説明

高圧電装部品の冷却構造

【課題】 車室の温度に影響を与えずに、また車室の温度の影響を受けずに車両のバッテリユニットやインバータ等の高圧電装部品を冷却する。
【解決手段】 車両に搭載されるバッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16を収納する密閉されたセンターコンソールボックス12内にファン42および高圧電装部品冷却用エバポレータ41を配置し、ファン42で生起した冷却風が高圧電装部品冷却用エバポレータ41を通過した後に高圧電装部品13,14,16を冷却して前記ファン42に戻る冷却風循環回路をセンターコンソールボックス12内に形成する。これにより、車室内の温度や外気温に影響されずに任意の温度設定で高圧電装部品13,14,16を効果的に冷却することができ、しかも高圧電装部品13,14,16を冷却して温度上昇した排風が車室内の温度に影響を与えることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される高圧電装部品を冷却する高圧電装部品の冷却構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両の電池パックを運転席および助手席の間のセンターコンソールボックスの内部に収納し、車室内の空気を冷却ファンでセンターコンソールボックスの内部に吸入して電池パックを冷却した後、温度上昇した冷却風を排出ダクトを介して運転席および助手席の下方に排出するものが、下記特許文献1により公知である。
【特許文献1】特開2006−273191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のものは、電池パックを冷却して温度上昇した冷却風を車室内(運転席および助手席の下方)に排出するため、前記温度上昇した冷却風が車室内の空調に影響を与えてしまい、特に夏期等の冷房が必要な高温時であっても乗員の足元に温風が排出されることで居住性を悪化させる問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、車室の温度に影響を与えずに、また車室の温度の影響を受けずに車両のバッテリユニットやインバータ等の高圧電装部品を冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、車両に搭載される高圧電装部品を冷却する高圧電装部品の冷却構造において、前記高圧電装部品を収納する密閉された容器内にファンおよび高圧電装部品冷却用エバポレータを配置し、前記ファンで生起した冷却風が前記高圧電装部品冷却用エバポレータを通過した後に前記高圧電装部品を冷却して前記ファンに戻る冷却風循環回路を前記容器内に形成したことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0006】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、コンプレッサ、コンデンサ、エキスパンションバルブおよび車室空調用エバポレータを含む空調装置を備え、前記高圧電装部品冷却用エバポレータおよび前記車室空調用エバポレータを、前記コンプレッサ、前記コンデンサおよび前記エキスパンションバルブを共有するように冷媒配管で相互に並列に接続したことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0007】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記容器は車室内の車幅方向中央部に設けたセンターコンソールボックスであることを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0008】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項3の構成に加えて、前記高圧電装部品冷却用エバポレータを前記センターコンソールボックスの前部に配置し、車室の前方に配置した前記コンプレッサ、前記コンデンサおよび前記エキスパンションバルブに冷媒配管を介して接続したことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0009】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項1〜請求項4の何れか1項の構成に加えて、前記高圧電装部品は、多数のバッテリモジュールを平面状に配列して両側面を多数の入口開口を有する入