説明

高品質化合物半導体材料を製造するためのナノ構造適応層及びHVPEを使用する成長法、単結晶化合物半導体材料、並びに、基板材料

HVPEを利用し、ナノ構造層を使用して高品質の平坦かつ厚い化合物半導体(15)を異種基板(10)上に成長させる。半導体材料のナノ構造(12)は、分子線エピタキシャル成長(MBE)、化学気相成長(CVD)、有機金属化学気相成長(MOCVD)又はハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)によって基板(10)上に成長させることができる。化合物半導体の厚膜(15)又はウェハは、HVPEを使用したエピタキシャル横方向成長によってナノ構造(12)上に成長させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子線エピタキシャル成長(MBE)、化学気相成長(CVD)、有機金属化学気相成長(MOCVD)(有機金属気相エピタキシャル成長(MOVPE))及びハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)により製造されたナノ構造適応層を使用したHVPEによる厚い単結晶化合物半導体材料の成長方法及び当該方法によって製造された材料に関する。
【背景技術】
【0002】
バンドギャップが広いGaN及びその関連材料は、様々なデバイスに使用できる最も魅力的な化合物半導体のひとつである。これらの材料は、可視領域から紫外領域に及ぶ広いスペクトル領域及び高温/高電力領域で動作する電気光学デバイス及びマイクロ電子デバイスに適している。窒化物半導体は、その他のバンドギャップが広い半導体に比して、光学デバイス又はマイクロ電子デバイスに使用した際に高温及び高電力における劣化が少ないことが、主な利点である。一方、(量子細線及びドットにおける)低次元量子閉じ込め効果が、光学デバイス性能を向上させるための主要な技術の1つになると考えられている。様々なIII‐V族窒化物の低次元構造が、エッチング、再成長、選択領域における成長、傾斜基板上での成長、自己組織化プロセス等によって形成されてきた。
【0003】
過去数年間の技術的進歩にもかかわらず、GaNデバイスにおけるさらなる発展を妨げる主要な障害の1つは、高品質で安価な独立したGaN基板が市販されていないことである。窒化物デバイスでは、サファイアやSiC等の代替基板が一般に使用されている。格子不整合及び成膜された膜と基板(ヘテロエピタキシー)の間の熱膨張係数の差が大きいために、非常に密度の高い(10〜1010cm−2)貫通転位及び望ましくない残留歪みによるウェハの屈曲/クラックが成長させた窒化物層において生じる。これらの要因により、窒化物を使用した電気光学デバイス及びマイクロ電子デバイスの性能と寿命が大きく左右される。
【0004】
エピタキシャル横方向成長(ELOG及びその変形であるファセット開始エピタキシャル横方向成長(facet initiated epitaxial lateral overgrowth(FIELO)及びPendeo(ラテン語で吊すを意味する))は、屈曲及び材料における貫通転位を抑制するために最も広く採用されている方法である。最初に成長させたGaN膜上に、ストライプ状横方向成長酸化物(又は金属)を成膜すると、転位密度を約2桁減少させる(10cm−2レベル)ことができる。しかし、欠陥密度の低い材料は合体部に位置する翼領域のみで生じ、ウェハの全表面積の約5分の1のみである。成長領域には合体部の大きな傾斜と引張応力が存在する。
【0005】
現在、欠陥密度の低い独立したGaNは、電気光学デバイス及びマイクロ電子デバイスの所望の仕様を達成するための材料のひとつである。バルク(溶融又は昇華)成長及びハイドライド気相エピタキシャル成長(HVPE)は、欠陥密度の低い独立したGaNを成長させるための主要な技術である。15キロバール以下の高圧で行うバルクGaN成長法により、転位密度の低い(<10cm−2)材料を成長させることに成功している。しかしながら、バルクGaN成長法は成長速度が低く、直径の小さな基板への適用に制限されており、商業生産には非常にコストがかかり、非経済的である。30mWの出力レベルにおけるCW動作での1万5千時間という記録的な窒化物レーザーの寿命が、日亜化学工業株式会社によってHVPE成長基板を使用して最近達成されている。HVPEは、欠陥密度の低いGaNと大口径の独立した市販のGaN基板を提供するために利用できる最も有望な技術の1つである。
【0006】
HVPEは可逆的な平衡に基づくホットウォールプロセスであり、以下の利点を有する。(1)高い成長速度(最大100μm/時間、MOCVD法及びMBE法の100倍超);(2)低いランニングコスト;(3)混合転位の相互消滅により厚いGaNの欠陥密度が低下する。しかし、HVPE法は異種基板上への成長の場合に上述した固有の問題を有する。そのため、HVPEを使用する厚いGaNの成長では、異種基板上での初期GaN厚膜(30〜100μm)の屈曲とクラックを減少させ、GaNの欠陥密度を最小化させるという2つの重要な問題を克服しなければならない。
【0007】
異種基板の使用に起因する厚いGaN膜のクラックは、成長及び冷却条件に依存する。GaNにおけるクラック発生の臨界の厚みは、HVPEによってサファイア基板上にGaNを直接成長させた場合の10〜15μmから、反応性スパッタリングによるAlNバッファ層又はZnOバッファ層の使用によってクラックを生じさせることなく40〜80μmに向上させることができる。しかし、この厚みであっても、基板を分離する際の安全な取り扱いには十分ではない。初期成長においてさらに厚いGaN膜でも、いっそうクラックを減少させるために、ELOG、パターン付き基板への成長、溶融Ga界面層を使用した再成長、GaNにより適合した基板の使用、厚みを減少させ、機械的に脆弱化させたサファイア基板の使用といったその他の成長法も利用されている。
【0008】
