説明

香料成分としてのソルビトールエステル

本発明は、ソルビトールの不飽和エステルである香料成分、及び香料産業における該化合物の使用、並びに該化合物を含有する組成物又は製品を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香料の分野に関する。よりいっそう詳述すれば、本発明は、ソルビトールの不飽和エステルである香料成分に関する。
【0002】
本発明は、香料産業における前記化合物の使用及び該化合物を含有する組成物または物品に関する。
【0003】
先行技術
式(I)の化合物の中でただ1つが、先行技術、すなわち2,4−ヘキサジエニルソルベールとして公知である(US 3283032号を参照)。この化合物は、ジエン化合物から製造された熱硬化性樹脂の記載内容において有用な化学物質として記載されている。先行技術の刊行物には、本発明の化合物の官能的特性の記載はない。
【0004】
最も良く理解するために、ただ1つのソルビトールエステルが、先行技術から香料成分として公知である。この化合物は、S.Arctander(N゜1578,in Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USA)によって、オリーブ油、リンゴ及びガルバヌム様の匂いを有するとして記載されているソルビトールイソブチレートである。該先行技術の化合物の官能的特性は、1つの本発明の化合物とはかなり異なる。
【0005】
発明の詳細な説明
ところで、式(I)
【化1】

[式中、Rは、直鎖状のC5のアルケニル基もしくはアルカンジイル基、6−ヒドロキシ−フェニル基又は(C64)CH2CH2基を表す]で示される化合物は、香料成分として、例えばフローラル又は洋ナシ系の匂いのノートを付与するために使用することができることが、驚くべきことに見出された。
【0006】
本発明の詳細な一実施態様によれば、RがC5のアルケニル基又は6−ヒドロキシ−フェニル基である式(I)の化合物は、特に評価される。
【0007】
式(I)の化合物の中の1つは、特に制限されない例として、(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニルサリチレートを挙げることができる。この化合物は、粉末でのフローラルの匂い、オジギソウ及びわずかにエーテル性の特性を有する。また、この化合物の匂いは、本発明の化合物を添加しなければならない物品又は組成物に、本来の嗅覚効果を導入することが可能である、興味深いバニラ、メープルシロップ及びフランジパーヌボトムノートを有する。本発明の一実施態様によれば、この化合物は、特に評価される。
【0008】
本発明の化合物の別の例は、発泡性/刺痛のグリーンノートを有する典型的な洋ナシの匂いを有する(E,E)−2,4−ヘキサジエニル(Z)−3−ヘキサノエートである。フルーティー型の匂いを有するが、本発明の化合物は、先行技術のソルビトール(すなわち、ソルビトールイソブチレート)の匂いとは極めて性質が異なる。実際に、本発明の(Z)−3−ヘキサノエートは、リンゴ、樹脂及び乳香の匂いも、脂肪のグリーンノートも有しないことによって先行技術の化合物のイソブチレートとは異なる。
【0009】
さらに本発明の別の例は、(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニル3−フェニル−プロパノエートであり、そしてそれは蜂蜜−経皮様のグリーンノートを有するフローラル−ヒヤシンスの匂いによって特徴付けられる。
【0010】
本発明の化合物は、リンゴ−ガルバヌムの匂いを付与するために使用可能ではない。
【0011】
また、Rが、直鎖状のC5のアルケニル基、6−ヒドロキシ−フェニル基又は(C64)CH2CH2基を表す式(I)の化合物は、新規の化合物であり、従って本発明の目的でもある。
【0012】
前記で挙げられているように、本発明は、香料成分として式(I)の化合物の使用に関する。言い換えれば、本発明は、香料組成物又は香料物品の匂いの特性を授与する、増強する、改良する又は改質する方法に関し、この方法は、前記組成物又は物品に少なくとも1つの式(I)の化合物の効果的な量を添加することを含む。特に該化合物(I)は、フローラル又は洋ナシ型の匂いのノートを付与するために使用されうる。
【0013】
"式(I)の化合物の使用"によって、少なくとも1つの化合物(I)を有するあらゆる組成物の使用もここで理解されるべきであり、かつそれは、有利には活性成分として香料産業において使用されてよい。
【0014】
実際は有利に香料成分として使用されうる前記組成物も、本発明の目的である。
【0015】
従って、本発明の別の目的は、
i)香料成分として、前記で定義されたような少なくとも1つの本発明の化合物、
ii)香料キャリヤー及び香料基剤からなる群から選択される少なくとも1つの成分、及び
iii)場合により少なくとも1つの香料補助剤
を含有する香料組成物である。
【0016】
