー375に対して実質的に対称的に配置されており、反射素子107に対して実質的に対称的に配置された第三の電極103を提供する。
【0067】
図8A〜9Bを参照しながら上述したように、機械的層332と光学的層224との間に印加される電圧差は、機械的層232を弛緩状態(図10A)から駆動状態(図10B)に変形させることができる。反射素子107は、弛緩状態(図10A)にある第二の位置から駆動状態(図10B)にある第一の位置に移動する。駆動状態では、反射素子107がデバイス200の一部113に接触しており、それらの間に接着力が生成されている。
【0068】
電極101と102と103に電圧を印加することにより、MEMSデバイス300は反射素子107とデバイス300の一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。接着力の低減を達成するようにMEMSデバイス100と200に関して説明したのと実質的に同じ手法で電圧がデバイス300に印加されてよい。
【0069】
図10Bは、支持ポスト336a,336bの伝導部が互いに同じ電位に維持されているMEMSデバイス300の実施形態を示している。この実施形態では、一対の静電気力356aと356bが、それぞれ、ミラー375と支持ポスト336aと336bの電気伝導部との間に生成される。静電気力356aの大きさは、電気伝導部336a,336bの実質的に対称的な配置のために、またそれらが同じ電位に維持されるために、静電気力356bの大きさと実質的に等しい。静電気力356a,356bのおのおのは、それぞれ平行力成分360a,360bと、それぞれ垂直力成分364a,364bとに分解することができる。静電気力356a,356b(すなわちそれらの成分360a,360bおよび364a,364b)はベクトル的に一緒に加えられてミラー375に作用する正味の力を生成することができる。デバイス300の支持ポスト336a,336bの電気伝導部が同じ電位に維持されるとともにミラー375に対して実質的に対称的に配置されているので、平行力成分360aと360bは大きさが実質的に等しく、方向が反対である。したがって、ミラー375に作用する正味の平行力成分は実質的にゼロである。この実施形態では、垂直力成分364a,364bは大きさが実質的に等しく、しかしながら、それらは方向が同じである。したがって、反射素子107に作用する正味の静電気力は、デバイス300の一部113を含む平面に実質的に垂直である。
【0070】
MEMSデバイス300のいくつかの実施形態では、反射素子107にかかる正味の静電気力が少なくとも反射素子107とデバイス300の一部113との間の接着力の部分的低減を生じさせるように電極101と102と103に電圧が印加される。図8A〜9Bを参照しながらここに説明したように、印加電圧は、接着力を少なくとも低減する弾性変形または弾性発振を反射素子107に生じさせ得る。MEMSデバイス300のある実施形態では、電圧の一つ以上が時変であり、一つ以上の周波数を有する電圧を含んでいてよい。時変電圧の周波数は、デバイス300の機械的共振周波数となるかまたはデバイス300に生じる弾性振動の振幅を増大させるように選択されてよい。ほかの実施形態では、一つ以上の短い持続時間電圧インパルスが、電極101と102と103の少なくとも一つに印加されてよい。一実施形態では、たとえば、デバイス300の一部113からの反射素子107の解放を容易にする発振または加速を生じさせるように、反射素子107が第一の位置(図10B)にあるあいだ、一つ以上の電圧インパルスが第三の電極に印加される。別の実施形態では、矢印380によって示されたほぼ垂直方向に反射素子107の振動を生じさせるように電圧が印加される。またほかの実施形態では、前述の発振または加速の組み合わせを生じさせるように、電極101と102と103に印加される電圧が選択されてもよい。たとえば、一実施形態では、一つ以上の電圧インパルスが三つの電極のいずれかまたはすべてに印加されているあいだ、電極の一つに発振電圧が印加される。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに説明した例とは異なっていてもよく、MEMSデバイス300の異なる実施形態では多くのほかの変更および組み合わせが可能である。
【0071】
MEMSデバイス300のほかの実施形態では、支持ポスト336aの電気伝導部が、支持ポスト336bの電気伝導部とは異なる電位に維持されてもよい。これらの実施形態では、静電気力356aと356bは実質的に等しい大きさにならない。したがって、反射素子107にかかる正味の静電気力は正味の平行力成分を含む。支持ポスト336a,336bの伝導部のおのおのに印加される電位の値を適切に選択することによって、正味の平行力成分を、双頭の矢印384によって示された方向の少なくとも一つに生成することができる。したがって、反射素子107が矢印384の二方向に沿って発振または振動するようにされ得る。印加電圧は、反射素子107の弾性変形または弾性振動を生じさせるように選択された周波数を有する時変成分を有してもよい。いくつかの実施形態では、周波数は、反射素子107の機械的共振周波数に実質的に一致するかまたは増大した振幅発振を生じさせるように選択されてよい。ある実施形態では、支持ポスト336aと336bの電気伝導部と反射素子107との間の電圧は、双頭の矢印384の二方向に反射素子107の周期的変位を生じさせるように循環される。周期的変位は、接着力を少なくとも部分的に低減し、デバイス300の一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0072】
図10Aと10Bは、二つの支持ポスト336aと336bの電気伝導部を備えた第三の電極103を示しているが、ほかの実施形態では、第三の電極103が、追加的支援ポスト(および/またはほかの好適な構造素子)の電気伝導部を備えることができることが予想される。ある実施形態では、第三の電極103は、ミラー375のまわりに実質的に対称的に配置された四つの支持ポスト(たとえば、二つの支持ポスト336aと336bと、図10Aと10Bに示された断面の平面に垂直な平面に配置された二つの実質的に同様の支持ポスト)の電気伝導部を備えている。支持ポストのおのおのの電気伝導部に印加される電圧を使用して、(上述したような)矢印380と384の方向だけでなく互いに垂直な方向(たとえば図10Aと10Bの平面の中へまたは外へ)にも、変位、発振および/または振動を生じさせることができる。この分野の当業者は、(時変およびインパルス電圧を含んでいる)ここに説明したような好適な電圧を印加することによって、反射素子107が駆動状態(たとえば図10B)であるあいだ、弛緩状態(たとえば図10A)への移動を支援するように、接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができることを認めるであろう。第三の電極103の構成およびそれに印加される電圧は多くの変更が可能であり、また、ここに説明した実例実施形態は、請求する発明の要旨に対する限定として意図されていない。
【0073】
MEMSデバイス300のまたほかの実施形態では、支持ポスト336a,336bの電気伝導部が反射素子に対して実質的に対称的に配置されていない。これらの実施形態では、伝導部が同じ電位に維持されたとしても、静電気力356a,356bは一般に大きさが実質的に等しくならない。いくつかの実施形態では、非対称な配置は、伝導部の一つ以上が支持ポスト336a,336b内に実質的に中央に位置しないようにデバイス300を製造することによって提供される。
【0074】
ある好ましい実施形態では、MEMSデバイス300に印加される電圧は、矢印384と380によって示されるような平行および垂直方向の両方への反射素子107の変位、変形、発振または振動をそれぞれ生じさせるように選択されてよい。これらの実施形態のいくつかでは、平行および垂直方向の両方への共振または増大した振幅発振を生じさせるために、時変電圧が、一つを超える周波数を有する電圧を含んでいてよい。ほかの実施形態では、一方向に変位または加速を生じさせるために短い持続時間電圧インパルスが印加される一方、ほかの方向に共振または振動を生じさせるために発振電圧が印加される。またほかの実施形態では、印加電圧が循環されてこれらの効果の組み合わせを生成する。多くのほかの変更が可能である。
【0075】
図11Aと11Bは、弾性変形可能反射素子107を有している駆動状態にあるMEMSデバイス400の一実施形態の一部の側断面図である。反射素子107は、デバイス400の一部113に接触している第一の位置にある。図11Aでは、第三の電極103と反射素子107との間に電位差が印加されていない。反射素子107のミラー475は、デバイス400の一部113に実質的に平行である実質的平坦形態に順応されている。図11Aに示されるように、反射素子107に接触しているデバイスの一部113は、接触領域413を規定している。
【0076】
図11Bは、第三の電極103と反射素子107との間に電位差が確立された後の図11AのMEMSデバイス400の構成を示している。第三の電極103と反射素子107との間の静電気力は、反射素子107の端部490を、一部113にほぼ垂直である方向に弾性的に変形させる。反射素子107の端部490は、もはやデバイスの一部113に接触していない。反射素子107と一部113との間の接触領域413が低減される;
したがって、反射素子107と一部113との間の接着力が低減される。接着力の低減は、一部113からの反射素子107の解放を容易にし、デバイス400の動作を容易にする。デバイス400のある実施形態では、反射素子107が、接触していたデバイスの一部113から解放された後、
第三の電極103と反射素子107との間の電位差がゼロに低減される。一部113からの解放の後、反射素子107の端部490が、光学的層424を包含する平面に実質的に平行である状態に徐々に戻って、キャビティ444がデバイス400への入射光に対して好適な光干渉を提供する。
【0077】
MEMSデバイスのほかの実施形態では、図11Bに示された変形に加えてまたはその代わりに、ここに説明したような第一の位置にあるあいだ、電極101と102と103に印加される電圧が、反射素子107の弾性的発振、振動、共振またはほかのタイプの変位を引き起こしてよい。これらの運動は、平行方向、垂直方向または両方の組み合わせであってよい。電圧によって引き起こされた運動は、たとえば、反射素子107と一部113との間の接触領域を低減することによって、接着力またはほかの物理的効果のある程度原因である分子間力の大きさを低減することによって、反射素子107と一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減することができる。
【0078】
ある実施形態では、第三の電極103は、(たとえば図10Aと10Bに示されるように)反射素子107に対して実質的に対称的に配置されてよいが、ほかの実施形態では、第三の電極103は、(たとえば図8Aと8Bに示されるように)反射素子107に対して非対称的に配置されてよい。対称的な位置は、一部113にほぼ平行な方向への反射素子107の変位を低減することに好都合であるMEMSデバイスの実施形態に選択されてよい。あるいは、非対称の位置は、平行移動か振動を提供することが好都合である実施形態に選ばれてもよい。第三の電極103の対称的または非対称の配置は、さまざまなMEMSアーキテクチャーに異なる方法で達成することができる。たとえば、第三の電極103が一つ以上の支持ポスト(たとえば図10A〜10Bのポスト336a,336b)の電気伝導部を備えている実施形態では、支持ポストの位置は、反射素子107に対して対称的または非対称であるように選択することができる。ほかの実施形態では、支持ポストは対称的に配置することができるが、一つ以上の伝導部を支持ポストの中心軸から離して配置することによって、ポスト内の電気伝導部の位置は非対称にすることができる。
【0079】
図11A〜11Bによって概略的に示された実施形態では、支持ポスト436aの電気伝導部はポスト436aの中心軸に実質的に沿って配置されている。伝導部は、ほかの実施形態では、中心軸から離して配置されてもよい。図11A〜11Bに示されるように、伝導部はポスト436aの全長を実質的に延長する。いくつかの実施形態では、支持ポスト436aの天井端492は機械的層432を越えて延出している。図11Aと11Bに示されたデバイス400では、第三の電極103の伝導部の下端494は不伝導層428の方へ延出している。下端494の位置はほかの実施形態では異なっていてもよい。下端494の位置は、異なる量の反射素子107の変形を提供するように、反射素子107に及ぼされる静電気力の異なる大きさおよび/または方向を提供するように選択されてもよい。
【0080】
第三の電極103は図8A〜11Bに示されたものとは異なった形態であってもよい。たとえば、異なるMEMSアーキテクチャーでは、第三の電極103は、たとえば、支持ポスト、機械的層、ミラーまたはデバイスのほかの部分の一部を有しているMEMSデバイスの一つ、二つ、三つ、四つまたはそれ以上の電気伝導部を備えていてよい。いくつかの実施形態では、一部113からの反射素子107の解放を容易にするために使用される静電気力は、電極101と102と103によってもほかの電極によっても提供されてよい。一実施形態では、たとえば、第三の電極103は複数の電極を備えており、各電極は反射素子107の各サイドの近くに配置されている。これらの電極に電圧を好適に印加することによって、反射素子107を多方向に、一部113に垂直な第一の方向(図10Bに矢印380によって示される)にも、一部113に実質的に平行な第二および第三の方向(たとえば図10Bに矢印384によって示された第二の方向および図10Bの平面の中へまたは外へ向かっている第三の相互に垂直な方向)にも、発振または振動するようにすることができる。
【0081】
図12A〜12Dは、ここに説明したさまざまな実施形態にしたがった反射素子107のさまざまな構成の側断面図である。ある実施形態では、反射素子107が一つを超える層を備えている。図12Aに示された反射素子107は、第一の層510の上に配置された第二の層514を備えている。層は、異なる物質で構成されてよく、また異なる機械的および電気的特性を有していてよい。いくつかの実施形態では、第一の層510が光干渉キャビティの高反射部であるように構成されており、第二の層514が反射素子107に構造剛性を提供するように構成されている。これらの実施形態では、第一の層510は、アルミニウムなどの高反射率金属で構成されており、第二の層514は、第一の層510の少なくとも一部の上に堆積されてよいアルミニウム合金またはニッケルなどの不伝導物質および/または剛性物質で構成されている。ある実施形態では、層の一つ以上の少なくとも一部が電気的に伝導性であってよい。そのような実施形態では、電極101と102と103の一つ以上が、層の電気伝導部の少なくとも一部を備えていてよい。いくつかの実施形態では、第一の層510は、第二の層514とは異なる厚さを有するように構成されてよい。たとえば、図12Aに概略的に示されるように、第一の層510は第二の層514より薄い。第一の層510の少なくとも一部が、弾性的可撓性であるように構成されてよい。たとえば、図12Aの反射素子107の第一の層510の端部590が、第二の層514に比べて高められた弾性的可撓性を有するように構成されてよい。第一の層510の可撓性は、たとえば図11Aと11Bに示されたMEMSデバイス400などの実施形態に好都合であり、それでは、静電気力が反射層107の端部590の弾性変形を引き起こす。図12Aに示された実施形態では、第一の層510の端部590の厚さは、第二の層514の厚さとほぼ等しい。ほかの実施形態では、異なる層厚が使用されてよい。ある実施形態では、第一の層510が第二の層514よりも薄い。ほかの実施形態では、少なくとも第一の層510の端部590が第二の層514よりも薄い。たとえば、あるそのようなある実施形態では、端部590の厚さが、反射素子107の中央部の厚さの約1/3から約1/2までの範囲にある。
【0082】
いくつかの実施形態では、反射素子107の厚さが不均一である。図12Bは、端部590が中央部591よりも薄く構成された反射素子107の側断面図である。上述したように、より薄い端部590は、反射素子107の弾性変形を容易にし得る。いくつかの実施形態では、中心部591から端部590への反射素子107の先細りが、電極101と102と103に印加される電圧によって励振することが可能である好適な機械的共振周波数を提供するように選択されてよい。ある実施形態では、端部590の厚さは、反射素子107の中央部の厚さ約1/3から約1/2までの範囲にある。しかしながら、ほかの厚さおよびほかの先細りを使用することも可能である。
【0083】
図12Cは、一つ以上の延出部592が反射素子107に配置された反射素子107の側断面図である。図12Cに示されるように、延出部592は、反射素子107の端部590にまたはその近くに配置されているが、ほかの実施形態では、延出部592はほかの位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、延出部592は電気的に伝導性であり、延出部592とMEMSデバイスのほかの部分(たとえば第一および第二の電極101,102)との間に電圧差が印加されたときにMEMSデバイスのほかの部分に増大した静電引力を提供し得る。いくつかの実施形態では、反射素子107の上側表面の上方の延出部592の高さは、反射素子107の中央部の厚さの約1/3から約1/2までの範囲にあるが、ほかの高さが使用されてもよい。
【0084】
図12Dは、二つの層510と514と延出部592とを備えている反射素子107の側断面図である。この実施形態では、延出部592は第一の層510の上に配置されているが、それらはほかの実施形態では第二の層514に配置されてもよい。層510と514の厚さと延出部592の高さは、接着力を少なくとも部分的に低減することを支援する好適な電気的および/または構造的特性を提供するように選択することができる。
【0085】
図12A〜12Dに示された構成と配置は、限定であるようには意図されていない。反射素子107のほかの実施形態は、図12A〜12Dに示された特徴の一つ以上を組み合わせてもよいし、異なるように構成されてもよい。多くの変更が可能である。
【0086】
ここに述べた原理にしたがって動作する光干渉変調器の構造の詳細は広く変更してもよい。たとえば、図13A〜13Cは、弛緩状態にあるMEMSデバイスの三つの異なる実施形態を示している。図13Aは、基板層620上に製造された、光学的層624と不伝導層628と機械的層632とを備えているMEMSデバイス600aを示している。基板層620、光学的層624と不伝導層628は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性および特徴を有している。機械的層632は一つ以上の支持ポスト636aと636bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132(図8Aと8B)とほぼ同じ特性を有している。
【0087】
図13Aに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層632と不伝導層628にほぼ平行に間隔を置いて配置されたミラー675を備えている。反射素子107は、ミラー675を機械的層632に機械的に接続している支持体接続677を備えている。図13Aに示された実施形態では、ミラー675と支持体接続677は、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。機械的層632の一部679は電気不伝導物質で構成されており、ミラー675と機械的層632の間の電気的絶縁を提供するように構成されている。この実施形態では、ミラー675は、機械的層632に機械的に接続されているが、電気的に絶縁されている。