欠陥密度(主に貫通転位)及び歪みを減少させ、HVPEによって成長させた厚いGaN膜の表面モフォロジを改良するために、ELOG、低い反応器圧力下での成長、TiN中間層を使用した成長、脆弱化させたSi、GaAs、その他のIII−V単結晶ウェハ上での深い逆ピラミッド型エッチピットといった様々な技術が採用されている。しかし、これらの技術を使用した成長プロセスは工数と時間が必要で、コストがかかる。このようにして製造されたGaNは、屈曲及び望ましくない残留歪みという主要な欠点を有している。
【0009】
GaN材料を成長させるために適した様々な気相成長法が、米国特許第6,413,627号、米国特許第5,980,632号、米国特許第6,673,149号、米国特許第6,616,757号、米国特許第4,574,093号、米国特許第6,657,232号に開示されている。そのような方法に関するその他の刊行物を以下に記載する。
1.Handbook of Crystal Growth,第3巻,D.T.J.Hurle編,Elsevier Science 1994
2.R.F.Davis他,Review of Pendeo−Epitaxial Growth and Characterization of Thin Films of GaN and AIGaN Alloys on 6H−SiC(0001) and Si(111) Substrates,MRS Internet J.Nitride Semicond.Res.6,14, 1(2001)
3.M.Yoshiawa,A.Kikuchi,M.Mori,N.Fujita,K.Kishino,Growth of self−organised GaN nanostructures on AI(0001) by RF−radical source molecular beam epitaxy,Jpn.J.Appl.Phys.,36,L359(1997)
4.K.Kusakabe,A.Kikuchi,K.Kishino,Overgrowth of GaN layer on GaN nano−columns by RF−molecular beam epitaxy,J.Crystl.Growth.,237〜239,988(2002)
5.J.Su他,Catalytic growth of group III−nitride nanowires and nanostructures by metalorganic chemical vapor deposition,Appl.Phys.Lett.,86,13105(2005)
6.G.Kipshidze他,Controlled growth of GaN nanowires by pulsed metalorganic chemical vapor deposition,Appl.Phys.Lett.,86,33104(2005)
7.H.M.Kim他,Growth and characterization of single−crystal GaN nanorods by hydride vapor phase epitaxy,Appl.Phys.Lett.,81,2193(2002)
8.C.C.Mitchell他,Mass transport in the epitaxial lateral overgrowth of gallium nitride,J.Cryst.Growth.,222,144(2001)
9.K.Hiramatsu,Epitaxial lateral overgrowth techniques used in group III nitride epitaxy,J.Phys:Condens,Matter.,13,6961(2001)
10.R.P.Strittmatter,Development of micro−electromechnical systems in GaN,博士論文,California Institute of Technology,P.92(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述した問題を少なくとも部分的に克服する、品質に優れ、平坦で厚い化合物半導体を成長させるための方法を提供することにある。ここで、「厚い」半導体とは、実質的に自立性(self−supporting)を有し、約50μmより大きな厚みを有する半導体を意味する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、単結晶化合物半導体材料を製造するための方法であって、
(a)エピタキシャル成長開始表面を提供するために、化合物半導体ナノ構造を有する基板材料を用意し、
(b)エピタキシャル横方向成長によって化合物半導体材料を前記ナノ構造上に成長させ、
(c)前記基板から成長させた前記化合物半導体材料を分離することを含む方法が提供される。
【0012】
好ましくは、前記化合物半導体材料はIII−V及びII−VI化合物からなる群から選択される。
【0013】
好ましくは、前記基板材料は、サファイア、シリコン、炭化ケイ素、ダイヤモンド、金属、金属酸化物、化合物半導体、ガラス、石英、複合材料からなる群から選択される。例えば、c面サファイア、γ面サファイア、m面4H−SiC又はm面6H−SiC等の異なる結晶方位を有する基板を使用することができる。異なる結晶方位を有する基板上に作製されたナノ構造を使用することにより、品質が高く、低い歪みと欠陥密度を有する非極性・極性化合物半導体層を成長させることができる。c面GaN等の通常の極性材料を成長させる場合には、基板の結晶方位をc面サファイアとすることができる。a面又はm面GaN等の非極性材料を成長させる場合には、基板の結晶方位はγ面サファイア又はm面4H−SiC又はm面6H−SiCとすることができる。
【0014】
γ面サファイアを基板として使用する場合には、ナノ構造適応層を使用して非極性a面GaNを成長させることができる。このようにして成長させたa面GaNは、非常に低い歪みと欠陥密度を有する。m面GaNは、ナノ構造適応層を使用して(100)LiAlO、m面4H−SiC又はm面6H−SiC上に成長させることができる。