"香料キャリヤー"に関して、香料の観点からほとんど天然である、すなわち香料成分の官能的特性を著しく変えない物質をここで意味する。該キャリヤーは、液体又は固体であってよい。
【0017】
液体のキャリヤーとして、1つは、制限されない例として、乳化系、すなわち溶剤及び界面活性剤系、又は香料において一般に使用される溶剤を挙げることができる。香料において一般に使用される溶剤の性質及びタイプの詳細な記載は、網羅することはできない。しかしながら、制限されない例としては、溶剤、例えばジプロピレングリコール、ジエチルフタレート、イソプロピルミリステート、ベンジルベンゾエート、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はエチルシトレートを挙げることができ、これらは最も一般に使用されている。
【0018】
固体のキャリヤーとして、1つは、制限されない例として、吸収ゴムもしくはポリマー、又はさらに封入材料を挙げてよい。例えば、このような材料の例は、壁形成及び可塑化材料、例えばモノ−、ジ−又はトリサッカライド、天然の又は改質されたデンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質もしくはペクチン、又はさらに関連書物で挙げられた物質、例えばH.Scherz,Hydrokolloids:Stabilisatoren,Dickungs− und Gehermittel in Lebensmittel,Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie,Lebensmittelqualitaet,Behr’s VerlagGmbH & Co.,Hamburg,1996を含んでよい。封入は、当業者によく知られている方法であり、かつ例えば噴霧乾燥、凝集もしくはさらに押出しのような技術を使用して行われてよく、又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術を含む被覆封入から構成される。
【0019】
本明細書中では、"香料基剤"は、少なくとも1つの香料共成分を含有する組成物を意味する。
【0020】
前記香料共成分は、式(I)を有しない。さらに、本明細書中では、"香料共成分"は、化合物を意味し、この化合物は、快楽効果を与えるための香料配合物又は組成物中で使用される。言い換えれば、かかる共成分は、香料成分であるとして見なされ、まさに匂いを有するものとしてではなく、明確な又は快適な方法で組成物の匂いを付与又は改質できるものとして当業者によって認識されなければならない。
【0021】
前記基剤中に存在する香料共成分の性質及びタイプは、本明細書中で任意の場合には徹底的ではないかもしれない、より詳細な記載を保証するものではなく、当業者であれば、この香料共成分の一般的な知識に基づいて、意図された使用又は適用及び望ましい官能的効果に従って、前記性質及びタイプを選択することができる。一般的な名称において、それらの香料共成分は、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン塩酸塩、窒素の又は硫黄のヘテロ環式化合物及び精油と同様に多様な化学分類に属し、かつ該香料共成分は、天然の又は合成の起源でありうる。これら共成分の多くは、任意の場合に、関連書物、例えばS.Arctander,Perfume and Flavor Chemicals,1969,Montclair,New Jersey,USAもしくはそのより最近の版で、又は同様の性質の他の書物において、及び香料の分野における豊富な特許文献において記載されている。該共成分は、制御された手法において香料化合物の様々なタイプを放出することが知られている化合物であってもよい。
【0022】
香料キャリヤーと香料基剤の双方を含有する組成物のために、他の好適な香料キャリヤーは、以前に指定したものよりも、エタノール、水/エタノール混合液、リモネンもしくは他のテルペン、Isopar(登録商標)(Exxon Chemical社製)の商標で知られているようなイソパラフィン、又はDowanol(登録商標)(Dow Chemical Company製)の商標で知られているようなグリコールエステル及びグリコールエーテルエステルでもありうる。
【0023】
本明細書中では、"香料補助剤"は、追加の付加された利点、例えば色、特に耐光性、化学安定性等を付与することができる成分を意味する。香料基剤として一般に使用される補助剤の性質及びタイプの詳細な記載は、網羅するものではないが、しかし該成分が、当業者によく知られていることを言及しなければならない。
【0024】
少なくとも1つの式(I)の化合物及び少なくとも1つの香料キャリヤーからなる本発明の組成物は、本発明の特定の一実施態様、並びに少なくとも1つの式(I)の化合物、少なくとも1つの香料キャリヤー、少なくとも1つの香料基剤及び場合により少なくとも1つの香料補助剤を含有する香料組成物を示す。
【0025】
