説明

面発光型半導体レーザ製造用酸化装置および面発光型半導体レーザの製造方法

【課題】被処理体の面内における温度を均一に保ち、アルミニウムと砒素を含む半導体層の酸化速度の面内均一性を高めることができる面発光型半導体レーザ製造用酸化装置、およびその面発光型半導体レーザ製造用酸化装置を用いることにより、品質の高い電流狭窄層を形成することができる面発光型半導体レーザの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置100は、酸化炉30と、酸化炉30内に設けられ、被処理体10を載置するための支持部32と、被処理体10の裏面に向けて、不活性ガスを供給するガス供給部34と、被処理体10の表面に向けて、水蒸気を供給する水蒸気供給部38と、不活性ガスを加熱する加熱部36と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ製造用酸化装置および面発光型半導体レーザの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型半導体レーザは、半導体基板に垂直にレーザ光を出射する半導体レーザであり、従来の端面型半導体レーザに比べて、扱いが容易で、しかもしきい値電流が低いなどの優れた特徴を有するため、各種センサや光通信の光源として期待されている。
【0003】
面発光型半導体レーザは、電流流入効率を高めるために、電流狭窄層を有することができる。例えば、特許文献1には、高温に加熱された試料テーブル上に半導体試料を載置させ、半導体試料に水蒸気を供給することにより、アルミニウムと砒素を含む半導体層の一部を酸化させて、電流狭窄層を形成する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、半導体試料に温度分布が生じる場合がある。そのため、半導体試料の面内で、酸化速度に差異が生じ、電流狭窄層の品質が低下する場合がある。
【特許文献1】特開2006−228811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、被処理体の面内における温度を均一に保ち、アルミニウムと砒素を含む半導体層の酸化速度の面内均一性を高めることができる面発光型半導体レーザ製造用酸化装置、およびその面発光型半導体レーザ製造用酸化装置を用いることにより、品質の高い電流狭窄層を形成することができる面発光型半導体レーザの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置は、
酸化炉と、
前記酸化炉内に設けられ、被処理体を載置するための支持部と、
前記被処理体の裏面に向けて、不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記被処理体の表面に向けて、水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記不活性ガスを加熱する加熱部と、を含む。
【0006】
本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置は、被処理体の面内における温度を均一に保ち、アルミニウムと砒素を含む半導体層の酸化速度の面内均一性を高めることができる。
【0007】
本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置において、
前記支持部は、複数設けられ、上下動可能な棒状部材であることができる。
【0008】
本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置において、
さらに、前記酸化炉内に設けられた支持台を有し、
前記支持部は、複数設けられ、前記支持台の上に点在する突起状部材であることができる。
【0009】
本発明に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置において、
前記ガス供給部は、
前記加熱部によって前記不活性ガスを内部で加熱するガス加熱室と、
前記ガス加熱室と連続し、前記被処理体の裏面に向けて前記不活性ガスを噴出するガス噴出口と、を有することができる。
【0010】
本発明に係る面発光型半導体レーザの製造方法は、
アルミニウムと砒素を含む半導体層の一部を酸化することにより、電流狭窄層を形成する面発光型半導体レーザの製造方法において、
面発光型半導体レーザ用のウェハからなる被処理体を、酸化炉内に搬送する工程と、
前記被処理体を支持部に載置する工程と、
前記被処理体の裏面に向けて、ガス供給部から加熱された不活性ガスを供給する工程と、
前記被処理体の表面に向けて、水蒸気供給部から水蒸気を供給する工程と、を含む。
【0011】
本発明に係る面発光型半導体レーザの製造方法において、
