説明

高周波素子及び電源供給素子、並びに通信装置

【課題】 高周波素子を構成する静電駆動型の振動子に印加する直流バイアス電圧の安定化を図る。
【解決手段】 直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型の振動子を含む高周波信号素子を有し、直流バイアス電圧を供給するパッド22と振動子21との間に、直流バイアス電圧を安定化される機能を有する回路10が付加されて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電駆動型の振動子を構成要素とする高周波信号素子と、この高周波信号素子に直流バイアス電圧を供給するための直流電圧供給手段とを有した高周波素子に関する。
また、本発明は、上記高周波信号素子へ直流バイアス電圧を供給するための電源供給素子に関する。
また、本発明は、上記高周波素子で構成されるフィルタを用いた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電駆動型の振動子を構成要素とする高周波信号素子においては、その振動子に直流バイアス電圧が印加される。このような静電駆動型の振動子に直流バイアス電圧を給電する場合、例えば単純な線路を用いて給電すると、直流給電回路の不安定さに伴って変動する電圧、あるいは何らかの要因で発生する高電圧が、振動子を駆動する電極(いわゆる振動子の駆動部分あるいは下部電極)に印加される虞れがある。このような場合には、振動子の振動振幅の変動が起き、高周波信号素子の信号処理特性の変動を招く。電圧変動が著しい場合には、振動子の駆動部分と下部電極が固着する、駆動部分と下部電極間での放電が起きる、異常振動が発生するなどの要因により、振動子が復旧不可能な状態になる。
【0003】
例えば、MEMS(微小電気機械系)素子を用いて構成した高周波フィルタが提案されているが、このような高周波フィルタでは、直流バイアス電圧の変動が起きると、振動子のインピーダンスの時間変動が生じ、良好なフィルタ特性が得にくい。 MEMS素子をデジタル回路に組み込んで半導体集積回路を構成した場合には、デジタル信号処理部分の駆動回路とMEMS素子の電源が共用され、その安定性が特別に高められてはいないので、電源の電圧変動によるMEMS素子の特性変動が懸念される。MEMS素子を利用した高周波フィルタは、ミシガン大学を始めとする研究機関から提案されている(非特許文献1参照)。
【0004】
【非特許文献1】C.T.−Nguyen,Micromechanical components for miniaturized low−power communications(invited plenary),proceedings,1999 IEEE MTT−S International Microwave Symposium RF MEMS Workshop,June,18,1999,pp.48−77.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
高周波領域の微弱な信号を取り扱うとき、例えば高周波(RF)信号のフィルタリングを行うとき、振動子に印加される直流バイアス電圧の変動は、振動子のインピーダンスを変動させることになり、フィルタリング後の信号強度の変動を引き起こす。従って、直流(DC)バイアス給電回路が安定であることは、良好なフィルタリング特性を得る為の最重要な課題である。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑み、静電駆動型の振動子に印加する直流バイアス電圧の安定性の向上を図った供給手段を有した高周波素子を提供するものである。
また、上記振動子に安定した直流バイアス電圧を供給できる電源供給素子を提供するものである。
また、本発明は、上記高周波素子で構成したフィルタを用いて高信頼性化を図った通信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高周波素子は、直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型の振動子を含む高周波信号素子を有し、直流バイアス電圧を供給するパッドと振動子との間に、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加された構成とする。
【0008】
高周波信号素子としては、複数の静電駆動型の振動子に高周波信号を並列に通過させて信号処理を行う振動子群を回路要素として有する構成とすることができる。
【0009】
直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路としては、直流給電線路に直列に挿入した抵抗と、この直流給電線路と接地との間に挿入した容量とにより構成することができる。
また、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路としては、高周波信号素子が形成された同じ基板に設けることができる。
【0010】
高周波信号素子としては、入力された高周波信号から所望の周波数帯域の信号を選別する機能を有した構成とすることができる。
高周波信号素子としては、高周波信号の基準信号を発生する機能を有した構成とすることができる。
【0011】
本発明に係る電源供給素子は、直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型の振動子を含む高周波信号素子を駆動するための電源供給素子であって、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加された構成とする。
【0012】
本発明に係る通信装置は、送信信号及び/又は受信信号の帯域制限を行うフィルタを備えた通信装置において、フィルタとして、直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型振動子を有し、直流バイアス電圧を供給するパッドと前記振動子との間に、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加されてなるフィルタが用いられた構成とする。
【0013】
上記フィルタとしては、複数の静電駆動型振動子に高周波信号または中間周波信号を並列に通過せて信号処理を行う振動子群を回路要素として有した構成とすることができる。
直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路としては、直流給電線路に直列に挿入された抵抗と、給電線と接地との間に挿入された容量とにより構成することができる。 直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路としては、フィルタが形成された同じ基板上に設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る高周波素子によれば、直流バイアス電圧を供給するパッドと静電駆動型の振動子との間に、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路を付加し、静電駆動型の振動子に安定な直流バイアス電圧を供給することにより、出力される高周波信号の時間変動を抑制することができる。また、突発的に印加される高電圧パルス(サージ電圧)による振動子の破壊を防止することができる。
【0015】
本発明の高周波素子は、高周波信号素子に静電駆動型の振動子を用いて高周波フィルタ、例えばラダー型フィルタとして構成することができる。そして、高周波信号選択素子となる振動子の駆動部分あるいは下部電極に安定な直流バイアス電圧を印加することにより、フィルタリングされた高周波信号の時間変動を抑圧することができる。
