説明

非常通報システム

【課題】親機と複数の子機とだけを用いて、広範囲での通信を可能とする。
【解決手段】親機11に対し個別識別情報を有する複数の子機12〜14を一定範囲に設置し、親機11と各子機12〜14との間で通信可能に構成される。各子機12〜14は、親機11及び他の子機12〜14と双方向通信可能であるとともに、親機11と双方向通信可能な範囲外に設置される子機12との間に設置される場合には、その子機13は、前記範囲外に設置される子機12からの通報を前記親機に転送する中継器として使用可能に構成される。親機11は、前記一定の範囲に設置される前記子機12〜14の個別識別情報及び設置場所並びに前記中継器として使用される子機13の識別個別情報を記憶するメモリ機能11Bを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機に対し複数の子機を一定範囲に設置し、侵入者の存在などの非常時に親機に対し通報する非常通報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、親機に対し、ある一定範囲に複数の子機を設置し、親機−子機の組み合わせでワイヤレス通信を行うシンプルな非常通報システムとして、前記子機は送信のみ、親機は受信のみの片方向通信であるものは知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−056894号公報(段落0012〜0014)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、そのようなシステムであると、子機は送信機能のみ、親機は受信機能のみを有するだけでよいので、安価に製造できるが、親機と子機の組み合わせでワイヤレス通信を行う場合、送信電力の関係で、親機と子機との距離が離れていると、それらの間での直接の通信が行いにくい場合がある。そのような場合には、親機と、その親機から距離が離れている子機との間にそれらの通信を中継ぎする中継器が別途必要となり、設置範囲が広くなる場合には、コストアップの原因となる。また、子機から親機への片方向通信であるので、通信が正しく行われているか否かを子機側で確認することができない。
【0004】
そこで、発明者は、そのような場合には、子機に中継器としての機能を持たせれば、専用の中継器を用いることなく、通信精度を高め、また、通信範囲を広げることができることに着想し、本発明をなすに至ったものである。
【0005】
本発明は、親機と複数の子機とだけを用いて、広範囲での通信を可能とした非常通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、親機に対し個別識別情報を有する複数の子機を一定範囲に設置し、前記親機と各子機との間で通信可能に構成される非常通報システムにおいて、前記各子機は、送受信機能を有するとともに、前記親機と通信可能な範囲外に設置される子機との間に設置される場合には、前記範囲外に設置される子機からの通報を前記親機に転送する中継器として使用可能に構成されており、前記親機は、送受信機能と、前記各子機の個別識別情報及び設置場所並びに前記中継器として使用される子機の個別識別情報を記憶するメモリ機能と、少なくとも通報があった前記子機を表示する表示機能を有することを特徴とする。ここで、親機の表示機能は、前記メモリ機能に基づいてなされるもので、子機の個別識別番号や設置場所を文字などとして報知する視覚的表示機能や、前記子機の個別識別番号や設置場所を音声として報知する聴覚的表示機能が含まれる。
【0007】
このようにすれば、子機を中継器として利用できるようにしているので、通信状態がよくない子機と親機との間に設置されている他の子機を、中継器としての機能を兼用させることで、通信精度を高めることができる。また、子機に中継器としての機能を兼用させるので、親機と子機との組み合わせだけで、専用の中継器をも用いることなく、広範囲での通信が可能となる。よって、専用の中継器を用いる必要がなくなるので、コスト面でも有利である。
【0008】
さらに、親機及び子機が送受信機能を有することで、親機と子機との間で通信可能となり、必要に応じて返信を送るなどして、親機、子機のいずれの側においても、通信が正しく行われたことの確認が行える。また、各子機は、個別識別情報を有するので、どの子機からの通報の送信であるかを親機が識別することができ、セキュリティ性能を高めることができる。
【0009】
請求項2に記載のように、前記親機及び、前記中継器として機能する子機は、前記子機から通報があった場合に、一定時間経過後に、前記子機に返信する構成とすることができる。
【0010】
このようにすれば、前記親機及び前記中継器として機能する子機から、一定時間経過後に返信されるようになっているので、子機側においても通信が正しく行われたか否かを、通報を送信する毎に確認することができる。
【0011】
請求項3に記載のように、前記親機は、前記子機から通報を直接受けた場合には、前記中継器としての子機から通報を受けた場合よりも前記子機への返信を送信するまでの時間を短くする構成とすることが望ましい。