【0088】
MEMSデバイスのこの実施形態では、反射素子107のミラー675は電気的に伝導性かつ高反射性であり、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層632の下側表面648は反射性であるように構成されていない。光学的層624は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層632と支持ポスト636aと636bとを備えている。機械的層632は第二の電極102を備えている。図13Aに示されるように、デバイス600の第三の電極103は支持ポスト636a,636bの電気伝導部を備えている。
【0089】
図13A〜13Dに示されたMEMSデバイスのある実施形態では、ミラー675は電気的に伝導性であり、三つの電極101と102と103に依存しない電圧または電流源に連結されている。これらの実施形態では、異なる電圧が光学的層624と機械的層632とミラー675とに印加されて、ミラー面(たとえば反射素子107)の動作がこれらの印加電圧と調整可能な関係を有する調整可能な光干渉キャビティ644を提供する。調整可能なMEMSアーキテクチャーに関するさらなる詳細は、2005年6月3日に提出された「ANALOG INTERFEROMETRIC MODULATOR DEVICE」と題する米国特許出願11/144,546号に提供されており、それは参照によってその全体がここに組み込まれる。
【0090】
電極101と102と103に電圧を印加することによって、MEMSデバイス600aは、第一の位置にあるときの反射素子107とデバイスの一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。電圧は、デバイス600aに中へ実質的に印加されてもよい、接着力の部分的低減を少なくとも達成して一部113からの反射素子107の解放を容易にするようにMEMSデバイス100と200と300と400に関してここに説明したのと実質的に同じ手法によって印加されてよい。
【0091】
図13Bは、後述する点を除いては図13Aに示されたデバイス600aとほぼ同様のMEMSデバイス600bの別の実施形態の側断面図である。この実施形態では、反射素子107が、第二の電極102の方へ延出している一つ以上の延出部692を備えている。延出部692はミラー675の上側表面に配置されてよい。いくつかの実施形態では、ミラー675の形は、図12Cと12Dに示した形状とほぼ同様である。延出部692は第二の電極102(たとえば機械的層632)の方へ突出している。延出部692が第二の電極102に接近しているので、第二の電極102によって延出部692に及ぼされる静電気力がミラー675のほかの部分よりも大きく、第一の位置にあるときの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0092】
図13Cは、後述する点を除いては図13Aと13Bに示されたデバイス600aと600bとほぼ同様のMEMSデバイス600cの別の実施形態の側断面図である。この実施形態では、第二の電極102が、反射素子107の方へ延出している一つ以上の延出部693を有するように構成されてよい。ある実施形態では、延出部693は機械的層632の表面648に配置されている。第二の電極102の延出部693が反射素子107に接近しているので、第二の電極102によって反射素子107に及ぼされる静電気力がより大きく、第一の位置にあるときの反射素子107の解放を容易にし得る。いくつかの実施形態では、第二の電極102と反射素子107の両方がそれぞれ延出部693と692を備えるように構成されている。
【0093】
図13Bと13Cに示されたデバイス600bと600cのいくつかの実施形態では、延出部692および/または693が、たとえば機械的層632の表面648などのデバイス600b,600cのほかの部分との接触からそれらを電気的に絶縁するように不伝導物質で被覆されている。
【0094】
図13Dは、後述する点を除いては図13A〜13Cに示されたデバイス600aと600bと600cとほぼ同様のMEMSデバイス600dの別の実施形態の側断面図である。デバイス600dでは、第三の電極103は、機械的層632の表面648に配置された延出部を備えている。第三の電極103は、たとえば、第三の電極103と第二の電極102との間に不伝導物質の薄い層を設けることによって、第二の電極102(たとえば機械的層632)から電気的に絶縁されている。これらの実施形態では、第三の電極103は、反射素子107により接近して突出しており、それは、第三の電極103によって反射素子107に及ぼされる静電気力を増大させ、反射素子107が第一の位置にあるときの一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0095】
図14は、駆動すなわち動作状態に示されたMEMSデバイス700の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス700は基板層720上に製造されており、光学的層724と不伝導層728と機械的層732とを備えている。基板層720と光学的層724と不伝導層728は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層732は一つ以上の支持ポスト736aと736bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0096】
図14に示された実施形態では、たとえば、機械的層732の下側表面748の一部を高反射にすることによって、反射素子107が機械的層732の反射部で構成されている。この実施形態では、第一の電極101は光学的層724を備えている。支持構造105は機械的層732と支持ポスト736aと736bとを備えている。いくつかの実施形態では、機械的層732の少なくとも一部が電気的に伝導性であり、MEMSデバイス700の第二の電極を備えている。ある実施形態では、支持ポスト736aと736bの一部は電気的に不伝導性であり、機械的層732の一部をデバイス700のほかの部分(たとえば光学的層724)から絶縁している。
【0097】
図14に示されたMEMSデバイス700は、支持ポスト736aと736bの上方に配置され、かつ電気不伝導性領域758aと758bによってデバイス700のほかの部分から電気的に絶縁された電極756aと756bを備えている。いくつかの実施形態では、電気不伝導性領域758a,758bは、たとえば不伝導性膜などの不伝導物質で構成されている。図14に示された実施形態では、第三の電極103は電極756aと756bを備えている。ほかの実施形態の電極756aと756bは、図14に示されたものとは異なる形状とサイズを有することができる。たとえば、電極756aと756bは、いくつかの実施形態に比較的短くてよい。必要でないが、電極756aと756bのおのおのの少なくとも一部が反射素子107の少なくとも一部の上方に配置されていると好ましい。
【0098】
図14は、反射素子107がデバイス700の一部113に接触している反射素子107が第一の位置(動作すなわち駆動状態)にあるときのMEMSデバイス700を概略的に示している。さらに上述したように、反射素子107は、一部113に接触していない第二の位置(非動作すなわち弛緩状態)へ移動することができる。たとえば、機械的層732は、第一および第二の位置間に移動することができる金属(たとえばアルミニウム)などの機械的に変形可能な物質から製造されてよい。デバイス700が駆動状態にあるとき、機械的層732は変形され、曲げ領域760aと760bを備え、それらはそれぞれ一部113と支持ポスト736aと736bとの間に配置される。ある実施形態では、(駆動状態にある)反射素子107もまた変形され、曲げる領域760aと760bをも備えている。
【0099】
デバイス700のいくつかの実施形態では、反射素子107が第一の位置にあるとき、電極756aと756bの少なくとも一部が反射素子107より高く配置される。ある実施形態では、電極756aと756bのおのおのの少なくとも一部が支持ポスト736aと736bから突出して離れており、それらの部分は、反射素子107が第一の位置(図14)にあるとき、反射素子107の少なくとも一部の上方(たとえば、それよりも高く)に配置される。ある好ましい実施形態では、電極756aと756bは、電極756aと756bの少なくとも一部が曲げ領域760aと760bの少なくとも一部のまさに上方にそれぞれ配置されるように構成されている。
【0100】
MEMSデバイス700のいくつかの実施形態では、反射素子107にかかる正味の静電気力が第一の位置の反射素子107にかかる接着力を少なくとも部分的に低減または相殺するように、電極101と102と103に電圧が印加される。さらに上述したように、電圧は、さまざまな範囲の大きさと周波数を有していてよく、また、変位、発振および/または振動を生じさせて、第一の位置から第二の位置へ反射素子107を移動させるのを支援するように印加されてよい。ある実施形態では、電圧差は、第三の電極103(たとえば電極756a,756b)と第二の電極102(たとえば機械的層732の電気伝導部)との間に印加される。電圧差は、さまざまな範囲の大きさと周波数を有することが可能であり、一つ以上の比較的短い持続時間インパルスで構成することができる。さまざまな実施形態では、第三の電極103は、ディスプレイアレイ30のをアレイドライバー22(図2を参照)に導くトレースまたは線によって一つ以上の電源に電気的に接続されている。デバイス700の一実施形態では、アレイドライバー22は、行および列ドライバー回路24および26とほぼ同様のドライバー回路を使用して、好適な電気的信号を第三の電極103に通信してよい。
【0101】
第二および第三の電極102および103の間に印加された電圧差は、矢印764aと764bによって示された正味の静電気力を反射素子107に作用させる。ある好ましい実施形態では、正味の静電気力764aと764bが曲げ領域760aと760bにおいて反射素子107を一部113から引き離そうとする合理的に大きい垂直成分を有するように、電極756aと756bの一部が曲げ領域760aと760bの少なくとも一部のまさに上方に突出している。そのような実施形態では、静電気力764aと764bが接着力を少なくとも部分的に低減または相殺し得、そして、反射素子107を第一の位置から第二の位置に移動させるのを支援し得る。任意の特定の理論を明言することなく、曲げ領域760aにかかる正味の静電気力764aは、反射素子107と一部113との間の接触境界面の端の割れ目を開かせ得る。割れ目は接触境界面を横切って伝搬し得、反射素子107が一部113からはがれて、第一の位置から第二の位置に移動するのを支援する。曲げ領域760bにかかる正味の静電気力764bは同様の仕方で作用し得、ある実施形態では割れ目は接触境界面の両端において開いて広がり、境界面を横切って伝搬し得る。反射素子107にかかる接着力を低減または相殺するために少なくとも二つの電極756aと756bが使用されることが好ましいけれども、ほかの実施形態では、異なる構成や配置や個数(たとえば一つ)の電極が、たとえば、割れ目を開き始め、反射素子107の解放を容易にするために使用することが可能である。
【0102】
MEMSデバイス700の実施形態はある利点を提供することができる。たとえば、駆動から非駆動状態への解放を容易にするために必要な曲げ領域760a,760bにおける静電気力764a,764bの大きさは一般的に、力が反射素子107の中央領域にかけられる場合よりもはるかに小さい。したがって、(たとえば第二および第三の電極102および103間の)より小さな電圧差をデバイス700に印加することができる。さらに、いくつかの実施形態では、電極756aと756bは、機械的層732の静電気不安定と不伝導層728上への崩壊を低減する。それらは、いくつかの閉鎖ギャップデバイスの問題でありえる。さらに、ある実施形態では、駆動状態から非駆動状態への反射素子107の動作を容易にするために、デバイス700の一般的な解放時間よりも短い持続時間を有する電圧インパルスを使用することができる。
【0103】
ここに示したMEMSデバイスは、たとえば先に組み込んだ米国特許出願11/144,546号において説明されているような選択的な堆積とエッチングなどの好適なマイクロマシーニングプロセスを使用して製造され得る。たとえば、図8Aに示されたデバイス100などのMEMSデバイスのある実施形態は、透明または半透明の基板120上に部分的反射性かつ電気伝導層を堆積して光学的層124を設けることによって製造され得る。光学的層124の上に不伝導層128が堆積される。次に、不伝導層128の上に(図8Aに図示しない)犠牲層が堆積される。不伝導層128を露出させる複数の穴を形成するために犠牲層が選択的にエッチングされる。穴は、支持ポスト136aと136bを形成するために、たとえば酸化アルミニウムなどの不伝導物質で充てんされる。ほかの好適な不伝導物質は、ポリマーおよびほかの有機または無機化合物を含んでいる。
【0104】
たとえばアルミニウムなどの伝導性かつ反射性物質が、機械的層132を形成するために、支持ポスト136a,136bと犠牲層との上に堆積される。第三の電極103の電気伝導部を形成するため、ある実施形態では支持ポスト136aの上に開口を形成するために機械的層132が選択的にエッチングされる。穴を形成するために支持ポスト136aの一部が選択的にエッチングされる。穴はいくつかの実施形態では不伝導層128まで延びていてもよい。穴は、第三の電極103の電気伝導部を形成するために、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの伝導物質で充てんされる。
【0105】
その後、犠牲層にエッチング液が与えられ、犠牲層と反応して除去する。その結果、犠牲物質で充てんされた空間は光干渉キャビティ144になり、図8AのMEMSデバイス100が形成される。MEMSデバイス製造の分野では知られているように、追加または別の処理ステップと物質が、ここに示した実施形態にしたがったMEMSデバイスを製造するために使用されてもよい。
【0106】
ある好ましい実施形態と例を上に説明したけれども、発明主題は、具体的に示した実施形態を超えてほかの代替実施形態および/または発明の使用および明白な変更およびそれらの等価物にまで及ぶことが理解される。ここに示した本発明の要旨は具体的に示した実施形態によって限定されるべきものではないことが意図されている。したがって、たとえば、ここに示したあらゆる方法またはプロセスにおいて、方法/プロセスを構築する作用または動作は、任意の好適なシーケンスで行なわれてよく、特定の示したシーケンスに必ずしも限定されない。実施形態のさまざまな観点と利点が、ここに適切に説明された。そのような観点または利点のすべてが、任意の特定の実施形態にしたがって必ずしも達成され得るものではないことを理解すべきである。したがって、たとえば、ここに教示された一つの利点または一群の利点を達成または最適化するが、ここに教示または示唆されたほかの観点または利点を必ずしも達成しない手法で、さまざまな実施形態が実行されてもよいことを認識すべきである。
【0107】
適当な分野の当業者は、本発明の好適な結果を達成しながら、ここに説明した本発明を修正し得ると理解されるべきである。したがって、先の説明は、適当な分野の当業者に向けた広い教示開示であって、本発明を限定するようなものでないと理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械システムデバイスに関し、特に、微小電気機械システムを利用したアナログ、デジタルおよび/または光学的デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)はマイクロメカニカル素子とアクチュエーターと電子機器とを含んでいる。マイクロメカニカル素子は、基板および/または堆積物質層の一部をエッチング除去するか層を追加して電気デバイスや電気機械デバイスを形成する堆積、エッチングおよびまたはほかのマイクロマシーニングプロセスを用いて作り出し得る。MEMSデバイスの一つのタイプは光干渉変調器と呼ばれる。ここに使用する光干渉変調器や光干渉光変調器との用語は、光干渉の法則を使用して光を選択的に吸収および/または反射するデバイスを指す。ある実施形態では、光干渉変調器は一対の伝導プレートを備えていてもよく、その一方または両方は、全体または一部が透明および/または反射的であってもよく、適当な電気信号の印加に対して相対運動可能であってもよい。特定の実施形態では、一方のプレートが基板上に堆積された静止層を備えていてもよく、他方のプレートが空隙によって静止層から分離された金属膜を備えていてもよい。ここに詳細に説明するように、一方のプレートの他方に対する位置は、光干渉変調器への入射光の光干渉を変化させることができる。そのようなデバイスは広範囲の用途を有しており、既存製品を改善してまだ開発されていない新製品を作り出すのにそれらの特徴を利用できるようにこれらのタイプのデバイスの特性を利用および/または修正する技術分野にとって有益であろう。
【発明の概要】
【0003】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスの一実施形態は、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを備えている。MEMSデバイスはまた、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造を備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子を備えている。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。第一の電極と第二の電極と第三の電極とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0004】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスの別の実施形態は、電気を伝導するための第一の手段と、電気を伝導するための第二の手段と、電気を伝導するための第三の手段とを備えており、第二の伝導手段は第一の伝導手段から電気的に絶縁されており、第三の伝導手段は、第一の伝導手段と第二の伝導手段とから電気的に絶縁されている。MEMSデバイスはさらに、第一の伝導手段を第二の伝導手段から分離するための手段を備えている。MEMSデバイスはさらに、光を反射するための手段を備えており、反射手段は第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能である。反射手段は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射手段が第一の位置にあるとき、反射手段と一部との間に接着力が生成される。第一の伝導手段と第二の伝導手段と第三の伝導手段とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0005】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを操作する方法の実施形態は、第一の電極と、第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、第一の電極と第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極とを備えたMEMSデバイスを提供することを備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の電極を第二の電極から分離する支持構造を備えている。MEMSデバイスはさらに、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子を備えている。反射素子は、第一の位置にあるときにはデバイスの一部に接触しており、第二の位置にあるときにはデバイスの一部に接触していない。反射素子が第一の位置にあるとき、反射素子と一部との間に接着力が生成される。方法はさらに、第一の電極と第二の電極と第三の電極とに電圧を印加して接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することを備えている。
