説明

高周波デバイス実装基板及び通信機器並びに高周波デバイスの特性評価方法

【解決手段】裏面が裏面導体層6で覆われた回路基板の表面に、高周波デバイス3を搭載するための端子電極9が形成され、高周波デバイス3と外部回路との信号のやりとりを行うための複数の信号線2が形成されている。端子電極9は、回路基板の中央部に配置され、端子電極9から信号線2が放射状に延びている。
【効果】信号線2同士の電磁気的干渉を減らすことができ、高周波デバイス3が例えばデュプレクサである場合に、帯域外減衰特性とアイソレーション特性を良好に発揮させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高周波デバイスを実装する基板に関するものであり、特に移動体通信機器に使用される高周波デバイスである高周波フィルタまたは送受信分波器(以下「デュプレクサ」という)を実装するのに好適な高周波デバイス実装基板に関するものである。
また本発明は、前記高周波デバイス実装基板を搭載した通信機器に関するものである。
また本発明は、前記高周波デバイス実装基板に実装された高周波デバイスの特性を評価する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の移動体通信機器に使用される高周波フィルタに対して、小型・軽量で、通過帯域内では低損失であり、通過帯域外での減衰量が大きく、かつ通過帯域から通過帯域外にかけての特性変化が急峻であるという要求が強くなっている。
また、送信側周波数帯(例えば比較的低周波側)の信号と受信側周波数帯(例えば比較的高周波側)の信号とを分離するデュプレクサに対しても、小型・軽量で、デュプレクサ内の送信用高周波フィルタにおいては、送信帯域では低損失でかつ受信帯域では高減衰であり、受信用高周波フィルタにおいては、受信帯域では低損失でかつ送信帯域では高減衰であることが求められている。また、デュプレクサにおいては、送信信号が送信端子から受信端子へ漏れるのを防ぐために、送信端子から受信端子へのアイソレーション特性が良好なことが求められている。また、デュプレクサとして、送信用高周波フィルタである例えば低周波数帯域側高周波フィルタ及び受信用高周波フィルタである例えば高周波数帯域側高周波フィルタが一体化された、さらに小型の素子が要求されている。
【0003】
その中でデュプレクサには、従来、誘電体を用いたものが使用されてきた。しかし、誘電体分波器は現状の通信規格の周波数帯では原理的に小型することができなかった。
そこで近年、弾性表面波素子を用いたフィルタをデュプレクサに利用する試みがなされている。弾性表面波素子は通常、圧電基板上に櫛歯状電極を有する複数の励振電極が形成されて構成される。弾性表面波フィルタは従来から段間のフィルタとして使用されていたが、デュプレクサとして使用するには耐電力性が低かった。しかし、近年この耐電力性の問題は励振電極の電極構造や電極材料を工夫することで解決することができるようになってきたため、誘電体分波器より小型で通過帯域近傍の減衰特性の良い弾性表面波分波器が現れ始めている。
【0004】
一方、弾性表面波フィルタをさらに小型化するための技術も進化している。従来は、パッケージ本体の凹部の中に圧電基板上に励振電極を設けた弾性表面波デバイスを実装し、ワイヤボンディング技術により圧電基板上の電極パターンとパッケージの端子部とを接続した後、その凹部をキャップ等により気密封止することにより弾性表面波フィルタを作製することが一般的であった。この場合は、ボンディングワイヤによるインダクタンス成分を有効に利用することにより、帯域外減衰特性等の向上を図ることも可能であった。
【0005】
また、近年では、パッケージをより小型化するためにCSP(Chip Size Package:チップサイズパッケージ)技術を積極的に活用し、弾性表面波デバイスを回路基板上にフリップチップ実装することにより、従来のワイヤボンディングに必要なスペースや高さを削減することも提案されている(例えば、特許文献1,2を参照。)。
前記要求を満たさない高周波デバイスを通信機器に用いれば、不要な無線信号を送信したり、または受信したりすることとなり、受信した無線信号の品質が低下したり、他の無線通信機器への妨害等の問題が発生したりする可能性がある。
【0006】
また、以上のような高周波フィルタやデュプレクサ等の高周波デバイスの特性を評価するためには、それら高周波デバイスを、評価用の実装基板に搭載して、所望の特性が得られているかどうかを測定し評価することが行われる。
測定・評価は正確に行われなければならないので、通常、高周波デバイスと高周波デバイス実装基板との間の接続や、高周波デバイス実装基板と測定器に接続された同軸ケーブルとを接続するための同軸コネクタと高周波デバイス実装基板との間は、半田を用いて強固に確実な導電性を確保して接合される必要がある。
【0007】
図22に、一般的な高周波デバイス実装基板と、それに接続された高周波デバイス及び同軸コネクタとの概略斜視図を示す。
高周波デバイス実装基板は複数の絶縁体層(図示せず)が積層され内部に接地導体層(図示せず)が形成された回路基板50の表面に、必要な電気回路を導体で形成したものである。
【0008】
この電気回路は、評価したい高周波デバイス41を実装するための端子電極(図示せず)と、測定器に接続されたケーブルと高周波デバイス実装基板とを接続するために取り付ける同軸コネクタを接続するための信号電極23及び接地電極24と、高周波デバイス41の端子電極と信号電極23とを接続する信号線2とによって構成される。
また、回路基板50の絶縁体層を貫通する貫通孔47を設け、貫通孔47の内面にも導体層を設けることにより内部の接地導体層を互いに電気的に接続し、接地電極24の寄生インダクタンスを小さくすることにより接地効果を大きくすることもある。
【0009】
同軸コネクタは通常、信号を伝えるための中心導体44と、これを取り囲み接地される外周導体45と、これらを絶縁する絶縁部材とからなり、中心導体44は高周波デバイス実装基板の信号電極23と接続できるよう、絶縁部材から突出した形状となっており、信号電極23の幅に合わせた太さのものが用いられる。
それぞれの部材を図22のように組み立てるには、まず、回路基板50上に形成された端子電極にクリーム半田を塗布し、その上に端子電極に対応する位置に電極を設けた高周波デバイス41を搭載し、リフローすることにより高周波デバイス実装基板と高周波デバイス41とを接続した後、信号電極23及び接地電極24と、同軸コネクタの中心導体44及び外周導体45とを、それぞれ糸半田及び半田ごてを用いて半田で接続する。
【0010】
そして、同軸コネクタを測定器に接続された同軸ケーブルに接続し、高周波デバイス41の特性を測定する。
また、同軸コネクタを高周波デバイス実装基板から取り外すには、高周波デバイス実装基板を半田が溶融する温度(200℃〜300℃)にまで加熱し、ピンセット等で高周波デバイス41を取り外す必要がある。
【特許文献1】特表平11−510666号公報
【特許文献2】特表2002−504773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
現在では、弾性表面波素子を用いたデュプレクサとして、送信用フィルタである例えば低周波数帯域側フィルタおよび受信用フィルタである例えば高周波数帯域側フィルタが一体化された、さらに小型の弾性表面波装置が要求されている。また、フィルタとして低挿入損失であるのはもちろんのこと、帯域外減衰特性に関してもさらに高い減衰特性が要求されている。さらに、送信信号が送信端子から受信端子へ漏れるのを防ぐために高いアイソレーション特性が要求されている。
【0012】
ここで、送信用フィルタおよび受信用フィルタの帯域外減衰特性が劣化した場合には、不要な無線信号を送信したり、または受信したりすることとなり、受信した無線信号の品質が低下したり、他の無線通信装置への妨害等の問題が発生したりする可能性がある。