【0015】
また、基板材料は、導電性基板、絶縁性基板、半導電性基板からなる群から選択することができる。基板は、第1の態様に係る方法によって予め製造した化合物半導体材料を含むことができる。本発明によって製造した化合物半導体は、さらなる成長のためのシード基板として使用することができる品質を有する。基板として使用する場合には、半導体材料を必要に応じて所望の厚みに切断(スライス)することができ、通常は使用前にラッピング及び研磨する。
【0016】
工程(a)は、化合物半導体ナノ構造を基板上に成長させる工程を含むことができる。すなわち、化合物半導体を成長させるために基板及びナノ構造を用意する。あるいは、基板及びナノ構造は予め用意することもできる。例えば、基板及びナノ構造は、成長させた半導体を除去した後に再使用することができる。ナノ構造を成長させる際には、ナノ構造を成長させる前に基板材料上に少なくとも1つのナノアイランドを形成することができる。この工程によって、ナノ構造を容易に成長させることができる。ナノアイランドは、基板を窒化、スパッタリング、金属蒸着、アニーリング、CVD、MOCVDの少なくとも1つにより処理することによって形成することができる。
【0017】
ナノ構造は、HVPE法、CVD法、MOCVD法又はMBE法によって成長させることができる。
【0018】
ナノ構造は、ドーピングされていないか、n型又はp型ドーパントでドーピングされていてもよい。
【0019】
ナノ構造は、単一のドープ材料又は非ドープ材料、又は非ドープおよびドープ工程の組合せ、又はnドープおよびpドープ工程の組合せにより成長させることができる。
【0020】
特に、ナノ構造は、成長表面に近接したp型領域を含むことができる。そのような領域を設けることにより、例えば陽極電気化学選択エッチング法を使用する際に成長させた半導体を容易に除去することができる。
【0021】
好ましくは、ナノ構造は、GaN、AlN、InN、ZnO、SiC、Si及びそれらの合金からなる群から選択される材料を含む。
【0022】
化合物半導体材料は、必要に応じて、ナノ構造とは異なる材料を含むことができる。
【0023】
化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長をHVPE方法によって行うことができる。
【0024】
化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長は、非ドーピング又はn型又はp型ドーピングであってもよい。
【0025】
化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長は、時間変調されていてもよい。
【0026】
基板の回転及び降下の少なくとも1つを行いながら工程(b)を行うと有利である。成長させた化合物半導体材料は、材料を急速に冷却することによって基板から分離することができる。あるいは、成長させた化合物半導体材料は、機械的に分離するか、ウエットエッチング又は電気化学エッチングあるいはレーザーアブレーションによって基板から分離することもできる。レーザーアブレーションを使用する場合には、レーザー光を構造の側面から基板と半導体材料の界面又は基板全体に向けることができる。
【0027】
成長させた化合物半導体材料を切断して、所定の膜厚の半導体層を得ることができる。
【0028】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様に係る方法を使用して成長させた厚い単結晶化合物半導体材料が提供される。
【0029】
本発明の第3の態様によれば、エピタキシャル成長開始表面を提供するために、化合物半導体ナノ構造を有する基板材料が提供される。これにより、本発明の第1の態様に係るエピタキシャル横方向成長を使用して化合物半導体材料を表面上に成長させることができる。ナノ構造は、成長表面に近接したp型領域を含むことができる。
【0030】
本発明に係る代表的な方法では、HVPEを利用し、ナノ構造適応層を使用して高品質の平坦かつ厚い化合物半導体を異種基板上に成長させる。適当なナノ構造の例としては、ナノ構造の長さ全体に沿ってほぼ一定な直径を有するナノカラム(「ナノロッド」としても知られる)又はナノ構造の寸法全体に沿って異なる直径を有する例えばピラミッド、円錐体又は球体等のその他の構造体を挙げることができる。なお、便宜上、以下ではナノカラムの使用について説明するが、上述したその他の適当なナノ構造も使用することができ、その他の用途にとって有利である場合もある。半導体材料のナノカラムは、MBE法、CVD法、MOCVD法(MOVPE法)又はHVPE法によって異種基板上に成長させることができる。通常、このようなナノカラムは約10〜120nmの直径を有することができる。異種基板上に成長させたナノカラム内に機械的に閉じ込めることにより、応力及び転位をナノカラムと基板との界面に局所化させることができる。そのため、成長によってナノカラムの上部における応力転位がほぼなくなる。化合物半導体厚膜又はウェハを、HVPEを使用したエピタキシャル横方向成長によってナノ構造上に成長させることができる。化合物半導体材料と基板との間の熱膨張係数の差による化合物半導体厚膜及びウェハの屈曲は、ナノカラムと二軸歪みを緩和させるエアギャップとの均衡のとれた寸法によって、最小化することができる。そのため、この技術を使用して厚い平坦な化合物半導体薄膜を成長させることができる。また、ナノカラムと基板との間の局所的な応力によって、厚い半導体(例えばGaN)を急速に冷却させながら基板から容易に分離することができる。また、エピタキシャル横方向成長の前にナノカラムの上部に薄いp型GaNを成長させる場合には、p型GaNの陽極電気化学選択エッチングを使用してGaN層を基板から分離することができる。次に、厚いGaNに対して切断、研削、ラッピング及び研磨を行い、極性及び非極性化合物半導体ウェハを製造することができる。