【0006】
微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法の実施形態は、基板上に第一の反射層を形成し、第一の反射層の上に犠牲層を形成し、犠牲層の一部を除去して開口を形成し、開口に不伝導物質を充てんしてポストを形成することを備えている。方法はさらに、犠牲層の上に第二の反射層を形成し、第二の反射層の一部とポストの一部とを除去して穴を形成し、穴に伝導物質を充てんして電極を形成し、犠牲層を除去することを備えている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第一の光干渉変調器の可動反射層が弛緩位置にあり、第二の光干渉変調器の可動反射層が動作位置にある光干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部を描く等角投影図である。
【図2】3×3光干渉変調器ディスプレイを包含している電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の光干渉変調器の一つの代表的な実施形態における可動ミラー位置対印加電圧の図である。
【図4】光干渉変調器ディスプレイを駆動するのに使用し得る一組の行および列電圧を示している。
【図5A】図2の3×3光干渉変調器ディスプレイ中の表示データの一つの代表的なフレームを示している。
【図5B】図5Aのフレームを書くために使用され得る行および列信号のための一つの代表的なタイミング図を示している。
【図6A】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の光干渉変調器からなる視覚ディスプレイデバイスの実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】光干渉変調器の代替実施形態の断面図である。
【図7C】光干渉変調器の別の代替実施形態の断面図である。
【図7D】光干渉変調器のまた別の代替実施形態の断面図である。
【図7E】光干渉変調器の追加の代替実施形態の断面図である。
【図8A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの実施形態の側断面図である。
【図8B】動作すなわち駆動状態にある図8Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図9A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの別の実施形態の側断面図である。
【図9B】動作すなわち駆動状態にある図9Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図10A】弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図10B】動作すなわち駆動状態にある図10Aに示されたMEMSデバイスの側断面図である。
【図11A】第三の電極に電圧が印加される前の動作すなわち駆動状態にあるMEMSデバイスの実施形態の一部の側断面図である。
【図11B】第三の電極に電圧が印加された後の図11Aに示されたMEMSデバイスの一部の近接側断面図である。
【図12A】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12B】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12C】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図12D】MEMSデバイス中の反射素子の異なる実施形態の側断面図である。
【図13A】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13B】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13C】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図13D】弛緩状態にあるMEMSデバイスの追加の実施形態の側断面図である。
【図14】動作すなわち駆動状態にあるMEMSデバイスの実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
続く詳細な説明は、本発明のある特定の実施形態に向けられている。しかしながら、本発明は多くの異なる手法で具体化することができる。この説明では、同様の部材は一貫して同様の符号で示して参照符号を図面に付す。続く説明から明らかように、実施形態は、動画(たとえばビデオ)か静止画(たとえばスチル画像)かを問わず、さらに文字か絵かを問わず、画像を表示するように構成されたあらゆるデバイスにおいて実施し得る。特に、実施形態は、これに限定されないが、移動電話や無線デバイス、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、ハンドヘルドまたは携帯型コンピューター、GPSレシーバー/ナビゲーター、カメラ、MP3プレーヤー、カムコーダー、ゲーム機、腕時計、時計、計算機、テレビジョンモニター、フラットパネルディスプレイ、コンピューターモニター、自動ディスプレイ(たとえば走行記録計ディスプレイその他)、コックピットのコントロールやディスプレイ、カメラ視のディスプレイ(たとえば乗り物の背面カメラのディスプレイ)、電子写真、電子の広告板や標識、プロジェクター、建築物、パッケージング、美的構造物(たとえば一つの宝石の画像)など、いろいろな電子デバイスにおいて実施し得るか関連し得ることが予想される。ここに説明したものと同様の構造体のMEMSデバイスは電子スイッチデバイスなどの非ディスプレイ用途において使用することもできる。
【0009】
MEMSデバイスのいくつかの実施形態は、ミラーまたは変形可能な機械的層などの可動素子を備えていてもよい。可動素子は、可動素子がデバイスの一部に接触している第一の位置と、可動素子がデバイスの一部に接触していない第二の位置との間で移動する。第一の位置にあるあいだ、可動素子と接触部分との間に接着力(たとえばスティクション)が生成され得る。したがって、可動素子が第一の位置にある間に接着力が少なくとも部分的に低減または相殺され得るMEMSデバイスおよび操作方法を提供することに好都合かもしれない。ある実施形態では、MEMSデバイスは、可動素子にかかる接着力を少なくとも部分的に低減または相殺するように構成された一つ以上の電極を備えている。一実施形態では、一つ以上の電極に電圧を印加して、接着力を部分的に相殺する静電気力を与えてよい。ほかの実施形態では、接着力が生成される接触領域を低減するように、時変電圧を使用して可動素子を弾性的に変形または振動させてもよい。ある実施形態では、接着力が低減されるように、時変電圧が可動素子を振動または共振させてもよい。
【0010】
光干渉MEMSディスプレイ素子を備えた一つの光干渉変調器ディスプレイ実施形態を図1に示す。これらのデバイスでは、画素は明暗状態のいずれかにある。明(「オン」または「開放」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光の大部分をユーザーへ反射する。暗(「オフ」または「閉鎖」)状態では、ディスプレイ素子は、入射可視光をユーザーへほとんど反射しない。実施形態によっては、「オン」状態と「オフ」状態の光反射特性は逆であってもよい。MEMS画素は、白黒に加えてカラー表示を考慮し、特定の色で主に反射するように構成することが可能である。
【0011】
図1は、視覚ディスプレイの一連の画素中の二つの隣接画素を描いた等角投影図であり、各画素はMEMS光干渉変調器を備えている。いくつかの実施形態では、光干渉変調器ディスプレイは、これらの光干渉変調器の行/列アレイを備えている。各光干渉変調器は、互いに可変かつ制御可能な距離に位置する一対の反射層を含んでおり、少なくとも一つの可変次元をもつ共振光学キャビティを形成している。一実施形態では、一方の反射層が二つの位置の間で移動され得る。第一の位置(ここでは弛緩位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層から比較的大きな距離に位置している。第二の位置(ここでは動作位置と呼ぶ)では、可動反射層は、固定部分反射層に隣接し密接して位置している。二つの層から反射する入射光は、可動反射層の位置に応じて強め合ってまたは弱め合って干渉し、各画素について全体反射状態または非反射状態のいずれかを作り出す。
【0012】
図1の画素アレイの図示部分は二つの隣接する光干渉変調器12aと12bを含んでいる。左側の光干渉変調器12aでは、可動反射層14aは光学スタック16aからの所定距離の弛緩位置に図示されており、光学スタック16aは部分的反射層を含んでいる。右側の光干渉変調器12bでは、可動反射層14bは光学スタック16bに隣接する動作位置に図示されている。
【0013】
光学スタック16aと16b(光学スタック16と総称する)は、ここに参照するように、一般にいくつかの融合層からなり、それらは、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分的反射層、透明不伝導体を含み得る。したがって、光学スタック16は、電気的に伝導性で、部分的に透明で、部分的に反射的であり、たとえば透明基板20上に上記の層の一つ以上を堆積することにより作られ得る。部分的反射層は、さまざまな金属、半導体および不伝導体などの部分的に反射するさまざまな物質から作ることができる。部分的反射層は、一以上の物質の層で作ることができ、層のおのおのは単一の物質または複数の物質の組み合わせで作ることができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、光学スタックの層は平行ストリップにパターニングされ、後述するようにディスプレイデバイス中の行電極を形成し得る。可動反射層14a,14bは、ポスト18の上面およびポスト18間に堆積された介在犠牲物質の上に堆積された(行電極16a,16bに直交する)一つまたは複数の堆積金属層の一連の平行ストリップとして形成してもよい。犠牲物質をエッチング除去すると、可動反射層14a,14bが光学スタック16a,16bから規定間隙19だけ分離される。アルミニウムなどの高伝導反射物質を反射層14に使用してもよく、これらのストリップがディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。
【0015】
印加電圧がないとき、図1の画素12aに示すように、可動反射層14aと光学スタック16aとの間にキャビティ19が残り、可動反射層14aは機械的弛緩状態にある。しかしながら、選択した行と列に電位差を印加すると、対応する画素の行電極と列電極の交差により形成されたコンデンサーがチャージされ、静電力が電極同士を引き寄せる。電圧が十分に高ければ、可動反射層14が変形し、光学スタック16に押し付けられる。図1の右側の画素12bに示されるように、光学スタック16内の(この図には示していない)不伝導体層が短絡するのを防止するとともに層14と層16との間の分離距離を制御し得る。その振る舞いは印加電位差の極性にかかわらず同じである。このように、反射対非反射画素状態を制御することができる行/列動作は、従来のLCDやほかのディスプレイ技術で使用される行/列動作に多くの点で類似している。
【0016】
図2〜5Bは、表示用途の光干渉変調器のアレイを使用するための一つの代表的なプロセスとシステムを示している。
【0017】
図2は、本発明の観点を組み込んでよい電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。この代表的な実施形態では、電子デバイスは、ARMやPentium(登録商標)、Pentium II(登録商標)、Pentium III(登録商標)、Pentium IV(登録商標)、Pentium(登録商標) Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)などの任意の汎用シングルまたはマルチチップマイクロプロセッサー、またはデジタルシグナルプロセッサーやマイクロコントローラー、プログラマブルゲートアレイなどの任意の専用マイクロプロセッサーであってもよいプロセッサー21を含んでいる。この分野で一般に行なわれているように、プロセッサー21は一つ以上のソフトウェアモジュールを実行するように構成され得る。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサーは、ウェブブラウザや電話アプリケーション、電子メールプログラム、ほかのソフトウェアアプリケーションを含め、一つ以上のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。
【0018】
一実施形態では、プロセッサー21もアレイドライバー22と通信するように構成されている。一実施形態では、アレイドライバー22は、ディスプレイアレイすなわちパネル30に信号を供給する行ドライバー回路24と列ドライバー回路26を含んでいる。図1に示したアレイの断面は図2の1−1線によって示されている。MEMS光干渉変調器については、行/列動作プロトコルは、図3に示したデバイスのヒステリシス特性を利用してよい。可動層を弛緩状態から動作状態まで変形させるにはたとえば10ボルトの電位差を必要としてよい。しかしながら、電圧がその値から低下するとき、電圧が10ボルト未満に降下する際、可動層はその状態を維持する。図3の代表的な実施形態では、電圧が2ボルト未満の降下するまで可動層は完全に弛緩しない。したがって、デバイスが弛緩または動作状態で安定している印加電圧の窓が存在する電圧の範囲(図3に示した例では約3〜7V)がある。ここでは、これを「ヒステリシス窓」または「安定窓」と呼ぶ。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイは、行ストロービングのあいだ、ストローブされた行中の動作されるべき画素が約10ボルトの電圧差にさらされ、弛緩されるべき画素が0ボルト近くの電圧差にさらされるように、行/列動作プロトコルを設計することが可能である。ストローブの後、画素は、行ストローブによっておかれた状態のままであるように、約5ボルトの定常状態電圧差にさらされる。書き込み後、各画素は、この例の3−7ボルトの「安定窓」内の電位差にある。この特徴は、図1に示した画素設計を同じ印加電圧状態の下で動作または弛緩の事前状態のいずれかに安定にする。光干渉変調器の各画素は、動作状態であれ弛緩状態であれ、実質的に固定反射層と可動反射層によって形成されるコンデンサーであるので、この安定状態は、ほとんど消費電力を伴わないヒステリシス窓内の電圧で保持することができる。印加電位が固定されていれば、実質的に電流は画素に流れ込まない。
【0019】
一般的アプリケーションでは、表示フレームは、第一行中の動作画素の所望のセットにしたがって列電極のセットをアサートすることにより作り出してよい。次に行パルスを行1電極に印加し、アサートされた列線に対応する画素を動作させる。次に列電極のアサートされたセットを変更し、第二行中の動作画素の所望のセットに対応させる。次にパルスを行2電極に印加し、行2中の適当な画素をアサートされた列電極にしたがって動作させる。行1画素は行2パルスに影響されず、行1パルスのあいだに設定された状態のままである。これを一連の行の完全にわたり順次に繰り返してフレームを生成してよい。一般に、フレームは、毎秒所望のフレーム数でこのプロセスを絶えず繰り返すことにより、新しい表示データでリフレッシュおよび/またはアップデートされる。表示フレームを生成するために画素アレイの行電極と列電極を駆動するための種々いろいろなプロトコルもまた周知であり、これは本発明と共に使用してよい。
【0020】
図4と5Aと5Bは、図2の3×3アレイに表示フレームを作り出すための一つの可能な動作プロトコルを示している。図4は、図3のヒステリシス曲線を示す画素に使用してよい列と行の電圧レベルの可能なセットを示している。図4の実施形態において、画素を動作させることは、適当な列を−Vbiasに、適当な行を+ΔVにセットすることを含んでおり、それらは、それぞれ、−5ボルトと+5ボルトに一致していてもよい、
画素を弛緩させることは、適当な列を+Vbiasに、適当な行を同じ+ΔVにセットして、画素の両端にゼロボルト電位差を生成することより実施する。行電圧がゼロボルトに保持される行では、画素は、列が+Vbiasか−Vbiasかにかかわらず、それらがもとあった状態で安定している。また図4に示すように、上述したほかに逆極性の電圧を使用することができること、たとえば、画素を動作させることが適当な列を+Vbiasに、適当な行を−ΔVにセットすることを含み得ることもわかるであろう。本実施形態では、画素を解放することは、適当な列を−Vbiasに、適当な行を−ΔVにセットして、画素の両端にゼロボルト電位差を生産することにより実施する。
【0021】
図5Bは、図5Aに示したディスプレイ配列をもたらす図2の3×3アレイに印加する一連の行および列信号を示しているタイミング図であり、ここで動作画素は非反射である。図5Aに示したフレームを書き込む前に、画素は任意の状態であってもよく、この例では、すべての行が0ボルト、すべての列が+5ボルトにある。これらの印加電圧では、すべての画素はそれらの既存の動作状態または弛緩状態で安定している。
【0022】
図5Aのフレーム中では、画素(1,1)と(1,2)、(2,2)、(3,2)、(3,3)が動作される。これを実施するため、行1の「線時間」のあいだ、列1と列2は−5ボルトにセットし、列3は+5ボルトにセットする。これは任意の画素の状態を変更しない。なぜなら、すべての画素は3〜7ボルトの安定窓にあるままであるからである。次に行1を、0から5ボルトまで上がってゼロに戻るパルスでストローブする。これは(1,1)と(1,2)画素を動作させ、(1,3)画素を弛緩させる。アレイ内のほかの画素は影響されない。行2を望むようにセットするため、列2を−5ボルトにセットし、列1と列3を+5ボルトにセットする。次に行2に印加した同じストローブは、画素(2,2)を動作させ、画素(2,1)と(2,3)を弛緩させる。再び、アレイ内のほかの画素は影響されない。列2と列3を−5ボルトに、列1を+5ボルトにセットすることにより行3を同様にセットする。行3のストローブは図5Aに示すように行3の画素をセットする。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロになり、列電位は+5または−5ボルトの一方のままとなることが可能であり、ディスプレイは次に図5Aの配列で安定する。多数すなわち何百もの行と列に対して同じ手順を使用することが可能であることがわかるであろう。行と列の動作を実施するのに使用される電圧のタイミングとシーケンスとレベルは、上に概説した一般的な原理の範囲内で広く変えることが可能であり、上述の例は代表的なだけであり、任意の動作電圧方法もここに説明したシステムと方法で使用することが可能である。
【0023】