【0012】
このようにすれば、通信環境が良好になるなどの理由により、中継器としての子機を経ることなく、子機からの通報を親機が直接に受信した場合には、前記中継器としての子機からの転送よりも先に前記親機から子機への返信が送信されるので、前記中継器としての子機からの転送が中止され、節電が図られる。つまり、個別識別情報に基づき、子機からの直接の通報であるか、中継器としての子機を通じての通報であるかが親機において判別され、そのいずれであるに応じて返信を送信するまでの時間が変更される。
【0013】
請求項4に記載のように、前記子機は、一定時間毎に前記子機の状態に関する情報を前記親機に通報する構成とすることも可能である。
【0014】
このようにすれば、一定時間毎に、前記子機の状態(例えばバッテリー残量など)に関する情報を前記親機に通報することで、親機側で一定時間毎に各子機の状態を把握することができ、前記情報を各子機のメンテナンスに利用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、上記のように、子機を中継器として利用できるようにしているので、通信状態がよくない子機と親機との間に設定されている他の子機を、中継器としての機能を兼用させることで、通信精度を高めることができる。また、子機に中継器としての機能を兼用させるので、親機と子機との組み合わせだけで、専用の中継器をも用いることなく、広範囲での通信が可能となる。よって、専用の中継器を用いる必要がなくなるので、コスト面でも有利である。
【0016】
、また、親機及び子機が送受信機能を有することで、親機と子機との間で通信可能となり、必要に応じて返信を送るなどして、親機、子機のいずれの側においても、通信が正しく行われたことの確認を行うことができる。また、各子機は、個別識別情報を有するので、どの子機からの通報の送信であるかを識別することができ、親機、子機双方のセキュリティ性能、従ってシステムのセキュリティ性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に沿って説明する。
【0018】
図1は本発明に係る非常通報システムの概略構成を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、非常通報システムは、双方向通信が可能である親機11と、個別識別情報(ID)を有する複数の子機12,13,14とを用いるもので、それらを、学校、工場、オフィスなどのある一定範囲内にセキュリティなどを目的として設置することで、ワイヤレスネットワークシステムとして構成される。
【0020】
親機11は、送受信機能11A、メモリ機能11B、警報機能11C、表示機能11Dを有し、また、携帯電話などへの通報機能11Eも備える。なお、親機11は、親機電源11Fを備える。そして、システムを設置する場合には、親機11に対し、それのメモリ機能11Bを利用して、前記システムを構成する子機12〜14の個別識別情報を順次登録して記憶する。そして、その登録された子機12〜14と親機11の間で通信が行われる。つまり、登録されていない子機との間では通信が行われない。また、中継器として利用する子機がある場合には、親機11に対し中継器として機能する子機の個別識別情報を登録して記憶する。なお、親機11は個別識別情報を持っていない。
【0021】
子機12〜14は、それぞれ、送受信機能12A〜14A、メモリ機能12B〜14B、押ボタン12C〜14Cを有する。また、各子機12〜14は、子機電源12D〜14D(例えばバッテリ)を備える。この各子機12〜14の個別識別情報は、製造時に各子機12〜14に対し登録され、記憶される(メモリ機能12B〜14B)。
【0022】
また、各子機12〜14は、いずれの子機12〜14も中継器としての機能を発揮できる構成とされている。つまり、各子機12〜14は、対象となる子機の個別識別情報が登録されることで、その子機からの通報を、送受信機能12A〜14Aを利用して、親機11に転送することができる。この場合、前記通報に転送である旨の情報が付加されて、親機11に転送される。
【0023】
例えば図1に示す実施の形態では、子機12は、親機11から大きく離れ、親機11との直接通信不可領域に設定されているため、子機12と親機11との間に設置される子機13を中継器として機能させる場合の例である。この場合には、中継器となる子機13に対し、子機13を中継器として利用して親機11と通信する子機12の個別識別情報を登録しておくことで、子機12,13同士で、互いに送受信が可能となる。これにより、親機11と通信できない直接通信不可領域に設置された子機12は、子機13との間で送受信を行い、この子機13を中継器として利用して、親機11と送受信することが可能となる。なお、子機13は、その子機13からの通報を親機11に直接行うことも可能であり、子機としての機能と中継器としての機能を併せ持つことになる。
【0024】