また、サージ電圧による復旧不可能な振動子への損害を最小限度にすることができる。
【0016】
本発明の高周波素子は、高周波信号素子に静電駆動型の素子を用い、基準信号発生器として構成することができる。そして、高周波信号発生素子となる振動子の駆動部分あるいは下部電極に安定な直流バイアス電圧を印加することにより、発生信号の強度、中心周波数の時間変動を抑圧することができる。
また、外部からのサージ電圧による復旧不可能な振動子への損害を最小限度にすることができる。
【0017】
本発明の高周波素子は、高周波信号素子に静電駆動型の振動子を用い、この複数の振動子を機械的に結合し複合振動子型フィルタとして構成することができる。そして、複合振動子型フィルタを構成する振動子の駆動部分あるいは下部電極に安定な直流バイアス電圧を印加することにより、フィルタリングされた高周波信号の時間変動を抑圧することができる。
また、サージ電圧による復旧不可能な振動子への損害を最小限度にすることができる。
【0018】
本発明の電源供給素子によれば、直流電圧の安定性を増す機能を有する回路が付加されているので、この電源供給素子を通じて静電駆動型の振動子に直流バイアス電圧を印加するとき、直流バイアス電圧を変動させることがなく、振動子のインピーダンスの変動を抑制し、安定した信号強度の高周波信号を得ることができる。
【0019】
本発明の通信装置によれば、フィルタを構成する静電駆動型振動子と直流バイアス電圧を供給するパッドとの間に、直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路を付加し、静電駆動型振動子に安定な直流バイアス電圧を供給することにより、出力される高周波信号又は/及び中間周波信号の時間変動を抑制することができ、また、突発的に印加される高電圧パルス(サージ電圧)による振動子の破壊を防止することができ、信頼性の高い通信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
先ず、図1に、本発明に係る高周波素子の第1の基本的な構成(概念)を示す。この高周波素子1は、図1A及びBに示すように、静電駆動型の振動子2を含む高周波信号素子と、この振動子2に直流バイアス電圧を供給するための直流電圧供給手段となる直流電源3とを有して成る。振動子2は、基板4の表面上に下部電極、すなわち入力電極5と出力電極6を互いに所要間隔を置いて配置し、これら入出力電極5、6をブリッジ状に跨ぐ振動部分、いわゆるビーム(梁)型の振動電極(以下、ビームという)7を配置して構成される。基板4の裏面には接地面8が形成されている。直流電源3は、ビーム7と接地面8との間に接続される。さらに、直流電源3とビーム7間の給電線路9に直列に抵抗Raを挿入し、給電線路9と接地面8間に容量(シャント容量)Caを挿入し、これら抵抗Raと容量Caとによって直流バイアス電圧を安定化させるための直流電圧安定化回路10が形成される。
【0022】
この高周波素子1の振動子2では、入力端子Tinを通じて入力電極5に高周波信号が入力されると、直流電源3から直流バイアス電圧が供給されたビーム7と、入力電極5との間に生じる静電気的な力でビーム7が共振し、出力電極6から出力端子Toutを通じて所望周波数の高周波信号が出力される。そして、振動子2には、直流電圧安定化回路10を通じて安定な直流バイアス電圧が供給されるので、出力される高周波信号の時間変動を抑制することができる。また、突発的に印加される高電圧パルス(サージ電圧)による振動子2の破壊を防止することができる。
【0023】
図2に、本発明の高周波素子の第2の基本的な構成(概念)を示す。この高周波素子11は、図1と同様の構成の振動子2を含む高周波信号素子を有し、直流電源3を入力電極5と接地面8との間に接続し、直流電源3と入力電極5間の給電線路9に直列に抵抗Raを挿入し、この給電線路9と接地面8間に容量Caを挿入し、抵抗Raと容量Caにより直流電圧安定化回路10を形成して構成される。ビーム7は、電気的に浮いた状態にする。
この高周波素子11の振動子2では、入力電極5に直流バイアス電圧と高周波信号が重畳された形で入力される。この高周波素子11の振動子2の動作及び効果は、基本的に図1の高周波素子1と同様である。
【0024】
図3に、本発明の高周波素子の第3の基本的な構成(概念)を示す。この高周波素子12は、静電駆動型の振動子13を含む高周波信号素子と、振動子13に直流バイアス電圧を供給するための直流電圧供給手段となる直流電源3とを有してなる。振動子13は、基板14の表面上に下部電極15を配置し、この下部電極15をブリッジ状に跨いたビーム16を配置して構成される。基板14の裏面には接地面17が形成されている。直流電源3は、ビーム16と接地面17との間に接続される。さらに、直流電源3とビーム16間の給電線路9に直列に抵抗Raを挿入し、この給電線路9と接地面17間に容量(シャント容量)Caを挿入し、これら抵抗Raと容量Caとによって直流バイアス電圧を安定化させるための直流電圧安定化回路10が形成される。
【0025】
この高周波素子12の振動子13では、ビーム16が入力電極となり、下部電極15が出力電極となる。ビーム16に直流バイアス電圧と高周波信号が重畳された形で入力されると、ビーム16と下部電極(出力電極)15との間に生じる静電気的な力でビーム16が共振し、下部電極15から所望周波数の高周波信号が出力される。そして、振動子13には、直流電圧安定化回路10を通じて安定な直流バイアス電圧が供給されるので、出力される高周波信号の時間変動を抑制することができる。また、突発的に印加される高電圧パルス(サージ電圧)による振動子13の破壊を防止することができる。
【0026】
図4〜図7に、本発明の高周波素子の実施の形態の概略を示す。
高周波信号素子としては、MEMS静電駆動型振動子からなるフィルタで形成することができる。このとき、例えばフィルタを1つのMEMS静電駆動型振動子21で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図4に示すように、フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源に接続された直流電源入力パッド22と、1つの振動子21のビーム7との間に接続することができる。
また、同様にフィルタを1つのMEMS静電駆動型振動子21で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図5に示すように、フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、1つの振動子21の入力電極5との間に接続することができる。
【0027】
また、例えばフィルタをビーム7が並列化された複数のMEMS静電駆動型振動子23で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図6に示すように、フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、複数の振動子23、即ちその並列化されたビーム7との間に接続することができる。
また、同様にフィルタを振動電極が並列化された複数のMEMS静電駆動型振動子23で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図7に示すように、フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、複数の振動子23、即ちその入力電極5との間に接続することができる。
【0028】
上述した直流電圧を安定化させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、フィルタと同一の基板上に形成することができる。
