説明

高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイス

【課題】液相プロセスを用いて、安定かつ所望な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物、かかる高次シラン組成物により製造される膜付基板の製造方法、膜付基板を備える電気光学装置および電子デバイスを提供すること。
に関するものである。
【解決手段】高次シラン組成物は、高次シラン化合物と、置換または無置換の炭化水素系溶媒を含む溶媒とを含有し、前記溶媒として、前記高次シラン化合物が溶解し得るように、屈折率が1.53以上のものを選択する。また、炭化水素系溶媒は、比誘電率が10以下であるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集積回路や薄膜トランジスタ等に応用されるシリコン膜(アモルファスシリコン膜や多結晶シリコン膜等)のパターン形成は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等の気相プロセスにより全面にシリコン膜を形成した後、フォトリソグラフィーにより不要部分を除去するプロセスで行われるのが一般的である。
しかしながら、この方法では、気相プロセスを用いるため、大掛かりな装置が必要であること、原料の使用効率が悪いこと、原料が気体であるため扱いにくいこと、大量の廃棄物が発生すること等という問題がある。
【0003】
そこで、液相プロセスを用いるシリコン膜の形成方法の検討が行われ、例えば液体状のシラン化合物(例えば、シクロペンタシラン)と、この液体状のシラン化合物に紫外線を照射することによって光重合させた高次シラン化合物と、デカリン、トルエン、デカン、オクタン、キシレンおよびベンゼン等の溶媒とを含有する高次シラン組成物を用い、この高次シラン組成物を基板上に塗布した後、溶媒を除去した後、熱処理することによってシリコン膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、高次シラン化合物は、この高次シラン組成物に用いられる溶媒に対する溶解性が低い。すなわち、高次シラン組成物に用いられる溶媒単独では、シリコン膜を成膜するのに十分な量の高次シラン化合物をこの溶媒中に溶解させることができない。
これに対して、高次シラン化合物は、上述した液体状のシラン化合物(低次シラン化合物)に対して可溶であり、さらに、この低次シラン化合物は、前記溶媒に対して可溶である。
【0005】
そのため、特許文献1に記載の高次シラン組成物では、前記溶媒に可溶な低次シラン化合物を未反応物として共存させることにより、前記溶媒中に高次シラン化合物が溶存する状態を維持している。すなわち、この高次シラン組成物では、高次シラン化合物が前記溶媒と低次シラン化合物との混合溶媒中に溶解していると捉えることもできる。
このような高次シラン組成物において、高次シラン化合物の含有率を高くしようとすると、低次シラン化合物の含有率も高くする必要があるが、低次シラン化合物は酸素活性が高く、なおかつ蒸気圧が高いため、混合溶媒が不安定となるという問題がある。これに対して、混合溶媒の安定性を向上させるには、低次シラン化合物の含有率を低くする必要があるが、低次シラン化合物の含有率が低い混合溶媒中には、所望の厚さの膜を形成するのに十分な量の高次シラン化合物を溶解させることができないという問題がある。
これらのことから、高次シラン組成物において、安定性に優れ、かつ所望の膜厚の膜を形成するのに十分な量の高次シラン化合物を溶解し得る溶媒の開発が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−313299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、液相プロセスを用いて、安定かつ所望な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物、かかる高次シラン組成物により製造される膜付基板の製造方法、膜付基板を備える電気光学装置および電子デバイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明に係る高次シラン組成物は、高次シラン化合物と、置換または無置換の炭化水素系溶媒を含む溶媒とを含有し、
前記溶媒として、前記高次シラン化合物が溶解し得るように、屈折率が1.53以上のものを選択することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、安定かつ所望な膜厚の膜を形成することができる高次シラン組成物とすることができる。
【0009】
本発明の高次シラン組成物では、前記高次シラン化合物は、一般式−(SiH−(式中、nは8以上の整数を表す。)で表されるものであることが好ましい。
このようにnが8以上の高次シラン化合物であっても、屈折率が1.53以上の溶媒を選択することにより、高次シラン化合物を溶媒中に溶解することができる。
本発明の高次シラン組成物では、当該高次シラン組成物における前記高次シラン化合物の濃度は、1〜50重量%のものであることが好ましい。
これにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られる。
【0010】
本発明の高次シラン組成物では、前記溶媒は、前記炭化水素系溶媒の単独溶媒であることが好ましい。
これにより、溶媒の取り扱いがより容易となることから、高次シラン組成物としての安定性がより向上することとなる。
本発明の高次シラン組成物では、前記溶媒は、前記炭化水素系溶媒を含む混合溶媒であることが好ましい。
これにより、混合溶媒としての屈折率の調整を比較的容易に行うことができる。
【0011】
本発明の高次シラン組成物では、前記混合溶媒は、前記炭化水素系溶媒の他に、シリコン系溶媒を含むことが好ましい。
シリコン系溶媒は、比較的凝集エネルギーが大きく、屈折率が大きい溶媒であることから、混合溶媒の屈折率を調整する際に、特に好適に用いることができる。
本発明の高次シラン組成物では、前記炭化水素系溶媒は、比誘電率が10以下であることが好ましい。
溶媒として比誘電率が10以下のものを選択することにより、溶媒に対する高次シラン化合物の分散性が向上することから、高次シラン化合物を溶媒中に確実に溶解することができる。
【0012】
本発明の高次シラン組成物では、前記炭化水素系溶媒は、その分子内に二重結合を備えることが好ましい。
これにより、炭化水素系溶媒の屈折率を確実に大きくすることができる。このように二重結合を備える溶媒は、入手が容易でかつ安価であり、さらに安定性に特に優れることから、炭化水素系溶媒として好適に用いることができる。
【0013】
本発明の高次シラン組成物では、前記炭化水素系溶媒は、その分子内に芳香族環を備えることが好ましい。
芳香族環は、特に安定な二重結合を備える構造であることから、芳香族環を備える炭化水素系溶媒は、屈折率が大きく、より安定性に優れた溶媒である。
本発明の高次シラン組成物では、前記炭化水素系溶媒は、その分子内に置換基としてハロゲン、窒素、硫黄のいずれかを備えることが好ましい。
これにより、炭化水素系溶媒の屈折率を確実に大きくすることができる。
【0014】
本発明の高次シラン組成物では、前記炭化水素系溶媒は、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
【化1】

[式中、2つのRは、アルキル基を表し、同一の鎖長のものであっても、異なっていてもよい。]