前記水蒸気は、前記不活性ガスより低い温度で供給されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
1.第1の実施形態
1.1.第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置
図1は、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置(以下、「酸化装置」ともいう)100を模式的に示す断面図である。
【0014】
酸化装置100は、図1に示すように、酸化炉30と、支持部32と、ガス供給部34と、加熱部36と、水蒸気供給部38と、を含む。
【0015】
酸化炉30は、例えば、図示のように、底部30aと、側部30bと、上部30cとを有することができるが、特にその形状は限定されない。酸化炉30は、排気口31を有することができる。排気口31は、側部30bに設けられることができるが、その配置は限定されない。排気口31を介して、後述する不活性ガスなどを酸化炉30の外部に排出することができる。酸化炉30は、図示しないが、開閉可能な搬送口を有することができる。搬送口は、側部30bに設けられることができるが、その配置は限定されない。搬送口を通って、被処理体10は、酸化炉30内に搬送され、あるいは酸化炉30の外に搬送されることができる。
【0016】
支持部32は、酸化炉30の底部30aの上に設けられることができる。支持部32は、図示しない公知の駆動部によって、上下動できる棒状部材であることができる。支持部32は、被処理体10を安定に支持できるように複数設けられるが、その数は限定されない。支持部32は、直接その上に被処理体10を載置することができる。そのため、後述する不活性ガスを直接被処理体10の裏面に向けて供給することができる。支持部32は、被処理体10と接触する接触部32aの幅が、その他の部分の幅より狭く形成されることができる。これにより、支持部32と被処理体10との接触面積を小さくすることができる。そのため、被処理体10が、支持部32と接触することによって局所的に温度変化することを抑制できる。
【0017】
ガス供給部34は、酸化炉30の底部30aに設けられることができる。ガス供給部34は、ガス供給管34aと、複数のガス分岐管34bとを有することができる。ガス分岐管34bは、ガス供給管34aと連続し、ガス供給管34aの上方に設けられることができる。ガス分岐管34bは、底部30aを貫通して設けられることができる。ガス供給部34は、その近傍に加熱部36を有することができる。加熱部36は、例えば、底部30aとガス供給部34との間に設けられるが、不活性ガスを所定温度にまで加熱できれば、その配置は限定されない。加熱部36は、例えば、公知のヒータであることができる。不活性ガスは、加熱部36によって、350℃〜450℃程度に加熱されることができる。不活性ガスは、例えば、窒素、アルゴンなどを含むことができる。不活性ガスは、ガス供給管34aを通って、複数のガス分岐管34bから被処理体10の裏面全面に向けて供給されることができる。これにより、不活性ガスは、被処理体10を面内で均一に加熱することができる。
【0018】
水蒸気供給部38は、酸化炉30の上部30cに設けられることができる。水蒸気供給部38は、水蒸気供給管38aと、水蒸気噴出部38bとを有することができる。水蒸気供給管38aは、上部30cを貫通して設けられることができる。水蒸気噴出部38bは、水蒸気供給管38aと連続し、水蒸気供給管38aの下方に設けられることができる。水蒸気は、水蒸気供給管38aを通って、水蒸気噴出部38bから被処理体10の表面全面に向けて供給されることができる。水蒸気噴出部38bは、例えば、シャワー状に水蒸気を噴出することができる。これにより、被処理体10に含まれるアルミニウムと砒素を含む半導体の一部を酸化することができる。上述のように、被処理体10は面内で均一に加熱されるので、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。水蒸気の温度は、不活性ガスの温度より低くすることができる。水蒸気は、150℃〜425℃程度とすることができる。これにより、酸化反応により発生する反応熱を除去することができる。そのため、被処理体10の面内において局所的に温度が変化することを抑制できる。その結果、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。
【0019】
酸化装置100は、図1に示すように、搬送アーム20によって、被処理体10を酸化炉30に出入れすることができる。図2は、被処理体10および搬送アーム20を模式的に示す断面図および平面図である。以下、被処理体10を搬送する方法について説明する。
【0020】