図6Aと6Bは、ディスプレイデバイス40の実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40はたとえば携帯(移動)電話とすることができる。しかしながら、ディスプレイデバイス40またはそれの少しの変形の同じコンポーネントは、テレビやポータブルメディアプレイヤーなどのさまざまなタイプのディスプレイデバイスの例ともなる。
【0024】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41とディスプレイ30とアンテナ43とスピーカー45と入力デバイス48とマイクロホン46とを含んでいる。ハウジング41は一般に、射出成形と真空成形を含む、当業者に周知ないろいろな製造プロセスのいずれかから形成される。さらに、ハウジング41は、これらに限定されないが、プラスチックや金属、ガラス、ゴム、陶器、またはそれらの組み合わせを含む、いろいろな物質のいずれかから作られ得る。一実施形態では、ハウジング41は、異なる色のまたは異なるロゴや絵や記号を有しているほかの着脱部と交換されてよい(図示しない)着脱部を含んでいる。
【0025】
代表的なディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、ここに説明するように、双安定ディスプレイを含むいろいろなディスプレイのいずれかであってもよい。ほかの実施形態では、ディスプレイ30は、当業者に周知なように、プラズマやEL、OLED、STN LCD、上述したTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、またはCRTやほかのチューブデバイスなどの非フラットパネルディスプレイを含んでいる。しかしながら、本実施形態を説明する目的のため、ディスプレイ30は、ここに説明するように、光干渉変調器ディスプレイを含んでいる。
【0026】
代表的なディスプレイデバイス40の一実施形態のコンポーネントを図6Bに概略的に示す。図示の代表的なディスプレイデバイス40はハウジング41を含んでおり、その中に少なくとも部分的に囲まれた追加コンポーネントを含むことができる。たとえば、一実施形態では、代表的なディスプレイデバイス40は、トランシーバー47に接続されるアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含んでいる。トランシーバー47はプロセッサー21に連結されており、それはコンディショニングハードウェア52に連結されている。コンディショニングハードウェア52は信号を整える(たとえば信号をフィルター処理する)ように構成され得る。コンディショニングハードウェア52はスピーカー45とマイクロホン46に連結されている。プロセッサー21も入力デバイス48とドライバーコントローラー29に連結されている。ドライバーコントローラー29はフレームバッファ28とアレイドライバー22に接続され、これはさらにディスプレイアレイ30に接続されている。電源50は、特定の代表的なディスプレイデバイス40設計によって必要とされるすべてのコンポーネントにパワーを供給する。
【0027】
ネットワークインターフェース27は、代表的なディスプレイデバイス40がネットワーク上の一つ以上のデバイスと通信できるように、アンテナ43とトランシーバー47を含んでいる。一実施形態では、ネットワークインターフェース27はまたいくつかの処理容量を有し、プロセッサー21の要件を取り除いてもよい。アンテナ43は、信号の送受信用の当業者に周知の任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)や(b)や(g)を含むIEEE 802.11規格によってRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナはBLUETOOTH(登録商標)規格によりRF信号を送受信する。携帯電話の場合、アンテナは、無線セル電話ネットワーク内で通信するために使用されるCDMAやGSM(登録商標)、AMPS、ほかの既知信号を受信するように設計されている。トランシーバー47はアンテナ43から受信した信号を、それらがプロセッサー21によって受信されさらに操作され得るように前処理する。トランシーバー47はまたプロセッサー21から受信した信号を、それらがアンテナ43を介して代表的なディスプレイデバイス40から送信され得るように処理する。
【0028】
代替実施形態では、トランシーバー47はレシーバーと交換することが可能である。また別の代替実施形態では、ネットワークインターフェース27は像源と取り替えることが可能であり、像源はプロセッサー21に送る画像データを記憶または生成することができる。たとえば、像源は、画像データを収容したデジタルビデオディスク(DVD)やハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールとすることができる。
【0029】
プロセッサー21は一般に、代表的なディスプレイデバイス40の動作全体を制御する。プロセッサー21は、ネットワークインターフェース27や像源からの圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを行画像データに、または行画像データへ容易に処理されるフォーマットに処理する。次にプロセッサー21は処理したデータを記憶のためにドライバーコントローラー29またはフレームバッファ28へ送る。生データは、一般に画像内の各位置における画像特性を識別する情報を指す。たとえば、そのような画像特性は、色と彩度とグレースケールレベルを含み得る。
【0030】
一実施形態では、プロセッサー21は、マイクロコントローラーまたはCPU、論理演算装置を含み、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御する。コンディショニングハードウェア52は、スピーカー45に信号を送信するために、またマイクロホン46から信号を受信するために、一般に増幅器とフィルターを含んでいる。コンディショニングハードウェア52は代表的なディスプレイデバイス40内のディスクリートコンポーネントであってもよく、またはプロセッサー21やほかのコンポーネント内に組み込まれていてもよい。
【0031】
ドライバーコントローラー29は、プロセッサー21によって生成された行画像データをプロセッサー21から直接またはフレームバッファ28からとり、アレイドライバー22への高速伝送のために行画像データを適切に再フォーマットする。具体的には、ドライバーコントローラー29は行画像データを、ラスター状フォーマットを有するデータ流れに再フォーマットし、それは、ディスプレイアレイ30を横切って走査するのに適した時間順序を有している。次にドライバーコントローラー29はフォーマットした情報をアレイドライバー22に送る。LCDコントローラーなどのドライバーコントローラー29はしばしばスタンドアロンの集積回路(IC)としてシステムプロセッサー21に付随されるが、そのようなコントローラーは多くの手法によって実現されてよい。それらはハードウェアとしてプロセッサー21に埋め込まれても、ソフトとしてプロセッサー21に埋め込まれても、アレイドライバー22にハードウェアに完全に集積されてもよい。
【0032】
一般に、アレイドライバー22はドライバーコントローラー29からフォーマットされた情報を受信し、ビデオデータを、ディスプレイのx−yマトリックスの画素から来る何百もの時には何千ものリードに毎秒何度も印加される波形の並列セットに再フォーマットする。
【0033】
一実施形態では、ドライバーコントローラー29とアレイドライバー22とディスプレイアレイ30は、ここに説明したディスプレイのどのタイプにも適切である。たとえば、一実施形態では、ドライバーコントローラー29は、従来のディスプレイコントローラーや双安定ディスプレイコントローラー(たとえば光干渉変調器コントローラー)である。別の実施形態では、アレイドライバー22は、従来のドライバーや双安定ディスプレイドライバー(たとえば光干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバーコントローラー29はアレイドライバー22に集積されている。そのような実施形態は、携帯電話、時計、ほかの小面積ディスプレイなどの高集積システムに共通している。また別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、一般的なディスプレイアレイや双安定ディスプレイアレイ(たとえば光干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
【0034】
入力デバイス48は、ユーザーが代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するのを可能にする。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードや電話キーパッドなどのキーパッドや、ボタン、スイッチ、タッチセンシティブスクリーン、感圧または感熱膜を含んでいる。一実施形態では、マイクロホン46は代表的なディスプレイデバイス40用の入力デバイスである。マイクロホン46を使用してデバイスにデータを入力するとき、代表的なディスプレイデバイス40の動作を制御するためにユーザーがボイスコマンドを与えてもよい。
【0035】
この分野で周知なように、電源50はいろいろなエネルギー蓄積デバイスを含み得る。たとえば、一実施形態では、電源50は、ニッケル−カドミウム電池やリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能エネルギー源とコンデンサー、プラスチック太陽電池と太陽電池ペイントを含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は壁付コンセントからパワーを受け取るように構成されている。
【0036】
いくつかの実施においては、上述したように、電子ディスプレイシステムのいくつかの位置に配置することが可能であるドライバーコントローラーに、制御プログラム化が存在する。いくつかのケースでは、制御プログラム化はアレイドライバー22に存在する。たくさんのハードウェアおよび/またはソフトウェアコンポーネントおよびさまざまな構成に対して上述した最適化が実現されてよいことは当業者であればわかるであろう。
【0037】
上述した原理にしたがって動作する光干渉変調器の構造の詳細は広く変更されてよい。たとえば、図7A〜7Eは、可動反射層14をその支持構造の5つの異なる実施形態を示している。図7Aは図1の実施形態の断面図であり、金属物質14のストリップが直交して延びている支持体18上に堆積されている。図7Bでは、可動反射層14がつなぎ32によってコーナーだけで支持体に取り付けられている。図7Cでは、可動反射層14が変形可能層34からつるされており、変形可能層34は可撓性金属で構成され得る。変形可能層34は、直接または間接的に、変形可能層34の周囲の周りの基板20に連結している。これらの接続はここでは支持ポストと呼ぶ。図7Dに示した実施形態は、その上に変形可能層34が横たわる支持ポストプラグ42を有している。図7A〜7Cのように、可動反射層14はキャビティの上につるされるが、変形可能層34は、変形可能層34と光学スタック16の間の穴を満たすことにより、支持ポストを形成しない。むしろ、支持ポスト18は平坦化物質で作られ、それは支持ポストプラグ42を形成するために使用される。図7Eに示す実施形態は、図7Dに示した実施形態に基づくが、図示しない追加の実施形態と同様に、図7A〜7Cに示した実施形態のいずれに適用してもよい。図7Eに示した実施形態では、金属またはほかの伝導物質の追加層がバス構造44を形成するために使用された。これは信号を光干渉変調器の背面に沿って転送するのを可能にし、さもなければ基板20上に形成されなければならないであろう多くの電極を取り除く。
【0038】
図7に示した実施形態では、光干渉変調器は直視型デバイスとして機能し、画像は透明基板20の正面側つまり変調器が配置される側の反対側から見られる。これらの実施形態では、変形可能層34を含め、反射層14は、基板20に対向する反射層の側にある光干渉変調器の部分を光学的に遮へいする。これは、遮へい領域が像品質に悪影響を与えずに構成され動作されることを可能にする。そのような遮へいは、図7Eのバス構造44を可能にし、それは、アドレシングおよびそのアドレシングに起因する動作など、変調器の電気機械の特性から変調器の光学的性質を分離する能力を提供する。この分離可能な変調器アーキテクチャーは、変調器の電気機械的観点と光学的観点のために使用される構造設計と物質が互い独立に選択され機能することを可能にする。さらに、図7C〜7Eに示した実施形態は、機械的特性からの反射層14の光学的特性の非干渉を得るという追加の利点を有し、それは変形可能層34によって実現される。これは、反射層14に使用する構造設計と物質を光学的特性に対して最適化し、また変形可能層34に使用する構造設計と物質を所望の機械的特性に対して最適化すること可能にする。
【0039】
いま、本発明の観点のいくつかを包含するMEMSデバイスの実施形態について図8Aと8Bを参照しながら説明する。MEMSデバイス100は、第一の電極101と、第一の電極101から電気的に絶縁された第二の電極102と、第一の電極101と第二の電極102とから電気的に絶縁された第三の電極103とを備えている。MEMSデバイス100はさらに、第一の電極101を第二の電極102から分離する支持構造105を備えている。MEMSデバイス100はさらに、(図8Bによって概略的に示される)第一の位置と(図8Aによって概略的に示される)第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子107を備えている。第一の位置では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触している。第二の位置では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触していない。反射素子107が第一の位置にあるとき、反射素子107とデバイス100の一部113との間に接着力が生成される。第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。
【0040】
図8Aは、弛緩すなわち非動作状態にあるMEMSデバイス100の実施形態の側断面を示している。図8Bは、動作すなわち「駆動」状態にあるMEMSデバイス100の側断面を示している。MEMSデバイス100は透明または半透明の基板層120上に形成されてよい。それは一実施形態ではガラスであってよい。光学的層124は基板層120上に堆積されてよい。光学的層124は部分的に透明または半透明かつ光に対して部分的に反射的であってよく、たとえば、おのおのがクロムとインジウムスズ酸化物の一つ以上の層を堆積することによって製造されてよい。いくつかの実施形態では、光学的層124の少なくとも一部は電気的に伝導性であり、MEMSデバイス100の第一の電極101を備えている。光学的層124は実質的に平行ストリップにパターニングされてよく、ここに説明するようにディスプレイデバイスの行電極を形成してよい。いくつかの実施形態では、不伝導層128は光学的層124の上に形成されてよく、酸化物などのさまざまな透明または半透明の物質で構成されてよい。
【0041】
ある実施形態では、不伝導層128の上に支持構造105が配置されている。支持構造105は、機械的層132と、一つ以上の支持ポスト136a,136bとを備えていてよい。図8Aと8Bに概略的に示されるように、ある実施形態では、機械的層132は反射素子107を備えており、支持構造105は、反射素子107が実質的に面平行かつ間隔を置いた配置で不伝導層128に面するように構成されている。反射素子107と不伝導層128とがそれらの間のキャビティ144を規定する。
【0042】
いくつかの実施形態では、機械的層132の少なくとも一部は電気的に伝導性であり、MEMSデバイス100の第二の電極102を備えている。機械的層132は実質的に平行ストリップにパターニングされてよく、ここに説明するようにディスプレイデバイスの列電極を形成してよい。機械的層132は、金属などの変形可能かつ高伝導性かつ反射性物質から製造されてもよい。それはいくつかの実施形態ではアルミニウムであってよい。いくつかの実施形態では、支持ポスト136a,136bの一部は電気的に不伝導性であり、機械的層132をデバイス100のほかの部分(たとえば光学的層124)から絶縁する。支持ポスト136a,136bの不伝導部は、たとえば酸化アルミニウムなどの不伝導物質で構成されてよい。不伝導層128はまた、機械的層132を光学的層124から電気的に絶縁する役目もする。
【0043】
図8Aに示されるように、ある実施形態では、支持ポスト136aの少なくとも一つが第三の電極103を備えている。第三の電極103は、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの電気伝導物質から製造されてよい。支持ポスト136aの電気不伝導部は、第一の電極101と第二の電極102とから第三の電極103を絶縁してよい。支持ポスト136aの電気不伝導部は不伝導物質で構成されてよい。
【0044】
ある実施形態では、図8Aと8Bに示されるように、機械的層132は機械的に変形可能な物質で構成されている。図1を参照しながらここに説明するように、機械的層132は、第一の電極101(たとえば光学的層124)と第二の電極102(たとえば機械的層132)との間の電圧差を印加することによって弛緩状態から駆動状態に移動されてよい。電圧差がしきい値を超えると、図8Bに示されるように、静電気力が機械的層132を不伝導層128に接触するまで変形させ移動させる。不伝導層128は、駆動状態において光学的層124と機械的層132との間が短絡することを防止し、駆動状態中の接触から光学的層124と機械的層132への損害を防止してよい。さらに、不伝導層128の厚さを使用して、弛緩および駆動状態間で機械的層132が移動する距離を制御してよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、機械的層132の一部が反射素子107を備えるように構成されてよい。たとえば、機械的層132の下側表面148の一部が高反射に作られてよい。反射素子107は、少なくとも弛緩状態(図8A)の第二の位置と駆動状態(図8B)の第一の位置との間を移動するように構成されている。ある実施形態の駆動状態では、反射素子107が、図8Bに示されるようにデバイス100の一部113に接触している。
【0046】
図1を参照ながらここにさらに説明するように、デバイス100は「光干渉変調器」として動作してよい。非駆動状態では、基板層120の表面152への入射光は透過されてキャビティ144に入る。キャビティ144の高さに依存し、機械的層132の位置によって決まる、キャビティ144内の干渉は、ある波長の光が反射され、ほかの波長の光が吸収されるようにする。反射光が電磁スペクトルの可視部にあれば、基板の表面152は反射波長に対応する色を表示する。対照的に、駆動状態では、キャビティ144の高さは非駆動状態よりもはるかに小さく(たとえば反射素子107は不伝導層128に接触しており)、デバイス100は実質的に入射光のすべてを、または少なくとも実質的に入射可視光のすべてを吸収する。駆動状態では、基板の表面152は黒を表示する。キャビティ144のサイズと高さを好適に構成することによって、デバイス100を使用して画像表示デバイス中の画素を形成し得る。
【0047】
駆動状態では、反射素子107がデバイス100の一部113に接触しており、それによって、反射素子107と一部113との間に接着力を生成する。たとえば、図8Bに示された実施形態では、接着力は、機械的層132の変形部に不伝導層128に接着させようとする。
【0048】