口側プレートおよび多数の出口開口を有する出口側プレートで覆ったバッテリユニットを含み、前記冷却風は前記入口側プレートと平行に流入し、前記入口開口および前記出口開口を通過してUターンした後、前記出口側プレートと平行に流出し、前記入口側プレートの入口開口の開口面積を冷却風の流入方向に沿って変化させるとともに、前記出口側プレートの出口開口の開口面積を冷却風の流出方向に沿って変化させたことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0010】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項5の構成に加えて、前記入口側プレートの外表面に沿って冷却風の流入方向に直交するフレームが配置されており、前記フレームの冷却風の流入方向下流部分の領域において前記入口開口の開口面積を最大にしたことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造が提案される。
【0011】
尚、実施の形態のセンターコンソールボックス12は本発明の容器に対応し、実施の形態のバッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16は本発明の高圧電装部品に対応し、実施の形態の第3領域24eおよび第4領域24fは本発明の領域に対応する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、車両に搭載される高圧電装部品を収納する密閉された容器内にファンおよび高圧電装部品冷却用エバポレータを配置し、ファンで生起した冷却風が高圧電装部品冷却用エバポレータを通過した後に高圧電装部品を冷却して前記ファンに戻る冷却風循環回路を容器内に形成したので、車室内の温度や外気温に影響されずに任意の温度設定で高圧電装部品を効果的に冷却することができ、しかも高圧電装部品を冷却して温度上昇した排風が車室内の温度に影響を与えることもない。また密閉された容器内に高圧電装部品、ファンおよび電装部品冷却用エバポレータを収納したので、浸水に対するタフネスが増加するだけでなく、ファンの作動音を密閉された容器で遮って騒音を低減することができる。
【0013】
また請求項2の構成によれば、車室空調用エバポレータおよび高圧電装部品冷却用エバポレータを、空調装置のコンプレッサ、コンデンサおよびエキスパンションバルブを共有するように冷媒配管で相互に並列に接続したので、高圧電装部品冷却用エバポレータのために専用のコンプレッサ、コンデンサおよびエキスパンションバルブを設ける場合に比べて部品点数およびコストの削減が可能になる。
【0014】
また請求項3の構成によれば、高圧電装部品を収納する容器が車室内の車幅方向中央部に設けたセンターコンソールボックスであるので、重量物である高圧電装部品を車両の中央部に配置して操縦安定性を高めることができる。
【0015】
また請求項4の構成によれば、高圧電装部品冷却用エバポレータをセンターコンソールボックスの前部に配置し、車室の前方に配置した空調装置のコンプレッサ、コンデンサおよびエキスパンションバルブに冷媒配管を介して接続したので、前記冷媒配管の全長を短縮することができる。
【0016】
また請求項5の構成によれば、冷却すべき高圧電装部品が、多数のバッテリモジュールを平面状に配列して両側面を多数の入口開口を有する入口側プレートおよび多数の出口開口を有する出口側プレートで覆ったバッテリユニットであり、冷却風は入口側プレートと平行に流入して入口開口および出口開口を通過してUターンした後に出口側プレートと平行に流出する。従って、入口側プレートの冷却風の流れ方向上流側と下流側とで入口開口から流入する冷却風の流量が不均一になる可能性があるが、入口側プレートの開口面積を冷却風の流入方向に沿って変化させ、かつ出口側プレートの出口開口の開口面積を冷却風の流出方向に沿って変化させることで、入口側プレートおよび出口側プレートの全域を冷却風が均一に通過できるようになり、バッテリユニットの均一な冷却が可能になる。
【0017】
また請求項6の構成によれば、バッテリユニットの入口側プレートの外表面に沿って冷却風の流入方向に直交するフレームが配置されているため、そのフレームの下流側で冷却風の流れが乱れて入口側プレートの入口開口を通過し難くなるが、フレームの下流側の領域において入口開口の開口面積を最大にしたことで、入口側プレートの全域で冷却風が入口開口を均一に通過できるようになり、バッテリユニットの均一な冷却が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜図9は本発明の実施の形態を示すもので、図1はハイブリッド車両の全体側面図、図2は図1の2方向矢視図、図3はセンターコンソールボックスの斜視図、図4は図2の4方向矢視図、図5は図4の5方向矢視図、図6は図4の6−6線断面図、図7は図6の7方向矢視図、図8は図6の8方向矢視図、図9は空調装置の回路図である。