そこで、以上のような弾性表面波フィルタやデュプレクサ等の高周波デバイスの特性を評価するために、実際にそれら高周波デバイスを搭載する携帯電話等に使用される回路基板において帯域外減衰特性およびアイソレーション特性を満たさなければならないため、それら高周波デバイスを評価用の実装基板に搭載して、所望の特性が得られているかどうかを測定し評価することが行なわれる。そして、そのための高周波デバイス実装基板には、所望の特性の測定・評価に当たって、その実装基板に起因して正しく測定・評価が行えなくなるような影響を与えるものでないことが要求されている。
【0013】
以上のような要求に対し、従来の比較的大型の弾性表面波装置を高周波デバイス実装基板に実装する場合には、評価対象の装置の端子間が充分に離れていたために例えばアイソレーション特性のうち実装基板に起因する成分は問題にならなかったが、最近の高度に小型化された弾性表面波装置を従来の高周波デバイス実装基板に搭載すると、実装基板上の信号線同士が小型化された弾性表面波装置のサイズに合わせて近接してしまうこととなるため、信号線同士の間に不要な電磁気的な結合が生じ、その影響を受けて帯域外減衰特性およびアイソレーション特性が劣化して測定されてしまうという問題点が生じていた。
【0014】
本発明は以上のような従来の技術における問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、高度に小型化されたフィルタについて帯域外減衰特性が正確に測定・評価でき、また高度に小型化されたデュプレクサにおいては送信用フィルタおよび受信用フィルタでそれぞれの帯域外減衰特性を正確に、かつアイソレーション特性も正確に測定し評価することができ、またそれらの特性を良好に発揮させることができる高周波デバイス実装基板を提供することにある。
【0015】
また、近年、高周波デバイスの小型化・軽量化が進められており、それに伴いデバイス自体の熱容量が小さくなるため、耐熱性が劣化してしまうという問題があることから、前述のように同軸コネクタを取り付け、取り外す必要があるときには、従来の作業時間に比べてより短時間の加熱時間で取り付け、取り外しを完了したいという要求がある。
さらに、前記のように測定・評価を行う場合のみならず、高周波デバイス実装基板を基地局や端末などの通信機器に搭載して、実運用する場合でも、高周波デバイス実装基板と他の回路部品とを接続するための同軸コネクタと高周波デバイス実装基板との間は、半田を用いて強固に接続することが要求されている。接続が弱いと、導電性の確実性が失われ、高周波デバイスの動作の信頼度が低下してしまう。
【0016】
そこで本発明の他の目的は、同軸コネクタとの強固な接続を確保することができ、かつ取り外すときには、簡単に同軸コネクタを取り外すことができる高周波デバイス実装基板を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、前記高周波デバイス実装基板に実装された高周波デバイスの特性を、高い信頼度で評価することのできる高周波デバイスの特性評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の高周波デバイス実装基板は、絶縁体層の裏面又は内部に導体層を有する回路基板と、前記回路基板の表面に設置された、高周波デバイスを搭載するための複数の端子電極と、前記回路基板に設置され、前記端子電極につながる複数の信号線とを備え、前記信号線は、前記端子電極から放射状に延び、任意の1本の信号線を前記端子電極から仮想的に延長した直線と、他の任意の1本の信号線を前記端子電極から仮想的に延長した直線とが、同一直線を構成しないことを特徴とするものである。
【0018】
前記2つの延長線は、1点で交わる場合と、互いに平行である場合とがある。
前記端子電極は前記回路基板の任意の位置に配置されていてもよい。例えば中央部に配置されていてもよい。
この高周波デバイス実装基板によれば、前記端子電極から前記信号線が放射状に延びていることにより、隣接する信号線間において、信号線同士の近接する部分を短くすることが可能となり、信号線間の電磁気的結合を低減させることができる。また、信号線同士の方向がずれているため、信号線を直線的に伝搬してきた信号が他の信号線に伝搬しにくくなるという利点がある。一般にマイクロストリップラインの伝送モードである準TEM波においては、2本の信号線の延長方向が同一直線を構成する場合、当該信号線間で信号が最も伝搬しやすいが、本発明のように、放射状に伸びている信号線が、端子電極を間に挟んで互いに対向していない構成とした場合、相互の信号線間での電磁気的な干渉を減少させて不要な伝搬を抑えることができる。
【0019】
よって、本発明は、高周波デバイスとして高周波フィルタあるいはデュプレクサを用いた場合に、それらの帯域外減衰特性やアイソレーション特性を良好に発揮させることができる。
前記回路基板の表面の、前記信号線の両側に接地導体層が設置され、前記信号線と前記接地導体層との間隔Wが、前記信号線と前記絶縁体層の裏面又は内部に形成された前記導体層との間隔tよりも大きいことが好ましい。
【0020】
信号線と接地導体層との間は空気と空気より誘電率が高い誘電体とで半々に満たされているのに対し、信号線と導体層との間は空気より誘電率が高い誘電体で満たされている。このため信号線と導体層との間に電界が集中しやすい。
そこで、信号線と導体層との間隔を、信号線と接地導体層との間隔より狭くすることにより、信号線の周りに発生する電磁界を、特に信号線と対向する裏面の導体層との間の絶縁体層の中に閉じ込めることができる。
【0021】
したがって、実装基板の表面に設置された信号線同士の空気中での電磁気的干渉を減らすことができ、高周波デバイスとして高周波フィルタあるいはデュプレクサを用いた場合にそれらの帯域外減衰量やアイソレーション特性の測定への影響や発揮への障害をさらに改善することができる。
前記回路基板を貫通し、前記絶縁体層の裏面又は内部に形成された前記導体層と電気的に接続される複数の貫通導体が形成されている場合には、貫通導体と裏面又は内部の導体層を介して、信号線の両側に配置された接地導体層が電気的に接続されるので、接地導体層間で電位差をなくすことができる。よって、回路基板の表面における接地導体層の接地電位を安定させることができ、接地導体層を介した信号線同士の干渉を減らすことができるので、高周波デバイスとして高周波フィルタあるいはデュプレクサを用いた場合にそれらの帯域外減衰特性やアイソレーション特性をさらに良好に測定・評価することができ、あるいは特性を発揮させることができる。
【0022】
また、高周波デバイスが圧電体フィルタであるときには、圧電体フィルタの入力端子と出力端子とから延びる信号線を前述のように構成することで、圧電体フィルタの帯域外減衰特性に対する影響を従来の高周波デバイス実装基板に比べて改善することができる。しかも、高度に小型化された圧電体フィルタを用いても、優れた帯域外減衰特性を維持することができる。
【0023】
また、高周波デバイスが圧電体フィルタを用いた分波器であるときには、分波器の送信用端子とアンテナ端子と受信用端子とから延びる信号線同士での電磁気的な結合を抑えることができるので、分波器の送信用高周波フィルタ及び受信用高周波フィルタそれぞれでの帯域外減衰特性が優れており、かつ高いアイソレーション特性を得られる実装基板を実現することができる。しかも、高度に小型化された分波器を用いても優れた帯域外減衰特性とアイソレーション特性を維持することができる。
【0024】
なお、本発明の高周波デバイス実装基板に高周波デバイスとして搭載される圧電体フィルタ及びこれを用いた分波器は、弾性表面波を用いた素子であっても、バルク波を用いたいわゆるFBAR(Film Balk Acoustic Resonator)を用いた素子等であっても構わない。本発明の効果は小型化されたすべての高周波フィルタ及び分波器について有効である。
また、本発明の高周波デバイス実装基板は、実際に移動体通信機器等に用いられる回路基板や通信機器のRF部を一体化し小型化するためのモジュール基板等の回路モジュールを構成するのにも好適に使用することができる。
【0025】
さらに、後に説明するように本発明の高周波デバイス実装基板は、高周波デバイスの測定・評価用にも好適に使用することができる。
次に、本発明の高周波デバイス実装基板は、上記構成に加えて以下のような構成(以下、構成Aと称する)を備えるようにしてもよい。