【0031】
本発明が提供する成長法は、式InAl1−x−yN(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1,0≦x+y≦1)で表されるIII−V窒化物化合物又はその他の好適な半導体窒化物に適用することができる。また、II−VI族化合物も本発明の方法による製造に適している場合がある。半導体は、GaN、AlN、InN、ZnO、SiC等の材料を含むことができる。以下の説明では、便宜上、半導体材料としてのエピタキシャルIII―V窒化物層の例としてGaNを使用して本発明について説明するが、任意の好適な半導体材料も使用することができる。
【0032】
GaNのハイドライド気相エピタクシー(HVPE)(クロライド輸送化学気相成長(chloride transport chemical vapor deposition)とも呼ばれる)は、III族及びV族元素を気相で成長反応器の成膜ゾーンに輸送する比較的十分に確立された方法である。この方法では、MOCVD法における有機金属原料(供給源)の代わりに、III族元素を輸送するためにClを使用する。この方法により、MOCVD又はMBE法(≦2μm/時間)と比較して高い成長速度(最大120μm/時間)を達成できるという利点がある。非平衡であって壁温の低い反応器を使用するMOCVDとは対照的に、HVPEは壁が高温の反応器を採用する可逆的な平衡に基づく方法である。典型的な成長過程は以下の通りである。サファイア、炭化ケイ素、酸化亜鉛又はその他の使用可能な基板を成長室の成膜ゾーンに挿入し、加熱する。成長温度に達すると、NH流の導入を開始する。NH濃度が定常値に達するまで時間を置いた後、HCl流の導入を開始して、Gaゾーン内においてHClガスを800〜900℃で液体金属Gaと反応させることによって、2HCl(気体)+2Ga(液体)→2GaCl(気体)+H(気体)で表されるように合成される塩化ガリウム(GaCl)の輸送を行う。別の合成法では、Ga金属を塩素ガスと約125℃で反応させる。次に、ガス状のGaClをGaゾーンから成膜ゾーンに輸送し、900〜1200℃でNHと反応させ、GaCl(気体)+NH(気体)→GaN(固体)+HCl(気体)+H(気体)で表される反応によってGaNを生成する。この方法によって成膜されるGaN層の膜厚は、通常は最大で800μmである。HVPB成長法の別の主な利点は、混合転位(mixed dislocation)が互いになくなることによって厚いGaNにおける欠陥密度が減少することである。これらの特性により、HVPEは低コストで独立したGaN及びその他に関連するIII−V窒化物基板を製造するための理想的な方法となる。
【0033】
HVPE法における成長温度はかなり高い(〜1000℃)ため、厚いGaN膜を成長させる際の大きな問題の1つは、例えばサファイア等の異種基板を使用するために生じるクラックと格子欠陥である。その結果、GaN層と基板との格子定数及び熱膨張係数の不整合も生じる。
【0034】
本発明は、HVPE成長法により、ナノ構造適応層を使用して平坦で欠陥密度の低い歪みのない厚い化合物半導体を異種基板上に成長させるための新規な方法を提供する。GaNを成長させるために、例えばナノ構造適応層としてGaNナノカラムを使用する方法にはいくつかの利点がある。コラムの小さい直径と高いアスペクトの比(高さ対直径)のために、ナノカラムと基板との間に機械的な閉じ込めが生じる。応力と転位は、GaNナノカラムと基板との界面にほぼ局在化している。そのため、成長によってGaNナノカラムの上部における応力及び転位がほぼなくなる。また、初期アイランドの配向の乱れによる従来のGaN膜のモザイク構造によって生じる欠陥を最小化させることができる。これは、非常に配向が乱れたナノカラムが成長するため、全体的な配向を向上させることができるためである。狭いエアギャップを有するナノカラムの形状により、非常に薄い成長層を合体させることが可能となる。通常は、連続成長したGaN層には0.2μm未満の厚みで十分である。上述した全ての利点によって、ナノカラム適応層上に高品質な厚いGaNを成長させ、ELOG又はPendeo法と比較した場合に、ナノカラムの上部又はエアギャップの上部の合体部における傾斜の少ないGaNとすることができる。
【0035】
また、GaNと基板との間の熱膨張係数差によるGaNウェハの屈曲は、ナノカラムと二軸の歪みを緩和させるエアギャップとの均衡のとれた寸法によって、最小化することができる。そのため、複数のウェハに切断するために十分な厚さを有するGaN「ボール(boule)」を含むこの方法を使用して、厚い平坦なGaN膜を成長させることができる。また、特に引張圧力が加えられた薄層をナノカラムと基板との間に成長させる場合、ナノカラムと基板との間の局所的な応力によって、厚いGaNを急速に冷却させながら基板から容易に分離することができる。また、p型GaNの陽極電気化学選択エッチングを使用して基板からGaNを分離することができる。次に、厚いGaN(ボール)に対して、商業的な数量を製造するために設計された方法によって標準的な厚み(250μm以下)のGaNウェハを製造するために適当な切断、研削、ラッピング及び研磨を行うことができる。このように製造したウェハは、本発明に係る別のプロセスの基板として使用することができる。
【0036】