図示せざるが、上述のRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図4〜図7でのフィルタへの直流電源入力パッド22と、フィルタのMEMS静電駆動型振動子を駆動するための直流電源3との間に形成される線路の一部として形成することもできる。
【0029】
上記フィルタにおいて、MEMS静電駆動型振動子を図3の構成のものに置き換えて構成することも可能である。
【0030】
本実施の形態に係る高周波信号素子は、MEMS静電駆動型振動子からなる標準信号発生器で形成することができる。このとき、例えば標準信号発生器を1つのMEMS静電駆動型振動子で作成した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図4に示すと同様に(但し、フィルタを標準信号発生器に置き換える)、標準信号発生器への直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、1つの振動子21のビーム7との間に接続することができる。
また、同様に標準信号発生器を1つのMEMS静電駆動型振動子で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図5に示すと同様に(但し、フィルタを標準信号発生器に置き換える)、標準信号発生器への直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、1つの振動子21の入力電極5との間に接続することができる。
【0031】
また、例えば標準信号発生器をビームが並列化された複数のMEMS静電駆動型振動子で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図6に示すと同様に(但し、フィルタを標準信号発生器に置き換える)、標準信号発生器への直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、複数の振動子23、即ちその並列化されたビーム7との間に接続することができる。
また、同様に標準信号発生器を振動電極が並列化された複数のMEMS静電駆動型振動子で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図7に示すと同様に(但し、フィルタを標準信号発生器に置き換える)、標準信号発生器への直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、複数の振動子23、即ちその入力電極5との間に接続することができる。
【0032】
上述した直流電圧を安定化させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、標準信号発生器と同一の基板上に形成することができる。
図示せざるが、上述のRC回路(直流電圧安定化回路)10は、標準信号発生器への直流電源入力パッド22と、標準信号発生器のMEMS静電駆動型振動子を駆動するための直流電源3との間に形成される線路の一部として形成することもできる。
【0033】
本実施の形態に係る高周波信号素子は、MEMS静電駆動型振動子からなり、機械的な結合で構成された複合振動子型フィルタで形成することができる。この複合振動子型フィルタを構成する複合振動子の概略構成を図8に示す。この複合振動子24は、2つのビーム7〔7A,7B〕が並行に配置され、2つのビーム7A,7Bの一部が連結部25によって機械的に繋がり、一方のビーム7Aの下方に下部電極26からなる入力電極26Aが配置され、他方のビーム7Bの下方に下部電極26からなる出力電極26Bが配置さて構成される。連結部25の位置は、振動の節(不動点)を選ぶ。この場合、直流バイアス電圧は、ビーム7〔7A,7B〕に印加される。
【0034】
このような複合振動子24を複数並列化して、高周波信号を並列的にフィルタリングするように構成することもできる。例えば、複合振動子27は、図9に示すように、一方の複数の並列するビーム7Aからなるビーム群71に対して1つの下部電極からなる入力電極26Aを配置し、このビーム群71に並列するように、他方の複数の並列するビーム7Bからなるビーム群72に対して1つの下部電極からなる出力電極26Bを配置し、両ビーム群71及び72間を連結部25で繋いで構成される。
【0035】
このとき、例えば複合振動子型フィルタを1つの複合振動子24(図8参照)で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図4に示すと同様に(但し、フィルタを複合振動子型フィルタに置き換える)、複合振動子型フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、1つの複合振動子24のビーム7〔7A,7B〕との間に接続することができる。
また、例えば複合振動子型フィルタを複数の並列化された複合振動子27(図9参照)で作製した場合、上述の抵抗Raと容量Caで構成される直流電圧を安定させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、図4に示すと同様に(但し、フィルタを複合振動子型フィルタに置き換える)、複合振動子型フィルタへの直流電源入力パッド、すなわち直流電源3に接続された直流電源入力パッド22と、複数の並列された複合振動子27、即ちその並列化されたビーム71、72との間に接続することができる。
さらに、図示せざるも上述のRC回路(直流電圧安定化回路)10は、複合振動子型フィルタへの直流電源入力パッド22と、複合振動子型フィルタの複合振動子24または27を駆動するための直流電源3との間に形成される線路の一部として形成することができる。
そして、上述した直流電圧を安定化させるRC回路(直流電圧安定化回路)10は、複合振動子型フィルタと同一の基板上に形成することができる。
なお、複合振動子24または複合振動子27においては、図5に示すように、直流電圧安定化回路10を振動子の入力電極26Aと直流電源入力パッド22との間に接続することもできる。
【0036】
高周波信号素子と直流バイアス電圧を供給するための直流電圧供給手段、例えばRC回路とは、同一の基板上(同一のダイ内)に形成することができる。高周波信号素子と直流バイアス電圧を供給するための直流電圧供給手段とは、互いに別の基板上に形成し、両者を接続して形成することもできる。
【0037】
次に、図10(平面図)及び図11(模式的な断面図)に、本発明に係る高周波素子の第1実施の形態を示す。本例はMEMS静電駆動型振動子を機械的な結合で構成した複合振動子型フィルタに適用した場合である。
本実施の形態に係る複合振動子型フィルタ101は、共通の基板102上に複数の複合振動子103、104と、振動子103、104のビーム106、107間の高周波(RF)信号の漏洩を防ぐための抵抗R1 ,R2 と、抵抗Raと一対の櫛歯型電極108及び109を所要間隔を置いて形成してなる容量Caからなる、直流電圧安定化回路(いわゆるRC回路)10と、直流電源供給用の電極パッド、いわゆる直流電源入力パッド22とが設けられて成る。
【0038】
基板102は、例えば半導体基板の表面に絶縁膜を有した基板、絶縁性基板等の基板、本例では半導体基板121の表面に絶縁膜122を有した基板が用いられる。この基板102の表面上に下部電極、すなわち入力電極112と出力電極113が形成され、入力電極112をブリッジ状に跨ぐ複数の振動部分すなわち両持ち梁構造のビーム106が並列的に配置され、同様に出力電極113をブリッジ状に跨ぐ複数(上記と同数または異なる数)の振動部分すなわち両持ち梁構造のビーム107が並列的に配置される。入力電極106を跨ぐ複数のビーム112は、ビーム112の支持部(アンカー部)114を介して互いに基板102上に形成した配線部117に共通接続される。また、出力電極113を跨ぐ複数のビーム107も、同様にビーム113の支持部(アンカー部)115を介して互いに基板102上に形成した配線部118に共通接続される。基板102の表面には、複合振動子103、104、抵抗R1,R2 、直流電圧安定化回路10、直流電源入力パッド22を囲むようにシールド電極(接地)面となる導電層119が形成さる。基板102の裏面には絶縁膜123を介して接地面、すなわち接地電位が印加される接地電極120が形成される。