かかる化合物は、屈折率の大きさが1.60以上であり、さらに比誘電率の大きさが3以下であることから、分子量の大きい高次シラン化合物であっても、より確実に溶媒中に溶解することができる。
【0015】
本発明に係る膜付基板の製造方法は、本発明の高次シラン組成物を調製する第1の工程と、
基板上に、前記高次シラン組成物を供給して、液体状被膜を形成する第2の工程と、
前記液体状被膜中から、前記溶媒を除去して、前記高次シラン化合物を含有する膜を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、液相プロセスを用いて、均一な膜厚の膜を形成することができるとともに、所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0016】
本発明の膜付基板の製造方法では、前記第1の工程において、前記高次シラン組成物は、液体状のシラン化合物を含有する溶液中で、前記液体状のシラン化合物が重合反応することにより前記高次シラン化合物が生成した後、前記溶液中から抽出した当該高次シラン化合物を前記溶媒に溶解することにより得られたものであることが好ましい。
これにより、液体状のシラン化合物から単離した高次シラン化合物を含有する高次シラン組成物を調整することができる。
【0017】
本発明の膜付基板の製造方法では、前記第3の工程の後、前記膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物をシリコンに変化させて、シリコンを含むシリコン膜を得る第4の工程を有することが好ましい。
これにより、液相プロセスを用いて、所望な膜厚のシリコン膜を形成することができる。
【0018】
本発明の膜付基板の製造方法では、前記第3の工程の後、前記膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させて、酸化シリコンを含む酸化シリコン膜を得る第4の工程を有することが好ましい。
これにより、液相プロセスを用いて、所望な膜厚の酸化シリコン膜を形成することができる。
【0019】
本発明に係る電気光学装置は、本発明の膜付基板の製造方法により製造された膜付基板を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電気光学装置が得られる。
本発明に係る電子デバイスは、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスについて、好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<高次シラン組成物>
まず、本発明の高次シラン組成物について説明する。
本発明の高次シラン組成物は、高次シラン化合物(ポリシラン)と、この高次シランを溶解する溶媒とを含有するものである。
【0021】
本発明における高次シラン化合物は、一般式−(SiH−で表され、常温、常圧において固体のものであり、当該一般式において、主としてn(シリコンの原子数)が8以上のものが含まれており、焼成(熱処理)により、アモルファスシリコンに変化する化合物である。
なお、この高次シラン化合物は、常温、常圧において固体状態を保つ限り、前記一般式においてnが7以下のもの(後述する低次シラン)が少量含まれていてもよい。
【0022】
また、高次シラン化合物において、前記一般式のn(平均値)は、10〜3000程度であるのが好ましく、50〜1000程度であるのがより好ましい。高次シラン化合物の融点、沸点および基板への密着性、さらには、高次シラン化合物を含む高次シラン組成物の基板に対する濡れ性、および粘度は、そのnの大きさに依存し、前記一般式のnが大きいもの(すなわち、分子量が大きいもの)程、高次シラン化合物の融点、沸点、および基板への密着性、さらには高次シラン組成物の粘度が高くなる傾向を示し、高次シラン組成物の酸素に対する活性が低くなる傾向を示す。
【0023】
このため、前記一般式のnが前記範囲の高次シラン化合物(分子量の大きい高次シラン化合物)を用いることにより、後述する膜を形成する工程において、均一な膜厚かつ均質な膜を確実に形成することができる。さらに、かかる分子量の大きい高次シラン化合物は、反応性が低いことから、取り扱いが容易であるという利点もある。
この高次シラン化合物は、その沸点が分解温度よりも高いことが好ましい。これにより、高次シラン化合物を焼成し、アモルファスシリコンに変化させて、シリコン膜を得るに際に、アモルファスシリコンが十分生成する前に、高次シラン化合物が気化(蒸発)して、失われるのを回避することができる。
なお、実際に沸点が分解温度より高い高次シラン化合物を加熱すると、沸点に達する以前に分解してしまうため、その沸点を実測することはできない。
したがって、ここで言う「沸点」とは、蒸気圧の温度依存性や、理論計算によって求めた理論値としての沸点(常圧)を意味する。
【0024】
さて、本発明では、溶媒として、置換または無置換の炭化水素系溶媒を含み、屈折率が1.53以上のものを用いることに特徴を有する。なお、本明細書において溶媒の屈折率は、20℃におけるNaD線(平均波長λ=598.26nm)に対する値(N20)を表す。
ここで、一般式−(SiH−で表される高次シラン化合物は、例えば、一般式−(CH−で表される直鎖の飽和炭化水素を溶解するために好適に用いられるデカリン、トルエン、デカン、オクタン、キシレンおよびベンゼン等の溶媒に対する溶解性が低いという問題がある。
【0025】
これは、高次シラン化合物が、直鎖の飽和炭化水素と比較して、その分子構造中の炭素原子がシリコン原子に置換されていることに起因していると考えられる。
すなわち、分子構造中に含まれる原子の大きさ[υ]は、下記式1に示すように、電子分極率[α]と比例関係を有している(式中、εは真空の誘電率である。)。
α/4πε∝υ ……式1
さらに、電子分極率[α]は、下記式2に示すように、二つの同一の粒子間に働く凝集エネルギー[U](ロンドン分散力[w(r)London])と比例関係を有している(式中、Iは第一イオン化ポテンシャル、εは真空の誘電率、rは粒子間距離である。)。
U=w(r)London=−3/4・αI/(4πε ……式2
【0026】
したがって、原子の大きさ[υ]と、凝集エネルギー[U]とも比例関係を有していることから、その分子構造中の炭素原子がシリコン原子に置換されて、原子のサイズが大きくなることにより、分子構造中の凝集エネルギーが大きくなっていることに起因すると考えられる。なお、この式はロンドンの式として知られている。
なお、高次シラン化合物のように、比誘電率が小さな、具体的にはその値が10以下の物質間に働く力を考える場合には、分子分極率の影響力は電子分極率の影響力と比較し、無視できるほど小さい。そのためこのように凝集エネルギーは電子分極率に由来するロンドン分散力と等価であると考えることができる。
【0027】
また、電子分極率[α]は、屈折率[n]と下記式3なる関係を満足することから、屈折率の大きいものほど、その電子分極率さらには凝集エネルギーが大きいものであると判断することができる(式中、εは真空の誘電率、Mは分子量、ρは密度、Nはアボガドロ定数である。)。なお、この式はローレンツ−ローレンスの式として知られている。
α=3εM/ρN(n−1/n+2) ……式3
【0028】
さらに、溶媒に対する高次シラン化合物の分散自己エネルギー(dispersion self-energy)[Δμdispersion]、すなわち高次シラン化合物を溶媒中に移すときの化学ポテンシャルの変化は、高次シラン化合物の凝集エネルギーおよび屈折率をそれぞれUおよびnとし、溶媒の凝集エネルギーおよび屈折率をそれぞれUおよびnとしたとき、下記式4なる関係を有することから、高次シラン化合物の屈折率と溶媒の屈折率との差が小さくなるほど、分散自己エネルギーが小さくなることが判った。