すなわち、絶縁体層の裏面又は内部に導体層を有する回路基板と、前記回路基板の表面に設置された、高周波デバイスを搭載するための端子電極と、前記回路基板の表面に設置され、前記端子電極につながる信号線と、前記回路基板の表面の周辺部に配置され、前記信号線につながり、同軸コネクタの中心導体が接続される信号電極と、前記回路基板の表面の周辺部に配置され、前記同軸コネクタの外周導体を、半田を用いて接続するための接地電極とを備え、前記接地電極には、前記半田が付着する領域に、前記回路基板を貫通する貫通孔が形成されており、該貫通孔の内面には導体層が被着されている。
【0026】
この高周波デバイス実装基板によれば、同軸コネクタの外周導体を、半田を用いて取り付ける際に、貫通孔内に半田が流入する。これによって、同軸コネクタの外周導体を、回路基板の接地電極に対して強固に接合することができる。
また、従来の図22のように回路基板50の高周波デバイス41に近い部分に貫通孔47を設けるよりも、より寄生インダクタンスが小さい状態で、内部の接地導体層を測定器の接地電位と接続することができるため、より正確に高周波デバイスの特性を測定することができる。
【0027】
なお、以上説明したような本発明の高周波デバイス実装基板における同軸コネクタを高周波デバイス実装基板に取り付ける際の効果は、同軸コネクタと高周波デバイス実装基板とを一時的に接続し、測定後に同軸コネクタを取り外す場合はもちろんのこと、恒久的な接続を必要とするいわゆるメインボードと、このメインボードと外部回路とを接続するコネクタとを接続する際にも有効である。
【0028】
また、後に説明するように、同軸コネクタを高周波デバイス実装基板から取り外す際においても、恒久的な接続を必要とするそのメインボードとコネクタとの接続において、リペアが必要なときに有効である。
前記回路基板は、複数の絶縁体層が積層された積層基板であり、その内部に内部導体層が形成され、前記貫通孔の内面に形成された導体層は、前記内部導体層に接続されていてもよい。
【0029】
また、前記回路基板の裏面の前記接地電極と対応する部位に第2の接地電極が形成されており、該第2の接地電極は、前記貫通孔の内面に形成された前記導体層を介して前記接地電極に接続されていることが好ましい。
この構造では、半田が貫通孔を通って第2の接地電極まで連続に存在するため、同軸コネクタをより強固に接続することができる。それとともに、半田接続する際に、貫通孔内の半田を介して半田ごての熱が片方の面(例えば表面)に存在する半田からもう片方の面(例えば裏面)に存在する半田へと速やかに伝搬するため、両面の半田を同時に溶融することができ、このため、貫通孔を介して両面の半田量が均等化される。
【0030】
また、同軸コネクタを取り外す際も同様に両面の半田を同時に溶融することができるため、短時間で容易に取り外し作業を完了することができる。従って、搭載された高周波デバイスをその特性を劣化させることなく取り外すことができる。また、同軸コネクタや高周波デバイス実装基板に熱によるダメージを与えることなくこれらを再利用するこができる。
【0031】
前記貫通孔が、前記接地電極の、前記回路基板の外周に沿った部位に複数配置されている場合は、半田によって接続される同軸コネクタの外周導体−貫通孔内の導体層−内層導体という電気的経路を最も短くすることができるので、貫通孔内の導体層に起因する寄生インダクタンスを最も小さくすることができる。
前記貫通孔は、前記接地電極の前記信号線と反対側の部位に、前記回路基板の外周から中央部に向かってさらに配置されている場合は、次のような効果がある。
【0032】
従来の高周波デバイス実装基板では同軸コネクタの接続に際して強固な接合とするために半田量を多くすると、接近して配置されている信号電極と接地電極とが半田を介して短絡する場合があったが、本発明の高周波デバイス実装基板によれば、前記貫通孔が、前記接地電極の前記信号線と反対側の部位に前記回路基板の外周から中央部に向かってさらに配置されているときには、同軸コネクタを接合する際に、表面の接地電極に対する余分な半田がそのさらに配置された貫通孔を通して裏面の第2の接地電極に流動するため、半田の形状がやや接地電極の信号線と反対側寄りとなる。このため、使用される半田を信号電極側に流れ難くすることができるので、信号電極と接地電極とが半田を介して短絡するのを有効に防止することができる。
【0033】
また、前記接地電極に、前記回路基板の表面に前記信号線に沿って形成された表面接地導体層が接続されている場合は、表面接地導体層を寄生インダクタンスが最も小さい状態で測定器の接地電極と接続することができるので、高周波デバイスの信号端子のうち、接地される電極の電位をより測定器の接地電位に近づけることができる。
本発明の高周波デバイスの特性評価方法は、高周波デバイスを、前記端子電極から信号線が放射状に延びている高周波デバイス実装基板に実装し、前記高周波デバイス実装基板に測定用配線を接続し、前記高周波デバイス実装基板に実装された前記高周波デバイスの特性検査を行う方法である。この方法では、高周波デバイス実装基板の端子電極から信号線が放射状に延びているので、信号線間の電磁気的結合が少なくなり、前記高周波デバイスの特性を正確に測定することができる。
【0034】
なお、本発明の高周波デバイスの特性評価方法は、高周波デバイス実装基板として、構成Aを備えたものを用いた場合、前記高周波デバイス実装基板に同軸コネクタを確実に接続して、高周波デバイスの特性評価を行うことができるとともに、高周波デバイスを取り外すときも、簡単に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する図面においては、同一部品および同一部分には同じ符号を付すものとする。
図1及び図2に本発明の高周波デバイス実装基板の一例を示す。図1は、高周波デバイス実装基板1に、高周波デバイスとしてのデュプレクサ3を搭載した状態を示す平面図である。図2は、デュプレクサ3を搭載しない高周波デバイス実装基板1のみを示す平面図である。
【0036】
高周波デバイス実装基板1は、絶縁体層7を含む回路基板で構成されている。絶縁体層7の表面にデュプレクサ3が搭載される。デュプレクサ3は、少なくとも送信用高周波フィルタと受信用高周波フィルタと(いずれも図示せず)を含んでいる。
回路基板の絶縁体層7の表面には、デュプレクサ3の電極配置に対応して、デュプレクサ3に接続されるための複数の端子電極9が設置されている。
【0037】
また、回路基板の絶縁体層7の表面には、表面接地導体層4と、複数の信号線2a〜2c(総称するときは「信号線2」という)とが設置されている。
各信号線2は、所定の端子電極9に接続され、端子電極9から放射状に延びている。
表面接地導体層4は、他の所定の端子電極9に接続されている。
このように、端子電極9には、各信号線2に接続されるものと、表面接地導体層4に接続されるものとがある。
【0038】
絶縁体層7の裏面は、裏面導体層6(図3参照)で覆われている。
また、図1及び図2に示すように、接地導体層4は、それぞれ放射状に延びている信号線2に対して、その両側に配置されている。それら表面接地導体層4は、絶縁体層7の表面で信号線2の両側に、ギャップWを設けて設置されている。このギャップWは、信号線2と裏面導体層6との間隔t(図3参照)よりも広くされている。
【0039】
5は貫通導体であり、表面接地導体層4の信号線2に近い辺に沿って複数配置されている。これらの貫通導体5は、表面接地導体層4と絶縁体層7の裏面導体層6とを接続するためのものである。このような貫通導体5は、絶縁体層7に設けた貫通孔の内壁に導体が被着形成された、いわゆるスルーホール導体でもよく、貫通孔の内部が導体で充填された、いわゆるビア導体でもよい。
【0040】
図3は、図1のA−A′線で切断した要部断面図である。
図3に示すように、絶縁体層7の裏面導体層6は、貫通導体5によって絶縁体層7の表面の表面接地導体層4と電気的に接続されている。裏面導体層6は、信号線2を外部の測定装置等と接続するための高周波デバイス実装基板1の端面のコネクタ取付部において、コネクタの接地用外周導体と半田で接続されることにより接地され、これによって表面接地導体層4の接地電位が安定するものとなる。
【0041】