GaNナノカラムは、RFプラズマ窒素源を使用してMBEによって成長させることができる。サファイア基板を使用する場合には、好ましくは窒化プロセスを最初に行う。AlN核形成層は、通常のGaN成長プロセスの温度よりも高い温度(850℃以下)で成膜する必要がある。このように高い核形成温度の目的は、ナノカラムの成長を開始させる所望の上面領域と基板との比率を達成することである。成長時に、窒素流とRF入力電力を高密度なアイランド構造を形成するために最適化することができる。対象となるアイランドは、通常は5〜10nmの高さ及び1010cm−2以下の密度を有する。Gaリッチ条件下でのRF−MBE成長によってナノカラムを成長させることができないため、GaNナノカラムは通常はNリッチ雰囲気で成長させる。MBE成長パラメータは、所望の寸法、アスペクト比、ナノカラム密度を達成するために最適化することができる。in situ反射高速電子回折(RHEED)を、三次元のアイランド核形成及びGaNナノカラム成長を監視するために使用することができる。また、滑らかな側壁を有するナノカラムの成長をさらに促進するために、n型シリコンドーピングを使用することが好ましい。これは、Siドーピングによって(0001)方向に沿った成長速度を大きく向上させることができるためである。また、異なる窒化物合金及び成長温度を使用して、ナノカラムの上部ファセット(面)のモフォロジをドーピングによって操作することができる。
【0037】
また、ナノカラムは、CVD、MOCVD及びHVPE法を使用して成長させることができる。MOCVD成長法では、有機金属とNHのパルス注入を組み合わせた成長を開始させるための触媒として、In又はNiを使用し、触媒作用の蒸気−液体−固体成長機構によって、GaNナノカラムを制御下で成長させることができる。上切子面の形状の制御をさらに高めるために、ナノカラムの寸法、アスペクト比及び密度並びに様々なドーピング、反応器圧、反応器温度、III/V比及び注入パルスパターン等のMOCVDパラメータを変更する。
【0038】
HVPEにおけるGaNナノカラムの成長は、理想的には表面拡散及び横方向成長を最小化するように非常に低い成長温度(500℃未満)で行う。
【0039】
MBE又はMOCVDを使用してELOGによって最初の薄い連続したGaNを成長させるGaNナノカラムテンプレート及びGaNナノカラムテンプレートは、HVPEを使用する厚いGaNのELOG成長のために組み込むことができる。ELOG−GaN形状の観察評価は、成長パラメータ、特に温度及び圧力の影響を受けやすい。これにより、ELOG形状がウェハ全体の温度分布によって大きな影響を受け、ELOG−GaNの高さ及び形状に差が生じ得ることが推測される。そのため、温度均一性はHVPE成長において非常に重要である。HVPE装置では、温度均一性は、より低い温度の高温壁炉加熱装置と組み合わせたマルチゾーン基板ヒーターを使用して制御することができる。また、ガス排出口と基板表面との距離を同じ距離に維持するために、降下機構に基板ホルダを設けることができる。反応器温度、圧力、総ガス流量、V/III比等のプロセスパラメータは、厚い平坦な膜の成長のために系統的に変化させることができる。
【0040】
成長させたGaNは、以下の方法によって分離することができる。サファイア及びIII―V族窒化物等の脆性材料では、引張応力が限界値を超えると容易に亀裂が生じ得る。圧縮応力下におけるエピタキシャル膜の亀裂は、非常に高い応力を必要とし、通常の環境下では生じ難い。柔軟性を有するGaNナノカラムは、それらのアスペクト比及びナノ寸法により、最小の内部応力を発生する。容易性及び再現性を有する基板から厚いGaNを分離するために、引張応力下において限界寸法を有するAlN核形成層を使用することができる。急速冷却又は機械的捻れは、限界値を超えるように局所応力を与え、厚膜を分離する。基板からGaNを分離する別の方法では、陽極電気化学エッチングを使用する。この場合、厚いGaNのためのエピタキシャル横方向成長の前に、ナノカラム上で薄いp型GaN層を成長させる。適当な電解質及びバイアス電圧を使用することにより、p型GaNを選択的にエッチングし、n型GaNを残すことができる。
【0041】
分光器反射率(SR)によって、層上の歪み及び厚さ情報を提供することができる横方向の干渉及び垂直方向の干渉の重なりを測定することができる。高温測定と同じ波長で反射率を測定することにより、ウェハの実際の温度の放射率を測定することができ、次にウェハの実際の温度を測定することができる。また、SRを使用することにより、三次元核形成アイランドの形成段階、ナノカラム内における合体及びELOG成長プロセスを測定することができる。ナノカラム及び厚膜成長の制御にとって不可欠である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0043】
図1は、本発明において好適に使用されるHVPE反応器を示す。オーブン3の基体の近傍において基板1がヒータープラットホーム2に配置されている。プラットホームは、手段4によって垂直移動及び/又は回転させることができる。オーブン3の上半分には、各種処理ガスを基板に導入するための入口5が設けられている。処理ガスはこれらの入口を通過し、混合フリット6を介して基板に導入される。Gaるつぼ7がこれらの入口の1つの内部に配置されている。また、パージガス8の入口も設けられている。気体出口9が基板に近接して設けられている。
【0044】
本発明について説明するために、本発明に係る方法を使用した実施例について以下に説明する。
【実施例1】
【0045】
約2インチ(5.08cm)の直径を有するc面サファイア基板を、図1に示す上述したHVPE縦型反応器の基板ホルダに載せた。サファイア基板を基板ホルダに載せる前に、サファイア基板をKOHで数秒間脱脂し、脱イオン水で洗浄し、HSO/HPO=3:1溶液を使用して80℃で数分間エッチングし、脱イオン水で洗浄した。次に、ガスヒーターを約500℃に加熱した。全てのガス注入口を介してNを約30分間導入し、反応器をパージした。成長室の圧力は300ミリバールに維持した。次に、基板を約350℃に加熱した。約1000sccmのNH流を反応室に導入した。10%HCl/Nを、800℃まで加熱したGaバブラー内を通過させることによって、GaClガス前駆体を生成した。GaCl転化率は約100%だった。次に、基板を約850℃に加熱した。初期窒化処理における成長室へのガス供給は、NH流の流量を約1040sccmとし、GaCl流は供給せず、残りはN及びHとした。流量約2400sccmのN流と流量約60sccmのH流とを、ガス入口間で分割した。総流量を約3500sccmに安定させ、10分間の窒化処理にわたって維持した。次に、基板の温度を480℃に低下させた。ナノカラム成長処理における成長室へのガス供給は、NH流を流量約1000sccmとし、GaCl流を流量約60sccmとし、残りはN及びHとした。流量約2380sccmのN流と流量約60sccmのH流とを、ガス入口間で分割した。総流量を約3500sccmに安定させ、10分間の成長処理にわたって維持した。GaNナノカラムHVPE成長処理は約3時間行った。この方法により、約60〜120nmの直径と約380nmの高さを有するGaNナノカラムが成長した。図2は、窒化層11と、約80〜120nmの直径と約350〜380nmの高さを有するHVPE成長ナノカラム12を示している。ナノカラムの先端には傾斜面13が観察された。