Δμdispersion∝−(√U−√U∝−(n−n ……式4
【0029】
すなわち、高次シラン化合物のように誘電率の小さな物質を溶媒中に溶解するには、溶媒として、その屈折率が高次シラン化合物の屈折率の近傍に存在するものを選択する必要があることが判った。
そして、高次シラン化合物の屈折率が、一般式−(SiH−中、nが8以上のものであれば、その分子量の大きさによって若干異なるものの、1.64程度であることから、この近傍の屈折率を有する溶媒に対する高次シラン化合物の溶解度ついて、本発明者が鋭意検討を行った結果、溶媒として屈折率が1.53以上のものを選択することにより、高次シラン化合物(一般式−(SiH−中、nが8以上のもの)を溶媒中に好適に溶解し得ることが判った。
【0030】
さらに、このように屈折率が1.53以上の溶媒の中でも、炭化水素系溶媒を含む溶媒を選択することにより、炭化水素系溶媒は、その活性が低いことから、溶媒の取り扱いが容易となり、高次シラン組成物としての安定性を向上し得ることが判った。
このような溶媒の屈折率は、上記のように1.53以上のものであればよいが、1.54以上のものであるのが好ましく、1.60以上のものであるのがより好ましい。前記下限よりも屈折率が小さい溶媒を選択すると、高次シラン化合物を溶媒に溶解することができなくなる。また、特に、屈折率が1.54以上の溶媒を選択することにより、高次シラン化合物(一般式−(SiH−中、nが100以上のもの)を確実に溶解することができるようになり、1.60以上のものを選択することにより、nが100以上の高次シラン化合物の溶媒に対する溶解度をより向上させることができる。なお、溶媒の屈折率の上限値は、1.70以下であるのが好ましい。屈折率が1.70を超えるものは、常温で液体として存在しないか、または入手が困難であるため、溶媒の屈折率の上限値を1.70以下とするのが好ましい。
【0031】
この溶媒は、置換または無置換の炭化水素系溶媒の単独溶媒であってもよいし、炭化水素系溶媒を含む混合溶媒であってもよい。炭化水素系溶媒の単独溶媒とすることにより、溶媒の取り扱いがより容易となることから、高次シラン組成物としての安定性がより向上することとなる。また、炭化水素系溶媒を含む混合溶媒とすることにより、混合溶媒としての屈折率の調整を比較的容易に行うことができる。
【0032】
この炭化水素系溶媒は、極性溶媒であってもよいが、非極性溶媒であるのが好ましい。これにより、溶媒に対する高次シラン化合物の分散性が向上することから、高次シラン化合物を溶媒中に確実に溶解することができる。
この溶媒の極性は、溶媒の比誘電率で表すことができるが、非極性溶媒の比誘電率は、10以下であるのが好ましく、7以下であるのがより好ましく、1〜3程度であるのがさらに好ましい。かかる範囲の比誘電率を有する非極性溶媒を用いることにより、非極性溶媒に対する高次シラン化合物の分散性をより向上させることができる。
【0033】
ところで、炭化水素系溶媒は、その屈折率を大きくするという観点から、その分子内に置換基としてハロゲン基を備えるものや、二重結合を備えるものであるのが好ましい。これにより、炭化水素系溶媒の屈折率を確実に大きくすることができる。また、二重結合を備えるものは、入手が容易でかつ安価であり、さらに安定性に特に優れることから、炭化水素系溶媒として好適に用いることができる。
【0034】
具体的には、ハロゲン基を備える非極性の炭化水素系溶媒としては、例えば、屈折率が1.53以上のものとして、1,2−ジブロモエタン(1.5358)等が好適に用いられ、1.54以上のものとして、1−クロロナフタレン(1.6326)、2,3−ジクロロトルエン(1.5511)、2,4−ジクロロトルエン(1.5480)、2,5−ジクロロトルエン(1.5449)、2,6−ジクロロトルエン(1.5507)、3,4−ジクロロトルエン(1.5471)、3,5−ジクロロトルエン(1.5438)、m−ジクロロベンゼン(1.5434)、o−ジクロロベンゼン(1.5492)、トリブロモメタン(1.6005)、1,1,2,2−テトラブロモエタン(1.6353)、o−ジブロモベンゼン(1.6155)、m−ジブロモベンゼン(1.6063)、テトラブロモエタン(1.6363)、1,2,4−トリクロロベンゼン(1.5693)、1−ブロモナフタレン(1.6588)、ブロモベンゼン(1.5602)等が好適に用いられ、これらを単独または混合して用いることができる(なお、括弧内は、各溶媒の屈折率を示す。)。
【0035】
また、分子内に二重結合を備える非極性の炭化水素系溶媒としては、屈折率が1.53以上のものとして、サリチル酸メチル(1.5353)等が好適に用いられ、例えば、1.54以上のものとして、チオアニソール(1.5842)、o−フルオロアニリン(1.5420)、m−フルオロアニリン(1.5450)、p−フルオロアニリン(1.5400)、1,2−ジメチルナフタレン(1.6105)、1,3−ジメチルナフタレン(1.6127)、1,4−ジメチルナフタレン(1.6120)、1,6−ジメチルナフタレン(1.6072)、スチレン(1.5440)、ケイ皮酸エチル(1.5590)、サリチル酸ベンジル(1.5805)、アニリン(1.5862)、キノリン(1.6268)、N,N−ジエチルアニリン(1.5420)、N,N−ジメチルアニリン(1.5584)、o−トルイジン(1.5728)、m−トルイジン(1.5711)、N−メチルアニリン(1.5714)、ジフェニルエーテル(1.5826)、安息香酸ベンジル(1.5681)、ジヒドロナフタレン(1.5722)等が好適に用いられ、これらを単独または混合して用いることができる(なお、括弧内は、各溶媒の屈折率を示す。)。
【0036】
さらに、二重結合を備える炭化水素系溶媒としては、その分子内に芳香族環を備えるものであるのが好ましい。芳香族環は、特に安定な二重結合を備える構造であることから、芳香族環を備える炭化水素系溶媒は、屈折率が大きくより安定性に優れた溶媒である。
また、芳香族環はメチル基やエチル基のようなアルキル基を置換基として備えるものであってもよい。これにより、分子内の非対称性を向上させることができ、置換基が導入された芳香族環を室温において液状を呈するものとすることができる。
【0037】
これらのことを考慮すると、すなわち、溶媒の屈折率および比誘電率の大きさを考慮すると、炭化水素系溶媒としては、特に、下記一般式(1)で表される化合物が好適に選択される。かかる化合物は、屈折率の大きさが1.60以上であり、さらに比誘電率の大きさが3以下であることから、分子量の大きい高次シラン化合物であっても、より確実に溶媒中に溶解することができる。
【0038】
【化2】

【0039】
なお、式中の、2つのRは、アルキル基を表し、同一の鎖長のものであっても、異なっていてもよいが、メチル基であるのが好ましい。
具体的には、上述したもののうち、このような炭化水素系溶媒としては、1,2−ジメチルナフタレン(1.6105)、1,3−ジメチルナフタレン(1.6127)、1,4−ジメチルナフタレン(1.6120)、1,6−ジメチルナフタレン(1.6072)が挙げられる。
【0040】
このような炭化水素系溶媒の単独、もしくは混合溶媒で高次シラン化合物を溶解する構成とすることにより、高次シラン組成物を、後述する高次シラン化合物調整工程において、高次シラン化合物を重合反応により得る際に用いる高次シラン化合物の前駆体である低次シラン化合物を実質的に含有しないものとすることができる。これにより、溶媒中への高次シラン化合物の溶解度を高い状態を維持しつつ、高次シラン組成物の安定性を向上させることができることから、後述する膜付基板の製造方法において、比較的容易に所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0041】