図1〜図3に示した実施形態においては、端子電極9は、図2に示すように、絶縁体層(回路基板)7の中央部に配置され、これら端子電極9から信号線2が放射状に延びていることから、信号線2同士の近接する部分の長さを短くすることができるので、信号線同士の電磁気的干渉を減らすことができるものとなる。
特に、図1及び図2に示すように、放射状に延びている信号線2同士が端子電極9を間に挟んで配設されている。すなわち、端子電極9が放射状に延びた信号線2を終端するように配設されている。それとともに、任意の1本の信号線2を端子電極9から仮想的に延長した直線と、他の任意の1本の信号線2を他の端子電極9から仮想的に延長した直線とが、同一直線を構成しないものとしている。
【0042】
このため、信号線を直線的に伝搬してきた信号が他の信号線に結合しにくくなるので、信号線同士の電磁気的干渉を抑えることができ、それによって、優れた帯域外減衰特性及びアイソレーション特性を維持することができるものとなる。
また、信号線2の両側に表面接地導体層4を設置しているが、信号線2と表面接地導体層4との間が空気と誘電体(例えば、ガラスエポキシ樹脂;比誘電率4.7)とで満たされているのに対して、信号線2と裏面導体層6との間が誘電体ですべて満たされている。このため、信号線2と裏面導体層6との間に電界が集中しやすくなる。
【0043】
特に、信号線2と表面接地導体層4とのギャップWを信号線2と裏面導体層6との距離tより広くする事によって、前記電界が集中はさらに顕著になる。
よって、信号線の周りに発生する電磁界分布が広がるのを抑えることができるため、信号が空気中に漏れて隣接する信号線2に干渉を与えにくくなる。したがって、隣接する信号線2同士の干渉を良好に抑えることができ、優れた帯域外減衰特性及びアイソレーション特性を維持することができるものとなる。
【0044】
具体的には、800MHz帯のデュプレクサ3を、厚みt=0.1mmの絶縁体層7に、幅0.13mmの信号線2を配置し、信号線2との間にW=1mmのギャップを持って表面接地導体層4を設けた高周波デバイス実装基板1に、前記デュプレクサ3を実装して特性を評価すると、送信帯域のアイソレーション特性が−70dBとなる。絶縁体層7の厚みt及び信号線2と表面接地導体層4とのギャップWとの比が1:1のとき、−60dBとなる。これらを比べると、絶縁体層7の厚みtと信号線2及び表面接地導体層4のギャップWとの比を1:10にすることにより、アイソレーション特性が10dBほど改善される。
【0045】
また、信号線2の両側に配置された接地導体層4に、裏面導体層6と電気的に接続された複数の貫通導体5が接続されているので、表面接地導体層4同士が、貫通導体5と裏面導体層6とを介して、電気的に接続されることになる。よって、信号線2の両側の表面接地導体層4が同電位となり表面接地導体層4間で電位差をなくすことができ、表面接地導体層4の接地電位を安定させることができる。したがって、表面接地導体層4を介した信号線2同士の干渉を減らすことができ、高周波デバイス3の特性を良好にすることができるものとなる。
【0046】
具体的には、表面接地導体層4の信号線側の辺に沿って、貫通導体5として直径0.3mmのビア導体を0.7mm間隔で配置することにより、貫通導体5がない場合に比べてアイソレーション特性を約5dB改善することができる。
以上のような高周波デバイス実装基板1によれば、高周波デバイス3がデュプレクサであるときには、デュプレクサ3の送信用高周波フィルタ及び受信用高周波フィルタの帯域外減衰特性及びアイソレーション特性を劣化させることなく所望の特性を得ることできる。
【0047】
したがって、高周波モジュールとして用いれば、デュプレクサ3等の高周波デバイスの特性を所望通りに発揮させて高周波デバイス実装基板としての機能を改善することができる。
また、高周波デバイス3が圧電体フィルタであるときには、表面接地導体層4の接地電位が安定することにより、表面接地導体層4を介した信号線2同士の干渉を減らすことができるので、帯域外減衰特性を良好に維持することできる。
【0048】
なお、信号線2の本数や設置角度は、図1,図2に示されたものに限られない。
図1,図2では、信号線2を3本等角度で配置していたが、例えば図4に示すように、信号線2を4本放射状に配置してもよい。信号線2同士の角度も等角度とする必要はかならずしもない。
この図4の場合、任意の1本の信号線2を端子電極9から仮想的に延長した直線と、他の任意の1本の信号線2を端子電極9から仮想的に延長した直線とは、1点で交差している。
【0049】
また、図5に示すように、信号線2を放射状に、かつ平行に配置してもよい。この場合、任意の1本の信号線2を端子電極9から仮想的に延長した直線と、他の任意の1本の信号線2を端子電極9から仮想的に延長した直線とは、互いに平行になっている。
前記図4、図5の場合であっても、図1、図2の構成と同様、信号線を直線的に伝搬してきた信号が他の信号線に結合しにくくなるので、信号線同士の電磁気的干渉を抑えることができ、それによって、優れた帯域外減衰特性及びアイソレーション特性を維持することができるものとなる。
【0050】
図6に本発明の高周波デバイス実装基板の他の構造例を要部断面図で示す。また、比較例として高周波デバイス実装基板の構造を図7に同様の要部断面図で示す。
これらの高周波デバイス実装基板の平面形状は、図1及び図2と同様であるので、平面図を省略している。
図6は、図1のB−B′線で切断した要部断面図であり、図7も同様の位置で切断した要部断面図である。なお、図6において、図1及び図2と同様の箇所には同じ符号を付してある。
【0051】
図6に示す本発明の実施形態例では、高周波デバイス実装基板1′は、信号線2(図示せず),表面接地導体層4,絶縁体層7b,絶縁体層7bの裏面を覆う裏面導体層6b,裏面導体層6bを挟んで絶縁体層7bに積層された絶縁体層7a及び絶縁体層7aの裏面を覆う裏面導体層6aからなる多層回路基板である。
数値例をあげると、絶縁体層7aの厚みは1mm、絶縁体層7bの厚みは0.1mmとなっており、絶縁体層7aを設けることにより、高周波デバイス実装基板1′の強度を高めることができる。さらに裏面導体層6aに他の回路を形成することもできる。
【0052】
絶縁体層をさらに設けて導体層を多層構造にすると、さらに回路を集積することができる。この集積化によって、携帯電話等の移動体通信機器に用いられる回路基板を小型化することができる。
図7に示す高周波デバイス実装基板10は、図6と同様に、接地導体層14,絶縁体層17b,所定のパターン形状にパターニングされた、絶縁体層17bの裏面を覆う導体層16b,導体層16bを挟んで絶縁体層17bに積層された絶縁体層17a,絶縁体層17aの裏面を覆う導体層16aからなる多層回路基板である。
【0053】
この図7の高周波デバイス実装基板では、デュプレクサ等の高周波デバイス3を実装する端子電極19の直下付近の領域18に導体層を設けると、端子電極19と導体層との間に寄生容量が発生し、そのようにして寄生容量が発生すると端子電極19の部分の特性インピーダンスが50Ωからずれることになり、信号の反射が生じ特性が劣化してしまうため、端子電極19の直下付近の領域18に導体層を設けないようにしている。
【0054】
このために、高周波デバイス3が搭載される絶縁体層17bの裏面を覆う導体層16bには、図7に示すようにその領域18に対応させて導体層16bに非形成領域を設けてパターニングしている(このパターニングにより導体層16bの非形成領域となる領域18には絶縁体17cが充填されることがある)。
しかしながら、このように寄生容量の発生を防止する目的で端子電極19の直下付近の導体層16bに非形成領域を設けることによって、高周波デバイス3の動作時に、端子電極19近傍の電界分布が導体層16bの非形成領域を通して絶縁体層17aの内部に深く入り込み、領域18において導体層16aと結合してしまい、その内の一部の電磁界が隣の導体層16bの非形成領域を通して別の端子電極19に信号が漏れてしまうフィードスルーの原因となっていた。
【0055】
これに対し、図6に示す高周波デバイス実装基板1′はこの問題点を改善したものである。図6によれば、高周波デバイス3が搭載される絶縁体層7bの裏面を覆う裏面導体層6bについて、図6に示すように端子電極9の直下付近の領域8に対応する部分に対して非形成領域を設けるようなパターニングをしていない。