【0046】
エピタキシャル横方向成長を行うために、成長室の圧力を700ミリバールに上昇させた。NHガス供給量を2000sccmに増加させた後、基板の温度を20分間で約1050℃に上昇させた。十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層が形成されるまでGaN成長工程を継続した。成長時には、基板ホルダの回転降下機構によって基板を降下させ、ガスフリットと基板との間の距離を一定に維持した。図1に示す縦型HVPE反応器内でのV/III比を10〜40に設定した成長では、約20μm/時〜約160μm/時の成長率を達成することができた。回転を行わない場合の成長均一性は、2インチ(5.08cm)ウェハのエッジ間において2%よりも良好だった。図4は、ELOGによってナノカラム12上に成長させた厚いGaN15を示す。
【0047】
窒化物成長を停止する際には、GaClガスをオフにし、NH流を同レべルに維持し、ガス総流量を安定させるためにN流を増加させた。基板の冷却は、1050℃から500℃へは50℃/分よりも大きい冷却速度に制御した。次に、500℃未満の温度でNH流をオフにした。500℃〜室温の間では100℃/分未満の冷却速度で基板を冷却した。この時、ガスヒーターは約350℃の温度に維持し、基板を成長室から降下させ、100℃/分未満の冷却速度を維持した。
【0048】
基板を冷却し、反応器から取り除くと、サファイア基板は完全又は部分的に厚いGaNエピタキシャル層から分離されていた。さらなる機械的ねじれ操作により、部分的に分離されたGaN層を十分に分離することができた。
【実施例2】
【0049】
本実施例では、実施例1で説明したナノカラムHVPE成長処理の代わりに以下のパルスMOCVD成長処理を行った。電子ビーム蒸着によってc面配向(0001)サファイア基板上にNi薄層(約5nm)を成膜した。次に、Ni被覆サファイアをMOCVD反応器に入れた。N流下で基板を約800〜850℃に加熱し、表面上に分散されたNiアイランドを形成した。Hをキャリアガスとして使用し、反応器の圧力は100ミリバールに維持した。NHの流量は1000sccmとし、トリメチルガリウム(TMG)の流量は36sccmとした。次に、基板の温度を約700〜800℃に低下させた。TMGを2〜6秒間パルス状に導入して気相−液相−固相(VLS)成長を開始させ、2〜6秒間後にNHを2〜6秒間導入した。TMGの導入時には、NH流をオフにした。NHの導入時には、TMG流をオフにした。この処理により、還元された予備混合粒子を形成した。実施例1よりも低い温度とすることで、横方向の拡散がかなり減少した。次に、ナノカラムテンプレートをHCl溶液に浸漬してテンプレート上の分散Ni金属を除去した。このようにして1時間成長させたGaNナノカラムは、90〜100nmの直径と約680nmの高さを有していた。図3は、非ドープ条件下でのMOCVDによって成長させた、上面に平らな面13を有するナノカラムを示す。
【実施例3】
【0050】
本実施例では、実施例1で説明したナノカラムHVPE成長処理の代わりに以下のパルスMOCVD成長処理を行った。表面窒化工程は、約100ミリバールの反応器圧力、約800℃の基板温度、流量約1200sccmのNH流で約5分間行った。次に、基板の温度を約850〜900℃に上昇させた。NHの流量を約1000sccmに調節し、TMAlの流量を約15sccmに調節した。TMAlを2〜6秒間パルス状に導入し、2〜6秒間後にNHを2〜6秒間導入して高密度AlNアイランド成長を行った。通常、AlNは約10〜30分間で成長する。この方法により、約1010cm−2のAlNアイランド密度を達成することができる。次に、基板の温度を約700〜750℃に低下させた。NHの流量は約1000sccmに設定し、トリメチルガリウム(TMG)の流量は約36sccmに設定した。TMGを2〜6秒間パルス状に導入し、2〜6秒間後にNHを2〜6秒間導入してGaNナノカラムをH下で成長させた。このようにして約2時間成長させたGaNナノカラム12は、60〜120nmの直径と約800〜1000nmの高さを有していた。
【実施例4】
【0051】
本実施例では、実施例1で説明したナノカラムHVPE成長処理の代わりにMBE成長処理を行った。供給ガスとして高純度Nを使用して高周波数(RF)プラズマ源から活性窒素種を供給した。高純度金属を使用して噴散セルからAlとGaを供給した。N流量は約2sccmに設定し、RFパワーは約450Wに設定した。次に、表面窒化工程を約700℃で約5分間行った。次に、基板の温度を約850〜900℃に上昇させた。高密度AlNアイランド成長を約5〜10分間行った。次に、GaNナノカラムを同じ温度で約2時間にわたって成長させた。このようにして生成したGaNナノカラムは、90nm以下の直径と800nm以下の高さを有していた。
【実施例5】
【0052】
本実施例では、実施例1で説明したHVPEエピタキシャル横方向成長処理の代わりに時間変調HVPE成長を行った。この方法では、成長モード及びエッチングモードにおいて試薬ガスの流れを順番にオン(NH及びGaCl:オン)及びオフ(GaCl及びNH:オフ、HCl:オン)とした。オン及びオフの時間はそれぞれ約3分間及び1分間に設定した。エッチング時のHCl流量は80sccmに設定した。十分な膜厚を有するGaNエピタキシャル層が形成されるまでGaN成長工程を継続した。図1に示す縦型反応器内でのV/III比を10〜40に設定した成長では、約30〜120μm/時の成長率を達成することができた。この方法により、通常のHVPE成長と比較して欠陥密度を減少させることができる。