【0020】
図1に示すように、図示せぬエンジンおよびモータ・ジェネレータを走行用動力源とするハイブリッド車両は、左右のフロントシート11の間に配置されたセンターコンソールボックス12を備えており、その内部に前記モータ・ジェネレータを駆動および回生制動するためのバッテリユニット13、インバータ14、電子制御ユニット15、DC−DCコンバータ16等が収納される(図5参照)。このように、重量物であるバッテリユニット13を含む高圧電装部品(バッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16)を車室内の車幅方向中央部に設けたセンターコンソールボックス12の内部に配置したので、車両の操縦安定性を高めることができる。
【0021】
図2および図3に示すように、アルミダイキャスト製のセンターコンソールボックス12は、フロアトンネル17の上面に複数のボルト18…で固定される下部ボックス19と、下部ボックス19の上面に複数のボルト20…で固定される上部ボックス21とで構成される。尚、センターコンソールボックス12は車室の内装材を構成する合成樹脂製のカバー22(図1参照)で覆われる。
【0022】
図2〜図6に示すように、センターコンソールボックス12の最も後部に配置されるバッテリユニット13は、短い円筒状のバッテリセルを複数本直列に接続した棒状のバッテリモジュール23…を、左右方向に2列、上下方向に7列に束ね、その左右両側面を波板状の入口側プレート24および出口側プレート25で挟んだ状態で、前後一対ののフレーム26,26で固定される。各フレーム26は、出口側プレート25の外面を押さえるU字状の右側フレーム26aと、入口側プレート24の外面を押さえるI字状の左側フレーム26bとを、それらの上下端においてボルト27,27で締結して一体化される。
【0023】
右側フレーム26aの底辺の前後両側に溶接された取付ブラケット28,28の左右両端が、ボルト29…で下部ボックス19の下部内面に設けたボス部19a…に固定され、また右側フレーム26aおよび左側フレーム26bの高さ方向中間部に溶接した取付ブラケット30,30が、下部ボックス19の上端開口部から内向きに延びる突出部19b,19bにボル31,31で固定される。14本のバッテリモジュール23…の前端部は、高圧配電盤32に電気的に接続される。
【0024】
バッテリユニット13の前方において、前後方向および上下方向に延びる取付板33の前後下端がボルト34,34で下部ボックスの底面に固定される。取付板33の左側面には前記インバータ14およびびDC−DCコンバータ16が支持される。取付板33の右側面には前後方向に延びる冷却風ダクト35が配置されており、インバータ14およびDC−DCコンバータ16から延びる多数のフィン状のヒートシンク36…(図5参照)が冷却風ダクト35内に突出する。インバータ14、電子制御ユニット15およびDC−DCコンバータ16を挟んで冷却風ダクト35の反対側には、センターコンソールボックス12の左壁に沿う冷却風通路37(図5参照)が形成される。
【0025】
図7から明らかなように、バッテリユニット13の左側面を覆う入口側プレート24は、前後のフレーム26,26で覆われるフレーム当接部24a,24bを除いて、冷却風を通過させるための開口が形成される。入口側プレート24は、前側のフレーム当接部24aの上流側(前方)の第1領域24cと、前側のフレーム当接部24aの下流側(後方)の第3領域24eと、第3領域24eの下流端から後側のフレーム当接部24bまでの第2領域24dと、後側のフレーム当接部24bの下流側(後方)の第4領域24fとを備える。
【0026】
第1領域24cにおける入口開口P1の面積が占める比率は最も小さく、第2領域24dにおける入口開口P2の面積が占める比率は中間であり、第3、第4領域24e,24fにおける入口開口P3の面積が占める比率は最も大きく設定されている。
【0027】
図8から明らかなように、バッテリユニット13の右側面を覆う出口側プレート25は、前後のフレーム26,26で覆われるフレーム当接部25a,25bを除いて、冷却風を通過させるための開口が形成される。出口側プレート25は、前側のフレーム当接部25aの下流側(前方)の第1領域25cと、前側のフレーム当接部25aの上流側(後方)の第2領域25dと、後側のフレーム当接部25bの上流側(後方)の第3領域25eとを備える。