さらに、屈折率が1.53以上の溶媒を混合溶媒とする場合、炭化水素系溶媒の他に含まれる溶媒としては、特に限定されないが、シリコン系溶媒であるのが好ましい。シリコン系溶媒は、比較的凝集エネルギーが大きく、屈折率が大きい溶媒であることから、混合溶媒の屈折率を調整する際に、特に好適に用いることができる。
このようなシリコン系溶媒としては、例えば、ビス(インデニル)ジメチルシラン(1.6110)、ブロモメチルトリメチルシラン(1.5670)、ブロモフェニルトリクロロシラン(1.5670)、t−ブチルジフェニルクロロシラン(1.5680)、t−ブチルジフェニルシアノシラン(1.5600)、クロロフェニルトリクロロシラン(1.5418)、ジアリルジフェニルシラン(1.5750)、ジクロロフェニルトリクロロシラン(1.5640)、ジエチルジフェニルシラン(1.5605)、ジメチルジフェニルシラン(1.5594)、ジフェニルクロロシラン(1.5810)、ジフェニルジクロロシラン(1.5819)、ジフェニルジメトキシシラン(1.5447)、ジフェニルジビニルシラン(1.5780)、ジフェニルメチルクロロシラン(1.5742)、ジフェニルメチルエトキシシラン(1.5440)、ジフェニルメチルシラン(1.5694)、ジフェニルメチルビニルシラン(1.5669)、ジフェニルシラン(1.5795)、ヘキサフェニルジシロキサン(1.6800)、フェニルエチニルジメチルシラン(1.5407)、(フェニルセレノメチル)トリメチルシラン(1.5520)、テトラブロモシラン(1.5627)、テトラフェノキシシラン(1.5540)、1,1,5,5−テトラフェニル−1,3,3,5−テトラメチルトリシロキサン(1.5510)、ビニルジフェニルクロロシラン(1.5790)、ビニルジフェニルエトキシシラン(1.5489)、ビニルトリフェノキシシラン(1.5620)等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる(なお、括弧内は、各溶媒の屈折率を示す。)。
【0042】
また、シリコン系溶媒としては、後述する高次シラン化合物調整工程において、高次シラン化合物を重合反応により得る際に用いる高次シラン化合物の前駆体である低次シラン化合物を用いるようにしてもよい。
高次シラン組成物中における炭化水素系溶媒とシリコン系溶媒との比率は、特に限定されないが、容積比で99:1〜80:20程度であるのが好ましく、95:5〜90:10程度であるのがより好ましい。炭化水素系溶媒とシリコン系溶媒との比率を前記範囲内とすることにより、取り扱いが容易で、混合溶媒の屈折率を容易に調整することができる。
【0043】
なお、以上のような高次シラン組成物は、必要に応じて各種添加剤を添加するようにしてもよい。
添加剤としては、例えば、周期表の第3B族元素を含む物質または周期表の第5B族元素を含む物質(ドーパント源)が挙げられる。このような物質を添加することにより、これら元素がドープされたシリコン膜、すなわちn型シリコン膜、p型シリコン膜を得ることができる。
【0044】
高次シラン組成物におけるドーパント源の濃度は、得られるシリコン膜において最終的に必要なドーパント濃度に応じて適宜選択される。
この周期表の第3B族元素を含む物質および周期表の第5B族元素を含む物質(ドーパント)としては、リン、ホウ素、砒素等の元素を含む物質であり、例えば、特開2000−31066号公報に挙げられているような物質が例示できる。
【0045】
また、他の添加剤として、高次シラン組成物により得られる膜の目的の機能を損なわない範囲で、表面張力調節材を微量添加するようにしてもよい。表面張力調節材としては、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等のものを使用することができる。これら表面張力調節材を添加することにより、高次シラン組成物の基板に対する濡れ性が向上し、基板上に形成される液状被膜のレベリング性を改善して、ぶつぶつの発生、ゆず肌の発生等を防止することができる。
【0046】
<膜付基板の製造方法>
次に、上述した高次シラン組成物を用いて膜付基板を製造する本発明の膜付基板の製造方法について説明する。
本発明の膜付基板の製造方法は、高次シラン化合物を含有する高次シラン組成物を基板上に供給して液状被膜を形成し、この液状被膜に所定の処理を施すことにより所望の膜を形成するものであり、[1]高次シラン組成物調製工程と、[2]高次シラン組成物供給工程と、[3]溶媒除去工程と、[4]後処理工程とを有している。
【0047】
以下、これらの各工程について、順次説明する。
[1]高次シラン組成物調製工程
まず、高次シラン化合物と、この高次シランを溶解する溶媒とを含有する本発明の高次シラン組成物を調製する。
[1−1] まず、高次シラン化合物を用意する。
【0048】
高次シラン化合物は、前述したように一般式−(SiH−で表され、常温、常圧において固体のものである。この高次シラン化合物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、高次シラン化合物の前駆体(以下、単に「前駆体」という。)である低次シラン化合物を出発原料とし、この低次シラン化合物を溶液中で重合させることにより得ることができる。
【0049】
なお、本発明において、低次シラン化合物とは、このものを重合させることにより高次シラン化合物が得られ、常温、常圧下において液体状を呈するもの(以下、「液体状のシラン化合物」ということもある。)である。
このような低次シラン化合物(前駆体)としては、例えば、光照射、電子線照射、加熱等によって重合して、高次シラン化合物となるものが挙げられるが、光照射(特に、紫外線照射)によって高次シラン化合物に変化するもの(光重合性を有するもの)が好適に用いられる。かかる低次シラン化合物を出発原料とすることにより、比較的分子量の大きい高次シラン化合物を容易に得ることができる。また、得られる高次シラン化合物の分子量を制御するのが比較的容易である。
【0050】
紫外線照射によって重合(光重合)する低次シラン化合物としては、例えば、一般式Si(ここで、nは3以上の、またmは4以上のそれぞれ独立な整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子等の置換基を示す。)で表される化合物等が挙げられる。
特に、一般式Si2n(式中、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状の化合物や、一般式Si2n-2(式中、nは4以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはハロゲン原子を示す。)で表される環状構造を2個以上有する化合物の他、分子内に少なくとも一つの環状構造を有する水素化珪素およびそのハロゲン置換体等を用いるのが好ましい。
【0051】