搬送アーム20は、図2に示すように、例えば、前方(被処理体10を酸化炉30内に搬送する場合の進行方向)が閉じられていない形状、例えばU字状であることができる。これにより、搬送アーム20は、支持部32と衝突することなく、被処理体10を搬送することができる。搬送アーム20は、例えば、吸引によってその上に被処理体10を載置することができる。
【0021】
被処理体10は、図1に示すように、例えば、搬送アーム20によって酸化炉30の側部30bから酸化炉30内に搬送される。被処理体10は、搬送アーム20により、前述の搬送口を通って酸化処理が行われる処理位置の上方に移動される。次に、処理位置に位置する支持部32は、上方に移動する。そして、支持部32は、被処理体10の裏面と接触し、被処理体10を載置する。次に、支持部32は、下方に移動し、被処理体10を処理位置に位置する。搬送アーム20は、搬送口を通って酸化炉30の外部に後退する。
【0022】
以上により、酸化装置100は、被処理体10を酸化炉30内に搬送することができる。なお、酸化処理が行われた処理体を酸化炉30外に搬送する方法は、基本的に被処理体10を酸化炉30内に搬送する方法と逆の手順である。よって、その説明を省略する。
【0023】
第1の実施形態に係る酸化装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0024】
第1の実施形態に係る酸化装置100は、被処理体10の裏面全面に向けて加熱された不活性ガスを供給することができる。これにより、被処理体10を面内で均一に加熱することができる。また、第1の実施形態に係る酸化装置100は、被処理体10の表面全面に向けて水蒸気を供給することができる。その結果、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。
【0025】
第1の実施形態に係る酸化装置100は、水蒸気の温度を、不活性ガスの温度より低くすることができる。これにより、被処理体10における酸化反応の反応熱を除去することができる。そのため、被処理体10の面内において局所的に温度が変化することを抑制できる。その結果、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。
【0026】
第1の実施形態に係る酸化装置100は、被処理体10を直接棒状の支持部32の上に載置することができる。そのため、被処理体10は支持部32によって部分的に接して支持されるので、不活性ガスを直接被処理体10の裏面に向けて供給することができる。また、支持部32は、被処理体10と接触する接触部32aの幅が、その他の部分の幅より狭く形成されることができる。これにより、支持部32と被処理体10との接触面積を小さくすることができる。そのため、被処理体10が、支持部32と接触することによって局所的に温度変化することを抑制できる。その結果、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。
【0027】
1.2.第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造方法
次に、第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ(以下、「面発光レーザ」ともいう)1000の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図3、図4は、第1の実施形態に係る面発光レーザ1000の製造工程を概略的に示す断面図である。図5は、第1の実施形態に係る面発光レーザ1000の製造方法によって得られる面発光レーザ1000を模式的に示す断面図である。
【0028】
図3に示すように、基板11としては、例えば、n型GaAs基板を用意する。
【0029】
次に、基板11の上に、組成を変調させながらエピタキシャル成長させることにより、第1ミラー12、活性層13および第2ミラー14を順に形成する。第1ミラー12は、例えば、n型Al0.9Ga0.1As層とn型Al0.15Ga0.85As層とを、交互に積層した40ペアの分布反射型多層膜ミラーからなることができる。活性層13は、例えば、GaAsウェル層とAl0.3Ga0.7Asバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有することができる。第2ミラー14は、例えば、p型Al0.9Ga0.1As層とp型Al0.15Ga0.85As層とを、交互に積層した25ペアの分布反射型多層膜ミラーからなることができる。第2ミラー14を形成する際に、例えば、少なくとも1層を、後に酸化させて電流狭窄層15となる被酸化層15aとすることができる。被酸化層15aは、アルミニウムと砒素を含む半導体層であることができる。具体的には、被酸化層15aとしては、例えば、Al組成が0.95以上のAlGaAs層(AlAs層の場合を含む)などを用いることができる。
【0030】