接着力は、たとえば、毛細管、静電気またはファンデルワールス力またはほかの分子間力などの力によって引き起こされてよい。接着力は、たとえば、使用物質と、デバイス100中の構造体の形状と配置と構成と、接触面の粗さと、周囲湿度および圧力とを含む一連の要因に依存する。接着力は、たとえば、大きな加速を伴うインパルス運動またはより緩やかな準静的運動を通してデバイス100内の構造体を動作する手法に依存してもよい。「スティクション」は、ここに説明する接着効果のいくつかを含み得る一般的に使用される用語である。
【0049】
デバイス100を動作させまた動作を止めるプロセスについて図3を参照しながらここに説明する。機械的層132と光学的層124との間に電圧差が印加されてよい。図3に示されるように、電圧差が第一のしきい値を超えて増加したとき、静電気力が機械的層132を弛緩状態(図8A)から駆動状態(図8B)へ変形させる。電圧差が減少されたとき、電圧差が第二のしきい値を下回るまで、デバイス100は駆動状態のままでいる。第二のしきい値において、機械的層132と光学的層124との間で引き合う静電気力が、機械的層132を弛緩状態に戻そうとする機械的復元力より小さくなる。したがって、電圧が第二のしきい値を下回ったとき、反射素子107は、それが接触していた一部113から「解放」する。図3の見本実施形態では、第一のしきい値電圧は約8ボルトであり、第二のしきい値電圧は約2ボルトである。図4は、この動作および解放サイクルを通してMEMSデバイス100を駆動するのに使用される「動作プロトコル」の一実施形態を示している。
【0050】
接着力は、この動作および解放サイクルの性質を変え得る。MEMSデバイス100のいくつかの実施形態では、反射素子107と、反射素子107に接触しているデバイス100の一部113との間の接着力は、電圧差が第二のしきい値を下回ったときに反射素子107の解放を接着が抑制またはいくつかの場合に防止するほど十分に大きくてよい。したがって、部分的に低減するか接着力を相殺するアーキテクチャーを提供することに好都合である。
【0051】
MEMSデバイス100のある実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が、反射素子107がデバイス100の一部113に接触している(たとえば図8Bに示される第一の位置にある)あいだの接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。図8Aと8Bに示された実施形態では、支持ポスト136aが第三の電極103を備えている。第三の電極103は、第一の電極101(図8Aと8Bの光学的層124)と第二の電極102(図8Aと8Bの機械的層132)とから電気的に絶縁されている。そのようなある実施形態では、第三の電極103に印加された電圧が第二の電極102に静電気力156(たとえば機械的層132を第三の電極103の方へ引き寄せる力)を生成する。デバイス100が(図8Bに示された)第一の位置にあるとき、反射素子107と一部113との間の接着力を静電気力156が少なくとも部分的に相殺し得る。
【0052】
図8Bに示されるように、静電気力156は平行力成分160と垂直力成分164とに分解することができる。ここに使用するように、用語「平行力成分」または「平行成分」は、第一の位置にあるあいだの反射素子107に接触しているデバイス100の一部113を含む平面にほぼ平行である静電気力156の成分を指す。用語「平行方向」または「平行」は平行力成分160の方向を指す。ここに使用するように、用語「垂直力成分」または「垂直成分」は、第一の位置にあるあいだの反射素子107に接触しているデバイス100の一部113を含む平面にほぼ垂直である静電気力156の成分を指す。用語「垂直方向」または「垂直」は垂直力成分164の方向を指す。垂直方向は平行方向に九十度の角度にある。
【0053】
任意の特定の理論を明言することなく、静電気力156は少なくともいくつかの理由によって接着力を少なくとも部分的に低減または相殺し得る。たとえば、デバイス100のいくつかの実施形態では、平行力成分160は矢印168によって示された方向に機械的層132を付勢する。この付勢は、反射素子107とデバイス100の一部113との間の接着力の少なくともある程度原因である分子間結合または力を低減するか無力化し得る。これらのまたはほかの実施形態では、垂直力成分164は、同様に矢印172によって示された方向に機械的層132の領域を付勢し、それはまた接着力の少なくともある程度原因である分子間結合または力を低減するか無力化し得る。いくつかの実施形態では、平行力成分160は機械的層132の少なくとも一部を矢印168の方向に滑らせ、それは接着力を低減し、また矢印172の方向への機械的層132の移動を可能にし得る。さらに、ある実施形態では、垂直力成分164は、反射素子107の一つ以上の領域が矢印172の方向に変位されるようにする。変位されたすなわち「引き離された」領域は、デバイス100の一部113との接触を失い、それは接着力を少なくとも部分的に低減する。ほかの実施形態では、垂直力成分172は、機械的層132の弾性変形を引き起こし、それは、反射素子107が一部113に接触している領域を低減し得る。一般に、接着力は接触領域の低減に比例して低減される。またほかの実施形態では、接着力は、上述した物理的効果の任意の一つ以上の組み合わせによって低減または相殺される。ほかの実施形態では、現在知られているまたは発見されるべき追加の理由によって静電気力156が接着力を低減または相殺し得、請求する本発明の要旨はここに述べた理由によって限定されるものではないことがわかる。
【0054】
いくつかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧の一つ以上が時変電圧を含んでいてよい。時変電圧は、静電気力156の大きさおよび/または方向をも時変させてよい。静電気力156の時間的な変化は、デバイス100(図8B)の一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。ある実施形態では、時変電圧は、短い一過性持続時間の一つ以上の電圧パルス、たとえば一つ以上のインパルスを含んでいる。ある実施形態のインパルスは反射素子107にほぼ平行な成分を有するが、ほかの実施形態では、インパルスは反射素子107にほぼ垂直な成分を有する。そのようなある実施形態では、一つ以上のインパルスは、接着力が低減され、反射素子107が一部113から解放される反射素子107の十分に大きな加速を生成してよい。ほかの実施形態では、一つ以上のインパルスは反射素子107の一部が弾性変形を受けるようにしてよく、それは、上述したように、一部113との接触領域を低減し、それにより接着力を低減し得る。
【0055】
図8Aと8Bに示されたMEMSデバイス100のほかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧の一つ以上が、周波数を有する時変電圧を含んでいる。たとえば、一実施形態では、時変電圧は、その周波数で振動する正弦波成分を含んでいてよい。ほかの実施形態では、時変電圧は、その周波数に中心を置く周波数帯域を備えた電圧を含んでいてもよい。ある実施形態では、時変電圧は反射素子107の一部が弾性振動を受けるようにし、それは、反射素子が第一の位置(図8B)にあるあいだの接着力を少なくとも部分的に低減し得る。そのようなある実施形態では、弾性振動は、デバイス100の一部113に接触している反射素子107の領域を低減し、それにより接着力を低減する。これらのある実施形態のほかでは、反射素子107の弾性振動が、一部113の加速を振動的に引き起こし、それは、接着力の原因である分子間力をある程度低減し得る。
【0056】
周知なように、強制周波数で振動する力が機械的システムに印加されたとき、機械的システムは、力の大きさに正比例した振幅を有する弾性振動を受ける。強制周波数が機械的システムの機械的共振周波数と等しいと、弾性振動の振幅は最大になる。MEMSデバイス100のいくつかの実施形態では、電極101と102と103の少なくとも一つに印加された時変電圧の周波数は、反射素子107の機械的共振周波数と実質的に等しくなるように選択される。そのような実施形態では、時変電圧は、接着力を低減し図8Bに示された第一の位置からの反射素子107の解放を容易にするように実質的振幅を有する弾性発振または振動を反射素子107に生じさせる。そのようなほかの実施形態では、接着力を低減するのに有効である十分な振幅で反射素子107が弾性振動を受けるように、時変電圧の周波数が選択される。これらの実施形態のいくつかでは、接着力を低減するに有効である周波数は反射素子107の機械的共振周波数と異なってよい。
【0057】
さまざまな範囲の大きさと周波数の電圧を、第一の電極101、第二の電極102および/または第三の電極103に印加して、接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。この分野の当業者は、MEMSデバイス100の任意の構成に対して電圧の好適な大きさと周波数を計算することができることを認めるであろう。たとえば、ある実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103との少なくとも一つに印加される電圧は、約10ボルトから約50ボルトまでの範囲中の大きさと、約100Hzから約10MHzまでの範囲中の周波数とを有する。しかしながら、これらの例示的範囲は、好適な大きさと周波数の可能な範囲についての制限であることは意図しておらず、ほかの実施形態では異なる大きさと周波数が使用される。
【0058】
ここに述べた原理にしたがって動作するMEMSデバイスの第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加される電圧の詳細は広く変更してよい。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに説明した例とは異なっていてもよく、それは、例として役立つように意図されたものであり、請求された本発明の要旨を制限するように意図されたものではない。たとえば、印加電圧の大きさや継続時間、周波数、印加の順序、ほかの特性は広く異なっていてよい。ほかの多くの電圧の組み合わせがMEMSデバイス200の異なる実施形態に可能である。
【0059】
図9Aと9Bは、弛緩状態(図9A)と駆動状態(図9B)にあるMEMSデバイス200の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス200は基板層220上に製造され、光学的層224と不伝導層228と機械的層232とを備えている。基板層220と光学的層224と不伝導層228は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層232は一つ以上の支持ポスト236a,236bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0060】
図9Aと9Bに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層232と不伝導層228との間に配置されたミラー275を備えている。ある実施形態では、ミラー275は、機械的層232にほぼ平行に間隔を置いて配置されている。反射素子107は、ミラー275を機械的層232に機械的に接続するとともにミラー275への電気的接続を提供する支持体接続277を備えている。図9Aと9Bに示された実施形態では、ミラー275と支持体接続277は、たとえばアルミニウムやニッケル、インジウムスズ酸化物、モリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。機械的層232の一部279は電気不伝導物質で構成されており、それは、ミラー275と機械的層232との間に電気的絶縁を提供するように構成されている。この実施形態では、ミラー275は機械的層232に機械的に接続されているが、電気的に絶縁されている。
【0061】
図9Aと9Bに示されたMEMSデバイスの実施形態では、ミラー275は反射素子107の反射面を備えており、それは、電気的に伝導性かつ高反射性であり、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層232の下側表面は反射性であるように構成されていない。図9Aと9Bの実施形態では、光学的層224は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層232と支持ポスト236aと236bとを備えており、機械的層232は第二の電極102を備えている。ミラー275は第三の電極103を備えている。
【0062】
図8Aと8Bを参照しながら説明したように、機械的層232と光学的層224との間に印加される電圧差は、機械的層232を弛緩状態(図9A)から駆動状態(図9B)に変形させることができる。反射素子107は、弛緩状態(図9A)にある第二の位置から駆動状態(図9B)にある第一の位置に移動する。駆動状態では、反射素子107がデバイス200の一部113に接触しており、それらの間に接着力が生成されている。
【0063】
MEMSデバイス200のいくつかの実施形態では、第一の電極101と第二の電極102と第三の電極103とに印加された電圧が、反射素子が第一の位置(図9B)にあるあいだの接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する。さらに図8Aと8Bを参照しながら説明したように、印加電圧は、接着力を少なくとも部分的に低減する弾性変形または弾性振動を反射素子107に生じさせ得る。MEMSデバイス200のある実施形態では、電圧の一つ以上が時変である。これらの実施形態のうちのいくつかでは、時変電圧は、一つ以上の周波数を有する電圧を含んでいてよい。時変電圧の周波数は、反射素子107の機械的共振周波数となるかまたは反射素子107に生じる弾性振動の振幅を増大させるように選択されてよい。ほかの実施形態では、一つ以上の短い持続時間電圧インパルスが、電極101と102と103の少なくとも一つに印加されてよい。たとえば、一実施形態では、デバイス200の一部113からの反射素子107の解放を容易にする発振、振動または加速を生じさせるように、第一の位置にあるあいだ、ミラー275に一つ以上の電圧インパルスが印加される。またほかの実施形態では、電極101と102と103に印加される電圧は前述の電圧の組み合わせを含むように選択されてよい。たとえば、一実施形態では、一つ以上の電圧インパルスが三つの電極のいずれかまたはすべてに印加されているあいだ、発振電圧が電極の一つに印加される。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに述べた例から異なっていてよく、MEMSデバイス200のほかの実施形態では多くのほかの変更および組み合わせが可能である。
【0064】
図10Aと10Bは、弛緩状態(図10A)と駆動状態(図10B)にあるMEMSデバイス300の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス300は基板層320上に製造され、光学的層324と不伝導層328と機械的層332とを備えている。基板層320と光学的層324と不伝導層328は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層332は一つ以上の支持ポスト336aと336bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0065】
図10Aと10Bに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層332と不伝導層328との間に配置されたミラー375を備えている。ある実施形態では、ミラー375は、機械的層332にほぼ平行に間隔を置いて配置されている。反射素子107は、ミラー375を機械的層332に機械的に接続している支持体接続377を備えている。図10Aと10Bに示された実施形態では、ミラー375と支持体接続377は、たとえばアルミニウムやニッケル、インジウムスズ酸化物、モリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。MEMSデバイス200(図9Aと9B)とは対照的に、伝導支持ポスト377はミラー375を機械的層332に電気的に接続している。したがって、この実施形態では、ミラー375は機械的層332に機械的のみならずまた電気的に接続されている。
【0066】
MEMSデバイスのこの実施形態では、ミラー375は電気的に伝導性かつ高反射性であり、それは、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層332の下側表面は反射性であるように構成されていない。図10Aと10Bの実施形態では、光学的層324は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層332と支持ポスト336aと336bとを備えている。機械的層332とミラー375は第二の電極102を備えている。図10Aと10Bに示されるように、支持ポスト336a,336bのおのおのは電気伝導部を有している。デバイス300の第三の電極103は、これらの電気伝導部を備えている。この実施形態では、また図8Aと8Bに示されたデバイス100とは対照的に、支持ポスト336a,336bの伝導部はミラー375に対して実質的に対称的に配置されており、反射素子107に対して実質的に対称的に配置された第三の電極103を提供する。
【0067】
図8A〜9Bを参照しながら上述したように、機械的層332と光学的層224との間に印加される電圧差は、機械的層232を弛緩状態(図10A)から駆動状態(図10B)に変形させることができる。反射素子107は、弛緩状態(図10A)にある第二の位置から駆動状態(図10B)にある第一の位置に移動する。駆動状態では、反射素子107がデバイス200の一部113に接触しており、それらの間に接着力が生成されている。
【0068】
電極101と102と103に電圧を印加することにより、MEMSデバイス300は反射素子107とデバイス300の一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。接着力の低減を達成するようにMEMSデバイス100と200に関して説明したのと実質的に同じ手法で電圧がデバイス300に印加されてよい。
【0069】
図10Bは、支持ポスト336a,336bの伝導部が互いに同じ電位に維持されているMEMSデバイス300の実施形態を示している。この実施形態では、一対の静電気力356aと356bが、それぞれ、ミラー375と支持ポスト336aと336bの電気伝導部との間に生成される。静電気力356aの大きさは、電気伝導部336a,336bの実質的に対称的な配置のために、またそれらが同じ電位に維持されるために、静電気力356bの大きさと実質的に等しい。静電気力356a,356bのおのおのは、それぞれ平行力成分360a,360bと、それぞれ垂直力成分364a,364bとに分解することができる。静電気力356a,356b(すなわちそれらの成分360a,360bおよび364a,364b)はベクトル的に一緒に加えられてミラー375に作用する正味の力を生成することができる。デバイス300の支持ポスト336a,336bの電気伝導部が同じ電位に維持されるとともにミラー375に対して実質的に対称的に配置されているので、平行力成分360aと360bは大きさが実質的に等しく、方向が反対である。したがって、ミラー375に作用する正味の平行力成分は実質的にゼロである。この実施形態では、垂直力成分364a,364bは大きさが実質的に等しく、しかしながら、それらは方向が同じである。したがって、反射素子107に作用する正味の静電気力は、デバイス300の一部113を含む平面に実質的に垂直である。
【0070】