このような低次シラン化合物の具体例としては、例えば、1個の環状構造を有するものとして、シクロトリシラン、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等が挙げられ、2個の環状構造を有するものとして、1、1’−ビシクロブタシラン、1、1’−ビシクロペンタシラン、1、1’−ビシクロヘキサシラン、1、1’−ビシクロヘプタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロペンタシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロブタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘキサシラン、1、1’−シクロペンタシリルシクロヘプタシラン、1、1’−シクロヘキサシリルシクロヘプタシラン、スピロ[2、2]ペンタシラン、スピロ[3、3]ヘプタタシラン、スピロ[4、4]ノナシラン、スピロ[4、5]デカシラン、スピロ[4、6]ウンデカシラン、スピロ[5、5]ウンデカシラン、スピロ[5、6]ウンデカシラン、スピロ[6、6]トリデカシラン等が挙げられ、その他にこれらの骨格の水素原子を部分的にSiH基やハロゲン原子に置換したシラン化合物等が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。これらの低次シラン化合物は、光に対する反応性が極めて高く、光重合を効率よく行うことができる化合物である。
【0052】
これらの中でも、低次シラン化合物としては、シクロテトラシラン、シクロペンタシラン、シクロヘキサシラン、シクロヘプタシラン等のSi2n(式中、nは3以上の整数を示し、Xは水素原子および/またはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子を示す。)で表される化合物が好ましい。これらの低次シラン化合物は、以上の理由に加えて合成、精製が容易であるという観点から特に好ましい。
【0053】
なお、低次シラン化合物は、紫外線照射による光重合プロセスを阻害しない程度で、必要に応じて、n−ペンタシラン、n−ヘキサシラン、n−ヘプタシラン等のシラン化合物や、ホウ素原子および/またはリン原子等により変性された変性シラン化合物等を含有してもよい。
また、低次シラン化合物を重合させる溶液中に含まれる溶媒としては、特に限定されないが、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、ジシクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、デュレン、インデン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、スクワランのような炭化水素系溶媒や、ジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンのようなエーテル系溶媒、さらにはプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシドのような極性溶媒等が挙げられ、これらを単独または混合して用いることができる。
【0054】
低次シラン化合物に照射する紫外線としては、低次シラン化合物を確実に重合させることができ、また、前記溶媒を分解しない波長の光であるのが好ましい。ここで、「溶媒を分解しない波長」とは、紫外線の照射によって溶媒分子中の化学結合が切断されない程度の波長を意味する。
このような紫外線の波長は、200nm以上であるのが好ましく、250nm以上であるのがより好ましい。かかる波長域の紫外線を用いることにより、前駆体を確実に重合させることができるとともに、後述するように、高次シラン化合物を単離する際に、溶媒に起因する炭素原子などの不純物原子が、固体状態の高次シラン化合物中に混入するのを防止することができる。その結果、この高次シラン化合物を用いて形成される膜の特性の劣化を防止することができる。
【0055】
なお、得られる高次シラン化合物の分子量分布は、紫外線の照射時間、照射量および照射方法によって制御することができる。
紫外線の照射時間は、0.1秒〜120分程度であるのが好ましく、1〜30分程度であるのがより好ましい。このような照射時間で紫外線を照射することにより、前述の適正なn数(分子量)の範囲に分布のピークを有する高次シラン化合物、すなわち適正な分子量分布を有する高次シラン化合物を得ることができる。
【0056】
また、低次シラン化合物が重合することにより得られた高次シラン化合物を含有する溶液から高次シリコン化合物を単離する場合には、例えば、次のようにすればよい。
すなわち、溶液中に高次シラン化合物が溶解している場合には、例えば、サイズ排除クロマトグラフィ(SEC)法等を用いることにより、高次シラン化合物を単離(分離精製)することができ、溶液から、高次シラン化合物が析出している場合には、例えば、マイクロフィルターを用いる濾過法等を用いることにより、析出した高次シラン化合物を単離することができる。すなわち、低次シラン化合物が残存する溶液中から高次シラン化合物を単離することができる。
【0057】
[1−2] 次いで、高次シラン化合物を、炭化水素系溶媒を含む溶媒中に溶解することにより、本発明の高次シラン組成物を調整する。
ここで、本発明に用いられる溶媒は、屈折率が1.53以上のものが選択されることから、常温、常圧において固体を呈する高次シラン化合物であっても、後述する溶媒除去工程[3]において、高次シラン化合物膜を形成するのに十分な量の高次シラン化合物を溶媒中に確実に溶解させることができる。
【0058】
高次シラン組成物における高次シラン化合物の濃度(含有量)は、目的とする膜厚等によっても若干異なるが、1〜50重量%程度であるのが好ましく、1〜30重量%程度であるのがより好ましい。高次シラン化合物の濃度を前記範囲とすることにより、高次シラン組成物において、高次シラン化合物の不均一な析出が防止される。その結果、均一な膜厚かつ均質な膜がより確実に得られる。また、かかる範囲内で、高次シラン化合物の濃度を適宜設定することにより、形成される高次シラン化合物膜の膜厚を所望のものに設定することができる。
【0059】
以上のようにして調製された高次シラン組成物の粘度(常温)は、0.5〜100mPa・s程度であるのが好ましく、3〜50mPa・s程度であるのがより好ましい。これにより、十分な膜厚を有し、かつ、均一な膜厚の膜を得ることができる。
なお、高次シラン組成物の粘度は、高次シラン化合物の分子量分布、濃度や、溶媒の種類等によって調整することができる。
【0060】
[2]高次シラン組成物供給工程
次に、基板を用意し、調製された高次シラン組成物を、基板上に供給することによって液状被膜を形成する。
基板としては、特に限定されないが、石英基板、ホウ珪酸ガラス、ソーダガラス等よりなるガラス基板の他、ITOなどの透明電極、金、銀、銅、ニッケル、チタン、アルミニウム、タングステン等よりなる金属基板、さらにこれらの金属やその酸化物等を表面に有するガラス基板、プラスチック基板等を使用することができる。
【0061】
高次シラン組成物を供給する方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スプレー法、液滴吐出法等の方法を用いることができる。
ここで、液滴吐出法とは、高次シラン組成物の液滴を所望の領域に吐出することにより、高次シラン組成物の液状被膜を所望のパターンで形成する方法である。
【0062】
この液滴吐出法は、高次シラン組成物が吐出時に噴霧されるものであってもよく、高次シラン組成物の1滴1滴が連続するように吐出されるものであってもよい。
また、スピンコート法を用いる場合のスピナーの回転数は、目的とする膜厚、高次シラン組成物の組成等によっても若干異なるが、100〜5000rpm程度であるのが好ましく、300〜3000rpm程度であるのがより好ましい。
高次シラン組成物の供給は、高次シラン組成物が固化、もしくは高次シラン化合物が析出しない温度の範囲で行うのが好ましい。この範囲の温度では高次シラン組成物の供給を良好に行うことができる。