エピタキシャル成長を行う際の温度は、成長方法や原料、基板11の種類、あるいは形成する第1ミラー12などの種類、厚さ、およびキャリア密度によって適宜決定されるが、一般に、450℃〜800℃であるのが好ましい。また、エピタキシャル成長を行う際の所要時間も、温度と同様に適宜決定される。また、エピタキシャル成長させる方法としては、有機金属気相成長(MOVPE:Metal−Organic Vapor Phase Epitaxy)法や、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、あるいはLPE(Liquid Phase Epitaxy)法を用いることができる。
【0031】
次に、少なくとも活性層13および第2ミラー14をパターニングして、柱状部16を形成する。パターニングは、例えば、公知のリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて行うことができる。
【0032】
以上の工程により、柱状部16を有する面発光レーザ用のウェハ(被処理体10)が得られる。
【0033】
図4に示すように、被酸化層15aの一部を酸化させて電流狭窄層15を形成する。酸化は、図1に示す酸化装置100で行われる。被処理体10を前述した方法によって酸化炉30内に搬送し、支持部32に載置する。そして、前述のように、加熱された不活性ガスを、ガス供給部34から被処理体10の裏面に向けて供給する。また、水蒸気を、水蒸気供給部38から被処理体10の表面に向けて供給する。これにより、被処理体10の被酸化層15aの一部は酸化され、電流狭窄層15を形成することができる。酸化は、柱状部16における被酸化層15aの外周部から内部に向かって反応が進む。そして、電流狭窄層15は、中央部に所望の大きさの電流流入領域(非酸化層15b)が残存するように形成される。その結果、中央部のレーザ光の光軸付近に電流経路を集中させることができる。
【0034】
次に、酸化炉30から被処理体10を取り出した後、以下の工程を行う。
【0035】
図5に示すように、例えば、基板11の裏面に第1電極17を形成する。前述のように、水蒸気は、基板11の裏面には供給されないため、基板11の裏面の酸化を抑制することができる。そのため、基板11の裏面の酸化による電気抵抗の増加を防止することができる。第1電極17は、例えば、真空蒸着法およびリフトオフ法を用いて形成される。第1電極17は、例えば、金、ゲルマニウム、白金、チタン、亜鉛、もしくはこれらの合金、もしくはこれらの積層膜からなることができる。
【0036】
次に、基板11の上方であって、柱状部16の周囲に絶縁層19を形成する。具体的には、まず、例えば、スピンコート法を用いて全面にポリイミド樹脂などからなる絶縁層を形成する。次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polish)法を用いて柱状部16の上面を露出させる。次に、例えば、公知のリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて絶縁層をパターニングする。このようにして所望の形状の絶縁層19を形成することができる。
【0037】
次に、第2ミラー層14および絶縁層19の上に、第2電極18を形成する。第2電極18は、例えば、第1電極17と同じ製法、同じ材質で形成されることができる。
【0038】
以上の工程によって、図5に示すような面発光レーザ1000を製造することができる。
【0039】
第1の実施形態に係る面発光レーザ1000の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0040】
第1の実施形態に係る面発光レーザ1000の製造方法によれば、酸化装置100を用いて電流狭窄層15を形成することにより、被処理体10の酸化速度の面内均一性を高めることができる。そのため、被処理体10の面内において均一な形状を有する電流狭窄層15を形成できる。その結果、面発光レーザ1000の品質を向上させることができる。
【0041】
第1の実施形態に係る面発光レーザ1000の製造方法によれば、酸化装置100を用いて電流狭窄層15を形成することにより、水蒸気は基板11の裏面に供給されない。そのため、基板11の裏面の酸化を抑制することができる。その結果、基板11の裏面の酸化による電気抵抗の増加を防止することができ、面発光レーザ1000の特性を向上させることができる。
【0042】
2.第2の実施形態
2.1.第2の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置
図6は、第2の実施形態に係る酸化装置200を模式的に示す断面図である。以下、第1の実施形態に係る酸化装置100と実質的に同一の材料については同一の符号を付し、 その詳細な説明を省略する。
【0043】