【0039】
RF信号の漏洩を防ぐための抵抗R1 ,R2 は、それぞれ一端が2つのビーム群106,107の配線部117,118に、配線部128を介して接続され、抵抗R1 ,R2 の他端が配線部125に共通に接続される。一方、直流電圧安定化回路10を構成する抵抗Raの一端が配線部125に接続され、抵抗Raの他端が配線部129を介して容量Caを構成する一方の櫛歯型電極108に接続される。この一方の櫛歯型電極108は直流電源入力パッド22に接続される。容量Caを構成する他方の櫛歯型電極109は、基板102表面に形成されたシールド用の導電層119に接続されると共に、例えば基板102に設けたスルホール、あるいは基板側面を通して、本例ではスルホール126を通して基板裏面の接地電極120に接続される。
【0040】
上述した本実施の形態に係る複合振動子型フィルタ101によれば、抵抗Raと容量Caからなる直流電圧安定化回路10を通して振動子103、104のビーム106、107に直流バイアス電圧が印加されるので、フィルタリングされた高周波信号の時間変動を抑制することができる。また、サージ電圧による振動子への損害を最小限度に抑えることができる。
【0041】
本発明は、高周波フィルタ等のMEMS素子を他の半導体回路、例えばデジタル回路に組み込んで半導体集積回路を構成し、MEMS素子とデジタル回路への電圧供給を共通の電源供給手段を用いて行う場合にも適用できる。
【0042】
次に、図12〜図15を用いて本発明の高周波素子の製造方法の実施の形態を説明する。なお、図12〜図15の製造工程は、MEMS静電駆動型振動子と、抵抗Ra及び容量Caからなる直流電圧安定化回路10とを有する高周波素子の例であるが、上述した複合振動子型フィルタ101の製造にも適用できる。本例の製造工程は通常のMOS作製プロセスで用いられるものと同等である。
【0043】
先ず、図12Aに示すように、基板130を用意する。この例では高抵抗シリコン(Si)ウェハ131上に絶縁膜、例えば酸化シリコン薄膜(HDP膜:High Density Plasma酸化膜)とエッチング防止膜となる窒化シリコン薄膜(上面側)とからなる複合絶縁膜132を所要の膜厚、例えば200nm程度の膜厚で成膜する。続けて、この複合絶縁膜132上に導電性を有するリンドープ多結晶シリコン薄膜(PDAS:Phosphorus doped amorphous silicon)133を所要の膜厚、380nm程度の膜厚で成膜する。
【0044】
次に、多結晶シリコン薄膜133上に、複合振動子の下部電極となる入力電極及び出力電極と、複合振動子の両持ち梁構造のビーム(ビーム)の支持部を接続する配線部(固定台に相当)と、抵抗に対応したパターンを有するレジストマスク(図示せず)を形成する。そして、図12Bに示すように、このレジストマスクを介して多結晶シリコン薄膜133を選択エッチング、例えばドライエッチング法により選択エッチングして、入力電極136及び出力電極137と、配線部138〔138A,138B〕と、抵抗Raを形成する。
【0045】
次に、図13Cに示すように、基板130上に入出電極136、137、配線部138〔138A,138B〕及び抵抗Raの相互間を埋め込むように基板全面に犠牲層となる例えば酸化シリコン薄膜(HDP)139を成膜する。その後、酸化シリコン薄膜139を平坦化する。例えば化学機械研磨法(CMP)により平坦化し、入出電極136、137、配線部138〔138A,138B〕及び抵抗Raの表面を露出させる。
【0046】
次に、図13Dに示すように、平坦化した表面上に入出力電極136、137と、後に形成するビームとの間隔に対応した膜厚、この例では50nm程度の膜厚の犠牲層となる例えば酸化シリコン薄膜(低圧TEOS)140を形成する。
【0047】
次に、図14Eに示すように、犠牲層となる酸化シリコン薄膜(低圧TEOS)140上に必要に応じて例えば20nm程度の膜厚のリンドープ多結晶シリコン薄膜(PDAS膜)141を成膜した後、多結晶シリコン薄膜141と共に酸化シリコン薄膜(低圧TEOS)140に、ビームと配線部138A,138Bとの間を接続するための貫通孔142〔142A,142B〕を選択エッチング、例えばドライエッチング法により形成する。
【0048】
次に、図14Fに示すように、貫通孔142A,142B内を含んで表面上に所望の膜厚のリンドープ多結晶シリコン薄膜(PDAS膜)を形成し、ビーム形状にパターニングし、例えばドライエッチング法によりパターニングして、多結晶シリコン薄膜によるビーム、すなわちビーム145とその支持部146A,146Bを形成する。更に、例えばドライエッチング法によりパターニングして、配線部138Aと抵抗Raとの間、抵抗Raに接続する配線部及び容量Caの部分に開口142C,142Dを形成する。このとき、ビーム145の支持部146A及び146Bは配線部142A,142Bに機械的かつ電気的に接続される。
次に、図15に示すように、接続配線、容量、直流電源入力パッドとなる薄膜、例えばAlーSi膜を成膜し、レジストマスク及びフッ化水素溶液(DHF:Diluted HF)を用いてパターニングし、AlーSi膜による容量Ca、接続配線148及び直流電源入力パッド149を形成する。すなわち、配線部142Aと抵抗Ra間の接続配線148a、容量Caを構成する対の櫛歯型電極、一方の櫛歯型電極に接続する電極パッド150及び一方の櫛歯型電極と抵抗Ra間の接続配線148bを形成する
同時に、このフッ化水素溶液(DHF)により、犠牲層となる酸化シリコン薄膜(HDP)140を除去して、ビーム145と入出力電極136、137間に空間151を形成する。これによって、同一の基板130上にMEMS静電駆動型振動子152と直流電圧安定化回路10と直流電源入力パッド150を形成してなる目的の高周波素子153を得る(図15参照)。
【0049】
次に、高周波領域の微弱な信号を取り扱うときの、信号経路以外の回路を迂回する信号の漏洩を抑制し、高周波信号の信号/雑音比の向上と、上述した直流バイアス電圧の安定性の向上とを図った、本発明に係る高周波素子の他の実施の形態について説明する。
【0050】
信号の漏洩を抑制する高周波素子としては、直流バイアス電圧を高周波信号線路の一部に印加して動作される高周波信号素子を有し、高周波信号線路のインピーダンスと、直流バイアス電圧を供給する直流給電配線のインピーダンスとの間をインピーダンス不整合にする。
また、信号の漏洩を抑制する高周波素子としては、直流バイアス電圧を高周波信号線路の一部に印加して動作される高周波信号素子と、高周波信号素子を駆動するための直流電圧供給手段とを有し、高周波信号線路に接続される他の配線のインピーダンスを、高周波信号線路のインピーダンスに対して不整合にする。
【0051】
信号の漏洩を抑制する高周波素子の具体例としては、1つあるいは複数の高周波ブロック(例えば並列振動子)に、直流バイアス電圧を給電する場合に、高周波回路ブロックを適切に分割し、その間を、高周波回路ブロック内のRF信号線の一部をなす直流給電部からみたRF信号線路のインピーダンスとは異なるインピーダンスで接続する。このような接続方法を用いて直流給電配線を形成すると、高周波回路ブロック内で直流バイアス電圧と高周波信号が混在して印加されている信号線路から、直流給電回路を通じてブロック外への漏洩を最小限に抑制することができる。最良の接続方法は、ローパスフィルタを通じて直流給電配線を接続することであるが、抵抗の差異のみであっても十分な効果を得ることができる。特にMEMS(微小電気機械系)静電駆動型(ビーム型)振動子群を用いて高周波素子を構成する場合は、MEMS振動子の直流でのインピーダンスは極めて大きく、直流給電線路には極めて微小な直流電流しか流れないために、かなり大きな抵抗、例えば数MΩの抵抗を振動子群と直流給電配線の間に挿入しても、抵抗による電圧の降下が起こらず、振動子効果的なインピーダンス不整合を実現できる。