【0063】
以上のような一連の工程は、水や酸素の含有量を低減した雰囲気で行うのが好ましく、溶媒や添加物も、水や酸素の含有量を低減させたものを用いるのが好ましい。雰囲気や溶媒、添加物の水や酸素の含有量を低減させることにより、高次シラン化合物が、水や酸素と反応して、変性するのを確実に防止することができる。
さらに、一連の工程は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスが存在する雰囲気で行うことがより好ましい。また、この雰囲気には、必要に応じて水素などの還元性ガスを混入するようにしてもよい。これにより、高次シラン化合物の変性をより確実に防止することができる。
【0064】
[3]溶媒除去工程
次に、高次シラン組成物で構成される液状被膜が形成された基板を加熱することにより、液状被膜中から、溶媒を除去して、基板上に高次シラン化合物で構成される膜(高次シラン化合物膜)を形成する。
ここで、加熱温度は、溶媒を効率よく気化して除去し得るように、溶媒の種類、雰囲気等によって、適宜設定される。これにより、得られる膜の膜厚が不均一となることや、溶媒に由来する元素が不純物として残存してしまうのを好適に防止することができる。
【0065】
基板の加熱温度は、100〜300℃程度であるのが好ましく、180〜280℃程度であるのがより好ましい。
この加熱は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気や、減圧状態のような非酸化性雰囲気下で行うのが好ましい。これにより、高次シラン化合物の変性をより確実に防止することができる。
ここで、前述したように、不要成分を除去する前の液状被膜は、溶媒の濡れ性が優位(優勢)であり、基板に対して良好な濡れ性を示す。
【0066】
[4]後処理工程
次に、目的に応じて、形成された高次シラン化合物膜に対して後処理を行う。これにより、高次シラン化合物膜(以下、単に「膜」と言うこともある。)からシリコン膜や酸化シリコン膜を得ることができる。
例えば、膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、高次シラン化合物をシリコンに変化させて、主としてシリコンで構成されるシリコン膜を得ることができる。
【0067】
このとき、ドーパントを添加した高次シラン組成物を用いた場合には、この熱処理および/または光処理によって、このドーパントが活性化される。
熱処理を行う場合、この熱処理は、高次シラン化合物の分解温度より高い温度で行われる。これにより、高次シラン化合物が分解してシリコンに変化する。
ここで、得られるシリコン膜の結晶性は、熱処理の温度により制御することができる。
【0068】
例えば、熱処理を、到達温度が550℃を超えるようにして行った場合には、多結晶状のシリコン膜(多結晶シリコン膜)を得ることができる。
また、熱処理を、到達温度が550℃以下となるようにして行った場合、アモルファス状のシリコン膜(アモルファスシリコン膜)を得ることができる。この到達温度は、具体的には250〜450℃程度であるのが好ましく、300℃〜400℃程度であるのがより好ましい。到達温度が前記下限値未満の場合、高次シラン化合物の熱分解が十分に進行せず、加熱処理後に大気中に出した際に酸化されてしまうおそれがある。
【0069】
また、熱処理の時間は、特に限定されないが、10〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
また、非酸化性雰囲気としては、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気や、水素等の還元性雰囲気等が挙げられる。
また、アモルファスシリコン膜を形成した後、光照射処理を行うことにより、多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)を得ることができる。
【0070】
この場合、用いる光源としては、例えば、低圧あるいは高圧の水銀ランプ、重水素ランプあるいはアルゴン、クリプトン、キセノン等の希ガスの放電光の他、YAGレーザー、アルゴンレーザー、炭酸ガスレーザー、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザー等が挙げられる。このうち、レーザー光を用いるのが好ましい。これにより、アモルファスシリコン膜を効率よく多結晶化することができる。
【0071】
これらの光源の出力は、10〜5000W程度であるのが好ましく、100〜1000W程度であるのがより好ましい。
また、これらの光源の波長は、高次シラン化合物が多少でも吸収するものであればよく、特に限定されないが、通常、170〜600nm程度のものが好適に用いられる。
また、このような光照射処理時の温度は、通常、室温〜1500℃程度であればよいが、目的とするシリコン膜の半導体特性に応じて適宜選択するのが好ましい。
【0072】
さらに、得られたシリコン膜(アモルファスシリコン膜、多結晶シリコン膜)に対して、酸化性雰囲気中で熱処理を施すことにより、シリコンを酸化シリコンに変化させて、主として酸化シリコンで構成される酸化シリコン膜を得ることができる。このような酸化シリコン膜は、膜に対して酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させ、主として酸化シリコンで構成される酸化シリコン膜を得ることもできる。この場合、非酸化性雰囲気にあった膜を急激に酸化性雰囲気にさらすのではなく、非酸化性雰囲気に徐々に酸化性雰囲気を混入して行うのが好ましい。
【0073】
この場合、加熱温度は、300〜550℃程度であるのが好ましく、350℃〜500℃程度であるのがより好ましい。
また、加熱時間は、特に限定されないが、10〜120分程度であるのが好ましく、30〜60分程度であるのがより好ましい。
以上のような工程を経て、高次シラン化合物膜や、シリコン膜および酸化シリコン膜が基板上に形成された膜付基板(本発明の膜付基板)が製造される。
【0074】
このような膜付基板の製造方法では、液相プロセス(液体プロセス)を用いるため、大掛かりな装置が不要であること、原料の使用効率がよいこと、原料が液体であるため扱い易いこと、廃棄物が発生し難いこと等の利点もある。
以上説明したような膜付基板の製造方法は、例えば、トランジスタのチャネル、ソース、ドレインの形成、光センサーに用いられるシリコン膜の形成、太陽電池の製造等に用いることができる他、半導体素子が配置されてなる様々な用途の半導体素子基板の製造方法に適用できる。
【0075】
また、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板は、電気光学装置や電子デバイスに適用することができる。
ここで、電気光学装置とは、例えば、液晶素子、電気泳動粒子が分散した分散媒体を有する電気泳動素子、EL素子等を備えた装置であって、前記半導体素子基板を駆動回路等に適用した装置をいう。
【0076】
また、電子デバイスとは、本発明の膜付基板の製造方法によって製造された膜付基板を備えた一定の機能を奏する機器一般をいい、例えば電気光学装置やメモリを備えて構成される。
なお、その構成に特に限定はないが、例えば、ICカ−ド、携帯電話、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、リア型またはフロント型のプロジェクター、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示板、宣伝広告用ディスプレイ等が含まれる。