前記で言及された組成物において、より多くの式(I)の化合物を有する可能性は、香料製造業者が、調和、香料を製造すること、本発明の様々な化合物の匂いの調性を有すること、ひいては彼らの作業のための新しい道具を作成することを可能にする場合に重要であることを、本明細書中で述べることは、有用である。
【0026】
本明細書中で特に指示又は記載がない限り、例えば十分な精製なしに、本発明の化合物を、出発、中間又は最終生成物として含むであろう化学合成から直接得られる任意の混合物は、本発明による香料組成物としてみなすことができない。
【0027】
さらに、本発明の化合物は、現代の香料のすべての分野において、消費製品の匂いを該化合物(I)が添加された消費製品中に明確に付与又は改質するために有利に使用されることもできる。従って、
i)香料成分として、上記で記載されているような、少なくとも1つの式(I)の化合物、及び
ii)消費製品基剤
を含む香料製品は、本発明の目的でもある。
【0028】
はっきりさせるために、本明細書中で"消費製品基剤"は、香料成分と適合性である消費製品を意味することを挙げなければならない。言い換えれば、本発明による香料製品は、消費製品に対応して、機能性配合物、並びに場合により付加的な好ましい薬剤、例えば洗剤又はエアーフレッシュナー及び少なくとも1つの本発明の化合物の嗅覚効果量を含む。
【0029】
消費製品の構成成分の性質及びタイプは、本明細書中で任意の場合には徹底的ではないかもしれない、より詳細な記載を保証するものではなく、当業者であれば、この構成成分の一般的な知識の基礎に基づいて該製品の性質及び望ましい効果によって、前記性質及びタイプを選択することが可能である。
【0030】
好適な消費製品の例は、液体又は固体の洗剤及び織物柔軟剤、並びに香料における普通の他の製品、すなわち香水、コロンもしくはアフターシェイブローション、香水石鹸、シャワーもしくはバスソルト、ムース、オイルもしくはゲル、衛生製品又はヘアケア製品、例えばシャンプー、ボディケア製品、消臭剤もしくは制汗剤、エアーフレッシュナー及び化粧品もまた含まれる。洗剤として、それらは、家庭用又は産業用の使用であろうと、食器洗いのためのもしくは様々な表面を洗浄するための洗剤組成物又は洗浄製品のような適用を意図し、例えば織物、皿又は舗装処理用である。他の香料製品は、織物回復剤、アイロン水、紙、ふき取りクロス又は漂白剤である。
【0031】
いくつかの前記の消費製品基剤は、本発明の化合物のための刺激的な媒体を表すことができ、従って、早期の分解から、例えば封入によって本発明の化合物を保護することが必要である。
【0032】
本発明の化合物を様々な前記の製品又は組成物中に取り入れることができる割合は、広い範囲内の値で変化する。この値は、本発明による化合物が一般に当業者に使用される香料共成分、溶剤又は添加剤と混合される場合、製品の性質に、並びに所望された官能的効果、及び与えられた基剤中の共成分の性質に依存している。
【0033】
例えば、香料組成物の場合において、典型的な濃度は、本発明の化合物が取り入れられた組成物中の組成物の重さに対する該化合物の0.001質量%〜10質量%、又はそれ以上の程度である。前記濃度より低い濃度、例えば0.01質量%〜5質量%の程度では、それら化合物が香料製品中に取り入れられる場合に、該製品の質量と比較した百分率で使用されうる。
【0034】
実施例
本発明は、次の実施例の方法によってさらに詳細に記載され、その際、略語は当該技術分野において通常の意味を有し、温度を摂氏度(℃)で表す。NMRスペクトルデータを、CDCl3中で360又は400MHz機械を用いて1H及び13Cを記録し、化学シフト(chemical displacement)δを、標準としてのTMSに対してppmで表し、結合定数Jを、Hzで表す。
【0035】
実施例1
式(I)の化合物の製造
A)(E,E)−2,4−ヘキサジエニル(Z)−3−ヘキサノエートの合成
ブチル(Z)−3−ヘキサノエート(255g、1.5mol)、ソルビトール(177g、1.8mol)及びTi(OiPr)4(11.25g)を、蒸留装置を装備した丸底フラスコ中に装入し、そして形成されたブタノールが蒸留するまで、130℃で2時間撹拌した。そして温度を90℃まで下げ、そして6時間保った(形成されたブタノールを100mbarの圧力で蒸留した)。最後に、該圧力を、約10mbarまで下げ、そして残ったソルビトール及びブチル(Z)−3−ヘキサノエートを蒸留した。表題化合物を、残りの蒸留(10mbar、沸点110℃)によって得た(収率85%)。
【0036】

【0037】
B)(E,E)−2,4−ヘキサジエニル3−フェニルプロパノエートの合成
シリンジで、ヒドロシンナモイルクロライド11.2g(66mmol)を、ソルビトール5g(51mmol)及びトリエチルアミン10.3g(67mmol)の溶液を磁気的に撹拌させた溶液にジクロロメタン約70ml中でゆっくりと添加した。この添加のための発熱量を、氷浴によって制御し、そして該反応を室温で夜通し撹拌した。
【0038】