酸化装置200は、図6に示すように、例えば、ガス供給部240と、ガス供給部240の上方に設けられた酸化処理部250と、を含む。
【0044】
ガス供給部240は、ガス加熱室40と、ヒータ室46と、ガス噴出口42と、を有することができる。
【0045】
ガス加熱室40は、底部40aと、側部40bと、上部40cとを有することができるが、その形状は限定されない。ガス加熱室40は、ガス供給口41を有することができる。ガス供給口41は、側部40bに設けられることができる。ガス供給口41は、不活性ガスをガス加熱室40内に導入することができる。不活性ガスは、ガス加熱室40内で、加熱されることができる。
【0046】
ヒータ室46は、ガス加熱室40の近傍に設けられることができる。ヒータ室46は、その内部に加熱部36を有することができる。加熱部36の数は、ガス加熱室40内の不活性ガスを所定温度にまで加熱できれば特に限定されない。ヒータ室46は、例えば、図示のように、第1ヒータ室46aと、第2ヒータ室46bと、を有することができる。第1ヒータ室46aは、ガス加熱室40の底部40aの下に設けられることができる。すなわち、第1ヒータ室46aの上部は、図示のように、ガス加熱室40の底部40aと、共通であることができる。第2ヒータ室46bは、ガス加熱室40の上部40cの上方に設けられることができる。すなわち、第2ヒータ室46bの底部は、図示のように、ガス加熱室40の上部40cと、共通であることができる。さらに、第2ヒータ室46bは、例えば、側部42bと、上部54bとを有することができる。第2ヒータ室46bの側部42bは、ガス噴出口42の外壁を形成することができる。
【0047】
ガス噴出口42は、ガス加熱室40の上方であって、ガス加熱室40と連続して設けられることができる。ガス噴出口42は、被処理体10の下方に設けられることができる。ガス噴出口42は、被処理体10のY方向の中心軸10yが、ガス噴出口42内を通過するように形成されることができる。また、ガス噴出口42は、不活性ガスの出口の径42eが、不活性ガスの入口の径42dより大きくなるように形成されることができる。これにより、ガス噴出口42は、被処理体10の裏面に向けて充分に不活性ガスを供給することができる。
【0048】
酸化処理部250は、酸化炉50と、水蒸気供給部38と、支持部52と、を有することができる。
【0049】
酸化炉50は、図示のように、支持台54からなる底部と、側部50bと、上部50cとを有することができるが、その形状は限定されない。酸化炉50は、排気口31を有することができる。酸化炉50は、前述した酸化炉30と同様に被処理体10を搬送するための搬送口を有することができる。
【0050】
支持台54は、第2ヒータ室46bの上に設けられることができる。すなわち、支持台54は、図示のように、第2ヒータ室46bの上部54bと共通であることができる。不活性ガスは、例えば、支持台54と、被処理体10との間の空間を流れることができる。これにより、不活性ガスは、被処理体10の裏面全面を均一に加熱することができる。
【0051】
支持部52は、支持台54の上に点在して設けられることができる。支持部52は、突起状部材であることができる。支持部52は、被処理体10を安定に支持できるように複数設けられるが、その数は限定されない。支持部52は、支持台54上に固定されている。
【0052】
水蒸気供給部38は、酸化炉50の上部50cに設けられることができる。
【0053】
酸化装置200は、図示のように、搬送アーム22によって、被処理体10を酸化炉50内に搬送することができる。以下、被処理体10の搬送方法について説明する。
【0054】
搬送アーム22は、例えば、被処理体10の表面に損傷を与えることなく、被処理体10の表面を吸引することによって、その下に被処理体10を載置することができる。
【0055】
被処理体10は、図示のように、例えば、搬送アーム22によって酸化炉50の側部50bから酸化炉50内に搬送される。被処理体10は、搬送アーム22により、前述の搬送口を通って酸化処理が行われる処理位置の上方に移動される。次に、搬送アーム22が下方に移動し、支持部52上に被処理体10を載置する。搬送アーム22は、搬送口を通って酸化炉50の外部に後退する。なお、搬送アーム22は、搬送アーム20と同じ形状であってもよい。
【0056】
以上により、酸化装置200は、被処理体10を酸化炉50内に搬送することができる。なお、酸化処理が行われた処理体を酸化炉50外に搬送する方法は、基本的に被処理体10を酸化炉50内に搬送する方法と逆の手順である。よって、その説明を省略する。
【0057】
第2の実施形態に係る酸化装置200は、第1の実施形態に係る酸化装置100の特徴に加え、例えば、以下の特徴を有する。
【0058】