【実施例6】
【0053】
本実施例では、実施例5で説明したHVPEエピタキシャル横方向成長処理の代わりに変形した時間変調HVPE成長を行った。成長をエッチング段階、アニーリング段階、横方向成長を促進させる段階、通常成長段階に分割した。本実施例では、エッチング段階においてGaCl及びNHをオフとし、HClを80sccmの流量でオンとした。アニーリング段階では、GaCl及びHClをオフとし、NHをオンとした。横方向成長を促進させる段階では、GaCl及びNHをオンとし、HClを5sccmの流量でオンとし、H総流量を60sccmから200sccmに増加させた。通常成長段階では、GaCl及びNHをオンとし、HClを5sccmの流量でオンとし、H総流量を60sccmとした。エッチング、アニーリング、横方向成長の促進、通常成長の時間は、それぞれ1分間、1分間、3分間、2分間に設定した。
【実施例7】
【0054】
本実施例では、実施例1で説明したナノカラムHVPE成長処理において、n−GaNナノカラムの場合に2〜20sccmのシラン(2%SiH/H)でGaNをドーピングした。
【実施例8】
【0055】
本実施例では、実施例1で説明したナノカラムHVPE成長処理において、ナノカラム成長の最終段階でp型GaN層を加えた。p−GaNに、CpMg又はマグネシウム蒸気をガス入口8を介して7〜50sccmの流量で注入して、マグネシウムをドーピングした(CpMgバブラー圧力:1000ミリバール、バブラー温度:25℃、キャリアガス:H)。図5は、ELOGによって、p−GaN上層14を有するナノカラム上に成長させた厚いGaNを示す。
【実施例9】
【0056】
本実施例では、実施例8で生成させたようにナノカラムのp−GaN上層でn型ドーピングされた実施例1で成長させた厚いGaNを、電気化学法を使用して基板から分離した。厚いn−GaNは陽極として機能し、メッシュ状Ptを陰極として使用し、KOH又はHPOを電解質として使用した。約3.5〜4Vのバイアス電圧を(Pt基準電極に)印加して、p−GaNを選択的にエッチングした。厚いn−GaNは、通常は30分間のエッチング後に基板から分離された。当業者には、上述した以外の広範な方法及びプロセスパラメータが本発明の範囲に含まれることは明らかであろう。例えば、当業者に明らかな様々な方法によってナノ構造の成長を開始させることができる。ナノ構造は、用途に適した様々な先端形状を有するように成長させることができる。ナノ構造の材料は一定である必要はない。例えば、特定の用途に最も適した特性が得られるように、合金含有量を高さに沿って変化させることができる。例えば、レーザーアブレーションによる分離処理時に吸収率を最適化するように合金含有量を選択することができる。あるいは、合金含有量を変化させることによってナノ構造上に成長させる半導体の格子定数を最適化することができる。また、ナノ構造の材料は、ナノ構造上に成長させる化合物半導体の材料と異なっていてもよい。
【0057】
上述した実施例では、化合物半導体材料を成長させる前にナノ構造を基板上に成長させた。しかし、ナノ構造層を使用することにより、ナノ構造に過度のダメージをもたらすことなく、半導体を比較的容易に除去することができる。この場合、本発明に従って基板及びナノ構造形成をその後の処理で使用することができる。すなわち、ナノ構造を有する基板を、化合物半導体材料の成長のための基体として二回以上又は繰り返し使用することができる。これにより、2回目及びその後の各成長のコストを大きく減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】縦型HVPE反応器の断面図を模式的に示す図。
【図2】傾斜面を有するナノカラムを模式的に示す図。
【図3】平らな上面を有するナノカラムを模式的に示す図。
【図4】ナノカラム上への化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長を模式的に示す図。
【図5】p−ドープ先端層を有するナノカラム上への化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長を模式的に示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶化合物半導体材料を製造するための方法であって、
(a)エピタキシャル成長開始表面を提供するために、化合物半導体ナノカラムを有する基板材料を用意し、
(b)エピタキシャル横方向成長によって化合物半導体材料を前記ナノカラム上に成長させ、
(c)前記基板から成長させた前記化合物半導体材料を分離することを含む方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記化合物半導体材料は、III−V化合物及びII−VI化合物からなる群から選択される方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記基板材料は、サファイア、シリコン、炭化ケイ素、ダイヤモンド、金属、金属酸化物、化合物半導体、ガラス、石英、複合材料からなる群から選択される方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記基板材料は、導電性基板、絶縁性基板、半導電性基板からなる群から選択される方法。
【請求項5】
請求項3又は4において、
前記基板は、請求項1に記載の方法によって製造された化合物半導体材料を含む方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、