本実施の形態は、このようなインピーダンス不整合によって漏洩を抑制できるようにした高周波素子に、さらに振動子への直流バイアス電圧の安定した供給を可能にしている。
【0052】
図16は、本発明に係る高周波素子を1段構成のラダー型フィルタに適用した第2実施形態の等価回路である。
本実施の形態のラダー型フィルタ31は、高周波信号線路32をマイクロストリップ線路で構成し、その信号線路33の入力端子Tin及びTout間に直列に並列化された複数の振動子(振動子群)で構成された振動子35が接続され、この直列振動子35の出力側とグランド線路34間に同様に並列化された複数の振動子(振動子群)で構成されたシャント振動子36が接続される。この直列振動子35及びシャント振動子36は、直流バイアス電圧の供給によって動作するように構成される。このため、直流電圧供給手段、例えば直流電源回路37と直流給電線路38を有した直流給電回路が設けられ、直流電源回路37から直流給電回路、すなわち直流給電配線38を通じて直列振動子35及びシャント振動子36の後述する信号線路33の一部となる駆動部分に接続される。直流電源回路37としては、例えば交流から定電圧・直流に変換して供給する回路構成、あるいは直流から電圧変換された定電圧・直流電圧に変換して供給する回路構成とすることができる。
【0053】
そして、この直列振動子35及びシャント振動子36における信号線路33の直流給電端子側から見たインピーダンスと直流給電配線38のインピーダンスとの間にインピーダンスの不整合が存するよう構成される。すなわち、直列振動子35及びシャント振動子36における信号線路33と、直流給電配線38との間にインピーダンス不整合を形成するための素子を接続する。この素子としては、本例では抵抗素子R1 ,R2 が用いられている。本例では、直列振動子35のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R1 が接続され、シャント振動子36のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R2 が接続される。さらに、この直流給電配線38と直流電源回路37に接続された直流電源入力パッド22との間に抵抗Raと容量Caからなる直流電圧安定化回路10が接続される。この場合、抵抗Raを省略して、抵抗R1 、R2 兼用して抵抗R1 ,R2 と容量Cで直流電圧安定化回路10を形成することも可能である。
【0054】
直列振動子35及びシャント振動子36としては、MEMS静電駆動型振動子で形成される。このMEMS静電駆動型振動子は、前述の図1及び図2と同様の構成、すなわち回路系を除いた振動子そのものの構造を採る。
【0055】
図16における直列振動子35は、この個別のMEMS静電駆動型振動子2を複数、例えば40個並列化して構成される。シャント振動子36は、複数、例えば160個のMEMS静電駆動型振動子2を並列化して構成される。直列振動子35の合成インピーダン、Zsは、例えば直列抵抗Rx=5kΩ、接地C0 =1×10−13Fからなる。シャント振動子36の合成インピーダンスZpは、例えば直列抵抗Rx=1kΩ、接地容量C0 =8×10−13Fからなる。信号線路33の一部をなすビームと直流給電線路38間に接続される上記抵抗素子R1 ,R2 は、例えば多結晶シリコン膜による細線を用いて形成され、その抵抗値は、例えばR1 ,R2 =1MΩとすることができる。図16に示された信号線路33の特性インピーダンスは、シャント振動子36の合成インピーダンスZpと同じに設計される。
第2実施の形態の1段ラダー型高周波フィルタ31は、直列振動子35及びシャント振動子36からなる高周波回路ブロックと、直流電源回路37と、直流電圧安定化回路10及び直流給電配線38を含む直流給電ブロックを同一の半導体チップ上に形成して構成される。
【0056】
図17〜図20は、図16の等価回路で表される1段構成のラダー型フィルタ31のフィルタ特性を示す。すなわちシリコン半導体プロセスにより作製されMEMS静電駆動型振動子群を用いて構成されたラダー型フィルタ31を、アドバンテック社製ネットワーク・アナライザ3767Gを用いて測定した透過特性値S21(Sパラメータ)の周波数依存性を示す。直列振動子(振動子群)35及びシャント振動子(振動子群)36には、共通電源を用い直流−15Vを印加した。直列振動子(振動子群)35の共振周波数は98MHz、シャント振動子(振動子群)36の中心周波数は、2MHz、3MHz、6MHz低い、96MHz、95MHz、92MHzにそれぞれ設定して測定した。
図17はシャント周波数依存性を示したフィルタ特性(図18〜図20で示す各シャント周波数が異なる曲線を重ねたもの)である。図18、図19、図20はそれぞれシャント振動子36の中心周波数を96MHz、95MHz、92MHzにしたときの図17の要部Aに対応した拡大周波数特性を示す。図17から明らかなように、いずれのシャント周波数の場合も、ゴースト(雑音)のない略同じ曲線を呈し、特に共振、反共振のピーク部分では同じ曲線であり、雑音のない予想通りの周波数特性を示している。シャント振動子36の効果が不明瞭にしか観測できないのは、ネットワーク・アナライザの入力インピーダンスが50Ωであるためである。
【0057】
第2実施形態の1段構成のラダー型フィルタ31によれば、MEMS静電駆動型振動子で形成された直列振動子35及びシャント振動子36の、信号線路33の一部をなすビームと直流給電配線38との間にインピーダンス不整合とする抵抗素子R1 ,R2 を接続することにより、直流給電配線38を通じての高周波信号の迂回が抑制され、フィルタリングされた高周波信号の信号/雑音比を向上することができる。また、複数の独立電源を必要としないので、電源に係わるコストを低減することができる。
加えて、直列振動子35とシャント振動子36に直流電圧安定化回路10を通じて直流バイアス電圧を印加するので、フィルタリングされた高周波信号の時間変動を抑圧することができる。また、サージ電圧による直列振動子35、シャント振動子36への損害を最小限度に抑えることができる。
【0058】
図21は、本発明に係る高周波素子を2段構成のラダー型フィルタに適用した第3実施の形態の等価回路である。
第3実施の形態のラダー型フィルタ61は、前述と同様にマイクロストリップ線路で構成された高周波信号線路32に、それぞれ並列化された複数の振動子(振動子群)で構成された直列振動子651、652と、それぞれ並列化された複数の振動子(振動子群)で構成されたシャント振動子661、662とからなる、ラダー型フィルタが2段に接続されてなる。すなわち、その信号線路33の入力端子TIN及び出力端子Tout間に直列振動子651が接続され、直列振動子651の出力側とグランド線路34間にシャント振動子661が接続された1段目のラダー型フィルタが設けられ、その後段に同じく信号線路33に直列振動子652が接続され、直列振動子652の出力側とグランド線路34間にシャント振動子662が接続された2段目のラダー型フィルタが設けられる。
【0059】
各直列振動子651、652及びシャント振動子661、662は、直流バイアス電圧の供給によって動作するように構成される。このため、前述と同様に直流電圧供給手段、例えば直流電源回路37と直流給電線路38を有した直流給電回路が設けられ、直流電源回路37から直流給電回路、すなわち直流給電配線38を通じて直列振動子651、652及びシャント振動子661、662の信号線路33の一部となるビームに接続される。