このように裏面導体層6bに非形成領域を設けない場合であっても、非常に小型化された高周波デバイス3では端子電極9自体の大きさが小さいため、発生した寄生容量は微小であるため無視できる。よって、裏面導体層6bと端子電極9と間に寄生容量が発生してインピーダンスの不連続により信号の反射が起こるようなことはない。
【0056】
また、裏面導体層6bについて端子電極9の直下付近の領域8に対応した非形成領域を設けないことにより、高周波デバイス3の動作時に端子電極9近傍の電界分布が裏面導体層6bを通って絶縁体層7aの内部に深く入り込むようなことがなくなり、裏面導体層6aと結合してフィードスルーが発生するのを抑えることができる。
高周波デバイス3が圧電体フィルタである場合、シミュレーション結果によると、図7に示した高周波デバイス実装基板における構造では、端子電極19の直下付近の領域18に対応して導体層16bに非形成領域を設けていることにより、端子電極19間のアイソレーション特性は−76.5dBであった。
【0057】
図6に示した本発明の構造では、端子電極9の直下付近の領域8に対応して裏面導体層6bに非形成領域を設けていないことにより、高周波デバイス3が圧電体フィルタである場合の端子電極9間のアイソレーション特性は−80.4dBとなり、アイソレーション特性に対する影響が著しく改善されていることが分かる。
このように、本発明の高周波デバイス実装基板によれば、搭載される高周波デバイス3が圧電体フィルタや圧電体フィルタを用いた分波器である場合に、端子電極9間におけるアイソレーション特性を損なうようなことがないものとなる。
【0058】
また、フィードスルーの発生を抑制することができるので、帯域外減衰特性を良好に維持することができる。
また、高周波デバイス3がデュプレクサであるときには、フィードスルーの発生を抑制することができるので、送信用高周波フィルタと受信用高周波フィルタとの両方で帯域外減衰特性を良好に維持することができ、送信端子から受信端子に信号が漏れるのを抑制してアイソレーション特性を良好に維持することができる。
【0059】
図8は本発明の高周波デバイス実装基板の他の一例を示す平面図である。また、図9は図8のC−C′線で切断した要部断面図である。
高周波デバイス実装基板1は、絶縁体層32,39及び41と、接地導体層33及び40とが積層された構造の回路基板30の表面の中央部に、高周波デバイスが実装される端子電極9を設けている。また、回路基板30の表面には、抵抗、コンデンサ、集積回路などの電子部品60が搭載されている。
【0060】
回路基板30の表面の周辺部には、同軸コネクタの中心導体(図示せず)が接続される信号電極23と、同軸コネクタの外周導体(図示せず)が半田で接続される接地電極24とが形成されている。
端子電極9と信号電極23とは、回路基板30の中央部から放射状に延びた信号線2によって接続される。
【0061】
ここで、接地電極24の回路基板30の外周側の部位には、回路基板30の外周に沿って貫通孔(スルーホール)25が形成されている。
貫通孔25の内面には、図9に示したとおり、導体層27が被着されている。導体層27は接地電極24と接地導体層33,40とを電気的に接続している。
また、端子電極9のうち、接地される所定の端子は、その直下の接地導体層33に、導体が充填されたビア導体(図示せず)を介して接続されている。
【0062】
このような本発明の高周波デバイス実装基板1を用いて、高周波デバイス(図示せず)の特性を測定する場合は、まず、端子電極9にクリーム半田等を塗布し、これに高周波デバイスの対応する端子(図示せず)を接触させ、クリーム半田の溶融温度以上に加熱する。このことによって、高周波デバイスは、高周波デバイス実装基板1上に実装される。
その次に、同軸コネクタ(図示せず)を、半田及び半田ごてを用いて、同軸コネクタの中心導体を信号電極23に、及び同軸コネクタの外周導体を接地電極24に接合する。
【0063】
その際、貫通孔25の存在により、溶融した半田は接地電極24から貫通孔25内に流動し、貫通孔25内に入り込む。このようにして、貫通孔25内部から同軸コネクタの外周導体45(図22参照)に至って、半田が連続して形成される。
このため、高周波デバイス実装基板1と同軸コネクタとの強固な接続を確保することができる。よって、測定中に接続したケーブル等から物理的な負荷がかかっても同軸コネクタの中心導体と信号電極23とが外れる確率を極めて小さくすることができる。
【0064】
また、高周波デバイス実装基板1の中で接地電極24及び貫通孔25内の導体層27を介して、測定器の接地電極と最も近い位置で同軸コネクタの外周導体と接地導体層33,40とを接続することができるため、測定器の接地電極から接地導体層33,40との間の物理的な距離に起因する寄生インダクタンスを小さくでき、従って、より正確に高周波デバイスの特性を測定することができる。
【0065】
次に、本発明の実施形態のさらに他の例を説明する。
本例では、高周波デバイス実装基板1の平面図は図8と同様であるが、回路基板30の裏面の接地電極24に対向する部位に、第2の接地電極28を設けたものである。
図10に、本例の高周波デバイス実装基板1の裏面の平面図を示す。また、本例について図8のC−C′線で切断した要部断面図を図11に示す。図11と図9との相違は、図11では、高周波デバイス実装基板1の裏面に、第2の接地電極28が設けられていることである。
【0066】
この第2の接地電極28は、貫通孔25の内面の導体層27を介して、表面の接地電極24及び内部の接地導体層33,40と電気的に接続されている。
本例の高周波デバイス実装基板1と同軸コネクタとを半田で接合した場合の、図8のD−D′線で切断した要部断面図を図12に示す。
図12に示すように、同軸コネクタの外周導体(図示せず)に対して高周波デバイス実装基板1の裏面側から貫通孔25を通って表面側の外周導体にまで連続して半田36を存在させることができるため、より強固に高周波デバイス実装基板1の接地電極24と同軸コネクタの外周導体とを接続することができる。
【0067】
また、接地電極24と同軸コネクタの外周導体とを半田36で接続する際、貫通孔25内の半田36を介して半田ごての熱が片方の面に存在する半田36からもう片方の面に存在する半田36へと速やかに伝搬するため両面の半田36を同時に溶融することができる。これによって両面の半田量が均等化されるため、同軸コネクタの中心導体44や高周波デバイス実装基板1の信号電極23にかかる応力・負荷を小さくすることができる。
【0068】
また、同軸コネクタを取り外す際も、同様に両面の半田36を同時に溶融することができるため、短時間で容易に取り外し作業を完了することができる。従って、搭載された高周波デバイスを、その特性を劣化させることなく取り外すことができる。また、同軸コネクタや高周波デバイス実装基板1にダメージを与えることなくこれらを再利用することができる。
【0069】
また、高周波デバイス実装基板1の中で接地電極24,第2の接地電極28及び貫通孔25内の導体層27を介して、測定器の接地電極と最も近い位置で同軸コネクタの外周導体と接地導体層33とを接続することができるため、測定器の接地電極から接地導体層33との間の物理的な距離に起因する寄生インダクタンスを小さくでき、従って、より正確に高周波デバイスの特性を測定することができるのは前記実施形態例と同様である。
【0070】
次に、本発明の実施形態のさらに他の例を説明する。
図13A及び図13Bに本例の高周波デバイス実装基板1の表面の平面図を示す。
図13Aの本例では、高周波デバイス実装基板1の表面の接地電極24の回路基板30の外周側の部位に、貫通孔25を形成するとともに、接地電極24の信号線3と反対側の部位に、回路基板30の外周から中央部に向かってさらに貫通孔25′を配置した。
【0071】
図13Bの本例では、貫通孔25を形成せず、それに代えて、接地電極24の信号線3と反対側の部位に、回路基板30の外周から中央部に向かって貫通孔25′を配置した。
また、この高周波デバイス実装基板1に同軸コネクタを半田36で接続した場合の図13A,図13BのE−E’線で切断した要部断面図を図14に示す。