一方、子機13は、個別識別情報が登録されていない子機14との関係では、受信機能を発揮するだけで、子機14は送信する機能はなく、中継器として機能することはない。この子機14は、親機11と直接通信可領域内に設置されているので、親機11と直接に送受信可能である。
【0025】
親機11は、メモリ機能11Bを利用して、システムを構成する子機12〜14の個別識別情報及び設置場所並びに中継器として機能する子機の個別識別情報を登録により記憶しており、各子機12〜14の設置場所や中継器としての機能の有無を個別識別情報とともに視覚的に表示できるようになっている。また、それらの情報が音声情報として録音され、出力されるようにもなっている。
【0026】
上記親機11および子機12〜14は、具体的には、図2(a)(b)に示すように構成される。
【0027】
各子機12〜14は同じ構成である。例えば子機12は、押ボタン12aの操作によりCPU12bにおいて必要な処理が行われ、その結果に基づく信号が制御回路12cを通じてVCO12d(PLL)に送られる一方、変調回路12eにも送られる。そして、VCO12d(PLL)からの信号と、変調回路12eからの信号が混合器12fで混合されて、増幅器12gで増幅され、送受信を切り替えるスイッチング回路12hを経てアンテナ12kから親機11及び他の子機13,14に向けてに送信される。親機11からの信号は、アンテナ12kを通じて入力され、スイッチング回路12hを経て増幅器12pで増幅され、VCO12d(PLL)からの信号と混合器12qにて混合され、復調回路12sを経てCPU12bに入力される。必要な情報は、CPU12bからの信号を表示回路12t(LED)が受けて、図示しないディスプレイに表示される。なお、子機12が、例えば、子機13を中継器として利用する場合には、中継器として利用する子機13からの信号も、親機11からの信号と同様に、アンテナ12kを通じて入力される。
【0028】
そして、子機12のCPU12bは、個別識別情報を記憶するメモリ機能12Bのほか、子機12が中継器として用いられる場合には、中継の対象となる子機からの通報であるか否かを個別識別情報に基づき判定する機能を有する。なお、子機12が中継器として用いられる場合には、押ボタン12aが操作されることはなく、アンテナ12kにて受信された通報に対しCPU12bにおいて、転送であることを明確にするために転送コードを付加して、アンテナ12kを通じて親機11に送信することになる。
【0029】
一方、親機11も、押ボタン11aの操作によりCPU11bにおいて必要な処理が行われ、その結果に基づく信号が制御回路11cを通じてVCO11d(PLL)に送られる一方、変調回路11eにも送られる。そして、VCO11d(PLL)からの信号と、変調回路11eからの信号が混合器11fで混合されて、増幅器11gで増幅され、送受信を切り替えるスイッチング回路11hを経てアンテナ11kから各子機12〜14に向けて送信される。親機11は、子機12からの信号はアンテナ11kを通じて入力され、スイッチング回路11hを経て増幅器11pで増幅され、VCO11d(PLL)からの信号と混合器11qにて混合され、復調回路11rを経てCPU11bに入力される。必要な情報は、CPU11からの信号を表示回路11tあるいは音声回路11m(音声録音/再生)が受けて、図示しないディスプレイに表示されたり、マイク11m1を通じて録音されたりスピーカー11m2を通じて再生されたりする。さらに、スイッチング回路11nを介して外部端子11n1とも接続されている。
【0030】
そして、親機11のCPU11bは、各子機12〜14の個別識別情報及び設置場所を記憶するメモリ機能11Bのほか、表示回路11tあるいは音声回路11mを通じて警報を発する警報機能11C、表示回路11tあるいは音声回路11mを通じて子機12〜14毎の個別識別情報や設置場所を表示する表示機能11Dを有する。また、外部端子11n1を利用することで、携帯電話などへの通報機能11Eも発揮するようになっている。
【0031】
また、親機11は、子機12〜14からの通報に転送コードが付加されているかどうかにより、中継器としての子機からの通報であるか否かを判定する機能も持つ。例えば子機からの通報を直接受信している場合には、中継器としての子機13を介して受信する場合よりも、各子機に対し返信(ACK)を送信するまでの時間が短くなるように設定されており、子機13は、子機12からの通報を親機に転送する必要がないと判断することになる。
【0032】
上記のような親機11および子機12〜14を用いれば、親機11は、電源を投入することにより、登録された各子機12〜14からの通報を受信可能な待機状態となり、各子機12〜14からの通報を待つことになる。
【0033】
また、通常、親機11に対し子機12〜14の情報を順次登録して設置していくが、例えば親機11と子機12との距離が遠く、通信困難あるいは通信不可の場合が生ずる。この場合において、この子機12と親機11との間には、通常、別の子機、例えば子機13が設置されているので、この子機13に中継器としての機能を兼用させることで、通信が可能となる。子機13に中継器としての機能を兼用させるために、子機12の個別識別情報を子機13のメモリ機能13B(CPU)を利用して登録することになる。