【0060】
そして、この直列振動子651、652及びシャント振動子661、662における信号線路33のインピーダンスと直流給電配線38のインピーダンスとの間にインピーダンスの不整合が存するよう構成される。すなわち、直列振動子651、652及びシャント振動子661、662における信号線路33と、直流給電配線38との間にインピーダンス不整合を形成するための素子、例えば抵抗素子R3 〜R6 を接続する。さらに、この直流給電配線38と直流電源回路37に接続された直流電源入力パッド22との間に抵抗Raと容量Caからなる直流電圧安定化回路10が接続される。この場合、抵抗Raを省略することも可能である。
【0061】
直列振動子651、652及びシャント振動子661、662は、前述と同様にMEMS静電駆動型振動子2で構成される。そして、1段目の直列振動子651のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R3 が接続され、シャント振動子661のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R4 が接続される。また、2段目の直列振動子652のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R5 が接続され、シャント振動子662のビームと直流給電配線38との間に抵抗素子R6 が接続される。
【0062】
図21における直列振動子661、662は、個別のMEMS静電駆動型振動子2を複数、例えば40個並列化して構成される。シャント振動子661、662は、複数、例えば160個のMEMS静電駆動型振動子2を並列化して構成される。直列振動子651、652のインピーダンスZsは、例えば直列抵抗Rx=5kΩ、接地容量C0 =1×10−13Fからなる。シャント振動子661、662のインピーダンスZpは、例えば直列抵抗Rx=1kΩ、接地容量C0 =8×10−13Fからなる。抵抗素子R3 ,R4 ,R5 ,R6 は、例えば多結晶シリコン膜による細線を用いて形成され、その抵抗値は、例えばR3 ,R4 ,R5 ,R6 =1MΩとすることができる。図21に示された信号線路33の特性インピーダンスは、シャント振動子661、662のインピーダンスZpと同じに設計される。
第3実施の形態の高周波フィルタ61は、直列振動子651、652及びシャント振動子661、662からなる高周波回路ブロックと、直流電源回路37と、直流電圧安定化回路10及び直流給電配線38を含む直流給電ブロックを同一の半導体チップ上に形成して構成される。
【0063】
図22は、図21の等価回路で表される2段構成のラダー型フィルタ61のフィルタ特性を示す。すなわちシリコン半導体プロセスにより作製されたMEMSビーム型振動子群を用いて構成されたラダー型フィルタ61を、アドバンテック社製ネットワーク・アナライザ3767Gを用いて測定した透過特性値S21(Sパラメータ)の周波数依存性を示す。直列振動子(振動子群)651、652及びシャント振動子(振動子群)661、662には、共通電源を用い直流−15Vを印加した。直列振動子(振動子群)651、652の共振周波数は98MHz、シャント振動子(振動子群)661、662の中心周波数は、直列振動子のそれより4MHz低い、94MHzにそれぞれ設定して測定した。この図22の特性曲線から明らかなように、雑音のない予想通りの周波数特性を示している。シャント振動子661、662の効果が不明瞭にしか観測できないのは、ネットワーク・アナライザの入力インピーダンスが50Ωであるためである。
【0064】
第3実施形態の2段構成のラダー型フィルタ61によれば、MEMS静電駆動型振動子で形成された直列振動子651、652及びシャント振動子661、662の、信号線路33の一部となるビームと直流給電配線38との間にインピーダンス不整合とする抵抗素子R3 ,R4 ,R5 ,R6 を接続することにより、直流給電配線38を通じての高周波信号の迂回が抑制され、フィルタリングされた高周波信号の信号/雑音比を向上することができる。また、複数の独立電源を必要としないので、電源に係わるコストを低減することができる。
加えて、直列振動子651、652とシャント振動子661、662に直流電圧安定化回路10を通じて直流バイアス電圧を印加するので、フィルタリングされた高周波信号の時間変動を抑圧することができる。また、サージ電圧による直列振動子651、652、シャント振動子661、662への損害を最小限度に抑えることができる。
【0065】
図23は、本発明に係る高周波素子を高周波共振器に適用した第4実施の形態の等価回路である。第4実施の形態に係る高周波共振器71は、マイクロストリップ線路で構成された高周波信号線路72の、信号線路73の入出力端子Tin及びTout間に並列化された複数の振動子(振動子群)で構成された振動子75が接続され、この振動子75を動作させるための直流電源回路77からの直流給電配線78と振動子75の信号線路の一部となるビームとの間に、実効的にインピーダンスを不整合にする素子、本例ではローパスフィルタ79を接続して構成される。さらに、この直流給電配線78と直流電源回路77に接続された直流電源入力パッド22との間に抵抗Raと容量Caからなる直流電圧安定化回路10が接続される。振動子75としては、前述と同様に図1及び図2のMEMS駆動型振動子2で構成される。
【0066】
図23における振動子75は、前述と同様に複数、例えば50個のMEMSビーム型振動子2を並列化して構成される。振動子75の合成インピーダンスZsは、直列抵抗Rx=5kΩ、接地容量C0 =1×10−13Fからなる。高周波信号線路72の信号線路73の特性インピーダンスは、振動子75のインピーダンスZsと同じに設計される。C1 は直流給電配線78の浮遊容量、あるいはローパス回路の一部をなす容量を示す。
【0067】
図24は、図23の等価回路で表された高周波共振器71の共振特性を示す。すなわち、シリコン半導体プロセスにより作製されたMEMS静電駆動ビーム型振動子群を用いて構成された高周波共振器71を、アドバンテック社製ネットワーク・アナライザ3767Gを用いて測定した透過特性値S21(Sパラメータ)の周波数依存性を示す。振動子群にはローパスフィルタ79が組み込まれた直流電源回路77を用い、直流−20Vを印加した。信号線路73の一部となる振動子75のビームと、直流電源回路77側のローパスフィルタ79とはワイヤー・ボンド法によりAu細線で接続した。 図24から明らかなように、雑音のない、98MHz付近にピークを持つ共振曲線が観測できる。
【0068】
なお、図23の例では、実効的にインピーダンスを不整合にするための素子として、ローパスフィルタ79を用いたが、その他、RC回路、抵抗素子などを用いることもできる。
【0069】
第4実施形態の高周波共振器71によれば、MEMS静電駆動型振動子で形成された振動子75の、信号線路73の一部となるビームと直流給電配線78との間にローパスフィルタ79を接続することにより、直流給電配線78を通じての高周波信号の不要反射が抑制され、共振周波数の高周波信号の信号/雑音比を向上することができる。
加えて、振動子75に直流電圧安定化回路10を通じて直流バイアス電圧を印加するので、共振された高周波信号の時間変動を抑圧することができる。また、サージ電圧による振動子75への損害を最小限度に抑えることができる。
【0070】
上例では、本発明を複数のMEMS静電駆動型振動子を電気的な結合で構成したラダー型フィルタあるいは共振器に適用したが、その他、複数のMEMSビーム型振動子を機械的な結合で構成した複合静電駆動振動子型フィルタ(図8、図9参照)に適用することができる。この場合、複合振動子型フィルタを構成する振動子あるいは振動子群への直流バイアス電圧を高周波信号線路のインピーダンスとは不整合な状態で供給するようになす。これによって、上述と同様に、フィルタリングされた高周波信号の信号/雑音比を向上することができ、また、複数の独立電源を必要としないので、電源に係わるコストを低減することができる。