さらに、比較例として貫通孔25′を設けない場合の、図14と同様の要部断面図を図15に示す。
【0072】
接地電極24に対して貫通孔25′を設けない場合は、図15に示すように、接地電極24の上面と信号電極23の上面とに存在する半田36のそれぞれの分布が半田36の表面張力のために接近しており、半田量が多ければ半田同士が短絡する場合がある。
これに対して、本例の場合は、半田36の分布が図14に示すよう、貫通孔25′に半田36が流れ込むため、接地電極24の上面に存在する半田36を信号電極23からやや遠ざかるように分布させることができる。したがって、信号電極23と接地電極24とを半田36を介して短絡し難くすることができる。
【0073】
なお、ここでは裏面の第2の接地電極28が無い場合を示したが、図10〜図12に示す例と同様に、高周波デバイス実装基板1の裏面に第2の接地電極28を設けても構わない。
なお、今まで図8から図15に説明した回路基板30の表面において、信号線2に沿って表面接地導体層4を設けてもよい。
【0074】
図16は、表面接地導体層4と接地電極24とを接続した、本例の高周波デバイス実装基板1の表面の平面図を示す。
このような構成とすることにより、表面接地導体層4を、寄生インダクタンスが最も小さい状態で、測定器の接地電極と接続することができるので、高周波デバイスの信号端子の内、接地される端子の電位を、より寄生インダクタンスの小さい状態で測定器の接地電位に近づけることができる。
【0075】
本発明の高周波デバイス実装基板1は、通信機器に適用することができる。
すなわち、受信回路又は送信回路の一方又は両方を備える通信機器において、本発明の高周波デバイス実装基板1を用いることができる。
前記送信回路は、例えば、送信信号をミキサでキャリア周波数にのせて、不要信号をバンドパスフィルタで減衰させ、その後、パワーアンプで送信信号を増幅して、デュプレクサを通ってアンテナより送信する回路である。
【0076】
前記受信回路は、受信信号をアンテナで受信し、デュプレクサを通った受信信号をローノイズアンプで増幅し、その後、バンドパスフィルタで不要信号を減衰して、ミキサでキャリア周波数から信号を分離し、この信号を取り出す回路である。
前記デュプレクサやバンドパスフィルタを本発明の高周波デバイス実装基板1に実装し、通信機器に組み込むことにより、本発明の高周波デバイス実装基板1が搭載された、優れた特性を有する通信機器が実現できる。
【0077】
次に、高周波デバイス実装基板1を用いて高周波デバイスを評価する方法を説明する。
この高周波デバイス実装基板1は、高周波デバイスの量産工程の特性検査工程にて良品判定を行う目的や、開発品の特性を評価する目的のために使用される。
具体的には、高周波デバイスとして圧電体フィルタを用いたデュプレクサである場合には、圧電体から成るウェハ上に多数の圧電体フィルタを一括して形成した後、圧電体フィルタをそれぞれ個片に切断し、個々の圧電体フィルタを所定の回路基板にフェースダウンでフリップチップ実装してデュプレクサを得、得られたデュプレクサを高周波デバイス実装基板1に実装して良品判定する。前記良品判定をするための特性検査工程では、デュプレクサを高周波デバイス実装基板1に半田で接着することができないため、デュプレクサと高周波デバイス実装基板1との接続は、高周波デバイス実装基板1上の端子電極に配置されたコンタクトピンなどを介して行なわれる。この場合、安定して特性を測るために、高周波デバイス実装基板1は、コンタクトピンを固定する治具やデュプレクサの搭載位置を固定するガイドと共に真鍮やアルミなどの台座上に固定され、デュプレクサの上部より一定の圧力で押さえつけることによって、コンタクトピンとの接続を一定にする。
【0078】
この状態で、上に説明したように、高周波デバイス実装基板1の信号電極23及び接地電極24に、半田付けにより同軸ケーブルを接続して、高周波デバイスの特性評価を行う。
【実施例】
【0079】
<実施例1>
高周波デバイス実装基板の絶縁体層(回路基板)の材料として、FR−4(ガラスエポキシ樹脂)を用いた。
回路基板の表面に接地導体層が一層に形成され、回路基板の裏面側に厚みが0.1mmの絶縁体層とその裏面を覆う導体層とが交互に3回繰り返される積層構造とした。
【0080】
回路基板の表面に配置される信号線の幅は0.13mm、厚み0.06mmとし、信号線とその両側に設置した接地導体層とのギャップWは1mmとした。信号線は図1、図2に示したように回路基板の中央から放射状に延びている配置とした。
また、各絶縁体層の裏面を覆う導体層は、それぞれ絶縁体層の裏面の全面を覆っているようにした。
【0081】
接地導体層の信号線側の辺に沿って辺から0.5mmの位置に、一定の間隔0.7mmで絶縁体層の1〜3層目を貫通するビア導体を設けることにより、表面に設置された接地導体層の接地電位の安定化を図った。なお、信号線の特性インピーダンスは50Ωとなるように設計した。
このような構造の本発明の高周波デバイス実装基板の実施例に、実装基板に対向する面のサイズが2.5mm×2.0mmである超小型の800MHz帯デュプレクサを搭載し、前記信号線に測定用配線としての同軸ケーブルをつないで、アイソレーション特性の測定を行った。
【0082】
また、比較例として、デュプレクサの搭載位置の直下の一層目の絶縁体層の裏面の導体層を端子電極の直下付近の領域に導体層の非形成領域をパターニングした高周波デバイス実装基板についても同様の測定を行った。図17にそのアイソレーション特性の測定結果をグラフで示す。
図17において、横軸は周波数(Frequency、単位:MHz)、縦軸はアイソレーション(Isolation、単位:dB)を表す。
【0083】
実線の特性曲線は比較例の結果を示し、破線の特性曲線は本発明の実施例の結果を示している。
図17に示すグラフから分かるように、本発明の実施例のようにデュプレクサの搭載位置の直下付近の領域を絶縁体層の裏面に形成した導体層で覆うことにより、送信帯域(824〜849MHz)でのアイソレーション特性を約10dBと大きく改善することができた。
<実施例2>
図16に示す構造の高周波デバイス実装基板1を作製した。
【0084】
信号線2は端子電極9から放射状に延びており、同軸コネクタを接続する領域Fの構造も、図16に示すとおりである。
図18は図16の破線で示した領域Fの拡大図である。貫通孔25の数及び位置は図18に示したものとした。
なお、同軸コネクタを接続する部分は、図16に示すとおり領域Fを含み3箇所あるが、その全てについて図18に示した形状とした。
【0085】
図18に対応する部位の裏面の拡大図を図19に示す。回路基板30の表面の2つの接地電極24に対向する第2の接地電極28を、一続きのものとして形成した。なお図19において4′は、回路基板30の裏面に形成された接地導体層を示す。
なお、回路基板30の要部断面図は図11と同様である。
回路基板30の絶縁体層32,39,41の材料としては、FR−4(ガラスエポキシ樹脂)を、接地導体層33,40、接地電極24、第2の接地電極28、および裏面接地導体層4’の材料としては銅を用いた。
【0086】
絶縁体層32及び絶縁体層41の厚みはそれぞれ0.1mmであり、絶縁体層39の厚みは1mmである。また、接地導体層33及び接地導体層40の厚みはそれぞれ0.035mmである。接地電極24及び第2の接地電極28の厚みはそれぞれ0.06mmである。回路基板30の表面の信号線2の幅は0.13mm、同軸コネクタの中心導体44が接続される信号電極23の幅w1は0.6mm、接地電極24の横幅w2は5mm、信号電極23と接地電極24とのギャップw3は0.85mmとした。
【0087】
なお、信号線2の特性インピーダンスは50Ωとなるように設計した。接地電極24の縦幅w4は3mmとした。また、回路基板30の裏面の第2の接地電極28の横幅w5は13mm、縦幅w6は3mmとした。また、接地電極24に、回路基板30と回路基板30の裏面の第2の接地電極28とを貫通する半径0.3mmの貫通孔25を、接地電極24の内側から0.6mm、接地電極24の外周部(回路基板30の外周側)から0.3mmの位置から、0.8mmの間隔で6個設けた。各貫通孔25には内面に銅からなる導体層27を設け、接地電極24に接続されている表面接地導体層4及び第2の接地電極28に接続されている裏面接地導体層4′の接地電位の安定化を図った。