そして該反応を加水分解した。有機溶液を、10%HCl溶液で3回及び中性のpHまで水で洗浄し、硫酸マグネシウムで過乾燥し、濃縮した。そして粗化合物を、蒸留し(0.4mbar下で沸点140〜150℃)、純生成物9gを提供した(収率76%)。
【0039】

【0040】
C)(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニルサリチレートの合成
アルゴン雰囲気下でのシュレンクチューブ(Schlenk tube)中で、(E,E)−2,4−ヘキサジエン−1−オール(4.3g、44mmol)を、無水THF50mlで希釈する。−20℃で、ヘキサン(27.5ml、44mmol)中でブチルリチウム1.6Mを、10分以上滴加しながら添加する。その混合液を、20℃に達するまで20分間与えた。無水THF50ml中でフェニルシリケート(9.4g、44mmol)の溶液を、10分以上添加する。15時間後、該反応混合物を、氷水500ml上に注ぐ。デカンテーションし、ジエチルエーテル3×50mlで水性相を抽出し、化合させた有機相を塩水で洗浄し、乾燥し、そして溶剤蒸発して原油を除く。その生成物は、ペンタンから−20℃で再結晶化される。収率は4.4g(46%)である。
【0041】

【0042】
実施例2
香料組成物の製造
フローラル−草−スパイシーの及び芳香性の型の香料組成物を、次の成分を混合することによって製造した。
【0043】
成分 質量部
10%* アミルアセテート 5
ベンジルアセテート 5
カルビノールBDMアセテート 5
リナリルアセテート 100
スチラリルアセテート 5
50%* 桂皮アルコール 15
10%* アニスアルコール 5
10%* C11 LENIQUEアルデヒド 10
10%* C12アルデヒド 5
ヘキシルシンナムアルデヒド 45
1%* フェニル酢酸アルデヒド 45
1%* Cetalox(登録商標)1) 左旋性 15
レモン精油 40
オイゲノール 10
10%* ガルバヌム精油 10
Habanolide(登録商標)2) 100
Iralia Total(登録商標)3) 60
ISO E SUPER(登録商標)4) 45
イソオイゲノール 10
ジャスミン精油 15
リナロール 45
Lorysia(登録商標)5) 10
Lyral(登録商標)6) 50
マンダリン精油 15
1%* クリスタルモス(Crystal moss) 15
Muscenone7) デルタ 5
10%* シス−ジャスモン 10
Hedione(登録商標)8) 70
フェネチルオール 80
Vertofix(登録商標)9) 心臓 15
ベチバー(Vetyver)アセチル 10
バイオレット精油 5
イラン(Ylang) 20
900
* ジプロピレングリコール中
1)スイス、Firmenich SA社製のドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフサ[2,1−b]フラン
2)スイス、Firmenich SA社製のペンタデセノリド
3)スイス、Firmenich SA社製のミチルイオノンの異性体の混合物
4)米国、IFF社製の1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン
5)スイス、Firmenich SA社製の4−(1,1−ジメチルエチル)−1−シクロヘキシルアセテート
6)米国、IFF社製の4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド
7)スイス、Firmenich SA社製の3−メチル−シクロペンタデカ−4/5−エノン
8)スイス、Firmenich SA社製のメチルジヒドロジャスモネート
9)米国、IFF社製のメチルセドリルケトン
【0044】
上記の組成物への(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニルサリチレート100質量部の添加は、芳香のフローラルな性質を、そのオジギソウの性質のために、強く持続しかつ展開した。さらに、また、この化合物の添加は、十分に調和されたバニラ、フランジパーヌ内包を導いた。その結果、完全に天然の及び快い新しい芳香であった。
【0045】
反対に、ソルビトールイソブチレートのある量の添加は、本来の芳香の基本のフローラルノートを融合させない強いリンゴの性質を導いた。さらに、全ての芳香は、強いガルバヌムノートの存在のためにより刺激的になった。
【0046】
実施例3
香料組成物の製造
フルーティー−グリーン−洋ナシの及び芳香性の型の香料組成物を、次の成分を混合することによって製造した。
【0047】
成分 質量部
ヘキシルアセテート 45
エチルアセトアセテート 45
Bourgeonal(登録商標)1)
10%* ダマセノン 10
10%* ダマスコンアルファ 15
ジヒドロミルセノール 125
10%* Dynascone(登録商標)2) 15
エチル(2E,4Z)−2,4−デカジエノエート 45
エチルリナロール 75