以上、本発明の高次シラン組成物、膜付基板の製造方法、電気光学装置および電子デバイスについて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の膜付基板の製造方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
【実施例】
【0077】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
なお、以下では、特に記載しない限り、各処理を酸素濃度1ppm以下の窒素雰囲気下で行った。
(実施例)
1.高次シラン組成物の調整
【0078】
(サンプルNo.1A)
<1A> まず、低次シラン化合物としてシクロペンタシラン(沸点:194℃)3gをベンゼン10mL中に溶解することによりシクロペンタンシラン溶液を調製した。
<2A> 次に、このシクロペンタシラン溶液をガラスビーカーに入れ、撹拌しながら波長254nm、強度50mW/cmの紫外線を5分間照射することにより、シクロペンタシランを重合させて、溶液中に高次シラン化合物を析出させた。
【0079】
<3A> 次に、溶液中の析出物を、0.5μmのマイクロフィルターを用いて濾別することにより高次シラン化合物を得た。
<4A> 次に、高次シラン化合物をジメチルナフタレンの構造異性体の混合溶液(屈折率:1.6106)で溶解することによりサンプルNo.1Aの高次シラン組成物を得た。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、30重量%であった。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が90のものであった。
【0080】
(サンプルNo.2A)
前記工程<2A>において、波長254nm、強度100mW/cmの紫外線を10分間照射した以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、サンプルNo.2Aの高次シラン組成物を得た。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、20重量%であった。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が200のものであった。
【0081】
(サンプルNo.3A)
前記工程<4A>において、高次シラン化合物をo−フルオロアニリン(1.5420)で溶解した以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、サンプルNo.3Aの高次シラン組成物を得た。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、10重量%であった。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が90のものであった。
【0082】
(サンプルNo.4A)
前記工程<2A>において、波長254nm、強度100mW/cmの紫外線を10分間照射し、前記工程<4A>において、高次シラン化合物をo−フルオロアニリン(1.5420)で溶解した以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、サンプルNo.4Aの高次シラン組成物を得た。
【0083】
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、5重量%であり、サンプルNo.2Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が低下する傾向を示した。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が200のものであった。
【0084】
(サンプルNo.5A)
前記工程<4A>において、高次シラン化合物を1,2−ジブロモエタン(1.5358)で溶解した以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、サンプルNo.5Aの高次シラン組成物を得た。
なお、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、1重量%であり、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物と比較して高次シラン化合物の含有率が低下する傾向を示した。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が90のものであった。
【0085】
(サンプルNo.6A)
前記工程<4A>において、高次シラン化合物を1,2−ジブロモエタン(1.5358)とビス(インデニル)ジメチルシラン(1.6110)との混合溶媒で溶解した以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にして、サンプルNo.6Aの高次シラン組成物を得た。
【0086】
なお、混合溶媒は、1,2−ジブロモエタンとビス(インデニル)ジメチルシランとの比率が、重量比で90:10となるように混合したものを用い、この混合溶媒の屈折率は、1.5423であった。
また、高次シラン組成物中の高次シラン化合物の濃度は、10重量%であった。
さらに、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が90のものであった。
【0087】
(サンプルNo.7A)
前記工程<2A>において、波長254nm、強度100mW/cmの紫外線を10分間照射し、前記工程<4A>において、高次シラン化合物を溶解するための溶媒として1,2−ジブロモエタン(1.5358)を用いた以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にしたが、高次シラン化合物を溶媒に溶解することができなかった。
なお、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が200のものであった。
【0088】
(サンプルNo.8A)
前記工程<4A>において、高次シラン化合物を溶解するための溶媒としてアニソール(1.5160)用いた以外は、前記サンプルNo.1Aと同様にしたが、高次シラン化合物を溶媒に溶解することができなかった。
なお、高次シラン化合物は、−(SiH−において、n(平均値)が90のものであった。
【0089】
2.シリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板の製造
なお、以下では、いずれものサンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板を10個ずつ製造した。
また、以下に示す測定結果における各数値は、いずれも、10個の平均値を示す。
(サンプルNo.1B)
<1B> まず、サンプルNo.1Aの高次シラン組成物を、1500rpmでスピンコート法を用いて、石英基板上に塗布することによって液状被膜を形成した。
【0090】
<2B> 次に、この液状被膜を形成した基板を、270℃×30分で加熱することにより、液状被膜を乾燥させることにより、高次シラン化合物膜を得た。
<3B> 次に、得られた高次シラン化合物膜に対して、350℃×60分で熱処理を行った。
これにより、茶褐色の膜を得た。
【0091】