MEMSデバイス300のいくつかの実施形態では、反射素子107にかかる正味の静電気力が少なくとも反射素子107とデバイス300の一部113との間の接着力の部分的低減を生じさせるように電極101と102と103に電圧が印加される。図8A〜9Bを参照しながらここに説明したように、印加電圧は、接着力を少なくとも低減する弾性変形または弾性発振を反射素子107に生じさせ得る。MEMSデバイス300のある実施形態では、電圧の一つ以上が時変であり、一つ以上の周波数を有する電圧を含んでいてよい。時変電圧の周波数は、デバイス300の機械的共振周波数となるかまたはデバイス300に生じる弾性振動の振幅を増大させるように選択されてよい。ほかの実施形態では、一つ以上の短い持続時間電圧インパルスが、電極101と102と103の少なくとも一つに印加されてよい。一実施形態では、たとえば、デバイス300の一部113からの反射素子107の解放を容易にする発振または加速を生じさせるように、反射素子107が第一の位置(図10B)にあるあいだ、一つ以上の電圧インパルスが第三の電極に印加される。別の実施形態では、矢印380によって示されたほぼ垂直方向に反射素子107の振動を生じさせるように電圧が印加される。またほかの実施形態では、前述の発振または加速の組み合わせを生じさせるように、電極101と102と103に印加される電圧が選択されてもよい。たとえば、一実施形態では、一つ以上の電圧インパルスが三つの電極のいずれかまたはすべてに印加されているあいだ、電極の一つに発振電圧が印加される。電極101と102と103に印加される電圧は、ここに説明した例とは異なっていてもよく、MEMSデバイス300の異なる実施形態では多くのほかの変更および組み合わせが可能である。
【0071】
MEMSデバイス300のほかの実施形態では、支持ポスト336aの電気伝導部が、支持ポスト336bの電気伝導部とは異なる電位に維持されてもよい。これらの実施形態では、静電気力356aと356bは実質的に等しい大きさにならない。したがって、反射素子107にかかる正味の静電気力は正味の平行力成分を含む。支持ポスト336a,336bの伝導部のおのおのに印加される電位の値を適切に選択することによって、正味の平行力成分を、双頭の矢印384によって示された方向の少なくとも一つに生成することができる。したがって、反射素子107が矢印384の二方向に沿って発振または振動するようにされ得る。印加電圧は、反射素子107の弾性変形または弾性振動を生じさせるように選択された周波数を有する時変成分を有してもよい。いくつかの実施形態では、周波数は、反射素子107の機械的共振周波数に実質的に一致するかまたは増大した振幅発振を生じさせるように選択されてよい。ある実施形態では、支持ポスト336aと336bの電気伝導部と反射素子107との間の電圧は、双頭の矢印384の二方向に反射素子107の周期的変位を生じさせるように循環される。周期的変位は、接着力を少なくとも部分的に低減し、デバイス300の一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0072】
図10Aと10Bは、二つの支持ポスト336aと336bの電気伝導部を備えた第三の電極103を示しているが、ほかの実施形態では、第三の電極103が、追加的支援ポスト(および/またはほかの好適な構造素子)の電気伝導部を備えることができることが予想される。ある実施形態では、第三の電極103は、ミラー375のまわりに実質的に対称的に配置された四つの支持ポスト(たとえば、二つの支持ポスト336aと336bと、図10Aと10Bに示された断面の平面に垂直な平面に配置された二つの実質的に同様の支持ポスト)の電気伝導部を備えている。支持ポストのおのおのの電気伝導部に印加される電圧を使用して、(上述したような)矢印380と384の方向だけでなく互いに垂直な方向(たとえば図10Aと10Bの平面の中へまたは外へ)にも、変位、発振および/または振動を生じさせることができる。この分野の当業者は、(時変およびインパルス電圧を含んでいる)ここに説明したような好適な電圧を印加することによって、反射素子107が駆動状態(たとえば図10B)であるあいだ、弛緩状態(たとえば図10A)への移動を支援するように、接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができることを認めるであろう。第三の電極103の構成およびそれに印加される電圧は多くの変更が可能であり、また、ここに説明した実例実施形態は、請求する発明の要旨に対する限定として意図されていない。
【0073】
MEMSデバイス300のまたほかの実施形態では、支持ポスト336a,336bの電気伝導部が反射素子に対して実質的に対称的に配置されていない。これらの実施形態では、伝導部が同じ電位に維持されたとしても、静電気力356a,356bは一般に大きさが実質的に等しくならない。いくつかの実施形態では、非対称な配置は、伝導部の一つ以上が支持ポスト336a,336b内に実質的に中央に位置しないようにデバイス300を製造することによって提供される。
【0074】
ある好ましい実施形態では、MEMSデバイス300に印加される電圧は、矢印384と380によって示されるような平行および垂直方向の両方への反射素子107の変位、変形、発振または振動をそれぞれ生じさせるように選択されてよい。これらの実施形態のいくつかでは、平行および垂直方向の両方への共振または増大した振幅発振を生じさせるために、時変電圧が、一つを超える周波数を有する電圧を含んでいてよい。ほかの実施形態では、一方向に変位または加速を生じさせるために短い持続時間電圧インパルスが印加される一方、ほかの方向に共振または振動を生じさせるために発振電圧が印加される。またほかの実施形態では、印加電圧が循環されてこれらの効果の組み合わせを生成する。多くのほかの変更が可能である。
【0075】
図11Aと11Bは、弾性変形可能反射素子107を有している駆動状態にあるMEMSデバイス400の一実施形態の一部の側断面図である。反射素子107は、デバイス400の一部113に接触している第一の位置にある。図11Aでは、第三の電極103と反射素子107との間に電位差が印加されていない。反射素子107のミラー475は、デバイス400の一部113に実質的に平行である実質的平坦形態に順応されている。図11Aに示されるように、反射素子107に接触しているデバイスの一部113は、接触領域413を規定している。
【0076】
図11Bは、第三の電極103と反射素子107との間に電位差が確立された後の図11AのMEMSデバイス400の構成を示している。第三の電極103と反射素子107との間の静電気力は、反射素子107の端部490を、一部113にほぼ垂直である方向に弾性的に変形させる。反射素子107の端部490は、もはやデバイスの一部113に接触していない。反射素子107と一部113との間の接触領域413が低減される;
したがって、反射素子107と一部113との間の接着力が低減される。接着力の低減は、一部113からの反射素子107の解放を容易にし、デバイス400の動作を容易にする。デバイス400のある実施形態では、反射素子107が、接触していたデバイスの一部113から解放された後、
第三の電極103と反射素子107との間の電位差がゼロに低減される。一部113からの解放の後、反射素子107の端部490が、光学的層424を包含する平面に実質的に平行である状態に徐々に戻って、キャビティ444がデバイス400への入射光に対して好適な光干渉を提供する。
【0077】
MEMSデバイスのほかの実施形態では、図11Bに示された変形に加えてまたはその代わりに、ここに説明したような第一の位置にあるあいだ、電極101と102と103に印加される電圧が、反射素子107の弾性的発振、振動、共振またはほかのタイプの変位を引き起こしてよい。これらの運動は、平行方向、垂直方向または両方の組み合わせであってよい。電圧によって引き起こされた運動は、たとえば、反射素子107と一部113との間の接触領域を低減することによって、接着力またはほかの物理的効果のある程度原因である分子間力の大きさを低減することによって、反射素子107と一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減することができる。
【0078】
ある実施形態では、第三の電極103は、(たとえば図10Aと10Bに示されるように)反射素子107に対して実質的に対称的に配置されてよいが、ほかの実施形態では、第三の電極103は、(たとえば図8Aと8Bに示されるように)反射素子107に対して非対称的に配置されてよい。対称的な位置は、一部113にほぼ平行な方向への反射素子107の変位を低減することに好都合であるMEMSデバイスの実施形態に選択されてよい。あるいは、非対称の位置は、平行移動か振動を提供することが好都合である実施形態に選ばれてもよい。第三の電極103の対称的または非対称の配置は、さまざまなMEMSアーキテクチャーに異なる方法で達成することができる。たとえば、第三の電極103が一つ以上の支持ポスト(たとえば図10A〜10Bのポスト336a,336b)の電気伝導部を備えている実施形態では、支持ポストの位置は、反射素子107に対して対称的または非対称であるように選択することができる。ほかの実施形態では、支持ポストは対称的に配置することができるが、一つ以上の伝導部を支持ポストの中心軸から離して配置することによって、ポスト内の電気伝導部の位置は非対称にすることができる。
【0079】
図11A〜11Bによって概略的に示された実施形態では、支持ポスト436aの電気伝導部はポスト436aの中心軸に実質的に沿って配置されている。伝導部は、ほかの実施形態では、中心軸から離して配置されてもよい。図11A〜11Bに示されるように、伝導部はポスト436aの全長を実質的に延長する。いくつかの実施形態では、支持ポスト436aの天井端492は機械的層432を越えて延出している。図11Aと11Bに示されたデバイス400では、第三の電極103の伝導部の下端494は不伝導層428の方へ延出している。下端494の位置はほかの実施形態では異なっていてもよい。下端494の位置は、異なる量の反射素子107の変形を提供するように、反射素子107に及ぼされる静電気力の異なる大きさおよび/または方向を提供するように選択されてもよい。
【0080】
第三の電極103は図8A〜11Bに示されたものとは異なった形態であってもよい。たとえば、異なるMEMSアーキテクチャーでは、第三の電極103は、たとえば、支持ポスト、機械的層、ミラーまたはデバイスのほかの部分の一部を有しているMEMSデバイスの一つ、二つ、三つ、四つまたはそれ以上の電気伝導部を備えていてよい。いくつかの実施形態では、一部113からの反射素子107の解放を容易にするために使用される静電気力は、電極101と102と103によってもほかの電極によっても提供されてよい。一実施形態では、たとえば、第三の電極103は複数の電極を備えており、各電極は反射素子107の各サイドの近くに配置されている。これらの電極に電圧を好適に印加することによって、反射素子107を多方向に、一部113に垂直な第一の方向(図10Bに矢印380によって示される)にも、一部113に実質的に平行な第二および第三の方向(たとえば図10Bに矢印384によって示された第二の方向および図10Bの平面の中へまたは外へ向かっている第三の相互に垂直な方向)にも、発振または振動するようにすることができる。
【0081】
図12A〜12Dは、ここに説明したさまざまな実施形態にしたがった反射素子107のさまざまな構成の側断面図である。ある実施形態では、反射素子107が一つを超える層を備えている。図12Aに示された反射素子107は、第一の層510の上に配置された第二の層514を備えている。層は、異なる物質で構成されてよく、また異なる機械的および電気的特性を有していてよい。いくつかの実施形態では、第一の層510が光干渉キャビティの高反射部であるように構成されており、第二の層514が反射素子107に構造剛性を提供するように構成されている。これらの実施形態では、第一の層510は、アルミニウムなどの高反射率金属で構成されており、第二の層514は、第一の層510の少なくとも一部の上に堆積されてよいアルミニウム合金またはニッケルなどの不伝導物質および/または剛性物質で構成されている。ある実施形態では、層の一つ以上の少なくとも一部が電気的に伝導性であってよい。そのような実施形態では、電極101と102と103の一つ以上が、層の電気伝導部の少なくとも一部を備えていてよい。いくつかの実施形態では、第一の層510は、第二の層514とは異なる厚さを有するように構成されてよい。たとえば、図12Aに概略的に示されるように、第一の層510は第二の層514より薄い。第一の層510の少なくとも一部が、弾性的可撓性であるように構成されてよい。たとえば、図12Aの反射素子107の第一の層510の端部590が、第二の層514に比べて高められた弾性的可撓性を有するように構成されてよい。第一の層510の可撓性は、たとえば図11Aと11Bに示されたMEMSデバイス400などの実施形態に好都合であり、それでは、静電気力が反射層107の端部590の弾性変形を引き起こす。図12Aに示された実施形態では、第一の層510の端部590の厚さは、第二の層514の厚さとほぼ等しい。ほかの実施形態では、異なる層厚が使用されてよい。ある実施形態では、第一の層510が第二の層514よりも薄い。ほかの実施形態では、少なくとも第一の層510の端部590が第二の層514よりも薄い。たとえば、あるそのようなある実施形態では、端部590の厚さが、反射素子107の中央部の厚さの約1/3から約1/2までの範囲にある。
【0082】
いくつかの実施形態では、反射素子107の厚さが不均一である。図12Bは、端部590が中央部591よりも薄く構成された反射素子107の側断面図である。上述したように、より薄い端部590は、反射素子107の弾性変形を容易にし得る。いくつかの実施形態では、中心部591から端部590への反射素子107の先細りが、電極101と102と103に印加される電圧によって励振することが可能である好適な機械的共振周波数を提供するように選択されてよい。ある実施形態では、端部590の厚さは、反射素子107の中央部の厚さ約1/3から約1/2までの範囲にある。しかしながら、ほかの厚さおよびほかの先細りを使用することも可能である。
【0083】
図12Cは、一つ以上の延出部592が反射素子107に配置された反射素子107の側断面図である。図12Cに示されるように、延出部592は、反射素子107の端部590にまたはその近くに配置されているが、ほかの実施形態では、延出部592はほかの位置に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、延出部592は電気的に伝導性であり、延出部592とMEMSデバイスのほかの部分(たとえば第一および第二の電極101,102)との間に電圧差が印加されたときにMEMSデバイスのほかの部分に増大した静電引力を提供し得る。いくつかの実施形態では、反射素子107の上側表面の上方の延出部592の高さは、反射素子107の中央部の厚さの約1/3から約1/2までの範囲にあるが、ほかの高さが使用されてもよい。
【0084】
図12Dは、二つの層510と514と延出部592とを備えている反射素子107の側断面図である。この実施形態では、延出部592は第一の層510の上に配置されているが、それらはほかの実施形態では第二の層514に配置されてもよい。層510と514の厚さと延出部592の高さは、接着力を少なくとも部分的に低減することを支援する好適な電気的および/または構造的特性を提供するように選択することができる。
【0085】
図12A〜12Dに示された構成と配置は、限定であるようには意図されていない。反射素子107のほかの実施形態は、図12A〜12Dに示された特徴の一つ以上を組み合わせてもよいし、異なるように構成されてもよい。多くの変更が可能である。
【0086】
ここに述べた原理にしたがって動作する光干渉変調器の構造の詳細は広く変更してもよい。たとえば、図13A〜13Cは、弛緩状態にあるMEMSデバイスの三つの異なる実施形態を示している。図13Aは、基板層620上に製造された、光学的層624と不伝導層628と機械的層632とを備えているMEMSデバイス600aを示している。基板層620、光学的層624と不伝導層628は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性および特徴を有している。機械的層632は一つ以上の支持ポスト636aと636bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132(図8Aと8B)とほぼ同じ特性を有している。
【0087】
図13Aに示された実施形態では、反射素子107は、機械的層632と不伝導層628にほぼ平行に間隔を置いて配置されたミラー675を備えている。反射素子107は、ミラー675を機械的層632に機械的に接続している支持体接続677を備えている。図13Aに示された実施形態では、ミラー675と支持体接続677は、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの電気伝導物質で構成されている。機械的層632の一部679は電気不伝導物質で構成されており、ミラー675と機械的層632の間の電気的絶縁を提供するように構成されている。この実施形態では、ミラー675は、機械的層632に機械的に接続されているが、電気的に絶縁されている。
【0088】
MEMSデバイスのこの実施形態では、反射素子107のミラー675は電気的に伝導性かつ高反射性であり、たとえばアルミニウムなどの高伝導性反射性金属から製造されてよい。この実施形態では、機械的層632の下側表面648は反射性であるように構成されていない。光学的層624は第一の電極101を備えている。支持構造105は機械的層632と支持ポスト636aと636bとを備えている。機械的層632は第二の電極102を備えている。図13Aに示されるように、デバイス600の第三の電極103は支持ポスト636a,636bの電気伝導部を備えている。
【0089】
図13A〜13Dに示されたMEMSデバイスのある実施形態では、ミラー675は電気的に伝導性であり、三つの電極101と102と103に依存しない電圧または電流源に連結されている。これらの実施形態では、異なる電圧が光学的層624と機械的層632とミラー675とに印加されて、ミラー面(たとえば反射素子107)の動作がこれらの印加電圧と調整可能な関係を有する調整可能な光干渉キャビティ644を提供する。調整可能なMEMSアーキテクチャーに関するさらなる詳細は、2005年6月3日に提出された「ANALOG INTERFEROMETRIC MODULATOR DEVICE」と題する米国特許出願11/144,546号に提供されており、それは参照によってその全体がここに組み込まれる。
【0090】
電極101と102と103に電圧を印加することによって、MEMSデバイス600aは、第一の位置にあるときの反射素子107とデバイスの一部113との間の接着力を少なくとも部分的に低減または相殺することができる。電圧は、デバイス600aに中へ実質的に印加されてもよい、接着力の部分的低減を少なくとも達成して一部113からの反射素子107の解放を容易にするようにMEMSデバイス100と200と300と400に関してここに説明したのと実質的に同じ手法によって印加されてよい。
【0091】
図13Bは、後述する点を除いては図13Aに示されたデバイス600aとほぼ同様のMEMSデバイス600bの別の実施形態の側断面図である。この実施形態では、反射素子107が、第二の電極102の方へ延出している一つ以上の延出部692を備えている。延出部692はミラー675の上側表面に配置されてよい。いくつかの実施形態では、ミラー675の形は、図12Cと12Dに示した形状とほぼ同様である。延出部692は第二の電極102(たとえば機械的層632)の方へ突出している。延出部692が第二の電極102に接近しているので、第二の電極102によって延出部692に及ぼされる静電気力がミラー675のほかの部分よりも大きく、第一の位置にあるときの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0092】