10%* ガルバヌム精油 5
Hedione(登録商標)3) HC 80
Heliopropanal4) 75
Iralia Total(登録商標)5) 30
Lilial(登録商標)6) 50
リナロール 100
Hedione(登録商標)7) 200
1%* メチルオクチンカーボネート 25
2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド
950
* ジプロピレングリコール中
1)オランダ、Quest社製の3−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパナル
2)スイス、Firmenich SA社製の1−(5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−4−ペンテン−1−オン
3)スイス、Firmenich SA社製の高シスメチルジヒドロジャスモネート
4)スイス、Firmenich SA社製の3−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−メチルプロパナル
5)スイス、Firmenich SA社製のメチルリオノンの異性体の混合物
6)スイス、ヴェルニエ、Givaudan−Roure SA社製の3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナル
7)スイス、Firmenich SA社製のメチルジヒドロジャスモネート
【0048】
前記の香料組成物への(E,E)−2,4−ヘキサジエニル(Z)−3−ヘキサノエート50質量部の添加は、芳香のフルーティーな洋ナシの視点を強化し、かつ天然のトーンも付与した。この添加は、発泡性及び持続性の微細な差違を付与することによって古典的なグリーンの視点も変えた。
【0049】
反対に、ソルビトールイソブチレートの添加は、著しいアップルノートを導くことによって、本来の組成物の洋ナシの特徴を遮蔽する、顕著な平衡異常を導いた。さらに、本発明の化合物と反対に、グリーンノートはまた、ガルバヌム様の化合物に特有な、上品ではない油、樹脂及び乳香ノートの導入により変化させた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、Rは、直鎖状のC5アルケニル基もしくはアルカジエニル基、6−ヒドロキシ−フェニル基、又は(C64)CH2CH2基を表す]で示される化合物の香料成分としての使用。
【請求項2】
Rが、C5アルケニル基、又は6−ヒドロキシ−フェニル基を表すことを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)
【化2】

[式中、Rは、直鎖状のC5アルケニル基、6−ヒドロキシ−フェニル基又は(C64)CH2CH2基を表す]で示される化合物。
【請求項4】
(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニルサリチレート、(E,E)−2,4−ヘキサジエニル(Z)−3−ヘキサノエート又は(2E,4E)−2,4−ヘキサジエニル3−フェニルプロパノエートである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
i)香料成分として、請求項1で定義された式(I)の化合物、
ii)香料キャリヤー及び香料基剤からなる群から選択された少なくとも1つの成分、及び
iii)場合により少なくとも1つの香料補助剤
を含む香料組成物。
【請求項6】
i)香料成分として、請求項1で定義された式(I)の化合物、及び
ii)消費製品基剤
を含む香料製品。
【請求項7】
消費製品基剤が、固形もしくは液体の洗剤、織物柔軟剤、香水、コロンもしくはアフターシェイブローション、香水石鹸、シャワーもしくはバスソルト、ムース、オイルもしくはゲル、衛生製品、ヘアケア製品、シャンプー、ボディケア製品、消臭剤もしくは制汗剤、エアーフレッシュナー、化粧品、織物回復剤、アイロン水、紙、ふき取りクロス又は漂白剤である、請求項6に記載の香料製品。

【公表番号】特表2009−520837(P2009−520837A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−540738(P2008−540738)
【出願日】平成18年11月3日(2006.11.3)
【国際出願番号】PCT/IB2006/054103
【国際公開番号】WO2007/057810
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(390009287)フイルメニツヒ ソシエテ アノニム (146)
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
【住所又は居所原語表記】1,route des Jeunes, CH−1211 Geneve 8, Switzerland
【Fターム(参考)】