【0028】
第1領域25cにおける出口開口Q1の面積が占める比率は最も小さく、第2領域25dにおける出口開口Q2の面積が占める比率は中間であり、第3領域25eにおける出口開口Q3の面積が占める比率は最も大きく設定されている。
【0029】
図4および図5から明らかなように、センターコンソールボックス12の前部には、高圧電装部品冷却用エバポレータ41と、ファン42と、開閉弁43とが設けられており、高圧電装部品冷却用エバポレータ41およびファン42は相互に対向するように左右方向に併置されており、冷却風ダクト35の下流端(前端)は高圧電装部品冷却用エバポレータ41に接続され、ファン42の出口は冷却風通路37の上流端(前端)に対向する。
【0030】
図9から明らかなように、車室内を冷房する空調装置44は、コンプレッサ45と、コンデンサ46と、エキスパンションバルブ47と、開閉弁48と、車室空調用エバポレータ49とを冷媒配管a,b,c,d,e,f,gで閉回路を構成するように接続し、車室空調用エバポレータ49にファン50を対向させて構成される。従って、車室内を冷房すべく開閉弁48を開弁すると、コンプレッサ45で圧縮された冷媒は半液体状態でコンデンサ46に供給され、車両の走行風で冷却されて液化される。液化された冷媒はエキスパンションバルブ47の微小なノズルを通過して膨張することで気化して温度低下し、気化した低温の冷媒が車室空調用エバポレータ49を通過する際に、ファン50から供給された冷却風との間で熱交換して温度上昇した状態でコンプレッサ45に還流する。一方、ファン50から供給された冷却風は車室空調用エバポレータ49において低温の冷媒との間で熱交換して冷却され、図示せぬ空調用ダクトを介して車室内に供給される。
【0031】
バッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16よりなる高圧電装部品を冷却する冷却系は、前記空調装置44のコンプレッサ45、コンデンサ46およびエキスパンションバルブ47を共有しており、冷媒配管cから分岐した冷媒管路hが開閉弁43、冷媒管路i、高圧電装部品冷却用エバポレータ41および冷媒管路jを介して冷媒管路gに連通する。即ち、車室空調用エバポレータ49および高圧電装部品冷却用エバポレータ41は相互に並列に接続される。
【0032】
次に、上記構成を備えた本発明の実施の形態の作用について説明する。
【0033】
バッテリユニット13に蓄電した電力でモータ・ジェネレータを駆動あるいは回生制動すると、センターコンソールボックス12の内部に収納したバッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16が発熱するため、それらの性能および耐久性を維持するために冷却を行う必要がある。センターコンソールボックス12の内部において、ファン42の作動により発生した負圧で高圧電装部品冷却用エバポレータ41を通過した冷却風は、冷媒との熱交換により冷却されてファン42から冷却風通路37に送出される。センターコンソールボックス12の左側面に沿って後方に延びる冷却風通路37にはインバータ14およびDC−DCコンバータ16が臨んでいるが、それらの発熱部はケース内に収納されているため、冷却風通路37を流れる冷却風はインバータ14およびDC−DCコンバータ16の冷却には殆ど寄与しない。
【0034】
センターコンソールボックス12の左側面後部に達した冷却風は、左側の入口側プレート24の入口開口P1〜P3を通過してバッテリユニット13の内部に流入し、発熱したバッテリユニット13を冷却した後に右側の出口側プレート25の出口開口Q1〜Q3を通過して冷却風ダクト35内に流出する。
【0035】
このとき、入口側プレート24の上流側(前側)からバッテリユニット13に流入する冷却風の流量は、下流側(後側)からバッテリユニット13に流入する冷却風の流量よりも多くなる傾向があるため、バッテリユニット13の前部が冷却過剰になって後部が冷却不足になる可能性がある。これを防止するために、本実施の形態によれば、前側の第1領域24cの入口開口P1の開口面積の比率を小さくし、後側の第2領域24dの入口開口P2の開口面積の比率を大きくしている。
【0036】