図13Cは、後述する点を除いては図13Aと13Bに示されたデバイス600aと600bとほぼ同様のMEMSデバイス600cの別の実施形態の側断面図である。この実施形態では、第二の電極102が、反射素子107の方へ延出している一つ以上の延出部693を有するように構成されてよい。ある実施形態では、延出部693は機械的層632の表面648に配置されている。第二の電極102の延出部693が反射素子107に接近しているので、第二の電極102によって反射素子107に及ぼされる静電気力がより大きく、第一の位置にあるときの反射素子107の解放を容易にし得る。いくつかの実施形態では、第二の電極102と反射素子107の両方がそれぞれ延出部693と692を備えるように構成されている。
【0093】
図13Bと13Cに示されたデバイス600bと600cのいくつかの実施形態では、延出部692および/または693が、たとえば機械的層632の表面648などのデバイス600b,600cのほかの部分との接触からそれらを電気的に絶縁するように不伝導物質で被覆されている。
【0094】
図13Dは、後述する点を除いては図13A〜13Cに示されたデバイス600aと600bと600cとほぼ同様のMEMSデバイス600dの別の実施形態の側断面図である。デバイス600dでは、第三の電極103は、機械的層632の表面648に配置された延出部を備えている。第三の電極103は、たとえば、第三の電極103と第二の電極102との間に不伝導物質の薄い層を設けることによって、第二の電極102(たとえば機械的層632)から電気的に絶縁されている。これらの実施形態では、第三の電極103は、反射素子107により接近して突出しており、それは、第三の電極103によって反射素子107に及ぼされる静電気力を増大させ、反射素子107が第一の位置にあるときの一部113からの反射素子107の解放を容易にし得る。
【0095】
図14は、駆動すなわち動作状態に示されたMEMSデバイス700の別の実施形態の側断面を示している。MEMSデバイス700は基板層720上に製造されており、光学的層724と不伝導層728と機械的層732とを備えている。基板層720と光学的層724と不伝導層728は、図8Aと8Bを参照しながら説明したMEMSデバイス100のそれぞれの層120と124と128とほぼ同じ特性と特徴を有している。機械的層732は一つ以上の支持ポスト736aと736bを備えており、特に述べる点を除いては、機械的層132とほぼ同じ特性を有している。
【0096】
図14に示された実施形態では、たとえば、機械的層732の下側表面748の一部を高反射にすることによって、反射素子107が機械的層732の反射部で構成されている。この実施形態では、第一の電極101は光学的層724を備えている。支持構造105は機械的層732と支持ポスト736aと736bとを備えている。いくつかの実施形態では、機械的層732の少なくとも一部が電気的に伝導性であり、MEMSデバイス700の第二の電極を備えている。ある実施形態では、支持ポスト736aと736bの一部は電気的に不伝導性であり、機械的層732の一部をデバイス700のほかの部分(たとえば光学的層724)から絶縁している。
【0097】
図14に示されたMEMSデバイス700は、支持ポスト736aと736bの上方に配置され、かつ電気不伝導性領域758aと758bによってデバイス700のほかの部分から電気的に絶縁された電極756aと756bを備えている。いくつかの実施形態では、電気不伝導性領域758a,758bは、たとえば不伝導性膜などの不伝導物質で構成されている。図14に示された実施形態では、第三の電極103は電極756aと756bを備えている。ほかの実施形態の電極756aと756bは、図14に示されたものとは異なる形状とサイズを有することができる。たとえば、電極756aと756bは、いくつかの実施形態に比較的短くてよい。必要でないが、電極756aと756bのおのおのの少なくとも一部が反射素子107の少なくとも一部の上方に配置されていると好ましい。
【0098】
図14は、反射素子107がデバイス700の一部113に接触している反射素子107が第一の位置(動作すなわち駆動状態)にあるときのMEMSデバイス700を概略的に示している。さらに上述したように、反射素子107は、一部113に接触していない第二の位置(非動作すなわち弛緩状態)へ移動することができる。たとえば、機械的層732は、第一および第二の位置間に移動することができる金属(たとえばアルミニウム)などの機械的に変形可能な物質から製造されてよい。デバイス700が駆動状態にあるとき、機械的層732は変形され、曲げ領域760aと760bを備え、それらはそれぞれ一部113と支持ポスト736aと736bとの間に配置される。ある実施形態では、(駆動状態にある)反射素子107もまた変形され、曲げる領域760aと760bをも備えている。
【0099】
デバイス700のいくつかの実施形態では、反射素子107が第一の位置にあるとき、電極756aと756bの少なくとも一部が反射素子107より高く配置される。ある実施形態では、電極756aと756bのおのおのの少なくとも一部が支持ポスト736aと736bから突出して離れており、それらの部分は、反射素子107が第一の位置(図14)にあるとき、反射素子107の少なくとも一部の上方(たとえば、それよりも高く)に配置される。ある好ましい実施形態では、電極756aと756bは、電極756aと756bの少なくとも一部が曲げ領域760aと760bの少なくとも一部のまさに上方にそれぞれ配置されるように構成されている。
【0100】
MEMSデバイス700のいくつかの実施形態では、反射素子107にかかる正味の静電気力が第一の位置の反射素子107にかかる接着力を少なくとも部分的に低減または相殺するように、電極101と102と103に電圧が印加される。さらに上述したように、電圧は、さまざまな範囲の大きさと周波数を有していてよく、また、変位、発振および/または振動を生じさせて、第一の位置から第二の位置へ反射素子107を移動させるのを支援するように印加されてよい。ある実施形態では、電圧差は、第三の電極103(たとえば電極756a,756b)と第二の電極102(たとえば機械的層732の電気伝導部)との間に印加される。電圧差は、さまざまな範囲の大きさと周波数を有することが可能であり、一つ以上の比較的短い持続時間インパルスで構成することができる。さまざまな実施形態では、第三の電極103は、ディスプレイアレイ30のをアレイドライバー22(図2を参照)に導くトレースまたは線によって一つ以上の電源に電気的に接続されている。デバイス700の一実施形態では、アレイドライバー22は、行および列ドライバー回路24および26とほぼ同様のドライバー回路を使用して、好適な電気的信号を第三の電極103に通信してよい。
【0101】
第二および第三の電極102および103の間に印加された電圧差は、矢印764aと764bによって示された正味の静電気力を反射素子107に作用させる。ある好ましい実施形態では、正味の静電気力764aと764bが曲げ領域760aと760bにおいて反射素子107を一部113から引き離そうとする合理的に大きい垂直成分を有するように、電極756aと756bの一部が曲げ領域760aと760bの少なくとも一部のまさに上方に突出している。そのような実施形態では、静電気力764aと764bが接着力を少なくとも部分的に低減または相殺し得、そして、反射素子107を第一の位置から第二の位置に移動させるのを支援し得る。任意の特定の理論を明言することなく、曲げ領域760aにかかる正味の静電気力764aは、反射素子107と一部113との間の接触境界面の端の割れ目を開かせ得る。割れ目は接触境界面を横切って伝搬し得、反射素子107が一部113からはがれて、第一の位置から第二の位置に移動するのを支援する。曲げ領域760bにかかる正味の静電気力764bは同様の仕方で作用し得、ある実施形態では割れ目は接触境界面の両端において開いて広がり、境界面を横切って伝搬し得る。反射素子107にかかる接着力を低減または相殺するために少なくとも二つの電極756aと756bが使用されることが好ましいけれども、ほかの実施形態では、異なる構成や配置や個数(たとえば一つ)の電極が、たとえば、割れ目を開き始め、反射素子107の解放を容易にするために使用することが可能である。
【0102】
MEMSデバイス700の実施形態はある利点を提供することができる。たとえば、駆動から非駆動状態への解放を容易にするために必要な曲げ領域760a,760bにおける静電気力764a,764bの大きさは一般的に、力が反射素子107の中央領域にかけられる場合よりもはるかに小さい。したがって、(たとえば第二および第三の電極102および103間の)より小さな電圧差をデバイス700に印加することができる。さらに、いくつかの実施形態では、電極756aと756bは、機械的層732の静電気不安定と不伝導層728上への崩壊を低減する。それらは、いくつかの閉鎖ギャップデバイスの問題でありえる。さらに、ある実施形態では、駆動状態から非駆動状態への反射素子107の動作を容易にするために、デバイス700の一般的な解放時間よりも短い持続時間を有する電圧インパルスを使用することができる。
【0103】
ここに示したMEMSデバイスは、たとえば先に組み込んだ米国特許出願11/144,546号において説明されているような選択的な堆積とエッチングなどの好適なマイクロマシーニングプロセスを使用して製造され得る。たとえば、図8Aに示されたデバイス100などのMEMSデバイスのある実施形態は、透明または半透明の基板120上に部分的反射性かつ電気伝導層を堆積して光学的層124を設けることによって製造され得る。光学的層124の上に不伝導層128が堆積される。次に、不伝導層128の上に(図8Aに図示しない)犠牲層が堆積される。不伝導層128を露出させる複数の穴を形成するために犠牲層が選択的にエッチングされる。穴は、支持ポスト136aと136bを形成するために、たとえば酸化アルミニウムなどの不伝導物質で充てんされる。ほかの好適な不伝導物質は、ポリマーおよびほかの有機または無機化合物を含んでいる。
【0104】
たとえばアルミニウムなどの伝導性かつ反射性物質が、機械的層132を形成するために、支持ポスト136a,136bと犠牲層との上に堆積される。第三の電極103の電気伝導部を形成するため、ある実施形態では支持ポスト136aの上に開口を形成するために機械的層132が選択的にエッチングされる。穴を形成するために支持ポスト136aの一部が選択的にエッチングされる。穴はいくつかの実施形態では不伝導層128まで延びていてもよい。穴は、第三の電極103の電気伝導部を形成するために、たとえばアルミニウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物またはモリブデンなどの伝導物質で充てんされる。
【0105】
その後、犠牲層にエッチング液が与えられ、犠牲層と反応して除去する。その結果、犠牲物質で充てんされた空間は光干渉キャビティ144になり、図8AのMEMSデバイス100が形成される。MEMSデバイス製造の分野では知られているように、追加または別の処理ステップと物質が、ここに示した実施形態にしたがったMEMSデバイスを製造するために使用されてもよい。
【0106】
ある好ましい実施形態と例を上に説明したけれども、発明主題は、具体的に示した実施形態を超えてほかの代替実施形態および/または発明の使用および明白な変更およびそれらの等価物にまで及ぶことが理解される。ここに示した本発明の要旨は具体的に示した実施形態によって限定されるべきものではないことが意図されている。したがって、たとえば、ここに示したあらゆる方法またはプロセスにおいて、方法/プロセスを構築する作用または動作は、任意の好適なシーケンスで行なわれてよく、特定の示したシーケンスに必ずしも限定されない。実施形態のさまざまな観点と利点が、ここに適切に説明された。そのような観点または利点のすべてが、任意の特定の実施形態にしたがって必ずしも達成され得るものではないことを理解すべきである。したがって、たとえば、ここに教示された一つの利点または一群の利点を達成または最適化するが、ここに教示または示唆されたほかの観点または利点を必ずしも達成しない手法で、さまざまな実施形態が実行されてもよいことを認識すべきである。
【0107】
適当な分野の当業者は、本発明の好適な結果を達成しながら、ここに説明した本発明を修正し得ると理解されるべきである。したがって、先の説明は、適当な分野の当業者に向けた広い教示開示であって、本発明を限定するようなものでないと理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の電極と、
前記第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極と、
前記第一の電極を前記第二の電極から分離する支持構造と、
第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射素子とを備え、
前記反射素子が前記第一の位置にあるとき、前記反射素子と前記一部との間に接着力が生成され、前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された電圧が前記接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイス。
【請求項2】
前記第三の電極が、前記反射素子の伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記第三の電極が、前記支持構造の伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記反射素子が第一の位置にあるとき、前記第三の電極の少なくとも一部が前記反射素子よりも高い、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記反射素子が第一の位置にあるとき、前記第三の電極の少なくとも一部が前記反射素子の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項4のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記第三の電極が前記支持構造によって支持されている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記支持構造が一つ以上のポストを備えており、前記第三の電極が前記ポストの少なくとも一つの伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記支持構造が複数のポストを備えており、各ポストが伝導部を有しており、前記第三の電極が前記伝導部を備えている、請求項7のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記複数のポストが、前記反射素子に対して実質的に対称的に位置している、請求項8のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記反射素子が、第一の層と、前記第一の層をおおう第二の層とを備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項11】
前記第一の層が、前記第二の層よりも可撓性である、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項12】
前記第一の層が前記第二の層よりも薄い、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項13】
前記第二の層が、前記第一の層の中央部をおおっており、前記第一の層の一つ以上のエッジ部をおおっていない、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項14】
前記第一の層と前記第二の層との少なくとも一つが伝導性である、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項15】
前記反射素子が、中心部よりも薄い端部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項16】
前記反射素子の少なくとも一部が伝導性である、請求項15のMEMSデバイス。
【請求項17】
前記反射素子が、前記反射素子の上側表面の上方にあり前記第二の電極の方へ延出している延出部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項18】
前記一つ以上の延出部は、前記反射素子の一つ以上のエッジ部の上または近くにあり、前記反射素子の上側表面からの高さが前記反射素子の中央部の厚さの約1/2ないし約1/3である、請求項17のMEMSデバイス。
【請求項19】
前記第二の電極が、前記反射素子の方へ延出している1つ一つ以上の部分を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項20】
前記第三の電極が、前記反射素子の方へ延出している一つ以上の部分を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項21】
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信するように構成されたプロセッサーであって、画像データを処理するように構成された前記プロセッサーと、
前記プロセッサーと通信するように構成されたメモリーデバイスとをさらに備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項22】
前記ディスプレイに少なくとも一つの信号を送るように構成されたドライバー回路をさらに備えている、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項23】
前記ドライバー回路に前記画像データの少なくとも一部を送るように構成されたコントローラーをさらに備えていること、請求項22のMEMSデバイス。
【請求項24】
前記プロセッサーに前記画像データを送るように構成された像源モジュールをさらに備えていること、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項25】
前記像源モジュールがレシーバーとトランシーバーとトランスミッターとの少なくとも一つを備えている、請求項24のMEMSデバイス。
【請求項26】
入力データを受け取り、前記入力データを前記プロセッサーに通信するように構成された入力デバイスをさらに備えている、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項27】
電気を伝導するための第一の手段と、
電気を伝導するための第二の手段であって、前記第一の伝導手段から電気的に絶縁された前記第二の伝導手段と、
電気を伝導するための第三の手段であって、第一の伝導手段と第二の伝導手段とから電気的に絶縁された前記第三の伝導手段と、
前記第一の伝導手段を前記第二の伝導手段から分離するための手段と、
光を反射するための手段であって、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な前記反射手段であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射手段とを備え、
前記反射手段が前記第一の位置にあるとき、前記反射手段と前記一部との間に接着力が生成され、前記反射手段が前記第一の位置にあるあいだ、前記第一の伝導手段と前記第二の伝導手段と前記第三の伝導手段とに印加された電圧が前記接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイス。