【0034】
よって、親機11と子機12との距離が遠く、親機11と子機12との直接通信が困難あるいは通信が不可である場合でも、親機11と子機12との間に設置されている子機13を中継器として利用することで、子機13(中継器)を介しての親機11との通信が可能となる。この場合は、中継器として機能する子機13は、子機12の押ボタンの入力を待つ待機状態となる。ここで、中継器としての子機13は、常時受信可能状態を維持する必要はなく、定期的に中継する通報の有無をチェックする構成とすることも可能である。
【0035】
また、各子機12〜14は、非常時の通報だけでなく、一定時間(例えば24時間)毎に各子機12〜14の状態(バッテリー残量など)を親機11に通報する構成とされている。これに基づき各子機12〜14についてのメンテナンスが行われる。なお、子機13については、定期的に中継する通報のチェックを行う。
【0036】
子機12〜14の押ボタンが押されると、各子機12〜14から通報が親機11に送信される。この送信は、送信LEDの点灯などにより確認される。そして親機11からの返信(ACK)があれば、受信LEDの点灯などにより、親機11への送信が完了したことが確認される。なお、返信がない場合には、再送信が行われる。
【0037】
親機11は子機12〜14からの通報を受信すると、登録されている子機12〜14であれば、返信(ACK)を送信し、設置場所の表示情報を表示し、録音した音声とブザー鳴動により、子機からの通報が送られてきたことが報知される。
【0038】
続いて、上記非常通報システムによる通信処理について説明する。
(中継器として使用する子機がない場合)
ー正常時ー
図3(a)に示すように、親機11は、例えば子機14からの通報を直接受信したときは、受信完了までの間(例えば100ms)待つ。その後、各子機12〜14に対し、受信したことを通知するために返信(ACK)を送信する。各子機12〜14に返信を送信すると、警戒状態となる。
【0039】
それから、所定時間経過後、親機11から各子機12〜14に警戒解除信号が送信され、この信号を受けた子機12〜14が親機11に返信し、警戒状態が終了する。
ー異常時ー
図3(b)に示すように、例えば子機14から親機11に通報を送信しても、親機11からの返信がない場合には、一定時間(例えば2sec)経過後に、子機14から再送信される。この再送信は2回まで繰り返す。なお、前記通報が返信である場合には、そのまま終了する。
【0040】
所定時間経過した後に、図3(c)に示すように、親機11の場合は、例えば子機12に対し警戒解除信号を送信し、返信がないと、一定時間(例えば2sec)経過後に再送信する。この再送信は2回まで繰り返す。
(中継器として使用する子機がある場合)
例えば図4(a)〜(c)に示すように、子機12が通信不可領域に設定され、その子機12の中継器として、子機13を機能させるものとする。子機13は、子機としての機能を有したままである。
ー正常時ー
図4(a)に示すように、侵入者などがあり、それを親機11に通報するために例えば子機12おいて押ボタン12aが押されると、中継器としての子機13が、子機12からの通報を受信したとき、子機12からの通報であるか否かが個別識別情報に基づき確認されるとともに、一定時間(例えば500ms)の経過を待つ。ここで、一定時間の経過を待つのは、通信環境が良好となり子機12が親機11に直接通報できる場合があることから、親機11からの返信の有無を確認するためである。
【0041】
その後、子機13は、子機12からの通報を、転送用コードを含む通報として親機11に転送するとともに、子機12に同じ通報を返信する。一方、子機13に予め個別識別番号が登録されていない他の子機(例えば子機14)からの通報であれば、その通報は親機11に転送されない。この通報は親機11が直接受信するからである。
【0042】
これにより、子機12側は、前記返信を受信することで、子機13を中継して親機11に通報が送信(転送)されたことがわかる。
【0043】
親機11は、子機13からの転送を受信すると、子機13への返信がなされる。子機13は一定時間(500ms)経過後、子機12に転送すると同時に、親機11に同じ通報を返信する。これにより親機11、子機12が警報を発する警戒状態となる。
【0044】
ここで、前記返信は、子機12が親機11と直接に通信できるときには返信(ACK)は、100ms経過後に行われるので、その場合には子機13から転送が送信されないようにするためである。子機13は、子機12からの通報を転送する前に一定時間(例えば2sec以上)待つ。
【0045】
それから、親機11から子機13(中継器)に警戒解除信号が送信されると、この信号を受けた子機13が、一定時間(500ms)経過後、子機12に転送すると同時に、親機11に同じ信号を返信する。この転送を受けて子機12の警戒は解除されるとともに、子機12は子機13に返信を送信する。
【0046】
この返信を受けた子機13は、一定時間(500ms)経過後、前記返信を親機11に転送すると同時に、同じ信号を子機12に返信して、終了する。