前記工程(a)は、前記化合物半導体ナノカラムを前記基板上に成長させる工程を含む方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記ナノカラムを成長させる前に少なくとも1つのナノアイランドを前記基板材料上に形成する工程を含む方法。
【請求項8】
請求項8において、
前記基板を窒化、スパッタリング、金属蒸着、アニーリング、CVD、MOCVDの少なくとも1つで処理することによって前記ナノアイランドを形成する工程を含む方法。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれか1項において、
前記ナノカラムをHVPE法によって成長させる方法。
【請求項10】
請求項6ないし8のいずれか1項において、
前記ナノカラムをCVD法によって成長させる方法。
【請求項11】
請求項6ないし8のいずれか1項において、
前記ナノカラムをMOCVD法によって成長させる方法。
【請求項12】
請求項6ないし8のいずれか1項において、
前記ナノカラムをMBE法によって成長させる方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれか1項において、
前記ナノカラムは、ドーピングされていないか、n型又はp型ドーパントでドーピングされている方法。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれか1項において、
前記ナノカラムを、単一のドープ材料又は非ドープ材料、又は非ドープおよびドープ工程の組合せ、又はnドープおよびpドープ工程の組合せにより成長させる方法。
【請求項15】
請求項13又は14において、
前記ナノカラムは、前記成長表面に近接したp型領域を含む方法。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか1項において、
前記ナノカラムは、GaN、AlN、InN、ZnO、SiC、Si及びそれらの合金からなる群から選択される材料を含む方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか1項において、
前記化合物半導体材料は、前記ナノカラムとは異なる材料を含む方法。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか1項において、
前記化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長をHVPE方法によって行う方法。
【請求項19】
請求項1ないし18のいずれか1項において、
前記化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長は、非ドープ、もしくはn型またはp型ドープ、である方法。
【請求項20】
請求項1ないし19のいずれか1項において、
前記化合物半導体材料のエピタキシャル横方向成長は、時間変調されている方法。
【請求項21】
請求項1ないし20のいずれか1項において、
前記基板の回転及び降下の少なくとも1つを行いながら前記工程(b)を行う方法。
【請求項22】
請求項1ないし21のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料を急速に冷却することによって前記基板から分離する方法。
【請求項23】
請求項1ないし21のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料を機械的に前記基板から分離する方法。
【請求項24】
請求項1ないし21のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料をウェットエッチングによって前記基板から分離する方法。
【請求項25】
請求項1ないし21のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料を電気化学エッチングによって前記基板から分離する方法。
【請求項26】
請求項1ないし21のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料をレーザーアブレーションによって前記基板から分離する方法。
【請求項27】
請求項1ないし26のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料を切断して所定の膜厚の半導体層を得る方法。
【請求項28】
請求項1ないし27のいずれか1項において、
成長させた前記化合物半導体材料は、非極性である方法。
【請求項29】
請求項35において、
成長させた前記化合物半導体材料は、a面GaN又はm面GaNを含む方法。
【請求項30】
請求項28又は29において、
前記基板は、γ面サファイア、又はm面4H−SiC、又はm面6H−SiCを含む方法。
【請求項31】
請求項1ないし30のいずれか1項に記載の方法を使用して成長させた単結晶化合物半導体材料。
【請求項32】
エピタキシャル成長開始表面を提供するために、成長させた化合物半導体ナノカラムを有する基板材料。
【請求項33】
請求項32において、前記成長表面に近接したp型領域を含む基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−522822(P2009−522822A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549935(P2008−549935)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001011
【国際公開番号】WO2007/107757
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508143719)ナノガン リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】NANOGAN LIMITED
【Fターム(参考)】