また前後2本の左側フレーム26b,26bの後方の第3、第4領域24e,24fでは冷却風の流れが乱れて冷却風がバッテリユニット13に流入し難くなる。これを防止するために、本実施の形態では、左側フレーム26bの後方の第3、第4領域24e,24fの入口開口P3の開口面積の比率を、後側の第2領域24dの入口開口P2の開口面積の比率よりも更に大きくしている。
【0037】
上記構成により、入口側プレート24の前後方向の全ての位置から、バッテリユニット13に略均一に冷却風を流入させることができ、バッテリユニット13の冷却むらを解消することができる。
【0038】
また出口側プレート25は、そこを通過してUターンする冷却風の流れ方向上流側(後側)ほどファン42から遠くなるため、最もファン42から遠い第3領域25eの出口開口Q3の開口面積の比率を最も大きくし、次いファン42から遠い第2領域25dの出口開口Q2の開口面積の比率を中程度とし、最もファン42に近い第1領域25cの出口開口Q1の開口面積の比率が最も小さくしている。
【0039】
上記構成により、出口側プレート25の前後方向の全ての位置で、バッテリユニット13から略均一に冷却風を流出させることができ、バッテリユニット13の冷却むらを解消することができる。
【0040】
バッテリユニット13を通過した冷却風が、センターコンソールボックス12の右側面に沿って配置された冷却風ダクト35の内部を後から前に流れる際に、インバータ14およびDC−DCコンバータ16から突出するヒートシンク36…に接触して熱交換することにより、インバータ14およびDC−DCコンバータ16を冷却する。そして温度上昇した冷却風は再び高圧電装部品冷却用エバポレータ41およびファン42を通過することで、センターコンソールボックス12の内部に限定して構成される閉回路を循環する。
【0041】
高圧電装部品のうち、バッテリユニット13の温度は比較的に低く、インバータ14およびDC−DCコンバータ16の温度は比較的に高いため、高圧電装部品冷却用エバポレータ41を出た直後の低温の冷却風でバッテリユニット13を冷却し、バッテリユニット13を冷却してやや温度上昇した冷却風でインバータ14およびDC−DCコンバータ16を冷却することで、バッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16の各被冷却部と冷却風との温度差を充分に確保して冷却効果を高めることができる。
【0042】
以上のように、密閉されたセンターコンソールボックス12の内部にバッテリユニット13、インバータ14およびDC−DCコンバータ16よりなる高圧電装部品と、高圧電装部品冷却用エバポレータ41およびファン42とを収納し、ファン42で生起した冷却風が高圧電装部品冷却用エバポレータ41を通過した後に高圧電装部品を冷却してファン42に戻る冷却風循環回路を形成したので、車室内の温度や外気温に影響されずに任意の温度設定で高圧電装部品を効果的に冷却することができるだけでなく、高圧電装部品を冷却して温度上昇した排風が車室内の温度に影響を与えるのを防止することができる。また密閉されたセンターコンソールボックス12内に高圧電装部品、ファン42および高圧電装部品冷却用エバポレータ41を収納したので、浸水に対するタフネスが増加するだけでなく、ファン42、インバータ14およびDC−DCコンバータ15の作動音を密閉されたセンターコンソールボックス12で遮って騒音を低減することができる。
【0043】
また車室空調用エバポレータ49および高圧電装部品冷却用エバポレータ41を並列に配置して空調装置44のコンプレッサ45、コンデンサ46およびエキスパンションバルブ47を共有したので、高圧電装部品冷却用エバポレータ41のために専用のコンプレッサ、コンデンサおよびエキスパンションバルブを設ける場合に比べて部品点数およびコストの削減が可能になる。
【0044】
また高圧電装部品冷却用エバポレータ41をセンターコンソールボックス12の前部に配置し、車室の前方に配置した空調装置44のコンプレッサ45、コンデンサ46およびエキスパンションバルブ47に冷媒配管を介して接続したので、前記冷媒配管の全長を短縮することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0046】
例えば、実施の形態ではハイブリッド車両を例示したが、本発明は電気自動車に対しても適用することができる。
【0047】
また実施の形態ではバッテリユニット13をセンターコンソールボックス12の内部に配置しているが、他の任意の密閉された容器内に配置することができる。
【0048】