【0071】
本発明の第5実施の形態は、複合振動子を複数個並列に設置し、高周波信号を並列的にフィルタリングするように構成することができる。そして、かかる複合振動子型フィルタを構成する振動子あるいは振動子群への直流バイアス電圧を、高周波信号線のインピーダンスとは不整合な状態で供給し、さらに振動子に直流電圧安定化回路10を介して直流バイアス電圧を供給するなど、前述と同様に構成する。
この第5実施の形態に係る高周波共振器においても、前述と同様の作用効果を奏する。
【0072】
上述のラダー型フィルタ、複合振動子型フィルタ等の複合的な振動子によるフィルタを構成する場合、隣り合う振動子(並列化された複数の振動子で構成された振動子(振動子群))間の配線の長さ、複数段のフィルタ間の配線の長さを、取り扱う高周波信号の波長に比較して十分に短くすることにより、高周波信号の遅延に起因する信号歪を抑制することができる。
【0073】
上例においては、本発明を高周波フィルタ、高周波共振器に適用したが、その他、静電駆動型MEMS素子を用いた高周波スイッチ、分配器等の受動素子、MEMS(微小機械システム)等に適用することができる。
【0074】
上述した本発明の高周波素子は、これらを構成する高周波回路ブロックと、この高周波回路ブロックを動作されるための電源回路ブロックとを、同一のウェハチップ、すなわち1つの半導体チップ上に形成して構成することができる。または、本発明の高周波素子は、例えば高周波回路ブロックを形成した半導体チップと、上記電源回路ブロックを形成した半導体チップとを有して、両チップ間をワイヤーで接続して構成することができる。
また、インピーダンスを不整合にするための手段は、直流電源回路側に挿入してもよく、あるいは高周波信号素子側に挿入してよい。
【0075】
上述した各実施の形態の静電駆動型振動子によるフィルタは、高周波(RF)フィルタ、中間周波(IF)フィルタ等として用いることができる。
【0076】
本発明は、上述した実施の形態のフィルタを備えた通信装置、すなわち例えば携帯電話機、無線LAN機器、無線トランシーバ、テレビチューナ、ラジオチューナ等の、電磁波を利用して通信する通信装置を提供することができる。
【0077】
次に、上述した本発明の実施の形態のフィルタを適用した通信装置の構成例を、図25を参照して説明する。
まず送信系の構成について説明すると、Iチャンネルの送信データとQチャンネルの送信データを、それぞれデジタル/アナログ変換器(DAC)201I及び201Qに供給してアナログ信号に変換する。変換された各チャンネルの信号は、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qに供給して、送信信号の帯域以外の信号成分を除去し、バンド・パス・フィルタ202I及び202Qの出力を、変調器210に供給する。
【0078】
変調器210では、各チャンネルごとにバッファアンプ211I及び211Qを介してミキサ212I及び212Qに供給して、送信用のPLL(phase-locked loop)回路203から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調し、両混合信号を加算器214で加算して1系統の送信信号とする。この場合、ミキサ212Iに供給する周波数信号は、移相器213で信号位相を90°シフトさせてあり、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが直交変調されるようにしてある。
【0079】
加算器214の出力は、バッファアンプ215を介して電力増幅器204に供給し、所定の送信電力となるように増幅する。電力増幅器204で増幅された信号は、送受信切換器205と高周波フィルタ206を介してアンテナ207に供給し、アンテナ207から無線送信させる。高周波フィルタ206は、この通信装置で送信及び受信する周波数帯域以外の信号成分を除去するバンド・パス・フィルタである。
【0080】
受信系の構成としては、アンテナ207で受信した信号を、高周波フィルタ206及び送受信切換器205を介して高周波部220に供給する。高周波部220では、受信信号を低ノイズアンプ(LNA)221で増幅した後、バンド・パス・フィルタ222に供給して、受信周波数帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号をバッファアンプ223を介してミキサ224に供給する。そして、チャンネル選択用PLL回路251から供給される周波数信号を混合して、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とし、その中間周波信号をバッファアンプ225を介して中間周波回路230に供給する。
【0081】
中間周波回路230では、供給される中間周波信号をバッファアンプ231を介してバンド・パス・フィルタ232に供給して、中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、除去された信号を自動ゲイン調整回路(AGC回路)233に供給して、ほぼ一定のゲインの信号とする。自動ゲイン調整回路233でゲイン調整された中間周波信号は、バッファアンプ234を介して復調器240に供給する。
【0082】
復調器240では、供給される中間周波信号をバッファアンプ241を介してミキサ242I及び242Qに供給して、中間周波用PLL回路252から供給される周波数信号を混合して、受信したIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。この場合、I信号用のミキサ242Iには、移相器243で信号位相を90°シフトさせた周波数信号を供給するようにしてあり、直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分を復調する。
【0083】
復調されたIチャンネルとQチャンネルの信号は、それぞれバッファアンプ244I及び244Qを介してバンド・パス・フィルタ253I及び253Qに供給して、Iチャンネル及びQチャンネルの信号以外の信号成分を除去し、除去された信号をアナログ/デジタル変換器(ADC)254I及び254Qに供給してサンプリングしてデジタルデータ化し、Iチャンネルの受信データ及びQチャンネルの受信データを得る。
【0084】
ここまで説明した構成において、各バンド・パス・フィルタ202I,202Q,206,222,232,253I,253Qの一部又は全てとして、上述した実施の形態の構成のフィルタを適用して帯域制限することが可能である。
【0085】
本発明の通信装置によれば、フィルタを構成する静電駆動型振動子に安定な直流バイアス電圧を供給することができるので、出力される高周波信号又は/及び中間周波信号の時間変動を抑制することができ、また、突発的に印加される高電圧パルス(サージ電圧)による振動子の破壊を防止することができ、信頼性の高い通信装置を提供することができる。
【0086】
図25の例では、各フィルタをバンド・パス・フィルタとして構成したが、所定の周波数よりも下の周波数帯域だけを通過させるロー・パス・フィルタや、所定の周波数よりも上の周波数帯域だけを通過させるハイ・パス・フィルタとして構成して、それらのフィルタに上述した各実施の形態の構成のフィルタを適用してもよい。また、図25の例では、無線送信及び無線受信を行う通信装置としたが、有線の伝送路を介して送信及び受信を行う通信装置が備えるフィルタに適用してもよく、さらに送信処理だけを行う通信装置や受信処理だけを行う通信装置が備えるフィルタに、上述した実施の形態の構成のフィルタを適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る高周波素子の第1の基本的な構成を示す概念図である。