【0088】
また、比較例として、貫通孔25を設けないこと以外の設計が全て前記実施例と同じである高周波デバイス実装基板を作製した。
このようにして作製した本発明の実施例と比較例について、それぞれ高周波デバイスを搭載し、同軸コネクタを取り付けた後、信号線2を介して高周波特性を測定し、次いで同軸コネクタを取り外した後、再び高周波特性を測定した。
【0089】
このときの測定は、高周波デバイスの端子電極に直接、高周波プローブ(GGB社製、商品名:ピコプローブ40A−GS−600−DP)を接触させることにより行った。
なお、高周波デバイスとしては、端子電極9と接続される面のサイズが2.5mm×2.0mmであり、高さが0.6mmである小型の高周波フィルタを用いた800MHz帯デュプレクサを用いた。
【0090】
まず、実施例と比較例に対してともに、端子電極9にクリーム半田を塗布し、この高周波デバイスを搭載した。そして、ホットプレートを用いてクリーム半田を溶融させ、高周波デバイスの端子と端子電極9とを接続した。
次に、同軸コネクタを取り付けた。実施例と比較例に対してともに信号電極23と接地電極24と第2の接地電極28とに糸半田(Sn−Cu−Ag:融点217 ℃)を、半田ごてを用いて溶融させ、高周波デバイス実装基板1に同軸コネクタを取り付けた。
【0091】
比較例を用いた場合は、糸半田に同じ時間だけ熱を加えても溶融する量が一定ではなく、また、接地電極24と第2の接地電極28との半田が直接流動できないため、接地電極24と接地電極8との半田の量を均一にすることは非常に困難であった。
それに対し、実施例では、信号電極23と接地電極24との半田36を、半田ごてを用いて溶融させると、貫通孔25を介して第2の接地電極28上にある半田36にも熱が伝導するため、第2の接地電極28上の半田36も同時に溶融させることができ、また溶融した半田36が貫通孔25を通ってお互いに流動するため、接地電極24と第2の接地電極28とにおける半田量の偏りをなくすことができた。
【0092】
次に、高周波デバイス実装基板1に接続した同軸コネクタと測定器とをケーブルによって接続し、高周波デバイスの高周波特性を測定した。
この測定中に、比較例では同軸コネクタと測定装置とをつなげるケーブルによって加わる力によって同軸コネクタが外れたものがあったが、実施例では、図12に示したように、同軸コネクタの外周導体に対して高周波デバイス実装基板1の裏面の第2の接地電極28側から貫通孔25を通って表面の接地電極24側の外周導体にまで連続して半田36を存在させることができたため、より強固に高周波デバイス実装基板1と同軸コネクタを接続することができ、同軸コネクタが外れることはなかった。
【0093】
次に、同軸コネクタを高周波デバイス実装基板1から取り外した。
比較例の場合は、同軸コネクタを取り外すためには、まず第2の接地電極28の半田を半田吸い取り器(製造元:ハッコー社製、商品名:半田除去ステーション24V474)を用いて除去し、同軸コネクタと高周波デバイス実装基板1との接合が信号電極23及び接地電極24上の半田のみによって保持される状態とした後に、信号電極23と接地電極24との半田を溶融して同軸コネクタを高周波デバイス実装基板1から取り外した。
【0094】
これに対して実施例の場合は、信号電極23と接地電極24との半田36を、半田ごてを用いて溶融させると、貫通孔25を介して第2の接地電極28上にある半田36にも熱が伝導するため、第2の接地電極28上の半田36も同時に溶融させることができた。このため、比較例に比べて非常に容易に短時間で同軸コネクタを取り外すことができた。
このように、実施例は比較例に比べて、半田吸い取り器を使用する必要がなく、片面の半田36に半田ごてを用いて熱を加えるだけでもう片面の半田36も溶融させて同軸コネクタを取り外すことができ、高周波デバイス実装基板1及び高周波デバイスに熱が加わる時間を極めて短くすることができた。
【0095】
次に、高周波デバイスを取り外した。実施例と比較例とをともにホットプレート上に載置し、加熱することによりクリーム半田を溶融させ、ピンセットを用いて高周波デバイスを取り外した。
その後に、取り外された高周波デバイスの高周波特性を測定した。その結果、本発明の実施例の高周波デバイス実装基板1を用いた場合では上記の一連の作業の前後で特性の劣化した高周波デバイスは無かったが、比較例の高周波デバイス実装基板を用いた場合には同軸コネクタの取り付け及び取り外し時に加えられた熱によって、高周波特性の劣化した高周波デバイスが発生した。
<実施例3>
高周波デバイス実装基板1の表面の平面図は第1の実施例と同様であるが、図20に拡大図で示すように、接地電極24の信号電極23と反対側の端部に位置する貫通孔25Aから、回路基板30の外周部から中央部に向かって貫通孔25と同様の寸法の2個の貫通孔25′を設置した点が異なっている。
【0096】
実施例2では、図15に示すように、接地電極24の上面と信号電極23の上面とに存在する半田36の分布が半田36の表面張力のために接近しており、半田量によってはこれら半田36を介して短絡する場合があった。
本実施例のように、接地電極24に貫通孔25′を設けることで、半田36が図14に示すように貫通孔25′に流れ込むため、接地電極24の上部に存在する半田36を信号電極23からやや遠ざかるように分布させることができたため、信号電極23と接地電極24とが半田36を介して短絡することがなかった。
【0097】
なお、本発明は以上の実施形態・実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることは何ら差し支えない。
例えば、回路基板の絶縁体層の材料としては、以下の実施例に挙げる材料に限定されるものではなく、テトラフルオロエチレンやBTレジン等の有機材料や、アルミナ等のセラミックス、あるいはアルミナを主成分とするガラスセラミックス等の無機材料を用いてもよい。
【0098】
また、絶縁体層及び絶縁体層の裏面を覆う導体層の積層数は任意でよい。以上の例では接地導体層33の他にも裏面側にさらに接地導体層28を設けた例を示したが、この接地導体層28は省略しても構わない。
また、貫通孔25の形状は図8等では円形で示したが、形状は任意でよい。また、貫通孔25の位置についても回路基板30の外周から中心部に向かって中心部側に多少入った領域に設けたが、回路基板30の外周に貫通孔を長さ方向に開口させて形成し、その内面に導体層27を被着していわゆるキャスタレーション導体として、回路基板30の外周側面を介して接地電極24と接地導体層33,40及び第2の接地電極28とを接続するようにしてもよい。
【0099】
また、信号線の特性インピーダンスとしては50Ωに限定されるものではなく、高周波デバイスを用いるシステムの特性インピーダンスに合わせても構わない。
また、以上の説明では信号線は高周波デバイス実装基板の表面に配置されている場合を示したが、図21に示すように、信号線のうち何本かが絶縁体層の内部に配置されていても構わない。この場合には、互いに異なる層に信号線を設けることにより、厚み方向にも信号線が対向しなくなるので、それら信号線間のアイソレーション特性を、さらに向上させることができ、それによって、高周波デバイスの特性への影響をより低減でき、あるいはその特性をより良好に発揮させることができる。
【0100】
また、説明に用いた図では高周波デバイス実装基板1と同軸コネクタとが接続される端子(信号電極23と接地電極24との組)が3組ある場合を示したが、その数は高周波デバイスの端子数に合わせて任意でよい。
また、高周波デバイス実装基板1の表面のうち、半田と接触する必要がない部分をソルダーレジスト等で保護しても構わない。このようにすることにより、半田を接触させたい部分のみに半田を存在させることができるとともに、信号線2等の導体同士が余分な半田を介して短絡することを防止することができる。
【0101】
さらに、高周波デバイスとしては、圧電体フィルタやデュプレクサに限定されるものではなく、移動体通信機器や無線LAN,ETC等の高周波信号処理用途で用いられる高周波デバイスの全てに適用が可能である。