また実施の形態ではセンターコンソールボックス12の内部で、ファン42が吸引した冷却風が高圧電装部品冷却用エバポレータ41を通過するように構成しているが、ファン42が排出した冷却風が高圧電装部品冷却用エバポレータ41を通過するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ハイブリッド車両の全体側面図
【図2】図1の2方向矢視図
【図3】センターコンソールボックスの斜視図
【図4】図2の4方向矢視図
【図5】図4の5方向矢視図
【図6】図4の6−6線断面図
【図7】図6の7方向矢視図
【図8】図6の8方向矢視図
【図9】空調装置の回路図
【符号の説明】
【0050】
12 センターコンソールボックス(容器)
13 バッテリユニット(高圧電装部品)
14 インバータ(高圧電装部品)
16 DC−DCコンバータ(高圧電装部品)
23 バッテリモジュール
24 入口側プレート
24e 第3領域(領域)
24f 第4領域(領域)
25 出口側プレート
26 フレーム
41 高圧電装部品冷却用エバポレータ
42 ファン
44 空調装置
45 コンプレッサ
46 コンデンサ
47 エキスパンションバルブ
49 車室空調用エバポレータ
P1,P2,P3 入口開口
Q1,Q2,Q3 出口開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される高圧電装部品(13,14,16)を冷却する高圧電装部品の冷却構造において、
前記高圧電装部品(13,14,16)を収納する密閉された容器(12)内にファン(42)および高圧電装部品冷却用エバポレータ(41)を配置し、前記ファン(42)で生起した冷却風が前記高圧電装部品冷却用エバポレータ(41)を通過した後に前記高圧電装部品(13,14,16)を冷却して前記ファン(42)に戻る冷却風循環回路を前記容器(12)内に形成したことを特徴とする高圧電装部品の冷却構造。
【請求項2】
コンプレッサ(45)、コンデンサ(46)、エキスパンションバルブ(47)および車室空調用エバポレータ(49)を含む空調装置(44)を備え、前記高圧電装部品冷却用エバポレータ(41)および前記車室空調用エバポレータ(49)を、前記コンプレッサ(45)、前記コンデンサ(46)および前記エキスパンションバルブ(47)を共有するように冷媒配管で相互に並列に接続したことを特徴とする、請求項1に記載の高圧電装部品の冷却構造。
【請求項3】
前記容器は車室内の車幅方向中央部に設けたセンターコンソールボックス(12)であることを特徴とする、請求項2に記載の高圧電装部品の冷却構造。
【請求項4】
前記高圧電装部品冷却用エバポレータ(41)を前記センターコンソールボックス(12)の前部に配置し、車室の前方に配置した前記コンプレッサ(45)、前記コンデンサ(46)および前記エキスパンションバルブ(47)に冷媒配管を介して接続したことを特徴とする、請求項3に記載の高圧電装部品の冷却構造。
【請求項5】
前記高圧電装部品(13,14,16)は、多数のバッテリモジュール(23)を平面状に配列して両側面を多数の入口開口(P1,P2,P3)を有する入口側プレート(24)および多数の出口開口(Q1,Q2,Q3)を有する出口側プレート(25)で覆ったバッテリユニット(13)を含み、
前記冷却風は前記入口側プレート(24)と平行に流入し、前記入口開口(P1,P2,P3)および前記出口開口(Q1,Q2,Q3)を通過してUターンした後、前記出口側プレート(25)と平行に流出し、
前記入口側プレート(24)の入口開口(P1,P2,P3)の開口面積を冷却風の流入方向に沿って変化させるとともに、前記出口側プレート(25)の出口開口(Q1,Q2,Q3)の開口面積を冷却風の流出方向に沿って変化させたことを特徴とする、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の高圧電装部品の冷却構造。
【請求項6】
前記入口側プレート(24)の外表面に沿って冷却風の流入方向に直交するフレーム(26)が配置されており、前記フレーム(26)の冷却風の流入方向下流部分の領域(24e,24f)において前記入口開口(P3)の開口面積を最大にしたことを特徴とする、請求項5に記載の高圧電装部品の冷却構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−119890(P2009−119890A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292590(P2007−292590)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】