【図2】本発明に係る高周波素子の第2の基本的な構成を示す概念図である。
【図3】本発明に係る高周波素子の第3の基本的な構成を示す概念図である。
【図4】1つのMEMS静電駆動型振動子でフィルタを形成した場合の実施の形態の概略図である。
【図5】1つのMEMS静電駆動型振動子でフィルタを形成した場合の他の実施の形態の概略図である。
【図6】並列化した複数のMEMS静電駆動型振動子でフィルタを形成した場合の実施の形態の概略図である。
【図7】並列化した複数のMEMS静電駆動型振動子でフィルタ形成した場合の他の実施の形態の概略図である。
【図8】A,B 本発明に適用される、複合振動子型フィルタを構成する複合振動子を示す平面図及び断面図である。
【図9】本発明に適用される、複合振動子型フィルタを構成する並列化した複合振動子を示す平面図である。
【図10】本発明に係る高周波素子の第1実施の形態を示す平面図である。
【図11】本発明に係る高周波素子の第1実施の形態を示す断面図である。
【図12】A〜B 本発明に係る高周波素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その1)である。
【図13】C〜D 本発明に係る高周波素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その2)である。
【図14】E〜F 本発明に係る高周波素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その3)である。
【図15】本発明に係る高周波素子の製造方法の一実施の形態を示す製造工程図(その4)である。
【図16】本発明に係る高周波素子を1段構成のラダー型フィルタに適用した第2実施の形態を示す等価回路図である。
【図17】図16の1段構成のラダー型フィルタの透過特性値の周波数依存性を示すフィルタ特性図である。
【図18】図16の等価回路におけるシャント振動子群の中心周波数を92MHzとしたときの図17の要部の拡大図である。
【図19】図16の等価回路におけるシャント振動子群の中心周波数を95MHzとしたときの図17の要部の拡大図である。
【図20】図16の等価回路におけるシャント振動子群の中心周波数を96MHzとしたときの図17の要部の拡大図である。
【図21】本発明に係る高周波素子を2段構成のラダー型フィルタに適用した第3実施の形態を示す等価回路図である。
【図22】図21の2段構成のラダー型フィルタの透過特性値の周波数依存性を示すフィルタ特性図である。
【図23】本発明に係る高周波素子を高周波共振器に適用した第4実施の形態を示す等価回路である。
【図24】図23の高周波共振器の透過特性値の周波数依存性を示す特性図である。
【図25】本発明に係る通信装置の一実施の形態を示す回路図である。
【符号の説明】
【0088】
1・・高周波素子、2・・静電駆動型の振動子、3・・直流電源、4・・基板、5・・入力電極、6・・出力電極、7・・ビーム、8・・接地面、9・・給電線路、10・・直流電圧安定化回路、Ra・・抵抗、Ca・・容量、22・・直流電源入力パッド、31・・1段構成のラダー型フィルタ、32・・高周波信号線路、33・・信号線路、34・・グランド線路、35・・直列振動子、36・・シャント振動子、37・・直流電源回路、38・・直流給電線路、61・・2段構成のラダー型フィルタ、651、652・・直列振動子、661、662・・シャント振動子、R1 〜R6 ・・抵抗素子、71・・高周波共振器、72・・高周波信号線路、73・・信号線路、74・・グランド線路、77・・直流電源回路、78・・直流給電線路、79・・ローパスフィルタ、C1 ・・浮遊容量、101・・複合振動子型フィルタ、102・・基板、103、104・・複合振動子、106、107・・ビーム、R1 ,R2 ・・抵抗素子、108、109・・櫛歯型電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型の振動子を含む高周波信号素子を有し、
前記直流バイアス電圧を供給するパッドと前記振動子との間に、前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加されている
ことを特徴とする高周波素子。
【請求項2】
前記高周波信号素子は、複数の静電駆動型の振動子に高周波信号を並列に通過させて信号処理を行う振動子群を回路要素として有している
ことを特徴とする請求項1記載の高周波素子。
【請求項3】
前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路は、直流給電線路に直列に挿入された抵抗と、給電線と接地との間に挿入された容量とにより構成される
ことを特徴とする請求項1記載の高周波素子。
【請求項4】
前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路は、前記高周波信号素子が形成された同じ基板上に設けられる
ことを特徴とする請求項1記載の高周波素子。
【請求項5】
前記高周波信号素子は、入力された高周波信号から所望の周波数帯域の信号を選別する機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載の高周波素子。
【請求項6】
前記高周波信号素子は、高周波信号の基準信号を発生する機能を有する
ことを特徴とする請求項1記載の高周波素子。
【請求項7】
直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型の振動子を含む高周波信号素子の駆動に供される電源供給素子であって、
直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加されている
ことを特徴とする電源供給素子。
【請求項8】
送信信号及び/又は受信信号の帯域制限を行うフィルタを備えた通信装置において、
前記フィルタとして、直流バイアス電圧を印加して動作される静電駆動型振動子を有し、前記直流バイアス電圧を供給するパッドと前記振動子との間に、前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路が付加されてなるフィルタが用いられている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
前記フィルタは、複数の静電駆動型振動子に高周波信号または中間周波信号を並列に通過せて信号処理を行う振動子群を回路要素として有している
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項10】
前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路は、直流給電線路に直列に挿入された抵抗と、給電線と接地との間に挿入された容量とにより構成される
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。
【請求項11】
前記直流バイアス電圧を安定化させる機能を有する回路は、前記フィルタが形成された同じ基板上に設けられる
ことを特徴とする請求項8記載の通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2006−5758(P2006−5758A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−181459(P2004−181459)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】