また、本発明の範囲は、上述した各請求項記載の構成を任意に組み合わせた構成にも及ぶものとする。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の高周波デバイス実装基板に高周波デバイスを搭載した状態を示す平面図である。
【図2】本発明の高周波デバイス実装基板の平面図である。
【図3】図1のA−A’線で切断した要部断面図である。
【図4】信号線の本数や設置角度を変えた、本発明の高周波デバイス実装基板の平面図である。
【図5】信号線2の本数や設置角度を変えた、本発明の高周波デバイス実装基板の平面図である。
【図6】図6は、図1のB−B’線で切断した要部断面図である。
【図7】比較例に係る高周波デバイス実装基板の要部断面図である。
【図8】本発明の高周波デバイス実装基板の他の例を示す平面図である。
【図9】図8のC−C’線で切断した要部断面図である。
【図10】第2の接地電極28を有する高周波デバイス実装基板の裏面図である。
【図11】第2の接地電極28を有する高周波デバイス実装基板の、図8のC−C’線で切断した要部断面図である。
【図12】高周波デバイス実装基板と同軸コネクタとを、半田で接続した場合の、図8のD−D’線で切断した要部断面図である。
【図13A】本発明の高周波デバイス実装基板のさらに他の例を示す表面の平面図である。
【図13B】本発明の高周波デバイス実装基板のさらに他の例を示す表面の平面図である。
【図14】図13Aに示す高周波デバイス実装基板を、E−E’線で切断した要部断面図である。
【図15】比較例の高周波デバイス実装基板の要部断面図である。
【図16】本発明の高周波デバイス実装基板のさらに他の例を示す表面の平面図である。
【図17】本発明の実施例及び比較例におけるアイソレーション特性を比較したグラフである。
【図18】図16における領域Fの拡大図である。
【図19】領域Fの裏面の拡大図である。
【図20】領域Fにおける他の構造を示す拡大図である。
【図21】回路基板の中に信号線を形成した本発明の高周波デバイス実装基板を示す断面図である。
【図22】一般的な高周波デバイス実装基板と、それに接続された高周波デバイス及び同軸コネクタとを示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0103】
1 高周波デバイス実装基板
2,2a〜2c 信号線
3 デュプレクサ
4 表面接地導体層
5 貫通導体
6 裏面導体層
7 絶縁体層
8,18 領域
9 端子電極
10 高周波デバイス実装基板
14 接地導体層
16a,16b 導体層
17a,17b 絶縁体層
23 信号電極
24 接地電極
25 貫通孔
27 導体層
28 接地電極
30 回路基板
32,39,41 絶縁体層
33,40 接地導体層
36 半田
44 中心導体
60 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体層の裏面又は内部に導体層を有する回路基板と、
前記回路基板の表面に設置された、高周波デバイスを搭載するための複数の端子電極と、
前記回路基板に設置され、前記端子電極につながる複数の信号線とを備え、
前記信号線は、前記端子電極から放射状に延び、任意の1本の信号線を前記端子電極から仮想的に延長した直線と、他の任意の1本の信号線を前記端子電極から仮想的に延長した直線とが、同一直線を構成しない、高周波デバイス実装基板。
【請求項2】
前記2つの延長線が1点で交わる、請求項1記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項3】
前記2つの延長線が互いに平行である、請求項1記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項4】
前記端子電極は前記回路基板の中央部に配置されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項5】
前記回路基板の表面の、前記信号線の両側に接地導体層が設置され、
前記信号線と前記接地導体層との間隔Wが、前記信号線と前記絶縁体層の裏面又は内部に形成された前記導体層との間隔tよりも大きい、請求項1から請求項4のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項6】
前記接地導体層には、前記回路基板を貫通し、前記絶縁体層の裏面又は内部に形成された前記導体層と電気的に接続される複数の貫通導体が接続されている、請求項5記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項7】
前記高周波デバイスが圧電体フィルタである請求項1から請求項6のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項8】
前記高周波デバイスが分波器である請求項1から請求項7のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板が搭載された通信機器。
【請求項10】
前記回路基板の表面の周辺部に配置され、前記信号線につながり、同軸コネクタの中心導体が接続される信号電極と、
前記回路基板の表面の周辺部に配置され、前記同軸コネクタの外周導体を、半田を用いて接続するための接地電極とをさらに備え、
前記接地電極には、前記半田が付着する領域に、前記回路基板を貫通する貫通孔が形成されており、
該貫通孔の内面に導体層が被着されている請求項1から請求項8のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項11】
前記回路基板は、複数の絶縁体層が積層された積層基板であり、その内部に内部導体層が形成され、前記貫通孔の内面に形成された導体層は、前記内部導体層に接続されている請求項10記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項12】
前記回路基板の裏面の前記接地電極と対応する部位に第2の接地電極が形成されており、該第2の接地電極は、前記貫通孔の内面に形成された前記導体層を介して前記回路基板の表面の前記接地電極に接続されている請求項10又は請求項11記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項13】
前記貫通孔は、前記接地電極の、前記回路基板の外周に沿った部位に複数配置されている請求項10から請求項12のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項14】
前記貫通孔は、前記接地電極の前記信号線と反対側の部位に、前記回路基板の外周から中央部に向かってさらに配置されている請求項13記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項15】
前記貫通孔は、前記接地電極の前記信号線と反対側の部位に、前記回路基板の外周から中央部に向かって配置されている請求項10から請求項14のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項16】
前記接地電極に、前記回路基板の表面に前記信号線に沿って形成された表面接地導体層が接続されている請求項10から請求項14のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板。
【請求項17】
高周波デバイス実装基板に実装された高周波デバイスの特性を評価する方法であって、
高周波デバイスを、請求項1から請求項16のいずれかに記載の高周波デバイス実装基板に実装する工程と、
前記高周波デバイス実装基板に測定用配線を接続する工程と、
前記高周波デバイス実装基板に実装された前記高周波デバイスの特性検査を行う特性検査工程とを含む、高周波デバイスの特性評価方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−229213(P2006−229213A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12825(P2006−12825)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】