この膜に対してRAMAN分光法による測定を行った結果、この膜はアモルファスシリコン膜であることが判明した。また、このアモルファスシリコン膜に対して、SIMS分析(表面組成の測定)を行った結果、ほとんどシリコン原子で構成されており、不純物としては酸素:2%、炭素:0.1%、その他の金属原子についてはすべて0.1%未満であった。
【0092】
<4B> 次に、得られたアモルファスシリコン膜に対して、大気(室温)中で波長308nmのエキシマレーザーをエネルギー密度300mJ/cmで照射した。
これにより、多結晶シリコン膜を得た。
なお、多結晶シリコン膜に対して、RAMAN分光法による測定を行った結果、結晶化率:95%であった。
以上のようにして、サンプルNo.1Bのシリコン膜付基板を製造した。
【0093】
(サンプルNo.2B〜6B)
前記工程<1B>において、それぞれ、サンプルNo.2A〜6Aの高次シラン組成物を用いた以外は、前記サンプルNo.1Bと同様にして、サンプルNo.2B〜6Bのシリコン膜付基板を製造した。
(サンプルNo.7Bおよび8B)
サンプルNo.7Aおよび8Aの高次シラン組成物では、高次シラン化合物を溶媒中に溶解することができなかったため、これらのサンプルを用いての膜付基板の形成は、省略した。
【0094】
(サンプルNo.1C〜6C)
前記工程<1B>および<2B>を経て、高次シラン化合物膜を得るまでは、上記サンプルNo.1B〜6Bと同様な処理を行った後、前記工程<3B>において窒素雰囲気のチャンバー内に徐々に大気を導入して30分間で大気雰囲気にした。
そして前記工程<4B>に代えて、大気中で400℃×60分の焼成を行った。これにより、無色透明な膜を得た。
【0095】
これらの膜に対してESCA分析を行ったところ、いずれについてもシリコン:酸素の比がほぼ1:2の酸化シリコン膜であることが判明した。
また、これらの酸化シリコン膜に対して、SIMS分析を行った結果、不純物としては炭素:0.1%、その他の金属原子についてはすべて0.1%未満であった。
このようにしてサンプルNo.1C〜6Cの酸化シリコン膜付基板を製造した。
【0096】
3.シリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板の評価
各サンプルNo.のシリコン膜付基板および酸化シリコン膜付基板について、光干渉式膜厚計を用いて、それぞれの膜付基板に形成されたシリコン膜または酸化シリコン膜の膜厚を10ヶ所測定し、その平均膜厚を求めた。
以下の表1に、各サンプルNo.で測定された平均膜厚を示す。
【0097】
【表1】

【0098】
表1に示すように、各サンプルNo.の膜付基板では、高次シラン組成物に含まれる溶媒の屈折率が大きいものほど、溶媒中に高次シラン化合物のnの平均値が大きいものを高濃度に溶解することができ、このような高次シラン組成物を用いて形成されたシリコン膜または酸化シリコン膜ほど、その膜厚が大きくなっていることが明らかとなった。
なお、サンプルNo.1B〜6Bのシリコン膜付基板(本発明)およびサンプルNo.1C〜6Cの酸化シリコン膜付基板(本発明)ともに、基板上の10ヶ所において、膜厚を測定したところ、ほぼ均一(平均膜厚に対して±5%以下のばらつき)なものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高次シラン化合物と、置換または無置換の炭化水素系溶媒を含む溶媒とを含有し、
前記溶媒として、前記高次シラン化合物が溶解し得るように、屈折率が1.53以上のものを選択することを特徴とする高次シラン組成物。
【請求項2】
前記高次シラン化合物は、一般式−(SiH−(式中、nは8以上の整数を表す。)で表されるものである請求項1に記載の高次シラン組成物。
【請求項3】
当該高次シラン組成物における前記高次シラン化合物の濃度は、1〜50重量%のものである請求項1または2に記載の高次シラン組成物。
【請求項4】
前記溶媒は、前記炭化水素系溶媒の単独溶媒である請求項1ないし3のいずれかに記載の高次シラン組成物。
【請求項5】
前記溶媒は、前記炭化水素系溶媒を含む混合溶媒である請求項1ないし3のいずれかに記載の高次シラン組成物。
【請求項6】
前記混合溶媒は、前記炭化水素系溶媒の他に、シリコン系溶媒を含む請求項5に記載の高次シラン組成物。
【請求項7】
前記炭化水素系溶媒は、比誘電率が10以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の高次シラン組成物。
【請求項8】
前記炭化水素系溶媒は、その分子内に二重結合を備える請求項1ないし7のいずれかに記載の高次シラン組成物。
【請求項9】
前記炭化水素系溶媒は、その分子内に芳香族環を備える請求項8に記載の高次シラン組成物。
【請求項10】
前記炭化水素系溶媒は、その分子内に置換基としてハロゲン、窒素、硫黄のいずれかを備える請求項1ないし9のいずれかに記載の高次シラン組成物。
【請求項11】
前記炭化水素系溶媒は、下記一般式(1)で表される化合物である請求項10に記載の高次シラン組成物。
【化1】

[式中、2つのRは、アルキル基を表し、同一の鎖長のものであっても、異なっていてもよい。]
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の高次シラン組成物を調製する第1の工程と、
基板上に、前記高次シラン組成物を供給して、液体状被膜を形成する第2の工程と、
前記液体状被膜中から、前記溶媒を除去して、前記高次シラン化合物を含有する膜を得る第3の工程とを有することを特徴とする膜付基板の製造方法。
【請求項13】
前記第1の工程において、前記高次シラン組成物は、液体状のシラン化合物を含有する溶液中で、前記液体状のシラン化合物が重合反応することにより前記高次シラン化合物が生成した後、前記溶液中から抽出した当該高次シラン化合物を前記溶媒に溶解することにより得られたものである請求項12に記載の膜付基板の製造方法。
【請求項14】
前記第3の工程の後、前記膜に対して、非酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物をシリコンに変化させて、シリコンを含むシリコン膜を得る第4の工程を有する請求項12に記載の膜付基板の製造方法。
【請求項15】
前記第3の工程の後、前記膜に対して、酸化性雰囲気中で熱処理および/または光照射処理を施すことにより、前記高次シラン化合物を酸化シリコンに変化させて、酸化シリコンを含む酸化シリコン膜を得る第4の工程を有する請求項12に記載の膜付基板の製造方法。
【請求項16】
請求項12ないし15のいずれかに記載の膜付基板の製造方法により製造された膜付基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項17】
請求項16に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子デバイス。

【公開番号】特開2008−174416(P2008−174416A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−9566(P2007−9566)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度、経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構「基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)/液体を原料としたシリコントランジスタ製造技術の開発」、産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】