【0047】
ここで、子機12が親機11からの返信を待っているとき、子機13(中継器)からの返信を受信した場合に、返信を待つ時間(再送信を行うまでの時間)を長くする。
【0048】
また、親機11は、子機13からの転送を受信した場合には、子機12からの直接通報に対し、返信を送信していなければ、返信を送信する。なお、すでに返信を送信済みの場合には、送信しない。
【0049】
子機13は、親機11から子機12への返信を受信した場合には、2秒待機後、子機12への返信を転送する。
【0050】
子機12は、親機11からの返信を受信していなければ、子機13(中継器)からの返信を受信し、ブザーを鳴動させて、再送信処理を終了させる。また、すでに、親機11からの返信を受信していれば、子機13からの返信は破棄する。
【0051】
このように、中継機能を使用した場合でも、直接通信が行われた場合、直接通信を優先するので、通信がつながったりつながらなかったりして通信が困難である状態にある場合でも、子機(例えば子機13)を中継器として使用するのは有効である。
ー中継器としての子機の異常時ー
子機12から、中継器としての子機13に信号が送信し、子機13から返信があり、それに続く返信がない場合には、通常返信が来る時間(2sec)以上である間隔(例えば6sec)をあけて、再送信する。返信がなければ、この再送信を2回繰り返す。なお、前記送信が、返信である場合には、そのまま終了する。
ー親機の異常時ー
子機12に対する警戒解除信号を、中継器としての子機13に送信し、子機13から返信があり、それに続く返信がない場合には、通常返信が来る時間(2sec)以上である間隔(例えば6sec)をあけて、再送信する。返信がなければ、この再送信を2回繰り返す。なお、前記送信が、返信である場合には、そのまま終了する。
【0052】
前記実施の形態では、各子機12〜14は、押ボタン12C〜14Cの操作により通報するように構成されているが、センサと接続して、そのセンサが侵入者を検知した場合に親機11に通報する構成とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係る非常通報システムの一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】(a)は前記非常通報システムに用いる子機のブロック図、(b)は前記非常通報システムに用いる親機のブロック図である。
【図3】前記非常通報システムにおいて中継器としての子機がない場合の通信シーケンスを示す図で、(a)は通信処理が正常時、(b)は子機の通信処理が異常時、(c)は親機の通信処理が異常時をそれぞれ示す。
【図4】前記非常通報システムにおいて中継器としての子機がある場合の通信シーケンスを示す図で、(a)は通信処理が正常時、(b)は子機の通信処理が異常時、(c)は親機の通信処理が異常時をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0054】
11 親機
11A 送受信機能
11B メモリ機能
12〜14 子機
12A〜14A 送受信機機能
12B〜14B メモリ機能

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機に対し個別識別情報を有する複数の子機を一定範囲に設置し、前記親機と各子機との間で通信可能に構成される非常通報システムにおいて、
前記各子機は、送受信機能を有するとともに、前記親機と通信可能な範囲外に設置される子機との間に設置される場合には、前記範囲外に設置される子機からの通報を前記親機に転送する中継器として使用可能に構成されており、
前記親機は、送受信機能と、前記各子機の個別識別情報及び設置場所並びに前記中継器として使用される子機の個別識別情報を記憶するメモリ機能と、少なくとも通報があった前記子機を表示する表示機能を有することを特徴とする非常通報システム。
【請求項2】
前記親機及び、前記中継器として機能する子機は、前記子機から通報があった場合に、一定時間経過後に、前記子機に返信することを特徴とする請求項1記載の非常通報システム。
【請求項3】
前記親機は、前記子機から通報を直接受けた場合には、前記中継器としての子機から通報を受けた場合よりも前記子機への返信を送信するまでの時間を短くすることを特徴とする請求項2記載の非常通報システム。
【請求項4】
前記子機は、一定時間毎に前記子機の状態に関する情報を前記親機に通報する構成とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非常通報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−241400(P2007−241400A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59397(P2006−59397)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】