【請求項28】
前記第一の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項29】
前記第二の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項30】
前記第三の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項31】
前記反射手段が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記反射手段よりも高い、請求項30のMEMSデバイス。
【請求項32】
前記反射手段が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記反射手段の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項31のMEMSデバイス。
【請求項33】
前記電極が前記分離手段によって支持されている、請求項30のMEMSデバイス。
【請求項34】
前記分離手段が機械的層と一つ以上の支持ポストとを備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項35】
前記反射手段が、前記第一の伝導手段と前記第二の伝導手段との間に配置された反射素子を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項36】
第一の電極と、
前記第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極と、
前記第一の電極を前記第二の電極から分離する支持構造と、
第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射素子とを備え、前記反射素子が前記第一の位置にあるとき、前記反射素子と前記一部との間に接着力が生成されるMEMSデバイスを準備し、
第一の電極と第二の電極と第三の電極とに電圧を印加して接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを操作する方法。
【請求項37】
前記電圧が約10ボルトと約50ボルトとの間の大きさを有している、請求項36の方法。
【請求項38】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された電圧は前記反射素子の一部が弾性変形を受けるようにする、請求項36の方法。
【請求項39】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧の少なくとも一つが、周波数を有する時変電圧を備えている、請求項36の方法。
【請求項40】
前記周波数が約100Hzから約50MHzまでの範囲にある、請求項39の方法。
【請求項41】
前記周波数が前記反射素子の機械的共振周波数と実質的に等しい、請求項39の方法。
【請求項42】
前記時変電圧は前記反射素子の一部が弾性振動を受けるようにする、請求項39の方法。
【請求項43】
前記周波数が、前記弾性振動の増大した振幅を提供するように選択されている、請求項42の方法。
【請求項44】
前記反射素子を弾性的に変形することによって前記第一の位置にあるとき、前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧が、前記デバイスの前記一部に接触している前記反射素子の領域を減少させる、請求項36の方法。
【請求項45】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧の少なくとも一つが、前記反射素子にインパルスを与える時変電圧を備えている、請求項36の方法。
【請求項46】
基板上に第一の反射層を形成し、
前記第一の反射層の上の犠牲層の形成し、
前記犠牲層の一部を除去して開口を形成し、
前記開口に不伝導物質を充てんしてポストを形成し、
前記犠牲層の上に第二の反射層を形成し、
前記第二の反射層の一部と前記ポストの一部とを除去して穴を形成し、
前記穴に伝導物質を充てんして電極を形成し、
犠牲層を除去して、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法。
【請求項47】
前記第二の反射層は、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能であり、前記第二の反射層は、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触しておらず、前記第二の反射層が前記第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記第二の反射層よりも高い、請求項46の方法。
【請求項48】
前記第二の反射層が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記第二の反射層の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項47の方法。
【請求項49】
前記電極が前記ポストによって少なくとも部分的に支持されている、請求項46の方法。
【請求項50】
請求項46の方法で製造されたMEMSデバイス。
【請求項1】
第一の電極と、
前記第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極と、
前記第一の電極を前記第二の電極から分離する支持構造と、
第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射素子とを備え、
前記反射素子が前記第一の位置にあるとき、前記反射素子と前記一部との間に接着力が生成され、前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された電圧が前記接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイス。
【請求項2】
前記第三の電極が、前記反射素子の伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項3】
前記第三の電極が、前記支持構造の伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記反射素子が第一の位置にあるとき、前記第三の電極の少なくとも一部が前記反射素子よりも高い、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記反射素子が第一の位置にあるとき、前記第三の電極の少なくとも一部が前記反射素子の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項4のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記第三の電極が前記支持構造によって支持されている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記支持構造が一つ以上のポストを備えており、前記第三の電極が前記ポストの少なくとも一つの伝導部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記支持構造が複数のポストを備えており、各ポストが伝導部を有しており、前記第三の電極が前記伝導部を備えている、請求項7のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記複数のポストが、前記反射素子に対して実質的に対称的に位置している、請求項8のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記反射素子が、第一の層と、前記第一の層をおおう第二の層とを備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項11】
前記第一の層が、前記第二の層よりも可撓性である、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項12】
前記第一の層が前記第二の層よりも薄い、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項13】
前記第二の層が、前記第一の層の中央部をおおっており、前記第一の層の一つ以上のエッジ部をおおっていない、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項14】
前記第一の層と前記第二の層との少なくとも一つが伝導性である、請求項10のMEMSデバイス。
【請求項15】
前記反射素子が、中心部よりも薄い端部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項16】
前記反射素子の少なくとも一部が伝導性である、請求項15のMEMSデバイス。
【請求項17】
前記反射素子が、前記反射素子の上側表面の上方にあり前記第二の電極の方へ延出している延出部を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項18】
前記一つ以上の延出部は、前記反射素子の一つ以上のエッジ部の上または近くにあり、前記反射素子の上側表面からの高さが前記反射素子の中央部の厚さの約1/2ないし約1/3である、請求項17のMEMSデバイス。
【請求項19】
前記第二の電極が、前記反射素子の方へ延出している1つ一つ以上の部分を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項20】
前記第三の電極が、前記反射素子の方へ延出している一つ以上の部分を備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項21】
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信するように構成されたプロセッサーであって、画像データを処理するように構成された前記プロセッサーと、
前記プロセッサーと通信するように構成されたメモリーデバイスとをさらに備えている、請求項1のMEMSデバイス。
【請求項22】
前記ディスプレイに少なくとも一つの信号を送るように構成されたドライバー回路をさらに備えている、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項23】
前記ドライバー回路に前記画像データの少なくとも一部を送るように構成されたコントローラーをさらに備えていること、請求項22のMEMSデバイス。
【請求項24】
前記プロセッサーに前記画像データを送るように構成された像源モジュールをさらに備えていること、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項25】
前記像源モジュールがレシーバーとトランシーバーとトランスミッターとの少なくとも一つを備えている、請求項24のMEMSデバイス。
【請求項26】
入力データを受け取り、前記入力データを前記プロセッサーに通信するように構成された入力デバイスをさらに備えている、請求項21のMEMSデバイス。
【請求項27】
電気を伝導するための第一の手段と、
電気を伝導するための第二の手段であって、前記第一の伝導手段から電気的に絶縁された前記第二の伝導手段と、
電気を伝導するための第三の手段であって、第一の伝導手段と第二の伝導手段とから電気的に絶縁された前記第三の伝導手段と、
前記第一の伝導手段を前記第二の伝導手段から分離するための手段と、
光を反射するための手段であって、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な前記反射手段であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射手段とを備え、
前記反射手段が前記第一の位置にあるとき、前記反射手段と前記一部との間に接着力が生成され、前記反射手段が前記第一の位置にあるあいだ、前記第一の伝導手段と前記第二の伝導手段と前記第三の伝導手段とに印加された電圧が前記接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイス。
【請求項28】
前記第一の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項29】
前記第二の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項30】
前記第三の伝導手段が電極を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項31】
前記反射手段が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記反射手段よりも高い、請求項30のMEMSデバイス。
【請求項32】
前記反射手段が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記反射手段の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項31のMEMSデバイス。
【請求項33】
前記電極が前記分離手段によって支持されている、請求項30のMEMSデバイス。
【請求項34】
前記分離手段が機械的層と一つ以上の支持ポストとを備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項35】
前記反射手段が、前記第一の伝導手段と前記第二の伝導手段との間に配置された反射素子を備えている、請求項27のMEMSデバイス。
【請求項36】
第一の電極と、
前記第一の電極から電気的に絶縁された第二の電極と、
前記第一の電極と前記第二の電極とから電気的に絶縁された第三の電極と、
前記第一の電極を前記第二の電極から分離する支持構造と、
第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能な反射素子であって、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触していない前記反射素子とを備え、前記反射素子が前記第一の位置にあるとき、前記反射素子と前記一部との間に接着力が生成されるMEMSデバイスを準備し、
第一の電極と第二の電極と第三の電極とに電圧を印加して接着力を少なくとも部分的に低減または相殺する、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを操作する方法。
【請求項37】
前記電圧が約10ボルトと約50ボルトとの間の大きさを有している、請求項36の方法。
【請求項38】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された電圧は前記反射素子の一部が弾性変形を受けるようにする、請求項36の方法。
【請求項39】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧の少なくとも一つが、周波数を有する時変電圧を備えている、請求項36の方法。
【請求項40】
前記周波数が約100Hzから約50MHzまでの範囲にある、請求項39の方法。
【請求項41】
前記周波数が前記反射素子の機械的共振周波数と実質的に等しい、請求項39の方法。
【請求項42】
前記時変電圧は前記反射素子の一部が弾性振動を受けるようにする、請求項39の方法。
【請求項43】
前記周波数が、前記弾性振動の増大した振幅を提供するように選択されている、請求項42の方法。
【請求項44】
前記反射素子を弾性的に変形することによって前記第一の位置にあるとき、前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧が、前記デバイスの前記一部に接触している前記反射素子の領域を減少させる、請求項36の方法。
【請求項45】
前記第一の電極と前記第二の電極と前記第三の電極とに印加された前記電圧の少なくとも一つが、前記反射素子にインパルスを与える時変電圧を備えている、請求項36の方法。
【請求項46】
基板上に第一の反射層を形成し、
前記第一の反射層の上の犠牲層の形成し、
前記犠牲層の一部を除去して開口を形成し、
前記開口に不伝導物質を充てんしてポストを形成し、
前記犠牲層の上に第二の反射層を形成し、
前記第二の反射層の一部と前記ポストの一部とを除去して穴を形成し、
前記穴に伝導物質を充てんして電極を形成し、
犠牲層を除去して、微小電気機械システム(MEMS)デバイスを製造する方法。
【請求項47】
前記第二の反射層は、第一の位置と第二の位置との間に配置され移動可能であり、前記第二の反射層は、前記第一の位置にあるときには前記デバイスの一部に接触しており、前記第二の位置にあるときには前記デバイスの前記一部に接触しておらず、前記第二の反射層が前記第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記第二の反射層よりも高い、請求項46の方法。
【請求項48】
前記第二の反射層が第一の位置にあるとき、前記電極の少なくとも一部が前記第二の反射層の少なくとも一部のまさに上方にある、請求項47の方法。
【請求項49】
前記電極が前記ポストによって少なくとも部分的に支持されている、請求項46の方法。
【請求項50】
請求項46の方法で製造されたMEMSデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図12D】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図13D】
【図14】
【公開番号】特開2011−209751(P2011−209751A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−138327(P2011−138327)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2009−513184(P2009−513184)の分割
【原出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(506109856)クゥアルコム・メムス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM MEMS Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】5775 Morehouse Drive, San Diego, CA 92121−1714,U.S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138327(P2011−138327)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【分割の表示】特願2009−513184(P2009−513184)の分割
【原出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【出願人】(506109856)クゥアルコム・メムス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM MEMS Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】5775 Morehouse Drive, San Diego, CA 92121−1714,U.S.A.
【Fターム(参考)】
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