第2の実施形態に係る酸化装置200は、支持部52が上下動することなく、被処理体10を酸化炉50内に搬送することができる。従って、支持部52が上下動しない分、酸化炉50の容積を小さくすることができる。また、支持部52を上下動させるための駆動部を設ける必要がなく、コストを低くできる。
【0059】
第2の実施形態に係る酸化装置200は、ガス供給部240が、ガス加熱室40と、ガス噴出口42とを有することができる。これにより、充分均一に加熱された不活性ガスを、被処理体10の裏面に向けて噴出することができる。
【0060】
2.2.第2の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造方法
第2の実施形態に係る面発光レーザの製造方法は、第1の実施形態に係る酸化装置100の代わりに、第2の実施形態に係る酸化装置200を用いて電流狭窄層15を形成すること以外は、基本的に第1の実施形態に係る面発光レーザの製造方法と同じである。よって、その説明を省略する。
【0061】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例は、全て本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置を模式的に示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置の一部を模式的に示す断面図および平面図。
【図3】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザの製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】第1の実施形態に係る面発光型半導体レーザを模式的に示す断面図。
【図6】第2の実施形態に係る面発光型半導体レーザ製造用酸化装置を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
【0063】
10 被処理体、11 基板、12 第1ミラー、13 活性層、14 第2ミラー、15 電流狭窄層、16 柱状部、17 第1電極、18 第2電極、19 絶縁層、20 搬送アーム、22 搬送アーム、30 酸化炉、31 排気口、32 支持部、34 ガス供給部、36 加熱部、38 水蒸気供給部、40 ガス加熱室、41 ガス供給口、42 ガス噴出口、46 ヒータ室、50 酸化炉、52 支持部、54 支持台、100 酸化装置、200 酸化装置、240 ガス供給部、250 酸化処理部、1000 面発光レーザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化炉と、
前記酸化炉内に設けられ、被処理体を載置するための支持部と、
前記被処理体の裏面に向けて、不活性ガスを供給するガス供給部と、
前記被処理体の表面に向けて、水蒸気を供給する水蒸気供給部と、
前記不活性ガスを加熱する加熱部と、を含む、面発光型半導体レーザ製造用酸化装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記支持部は、複数設けられ、上下動可能な棒状部材である、面発光型半導体レーザ製造用酸化装置。
【請求項3】
請求項1において、
さらに、前記酸化炉内に設けられた支持台を有し、
前記支持部は、複数設けられ、前記支持台の上に点在する突起状部材である、面発光型半導体レーザ製造用酸化装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記ガス供給部は、
前記加熱部によって前記不活性ガスを内部で加熱するガス加熱室と、
前記ガス加熱室と連続し、前記被処理体の裏面に向けて前記不活性ガスを噴出するガス噴出口と、を有する、面発光型半導体レーザ製造用酸化装置。
【請求項5】
アルミニウムと砒素を含む半導体層の一部を酸化することにより、電流狭窄層を形成する面発光型半導体レーザの製造方法において、
面発光型半導体レーザ用のウェハからなる被処理体を、酸化炉内に搬送する工程と、
前記被処理体を支持部に載置する工程と、
前記被処理体の裏面に向けて、ガス供給部から加熱された不活性ガスを供給する工程と、
前記被処理体の表面に向けて、水蒸気供給部から水蒸気を供給する工程と、を含む、面発光型半導体レーザの製造方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記水蒸気は、前記不活性ガスより低い温度で供給される、面発光型半導体レーザの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−158708(P2009−158708A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−334635(P2007−334635)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】